JP2013025702A - 特許評価装置および発明者評価装置 - Google Patents

特許評価装置および発明者評価装置 Download PDF

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Abstract

【課題】企業を特許の面から格付けする。
【解決手段】格付け部1002は総合評価部138から評価対象企業の特許力値を入力し、発明者評価部136からその企業の発明者全体による発明力値を入力し、企業情報記憶部1004からその企業の財務等のデータを入力する。現在格付け部1006は特許力値をその企業の売上高等で割って正規化した後、ランク分けして格付けする。将来格付け部1008は過去数年遡って発明力値を特定し、これらが将来特許力値となって現れるタイミングを予測し、将来の特許力値のランクを導出する。
【選択図】図13

Description

本発明は、特許権、特許出願およびそれらの発明者を評価するための技術、特に、評価結果を定量的に示す技術に関する。
ニーズの多様化は製品寿命を短縮し、技術の高度化は開発コストを増加させる。研究開発から製品化までを自社リソースで完結させるクローズド・イノベーション型経営モデルだけではビジネス環境の変化に対応しきれなくなってきている。このような社会背景において、自社リソースをコア・コンピテンスに集中させて積極的に外部リソースを活用するオープン・イノベーション型経営モデルの重要性が認識されつつある。オープン・イノベーションの浸透により、かつてないほど技術が流動化しつつある。
「技術」とは一種の情報財であり、特許権などの知的財産権によって保護される。クローズド・イノベーションにおいては特許権は自社技術を模倣から守る参入障壁という側面が強いが、オープン・イノベーションにおいては特許権の財産権としての側面がいっそうクローズアップされてくる。
また、M&Aに際し、被買収企業の買収価格は、通常、被買収企業の簿価よりも大きくなる。増分は無形資産の価値であるといわれる。一説には、金融を除く米国上場企業の企業価値のうち、無形資産が占める割合は1978年には17%だったが、1998年に69%にまで達しているといわれる。M&A、投融資、技術導入、業務提携などのさまざまな局面において、富の源泉である無形資産、その中でも代表的な特許権の「財産的価値」を客観的かつ公正に評価する必要性が高まっている。
従来、特許権の価値を評価する場面では、便宜上、コスト法、マーケット法、インカム法、DCF(Discounted Cash Flow)法、などの金融手法が応用されてきた。しかし、特許権は、土地や設備などの有形資産とは多くの点で異なるため、こういった伝統的な金融手法による評価は必ずしも適切とはいえない。
特開2009−3727号公報 国際公開2008−054001号公報 米国特許6556992号公報
こうした中、特許権の価値を合理的に算定しようという取り組みが少しずつ現れてきている。たとえば、特許文献1には、無効審判や閲覧請求などの第三者によるアクションが多くなされた特許権を高評価するという思想が開示されている。しかしながら、膨大な特許権のうち、第三者からのアクションを受ける特許権はごくわずかである。第三者からアクションを受けた特許権であっても、当事者以外にはまったく価値がないことも有り得る。なんらのアクションを受けていなくても、他社に設計変更を強いたり事業参入を諦めさせるほど隠然とした存在感を発揮している特許権もある。
特許文献2では、特許維持期間が長い特許権に特有の因子を特定し、そのような因子を含む特許権を高評価するという思想が開示されている。その背後には、特許維持期間が長い特許権ほど価値がある、という前提がある。たとえば、早期審査請求がなされた特許権は長く維持されやすいという傾向が見られる場合、早期審査請求をなされた特許権は高く評価されることになる。しかし、特許維持期間は特許権者の事業戦略や財務状態に大きく依存するため、特許維持期間の長さと特許権の価値はイコールではない。たとえば、技術寿命が短命であってもその短期間に大きな存在感を発揮する特許権もある。価値の高い特許権であっても、資金不足で放棄せざるを得なくなった特許権もある。特許管理が杜撰(ずさん)で無目的に維持され続ける特許権もあれば、広い権利でありながら無効になってしまう短命な特許権もある。
特許文献3では、権利範囲の広さ(Breadth)、防御性(Defensibility)、商業性(Commercial Relevance)の3つの観点から特許権を評価している。たとえば、権利範囲の広さについては、訴訟成否に相関する因子に基づいて評価している。その背後には、訴訟に成功した特許権はそれ以外の特許権よりも権利範囲が広い、という前提がある。このような評価方法は、特許文献2の評価方法と同様の問題を有している。
また、特許文献3における特許権の総合評価(Overall Rating)は、3つの評価値(BDR Rating)の組み合せに対応してAAA〜Dまでの12種類のラベルを割り当てているに過ぎない。総合評価に際し、3つの評価のうちのどれをどの程度重視するか、という考え方は示されていない。
そもそも、権利範囲の広さ、防御性、商業性という3つの観点だけでは特許権の評価基準として不十分な可能性がある。たとえば、権利範囲が狭くても権利侵害を発見しやすい特許権は、権利範囲が広くても侵害発見しにくい特許権より価値が高いかもしれない。
特許権の評価が難しい主因は、どのような特許権に価値があるのか、という定義が難しいことである。また、特許権には無効リスクも存在するため、どの程度の無効リスクを許容できるかという問題もある。
本発明は、本発明者による上記課題認識に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、特許権や特許出願(以下、「特許権等」とよぶ)の価値を合理的かつ柔軟に算定するための技術を提供することにある。更に、特許権等の価値評価と連動して、発明者のレベルを合理的に数値化する技術も提供する。本発明はさらに、企業等の権利主体を特許の面から格付けすることを目的とする。
本発明のある態様は、特許評価装置に関する。この装置は、特許文献データを取得する文献取得部と、特許文献データの技術評価値を算出する技術評価部と、特許文献データの法律評価値を算出する法律評価部と、技術評価値および法律評価値を変数とする総合評価関数により、特許文献データの総合評価値を算出する総合評価部を備える。
ここでいう「特許」とは、「技術的価値に基づく登録型の財産権」という意味で使用されており、実用新案や意匠まで含む概念である。実用新案等は厳密には特許とは異なるが、技術的価値に基づく登録型の財産権であるという点において特許権と類似している。国内に限らず外国において成立している「特許」も評価対象となる。
本発明の別の態様は、発明者評価装置に関する。この装置は、発明者の発明レベルを示す発明者評価値を保持する発明者評価格納部と、特許文献データの技術評価値を取得する技術評価取得部と、取得された技術評価値に応じて発明者評価値を更新する発明者評価部を備える。
本発明のさらに別の態様は特許評価装置であり、評価対象となる権利主体に関する特許文献データを技術面から見たときに定まる価値を含む特許力値を導出する総合評価部と、特許力値をそれを産み出す要因の大きさによって正規化してランク分けする格付け部とを備える。
本発明の別の態様も特許評価装置であり、評価対象となる権利主体に関する特許文献データを技術面から見たときに定まる価値を含む特許力値を導出する総合評価部と、前記権利主体にて発明行為をなす発明者により発揮される発明力値を算出する発明者評価部と、特許力値および発明力値を入力し、前記権利主体の現在および将来の特許力値に関するランクを導出する格付け部とを備える。
本発明のさらに別の態様も特許評価装置であり、評価対象となる権利主体が特許に関して保有する価値である特許力値、および、前記権利主体にて発明行為をなす発明者により発揮される発明力値を入力し、前記権利主体の将来の特許力値のランクを導出する将来格付け部を備える。
なお、以上に示した各構成要素の任意の組み合わせ、本発明を方法、システム、記録媒体、コンピュータプログラムにより表現したものもまた、本発明の態様として有効である
本発明によれば、特許権等の価値を合理的かつ柔軟に算定しやすくなる。また、この特許権等の価値評価と連動して、発明者のレベルを合理的に算定しやすくなる。また、本発明によれば、企業等を特許の面から評価することができる。
特許評価装置の機能ブロック図である。 特許評価格納部のデータ構造図である。 技術評価格納部のデータ構造図である。 発明者評価格納部のデータ構造図である。 三次元評価空間の画面図である。 二次元評価空間の画面図の第1例である。 二次元評価空間の画面図の第2例である。 重視度変更チャートを示す。 二次元評価空間の画面図の第3例である。 特許権の総合評価および発明者評価の推移を示すグラフである。 特許権の評価過程を示すフローチャートである。 特許評価システムのブロック図である。 特許評価装置の機能ブロック図である。 現在格付けおよび将来格付けの一覧を示す図である。
実施例1.
特許権等の評価は、特許技術のレベル、権利の安定性や広さといった特許権の内的要因と、その特許権が属する市場の大きさや特許権者の事業と特許技術の関係の深さといった特許権の外的要因に基づく。本実施例においては、内的要因に基づく評価を対象として説明する。
本実施例においては、「技術的な面から見た評価(以下、このような評価を「技術評価」とよび、その評価結果を示す数値を「技術評価値」とよぶ)」、「法律的な面から見た評価(以下、このような評価を「法律価値」とよび、その評価結果を示す数値を「法律評価値」とよぶ)」、「特許権が無効になる可能性についての評価(以下、このような評価を「無効リスク評価」とよび、無効になる可能性の大きさを示す数値を「無効リスク評価値」とよぶ)」の3つの評価基準に基づいて特許権を評価する。
技術評価、法律評価および無効リスク評価に基づく特許権の評価のことを「特許権の総合評価」とよび、その評価結果を示す数値を「特許権の総合評価値」とよぶ。
また、特許権成立前の特許出願を「技術評価」、「法律評価」、「特許になる可能性についての評価(以下、このような評価を「特許可能性評価」とよび、特許になる可能性の大きさを示す数値を「特許可能性評価値」とよぶ)」の3つの評価基準に基づいて評価する。
技術評価、法律評価および特許可能性評価に基づく特許出願の評価のことを「特許出願の総合評価」とよび、その評価結果を示す数値を「特許出願の総合評価値」とよぶ。
特許権等の内的要因に基づく価値のうち特に基本的な価値は、発明自体の品質に関わる技術的価値と、発明を表現する書類の品質に関わる法律的価値から構成されると考えられる。技術と法律の両面から評価するモデルを採用することにより、特許権等に関わるさまざまな事象を派生的に評価しやすくなる。本実施例においては、派生評価の例として発明者評価を説明する。
また、特許権の特徴の一つは、無効リスクを内包することである。強力な特許権であっても無効になる可能性が高い場合にはその価値を割り引いて考える必要がある。そこで、特許権評価に際して無効リスク評価の観点も導入している。特許出願については、特許となる可能性の高さを考慮する必要があるため、特許可能性評価の観点を導入している。
図1は、特許評価装置100の機能ブロック図である。
特許評価装置100の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組み合わせによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。以下説明する各図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
図12に関連して後述する特許評価装置102や発明者評価装置104についても同様である。
特許評価装置100は、UI(ユーザインタフェース)部110、データ処理部120およびデータ格納部150を含む。
UI部110は、ユーザインタフェース処理を担当する。データ処理部120は、UI部110やデータ格納部150から取得されたデータを元にして各種のデータ処理を実行する。データ処理部120は、UI部110とデータ格納部150との間のインタフェースの役割も果たす。データ格納部150は、各種データを保持するための記憶領域である。
UI部110:
UI部110は、入力部112と表示部116を含む。
入力部112は、ユーザからの各種入力を検出する。ユーザは、キーボードやマウスなど既知の入力デバイスを介して特許評価装置100を直接操作してもよいし、通信回線を介して遠隔操作してもよい。表示部116は、各種情報を表示あるいは音声出力する。
入力部112は、重視度入力部114を含む。重視度入力部114は、特許権等の評価に際し、技術評価、法律評価、無効リスク評価および特許可能性評価のいずれをどの程度重視するか、についての設定入力を受け付ける。詳しくは後述するが、たとえば、技術評価と法律評価の重視比率を2:1に設定したときには、技術評価値の総合評価値に対する影響度は法律評価値の総合評価値に対する影響度の2倍となる。いいかえれば、総合評価値の算出にあたって、技術評価値は法律評価値の2倍重視される。技術評価と法律評価は、特許評価の基盤となるため、技術評価値と法律評価値の重視比率のことを特に「コア重視比率」とよぶ。すなわち、重視度入力部114は、コア重視比率の設定入力を受け付ける「コア重視度入力部」としても機能する。
重視度入力部114は、無効リスク評価をどの程度重視するかについての設定入力を受け付ける「無効性重視度入力部」、特許可能性評価をどの程度重視するかについての設定入力を受け付ける「特許可能性重視度入力部」としても機能する。重視比率については、図8に関連して後に詳述する。
データ格納部150:
データ格納部150は、特許評価格納部152、技術評価格納部154、法律評価格納部156、無効評価格納部158、特許可能性格納部160および発明者評価格納部162を含む。
データ格納部150は、主として、メモリやハードディスクなど任意の記録媒体により構成される。データ格納部150自体は、特許評価装置100の本体とは物理的に分離された外部データベースとして構築されてもよい。
特許評価格納部152は、特許権等の属性やその評価結果を格納する。ここでいう属性とは、主として、出願番号や特許番号、出願人名などの書誌情報である。また、特許権の請求項に含まれる構成要件数といった分析的な情報や、他の特許権に比べた場合の構成要件数の多少などの統計的な情報も属性の一種である。評価結果とは、総合評価値や技術評価値、法律評価値、無効リスク評価値、特許可能性評価値などの各種評価値である。特許評価格納部152のデータ構造については図2に関連して後に詳述する。
技術評価格納部154は、技術評価値や「技術評価要素値」を格納する。技術評価要素値とは、技術評価値を構成する1以上の因子であるが詳細は後述する。技術評価格納部154のデータ構造については図3に関連して後に詳述する。
法律評価格納部156は法律評価値や「法律評価要素値」を格納する。無効評価格納部158は、無効リスク評価値を格納する。特許可能性格納部160は、特許可能性評価値を格納する。法律評価要素値についても後述する。
発明者評価格納部162は発明者のレベルを示す「発明者評価値」と発明者ごとの「技術評価累計値」を格納する。発明者評価格納部162のデータ構造については図4に関連して後に詳述する。
データ処理部120:
データ処理部120は、評価部122、データ取得部124、データ解析部166およびデータ抽出部126を含む。
データ取得部124は、インターネットなどの通信回線を介して特許データベース164と接続される。特許データベース164は、公開特許公報や特許公報などのほか、経過情報等の書誌情報を含む。以下、特許データベース164に含まれるデータを総称するときには、単に、「特許データ」とよぶ。このうち、特許公報や公開特許公報などの特許文献に関わる文献データのことを「特許文献データ」とよぶ。特許文献データは日本の特許文献に限らず、海外の特許文献も含む。特許データベース164は、既存のデータベースでもいいし専用に構築されるデータベースであってもよい。
データ取得部124は、特許データベース164から各種特許データを取得する。データ取得部124に含まれる文献取得部140は、特許データのうち特許公報や公開特許公報などの特許文献データを取得する。
データ抽出部126は、特許データから各種データ(属性)を抽出する。データ抽出部126に含まれる発明者特定部142は、特許文献データ等に含まれる発明者名をテキスト情報として抽出する。データ抽出部126はこのほかにも、出願番号、出願日、請求項に含まれる単語、構成要件数等、さまざまな属性を特許データから抽出可能である。
データ解析部166もインターネットなどの通信回線を介して特許データベース164と接続される。データ解析部166は、特許データを対象とした集計・解析処理を実行する。たとえば、評価部122や入力部112により、特許審査に際してある特許文献Aを引用文献とされた特許出願の計数を指示されたときには、データ解析部166は、特許データベース164の経過情報を検索することにより該当する特許出願を計数し、その結果を評価部122等に通知する。また、上述したような他の特許権に比べた場合の構成要件数の多少といった統計的な情報を抽出するのもデータ解析部166である。
このように、データ抽出部126は主として書誌的な属性を抽出し、データ解析部166は分析的・統計的な属性を抽出する。
評価部122は、技術評価部128、法律評価部130、無効評価部132、特許可能性評価部134、発明者評価部136および総合評価部138を含む。
技術評価部128は、特許権等の技術評価処理を実行し、その評価結果を1〜100の所定範囲の技術評価値として指標化する。技術評価が高いほど、技術評価値は高くなる。技術評価の方法としてはさまざまな方法が考えられる。
一例として、技術評価のための評価基準を複数設定する。具体的には、発明はどの程度基本発明か(基本技術度)、発明をどの程度広い技術分野に応用できるか(汎用性)、長期間にわたって使えそうな技術か(技術寿命)、などの評価基準が考えられる。
ある特許権Aについての特許公報や公開特許公報が後願の特許審査において多く引用されているとき、すなわち、特許権Aを示す文献の被引用数が多いとき、この特許権Aは基本技術度が高いと推定される。また、特許権Aの請求項に含まれる構成要件の数が同一技術分野に属する他の特許権の請求項に含まれる構成要件の数の平均値や中央値に比べて少ないほど、基本技術度が高いと推定される。こういった因果関係の多くは知財実務の経験則に基づく。基本技術度を判定する上でどのような指標をどの程度重視するかについては、多くの特許文献データについて検証したり、専門家の経験則を適宜取り入れることにより決定すればよい。技術評価に関わるこのような指標(上記例の場合、「被引用数」や「構成要件数」)のことを、「技術指標」とよぶ。
技術評価の各評価基準に対応する評価値が技術評価要素値である。上記の例であれば、基本技術度や汎用性等をそれぞれ1〜100の所定範囲で指標化した値が技術評価要素値となる。被引用数や構成要件数などの技術指標を変数とする所定の技術要素評価関数(TEF:Technical Element valuation Function)により、基本技術度という技術評価要素値を
計算する。汎用性等、他の評価基準に関わる技術評価要素値についても同様である。
なお、技術指標は、特許文献データの属性に限らず、ユーザによる入力値であってもよい。技術評価部128は、これらの技術指標をハードディスクなどの記録媒体に保存しておく。計算に際しては、技術指標値をメモリにロードし、上記の技術要素評価関数(TEF)の計算ルーチンに技術指標を変数設定した上で、その計算ルーチンを実行することにより、技術評価要素値を算出する。
どのような技術要素評価関数(TEF)を定義するかは任意である。たとえば、「被引用数」という技術指標が大きいほど「基本技術度」という技術評価要素値が高くなり、「構成要件数」という技術指標が大きいほど「基本技術度」という技術評価要素値が低くなるように技術要素評価関数(TEF)を定義してもよい。
技術評価部128は、複数の評価基準に対応して複数の技術評価要素値を計算する。技術評価部128は、複数の技術評価要素値を変数とする技術評価関数(TF:Technical valuation Function)により技術評価値を算出する。具体的には、技術評価関数(TF)の計算ルーチンに、基本技術度や汎用性などの技術評価要素値を変数として設定した上で、この計算ルーチンを実行することにより技術評価値を算出する。技術要素評価値は、技術要素評価関数(TEF)による計算値に限らず、場合によっては特許文献データの属性をそのまま応用してもよいし、ユーザによる入力値としてもよい。
原則としては、1以上の技術指標に基づいて技術評価要素値が算出され、1以上の技術評価要素値に基づいて技術評価値が算出される。どのような技術評価関数(TF)を定義するかは任意である。たとえば、基本技術度が高く、汎用性が広いほど技術評価値が高くなるように技術評価関数(TF)を定義すればよい。単に、全技術評価要素値の平均値を技術評価値としてもよいし、評価基準ごとに重みをつけた加重平均値を技術評価値としてもよい。技術評価値を算出するとき、基本技術度を汎用性より重視してもよいし、その逆でもよい。
技術評価要素値は、技術要素評価関数(TEF)により計算されてもよいし、人為的に設定されてもよい。たとえば、あらかじめ選抜された判定員が各技術評価要素値を1〜100の範囲で判定し、技術評価部128がこれらの技術評価要素値群に基づいて技術評価値を算出してもよい、この場合、入力部112は、判定員による判定結果の入力を検出し、その入力値を技術評価要素値として技術評価格納部154に登録する。
判定員としては、エンジニア、弁理士、知財部員、学者などの技術的知識を有する者が想定される。1つの評価基準に対して複数の判定員が技術評価要素値を入力し、それらの平均値を正式な技術評価要素値としてもよい。あるいは、判定経験や学識経験等の個人属性に応じて判定員に重みをつけ、複数の判定員による技術評価要素値の加重平均値を正式な技術評価要素値としてもよい。複数の判定結果からどのように正式な技術評価要素値を定めるかについては実験と検証に基づいて決定すればよい。このように、技術評価要素値は機械アルゴリズム的に決定されてもよいし、人為的に決定されてもよいし、あるいは、その両方でもよい。
法律評価部130は、特許権等の法律評価処理を実行し、その評価結果を1〜100の所定範囲の法律評価値として指標化する。法律評価が高いほど、法律評価値は高くなる。法律評価においても技術評価と同様、複数の評価基準を設定する。評価基準としては、権利範囲はどの程度広いか(広狭度)、特許明細書は論理的でわかりやすいか(明快度)、などが考えられる。
たとえば、ある特許権の請求項に含まれる構成要件の数が同一技術分野に属する他の特許権の請求項に含まれる構成要件の数の平均値や中央値に比べて少ないほど、この特許権の権利範囲は広いと推定できる。広狭度を判定する上でどのような指標をどの程度重視するかについては、多くの特許文献データについて検証したり、専門家の経験則を適宜取り入れることにより決定すればよい。法律評価に関わるこのような指標のことを、「法律指標」とよぶ。
法律評価の各評価基準に対応する評価値が法律評価要素値である。上記の例であれば、広狭度や明快度等をそれぞれ1〜100の所定範囲で指標化した値が法律評価要素値となる。法律評価要素値も、法律指標を変数とする法律要素評価関数(LEF:Legal Element valuation Function)により算出される。どのような法律要素評価関数(LEF)を定義するかは任意である。
法律評価部130は、複数の評価基準に対応して複数の法律評価要素値を計算する。更に、法律評価部130は、複数の法律評価要素値を変数とする法律評価関数(LF:Legal valuation Function)により法律評価値を算出する。具体的には、法律評価関数(LF)の計算ルーチンに法律評価要素値を変数として設定した上で、この計算ルーチンを実行することにより法律評価値を算出する。
1以上の法律指標に基づいて法律評価要素値が算出され、1以上の法律評価要素値に基づいて法律評価値が算出される。法律指標と技術指標は別々である必要はなく、技術指標にも法律指標にもなる指標が存在してもよい。上記例の場合、構成要件数は技術指標にもなっているし、法律指標にもなっている。また、どのような法律評価関数(LF)を定義するかは任意である。たとえば、権利範囲が広く、特許明細書が明快であるほど法律評価値が高くなるように法律評価関数(LF)を定義してもよい。単に、全法律評価要素値の平均値を法律評価値としてもよいし、評価基準に重みをつけた加重平均値を法律評価値としてもよい。
法律評価要素値も人為的に設定されてもよい。判定員としては、弁理士、弁護士、裁判官経験者、知財部員、学者などの知財関連法知識を有する者が想定される。
無効評価部132は、無効リスク評価処理を実行し、その評価結果を1〜100の所定範囲の無効リスク評価値として指標化する。無効リスクが高いほど、いいかえれば不安定な権利ほど、無効リスク評価値は高くなる。無効リスク評価値についても、さまざまな因果関係を想定できる。たとえば、先行技術文献が多く存在する技術分野に所属していたり、対応する外国出願が拒絶または無効になっているときには、無効リスクが高いと推定できる。無効リスクを判断する上でどのような指標をどの程度重視するかについては、多くの特許文献データについて検証したり、専門家の経験則を適宜取り入れることにより決定すればよい。無効リスク評価に関わるこのような指標のことを、「無効リスク指標」とよぶ。
無効評価部132は、複数の無効リスク指標を変数とする有効性評価関数(VF:Validation valuation Function)により無効リスク評価値を算出する。どのような有効性評価関数(VF)を定義するかは任意である。たとえば、先行技術文献が少なく、対応外国出願のうち権利として有効に維持されているものが多いほど無効リスク評価値が低くなるように有効性評価関数(VF)を定義すればよい。単に、全無効リスク指標の平均値を無効リスク評価値としてもよいし、無効リスク指標の加重平均値を無効リスク評価値としてもよい。
無効リスク評価値や無効リスク指標を人為的に決定してもよい。たとえば、簡易な先行文献調査を実行し、その調査結果に応じて無効リスク評価値を定めてもよい。
特許可能性評価部134は、特許可能性評価処理を実行し、その評価結果を1〜100の所定範囲の特許可能性評価値として指標化する。特許となる可能性が高いほど、特許可能性評価値は高くなる。特許可能性評価値についても、さまざまな因果関係を想定できる。たとえば、先行技術文献が多く存在する技術分野に所属していたり、対応の外国出願が拒絶または無効になっているときには、特許となる可能性は低いと推定できる。特許となる可能性を判断する上でどのような指標をどの程度重視するかについても、多くの特許文献データについて検証したり、専門家の経験則を適宜取り入れることにより決定すればよい。特許可能性評価に関わるこのような指標のことを、「特許可能性指標」とよぶ。
特許可能性評価部134は、複数の特許可能性指標を変数とする特許可能性評価関数(PF:Possibility valuation Function)により特許可能性評価値を算出する。どのような特許可能性評価関数(PF)を定義するかは任意である。たとえば、先行技術文献が少なく、対応外国出願のうち権利として成立しているものが多いほど特許可能性評価値が高くなるように特許可能性評価関数(PF)を定義すればよい。単に、全特許可能性指標の平均値を特許可能性評価値としてもよいし、特許可能性指標の加重平均値を特許可能性評価値としてもよい。
特許可能性評価値や特許可能性指標を人為的に決定してもよい。たとえば、簡易な先行文献調査を実行し、その調査結果に応じて特許可能性評価値を定めてもよい。
特許文献データの評価に際し、データ抽出部126は書誌的な属性を抽出する。同様に、データ解析部166は統計的な属性を算出する。これらの属性やその加工値が各種指標や各種要素値となる。また、ユーザからの入力により指標値や要素値が設定されることもある。特に、技術評価要素値等の要素値は、技術指標などの指標値に基づいて算出されてもよいし、ユーザからの入力により設定されてもよいし、その両方であってもよい。
まとめると、入力部112やデータ取得部124、データ処理部120、データ解析部166は、特許評価に際して各種要素値や指標値を取得する。技術評価部128は、技術評価のための評価基準に関わる要素値を技術評価要素値として、技術評価値を計算する。同様に、法律評価部130は、法律評価に関わる要素値を法律評価要素値として、法律評価値を計算する。
無効リスク評価値や特許可能性評価値についても同様である。無効リスク評価のための評価基準や特許可能性評価のための評価基準に関わる属性を無効リスク指標、特許可能性指標として、無効リスク評価値や特許可能性評価値を算出する。
総合評価部138は、特許権については技術評価値、法律評価値および無効リスク評価値に基づいて総合評価値を算出する。特許出願については、技術評価値、法律評価値および特許可能性評価値に基づいて総合評価値を算出する。具体的には、ハードディスク等の記録媒体に保存される技術評価値等のデータをメモリにロードし、総合評価関数(OF:Overall valuation Function)の計算ルーチンにこれらのデータを変数として設定した上で、計算ルーチンを実行することにより、総合評価値が算出される。
次に示す数式1は特許権を対象とした総合評価関数(OF)の一例である。ここで、技術評価値S1、法律評価値S2、無効リスク評価値S3は、いずれも0〜1の範囲に正規化されているため、総合評価値E1も0〜1の範囲の値となる。
Figure 2013025702
数式1によれば、係数a、b、cを調整することにより、総合評価値E1に対する技術評価値S1、法律評価値S2、無効リスク評価値S3の影響の大きさ、すなわち、これらの変数の総合評価値E1に対する影響度が変化する。aとbの比率は、技術評価値S1と法律評価値S2のコア重視比率である。次に示す数式2は、特許権を対象とした総合評価関数(OF)の別例である。
Figure 2013025702
数式2の場合も、係数a、b、cを調整することにより、総合評価値E1に対する技術評価値S1、法律評価値S2、無効リスク評価値S3の影響度を変化させることができる。
数式3は、特許出願を対象とした総合評価関数(OF)の一例である。特許可能性評価値S4は0〜1の範囲に正規化される。数式4は、特許出願を対象とした総合評価関数(OF)の別例である。
Figure 2013025702
Figure 2013025702
特許出願の場合にも、係数a、b、cを調整することにより、総合評価値E2に対する技術評価値S1、法律評価値S2、特許可能性評価値S4の影響度を変化させることができる。
以上の数式は一例であるが、少なくとも総合評価関数(OF)は、技術評価値S1および法律評価値S2の双方に対して単調増加関数であることが好ましい。また、無効リスク評価値に対しては単調減少関数、特許可能性評価値に対しては単調増加関数であることが好ましい。なお、上記の係数a、b、cは、0〜1の範囲で調整される。このため、設定によっては、技術評価値S1、法律評価値S2、無効リスク評価値S3、特許可能性評価値S4のいずれかの影響度をゼロにすることも可能である。
総合評価関数(OF)や技術評価関数(TF)、技術要素評価関数(TEF)等の各種関数は、線形式である必要はない。たとえば、ニューラルネットワークなどの非線形型の数学モデルとして表現されてもよい。本明細書における「計算ルーチン」とは、このような非線形型の数学モデルに基づく計算ルーチンも含む。
発明者評価部136は、発明者評価値を算出する。発明者評価値は技術評価値に基づいて算出されるが、詳細については図4に関連して後述する。
図2は、特許評価格納部152のデータ構造図である。
特許評価格納部152は、特許ID欄168、属性欄180、評価欄192を含む。特許ID欄168は、特許権等を一意に特定するID(以下、「特許ID」とよぶ)を示す。属性欄180は、特許権等の属性を示す。ここでいう属性とは、書誌的な属性や統計的な属性に限らず、技術指標等の各種指標まで含んでもよい。評価欄192は、特許権等の評価結果を示す。
属性欄180は、出願番号欄170、特許番号欄172、出願人欄174、特許権者欄176、発明者ID欄178等を含む。出願番号欄170は出願番号、特許番号欄172は特許番号を示す。出願人欄174は出願人名、特許権者欄176は特許権者名、発明者ID欄178は発明者を特定するID(以下、「発明者ID」とよぶ)を示す。
特許出願段階の場合には、特許番号欄172や特許権者欄176は空欄となる。特許ID=1の特許権(以下、「特許(ID:1)」のように表記する)は、出願人はAであり現在の特許権者も同じくAであるが、特許(ID:2)の場合、出願人はBだが現在の特許権者はCである。これは、出願後、特許出願人または特許権者がBからCに変更されたことを示す。特許(ID:2)の発明者ID欄178では、発明者ID=6、8となっている。これは、特許(ID:2)の発明者が二人いることを示す。
評価欄192は、技術評価値欄182、法律評価値欄184、無効リスク評価値欄186、特許可能性評価値欄188および総合評価値欄190を含む。技術評価値欄182は技術評価値、法律評価値欄184は法律評価値、無効リスク評価値欄186は無効リスク評価値、特許可能性評価値欄188は特許可能性評価値を示す。いずれも1〜100の範囲の値である。評価欄192は、このほかにも、技術評価要素値等の各種要素値を含んでもよい。
総合評価値欄190は、技術評価値等に基づいて計算される総合評価値を示す。技術評価値や法律評価値等のいずれをどの程度重視するかによって総合評価値は変化するが、ここではあらかじめ初期設定されている重視比率に基づいて計算される総合評価値を示す。
特許(ID:1)は、特許権として成立しているため、無効リスク評価値欄186には無効リスク評価値が登録されるが、特許可能性評価値欄188は空欄となっている。一方、特許(ID:3)は、特許権未成立のため、無効リスク評価値欄186は空欄であり、特許可能性評価値欄188には特許可能性評価値が登録されている。
データ取得部124やデータ解析部166は定期的に特許データベース164にアクセスし、各種属性値を取得する。データ取得部124等は、新規取得した属性が特許評価格納部152に登録されている属性と異なる場合には、属性を更新する。評価部122は、この属性取得タイミングにあわせて定期的に再評価計算を実行する。再計算後の評価値が特許評価格納部152に登録されている評価値と異なる場合には、評価値を更新する。バッチ処理により評価計算を定期的に繰り返すことにより、常時適切な評価結果を特許評価格納部152に維持している。
あるいは、データ取得部124が特許データベース164に含まれる特許データの属性変化を検出してもよい。たとえば、特許権(ID:1)を引用文献とする拒絶理由通知がその後願に発送されたとき、データ解析部166は関連する技術指標等を再計算した上で、評価部122が再評価を実行してもよい。このように、特許データベース164に発生した事象検出を契機とするイベントドリヴン型の評価計算によっても、常時適切な評価結果を特許評価格納部152に維持できる。
図3は、技術評価格納部154のデータ構造図である。
技術評価格納部154は、特許ID欄194、指標欄196、要素欄212を含む。特許ID欄194は特許IDを示し、指標欄196は技術評価要素値の構成因子である技術指標を示す。要素欄212は、技術評価値の構成因子である技術評価要素値を示す。
たとえば、技術指標=(T1,T2,・・・,TX)、技術評価要素値=(U1,U2,・・・,UY)とすると、技術評価要素値Unは、p1・T1+p2・T4+p3・T8のような技術要素評価関数(TEF)に基づいて算出される。他の技術評価要素値についても同様である。更に、技術評価値S1は、S1=q1・U1+q2・U2+・・・+qy・UYのような技術評価関数(TF)に基づいて算出される。p1、p2、p3、q1、q2等は重み係数を示す。以上の技術要素関数(TEF)や技術評価関数(TF)は一例であり、どのような関数を設定するかは任意である。
指標欄196のうちの発明者評価値欄198は、発明者評価値を示す。発明者評価値は技術指標の一種であり、技術評価のための重要な因子である。優良発明の多くは、一部の発明者から生み出されるという経験則がある。発明者のレベルを発明者評価値として指標化し、技術指標の一部に発明者評価値を含ませることにより、発明者評価値の高い発明者による新たな発明は技術的に優れている可能性が高い、という経験則を特許評価モデルに反映させている。
なお、法律評価格納部156、無効評価格納部158および特許可能性格納部160のデータ構造も、基本的に技術評価格納部154の構成と同様、特許IDと各種指標や要素値等が対応付けられた構成となっている。
図4は、発明者評価格納部162のデータ構造図である。
発明者評価格納部162は、発明者ID欄200と技術評価累計欄202、発明者評価値欄204を含む。発明者ID欄200は発明者IDを示す。技術評価累計欄202は、技術評価累計値を示す。技術評価累計値とは、発明者の過去の特許権等から算出された技術評価値の累計値である。たとえば、技術評価累計欄202のうちの「2005」は、2005年を出願年とする当該発明者の特許権等から算出した技術評価値の累計値である。
技術評価累計値の算出に際して、特許権から算出した技術評価値を特許出願から算出した技術評価値よりも重視してもよい。たとえば、2005年に関し、特許権から算出された技術評価値の合計値をX1、特許出願から算出された技術評価値の合計値をX2とすると、2005年の技術評価累計値は、a・X1+b・X2により算出すればよい(a>b)。
発明者評価値欄204は発明者評価値を示す。発明者評価値欄204は、図3に示した技術評価格納部154の発明者評価値欄198に対応する。
図4によると、発明者ID=1の発明者(以下、「発明者(ID:1)」のように表記する)による2009年出願の特許出願の技術評価累計値は「147」である。1つの特許出願について複数の発明者がいるときには、その特許出願の技術評価値は各発明者に案分される。願書に記載される発明者の順番に応じて、技術評価値を重み付け配分してもよい。たとえば、技術評価値=50、発明者A、Bの場合において、発明者Aと発明者Bの貢献度の比が4:1ならば、発明者Aに「40」、発明者Bに「10」が配分される。
発明者評価部136は、技術評価累計値を変数とする発明者評価関数(IF:Inventor valuation Function)により、発明者評価値を算出する。技術評価累計値は技術評価値に基づいて算出されるため、発明者評価関数(IF)は技術評価値を変数とする関数であるともいえる。発明者(ID:1)の場合、技術評価累計値群(147、202、180、・・・、37)に基づいて発明者(ID:1)の発明者評価値(=74)が算出される。
発明者評価関数(IF)は任意であるが、たとえば、単に、直近数年分の発明者評価累計値の平均値を発明者評価値として算出してもよい。あるいは、最近の出願年の技術評価累計値ほど重く、古い出願年の技術評価累計値ほど軽くなるように重み付けした加重移動平均により発明者評価値を算出してもよい。このような計算方法の場合には、最近の発明が良質であるほど、発明者評価値が高くなりやすくなる。いずれにしても技術評価値に対して増加関数となる発明者評価関数(IF)により発明者評価値を算出すればよい。
このような発明者評価方法によれば、単なる特許出願数や特許査定率といった情報だけでなく、特許権等の質を考慮して発明者のレベルを指標化できる。そして、このような発明者評価方法が可能なのは、特許権等の技術面を評価しているためである。いいかえれば、発明者の資質に深く関わる技術評価値を特許評価の因子として抽出しているためである。
発明者のレベルを示す発明者評価値は、技術指標の一種として、技術評価関数(TF)に影響を及ぼす。この結果、「発明者のレベル」という情報を将来の特許権等の評価に反映させることができるため、特許権等の評価精度、特にその技術評価精度をいっそう高めることができる。
まとめると、技術評価値の高い発明をした発明者は、その発明者評価値が高くなる。そして、発明者評価値が高い発明者が新たな発明をした場合にはその発明の技術評価値も高くなる。つまり、良質な発明を大量に産み出す優秀な発明者に対しては、発明者評価値とその技術評価値にポジティヴ・フィードバック効果が発生する。逆に、技術評価値の高い発明がなされなくなったり、あるいは発明そのものが減少した場合には発明者評価値も低くなる。その結果、新たな発明の技術評価値も低くなる傾向にある。この場合には、ネガティヴ・フィードバック効果が発生することになる。
図5は、三次元評価空間206の画面図である。
表示部116は、評価部122による評価結果をさまざまな態様により表示させる。三次元評価空間206はその表示態様の一例であり、モニタに3D画像として表示される。図5に示す三次元評価空間206において、x軸は技術評価値、y軸は法律評価値、z軸は総合評価値を示す。ユーザは、入力部112を介してxyz軸にそれぞれどのような評価値を割り当てるかを選択できる。無効リスク評価値や特許可能性評価値を軸に割り当ててもよいし、技術評価要素値や法律評価要素値等、上記の各種要素値を割り当ててもよい。もちろん、各種要素値を構成する指標そのものを軸に割り当ててもよい。
三次元評価空間206に表示される点が特許権等に対応し、その座標により評価内容が示される。ユーザは、xyz軸のいずれかの軸を中心として三次元評価空間206の画像を回転させることもできる。図5では、技術評価値と法律評価値がxy平面に投影される。投影点を観察することにより、技術評価値と法律評価値を正確に把握しやすくなる。なお、各軸を対数軸に設定することも可能である。
図6は、二次元評価空間208の画面図の第1例である。
二次元評価空間208も評価結果の表示態様の一例であり、モニタに2D画像として表示される。図6の二次元評価空間208では、横軸は技術評価値、縦軸は法律評価値が設定されている。図6に示す二次元評価空間208は、図5のxy平面に対応する。二次元評価空間208においても、横軸・縦軸にどのような評価値等を割り当てるかは任意である。
図6の二次元評価空間208は、企業Aを特許権者とする特許権を黒丸、企業Bを特許権者とする特許権を白丸で示している。図6によれば、企業Aの特許権の方が企業Bの特許権よりも技術評価値および法律評価値の両方が高い傾向にあることがわかる。三次元評価空間206や二次元評価空間208のような評価空間により、複数グループの特許権の評価を一画面にて視覚的に確認できる。
図7は、二次元評価空間208の画面図の第2例である。
図7は、ユーザが横軸を特許権の有効性、縦軸を総合評価値に設定変更したときの二次元評価空間208を示す。特許権の有効性は、無効リスク評価値を変数とする所定の単調減少関数により数値化される。たとえば、特許権の有効性を(101−無効リスク評価値)により算出してもよい。無効リスクが低い特許権ほど特許権の有効性が高くなる。図7の二次元評価空間208によれば、全体的には、企業Aの特許権の方が企業Bの特許権よりも総合評価値が高い反面、無効になるリスクが高いことがわかる。
このように、特許権の価値を技術評価、法律評価、無効リスク評価に分解することにより、特許権の価値を多角的に分析しやすくなる。いいかえれば、単に、特許権の総合品質を評価するだけでなく、その総合品質の構成因子までも分析の対象とすることが可能となる。特許出願についても同様である。
図8は、重視度変更チャート210を示す。
表示部116は、重視度変更チャート210をモニタに表示させる。重視度変更チャート210は、有効性(無効リスク評価)、技術評価、法律評価という3つの軸を有するレーダーチャートである。たとえば、特許権を総合評価する上で、技術評価、法律評価、無効リスク評価の重視比率が100:60:40に初期設定されているとする。重視比率の合計値は200(=100+60+40)に維持される。重視度変更チャート210の初期設定時におけるレーダーチャートは正三角形である。この正三角形は、初期設定時における100:60:40の重視比率を示す。
ユーザは、マウス等の入力デバイスにより、レーダーチャートを変形させることができる。たとえば、法律評価軸の値を初期値「60」から少し小さくして「40」に設定したとする。重視度入力部114はユーザの操作を検出し、表示部116はユーザの操作に連動させて技術評価軸、有効性軸の値を増加させる。この操作の結果、重視比率は100:60:40から110(+10):40(−20):50(+10)になったとする。110+40+50=200である。
更に、有効性軸の値を小さくした場合には、表示部116は技術評価軸と法律評価軸の値をそれぞれ上昇させる。この操作の結果、重要度比は110:40:50から120(+10):50(+10):30(−20)になったとする。2回の操作により、技術評価の重要度は100から120に上昇し、法律評価の重要度は60から50に減少し、有効性(無効リスク評価)の重要度は40から30に減少している。
総合評価部138は、こうして設定された重視比率に応じて、数1や数2の式の係数値a、b、cを設定する。たとえば、技術評価、法律評価、有効性の評価(無効リスク評価)の重視比率が120:50:30(=0.6:0.25:0.15)であるならば、数1、数2のいずれの場合にも、a=0.6、b=0.25、c=0.15に設定される。なお、c=0に設定した場合には、特許権の有効性を考慮せずに特許権を総合評価することになる。
技術評価値と法律評価値の重視比率を変更すると、図5に示した三次元評価空間206におけるxy座標は変化しないが、z座標は変化する。初期状態においてどのような重要度比を設定するかは任意である。たとえば、知財専門家の合議により、適切な重視比率を決定してもよい。特許評価の目的に応じて重視比率の初期設定値を変更してもよい。一例として、ベンチャー企業のアーリーステージにおける投資判断に際しては技術的価値を重視し、未公開企業に対する銀行融資に際しては有効性を重視する、としてもよい。
図9は、二次元評価空間208の画面図の第3例である。
図9の二次元評価空間208は、特許出願についての評価結果を示す。同図では横軸が特許可能性評価値、縦軸が総合評価値を示す。図9の二次元評価空間208は、企業Aを特許出願人とする特許出願を黒丸、企業Bを特許出願人とする特許出願を白丸で示している。図9によれば、企業Aの特許出願の方が企業Bの特許出願よりも総合評価値は高い傾向にあるが、特許になる可能性は低い傾向にあることがわかる。
図10は、特許権の総合評価および発明者評価の推移を示すグラフである。
表示部116は、ユーザからの指示にしたがって図10に示す推移グラフを画面表示させることもできる。図10は、ある評価対象企業のR&D部門から出願された特許権等の価値と発明者のレベルの推移を示す。横軸は時間(年度)を示す。
棒グラフは、この企業のR&D部門から出願された特許権等の総合評価値の合計値(以下、「特許力値」とよぶ)を示し、その値は左側縦軸により示される。たとえば、2000年の特許力値は、2000年の時点で保有されている特許権の総合評価値と2000年の時点で審査係属している特許出願の総合評価値の合計値として計算される。特許力値は、総合評価部138により算出される。特許権の総合評価値と特許出願の総合評価値を単純に合計してもよいし、特許権の総合評価値を特許出願の総合評価値よりも重視して重み付け加算してもよい。
2000年の特許力値は、2000年における特許資産全体の価値を示しているといえる。特許力値は、総合評価値の高い特許がたくさん出願されるほど高くなる。高価値の特許権が権利満了になったり、高価値の特許出願の拒絶が確定したり、出願数や特許件数自体が減少すると、特許力値は小さくなる。
折れ線グラフは、この企業のR&Dエンジニアについての発明者評価値を合計した値(以下、「発明力値」とよぶ)を示し、その値は右側縦軸により示される。発明力値は、発明者評価部136により算出される。たとえば、2000年の発明力値は、2000年時点でR&D部門に所属しているエンジニアの発明者評価値の合計値として計算される。
2000年の発明力値は、2000年におけるR&D部門の発明能力や技術力、技術レベルを示している。発明力値は、発明者評価値の高い発明者が多く在籍しているほど高くなる。いいかえれば、優秀なR&Dエンジニアが離籍したり、R&Dエンジニアから優良な特許出願がなされなくなると、発明力値は小さくなる。
図10の場合、特許力値は年々増加しているが、発明力値は2005年をピークとして減少に転じている。発明力値の低下は、たとえば、優秀な発明者が退職/転職したためかもしれない。したがって、特許力値は、2010年以降は減少していく可能性がある。逆に、優秀は発明者が新加入した場合には、発明力値は上昇する。この結果、特許力値も上昇することが期待される。発明力値は、通常、特許力値の先行指標となる。
図11は、特許権の評価過程を示すフローチャートである。
文献取得部140は、評価対象となる特許文献データを取得する(S10)。発明者特定部142は、特許文献データに含まれる各種テキスト情報のうち、発明者名を示すテキスト情報を特定する(S12)。また、この発明者名に対応する発明者IDを特定する。技術評価部128は、発明者評価格納部162を参照して、特定された発明者の発明者評価値を取得する。取得した発明者評価値を技術指標としてセットした上で、技術評価関数(TF)に基づいて技術評価値を算出する(S14)。なお、発明者IDが特定されなかったとき、すなわち、過去に発明歴を持たない発明者だった場合には、発明者評価値としては既定値、たとえば、50をセットしてもよい。過去に算出された全発明者評価値の平均値を既定値としてセットしてもよい。
技術評価部128は、算出した技術評価値を特許評価格納部152に登録する。更に、発明者評価部136は、算出後の技術評価値に基づいて、発明者評価値を再計算し、発明者評価格納部162の発明者評価値を更新する(S16)。
法律評価部130は、法律評価関数(LF)に基づいて法律評価値を算出する(S18)。評価対象の特許文献データが特許公報のときには(S20のY)、無効評価部132は無効リスク評価値を算出する(S22)。特許文献データが特許公開公報の場合には(S20のN)、特許可能性評価部134は特許可能性評価値を算出する(S24)。総合評価部138は、設定されている重視比率に基づいて総合評価値を算出する(S26)。
評価対象となる特許文献データが更に存在するときには(S28のY)、処理はS10に戻る。すべての特許文献データについて評価処理が完了していれば(S28のN)、表示部116は評価結果を画面表示する(S30)。
図12は、特許評価システム250のブロック図である。
変形例として、図12に示す構成例においては、特許評価機能と発明者評価機能がそれぞれ特許評価装置102と発明者評価装置104に分離されている。特許評価装置102と発明者評価装置104は通信回線を介して接続される。図1と同一の符号を付した構成は、図1で説明した構成と同一または同様の機能を有する。
特許評価装置102は、図1の特許評価装置100に追加する構成として通信部214を含む。通信部214は、発明者評価装置104との通信処理を担当する。通信部214は、技術評価送信部216と発明者評価取得部218を含む。技術評価送信部216は、技術評価部128により計算された技術評価値を発明者評価装置104に送信する。発明者評価取得部218は、発明者評価装置104から発明者評価値を受信する。特許評価装置100の発明者評価部136および発明者評価格納部162は、発明者評価装置104に移転されている。
発明者評価装置104は、UI(ユーザインタフェース)部220、データ処理部226およびデータ格納部234を含む。
UI部220は、ユーザインタフェース処理を担当する。データ処理部226は、UI部220やデータ格納部234から取得されたデータを元にして各種のデータ処理を実行する。データ処理部226は、UI部220とデータ格納部234との間のインタフェースの役割も果たす。データ格納部234は、各種データを保持するための記憶領域である。
UI部220:
UI部220は、入力部222と表示部224を含む。
入力部222は、ユーザからの各種入力を検出する。ユーザは、キーボードやマウスなど既知の入力デバイスを介して発明者評価装置104を直接操作してもよいし、通信回線を介して遠隔操作してもよい。表示部224は、各種情報を表示あるいは音声出力する。
データ格納部234:
データ格納部234は、発明者評価格納部162を含む。
データ格納部234は、主として、メモリやハードディスクなど任意の記録媒体により構成される。データ格納部234自体は、発明者評価装置104の本体とは物理的に分離された外部データベースとして構築されてもよい。
データ処理部226:
データ処理部226は、通信部228と発明者評価部136を含む。
通信部228は、特許評価装置102との通信処理を担当する。通信部228は、技術評価取得部230と発明者評価送信部232を含む。技術評価取得部230は、特許評価装置102の技術評価送信部216から技術評価値を取得する。発明者評価送信部232は、特許評価装置102の発明者評価取得部218に発明者評価値を送信する。
以上、実施例に基づいて、特許評価方法およびそれに付随した発明者評価方法について説明した。
本実施例においては、技術評価、法律評価および無効リスク評価という複数の観点に基づいて特許権の価値を総合評価している。同様に、技術評価、法律評価および特許可能性評価の複数の観点に基づいて特許出願の価値を総合評価している。
技術評価は発明の品質に関わる評価であり、法律評価は発明を表現する書類の品質に関わる評価である。また、無効リスク評価や特許可能性評価は、特許権が無効になるリスクや、特許権という価値が実現される可能性についての評価である。別の言い方をすれば、技術という「コンテンツの質」と法的権利という「プロデュースの質」を分離して評価し、更に、特許特有のリスクや不確実性を加味することにより、特許権の価値を多面的に評価している。
総合評価値という一元的な評価値を示すことは特許権の価値判断にとって重要だが、総合評価値を構成するさまざまな因子についても評価することにより、特許権の価値をより深く分析できる。たとえば、企業の技術力や発明者のレベル等は、主として、技術評価値に基づいて算出されればよい。また、企業や代理人の権利化能力等は、主として、法律評価値に基づいて算出されればよい。
高度な技術でなくても、侵害発見をしやすく牽制力の高い特許権は価値が高い。また、技術的に先進的であっても権利行使しにくい請求項の特許はそれほど価値が高くない。本実施例における評価モデルは、総合評価値のうちの技術に関わる評価因子が技術評価値として抽出される。このため、発明者レベルのような派生的な評価に対応しやすい評価モデルとなっている。更に、その発明評価値を技術評価値にフィードバックさせ、技術評価値を発明者評価値にフィードバックさせることにより、発明者評価と技術評価双方の妥当性を高めている。
特許権に限らず、特許出願からも技術評価値を抽出することにより、発明者評価値を計算するための要因となるべき情報をより広く、より早く得ることができる。たとえば、拒絶査定が確定した特許出願や出願公開されたばかりの新しい特許出願からでも、技術評価値を抽出できるため、これらの技術評価値を発明者評価値に反映させることができる。
無効リスク評価値についても同様である。企業が保有する特許資産の一部は、通常、無効理由を含むため将来の収益確保を期待できない可能性がある。特許評価から無効リスク評価を分離・抽出することにより、特許資産の抱える無効リスクを独立に評価できる。また、特許可能性評価によれば、今後の特許資産の増減の見込みを立てることができる。
総合評価値を構成する技術評価値は、更に、技術評価要素値に分解される。技術評価要素値は、さまざまな技術指標に基づいて算出される。法律評価値等についても同様である。このように、本実施例における評価モデルは階層化されているため、評価内容を精緻に分析しやすい構成となっている。たとえば、技術評価要素値の一例として基本技術度を抽出することにより、ある企業の保有する特許資産の基本技術度から、この企業の基礎開発力を指標化することもできる。
特許データに関わるさまざまな属性やその加工値が指標値あるいは要素値となる。1つの指標を、技術指標としても法律指標としても利用してもよい。一般的には、基本技術に関わる特許文献は、後願の審査で引用されることが多い。また、記載がわかりにくい文献は引用されにくい傾向にある。したがって、被引用数という指標は、基本技術度という技術評価要素値を計算するための技術指標として利用されるだけでなく、明快度という法律評価要素値を計算するための法律評価としても利用されてもよい。また、被引用数は、基本技術度を計算する上では重要な技術指標となるが、明快度を計算する上ではそれほど重要な法律指標とはならないかもしれない。技術評価や法律評価に対する各種指標の重みについては、専門家のコンセンサスや統計的分析の結果に基づいて適切な値を設定すればよい。
更に、本実施例に示した評価モデルによれば、特許権等の取引者の価値基準を重視比率に反映させることができる。たとえば、取引者Aが特許権Xを保有しているとする。取引者Aは、特許権の有効性を特に重視する。有効性重視の立場を重視比率に反映させた結果、特許権Xの総合評価値は「40」であったとする。一方、特許権Xの導入を検討している取引者Bは、特許権の有効性をそれほど重視せず、むしろ、技術的な価値を重視するとする。取引者Bのこのような価値基準を重視比率に反映させた結果、特許権Xの総合評価値は「60」となったとする。供給側の取引者Aにとっては特許権Xの価値は「40」だが、需要側の取引者Bにとっては「60」であるため、総合評価値を金銭換算することに合意できれば、取引が成立する可能性がある。
重視比率は、更に細かな単位で設定することも可能である。たとえば、技術評価要素値として、「特許技術の製品化に成功する可能性(具現性)」を設定したとする。この場合、取引者によって具現性の重視度は異なる。たとえば、当該技術分野について高い技術力を有している取引者にとっては具現性が低くても、製品化させる自信があれば、対象となる特許権を導入したいと考えるかもしれない。このように、取引者の価値基準の違いを評価モデルに反映させることにより、取引の成立を促進できる。また、このようなWIN−WIN型の取引を成立させるにより、特許権のポテンシャルがより発揮されることが期待できる。
標準とすべき重視比率は示されるべきであると考えるが、必要に応じて取引者の価値基準を重視比率に反映させることにより、より柔軟な特許評価が可能となる。このような柔軟な特許評価が可能となるのは、技術評価値などの各種評価因子を構造化することにより評価モデルを「柔らかく」構成しているためである。
実施例2.
実施例1によれば、図10に示すごとく企業の特許力値、すなわち特許権等の総合評価値の合計値、および発明力値、すなわちこの企業の研究開発エンジニアについての発明者評価値を合計した値を示すことができた。実施例2では、この特許力値と発明力値を用い、企業の特許に関する格付け(以下単に「格付け」という)を行う。以下、実施例2で「格付け」とは、その企業の特許に関する現在の格付け(以下「現在格付け」という)および将来の格付け(以下「将来格付け」という)の予測のふたつを併せた概念とする。なお本実施例では、特許力値の算出にあたり、総合評価部138は実際に特許になっているものに注目し、特許出願は計算に入れない一般的な構成とする。
図13は実施例2に係る特許評価装置1000の構成を示す。特許評価装置1000は図1の特許評価装置100に一部構成を加えたものであり、ここでは追加された構成を示している。特許評価装置1000は格付け部1002と企業情報記憶部1004を含む。格付け部1002は現在格付け部1006と将来格付け部1008を含む。
現在格付け部1006は総合評価部138からいま格付けしようとしている企業Xの特許力値を入力し、企業情報記憶部1004から同企業に関する情報を入力し、これらをもとに現在格付け関数(RPF: Rating for Present state Function)により同企業の現在格付けを導出する。
将来格付け部1008は総合評価部138から企業Xの特許力値を入力し、発明者評価部136から同企業の発明力値を入力し、これらをもとに将来格付け関数(RFF: Rating Future state Function)により同企業の将来格付けを導出する。現在格付け部1006と将来格付け部1008が導出した結果は特許評価格納部152へ保存され、適宜表示部116を通じてユーザに示される。
現在格付け部1006における現在格付け関数(RPF)として以下の例が考えられる。
例1: 特許力値を企業Xの財務データで割り、正規化する。正規化したあと、AAA、AA、A、BBB、・・・などのランクに振り分ける。財務データの例として、売上高、資本金、研究開発費等がある。財務データは企業情報記憶部1004から取得する。
例2: 特許力値を企業Xの規模データで割り、正規化する。ランクへの振り分けは例1と同様である。規模データの例として、全社員数、研究開発部門の社員数、例1と共通するが売上高などがある。規模データも企業情報記憶部1004から取得する。
いずれにしても、特許力値をそれを産み出した財務や会社規模などの要因の大きさという概念で正規化する。これにより、特許力値は小さくても、例えば売上高自体が小さい企業の場合、それなりに高い格付けを得ることがある。
ランクへの振り分けに当たっては、業界や技術分野(以下業界という)ごとに所属企業の上位1%をAAA、つぎの5%をAA、・・・というように相対評価を利用してもよいし、正規化後の値そのものによる絶対評価で振り分けをしてもよい。前者の場合、業界ごとに企業の格付けを同じ尺度で俯瞰することができ、いわゆる競合解析に有用な情報を提供する。一方、後者の場合、業界を横断する形で企業の格付けを知ることができ、いずれの業界において特許が幅を利かせているかや、業界に関係なく多数の企業について特許に関する強さを知ることができる。
一方、将来格付け部1008における将来格付け関数(RFF)は以下の手順で決める。まず、企業Xの現在の特許力値は、前年の特許力値に対し、その後1年で産まれる特許権等の総合評価値が加わって形成されたもの、と分解して考えることができる。そして、この「その後1年で産まれる特許権等の総合評価値」には、過去数年間の発明力値が関係してくる。いまわかりやすさのために以下の表記を用いる。
TPP(N): 西暦N年における特許力値(TPP: Total Patent Potential)
TIP(N): 西暦N年における発明力値(TIP: Total Invention Potential)
A(i): 西暦(N-i)年の発明力値のうち西暦N年の特許力値として顕在化するものの割合。なお、特許権の寿命は最大20年だから、ΣA(i)はi=1〜20の総和について1となるように正規化する。A(i)は時代によってあまり変化しない考えればNによらないパラメータとできるが、もちろんこれは法改正や統計データからNに依存する形としてもよい。例えば、西暦M年に出願の審査請求期間が短くなったとすると、M年以降、一般に特許出願から特許権になるまでの期間が短くなるため、A(i)はiが小さいときに大きめの数字となる。
k: 調整係数。発明力値には技術評価値は反映されていても法律評価値は反映されないから、暫定的に発明力値から特許力値への変換係数を設ける。
L(N): 西暦N年に満了、放棄等により消滅する特許に係る特許力値の合計(L: patent potential to be Lost)。満了で消滅する特許は特定できるが、放棄は特許権者の意思によるため予測できない。そこで本実施例では「寿命」ともいうべき定数αを導入し、L(N)=TPP(N-1)/αと仮定する。ここでαは特許権が発生してから消滅するまでの年数で、特許権者ごとに過去の統計から定めてもよいし、わが国に存在する特許全体に関する統計データを利用してもよい。
以上の表記により、西暦N年の特許力値は前年の特許力値と過去の発明力値を用いて以下の式(TPP式という)で計算することができる。
TPP(N)=TPP(N-1)+k・ΣA(i)・TIP(N-i)-L(N) (ただしΣはi=1〜20の総和)
なお、kは、TPP式による計算をこの企業が特許出願を始めた年から順次計算し、実際に各年について総合評価部138によって計算された特許力値と比較することで、所定の精度ないし範囲で決めることができる。
TPP式は特許力値を計算する年の前年までの特許力値を利用している。しかし、いま将来格付け関数(RFF)として必要なのは将来の特許力値の予測値である。このため、RFFは以下の手法を利用することができる。
手法1: 発明力値の将来値を予測し、これをTPP式に繰り返し入れることで数年先までの特許力値を予測する。発明力値の将来値を予測するために、既知の曲線近似等を利用してもよいし、直近の発明力値が今後も維持されると仮定してもよい。
手法2: 修正TPP式(MTPP: Modified TPP)を利用する。MTPP式として、直近数年の発明力値を利用せず、数年前までの発明力値だけで現在の特許力値を導出するものを作る。たとえば、3年後の特許力値を予測するMTPP式として以下のものが考えられる。
MTPP(N)=TPP(N-3)+k・ΣB(i)・TIP(N-i)-3・L(N-3)(ただしΣはi=3〜20の総和)
ここでB(i)はA(i)と同じ意味をもつパラメータであるが、ΣB(i)がi=3〜20の総和について1となるよう正規化しなおしたものである。現在日本では出願審査の請求の期間が3年あり、企業は一般に、出願後ある程度の期間を経て審査請求をする。その後、特許庁における審査期間があるため、発明力値が特許力値に現れるタイムラグは、3年から5、6年はありそうである。したがって、B(i)をi=3以上で計算しても、現実にはさして大きな問題はない。
将来格付け部1008は将来格付けを導出したあと、現在格付け部1006同様の手法でランクへの振り分けを行う。ほかの態様として、将来格付け部1008は将来格付けが現在格付け部1006による現在格付けより上昇するか、現在のまま維持されるか、下降するかを矢印等の表記で示してもよい。さらに、そうした昇降の度合いも矢印の角度等によって示してもよい。昇降の度合いは、例えば将来の特許力予測値の現在の特許力値に対する比率をもとに決めればよい。たとえば、前者と後者の値が(100,150)の企業は、同様に(100,120)の企業よりも上昇の力が強いため、より高い方向を向いた矢印で示すことができる。
図14は、実施例2による現在格付けおよび3年後を想定した将来格付けの一覧を示す。企業欄1020には格付けの対象となった企業C0〜C10、現在格付け欄1022にはそれら企業の現在の格付け、将来格付け欄1024には将来の格付け、予測変化欄1026には格付けの昇降の力ないし度合いをそれぞれ示す。ここで企業は現在格付けの高い順に並べられ、現在格付けが同じものについては将来格付けが高い順に並べられている。将来格付けまで同じものについては、上昇の度合いが強いものから順に並べられている。ここでは企業C3が最高位にランク付けされている。この企業は現在格付けも将来格付けもAAAであり、しかも現在から3年後にかけて、格付けないし特許力値はまだ上昇の方向にある。このように、格付け自体は同じでも、方向としては上昇、維持、下降がありうる。
なお、ここでは現在格付け部1006、将来格付け部1008は特許力値を正規化した後、ランクへの振り分けを行った。しかし、ランクへの振り分けを行わず、単に正規化した後の数値自体を出力してもよい。その場合、図14の現在格付け欄1022、将来格付け欄1024の欄には数値が表示されるが、それでもその数値は細かいランクを示すものであるから、格付けと呼んで差し支えない。
また、ここでは特許力値の昇降を矢印とその角度で示したが、もちろん表現はこれらに限られない。たとえば、将来格付け部1008は特許力値の昇降を成長度という観点から点数で表現したり、色分けで示すなど、ユーザが把握できる形式であれば何でもよい。
ここでは格付けの対象として企業を説明したが、もちろんこれは特許(特許権、特許を受ける権利)に関するどのような権利主体であってもよい。
なお、この実施例では格付けとして現在と将来の両方を対象にするものとしたが、もちろんそれらの一方だけを対象としても格付けと呼んで差し支えない。
以上、本実施例によれば、企業を特許という面から格付けすることができる。また、その格付けを現在だけでなく将来についても予測することができる。そのため、例えば投融資の指標として利用したり、知的財産の有効活用度といった観点から企業の経営支援を行うことが容易になる。
実施例3.
実施例2では格付け部1002は発明者評価部136から発明力値を得た。しかし、発明者評価部136は発明者の評価を目的としており、場合により、最近に近い実績を重視するよう関数が定められている。一方、いま注目すべき特許力値は最近か過去かは問題とせず、特許権が存在するかぎりその特許権による影響力を反映するものである。
したがって、実施例3では、格付け部1002は発明者評価部136から発明力値を得る代わりに、より生のデータを取得する。具体的には、発明者評価部136から図4の技術評価累計欄202の値をダイレクトに取得し、これを全発明者について年毎に合計し、これを新たな発明力値として利用する。以降の処理は実施例2同様である。実施例3によれば実施例2同様の効果をさらに高い精度で実現することができる。
実施例4.
実施例2ではkという調整係数を導入した。このkは前述のごとく所定の精度ないし範囲で決めることができる。こうして定まったkは、実はその企業の特許に関する法律評価値の高さと無効リスク評価値の低さのふたつに関する総合評価、すなわち、「技術価値ではなく、それを有効に育てる特許マネジメント力」とも呼ぶべき力を示すものとなる。なぜなら、特許力値のうち技術評価値に関する部分は発明力値から決まり、それはすでに前述のTPP式やMTPP式に正確に反映されているためである。このことから、このkには以下の用途が生じる。
用途1: 図13の格付け部1002においてkの値によって企業をランク分けし、「特許マネジメント力」に関する格付けを行う。
用途2: 基礎技術の法律評価部130と無効評価部132からの評価値を格付け部1002に入力し、kの値をもとに、法律評価部130と無効評価部132に対して評価精度を改善するためのフィードバックループを形成する。
用途3: 用途2とは逆に、法律評価部130と無効評価部132からの評価値を利用し、格付け部1002においてkの値を改善して利用する。
以上、実施例4によれば実施例2同様の効果を得つつ、さらに異なる観点で企業を評価したり評価の精度を高めることができる。
以上、本発明について実施例をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
100,102 特許評価装置、104 発明者評価装置、110 UI部、112 入力部、114 重視度入力部、116 表示部、120 データ処理部、122 評価部、124 データ取得部、126 データ抽出部、128 技術評価部、130 法律評価部、132 無効評価部、134 特許可能性評価部、136 発明者評価部、138 総合評価部、140 文献取得部、142 発明者特定部、150 データ格納部、152 特許評価格納部、154 技術評価格納部、156 法律評価格納部、158 無効評価格納部、160 特許可能性格納部、162 発明者評価格納部、164 特許データベース、166 データ解析部、168 特許ID欄、170 出願番号欄、172 特許番号欄、174 出願人欄、176 特許権者欄、178 発明者ID欄、180 属性欄、182 技術評価値欄、184 法律評価値欄、186 無効リスク評価値欄、188 特許可能性評価値欄、190 総合評価値欄、192 評価欄、194 特許ID欄、196 指標欄、198 発明者評価値欄、200 発明者ID欄、202 技術評価累計欄、204 発明者評価値欄、206 三次元評価空間、208 二次元評価空間、210 重視度変更チャート、212 要素欄、214 通信部、216 技術評価送信部、218 発明者評価取得部、220 UI部、222 入力部、224 表示部、226 データ処理部、228 通信部、230 技術評価取得部、232 発明者評価送信部、234 データ格納部、250 特許評価システム、1000 特許評価装置、1002 格付け部、1004 企業情報記憶部、1006 現在格付け部、1008 将来格付け部。

Claims (40)

  1. 特許文献データを取得する文献取得部と、
    前記特許文献データを技術面から見た価値の指標として、技術評価値を算出する技術評価部と、
    前記特許文献データを法律面から見た価値の指標として、法律評価値を算出する法律評価部と、
    前記技術評価値および前記法律評価値を変数とする総合評価関数により、前記特許文献データの総合評価値を算出する総合評価部と、
    を備えることを特徴とする特許評価装置。
  2. 前記技術評価値および前記法律評価値の重視比率を設定するためのユーザによる入力を受け付けるコア重視度入力部、を更に備え、
    前記総合評価部は、前記重視比率に基づいて、前記総合評価値に対する前記技術評価値および前記法律評価値の影響度を変更することを特徴とする請求項1に記載の特許評価装置。
  3. 前記技術評価部は、複数の評価項目に対する評価要素値を変数とする技術評価関数により、前記技術評価値を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の特許評価装置。
  4. 前記技術評価部は、記憶媒体に保存された複数の前記評価要素値をメモリにロードし、前記技術評価関数の計算ルーチンに前記複数の評価要素値を変数として設定した上で、前記計算ルーチンを実行することにより、前記技術評価値を算出することを特徴とする請求項3に記載の特許評価装置。
  5. 前記法律評価部は、複数の評価項目に対する評価要素値を変数とする法律評価関数により、前記法律評価値を算出することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の特許評価装置。
  6. 前記総合評価関数は、前記技術評価値および前記法律評価値のいずれに対しても単調増加関数であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の特許評価装置。
  7. 前記技術評価値、前記法律評価値および前記総合評価値のうちの2以上を軸とする座標空間を画面表示させ、前記特許文献データの評価結果に対応する座標にアイコンを表示させる表示部、を更に備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の特許評価装置。
  8. 前記特許文献データが特許権の内容を示す文献データであるとき、前記特許権が無効となる可能性の高さを示す指標として、無効リスク評価値を算出する無効評価部、を更に備え、
    前記総合評価関数は、更に、前記無効リスク評価値を変数として含む関数であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の特許評価装置。
  9. 前記無効リスク評価値の重視度を設定するためのユーザによる入力を受け付ける無効性重視度入力部、を更に備え、
    前記総合評価部は、前記無効リスク評価値の重視度に基づいて、前記総合評価値に対する前記無効リスク評価値の影響度を変更することを特徴とする請求項8に記載の特許評価装置。
  10. 前記総合評価関数は、前記無効リスク評価値に対しては単調減少関数であることを特徴とする請求項8または9に記載の特許評価装置。
  11. 前記特許文献データが特許出願の内容を示す文献データであるとき、前記特許出願が特許となる可能性の高さを示す指標として、特許可能性評価値を算出する特許可能性評価部、を更に備え、
    前記総合評価関数は、前記特許可能性評価値を変数として含む関数であることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の特許評価装置。
  12. 前記特許可能性評価値の重視度を設定するためのユーザによる入力を受け付ける特許可能性重視度入力部、を更に備え、
    前記総合評価部は、前記特許可能性評価値の重視度に基づいて、前記総合評価値に対する前記特許可能性評価値の影響度を変更することを特徴とする請求項11に記載の特許評価装置。
  13. 前記総合評価関数は、前記特許可能性評価値に対しては単調増加関数であることを特徴とする請求項11または12に記載の特許評価装置。
  14. 発明者と前記発明者の発明レベルを示す発明者評価値を対応づけて保持する発明者評価格納部と、
    前記特許文献データの発明者を特定する発明者特定部と、
    前記特許文献データについて算出された前記技術評価値を変数とする発明者評価関数により、前記特定された発明者に対応する発明者評価値を更新する発明者評価部と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の特許評価装置。
  15. 発明者と前記発明者の発明レベルを示す発明者評価値を対応づけて保持する発明者評価格納部と、
    前記特許文献データの発明者を特定する発明者特定部と、を更に備え、
    前記技術評価関数は、前記発明者評価値を変数として含む関数であることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の特許評価装置。
  16. 前記技術評価値を変数とする発明者評価関数により、更に、前記特定された発明者に対応する発明者評価値を前記技術評価値に基づいて更新する発明者評価部、を更に備えることを特徴とする請求項15に記載の特許評価装置。
  17. 前記発明者評価関数は、出願日時が新しい特許文献データの技術評価値ほど前記発明者評価値に対する影響が大きくなるように設定された関数であることを特徴とする請求項14または16に記載の特許評価装置。
  18. 前記発明者評価関数は特許出願の内容を示す特許文献データから算出された技術評価値よりも特許権の内容を示す特許文献データから算出された技術評価値の方が前記発明者評価値に大きく影響するように設定された関数であることを特徴とする請求項14、16および17のいずれかに記載の特許評価装置。
  19. 発明者と前記発明者の発明レベルを示す発明者評価値を対応づけて保持する発明者評価格納部と、
    前記発明者に対応する特許文献データの技術面から見た価値を示す技術評価値を取得する技術評価取得部と、
    前記取得された技術評価値に応じて前記発明者評価値を更新する発明者評価部と、
    を備えることを特徴とする発明者評価装置。
  20. 前記発明者評価部は、出願日時が新しい特許文献データの技術評価値ほど前記発明者評価値に大きく反映させることを特徴とする請求項19に記載の発明者評価装置。
  21. 前記発明者評価部は、特許出願の内容を示す特許文献データの技術評価値よりも特許権の内容を示す特許文献データの技術評価値の方を前記発明者評価値に大きく反映させることを特徴とする請求項19または20に記載の特許評価装置。
  22. 特許文献データの評価要素値をメモリにロードし、技術評価関数の計算ルーチンに前記評価要素値を変数として設定した上で、前記計算ルーチンを実行することにより、前記特許文献データの技術面から見た価値を示す指標値としての技術評価値を算出する技術評価部と、
    前記特許文献データの評価要素値をメモリにロードし、法律評価関数の計算ルーチンに前記評価要素値を変数として設定した上で、前記計算ルーチンを実行することにより、前記特許文献データの法律面から見た価値を示す指標値として法律評価値を算出する法律評価部と、
    総合評価関数の計算ルーチンに前記技術評価値および前記法律評価値を変数として設定した上で、前記計算ルーチンを実行することにより、前記特許文献データの総合的な価値を示す指標値として総合評価値を算出する総合評価部と、
    を備えることを特徴とする特許評価装置。
  23. 前記技術評価部は、前記特許文献データの複数種類の属性値を複数種類の技術要素評価関数の変数として設定した上で各技術要素評価関数を実行することにより複数種類の評価要素値を算出し、前記複数種類の評価要素値を変数として前記技術評価関数を実行することにより、前記技術評価値を算出することを特徴とする請求項22に記載の特許評価装置。
  24. 前記法律評価部は、前記特許文献データの複数種類の属性値を複数種類の法律要素評価関数の変数として設定した上で各法律要素評価関数を実行することにより複数種類の評価要素値を算出し、前記複数種類の評価要素値を変数として前記法律評価関数を実行することにより、前記法律評価値を算出することを特徴とする請求項22または23に記載の特許評価装置。
  25. 前記総合評価関数は、前記技術評価値および前記法律評価値のいずれに対しても単調増加関数であることを特徴とする請求項22から24のいずれかに記載の特許評価装置。
  26. 前記特許文献データが特許権の内容を示す文献データであるとき、前記特許文献データの複数種類の属性値を有効性評価関数の変数として設定した上で、前記有効性評価関数を実行することにより、前記特許権が無効となる可能性の高さを示す指標としての無効リスク評価値を算出する無効評価部、を更に備え、
    前記総合評価関数は、前記無効リスク評価値を変数として含む関数であることを特徴とする請求項22から25のいずれかに記載の特許評価装置。
  27. 特許文献データの発明者および出願日を示す情報と前記特許文献データの技術面から見た価値を示す技術評価値を取得し、前記発明者、前記出願日および前記技術評価値を対応づける技術評価取得部と、
    前記発明者に対応づけられている技術評価値を変数として、前記発明者の発明レベルを示す発明者評価値を算出する発明者評価部と、を備え、
    前記発明者評価部は、前記技術評価値が大きいほど前記発明者評価値が大きくなり、かつ、出願日が新しい特許文献データの技術評価値ほど前記発明者評価値への影響が大きくなるように定義された発明者評価関数により、前記発明者評価値を算出することを特徴とする発明者評価装置。
  28. 特許文献データの技術面からみた価値を示す技術評価値を取得する技術評価部と、
    前記特許文献データの法律面からみた価値を示す法律評価値を取得する法律評価部と、
    前記技術評価値および前記法律評価値の重視比率を変更するための入力を受け付けるコア重視度入力部と、
    前記技術評価値および前記法律評価値の双方に対して増加関数となる総合評価関数により、前記特許文献データの総合評価値を算出する総合評価部と、を備え、
    前記総合評価部は、前記重視比率の変更に応じて、前記総合評価関数に含まれる係数値を変更することを特徴とする特許評価装置。
  29. 特許文献データを技術面から見た価値の指標として、技術評価値を算出する機能と、
    前記特許文献データを法律面から見た価値の指標として、法律評価値を算出する機能と、
    前記技術評価値および前記法律評価値を変数とする総合評価関数により、前記特許文献データの総合評価値を算出する機能と、
    をコンピュータに発揮させることを特徴とする特許評価プログラム。
  30. コンピュータ・プロセッサにより実行可能な形式に変換されるコンピュータプログラムであって、
    特許文献データの評価要素値をメモリにロードし、技術評価関数の計算ルーチンに前記評価要素値を変数として設定した上で、前記計算ルーチンを実行することにより、前記特許文献データの技術面から見た価値を示す技術評価値を算出するプログラムコードと、
    前記特許文献データの評価要素値をメモリにロードし、法律評価関数の計算ルーチンに前記評価要素値を変数として設定した上で、前記計算ルーチンを実行することにより、前記特許文献データの法律面から見た価値を示す法律評価値を算出するプログラムコードと、
    総合評価関数の計算ルーチンに前記技術評価値および前記法律評価値を変数として設定した上で、前記計算ルーチンを実行することにより、前記特許文献データの総合的な価値を示す総合評価値を算出するプログラムコードと、
    を備えることを特徴とする特許評価プログラム。
  31. 発明者と前記発明者の発明レベルを示す発明者評価値を対応づけて保持する機能と、
    前記発明者に対応する特許文献データの技術面から見た価値を示す技術評価値を取得する機能と、
    前記取得された技術評価値に応じて前記発明者評価値を更新する機能と、
    をコンピュータに発揮させることを特徴とする発明者評価プログラム。
  32. 評価対象となる権利主体に関する特許文献データを技術面から見たときに定まる価値を含む特許力値を導出する総合評価部と、
    特許力値をそれを産み出す要因の大きさによって正規化してランク分けする格付け部と、
    を備えることを特徴とする特許評価装置。
  33. 評価対象となる権利主体に関する特許文献データを技術面から見たときに定まる価値を含む特許力値を導出する総合評価部と、
    前記権利主体にて発明行為をなす発明者により発揮される発明力値を算出する発明者評価部と、
    特許力値および発明力値を入力し、前記権利主体の現在および将来の特許力値に関するランクを導出する格付け部と、
    を備えることを特徴とする特許評価装置。
  34. 請求項33に記載の装置において、前記格付け部は、現在ないし過去の発明力値から将来の発明力値を予測し、その予測値をもとに将来の特許力値のランクを導出する将来格付け部を含むことを特徴とする特許評価装置。
  35. 請求項33に記載の装置において、前記格付け部は、所定数年以上前の発明力値が将来の特許力値に与える影響を見積もり、これをもとに将来の特許力値のランクを導出する将来格付け部を含むことを特徴とする特許評価装置。
  36. 請求項33に記載の装置において、前記格付け部は、すでに導出されている、ある年の特許力値に対し、その翌年特許力値として顕在化すべき過去の発明力値からの寄与分を加算することにより、翌年の特許力値のランクを導出する将来格付け部を含むことを特徴とする特許評価装置。
  37. 評価対象となる権利主体が特許に関して保有する価値である特許力値、および、前記権利主体にて発明行為をなす発明者により発揮される発明力値を入力し、前記権利主体の将来の特許力値のランクを導出する将来格付け部を備えることを特徴とする特許評価装置。
  38. 請求項37に記載の装置において、前記将来格付け部は、前記権利主体の現在の特許力値のランクから見て将来の特許力値のランクが上昇、維持、下降のいずれを辿ると予測されるかを示すことを特徴とする特許評価装置。
  39. 請求項38に記載の装置において、前記将来格付け部は、前記将来の特許力値のランクが上昇ないし下降するとき、その昇降の度合いも併せて示すことを特徴とする特許評価装置。
  40. コンピュータ・プロセッサにより実行可能な形式に変換されるコンピュータプログラムであって、
    評価対象となる権利主体に関する特許文献データを技術面から見たときに定まる価値を含む特許力値を導出する機能と、
    特許力値をそれを産み出す要因の規模によって正規化してランク分けする機能と、
    を含むことを特徴とする特許評価プログラム。
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