JP2013040597A - 太陽熱を利用したバイナリ発電装置及びバイナリ発電方法 - Google Patents

太陽熱を利用したバイナリ発電装置及びバイナリ発電方法 Download PDF

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Abstract

【課題】太陽熱を利用したバイナリ発電装置において多くの発電量を得る。
【解決手段】本発明の太陽熱を利用したバイナリ発電装置1は、太陽熱で液体の作動媒体Tを蒸発させる集熱部2と、集熱部2で生成された作動媒体Tの蒸気を用いて発電を行う発電機3と、発電機3に用いられた作動媒体Tの蒸気を冷温媒体と熱交換することによって、作動媒体を液体に凝縮させる凝縮器4と、媒体循環ポンプ6とを有し、前記媒体循環ポンプ6によって集熱部2、発電機3、凝縮器4の順に作動媒体Tを循環して発電を行う発電装置1において、集熱部2が、建屋Bの屋上部Rに加えて、建屋Bの外壁面W及び/又は建屋Bの周囲Sに設置されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽熱を利用したバイナリ発電装置及びバイナリ発電方法に関する。
従来、蒸気タービンを回転させるほどの熱量を持たない低温の熱源から低沸点の作動媒体の熱サイクルに熱を移動し、この循環サイクル内で作動媒体を用いた発電を行う発電装置として、バイナリ発電装置がある。
バイナリ発電とは、2つの熱サイクルを併用して発電を行うものであり、バイナリ発電装置の熱源にはさまざまなものが用いられるが、以下の特許文献1〜特許文献8に示すように太陽熱を熱源とするものもある。
例えば、特許文献1には、「高温媒体との熱交換により冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器から供給される冷媒により駆動されるタービン発電機と、前記タービン発電機から排出される冷媒が冷温媒体との熱交換により冷媒を凝縮させる凝縮器と、上記凝縮器により凝縮された冷媒を蒸発器に供給するポンプとを有し、蒸発器、タービン発電機、凝縮器及びポンプを内部に上記冷媒が封入されたクローズドサイクルラインで接続」した発電装置が開示されている。
また、特許文献2には、「太陽光を集光する集光手段と、該集光手段により集光された光に含まれる熱を集熱する集熱手段と、該記集熱手段により集熱した熱により加熱される媒体を内部に有した媒体管と、前記集光手段、前記集熱手段、及び前記媒体管を一体化する筐体と、を備え、前記集熱手段は、金属、又は/及び、カーボンを素材とした織物状の構造を備え、前記媒体管を挟み込んだ構成を有していることを特徴とする集熱装置」が開示されている。
上述した特許文献1及び特許文献2の発電装置は、屋根などの屋上部で太陽熱を集熱する集熱部を設けておき、集熱部で集熱した太陽熱を熱源としてバイナリ発電を行うものである。
一方、特許文献3〜特許文献8には、屋上部に集熱器を有するものではないが、反射鏡を用いて太陽熱を集熱したり、作動媒体の循環量を適確に制御したり、蒸発器が空焚き状態になることを防止したり、あるいは運転再開時の起動時間を短縮したりなどして、バイナリ発電を効率よく行う発電装置も開示されている。
特開2004−286024号公報 特開2010−121908号公報 特開平02−293562号公報 特開昭59−107144号公報 特開昭60−003488号公報 特開昭60−138357号公報 特開昭60−228777号公報 特開平04−219470号公報
特許文献1及び特許文献2に開示された発電装置は、太陽熱を遮ることのない建屋の屋上部に集熱部を設けたもので、集熱する場所は建屋の屋上部に限られている。ところが、建屋の間取りや構造、あるいは建屋がどの方角を向くかによっては、建屋の屋上部であっても十分な集熱面積を得ることが困難な場合があり、十分な太陽熱を集熱できない場合がある。つまり、建屋の屋上部だけに集熱部を設ける場合には、集熱面積が不足して十分な発電量(発電効率)を得られない場合が起こりうる。
また、特許文献3〜特許文献8には発電量を高められる手段がさまざま開示されているので、建屋の屋上部でも十分な太陽熱を集熱できるように、これらの手段で得られる発電量の上昇や発電効率の向上を利用すればよいと考えることもできる。
しかし、特許文献3〜特許文献8の手段で得られる発電量の増加は原則としてわずかなものでしかない。つまり、特許文献3〜特許文献8に示すような手段は、屋上部だけでは発電量が根本的に不足している場合に、発電量の不足分を確実に補えるほど有効な手段とも言えない。
本発明は、上述の問題を鑑みてなされたものであり、集熱部を屋上部以外にも増設することで太陽熱の集熱量を増加して多くの発電量を得ることができる太陽熱を利用したバイナリ発電装置及びバイナリ発電方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は次の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明の太陽熱を利用したバイナリ発電装置は、太陽熱で液体の作動媒体を蒸発させる集熱部と、前記集熱部で生成された作動媒体の蒸気を用いて発電を行う発電機と、前記発電機に用いられた作動媒体の蒸気を冷温媒体(冷却水)と熱交換することによって、作動媒体を液体に凝縮させる凝縮器と、媒体循環ポンプとを有し、前記媒体循環ポンプによって前記集熱部、発電機、凝縮器の順に作動媒体を循環して発電を行う太陽熱を利用したバイナリ発電装置において、前記集熱部は、建屋の屋上部に加えて、当該建屋の外壁面及び/又は建屋の周囲に設置されていることを特徴とするものである。
また、前記集熱部に集熱される太陽熱の熱量に応じて、前記集熱部に供給する作動媒体の流量を調整する循環量調整手段を備えていることが好ましい。
また、前記循環量調整手段は、前記集熱部から流出する作動媒体の温度を計測する温度測定器と、前記温度測定器で計測された作動媒体の温度が降下した際に作動媒体の流量を減少させるように制御する制御部と、を備えていることが好ましい。
また、前記循環量調整手段は、前記集熱部から流出する作動媒体の出側圧力を計測する圧力測定器と、前記圧力測定器で計測された作動媒体の出側圧力が降下した際に作動媒体の流量を減少させるように制御する制御部と、を備えていることが好ましい。
また、前記循環量調整手段は、前記集熱部には太陽光の強度を計測する太陽光強度測定器と、前記太陽光強度測定器で計測された太陽光の強度が低くなった際に作動媒体の流量を減少させるように制御する制御部と、を備えていることが好ましい。
さらに、前記集熱部のそれぞれに媒体循環ポンプからの作動媒体を分岐して供給する分岐流路が設けられていて、前記循環量調整手段には、作動媒体を供給する流路を分岐流路の中で選択的に切り替える切替部が備えられていることが好ましい。
前記集熱部に太陽光を反射させる反射部が、前記建屋の屋上部、建屋の外壁面又は建屋の周囲のいずれかに設けられていることが好ましい。
一方、太陽熱を利用したバイナリ発電方法は、太陽熱で液体の作動媒体を蒸発させ、蒸発した作動媒体の蒸気を用いて発電を行い、発電に用いた作動媒体の蒸気を冷温媒体と熱交換して再び液体の作動媒体に戻す順序で、媒体循環ポンプによって作動媒体を循環させながら発電を行うバイナリ発電方法であって、前記太陽熱で液体の作動媒体を蒸発させる集める集熱部を、建屋の屋上部に加えて、当該建屋の外壁面及び/又は建屋の周囲に設けておき、前記液体の作動媒体を、前記建屋の屋上部以外の集熱部にも供給して発電を行うことを特徴とするものである。
また、前記集熱部に供給する前記作動媒体の流量を、集熱部に集熱される太陽熱の熱量に応じて調整することが好ましい。
また、前記作動媒体の流量を調整するに際しては、前記集熱部から流出する作動媒体の出側温度を計測し、計測された作動媒体の出側温度が降下した際に作動媒体の流量を減少させることが好ましい。
また、前記作動媒体の流量を調整するに際しては、前記集熱部から流出する作動媒体の出側圧力を計測し、計測された作動媒体の出側圧力が降下した際に作動媒体の流量を減少させること好ましい。
また、前記作動媒体の流量を調整するに際しては、前記集熱部に照射される太陽光の強度を計測し、計測された太陽光の強度が低くなった際に作動媒体の流量を減少させることが好ましい。
さらに、前記集熱部のそれぞれに媒体循環ポンプからの作動媒体を分岐して供給する分岐流路を設けておき、前記作動媒体を供給する流路を分岐流路の中で選択的に切り替えること好ましい。
本発明の太陽熱を利用したバイナリ発電装置及び太陽熱を利用したバイナリ発電方法によれば、集熱部を屋上部以外にも増設することで太陽熱の集熱量を増加させて多くの発電量を得ることができる。
第1実施形態の発電装置の説明図である。 第2実施形態の発電装置の説明図である。 第3実施形態の発電装置の説明図である。 第4実施形態の発電装置の説明図である。 第5実施形態の発電装置の説明図である。 第5実施形態の発電装置の変形例を説明図である。
[第1実施形態]
以下、本発明に係る太陽熱を利用したバイナリ発電装置1(以下、発電装置1と呼ぶことがある)の実施形態を示している。
図1に示すように、第1実施形態の発電装置1は、建屋Bや建屋Bの周囲に射し込む太陽光による熱を熱源として利用して発電を行うものであって、太陽熱を集めて液体の作動媒体Tを蒸発させる集熱部2と、この集熱部2で生成された作動媒体Tの蒸気を用いて発電を行う発電機3と、この発電機3に用いられた作動媒体Tの蒸気を冷温媒体(冷却水)と熱交換することによって、作動媒体Tを液体に凝縮させる凝縮器4とを有している。これらの集熱部2、発電機3、凝縮器4は作動媒体Tを循環させる閉ループ状の循環配管5により接続されており、この循環配管5には作動媒体Tを集熱部2から発電機3・凝縮器4を経由して集熱部2に帰還する順に循環させる媒体循環ポンプ6が備えられている。
まず、本発明のバイナリ発電装置1が設けられる建屋Bについて説明する。図1に示すように、建屋Bには一般の住宅以外にも小規模建屋や、マンション、商業ビル、オフィスビル、工場、倉庫などの中・大規模建屋が含まれる。このような建屋Bの最上部には屋根やベランダなどの屋上部Rが設けられており、上述した集熱部2はこの建屋Bの屋上部Rに設けられている。なお、本発明の屋上部Rには、ビルや学校などの屋上のように平坦な床面を備えた屋上のみでなく、瓦葺きやスレート葺きの家屋の屋根のように傾斜した場所であっても良い。このように傾斜した場所であっても集熱部2を敷設することは十分に可能であるからである。
次に、第1実施形態の発電装置1を構成する集熱部2、発電機3、凝縮器4及び媒体循環ポンプ6について説明する。
図1に示すように、集熱部2(後述する第1集熱部7に対応)は、建屋Bに射し込んだ太陽光から熱を集熱して、液体の作動媒体Tを蒸発させて作動媒体Tの蒸気を生成するものである。集熱部2は、一般に温水器として知られている強制循環型の太陽熱集熱器を転用したものであり、本実施形態では平板型集熱器を用いている。集熱部2は、屋上部Rの表面に沿って蛇行するように配管(作動媒体流路)が配備されており、屋上部Rの広い面積から太陽熱を効率よく集められるようになっている。
集熱部2は、建屋Bの屋上部Rにおける太陽光が十分に当たる部分に設置されている。図例の集熱部2の左下側には、入側の循環配管5が配備されており、入側の循環配管5を経由して液体の作動媒体Tが集熱部2に供給されている。また、図例の集熱部2の右上側には出側の循環配管5が配備されており、出側の循環配管5を通じて集熱部2で液体から蒸気に気化(蒸発)した作動媒体Tを発電機3の膨張部8に送ることができるようになっている。
上述した集熱部2に供給される作動媒体Tは、例えばペンタン、ヘキサンや代替フロン(R245fa)のような低沸点の有機媒体である。このような低沸点の有機媒体を用いることにより、集熱部2で集められた太陽熱を熱源とするだけでも十分に蒸発が可能となっている。集熱部2に集められた太陽熱で気化した作動媒体Tの蒸気は上述した集熱部2の出側の循環配管5を通じて発電機3の膨張部8に送られる。
発電機3は、集熱部2で生成された作動媒体Tの蒸気を利用して発電を行うものである。発電機3は、集熱部2から送られてきた作動媒体Tの蒸気を膨張させ、膨張前後の蒸気の圧力差を利用してスクリュロータ15を回転駆動する膨張部8と、このスクリュロータ15の回転力を利用して発電を行う発電部9と、を有している。図例の発電機3の左側には集熱部2の出側(膨張部8の入側)の循環配管5が接続されており、集熱部2で生成された作動媒体Tの蒸気を導入できるようになっている。また、図例の発電機3の右側には凝縮器4の入側(膨張部8の出側)の循環配管5が接続されており、発電に用いられた後(仕事をした後)の作動媒体Tを凝縮器4に送ることができるようになっている。
凝縮器4は、発電機3で発電に使用された作動媒体Tの蒸気を、冷温媒体(冷却水)と熱交換することによって、作動媒体Tの蒸気を液体に凝縮させている。具体的には、凝縮器4は熱交換器となっていて、1次側に供給された発電後の作動媒体Tの蒸気を2次側に供給された冷温媒体(冷却水)と熱交換することにより、作動媒体Tの蒸気を凝縮して作動媒体Tの液体を生成することができるようになっている。凝縮器4で凝縮された液体の作動媒体Tは、媒体循環ポンプ6に送られる。
媒体循環ポンプ6は、凝縮器4で凝縮された液体の作動媒体Tを集熱部2に圧送するものである。図例の媒体循環ポンプ6の右側には入側(凝縮器4の出側)の循環配管5が接続されており、凝縮器4で凝縮された液体の作動媒体Tを供給できるようになっている。また、図例の媒体循環ポンプ6の左側には出側(集熱部2の入側)の循環配管5が接続されており、作動媒体Tを集熱部2に圧送できるようになっている。
このようにして作動媒体Tは、媒体循環ポンプ6→屋上部Rの集熱部2→発電機3(膨張部8)→凝縮器4→媒体循環ポンプ6の順に閉ループ状に形成された循環配管5を循環し、このとき発電機3(発電部9)で発電が行われる。
ところで、建屋Bの屋上部Rは、一般的に建屋Bの最上部に設けられており、通常このような最上部では遮られることなく太陽の光が差し込むため、集熱部2を設ける場所としては最も相応しい。
しかし、建屋Bの屋上部Rに集熱部2を設けた場合であっても、必要とする発電量をまかなえない場合は考えられる。例えば、建屋Bが小規模建屋で屋上部Rだけでは必要な集熱面積が取れない場合、あるいは、建屋Bの屋上部Rが北側に向かって傾斜している屋根などである場合、このように北側を向く屋根には太陽熱は届きにくく十分な量の太陽熱を確保できない虞がある。また、ヘリポートやその他の設備が屋上部Rに設けられていて、屋上部Rに十分な設置スペースを確保できないような場合にも、屋上部Rに十分な設置スペースが得られず必要な発電量が得られない可能性がある。また、日射方向は変化するものであるため、季節や時間帯によって集熱率が悪くなる可能性がある。
そこで、本発明の発電装置1では、集熱部2は、建屋Bの屋上部Rに加えて、この建屋Bの外壁面W及び/又は建屋Bの周囲Sに設置されている。つまり、建屋Bの屋上部Rに設けられた集熱部2を第1集熱部7とすると、本発明の発電装置1はこの建屋Bの外壁面W及び/又は建屋Bの周囲Sに、第1集熱部7とは別の第2集熱部10を設けたものということもできる。
なお、以降の説明では、屋上部Rの集熱部2を「第1集熱部7」、建屋Bの外壁面Wや建屋Bの周囲Sに設置された集熱部2を「第2集熱部10」や「第3集熱部11」と呼んで、両者を区別して説明する。
第2集熱部10及び第3集熱部11は、上述した屋上部Rの第1集熱部7と同様に、強制循環型の太陽熱集熱器を用いて太陽熱を集熱するものである。その構造は、第1集熱部7とほぼ同じであり、屋上部Rの表面に沿って蛇行する配管(作動媒体流路)を備えている。
本実施形態では、第1集熱部7以外の集熱部2として第2集熱部10と第3集熱部11との2つの集熱部2が建屋Bの外壁面Wに設けられている例を挙げている。しかしながら、本発明の発電装置1では第1集熱部7以外の集熱部2として第2集熱部10のみが設けられていても良いし、第1集熱部7以外の集熱部2が3箇所以上設けられていても良い。また、第2集熱部10または第3集熱部11のいずれか一方を建屋Bの外壁面Wではなく建屋Bの周囲Sに設けても良いし、両方を建屋Bの周囲Sに設けても良い。
なお、上述した「建屋Bの周囲S」とは、建屋Bの屋上部R及び外壁面Wを除く場所であって、循環配管5での放熱や伝熱による作動媒体の温度ロスがあまり問題とならないように建屋Bからあまり離れていない場所、具体的には家屋の庭や建屋Bが設けられた敷地内の空きスペース、あるいは建屋Bの敷地に隣接した空きスペースなどを意味する。
第1実施形態の発電装置1では、第2集熱部10は、建屋Bの外壁面Wのうち日当たりの良い外壁面W、例えば、東方向を向く外壁面Wに設けられているとする。
第3集熱部11は、建屋Bの外壁面Wのうち、第2集熱部10に隣接した外壁面Wであって、太陽の光が当たる外壁面W、例えば、南向きの外壁面Wに設けられているとする。このような第2集熱部10を設ければ昼間に比べて陽が差し込みにくい朝方にも太陽熱を効率良く集熱でき、一日を通して高い発電効率を実現することができる。
上述した第2集熱部10及び第3集熱部11には、第1集熱部7に作動媒体Tを供給する循環配管5(第1配管12)から分岐された分岐配管がそれぞれ接続されており、これらの分岐配管を介して作動媒体Tの一部が供給されている。
これらの分岐配管は第1集熱部7をバイパスするように第1集熱部7の入側に接続された循環配管に対して並列に設けられる循環配管であり、第1実施形態では、媒体循環ポンプ6から送り出された作動媒体Tは、第1集熱部7の入側に接続された循環配管(以降、第1配管12という)と、第2集熱部10の入側に接続された循環配管(以降、第2配管13という)と、第3集熱部11の入側に接続された循環配管(以降、第3配管14という)との3本の循環配管に分かれて作動媒体Tを送るようになっている。
具体的には、第2配管13および第3配管14は媒体循環ポンプ6から第1集熱部7に向かう中途の第1配管12から分岐している。また、第2集熱部10の出側および第3集熱部11の出側にそれぞれ接続された循環配管は、第1集熱部7の出側に接続された循環配管と共に膨張部8の入側へ接続される。
次に、第1実施形態の発電装置1で発電する方法、言い換えれば本発明の発電方法について説明する。
本発明の発電方法は、太陽熱を集熱することで液体の作動媒体Tを蒸発させ、蒸発した作動媒体Tの蒸気を用いて発電を行い、発電に用いた作動媒体Tの蒸気を冷温媒体と熱交換して再び液体の作動媒体Tに戻す順序で、作動媒体Tを循環させながら発電を行うものであって、太陽熱を集める集熱部2を、建屋Bの屋上部Rに加えて、この建屋Bの外壁面W及び/又は建屋Bの周囲Sに設けておき、液体の作動媒体Tを建屋Bの屋上部R以外の集熱部2(上述した第2集熱部10及び第3集熱部11)にも供給して発電を行うことを特徴とするものである。
具体的には、まずこれらの第1集熱部7〜第3集熱部11で太陽熱の集熱を行い、集熱された太陽熱を利用して液体の作動媒体Tを蒸発させ、作動媒体Tの蒸気を生成する。このようにして生成した作動媒体Tの蒸気は第1配管12〜第3配管14を通って発電機3の膨張部8に送られる。
発電機3の膨張部8では、第1集熱部7〜第3集熱部11で生成された作動媒体Tの蒸気が膨張し、膨張前後の作動媒体Tの圧力差を利用してスクリュロータ15が回転駆動し、このスクリュロータ15の回転力を利用して発電機3の発電部9を駆動して発電が行われる。
発電機3の発電部9で発電に用いられた作動媒体Tの蒸気は、発電機3の出側の循環配管5を通じて凝縮器4に送られる。凝縮器4では、発電機3から送られてきた作動媒体Tの蒸気が冷却水と熱交換され、作動媒体Tが液体に凝縮される。
凝縮器4で凝縮された液体の作動媒体Tは媒体循環ポンプ6に送られ、媒体循環ポンプ6で圧送された液体の作動媒体Tは第1配管12〜第3配管14に分岐されて、第1集熱部7〜第3集熱部11のそれぞれに再び送られる。
このようにして、作動媒体Tが媒体循環ポンプ6→第1集熱部7〜第3集熱部11→発電機3(膨張部8)→凝縮器4→媒体循環ポンプ6の順に閉ループ状に形成された循環配管5を循環し、このとき発電機3で発電が行われる。
上述したように第2集熱部10及び第3集熱部11を建屋Bの外壁面Wや建屋Bの周囲Sに設ければ、建屋Bの外壁面Wや周囲Sでも太陽熱が集熱され、屋上部Rだけの場合より太陽熱を集熱する面積を大幅に広くすることができる。例えば、図例では2つの外壁面Wに第1集熱部7と同等かやや集熱面積の小さな第2集熱部10や第3集熱部11が設けられているので、これらの集熱面積を考慮すると太陽熱を集熱する面積は屋上部Rだけの場合より少なくとも2倍以上には増加している。それゆえ、本発明の発電装置1では発電に利用される太陽熱の量が飛躍的に増加し、十分な発電量を確保することが可能となる。
このように第2集熱部10及び第3集熱部11を併用することによって十分な発電量を確保することが可能となる発電装置1は、特に、建屋Bの屋上部Rに十分な第1集熱部7の設置スペースが確保できない場合や、第1集熱部7だけでは屋上部Rの傾斜方向などによって十分な集熱面積が得られない場合に有用である。
また、建屋Bの外壁面Wや建屋Bの周囲Sに第2集熱部10及び第3集熱部11を設ける場合に、前述のごとく、第2集熱部10を東向き、第3集熱部11を南向きに設ければ、太陽光が東方から差し込む午前〜日中にかけて活発に発電を行うことができる。逆に、第2集熱部10を南向き、第3集熱部11を西向きに設ければ、日中〜午後に活発に発電を行うことができる。このようにして第1実施形態の発電装置1では、第2集熱部10及び第3集熱部11を設置する向きを陽の差し込む方向に合わせて変えることで、一日を通じて太陽熱を絶えず集熱して、太陽熱を確実に集熱して効率の良い発電を行うことが可能となる。
[第2実施形態]
次に、本発明の発電装置1の第2実施形態について説明する。
図2に示すように、第2実施形態の発電装置1は、集熱部2に集熱される太陽熱の熱量に応じて、集熱部2に供給する作動媒体Tの流量を調整する循環量調整手段16を備えたものである。
この循環量調整手段16において作動媒体Tの循環量を調整(制御)する目安となる「集熱部2に集熱される太陽熱の熱量」とは、第1集熱部7〜第3集熱部11のそれぞれから流出する作動媒体Tの出側温度、作動媒体Tの出側圧力、または各集熱部2に差し込む太陽光の強度などによって判断される。
以降の第2実施形態では、まず作動媒体Tの出側温度を用いて各集熱部2に集熱される太陽熱の熱量を判断し、判断された太陽熱の熱量に応じて各集熱部2に供給する作動媒体Tの流量(循環量)を調整する機構について説明する。
第2実施形態の循環量調整手段16は、集熱部2から流出する作動媒体Tの出側温度を計測する温度測定器と、温度測定器で計測された作動媒体Tの出側温度が降下した際に作動媒体Tの流量を減少させるように制御する制御部と、を備えている。また、第2実施形態の循環量調整手段16には、媒体循環ポンプ6から第1集熱部7〜第3集熱部11に向かうそれぞれの第1配管12〜第3配管14に設けられて、これらの第1配管12〜第3配管14を流れる作動媒体Tの流量を制御する制御弁が設けられている。
次に、第2実施形態の循環量調整手段16を構成する温度測定器、制御弁及び制御部について説明する。
図2に明示するように、温度測定器は、集熱部毎に設けられている。第1集熱部7の出側には、この第1集熱部7から出側に流出する作動媒体Tの温度を計測する第1温度測定器17が設けられている。第2集熱部10の出側には、この第2集熱部10から出側に流出する作動媒体Tの温度を計測する第2温度測定器18が設けられている。第3集熱部11の出側には、第3集熱部11から出側に流出する作動媒体Tの温度を計測する第3温度測定器19が設けられている。具体的には、本実施の形態では、第1温度測定器17が第1集熱部7の出側の循環配管に、第2温度測定器18が第2集熱部10の出側の循環配管に、第3温度測定器19が第3集熱部11の出側の循環配管にそれぞれ設けられている。これらの第1温度測定器17〜第3温度測定器19には例えば作動媒体Tの蒸気の温度を計測可能な熱電対などが用いられる。
第1温度測定器17では、屋上部Rの第1集熱部7で集熱された太陽熱によって温度上昇した作動媒体Tの温度が計測されており、計測された作動媒体Tの出側温度が「第1集熱部7に集熱される太陽熱の熱量」を表す指標として第1制御部20に出力される。第2温度測定器18、第3温度測定器19も同様な働きをし、その出力は第2制御部21、第3制御部22へ送られる。
制御弁は、第1集熱部7に対する入側の循環配管である第1配管12に設けられて第1集熱部7に流れる作動媒体Tの循環量を調整する第1制御弁23と、第2集熱部10に対する入側の循環配管である第2配管13に設けられて第2集熱部10に流れる作動媒体Tの循環量を調整する第2制御弁24と、第3集熱部11に対する入側の循環配管である第3配管14に設けられて第3集熱部11に流れる作動媒体Tの循環量を調整する第3制御弁25とを備えている。
第1制御弁23、第2制御弁24および第3制御弁25は、それぞれに対応する後述の第1制御部20、第2制御部21または第3制御部22からの指令に基づいて、弁開度の調整やON―OFFの切り替えが可能なものであり、これらの制御弁が設けられた循環配管(第1配管12〜第3配管14)を通って各集熱部へ供給する液体の作動媒体Tの循環量を増減できるようになっている。
制御部は、温度測定器で計測された作動媒体Tの温度に基づいて、各集熱部2を循環する作動媒体Tの流量を調整する制御弁を制御するものである。具体的には、制御部は、第1温度測定部で測定された作動媒体温度に基づいて第1制御弁23を制御する第1制御部20と、第2温度測定部で測定された作動媒体温度に基づいて第2制御弁24を制御する第2制御部21と、第3温度測定部で測定された作動媒体温度に基づいて第3制御弁25を制御する第3制御部22とを有している。
例えば、第1制御部20、第2制御部21および第3制御部22には、所望の蒸気が得られる作動媒体Tの温度(例えば、作動媒体の沸点あるいは沸点より数℃高い温度)が閾値(設定値)として予め入力されている。そして、第1温度測定器17〜第3温度測定器19で測定された作動媒体Tの温度が閾値以上の場合は閾値を下回らない範囲で各制御弁を通過する流量を多くする。このように流量を多くすると、作動媒体Tの温度も下がる。それゆえ、作動媒体Tの温度が閾値まで下がってきた場合には、作動媒体Tの温度が下げどまる(作動媒体の温度が閾値となる)ように流量を少なくする。一方、作動媒体Tの温度が閾値未満の場合は、作動媒体Tの温度が閾値以上となるように各制御弁を通過する作動媒体Tの流量を0乃至0に近くなるように調整する。第1制御部20〜第3制御部22は、1つのコンピュータ又はPLCなどで実現されていてもよいし、各制御部がそれぞれ1台ずつのコンピュータ乃至はPLCで構成されていてもよい。
次に、上述した第2実施形態の発電装置1で発電する方法について説明する。
例えば、図2に示す如く、屋上部Rが南向きに傾斜した屋根であって、この屋根に第1集熱部7が設けられ、第2集熱部10が東向きの外壁面Wに設けられ、第3集熱部11が南向きの外壁面Wに設けられた建屋Bを考える。
朝方、建屋Bに差し込む太陽光からの熱を利用して発電を行う場合、東向きの第2集熱部10には陽が強く差し込み、第2集熱部10には多量の太陽熱が集熱されて作動媒体Tの温度(第2集熱部10出側の温度)が上昇する。そこで、第2実施形態の発電装置1では、第2温度測定器18で測定される作動媒体Tの温度の上昇に対応して第2制御部21から第2制御弁24に指令を送って、第2配管13から第2集熱部10へ向かう作動媒体Tの循環量を上げる。このようにすると、第2集熱部10を流通する作動媒体Tの循環量が上がって第2集熱部10から多量の太陽熱を効率良く集めることが可能となる。
屋上部Rに設けられた第1集熱部7においても同様に陽が強く差し込むため、第1温度測定器17で測定される作動媒体T温度の上昇に対応して第1制御部20から第1制御弁23に指令を送って、第1配管12を循環する作動媒体Tの循環量を上げる。これにより、第1集熱部7からも多量の太陽熱を効率良く集めることが可能となる。
これに対して、南向きの外壁面Wに設けられた第3集熱部11に陽があまり差し込まない間、第3集熱部11では第1集熱部7や第2集熱部10ほど太陽熱を多量に集熱することはできない。このように集熱量の小さな間に第3集熱部11に作動媒体Tを流量一定のまま流通させ続けると、集熱量が不足して十分に蒸気が生成できなくなったり作動媒体Tが液体のまま発電機3に流れ込んだりして、発電機3での発電効率を低下させてしまう虞がある。そこで、第3温度測定器19で測定される作動媒体T温度に対応して第3制御部22から第3制御弁25に指令を送って、第3配管14から第3集熱部11へ向かう作動媒体Tの循環量を低下させるか、または作動媒体Tの循環を停止させる。これにより、発電装置1の発電効率を低下せしめることがなくなる。
一方、日中においては、南向きの第3集熱部11に最も多量の太陽熱が集熱し、第3温度測定器19で計測される作動媒体T温度も高くなる。それゆえ、第3制御部22から第3制御弁25に指令を送って第3配管14から第3集熱部11へ向かう作動媒体Tの循環量を高める。これに対して、第2集熱部10では太陽熱が集まりにくくなり、第2温度測定器18で計測される作動媒体T温度は低くなる。それゆえ、第2制御部21から第2制御弁24に指令を送って第2配管13から第2集熱部10へ向かう作動媒体Tの循環量を下げるようにする。
上述したように、異なる方角を向いて設置された第1集熱部7〜第3集熱部11に対し、これらの集熱部2の出側の作動媒体温度で各集熱部2を流れる作動媒体Tの循環量を調整すれば、一日を通して安定して太陽熱を集熱することができ、発電装置1の発電効率を良好に維持することが可能となる。
[第3実施形態]
次に、本発明の発電装置1の第3実施形態について説明する。
図3に示すように、第3実施形態の発電装置1は、第2実施形態と同様に各集熱部2を流通する作動媒体Tの循環量、言い換えれば各集熱部7〜11での集熱量を循環量調整手段16を用いて調整するものである。第3実施形態が第2実施形態と異なっているのは、第3実施形態の循環量調整手段16が、第1集熱部7〜第3集熱部11のそれぞれから流出する作動媒体Tの圧力を用いて、各集熱部2への作動媒体Tの循環量を制御している点である。
すなわち、第3実施形態の循環量調整手段16は、集熱部2から流出する作動媒体Tの圧力を計測する圧力測定器と、これらの圧力測定器で計測された作動媒体T圧力が降下した際に、各集熱部2を流通する作動媒体Tの流量を減少させるように制御する制御部と、を備えている。
圧力測定器は、集熱部毎に設けられている。第1集熱部7の出側には、この第1集熱部7から出側に流出する作動媒体Tの圧力を計測する第1圧力測定器26が設けられている。第2集熱部10の出側には、この第2集熱部10から出側に流出する作動媒体Tの圧力を計測する第2圧力測定器27が設けられている。第3集熱部11の出側には、第3集熱部11から出側に流出する作動媒体Tの圧力を計測する第3圧力測定器28が設けられている。具体的には、本実施の形態では、第1圧力測定器26が第1集熱部7の出側の循環配管に、第2圧力測定器27が第2集熱部10の出側の循環配管に、第3圧力測定器28が第3集熱部11の出側の循環配管にそれぞれ設けられている。これらの第1圧力測定器26〜第3圧力測定器28には例えば作動媒体Tの蒸気の圧力を計測可能な半導体圧力センサなどが用いられ、各集熱部2で加熱された作動媒体Tの圧力を「各集熱部2に集熱される太陽熱の熱量」として計測している。
例えば、第1制御部20、第2制御部21および第3制御部22には、所望の蒸気が得られる作動媒体Tの圧力(例えば、作動媒体の沸点あるいは沸点+数℃に対応する飽和蒸気圧)が閾値(設定値)として予め入力されている。そして、第1圧力測定器26、第2圧力測定器27、第3圧力測定器28で測定された作動媒体Tの圧力が閾値以上の場合は閾値を下回らない範囲で各制御弁を通過する流量を多くする。このように流量を多くすると、作動媒体Tの圧力も下がる。それゆえ、作動媒体Tの圧力が閾値まで下がってきた場合には、作動媒体Tの圧力が下げどまる(作動媒体の圧力が閾値となる)ように流量を少なくする。一方、作動媒体Tの圧力が閾値未満の場合は、作動媒体Tの圧力が閾値以上となるように各制御弁を通過する作動媒体Tの流量を0乃至0に近くなるように調整する。
その他の構成や作動態様は、集熱部2出側の作動媒体Tの温度に代えて、集熱部2出側の作動媒体Tの圧力を利用する以外はほぼ同じであり、奏する作用効果もほぼ同様である故、詳細な説明は省略する。
[第4実施形態]
次に、本発明の発電装置1の第4実施形態について説明する。
図4に示すように、第4実施形態の発電装置1は、第2実施形態及び第3実施形態と同様に各集熱部7、10および11を流通する作動媒体Tの循環量、言い換えれば各集熱部7、10および11での集熱量を循環量調整手段16を用いて調整するものである。
第4実施形態の循環量調整手段16が第2実施形態や第3実施形態と異なっているのは、第4実施形態の循環量調整手段16が「制御部の指令に基づいて作動媒体Tの循環流路を切り替え可能な電磁弁31(切替部)」を有している点にある。加えて、第4実施形態に係る循環量調整手段16は、集熱部2の近傍に配備された太陽光の強度を計測する太陽光強度測定器を有している。
太陽光強度測定器は、集熱部2で十分な太陽熱が集熱できるかどうかを、集熱部2に当たっている太陽光の強度で判断するものである。この太陽光強度測定器で測定される「太陽光の強度」としては太陽光の照度(放射照度)や輝度などを用いることができ、太陽光強度測定器には照度計(光度計)などが用いられる。太陽光強度測定器には、第2集熱部10に設けられた建屋Bの外壁面Wに取り付けられた第1太陽光強度測定器29と、第3集熱部11に設けられた建屋Bの外壁面Wに取り付けられた第2太陽光強度測定器30とがある。
第1太陽光強度測定器29では第2集熱部10に差し込む太陽光の強度が、また第2太陽光強度測定器30では第3集熱部11に差し込む太陽光の強度が計測されており、これらの測定器で測定された照度は制御部34に送られる。
制御部34は、第1太陽光強度測定器29や第2太陽光強度測定器30で計測された作動媒体Tの太陽光の強度(照度)に基づいて、太陽光の強度が相対的に低くなった集熱部へと流れる作動媒体Tの循環を停止させ、太陽光の強度が相対的に高くなった集熱部への作動媒体Tの循環を開始させるように制御するものである。この制御部34には、各太陽光強度測定器で測定した太陽光の強度を比較した結果に基づいて、太陽光の強度が相対的に低くなった集熱部と太陽光の強度が相対的に高くなった集熱部とで作動媒体Tを循環させる循環流路を切り替えるべく電磁弁31に指令を送っている。
本実施形態の電磁弁31は、媒体循環ポンプ6から送られてきた作動媒体Tの流路を、2つ循環経路間で切り替える(選択する)ものである。
図例では、電磁弁31で選択可能な2つの循環経路は、第1配管12及び第3配管14の双方に作動媒体Tを流す経路(以降、第1経路という)と、第1配管12及び第2配管13の双方に作動媒体Tを流す経路(以降、第2経路という)との2つである。
上述した第4実施形態の発電装置1で発電する方法について説明する。
図4に示すように、第4実施形態の発電方法は、第1集熱部7、第2集熱部10あるいは第3集熱部11の各集熱部への作動媒体Tの供給を、第2集熱部10に差し込む太陽光の強度及び第3集熱部11に差し込む太陽光の強度に応じて調整するものである。つまり、各集熱部への作動媒体Tの供給を調整するに際しては、第2集熱部10に差し込む太陽光の強度を第1太陽光強度測定器29で計測すると共に、第3集熱部11に差し込む太陽光の強度を第2太陽光強度測定器30で計測し、両光強度測定器29、30で計測された太陽光の照度を比較した結果に基づいて、より強度の高い集熱部へ作動媒体Tを供給するように循環流路を切り替えるものである。
例えば、第1太陽光強度測定器29で計測される太陽光の強度が低く、第2太陽光強度測定器30で計測される太陽光の強度が高い際には、制御部34では、作動媒体Tを供給する経路として第1配管12及び第3配管14のみを流れる第1経路が選択されるように電磁弁31の弁位置を設定する(図4参照)。
逆に、第1太陽光強度測定器29で計測される太陽光の強度が高く、第2太陽光強度測定器30で計測される太陽光の強度が低い際には、制御部34では、作動媒体Tを供給する経路として第1配管12及び第2配管13のみを流れる第2経路が選択されるように電磁弁31の弁位置を設定する(図4の矢印の方向)。
このような場合に上述の電磁弁31を用いれば、太陽の位置に合わせて作動媒体Tを流通させる経路を第1経路と第2経路との間で切り替えて、一日を通して効率よく太陽熱を集めて発電を行うことが可能となる。
[第5実施形態]
次に、本発明の発電装置1の第5実施形態について説明する。
図5に示すように、第5実施形態の発電装置1は、集熱部2に太陽熱を直接当てるのではなく、建屋Bの外壁面Wや周囲Sに当たっている太陽光を鏡で反射、集光させ、建屋Bの周囲Sに設けられた集熱部2に集熱することにより、効率的に太陽熱を集めて発電に利用するものである。このような反射を利用して集熱を行う発電装置1は、重量のある太陽熱集熱器からなる集熱部2を建屋Bの外壁面Wに取り付けなくても済み、建屋Bから離れた位置に集熱部2を設置するので、敷設の観点から有利である。
具体的には、第5実施形態の発電装置1は、太陽熱(太陽光)を反射させる反射部と、反射部で反射された太陽熱を集熱する集熱部2とで構成されている。この反射部は、建屋Bの屋上部R、建屋Bの外壁面W又は建屋Bの周囲Sのいずれかに設けられていて、建屋Bから離れた位置にある集熱部2に反射させた太陽熱を集められるようになっている。
図5に示すように、反射部は、建屋Bの東向きの外壁面Wに設けられて第2集熱部10に太陽熱を反射させている第1反射部35と、建屋Bの南向きの外壁面Wに設けられて第3集熱部11に太陽熱を反射させている第2反射部36とを有している。第1反射部35及び第2反射部36は、いずれも凹面鏡であって、建屋Bの外壁面Wから距離をあけた焦点に向けて太陽熱(太陽光)を集中(集光)できるようになっている。この第1反射部35で反射した太陽熱は建屋Bの東側に設けられた第2集熱部10に集中するようになっており、第2反射部36で反射した太陽熱は建屋Bの南側に設けられた第3集熱部11に集中するようになっている。
第2集熱部10は建屋Bの東側の外壁面Wから東方に離れた距離に立設状に配備されており、第3集熱部11は建屋Bの南側の外壁面Wから南方に離れた距離に立設状に配備されている。これらの第2集熱部10及び第3集熱部11は、集光部と対向するよう、いずれも集熱面(熱交換面)を集光部と水平に向けて建屋Bの周囲Sの地面(床面)に立てかけるように設けられている。
上述した第5実施形態の発電装置1で発電する方法、言い換えれば第5実施形態の発電方法について説明する。
第5実施形態の発電方法において太陽熱を集熱する際には、屋上部Rの第1集熱部7に直接太陽熱を集熱すると共に、第1反射部35で反射させた太陽熱を第2集熱部10に、また第2反射部36で反射させた太陽熱を第3集熱部11に集熱する。このようにすれば、屋上部Rの第1集熱部7に加えて、建屋Bの周囲Sに設けられた第2集熱部10及び第3集熱部11でも太陽熱を集熱することができる。
なお、東向きの第2集熱部10で集熱が可能な時間帯が、南向きの第3集熱部11で集熱可能な時間帯と大きくずれているときには、第2実施形態で説明したような循環量調整手段16を用い、温度測定器で計測された作動媒体Tの出側温度が降下した際に作動媒体Tの流量を減少させるように制御してもよい。また、第3実施形態で説明したような循環量調整手段16を用い、圧力測定器で計測された作動媒体Tの出側圧力が降下した際に作動媒体Tの流量を減少させるように制御してもよい。
さらには、第4実施形態で説明したような循環量調整手段16(電磁弁31、図6参照)を用いて、作動媒体Tの循環経路を切り替えてもよい。
なお、第5実施形態におけるその他の構成については第2実施形態や第3実施形態と同じであるため、詳細な構成の説明については省略する。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。集熱部2は、温水器として知られている太陽熱集熱器を転用することができ、本実施形態では平板型集熱器を用いているが、真空管型集熱器など他の太陽熱集熱器を用いてもよい。
なお、第1制御部20〜第3制御部22での制御については、作動媒体Tの出側温度に対する弁開度(弁の開閉)の関係をまとめたテーブルなどを予め入力しておき、これらのテーブルに基づいて第1制御弁23〜第3制御弁25の弁開度を調整することもできる。
その際、第1制御弁23〜第3制御弁25と対応する各集熱部の出側の作動媒体温度と、各集熱部と対応する流路における各制御弁の開度(弁の開閉)との関係をまとめた(関係が予め入力されている)テーブルを制御部毎に用意しておき、これらのテーブルに基づいて各集熱部毎に出側温度に対する流量を1対1の対応関係で(独立に)制御するようにしてもよい。
また、上述した第4実施形態では、太陽光の強度に応じて作動媒体Tを供給する経路を電磁弁31で切り替える例を挙げた。しかし、太陽光の強度に応じて、第1実施形態〜第3実施形態にあるように第1配管12、第2配管13、第4配管15を流通する作動媒体Tの流量を各配管に設けられた各制御弁を用いて個別に制御することもできる。
1 バイナリ発電装置
2 集熱部
3 発電機
4 凝縮器
5 循環配管
6 媒体循環ポンプ
7 第1集熱部(蒸発器)
8 膨張部
9 発電部
10 第2集熱部(蒸発器)
11 第3集熱部(蒸発器)
12 第1配管
13 第2配管
14 第3配管
15 スクリュロータ
16 循環量調整手段
17 第1温度測定器
18 第2温度測定器
19 第3温度測定器
20 第1制御部
21 第2制御部
22 第3制御部
23 第1制御弁
24 第2制御弁
25 第3制御弁
26 第1圧力測定器
27 第2圧力測定器
28 第3圧力測定器
29 第1太陽光強度測定器
30 第2太陽光強度測定器
31 電磁弁
34 制御部
35 第1反射部
36 第2反射部
B 建屋
R 建屋の屋上部
S 建屋の周囲
W 建屋の外壁面
T 作動媒体

Claims (13)

  1. 太陽熱で液体の作動媒体を蒸発させる集熱部と、前記集熱部で生成された作動媒体の蒸気を用いて発電を行う発電機と、前記発電機に用いられた作動媒体の蒸気を冷温媒体と熱交換することによって、作動媒体を液体に凝縮させる凝縮器と、媒体循環ポンプとを有し、前記媒体循環ポンプによって前記集熱部、発電機、凝縮器の順に作動媒体を循環して発電を行う発電装置において、
    前記集熱部が、建屋の屋上部に加えて、当該建屋の外壁面及び/又は建屋の周囲に設置されていることを特徴とする太陽熱を利用したバイナリ発電装置。
  2. 前記集熱部に集熱される太陽熱の熱量に応じて、前記集熱部に供給する作動媒体の流量を調整する循環量調整手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の太陽熱を利用したバイナリ発電装置。
  3. 前記循環量調整手段は、
    前記集熱部から流出する作動媒体の温度を計測する温度測定器と、
    前記温度測定器で計測された作動媒体の温度が降下した際に作動媒体の流量を減少させるように制御する制御部と、
    を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽熱を利用したバイナリ発電装置。
  4. 前記循環量調整手段は、
    前記集熱部から流出する作動媒体の出側圧力を計測する圧力測定器と、
    前記圧力測定器で計測された作動媒体の出側圧力が降下した際に作動媒体の流量を減少させるように制御する制御部と、
    を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽熱を利用したバイナリ発電装置。
  5. 前記循環量調整手段は、
    前記集熱部には太陽光の強度を計測する太陽光強度測定器と、
    前記太陽光強度測定器で計測された太陽光の強度が低くなった際に作動媒体の流量を減少させるように制御する制御部と、
    を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽熱を利用したバイナリ発電装置。
  6. 前記集熱部のそれぞれに媒体循環ポンプからの作動媒体を分岐して供給する分岐流路が設けられていて、
    前記循環量調整手段には、作動媒体を供給する流路を分岐流路の中で選択的に切り替える切替部が備えられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の太陽熱を利用したバイナリ発電装置。
  7. 前記集熱部に太陽光を反射させる反射部が、前記建屋の屋上部、建屋の外壁面又は建屋の周囲のいずれかに設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の太陽熱を利用したバイナリ発電装置。
  8. 太陽熱で液体の作動媒体を蒸発させ、蒸発した作動媒体の蒸気を用いて発電を行い、発電に用いた作動媒体の蒸気を冷温媒体と熱交換して再び液体の作動媒体に戻す順序で、媒体循環ポンプによって作動媒体を循環させながら発電を行う発電方法であって、
    前記太陽熱で液体の作動媒体を蒸発させる集熱部を、建屋の屋上部に加えて、当該建屋の外壁面及び/又は建屋の周囲に設けておき、
    前記液体の作動媒体を、前記建屋の屋上部以外の集熱部にも供給して発電を行うことを特徴とする太陽熱を利用したバイナリ発電方法。
  9. 前記集熱部に供給する前記作動媒体の流量を、集熱部に集熱される太陽熱の熱量に応じて調整することを特徴とする請求項8に記載の太陽熱を利用したバイナリ発電方法。
  10. 前記作動媒体の流量を調整するに際しては、
    前記集熱部から流出する作動媒体の出側温度を計測し、計測された作動媒体の出側温度が降下した際に作動媒体の流量を減少させることを特徴とする請求項9に記載の太陽熱を利用したバイナリ発電方法。
  11. 前記作動媒体の流量を調整するに際しては、
    前記集熱部から流出する作動媒体の出側圧力を計測し、計測された作動媒体の出側圧力が降下した際に作動媒体の流量を減少させることを特徴とする請求項9に記載の太陽熱を利用したバイナリ発電方法。
  12. 前記作動媒体の流量を調整するに際しては、
    前記集熱部に照射される太陽光の強度を計測し、計測された太陽光の強度が低くなった際に作動媒体の流量を減少させることを特徴とする請求項9に記載の太陽熱を利用したバイナリ発電方法。
  13. 前記集熱部のそれぞれに媒体循環ポンプからの作動媒体を分岐して供給する分岐流路を設けておき、
    前記作動媒体を供給する流路を分岐流路の中で選択的に切り替えることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の太陽熱を利用したバイナリ発電方法。
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