JP2013036008A - バイオマスの熱分解装置及び熱分解方法 - Google Patents

バイオマスの熱分解装置及び熱分解方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粘度の低いタールを多く製造できるバイオマス熱分解装置及び方法を提供することを課題とする。
【解決手段】充填移動層1の上部から下部に向って順に形成される、供給されたバイオマスを乾燥する乾燥領域、バイオマスを熱分解してガスとタールを生成する熱分解領域、熱分解により発生した固定炭素をガス化する還元領域そして未燃の固定炭素及びバイオマスを部分酸化してガス化反応に必要な熱を発生する酸化領域のうち、乾燥領域の層厚を調整する乾燥領域層厚調整手段2、7、8を有し、該乾燥領域層厚調整手段は、乾燥領域の層厚を、熱分解領域におけるバイオマスの棚吊りの発生を抑制するために十分な圧力を下方の層に与えるために必要な乾燥領域の層厚の下限以上とするとともに、乾燥領域においてバイオマスを乾燥させるとともに、熱分解領域で生成したタールの大部分を通過させるように乾燥領域の層厚の上限以下に調整するように設定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱分解炉でバイオマスからガスとタールを生成するバイオマスの熱分解装置及び熱分解方法に関する。
製木材端材、樹皮、木屑、間伐材など林産資源に由来する木質系バイオマス(単にバイオマスという)をガス化し、生成ガスを、例えばガスエンジンの燃料として供給する竪型のガス化炉(熱分解装置)が非特許文献1に開示されている。このガス化炉ではバイオマスをガス化炉の上部から供給し、ガス化炉内にバイオマスが堆積した充填移動層を形成する。この充填移動層は上部から乾燥領域、熱分解領域、還元領域、酸化領域を形成するようになり、ガス化反応の進行に応じてバイオマスは充填移動層上部から下部へと下降する。また、このガス化炉には下部からガス化剤として水蒸気と空気が供給されており、ガス化炉内でガス流れは、ガス化炉の下部から上部へ向けて上記充填移動層内を流れ、生成ガスはガス化炉上部のガス排出口から取り出される。
ガス化炉の上部から供給されたバイオマスは、ガス化炉内の充填移動層で生成したガスの熱により乾燥されて乾燥領域を上部に形成する。この乾燥領域から下降したバイオマスは熱分解領域で熱分解され、CH、CO、H等の可燃ガスと、CO、HO、ガス状タール等の生成ガスと、固定炭素を生じる。可燃ガスとCO、HO、ガス状タール等の生成ガスは上昇し、固定炭素が下降する。熱分解領域から下降した固定炭素は還元領域でガス化剤としての水蒸気やCOとガス化反応してCO、Hを生成し、CO、Hは充填移動層内を上昇する。還元領域の下方の酸化領域では、還元領域から下降した残存する固定炭素、液状タール、未熱分解バイオマスが空気により部分酸化・燃焼され、ガス化反応、熱分解、乾燥に必要な熱を発生し、燃焼ガスは熱を伴い上昇する。充填移動層の下部から燃焼灰が外部へ排出される。
また、バイオマスを熱分解してタールを取り出し、重油代替燃料などに利用することが検討されており、バイオマスを熱分解してタールを製造する場合に、タール収率の高い方法として気流層熱分解装置(特許文献1)や流動層熱分解装置(特許文献2)による急速熱分解プロセスが知られている。
JFEエンジニアリング社カタログ(カタログ番号:CA3047)「JFE-フェルント式 木質バイオマスガス化発電システム」JFEエンジニアリング株式会社発行、2004年
特開2010−116536 特許第4371433号
しかしながら、特許文献1そして特許文献2によるプロセスでは、得られるタールの粘度が高いため、タール回収装置での閉塞トラブルを生じたり、利用プロセスでの送液等の取扱いが難しかった。また、非特許文献1の充填移動層ガス化炉からは、副生成物としてタールが得られるが、そのタール収率(原料バイオマスの乾燥重量に対する生成タール重量の比率)は5〜7%程度と低く、タール生成能力の点で十分でなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、バイオマスからタールを高いタール収率で製造することができ、さらに、粘度の低いタールを多く製造することができるバイオマスの熱分解装置及び熱分解方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、非特許文献1の方法では、熱分解領域で生成し乾燥領域に上昇したガス状タール又はミスト状タールは乾燥領域で冷却され凝縮して液状タールになり又は凝集され大粒径液状タールとなり、バイオマスに付着するなどして、捕捉されて、バイオマスが下降するとともに熱分解領域に戻される。このように、乾燥領域において熱分解領域で生成したタールの大部分が捕捉されるため、熱分解炉の上部から生成ガスとともに排出されるタールが少なく、タール収率は5〜7%程度と低くなっていることを見出した。
本発明者らは、非特許文献1のバイオマスのガス化炉を用いてタール収率を向上させるように検討を行った結果、充填移動層の層高を低下させ、かつ炉下部から投入するガス化剤流量を増加させることにより、非特許文献1の方法では5〜7%であったタール収率を20%まで増加させることができた。これは気流層熱分解炉により得られるタール収率に匹敵し、かつ大幅に低い粘度のタールが得られた。
発明者らは、この検討結果を考察し、充填移動層の層高を低下させ、かつ炉下部から投入するガス化剤流量を増加させることにより、タールの大部分を捕捉する乾燥領域の層厚を小さくするようにして、乾燥領域において熱分解領域で生成したタールの大部分を通過させることができることを見出した。すなわち、乾燥領域の層厚をできるだけ小さくすることがタール収率を向上させるために効果的である。一方、乾燥領域の層厚を小さくする場合に、熱分解領域におけるバイオマスの棚吊りの発生を抑制するために十分な圧力を下方に与えるために必要な層厚の下限があることも確認した。ここで、バイオマスの棚吊りとは、熱分解途中のバイオマスや熱分解残渣が炉内壁に融着し、棚を吊ったような状態になることをいい、棚吊りが生じると、バイオマスの下降や炉内ガスの流通に支障が生じ、安定した運転ができなくなる問題が生じる。乾燥領域の層厚が過小であると、熱分解領域のバイオマスを下降させる圧力が不足し、バイオマスや熱分解残渣が滞留し棚吊りが発生する問題が生じる。
このような経緯のもとで、課題の解決のために、本発明は、次のごとくの構成の装置についての第一発明そして方法についての第二発明に至った。
<第一発明(装置発明)>
竪型の熱分解炉の上部からバイオマスを供給してバイオマスの充填移動層を該熱分解炉内に形成し、該熱分解炉の下部からガス化剤を供給し、充填移動層の降下するバイオマスを、上昇するガス化剤と向流接触させ熱分解させて生成ガスとタールを得る熱分解炉を備えるバイオマス熱分解装置において、
充填移動層の上部から下部に向って順に形成される、供給されたバイオマスを乾燥する乾燥領域、バイオマスを熱分解してガスとタールを生成する熱分解領域、熱分解により発生した固定炭素をガス化する還元領域そして未燃の固定炭素及びバイオマスを部分酸化してガス化反応に必要な熱を発生する酸化領域のうち、乾燥領域の層厚を調整する乾燥領域層厚調整手段を有し、該乾燥領域層厚調整手段は、乾燥領域の層厚を、熱分解領域におけるバイオマスの棚吊りの発生を抑制するために十分な圧力を下方の層に与えるために必要な乾燥領域の層厚の下限以上とするとともに、乾燥領域においてバイオマスを乾燥させるとともに、熱分解領域で生成したタールの大部分を通過させるように乾燥領域の層厚の上限以下に調整するように設定されていることを特徴とするバイオマスの熱分解装置。
本発明において、乾燥領域の層厚が下限より小さいと、熱分解領域のバイオマスを下降させる圧力が不足し、熱分解途中のバイオマスやバイオマス熱分解残渣が滞留し炉壁に融着しやがて棚つりが生じ、バイオマスの熱分解が円滑に進まず、乾燥領域の層厚が上限より大きいと、熱分解領域で生成したガス状タール又はミスト状タールが乾燥領域で冷却され凝縮して液状タールになり又は凝集され大粒径液状タールとなり、バイオマスに付着するなどしてタールの大部分が捕捉され、熱分解炉から排出されるタール量が少なくなる。したがって、本発明では、上記上限と下限の間となるように、層厚が調整される。
本発明において、乾燥領域層厚調整手段は、例えば、バイオマス供給量調整装置とガス化剤供給量調整装置を有していて、これらにより乾燥領域の層厚を調整することができる。
上記バイオマス供給量調整装置は、バイオマス供給量を調整して充填移動層の層高を調整し、さらに、乾燥領域層厚を熱分解領域におけるバイオマスの棚吊りの発生を抑制するために十分な圧力を下方の層に与えるために必要な乾燥領域の層厚の下限以上とするとともに、乾燥領域においてバイオマスを乾燥させるとともに、熱分解領域で生成したタールの大部分を通過させるように乾燥領域の層厚の上限以下に調整する。このように乾燥領域の層厚を調整することは、充填移動層熱分解装置を主にガス発生させるガス化装置として用いる場合に比べて、充填移動層の層高を低くし、乾燥領域の層厚を低減することに相当する。また、ガス化剤供給量調整装置は、乾燥領域層厚を熱分解領域におけるバイオマスの棚吊りの発生を抑制するために十分な圧力を下方の層に与えるために必要な乾燥領域の層厚の下限以上とするとともに、乾燥領域においてバイオマスを乾燥させるとともに、熱分解領域で生成したタールの大部分を通過させるように乾燥領域の層厚の上限以下に調整する。このように乾燥領域の層厚を調整することは、充填移動層熱分解装置を主にガス発生させるガス化装置として用いる場合に比べて、ガス化剤供給量を増加させて、熱分解領域、還元領域、酸化領域の層厚を増加させ、その結果、乾燥領域層厚を低減するように調整することに相当する。
上記バイオマス供給量調整装置そしてガス化剤供給量調整装置により、乾燥領域の層厚を適切な範囲とすることにより、熱分解領域で生成し乾燥領域に上昇したガス状又はミスト状のタールは、乾燥領域で凝縮して液状になり又は凝集され捕捉されて熱分解領域に戻されることがなく、ガス状又はミスト状のまま乾燥領域を通過し、熱分解炉の上部から排出される。
本発明において、バイオマス供給量調整装置及び/又はガス化剤供給量調整装置は、乾燥領域の温度を80℃以上100℃以下に設定することが好ましい。
本発明において、ガス化剤供給量調整装置は、熱分解炉内の内容物の不存在時にガス化剤が熱分解炉内を1000℃で上昇するとしたときの空塔ガス線速度を40〜60cm/sに設定することが好ましい。
<第二発明(方法発明)>
竪型の熱分解炉の上部からバイオマスを供給してバイオマスの充填移動層を該熱分解炉内に形成し、該熱分解炉の下部からガス化剤を供給し、充填移動層の降下するバイオマスを、上昇するガス化剤と向流接触させ熱分解させて生成ガスとタールを得るバイオマス熱分解方法において、
充填移動層の上部から下部に向って順に、供給されたバイオマスを乾燥する乾燥領域、バイオマスを熱分解してガスとタールを生成する熱分解領域、熱分解により発生した固定炭素をガス化する還元領域そして未燃の固定炭素及びバイオマスを部分酸化してガス化反応に必要な熱を発生する酸化領域を形成し、乾燥領域の層厚を、熱分解領域におけるバイオマスの棚吊りの発生を抑制するために十分な圧力を下方の層に与えるために必要な乾燥領域の層厚の下限以上とするとともに、乾燥領域においてバイオマスを乾燥させるとともに、熱分解領域で生成したタールの大部分を通過させるように乾燥領域の層厚の上限以下に調整することを特徴とするバイオマスの熱分解方法。
この第二発明においても、乾燥領域の層厚の調整は、第一発明の場合と同様に、バイオマス供給量の調整やガス化剤供給量の調整によって行われる。
本発明は、以上のように、バイオマスの充填移動層の上部における乾燥領域の層厚を、熱分解領域におけるバイオマスの棚吊りの発生を抑制するために十分な圧力を下方の層に与えるために必要な乾燥領域の層厚の下限以上とするとともに、乾燥領域でバイオマスを乾燥させるとともに、熱分解領域で生成したタールの大部分を通過させるように乾燥領域の層厚の上限以下に調整することとしたので、タールを高い収率で生成することができるバイオマス熱分解装置そして方法を提供できる。さらに、乾燥領域の温度を80℃以上100℃以下に設定することとしたので、乾燥領域で凝縮温度の低いタールすなわち粘度の低いタールを選択的に通過させるので、粘度の低いタールを最大限得るバイオマス熱分解装置そして方法を提供できる。
本発明の一実施形態装置の概要構成図である。
図1は、本発明の一実施形態としてのバイオマス熱分解装置の概要構成図である。
図1において、符号1は竪型炉として形成された熱分解炉である。熱分解炉1の上部には、ホッパ等に貯留されているバイオマスをロータリバルブ等の切出し装置で切り出して搬送コンベア等により搬送し炉内の上部空間へバイオマスを供給するバイオマス供給装置2が接続されていると共に、上記上部空間から生成ガスを排出するガス排出口3が設けられている。該ガス排出口3には、冷却器4が接続され、そして該冷却器4には比重分離器5が接続されている。上記冷却器4は、ガス排出口3からの生成ガスを受け、冷却媒体との熱交換により該生成ガスを冷却するようになっており、冷却により、液状分としてのタールおよび水と、冷却後も残存するガス分としての可燃ガスとに気液分離するようになっている。また、この冷却器4に接続されている比重分離器5は、例えば遠心分離器であり、冷却器4から受けたタールおよび水を、比重差によって、軽質タールと水と、重質タールとに分離するようになっている。
上記熱分解炉1は、その下部からガス化剤として空気そして水蒸気を受けるようになっている。炉下部には、加湿器6が接続されており、空気がブロワ7によりそして水蒸気がブロワ8により加湿器6に送られて互いに混合されて、該加湿器6から炉下部に送入される。
本実施形態装置では、好ましい形態として、炉内のバイオマスの充填移動層の温度及び充填移動層から出たガスの温度を検知するための温度センサが炉壁に上下にわたり分布配置されている。さらにバイオマスの充填移動層の層高を計測する層高センサが設置されている。この温度センサと層高センサの出力をもって、後述のバイオマス供給量調整装置とガス化剤供給量調整装置から成る乾燥領域層厚調整装置を作動させるようになっている。本実施形態では、上記バイオマス供給装置2がバイオマスの切り出し量を調整して切り出すロータリバルブなどのバイオマス供給量調整装置(図示せず)を備えていて、熱分解炉1へのバイオマス供給量を調整できるようになっている。また、空気を送風するブロワ7と水蒸気を送風するブロワ8とが、ガス化剤供給量調整装置として設置され、ガス化剤としての空気そして水蒸気の供給量を調整できるようになっている。空気及び水蒸気を送風するダクトにダンパを設け、ダンパの開度により供給量を調整するようにしてもよい。
かかる構成の本実施形態装置では、次の要領でバイオマスを熱分解しタールを得る。
<熱分解炉>
バイオマス供給装置2により、熱分解炉1に、バイオマスが該熱分解炉1の上部から供給されると、熱分解炉1内にバイオマスが堆積した充填移動層が形成される。この充填移動層は上部から乾燥領域、熱分解領域、還元領域、酸化領域を形成するようになり、熱分解反応の進行に応じてバイオマスは充填移動層上部から下部へと下降する。各領域での好適な温度は、乾燥領域で80〜100℃、熱分解領域で150〜800℃、還元領域で800〜1100℃、そして酸化領域で1100〜1300℃である。
熱分解炉1の下部からは、ガス化剤としてブロワ7,8で圧送された空気と水蒸気が加湿器6で混合された後炉内に供給され、混合気は熱分解炉1内を下部から上部へ酸化領域、還元領域、熱分解領域へと上昇する。酸化領域で固定炭素、液状タール、未熱分解バイオマスが混合気により部分酸化・燃焼され、ガス化反応、熱分解、乾燥に必要な熱を発生し、燃焼ガスはこの熱を伴い充填移動層内を上昇する。還元領域で燃焼ガスの熱によりバイオマスが熱分解され、バイオマスから生成された生成ガスは上部のガス排出口3から取り出される。
熱分解炉1の上部から供給され該熱分解炉1内で充填移動層を形成するバイオマスは、生成したガスの熱により乾燥されて乾燥領域を該充填移動層の上部に形成する。この乾燥領域から下降したバイオマスは熱分解領域で熱分解され、CH、CO、H等の可燃ガスと、CO、HO、ガス状タール等の生成ガスと、固定炭素を生じる。可燃ガスとCO、HO、ガス状タール等の生成ガスは充填移動層内を上昇し、固定炭素は下降する。熱分解領域から下降した固定炭素、液状タール、未熱分解バイオマスは還元領域でガス化剤としての水蒸気やCOとガス化反応してCO、Hを生成し、生成されたCO、Hは充填移動層内を上昇する。還元領域の下方に形成されている酸化領域では、還元領域から下降した残存する固定炭素、液状タール、未熱分解バイオマスが空気により部分酸化・燃焼され、ガス化反応、熱分解、乾燥に必要な熱を発生し、燃焼ガスは熱を伴い充填移動層内を上昇し熱分解領域でのバイオマスの熱分解のための熱を供給する。充填移動層の下部からは燃焼灰が外部へ排出される。
<乾燥領域の層厚の調整>
バイオマス熱分解処理量(単位時間当りの量)はガス化剤の供給量で規定され、所定の処理量が設定される。これに対応して充填移動層の高さが設定されると、これに見合った乾燥領域の高さが設定され、そして乾燥領域の層厚の上下限範囲(標準層厚の範囲)が設定される。
熱分解炉の炉壁には、上下方向に温度センサが分布配置されており、高さ方向での充填移動層の温度分布が得られる。また、層高センサから充填移動層上面の位置(層高)が得られる。その温度分布と層高から、既述した80〜100℃の範囲が乾燥領域として認識される。かくして、乾燥領域の層厚を検出する。この検出層厚を上記標準層厚の範囲と比較し、検出層厚が標準層厚範囲内となるように、乾燥領域層厚調整装置としてのバイオマス供給量調整装置そしてガス化剤供給量調整装置を調整操作する。すなわち、乾燥領域の層厚を、熱分解領域におけるバイオマスの棚吊りの発生を抑制するために十分な圧力を下方に与えるために必要な標準層厚の下限以上とするとともに、乾燥領域においてバイオマスを乾燥させ、かつ、熱分解領域で生成したタールの大部分を通過させるように上限以下に調整する。乾燥領域の層厚が上記下限より小さいと、バイオマスを熱分解領域から還元領域へ下降させる圧力が不足し、バイオマスが熱分解領域に滞留し熱分解途中のバイオマスやバイオマスの熱分解残渣が炉壁に融着し棚吊りが生じて熱分解炉の運転に問題が生じるからである。
かかる調整において、乾燥領域の検出層厚が標準層厚範囲よりも大きかったり、あるいは、乾燥領域の上面高さ、すなわち充填移動層の高さが高すぎたりする場合には、バイオマス供給調整装置を操作してバイオマス供給量を減じ、これで十分でないときには、ガス化剤供給量調整装置をも操作してガス化剤供給量を増加させて乾燥領域の層厚を上限以下とする。
このように、上記バイオマス供給量調整装置により、バイオマス供給量を調整し充填移動層の層高を調整するか、又は乾燥領域層厚を調整するが、バイオマスの熱分解炉の運転立上げ時には、予め定めた充填移動層の層高となるようにバイオマスを供給し充填移動層を形成し、立上げ運転が終了し定常運転に移行した後は、予め定めた充填移動層の層高を維持し、乾燥領域層厚を好ましい層厚とするようにバイオマス供給量を調整する。
また、ガス化剤供給量調整装置によっては、ガス化剤供給量を増加させて、熱分解領域、還元領域、酸化領域の層厚を増加させることで、その結果、乾燥領域層厚を低減し好ましい層厚とするように調整する。
かくして、熱分解領域で生成し乾燥領域に上昇したガス状又はミスト状タールの大部分は、乾燥領域で凝縮して液状タールになったり又は凝集され大粒径液状タールになることはなく、そのため捕捉されて熱分解領域に戻されることがなく、ガス状又はミスト状のまま乾燥領域を通過し、熱分解炉から排出される。ガス化剤供給量を増加させると、乾燥領域層厚を低減させ捕捉されるタール量を低減させ、タール収率が向上するが、過剰にガス化剤供給量を増加させると、炉内ガス上昇速度の増加により充填移動層を構成するバイオマス等の下方への均一な移動を妨げ、やがて炉内ガスの偏流や棚つりが生じるので、棚つりが生じるガス流量以下の流量に調整する。
乾燥領域の温度に関しては、バイオマス供給量調整装置によりバイオマス供給量を調整すること及び/又はガス化剤供給量調整装置によりガス化剤供給量を調整することにより、該乾燥領域の温度を80℃以上100℃以下、さらに好ましくは80℃以上90℃以下に維持する。このように乾燥領域の温度を維持することにより、高沸点で粘度の高い高分子量タールは凝縮され、常温で投入され充填層上部を覆うバイオマスがこの凝縮した高分子量タールのフィルターとなり、高分子量タールが捕捉されるため、ガス排出口から排出されるタールにこの粘度の高いタールが含まれる比率は少なくなる。そのため得られたタールは低粘度である。これにより粘度の高いタールによるトラブルを回避できる。また、充填移動層の高さを低くし乾燥領域の層厚を熱分解領域で生成したタールの大部分を通過させるように調整して、タールを高い収率で得るようにする際に、該乾燥領域の温度を上記の範囲に維持することにより、得られるタールを低粘度のタールとし、低粘度のタールを高い収率で得ることができる。
このようにして、本実施形態の竪型の熱分解炉で得られるタールの動粘度は、約100 mm/s(50℃)であり、気流層反応器で得られるタールの500〜1000mm/s(50℃)と比較し1/5以下の値となって低粘度であるため取り扱いやすい。
本実施形態では、ガス化剤供給量調整装置は、熱分解炉内の内容物の不存在時にガス化剤が熱分解炉内を1000℃で上昇するとしたときの空塔ガス線速度を40〜60cm/sの範囲に設定することがより好ましい。この範囲の下限より低いと乾燥領域の層厚をタールの大部分を通過させるように小さくした際に、層高が低くなりすぎて標準層厚の下限以下となり棚つりが生じることがある。また、この範囲の上限より高いと充填移動層を構成するバイオマス等の下方への均一な移動を妨げ、やがて炉内ガスの偏流や棚つりが生じる。
<生成ガスの処理>
このようにして、熱分解炉1で生成されガス排出口3から取り出された生成ガスは、冷却器4にもたらされ、冷却によってタールと水分が凝集されて気液分離される。液状分は比重分離器5へ送られ、残った生成ガス分は可燃ガスとして冷却器4から送り出され燃料等の使用に供される。一方、液状分は比重分離器5で比重差によって軽質タールと水と、重質タールに分離された後にそれぞれ取り出される。重質タール(非水溶性タール)はC重油の代替燃料として利用可能である。
以下、本実施形態装置を用いた実施例を比較例と共に示す。
各実施例では、竪型の熱分解炉内の充填移動層の高さを、この熱分解炉を用いて行う通常のガス化操業の際の充填移動層の高さの60%程度となるようにバイオマス供給量を調整した。比較例に示されるような通常のガス化操業の際の充填移動層の高さが3.2mであるのに対して実施例1〜4ではその60%となる1.9mとし、乾燥領域層厚も減じた状態で、バイオマス供給量、ガス化剤供給量そして空塔ガス線速度を種々変えて実施した。その結果は、表1に示す通りの高いタール収量そしてタール収率を得た。
Figure 2013036008
<比較例>
竪型熱分解炉(炉内径300mm)において、ガス化操業を行う際の充填移動層の層高と同じ3.2mとし、乾燥領域の層厚を2.2mとした。乾燥領域でタールの大部分が捕捉され、タール収率は4.2wt%であった。
<実施例1>
充填移動層の層高を比較例の60%にまで低下させ、乾燥領域の層厚を比較例の40%程度である0.9mとした。バイオマスの供給量そしてガス化剤供給量を比較例の場合と同じとした。乾燥領域の層厚を小さくすることにより、タールの大部分を通過させ、タール収率を7.7wt%と比較例の1.8倍に増加することが確認された。
<実施例2>
実施例1に対して、バイオマス供給量、ガス化剤供給量をそれぞれ1.4倍に増加して、タール収率を13.7wt%と比較例の3.3倍に増加させることができた。
<実施例3>
実施例1に対して、バイオマス供給量を1.9倍、ガス化剤供給量を1.8倍に増加して、タール収率を18.2wt%と比較例の4.3倍に増加させることができた。
<実施例4>
実施例1に対して、バイオマス供給量を1.9倍、ガス化剤供給量を2倍に増加して、タール収率を20.1wt%と比較例の4.8倍に増加させることができた。空塔ガス線速度が60cm/sを上回るガス化剤供給量としたときに、棚吊りが生じた。
1 熱分解炉
2 バイオマス供給量調整装置(バイオマス供給装置)
7 ガス化剤供給量調整装置(空気ブロワ)
8 ガス化剤供給量調整装置(水蒸気ブロワ)

Claims (5)

  1. 竪型の熱分解炉の上部からバイオマスを供給してバイオマスの充填移動層を該熱分解炉内に形成し、該熱分解炉の下部からガス化剤を供給し、充填移動層の降下するバイオマスを、上昇するガス化剤と向流接触させ熱分解させて生成ガスとタールを得る熱分解炉を備えるバイオマス熱分解装置において、
    充填移動層の上部から下部に向って順に形成される、供給されたバイオマスを乾燥する乾燥領域、バイオマスを熱分解してガスとタールを生成する熱分解領域、熱分解により発生した固定炭素をガス化する還元領域そして未燃の固定炭素及びバイオマスを部分酸化してガス化反応に必要な熱を発生する酸化領域のうち、乾燥領域の層厚を調整する乾燥領域層厚調整手段を有し、該乾燥領域層厚調整手段は、乾燥領域の層厚を、熱分解領域におけるバイオマスの棚吊りの発生を抑制するために十分な圧力を下方の層に与えるために必要な乾燥領域の層厚の下限以上とするとともに、乾燥領域においてバイオマスを乾燥させるとともに、熱分解領域で生成したタールの大部分を通過させるように乾燥領域の層厚の上限以下に調整するように設定されていることを特徴とするバイオマスの熱分解装置。
  2. 乾燥領域層厚調整手段は、バイオマス供給量調整装置とガス化剤供給量調整装置を有していることとする請求項1に記載のバイオマスの熱分解装置。
  3. バイオマス供給量調整装置及び/又はガス化剤供給量調整装置は、乾燥領域の温度を80℃以上100℃以下に設定することとする請求項1または請求項2に記載のバイオマスの熱分解装置。
  4. ガス化剤供給量調整装置は、熱分解炉内の内容物の不存在時にガス化剤が熱分解炉内を1000℃で上昇するとしたときの空塔ガス線速度を40〜60cm/sに設定することとする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のバイオマスの熱分解装置。
  5. 竪型の熱分解炉の上部からバイオマスを供給してバイオマスの充填移動層を該熱分解炉内に形成し、該熱分解炉の下部からガス化剤を供給し、充填移動層の降下するバイオマスを、上昇するガス化剤と向流接触させ熱分解させて生成ガスとタールを得るバイオマス熱分解方法において、
    充填移動層の上部から下部に向って順に、供給されたバイオマスを乾燥する乾燥領域、バイオマスを熱分解してガスとタールを生成する熱分解領域、熱分解により発生した固定炭素をガス化する還元領域そして未燃の固定炭素及びバイオマスを部分酸化してガス化反応に必要な熱を発生する酸化領域を形成し、乾燥領域の層厚を、熱分解領域におけるバイオマスの棚吊りの発生を抑制するために十分な圧力を下方の層に与えるために必要な乾燥領域の層厚の下限以上とするとともに、乾燥領域においてバイオマスを乾燥させるとともに、熱分解領域で生成したタールの大部分を通過させるように乾燥領域の層厚の上限以下に調整することを特徴とするバイオマスの熱分解方法。
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