JP2013043366A - ボールペンレフィル - Google Patents

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Takumi Kajiwara
巧 梶原
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Hideaki Asami
秀明 朝見
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Abstract

【課題】ボールを押圧するコイルスプリングを配設したボールペンにおいて、経時安定の優れたボールペンを簡単な構造で提供する。
【解決手段】チップ先端部を内側にかしめることにより、ボールの一部をチップ先端縁より突出させて回転自在に抱持し、前記ボールの後方に配設した、コイル線材からなるコイルスプリングによって、ボールをチップ先端の内壁面に押圧してなるボールペンチップを、直接又はチップホルダーを介して、インキ収容筒の先端部に装着してなるボールペンレフィルにおいて、前記コイルスプリングが、コイル部と密着部を有し、前記コイルスプリングの表面に耐摩耗被膜層を設けるとともに、前記耐摩耗被覆層を設けたコイル部の線間の隙間が、前記耐摩耗被覆層を設けたコイル線材の線径より狭幅、且つ前記ボールの縦方向のクリアランスよりも大きいことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、チップ先端部を内側にかしめることにより、ボールの一部をチップ先端縁より突出させて回転自在に抱持し、前記ボールの後方に配設したコイルスプリングによって、ボールをチップ先端の内壁面に押圧してなるボールペンチップを、直接又はチップホルダーを介して、インキ収容筒の先端部に装着してなるボールペンレフィルに関する。
従来から、ボールを押圧するコイルスプリングを配設したボールペンの構造についてはよく知られていて、特開平10−329475号公報「ボールペン」等に開示されている。
こうしたコイルスプリングは、コイル線材をコイリングマシンやフォーミングマシンに供給して成形するため、コイル線材がコイルマシンなどに引っ掛り断線を起こすことを防止するために、コイル線材に潤滑性を高める目的でニッケルメッキ層によるメッキ処理を施している。
しかし、コイルスプリングとボールペン用インキとの長期にわたる接触により、コイルスプリング表面のニッケルメッキが腐食し、ニッケルがインク内に溶け出してボールペン用インキと反応することで、経時安定性が悪化する恐れがあった。
こうした問題を鑑みて、ボールペンチップにおいて、特開2002−127664号公報「ボールペンチップ」にて、表面にメッキ層を有するコイル線材を用いてコイルスプリングを形成した後に前記メッキ層を剥離ことが開示されている。
特開平10−329475号公報 特開2002−127664号公報
ところで、ボールペンにおいては、筆記時のボールの回転によるボールペンチップの底壁等の摩耗も大きな課題の一つであるが、ボールによる摩耗は、コイルスプリングにも生じる問題である。特許文献2のように、表面にメッキ層を有するコイル線材を用いてコイルスプリングを形成した後に前記メッキ層を剥離すると、コイルスプリングの強度が低下して摩耗し易い問題があった。
また、前記したボールを押圧するコイルスプリングは、一般的にコイル部と密着巻部を有する。コイル部においてコイル線同士の間隔が狭く設定されている場合や、コイル線同士が完全に完全に密着せずに、微少の隙間を有する場合、伸縮の繰り返しにより、コイル線同士の接触が発生しやすく、線同士の接触が強い場合には、コイル線同士の接触磨耗により線の一部が減肉し、コイル線の断面形状が小さくなる恐れがある。特に、ボールペンチップに配設するコイルスプリングの線径は、φ0.1mm〜φ0.3mmと細径であり、こうした問題による影響は大きいものであった。
本発明はこれらの従来技術に鑑みてなされたものであって、ボールを押圧するコイルスプリングを配設したボールペンレフィルにおいて、ボールとの摩擦によるヒステリシス損失の低減を図ることができ、かつ線同士の接触に対する耐久性を向上した経時安定性の優れたボールペンレフィルを提供することにある。
本発明は、前記問題を解決するために、チップ先端部を内側にかしめることにより、ボールの一部をチップ先端縁より突出させて回転自在に抱持し、前記ボールの後方に配設した、コイル線材からなるコイルスプリングによって、ボールをチップ先端の内壁面に押圧してなるボールペンチップを、直接又はチップホルダーを介して、インキ収容筒の先端部に装着してなるボールペンレフィルにおいて、前記コイルスプリングが、コイル部と密着部を有し、前記コイルスプリングの表面に耐摩耗被膜層を設けるとともに、前記耐摩耗被覆層を設けたコイル部の線間の隙間が、前記耐摩耗被覆層を設けたコイル線材の線径より狭幅、且つ前記ボールの縦方向のクリアランスよりも大きいことを特徴とする。
前記耐摩耗被膜層が、ニッケルメッキ層を介して、前記コイルスプリングの表面に設けてあることを特徴とする。
本願発明の請求項1の構成によれば、前記コイルスプリングが、コイル部と密着部を有し、前記コイルスプリングの表面に耐摩耗被膜層を設けるとともに、前記耐摩耗被覆層を設けたコイル部の線間の隙間が、前記耐摩耗被覆層を設けたコイル線材の線径より狭幅、且つ前記ボールの縦方向のクリアランスよりも大きくすることで、コイルスプリング同士の絡みつきを防止し、伸縮の繰り返しにより、コイル線同士の接触が発生し難く、ボールによるコイルスプリングの摩耗を抑制することで、コイルスプリングとボールとの摩擦抵抗によるヒステリシス損失の低減を図ることができ、コイルスプリングりよるボール押圧力の変化を抑制し、安定した筆感を得ることができる。
尚、本発明に用いる耐摩耗被膜層としては、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、二硫化タングステン(WS)、二硫化モリブデン(MoS)、窒化チタン層(TiN)等、従来から知られている耐摩耗被膜層を適宜用いることができる。また、耐摩耗被膜層を被覆する方法は、特に制限されず、真空蒸着、イオン蒸着、物理的蒸着、化学的蒸着、真空アーク蒸着などが挙げられ、直接又は前記した耐摩耗被膜層を含有した被覆層であってもよい。特に前記した耐摩耗被膜層の中でも、潤滑性を考慮してダイヤモンドライクカーボン(DLC)を用いることが最も好ましい。
また、コイル線材の状態で、耐摩耗被膜層を設けてもよいが、コイルスプリングとした後、切断する必要があり、この切断面においては、耐摩耗被膜層のない表面が露出してしまうため、コイルスプリングを形成した後、耐摩耗被膜層を設けることが好ましい
また、ボールを押圧するコイルスプリングの押圧力は、筆感を考慮すると、10gf未満など、低いほうが好ましいが、その反面、インキ漏れが発生し易い。耐摩耗被膜層としてダイヤモンドライクカーボン(DLC)のように、潤滑性の高い層とすることで、ボールを押圧するコイルスプリングの押圧力を高くしても筆感が低下し難いため、インキ漏れを考慮して、10gf以上、好ましくは15gf以上、20gf以上とすることが最も好ましいが、押圧力を高くし過ぎると、低筆圧でボールとチップ先端部の内壁との隙間が形成し難い傾向となるため、100gf以下とすることが好ましい。また、ボールの縦方向のクリアランスは、インキ粘度や組成によって適宜選択することができるが、5〜80μmが好ましく、インキ漏れを考慮して、10〜60μmが最も好ましい。
また、本願発明の請求項2の構成によれば、耐摩耗被膜層が、メッキ層を介して、前記コイルスプリングの表面に設けてあることで、メッキ剥離行程の削減、メッキ剥離を行うために必要な、硝酸系または硫酸系の溶剤の洗浄、乾燥の後工程の削減が可能となり、製造コストを低減することができる。
また、前記したメッキ層を剥離すると、コイルスプリングの強度が低下して、耐摩耗被膜層を設けるときに、コイルスプリング形状が変形する恐れがあり、コイルスプリングの先端部に直棒部を有する場合には、直棒部の変形によって、チップ内への配設が困難になる等、組立性が低下するので、前記耐摩耗被膜層は、ニッケルメッキ層を介して、前記コイルスプリングの表面の表層部に設けることが好ましい。
本発明に用いるボール材としては、タングステンカーバイドの超硬材やジルコニアなどのセラミックス材、ステンレス鋼材等、特に限定されるものではく、チップ本体もステンレス鋼や銅合金、アルミニウム等、特に限定されるものではない。
本発明は、ボールを押圧するコイルスプリングを配設したボールペンにおいて、経時安定の優れたボールペンを簡単な構造で提供することができた。
実施例1のボールペンレフィルを示す、一部を縦断面図とした図である。 図1における一部省略した要部拡大断面図である。 図1におけるコイルスプリングを示す図である。 実施例2のボールペンレフィルを示す一部省略した要部拡大縦断面図である。
図1〜図3に示す実施例1のボールペンレフィル1は、インキ収容筒2の先端部に、ステンレス鋼線材からなるチップ本体4のボール抱持室5の中央にインキ流通孔6と、このインキ流通孔6から放射状に延びるインキ流通溝7を形成した底壁8にボール座9を設け、このボール座9に、タングステンカ−バイド系超硬材からなるφ0.5mmのボール10を載置し、チップ先端部4Aを内側にかしめることにより、ボール10の一部がチップ先端縁より突出するように回転自在に抱持する。
ボ−ル10の後方には、コイルスプリング11を配設してある。コイルスプリング11は、コイル部11Bと、コイル部9の後方に密着部11Fと、コイル部11Aの前方に密着部11Cと、棒軸部11Dを有する。コイルスプリング11は、チップ本体4の後端部4Bを内側にかしめることで、後方への移動を規制して配設してある。このコイルスプリング11に弾発力によって、コイルスプリング11の棒軸部11Dの先端面11Eがボ−ル10に当接し、ボール10を前方に付勢してチップ先端部4Aの内壁面に当接させ、筆記時の筆圧によってボール10とチップ先端部4Aの内壁とに間隙を設ける弁機構となっている。尚、ボール10を押圧するコイルスプリング11の押圧力は15gfであった。
コイルスプリング11は、ニッケルクロムメッキを施し、メッキ層14を設けたステンレス製のコイル線材11Aをコイリングマシンやフォーミングマシンに供給して、コイルスプリング11を成形してある。また、メッキ層14の表面には、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を被覆して、耐摩耗被膜層15を設けてある。具体的には、コイル線材11Aの線径Mは、φ0.15mm、コイル部11Bのコイル線材11A同士の隙間Lは、0.08mmであった。
インキ収容筒2内には、平均粒径が、0.5μmの顔料を含有し、ティー・エイ・インスツルメント株式会社製AR−G2(ステンレス製40mm2° ローター)、20℃、剪断速度500sec−1におけるインキ粘度が2000mPa・s(25℃)の油性ボールペン用インキ12と、グリース状のインキ追従体13を直に収容してある。
このボールペンレフィル1を用いて紙面に筆記すると、インキ収容筒2にあるボールペンインキ12は、ボールペンチップ1の後部孔からインキ流通孔6、インキ流通溝7を通じてボール10とボール抱持室5に供給される。また、ボール10とボール抱持室5に供給されたボールペンインキ12は、筆圧によって、前記した縦方向のクリアランス分、ボール10がボール座9側に移動して、チップ先端部4Aの内壁とボール10に隙間を生じ、ボールペンインキ12を吐出して筆記することができる。
また、筆記によって、ボール10が回転すると、その回転力によってコイルスプリング11の棒軸部11Cもインキ流通孔6を移動する。このとき、コイルスプリング11の棒軸部11Cが、インキ流通溝7に引っ掛かってしまうと、コイルスプリング11の棒軸部11Cが摩耗し易くなるが、コイルスプリング11の表面に耐摩耗被膜層15を設けることで、摩耗抑制するとともに、耐摩耗被膜層15を潤滑性の高いDLC層とすることで、インキ流通溝7に引っ掛かり難くすることができる。
図4に示す実施例2のボールペンレフィル101は、コイルスプリング101の直棒部111Dの先端面の外縁部111GにR面取り加工を施した後、メッキ層114の表面に、耐摩耗被覆層115を設けた以外は、実施例1と同様にしてボールペンレフィル101を得ている。
コイルスプリングの直棒部111Dの先端面の外縁部111GにR面取り加工を施すことで、ボール10との接触抵抗を低減でき、インキ流通溝7に引っ掛かり難くすることができるので好ましい。
尚、本発明のボールペン用インキのインキ粘度は、特に限定されるものではないが、筆記時の粘度が10mPa・s未満の場合には、インキ粘度が低過ぎて、当接面が摩耗し易くなる傾向があり、また、インキ粘度が5,000mPa・sを超えると、筆記時のボール回転抵抗が大きくなり、筆感が重くなる傾向がある。そのため、筆記時のインキ粘度は、10〜5,000mPa・sが好ましい。より好ましくは、30〜3,000mPa・sであり、最も好ましくは、50〜2,500mPa・sである。
本実施例では、便宜上、チップ後端部を内側にかしめて、コイルスプリングを保持しているが、チップホルダーに当接保持するなど、コイルスプリングの保持方法は特に限定されるものではない。
さらにまた、本実施例では、便宜上、コイルスプリングにのみ耐摩耗被膜層を設けているが、チップ本体の内壁の表面に耐摩耗被膜層を設けて、ボール座などの摩耗を抑制することが好ましい。
また、本発明に用いるコイルスプリングの形状は、特に限定されないが、先端部に直棒部を有する場合には、実施例2のように、コイルスプリングの直棒部の先端面、特に先端面の外縁部にR面取り加工を施す、或いは直棒部を折り曲げ加工し、ボールとの接触抵抗を低減及びインキ流通溝7に引っ掛かりを抑制することが好ましい。
本発明のボールペンレフィルは、インキの種類やボール径など、特に限定されないため、ボールペンとして広く利用可能である。
1、101 ボールペンレフィル
2 インキ収容筒
3 ボールペンチップ
4 チップ本体
4A チップ先端部
4B シール面
5 ボール抱持室
6 インキ流通孔
7 インキ流通溝
8 底壁
9 ボール座
10 ボール
11、111 コイルスプリング
11A コイル線材
11B コイル部
11C、11F 密着部
11D、111D 棒軸部
11E 先端面
111G 外縁部
14、114 メッキ層
15、115 耐摩耗被膜層
L 線間の隙間
M コイル線材の線径

Claims (2)

  1. チップ先端部を内側にかしめることにより、ボールの一部をチップ先端縁より突出させて回転自在に抱持し、前記ボールの後方に配設した、コイル線材からなるコイルスプリングによって、ボールをチップ先端の内壁面に押圧してなるボールペンチップを、直接又はチップホルダーを介して、インキ収容筒の先端部に装着してなるボールペンレフィルにおいて、前記コイルスプリングが、コイル部と密着部を有し、前記コイルスプリングの表面に耐摩耗被膜層を設けるとともに、前記耐摩耗被覆層を設けたコイル部の線間の隙間が、前記耐摩耗被覆層を設けたコイル線材の線径より狭幅、且つ前記ボールの縦方向のクリアランスよりも大きいことを特徴とするボールペンレフィル。
  2. 前記耐摩耗被膜層が、メッキ層を介して、前記コイルスプリングの表面に設けてあることを特徴とする請求項1に記載のボールペンチップ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013095054A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Pentel Corp ボールペンチップ用コイルスプリング

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