JP2013028797A - エチレン重合体製焼結フィルタ - Google Patents

エチレン重合体製焼結フィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】
成形ムラや欠陥がなく、超微細で均質なフィルタ孔径を有するエチレン重合体製焼結フィルタを提供すること。
【解決手段】
特定の形状・物性を有するエチレン重合体と、特定の形状を有する帯電防止剤を含むエチレン重合体組成物を焼結フィルタの材料として用いることにより、焼結成形金型に充填する際のエチレン重合体粒子の流動性を向上させ、超微細な孔径で孔径分布が狭く、かつ、成形ムラや欠陥のない焼結フィルタを得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明はエチレン重合体を含んでなる焼結フィルタ、詳しくは気体又は液体から微細な塵粒子を分離ないし濾過する、エチレン重合体を焼結したフィルタに関する。
従来、気体又は液体等から微細な粒子を分離する各種フィルタとして、オレフィン重合体粒子の焼結成形体が知られている。近年、フィルタへの要求性能の高度化にともない、フィルタの孔径を微小かつ高精度に制御する必要性がますます強くなっている。
このようなフィルタとしては、例えば、特許文献1には、ガス状または液状の媒体から塵粒子を分離するフィルタであって、樹脂粒子がぶどう房形状の超高分子量エチレン系ポリオレフィン樹脂を焼結成形して得られた透過性の多孔質基体の表面側の気孔に、上記多孔質基体を構成するポリオレフィン樹脂よりも微粒子状の充填材を被着してなるプラスチック製焼結フィルタが開示されている。
しかし、当該文献において提案されている焼結成形して得られた透過性の多孔質基体は、ぶどうの房形状の粒子を焼結成形するために、フィルタの孔径が不均一であり、当該焼結成形して得られた透過性の多孔質基体単味では、精密濾過に適さないという問題点がある。
また、特許文献2には、平均粒径20μm以下で粒子径が0〜40μmの範囲にある粒子が90質量%以上である超高分子量ポリオレフィン微粒子と、それを焼結成形してなる焼結フィルタが開示されている。
しかし、当該文献に記載された超高分子量ポリオレフィン微粒子は、超微粒の形状ゆえ、粒子帯電の影響により粉体としての流動性が非常に悪く、焼結フィルタ製造用の金型に充填する際に、欠陥の発生が避けられないと推測される。この状態で焼結成形してなるフィルタは、必然的に内部に欠陥を有することになり、フィルタとしての性能上、大きな問題を有するであろうと考えられる。
特開平8−150663号公報 国際公開2009/011231号パンフレット
上記背景技術に鑑み、本発明で解決しようとする課題は、エチレン重合体の帯電に起因する成形ムラや欠陥がなく、超微細で均質なフィルタ孔径を有する焼結フィルタを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、特定の形状・物性を有するエチレン重合体と、特定の状態である帯電防止剤を含むエチレン重合体組成物を焼結して得られる焼結フィルタが上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[3]に関する。
[1](A)下記(i)〜(iii)の要件を満たすエチレン重合体と、
(B)平均粒子径0.2μm以下の帯電防止剤と、
を含むエチレン重合体組成物を焼結してなり、1mm×1mmの断面区画内に、100μm以上の孔ないし隙間の個数が1個以内である焼結フィルタ。
(i)平均粒子径が3μm以上、20μm以下
(ii)アスペクト比が1.0以上、1.2以下
(iii)極限粘度[η]が5dl/g以上、50dl/g以下
[2]前記エチレン重合体がさらに下記要件(iv),(v)を満たす[1]に記載の焼結フィルタ。
(iv)目開き37μmメッシュ篩を95重量%以上が通過
(v)平均粒子径1μm以下の粒子の割合が5重量%以下
[3]前記エチレン重合体組成物が、前記エチレン重合体100重量部に、0.01〜20重量部の前記帯電防止剤が存在する[1]または[2]に記載の焼結フィルタ。
[4]前記エチレン重合体組成物が、液状状態の前記帯電防止剤中に、前記エチレン重合体を含浸させることにより得られる[1]〜[3]のいずれかに記載の焼結フィルタ。
本発明によれば、特定の形状・物性を有するエチレン重合体と、特定の状態である帯電防止剤を含むエチレン重合体組成物は、焼結フィルタ製造用の金型に充填する際の粉体の流動性を向上させ、超微細な孔径で孔径分布が狭く、かつ、成形ムラや欠陥のない焼結フィルタを得ることができる。
以下、本発明にかかる焼結フィルタを構成する各成分、およびそれらから得られる焼結フィルタについて具体的に説明する。
〔(A)エチレン重合体〕
本発明では、共重合のことを重合と言うことがあり、共重合体のことを重合体ということがある。また、極限粘度[η]が5dl/g以上のエチレン重合体を、超高分子量エチレン重合体ということがある。
本発明の構成成分であるエチレン重合体は、下記要件(i)〜(iii)を満たすことを特徴とする。また、当該エチレン重合体は、さらに下記要件(iv)および(v)も同時に満たすことが好ましい。
(i)平均粒子径が3μm以上、20μm以下
(ii)アスペクト比が1.0以上、1.2以下
(iii)極限粘度[η]が5dl/g以上、50dl/g以下
(iv)目開き37μmメッシュ篩を95重量%以上が通過
(v)平均粒子径1μm以下の粒子の割合が5重量%以下
以下、各要件について詳説する。
<(i)平均粒子径>
平均粒子径は、コールターカウンター法によって測定されたメジアン径(D50)を示す。平均粒子径の範囲は3μm〜20μmである。好ましい平均粒子径の下限値は3μm、好ましくは4μm、より好ましくは5μmである。一方、好ましい上限値は20μm、好ましくは15μm、より好ましくは10μmである。
エチレン重合体の平均粒子径が上記の範囲にあると、エチレン重合体同士の接触時の隙間が狭くなり、当該エチレン重合体を用いた焼結フィルタは、微細な孔径を形成することができるようになる。
<(ii)アスペクト比>
アスペクト比は、エチレン重合体粒子の画像解析によって測定される。アスペクト比は、粒子を投影した図形を長方形で囲んだ時の最小長方形(外接長方形)の長さと幅の比で表され、1に近づくほど粒子投影図形が真円に近いということになり、当該粒子自体が真球に近いことを示すものである。アスペクト比の範囲は1.0以上、1.2以下である。
アスペクト比は、上記したアスペクト比の定義から明らかなように、下限値は1.0であり、また当該数値が最も好ましい場合を示すことから、下限値を設定することに意味はないが、仮に設定するとすれば、1.1、好ましくは1.05、より好ましくは1.0である。一方、好ましい上限値は1.2、好ましくは1.15、より好ましくは1.1である。
エチレン重合体のアスペクト比が上記の範囲にあると、エチレン重合体同士が細密充填することができるようになり、上記平均粒子径の範囲および上記粗大粒子の割合と相まって、当該エチレン重合体を用いた焼結フィルタは、微細な孔径を形成することができるようになる。
<(iii)極限粘度[η]>
極限粘度[η]は、デカリン溶媒中、135℃で測定した値である。極限粘度[η]の範囲は、5dl/g〜50dl/gであり、好ましくは10dl/g〜40dl/g、より好ましくは10dl/g〜30dl/gである。
エチレン重合体の極限粘度[η]が上記範囲にあるエチレン重合体を用いた焼結フィルタは、耐衝撃性、耐摩耗性および強度に優れている。
<(iv)目開き37μmメッシュ篩を通過する粒子の割合>
目開き37μmメッシュ篩を通過する粒子の割合は、エチレン重合体を目開き37μmメッシュの振動篩または超音波式振動篩に通して、当該篩を通過した粒子の重量から算出した数値であり、95重量%以上であることが好ましい。当該割合は、98重量%以上であることがより好ましく、99.7重量%以上であることがさらに好ましく、最も好ましくは100%通過するものである。すなわち、目開き37μmメッシュ篩を通過する粒子の割合が95重量%より多いエチレン重合体とは、粗大粒子の存在量が少ないことを意味する。このようなエチレン重合体を焼結フィルタ製造に用いることで、成形物の均一性を保ち、焼結フィルタの孔径が揃ったものが得られる。
一方、目開き37μmメッシュ篩を通過する粒子の割合が、上記範囲より少ない場合には、エチレン重合体の粒子における粗大粒子の割合が大きいことを示し、このようなエチレン重合体を用いて焼結フィルタを製造した場合には、成形物の均一性を阻害する可能性があり、焼結フィルタの孔径にばらつきが生じたり、構造欠陥が生じさせる可能性があるため好ましくない。
なお、目開き37μmメッシュ篩を通過する粒子の割合を上記の範囲にするに当たっては、エチレン重合体の製造段階(重合段階)においてその反応条件や使用する重合触媒の種類等を調整することによって得ることが可能であり、また、上記のとおり、目開き37μmメッシュ篩を通過した粒子のみを使用することも可能である。
<(v)平均粒子径1μm以下の粒子の割合>
平均粒子径1μm以下の粒子の割合は、上記コールターカウンター法によって測定した粒度分布解析の結果から算出される値である。当該割合は、エチレン重合体全体の5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下ある。一方、当該割合の下限については、このような粒子が存在しないことが最も好ましいため、特に規定を要しない。
平均粒子径が1μm以下の微小粒子は、焼結フィルタ製造の際に、上記(i)〜(iii)の要件を満たすエチレン重合体の粒子同士が焼結して形成された粒子間の孔に容易に入り込むことができる。このため、焼結フィルタの孔を詰まらせることになり、フィルタの濾過性能を低下させてしまうことになるため好ましくない。
なお、平均粒子径1μm以下の粒子の割合を上記の範囲にするに当たっては、エチレン重合体の製造段階(重合段階)においてその反応条件や使用する重合触媒の種類等を調整することによって得ることが可能であり、また、目開き1μmメッシュ篩を通して、篩上に残った粒子のみを使用することも可能である。
本発明の構成成分であるエチレン重合体は、エチレンの単独重合体、エチレンと少量の炭素原子数が3以上のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等とを共重合体してエチレンを主体とした結晶性の共重合体からなるが、耐衝撃性、耐摩耗性、強度の観点からは、エチレンの単独重合体であることが好ましい。エチレンの単独重合体であっても使用するオレフィン重合用触媒によっては分岐構造を有するエチレン重合体が得られることがあるが、本発明のエチレン重合体粒子はこのような分岐が無いことが好ましい。
本発明の構成成分であるエチレン重合体粒子は、公知のオレフィン重合用触媒を用いて、エチレンを単独重合またはエチレンと他の炭素原子数が3以上のα−オレフィンとを共重合させることにより製造される。例えば、前記背景技術で説明した特許文献2に記載された製造方法や、国際公開2006/054696号パンフレットに記載された製造方法により製造することができる。
上記のようなエチレン重合体は、必要に応じて公知の各種安定剤と組み合わせて用いても良い。この様な安定剤としては、例えば、テトラキス〔メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート〕メタン、ジステアリルチオジプロピオネート等の耐熱安定剤、あるいはビス(2,2’,6,6’−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、2−(2−ヒドロキシ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾル等の耐候安定剤などが挙げられる。また着色剤として無機系、有機系のドライカラーを添加してもよい。また、滑剤や塩化水素吸収剤等として公知のステアリン酸カルシウムなどのステアリン酸塩も好適な安定剤として挙げることが出来る。
〔(B)平均粒子径0.2μm以下の帯電防止剤〕
本発明の構成成分である帯電防止剤とは、粒子の走査型電子顕微鏡写真の画像解析によって測定された平均粒子径が0.2μm以下のものを指す。
本発明で用いられる帯電防止剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤や金属石鹸などの有機系の帯電防止剤;アルミナ、シリカ、活性炭、カーボンブラック、金属粉などの無機系の帯電防止剤が挙げられる。
有機系の帯電防止剤の具体例として、カチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、リン酸エステル系界面活性剤や、ラウリルジメチルアミンオキサイドが挙げられる。
金属石鹸の種類は、特に限定されないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、12ヒドロキシステアリン酸亜鉛、ステアリルリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、リシノール酸バリウム、リシノール酸亜鉛など、炭素数が12ないし30までのカルボン酸の金属塩等が挙げられる。
上述の有機系の帯電防止剤は、固体状であって平均粒子径が0.2μm以下のもののほか、液状状態のものも含む。ここで、液状状態とは、その物自体が使用する環境において液状状態であるものや、溶媒に溶解した状態のものを指す。ここで、上記の帯電防止剤を溶解するのに使用できる溶媒は、当該帯電防止剤の溶解性が良好なものであれば、特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの脂肪族系炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン系溶媒;エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;フェノール、クレゾールなどのフェノール系溶媒;アセトン、ブタノンなどのケトン系溶媒;および水などをあげることができる。また、これらのうちの2種類以上の溶媒を混合して用いても良い。
ここで、帯電防止剤を溶媒に溶解する場合、得られる帯電防止剤溶液の濃度の上限は、100mmol/L、好ましくは1mmol/L、より好ましくは0.1mmol/Lである。また、当該濃度の下限は、0.01mmol/L、好ましくは0.015mmol/L、より好ましくは0.02mmol/Lである。
当該帯電防止剤溶液の濃度が上記範囲よりも濃い場合には、後述するエチレン重合体組成物の製造において、前記エチレン重合体と帯電防止剤を接触させた後に溶媒を除去する際に、帯電防止剤の析出が早急に進んでしまい、エチレン重合体上に発生する帯電防止剤の粒径が粗大化すると考えられ、これにより、当該エチレン重合体組成物を用いて焼結フィルタを製造する際、欠陥の原因となると想定されるため、好ましくない。
また、当該帯電防止剤溶液の濃度が上記範囲よりも薄い場合には、溶液中に存在する帯電防止剤の製造において、前記エチレン重合体上に析出する帯電防止剤の量が少なくなってしまうため、エチレン重合体の粒子の帯電を抑える効果に乏しくなってしまうため、好ましくない。さらに、濃度を薄くすることに伴い、溶液の使用量を増やす場合には、使用する溶媒量が増えるため、製造コストが高くなるため好ましくない。
なお、当該有機系の帯電防止剤のうち、液状状態のものについては、そもそも平均粒子径という考え方は該当しないと想定されるが、この場合、当該状態における平均粒子径とは、帯電防止剤分子の分子サイズに相当すると捉えて定義することとする。
無機系の帯電防止剤としては、上述のとおり、アルミナ、シリカ、活性炭、カーボンブラック、金属粉などが挙げられる。これら無機系の帯電防止剤を本発明の構成成分として用いるに当たっては、平均粒子径が0.2μm以下であることを要する。その理由としては、平均粒子径が0.2μmより大きくなってしまうと、当該帯電防止剤を前記エチレン重合体に均質に塗布することができなくなるため、所望の帯電防止効果が得られなくなることや、当該帯電防止剤が存在すると得られる焼結フィルタの欠陥発生の原因となり得ることがあるためと考えている。
上記無機系の帯電防止剤の平均粒子径を0.2μm以下とする方法としては、特に制限はなく、粒子の粉砕に係る公知の方法を用いることができる。
なお、上述した帯電防止剤は、単独またはこれらのうちから2種類以上を併用しても良い。
上述した帯電防止剤のうち、前記エチレン重合体の帯電を抑え、本発明の効果、すなわち、焼結フィルタ製造用の金型に充填する際の粉体の流動性を向上させ、超微細な孔径で孔径分布が狭く、かつ、成形ムラや欠陥のない焼結フィルタを得るとの観点からすると、金属石鹸タイプの帯電防止剤が好ましく、ステアリン酸カルシウムがより好ましく用いられる。また、当該帯電防止剤は液状状態の態様で用いられることが好ましく、溶媒に溶解した状態のものが、効果の持続性の観点からより好ましく用いられる。
〔エチレン重合体組成物〕
本発明に係る焼結フィルタの材料として用いられるエチレン重合体組成物は、上述の(A)エチレン重合体と(B)粒子径0.2μm以下の帯電防止剤を必須の構成要素として含むものである。
当該エチレン重合体組成物に含まれる前記帯電防止剤は、前記エチレン重合体100重量部に対して、0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部である。
前記帯電防止剤の含有量が上記範囲より多くなると、当該帯電防止剤の粒子が前記エチレン重合体上で凝集してしまい、焼結フィルタを製造する際にフィルタの欠陥が生じる原因となるため、好ましくない。また、上記範囲より少ないと、エチレン重合体の粒子の帯電を抑える効果に乏しくなってしまうため、そのようなエチレン重合体組成物を用いると、流動性の悪化から金型内においてエチレン重合体組成物の充填性が悪くなり、得られる焼結フィルタは成形ムラや欠陥が生じやすく、また、孔径も広くなってしまうため、好ましくない。
当該エチレン重合体組成物に含まれる前記帯電防止剤は、前記エチレン重合体上に存在し、当該帯電防止剤の粒径は0.01μm以上、0.2μm以下である。好ましい粒径の下限値は0.01μm、好ましくは0.015μm、より好ましくは0.02μmである。一方、好ましい上限値は0.2μm、好ましくは0.15μm、より好ましくは0.1μmである。なお、前述のエチレン重合体上とは、該エチレン重合体の粒子の表面上及び内部の双方の意味を包含する概念である。
なお、上記エチレン重合体上に存在する帯電防止剤の粒径は、当該帯電防止剤が無機系のものである場合や有機系のものであって固体状で使用する場合には、当該帯電防止剤の粒径とほぼ同等になることが想定される。また、当該帯電防止剤が有機系のものであって溶媒に溶解した状態のものの場合には、当該帯電防止剤がエチレン重合体上で析出して固体状になったものの粒径に相当する。
前記帯電防止剤の粒径は、上述の帯電防止剤の含有量とも密接な関係を有すると考えられる。当該帯電防止剤の粒径が上記範囲より大きくなると、焼結フィルタを製造する際の欠陥の原因となるため、好ましくない。また、上記範囲より小さいと、エチレン重合体の粒子の帯電を抑える効果に乏しくなってしまうため、好ましくない。
当該エチレン重合体組成物は、(A)エチレン重合体と(B)粒子径0.2μm以下の帯電防止剤を含んでなるものである。これら2つの成分の接触方法については、特に制限はなく、常法によって行うことができる。例えば、当該帯電防止剤が無機系のものである場合や有機系のものであって固体状で使用する場合には、前記エチレン重合体に直接撒く方法や、混合したのちに混練する方法などがある。また、当該帯電防止剤が有機系のものであって液状状態であるものの場合には、当該帯電防止剤の液体・溶液中に前記エチレン重合体を含浸させる方法などがある。本発明においては、エチレン重合体と帯電防止剤の接触が均質に起こり得るとの観点から、前記含浸させる方法がより好ましく用いられる。
なお、当該帯電防止剤として、溶媒に溶解した状態のものを使用する場合、エチレン重合体と帯電防止剤の接触後、溶媒を除去する方法についても特に制限はなく、常法によって行うことができる。例えば、濾過による方法、あるいは、常温ないし当該溶媒の沸点付近の温度にて、当該溶媒を蒸発させる方法があげられる。当該溶媒を蒸発させる場合、常圧で行っても良いし、減圧下で行っても良い。
〔焼結フィルタ〕
本発明に係る焼結フィルタは、上述のエチレン重合体組成物を焼結して得られる物であって、分子量が極めて高く、真球度が高く、さらに粒径が揃っていることから、孔径、いわゆるポアサイズが小さく、かつ均一な孔径を有する、すなわち孔径分布が狭い多孔体である焼結フィルタを得ることができ、該焼結フィルタは、工業用水の濾過用フィルタ、飲料水、ジュース、ワイン、酒類などの濾過用として好ましく利用することができる。
本発明において得られる焼結フィルタの平均孔径は使用するエチレン重合体粒子の平均粒径によって異なり、その用途に応じて使い分けることができるが、孔径は均一であることが好ましい。本発明の構成成分であるエチレン重合体の平均粒子径(3μm以上、20μm以下)から得られると想定されるフィルタの孔径は、0.6μm以上、4μm以下程度である。
また、本発明に係る焼結フィルタは、その構造欠陥の少なさを示す指標として、1mm×1mmの断面区画内に、100μm以上の孔ないし隙間の個数が1個以内であることを特徴とする。
なお、焼結フィルタの孔径および100μm以上の孔ないし隙間の個数の観察は、走査型電子顕微鏡などを用いて行うことができる。
本発明に係る焼結フィルタは、所定の大きさの金型に上述のエチレン重合体組成物を振動充填し、140〜230℃の温度範囲で、1〜60分間加熱して焼結成形を行うことにより得られる。上記温度範囲および加熱時間は、使用するエチレン重合体組成物に含まれるエチレン重合体の極限粘度[η]や平均粒子径によって適宜調整される。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下、各種物性の測定法を示す。
(平均粒子径(メジアン径(D50))、平均粒子径1μm以下の粒子の割合の測定)
平均粒子径(メジアン径(D50))および平均粒子径1μm以下の粒子の割合は、ベックマン社製、コールターカウンター マルチサイザーIIによって測定した。
(目開き37μmメッシュ篩を通過する粒子の割合)
目開き37μmメッシュ篩を通過する粒子の割合は、目開き37μmメッシュ篩(Tyler #400)を用いて、通過した粒子の重量を求めることにより測定した。
(アスペクト比の測定)
アスペクト比は株式会社セイシン企業製、粒度・形状分布測定器PITA−2を用い、画像解析によって測定した。
(極限粘度[η]の測定)
極限粘度[η]は、エチレン重合体をデカリンに溶解させ、温度135℃のデカリン中で測定した。
(焼結フィルタの成形)
本発明の焼結フィルタは、金型(寸法:厚さ2mm、幅100mm、高さ100mm)に振動充填し、140℃の温度で、60分間加熱して焼結成形を行い、焼結フィルタを得た。
[実施例1]
極限粘度[η]14dl/g、平均粒子径10μm、目開き37μmメッシュ篩を通過する粒子の割合95重量%、平均粒子径1μm以下の粒子の割合0.5重量%、アスペクト比1.1のエチレン重合体100重量部を、ステアリン酸カルシウム(粒径30μm)1重量部をトルエンに溶解させた溶液(6.6mmol/L)に装入し、常温・減圧下でトルエンを蒸発させ、エチレン重合体組成物を得た。
当該エチレン重合体組成物を前記方法により焼結し得られた焼結フィルタの1mm×1mmサイズの断面を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、型番:JSM−6510LV)で観察したところ、100μm以上の孔子ないし隙間は観察されなかった。
[比較例1]
実施例1で使用したエチレン重合体のみ(ステアリン酸カルシウムをトルエンに溶解させた溶液と接触させない)を、実施例1と同一の条件で焼結成形を行い、焼結フィルタを得た。得られた焼結フィルタの1mm×1mmサイズの断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、100μm以上の孔子ないし隙間が3個観察された。
[比較例2]
ステアリン酸カルシウム(粒径30μm)1重量部を、トルエンに溶解させることなく、エチレン重合体100重量部にブレンドした以外は、実施例1と同一の条件で焼結成形を行い、焼結フィルタを得た。得られた焼結フィルタの1mm×1mmサイズの断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、100μm以上の孔子ないし隙間が2個観察された。
本発明の焼結フィルタは、孔径、いわゆるポアサイズが小さく、かつ均一な孔径を有する、すなわち孔径分布が狭い多孔体である焼結フィルタであることから、工業用水の濾過用フィルタ、飲料水、ジュース、ワイン、酒類などの濾過用として好ましく利用することができる。

Claims (4)

  1. (A)下記(i)〜(iii)の要件を満たすエチレン重合体と、
    (B)平均粒子径0.2μm以下の帯電防止剤と、
    を含むエチレン重合体組成物を焼結してなり、1mm×1mmの断面区画内に、100μm以上の孔ないし隙間の個数が1個以内である焼結フィルタ。
    (i)平均粒子径が3μm以上、20μm以下
    (ii)アスペクト比が1.0以上、1.2以下
    (iii)極限粘度[η]が5dl/g以上、50dl/g以下
  2. 前記エチレン重合体がさらに下記要件(iv),(v)を満たす請求項1に記載の焼結フィルタ。
    (iv)目開き37μmメッシュ篩を少なくとも95重量%以上が通過
    (v)平均粒子径1μm以下の粒子の割合が5重量%以下
  3. 前記エチレン重合体組成物が、前記エチレン重合体100重量部に、0.01〜20重量部の前記帯電防止剤が存在する請求項1または2に記載の焼結フィルタ。
  4. 前記エチレン重合体組成物が、液状状態の前記帯電防止剤中に、前記エチレン重合体を含浸させることにより得られる請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼結フィルタ。
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