JP2013042041A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】輝度半減寿命の長い有機EL素子、該有機EL素子を備える面状光源、照明装置及び表示装置を提供すること。
【解決手段】第1の電極と、第2の電極と、該第1の電極と該第2の電極との間に発光層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該発光層が、発光性有機化合物を含む薄膜と該薄膜の第2の電極側の表面に堆積させた有機フッ素化合物とを有する層である、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関し、特に発光性有機化合物が高分子化合物からなる有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「有機EL」という場合がある。)素子を用いた有機ELディスプレイが注目されている。有機ELディスプレイに用いられる有機EL素子は、陽極と、陰極と、該陽極及び該陰極間に配置される発光性有機化合物を含む層とを含んで構成される素子である。有機EL素子においては、該陽極及び該陰極からそれぞれ注入される正孔及び電子が、該発光性有機化合物中で結合することによって発光する。
有機EL素子の例として、上記発光性有機化合物が発光性高分子化合物から成る素子が知られている。
有機EL素子には、製造工程が簡易で、大面積化が容易な塗布法によって発光層等の有機層を形成することができるという利点がある。具体的には、有機層に含まれる有機化合物を含む有機溶液を用いて塗布膜を形成し、その後、形成した塗布膜を乾燥することによって有機層を形成することができる。有機EL素子としては、不活性ガス雰囲気下にて塗布膜を加熱して形成した有機層を含む有機EL素子(特許文献1)が提案されている。
特開2008−243543号公報
しかしながら、従来の有機EL素子は、輝度半減寿命が必ずしも十分ではなく、有機EL素子の輝度半減寿命の長寿命化が望まれている。
本発明の目的は、輝度半減寿命の長い有機EL素子、該有機EL素子を備える面状光源、照明装置及び表示装置を提供することである。
上記問題に鑑み本発明者は鋭意検討した結果、発光層の表面に、フッ素原子を含む有機化合物、即ち、有機フッ素化合物を存在させることにより、有機EL素子の輝度半減寿命が長くなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、第1の電極と、第2の電極と、該第1の電極と該第2の電極との間に発光層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
該発光層が、発光性有機化合物を含む薄膜と該薄膜の第2の電極側の表面に堆積させた有機フッ素化合物とを有する層である、有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
ある一形態においては、前記第1の電極が陽極であり、前記第2の電極が陰極である。
ある一形態においては、前記発光層の第2の電極側の表面は、アニソールに対する接触角が1〜50度である。
ある一形態においては、前記有機フッ素化合物が25℃において気体状態の有機フッ素化合物である。
ある一形態においては、前記発光性有機化合物が発光性高分子化合物である。
ある一形態においては、前記有機フッ素化合物は、転写面に有機フッ素化合物を有する転写板を用いて前記発光性有機化合物を含む薄膜の第2の電極側の表面に有機フッ素化合物を転写することにより堆積させられたものである。
また、本発明は、前記いずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える面状光源を提供する。
また、本発明は、前記いずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える表示装置を提供する。
また、本発明は、前記いずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える照明装置を提供する。
また、本発明は、第1の電極と、第2の電極と、該第1の電極と該第2の電極との間に発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
第1の電極の上又は第1の電極の上に形成された機能層の上に、発光性有機化合物を含む薄膜を形成する工程、及び、
該薄膜に有機フッ素化合物を含む液を塗布及び乾燥させることにより有機フッ素化合物を堆積して発光層を形成する工程、を包含する方法を提供する。
本発明によれば、輝度半減寿命が長い有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。またこのような有機エレクトロルミネッセンス素子は、照明等に用いられる平面又は曲面の面状光源;セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置等の表示装置;液晶表示装置等のバックライト等に好適に用いられる。
本発明の一実施形態である有機エレクトロルミネッセンス素子の構造を示す図である。 本発明の他の実施形態である有機エレクトロルミネッセンス素子の構造を示す図である。
以下に、本発明にかかる有機EL素子の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、理解の容易のため、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。また、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
図1は、本発明の有機EL素子の一実施形態である。この有機EL素子1は、基板2の上に、第1の電極3と、第2の電極7と、該第1の電極及び該第2の電極の間に設けられた発光層6とを有している。
本発明の好ましい一実施形態では、有機EL素子1における第1の電極3は陽極であり、第2の電極7は陰極である。
以下、図1に示す有機EL素子1を例として、発光層6の形成方法を説明する。有機EL素子1のその他の構成要素の詳細については、後述する。
発光層6は、第1の電極3上に、発光性有機化合物を含む薄膜を形成し、次いで、その薄膜の表面、すなわち、第2電極側の表面に有機フッ素化合物を堆積させることによって形成される。
発光性有機化合物を含む薄膜は、蒸着法、溶液塗布法等の成膜方法によって形成することができる。有機EL素子の製造の容易さの観点から、発光性有機化合物を含む薄膜は、溶液塗布法、すなわち、発光性有機化合物を溶媒に溶解して溶液を調製し、得られる溶液を第1の電極上に塗布及び乾燥して成膜する方法により形成することが好ましい。塗布された溶液の乾燥は室温で行ってよく、加熱して行ってもよい。
また、大気圧下及び又は不活性気体を含有する雰囲気中において形成することが好ましい。不活性気体としては、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス、及びこれらの混合ガスなどを挙げることができ、これらのなかでも素子作製の容易さの観点からは、窒素ガスが好ましい。
溶液塗布法からの成膜に用いる溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール、テトラリン、フェニルシクロヘキサンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒などを挙げることができ、これらを混合したものを用いてもよい。
溶液塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法及びノズルコート法などのコート法、並びにグラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法などの塗布法を挙げることができる。パターン形成や多色の塗分けが容易であるという点で、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法などの印刷法が好ましい。
前記薄膜は、大気雰囲気下で形成されてもよいし、雰囲気中の不活性気体の濃度が、大気雰囲気中に含まれる不活性気体の濃度以上である雰囲気下で形成されてもよい。
前記薄膜は、有機EL素子の寿命特性の観点からは、酸素濃度が体積比で1000ppm以下及び/又は水分濃度が体積比で1000ppm以下の雰囲気下で形成されることが好ましく、酸素濃度が体積比で10ppm以下及び/又は水分濃度が体積比で10ppm以下の雰囲気下で形成されることがより好ましい。
発光性有機化合物を含む薄膜の表面に有機フッ素化合物を堆積させる方法には、例えば、転写、混入及び塗布などの方法がある。尚、「表面に堆積させる」という文言は、フッ素原子を含む化合物を発光性有機化合物を含む薄膜の表面上に存在させることを意味する。有機フッ素化合物は、薄膜の表面の全面に堆積していてもよく、薄膜の表面の一部に堆積していてもよい。
発光性有機化合物を含む薄膜の表面に堆積させる有機フッ素化合物の量は特に限定されず、微量で足りる。例えば、有機フッ素化合物は単分子膜を形成する程度の堆積量でも輝度半減寿命を延長する効果を示しうる。
有機フッ素化合物は、室温において、気体、固体、液体のいずれの状態を示すものであってもよい。例えば、取り扱いが簡便な気体状態の有機フッ素化合物、フッ素原子を含む樹脂、フッ素原子を含む界面活性剤などが挙げられる。有機フッ素化合物の好ましい具体例は、CF(テトラフルオロメタン)、CH(ジフルオロメタン)、CHF(トリフルオロメタン)等の気体状態の有機フッ素化合物である。有機フッ素化合物が気体状態の場合は、例えば、薄膜の表面に存在する分子に有機フッ素化合物が吸着することで、薄膜の表面に堆積する。
好ましい実施形態では、有機フッ素化合物が堆積されていない場合、発光性有機化合物を含む薄膜の表面は、アニソールに対する接触角が1〜30度が好ましく、10〜20度がより好ましい。これに対し、有機フッ素化合物を堆積させた後、発光層の表面は、アニソールに対する接触角が1〜50度が好ましく、5〜40度がより好ましく、20〜40度がさらに好ましい。発光層の表面の接触角が20度未満であると有機EL素子の輝度半減寿命の長寿命化効果が不十分になる場合がある。
有機EL素子の製造の容易さの観点から、有機フッ素化合物は、塗布法、すなわち、有機フッ素化合物を含む液を、発光性有機化合物を含む薄膜の表面に塗布及び乾燥させる方法により堆積させてよい。ここで、有機フッ素化合物を含む液としては、液状の有機フッ素化合物そのもの、及び有機フッ素化合物を溶媒に溶解して調製した溶液等が含まれる。
有機フッ素化合物を含む液の調製に用いる溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール、テトラリン、フェニルシクロヘキサンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、及び水などを挙げることができ、これらを混合したものを用いてもよい。塗布の方法及び条件は発光性有機化合物を含む薄膜を形成する場合と同様である。
発光性有機化合物を含む薄膜の表面に有機フッ素化合物を転写させる場合は、有機フッ素化合物の供給源として、転写面に有機フッ素化合物を有する転写板を用いる。かかる転写板は、例えば、支持板と有機層とを有する転写基板の有機層の表面に、有機フッ素化合物を接触及び付着させて形成される。つまり、有機フッ素化合物を付着させた有機層の表面が有機フッ素化合物の供給源である転写面として機能する。転写板の有機フッ素化合物を付着させた有機層の表面は、本明細書において、有機フッ素化合物転写面と呼ぶことがある。
転写基板を構成する支持板は、支持板上に有機層を形成する際に化学的に変形しないものであればよく、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、金属、シリコン基板、これらを積層したものが好ましい。剛性の観点からは、支持板はガラスであることがより好ましい。
転写基板を構成する有機層は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミドなどの熱硬化性樹脂、又はポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を含んでなる。耐熱性、機械的性質及び化学的性質の観点からは、有機層はポリイミド又はアクリル樹脂を含んでなることが好ましい。
有機フッ素化合物は、例えば、気体である場合は、転写基板の有機層の表面に対しその有機化合物のプラズマを照射することにより、転写基板の有機層の表面に接触及び付着させる。液体である場合は、有機フッ素化合物は、そのまま、又は溶媒に溶解して粘度を調節し、得られた液体を塗布することにより、転写基板の有機層の表面に接触及び付着させる。また、固体である場合は、有機フッ素化合物は、加熱して溶融させるか、有機溶媒中に溶解して液化し、得られた液体を融着又は塗布することにより、転写基板の有機層の表面に接触及び付着させる。
有機フッ素化合物の転写は、有機フッ素化合物転写面と発光性有機化合物を含む薄膜の第2の電極側の表面とが対向して接触又は近接するように、該転写板を発光性有機化合物を含む薄膜に積層して行われる。
転写板は発光性有機化合物を含む薄膜に積層される以前に準備されていれば足り、その形成の時期は、発光性有機化合物を含む薄膜の形成の前後を問わない。即ち、転写板は発光性有機化合物を含む薄膜を形成する前に形成しておいてよく、又は、発光性有機化合物を含む薄膜を形成した後に形成してもよい。
発光性有機化合物を含む薄膜の表面と転写板の有機フッ素化合物転写面とを接近させて転写を行う場合、発光性有機化合物を含む薄膜の表面は、転写板の有機フッ素化合物転写面と接触しないため、物理的な損傷を受け難くなる。この場合、発光性有機化合物を含む薄膜の表面と有機フッ素化合物転写面との間隔は、適当なスペーサーを用いることにより、好ましくは1μm〜5mm、より好ましくは100μm〜3mm、さらに好ましくは500μm〜1mmに調節される。
上記有機フッ素化合物を転写する工程は、有機EL素子の発光特性及び寿命特性の観点からは、30℃〜200℃の範囲内の温度で行うことが好ましく、30℃〜130℃の範囲内の温度で行うことがより好ましい。加熱時間は、該薄膜に含まれる発光性材料によって適宜選択され、通常1分〜2時間程度である。
好ましい実施形態では、上記転写の工程で形成される発光性有機化合物を含む薄膜と転写面に有機フッ素化合物を有する転写板とを有する積層体は、好ましくは25〜200℃、より好ましくは25〜130℃で焼成される。焼成時間は、好ましくは1〜120分、より好ましくは1〜60分、さらに好ましくは1〜10分である。
有機フッ素化合物の転写が終了した後、積層体から転写板を除去する。その結果、本発明で用いる発光層6が形成される。
有機フッ素化合物を転写する工程の後、さらに、形成された発光層を加熱してもよい。発光層の加熱は30℃〜200℃の範囲内の温度で行うことが好ましく、30℃〜130℃の範囲内の温度で行うことがより好ましい。発光層の加熱時間は、該薄膜に含まれる発光性性有機化合物の種類に依存して適宜選択され、通常1分〜2時間程度である。
有機フッ素化合物を転写する工程、又は発光層を加熱する工程は、大気雰囲気下で行っても、不活性気体を含有する雰囲気下で行ってもよい。有機EL素子の発光特性及び寿命特性の観点からは、不活性気体を含有する雰囲気下で行うことが好ましい。不活性気体としては、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス、及びこれらの混合ガスなどを挙げることができ、これらのなかでも素子作製の容易さの観点からは、窒素ガスが好ましい。
また、有機フッ素化合物を転写する工程、又は発光層を加熱する工程は、有機EL素子の発光特性及び寿命特性の観点からは、酸素濃度が体積比で1000ppm以下及び/又は水分濃度が体積比で1000ppm以下の雰囲気下で加熱することが好ましく、酸素濃度が体積比で100ppm以下及び/又は水分濃度が体積比で100ppm以下の雰囲気下で加熱することがより好ましく、酸素濃度が体積比で10ppm以下及び/又は水分濃度が体積比で10ppm以下の雰囲気下で加熱することがさらに好ましい。
積層体を加熱する工程、又は発光層を加熱する工程は減圧雰囲気下で行ってもよい。
有機フッ素化合物が低分子化合物であり、発光性有機化合物が発光性高分子化合物であり、そして溶液塗布法によって発光性有機化合物を含む薄膜を成膜する場合は、発光性有機化合物と共に有機フッ素化合物を塗布液に適量混入することにより、発光性有機化合物を含む薄膜の表面に有機フッ素化合物を堆積させてもよい。上記のような有機フッ素化合物は、塗布液から溶媒が蒸発して発光性高分子化合物が成膜する過程で、膜の内部から表面に移動する。
また、有機フッ素化合物がフッ素原子を含む界面活性剤である場合は、これらを溶媒に溶解させて塗布液を調製し、得られた塗布液を発光性有機化合物を含む薄膜の表面に塗布及び乾燥させることにより、発光性有機化合物を含む薄膜の表面に有機フッ素化合物を堆積させてもよい。上記のような有機フッ素化合物は発光性有機化合物を含む薄膜の表面に薄く均一な膜を形成する。
図2は、本発明の有機EL素子の他の実施形態である。この有機EL素子1’は、基板2の上に、第1の電極3と、第2の電極7と、該第1の電極及び該第2の電極の間に設けられた発光層6とを有している。そして、第1の電極3及び発光層6の間に設けられた第1の機能層4及び第2の機能層5を更に有している。
以下、図2に示す有機EL素子を例として、発光層6、第1の機能層4及び第2の機能層5の形成方法を説明する。有機EL素子の他の構成要素の詳細については後述する。
発光層6は有機化合物を含む有機層であり、機能及び形成方法について上述の有機EL素子1中の発光層6と同様である。第1の機能層4及び第2の機能層5は、有機化合物を含む有機層であっても、無機化合物からなる無機層であってもよい。
第1の機能層4又は第2の機能層5は、これらが有機層である場合は、第1の電極の表面上に形成する場合、第1の電極の上方にある正孔注入層の表面上に形成する場合及び第1の電極の上方にある正孔輸送層の表面上に形成する場合がある。
機能層は、発光には通常関与せず、電荷の注入、あるいは輸送等の素子特性を向上させる機能を有する層を意味する。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子注入層、電子輸送層及び電子ブロック層などが機能層に該当する。
本発明の好ましい一実施形態では、第1の電極3が陽極であり、第2の電極7が陰極であり、第1の機能層4が正孔注入層であり、第2の機能層5が正孔輸送層である。この場合、発光層6及び陰極(即ち第2の電極7)の間に、機能層として、電子注入層、電子輸送層などを形成してもよい。
以下、正孔輸送層5が有機化合物を含む場合を例として、機能層の形成方法について説明する。正孔輸送層は、例えば、陽極及び正孔注入層を基板上に形成した後、該正孔注入層上に、正孔輸送機能を奏する有機化合物を含む薄膜を形成し、該薄膜を焼成することによって形成する。
有機化合物を含む薄膜を溶液塗布法で形成する場合、第1の電極3及び正孔注入層4を基板2上に形成した後、該正孔注入層4上に、有機化合物を含む溶液を塗布し、有機化合物を含む薄膜を形成する。有機化合物は低分子化合物でも高分子化合物でもよいが、塗布性の観点からは、該有機化合物が高分子化合物であることが好ましい。溶液塗布法で前記薄膜を形成する際の溶媒、塗布方法については、前述の発光層6の形成における、有機化合物を含む薄膜を形成する際に用いる溶媒、塗布方法と同様の溶媒、塗布方法があげられる。
正孔輸送層5に含まれる有機化合物を含む薄膜は、有機EL素子を容易に製造できる点から、大気圧下、不活性気体を含有する雰囲気中において形成することが好ましい。不活性気体としては、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス、及びこれらの混合ガスなどを挙げることができ、これらのなかでも素子作製の容易さの観点からは、窒素ガスが好ましい。
前記薄膜は、大気雰囲気下で形成されてもよいし、雰囲気中の不活性気体の濃度が、体積比で99%以上である雰囲気下で形成されてもよい。素子寿命の長寿命化の観点からは、不活性気体の濃度が99.5%以上の雰囲気下で形成されることが好ましい。
前記薄膜は、素子作製の容易さの観点からは、酸素濃度が体積比で1000ppm以下及び/又は水分濃度が体積比で1000ppm以下の雰囲気下で形成されることが好ましく、酸素濃度が体積比で10ppm以下及び/又は水分濃度が体積比で10ppm以下の雰囲気下で形成されることがより好ましい。
次に、雰囲気中の酸素濃度及び水分濃度を、体積比でそれぞれ1000ppm以下に保った状態で前記薄膜を加熱することが好ましい。この加熱によって、該薄膜中に含まれる溶媒が除去される。
加熱は、素子の発光特性及び寿命特性の観点からは、50℃〜250℃の範囲内の温度で行うことが好ましく、50℃〜200℃の範囲内の温度で行うことがより好ましい。加熱時間は、前記薄膜に含まれる有機化合物によって適宜選択され、通常5分〜2時間程度である。
前記薄膜の加熱は、有機EL素子の長寿命化の観点からは、不活性気体を含有する雰囲気中及び/又は還元性の気体を含有する雰囲気中において行うこと、あるいは10Pa以下の雰囲気中において行うことが好ましい。不活性気体としては、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス、及びこれらの混合ガスなどを挙げることができ、これらのなかでも素子作製の容易さの観点からは、窒素ガスが好ましい。還元性の気体としては、一酸化炭素ガス、水素ガスなどを挙げることができる。
前記薄膜の形成及び該薄膜の加熱は、有機EL素子の発光特性及び寿命特性の観点からは、雰囲気中の酸素濃度及び水分濃度が体積比でそれぞれ600ppm以下に保った状態で行われることが好ましく、より好ましくは、酸素濃度及び水分濃度が体積比でそれぞれ300ppm以下であり、さらに好ましくは、酸素濃度及び水分濃度が体積比でそれぞれ100ppm以下であり、特に好ましくは、酸素濃度及び水分濃度が体積比でそれぞれ10ppm以下である。
正孔輸送層5を形成した後に、正孔輸送層5上に、前記発光層6に含まれる有機化合物を含む薄膜の形成工程、加熱工程を用いることによって、発光層を形成し、さらにその上に、第2の陰極7を形成することによって、有機EL素子1’が製造される。
以下、有機EL素子の素子構成及び各構成要素についてさらに詳細に説明する。
本発明の有機EL素子は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極及び第2の電極の間に配置される発光層を必須の構成要件として有している。なお、第1の電極(例えば、陽極)と第2の電極(例えば、陰極)との間には、例えば素子特性を向上させるために、前述の発光層に加えて、さらに、層が設けられる場合がある。該層には、発光層に隣接して設けられる機能層が含まれる。
陰極と発光層との間に設けられる層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。また陰極と発光層との間に電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極に接する層を電子注入層といい、この電子注入層を除く層を電子輸送層という場合がある。
電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子輸送層は、陰極、電子注入層又は陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層である。正孔ブロック層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお電子注入層、及び/又は電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねることがある。
正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えばホール電流のみを流す素子を作製することによって確認することができる。例えば正孔ブロック層を備えず、ホール電流のみを流す素子と、該素子に正孔ブロック層を挿入した構成の素子とを作製し、正孔ブロック層を備える素子の電流値の減少で、正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を示すことを確認できる。
陽極と発光層との間に設けられる層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などを挙げることができる。陽極と発光層との間に、正孔注入層と正孔輸送層との両方の層が設けられる場合、陽極に接する層を正孔注入層といい、この正孔注入層を除く層を正孔輸送層という場合がある。
正孔注入層は、陽極からの正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔輸送層は、陽極、正孔注入層又は陽極により近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する層である。電子ブロック層は、電子の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお正孔注入層、及び/又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層を兼ねることがある。
電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、例えば電子電流のみを流す素子を作製することによって確認することができる。例えば電子ブロック層を備えず、電子電流のみを流す素子と、該素子に電子ブロック層を挿入した構成の素子とを作製し、電子ブロック層を備える素子の電流値の減少で、電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を示すことを確認できる。
本実施の形態の有機EL素子がとりうる素子構成の一例を以下に示す。
a)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
e)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
e)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
g)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
h)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
i)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
k)陽極/発光層/電子注入層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
m)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。
以下同じ。)
有機EL素子は、2層以上の発光層を有していてもよい。a)〜m)に示す各構成において、陽極と陰極との間に設けられる層をそれぞれ「繰り返し単位A」とすると、2層の発光層を有する有機EL素子としては、以下のn)に示す素子構成を挙げることができる。
n)陽極/(繰り返し単位A)/電荷発生層/(繰り返し単位A)/陰極
また「(繰り返し単位A)/電荷発生層」を「繰り返し単位B」とすると、3層以上の発光層を有する有機EL素子としては、具体的には、以下のo)に示す素子構成を挙げることができる。
o)陽極/(繰り返し単位B)x/(繰り返し単位A)/陰極
ここで、記号「x」は2以上の整数を表し、「(繰り返し単位B)x」は、(繰り返し単位B)を「x」段積層した構成を表す。電荷発生層とは電界を印加することにより、正孔と電子とが発生する層である。電荷発生層としては、例えば、酸化バナジウム、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、酸化モリブデンなどから成る薄膜を挙げることができる。
有機EL素子は、さらに封止のための封止膜又は封止板などの封止部材で覆われていてもよい。有機EL素子を基板に設ける場合は、通常基板側に陽極が配置されるが、基板側に陰極を配置するようにしてもよい。
本実施の形態の有機EL素子は、内部で発生した光を外に取出すために、通常、発光層を基準にして光が取出される側に配置される全ての層を透明なものとしている。透明の程度としては、光の取出される側の有機EL素子の最表面と、発光層との間の可視光透過率が40%以上であることが好ましい。紫外領域又は赤外領域の発光が求められる有機EL素子の場合には、当該領域において40%以上の光透過率を示すものが好ましい。
本実施の形態の有機EL素子は、さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入性の改善のために、電極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよい。また界面での密着性向上や混合の防止などのために、前述した各層間に薄いバッファー層を挿入してもよい。
積層する層の順序、層数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜設定することができる。
次に、有機EL素子を構成する各層の材料及び形成方法について、より具体的に説明する。
<基板>
基板は、有機EL素子を製造する工程において化学的に変化しないものが好適に用いられ、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、及びシリコン基板、並びにこれらを積層したものなどが用いられる。前記基板の材料には、市販の材料を使用してもよく、公知の方法により材料を製造してもよい。
<陽極>
陽極は、陽極を通して発光層からの光を取出す構成の有機EL素子の場合、透明又は半透明の電極が用いられる。透明電極又は半透明電極としては、金属酸化物の薄膜、金属硫化物の薄膜、金属の薄膜などを用いることができ、光透過率の高いものが好適に用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、銅の薄膜が用いられ、これらの中でも、ITO、IZO、酸化スズの薄膜が好適に用いられる。陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極には、光を反射する材料を用いてもよく、該材料としては、仕事関数3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好ましい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができ、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは40nm〜500nmである。
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、及び酸化アルミニウムなどの酸化物や、フェニルアミン系化合物、スターバースト型アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、及びポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
正孔注入層の形成方法は、正孔注入材料を含む薄膜を成膜し、その後加熱又は乾燥する方法があげられる。
正孔注入材料を含む薄膜の成膜方法としては、例えば正孔注入材料を含む溶液からの成膜を挙げることができ、有機EL素子の長寿命化の観点からは、前述した有機層形成工程と同様の雰囲気中において成膜することが好ましい。溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔注入材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール、テトラリン、フェニルシクロヘキサンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、及び水を挙げることができ、これらを混合したものを用いてもよい。
溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、ノズルコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法などの塗布法を挙げることができる。
正孔注入層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなるので好ましくない。従って正孔注入層の膜厚は、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<正孔輸送層>
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリアリールアミン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物などを挙げることができる。
これらの中で正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリアリールアミン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物である。また、低分子の正孔輸送材料を用いる場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
本発明における機能層が正孔輸送層である場合、正孔輸送層の形成方法は、有機EL素子1’に含まれる正孔輸送層5の形成方法と同様の方法が挙げられる。
正孔輸送層が機能層でない場合、正孔輸送層の形成方法としては、正孔輸送材料を含む薄膜を成膜し、その後加熱又は乾燥する方法があげられる。
正孔輸送材料を含む薄膜の成膜方法としては、特に制限はないが、低分子の正孔輸送材料では、高分子バインダーと正孔輸送材料とを含む混合液からの成膜を挙げることができ、高分子の正孔輸送材料では、正孔輸送材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。
溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール、テトラリン、フェニルシクロヘキサンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒などを挙げることができ、これらを混合したものを用いてもよい。
溶液からの成膜方法としては、前述した正孔中注入層の成膜法と同様の塗布法を挙げることができ、長寿命化の観点からは、前述した機能層形成工程と同様の雰囲気中において成膜することが好ましい。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収の弱いものが好適に用いられ、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンを挙げることができる。
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚は、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<発光層>
発光層は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、又は該有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。なお、有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、発光層は、ポリスチレン換算の数平均分子量が、103〜108である高分子化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する発光材料としては、例えば高分子系材料を挙げることができる。
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、下記に例示するような、色素系ドーパント材料や金属錯体系ドーパント材料を高分子化したものなどを挙げることができる。
上記発光性材料のうち、青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、及びそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも、高分子材料であるポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体が好ましい。
また、緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、及びそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも、高分子材料であるポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体が好ましい。
また、赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、及びそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
(ドーパント材料)
ドーパント材料としては、色素系のドーパント材料、金属錯体系のドーパント材料が挙げられる。
色素系のドーパント材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンを挙げることができる。
金属錯体系のドーパント材料としては、例えば、中心金属に、Al、Zn、Beなど、又はTb、Eu、Dyなどの希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを有する金属錯体を挙げることができ、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体を挙げることができる。
なお、発光層の厚さは、通常、約2nm〜200nmである。
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものを使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体などを挙げることができる。
これらのうち、電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
本発明における機能層が電子輸送層である場合、電子輸送層の形成方法は、有機EL素子1’に含まれる正孔輸送層5の形成方法と同様の方法が挙げられる。
電子輸送層が機能層でない場合、電子輸送層の形成方法としては、電子輸送材料を含む薄膜を成膜し、その後加熱又は乾燥する方法があげられる。
電子輸送材料を含む薄膜の成膜法としては特に制限はないが、低分子の電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、又は溶液若しくは溶融状態からの成膜を挙げることができ、高分子の電子輸送材料では溶液又は溶融状態からの成膜を挙げることができる。なお溶液又は溶融状態からの成膜する場合には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液から電子輸送層を成膜する方法としては、前述の溶液から正孔輸送層を成膜する方法と同様の成膜法を挙げることができ、前述した機能層形成工程と同様の雰囲気中において成膜することが好ましい。
電子輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちの1種類以上含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物、これらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、及び炭酸化物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、該積層体としては、フッ化リチウムとカルシウムとの積層体(LiF/Ca)などを挙げることができる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法などにより形成される。
電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数の小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取出す有機EL素子では、発光層からの光を陰極で陽極側に反射するために、陰極の材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。
陰極には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及びIII−B族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金を挙げることができる。また、陰極としては導電性金属酸化物及び導電性有機物などから成る透明導電性電極を用いることができる。導電性金属酸化物として具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、及びIZOが挙げられる。導電性有機物として具体的には、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体を挙げることができる。なお、陰極は、2層以上を積層した積層体であってもよい。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して適宜設定され、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法などを挙げることができる。
<絶縁層>
絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料などを挙げることができる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた有機EL素子としては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けたもの、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けたものを挙げることができる。
以上説明した有機EL素子は、曲面状や平面状の照明装置、例えばスキャナの光源として用いられる面状光源、及び表示装置に好適に用いることができる。
有機EL素子を備える表示装置としては、アクティブマトリックス表示装置、パッシブマトリックス表示装置、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、及び液晶表示装置などを挙げることができる。なお有機EL素子は、アクティブマトリックス表示装置、パッシブマトリックス表示装置において、各画素を構成する発光素子として用いられ、セグメント表示装置において、各セグメントを構成する発光素子として用いられ、ドットマトリックス表示装置、及び液晶表示装置において、バックライトとして用いられる。
製造例1
(転写板の製造)
ガラス板上にスパッタ法により厚さ60nmのITO膜を形成した支持板のITO膜表面を、大気圧プラズマ装置(AP−T03)(積水化学製)を用いて洗浄した。洗浄は、窒素(N)ガスを100mL/min、アルゴン(Ar)ガスを100mL/min流し、印加電圧が130V、大気圧プラズマ装置のヘッドの速度が50mm/minの条件で行った。
次に、ITO膜上にポリイミドコーティング剤(フォトニース(SL1904)、東レ製)を塗布してスピンコート法により成膜し、厚みが1μmの薄膜を形成し、該薄膜をホットプレート上で120℃で5分間加熱して焼成し、ポリイミド膜を得た。
次に、現像液(NPD−18、長瀬ケムテックス製)を用いてポリイミド膜を120秒間現像し、ポリイミド膜を超純水で洗浄した後、ポリイミド膜を成膜した基板を回転させながら乾燥を行った。
次に、クリーンオーブン(DT62、ヤマト科学製)でポリイミド膜が成膜された基板を230℃で30分間焼成した後、室温(25℃)まで冷却し、転写板を製造した。なおポリイミド膜の形成において、膜の形成工程、焼成工程及び冷却工程は、すべて大気雰囲気下において行った。
次に、ポリイミド膜に撥液性を付与するために、リアクティブイオンエッチング装置・ドライエッチング装置(RIE−200L、SAMCO製)を用いて、Oプラズマ処理、及びCFプラズマ処理を連続して行った。CFプラズマ処理を行うことにより、ポリイミド膜の表面に有機フッ素化合物を接触させ、転写板を得た。
プラズマ処理は、酸素ガスの流速が40Sccm、出力30W、圧力5Pa、処理時間60秒の条件で行った。
CFプラズマ処理は、テトラフルオロメタンの流速が10Sccm、出力30W、圧力40Pa、処理時間30秒の条件で行った。
実施例1
(有機EL素子の作製)
以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(60nm)/CLEVIOS(登録商標) P VP AI 4083(65nm)/高分子化合物1(20nm)/緑色発光高分子材料1(80nm)/Ba(5nm)/Al(100nm)」
スパッタ法により厚みが60nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸の懸濁液(CLEVIOS(登録商標) P VP AI 4083、スタルク製)を塗布してスピンコート法により成膜し、厚みが65nmの薄膜を形成し、該薄膜をホットプレート上で200℃で10分間加熱して焼成し、正孔注入層を得た。正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び加熱工程は大気雰囲気中で行った。
次に、キシレンにフルオレン系正孔輸送材料である高分子化合物1を溶解させ、キシレン溶液1を作製した。キシレン溶液1における高分子化合物1の濃度は0.8重量%とした。次に、大気雰囲気中において、正孔注入層上にキシレン溶液1を塗布してスピンコート法により成膜し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が体積比で、10ppm以下に制御された窒素雰囲気中において180℃で1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
次に、キシレンに緑色発光高分子材料1を溶解させ、キシレン溶液2を作製した。キシレン溶液2における緑色発光高分子材料1の濃度は1.4重量%とした。次に、大気雰囲気中において、正孔輸送層上にキシレン溶液2を塗布してスピンコート法により成膜し、膜厚が80nmの発光層用の薄膜を成膜した。
次に、転写板のCF処理を施したポリイミド膜の表面を発光層用の薄膜上に接触させて積層体を形成し、積層体を130℃で10分間焼成することによって発光層用の薄膜を焼成し、積層体から転写用基板を取り除いて発光層を得た。焼成は、酸素濃度及び水分濃度が体積比で、10ppm以下に制御された窒素雰囲気中で行った。
次に、1.0×10−4Pa以下にまで減圧した蒸着チャンバー内に素子を設置後、発光層上に陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約100nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
作製した有機EL素子は、緑色発光(CIE1931:(0.31, 0.63))し、最大電流効率は14.3cd/Aであった。また、初期輝度12,000cd/mで定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、190時間であった。
比較例1
(有機EL素子の作製)
以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(60nm)/CLEVIOS(登録商標) P VP AI 4083(65nm)/高分子化合物1(20nm)/緑色発光高分子材料1(80nm)/Ba(5nm)/Al(100nm)」
スパッタ法により厚みが60nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸の懸濁液(CLEVIOS(登録商標) P VP AI 4083、スタルク製)を塗布してスピンコート法により成膜し、厚みが65nmの薄膜を形成し、該薄膜をホットプレート上で200℃で10分間加熱して焼成し、正孔注入層を得た。正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び加熱工程は大気雰囲気中においておこなった。
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物1を溶解させ、キシレン溶液1を作製した。キシレン溶液1における高分子化合物1の濃度は0.8重量%とした。次に、大気雰囲気中において、正孔注入層上にキシレン溶液1を塗布してスピンコート法により成膜し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が体積比で、10ppm以下に制御された窒素雰囲気中において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
次に、キシレンに緑色発光高分子材料1を溶解させ、キシレン溶液2を作製した。キシレン溶液2における緑色発光高分子材料1の濃度は1.4重量%とした。次に、大気雰囲気中において、正孔輸送層上にキシレン溶液2を塗布してスピンコート法により成膜し、膜厚が80nmの発光層用の薄膜を成膜した。次に、酸素濃度及び水分濃度が体積比で、10ppm以下に制御された水素雰囲気中において130℃で10分間薄膜を加熱し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び加熱工程における圧力は大気圧とした。
次に、1.0×10−4Pa以下にまで減圧した蒸着チャンバー内に素子を設置後、発光層上に陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
作製した有機EL素子は、緑色発光(CIE1931:(0.31, 0.63))し、最大電流効率は14.1cd/Aであった。また、初期輝度12,000cd/mで定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、164時間であった。
測定例1
(発光層表面の接触角の測定)
スパッタ法により厚みが60nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸の懸濁液(CLEVIOS(登録商標) P VP AI 4083、スタルク製)を塗布してスピンコート法により成膜し、厚みが65nmの薄膜を形成し、該薄膜をホットプレート上で200℃で10分間加熱して焼成し、正孔注入層を得た。正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び加熱工程は大気雰囲気中においておこなった。
次に、大気雰囲気中において、正孔注入層上にキシレン溶液1を塗布してスピンコート法により成膜し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が体積比で、10ppm以下に制御された窒素雰囲気中において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
次に、大気雰囲気中において、正孔輸送層上にキシレン溶液2を塗布してスピンコート法により成膜し、膜厚が80nmの発光層用の薄膜を成膜した。
次に、転写用基板のCF処理を施したポリイミド膜の表面を発光層用の薄膜上に接触させて積層体を形成し、積層体を130℃で10分間焼成することによって発光層用の薄膜を焼成し、積層体から転写用基板を取り除いて発光層を得た。焼成は、酸素濃度及び水分濃度が体積比で、10ppm以下に制御された窒素雰囲気中で行った。
発光層を形成後、水を発光層上に2μl滴下し、発光層表面の水に対する接触角を測定した。水を除去後、アニソールを発光層上に2μl滴下し、発光層表面のアニソールに対する接触角を測定した。接触角の測定にはデータフィジックス社製、自動接触角測定装置OCA30を用いた。結果を表1に示す。
測定例2
転写用基板のCF処理を施したポリイミド膜の表面を発光層用の薄膜上に接触させて積層体を形成し、積層体を100℃で10分間焼成することによって発光層用の薄膜を焼成し、その後、積層体から転写用基板を取り除き、さらに130℃で10分間焼成して発光層を形成した以外は測定例1と同様に発光層表面の接触角を測定した。結果を表1に示す。
測定例3
転写用基板のCF処理を施したポリイミド膜の表面を発光層用の薄膜上に接触させて積層体を形成し、積層体を60℃で10分間焼成することによって発光層用の薄膜を焼成し、その後、積層体から転写用基板を取り除き、さらに130℃で10分間焼成して発光層を形成した以外は測定例1と同様に発光層表面の接触角を測定した。結果を表1に示す。
測定例4
転写用基板のCF処理を施したポリイミド膜の表面を発光層用の薄膜上に接触させて積層体を形成し、積層体を25℃で10分間焼成することによって発光層用の薄膜を焼成し、その後、積層体から転写用基板を取り除き、さらに130℃で10分間焼成して発光層を形成した以外は測定例1と同様に発光層表面の接触角を測定した。結果を表1に示す。
測定例5
(発光層表面の接触角の測定)
スパッタ法により厚みが60nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸の懸濁液(CLEVIOS(登録商標) P VP AI 4083、スタルク製)を塗布してスピンコート法により成膜し、厚みが65nmの薄膜を形成し、該薄膜をホットプレート上で200℃で10分間加熱して焼成し、正孔注入層を得た。正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び加熱工程は大気雰囲気中においておこなった。
次に、大気雰囲気中において、正孔注入層上にキシレン溶液1を塗布してスピンコート法により成膜し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が体積比で、10ppm以下に制御された窒素雰囲気中において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
次に、大気雰囲気中において、正孔輸送層上にキシレン溶液2を塗布してスピンコート法により成膜し、膜厚が80nmの発光層用の薄膜を成膜した。次に、酸素濃度及び水分濃度が体積比で、10ppm以下に制御された水素雰囲気中において130℃で10分間薄膜を加熱し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び加熱工程における圧力は大気圧とした。
発光層を形成後、水を発光層上に2μl滴下し、発光層表面の水に対する接触角を測定した。水を除去後、アニソールを発光層上に2μl滴下し、発光層表面のアニソールに対する接触角を測定した。接触角の測定にはデータフィジックス社製、自動接触角測定装置OCA30を用いた。結果を表1に示す。
[表1]
Figure 2013042041
1、1’…有機EL素子、
2…基板、
3…陽極、
4…第1の機能層、
5…第2の機能層、
6…発光層、
7…陰極。

Claims (10)

  1. 第1の電極と、第2の電極と、該第1の電極と該第2の電極との間に発光層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    該発光層が、発光性有機化合物を含む薄膜と該薄膜の第2の電極側の表面に堆積させた有機フッ素化合物とを有する層である、有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記第1の電極が陽極であり、前記第2の電極が陰極である請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記発光層の第2の電極側の表面は、アニソールに対する接触角が1〜50度である、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記有機フッ素化合物が25℃において気体状態の有機フッ素化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記発光性有機化合物が発光性高分子化合物である請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記有機フッ素化合物は、転写面に有機フッ素化合物を有する転写板を用いて前記発光性有機化合物を含む薄膜の第2の電極側の表面に有機フッ素化合物を転写することにより堆積させられたものである請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える面状光源。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える表示装置。
  9. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える照明装置。
  10. 第1の電極と、第2の電極と、該第1の電極と該第2の電極との間に発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    第1の電極の上又は第1の電極の上に形成された機能層の上に、発光性有機化合物を含む薄膜を形成する工程、及び、
    該薄膜に有機フッ素化合物を含む液を塗布及び乾燥させることにより有機フッ素化合物を堆積して発光層を形成する工程、を包含する方法。
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