JP2013034912A - 廃棄物処分施設のモニタリング方法及び廃棄物処分施設 - Google Patents

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一喜 小澤
Masao Nishimura
正夫 西村
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剛一 鬼木
Kosuke Chimura
広介 千村
Yoshiharu Shioyama
欣春 塩山
Hideki Wakabayashi
秀樹 若林
Kazutoshi Sugano
一敏 菅野
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Abstract

【課題】比較的簡易な設備によって埋立てに係る廃棄物の場所毎に安定化度を管理することを可能にする廃棄物処分施設のモニタリング方法及び廃棄物処分施設を提供する。
【解決手段】廃棄物層S1〜Smが複数積層されて埋め立てられる貯留槽3と、貯留槽3の浸出水が集められる集水ピット5と、を備える廃棄物処分施設において、管理対象領域に複数の竪管Tを設置する竪管設置工程と、貯留槽3に廃棄物を投入し、廃棄物層S(m−1)を形成する第(m−1)層形成工程と、竪管Tに向かって浸出水を誘導する傾斜面Kを、廃棄物層S(m−1)の上面に形成する浸出水誘導部形成工程と、廃棄物層S(m−1)の上に更に廃棄物を投入して廃棄物層Sm層を形成する第m層形成工程と、廃棄物層Smにおける廃棄物の安定化度のモニタリングを小エリア毎に行うエリア別モニタリング工程と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、廃棄物処分施設のモニタリング方法及び廃棄物処分施設に関するものである。
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載の廃棄物最終処分場が知られている。この廃棄物最終処分場では、埋立地から流出する浸出水に溶存酸素を与え、これを再び埋立地に戻す。この処理を行うことで埋立地内を好気性状態とし、廃棄物内における好気性処理を促進することが提案されている。
特開平9−192622号公報 特開2005−218987号公報
この種の廃棄物処分においては、埋立て終了後には可能な限り早く管理期間を終了させて処分施設を閉鎖すべく、早期に廃棄物を安定化させることが望まれる。ところが、この種の廃棄物処分施設では、広大な埋立地を予定し、廃棄物が広い範囲に亘って存在する場合もある。そしてこの場合、埋立地に投入された廃棄物の状態は一様ではなく、投入場所によって異なるのが普通である。よって、例えば好気性処理等の安定化処理の進行状態も、埋立地内の各場所によってムラが生じ、廃棄物全体としては安定化処理が遅くなる場合もある。従って、埋立地の場所毎に廃棄物の安定化度をモニタリングし、場所毎に安定化度を管理することが望まれる。例えば、廃棄物から流出する浸出水のモニタリングを考えた場合、埋立地の場所毎に対応させて浸出水の採取手段を多数設けることで、場所毎の浸出水を管理することも考えられる。また、上記特許文献2に示されるように仕切壁で仕切られた区画ごとに浸出水を管理することも考えられる。しかしながら、これらの構成では設備の複雑化を招いてしまう。
上記の事情に鑑み、本発明は、比較的簡易な設備によって埋立てに係る廃棄物の場所毎に安定化度を管理することを可能にする廃棄物処分施設のモニタリング方法及び廃棄物処分施設を提供することを目的とする。
本発明に係る廃棄物処分施設のモニタリング方法は、廃棄物層が複数積層されて埋め立てられる貯留槽と、貯留槽の少なくとも一部の領域である管理対象領域の浸出水が集められる集水ピットと、を備える廃棄物処分施設において管理対象領域の廃棄物の安定化度をモニタリングする廃棄物処分施設のモニタリング方法であって、管理対象領域を平面視で分割した複数の小エリアを仮想的に設定し、周囲に存在する複数の小エリアからの浸出水を集めて集水ピットに導く竪管を、廃棄物層に埋め込まれるように管理対象領域に複数設置する竪管設置工程と、管理対象領域に廃棄物を投入し、廃棄物層のうち下から数えて(m−1)層目(m=2,3,…)である第(m−1)層を形成する第(m−1)層形成工程と、竪管の周囲に存在する複数の小エリアから当該竪管に向かって浸出水を誘導する浸出水誘導部を、各々の竪管の周囲において第(m−1)層の上面に形成する浸出水誘導部形成工程と、第(m−1)層の上に更に廃棄物を投入して廃棄物層の第m層を形成する第m層形成工程と、第m層における廃棄物の安定化度のモニタリングを小エリア毎に行うエリア別モニタリング工程と、を備え、エリア別モニタリング工程は、第m層の上から、複数の小エリアのうちの1つである所定の小エリアに散水するエリア散水工程と、エリア散水工程の後、竪管又は集水ピットに集まる浸出水を回収する浸出水回収工程と、浸出水回収工程で回収された浸出水の水質情報を取得する水質情報取得工程と、水質情報取得工程で取得された水質情報に基づいて、所定の小エリアにおける第m層の廃棄物の安定化度を判定するエリア判定工程と、を有することを特徴とする。
上記モニタリング方法によれば、貯留槽の管理対象領域が小エリアに分割され、小エリア毎に廃棄物の安定化度がモニタリングされる。すなわち、まず、エリア散水工程においては、1つの所定の小エリアに散水が行われる。そうすると、当該所定の小エリアでは、第m層を通過した水を含んだ浸出水が発生する。この浸出水は、第(m−1)層上面の浸出水誘導部によって竪管に誘導され、最終的には集水ピットに送られる。竪管には複数の小エリアからの浸出水が流れ込むが、散水された上記所定の小エリアからの浸出水が圧倒的に多い。よって、竪管に集まる浸出水は、ほとんど、上記所定の小エリアから発生したものであると言える。同様に、集水ピットにも管理対象領域全体の浸出水が流れ込むが、散水された上記所定の小エリアからの浸出水が圧倒的に多い。よって、浸出水回収工程で回収される浸出水は、ほとんど、上記所定の小エリアの第m層から発生したものであると言える。
従って、水質情報取得工程で得られる水質情報は、上記所定の小エリアの第m層における廃棄物の安定化度を反映しているものと言える。よって、当該水質情報に基づいて、所定の小エリアにおける第m層の廃棄物の安定化度を判定することができる。その結果、小エリア毎の廃棄物の安定化度のモニタリングが可能になる。上記モニタリング方法によれば、小エリア毎に廃棄物の安定化度をモニタリングすることができるので、各小エリア毎のそれぞれの安定化度に応じた措置を取ることが可能になり、全体として廃棄物の早期安定化を図ることができる。また、このモニタリング方法によれば、竪管や集水ピットを複数の小エリアで兼用させることができるので、設備の複雑化が抑えられ、比較的簡易な設備によるモニタリングが可能である。
また、浸出水誘導部形成工程では、第(m−1)層を締め固め、各々の竪管の周囲に存在する各小エリアから当該竪管に向かって下る傾斜部を、浸出水誘導部として第(m−1)層の上面に形成することとしてもよい。また、浸出水誘導部形成工程では、各々の竪管の周囲に存在する各小エリアに広がり当該竪管に接続される透水層を、浸出水誘導部として第(m−1)層の上面に形成することとしてもよい。これらの構成によれば、1つの竪管に対して複数の小エリアの浸出水を集める構成が、比較的容易に実現される。
また、竪管は、第(m−1)層の上面と交差する位置に設けられ、浸出水誘導部からの浸出水を一時的に貯留する一時貯水部を有しており、浸出水回収工程では、一時貯水部に貯留された浸出水を回収することを特徴とする。この構成によれば、竪管に集まる浸出水を回収する工程が、比較的容易に実現される。
本発明の廃棄物処分施設は、廃棄物を埋立て処分する廃棄物処分施設であって、廃棄物層が複数積層されて埋め立てられる貯留槽と、貯留槽の少なくとも一部の領域である管理対象領域の浸出水が集められる集水ピットと、貯留槽の管理対象領域に積層されたm層(m=2,3,…)の廃棄物層と、廃棄物層に埋め込まれるように管理対象領域に複数設けられ浸出水を集めて集水ピットに導く竪管と、を備え、廃棄物層のうち上から数えて2番目である第(m−1)層の上面には、竪管の周囲から当該竪管に向かって浸出水を誘導する浸出水誘導部が、各々の竪管の周囲に形成されていることを特徴とする。
この廃棄物処分施設では、前述したモニタリング方法を使用することにより、比較的簡易な設備をもって、平面視で分割される廃棄物の場所毎に、廃棄物の安定化度のモニタリングが可能になる。
また、本発明の廃棄物処分施設では、浸出水誘導部は、第(m−1)層を締め固めて形成され、各々の竪管の周囲から当該竪管に向かって下る傾斜部であってもよい。また、浸出水誘導部は、各々の竪管の周囲に広がり当該竪管に接続された透水層であってもよい。これらの構成によれば、1つの竪管に対して複数の小エリアの浸出水を集める構成が、比較的容易に実現される。
また、竪管は、第(m−1)層の上面と交差する位置に設けられ、浸出水誘導部からの浸出水を一時的に貯留する一時貯水部を有することとしてもよい。この構成によれば、竪管に集まる浸出水を回収する工程が、比較的容易に実現される。
本発明の廃棄物処分施設のモニタリング方法及び廃棄物処分施設によれば、比較的簡易な設備によって埋立てに係る廃棄物の場所毎に安定化度を管理することが可能になる。
本発明の実施形態に係る廃棄物処分施設の一例を示す断面図である。 図1の施設の平面図である。 図1の施設における廃棄物層Sm近傍を拡大して示す断面図である。 図1の施設における竪管近傍を拡大して示す断面図である。 (a)〜(d)は、図1の施設における廃棄物の安定化処理を順次示す断面図である。 (a)〜(d)は、図1の施設で行われる昇温散水工程の各例を模式的に示す図である。 図1の施設における浸出水誘導部の他の例を示す断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る廃棄物処分施設のモニタリング方法及び廃棄物処分施設の実施形態について詳細に説明する。
図1及び図2に示す廃棄物処分施設1は、廃棄物を埋立て処分する施設であり、施設1には、有機物、無機物(塩類、重金属)を含む種々の廃棄物Sが投棄され埋立処分される。廃棄物Sとしては、例えば、ごみ焼却施設で発生する焼却灰や飛灰固化物、有機汚泥、無機汚泥、木くず、鉱さい等がある。なお、埋め立てられる廃棄物Sに対しては、事前に廃棄物Sから有価物を取り出したり、廃棄物Sを混合したりといった操作が行われる。
施設1を最終的に廃止するためには、廃棄物Sの安定化を完了させる必要があるので、廃棄物Sの安定化度を管理する必要がある。なお、この種の施設においては、廃棄物Sからの浸出水の水質、廃棄物Sからのガス発生、廃棄物Sの温度、沈下等が、所定の基準に達したときに廃棄物の安定化が完了したものとされ、その安定化の進行度合いを安定化度と呼んでいる。施設1においては、廃棄物Sの埋立期間中に、廃棄物Sからの浸出水の水質、廃棄物Sからのガス発生量、廃棄物Sの温度、沈下等を管理する必要がある。
施設1は、廃棄物Sを貯留するためのすり鉢状の貯留槽3を有している。貯留槽3内には、廃棄物Sが層状に積み重ねられて埋立て処分される。図1は、貯留槽3の埋立完成の途中であり、m層(m=2,3,…)の廃棄物層が貯留槽3内に形成された状態を例示している。以下では、下から数えて1番目、2番目、…、m番目の廃棄物層を、「廃棄物層S1」、「廃棄物層S2」、…、「廃棄物層Sm」といった符号を付して示す。また、施設1は、貯留槽3の上方に屋根4を備えた「閉鎖型の廃棄物処分場」呼ばれるタイプの廃棄物処分施設である。ここでは、貯留槽3の全体が、廃棄物安定化の管理対象である管理対象領域Hである。なお、管理対象領域Hには、廃棄物層S1〜Smを水平方向に分断する仕切等は設けられていない。
施設1は、集水ピット5を備えている。集水ピット5には、貯留槽3内で発生する浸出水が集められる。更に、貯留槽3内には、所定の間隔をおいて竪管Tが複数設けられている。竪管Tは、廃棄物層S1〜Smに埋め込まれ鉛直方向に延びている。竪管Tは、廃棄物Sから発生する浸出水を集め、集水パイプ6を通じて集水ピット5に導く。ここでは、図2に例示するように、貯留槽3内に6個の竪管Tが格子状の配置で設けられているものとして説明する。なお、各々の竪管T同士を区別する場合には、竪管T1,T2,…T6といった符号を付して示す。
各竪管T1,T2,…T6には、それぞれ集水を担当すべき集水エリアB1,B2,…B6が一対一で割り当てられている。集水エリアB1〜B6は、それぞれ竪管T1〜T6の周囲のエリアであり、図2中に一点鎖線で示すように、貯留槽3を平面視で6分割したものである。集水エリアB1で発生した浸出水はほぼすべて、竪管T1に集められるようになっている。同様に、集水エリアB2,B3,…,B6で発生した浸出水は、それぞれ、竪管T2,T3,…,T6に集められる。なお、図3に示されるように、集水エリアB1〜B6同士の境界は、鉛直壁等で仕切られることはない。
次に、図3を参照しながら、各集水エリアB1〜B6の浸出水を、それぞれ対応する竪管T1〜T6に誘導するための構造について説明する。
廃棄物層S1〜S(m−1)は、既に安定化が完了し、締め固められており、透水性が低い状態である。これに対して、廃棄物層Smは、安定化の途中であり、締め固められておらず、透水性が高い。よって、廃棄物層Smの浸出水は、廃棄物層S(m−1)によって下方への流動が阻害される。そして、図3に示すように、集水エリアB1においては、廃棄物層S(m−1)の上面が、各竪管T1に向かって下る傾斜面(傾斜部)Kとして形成されている。この構造により、集水エリアB1における廃棄物層Smの浸出水は、廃棄物層S(m−1)によって下方への移動が阻害されると共に、廃棄物層S(m−1)上面の傾斜によって集水エリアB1の中央の竪管T1に集合する。他の各集水エリアB2〜B6についても同様の構造であり、その結果、各集水エリアB1〜B6における廃棄物層Smの浸出水は、それぞれ対応する竪管T1〜T6に誘導される。
次に、図3及び図4を参照しながら、竪管Tの構造を説明する。図3及び図4に示すように、竪管Tの上端は、廃棄物層Smから上方に露出している。竪管Tは、鉛直に延在するパイプ21と、パイプ21の周りに充填された砂利(例えば割栗石)からなる砂利層23と、を有している。パイプ21としては、例えば、高密度ポリエチレン管が採用される。パイプ21の上端は廃棄物層Smの上方に開口しており、パイプ21の他端は、集水パイプ6を介して集水ピット5に連通されている。パイプ21の側壁には多数の孔(図示せず)が形成されることで、パイプ21の側壁がある程度の透気性と透水性とを有している。更に、竪管Tは、砂利層23と廃棄物層S1〜Smとを仕切るコルゲート管25を有している。コルゲート管25もある程度の透水性を有している。
更に、竪管Tは、廃棄物層S(m−1)の上面の傾斜面Kと交差する高さの位置において、コルゲート管25の外壁周りに延びる樋部27を有している。樋部27は、中空の円環を半分に切断したような形状をなし、例えば、高密度ポリエチレンを材料とする。樋部27は、傾斜面Kからの浸出水を一時的に貯留する一時貯水部として機能する。樋部27の上面の貯水部分には、砂利が充填される。
傾斜面Kで竪管Tに向けて誘導された浸出水は、樋部27に一旦貯留され、樋部27から溢れて、コルゲート管25を透過する。その後、浸出水は、砂利層23を通過し、一部はパイプ21に浸入して集水パイプ6に移動し、残りは砂利層23底部で集水パイプ6に浸入する。その後、浸出水は集水パイプ6を通じて最終的に集水ピット5に送られる。
図2に示すように、施設1では、各集水エリアB1〜B6を平面視で更に細かく分割した小エリアCが、仮想的に設定されている。図2中には、小エリアCの境界線を破線で示している。ここでは、図2に例示するように、1つの集水エリアが4つの小エリアCを含み、貯留槽3全体で合計24個の小エリアCが設定されるものとして説明する。また、集水エリアB1に含まれる小エリアCを区別する場合、それぞれ小エリアC11,C12,C13,C14といった符号を付して示すものとする。同様に、必要な場合には、集水エリアB2に含まれる小エリアにはC21〜C24、集水エリアB3に含まれる小エリアにはC31〜C34、集水エリアB4に含まれる小エリアにはC41〜C44といったように符号を付す。また、以下の説明では、1つの集水エリアB1や1つの小エリアC11についてのみ代表して構成を説明する場合があるが、その他の集水エリア・小エリアについても同様の構成であるので、重複する説明は省略する。
なお、このような小エリアCは、鉛直壁等で物理的に仕切られた領域ではなく、運用上で仮想的に設定されるものである。前述のとおり、集水エリアB1内においては、各小エリアC11〜C14における傾斜面Kがすべて竪管T1に向かって下るように形成されることで、竪管T1には、4つの小エリアC11〜C14の浸出水が集まることになる。このように、上記の傾斜面Kは、浸出水誘導部として機能する。
続いて、施設1における廃棄物Sの埋立について説明する。
施設1における廃棄物Sの埋立ての順序は次のとおりである。まず、空の貯留槽3の全面に亘るように廃棄物Sを投入し、貯留槽3の全面に亘る廃棄物層S1を形成する。この状態で、廃棄物層S1の安定化度を管理しながら、安定化を行う安定化処理を行う。廃棄物層S1の安定化が完了したところで、廃棄物層S1を所定の重機等で締め固める。その後、廃棄物層S1の上に廃棄物Sを投入し、貯留槽3の全面に亘る廃棄物層S2を形成する。この状態で、廃棄物層S2の安定化度を管理しながら、安定化を行う安定化処理を行う。廃棄物層S2の安定化が完了したところで、廃棄物層S2を所定の重機等で締め固める。以下、同様に上記の手順を、廃棄物層が所定の高さに積層されるまで繰り返す。
すなわち、埋立に係る工程を一般化して述べれば、次のとおりである。図5(a)に示すように、既に締め固められた廃棄物層S(m−2)の上に廃棄物を投入して廃棄物層S(m−1)を形成し(第(m−1)層形成工程)、当該廃棄物層S(m−1)の安定化を完了させる。その後、図5(b)に示すように、廃棄物層S(m−1)を締め固めて上面に傾斜面Kを形成する(浸出水誘導部形成工程)。次に、図5(c)に示すように、廃棄物層S(m−1)の上に廃棄物を投入して廃棄物層Smを形成する(第m層形成工程)。その後、後述する「エリア別モニタリング工程」によって当該廃棄物層Smの安定化度管理を行い(エリア別モニタリング工程)、安定化処理を行う。そして、図5(d)に示すように、廃棄物層Smの安定化を完了させ締め固めた後、その上に廃棄物層S(m+1)を形成する。
なお、廃棄物層Smの形成途中にも、当該廃棄物層Smの一部についての安定化度管理や安定化処理を開始してもよい。また、竪管T1〜T6は、適宜上に延長するように設置していき、上端が常に廃棄物Sの上方に露出するようにする(竪管設置工程)。廃棄物層S1,S2,…の1層の高さは、例えば約50cmである。
続いて、廃棄物層Smを安定化度をモニタリングするためのエリア別モニタリング工程について説明する。
施設1においては、廃棄物Sの安定化度管理を小エリアC11〜C64毎に行うエリア別モニタリング工程が行われる。エリア別モニタリング工程では、例えば、廃棄物Sからの浸出水の水質、廃棄物Sからのガス発生、廃棄物Sの温度、沈下等が、小エリアC11〜C64毎にモニタリングされ管理される。
まず、エリア別モニタリング工程のうち、廃棄物Sからの浸出水の水質のモニタリングについて説明する。浸出水の水質に係るエリア別モニタリング工程は、以下説明するエリア散水工程と、浸出水回収工程と、水質情報取得工程と、エリア判定工程と、を備えている。
(エリア散水工程)
まず、貯留槽3中に設定された24個の小エリアC11〜C64(図2参照)のうちの一つのみに散水を行う。ここでは、小エリアC11に散水する例を説明する。散水は、小エリアC11において、廃棄物層Smの上から水を撒く。そうすると、水は、比較的透水性が高い廃棄物層Sm内を通過し、浸出水として廃棄物層S(m−1)の上面まで到達する。そして、廃棄物層S(m−1)の上面に形成された傾斜面Kによって、浸出水が竪管T1に誘導される。なお、散水は、作業者が手作業で行ってもよく、小エリア別に散水可能なスプリンクラーを設置して行ってもよい。
(浸出水回収工程)
上記散水に係る水が竪管T1に到達する時間帯(例えば、散水から1時間後)において、竪管T1に誘導される浸出水を回収する。具体的には、竪管T1に誘導される浸出水は、一旦、樋部27(図4)に貯留されるので、例えば、図4に示すように、廃棄物層Sm上から樋部27までチューブ29を差込み、樋部27に貯留された浸出水をチューブ29から吸引し回収する。このように、樋部27を設けることにより、竪管T1に誘導された浸出水の回収作業が容易になる。なお、樋部27を省略し、上記浸出水を、竪管T1のパイプ21内、又は竪管T1底部の集水管6内から採取してもよい。
(水質情報取得工程)
続いて、回収された浸出水の水質の指標である水質評価値(水質情報)を計測する。計測する水質評価値には、BOD(biochemical oxygen demand)、COD(chemicaloxygen demand)、BOD/COD、TOC(total organic carbon)、T−N(total nitrogen)、NH4−N(アンモニウム態窒素)、NOX−N(酸化態窒素)、EC(electric conductivity)、CI(塩化物イオン)が含まれる。上述の各水質評価値の測定は、公知の手法や公的な規格(例えば、JIS等)に従って行えばよい。
(エリア判定工程)
上記水質情報取得工程で得られた水質評価値に基づいて、散水された上記小エリアC11における廃棄物層Smの安定化度を判定する。すなわち、上記水質評価値が示す水質が良い(例えば、BODが低い)ほど、小エリアC11における廃棄物層Smの安定化度は高く(安定化が良く進行している)、上記水質評価値示す水質が悪い(例えば、BODが高い)ほど、小エリアC11における廃棄物層Smの安定化度は低い(安定化があまり進行していない)と判定する。
以上のエリア散水工程と、浸出水回収工程と、水質情報取得工程と、エリア判定工程と、を、小エリアC11〜C64を変えながら繰り返すことで、すべての小エリアC11〜C64のモニタリングを行う。
上述した浸出水の水質に関するエリア別モニタリング工程の作用効果について説明する。エリア散水工程においては、1つの小エリアC11に散水が行われる。そうすると、当該小エリアC11では、廃棄物層Smを通過した水を含んだ浸出水が発生する。この浸出水は、廃棄物層S(m−1)上面の傾斜面Kによって竪管T1に誘導される。竪管T1には4つの小エリアC11〜C14からの浸出水が流れ込むが、散水された上記小エリアC11からの浸出水が圧倒的に多い。よって、竪管T1に集まる浸出水は、ほとんど、上記小エリアC11から発生したものであると言える。
従って、水質情報取得工程で得られる水質評価値は、小エリアC11の廃棄物層Smにおける廃棄物の安定化度を反映しているものと言える。よって、当該水質評価値に基づいて、小エリアC11における廃棄物層Smの廃棄物の安定化度を判定することができる。その結果、小エリア毎の廃棄物の安定化度のモニタリングが可能になる。上記エリア別モニタリング方法によれば、小エリアC11〜C64毎に廃棄物Sの安定化度をモニタリングすることができるので、各小エリアC11〜C64毎のそれぞれの安定化度に応じた措置を取る(例えば、後述の安定化促進操作を行う)ことが可能になり、全体として廃棄物Sの早期安定化を図ることができる。
なお、水質情報取得工程においては、竪管T1に誘導された浸出水を回収することに代えて、集水ピット5で浸出水を回収してもよい。竪管T1と同様に、集水ピット5にも貯留槽3全体の浸出水が流れ込むが、散水された小エリアC11からの浸出水が圧倒的に多い。よって、浸出水回収工程で回収される浸出水は、ほとんど、小エリアC11の廃棄物層Smから発生したものであると言える。
また、上述の浸出水水質に関するエリア別モニタリング工程によれば、竪管Tや集水ピット5を複数の(ここでは4つの)小エリアで兼用させることができるので、設備の複雑化が抑えられ、比較的簡易な設備によるモニタリングが可能である。よって、例えば、別々にモニタリングしたいエリア毎に竪管を設けたり、集水ピットを設けたり、別々にモニタリングしたいエリアを仕切る物理的な鉛直壁等を設ける必要がない。すなわち、設備の複雑化を招くことなく、エリア別の安定化度のモニタリングが可能になる。
なお、貯留槽3の底面(廃棄物層S1の直下の面)を、前述の傾斜面Kに倣う傾斜面としておけば、廃棄物層S1のモニタリング工程も、前述の廃棄物層Smにおけるエリア別モニタリング工程と同様の手順で行うことができる。
浸出水以外のエリア別モニタリング工程では、廃棄物Sからのガス発生、廃棄物Sの温度、沈下等も同様に小エリア毎にモニタリングされ、廃棄物層Smの安定化度の指標とされる。例えば、小エリアC11の廃棄物層Smの上方において、メタンガス濃度計を用いてメタンガス濃度を測定する。得られたメタンガス濃度値に基づいて、小エリアC11における廃棄物層Smの安定化度を判定することができる。すなわち、メタンガス濃度が低いほど、廃棄物層Smから発生するメタンガスが少ないと考えられ、小エリアC11における廃棄物層Smの安定化度は高い(安定化が良く進行している)と考えられる。また、例えば、小エリアC11の廃棄物層Smに、表面から温度計を挿入し、廃棄物層Sm内の温度を計測する。得られた温度値に基づいて、小エリアC11における廃棄物層Smの安定化度を判定することができる。すなわち、温度が低いほど、廃棄物層Smにおける有機物が少ないと考えられ、小エリアC11における廃棄物層Smの安定化度は高い(安定化が良く進行している)と考えられる。また、小エリアC11の廃棄物層Smから廃棄物試料をサンプリングし、溶出試験により浸出水のEC、Clを求めても良い。
そして、上記のような小エリア毎の廃棄物層Smの安定化度の判定結果に応じて、各々の小エリアにおける廃棄物層Smを安定化させるための所定の操作を行う。具体的には、ある小エリア(例えば、小エリアC11とする)における安定化度が所定以上に低い(安定化があまり進行していない)と判定された場合には、当該小エリアC11に対して所定の安定化促進操作を行う。
安定化促進操作としては、小エリアC11に対する散水量を増加する、小エリアC11の廃棄物層Smを掘り返す、小エリアC11に昇温した水を散水する、小エリアC11における廃棄物層Smの上に断熱マット等を被せる、といった操作があり得る。小エリアC11に対する散水量を増加すると、廃棄物層Smの好気性処理に必要とされる水分が潤沢に供給され、好気性処理が促進されることで、小エリアC11における廃棄物層Smの安定化が促進される。また、廃棄物層Sm中の無機物(塩類、重金属)が散水によって多く洗い流され、浸出水のECやClの低減に寄与することで、小エリアC11における廃棄物層Smの安定化が促進される。なお、散水に用いる水としては、集水ピット5に集められた浸出水を再利用したものであってもよい。
更に、水を昇温した上で廃棄物層Smへの上記散水を行えば、上記作用効果に加えて、廃棄物層Smの温度が上昇し、温度に起因して更に好気性処理が促進されることで、小エリアC11における廃棄物層Smの安定化が促進される。
また、小エリアC11の廃棄物層Smを掘り返すと、廃棄物層Smの好気性処理に必要とされる酸素が潤沢に廃棄物層Smに混合され、好気性処理が促進されることで、小エリアC11における廃棄物層Smの安定化が促進される。小エリアC11における廃棄物層Smの上に断熱マット等を被せると、廃棄物層Smの温度が高く維持され、温度に起因して好気性処理が促進されることで、小エリアC11における廃棄物層Smの安定化が促進される。
以上のように、廃棄物層Smの安定化度が低い小エリアに対して、安定化促進操作を施すようにすることで、貯留槽3の各小エリアにおける安定化を各小エリア毎の状況に合わせて個別に進行させることができ、その結果、全体として廃棄物Sの早期安定化を図ることができる。なお、小エリアに対する安定化促進操作は、上記例示した操作を単独で行っても良く、2以上組み合わせて行ってもよい。
更に、施設1における廃棄物安定化方法に係る廃棄物層Smの安定化処理では、以下に説明する昇温散水工程が行われる。
昇温散水工程は、水を加熱し昇温する水昇温工程と、水昇温工程で得られる昇温水を貯留槽内に供給する昇温水供給工程と、を備えている。図6(a)〜(d)には、昇温散水工程の各例を示す。
昇温散水工程の一例では、図6(a)に示すように、集水ピット5に集められた浸出水をポンプPで引き上げ、当該浸出水を熱交換部31で加熱する(水昇温工程)。熱交換部31における熱源としては、例えば、バイオマスボイラの燃焼熱等が利用される。そして、加熱で得られた昇温水を、所定の小エリアにおいて廃棄物層Smの上から散布する(昇温水供給工程)。
昇温散水工程の他の例では、図6(b)に示すように、集水ピット5に集められた浸出水をポンプPで引き上げ、浄水部33で浄化処理する。浄水部33としては、逆浸透膜濾過(Reverse Osmosis Membrane)を用いるRO浄水装置等を好適に用いることができる。RO浄水装置を用いた場合、浄化後の浄化浸出水がRO浄水装置から熱交換部31に送られる一方で、不要物を含む水が濃縮されてRO浄水装置から外部へ排出される。次に、浄水部33で生成された浄化浸出水を熱交換部31で加熱する(水昇温工程)。そして、加熱で得られた昇温水を、所定の小エリアにおいて廃棄物層Smの上から散布する(昇温水供給工程)。
昇温散水工程の更に他の例では、図6(c)に示すように、施設1の外部の水を導入し、熱交換部31で加熱する(水昇温工程)。外部の水としては、例えば、水道水、地下水、雨水等が利用される。そして、加熱で得られた昇温水を、所定の小エリアにおいて廃棄物層Smの上から散布する(昇温水供給工程)。
昇温散水工程の更に他の例では、図6(d)に示すように、集水ピット5に集められた浸出水をポンプPで引き上げ、当該浸出水を熱交換部31で加熱する(水昇温工程)。そして、加熱で得られた昇温水を、竪管Tの砂利層23の上端部に注入する(昇温水供給工程)。なお、図6(a)〜(c)に例示する昇温散水工程は、前述した安定化促進操作に採用してもよい。
続いて、上述の昇温散水工程による作用効果について説明する。昇温散水工程によれば、加熱された昇温水が貯留槽3内で廃棄物層Smや竪管Tに供給されるので、廃棄物層Smの温度が上がり、廃棄物層Sm内の好気性菌が温度上昇に起因して活性化される。従って、廃棄物層Smの好気性処理が効率よく活性化され、廃棄物層Smの安定化が促進される。特に、図6(a)〜(c)のように、廃棄物層Smの上から直接昇温水を散布すれば、上記の効果が高い。特に、外気温が低い冬期においては、昇温散水工程の重要性が高い。なお、図6(a)〜(c)において、廃棄物層Smに昇温水が散布された後、廃棄物層Smの上面に断熱マット等を被せてもよい。断熱マットによれば、廃棄物層Smの温度をより高く維持することができる。また、図6(a)、(b)及び(d)の構成によれば、集水ピット5の浸出水を再利用して、廃棄物の温度を上げることができる。
また、図6(d)の構成によれば、浸出水が、砂利層23と集水ピット5とを繰り返し循環することになる。したがってこの場合、浸出水に含まれる有機物が、砂利層23を通過する際に、砂利層23内の好気性菌により分解されるので、浸出水は砂利層23を繰り返し通過する間に浄化される。よって、浸出水の浄化を行うことができる。なお、貯留槽3の内側壁面に、集水パイプ6に通じる砂利層を設けた場合には、当該砂利層に昇温水を供給することとしてもよい。この場合も、図6(d)と同等に上記の作用効果が得られる。
また、図6(d)の構成によれば、昇温水によって竪管Tの砂利層23が加温されることで、その周囲の廃棄物層Smの温度も上昇し、廃棄物層Sm内の好気性菌が温度上昇に起因して活性化される。従って、廃棄物Sの好気性処理が効率よく活性化され、廃棄物層Smの安定化が促進される。更に、昇温水によって竪管Tの砂利層23が加温されることで、竪管Tのパイプ21内の空気の温度も上昇する。これにより、廃棄物層Smの上方とパイプ21内との温度差が大きくなる。ここでは、廃棄物層Sm上方の温度に比べてパイプ21内の温度がより高くなる。
そして、上記の温度差に起因して、パイプ21内の空気が上昇し、当該パイプの上端開口を通じて廃棄物層Sm上方に吐き出されるといった空気の流動が促進される(煙突効果)。そうすると、貯留槽3の外部の空気が、集水ピット5及び集水パイプ6を通じてパイプ21に導入されるといった空気の流動が促進される。なお、通常は、集水パイプ6の断面すべてが浸出水に満たされるわけではないので、集水ピット5からの空気は、集水パイプ6の断面の上部を通過してパイプ21の上端開口に流れる。そして、集水ピット5から流入した外部の空気は、パイプ21側壁の透気・透水用の孔及び砂利層23を通過して廃棄物層Smにも供給されることになる。従って、廃棄物層Smにおける好気性雰囲気が高められ、廃棄物層Smの好気性処理が効率よく活性化され、廃棄物層Smの安定化が促進される。なお、廃棄物層Smの上方とパイプ21内との温度差は、冬期においては比較的大きくなり易いが、夏期においては、高い外気温に起因して、上記温度差が小さくなりやすく、上記の煙突効果が得られにくい。従って、図6(d)の構成は、夏期において特に重要性が高く、夏期においても上記温度差を大きくして、煙突効果を高めることができる。また、集水ピット5にファン等を設けることなく、上記煙突効果による空気の流動が発生するので、ファン等の追加が不要であり設備の複雑化も避けることができる。また、施設1が屋根4を備えることも、夏期における上記温度差を低減させることに寄与している。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形したものであってもよい。
例えば、実施形態では、同じ集水エリア(例えば、集水エリアB1)に属する複数の小エリア(例えば、4つの小エリアC11〜C14)の浸出水を1つの竪管(T1)に集めるための浸出水誘導部として、図3に示すような傾斜面Kを設けているが、浸出水誘導部の構成はこれに限られない。例えば、図7に示すように、竪管T周囲の各小エリアのほぼ全体に広がり、当該竪管Tに接続される透水層Gを、廃棄物層S(m−1)の上面に浸出水誘導部として形成してもよい。隣接する透水層G同士は、集水エリア同士の境界において分断されている。透水層Gは、例えば、廃棄物層S(m−1)の上面に設置された面状排水マットである。図7の構成では、廃棄物層Smを通過した浸出水は、透水層Gに浸入して水平に移動し、当該透水層Gに接続された竪管T1に流れ込む。この場合、廃棄物層S(m−1)の上面が水平面であっても上記の作用効果は達せられるが、廃棄物層S(m−1)の上面を前述のような傾斜面Kとしてもよい。
また、実施形態では、貯留槽3の全体が管理対象領域Hであり、貯留槽3全体に対して1つの集水ピット5が設けられている。本発明はこの形態に限られず、1つの集水ピットに対応する集水領域を、1つの管理対象領域として設定すればよい。すなわち、廃棄物処分施設が1つの貯留槽に対して複数の集水ピットを備える場合、そのうちの1つの集水ピットに対応する集水領域を「管理対象領域」として、本発明を適用してもよい。
また、実施形態では、貯留槽3が6つの集水エリアに区分され、1つの集水エリアが4つの小エリアに区分された形態を説明しているが、このような集水エリア・小エリアの区分数は説明の理解を容易にするための一例であって、本発明を限定するものではない。集水エリア・小エリアの区分数が種々変更された場合にも、前述した実施形態の説明に倣って本発明を実施することができる。また、実施形態では、種々の廃棄物Sが仕分けされずに投棄され埋立処分される施設について説明したが、本発明は、ごみ質ごとに埋め立てる場所を分ける廃棄物処分施設にも適用可能である。
また、実施形態では、埋立に係るすべての廃棄物層S1,S2,…,Sm,…について、その直下の廃棄物層の上面に浸出水誘導部(傾斜面又は透水層G)を設けて、前述のエリア別モニタリング工程を行うこととしている。従って、埋立完成後は、一番上の廃棄物層Snを除くすべての廃棄物層S1〜S(n−1)の上面に浸出水誘導部(傾斜面又は透水層G)が設けられた状態となる。しかし、本発明のモニタリング方法はこれに限られず、少なくとも任意の1つの廃棄物層について前述のエリア別モニタリング工程を行えばよい。従って、本発明の廃棄物処分施設では、少なくとも、上から数えて2番目の層である廃棄物層S(m−1)の上面に浸出水誘導部が設けられていればよく、廃棄物層S1〜S(m−2)の中に、その上面に浸出水誘導部が設けられていないものが存在してもよい。
1…廃棄物処分施設、3…貯留槽、5…集水ピット、27…樋部(一時貯留部)、C11〜C64…小エリア、H…管理対象領域、K…傾斜面(浸出水誘導部)、S1〜Sm…廃棄物層、S(m−1)…廃棄物層(第(m−1)層)、Sm…廃棄物層(第m層)、T…竪管。

Claims (8)

  1. 廃棄物層が複数積層されて埋め立てられる貯留槽と、前記貯留槽の少なくとも一部の領域である管理対象領域の浸出水が集められる集水ピットと、を備える廃棄物処分施設において前記管理対象領域の前記廃棄物の安定化度をモニタリングする廃棄物処分施設のモニタリング方法であって、
    前記管理対象領域を平面視で分割した複数の小エリアを仮想的に設定し、周囲に存在する複数の前記小エリアからの浸出水を集めて前記集水ピットに導く竪管を、前記廃棄物層に埋め込まれるように前記管理対象領域に複数設置する竪管設置工程と、
    前記管理対象領域に前記廃棄物を投入し、前記廃棄物層のうち下から数えて(m−1)層目(m=2,3,…)である第(m−1)層を形成する第(m−1)層形成工程と、
    前記竪管の周囲に存在する複数の前記小エリアから当該竪管に向かって前記浸出水を誘導する浸出水誘導部を、各々の前記竪管の周囲において前記第(m−1)層の上面に形成する浸出水誘導部形成工程と、
    前記第(m−1)層の上に更に前記廃棄物を投入して廃棄物層の第m層を形成する第m層形成工程と、
    前記第m層における廃棄物の安定化度のモニタリングを前記小エリア毎に行うエリア別モニタリング工程と、を備え、
    前記エリア別モニタリング工程は、
    前記第m層の上から、複数の前記小エリアのうちの1つである所定の小エリアに散水するエリア散水工程と、
    前記エリア散水工程の後、前記竪管又は前記集水ピットに集まる浸出水を回収する浸出水回収工程と、
    前記浸出水回収工程で回収された前記浸出水の水質情報を取得する水質情報取得工程と、
    前記水質情報取得工程で取得された前記水質情報に基づいて、前記所定の小エリアにおける前記第m層の廃棄物の安定化度を判定するエリア判定工程と、
    を有することを特徴とする廃棄物処分施設のモニタリング方法。
  2. 前記浸出水誘導部形成工程では、
    前記第(m−1)層を締め固め、各々の前記竪管の周囲に存在する各小エリアから当該竪管に向かって下る傾斜部を、前記浸出水誘導部として前記第(m−1)層の上面に形成することを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処分施設のモニタリング方法。
  3. 前記浸出水誘導部形成工程では、
    各々の前記竪管の周囲に存在する各小エリアに広がり当該竪管に接続される透水層を、前記浸出水誘導部として前記第(m−1)層の上面に形成することを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処分施設のモニタリング方法。
  4. 前記竪管は、前記第(m−1)層の上面と交差する位置に設けられ、前記浸出水誘導部からの前記浸出水を一時的に貯留する一時貯水部を有しており、
    前記浸出水回収工程では、
    前記一時貯水部に貯留された浸出水を回収することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の廃棄物処分施設のモニタリング方法。
  5. 廃棄物を埋立て処分する廃棄物処分施設であって、
    廃棄物層が複数積層されて埋め立てられる貯留槽と、
    前記貯留槽の少なくとも一部の領域である管理対象領域の浸出水が集められる集水ピットと、
    前記貯留槽の前記管理対象領域に積層されたm層(m=2,3,…)の廃棄物層と、
    前記廃棄物層に埋め込まれるように前記管理対象領域に複数設けられ前記浸出水を集めて前記集水ピットに導く竪管と、を備え、
    前記廃棄物層のうち上から数えて2番目である第(m−1)層の上面には、前記竪管の周囲から当該竪管に向かって前記浸出水を誘導する浸出水誘導部が、各々の前記竪管の周囲に形成されていることを特徴とする廃棄物処分施設。
  6. 前記浸出水誘導部は、
    前記第(m−1)層を締め固めて形成され、各々の前記竪管の周囲から当該竪管に向かって下る傾斜部であることを特徴とする請求項5に記載の廃棄物処分施設。
  7. 前記浸出水誘導部は、
    各々の前記竪管の周囲に広がり当該竪管に接続された透水層であることを特徴とする、請求項5に記載の廃棄物処分施設。
  8. 前記竪管は、前記第(m−1)層の上面と交差する位置に設けられ、前記浸出水誘導部からの前記浸出水を一時的に貯留する一時貯水部を有することを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の廃棄物処分施設。
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