JP2013044263A - ガスタービンの燃料制御方法及び燃料制御装置 - Google Patents

ガスタービンの燃料制御方法及び燃料制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】着火の信頼性を確保しつつ、始動中の排気に生じる黒煙を低減すること。
【解決手段】 燃料制御用の第1供給ラインL1を、着火領域で着火限界ラインLMに沿って増大するラインとし、燃料の供給開始を燃料流量一定の場合よりも遅らせて、より高い回転数(より多い空気量)で開始する。第1供給ラインL1が着火限界ラインLMに交差する時が燃料流量一定の場合よりも遅れ、第1供給ラインL1の着火遅れに対する裕度(T)は燃料流量一定の場合と同等になる。空気がより少ない状態での燃料供給が少なくなり、着火までの投入燃料総量が減少し、常に希薄条件で着火する条件となるため、未燃焼・不完全燃焼が減って始動時の黒煙が減少する。
【選択図】図5

Description

本発明は、ガスタービンの燃焼器に供給される燃料の流量を制御するためのガスタービンの燃料制御方法に係り、特に着火の信頼性を十分に確保しつつ、始動中の排気に生じる黒煙を低減することができるガスタービンの燃料制御方法及び燃料制御装置に関するものである。
下記特許文献1には、再生サイクルガスタービンにおいて低NOx を達成できるガスタービンの燃料制御装置に関する発明が開示されている。同文献の図1に示すように、燃料制御装置31は、再生サイクルガスタービンの燃焼器9に燃料を供給する装置であって、燃焼器9に主燃料を供給する主燃料供給系39と、負荷の信号に応じてパイロット当量比を決め、この当量比に基づき燃焼器9に供給するパイロット燃料の流量を可変制御するパイロット燃料供給系41とを有している。
特開2005−147136号公報
特許文献1に開示されているような従来のガスタービンでは、圧力噴射ノズルによって燃料を良好な状態で噴射するために高い燃料圧力が必要であり、また着火遅れに対する信頼性を確保し、着火遅れが生じても着火できるようにするために、一般に投入する燃料の量は多くなる傾向にある。このため、始動時には未燃焼又は不完全燃焼の燃料が発生し、黒煙が多量に排出される場合があった。
図7は、本発明者が先に発明したガスタービンの燃料制御方法を示すグラフである。横軸は始動指令以降の時間tを表わしており、縦軸には時間の経過に対して変化する3つの量として、上からガスタービン回転数と、ガスタービン排気温度と、燃料流量を割り当てており、それぞれの時間に対する変化を3つのグラフで表示している。
図7に示すように、ガスタービンを始動する場合には、始動指令と同時にスタータでガスタービンの軸を駆動して回転数を上昇させていき、ロータの回転が加速され始めるのとほぼ同時に燃料の投入も行う。燃料流量は、圧力噴射ノズルによる良好な噴霧状態を得るためと、着火遅れが生じても着火できるようにするために、着火後、排気温度が所定量(例えば30度)だけ上昇するまでは一定に保持し、その後は回転数の上昇に合わせて(すなわち空気量の増加に合わせて)増加していくように制御していた。このため、図7中にある斜線を施した矩形の領域で示すように、大量の燃料が投入されることとなり、この燃料の未燃焼又は不完全燃焼によって始動時に黒煙が発生していたものと考えられる。
図8は、着火遅れに対する信頼性について説明するために、このガスタービンの着火限界ラインLMを図7に示したガスタービンの燃料制御方法のグラフに重ねて示したものである。着火限界ラインLMとは、ガスタービン及びこれに付随する燃焼器の構造やその運転方法等によって定まる着火限界の燃料流量を表わすものであって、このラインの上側は着火領域であり、下側は非着火領域である。
上述したように、このガスタービンでは、始動開始直後から一定の燃料流量で燃料を供給し、着火後には燃料流量を増大させているのであるが、仮に図示の着火ポイントで着火しなければ、図中破線で示すように一定の燃料流量による燃料の供給はそのまま継続し、排気温度も始動時の一定温度を維持して上昇することはない。燃料供給開始後、この燃料流量一定のラインが着火限界ラインLMに交差する時刻までの時間Tが着火可能な時間範囲であり、これを本発明者は、着火が遅れた場合の時間的余裕を表わす目安と考え、「着火遅れに対する裕度」と称している。この着火遅れに対する裕度が長いほど、着火するチャンスが多くなり、ミスなく着火できる可能性が高まり、着火の信頼性が高いと言える。
このガスタービンのように、始動開始直後から一定の燃料流量で燃料を供給する場合において、着火遅れに対する裕度(T)を長くするためには、始動開始直後から供給する燃料流量の一定値をなるべく高く設定し、時間が経過して着火限界ラインLMが立ち上がっていっても、一定の燃料流量が着火限界ラインLMに交差して下方の非着火領域に入ってしまう時刻がなるべく遅くなるようにすればよい。このガスタービンでは、圧力噴射ノズルによる良好な噴霧状態を得るとともに、そのような着火遅れに対する信頼性の確保といった観点から、一定の燃料流量で投入する燃料の量を多く設定していたのであるが、そのために前述したように、始動時には未燃焼又は不完全燃焼の燃料が発生し、黒煙が多量に排出される場合があったと考えられる。
ガスタービンの始動時に発生する黒煙の問題を解決するために、始動開始直後から投入する燃料の一定燃料流量をより少なく設定すれば、未燃焼又は不完全燃焼の燃料が少なくなって発生する黒煙も減少することが予想されるが、単に燃料流量を少なくしたのでは、図8の下段に示す燃料流量のグラフにおいて、水平な一定流量の供給ラインが下方に平行移動することとなり、これが着火限界ラインLMと交差する点の時刻tがより早くなり、結果として前記着火遅れに対する裕度(T)が短くなって着火の信頼性が低下してしまう。
本発明は、以上の課題を解決するものであり、着火の信頼性を十分に確保しつつ、始動中の排気に生じる黒煙を低減することができるガスタービンの燃料制御方法及び燃料制御装置を実現することを目的としている。
請求項1に記載されたガスタービンの燃料制御方法は、
ガスタービンを駆動する燃焼ガスを生成するために燃焼器に供給される燃料の流量を制御するガスタービンの燃料制御方法において、
時間の経過に伴ってガスタービンの回転数が上昇するガスタービンの始動時において、前記流量と時間の関係を示す領域を燃料の着火領域と非着火領域に分ける着火限界ラインLMを想定し、実際に燃料を供給する場合における前記流量と時間の関係を示す第1供給ラインを前記着火領域内で前記着火限界ラインLMに沿って設定し、前記第1供給ラインに従って燃焼器に燃料を供給することを特徴としている。
請求項2に記載されたガスタービンの燃料制御方法によれば、請求項1記載のガスタービンの燃料制御方法において、
所定の着火可能時間の長さを有し着火まで前記流量を一定に保持する一定供給ラインを想定し、
前記第1供給ラインによる燃料の供給開始の時に対応するガスタービンの回転数を、前記一定供給ラインによる燃料の供給開始の時に対応するガスタービンの回転数よりも大きく設定し、
前記第1供給ラインが前記着火限界ラインLMに交差する時に対応するガスタービンの回転数を、前記一定供給ラインが前記着火限界ラインLMに交差する時に対応するガスタービンの回転数よりも大きくなるように設定したことを特徴としている。
請求項3に記載されたガスタービンの燃料制御方法は、請求項2記載のガスタービンの燃料制御方法において、
前記第1供給ラインによる前記流量の制御は、時間の経過に伴って前記流量が比例係数aの正比例で増大する制御であり、着火した後には、時間の経過に伴って前記流量が比例係数b(a>b)の正比例で増大する第2供給ラインに沿って制御を行うことを特徴としている。
請求項4に記載されたガスタービンの燃料制御装置は、
ガスタービンを駆動する燃焼ガスを生成するために燃焼器に燃料制御弁を介して供給される燃料の流量を制御するガスタービンの燃料制御装置において、
時間の経過に伴ってガスタービンの回転数が上昇するスタータを用いたガスタービンの始動時において、前記流量と時間の関係を示す領域を燃料の着火領域と非着火領域に分ける着火限界ラインLMを想定し、実際に燃料を供給する場合における前記流量と時間の関係を示す第1供給ラインを前記着火領域内で前記着火限界ラインLMに沿って設定し、前記第1供給ラインに従って燃焼器に燃料を供給するように前記燃料制御弁を制御することを特徴としている。
請求項1に記載されたガスタービンの燃料制御方法と、請求項4に記載されたガスタービンの燃料制御装置によれば、ガスタービンの始動時には、時間の経過に伴ってガスタービンの回転数が上昇するとともに、着火限界ラインLMも徐々に上昇していくが、着火領域内で着火限界ラインLMに沿って設定した第1供給ラインに従って燃料を供給するので、始動後に一定の燃料流量で燃料を供給する場合に比べ、着火前の燃料投入量を可及的に減少せしめることができるとともに、着火範囲内であればどこで着火しても着火限界に近い状態での着火となり、可能な限り希薄な条件での燃焼となるため、未燃焼又は不完全燃焼の燃料が少なくなり、始動中の排気に生じる黒煙を低減させることができる。
請求項2に記載されたガスタービンの燃料制御方法によれば、燃料流量が一定である一定供給ラインの燃料供給開始時よりも後で、前記第1供給ラインに従って燃焼器への燃料供給を開始するとともに、一定供給ラインが着火限界ラインLMに交差する時よりも後で、前記第1供給ラインが前記着火限界ラインLMに交差するように燃料の供給態様を設定することができる。従って、始動後に一定の燃料流量で燃料を供給する場合に比べ、燃料の供給開始が遅くなり、着火前の燃料投入量を減少させることが可能であるとともに、燃料流量が非着火領域に移行する時点も一定の燃料流量の場合より遅くなるので、着火可能な時間範囲(前記着火遅れに対する裕度)については一定供給ラインの場合と同等以上に設定することが可能となり、一定供給ラインの場合と同等以上の着火の信頼性を確保することができる。すなわち、着火の信頼性を十分に確保しつつ、始動中の排気に生じる黒煙を低減することができる。
請求項3に記載されたガスタービンの燃料制御方法によれば、ガスタービンの始動後、燃料流量は第1供給ラインに従って時間に対して正比例で直線的に増大していくが、その着火可能な時間範囲(前記着火遅れに対する裕度)内で着火した場合は、第1供給ラインよりも小さい傾きの第2供給ラインに従って、より小さい増加量で燃料流量の供給を行なうので、そのまま第1供給ラインに沿って燃料を供給する場合に比べ、燃焼状態を適切に維持しつつ、燃料供給量については削減することができ、黒煙の発生をより一層抑える効果が得られる。
本発明の実施形態に係るガスタービン装置の構造と制御系統を示すブロック構成図である。 本発明の実施形態に係るガスタービン装置に設けられた燃料制御弁の構造を示す断面図である。 図2のA−A切断線における断面図であり、弁の全閉状態と全開状態をそれぞれ示す図である。 本発明の実施形態に係るガスタービン装置の駆動状態を、時間に対するロータの回転数の変化と、装置各部の作動状態とによって示す図である。 本発明の実施形態に係るガスタービンの燃料制御方法を示す図であって、横軸には始動指令以降の時間をとり、縦軸には時間の経過に対して変化するガスタービン回転数と、ガスタービン排気温度と、燃料流量をとり、各量の時間に対する変化を3つのグラフで表示した図である。 (a)は本発明の実施形態に係るガスタービンの始動時における排気状況を示す写真であり、(b)は本発明者が先に発明したガスタービンの燃料制御方法による始動時の排気状況を示す写真である。 本発明者が先に発明したガスタービンの燃料制御方法を示す図であって、横軸には始動指令以降の時間をとり、縦軸には時間の経過に対して変化するガスタービン回転数と、ガスタービン排気温度と、燃料流量をとり、各量の時間に対する変化を3つのグラフで表示した図である。 図7に示したガスタービンの燃料制御方法のグラフに、このガスタービンの着火限界ラインLMを重ねて示した図である。
以下本発明の最良の実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1を参照して本実施形態のガスタービンを用いた発電装置の全体構成を説明する。このガスタービン1は、回転自在である共通のロータ2に取り付けられた圧縮機3及びタービン4と、タービン4に駆動用の燃焼ガスを供給する燃焼器5とを備えている。この燃焼器5には、燃料を送る燃料ポンプ6と、燃料ポンプ6から送られた燃料の流量を制御する燃料制御弁7と、燃料制御弁7と燃焼器5との流路を必要に応じて開閉する燃料遮断弁8とによって構成された破線で示す燃料供給系統が接続されている。この燃料供給系統における燃料ポンプ6は、ガスタービン1の始動時に図示しないバッテリーで駆動されるものであり、ガスタービン1が定格回転数で運転されている状態での燃料供給は後述するメインポンプによって行なわれる。また、燃焼器5には、圧縮機3から圧縮空気を導く空気流路9も接続されている。そして、燃焼器5には点火栓10が設けられており、燃焼器5に供給された燃料及び圧縮空気の混合気に着火して燃焼させ、燃焼ガスを生成することができる。燃焼器5とタービン4は燃焼ガス流路11で接続されており、燃焼器5で生成された燃焼ガスは燃焼ガス流路11を介してタービン4に導かれ、これを駆動してロータ2を回転させることができる。
このように構成されたガスタービン1のロータ2には減速機12を介して発電機13が連結されている。ガスタービン1を駆動すれば、ロータ2の回転力は減速機12で適当な回転数に変換され、発電機13を駆動して電力を得ることができる。なお、減速機12には、ガスタービン1の始動時にロータ2を駆動する電機モータであるスタータ14が連結されているほか、回転数検出手段15も設けられている。
このガスタービン1及び発電機13等からなる発電装置は、燃料制御装置としての機能を有する制御部20によって全体として統轄的に制御されるようになっている。すなわち、図1中に示したように、燃料ポンプ6、燃料制御弁7、燃料遮断弁8、点火栓10、スタータ14、回転数検出手段15等は制御部20に接続されており、制御部20は、回転数検出手段15から得られる回転数の情報、その他の図示しないセンサ等からの情報や外部からの指示を受けて、燃料ポンプ6、燃料制御弁7、燃料遮断弁8、点火栓10、スタータ14等の装置各部を適宜に制御し、後述するような燃料流量の制御を行なってガスタービン1による発電を行うことができる。なお、図示はしないが、前述した通り、減速機12にはロータ2の回転力によって駆動されるメインポンプが連結されている。このメインポンプは、ガスタービン1が定格回転数で運転されている状態において、燃料を燃焼器5に供給するように構成されている。
次に、図2及び図3を参照して前記ガスタービン1の燃焼器5に燃料を供給する燃料制御弁7について説明する。図2に示すように、燃料制御弁7の弁箱25の内部には、燃料ポンプ6に接続された入口側流路26と、入口側流路26に連通した略円筒形の弁室27と、弁室27と燃料遮断弁8を連通させる出口側流路28が形成されている。この弁室27の内部には、図3に示すように、弁室27の形状と略同形でやや小さい円柱体を縦に半分にしたような半円柱形の弁体29が設けられている。この弁体29は、その軸を中心として回動自在とされており、図2中に模式的に示すように、制御部20を介して与えられる4〜20mAの電流信号で駆動される図示しないアクチュエータにより、図3に示すように全開位置と全閉位置との間の任意の位置に設定され、流路26,28の開度を任意に調整できるようになっている。すなわち、この燃料制御弁7では、入口側流路26と出口側流路28の各圧力は一定であることになっており、弁体29による流路の開度調整によって燃料流量を連続的に自在に調整することができる。
図2に示すように、燃料制御弁7の弁箱25の内部には、入口側流路26と出口側流路28の各圧力が何らかの負荷等によって変動した場合にも、安定して流量制御を行なえるようにするため、圧力補償機構が設けられている。圧力補償室30には、圧力補償弁31が移動自在に設けられており、その一方側には入口側流路26の圧力P1と等しいバイパス圧力PBが与えられ、その他方側には出口側流路28の圧力P2が与えられている。この構成によれば、入口側流路26の圧力P1と出口側流路28の圧力P2との差圧が一定に制御される。例えば、出口側流路28の下流にある燃料弁等の絞りが何らかの理由で狭くなってしまった場合、出口側流路28の圧力P2は上昇するが、これによって圧力補償弁31は図中左側に移動するので、バイパス圧力PBが下がり、燃料のバイパス量が減少して燃料流量を一定に維持することができる。
次に、図4を参照して実施形態におけるガスタービン1の始動から定格運転に至る運転状態の大略を説明する。始動開始の指示(始動指令)が入ると、制御部20は、バッテリーによってスタータ14を始動してガスタービン1のロータ2を駆動し始めるとともに、バッテリーによって始動用の燃料ポンプ6と点火栓10も始動する。ロータ2の回転数が所定の回転数(定格回転数100%に対してN%)まで上昇したところで、燃焼器5内の混合気に着火するが、その後、燃料遮断弁8を作動させて始動用の燃料ポンプ6の系統から来る燃料を遮断する。以後、スタータ14、始動用の燃料ポンプ6及び点火栓10は適当な時期に停止するが、減速機12に連動する図示しないメインポンプで燃焼器5に燃料を供給して運転を続行する。回転数が100%までは、空気量に対応して燃料流量を増加させていき、回転数が100%に達した後は、回転数100%を維持するように燃料流量を制御する。
次に、図4を参照して説明したガスタービン1の始動時における燃料制御について、図5を参照して詳細に説明する。
図5に示す本実施形態の燃料制御方法を示すグラフの座標系では、横軸には始動指令以降の時間tをとり、縦軸には時間の経過に対して変化する3つの量として、上からガスタービン回転数と、ガスタービン排気温度と、燃料流量をとり、各量の時間tに対する変化を3つのグラフで表示している。また、燃料流量のグラフに重ねて前記ガスタービン1の燃焼器5の着火限界ラインLMも示している。この図は、スタータ14によってガスタービン1のロータ2の回転数を上昇させる制御を行なう始動時の図であるため、横軸の時間tが増大するにつれて、ガスタービン1の回転数は上昇していき、始動後一定であったガスタービン排気温度も着火ポイント後には上昇していく。
図5に示すように、ガスタービン1を始動する場合には、始動指令と同時にスタータ14でガスタービン1の軸を駆動して回転数を上昇させていき、ロータ2の回転が加速されて回転数がある程度上昇してから燃料の投入を始める。図7に示した本発明者の先行発明の場合は、前述したようにロータの回転が加速され始めるのとほぼ同時期であって、空気量が比較的少ない状態で燃料の供給を開始していた。これに対し本実施形態では、これよりも遅く、空気量がより多い時刻t1になってから燃料の供給を開始する。
このように、本実施形態では、本発明者の先行発明の場合よりも燃料供給開始時を遅くし、より回転数が高く、より空気量が多くなった時刻t1で燃料供給を開始するので、空気が少ない状態で供給されて未燃焼となりがちな燃料が減り、黒煙が発生しにくくなっている。
図5に示すように、本実施形態では、始動開始後の経過時間と燃料流量の関係を示す領域を燃料の着火領域と非着火領域に分ける着火限界ラインLMを想定し、実際に燃料を供給する前記流量と時間の関係を示す第1供給ラインL1を、前記着火領域内において、前記着火限界ラインLMに沿った直線(傾きをaとする)として設定した。第1供給ラインL1は、その最後の部分で流量が一定になって水平となり、着火限界ラインLMに交差するが、この交差点における時刻t2と燃料供給を開始した前記時刻t1の時間間隔が、着火遅れに対する裕度(T)となる。この裕度(T)は、燃料供給開始が本実施形態より早い本発明者の先行発明の場合と同等であり、着火の信頼性は十分に確保されている。
本実施形態のようなガスタービン1を利用した発電装置は、非常用として設置される場合が多く、その場合には用途の緊急性に鑑みて始動時にはなるべく一回で着火して直ちに発電を始められる性能が求められる。すなわち、時間的な着火可能範囲が広く、着火遅れに対する裕度(T)が長く、着火に対する信頼性が重要である。本実施形態によれば、このような要請・期待に十分応えうる着火信頼性を備えていると言える。
このように、本実施形態では、燃料供給のタイミングを遅らせているのにも関わらず、着火遅れに対する裕度(T)が先行発明と同等で十分な信頼性を備えているが、これは本実施形態の燃料流量が一定ではなく、着火領域において着火限界ラインLMに沿って直線的に流量が増大していく第1供給ラインL1に沿った流量制御を採用したためである。
また、本実施形態によれば、着火領域内で着火限界ラインLMに沿って直線的に流量が増大する第1供給ラインL1を燃料制御のスケジュールとして採用したので、前記裕度(T)内のどの時点で着火したとしても、常に着火限界に近い希薄条件での着火となるため、黒煙を低減させる効果がある。
また、本実施形態によれば、前述したように回転数が上昇して空気量が多くなってから燃料供給を開始し、さらに着火限界ラインLMに沿った第1供給ラインL1に従って燃料を供給するため、前記先行発明と同等の前記裕度(T)を確保しながら、図5中の斜線を付した台形領域で示すように、着火までに投入される総燃料量は従来よりも少なくなる。前述したように空気が少ない状態で供給される燃料が少ないことや、常に希薄燃焼で着火する点に加え、着火可能な時間範囲内(裕度(T))における着火前の燃料供給量自体が先行発明に比べて少なくなるため、この点においても先行発明に比べて未燃焼・不完全燃焼の燃料が少なくなり、黒煙発生が減少することとなる。
図5に示すように、本実施形態では、着火ポイント後、排気温度が所定量(例えば30度)だけ上昇するまでは、第1供給ラインL1に従った燃料制御を維持し、その後に、第1供給ラインL1よりも燃料流量の増加率の低い第2供給ラインL2に従って燃料流量の制御を行なう。すなわち、第2供給ラインL2は、前記流量が比例係数b(a>b)の正比例で増大する燃料制御のスケジュールを示している。
本実施形態によれば、ガスタービン1の始動後、燃料流量は第1供給ラインL1に従って時間に対して正比例で直線的に増大していくが、その着火可能な時間範囲(前記着火遅れに対する裕度(T))内で着火した場合は、第1供給ラインL1よりも小さい傾きの第2供給ラインL2に従って、より小さい増加量で燃料流量の供給を行なうことになる。一旦着火した後であるため、第2供給ラインL2が着火限界ラインLMの下方の非着火領域に入っても問題はない。従って、そのまま第1供給ラインL1に沿って燃料を供給する場合に比べ、燃焼状態を適切に維持しつつ、燃料供給量については削減することができるので、黒煙の発生をより一層抑える効果が得られる。
以上説明した実施形態における着火限界ラインLMは、ガスタービンや運転手法等によって変動しうる特性である。従って、例えばガスタービン1においてダクトの構造を変更したため給気や排気の抵抗が変化したり、燃焼器5に供給される際の燃料温度が変動して微粒化の程度が変動した等の理由により、前述した第1供給ラインL1を設定する基本データとなった着火限界ラインLM自体が変化する場合が考えられる。従って、第1供給ラインL1を着火限界ラインLMにあまりに近接して設定すると、何らかの原因で着火限界ラインLMが上のように変動してしまった場合には、実際の燃料流量が着火限界ラインLMを下回って着火ミスが発生することが考えられる。そこで、第1供給ラインL1は、着火領域内で裕度Tの全範囲にわたって着火限界ラインLMに近接するように設けるのではなく、供給開始から時間が経過するほど、着火限界ラインLMから離れていくように設定してもよい。又は、着火後の黒煙の発生状況を見ながら、燃料流量を徐々に増やすような制御を行なってもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1供給ラインL1による燃料の供給開始を先行発明の場合よりも遅らせて、より高い回転数(より多い空気量)で燃料供給を開始するとともに、燃料の制御ラインである第1供給ラインL1を、着火領域で着火限界ラインLMに沿って増大するラインとすることにより、第1供給ラインL1が着火限界ラインLMに交差する時を先行発明の場合よりも遅らせて、第1供給ラインL1の着火遅れに対する裕度(T)の終期を、先行発明の場合よりも高い回転数(より多い空気量)の側に設定した。このため、着火遅れに対する裕度については先行発明の場合と同等に十分な値を確保しながら、より空気の少ない状態での燃料供給を少なくし、着火までの投入燃料総量を減少させ、着火については常に希薄条件で行なわれる条件を整えたため、未燃焼・不完全燃焼が減って始動時の黒煙が減少する効果が得られた。
図6は、特A重油を燃料とし、定格の20%の回転数でガスタービン1を運転した場合の煙道の様子を示す写真であり、図6(a)は実施形態に係る燃料制御方法の場合を示す写真であり、煙道からの排気には黒煙は全く見られない。同図(b)は本発明者の先行発明による燃料制御方法の場合を示す写真であり、煙道からは黒煙が排出されている。
1…ガスタービン
5…燃焼器
7…燃料制御弁
14…スタータ
20…燃料制御装置としての制御部
LM…着火限界ライン
L1…第1供給ライン
L2…第2供給ライン

Claims (4)

  1. ガスタービンを駆動する燃焼ガスを生成するために燃焼器に供給される燃料の流量を制御するガスタービンの燃料制御方法において、
    時間の経過に伴ってガスタービンの回転数が上昇するガスタービンの始動時において、前記流量と時間の関係を示す領域を燃料の着火領域と非着火領域に分ける着火限界ラインを想定し、実際に燃料を供給する場合における前記流量と時間の関係を示す第1供給ラインを前記着火領域内で前記着火限界ラインに沿って設定し、前記第1供給ラインに従って燃焼器に燃料を供給することを特徴とするガスタービンの燃料制御方法。
  2. 所定の着火可能時間の長さを有し着火まで前記流量を一定に保持する一定供給ラインを想定し、
    前記第1供給ラインによる燃料の供給開始の時に対応するガスタービンの回転数を、前記一定供給ラインによる燃料の供給開始の時に対応するガスタービンの回転数よりも大きく設定し、
    前記第1供給ラインが前記着火限界ラインに交差する時に対応するガスタービンの回転数を、前記一定供給ラインが前記着火限界ラインに交差する時に対応するガスタービンの回転数よりも大きくなるように設定したことを特徴とする請求項1記載のガスタービンの燃料制御方法。
  3. 前記第1供給ラインによる前記流量の制御は、時間の経過に伴って前記流量が比例係数aの正比例で増大する制御であり、着火した後には、時間の経過に伴って前記流量が比例係数b(a>b)の正比例で増大する第2供給ラインに沿って制御を行うことを特徴とする請求項2記載のガスタービンの燃料制御方法。
  4. ガスタービンを駆動する燃焼ガスを生成するために燃焼器に燃料制御弁を介して供給される燃料の流量を制御するガスタービンの燃料制御装置において、
    時間の経過に伴ってガスタービンの回転数が上昇するスタータを用いたガスタービンの始動時において、前記流量と時間の関係を示す領域を燃料の着火領域と非着火領域に分ける着火限界ラインを想定し、実際に燃料を供給する場合における前記流量と時間の関係を示す第1供給ラインを前記着火領域内で前記着火限界ラインに沿って設定し、前記第1供給ラインに従って燃焼器に燃料を供給するように前記燃料制御弁を制御することを特徴とするガスタービンの燃料制御装置。
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