JP2013027056A - 超電導ケーブルの立ち上げ方法及び立ち上げ装置 - Google Patents

超電導ケーブルの立ち上げ方法及び立ち上げ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高所に超電導ケーブルの接続箱を速やかに設置できる超電導ケーブルの立ち上げ方法を提供する。
【解決手段】本発明の超電導ケーブルの立ち上げ方法は、以下の工程を備える。接続箱形成工程:地上などの低所において、超電導ケーブル1の端部に接続箱(中間接続箱3a)を形成する。ケーブル立ち上げ工程:接続箱3aを円弧状のガイド部材(ガイドレール130)に沿って移動させることで、超電導ケーブル1に許容範囲内の曲げを与えて同ケーブル1の端部側を立ち上げる。接続箱設置工程:立ち上げられた超電導ケーブル1につながる接続箱3aを引き上げて高所に設置する。
【選択図】図4

Description

本発明は、超電導ケーブルの端部に形成した接続箱を低所から高所に引き上げる際に利用する超電導ケーブルの立ち上げ方法と立ち上げ装置に関する。
超電導ケーブルは、既存の常電導ケーブル(例、OFやCVケーブル)と比較して、大容量の電力を低損失で送電できることから、省エネルギー技術として期待されている。最近では、超電導ケーブルを布設し、実際の送電線に利用する実証試験が行われつつある。
超電導ケーブルは、超電導導体を有するケーブルコアを断熱管(二重コルゲート管)内に収納し、この断熱管内に冷媒(例、液体窒素(LN2))を流通させることで、超電導導体を超電導状態まで冷却する構造のものが代表的である。
また、超電導ケーブルは、製造上、輸送上、布設上などの理由によりケーブルの単位長が制限される。そのため、ケーブルの単位長を超える長距離に亘る超電導ケーブルを布設する場合は、送電線の途中に超電導ケーブル同士を接続する中間接続箱が必要となる(例えば、特許文献1参照)。通常、この中間接続箱は、次のようにして施工される。送電線の経路設計に従って超電導ケーブルを布設した後、接続する互いの超電導ケーブルの断熱管端部からケーブルコア端部を引き出す。次に、引き出した両ケーブルコアの端部同士を突き合わせて超電導導体同士を接続し、この接続箇所の外側に補強絶縁層を設け、中間接続箱を形成する。そして、中間接続箱、及びケーブルコアの端部を収納する冷媒容器、冷媒容器を覆う断熱容器を順次取り付け、中間接続箱を組み立てる。
その他、超電導ケーブルから常電導機器に移行する箇所などでは、終端接続箱が用いられる(例えば特許文献2参照)。この接続箱は、冷媒槽の外側に断熱槽を備え、水平方向から超電導ケーブルにつながる導体を冷媒槽内に引き込み、この導体を冷媒内で垂直方向に伸びる電流リードに接続して、その電流リードを冷媒槽外に引き出す構成である。
特開2005-251570号公報 特開2010-40705号公報
従来の各接続箱の設置は、ケーブルの布設経路に高低差があまりないことを前提に考えられている。但し、今後は配電用変電所以降の低電圧(6.6kV以下)を送電するような大規模ビルや工場などの産業用途の配電にも超電導ケーブルを利用することが考えられる。その場合、ビルなどの高所の上に超電導ケーブルの接続箱を設置することが予想される。
しかし、超電導ケーブルの接続箱は、冷媒槽と真空槽を備えるため、常電導ケーブルの接続箱を形成する場合に比べて広い作業スペースを必要とする。そのため、高所などのスペースが限られた場所では、その場で接続箱を形成することができるとは限らない。
一方、予め地上で形成された接続箱を高所に移動させるにしても、超電導ケーブルに過度の曲げが生じたり、接続箱の移動時に、当該接続箱やそれにつながる超電導ケーブルが周囲の建造物に接触したりしないよう、細心の注意が求められる。そのため、高所に超電導ケーブルの接続箱を速やかに設置する具体的な技術の提案が望まれている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、高所に超電導ケーブルの接続箱を速やかに設置できる超電導ケーブルの立ち上げ方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、本発明の立ち上げ方法に利用できる超電導ケーブルの立ち上げ装置を提供することにある。
本発明の超電導ケーブルの立ち上げ方法は、以下の工程を備える。
接続箱形成工程:地上などの低所において、超電導ケーブルの端部に接続箱を形成する。
ケーブル立ち上げ工程:前記接続箱を円弧状のガイド部材に沿って移動させることで、前記超電導ケーブルに許容範囲内の曲げを与えて同ケーブルの端部側を立ち上げる。
接続箱設置工程:立ち上げられた超電導ケーブルにつながる接続箱を引き上げて高所に設置する。
この方法によれば、地上などの低所にて接続箱を形成することで、建造物の上などの高所において、接続箱を形成するスペースを確保し難い場合でも、超電導ケーブルの端部に接続箱を容易に形成できる。また、ガイド部材に沿って接続箱を移動させることで、超電導ケーブルに過度の曲げが加わらないようにすることができる。そのため、高所に接続箱を設置するまでの作業を速やかに行うことができる。
本発明超電導ケーブルの立ち上げ方法の一形態として、前記超電導ケーブルの端部側を立ち上げる工程において、前記接続箱の移動に伴って、前記ガイド部材の途中の所定位置でガイドレールに対して接続箱を保持することが挙げられる。
この方法によれば、接続箱をガイドレールに沿って移動させる途中で、接続箱をガイドレールに保持するため、移動させた接続箱が移動前の方向に誤って戻ることを抑制できる。それにより、超電導ケーブルの立ち上げ作業の安全性を高めることができる。
本発明超電導ケーブルの立ち上げ方法の一形態として、前記接続箱を高所に引き上げる過程は、接続箱から低所に至る超電導ケーブルの周囲を振れ止め部材で囲み、同ケーブルの振れを抑止しながら行うことが挙げられる。
この方法によれば、接続箱を高所に引き上げる際、超電導ケーブルの周囲を振れ止め部材で囲むことで、同ケーブルの振れを規制し、当該ケーブルが周囲の建造物などに接触することを抑制できる。
本発明超電導ケーブルの立ち上げ方法の一形態として、前記ガイド部材により前記接続箱を移動させる範囲が90°であることが挙げられる。
この方法によれば、例えば水平方向に伸延された超電導ケーブルの端部を垂直方向に立ち上げることが容易にでき、その端部に形成された接続箱を容易に高所に引き上げることができる。
一方、本発明の超電導ケーブルの立ち上げ装置は、フレームと、揺動台と、ガイド部材とを備える。揺動台は、フレームに対して揺動自在に設けられる部材であって、超電導ケーブルの端部に形成された接続箱が装着される。ガイド部材は、この揺動台の揺動に伴って前記接続箱を円弧状に案内して前記超電導ケーブルの端部を立ち上げる。
この装置によれば、ガイド部材に沿って接続箱を移動させることで、超電導ケーブルに過度の曲げが加わることなく速やかに接続箱を移動することができる。そのため、高所に接続箱を設置するまでの作業を速やかに行うことができる。
本発明超電導ケーブルの立ち上げ装置の一形態として、前記ガイド部材は円弧状のガイドレールで構成され、前記揺動台は、前記ガイドレールに嵌脱される嵌合部を備えることが挙げられる。
この構成によれば、揺動台の嵌合部をガイドレールに嵌合することで、容易かつ確実に揺動台をガイドレール沿いに摺動させることができる。
本発明超電導ケーブルの立ち上げ装置の一形態として、前記揺動台の揺動過程における所定の位置で前記ガイドレールに対して揺動台を保持できる保持部材を備えることが挙げられる。
この構成によれば、保持部材により、接続箱をガイドレールに沿って移動させる途中で、接続箱をガイドレールに保持するため、移動させた接続箱が移動前の方向に誤って戻ることを抑制できる。それにより、超電導ケーブルの立ち上げ作業の安全性を高めることができる。
本発明超電導ケーブルの立ち上げ装置の一形態として、前記揺動台の揺動過程において、超電導ケーブルが低所に押し付けられることがないように、前記ガイド部材の下方に設けられるケーブル防護板を備えることが挙げられる。このケーブル防護板は、前記ガイドレールにほぼ沿った湾曲部を有する。
この構成によれば、ケーブル防護板を設けることで、揺動台を揺動して接続箱をガイドレールに沿って移動させる際、超電導ケーブルを円滑に立ち上げ方向に案内し、接続箱近傍の超電導ケーブルが地上などの低所に衝撃的に押し付けられたり、地上との間で過度に屈曲されたりすることなく、同ケーブルの立ち上げを行うことができる。
本発明超電導ケーブルの立ち上げ装置の一形態として、前記ガイド部材が、立ち上げ後のケーブルの途中を保持するケーブル把持部を構成することが挙げられる。
立ち上げられたケーブルは接続箱と共に高所にまで延設される。この接続箱の高所への設置後において、立ち上げられた超電導ケーブルの途中をガイド部材で保持すれば、ガイド部材は、超電導ケーブルの立ち上げ時のみならず、立ち上げ後も利用することができる。
本発明の超電導ケーブルの立ち上げ方法によれば、超電導ケーブルの接続箱を速やかに高所に設置することができる。
本発明の超電導ケーブルの立ち上げ装置によれば、高所に超電導ケーブルの接続箱を設置するのに際し、同ケーブルに過度の曲げなどが生じることを防止できる。
本発明の立ち上げ方法に用いる超電導ケーブルの構成例を示す概略断面図である。 本発明の立ち上げ方法に用いる中間接続箱を示す概略正面断面図である。 図2のA‐A矢視の概略側面断面図である。 本発明の実施形態に係る立ち上げ装置の使用状態を示し、(A)は正面図、(B)は右側面図である。 本発明の実施形態に係る立ち上げ方法によるケーブル立ち上げ開始段階を示す正面図である。 本発明の実施形態に係る立ち上げ方法の途中における前段階を示す正面図である。 本発明の実施形態に係る立ち上げ方法の途中における後段階を示す正面図である。 本発明の実施形態に係る立ち上げ方法において、ガイドレールによる接続箱の移動完了時を示す正面図である。 本発明の実施形態に係る立ち上げ方法により接続箱を高所に設置した一例の説明図である。 本発明の実施形態に係る立ち上げ方法により接続箱を高所に設置した別の一例の説明図である。
以下、超電導ケーブルの中間接続箱をビルなどの建造物の高所に設置する場合を例として、本発明の実施の形態に係る超電導ケーブルの立ち上げ方法と立ち上げ装置を図に基づいて説明する。本発明の超電導ケーブルの立ち上げ方法は、地上で超電導ケーブルの端部に接続箱を形成する接続箱形成工程、後述する立ち上げ装置を用いて接続箱の形成されたケーブルの端部を立ち上げるケーブル立ち上げ工程、及び高所に接続箱を引き上げて設置する接続箱設置工程を備える。まず、本発明の実施形態に用いる超電導ケーブルの構造を図1に基づいて説明し、次に、本発明の実施形態で形成される超電導ケーブルの中間接続箱の構造を図2、図3に基づいて説明する。その後、本発明の実施形態に係る立ち上げ方法と立ち上げ装置を図4〜図10に基づいて説明する。各図において、同一部材には同一符号を付している。
〔超電導ケーブル〕
図1に示す超電導ケーブル1は、3心のケーブルコア10を撚り合わせて断熱管20内に一括に収納した3心一括型超電導ケーブルである。断熱管20は、内管21と外管22とからなる二重管構造のコルゲート管であり、両管21,22の間に真空断熱層が形成されている。この真空断熱層には、スーパーインシュレーション(商品名)などの断熱材を配置してもよい。また、外管22の外周面には防食層25が形成されている。
一方、ケーブルコア10は、中心から順にフォーマ11、超電導導体12、絶縁層13、シールド層14、保護層15を配置した構造である。超電導導体12及びシールド層14は、Bi2223系超電導テープ線材を巻回することで形成されている。また、絶縁層13は、PPLP(登録商標、Polypropylene Laminated Paper)を巻回することで形成されている。
〔中間接続箱〕
図2、3に示す超電導ケーブルの中間接続箱3aは、上記した超電導ケーブル1と同じ構造の超電導ケーブル1a,1bの各ケーブルコア10a,10bの端部同士を接続する。
ここでは、超電導ケーブル1aと超電導ケーブル1bとが送電路の一部区間を構成し、電力供給側の超電導ケーブル1a(ケーブルコア10a)から需要側の超電導ケーブル1b(ケーブルコア10b)に向かって送電される。本例でのケーブルコア10a,10bは、3.3kV、1000A級の低電圧送電用である。
中間接続箱3aは、冷媒が充填され、接続されるケーブルコア10a,10bの端部が収納される冷媒容器30と、冷媒容器30内に固定され、ケーブルコア10a,10bの端部が接続される接続用導体50とを備える。ここでは、各超電導ケーブル1a,1bの3つのケーブルコア10a,10bの端部のうち、1つのケーブルコアについてのみ図示する。
この例では、各超電導ケーブル1a,1bの断熱管20の端部からそれぞれケーブルコア10a,10bの端部が引き出され、各断熱管20の端部が冷媒容器30に設けられたケーブル導入口31a,31bに連結されることで、各ケーブルコア10a,10bが冷媒容器30に収納されている。また、冷媒容器30は、真空容器40に収納され、冷媒容器30と真空容器40との間に真空断熱層が形成されている。
冷媒容器30に収納された各ケーブルコア10a,10bの端部は、段剥ぎされ、超電導導体12が露出しており、接続用導体50に接続されている。接続用導体50は、銅製の部材であり、柱状の基部51と、この基部51から並列に突出する2つの接続部52とを有する。そして、各ケーブルコア10a,10bの超電導導体12が接続用導体50の接続部52に接続されることで、接続用導体50により、ケーブルコア10a,10bの端部同士が電気的に接続されている。具体的には、各ケーブルコア10a,10bの超電導導体12と接続用導体50の接続部52とがアタッチメント53(例、マルチコンタクト(商品名))を介して接続されている。アタッチメント53は、銅製の円柱状の部材であり、一端側にケーブルコアのフォーマ11を挿入可能な第一挿入穴と、他端側に接続用導体50の接続部52を挿入可能な第二挿入穴とを有する。アタッチメント53の第一挿入穴の内周面には、複数の弾性接触子を備え、これら弾性接触子の弾性により、挿入されたケーブルコア10a(10b)のフォーマ11を把持し、超電導導体12がアタッチメント53に半田接続されている。また、アタッチメント53の第二挿入穴も第一挿入穴と同様の構成であり、挿入された接続用導体50の接続部52を把持している。これにより、アタッチメント53を介して、各ケーブルコア10a,10bの端部が接続用導体50に電気的に接続され、接続用導体50により、各ケーブルコア10a,10bの端部同士が電気的に接続されている。
なお、接続用導体50は、図3に示すように、超電導ケーブル1a,1bのケーブルコア10a,10bと同数存在し、3つの接続用導体50により、各超電導ケーブル1a,1bの対応するケーブルコア10a,10bの端部同士が電気的にそれぞれ接続されている。これら接続用導体50は、絶縁性の保持部材54により間隔をあけて一括に保持され、接続用導体50間の絶縁が確保されており、この保持部材54が冷媒容器30にボルトで固定されることで、冷媒容器30内に固定されている。また、接続用導体50との接続箇所において、超電導ケーブル1a(1b)の各ケーブルコア10a(10b)端部間に隙間が形成されており、冷媒容器30に冷媒が充填されることで、冷媒により、ケーブルコア10a(10b)同士の絶縁を図ることができる。そのため、ケーブルコア10a,10b端部と接続用導体50との接続箇所の外側に補強絶縁層が設けられていない。
また、各ケーブルコア10a,10bの端部が接続用導体50に接続されることで、ケーブルコア10aの送電方向に対してケーブルコア10bの送電方向が変わっている。具体的には、ケーブルコア10aの送電方向(図2の上向き)とケーブルコア10bの進行方向(図2の下向き)とが互いに逆向きになる。
さらに、中間接続箱3aには、冷媒容器30に冷媒を供給するための冷媒導入口32と、冷媒容器30に冷媒が充填されたことを検知するための冷媒排出口33が設けられている。これら冷媒導入口32及び冷媒排出口33はいずれも、冷媒容器30に連通し、冷媒容器30の鉛直上方に開口している。
真空容器40の上面及び正面に、中間接続箱3aを牽引するフックが取り付けられるフック取付部41が設けられている。一方、真空容器40の下面及び背面に、中間接続箱3aを所定位置に固定設置するための脚部42が設けられている。また、冷媒容器30と真空容器40との間の真空断熱層に連通する真空ポート43が設けられており、中間接続箱3aを組み立てた後、真空断熱層を真空引きすることができる。
〔ケーブル立ち上げ装置〕
一方、本発明のケーブル立ち上げ装置は、図4に示すように、フレーム110に対して揺動自在に支持された揺動台120に上記接続箱3aを取り付け、この揺動台120を揺動させることで接続箱3aをガイドレール130(ガイド部材)に沿って移動させる装置である。この装置を用いるには、予め、地面に沿ってほぼ水平に引き出された超電導ケーブル1の端部に接続箱3aを形成しておく。そして、その接続箱3aをガイドレール130沿いに回動させることで同ケーブル1の端部をほぼ垂直に立ち上げ、建造物の上部である高所に接続箱3aを設置する。各部の構成をより詳しく説明する。
(フレーム)
フレーム110は、地上に固定して設置される逆U状の部材で、接続箱3aの軸方向の長さ(図2の左右方向の長さ)よりも広い間隔をあけて配される一対のカラムと、両カラムの間をつなぐビームと有する。このフレーム110は、接続箱3aをガイドレール130に沿って移動させる際に利用し、それ以後は取り外される。
(揺動台)
揺動台120は、フレーム110に対して揺動自在に支持された部材で、接続箱3aが装着される。本例の揺動台120は、フレーム110のビームに回転軸115を介して揺動自在に支持されている。この揺動台120は、ビームに回転軸115を介して連結される回動片122と、回動片122と一体に固定される取付片124を有する。本例の取付片124は接続箱3aの軸方向の両端側に配される一対の棒状片で、接続箱3aの径よりも大きな長さを有する。また、取付片124の先端は、次述するガイドレール130に嵌脱自在の嵌合部を有する。この嵌合部は、接続箱3aの移動時、ガイドレール130に嵌合されて、揺動台120をガイドレール130に沿って円弧状に安定して移動させる。本例では、単に取付片124の先端部の幅をガイドレール130の内幅よりも狭くすることで嵌合部としているが、ガイドレール130に嵌め込まれるローラなどを取付片124の先端部に設けて嵌合部を構成しても良い。
(ガイドレール)
ガイドレール130は揺動台120を案内しながら揺動させることで、接続箱3aを所定の軌道に沿って移動させるための部材で、本例では、上記揺動台120の一対の取付片124の間隔に合わせて配された一対の円弧状のレールで構成される。このガイドレール130の曲げ径は、接続箱3aをガイドレール130沿いに移動させた際、その接続箱3aにつながる超電導ケーブル1に過度の曲げが加わらない程度の大きさとする。また、このガイドレール130の長さは、接続箱3aを組み立てた低所から、その接続箱3aを設置する高所までの角度などに応じて、接続箱3aを所定の中心角の範囲で円弧運動させられる長さとする。本例では、接続箱3aを90°の中心角の範囲で円弧運動させられるよう、中心角が90°強の円弧長を有するガイドレール130としている。
また、ガイドレール130の断面形状は、揺動台120の嵌合部が嵌脱できる構成であれば、特に限定されない。本例では断面形状がU状のガイドレール130としており、その内側に取付片124の嵌合部が嵌め込まれる。逆に、取付片124の嵌合部の断面形状がU状で、その嵌合部の内側に嵌め込まれる多角形状(例えば矩形)の断面形状を有するガイドレールとしても良い。
さらに、このガイドレール130は、架台132で地上に支持される。この架台132は、一対のガイドレール130を所定の間隔に保持して、接続箱3aを安定して移動できるようにガイドレール130を支持できればよい。接続箱3aを高所に設置した後には、架台132は撤去しても構わないが、この架台132の少なくとも一部を残すことで、超電導ケーブル1を所定間隔で把持するクリート136(図9、10)の支持台としても利用できる。
その他、このガイドレール130には、保持部材134が取り付けられる。保持部材134は、接続箱3aの移動に伴って、所定の位置で揺動台120の回動位置を保持するための部材である。本例では、断面がU状のガイドレールの側面に貫通孔を設け、その貫通孔に差し込まれるピンを保持部材134としている。例えば、ガイドレール130沿いに、中心角で5°ごとの間隔で貫通孔を設けておく。接続箱3aの移動に伴って、揺動台120の嵌合部が貫通孔を通過したところで、その貫通孔に保持部材134(ピン)を差し込む。それにより、揺動台120が移動開始時の位置に戻ろうとしても、嵌合部が保持部材134に当接して、その位置で揺動台120が保持されるため、接続箱3aが移動方向と逆方向に突然戻ることを防止できる。
(その他の構成)
《ケーブル防護板》
ガイドレール130の下方には、ケーブル防護板140を配置して揺動台120を揺動させることが好ましい。このケーブル防護板140は、揺動台120を揺動させて接続箱3aを移動させる際、接続箱3aにつながる超電導ケーブル1がガイドレール130の下方で過度に屈曲したり、衝撃的に地上に当たったりすることを抑制するための部材である。本例では、一対のガイドレール130の間隔にほぼ相当する幅のステンレスの湾曲板をガイドレール130の下方に配置してケーブル防護板140としている。その際、ケーブル防護板140の湾曲形状は、地上の水平部からガイドレール130の円弧にほぼ対応した円弧状に同防護板140の一端側が持ち上げられるような形としている。
《支持台車》
接続箱3aは、フレーム110から離れた箇所で形成して、組立後に支持台車200に載せられ、支持台車200ごとガイドレール130の下端側、つまりフレーム110で囲まれる位置まで搬送することが好ましい。この支持台車200は、接続箱3aを支持できる強度を有し、搬送に便利なキャスターを備えているものが好適に利用できる。
《ケーブル台座》
接続箱3aを揺動台120で移動させる際、接続箱3aにつながる超電導ケーブル1の根元側は、適宜な間隔でケーブル台座300に支持することが好ましい。接続箱3aは、支持台車200に支持された状態、或いは揺動台120に装着された状態で、地上から一定の高さに保持される。そのため、その接続箱3aにつながる超電導ケーブル1もケーブル台座300で所定の高さに支持することにより、同ケーブル1が直接地面に摺接したり、接続箱3a近傍で同ケーブル1に過度の屈曲が生じたりしないようにできる。ケーブル台座300は、例えば環状部を有し、その環状部にケーブル1が遊びを持って挿通される構成が好ましい。
〔ケーブル立ち上げ方法〕
上記の超電導ケーブル1と中間接続箱3aは、上述したケーブル立ち上げ装置を用いて、以下の手順でケーブル1の立ち上げを行い、中間接続箱3aを高所に設置する。
(接続箱形成工程)
まず、予め地上で接続箱3aの組み立てを行い、超電導ケーブル1の端部に対して接続箱3aの施工を行う。具体的には、超電導ケーブル1a,1bの断熱管端部からケーブルコア10a,10b端部を引き出し、ケーブルコア10a,10b端部を段剥ぎして超電導導体を露出させる。次いで、超電導導体を露出させた各ケーブルコア10a,10b端部をそれぞれ接続用導体50に接続する。次に、両ケーブルコア10a,10bの端部を接続用導体50に接続した状態で、両ケーブルコア10a,10bの端部を収納するように冷媒容器30を取り付け、接続用導体50を冷媒容器30内に固定する。最後に、この冷媒容器30を収納するように真空容器40を取り付け、接続箱3aを組み立てる(図2、図3)。この接続箱3aを支持台車200の上に載せ、接続箱3aの背面(図3の左側)に設けられた脚部42で接続箱3aを支持台車200に固定する。
(ケーブル立ち上げ工程)
接続箱3aの載せられた支持台車200をガイドレール130の近傍にまで移送する(図4)。その際、超電導ケーブル1の根元側は、所定の間隔で必要に応じてケーブル台座300で支持する。接続箱3aの背面の脚部42と支持台車200との連結を解除し、接続箱3aの下面(図3の下側)の脚部42と揺動台120とを連結して、接続箱3aを揺動台120に固定する。具体的には、揺動台120のボルト取付部126と接続箱3aの下面の脚部42とをボルトで貫通してナットを締め付けることで、接続箱3aを揺動台120の取付片124に固定する。回動前の揺動台120の取付片124は垂直状態である。その際、揺動台120の嵌合部をガイドレール130に嵌め込んでおく。
次に、接続箱3a(真空容器40)の上面と正面に設けられたフック取付部41にクレーンのワイヤRにつながるフックを引っ掛ける(図5)。ワイヤRは先端部が分岐して、各分岐端にフックが設けられている。そのため、各フックを、接続箱3aの上面と正面に設けられたフック取付部41に掛けることで、安定して接続箱3aを引き上げることができる。
続いて、接続箱3aをクレーンで徐々に吊り上げる(図6、図7)。クレーンの牽引により接続箱3aは引き上げられ、それに伴って揺動台120がガイドレール130に沿って回動される。揺動台120の回動が所定角度進むごとに、保持部材134をガイドレール130に装着して、揺動台120(接続箱3a)が初期の位置に戻ることを防止する。この揺動台120の回動時、接続箱3aにつながる超電導ケーブル1には過度の曲げが加わることがない。また、超電導ケーブル1がケーブル防護板140により保持されるため、同ケーブル1が地面に押し付けられたりしない。
揺動台120の取付片124が水平になったら(図8)、保持部材134を用いて揺動台120をその位置に固定し、接続箱3aを揺動台120から取り外す。具体的には、揺動台120のボルト取付部126と接続箱3aの下面の脚部42とを貫通するボルトを取り外す。その後、所定の高所までクレーンで接続箱3aを引き上げる。この引き上げ時、垂直に伸びる超電導ケーブル1を環状などの適宜な振れ止め部材(図示略)で囲むことで、同ケーブル1の振れを抑制できる。振れ止め部材は、建造物などに固定すればよい。
(接続箱設置工程)
所定の高所まで接続箱3aを引き上げたら、その高所に設けられた固定台150に接続箱3aを固定する(図9)。この固定は、接続箱3aの下面の脚部42(図3)と固定台150をボルトで貫通してナットで締め付けることにより行う。接続箱3aの高所への設置が完了したら、フレーム110、揺動台120、及び支持台車200は撤去する。但し、図9の例では、ガイドレール130と架台132をそのまま残し、このガイドレール130に所定間隔でクリート136(ケーブル把持部)を設けて、そのクリート136で超電導ケーブル1を保持する。或いは、図10に示すように、ガイドレールを撤去すると共に、架台132に所定の支持棒を追加し、その支持棒を用いてクリート136を取り付けてケーブル1を保持しても良い。勿論、ガイドレール130と架台132の全てを撤去しても良い。
〔作用効果〕
このような立ち上げ装置を用いた超電導ケーブルの立ち上げ方法を採用することで、次の効果を奏することができる。
(1)中間接続箱3aの施工を十分な作業スペースが確保できる地上で行うことができるので、高所に十分な作業スペースが確保できない場合にも対応でき、作業性の向上、工期の短縮を図ることができる。
(2)超電導ケーブル1の端部を立ち上げる際、ガイドレール130と揺動台120を用いることで、接続箱3aの近傍のケーブル1に過度の曲げが作用しないため、ケーブル1の損傷を抑制できる。
(3)揺動台120の一部をガイドレール130に嵌合させることで、安定して揺動台120を回動させることができる。
(4)ガイドレール130の所定の中心角ごとに保持部材134(ピン)を嵌め込むことで、回動された揺動台120が逆方向に戻ることを防止でき、ケーブル1の立ち上げ作業を安全に行うことができる。
(5)ケーブル防護板140を用いることで、ケーブル1を地面に干渉させることなくスムーズに立ち上げることができる。
(6)接続箱3aの引き上げ時、ケーブル1の振れ止め部材を用いることで、接続部3aから低所に至る超電導ケーブル1の振れを抑制できる。
(7)接続箱3aを高所に設置した後の超電導ケーブル1の曲げ箇所の保持に、ガイドレール130又は架台132を利用することができ、ガイドレール130や架台132を超電導ケーブル1の立ち上げ時のみならず、接続箱3aの設置後も有効利用することができる。
(8)この接続箱3aから分岐を取って、建造物の屋上などから各階に配電することも可能である。
(9)中間接続箱3aの冷媒導入口32から冷媒を供給することで、送電路全体に冷媒を行き渡らせることができる(図2、3参照)。この例では、接続箱3aが送電路の最も高い位置に設置されるためである。その際、中間接続箱3aの冷媒排出口33の開口から冷媒が流出することをもって、送電路全体に冷媒が行き渡ったことを確認することができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施形態では中間接続箱を高所に設置する場合を例として説明したが、代わりに終端接続箱を高所に設置することとしても良い。また、上述の実施形態では電力供給側と需要側のケーブルコアの本数が同じである場合を例に説明したが、電力供給側と需要側のケーブルコアの本数が異なってもよい。その他、中間接続箱における分岐の数や送電方向も適宜変更できる。例えば、接続箱の分岐数を3つや4つにしたり、送電方向を往復ではなく、そのまま同一方向としたり、90°変更したりすることもできる。
本発明の超電導ケーブルの立ち上げ方法、及び立ち上げ装置は、例えば大規模ビルや工場などの高所に接続箱を設置する際に好適に利用できる。
1,1a,1b 超電導ケーブル
10 ケーブルコア
11 フォーマ 12 超電導導体 13 絶縁層
14 シールド層 15 保護層
20 断熱管
21 内管 22 外管 25 防食層
3a 中間接続箱(接続箱)
30 冷媒容器
31a,31b ケーブル導入口
32 冷媒導入口 33 冷媒排出口
40 真空容器
41 フック取付部 42 脚部 43 真空ポート
50 接続用導体
51 基部 52 接続部 53 アタッチメント
54 保持部材
110 フレーム 115 回転軸
120 揺動台 122 回動片 124 取付片 126 ボルト取付部
130 ガイドレール 132 架台 134 保持部材 136 クリート
140 ケーブル防護板
150 固定台
200 支持台車
300 ケーブル台座
R ワイヤ

Claims (9)

  1. 地上などの低所において、超電導ケーブルの端部に接続箱を形成する工程と、
    前記接続箱を円弧状のガイド部材に沿って移動させることで、前記超電導ケーブルに許容範囲内の曲げを与えて同ケーブルの端部側を立ち上げる工程と、
    立ち上げられた超電導ケーブルにつながる接続箱を引き上げて高所に設置する工程とを備えることを特徴とする超電導ケーブルの立ち上げ方法。
  2. 前記超電導ケーブルの端部側を立ち上げる工程において、前記接続箱の移動に伴って、前記ガイド部材の途中の所定位置でガイドレールに対して接続箱を保持することを特徴とする請求項1に記載の超電導ケーブルの立ち上げ方法。
  3. 前記接続箱を高所に引き上げる過程は、接続箱から低所に至る超電導ケーブルの周囲を振れ止め部材で囲み、同ケーブルの振れを抑止しながら行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の超電導ケーブルの立ち上げ方法。
  4. 前記ガイド部材により前記接続箱を移動させる範囲が90°であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超電導ケーブルの立ち上げ方法。
  5. フレームと、
    フレームに対して揺動自在に設けられる部材であって、超電導ケーブルの端部に形成された接続箱が装着される揺動台と、
    この揺動台の揺動に伴って前記接続箱を円弧状に案内して前記超電導ケーブルの端部を立ち上げるガイド部材とを備えることを特徴とする超電導ケーブルの立ち上げ装置。
  6. 前記ガイド部材は円弧状のガイドレールで構成され、
    前記揺動台は、前記ガイドレールに嵌脱される嵌合部を備えることを特徴とする請求項5に記載の超電導ケーブルの立ち上げ装置。
  7. 前記揺動台の揺動過程における所定の位置で前記ガイドレールに対して揺動台を保持できる保持部材を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の超電導ケーブルの立ち上げ装置。
  8. 前記揺動台の揺動過程において、超電導ケーブルが低所に押し付けられることがないように、前記ガイド部材の下方に設けられるケーブル防護板を備え、
    このケーブル防護板は、前記ガイドレールにほぼ沿った湾曲部を有することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の超電導ケーブルの立ち上げ装置。
  9. 前記ガイド部材が、立ち上げ後のケーブルの途中を保持するケーブル把持部を構成することを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載の超電導ケーブルの立ち上げ装置。
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