JP2013030611A - 太陽電池用薄膜の成膜方法、該成膜方法により成膜された太陽電池用薄膜、および太陽電池用薄膜の成膜装置 - Google Patents

太陽電池用薄膜の成膜方法、該成膜方法により成膜された太陽電池用薄膜、および太陽電池用薄膜の成膜装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性に優れ、かつ光電変換効率の低下を抑制することができる光電変換素子を提供する。
【解決手段】本発明の太陽電池用薄膜の成膜方法は、第1の温度で加熱されるガラス基板の表面上にアルカリバリア膜を形成する工程と、第2の温度で加熱されるガラス基板の表面上のアルカリバリア膜上に透明導電膜を形成する工程とを備える。アルカリバリア膜を形成する工程において、ガラス基板の表面に向けて冷却された原料溶液(A)を噴霧し、アルカリバリア膜は酸化アルミニウムからなり、原料溶液(A)において、主溶媒は水であり、アルミニウムトリアセチルアセトナートを含有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、太陽電池用薄膜の成膜方法、該成膜方法により成膜された太陽電池用薄膜、および太陽電池用薄膜の成膜装置に関し、特に、ミスト法によって成膜される太陽電池用薄膜の成膜方法、該成膜方法により成膜された太陽電池用薄膜、および太陽電池用薄膜の成膜装置に関する。
透明導電膜は、半導体、ディスプレイ、太陽電池等の分野で広く利用されている。かかる透明導電膜として、STO(チタン酸ストロンチウム)、ITO(Snドープ酸化インジウム)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などの金属酸化物が広く用いられている。このような透明導電膜は、一般的に、スパッタリング法、蒸着法、有機金属化合物を用いた有機金属化学気相成長法などによって成膜されている。
しかし、スパッタリング法および蒸着法では、透明導電膜を真空下で成膜する必要があるため、真空容器などの真空雰囲気を形成および維持する設備を必要とする。また、有機金属化学気相成長法は、原料として用いる有機金属化合物が爆発性および毒性を有するため、たとえば排ガス処理装置などを設け、成膜システム全体に高度な安全設計を備える必要がある。
このため、スパッタリング法、蒸着法、および有機金属化学気相成長法のいずれも、低コスト化することが難しい傾向にある。そこで、従来とは異なる成膜方法として、ミスト法によって透明導電膜を成膜する技術が提案されている。ミスト法とは、原料金属を溶質として含む溶媒を霧化(ミスト化)し、これを基板上に噴霧することによって基板上に金属酸化物からなる透明導電膜を成膜する方法である。
たとえば、特許文献1には、ミスト法によって、ガラス基板上にアルミニウムと小割合のバナジウムを含有する酸化された金属からなるアンダーコート層を設け、その上に、ミスト法によって酸化スズからなるオーバーコート層を設ける方法が開示されている。上記アンダーコート層は、ガラス基板のアルカリ成分が透明導電膜に拡散するのを抑制するアルカリバリア膜として設けられる層である。
また、特許文献2には、加熱したガラス板上に、少なくとも1つのアルコキシ配位子および少なくとも1つの有機キレート配位子を有するアルミニウム化合物と、ハロゲン化スズおよび/または有機スズ化合物とを含む溶液を噴霧してガラス板上で熱分解させ、アルミニウム酸化物およびスズ酸化物を含有する被膜を形成する方法が開示されている。
上述のミスト法は、各膜を大気圧下で成膜することができるため、真空容器などの製造設備が不要である。また、有機金属化合物のような危険物質を用いないため、成膜装置自体の構成が簡便で、かつ低コストで成膜することができる。このようなメリットを有するミスト法は、透明導電膜の成膜に好適な成膜方法として期待されている。
特開平4−265253号公報 特開2001−72440号公報
しかしながら、特許文献1に記載される技術に関し、バナジウムはレアメタル金属であり、今後、その調達は困難となることが見込まれる。また、バナジウムは、水またはアルコールなどの溶媒に溶かすことはできないため、ミスト法において噴霧して利用することは困難なのが実情である。また、特許文献2では、少なくとも1つのアルコキシ配位子および少なくとも1つの有機キレート配位子を有するアルミニウム化合物と、ハロゲン化スズおよび/または有機スズ化合物とを含む溶液を噴霧するが、このような溶液の準備は煩雑となり易く、製造タクト、製造コストなどが大きくなるという問題がある。
このため、特許文献1および2に開示される従来の技術は、太陽電池用薄膜の量産に用いるには不適であるのが現状である。また、特許文献2において、溶液の溶媒としてアルコール、または有機溶媒が用いられるが、これらの溶媒は、ミスト化した際に爆発などの危険を伴う傾向にあるため、安全性の観点からも、太陽電池用薄膜の量産に用いることは困難である。
本発明は、上記のような現状に鑑みてなされたものであり、ミスト法を用いて、簡便かつ安全に高品質の太陽電池用薄膜を成膜することのできる太陽電池用薄膜の成膜方法、および該成膜方法により成膜された太陽電池用薄膜、および太陽電池用薄膜の成膜装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、アルカリバリア膜および透明導電膜からなる太陽電池用薄膜をミスト法を用いて製造するに際し、上述のような爆発などの危険性を防ぐために、主溶媒が水である原料溶液を用いてアルカリバリア膜を形成することに着目した。また、アルカリバリア膜の原料として、その準備が煩雑でなく、また、既に量産が可能となっているアルミニウムトリアセチルアセトナート(化学式:C1521AlO6、化学名:トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III);以下、「Al(acac)3」ともいう。)を用いることに着目した。しかしながら、Al(acac)3は、ノズルなどを用いて噴霧する際に、ノズルを閉塞しやすい傾向にあるために、従来のミスト法ではAl(acac)3を含有する原料溶液を用いて良好なアルカリバリア層を形成することは困難であった。そこで、本発明者らは、ノズルの閉塞を解決すべく鋭意検討を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の態様は、第1の温度で加熱されるガラス基板の表面上にアルカリバリア膜を形成する工程と、第2の温度で加熱されるガラス基板の表面上のアルカリバリア膜上に透明導電膜を形成する工程と、を備え、アルカリバリア膜を形成する工程において、ガラス基板の表面に向けて冷却された原料溶液(A)を噴霧し、アルカリバリア膜は酸化アルミニウムからなり、原料溶液(A)において、主溶媒は水であり、Al(acac)3を含有する、太陽電池用薄膜の成膜方法である。
上記太陽電池用薄膜の成膜方法は、アルカリバリア膜を形成する工程において、原料溶液(A)の沸点以下の温度に原料溶液(A)を冷却するであることが好ましい。
上記太陽電池用薄膜の成膜方法は、アルカリバリア膜を形成する工程において、膜厚が40nm以上のアルカリバリア膜を形成することが好ましい。
本発明の第2の態様は、上記太陽電池用薄膜の成膜方法によって成膜された太陽電池用薄膜であって、ガラス基板上に、原料溶液(A)の噴霧により形成されたアルカリバリア膜と、原料溶液(B)の噴霧により形成された透明導電膜と、がこの順に形成されており、アルカリバリア膜が酸化アルミニウムからなる、太陽電池用薄膜である。
本発明の第3の態様は、ガラス基板を加熱する加熱部と、ガラス基板の表面上にアルカリバリア膜を形成する第1成膜部と、アルカリバリア膜上に透明導電膜を形成する第2成膜部と、を備え、第1成膜部は、アルカリバリア膜の原料溶液(A)を冷却する冷却部と、冷却された原料溶液(A)をガラス基板に向けて噴霧するための噴霧部と、を有する、太陽電池用薄膜の成膜装置である。
本発明によれば、ミスト法を用いて、簡便かつ安全に高品質の太陽電池用薄膜を成膜することのできる太陽電池用薄膜の成膜方法、および該成膜方法により成膜された太陽電池用薄膜、および太陽電池用薄膜の成膜装置を提供することができる。
実施形態の成膜装置の一例を概略的に示す断面図である。 第1成膜部の構成および配置の一例を概略的に示す断面図である。 2流体スプレーノズルの構成の一例を示す概略図であり、図3(a)は2流体スプレーノズルの概略的な側面図であり、図3(b)は2流体スプレーノズルを先端から見た場合の概略的な上面図である。 2流体スプレーノズルから噴霧された原料溶液の拡散状態を示す模式図である。 図4のD1方向における噴霧量の分布を示すグラフである。 図4のD2方向における噴霧量の分布を示すグラフである。 10個の噴霧部を100mm間隔で並べた場合の噴霧量の分布を示すグラフである。 10個の噴霧部を120mm間隔で並べた場合の噴霧量の分布を示すグラフである。 10個の噴霧部を150mm間隔で並べた場合の噴霧量の分布を示すグラフである。 図10(a)および(b)は、配置された各2流体スプレーノズルの先端方向からの概略的な鳥瞰図である。 酸化アルミニウムからなるアルカリバリア膜の反射率の結果を示すグラフである。 各膜およびガラス基板の厚み方向におけるナトリウム原子の検出強度を示すグラフである。 シート抵抗値と透明導電膜の膜厚の関係を示すグラフである。 透過率と透明導電膜の膜厚の関係を示すグラフである。 ヘイズ率と透明導電膜の膜厚の関係を示すグラフである。 実施例4における太陽電池用薄膜の表面状態の電子顕微鏡観察結果を示す図である。 実施例5における太陽電池用薄膜の表面状態の電子顕微鏡観察結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法関係を表わすものではない。
<成膜装置>
(全体構成)
図1は、実施形態の成膜装置の一例を示す模式図であり、ガラス基板を一軸移動させながらガラス基板の表面に原料溶液(A)および原料溶液(B)を順に噴霧して、ガラス基板の表面に、原料溶液(A)から形成されるアルカリバリア膜と、原料溶液(B)から形成される透明導電膜とを備える太陽電池用薄膜を成膜するための成膜装置である。
図1を参照し、成膜装置は、筐体1、該筐体1内においてガラス基板Wを搬送するための搬送部2、搬送されるガラス基板Wを加熱するための加熱部3、アルカリバリア膜を成膜するための第1成膜部4、および透明導電膜を形成するための第2成膜部5を備えている。
筐体1内の搬入口1aから搬出口1bに向かう左右方向に搬送部5が貫通している。搬送部2は、図に示す位置に載置されたガラス基板Wを、搬入口1aから搬出口1bに向けて一軸方向に搬送することができる。筐体1の内部には、筐体1の内部を貫通する搬送部2の周囲を囲むように、加熱部3が配置されている。この構成により、搬送部2の周囲を所定の温度に維持することができるため、搬送部2上を搬送されるガラス基板Wを所定の温度に加熱することができる。
また、筐体1の天井面(図中上面)には第1成膜部4および第2成膜部5が所定の間隔を設けて嵌め込まれ、さらに、第1成膜部4および第2成膜部5の下部は、搬送部2の周囲を囲む加熱部3の上面を貫通している。この構成により、第1成膜部4および第2成膜部5の下方に、搬送部2が延在することとなる。これにより、第1成膜部4および第2成膜部5は、その下方を通過する、加熱部3によって加熱されるガラス基板Wの表面に、それぞれアルカリバリア膜および透明導電膜を成膜することができる。なお、第1成膜部4および第2成膜部5の下方を図中左右方向に移動するガラス基板Wと、第1成膜部4および第2成膜部5とが接触することのないように、第1成膜部4および第2成膜部5を配置する必要がある。
以下、各部の構成を、図1および図2を用いて説明する。図2は、第1成膜部の構成および配置の一例を概略的に示す断面図である。
(筐体)
筐体1において、筐体1の図中左側の壁にはガラス基板Wの搬入口1aが設けられており、筐体1の図中右側の壁にはガラス基板Wの搬出口1bが設けられている。筐体1は、内部に収容されたガラス基板Wにアルカリバリア膜、透明導電膜を成膜する間、ガラス基板Wを埃などの外的要因から保護可能であればよく、たとえば、熱CVD装置に用いられる処理室のように高い密閉性を有する必要はない。
(搬送部)
搬送部2は、図1に示す位置に載置されたガラス基板Wを、搬入口1aから搬出口1bに向けて、筐体1の内部を一軸方向に搬送することができる。搬送部2の構成は、特に制限されず、たとえば、搬送ローラ2aおよび2bにベルトを巻き、搬送ローラ2aおよび2bの回転に伴い、ベルトが回転するような構成とすることができる。
(加熱部)
加熱部3は、搬送部2の周囲を囲むように配置されており、これにより、加熱部3によって囲まれる領域、すなわち、搬送部2の周囲を所定の温度に維持することができるため、搬送部2上を搬送されるガラス基板Wを加熱することができる。加熱部3の構成は、特に制限されず、ハロゲンヒータなどの公知の加熱機構を用いることができる。
加熱部3は、図1に示すように、搬入口1aから、第2成膜部5の下方にまで延在していることが好ましい。これにより、ガラス基板Wが搬入口1aから第1成膜部4に到達するまでの間に、ガラス基板Wの表面を所望の温度まで十分に昇温させることができる。また、第1成膜部4での成膜処理により、ガラス基板Wの表面温度が低下した場合であっても、ガラス基板が第1成膜部4から第2成膜部5に到達するまでの間に、ガラス基板Wの表面を所望の温度まで十分に昇温させることができる。
また、搬入口1aから第1成膜部4まで延在する加熱部に囲まれる領域の温度(第1の温度)と、第1成膜部4から第2成膜部5まで延在する加熱部に囲まれる領域の温度(第2の温度)とを、別途制御できる構成としてもよい。この場合、第1成膜部4においてアルカリバリア膜を形成するまでのガラス基板Wの温度と、アルカリバリア膜形成後のガラス基板Wに透明導電膜を形成するまでのガラス基板Wの温度とをそれぞれ個別に制御することができる。したがって、たとえば、アルカリバリア膜を形成するために好適な温度と、透明導電膜を形成するために好適な温度が大きく異なる場合には、上記のように、第1の温度と第2の温度をそれぞれ制御できる構成とすることが好ましい。
第1成膜部4において、主溶媒が水であり、Al(acac)3を含有する原料溶液(A)を用いて、ガラス基板W上にアルカリバリア膜を形成する場合、加熱部3に囲まれる加熱領域は、450℃以上600℃以下に維持されていることが好ましい。ガラス基板Wが450℃以上の場合、ガラス基板Wに付着したミスト中の溶媒が蒸発し易くなり、600℃以下の場合に、ミストがガラス基板Wに到達する前に蒸発することを抑制することができるためである。また、ガラス基板W表面での熱分解を良好に進めることができ、均質なアルカリバリア膜を形成することができる。さらに、加熱領域を480℃以上とすることが好ましく、520℃以上580℃以下とすることがさらに好ましい。この場合、溶媒をさらに素早く蒸発させることができ、さらに均質なアルカリバリア膜を形成することができる。
(第1成膜部)
第1成膜部4は、ガラス基板Wの表面にアルカリバリア層を形成する。より具体的には、第1成膜部4は、ミスト法によって、主溶媒が水であり、Al(acac)3を含有する原料溶液(A)のミストをガラス基板上に噴霧する。これにより、加熱されたガラス基板の表面において、Al(acac)3が熱分解されることによって、酸化アルミニウム(Al23)からなるアルカリバリア膜が形成される。また、ミスト中の溶媒は、加熱されたガラス基板の表面で容易に蒸発する。なお、主溶媒とは、混合溶液の50%以上の体積を占める溶媒をいう。
上記原料溶液(A)において、Al(acac)3の含有量は0.1mol/l以上3mol/l以下であることが好ましい。この場合に、より均質な成膜が可能となる。また、原料溶液(A)の主溶媒は水であるが、たとえば、エタノール、メタノール、ブタノールなどの低級アルコールを含有していてもよい。上記低級アルコールを含有することにより、溶液全体の揮発性の制御が容易となり、その結果、ガラス基板W上にパーティクルが発生するのを抑制することができる。低級アルコールの含有量は10体積%未満であることが好ましい。低級アルコールの含有量が多すぎると、揮発性が高くなり過ぎ、ミストの直径が瞬間的に小さくなるため好ましくない。
また、原料溶液(A)は、主溶媒である水の他に、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸などの有機酸を添加剤として含有していてもよい。上記添加剤を含有することにより、ガラス基板Wに付着するときの原料溶液(A)の濡れ性の制御が容易となり、その結果、ガラス基板上にパーティクルが発生するのを抑制することができる。また、溶質の溶解度を向上させることができる。添加剤の含有量は20体積%以上50体積%未満であることが好ましい。添加剤の含有量を20体積%以上とすることにより、ミストの揮発性を適切に制御してミストの大きさを適切にすることができ、もって、ミストのガラス基板W上での濡れ性を適切に保つことができ、50体積%未満とすることにより、原料溶液(A)をミスト化したときの爆発などの危険性が高まるのを抑制することができる。
図2を参照し、第1成膜部4は、図2中下方底面が開口された噴霧箱11を備える。噴霧箱11は、筐体1に設けられた孔を貫通するように配置されており、さらに、加熱部3を貫通している。これにより、噴霧箱11の開口される下端は、筐体1内であって、加熱部3によって加熱される加熱領域に位置する。なお、噴霧箱11の下方に位置する搬送部2上を搬送されるガラス基板Wが図2中左側から右側に向けて一軸移動可能な程度に、噴霧箱11の下端と搬送部2との間に距離を設ける必要がある。
上記噴霧箱11の内部上方には、噴霧器12が所定の位置に固定されている。噴霧器12は、配管13を介して原料溶液(A)としての溶液14を収容する浴槽15と接続されている。噴霧器12は、浴槽15内の原料溶液(A)を吸い上げ、これをミスト16にして、下方を通過するガラス基板Wの表面に向けて噴霧することができる。なお、ミストとは、平均粒子径が0.1μm以上100μm以下の液滴が気体中分散された状態のものをいう。かかるミストの平均粒子径は、液浸法によって算出された値を採用するものとする。
噴霧器12は、超音波によって原料溶液(A)をミスト16にする超音波霧化器でもよく、スプレー噴霧器でもよい。超音波噴霧器としては、超音波振動子によってミスト16を発生させる構成としてもよい。超音波振動子は、比較的均一な平均粒子径のミストを噴霧することができるため、ミスト同士がより凝集し難くなる。スプレー噴霧器としては、圧縮空気と原料溶液とを混合させてミストを噴出する、いわゆる2流体スプレーノズルであることが好ましい。
ここで、図2においては、1つの噴霧器12を備える第1成膜部4を示すが、噴霧器12の数はこれに限られず、たとえば、タクトタイムに必要とされる単位時間当たりの噴霧量によって変更してもよいし、成膜に必要な成膜レートに応じて変更してもよい。また、ガラス基板Wの大きさによって変更することもできる。
とくに、本発明者らは、2流体スプレーノズルを用いた場合に、数個の2流体スプレーノズルを用い、これらの配置を調整することによって、噴霧領域の噴霧量の分布を均一化できることを知見した。これについて、図3〜10を用いて以下に説明する。
図3(a)および(b)は、それぞれ2流体スプレーノズルの構成の一例を示す概略図であり、図3(a)は2流体スプレーノズルの概略的な側面図であり、図3(b)は2流体スプレーノズルを先端から見た場合の概略的な上面図である。2流体スプレーノズルにおいて、その内部で圧縮空気と原料溶液とが混合され、これが先端30の切れ込み31から噴出されることによって、液体原料はミストとして2流体スプレーノズルの外に噴出される。この2流体スプレーノズルから噴出された原料溶液は、図4に示すように、先端30から垂直下方向に向かって拡散される。
たとえば、切れ込みの深さ、長さ、横幅がそれぞれ2.0mm、2.9mm、0.5mmの2流体スプレーノズルを用いて先端30から垂直下方向(L1)に300mm離間した位置にガラス基板を配置し、このガラス基板上に原料溶液を15ml/分で噴霧した場合、ガラス基板上に到達する原料溶液のD1方向およびD2方向の噴霧量の分布は、それぞれ図5および図6に示す状態となる。なお、切れ込み31の中心から垂直下方向の位置を0地点とし、噴霧量の分布は、ガラス基板上の各地点にビーカーを配置し、各ビーカー内に溜まる液量を測定することによって算出した。
図5および図6に示すように、2流体スプレーノズルの切れ込み31の切れ込み方向に平行な方向であるD1方向において、原料溶液のガラス基板上での分布は2つのピークを有する分布となり、D2方向においては、1つのピークを有する分布となる傾向にあった。また、D1方向のほうが分布の幅が広くなる傾向にあった。そこで、本発明者らは、10個の2流体スプレーノズルを、それぞれの切れ込み31の切れ込み方向が平行となるように、所定間隔ずつ離間して一直線状に並べ(図10(a)参照。)、各先端30から垂直下方向(L1)に300mm離間した位置に1枚のガラス基板を配置し、上述と同様の方法で原料溶液を噴霧した。そして、このときのガラス基板上における原料溶液のD1方向の分布を測定した。
図7に各2流体スプレーノズルを100mm間隔で配置した場合における原料溶液のD1方向の噴霧量の分布を、図8に各2流体スプレーノズルを120mm間隔で配置した場合における原料溶液のD1方向の噴霧量の分布を、図9に各2流体スプレーノズルを150mm間隔で配置した場合における原料溶液のD1方向の噴霧量の分布を示す。図7〜図9より、上記2流体スプレーノズルを用いた場合、120mm間隔で複数個配置することにより、D1方向の分布を均一化することができた。
上記検討により、2流体スプレーノズルの大きさ、噴霧量(ml/分)、2流体スプレーノズルの先端部からガラス基板の距離、ガラス基板の大きさなどにより、好適な2流体スプレーノズルの数、配置間隔は異なってくるが、少なくとも、複数の2流体スプレーノズルを、所定の方向に所定の等間隔で配置することによって、噴霧領域における噴霧量のさらなる均一化が可能であることがわかった。
したがって、たとえば、ガラス基板の搬送方向に垂直な方向に上記2流体スプレーノズルを等間隔に配置し、かつ該間隔を調節することによって、大型のガラス基板上にアルカリバリア膜、透明導電膜を成膜する場合であっても十分に均一に原料溶液を噴霧することができ、もって、均質な膜を成膜することができる。複数の2流体スプレーノズルの配置は、(a)に示すように、切れ込み方向に一直線状に、かつガラス基板Wの搬送方向に対して垂直方向に直列するように配置してもよく、図10(b)に示すように、切れ込み方向に直線状に、かつガラス基板Wの搬送方向に所定距離だけ交互にずらした状態で配置してもよい。なお、図10(a)および(b)は、配置された各2流体スプレーノズルの先端方向からの概略的な鳥瞰図であり、図中矢印はガラス基板の搬送方向を示す。
図1および図2に戻り、噴霧器12には冷却器17が設けられており、噴霧器12内の原料溶液(A)を冷却することができる。冷却器17の構成は特に制限されず、たとえば、冷却ファンなど、空冷によって原料溶液(A)を冷却する機構を有していてもよい。また、噴霧器の周囲に水冷の配管を設置して給水して冷却する還流冷却器のように、水冷によって原料溶液(A)を冷却する機構を有していてもよい。
噴霧器12内の原料溶液(A)を、冷却器17によって噴霧直前まで冷却することができることにより、原料溶液(A)に含まれる溶媒が噴霧器12の先端12a内または近傍で蒸発することを抑制することができ、結果的に、原料溶液(A)の粘度が上昇することによる噴霧器12の先端部分の閉塞を抑制することができる。溶媒の蒸発をより効率的に抑制するために、冷却器17は、噴霧器12内の原料溶液(A)を該原料溶液(A)の沸点以下の温度に冷却するものであることが好ましく、より好ましくは、噴霧器12内の原料溶液(A)を室温(25℃)程度に冷却するものであることがより好ましい。
また、噴霧器12の先端12aと、第1成膜部4の垂直下方に位置するガラス基板Wの表面との距離をL1とし、加熱部3の上面、すなわち、加熱部3によって加熱される加熱領域の上端と第1成膜部4の垂直下方に位置するガラス基板Wの表面との距離をL2とした場合、L1≧1/4L2であることが好ましい。この場合、加熱部3によって噴霧器12の周囲の雰囲気が加熱されるのを十分に抑制することができ、ガラス基板Wを十分に加熱することができ、さらに、原料溶液(A)がガラス基板Wの表面に到達する前に、原料溶液(A)中の溶媒が蒸発するのを抑制することができる。また、浴槽15内の原料溶液(A)を冷却する冷却機構をさらに備えてもよい。
第1成膜部4は、さらに、噴霧箱11内にガスを導入するためのガス導入部18と、噴霧箱11内からガスを排出するためのガス排出部19が設けられていることが好ましい。ガス導入部18とガス排出部19とを備えることにより、噴霧箱11内にキャリアガスを導入して、その流れを制御することができるため、たとえば、噴霧器12近傍、ガラス基板Wの表面などでの不要な熱対流の発生を抑制することができる。したがって、ミスト16をより安定的にガラス基板Wの表面に到達させることができる。
また、噴霧箱11内にガスの流れができることにより、ミスト16は図2中の白抜き矢印で示すように、ガラス基板Wの表面に対して略垂直方向から付着することができる。さらに、図2中の黒矢印で示すように、ガラス基板Wの表面に沿った方向にもミスト16が流れるため、ガラス基板Wの表面に沿った略水平方向からのミスト16の付着も可能となる。これにより、ミスト16は、ガラス基板Wの表面により均一に付着することができるため、より均質なアルカリバリア膜を成膜することができる。なお、キャリアガスとして、アルゴン、ヘリウム、窒素などの不活性ガス、酸素、水素などのガス、またはこれらの混合ガスを用いることができる。
(第2成膜部)
第2成膜部5の構成は、特に制限されず、公知のミスト法に用いられる透明導電膜成膜器を用いることができる。また、たとえば、原料溶液(A)の代わりに、透明導電膜を成膜するための原料溶液(B)を浴槽15で収容する以外は、第1成膜部4の構成と同様とすることができる。
ここで、原料溶液(B)としては、亜鉛、スズ、インジウム、カドミウム、およびストロンチウムからなる群より選択される無機材料の塩化物または有機金属化合物を溶媒に溶解させたものを用いることが好ましい。原料溶液(B)に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどを挙げることができる。より具体的には、酢酸亜鉛を含む溶液、酸化インジウムスズを含む溶液、酸化スズを含む溶液などを挙げることができる。これにより、ZnO、ITO、SnO2などの透明導電膜を成膜することができる。上記の原料溶液(B)の濃度は、特に限定されないが、一般的には0.1mol/l〜3mol/lの濃度とすることが好ましい。なお、第2成膜部5で形成されるフッ素ドープ酸化スズ膜についても、加熱領域を450℃以上600℃以下に維持することにより、均質に成膜することができる。
(動作)
図1および図2を用いて、成膜装置の動作について説明する。なお、ここでは、一例として、原料溶液(A)として、Al(acac)3を含有する水溶液を用い、原料溶液(B)として、SnCl4・5H2OおよびNH4Fを含有する水溶液を用いた場合について説明する。
まず、搬送部2上に載置されたガラス基板Wが、搬送部2に搬送されることによって、搬入口1aから筐体1の内部に搬送される。ガラス基板Wは、搬入口1aから第1成膜部4の下方に向かうまでの間に、搬送部2の周囲を囲む加熱部3によって加熱されるため、第1成膜部4の下方に到達したガラス基板Wは、所定の温度に加熱されている。
そして、第1成膜部4の下方に到達したガラス基板Wには、第1成膜部4の下方を通過する間、噴霧器12から噴霧されるミスト16が付着する。このとき、噴霧器12内の原料溶液(A)は、噴霧される直前まで、冷却器17によって原料溶液(A)の沸点以下の温度に冷却されているため、原料溶液(A)がミスト化されても、噴霧器12の先端12aが閉塞されるようなことがない。また、さらに、第1成膜部4の噴霧箱11内において、ガス導入部18からキャリアガスが導入されており、ガス排出部19から噴霧箱11内のガスが排出されている。したがって、噴霧箱11内において不要な熱対流は生じておらず、これにより、ミスト16はガラス基板Wの表面に均一に到達することができる。
搬送されるガラス基板Wの表面は450℃以上600℃以下に加熱されているため、ガラス基板Wの表面に付着したミスト16のうち、溶媒である水は蒸発し、Al(acac)3は熱分解によって酸化アルミニウムへと変化する。これにより、ガラス基板Wの表面に、酸化アルミニウムからなるアルカリバリア膜が成膜される。
また、ガス導入部18からガス排出部19に向かうガスの流れにより、ミスト16はガラス基板Wの表面には噴霧箱11の上方からの流れに乗ったミスト16(図2中の白抜き矢印)が付着するだけでなく、ガラス基板Wの表面に沿うように移動するガス流れに乗ったミスト16(図中黒矢印)も付着することができる。これにより、ガラス基板Wの表面に対して水平方向の成膜も可能となる。
そして、第1成膜部4の下方を通過することによりアルカリバリア膜が形成されたガラス基板Wは、第1成膜部4の下方から第2成膜部5の下方に向かって搬送される。第1成膜部4を通過する際に、原料溶液(A)の付着、溶媒の蒸発、熱分解などによりガラス基板Wの表面温度が低下している場合があるが、第1成膜部4の下方から第2成膜部5の下方に向かう間の搬送部2は、加熱部3によって加熱されているため、第2成膜部5に向かうまでの間に、ガラス基板Wの温度を450℃以上600℃以下とすることができる。
そして、第2成膜部5の下方に到達したガラス基板Wには、第2成膜部5の下方を通過する間、第1成膜部4と同様の動作により、アルカリバリア膜上に、フッ素ドープ酸化スズからなる透明導電膜を成膜することができる。
次に、第1成膜部4の下方を通過したガラス基板Wは、搬送部2によって搬出口1bに向かって搬送される。この間の搬送部2の周囲には加熱部3が設けられていないため、ガラス基板Wは、筐体1の外部に搬出されるまでの間に除熱することができる。なお、この部分の搬送部2の周囲を囲むように、冷却部を設けてもよい。この場合、ガラス基板Wの除熱をより効率的に行うことができる。以上の動作により、筐体1の外部に搬出されたガラス基板Wの表面には、アルカリバリア膜および透明導電膜がこの順に成膜された太陽電池用薄膜が成膜される。
上記成膜装置によれば、第1成膜部4において、原料溶液(A)を噴出直前まで冷却することができるため、噴霧器12の閉塞を抑制することができ、もって、均質なアルカリバリア膜を成膜することができる。均質なアルカリバリア膜を形成することにより、その上に成膜される透明導電膜も均質にすることができるため、結果的に、優れた太陽電池用薄膜を成膜することができる。また、原料溶液の主溶媒を水にすることができるため、爆発などの危険を防ぐことができる。
<太陽電池用薄膜の成膜方法>
図1および図2に示す太陽電池用薄膜の成膜装置を用いた、本発明の太陽電池用薄膜の成膜方法の一例について説明する。なお、ここでは、酸化アルミニウム膜からなるアルカリバリア膜と、フッ素ドープ酸化スズ膜からなる透明導電膜がガラス基板Wの表面にこの順に成膜された太陽電池用薄膜を成膜する方法について説明する。
(アルカリバリア膜を形成する工程)
まず、第1の温度で加熱される前記ガラス基板Wの表面上にアルカリバリア膜を形成する。
具体的には、搬入口1aから筐体1に搬入されたガラス基板Wが、加熱部3によって加熱されることにより、第1成膜部4の下方に到達する前に、ガラス基板Wの温度が加熱部3内の温度にまで昇温される。Al(acac)3を含有する水溶液を用いてアルカリバリア膜を形成する場合、ガラス基板Wの温度は450℃以上600℃以下であることが好ましい。したがって、加熱部3は、搬送部2の周囲の温度が450℃以上600℃以下となるように温度を維持することが好ましい。
上記温度に加熱されたガラス基板Wが第1成膜部4の下方を通過する際、第1成膜部4の噴霧器12の先端12aからアルミニウムトリアセチルアセテートを含有する原料溶液(A)がガラス基板Wの表面に向けて噴霧される。
第1成膜部4において、噴霧器12内の原料溶液(A)は、冷却器17によって原料溶液(A)の沸点以下、好ましくは室温程度に冷却されているため、噴霧器12内から外に噴出される際の溶媒の蒸発、気化を抑制することができる。これにより、噴霧器12のノズルの閉塞を抑制することができるため、結果的に、ミスト16を均一に噴出することができる。
ガラス基板Wの表面に到達したミスト16のうち、溶媒は蒸発し、Al(acac)3は熱分解されて酸化アルミニウム膜となる。特に、ガス導入部18からキャリアガスを導入するとともにガス排出部19から噴霧箱11内のガスが排出するように、噴霧箱11内のガスの流れ、流量を制御することにより、ミスト16を、噴霧器12から垂直下方に流れさせることができ、さらに、ガラス基板Wの表面上を水平方向に流れさせることができる。これにより、ミスト16をより均一にガラス基板Wの表面に到達させることができ、結果的に、より均質なアルカリバリア膜の成膜が可能となる。なお、ガラス基板Wの表面に付着しなかったミスト16は、ガス排出部19より排出される。
アルカリバリア膜の膜厚は、40nm以上100nm以下であることが好ましい。これは、本発明者らが、本発明の方法によりアルカリバリア膜を成膜した場合に、40nmの厚みであっても十分にバリア効果を発揮することを確認したことによる。また、100nm超にすると、成膜に要する時間が長くなるため、製造タクト上好ましくない。なお、本発明において、膜厚が上記範囲内となるようにアルカリバリア膜を成膜した場合に、透過率、バリア効果が十分であり、太陽電池用薄膜に要求される仕様を満たしていることは本発明者らにより確認されている。
原料溶液(A)において、Al(acac)3の含有量は0.1mol/l以上3mol/l以下であることが好ましい。この場合に、より均質な成膜が可能となる。また、原料溶液(A)の主溶媒は水であるが、たとえば、エタノール、メタノール、ブタノールなどの低級アルコールを含有していてもよい。上記低級アルコールを含有することにより、溶液全体の揮発性の制御が容易となり、その結果、ガラス基板W上にパーティクルが発生するのを抑制することができる。低級アルコールの含有量は10体積%未満であることが好ましい。低級アルコールの含有量が多すぎると、揮発性が高くなり過ぎ、ミストの直径が瞬間的に小さくなるため好ましくない。
また、原料溶液(A)は、主溶媒である水の他に、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸などの有機酸を添加剤として含有していてもよい。上記添加剤を含有することにより、ガラス基板Wに付着するときの原料溶液(A)の濡れ性の制御が容易となり、その結果、ガラス基板上にパーティクルが発生するのを抑制することができる。また、溶質の溶解度を向上させることができる。添加剤の含有量は20体積%以上50体積%未満であることが好ましい。添加剤の含有量を20体積%以上とすることにより、ミストの揮発性を適切に制御してミストの大きさを適切にすることができ、もって、ミストのガラス基板W上での濡れ性を適切に保つことができ、50体積%未満とすることにより、原料溶液(A)をミスト化したときの爆発などの危険性が高まるのを抑制することができる。
なお、本工程において、噴霧器12内の原料溶液(A)は沸点以下に冷却されるが、溶媒に低級アルコールが含まれずに、水のみからなる場合、その沸点は100℃となる。一方、溶媒に低級アルコールが含まれた場合、原料溶液の沸点は変化するが、少なくとも、含まれる溶媒の種類のうち、最も沸点の低い溶媒の沸点以下となるように、冷却することが好ましい。たとえば、原料溶液(A)がエタノールを溶媒として含有する場合には、エタノールの沸点である78℃以下となるように、噴霧器12内の原料溶液(A)を冷却することが好ましい。
本工程により、ガラス基板W上に、酸化アルミニウム膜からなるアルカリバリア膜が形成される。
(透明導電膜を形成する工程)
次に、第2の温度で加熱される前記ガラス基板Wの表面上のアルカリバリア膜上に透明導電膜を形成する。
具体的には、第1成膜部4の下方を通過することによってアルカリバリア膜が成膜されたガラス基板Wが、搬送部2によって第2成膜部5の下方に搬送される。ここで、アルカリバリア膜が成膜されたガラス基板Wは、第1成膜部4を通過する際に、原料溶液(A)の付着、溶媒の蒸発、熱分解などによって表面温度が低下している場合がある。しかし、上記成膜装置において、第1成膜部4の下方から第2成膜部5の下方に向かう間の搬送部2は、加熱部3によって加熱されているため、第2成膜部5に向かうまでの間に、ガラス基板Wの温度を450℃以上600℃以下にまで昇温させることができる。したがって、第2成膜部5の下方に到達したガラス基板Wの温度は、上記温度範囲内に維持される。
上記温度に加熱されたガラス基板Wが第2成膜部5の下方を通過する際、第2成膜部5の噴霧器の先端から透明導電膜を成膜するための原料溶液(B)がミスト化されてガラス基板Wの表面に向けて噴霧される。ガラス基板Wのアルカリバリア膜上に到達したミストのうち、溶媒は蒸発し、透明導電膜の原料は熱分解されて透明導電膜となる。なお、第2成膜部5の構成は第1成膜部4と同様であり、噴霧箱内におけるガスの流れも同様であるため、その説明は繰り返さない。
透明導電膜の膜厚は、700nm以上1100nm以下であることが好ましい。これは、本発明者らが、本発明の方法によりアルカリバリア膜、透明導電膜を成膜した場合に、透明導電膜の厚みが上記範囲内の場合に、透過率、ヘイズ率を十分に高めることができることを確認したことによる。
原料溶液(B)は、透明導電膜の原料として、SnCl4水和物、TiCl4水和物、亜鉛アセチルアセトナートなどを含む。このような原料溶液(B)を用いることにより、ZnO、TiO2、SnO2などの透明導電膜を成膜することができる。なかでも、透明導電膜として、原料が豊富であり、低コストで簡便に調達できることから、フッ素ドープ酸化スズ膜を成膜することが好ましいが、この場合、原料溶液(B)にフッ化アンモニウム(NH4F)、トリフルオロ酢酸(CF3COOH)、フッ化水素(HF)などのフッ素化合物からなるドーパント原料を添加することにより、上記透明導電膜を簡便に成膜することができる。
原料溶液(B)におけるドーパント原料の濃度は、透明導電膜に求められるドーパント濃度にもよるが、0.1mol/l以上3mol/l以下であることが好ましい。なお、他のドーパント原料として、塩化アンチモン、酢酸アンチモン、アセチルアセトアンチモンなどのアンチモン塩、または塩化タンタル、酢酸タンタル、アセチルアセトタンタルなどの塩化タンタルを用いてもよい。ただし、製造コスト、透明導電膜の膜特性(太陽電池用薄膜としての性質)の観点から、フッ素化合物を用いることが好ましい。
また、原料溶液(B)の主溶媒は水であるが、たとえば、エタノール、メタノール、ブタノールなどの低級アルコールを含有していてもよい。上記低級アルコールを含有することにより、溶液全体の揮発性の制御が容易となり、その結果、ガラス基板W上にパーティクルが発生するのを抑制することができる。低級アルコールの含有量は10体積%未満であることが好ましい。低級アルコールの含有量が多すぎると、揮発性が高くなり過ぎ、ミストの直径が瞬間的に小さくなるため好ましくない。
また、原料溶液(B)は、主溶媒である水の他に、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸などの有機酸を添加剤として含有していてもよい。上記添加剤を含有することにより、ガラス基板Wに付着するときの原料溶液(A)の濡れ性の制御が容易となり、その結果、ガラス基板上にパーティクルが発生するのを抑制することができる。また、溶質の溶解度を向上させることができる。添加剤の含有量は20体積%以上50体積%未満であることが好ましい。添加剤の含有量を20体積%以上とすることにより、ミストの揮発性を適切に制御してミストの大きさを適切にすることができ、もって、ミストのガラス基板W上での濡れ性を適切に保つことができ、50体積%未満とすることにより、原料溶液(B)をミスト化したときの爆発などの危険性が高まるのを抑制することができる。
本工程により、ガラス基板Wの表面に形成されたアルカリバリア膜上に、透明導電膜が形成される。
(除熱工程)
アルカリバリア膜および透明導電膜がこの順に成膜されたガラス基板Wは、ガラス基板Wの割れ、反りを低減させるために、筐体1内から搬出される前に、除熱されることが好ましい。図1に示す成膜装置において、筐体1内において、第2成膜部5の下方を通過したガラス基板Wが搬出口1bから搬出されるまでの間に、ガラス基板Wが搬送される経路がある。たとえば、筐体1内のこの部分に冷却部を設けて、成膜後のガラス基板Wを効率的に冷却してもよい。また、特に冷却装置を設けなくても、当該部分を搬送されることによって、ガラス基板Wを冷却することもできる。
以上の工程により、ガラス基板W上に、アルカリバリア膜および透明導電膜がこの順に成膜された太陽電池用薄膜を成膜することができる。
上記成膜方法によれば、水を主溶媒とした原料溶液(A)を用いて、アルカリバリア膜を成膜することができる。原料溶液(A)には、Al(acac)3が含有されており、この水溶液はノズルを閉塞させる傾向にあるため、ミスト法には適していないとされていた。しかしながら、本実施形態によれば、噴出の直前まで、原料溶液(A)をその沸点以下に冷却することができるため、ノズルの閉塞を抑制することができ、結果的に、均一なミストの噴出が可能となる。このように、上記成膜方法によれば、簡便かつ安全に高品質のアルカリバリア膜を形成することができる。
また、第1成膜部内のガスの流れを制御することにより、均一なミストをほぼ垂直下方に流れさせることができ、さらに、ガラス基板Wの表面において、水平方向にもミストを流れさせることができる。したがって、さらに均一にミストをガラス基板Wの表面に付着させることができ、結果的に、より均質なアルカリバリア膜を安全に成膜することができる。また、本実施形態において、透明導電膜もまた、主溶媒を水とした原料溶液(B)を用いて成膜されるため、透明導電膜を安全に成膜することができる。このように、上記製造方法によれば、簡便かつ安全に高品質の太陽電池用薄膜を成膜することができる。
本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。ただし、これらの実施例および比較例により本発明が限定されるものではない。
<実施例1>
図1および2に示す成膜装置を用いて、ガラス基板上に、酸化アルミニウムからなるアルカリバリア膜を成膜し、その反射率を測定した。具体的な処理内容を以下に説明する。
(成膜装置)
加熱部3について、搬送部2の周囲の温度を540℃に維持するように、加熱領域を加熱した。また、第1成膜部4について、噴霧器12として、10個の2流体スプレーノズルを用い、各2流体スプレーノズルは、図10(a)に示すように、切れ込み方向に一直線状に、かつガラス基板Wの搬送方向に対して垂直方向に直列するように、120mm間隔で配置した。なお、各2流体スプレーノズルの噴霧量は15ml/分に調節した。
また、第1成膜部4の垂直下方に位置するガラス基板Wの表面との距離(L1)を300mmとし、加熱部3によって加熱される領域の上端と第1成膜部4の垂直下方に位置するガラス基板Wの表面との距離(L2)を75mmとした。さらに、噴霧箱11内に導入するキャリアガスとして圧縮空気を用い、キャリアガスの導入量を2.8m3/分、噴霧箱11内からのガスの排出量を0.3MPaに調整した。また、噴霧器12に設けられた冷却器17は、噴霧器12内の原料溶液(A)を30℃に冷却する構成とした。
上記構成により、10個の2流体スプレーノズルからなる噴霧器12から噴出されるミストが、ガラス基板Wの表面に均一に到達することを確認した。
(ガラス基板、および原料溶液(A))
ガラス基板として、縦×横が1m×1mのソーダライムガラスを用いた。また、原料溶液(A)として、Al(acac)3:0.15mol/l、水:77.5体積%、CH3COOH:20体積%、メタノール:2.5体積%からなる水溶液を用いた。なお、原料溶液(A)の沸点は、78℃であった。
(成膜処理)
上記成膜装置、上記ガラス基板および上記原料溶液(A)を用い、ガラス基板上に酸化アルミニウムからなるアルカリバリア膜を形成した。なお、原料溶液(A)の噴霧時間は30秒間とし、70nmの膜厚のアルカリバリア膜を成膜した。なお、膜厚は、触針式表面形状測定器(製品名:DEKTAK(株式会社アルバック製))によって測定した。
(反射率の測定)
成膜されたアルカリバリア膜の反射率を反射率測定装置(製品名:分光光度計U−4100(株式会社日立ハイテク製))を用いて測定した。この結果を図11に示す。図11において、縦軸は反射率(%)を、横軸は波長(1/nm)を示している。また、参考例1〜4として、以下の膜を成膜した場合をシミュレーションした結果を同図に示す。なお、一般的に、SiO2膜は、ミスト法によって成膜することは困難である。
参考例1:SiO2膜(膜厚:25nm)
参考例2:TiO2膜(膜厚:5nm)/SiO2膜(膜厚:25nm)
参考例3:TiO2膜(膜厚:10nm)/SiO2膜(膜厚:25nm)
参考例4:TiO2膜(膜厚:15nm)/SiO2膜(膜厚:25nm)
なお、A/Bとは、ガラス基板上にAおよびBの順に成膜したものを意味する。
図11を参照し、実施例1で成膜された酸化アルミニウム膜の反射率は、参考例1、2および4の膜よりも低く、また、参考例3の膜と同等であることが分かった。この結果より、成膜された酸化アルミニウム膜は低い反射率を有し、太陽電池用薄膜のアルカリバリア膜として適していることが分かった。
<実施例2>
図1および2に示す成膜装置を用いて、ガラス基板上に、酸化アルミニウムからなるアルカリバリア膜およびフッ素ドープ酸化スズからなる透明導電膜を成膜し、アルカリバリア膜のバリア効果を確認した。具体的な処理内容を以下に説明する。
(成膜処理)
実施例2として、実施例1と同様の装置、同様のガラス基板および同様の原料溶液(A)を用いて、膜厚40nmの酸化アルミニウム膜をガラス基板上に成膜した後、原料溶液(B)を用い、透明導電膜(TCO;Transparent Conductive Oxide)として、膜厚800nmのフッ素ドープ酸化スズ膜を成膜した。なお、上記透明導電膜は、原料溶液Bとして、SnCl4・5H2O:0.9mol/l、NH4F:0.3mol/l、水:67.5体積%、HCl:30体積%、メタノール2.5体積%からなる水溶液を用い、成膜装置の第2成膜部5によって成膜された。
(ナトリウム原子の測定)
アルカリバリア膜および透明導電膜がこの順に成膜されたガラス基板を用いて、TOF−SIMS(Time-of-flight secondary ion mass spectrometer)測定法により、各膜およびガラス基板の厚み方向におけるナトリウム原子の検出強度(Counts)を測定した。この結果を図12に示す。
図12を参照し、ガラス基板において検出されるナトリウムは、アルカリバリア膜であるAl23膜内においては、ガラス基板内の同様の強度で検出されたが、アルカリバリア膜上に成膜されたTCO膜内において検出されるナトリウムの強度は十分に低く、透明導電膜の特性に影響を及ぼさない範囲であることが分かった。この結果より、成膜された酸化アルミニウム膜は、その膜厚が40nmであっても、ソーダライムガラスに含まれるナトリウム成分のバリア層として十分に機能できることがわかった。また、ソーダライムガラスに含まれ得る他のアルカリ成分、たとえば、カルシウム成分についても同様の結果が得られることが推測された。したがって、酸化アルミニウム膜の膜厚は、40nm以上であれば、アルカリバリア膜として十分に機能できることがわかった。
以上、実施例1および実施例2の結果より、膜厚が40nm以上のAl23膜であれば、反射率およびアルカリバリア効果ともに、太陽電池用薄膜に要求される仕様を満たしていることがわかった。また、Al23膜の膜厚を100nm超とするとその成膜に長時間を要するため、また、膜厚が厚すぎると太陽光の透過率が減少する傾向にあるため、アルカリバリア膜の膜厚は100nm以下であることが好ましい。
<実施例3>
酸化アルミニウムからなるアルカリバリア膜上に、様々な膜厚の透明導電膜を作製し、各膜厚における太陽電池用薄膜の各種特性(シート抵抗値、透過率およびヘイズ率)を確認した。具体的な処理内容を以下に説明する。
(成膜処理)
実施例3として、実施例1と同様の装置、同様のガラス基板および同様の原料溶液(A)を用いて、膜厚70nmの酸化アルミニウム膜をガラス基板上に成膜した後、透明導電膜として、実施例2と同様の原料溶液(B)を用いて、膜厚400〜1100nmのフッ素ドープ酸化スズ膜を成膜した。第2成膜部5において、原料溶液(B)の噴霧量は15ml/分であり、その噴霧時間を調整することによって、上記範囲の膜厚の透明導電膜を成膜した。
また、比較例1として、アルカリバリア膜を成膜しなかった以外は実施例3と同様の方法により、膜厚400〜1100nmのフッ素ドープ酸化スズ膜を成膜した。
(シート抵抗値、透過率およびヘイズ率の測定)
実施例3および比較例1で成膜された各膜厚の太陽電池用薄膜が成膜された各ガラス基板について、低抵抗率計(製品名:ロレスターGP(三菱化学アナリテック株式会社製))を用いてシート抵抗値(Ω/□)を測定し、分光ヘイズメーター(製品名:TC−1800H(有限会社東京電色製))を用いてヘイズ率(%)および透過率(%)を測定した。図13にシート抵抗値と透明導電膜の膜厚の関係を、図14に透過率と透明導電膜の膜厚の関係を、図15にヘイズ率と透明導電膜の膜厚の関係を示す。なお、図13〜15において、実線は実施例3の結果を示し、点線は比較例1の結果を示す。また、グラフ中太鎖線で囲まれた領域は、太陽電池用薄膜に求められる仕様範囲を示している。
図13〜15を参照し、実施例3における、アルカリバリア膜および透明導電膜からなる太陽電池用薄膜は、比較例3における透明導電膜からなる太陽電池用薄膜と比較して、シート抵抗値が低く、透過率が高く、さらに、ヘイズ率が低いことが分かった。これは、原料溶液(A)の均一なミスト化が可能となることにより、均質な酸化アルミニウム膜が成膜され、その上に、均質な透明導電膜が形成されたためと考えられる。また、各図において太鎖線で示される太陽電池用薄膜に求められる膜性能の仕様範囲を考慮し、透明導電膜の膜厚は700nm以上1100nm以下が好ましいことが分かった。
<実施例4および5>
酸化アルミニウムからなるアルカリバリア膜上にフッ素ドープ酸化スズからなる透明導電膜を作製し、その表面特性を確認した。具体的な処理内容を以下に説明する。
(成膜処理)
実施例4として、実施例1と同様の装置、同様のガラス基板および同様の原料溶液(A)を用いて、膜厚70nmの酸化アルミニウム膜をガラス基板上に成膜した後、実施例2と同様の原料溶液(B)を用いて、透明導電膜として膜厚850nmのフッ素ドープ酸化スズ膜を成膜した。第2成膜部5において、原料溶液(B)の噴霧量は15ml/分であり、その噴霧時間は50秒間とした。
実施例5として、原料溶液(B)においてHClを含有しなかった以外は、実施例4と同様の方法により、酸化アルミニウム膜およびフッ素ドープ酸化スズ膜を成膜した。
(電子顕微鏡観察)
実施例4および5において作製された太陽電池用薄膜について、電子顕微鏡を用いて薄膜の表面状態を観察した。実施例4の観察結果を図16に、実施例5の観察結果を図17に示す。
図16を参照し、実施例4の太陽電池用薄膜において、膜の表面は清浄化されており、パーティクルは検出されなかった。これに対し、図17を参照し、実施例5の太陽電池用薄膜において、膜の表面には多数のパーティクルが付着していることがわかった。これは、原料溶液(B)にHClを含有させなかったことにより、SnCl4・5H2Oの溶解度が低下したためと推測される。また、実施例5において、膜の抵抗値が実施例4よりもわずかに上昇していた。しかし、実施例4の太陽電池用薄膜と同様、実施例5の太陽電池用薄膜も、太陽電池用薄膜として必要な特性を十分に備えており、太陽電池用薄膜の仕様に十分耐え得るものであった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の太陽電池用薄膜の製造方法は、ミスト法を用いた太陽電池用薄膜の製造に好適に利用することができる。
1 筐体、1a 搬入口、1b 搬出口、2 搬送部、2a,2b 搬送ローラ、3 加熱部、4 第1成膜部、5 第2成膜部、11 噴霧箱、12 噴霧器、12a 先端、13 配管、14 溶液、 15 浴槽、16 ミスト、17 冷却器、18 ガス導入部、19 ガス排出部、30 先端、31 切れ込み。

Claims (5)

  1. 第1の温度で加熱されるガラス基板の表面上にアルカリバリア膜を形成する工程と、
    第2の温度で加熱される前記ガラス基板の表面上の前記アルカリバリア膜上に透明導電膜を形成する工程と、を備え、
    前記アルカリバリア膜を形成する工程において、前記ガラス基板の表面に向けて冷却された前記原料溶液(A)を噴霧し、
    前記アルカリバリア膜は酸化アルミニウムからなり、
    前記原料溶液(A)において、主溶媒は水であり、アルミニウムトリアセチルアセトナートを含有する、太陽電池用薄膜の成膜方法。
  2. 前記アルカリバリア膜を形成する工程において、前記原料溶液(A)の沸点以下の温度に前記原料溶液(A)を冷却する、請求項1に記載の太陽電池用薄膜の製造方法。
  3. 前記アルカリバリア膜を形成する工程において、膜厚が40nm以上の前記アルカリバリア膜を形成する、請求項1または2に記載の太陽電池用薄膜の成膜方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の成膜方法によって成膜された太陽電池用薄膜であって、
    ガラス基板上に、
    原料溶液(A)の噴霧により形成されたアルカリバリア膜と、
    原料溶液(B)の噴霧により形成された透明導電膜と、がこの順に形成されており、
    前記アルカリバリア膜が酸化アルミニウムからなる、太陽電池用薄膜。
  5. ガラス基板を加熱する加熱部と、
    前記ガラス基板の表面上にアルカリバリア膜を形成する第1成膜部と、
    前記アルカリバリア膜上に透明導電膜を形成する第2成膜部と、を備え、
    前記第1成膜部は、前記アルカリバリア膜の原料溶液(A)を冷却する冷却部と、前記冷却された前記原料溶液(A)を前記ガラス基板に向けて噴霧するための噴霧部と、を有する、太陽電池用薄膜の成膜装置。
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