JP2013041748A - 色素増感型太陽電池用色素、半導体電極及び色素増感型太陽電池 - Google Patents

色素増感型太陽電池用色素、半導体電極及び色素増感型太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】青紫〜青の色調を有し、かつ優れた光電変換特性を有する色素増感型太陽電池用色素と、この色素増感型太陽電池用色素により増感された半導体電極及びその半導体電極を用いてなる色素増感型太陽電池を提供する。
【解決手段】インドリン環とベンゾチアゾリウム環が共役メチン基ユニットを介して結合し、インドリン環の窒素原子と結合したスチルベンを有する色素増感型太陽電池用色素、この色素により増感された半導体電極及び半導体電極を用いてなる色素増感型太陽電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、色素増感型太陽電池用色素、半導体電極及び色素増感型太陽電池に関するものである。
大量の化石燃料の使用で引き起こされる二酸化炭素濃度増加による地球温暖化、更に、人口増加に伴うエネルギー需要の増大は、人類の存亡にまで関わる問題と認識されている。そのため、近年、無限で有害物質を発生しない太陽光の利用が精力的に検討されている。このクリーンエネルギー源である太陽光利用として現在実用化されているものは住宅用の単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン及びテルル化カドミウムやセレン化インジウム銅などの無機系太陽電池が挙げられる。
しかしながら、これらの無機系太陽電池にも欠点がある。例えばシリコン系では、非常に純度の高いものが要求され、当然精製の工程は複雑でプロセス数が多く、製造コストが高い。それ以外にも軽量化などの要求もあり、特に、ユーザーへのペイバックが長い点でも不利であり、普及には問題があった。
その一方で、有機材料を使う太陽電池も多く提案されている。有機太陽電池としては、p型有機半導体と仕事関数の小さい金属を接合させるショットキー型光電変換素子、p型有機半導体とn型無機半導体、あるいはp型有機半導体と電子受容性有機化合物を接合させるヘテロ接合型光電変換素子などがあり、利用される有機半導体は、クロロフィル、ペリレンなどの合成色素や顔料、ポリアセチレンなどの導電性高分子材料、または、これらの複合材料などである。これらを真空蒸着法、キャスト法またはディッピング法などにより、薄膜化し電池材料が構成されている。有機材料は低コスト、大面積化が容易などの長所もあるが、光電変換効率は1%以下と低いものが多く、また、耐久性も悪いという問題もあった。
こうした状況の中で、良好な特性を示す太陽電池がスイスのグレッツェル博士らによって報告された(例えば、非特許文献1参照)。この文献には、電池作製に必要な材料及び製造技術も開示されている。この太陽電池は色素増感型太陽電池またはグレッツェル型太陽電池と呼ばれ、ルテニウム錯体(以下Ru錯体と記す)で分光増感された酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする湿式太陽電池である。この方式の利点は酸化チタンなどの安価な半導体を高純度まで精製する必要がないために、前述の無機系太陽電池と比較して製造コストが低減できること、また、利用できる光は可視光領域に幅広くいきわたっているため、可視光領域のエネルギー強度が高いとされる太陽光を有効に電気へ変換できることである。
しかしながら、資源的制約がある貴金属のRuが使われているため、色素増感型太陽電池が実用化された場合には、Ru錯体の安定供給に問題が生じる可能性がある。また、この資源的な制約から、Ru錯体自体が高価であり、大量製造の際にコスト面での問題も生じる可能性がある。このような問題を解決するため、Ru錯体の少なくとも一部をより安価な有機色素へ変更することを目的として、様々な提案がなされてきた。その例として、種々のメロシアニン色素、シアニン色素、9−フェニルキサンテン系色素、クマリン系色素などが開示されているが、これらは、光電変換特性において、Ru錯体よりもかなり劣っており、実用性に乏しいものがほとんどであった(例えば、特許文献1〜4参照)。
また有機色素は、ルテニウム錯体にはない黄色、赤色、青色といった鮮明な色調を有しているため、その色調を生かした意匠性用途での応用も多く提案されている(例えば非特許文献2など参照)。うち青紫〜青の色調を有する色素としては、種々のスチリル色素、スクアリウム環含有色素などが提案されているが(例えば、特許文献5、6など参照)、充分な光電変換特性を有している色素はほとんどなく、更なる改良が求められている。
一方、特開2005−82678号公報(特許文献7)、特開2010−49990号公報(特許文献8)には、ある特定の構造を有するインドリン環と含窒素複素環四級塩より誘導されるヘミシアニン色素が開示されている。しかしながら、それらの公報中には、インドリン環の三級窒素原子の置換基についていくつかの例示があるものの、それらの置換基及び置換位置が該ヘミシアニン色素の光電変換特性に及ぼす影響に関しては詳細な記載がない。よって、該ヘミシアニン色素に関しては、上記インドリン環の三級窒素原子の置換基操作により、その色素の有する光電変換特性をいかに高める事ができるか、予測できうるものではなかった。
特開平11−238905号公報 特開2001−76773号公報 特開平10−92477号公報 特開2002−164089号公報 特開2003−234133号公報 特開2007−70509号公報 特開2005−82678号公報 特開2010−49990号公報
Nature,353,737(1991) 応用物理,第73巻,第12号,1549(2004)
本発明の課題は、青紫〜青の色調を有し、かつ優れた光電変換特性を有する色素増感型太陽電池用色素と、この色素増感型太陽電池用色素により増感された半導体電極及びその半導体電極を用いてなる色素増感型太陽電池を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、一般式(1)で示される色素増感型太陽電池用色素(以下、「色素」という)、この色素により増感された半導体電極及び半導体電極を用いてなる色素増感型太陽電池によって、これらの目標を達成することができた。
Figure 2013041748
一般式(1)において、Rは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を示すが、R−O−が結合するベンゼン環とRとが連結して、縮環構造となる事はない。RとRは水素原子またはアルキル基を示し、両者が連結してシクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成しても良い。L、Lは共役メチン基ユニットを示す。Lはアルキレン基を示す。Rはハメットの置換基定数σp値が負の値となる電子供与性基を示す。RはpKaが6未満の酸性基を示す。Xはカウンターアニオンを示す。
上記一般式(1)で示される色素は、鮮やかな青紫〜青の色調を有し、かつ優れた光電変換特性を有しており、この色素で増感する事によって、青紫〜青の色調を有し、かつ優れた光電変換効率を有する半導体電極及びその半導体電極を用いてなる色素増感型太陽電池を得ることができる。
以下に本発明の色素について詳細に述べる。前記一般式(1)において、Rは水素原子、脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基などのアルキル基、アリル基、ブテニル基などのアルケニル基、プロパルギル基などのアルキニル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基などのアラルキル基など)、芳香族基(例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基など)、複素環基(例えば、インドリル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基など)を示す。うちRとして好ましいものは脂肪族基、芳香族基であり、そしてこの脂肪族基、芳香族基は、更に種々の置換基によって置換されていても良い。その例としては、上述のような脂肪族基、芳香族基、複素環基に加えて、アミノ基、ビニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基(なおこのカルボキシ基は遊離酸であっても、塩(例えばアンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、テトラ−n−ブチルアンモニウム塩などのアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩など)であってもよい)、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子などがあり、またこれらは可能であるならば更に置換基を有していても良い。なお以上述べたR、及びRが有する置換基のいずれも、R−O−が結合するベンゼン環と連結して、縮環構造となる事はない。RとRは水素原子またはアルキル基(Rの脂肪族基中のアルキル基に同義)を示し、両者が連結してシクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成しても良い。うち好ましいものは両者が連結してシクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成しているものであり、中でも両者が連結してシクロペンタン環を形成しているものが特に好ましい。
、Lは共役メチン基ユニットを示す。この共役メチン基ユニットは奇数炭素数の共役メチン鎖から構成されているが、その炭素数は1または3が好ましく、うち特に好ましいものはL、Lともに炭素数1個のものである。
はアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基など、なおこれらは直鎖構造であっても、分枝構造であっても良い)を示す。うち好ましいものは炭素数1から4のものであり、中でも炭素数1または2のものが特に好ましい。
はハメットの置換基定数σp値が負の値となる電子供与性基を示す。このハメットのσp値については、種々の成書に記載があるが、例えば、「薬物の構造活性相関−ドラッグデザインと作用機作研究への指針−」(化学の領域、増刊122号;南江堂(1979))、Chem.Rev.91,165(1991)などが詳しい。これら電子供与性基の具体的な例としては、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基など)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、アセチルアミノ基など)、ヒドラジノ基、ウレイド基、ヒドロキシ基などが挙げられるが、むろんこれらに限定されるものではない。以上のうち好ましいものは、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキル置換アミノ基、ヒドロキシ基などであり、中でもジアルキル置換アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基が特に好ましい。また上述の置換基は、可能であるならばその置換基の有する電子供与性因子を失活させない範囲で、更に種々の置換基により置換されていても良い。また、上述のR以外の置換基は、ベンゾチアゾリウム環上には存在しない事が好ましい。
はpKaが6未満の酸性基を表す。このpKaが6未満の酸性基の例としては、例えばカルボキシ基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、フォスフォノ基、フォスフィニコ基などが挙げられるが、中でもカルボキシ基が特に好ましい。またこれらの酸性基は、遊離酸であっても、塩(例えばアンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、テトラ−n−ブチルアンモニウム塩などのアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩など)であってもよい。
はカウンターアニオンを表す。その例としては、ハロゲンイオン(例えば、クロリド、ブロミド、ヨージドなど)、アルキル硫酸イオン(例えば、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオンなど)、有機スルホン酸イオン(例えば、メタンスルホナート、p−トルエンスルホナートなど)、過塩素酸イオンなどがある。また、色素分子が分子内塩を形成している場合は、このカウンターアニオンは存在しない。
なお以上述べた一般式(1)におけるスチルベン構造部位においては、Z型とE型の幾何異性体が生じる可能性があるが、本発明においては、この幾何異性はいずれであっても構わない。またL、Lの共役メチン基ユニットについても、それぞれの共役炭素二重結合についての幾何構造の異性体(cis型、trans型)が生じる可能性があるが、本発明においては、これらの幾何異性の組み合わせもどのような組み合わせであっても構わない。
また一般式(1)におけるRとRがいずれもアルキル基である組み合わせの場合には、RとRがそれぞれ結合するインドリン環2位及び3位の炭素原子が不斉炭素となり、それぞれの部位の光学異性体が生じる可能性があるが、本発明においては、これらの光学異性の組み合わせはどのような組み合わせであっても構わない。
本発明の一般式(1)で示される色素においては、インドリン環の三級窒素原子が電子供与性部位(ドナー)、そしてベンゾチアゾリウム環の四級窒素原子が電子吸引性部位(アクセプター)として作用し、そしてこの両者が共役二重結合で連結された構造を有している。一般に、光電変換材料における増感色素を分子設計するにあたっては、色素から半導体への電子注入をより効率的に行わせるために、電子が流れ込むアクセプター部位の近傍に半導体との吸着性を促進する酸性基を導入する。そして色素は、吸着性を促進する酸性基を介して半導体上に吸着する。色素は半導体へ電子注入した後には、色素カチオンとなり、ついで後述の電解質からの電子注入を受けて色素として再生する。この色素の電子授受のサイクルの繰り返しにより、色素増感型太陽電池は電池としての機能を発現する。
本発明の色素が何故に従来技術の色素と比較して光電変換特性が向上したのかについて詳細なことは不明であるが、以下のような推測を行うことができる。
本発明の一般式(1)で示される色素は、ドナー部位であるインドリン環の三級窒素原子の置換基としてスチルベン構造部位を有しており、かつそのスチルベン構造において窒素原子が結合しているベンゼン環とは異なる方のベンゼン環側のメタ位となる位置に酸素原子が結合している。一般に酸素原子がベンゼン環に結合している場合は、オルト位及びパラ位置換の場合は電子供与性基として、またメタ位置換の場合は逆に弱い電子吸引性基として作用する事が知られている。これまでの一般式(1)の色素と類縁構造を有する色素の分子設計においては、ドナー部位であるインドリン環の三級窒素原子のドナー性を補強する目的で、上記スチルベン構造中のベンゼン環には電子供与性基が導入される例(例えば、パラ置換のアルコキシ基など)が多かった。本発明においては、これまでの色素分子設計とは異なり、前述のようにスチルベン構造のメタ位に結合した場合に弱い電子吸引性基として作用する水酸基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基等が導入されており、これにより従来技術の色素を凌駕する光電変換特性が得られる事が判明した。
この置換基の有する電子的効果(弱い電子吸引性効果)は、上記スチルベン構造においてインドリン環の三級窒素原子に直接結合している側のベンゼン環には結合していないため、上述のインドリン環の三級窒素原子のドナー性をあまり低下させることがなく、かつスチルベン構造全体のπ電子系の電子密度をある程度低下させることであると考えられる。これらの電子的効果が、色素の光励起、ついで色素分子内のドナー部位からアクセプター部位を介しての半導体への電子注入に関しては、それを阻害することなく、かつ色素からの電子注入が行われた後には、スチルベン構造のπ電子系の電子密度低下を促し、それにより電解質からの色素カチオンへの電子注入の効率向上をもたらして、結果として光電変換特性が向上したと推測される。
以下に、本発明の色素の具体例を挙げるが、本発明はむろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2013041748
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これらの化合物は、例えば特開2005−82678号公報などに記載の公知の合成法を参考にすれば容易に合成できる。
色素増感型太陽電池は、導電性支持体、導電性支持体表面上に設けられた色素によって増感された半導体層(半導体電極)、電荷移動層及び対極からなる。半導体層は単層構成でも積層構成でもよく、目的に応じて設計される。また、導電性支持体の導電層と半導体層の境界、半導体層と移動層の境界など、この素子における境界においては、各層の構成成分は相互に拡散または混合してもよい。
導電性支持体は、金属のように支持体そのものに導電性があるもの、または表面に導電剤を含む導電層を有するガラスあるいはプラスチックの支持体を用いることができる。後者の場合、導電剤としては白金、金、銀、銅、アルミニウムなどの金属、炭素、あるいはインジウム−スズ複合酸化物(以降「ITO」と略記する)、フッ素をドーピングした酸化スズなどの金属酸化物(以降「FTO」と略記する)などが挙げられる。導電性支持体は、光を10%以上透過する透明性を有していることが好ましく、50%以上透過することがより好ましい。この中でも、ITOやFTOからなる導電層をガラス上に堆積した導電性ガラスが特に好ましい。
透明導電性基板の抵抗を下げる目的で、金属リード線を用いてもよい。金属リード線の材質はアルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケルなどの金属が挙げられる。金属リード線は、透明導電性支持体に蒸着、スパッタリング、圧着などで設置し、その上にITOやFTOを設ける方法、あるいは表面に導電性を有する透明基板上に金属リード線を設置する方法がある。
半導体層が含有する半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、あるいは金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、またはペロブスカイト構造を有する化合物などがある。金属のカルコゲニドとしてはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、あるいはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物などが好ましいものとして挙げられる。その他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウムなどのリン化物やガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物などが好ましい。また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムなどが好ましい。
本発明に用いられる半導体は、単結晶でも多結晶でもよい。光電変換効率から見ると、単結晶が好ましいが、製造コスト、原材料確保などから見ると、多結晶が好ましい。半導体の粒径は、2nm以上、1μm以下であることが好ましい。
導電性支持体上に半導体層を形成する方法としては、半導体微粒子の分散液またはコロイド溶液を導電性支持体上に塗布する方法、ゾル−ゲル法などがある。分散液の作製方法としては、ゾル−ゲル法、乳鉢などで機械的に粉砕する方法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、または、半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させ、そのまま使用する方法などが挙げられる。
機械的粉砕、または、ミルを使用して粉砕して作製する分散液の場合、少なくとも半導体微粒子単独または半導体微粒子と樹脂の混合物を、水または有機溶剤に分散して作製される。使用される樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどによるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
半導体微粒子を分散する媒体としては、水、メタノール、エタノール、あるいはイソプロピルアルコールなどのアルコール系媒体、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトンなどのケトン系媒体、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチルなどのエステル系媒体、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサンなどのエーテル系媒体、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系媒体、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレンなどのハロゲン化炭化水素系媒体、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメンなどの炭化水素系媒体を挙げることができる。これらは、単独または2種以上の混合媒体として用いることができる。
分散液の塗布方法としては、ローラ法、ディップ法、エアーナイフ法、ブレード法、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、あるいはスプレー法を挙げることができる。
半導体層は単層であっても多層であってもよい。多層の場合、粒径の異なる半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類の異なる半導体や、樹脂、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布することもできる。また、一度の塗布で膜厚が不足する場合には多層塗布は有効な手段である。
一般的に、半導体層の膜厚が増大するほど単位投影面積当たりの担持色素量も増えるため光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離も増えるために電荷の再結合も多くなってしまう。従って、半導体層の膜厚は0.1〜100μmが好ましく、1〜30μmがより好ましい。
半導体微粒子は導電性支持体上に塗布した後、加熱処理してもよいし、しなくともよい。しかし、微粒子同士の電子的コンタクト及び塗膜強度の向上や支持体との密着性向上の点から、加熱処理をした方が好ましい。更に、マイクロ波照射、プレス処理あるいは電子線照射を行ってもよい。これらの処理は、単独で行っても構わないし、二種類以上行っても構わない。加熱処理の際、加熱温度は40〜700℃が好ましく、80〜600℃がより好ましい。また、加熱時間は5分〜50時間が好ましく、10分〜20時間がより好ましい。マイクロ波照射は、半導体電極の半導体層形成側から照射しても構わないし、裏側から照射しても構わない。照射時間には特に制限がないが、1時間以内で行うことが好ましい。プレス処理は、9.8×10N/m以上で行うことが好ましく、9.8×10N/m以上で行うことが更に好ましい。プレスする時間は、特に制限がないが、1時間以内で行うことが好ましい。
半導体微粒子は多くの色素を吸着できるように表面積の大きなものが好ましい。このため半導体層を支持体上に塗設した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。
本発明の一般式(1)で示される色素増感型太陽電池用色素は、単独で使用しても良く、2種以上を併用しても構わない。また、ルテニウム(Ru)錯体も用いた色素増感型太陽電池におけるRuの使用量を減少させる目的から、本発明の色素とRu錯体を併用しても構わない。他のメロシアニン色素、シアニン色素、9−フェニルキサンテン系色素、クマリン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素等と本発明の色素を併用しても構わない。
半導体層に色素を吸着させる方法としては、色素溶液中あるいは色素分散液中に半導体微粒子を含有する作用電極を浸漬する方法、色素溶液あるいは分散液を半導体層に塗布して吸着させる方法を用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法などを用いることができ、後者の場合は、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法などを用いることができる。
色素を吸着する際に、縮合剤を併用してもよい。縮合剤は、無機物表面に物理的あるいは化学的に色素を結合すると思われる触媒的作用をするもの、または、化学量論的に作用し、化学平衡を有利に移動させるもののいずれであってもよい。更に、縮合助剤としてチオールまたはヒドロキシ化合物を添加してもよい。
色素を溶解あるいは分散する媒体は、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、あるいはt−ブチルアルコールなどのアルコール系媒体、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトンなどのケトン系媒体、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチルなどのエステル系媒体、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサンなどのエーテル系媒体、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系媒体、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系媒体、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレンなどのハロゲン化炭化水素系媒体、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメンなどの炭化水素系媒体を挙げることができる。これらは、単独または2種以上混合して用いることができる。
色素を吸着する際の温度としては、−50℃以上200℃以下が好ましい。また、吸着は攪拌しながら行っても構わない。攪拌する場合の方法としては、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザーまたは超音波分散などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。吸着に要する時間は、5秒以上1000時間以下が好ましく、10秒以上500時間以下がより好ましく、1分以上150時間以下が更に好ましい。
本発明では、色素を半導体層に吸着させる際に、ステロイド系化合物を併用して、共吸着させても構わない。
そのステロイド系化合物の具体例としては、下記E−1〜E−10に示すものが挙げられる。ステロイド系化合物の量は、色素1質量部に対して0.01〜1000質量部が好ましく、0.1〜100質量部がより好ましい。
Figure 2013041748
Figure 2013041748
色素を吸着した後、または、色素と上記ステロイド系化合物を共吸着した後、t−ブチルピリジン、2−ピコリン、2,6−ルチジンなどの塩基性化合物、または、リン酸、リン酸エステル、アルキルリン酸、酢酸、プロピオン酸などの酸性化合物を含有する有機溶媒に浸漬処理しても構わない。
電荷移動層としては、酸化還元対を有機溶媒に溶解した電解液、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリックスに含浸したゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩、固体電解質、無機正孔輸送物質、有機正孔輸送物質などを用いることができる。
電解液は、電解質、溶媒、及び添加物から構成されることが好ましい。好ましい電解質はヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウムなどの金属ヨウ化物−ヨウ素の組み合わせ、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなどの4級アンモニウム化合物のヨウ素塩−ヨウ素の組み合わせ、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化カルシウムなどの金属臭化物−臭素の組み合わせ、テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなどの4級アンモニウム化合物の臭素塩−臭素の組み合わせ、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノンなどが挙げられる。上述の電解質は単独の組み合わせであっても混合であってもよい。また、電解質として、室温で溶融状態の溶融塩を用いることもできる。この溶融塩を用いた場合は、特に溶媒を用いなくても構わない。
電解液における電解質濃度は、0.05〜20Mが好ましく、0.1〜15Mが更に好ましい。電解液に用いる溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテルなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの非プロトン性極性溶媒などが好ましい。また、t−ブチルピリジン、2−ピコリン、2,6−ルチジンなどの塩基性化合物を併用しても構わない。
電解質は、ポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応などの手法により、ゲル化させることもできる。ポリマー添加によりゲル化させる場合の好ましいポリマーとしては、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンなどを挙げることができる。オイルゲル化剤添加によりゲル化させる場合の好ましいゲル化剤としては、ジベンジリデン−D−ソルビトール、コレステロール誘導体、アミノ酸誘導体、トランス−(1R,2R)−1,2−シクロヘキサンジアミンのアルキルアミド誘導体、アルキル尿素誘導体、N−オクチル−D−グルコンアミドベンゾエート、双頭型アミノ酸誘導体、4級アンモニウム誘導体などを挙げることができる。
多官能モノマーによって重合する場合の好ましいモノマーとしては、ジビニルベンゼン、エチレングルコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどを挙げることができる。更に、アクリルアミド、メチルアクリレートなどのアクリル酸やα−アルキルアクリル酸から誘導されるエステル類やアミド類、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジエチルなどのマレイン酸やフマル酸から誘導されるエステル類、ブタジエン、シクロペンタジエンなどのジエン類、スチレン、p−クロロスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウムなどの芳香族ビニル化合物、ビニルエステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、含窒素複素環を有するビニル化合物、4級アンモニウム塩を有するビニル化合物、N−ビニルホルムアミド、ビニルスルホン酸、ビニリデンフルオライド、ビニルアルキルエーテル類、N−フェニルマレイミドなどの単官能モノマーを含有してもよい。モノマー全量に占める多官能性モノマーは、0.5〜70質量%が好ましく、1.0〜50質量%がより好ましい。
上述のモノマーは、ラジカル重合によって重合することができる。本発明で使用できるゲル電解質用モノマーは、加熱、光、電子線あるいは電気化学的にラジカル重合することができる。架橋高分子が加熱によって形成される場合に使用される重合開始剤は、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシドなどの過酸化物系開始剤などが好ましい。これらの重合開始剤の添加量は、モノマー総量に対して、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
ポリマーの架橋反応により電解質をゲル化させる場合、架橋反応に必要な反応性基を含有するポリマー及び架橋剤を併用することが望ましい。架橋反応に必要な反応性基の好ましい例としては、ピリジン、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、トリアゾール、モルフォリン、ピペリジン、ピペラジンなどの含窒素複素環を挙げることができる。好ましい架橋剤は、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロリド、イソシアネートなどの窒素原子に対して求電子反応可能な2官能以上の試薬を挙げることができる。
無機正孔輸送物質を電解質の代わりに用いる場合、ヨウ化銅、チオシアン化銅などをキャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解メッキなどの手法により電極内部に導入することができる。
また、電解質の代わりに有機電荷輸送物質を用いることも可能である。電荷輸送物質には正孔輸送物質と電子輸送物質がある。前者の例としては、例えば特公昭34−5466号公報などに示されているオキサジアゾール類、特公昭45−555号公報などに示されているトリフェニルメタン類、特公昭52−4188号公報などに示されているピラゾリン類、特公昭55−42380号公報などに示されているヒドラゾン類、特開昭56−123544号公報などに示されているオキサジアゾール類、特開昭54−58445号公報に示されているテトラアリールベンジジン類、特開昭58−65440号公報、あるいは特開昭60−98437号公報に示されているスチルベン類などを挙げることができる。その中でも、本発明に使用される電荷輸送物質としては、特開昭60−24553号公報、特開平2−96767号公報、特開平2−183260号公報、並びに特開平2−226160号公報に示されているヒドラゾン類、特開平2−51162号公報、並びに特開平3−75660号公報に示されているスチルベン類が特に好ましい。また、これらは単独、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。
一方、電子輸送物質としては、例えばクロラニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン、あるいは1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシドなどがある。これらの電子輸送物質は単独、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。
更に、電荷移動層中の電荷移動効率を向上させる目的として、ある種の電子吸引性化合物を電荷移動層中に添加することもできる。この電子吸引性化合物としては例えば、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、1−ニトロアントラキノン、1−クロロ−5−ニトロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、フェナントレンキノンなどのキノン類、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、9−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフェノン、あるいは3,3′,5,5′−テトラニトロベンゾフェノンなどのケトン類、無水フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物などの酸無水物、テレフタラルマロノニトリル、9−アントリルメチリデンマロノニトリル、4−ニトロベンザルマロノニトリル、あるいは4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)ベンザルマロノニトリルなどのシアノ化合物、3−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)フタリド、あるいは3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリドなどのフタリド類などを挙げることができる。
電荷輸送材料を用いて電荷移動層を形成する場合、樹脂を併用しても構わない。樹脂を併用する場合にはポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂が好ましい。これらの樹脂は、単独あるいは共重合体として2種以上を混合しても構わない。
電荷移動層の形成方法は大きく2通りの方法が挙げられる。1つは、色素を吸着した半導体層の上に、先に対極を貼り合わせ、その隙間に液状の電荷移動層を挟み込む方法である。もう一つは、色素を吸着した半導体層の上に直接電荷移動層を付与する方法である。後者の場合、電荷移動層の上に対極を新たに付与することになる。
前者の場合、電荷移動層の挟み込み方法として、浸漬などによる毛管現象を利用する常圧プロセスと常圧より低い圧力にして気相を液相に置換する真空プロセスが挙げられる。後者の場合、湿式の電荷移動層においては、未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止を施す必要がある。また、ゲル電解液の場合においては、湿式で塗布して重合などの方法により固体化する方法もある。その場合、乾燥、固定化した後に対極を付与してもよい。電解液の他、有機電荷輸送材料の溶解液やゲル電解質を付与する方法としては、半導体層や色素の付与と同様に、浸漬法、ローラ法、ディップ法、エアーナイフ法、エクストルージョン法、スライドホッパー法、ワイヤーバー法、スピン法、スプレー法、キャスト法、各種印刷法などが挙げられる。
対極は、前述の表面に導電性を有する基板と同様に導電層を有する支持体上に用いることができるが、導電層自体が強度や密封性を十分有する場合は必ずしも支持体は必要ではない。対極に用いる材料の具体例としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウムなどの金属、炭素系化合物、ITO、FTOなどの導電性金属酸化物などが挙げられる。対極の厚さには特に制限はない。
半導体層に光が到達するためには、半導体層を保持した表面に導電性を有する基板と対極の少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の光電変換素子においては、半導体微粒子層を保持した表面に導電性を有する基板が透明であり、太陽光を半導体層を保持した導電性基板側から入射させる方法が好ましい。この場合、対極には光を反射させる材料を使用することが好ましく、金属、導電性酸化物を蒸着したガラス、プラスチックまたは金属薄膜が好ましい。
対極の塗設については、前述の通り、電荷移動層の上に付与する場合と半導体層上に付与する場合の2通りがある。いずれの場合も対極材料の種類や電荷移動層の種類により、適宜、電荷移動層上または半導体層上に対極材料を塗布、ラミネート、蒸着、貼り合わせなどの手法により形成可能である。また、電荷移動層が固体の場合には、その上に直接、前述の導電性材料を塗布、蒸着、化学気相蒸着(CVD)などの手法で対極を形成することができる。
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
(合成例1:色素D−6の合成)
中間体A;0.64g、中間体B;0.46g、メタノール20mlを混合し、2時間加熱還流を行った。ついで室温まで冷却、そして析出した固体を濾取し、更にメタノール15mlで洗浄後乾燥して、0.55gの粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=10/1(容量比))で精製して、0.30gの色素D−6を得た。
吸収極大(メタノール溶液):555nm
(合成例2:色素D−9の合成)
中間体A;0.64g、中間体C;0.49g、メタノール20mlを混合し3時間加熱還流を行った。ついで室温まで冷却、そして析出した固体を濾取し、更にメタノール15mlで洗浄後乾燥して、0.50gの粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=10/1(容量比))で精製して、0.22gの色素D−9を得た。
吸収極大(メタノール溶液):555nm
Figure 2013041748
(実施例1)
<色素増感型太陽電池の作製>
酸化チタン(日本アエロジル社製、商品名:P−25)2g、アセチルアセトン0.2g、界面活性剤(アルドリッチ社製、商品名:Triton X−100)0.3gを水6.5gと共にペイントコンディショナー(レッドデビル社製)で6時間分散処理を施した。更に、この分散液4.0gに対して濃硝酸0.2ml、エタノール0.4ml、ポリエチレングリコール(#20,000)1.2gを加えてペーストを作製した。このペーストをFTOガラス基板上に膜厚10μmになるように塗布し、室温で乾燥後、100℃で1時間、更に、550℃で1時間焼成し、半導体電極を得た。
表1に示す本発明の色素及び下記比較の色素を、それぞれt−ブチルアルコール/アセトニトリル(1/1=容積比)の混合溶液に溶解し、0.3mMの濃度の色素溶液を作製した。これらの色素溶液に、先に作製した半導体電極を室温で2時間浸漬して吸着処理を施し、色素吸着半導体電極(作用電極)を作製した。対極にはチタニウム板上に白金をスパッタリングしたものを使用した。両電極を互いに向かい合うように配置し、それらの間に電解液を注入して色素増感型太陽電池を作製した。電解液はヨウ化リチウム0.1M、ヨウ素0.05M、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウム0.5M、4−t−ブチルピリジン0.05Mの3−メトキシプロピオニトリル溶液を使用した。
<光電変換効率の評価>
このようにして作製した色素増感型太陽電池の作用電極側から、光源としてソーラーシミュレーター(山下電装(株)製、装置名:YSS−40S)から発生した擬似太陽光(AM1.5G、照射強度100mW/cm)を照射し、電気化学測定装置(ソーラートロン社製、装置名:SI−1280B)を用いて光電変換特性を測定した。以上のようにして得られた本発明及び比較の色素を用いて作製した各々の色素増感型太陽電池の光電変換効率について、比較色素C−1の光電変換効率を100とした場合の相対値として評価した。また作用電極の色調を目視で評価した。以上の結果を表1に示す。
Figure 2013041748
Figure 2013041748
Figure 2013041748
(実施例2)
本発明の色素(D−3、D−4、D−6、D−7、D−11、D−18)及び比較の色素(C−1、C−3)をt−ブチルアルコール/アセトニトリル(1/1=容積比)の混合溶液に溶解し、0.3mMの濃度の色素溶液を作製した。この色素溶液に、ステロイド化合物(E−1)を0.6mMの濃度で溶解した。ついで、この色素溶液に、実施例1で作製した半導体電極を室温で2時間浸漬して吸着処理を施した。以下実施例1と同様の方法で、光電変換特性を評価した。以上のようにして得られた本発明及び比較の色素を用いて作製した各々の色素増感型太陽電池の光電変換効率について、比較色素C−1の光電変換効率を100とした場合の相対値として評価した。また作用電極の色調を目視で評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2013041748
表1、表2の結果から明らかなように、本発明の化合物を使用した光電変換材料は、青紫〜青の色調を有し、かつ光電変換効率が比較化合物より高く、優れた光電変換特性を有していることがわかる。またD−18とその他の本発明の色素との比較より、本発明の特に好ましい態様の優位性も明らかである。
本発明の色素増感型太陽電池用色素は、色素増感型太陽電池に加えて、特定波長の光に感応する光センサーなどに活用することができる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で示される色素増感型太陽電池用色素。
    Figure 2013041748
    (一般式(1)において、Rは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を示すが、R−O−が結合するベンゼン環とRとが連結して、縮環構造となる事はない。RとRは水素原子またはアルキル基を示し、両者が連結してシクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成しても良い。L、Lは共役メチン基ユニットを示す。Lはアルキレン基を示す。Rはハメットの置換基定数σp値が負の値となる電子供与性基を示す。RはpKaが6未満の酸性基を示す。Xはカウンターアニオンを示す。)
  2. 請求項1に記載の色素増感型太陽電池用色素により増感された半導体電極。
  3. 請求項2記載の半導体電極を用いてなる色素増感型太陽電池。
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