JP2013036451A - 蒸気タービン用静翼の製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】蒸気タービン用静翼を高精度な翼断面形状の製品として、容易に製造できるようにする。
【解決手段】目的とする曲率の翼断面形状に冷間曲げ加工した腹板Aと、その腹板よりも大きな曲率の翼断面形状に冷間曲げ加工した背板Bと、その中間部の凹曲面と切り離し両端部の凸曲面とから連続する断面ほほ倒立W字形に冷間曲げ加工した板バネSとを用意して、先ずその板バネの中間部を腹板の中間部へ複数の点在分布状態にプラグ溶接Pし、その後腹板へ上記背板を板バネの弾圧状態に被覆させた上、その腹板と背板との後縁部同士をレーザービーム溶接Lする一方、前縁部同士をTIG溶接又は半自動溶接Tし、最後にその板バネにより仕切り細分された空洞Hと連通する複数づつの第1、2水流入スリット13、14を、上記背板と腹板に各々切り抜き加工する。
【選択図】図5

Description

本発明は蒸気タービン用静翼の製造法、殊更タービン効率の向上に役立つ中空AVN(Advanced Vortex Nozzle:三次元スタッキングノズル)翼を板金プレス曲げ加工と溶接によって製造する方法に関する。
蒸気タービン用中空ノズル翼(静翼)を背板と腹板との2ピースから、プレス曲げ加工と溶接により製造する方法が、特許文献1の従来技術として、その図13〜23の工程図に基き説示されている。
又、上記特許文献1のほか、特許文献2、3にも蒸気タービン用中空ノズル翼(静翼)を1ピースの鋼板から、やはりプレス曲げ加工と溶接によって製造する方法が開示されている。
他方、特許文献4の図20には蒸気タービン用の静翼(製品)として、その背板と腹板とから成る空洞の内部へ断面弓形の板バネを介挿設置することにより、その空洞を仕切り細分すると共に、その前縁側空洞と後縁側空洞に各々連通する水流入スリットを腹板に開口分布させた構成が開示されている。
特開平10−339107号公報 特開2010−116856号公報 特開平11−336504号公報 特開2008−133825号公報
ところが、翼形状が翼根リングからシュラウドにかけて三次元に捻れた複雑な中空AVN翼を対象として、その空洞の内部へ特許文献4に記載のような板バネを介挿設置することにより、その静翼の自励振動(フラッタ)を抑制しようとする場合、特許文献1〜3に記載の製造法を採用することは不可能である。必らず背板と腹板との2ピースから、プレス曲げ加工とその後の溶接を経て製造しなければならない。
この点、特許文献1の図13〜23に説示された従来技術の製造法では、背板と腹板を何れも熱間プレス曲げ加工しているため、その熱による歪み変形が特に上記三次元形状のAVN翼の場合、複雑になるばかりでなく、変形量も大きくなり、その修正困難である結果、安定・高精度な翼プロフィルを得られない。
又、特許文献2の製造法では特許文献1のそれを改良したことになっているが、これでも未だ熱間プレス成形を行っているため、その成形直後水槽に導入した冷却水と上方からの散水により、プレス機の下型を冷却して、上記熱による翼プロフィル精度の低下を防がなければならず、その下型を囲む水槽や散水の特殊設備、成形後のスケール除去作業などを要する問題がある。
更に言えば、特許文献4の図20には蒸気タービン用静翼の実施例12が記載されているが、その最適な金属材料や製造法の詳細な説明はなされていない。
本発明はこのような課題の改良を目的としており、あくまでも蒸気タービン用静翼の製造法として、その目的を達成するために、請求項1ではオーステナイト系ステンレス鋼板から切り取ったブランクを、プレス金型での段階的な冷間曲げ加工により、目的とする曲率の翼断面形状に成形した腹板と、
同じオーステナイト系ステンレス鋼板から切り取ったブランクを、やはりプレス金型での段階的な冷間曲げ加工により、上記腹板よりも大きな曲率の翼断面形状に成形すると共に、その前縁部に腹板との溶接用開先部を加工した背板と、
上記腹板並びに背板よりも薄肉な同じオーステナイト系ステンレス鋼板から切り取ったブランクを、プレス金型での段階的な冷間曲げ加工により、中間部の凹曲面と切り離し両端部の凸曲面とから連続する断面ほぼ倒立W字形に成形すると共に、その凹曲面の中間部に上記腹板との溶接用プラグ穴を、長手方向への点在分布状態に切り抜き加工した板バネとを用意して、
先ず、上記板バネをその中間部に点在分布する複数のプラグ穴において、上記腹板の対応的な中間部へプラグ溶接し、その後板バネが付属している腹板へ上記背板を、その背板によって板バネの両凸曲面が押し付け弾圧される付勢状態に被覆させた上、その背板と腹板との重なり合う後縁部同士を背板の存在方向からレーザービーム溶接する一方、同じく背板と腹板との鋭角に交叉する前縁部同士を、上記背板の開先部においてTIG溶接又は半自動溶接することにより、上記腹板と背板とから造形される断面弓形の空洞内を、上記板バネの介在によって前縁側水路と中間水路並びに後縁側水路との合計3個に仕切り細分し、
その後、上記腹板と背板との表面並びに長手方向の両端部を滑らかに機械加工して、最後に上記空洞の中間水路に連通する第1水流入スリットの複数を背板へ、同じく空洞の前縁側水路又は/及び後縁側水路に連通する第2水流入スリットの複数を腹板へ、各々切り抜き加工することを特徴とする。
又、上記請求項1に従属する請求項2では、背板の長手方向に沿って点在分布する第1水流入スリットの複数につき、そのうちの翼根元側へ片寄った位置にある半分の個数と、翼先端側へ片寄った位置にある残り半分の個数とを、各々ほぼ平行に揃う配列状態として、放電加工機により各々一挙同時に2回切り抜き加工する一方、
腹板の長手方向に沿って点在分布する第2水流入スリットの複数につき、そのうちの翼根元側へ片寄った位置にある半分の個数と、翼先端側へ片寄った位置にある残り半分の個数とを、各々ほぼ平行に揃う配列状態として、放電加工機により各々一挙同時に2回切り抜き加工することを特徴とする。
請求項1の製造法によれば、蒸気タービン用静翼を構成する腹板と背板との2ピースが、何れも優れた耐侵蝕性と強い加工硬化特性を有するオーステナイト系ステンレス鋼板(SUS304L)から成り、しかもその2ピースを各々プレス金型での段階的な冷間曲げ加工によって、目的とする最終断面形状に成形するようになっているため、冒頭に述べた従来技術の熱間プレス加工による歪み変形とその変形量が少なくなり、又その熱間プレス成形直後の金型を冷却する特殊な設備やスケール除去の特別な作業などを必要とせず、特に翼形状が翼根元から翼先端にかけて三次元的に捻れた複雑な中空AVN翼であっても、これを高精度な翼プロフィルの製品として容易に製造できる効果がある。
又、上記静翼の自励振動を抑制するために役立てる板バネも、上記腹板並びに背板より薄肉な同じオーステナイト系ステンレス鋼板(SUS304L)から成り、やはりプレス金型での段階的な冷間曲げ加工によって、断面ほぼ倒立W字形に成形されている。
そして、その板バネにおける中間部の凹曲面を先に腹板の対応的な中間部へ、点在分布状態にプラグ溶接した腹板と上記背板とを、その後組み立てるに当り、その腹板と背板との前縁部同士は鋭角に交叉する突き合わせ状態にあるため、ここを背板の開先部において容易にTIG溶接又は半自動溶接することができる。
他方、上記腹板と背板との後縁部同士は重なり合う状態にあり、その板厚が倍加するも、ここを言わばピンスポット溶接として入熱量が少なく、且つ溶け込み深さの深いレーザービーム溶接によって、熱による歪み変形を抑制しつつも強固に安定良く接合一体化することができる。その場合、そのレーザービーム溶接は背板の存在方向から行うようになっているため、その背板と腹板の最終的な機械加工が、腹板の存在方向から切削加工として行われても、上記接合強度の爾後的に低下するおそれはない。
更に、上記板バネの付属した腹板と背板との組立溶接により、断面弓形に造形された翼の空洞内は、その断面ほぼW字形をなす板バネの介在によって、前縁側水路と中間水路並びに後縁側水路との合計3個に仕切り細分されているが、その前縁側水路又は/及び後縁側水路に連通する第2水流入スリットの複数を、上記腹板の長手方向(翼幅方向)に沿って開口分布させているばかりでなく、中間水路に連通する第1水流入スリットの複数を、上記背板の長手方向(翼幅方向)に沿って開口分布させてもいるため、上記空洞内の合理的な仕切り細分とも相俟って、その内部からの水抜き効率と延いては蒸気タービンの効率をますます向上させることができ、その意味からも翼形状が三次元的に捻れた複雑な中空AVN翼にふさわしく有効な製造法であると言える。
その場合、請求項2の構成を採用するならば、上記背板に対する第1水流入スリットの切り抜き加工と、腹板に対する第2水流入スリットの切り抜き加工とを、何れも放電加工機によりますます効率良く行え、量産効果の向上に役立つ。
本発明に係る蒸気タービン用静翼(完成品)の斜面図である。 図1の背板側から見た背面図である。 図1の腹板側から見た正面図である。 図2のイ−イ線乃至ホーホ線に沿う各断面図である。 図4の拡大した代表断面図である。 腹板のプレス曲げ加工状態を示す断面図である。 背板のプレス曲げ加工状態を示す断面図である。 溶接用の開先部を抽出して示す拡大図である。 板バネのプレス曲げ加工状態を示す断面図である。 上記静翼の組立溶接状態を示す斜面図である。 図10の腹板側から見た正面図である。 図11の側面図並びにその平・底面図である。 図12のイ−イ線乃至ホーホ線に沿う各断面図である。 板バネを抽出して示す斜面図である。 図14の正面図並びにその平・底面図である。 図15のイ−イ線乃至ニーニ線に沿う各断面図である。 図14の拡大した代表断面図である。 腹板に対する板バネの溶接状態を示す斜面図である。 腹板に対する板バネの溶接状態を示す拡大断面図である。 腹板と背板との仮付け溶接部分を示す斜面図である。 図20の拡大した代表断面図である。 背板の翼根リング側に切り抜いた第1水流入スリットを抽出して示す正面図である。 腹板の翼根リング側に切り抜いた第2水流入スリットを抽出して示す斜面図である。 背板のシュラウド側に切り抜いた第1水流入スリットを抽出して示す正面図である。 腹板のシュラウド側に切り抜いた第2水流入スリットを抽出して示す斜面図である。
以下、図面に基いて本発明の実施形態を詳述すると、図1〜5はその本発明の目的とする蒸気タービン用静翼、就中翼形状が図4の座標上における各位置から知得できるように、翼根リング(翼根元)からシュラウド(翼先端)にかけて三次元的に捻れた複雑な中空AVN(Advanced Vortex Nozzle)翼(N)の完成品を示している。
これは大きな曲率の背板(B)と小さな曲率の腹板(A)とを組み合わせ、その前縁部同士と後縁部同士を各々溶接することにより、翼幅方向(翼の平均反り線/骨格線と直交する方向)(C−C)に沿って延在する断面弓形の空洞(H)を形成している。
又、その空洞(H)の内部には自励振動(フラッタ)を抑制するための板バネ(S)が介挿設置されており、これによって上記空洞(H)の内部を前縁側水路(10f)と中間水路(10m)並びに後縁側水路(10r)との合計3個に仕切り細分している。
その場合、板バネ(S)は断面ほぼ倒立W字形をなし、その凹曲面(11)の中間部において腹板(A)と溶接されているが、切り離し両端部は背板(B)とほぼ同じ曲率を備えた前後一対の凸曲面(12f)(12r)として、その背板(B)へ空洞(H)内から弾圧付勢された状態にある。
そして、更に上記中間水路(10m)と連通する複数の第1水流入スリット(13−1)(13−2)(13−3)(13−4)(13−5)(13−6)が背板(B)に、上記後縁側水路(10r)のみか又はその後縁側水路(10r)並びに前縁側水路(10f)と各々連通する複数の第2水流入スリット(14−1)(14−2)(14−3)(14−4)(14−5)(14−6)が腹板(A)に、その何れも上記翼幅方向(C−C)に沿う点在分布状態として切り抜かれており、その第1、2水流入スリット(13−1)〜(13−6)(14−1)〜(14−6) から空洞(H)内の対応的な連通水路(10m)(10f)(10r)へ流入した水を、その翼(N)の広幅な外側端部から翼根リング(図示省略)や、同じく翼(N)の狭幅な内側端部からシュラウド(図示省略)に向けて排出し得るようになっている。(F)は蒸気の流れ方向を示す矢印である。
尚、上記背板(B)の厚みと腹板(A)の厚みはAVN翼(N)の完成状態における一例として何れも約6mm、板バネ(S)の厚みは同じく約3mm、上記翼幅方向(C−C)に延在する翼の全体長さ(Z)は一例として約948mm、翼幅(W)は外側となる翼根リングから内側となるシュラウドへ行く程狭くなるが、一例として約233mm〜173mmの範囲である。
図6〜25は本発明の製造工程を示しており、その中空AVN翼(N)を製造するに当っては、上記腹板(A)並びに背板(B)の材料として、例えば約8mmの一定厚みを有するオーステナイト系ステンレス鋼板(SUS304L)を用意すると共に、上記板バネ(S)の材料として約3mmの一定厚みを備えた同じオーステナイト系ステンレス鋼板(SUS304L)を用意する。茲に、オーステナイト系ステンレス鋼板(SUS304L)は蒸気タービン用静翼としてふさわしく、優れた耐蝕性と強い加工硬化特性を発揮するため、翼プロフィル精度を長く維持することに役立つ。
そして、先ず腹板(A)となる上記オーステナイト系ステンレス鋼板からレーザー加工機により姿切りしたブランク(Am)を、グラインダーによりバリ取り後、図6のようなプレス機(約3000t)の上型(15)と下型(16)を用いて、1次〜3次の段階的に冷間曲げ加工し、その後レーザー加工機により基準穴の加工とトリム加工(製品ラインでの切断)を行い、更にプレス機の金型を用いてリスト加工(決め押し)し、図10〜13のような成形状態の腹板(A)を得る。
他方、上記背板(B)となる同じオーステナイト系ステンレス鋼板からレーザー加工機により寸法切りしたブランク(Bm)を、やはりグラインダーによりバリ取り後、図7のようなプレス機(約3000t)の上型(17)と下型(18)を使用して、1次〜3次の段階的に冷間曲げ加工し、その後レーザー加工機により基準穴加工とトリム加工を行い、更にプレス機の金型によるリスト加工(決め押し)も行うほか、後述する腹板(A)との組み立て時その腹板(A)の前縁部と鋭角に交叉することとなる背板(B)の前縁部に、TIG溶接又は半自動溶接のための開先加工も施した図10〜13のような成形状態の背板(B)を得る。図8の符号(19)はそのグラインダーにより加工されたTIG溶接用の開先部を示している。
尚、上記腹板(A)と背板(B)との何れにあっても、その1次曲げ成形後のブランク(Am)(Bm)を歪み取り(応力除去)のために、一旦真空炉にて溶体化し、引き続き冷間での2、3次曲げ成形を行うのである。
更に、上記腹板(A)と背板(B)の材料よりも薄肉なオーステナイト系ステンレス鋼板から、やはりレーザー加工機により寸法切りした板バネ(S)のブランク(Sm)を、グラインダーによりバリ取りした後、図9のようなプレス機(約3000t)の上型(20)と下型(21)とを用いて、1、2次の段階的に冷間曲げ加工し、その後レーザー加工機によりプラグ穴(22)の加工とトリム加工を行い、更にプレス機の金型によるリスト加工(決め押し)も行って、図14〜17のような断面ほぼ倒立W字形に成形された板バネ(S)を得る。
その場合、プラグ穴(22)は腹板(A)とのプラグ溶接用として、その複数(図例では合計8個)が板バネ(S)のほぼ倒立W字形をなす凹曲面(11)の中間部へ点在分布状態に切り抜かれている。
上記中空AVN翼(N)の構成部品である腹板(A)と背板(B)並びに板バネ(S)を、目的とする最終的な翼断面形状に成形できたならば、次に腹板(A)と板バネ(S)とを組み立てるために、その2ピースをアセトンなどにより洗浄して、その洗浄液の拭き取り後、傷や欠陥などの有無を目視検査する。それから腹板(A)の罫書き部へ図18、19のように、上記板バネ(S)のプラグ穴(22)が開口分布している凹曲面(11)の中間部を接合させて、その長手方向(翼幅方向)における両端部付近を万力などによって固定し、その両端部の2個所を仮止め溶接した後、上記プラグ穴(22)の複数をすべて埋める如く、その板バネ(S)と腹板(A)とをプラグ溶接する。(P)はそのプラグ溶接部を示している。尚、その後のPT検査により欠陥があれば、補修のための溶接を行う。
そして、上記板バネ(S)が付属した腹板(A)と上記背板(B)とを、その背板(B)により板バネ(S)が包み込み被覆される状態となるように組み立てるのである。そのために、先ず腹板(A)と背板(B)とを治具に固定したままで、その2ピースの前縁部(f)同士と後縁部(r)同士を仮付け溶接する。その仮付け溶接個所は図20に示唆する如く、前縁部(f)同士と後縁部(r)同士を何れも脚長5〜10mm×溶接長さ20〜40mm×100×150mmピッチ×6箇所として行い、長手方向(翼幅方向)における両端部(e)同士を脚長5〜10mm×溶接長さ50〜80mm×片端1個所づつとして行うことが好ましい。
何れにしても、腹板(A)と背板(B)とを仮付け溶接した状態では、その腹板(A)に付属の板バネ(S)が背板(B)によって押え付けられ、その板バネ(S)の切り離し両端部をなす凸曲面(12f)(12r)が、内側から背板(B)へ弾圧付勢される結果となり、その摩擦によって翼(N)の弾性変形を減衰することができる。
上記腹板(A)と背板(B)とを仮付け溶接し終えたならば、次にその組立状態にある翼(N)を溶接治具にセットした後、その2ピースの重なり合った後縁部同士をレーザー溶接機によって、図21のように背板(B)の存在方向から溶接する。その場合、腹板(A)と背板(B)との重なり合った後縁部同士は、約16mm(約8mm×2)の厚みを有するため、深い溶け込みを得られるレーザービーム溶接とし、しかもそのピンスポット溶接となるレーザービーム溶接の少ない入熱量(延いては少ない変形量)を活用して、オーステナイト系ステンレス鋼板が熱により大きく歪変形したり、この材料から成る三次元的に捻れた中空AVN翼(N)のプロフィル精度が低下したりするおそれを防ぐのである。(L)はそのレーザービーム溶接部を示している。
又、上記レーザービーム溶接を背板(B)の存在方向から行う理由は、追って最終的な機械加工を腹板(A)の存在方向から行うため、その接合面積の減少するおそれを防ぎ、耐久強度を確保することにある。
他方、上記腹板(A)と背板(B)との後縁部同士をレーザービーム溶接することと相前後して、その2ピースの鋭角に交叉した前縁部同士をTIG溶接又は半自動溶接(ガスシールドアーク溶接)する。その溶接は上記背板(B)の開先部(19)をグラインダーで成形し、欠陥のないことを確認後に、好ましくは層間温度を150℃以下として、第1〜3層目まで行う。(T)はそのTIG溶接又は半自動溶接した部分を示している。
そして、その前縁部同士の溶接を終えたならば、プレス機の金型を使用して、決め押し(歪取り)を行った後、上記組立溶接状態にある翼(N)を治具にセットした上、その腹面と背面を各々マシニングセンターにより機械加工して、上記腹板(A)並びに背板(B)の厚みを何れも約6mmに確保するほか、両端面もマシニングセンターによって円弧加工し、再度プレス機の金型による歪取りとバフ研磨による仕上げ加工とを行う。
ここまでの仕上げ加工状態では、中空AVN翼(N)の上記腹板(A)と背板(B)とから造形された断面弓形の空洞(H)が、図21のように板バネ(S)の介在によって、前縁側水路(10f)と中間水路(10m)並びに後縁側水路(10r)との合計3個に仕切り細分されている。
そこで、最後に上記翼(N)を放電加工治具にセットして、放電加工機の使用により、その背板(B)と腹板(A)に対する第1、2水流入スリット(13−1)(13−2)(13−3)(13−4)(13−5)(13−6)(14−1)(14−2)(14−3)(14−4)(14−5)(14−6)の切り抜き加工を行う。その場合、第1水流入スリット(13−1)〜(13−6)が上記空洞(H)内の中間水路(10m)に連通する複数(図例では合計6個)として、背板(B)の長手方向(翼幅方向)に沿って点在分布している一方、第2水流入スリット(14−1)〜(14−6)は同じく空洞(H)内の後縁側水路(10r)に連通する複数(図例では同じ合計6個)として、腹板(A)の長手方向(翼幅方向)に沿って点在分布しているが、その第1、2水流入スリット(13−1)〜(13−6)(14−1)〜(14−6)の何れも翼根リング側の半分である3個づつは、図22、23のようにその平行な配列状態に延在しており、残るシュラウド側の半分である3個づつも、図24、25のようにその平行な配列状態に延在している。
そのため、その第1水流入スリット(13−1)〜(13−6)の翼根リング側に片寄った3個とシュラウド側に片寄った3個を、背板(B)へ各々一挙同時に切り抜く加工の合計2回と、第2水流入スリット(14−1)〜(14−6)の翼根リング側に片寄った3個とシュラウド側に片寄った3個を、腹板(A)へ各々一挙同時に切り抜く加工の合計2回を行えば足り、そのスリット加工の効率と精度を向上させることができる。
尚、上記腹板(A)に切り抜き加工する第2水流入スリット(14−1)〜(14−6)はこれを空洞(H)内の後縁側水路(10r)と連通する位置に代えて、同じく空洞(H)内の前縁側水路(10f)と連通する位置に切り抜き加工しても良く、又その前縁側水路(10f)に連通する位置と後縁側水路(10r)に連通する位置との双方へ、例えば合計6個づつ切り抜き加工してもさしつかえない。
何れにしても、空洞(H)の内部、殊更その中間水路(10m)に連通する第1水流入スリット(13−1)〜(13−6)の複数が、背板(B)の長手方向(翼幅方向)に沿う点在分布状態として切り抜き加工されているため、その背板(B)からの円滑な水抜き作用により、湿り度の大きく、蒸気中で径大化した水滴流が、翼(N)の背面に衝突し、ますます粗大となって吹きちぎられ、翼(N)の侵蝕と蒸気タービンの性能低下を招くことを防止できる効果がある。
(10f)・前縁側水路
(10m)・中間水路
(10r)・後縁側水路
(11)・板バネの凹曲面
(12f)(12r)・板バネの凸曲面
(13−1)(13−2)(13−3)(13−4)(13−5)(13−6)・第1水流入スリット
(14−1)(14−2)(14−3)(14−4)(14−5)(14−6)・第2水流入スリット
(15)(17)(20)・プレス機の上型
(16)(18)(21)・プレス機の下型
(19)・溶接用の開先部
(22)・プラグ穴
(A)・腹板
(B)・背板
(C−C)・翼幅方向
(F)・蒸気の流れ方向
(H)・空洞
(L)・レーザービーム溶接部
(N)・中空AVN翼
(P)・プラグ溶接部
(S)・板バネ
(T)・TIG溶接部又は半自動溶接部
(Z)・翼の全体長さ
(W)・翼幅
(Am)・腹板のブランク
(Bm)・背板のブランク
(Sm)・板バネのブランク
(e)・両端部
(f)・前縁部
(r)・後縁部
又、上記請求項1に従属する請求項2では、背板の長手方向に沿って点在分布する第1水流入スリットの複数につき、そのうちの翼根元側へ片寄った位置にある半分の個数と、翼先端側へ片寄った位置にある残り半分の個数とを、各々ほぼ平行に揃う配列状態として、放電加工機により各々一挙同時に切り抜く加工の合計2回を行う一方、
腹板の長手方向に沿って点在分布する第2水流入スリットの複数につき、そのうちの翼根元側へ片寄った位置にある半分の個数と、翼先端側へ片寄った位置にある残り半分の個数とを、各々ほぼ平行に揃う配列状態として、放電加工機により各々一挙同時に切り抜く加工の合計2回を行うことを特徴とする。

Claims (2)

  1. オーステナイト系ステンレス鋼板から切り取ったブランクを、プレス金型での段階的な冷間曲げ加工により、目的とする曲率の翼断面形状に成形した腹板と、
    同じオーステナイト系ステンレス鋼板から切り取ったブランクを、やはりプレス金型での段階的な冷間曲げ加工により、上記腹板よりも大きな曲率の翼断面形状に成形すると共に、その前縁部に腹板との溶接用開先部を加工した背板と、
    上記腹板並びに背板よりも薄肉な同じオーステナイト系ステンレス鋼板から切り取ったブランクを、プレス金型での段階的な冷間曲げ加工により、中間部の凹曲面と切り離し両端部の凸曲面とから連続する断面ほぼ倒立W字形に成形すると共に、その凹曲面の中間部に上記腹板との溶接用プラグ穴を、長手方向への点在分布状態に切り抜き加工した板バネとを用意して、
    先ず、上記板バネをその中間部に点在分布する複数のプラグ穴において、上記腹板の対応的な中間部へプラグ溶接し、その後板バネが付属している腹板へ上記背板を、その背板によって板バネの両凸曲面が押し付け弾圧される付勢状態に被覆させた上、その背板と腹板との重なり合う後縁部同士を背板の存在方向からレーザービーム溶接する一方、同じく背板と腹板との鋭角に交叉する前縁部同士を、上記背板の開先部においてTIG溶接又は半自動溶接することにより、上記腹板と背板とから造形される断面弓形の空洞内を、上記板バネの介在によって前縁側水路と中間水路並びに後縁側水路との合計3個に仕切り細分し、
    その後、上記腹板と背板との表面並びに長手方向の両端部を滑らかに機械加工して、最後に上記空洞の中間水路に連通する第1水流入スリットの複数を背板へ、同じく空洞の前縁側水路又は/及び後縁側水路に連通する第2水流入スリットの複数を腹板へ、各々切り抜き加工することを特徴とする蒸気タービン用静翼の製造法。
  2. 背板の長手方向に沿って点在分布する第1水流入スリットの複数につき、そのうちの翼根元側へ片寄った位置にある半分の個数と、翼先端側へ片寄った位置にある残り半分の個数とを、各々ほぼ平行に揃う配列状態として、放電加工機により各々一挙同時に2回切り抜き加工する一方、
    腹板の長手方向に沿って点在分布する第2水流入スリットの複数につき、そのうちの翼根元側へ片寄った位置にある半分の個数と、翼先端側へ片寄った位置にある残り半分の個数とを、各々ほぼ平行に揃う配列状態として、放電加工機により各々一挙同時に2回切り抜き加工することを特徴とする請求項1記載の蒸気タービン用静翼の製造法。
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