JP2013042709A - バッチ式によるコーヒー抽出液の製造方法 - Google Patents

バッチ式によるコーヒー抽出液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コーヒーの風味成分を苦味成分と区別して抽出することが可能なコーヒー抽出液の製造方法を提供する。
【解決手段】コーヒー顆粒層に溶媒を通液し、抽出液を回収することによるコーヒー抽出液の製造において、略密封状態で静置されたコーヒー顆粒層に溶媒を保持させる工程を含む、コーヒー抽出液の製造方法であって、溶媒量が、コーヒー顆粒の容積の0.3〜2倍量、溶媒のコーヒー顆粒層での保持時間が、5〜60分間であるコーヒー抽出液の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、コーヒー豆の焙煎に伴う過剰な焦げ苦味が低減された、コーヒー抽出液の製造方法に関する。
焙煎したコーヒー豆を粉砕して顆粒状としたもの(以下、コーヒー顆粒という)から熱水または水で抽出して得られるコーヒー抽出液が、コーヒー飲料として飲用に供されている。コーヒー飲料には、300種類を超える風味成分と10種類程度の栄養成分が含まれることが知られ、嗜好飲料としてだけでなく栄養機能飲料としての役割も担っている。したがって、長期間に渡って通常の生活においてコーヒー飲料の摂取を続けるためには、風味の良いコーヒー抽出液を得ることが重要である。
風味の良いコーヒー抽出液として、エキスコーヒーが知られている。エキスコーヒーとは、コーヒーを抽出するときの最初の濃い数滴をいい、濃厚かつ香り高いコーヒー液で、口に含むとトロっとしており、しかも後味がよく、すっきり消えるコーヒーであり、このエキスの魅力を最大限に引き出して入れたコーヒーこそ至高のコーヒーであるとの報告がある(非特許文献1)。
また、不快成分を選択的除去することにより、コーヒー抽出液の風味を改善する方法も報告されている。例えば、吸着剤として平均再孔半径が30〜100Å付近に分布した活性炭を利用して、コーヒー抽出液中の渋味の原因となるクロロゲン酸の多量体などの高分子黒褐色成分を選択的に吸着除去する方法(特許文献1)や、酵素処理と、活性炭やPVPPや活性白土等による吸着処理とを組み合わせ、タンニンやカフェイン等の苦渋味を低減する方法(特許文献2)がある。
一方、コーヒーの抽出がバッチ処理により行われることが知られている。具体的には、立設保持された円筒状のタンク内部にフィルター等を装着した状態で、焙煎後粉砕されたコーヒー豆等の原料を前記タンク内部に投入し、蒸気等を用いて過熱された温水を前記フィルター等の上方から注入し、これにより所定量の原料を濾過して抽出液を得るようにしたものである(特許文献3,4)。そして、このバッチ処理によれば、得られた抽出液の可溶性固形分が最高でも約2%程度であることが知られている。また、湯量を制限して一定時間放置するという浸漬法も開示されている(非特許文献3)。
特許第2578316号公報 特開2003−310162号公報 実開昭64−3584号公報 特開昭64−5452号公報
広瀬幸雄、他、コーヒー学講義、人間の科学社(東京)、2003 M.R.Jisha, et al., Mater. Chem. Phys., 115, 33-39, 2009 高木 誠、コーヒー文化研究、15、113-134、2008
従来から不快成分である苦味や渋味を低減することは行われているが、苦味は十分に取れても渋味が十分に取れていなかったり、或いは苦味や渋味も取れるが、同時にコーヒー独特の豊かな香りや風味、コク味までも取れてしまい、コーヒー抽出液自体の風味を低下させたりすることもあった。
本発明は、好ましいコーヒーの風味成分はそのままに、過剰な苦味を選択的に低減しうる、コーヒー抽出液の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、好ましいコーヒーの風味成分はそのままに、過剰な苦味と渋味とを選択的に低減した風味良好なコーヒー抽出液の製造方法を提供することを目的とする。
エキスコーヒーで知られているように、焙煎豆表面は内部に比べ香気成分が多いため少量の抽出液によって効率的に風味豊かな抽出液を得ることができる。しかし、焙煎の最終段階で産生する苦味の強い成分が、コーヒー豆の最表面に吸着しており、焙煎豆表面の抽出液では過剰な苦味(本明細書中、「焦げ苦味」と表記することもある)を呈し、酸味、苦味、コク味のバランスの取れたコーヒー抽出液を得るのが困難である。
本発明者らは、上記課題を解決する方法として、焙煎豆表面の抽出液から焦げ苦味を選択的に除去する方法について鋭意検討を行った。コーヒー豆を焙煎すると、ハチの巣構造(ハニカム構造)が形成されることが知られ、ハニカム構造の隔壁は、その表面積が多孔質ゲルに匹敵する広い面積であり成分吸着能を有することが報告されている(非特許文献2)。本発明者らは、驚くべきことに、焦げ苦味成分がコーヒー豆のハニカム構造の隔壁と親和力が強いことを見出した。そして、静置下でコーヒー顆粒に強制的に抽出溶媒を通液し、一定時間保持することによって、露出したハニカム構造の隔壁に抽出液中の焦げ苦味成分を選択的に吸着させて分離抽出できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下に関する。
(1) コーヒー顆粒層に溶媒を通液し、抽出液を回収することによるコーヒー抽出液の製造において、略密封状態で静置されたコーヒー顆粒層に溶媒を保持させる工程を含む、コーヒー抽出液の製造方法。
(2) 溶媒量が、コーヒー顆粒の容積の0.3〜2倍である、(1)に記載の方法。
(3) 溶媒のコーヒー顆粒層での保持時間が、5〜60分間である、(1)又は(2)に記載の方法。
(4) カラム型抽出機を用いる、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
本発明の製造方法により、好ましいコーヒーの風味成分はそのままに、過剰な苦味を選択的に低減しうるコーヒー抽出液の製造方法が提供される。
図1は、バッチ式によるコ−ヒー抽出液の製造方法の一例を示す図である。コーヒー顆粒を静置状態にする方法として、コーヒー保持板5,6でコーヒー顆粒Mを保持する態様(図1(1))、およびコーヒー顆粒Mの堆積層全体をコーヒー保持袋7で覆う態様(図1(2))を示す。 図2は、閉鎖型抽出カラムを用いた態様を示す図である。 図3は、本発明のバッチ式によるコ−ヒー抽出液の製造方法の一例を示す図である。 図4は、本発明のバッチ式によるコ−ヒー抽出液の製造方法の一例を示す図である。
コーヒー豆は、焙煎処理によって水分を蒸発させ、内部の細胞組織を空洞化してハニカム構造とし、その空洞化した細胞膜の凸凹面(隔壁)にコーヒーの炭酸ガス、香気成分、味成分(水溶性呈味成分)などを吸着する。本発明の製造方法では、このハニカム構造の表面に吸着した香気成分、味成分(水溶性呈味成分、苦味成分)を少量の抽出溶媒を通液することによって、一旦、脱着させてハニカム構造の表面を露出させた後、脱着させた成分のうちの焦げ苦味成分を選択的に捕捉させる(再吸着させる)ことによって分離除去するもので、ハニカム構造の表面が露出した焙煎コーヒー豆を吸着剤として利用することを最大の特徴とする。コーヒー豆のハニカム構造を吸着剤として利用するためには、静置状態のコーヒー顆粒に対して少量の抽出溶媒を強制的に通液し、一定時間保持することが重要である。
本明細書でいう「コーヒー顆粒の静置状態」とは、コーヒー顆粒を略密封に抽出部に収容している状態を表し、抽出溶媒を通液する際に、抽出部部内でコーヒー顆粒が踊らない状態をいう。具体的には、コーヒー顆粒の堆積層が抽出部の壁や、濾材、蓋材などによって囲まれている状態を意味する。
本発明において、コーヒー顆粒を静置状態にする方法は限定されない。コーヒー保持板5,6でコーヒー顆粒Mを保持する方法(図1(1)参照)や、コーヒー顆粒Mの堆積層全体をコーヒー保持袋7で覆う方法(図1(2)参照)が例示できる。コーヒー保持板やコーヒー保持袋は、コーヒー顆粒を略密封に収容するために、抽出部に対して内接する形状や材質を選択する必要はあるが、抽出溶媒を通液でき、コーヒー顆粒と抽出液とを分離できるものであれば特に限定されない。具体的には、金属メッシュ、不織布(ネル布、リント布など)、紙フィルターなどの網目部材を例示でき、フラット、円錐状、角錐状等の形状のものを用いることができる。網目部材のメッシュを小さくし過ぎると目詰まりが発生しやすく、抽出に時間を要して過抽出を引き起こす可能性があることから、メッシュサイズは金属メッシュの場合、アメリカ式メッシュ20〜200番程度のものを用いるのが好ましい。また、コーヒー抽出液に含まれる油分を吸着除去できる観点からは、不織布を用いることが好ましい。
コーヒー保持板を用いる場合、コーヒー顆粒を略密封する状態になるよう、乾燥状態のコーヒー顆粒Mの堆積層の最上面に当接する位置または近接する位置に設置する。近接する位置とは、コーヒー顆粒Mを抽出溶媒で湿潤させた際に、コーヒー顆粒が自然に膨潤する分(空隙)だけコーヒー顆粒Mの堆積層の最上面から離間した位置をさす。具体的にはコーヒー顆粒を僅かに圧縮する位置(コーヒー顆粒の体積の約0.9倍)から、抽出溶媒に接触させた後のコーヒー顆粒の膨潤を考慮し、コーヒー顆粒の体積の約2倍(好ましくは約1.5倍)に対応する位置との間の領域内をさす。
本発明では、静置下のコーヒー顆粒に対して抽出溶媒を通液して保持する。抽出溶媒には15〜100℃の水、好ましくは50〜98℃の熱水を用いるのが好ましい。特に、60〜95℃の熱水を用いた場合には、香りが強く、甘味も強いコーヒー抽出液が得られることを確認している。
本発明では、少量の抽出溶媒を通液して保持することを特徴とする。抽出溶媒量が多いと、焙煎コーヒー豆の吸着剤としての効果が十分に発揮されず、焦げ苦味の分離効率が悪くなったり、また抽出溶媒量が多かったり保持時間が長過ぎたりすると、コーヒー豆内部から雑味が抽出され抽出液の風味を低下させてしまったりすることがある。抽出溶媒量は、コーヒー顆粒Mの容積に対して0.3〜2倍量程度、好ましくは0.5〜1.5倍量程度、より好ましくはコーヒー顆粒Mの堆積層の略上面程度まで注入される量である。抽出溶媒の注入量は、抽出カラムに液位計を設けて制御してもよいし、コーヒー顆粒層の容積から計算して求めてもよい。一般に、中煎り・中挽きのコーヒー顆粒の嵩比重は0.3〜0.5である。この嵩比重と抽出カラムの内径とから、当業者であれば抽出部の上面を満たすのに必要な抽出溶媒の容積を求めることができる。また、抽出溶媒の保持時間は、5〜60分程度、好ましくは7〜45分程度である。
一定時間保持した後に、抽出液を回収する。回収する手段は特に限定されず、重力による自動落下、ポンプによる圧送などが考えられる。ハニカム構造の隔壁表面に吸着した焦げ苦味成分を脱着させない目的から、SV(space velocity)=3〜100程度、好ましくはSV=5〜70、より好ましくは5〜50、特に好ましくは6〜40程度で回収するとよい。
本発明は、カラム型抽出機を用いて実施できる。カラム型抽出機としては、内部にコーヒー顆粒を略密封に収容するためのコーヒー保持板と、抽出溶媒及び抽出液Aの供給口と、コーヒー抽出液A及びコーヒー抽出液Bの取出し口とを備えるものであれば特に限定されるものではない。例えば、カラム型抽出機の上方から抽出溶媒を供給するタイプ、下方から抽出溶媒を供給するタイプ、あるいは双方から抽出溶媒を供給可能なタイプ等が利用できる。
カラム型抽出機としては、例えば、図2に示すような閉鎖型抽出カラム(以下、単に「カラム」ともいう)を用いることができる。図2に示すカラム1は、コーヒーを抽出する抽出部Eと、抽出用の抽出溶媒を抽出溶媒タンク3(例えば、水または熱水タンク)から送給するためのポンプ2と、抽出液Aを回収するためのタンク4とで構成され、コーヒー顆粒Mを静置状態に収容することが可能な着脱自在で抽出部Eに内接する形状を有するコーヒー保持板5,6が装着されている。
ここで、本明細書において、コーヒー顆粒Mを略密封状態で収容する部分、すなわち図2においてコーヒー顆粒Mの下部に設置されたコーヒー保持板5の位置と、このコーヒー保持板より上方位置でコーヒー顆粒の堆積層上面に近接する位置に備えられるコーヒー保持板6の位置との間の領域を抽出部Eと表記する。
抽出溶媒のコーヒー顆粒への局所的な接触による過抽出を防止するために、抽出溶媒がコーヒー顆粒に対して均一に接触しやすい形状の抽出部を有するカラムを用いることが好ましい。具体的には、抽出溶媒の通液方向(図2においては反重力方向(下方から上方の方向))に対して、ほぼ均一の内径を有する形状、例えば円柱状、直方体状等の形状を有するカラムを用いることが好ましい。このようなカラムを用いた場合、コーヒー顆粒の堆積層の軸船に沿う方向の断面形状は略四角形となる。
コーヒー顆粒の粒度等の特性にもよるが、一般的には、抽出部Eの軸線の沿う方向の略四角形状の断面形状において、四角形の幅(L)と高さ(H)の比(H/L)が0.1〜10、好ましくは2〜6、より好ましくは3〜6の範囲となるように抽出部Eにコーヒー顆粒Mを収容するのが好ましい。上記の範囲を超えると、抽出に時間がかかったり詰まりが発生したりして、過抽出を生じることがある。また、上記の範囲未満では、本発明の吸着効果が十分に得られないことがある。
以下に、本発明のさらなる実施形態を示す。図3には、注入手段が顆粒収容部52の側壁に接続されたコーヒー抽出装置1が図示されている。蓋体53を有する顆粒収容部52に、制動部材10,11を利用してコーヒー顆粒Mを略密封状に収容する。次いで、顆粒収容部52の側壁に接続された注入手段から抽出溶媒を静かに注入する。注入手段は、第1の供給路51と、この第1の供給路51の途中に接続された第1の供給弁51Aからなり、第1の供給路51には、第1の抽出溶媒タンク54が連通されている。第1の供給路51は、顆粒収容部52の側壁開口52に接続されている。本実施形態では、抽出溶媒が顆粒収容部52の側壁の表面に沿って優しく流入するため、いっそう顆粒が静置下に置かれるという利点がある。すなわち、抽出溶媒の注入時の勢いによるコーヒー顆粒Mの乱れ等が抑制され、安定性を維持することができる。供給弁51Aを開弁又は閉弁して所定量の抽出溶媒、具体的にはコーヒー顆粒層の上面に近接する位置まで抽出溶媒を注入した後、そのまま一定時間静置下で保持する。そして、所定時間経過後に、送液弁57Aが開放されて抽出液が貯留タンク56へ排出される。このとき、コーヒー顆粒Mの内部に含まれていた抽出液は、排出開口52B’へ到達するまでの間に、コーヒー顆粒Mを通過する。このため、苦味成分がコーヒー顆粒Mに吸着されてすっきりとした味わいのコーヒー抽出液が得られる。
図4は、図3に開示されているコーヒー抽出装置1を改変したものであり、注入手段が顆粒収容部52の下部側壁に接続されている例を示している。注入手段を下部側壁に接続することで、抽出溶媒は実質的にコーヒー顆粒Mの下部から顆粒収容部52へ注入される。その後、送液弁57が開放されることにより、コーヒーが抽出した抽出液は貯留タンク56へ排出される。その際、抽出液はコーヒー顆粒Mを通過するため、苦味成分が除去されることとなる。
ここで、抽出原料となるコーヒー顆粒について詳述する。本発明で用いるコーヒー顆粒は、焙煎したコーヒー豆を粉砕して顆粒状としたものであればよい。コーヒー豆の栽培樹種は、特に限定されず、例えばアラビカ種、ロブスタ種などが挙げられる。本発明の方法では、濃く淹れても後味がすっきりとし、個性が際立つコーヒー抽出液が得られるという特徴があり、ロブスタ種を多く用いると、そのロブスタ臭が強く強調され過ぎることから、特にアラビカ種が好ましく用いられる。また、品種についても特に限定されず、例えば、モカ、ブラジル、コロンビア、グァテマラ、ブルーマウンテン、コナ、マンデリン、キリマンジャロなどが挙げられる。複数品種のコーヒー豆をブレンドして用いてもよい。
焙煎の度合(通常、浅煎り、中煎り、深煎りの順に表現される)についても、特に限定されない。一般に、焙煎コーヒー豆は、焙煎が浅いとコーヒー豆自体の豊かな個性を発揮することができず、焙煎による焦げ臭が少ないが、豆内部まで加熱が進んでおらず雑味や酸味が多くなる傾向があり、焙煎が深いと表面に焦げ臭が多くなるものの、ローストによってもたらされるコーヒー独特の苦味とその中から立ち上がってくる香しい香りが得られ、魅力ある香味になることが知られている。本発明の焦げ苦味が抑制された個性が際立つコーヒー抽出液が得られるという特徴が最大限に発揮できるという観点から、中煎り、深煎り程度の焙煎を行うのが好ましい。L値でいうと、L値15〜24が好ましく、16〜22がより好ましく、16〜20が特に好ましい。ここで、L値とは、焙煎コーヒー豆を粉砕したコーヒー顆粒の表面色を数値化したもので、明度の指標となる値である(0が黒、100が白)。コーヒー顆粒のL値は、例えば色彩色差計を用いて測定することができる。この深く焙煎したコーヒー豆を用いた場合、栄養成分の抽出効率が改善されるという利点もある。
焙煎されたコーヒー豆の粉砕度合(通常、粗挽き、中挽き、細挽きなどに分類される)についても特に限定されず、各種の粒度分布の粉砕豆を用いることができるが、粉砕度合が小さくし過ぎると目詰まりが発生しやすくなり、抽出に時間を要して過抽出を引き起こす可能性があることから、特に中挽き及び/又は粗挽きは本発明の好ましい態様の一つである。粉砕後の平均粒度でいうと、0.1〜2.0mm程度が好ましく、0.5〜2.0mmがより好ましく、1.0〜1.5mmが特に好ましい。なお、本明細書でいう「過抽出」とは、抽出溶媒が過度にコーヒー顆粒に接触することにより、コーヒー豆内部のエグミや渋味、雑味が抽出される現象をいう。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
抽出装置として、円柱状の抽出カラム(内径50mm)を使用した。カラム抽出部の下部に100メッシュの金属フィルターを置き、その上にアラビカ種焙煎コーヒー豆(L=20)を粉砕したコーヒー顆粒(平均粒子径1〜2mm)100gを投入した。コーヒー顆粒を静置して動かないようにするため、コーヒー顆粒の上部に100メッシュの金属フィルターを乗せ固定した。抽出カラム上部から98℃の純水200gを投入し、カラム下部の弁を閉じたまま、10分間静置状態で保持した後、抽出カラム下部より抽出液を回収した(本発明品;抽出液A)。
比較として、ステンレス製の1Lビーカー(直径105mm)を用い、上記と同様のアラビカ種焙煎コーヒー豆(L=20)の粉砕物(コーヒー顆粒)100gを投入し、さらに98℃の純水200gを投入してスターラーで攪拌(200rpm)しながら10分間保持した後、100メッシュの金属フィルターにより固液分離して抽出液を得た(比較例;抽出液B)。
本発明の製造方法で得た抽出液Aと比較例(抽出液B)について、可溶性固形分が2%となるように希釈調整し、専門パネル5人にて官能試験を行った。評価は、苦味、香り、雑味の項目について、比較例(抽出液B)の評価点を3点とした相対的な評価とした(苦味:点数が高いほど苦味が弱い、香り:点数が高いほど香りが強い(良好)、雑味:点数が高いほど雑味が弱い)。
結果を表1に示す。本発明の製造方法により、好ましい風味成分はそのままに、過剰な苦味や雑味を低減できることが明らかとなった。抽出液Aは、酸味、苦味、コク味のバランスの取れたコーヒー抽出液であり、専門パネル全員が抽出液Bと比較して嗜好性が高いと評価した。
本発明の製造方法により、好ましいコーヒーの風味成分はそのままに、過剰な苦味を選択的に低減しうるコーヒー抽出液の製造方法が提供される。本発明の製造方法により得られるコーヒー抽出液は、酸味、苦味、コク味のバランスの取れたコーヒー抽出液である。

Claims (4)

  1. コーヒー顆粒層に溶媒を通液し、抽出液を回収することによるコーヒー抽出液の製造において、略密封状態で静置されたコーヒー顆粒層に溶媒を保持させる工程を含む、コーヒー抽出液の製造方法。
  2. 溶媒量が、コーヒー顆粒の容積の0.3〜2倍量である、請求項1に記載の方法。
  3. 溶媒のコーヒー顆粒層での保持時間が、5〜60分間である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. カラム型抽出機を用いる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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