JP2013035232A - 繊維強化樹脂材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂部材を連続繊維補強材で補強してなる繊維強化樹脂材の製造に際し、連続繊維補強材の繊維配向が乱され難く、樹脂部材と連続繊維補強材の密着強度の高い繊維強化樹脂材を製造することのできる製造方法を提供する。
【解決手段】成形型10を構成する下型2のキャビティ面の上に熱可塑性樹脂からなる第1のマトリックス樹脂5a内に連続繊維5bが含有されてなる連続繊維補強材5を載置して型閉めし、下型2は第1のマトリックス樹脂5aの融点未満の温度に調整し、上型1は第1のマトリックス樹脂5aの融点以上の温度に調整しておくステップ、熱可塑性樹脂からなり、溶融している第2のマトリックス樹脂6aの塊6をキャビティC内にチャージし、冷却して第1、第2のマトリックス樹脂5a,6aを硬化させ、第2のマトリックス樹脂が硬化してなる樹脂部材6”の一部を連続繊維補強材5’が補強してなる繊維強化樹脂材20を製造するステップからなる。
【選択図】図6

Description

本発明は、連続繊維補強材にて樹脂部材の一部が部分的に補強されてなる繊維強化樹脂材の製造方法に関するものである。
樹脂に強化用繊維材が混入されてなる繊維強化樹脂材(繊維強化プラスチック(FRP))は、軽量かつ高強度であることから、自動車産業や建設産業、航空産業など、様々な産業分野で使用されている。
たとえば自動車産業においては、ピラーやロッカー、床下フロアなどの車両の骨格構造部材や、ドアアウターパネルやフードなどの意匠性が要求される非構造部材に上記繊維強化樹脂材が適用され、車両の強度保証を図りながらその軽量化を実現し、低燃費で環境フレンドリーな車両を製造する試みがおこなわれている。
上記する骨格構造部材においては、炭素繊維やガラス繊維等の繊維材であって、長さが50mm以上の連続繊維が一定の配向をもって形成されてなる連続繊維材で骨格構造部材の全部を製造しようとするとコスト増となることから、50mm未満の繊維長の長繊維やさらに繊維長の短い短繊維がたとえばランダムに配向してなる樹脂部材に対し、その一部を連続繊維補強材で補強して骨格構造部材を製造する試みがおこなわれている。また、非構造部材にあっては、繊維材が含有されていない樹脂部材に対して、必要に応じてその一部を連続繊維補強材で補強することがおこなわれている。
これまでの製造方法では、成形型内に連続繊維補強材を載置し、次いでたとえば熱可塑性樹脂からなる溶融樹脂をキャビティにチャージし、溶融樹脂が硬化することによって、硬化してなる樹脂部材の一部が連続繊維補強材で補強されてなる繊維強化樹脂材が成形されているのが一般的である。このチャージには、プレヒートされた溶融樹脂の塊をキャビティ内に収容してプレス成形する方法や、溶融樹脂を射出成形する方法、連続繊維補強材のほかに短繊維や長繊維等の繊維材をキャビティ内に収容しておき、溶融樹脂を注入するトランスファー成形などが含まれる。
このように、キャビティ内に連続繊維補強材を収容しておいて溶融樹脂をチャージするに当たり、連続繊維補強材とチャージされる溶融樹脂双方のマトリックス樹脂はともに溶融状態であることが双方を密着させる観点から必須であり、そのために、成形型内は上型、下型ともに同程度の温度に加熱されてキャビティ内が高温雰囲気とされる。しかしながら、このチャージの際に溶融された連続繊維補強材のマトリックス樹脂に対して、別途のマトリックス樹脂がチャージされる際の圧力によって連続繊維がばらばらになってその配向が乱され易く、結果として連続繊維補強材の有する所期の強度が期待できなくなるといった課題がある。
また、特許文献1には、移動型内に繊維強化熱可塑性樹脂成形体をセットしてその表面をヒーター加熱して溶融させ、金型を閉じてキャビティ内に熱可塑性樹脂を射出成形する技術が開示されている。しかしながら、この方法では、ヒーター加熱して金型を閉じ、次いで射出成形することから射出成形までの間に溶融された成形体の表面が冷やされ易く、繊維強化熱可塑性樹脂成形体と射出成形された樹脂が硬化してなる樹脂部材の間の密着強度が低くなり易い。
特開平5−269785号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、樹脂部材の一部を連続繊維補強材で補強してなる繊維強化樹脂材の製造に際し、連続繊維補強材の繊維配向が乱され難く、かつ樹脂部材と連続繊維補強材の密着強度の高い繊維強化樹脂材を製造することのできる繊維強化樹脂材の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による繊維強化樹脂材の製造方法は、成形型を構成する下型のキャビティ面の上に、熱可塑性樹脂からなる第1のマトリックス樹脂内に連続繊維が含有されてなる連続繊維補強材を載置して上型と下型を型閉めし、下型は第1のマトリックス樹脂の融点未満の温度に調整し、上型は第1のマトリックス樹脂の融点以上の温度に調整しておく第1のステップ、熱可塑性樹脂からなり、溶融している第2のマトリックス樹脂をキャビティ内にチャージし、上型を第1のマトリックス樹脂の融点未満の温度にして第1、第2のマトリックス樹脂を硬化させ、第2のマトリックス樹脂が硬化してなる樹脂部材の一部を連続繊維補強材が補強してなる繊維強化樹脂材を製造する第2のステップからなるものである。
本発明の製造方法は、成形型内で連続繊維補強材を構成するマトリックス樹脂の全部を溶融させることを廃し、連続繊維補強材が載置される下型と上型で温度差を設け、下型の温度をそのマトリックス樹脂の融点未満の温度に調整し、上型の温度を融点以上の温度に調整した上で別途のマトリックス樹脂をチャージする方法である。この方法により、連続繊維補強材の上型側の表面のみを溶融させて別途のマトリックス樹脂と密着できるようにしながら、連続繊維補強材のその他の領域は溶融させないことから、連続繊維の所期の配向を維持することができ、かつ、連続繊維補強材の表面温度が高い状態で溶融状態の樹脂部材用のマトリックス樹脂を密着させることによって界面の密着強度の高い繊維強化樹脂材を製造することができる。
ここで、「チャージ」とは、繊維材が溶融樹脂内に含有された材料をキャビティ内に射出成形すること、繊維材を含まない溶融樹脂をキャビティ内にトランスファー成形すること(トランスファーされる樹脂内に繊維材を含有させたい場合には、短繊維や長繊維を予めキャビティ内に収容しておく)、さらには、溶融樹脂の塊やシート(プレヒートによる予備腑形体)をキャビティ内に配しておき、型閉めしてプレス成形することのいずれかの方法を示すものである。
本発明の方法では、成形型を構成する上型や下型の温度を調整してキャビティ内の温度調整を図るものであり、たとえば、成形型の型閉め姿勢を維持した状態で上型を加熱して上型のみを相対的に高温状態としながら溶融樹脂(第2のマトリックス樹脂)のチャージをおこなうことより、この溶融樹脂のチャージまでに連続繊維補強材の表面が冷えてしまうといった問題は生じ得ない。
本明細書において「連続繊維補強材」とは、連続繊維がマトリックス樹脂内に含有されてなる補強材(プリプレグ材等)のことであり、たとえばJISで規定するように50mmを超える繊維材(連続繊維)がマトリックス樹脂内に一方向に配向された一方向材(UD材)であってもよいし、擬似等方材(多軸積層材や経糸および緯糸からなる織物など)であってもよい。
また、第1、第2のマトリックス樹脂はともに熱可塑性樹脂からなるものであるが、「マトリックス樹脂の融点」に関し、熱可塑性樹脂がポリスチレン(PS)等の非結晶性プラスチックからなる場合はそのガラス転移点Tgのこと(この状態で「軟化」している)であり、ナイロン(PA:ナイロン6、ナイロン66など)等の結晶性プラスチックの場合はその融点Tmを超えた状態のこと(この状態で「溶融」している)である。
最終的に成形される樹脂部材が車両の骨格部材等の強度部材の場合には、第2のマトリックス樹脂内に長繊維や短繊維がたとえばランダムに含有された材料が使用される。より具体的に言えば、チャージがプレス成形の場合には、溶融した第2のマトリックス樹脂内に長繊維等が含有してなる塊がキャビティ内に収容され、プレス成形されることになり、トランスファー成形の場合には、長繊維材等のみがキャビティ内に収容され、ここに第2のマトリックス樹脂が注入されることになる。また、射出成形の場合には、溶融した第2のマトリックス樹脂内に長繊維等が含有したものがキャビティ内に射出成形されることになる。
第1のステップでは、第1のマトリックス樹脂を有する連続繊維補強材が載置される下型が第1のマトリックス樹脂の融点未満の温度に調整され、上型は第1のマトリックス樹脂の融点以上の温度に調整され、したがって、連続繊維補強材の上型側の表面のみが溶融した状態となっている。
この状態で、次に第2のステップとして溶融している別途の第2のマトリックス樹脂がチャージされ(たとえば第2のマトリックス樹脂の塊がキャビティ内に収容されてプレス成形される)、さらに相対的に高温の上型を第1のマトリックス樹脂の融点未満の温度まで下げることにより、第1、第2のマトリックス樹脂が硬化してそれぞれ連続繊維補強材と樹脂部材となり、基材である樹脂部材の一部を連続繊維補強材が補強してなる繊維強化樹脂材が製造される。
ここで、第1、第2のマトリックス樹脂の密着性の観点から、双方のマトリックス樹脂は同素材であるのが好ましい。
上記する本発明の繊維強化樹脂材の製造方法によれば、連続繊維補強材の全部の繊維配向が乱されるのが抑制され、連続繊維補強材の所期の強度、もしくはそれに近い強度を期待できることに加えて、樹脂部材と連続繊維補強材の密着強度に優れた繊維強化樹脂材を製造することができる。
また、前記下型のキャビティ面のうち、連続繊維補強材が載置される箇所に凹溝が設けてあり、前記第1のステップでは該凹溝に連続繊維補強材が収容される実施の形態が好ましい。
連続繊維補強材を下型の凹溝内に収容することによってその位置決めが容易となり、しかも、溶融した第2のマトリックス樹脂がキャビティ内にチャージされた際の圧力で連続繊維補強材が位置ずれするといった問題も生じない。
上記する本発明の製造方法を適用することにより、樹脂部材の所望する一箇所もしくは複数箇所に所期の物性(引張強度等)を有する連続繊維補強材が高い密着性の下で密着されてなる繊維強化樹脂材を製造することができ、この繊維強化樹脂材は、ピラーやロッカー、床下フロアなどの強度が要求される車両の骨格構造部材は勿論のこと、ドアアウターパネルやフードなどの意匠性が要求される非構造部材などに適用することができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の繊維強化樹脂材の製造方法によれば、上型と下型からなる成形型のキャビティ内に溶融樹脂をチャージするに当たり、連続繊維補強材が載置される下型を相対的に低温に調整し、上型を連続繊維補強材のマトリックス樹脂の融点以上の温度に調整しておくことにより、連続繊維補強材の繊維配向を維持してその所期の物性を保証しながら、チャージされる溶融樹脂が硬化してなる樹脂部材とこれを部分的に補強する連続繊維補強材の間の密着強度の高い繊維強化樹脂材を製造することができる。
本発明の繊維強化樹脂材の製造方法の第1のステップを説明した模式図である。 連続繊維補強材の一実施の形態を示した斜視図である。 製造方法の第2のステップを説明した模式図である。 溶融状態の第2のマトリックス樹脂の塊を示した斜視図である。 図3に続いて第2のステップを説明した模式図である。 上型の温度調整(上型の温度制御)と連続繊維補強材の表面温度の変化を示したグラフである。 製造された繊維強化樹脂材を斜め下から見た斜視図である。 (a)は引張試験の概要を説明した図であり、(b)は引張試験結果を示す図である。 (a)は従来の製造方法で製造された繊維強化樹脂材の連続繊維補強材と樹脂部材の界面付近を拡大した写真図であり、(b)は本発明の製造方法で製造された繊維強化樹脂材の連続繊維補強材と樹脂部材の界面付近を拡大した写真図である。
以下、図面を参照して本発明の繊維強化樹脂材の製造方法の実施の形態を説明する。
(繊維強化樹脂材の製造方法)
図1,3,5はこの順で、本発明の繊維強化樹脂材の製造方法の一実施の形態を説明するフロー図となっており、具体的には、図1は発明の繊維強化樹脂材の製造方法の第1のステップを説明した模式図であり、図3、5は順に第2のステップを説明した模式図である。
図示する成形型10は、スライド自在の上型1と下型2から構成され、上型1の内部には高温油管路1aと冷水管路1bが埋設され、下型2の内部には冷水管路2bが埋設されており、冷水管路1b、2bは不図示の冷水タンクからの冷水の提供や水温の調整を図る冷水調整機構3に電気的に繋がれており、高温油管路1aは不図示の油タンクからの高温油の提供や油温の調整を図る高温油調整機構4に電気的に繋がれている。
図示例では、上型1と下型2で画成されるキャビティCの空間形状が断面視で略Ω状を呈しており、下型2のキャビティCに対向するキャビティ面のうち、隅角をなす箇所には図2で示す連続繊維補強材5が収容される凹溝2aが開設されている。
本発明の製造方法では、下型2の凹溝2aに連続繊維補強材5を収容しておき、次にキャビティC内に樹脂部材成形用のマトリックス樹脂をチャージして樹脂部材を成形し、樹脂部材と連続繊維補強材の一体化を図って繊維強化樹脂材を製造するものであるが、この樹脂部材成形用のマトリックス樹脂をキャビティC内にチャージするに当たって凹溝2a内に連続繊維補強材5を収容することにより、連続繊維補強材5の位置決めが容易となり、さらには、マトリックス樹脂のチャージの際の圧力によって位置決めされた連続繊維補強材5が位置ずれするのを防止することができる。
図2で示す連続繊維補強材5は、熱可塑性樹脂からなる第1のマトリックス樹脂5a内に連続繊維5bが一定方向に配向して埋設されたものである。
ここで、熱可塑性樹脂からなる第1のマトリックス樹脂5aとしては、たとえば、分子鎖が規則正しく配列された結晶領域の量の比率が高く、結晶化度の高い結晶性プラスチックである、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ナイロン(PA:ナイロン6、ナイロン66など)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、結晶化度が極めて低いか、結晶化状態にならない非結晶性プラスチックである、ポリスチレン(PS)やポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ABS樹脂、熱可塑性エポキシなどのうちのいずれか一種を使用することができる。
なお、図3で示す、キャビティC内にチャージされる溶融状態の第2のマトリックス樹脂の塊6も熱可塑性樹脂からなり、双方のマトリックス樹脂5a,6aは同素材のものであっても異なる素材のものであってもよいが、界面における接着性や熱変形量等の観点から同素材のものを適用するのが好ましい。
図2に戻り、第1のマトリックス樹脂5a内に含有される連続繊維5bとしては、ボロンやアルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニアなどのセラミック繊維や、ガラス繊維や炭素繊維といった無機繊維、銅や鋼、アルミニウム、ステンレス等の金属繊維、ポリアミドやポリエステルなどの有機繊維のいずれか一種もしくは2種以上の混合材を挙げることができる。
そして、連続繊維補強材5は、連続繊維5bがマトリックス樹脂5a内に含有されてなるプリプレグ材等であり、JISで規定するように50mmを超える連続繊維5bが図示例のようにマトリックス樹脂5a内に一方向に配向された一方向材(UD材)であってもよいし、擬似等方材(多軸積層材や経糸および緯糸からなる織物など)であってもよい。
成形型10を型開きして下型2の凹溝に連続繊維補強材5を収容し、図1で示すように成形型10を型閉めして、下型2は第1のマトリックス樹脂5aの融点未満の温度に調整し、上型1は第1のマトリックス樹脂5aの融点以上の温度に調整する(第1のステップ)。
上型1の温度調整においては、高温油調整機構4を作動して所望温度に調整された高温油を上型1の高温油管路1aに還流させて上型1を昇温させる。一方、下型2は常温のまま保持し、したがって、型閉めされた成形型10では、上型1が高温に加熱され、下型2は常温に保持された状態となっている。
ここで、図6を参照して、上型1の温度調整制御と、この上型1の温度変化に起因する連続繊維補強材5の表面温度の変化を確認しながら製造方法の説明をおこなう。
ここでは、第1、第2のマトリックス樹脂5a,6aとしてナイロン6を使用することとする(融点は225℃)。
第1のステップにおいて、上型1の温度はナイロン6の融点よりも高い265℃まで昇温させ、ここで上型1の昇温を完了し、この温度を維持する。
第1のステップでは、連続繊維補強材5が直接載置される下型2の温度がマトリックス樹脂5aであるナイロン6の融点よりも低く、その表面上に位置する上型1が融点以上の温度となっていることで、その表面のみが図6で示すような温度上昇曲線(もしくは直線)で上型1の温度に近づき、その融点を超えて表面のみが溶融する。
連続繊維補強材5の表面のみを溶融状態とし、次に、図3で示すようにキャビティC内に溶融状態の第2のマトリックス樹脂の塊6をチャージする。このチャージのタイミングは、図6で示すように、上型1による連続繊維補強材5の表面加熱が完了し、当該表面の温度が低下して融点付近の温度となった段階である。
第2のマトリックス樹脂の塊6もナイロン6からなり、その内部には、図4で示すように既述する繊維材料のいずれかからなる長繊維6bがランダムに含有されている。
図示例において、「チャージ」とは、溶融状態の第2のマトリックス樹脂の塊6をキャビティC内に収容し、図5で示すように上型1をプレスして溶融状態の第2のマトリックス樹脂の塊6をプレス成形することを意味している。なお、別途のチャージ形態である、射出成形やトランスファー成形などを適用して樹脂部材を成形してもよく、射出成形の場合には、スクリュー内で長繊維と溶融したナイロン6を混合してキャビティ内へ射出する方法によっておこなわれ、トランスファー成形の場合には、長繊維を先行してキャビティ内に収容しておき、溶融したナイロン6をキャビティ内に注入する方法によっておこなわれる。
連続繊維補強材5の表面が溶融した状態で、図5で示すように上型1を押圧(押圧力Q)して第2のマトリックス樹脂の塊がプレス成形され、キャビティC内でプレスされた第2のマトリックス樹脂6’が形成される。
そして、上型1、下型2ともに冷水調整機構3を作動させて冷水を冷水管路1b、2bに還流させて双方の温度を低下させ、溶融状態のプレスされた第2のマトリックス樹脂6’と連続繊維補強材5を硬化させることによって、図7で示すように、溶融状態のプレスされた第2のマトリックス樹脂6’が硬化してなる樹脂部材6”の適所が溶融状態の連続繊維補強材5が硬化してなる連続繊維補強材5’で補強されてなる繊維強化樹脂材20が製造される(第2のステップ)。
この製造方法によれば、連続繊維補強材5が直接載置される下型2の温度が常にそのマトリックス樹脂5aの融点未満の温度に調整されていることで、連続繊維補強材5の上型1側の表面のみが溶融され、その表面温度が融点付近で維持された状態でプレスされた第2のマトリックス樹脂6’と密着しながら、双方が冷やされることによって徐々に硬化することになる。したがって、連続繊維補強材5を構成する連続繊維5bの全部、もしくはほぼ全部の繊維配向が乱されるのが抑制され(乱されるとしても、溶融した表面のみ)、連続繊維補強材5の所期の強度を期待することができることに加えて、プレスされた第2のマトリックス樹脂6’と連続繊維補強材5の表面がともに高温の溶融状態で密着されることから、密着強度に優れた繊維強化樹脂材20を製造することができる。
「従来の製造方法で製造された繊維強化樹脂材(比較例)と、本発明の製造方法で製造された繊維強化樹脂材(実施例)の引張試験とその結果、および、双方の連続繊維補強材と樹脂部材の界面付近を観察した結果」
本発明者等は、従来の製造方法で製造された繊維強化樹脂材(比較例)と、本発明の製造方法で製造された繊維強化樹脂材(実施例)をそれぞれ試作し、引張試験をおこなって双方の引張強度を測定するとともに、双方の連続繊維補強材と樹脂部材の界面を観察した。
図8aは、引張試験の概要を説明した図である。同図において、連続繊維補強材と樹脂部材双方の厚みがそれぞれ1mm、2mmとなるように重ね合わせて繊維強化樹脂材を製作し、図示するように100mm、25mmの平面寸法の試験片を切り出し、中心線に沿って深さ1mmの溝(ノッチ)を設けた。そして、引張試験は、チャック間距離が60mmとなるよう両端をチャックにて固定し、長手方向に2mm/分の速度で張力Pで引っ張り、引張破断した際の引張荷重を測定した。その結果を図8bに示す。
実験の結果、比較例、実施例ともに、樹脂部材内における連続繊維補強材との界面近傍位置で破断していることが確認されており、また、同図で示すように比較例の方が若干引張強度は高いものの、界面の接着強度はほぼ同等であることが実証されている。
また、比較例と実施例双方の界面付近の観察写真図を図9a,bに示している。
比較例の界面付近を示す図9aより、連続繊維補強材における界面のみならず、界面から離れた領域においても連続繊維の配向が乱され、蛇行しているのが観察される。
一方、実施例の界面付近を示す図9bより、連続繊維補強材における界面から離れた領域は勿論のこと、界面付近においても連続繊維の配向は乱されておらず、一切蛇行は観察されない。
このことより、比較例に比して実施例の繊維強化樹脂材は、その一部を補強する連続繊維補強材の所期の物性を十分に期待することができ、引張強度や曲げ強度等に優れた繊維強化樹脂材となり得る。このような繊維強化樹脂材は、軽量であり、かつ高強度であることから、近時の軽量化と安全性の双方に優れた車両を構成する各種の骨格構造部材に好適である。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…上型、1a…高温油管路、1b…冷水管路、2…下型、2a…凹溝、2b…冷水管路、3…冷水調整機構、4…高温油調整機構、5…連続繊維補強材、5’…硬化後の連続繊維補強材、5a…第1のマトリックス樹脂、5b…連続繊維、6…溶融状態の第2のマトリックス樹脂の塊、6’…プレスされた第2のマトリックス樹脂、6”…樹脂部材、6a…第2のマトリックス樹脂、6b…長繊維(もしくは短繊維)、10…成形型、20…繊維強化樹脂材、C…キャビティ

Claims (6)

  1. 成形型を構成する下型のキャビティ面の上に、熱可塑性樹脂からなる第1のマトリックス樹脂内に連続繊維が含有されてなる連続繊維補強材を載置して上型と下型を型閉めし、下型は第1のマトリックス樹脂の融点未満の温度に調整し、上型は第1のマトリックス樹脂の融点以上の温度に調整しておく第1のステップ、
    熱可塑性樹脂からなり、溶融している第2のマトリックス樹脂をキャビティ内にチャージし、上型を第1のマトリックス樹脂の融点未満の温度にして第1、第2のマトリックス樹脂を硬化させ、第2のマトリックス樹脂が硬化してなる樹脂部材の一部を連続繊維補強材が補強してなる繊維強化樹脂材を製造する第2のステップからなる繊維強化樹脂材の製造方法。
  2. 前記下型のキャビティ面のうち、連続繊維補強材が載置される箇所に凹溝が設けてあり、前記第1のステップでは該凹溝に連続繊維補強材が収容される請求項1に記載の繊維強化樹脂材の製造方法。
  3. 第1のマトリックス樹脂と第2のマトリックス樹脂が同素材からなる請求項1または2に記載の繊維強化樹脂材の製造方法。
  4. 第2のステップにおける前記チャージは、プレヒートされて溶融した第2のマトリックス樹脂をキャビティ内に収容し、プレス成形する方法である請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化樹脂材の製造方法。
  5. 第2のステップにおける前記チャージは、第2のマトリックス樹脂をキャビティ内に射出成形する方法、もしくはトランスファー成形する方法のいずれかである請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化樹脂材の製造方法。
  6. 前記第2のマトリックス樹脂の内部に短繊維もしくは長繊維が含有されている請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化樹脂材の製造方法。
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