以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。例えば、以下の実施形態では、振動フィーダ12による供給ホッパ13への物品供給が、図6の制御パターンIIに基づいて制御される例を述べているが、本発明の組合せ秤による物品供給は、このような制御パターンIIに限定されず、例えば、図6の従来の制御パターンIに基づいて制御するものであってもよい。
(実施形態)
<組合せ秤の全体構成>
図1は、本発明の実施形態の組合せ秤の概略構成を側方視した図である。図2は、図1の組合せ秤の制御系の一例を示したブロック図である。但し、図2では、図1の組合せ秤の制御系のうち、任意の一つの振動フィーダ12の制御系の構成と、任意の一つの供給ホッパ13に供給される物品の供給重量の計量制御系の構成と、が代表的に図示されている。他の振動フィーダ12についての制御系の構成および他の供給ホッパ13についての計量制御系の構成は、図2と同様である。
図1に示すように、組合せ秤100には、装置中央に配設されたセンター基体(ボディ)1の上部に、外部の供給装置10から供給される物品を振動によって放射状に分散させる円錐形の分散フィーダ11が設けられている。
分散フィーダ11は、物品が載せられる円錐形の分散テーブル11aと、分散テーブル11aを振動させる振動装置11bとを備える。これにより、供給装置10から分散テーブル11aの中央部に供給される物品が、振動装置11bの振動によってその周縁部方向へ送り出される。
分散フィーダ11の周囲には、分散フィーダ11から送られてきた物品を振動によって搬送し各供給ホッパ13へ送りこむための複数の振動フィーダ12が放射状に設けられている。
各振動フィーダ12には、物品を載せて搬送するためのトラフ12aと、トラフ12aを振動させる振動装置12bとが備えられている。なお、振動フィーダ12の詳細な構成は後述する。
また、各振動フィーダ12の下方には、供給ホッパ13及び計量ホッパ14がそれぞれ対応して設けられ、それぞれ円状に配設されている。
供給ホッパ13は振動フィーダ12から送りこまれた物品を受け取り、その下方に配置された計量ホッパ14が空になると、計量ホッパ14の制御回路(図示せず)からの排出指令信号(図2参照)が出力され、これにより、排出ゲート13gを開いて計量ホッパ14へ物品を排出する(つまり、計量ホッパ14に物品を投入する)。
図1に示すように、各計量ホッパ14にはロードセル等の重量センサ15が取り付けられており、この重量センサ15により計量ホッパ14内の物品の重量が計量される。なお、この物品の重量に基づいて、計量ホッパ14のそれぞれを用いた周知の組合せ演算が行われる。
また、本実施形態の組合せ秤100では、各供給ホッパ13にもロードセル等の重量センサ15’が取り付けられており、本実施形態は、この重量センサ15’により供給ホッパ13内の物品の供給重量が計量されるという特徴があるが、この点の詳細は後述する。
なお、各重量センサ15,15’の計量値は制御装置19へ出力される。
図1に示すように、円状に列設された計量ホッパ14の下方には、略逆円錐台形状の集合シュート16が配設され、集合シュート16の下方にはファネル状の排出シュート17が設けられている。
制御装置19によって組合せ選択された計量ホッパ14は、その排出ゲート14gを開いて物品を外部排出し、そのとき排出された物品は集合シュート16上を滑り落ち、排出シュート17を介して、例えば、図示しない包装機に送られる。
また、組合せ秤100には、分散フィーダ11上の物品の量を検出するためのレベル検出器18が設けられている。このレベル検出器18として、例えば、超音波センサが用いられ、分散フィーダ11上の物品の層厚が検出され、その検出信号は制御装置19へ出力される。一方、制御装置19は、レベル検出器18によって検出される分散フィーダ11上の物品の層厚を基づいて、分散フィーダ11上の物品の量が常に一定に保たれるように、供給装置10を制御する。
このようにして、本実施形態の組合せ秤100には、振動フィーダ12、供給ホッパ13、計量ホッパ14および重量センサ15,15’を一組とするユニットが複数組設けられている。
また、図1および図2に示すように、制御装置19は、振動フィーダ駆動制御回路19dと、供給ホッパ重量計量回路19eと、入出力回路19cと、演算制御部19aと、記憶部19bと、を備える。
振動フィーダ駆動制御回路19dは、演算制御部19aからの指令に基づいて振動フィーダ12の電磁石24に電磁石励磁のための様々な信号を印加する機能を備える。
供給ホッパ重量計量回路19eは、例えば、図示しない増幅器、フィルタおよびA/D変換器等を含み、重量センサ15’の出力信号(後述の供給重量信号)を受け取り、演算制御部19aからのA/D変換指令に基づいて本信号を演算制御部19aに送る機能を備える。
入出力回路19cは、振動フィーダ駆動制御回路19dと、供給ホッパ重量計量回路19eと、演算制御部19aと、操作表示器20との間で各種の信号やデータの受け渡しを行う機能を備える。
操作表示器20は、例えば、タッチスクリーン式のディスプレイ画面を備え、組合せ秤100の操作および組合せ秤100の動作パラメータの設定等を行うための入力手段としての機能を備える。
なお、制御装置19の演算制御部19aには、例えば、マイクロコンピュータのマイクロプロセッサ(CPU)が用いられる。また、制御装置19の記憶部19bには、例えば、このマイクロコンピュータの内部メモリが用いられる。
そして、記憶部19bには制御プログラムが格納され、さらに、各種データが記憶され、上記CPUが記憶部19bに格納されている制御プログラムを実行することにより、供給装置10及び組合せ秤100の全体の動作が制御されるとともに、組合せ動作の制御や組合せ演算が実行される。
つまり、制御装置19は、供給装置10の制御、分散フィーダ11の振動装置11bの制御、各振動フィーダ12の振動装置12bの制御、供給ホッパ13及び計量ホッパ14の排出ゲート13g,14gの開閉制御等を行う。また、制御装置19は、重量センサ15のそれぞれにより計量される物品の重量に基づいて組合せ演算を行い、複数の計量ホッパ14の中から、供給されている物品の重量の合計が、予め定められた所定重量範囲(目標重量Wtの許容範囲)内になる計量ホッパ14の組合せの1つを組合せ選択する。
更に、本実施形態では、制御装置19は、重量センサ15’のそれぞれから出力される出力信号(供給重量信号)を用いて、各重量センサ15’に対応する振動フィーダ12のそれぞれの操作量に対して様々な制御を行っているが、その詳細は後述する。
なお、制御装置は、必ずしも単独の制御器で構成される必要はなく、複数の制御器が分散配置されていて、それらが協働して組合せ秤100及び供給装置10の制御等を行うよう、制御装置を構成してもよい。
例えば、本実施形態では、制御装置19が、後述の振動フィーダ制御手段を含み、振動フィーダ12の様々な制御機能は、制御装置19によって実現されているが、組合せ秤100は、制御装置19とは別個の振動フィーダ制御手段を備えてもよい。
<振動フィーダの詳細構成>
図3(a)は、図1の組合せ秤に用いる振動フィーダの一例を示す斜視図であり、図3(b)は、同振動フィーダの側面図である。
図3に示すように、振動フィーダ12は、物品載荷部であるトラフ12aと、トラフ12aを振動させる振動装置(振動装置部)12bとを備える。このトラフ12aの基端部(後部)に分散フィーダ11からの物品が供給され、トラフ12aを振動させることにより物品は前方向へ搬送され、トラフ12aの先端部から排出される。
振動装置12bは、固定フレーム21に、例えば、カーボン製の板ばねからなる弾性部材23a、23bを介して揺動可能に可動板22が取り付けられている。弾性部材23a、23bは、その上端部側が後方側に傾斜するように固定フレーム21と可動板22との間に取り付けられている。
固定フレーム21には、電磁石24が水平面に対して所定角度を有するように固定され、可動板22には、電磁石24と所定間隔を有して対向するように、被吸着部材(アーマチュア)25が取り付けられている。固定フレーム21は、防振ばね26を介してセンター基体1(図1)に取り付けられている。
振動装置12bの可動板22の上面には取付け部27が固着され、トラフ12aは、その下面に設けられた取付け金具28によって、取付け部27に着脱自在に取り付けられている。
次に、この振動フィーダ12の振動機構について説明する。なお、以降の説明において、電磁石24に駆動信号を印加することは、電磁石24のコイルに駆動信号を印加することを指すものとする。
電磁石24に駆動信号を印加すると、電磁石24が可動板22に固定された被吸着部材25を吸引する。このとき、可動板22は、可動板22と固定フレーム21を連結している弾性部材23a、23bが弾性変形することによって、電磁石24側、すなわち後方斜め下方向へ移動する。次に、電磁石24への駆動信号の印加を停止させると、電磁石24に生じる吸引力が解除され、弾性部材23a、23bの弾性反発力によって可動板22が前方斜め上方向に移動する。トラフ12aは可動板22とともに移動するので、上記動作を繰り返すことによって、トラフ12aが振動し、トラフ12a上の物品が前方へ搬送される。
なお、振動装置12bを構成する、固定フレーム21、可動板22、弾性部材23a、23b、電磁石24及び被吸着部材25の形状及び配置は、図3に示すものに限らず、周知の種々の構成を用いることができる。
<振動フィーダの駆動信号およびその設定法>
図4は、図1の組合せ秤における振動フィーダの電磁石に周期的に印加する一般的な駆動信号と、そのときのトラフの振動変位とを示した図である。
一般的に、振動フィーダ12の駆動開始時に、電圧Va、パルス幅(印加時間)Tpの初期吸引パルスPoを振動フィーダ12の電磁石24に印加し、その後、時間Ts経過後から駆動終了時までの間に、電圧Va、パルス幅Taの駆動信号Ps(Ps1,Ps2,・・・)を周期Tv(駆動周波数fv=1/Tv)で印加するようにしている。
ここで、電磁石24に初期吸引パルスPoを印加することにより、トラフ12aが目標振幅Atに対応する振動変位となるように印加時間Tpが設定されている。
つまり、パルス幅Tpの初期吸引パルスPoを印加することにより、トラフ12aの位置が目標振幅Atに対応する位置になる。これにより、トラフ12aの振動についての優れた立ち上がり特性が得られる。この目標振幅Atに対応する位置とは、トラフ12aが目標振幅Atで振動する場合の振動の下端位置に相当する。なお、目標振幅Atは、トラフ12の振動振幅の目標値であり、搬送物品の種類、搬送量等を勘案して定められている。また、電圧Vaは、予め駆動信号として定められた所定電圧であり、例えば、電磁石24の定格電圧としてもよい。
振動フィーダ12の駆動開始時に、1つの初期吸引パルスPoを振動フィーダ12の電磁石24に印加することにより、トラフ12aを目標振幅Atに対応する位置に変移させるようにしたが、図4の2点鎖線で示す如く、電磁石24に、1つの初期吸引パルスPoに代えて、2つの初期吸引のパルスPo1,Po2を印加するようにしてもよい。
なお、初期吸引パルスPoのパルス幅Tp、時間Ts、駆動信号Psの周波数fv及び周期Tv、駆動信号Psのパルス幅Ta等は、例えば、レーザ変位計を用いた実験検討等に基づいて決めることができる。これらの決め方については、例えば、特開2011−84396号公報に開示されている。よって、ここでは、本決め方の詳細な説明は省略する。また、図4に示すように、駆動信号Psの立ち下がりタイミング(印加終了時点)が、振動変位が0(静止時における位置)になるタイミングと一致するようにしている。この理由ついても、例えば、上記特開2011−84396号公報に開示されている。よって、ここでは、本内容の詳細な説明も省略する。
<振動フィーダの駆動時間および供給停止パルス>
図5は、図1の組合せ秤における振動フィーダの電磁石に印加する供給停止パルスの説明に用いる図である。
図5に示すように、両隣の駆動信号Psの中間付近に、適宜のパルス幅Tcの供給停止パルス(供給停止信号)を振動フィーダ12の電磁石24に印加することにより、振動フィーダ12には、振動フィーダ12の振動方向とは逆位相を力が作用し、図5に示す如く、振動フィーダ12の振動を停止できる。
この場合、組合せ秤100には、駆動信号Psの出力数を検出するためのカウンタCt(時間検出手段)が設けられている。そして、供給停止パルスの立ち下がりタイミング(印加終了時点)を駆動停止タイミングとし、振動フィーダ12の駆動開始時から駆動停止タイミングまでの駆動信号Psの出力数(パルス数)を振動フィーダ12の駆動時間(つまり、物品の供給に用いる駆動信号を振動フィーダ12の電磁石24に印加する時間)として用い、制御装置19は、カウンタCtから出力される上記駆動時間を物品の供給時間として検出する。但し、駆動信号Psの出力数(パルス数)の代わりに、振動フィーダ12の駆動開始時から駆動停止タイミングまでの時間をカウンタCtで計測してもよい。
<振動フィーダによる物品供給の制御パターン>
図6は、図1の組合せ秤における振動フィーダによる供給ホッパへの物品供給の制御パターンの一例を示した図である。図6の横軸には、振動フィーダ12の駆動信号のパルス数(振動フィーダの駆動時間に対応)を取り、図6の縦軸に駆動信号のパルス幅(振動フィーダ12のトラフ12aの振動振幅に対応)を取っている。
[供給ホッパへの物品供給の制御パターンI(従来例)]
図6には、振動フィーダ12のトラフ12a上に標準的な重量の物品を載置して振動フィーダ12を駆動させて行われる、一般的な供給ホッパ13への物品供給の制御パターンI(以下、「制御パターンI」と略す場合がある)が示されている。
そこで、まず、従来例による制御パターンIについて説明する。
制御パターンIでは、図6に示す如く、駆動信号のパルス幅Tas(一定)にてカウンタCtが供給停止パルス数Nsをカウントするまで、駆動信号が振動フィーダ12の電磁石24に印加される。すると、供給ホッパ13に供給される物品の重量が平均的に目標値Wqtになる。なお、駆動信号の周波数fv(1/周期「Tv」)は、標準的な重量の物品がトラフ12a上に載置された場合の、振動フィーダ12の固有振動数のk倍(例えば、k=1.1)を選択している。
そして、振動フィーダ12のトラフ12a上の物品は、上記の駆動信号のパルス幅に対応する振動フィーダ12の振幅に大小に応じた量で供給ホッパ13に供給され、かつ、この駆動信号のパルス数に応じた量で供給ホッパ13に供給される。よって、この場合、供給ホッパ13への物品の供給重量(ここでは、目標値Wqtとほぼ等しい)は、図6の点「a」,「b」,「c」,「d」で囲まれた面積にほぼ対応すると見なすことができる。なお、制御パターンIにおける駆動信号のパルス幅Tasおよび物品の供給停止パルス数Nsによって、以上の点「a」,「b」,「c」,「d」を特定することができる。
[供給ホッパへの物品供給の制御パターンII(目標供給モデル)]
次に、供給ホッパ13への物品供給の目標供給モデルの制御パターンII(以下、「制御パターンII」と略す場合がある)について説明する。
本実施形態の組合せ秤100では、供給ホッパ13への物品供給過程において、従来例の制御パターンIと同様に、振動フィーダ12の電磁石24に印加する駆動信号のパルス幅を一定にして振動フィーダ12の制御を行うことも可能であるが、図6の制御パターンIIの如く、振動フィーダ12の電磁石24に周期的に印加する駆動信号(制御信号)のパルス幅を制御する方が好ましい。
具体的には、供給ホッパ13への物品供給開始時の駆動信号のパルス幅Ta0が、制御パターンIにおける駆動信号のパルス幅Tasを超える値に設定されている。また、供給ホッパ13への物品供給過程の適時以降(ここでは、パルス数N0以降)において、駆動信号のパルス数の増加に応じて振動フィーダ12の電磁石24に印加する駆動信号のパルス幅を、漸減させている。そして、供給ホッパ13への物品の供給停止予定パルス数Nr(物品の供給停止時間)付近において、振動フィーダ12の電磁石24に印加する駆動信号のパルス幅Tarが、制御パターンIにおける駆動信号のパルス幅Tasを下回る値に設定されている。
以上により、供給ホッパ13への物品供給が、従来例に比べて平均的に早く完了できる。また、供給ホッパ13への物品の供給停止予定パルス数Nr付近において、駆動信号のパルス幅Tarが、制御パターンIにおける駆動信号のパルス幅Tasよりも小さくなるので、供給ホッパ13への物品の供給精度が、従来例に比べて向上する。
次に、制御パターンIIを用いる場合の振動フィーダ12の電磁石24に印加する信号の一例について説明する。
図8は、図1の組合せ秤における振動フィーダの電磁石に印加する信号の一例と、そのときのトラフの振動変位(振動フィーダの振幅)の一例とを示した図である。
なお、図8では、上記の制御パターンIにおける駆動信号のパルス幅Tas(図6参照)にて振動フィーダ12を駆動させた場合の振動フィーダ12の標準振幅を、振幅Asとしている。
また、図中および以下の説明において、必要に応じて、上記パルス数N0を「n〈0〉」と略記し、上記供給停止予定パルス数Nrを「n〈r〉」と略記する場合がある。そして、「n〈x〉」或いは「Nx」と表記する場合、これらのパルス数は、「N0」+「x」であることを示している。
また、図中および以下の説明において、必要に応じて、パルス数「n〈x〉」に対応する駆動信号のパルス幅を「Tax」或いは「Ta〈x〉」と略記する場合がある。
更に、図中および以下の説明において、適宜の物理量表記(例えば、後述の物品の供給流量wq)について、「物理量表記〈x〉」或いは「物理量表記x」(例えば、「wq〈x〉」或いは「wqx」)の如く、略記する場合がある。つまり、このような「wq〈x〉」或いは「wqx」は、パルス数n〈x〉に対応する物品の供給流量wqであることを表している。
図8に示すように、本実施形態の組合せ秤100では、振動フィーダ制御手段(制御装置19)は、供給ホッパ13への物品の供給開始時においては、振動フィーダ12の振幅A0が標準振幅Asを超える値となる(A0>As)、振動フィーダ12の電磁石印加用の駆動信号のパルス幅Ta0を設定している。また、振動フィーダ制御手段は、供給ホッパ13への物品の供給停止予定パルス数Nr(Nr<Ns)において、振動フィーダ12の振幅Arが標準振幅を下回る値となる(Ar<As)、振動フィーダ12の電磁石印加用の駆動信号のパルス幅Tarを設定している。
つまり、振動フィーダ制御手段は、駆動信号のパルス数がパルス数N0に到達したときから供給停止予定パルス数Nrまでの間、駆動信号のパルス数の増加に応じて、振動フィーダ12の振幅を振幅A0から振幅Arまで漸減できるよう(図8の一点鎖線参照)、振動フィーダ12の電磁石印加用の信号、以下の如く制御している。
第1に、振動フィーダ12の振動系(バネ系)は、一旦運動エネルギーを得ると振動振幅の漸減の程度を大きくしたくても、駆動信号のパルス幅を漸減させても目標とする振動フィーダ12の振幅にまで減衰しない場合がある。この場合、振動フィーダ制御手段は、図8に示すように、物品の供給ホッパ13への供給過程において、駆動信号と逆位相タイミング(つまり、両隣の駆動信号と略180°位相が異なるタイミング)において、パルス幅Tbの減衰パルス(制御信号)を振動フィーダ12の電磁石24に周期的に印加する。すると、振動フィーダ12に対して強制的に駆動信号の運動エネルギーとは反対方向の運動エネルギーが付与される。
本例では、図8に示すように、振動フィーダ12の振幅を振幅A0から振幅Arに漸減させる過程の駆動信号のそれぞれに対応して1個ずつ、合計r個の減衰パルスが、振動フィーダ12の電磁石24に印加されている。なお、図8に示すように、供給停止予定パルス数Nr以降は、減衰パルスは出力されず、パルス幅Tarの駆動信号にて、振動フィーダ12の振幅は、一定の振幅Arに維持される。
第2に、振動フィーダ制御手段は、上記のとおり、供給ホッパ13への物品の供給過程において、駆動信号のパルス幅を振動フィーダ12の振幅の漸減に応じてパルス幅Ta0からパルス幅Tarへ漸減させている。
なお、パルス幅Ta0,Tarは、標準的な重量の物品が振動フィーダ12のトラフ12a上に載置されている場合、振動フィーダ12を連続的に、これらのパルス幅Ta0,Tarの駆動信号のそれぞれで駆動したとき、振動フィーダ12の振幅がそれぞれ、連続的に振幅A0,Arにて駆動を維持できる値である。よって、これらのパルス幅Ta0,Tarは、例えば、特開2011−84396号公報に記載のレーザ変位計等を用いた測定法を用いて決定することができる。
本例では、供給ホッパ13への物品の供給開始時からの駆動信号のパルス数に応じて、駆動信号のパルス幅Taxは、図6および図8に示すように、以下の如く設定している。
(A)0≦駆動信号のパルス数≦n〈0〉
(振動フィーダ12の振幅が振幅A0の場合)
Tax=Ta0
(B)n〈r〉≦駆動信号のパルス数
(振動フィーダ12の振幅が振幅Arの場合)
Tax=Tar
(C)n〈0〉<駆動信号のパルス数<n〈r〉
(振動フィーダ12の振幅が漸減する場合)
Tax=Ta〈x〉
=Tar+(Ta0−Tar)・[(n〈r〉−n〈x〉)/(n〈r〉−n〈0〉)]
以上のとおり、本実施形態の組合せ秤100では、振動フィーダ制御手段は、振動フィーダ12のトラフ12a上に標準的な重量の物品が存在する場合に、従来の制御パターンIにおける供給ホッパ13への物品の供給停止パルス数Nsよりも少ないパルス数(つまり、制御パターンIIにおける供給ホッパ13への物品の供給停止予定パルス数Nr)を用いて、供給ホッパ13への物品の供給重量が平均的に目標値Wqtに到達するよう、振動フィーダ12を制御している。この場合、供給ホッパ13への物品の供給重量(ここでは、目標値Wqtとほぼ等しい)は、図6の点「a’」,「a”」,「b’」,「c’」,「d」で囲まれた面積にほぼ対応すると見なすことができ、この面積が、図6の点「a」,「b」,「c」,「d」で囲まれた面積とほぼ等しい。
なお、制御パターンIIにおける駆動信号のパルス幅Ta0,Tar、パルス数N0、および、物品の供給停止予定パルス数Nr(物品の供給停止時間)によって、以上の点「a’」,「a”」,「b’」,「c’」,「d」を特定することができる。
また、以上のパルス幅Ta0,Tar,Tb等の振動フィーダ12の操作量は、組合せ秤100の運転制御のための調整モードにおいて、組合せ秤100(実機)に応じた特性と整合するように設定されるが、この詳細は後述する。
一方、制御パターンIIの如く、従来例の制御パターンIよりも早く供給ホッパ13への物品供給が完了できるよう、標準振幅Asを超える振幅A0で振動フィーダ12の駆動が行われる期間がある。この場合、従来例に倣って、駆動信号のパルス数のカウントを用いて体積量制御を採用すると、物品の供給停止予定パルス数Nrにおける供給ホッパ13への物品の供給重量のばらつきが、従来例のそれよりも大きくなる。従って、従来例の振動フィーダは、物品の供給重量のばらつきが大きくなることを考慮すると、標準振幅Asを超える振幅で駆動することは困難である。
そこで、本実施形態の組合せ秤100では、振動フィーダ制御手段は、上記のとおり、供給ホッパ13への物品の供給過程において、物品の供給停止予定パルス数Nrに近づくにつれて、振動フィーダ12から供給ホッパ13への物品の供給流量を小さくしながら安定させている。
また、本実施形態の組合せ秤100は、上記のとおり、振動フィーダ12の電磁石24に印加する駆動信号のパルス数を、カウンタCtを用いてカウントしながら、供給ホッパ12への物品の供給重量を、重量センサ15’からの出力信号(供給重量信号)に基づいて計量できる。このとき、図6に示すように、供給ホッパ13への物品の供給の前半において、物品の供給流量を従来例よりも充分に大きくして物品を供給する方が、その後半において、物品の供給流量を従来例よりも減少でき、これにより、物品の供給流量のばらつきを小さくできるので都合がよい。なお、この場合、本実施形態の組合せ秤100は、物品の供給流量を平均的には従来例よりも大きくするようにしている。このようにして、振動フィーダ12から供給ホッパ13への物品の供給流量を小さくしながら安定させると同時に、供給重量信号の外乱成分を減衰させ、最新の供給重量信号による供給重量の増加傾向成分のみを残すようにした推定供給重量によって、供給ホッパ13への物品の全体の供給重量が、従来例より平均的に短い時間で、ばらつきの小さい値になるようにして、物品供給を停止することができる(この詳細についても後述する)。
以上の様々な方策により、本実施形態の組合せ秤100は、供給ホッパ13への物品の供給重量のばらつきを、従来例に比べて適切かつ充分に抑制でき、その結果、供給ホッパ13に、従来例に比べて目標値Wqtに近い適量の物品を供給できる。
<調整モードにおける振動フィーダの操作量設定>
パルス幅Ta0,Tar,Tb等の振動フィーダ12の操作量は、組合せ秤100の運転制御のための調整モードにおいて、組合せ秤100(実機)に応じた特性と整合するように、以下の如く設定される。
図9に示すように、供給ホッパ13への物品の供給重量或いは供給流量(振動フィーダ12の制御量)を調整できる振動フィーダ12の様々な操作量(例えば、上記パルス幅Ta0,Tar,Tb等)が存在している。
よって、この調整モードの調整は、まず、これらの振動フィーダ12の操作量と制御量との相関を適切に把握することを意図して行われ、振動フィーダ12の電磁石24に印加される駆動信号のパルス幅Taxと、駆動信号の1パルス当たりの供給ホッパ13への物品の供給重量との関係が、以下の如く得られる。
振動フィーダ12のトラフ12a上に標準的な重量の物品を載置し、従来例の制御パターンIの駆動信号のパルス幅Tasを中心にパルス幅を段階的に増減させる。そして、増減後のパルス幅の駆動信号を、供給停止パルス数Ns分、振動フィーダ12の電磁石24に印加した後、供給ホッパ13への物品の供給を停止する(つまり、振動フィーダ12の駆動を停止する)。その後、重量センサ15’からの供給重量信号の過渡応答が収束するのを待つ適宜の安定タイマーを作動させ、供給ホッパ13への物品の供給重量の安定値(以下、「安定計量値」という場合がある)を計量する。最後に、この安定計量値を物品の供給停止パルス数Nsで除算することにより、駆動信号の1パルス当たりの供給流量(g/パルス)を得る。
例えば、図10に示すように、パルス幅Tarの駆動信号を振動フィーダ12の電磁石24に印加したときの供給流量wqr(g/パルス)と、パルス幅Tasの駆動信号を振動フィーダ12の電磁石24に印加したときの供給流量wqs(g/パルス)と、パルス幅Ta0の駆動信号を振動フィーダ12の電磁石24に印加したときの供給流量wq0(g/パルス)と、を実験的に得たとする。すると、図10に示すように、最小二乗法等を用いて、駆動信号のパルス幅Taxに対応する駆動信号の1パルス当たりの供給流量wqxの関係を、wqx=fa(Tax)の如く得られる。
次に、振動フィーダ12を制御パターンIIに基づいて駆動したとき、供給ホッパ13への物品の供給重量(安定計量値)の平均が、ほぼ目標値Wqtと等しくなるよう、振動フィーダ12の操作量(パルス幅Ta0,Tar,Tbおよびパルス数N0、Nr等)を、以下の如く調整して決定する。
なお、この調整においては、上記関係式wqx=fa(Tax)を使用するものとし、図10の供給流量wq0、wqrおよび関係式wqx=fa(Tax)に基づいて、振動フィーダ12の操作量の粗調整段階とし、パルス幅Ta0,Tarおよびパルス数N0,Nrの概略値を設定する。
例えば、パルス数N0の値は、このパルス数N0に対応する駆動時間以降において、後述の推定供給重量(後述)を求めることになるので、供給ホッパ13への物品の供給開始直後の特別に大きい振動が収まり、この推定供給重量をほぼ安定に求めることができるタイミングに基づいて設定される。本例では、供給ホッパ13への物品の供給開始時から供給ホッパ13の固有振動の2周期分の時間よりも長い時間を確保できるよう、パルス数N0を設定している。これにより、供給ホッパ13への物品の供給開始直後に発生する大振幅振動ノイズを回避するのに必要な時間を確保できる。
また、「供給停止予定パルス数Nr」<「従来例において設定された供給時間である供給停止パルス数Ns」の拘束条件下において、供給停止予定パルス数Nr、パルス幅Ta0,Tarを適当に選び、パルス幅Ta0の駆動信号をパルス数N0だけ、振動フィーダ12の電磁石24に印加する。また、パルス幅がTa0からTarに向けて供給停止予定パルス数Nrまで直線的に漸減する駆動信号を振動フィーダ12の電磁石24に印加する。
このとき、供給ホッパ12への物品の供給流量は、関係式wqx=fa(Tax)に基づいて変化するものと仮定し、制御パターンIIによって得られる物品の供給重量Wq’(概算値)は、パルス数がN0からNrまでの間では、1パルス当たりの供給流量の平均が、(1/2)・(wq0+wqr)であるので、以下の式(1)で表される。
Wq’=wq0・N0+(1/2)・(wq0+wqr)・(Nr−N0)
+wqr・(Nr−N0)・・・(1)
このようにして、式(1)の物品の供給重量Wq’が目標値Wqtに等しくなるよう、振動フィーダ12の操作量の粗調整段階として、パルス幅Ta0,Tarおよびパルス数N0,Nrの数値を具体的に決める。
ここで、上記数値はあくまで概略値なので、組合せ秤100(実機)の運転を行い、供給ホッパ13への物品の供給重量(安定値)の計量をしながら、振動フィーダ12の操作量の適切な再設定が行われる。
まず、振動フィーダ制御手段(制御装置19)から出力される駆動信号のパルス幅を、上記振動フィーダ12の操作量の粗調整段階での概略値を用いて、以下の式(2),(3),(4)に基づいて自動的に変化させる。
(A)パルス数Nx≦N0のとき、Tax=Ta0・・・(2)
(B)パルス数Nx≧Nrのとき、Tax=Tar・・・(3)
(C)N0<パルス数Nx<Nrのとき、Tax=fn(Nx)・・・(4)
なお、式(4)は、図6の制御パターンIIを用いる場合、座標(N0,Ta0)と座標(Nr,Tar)の2点を通る関数で表される。
例えば、この関数が一次式であれば、上記のとおり、Tax=Tar+(Ta0−Tar)・[(Nr−Nx)/(Nr−N0)]と表されるが、二次式であれば、座標(N0,Ta0)および座標(Nr,Tar)のいずれかで極値を取るものとして関数化することもできる。
駆動信号のパルス幅を式(2),(3),(4)に見合うように減じても、上記のとおり、振動フィーダ12の振動系(バネ系)は、一旦運動エネルギーを得ると振動振幅の漸減の程度が大きい場合、目標とする振動フィーダ12の振幅にまで減衰しない場合がある。この場合、図8に示すように、駆動信号と逆位相タイミング(つまり、両隣の駆動信号と略180°位相が異なるタイミング)において、パルス幅Tbの減衰パルスを振動フィーダ12の電磁石24に印加するとよい。
すると、振動フィーダ12に対して強制的に駆動信号の運動エネルギーとは反対方向の運動エネルギーが付与される。なお、このとき、レーザ変位計および記録計(いずれも図示せず)等を用いて、駆動信号のパルス数Nxが供給停止予定パルス数Nrにおける、振動フィーダ12の振幅を測定し、この振幅の大小に基づいて、減衰パルスのパルス幅Tbの時間幅を変更し、振動フィーダ12の振幅の減衰度を微調整するとよい。
このようにして、振動フィーダ12の操作量の粗調整段階での概略値を用いて組合せ秤100(実機)を運転し、供給ホッパ13に物品を実際に供給する。そして、駆動信号のパルス数が供給停止予定パルス数Nr=n〈r〉(Nr<Ns)において、供給ホッパ13への物品の供給を強制的に停止する。その後、供給ホッパ13内の物品の供給重量の安定値を計量する。例えば、制御装置19が、強制的な物品の供給停止時を基準にした時間をカウントする適宜の安定タイマー(図示せず)を作動させ、重量センサ15’からの供給重量信号が収束した適時の供給重量信号を取得することにより、上記の安定計量値を自動的に取得できる。
なお、かかる供給重量信号は、供給ホッパ13の備わる秤系の固有振動周期よりも充分に短い周期でサンプリングされており、これにより、制御装置19は、供給ホッパ13への物品の推定供給重量も導いているが、この詳細は後述する。
以上の測定を複数回行い、供給ホッパ13内の物品の供給重量(安定計量値)の平均が目標値Wqtとほぼ等しくなるよう、振動フィーダ12の操作量を再調整する。
<標準状態の推定供給重量および安定計量値の導出>
上記により、駆動信号のパルス数Nxが供給停止予定パルス数Nr=n〈r〉(Nr<Ns)において、供給ホッパ13への物品の供給を強制的に停止したとき、供給ホッパ13内の物品の供給重量(安定計量値)の平均がほぼ目標値Wqtになるように、振動フィーダ12の操作量を設定(調整)したことを確認できたとする。
以上の確認の後、パルス数n〈0〉(=N0),n〈1〉,n〈2〉,・・・,n〈r〉(=Nr),n〈r+1〉のそれぞれにおける、標準状態の推定供給重量Wx'〈0〉,Wx'〈1〉,Wx'〈2〉,・・・,Wx'〈r〉,Wx'〈r+1〉と、標準状態の安定計量値Wq〈0〉,Wq〈1〉,Wq〈2〉,・・・,Wq〈r〉,Wq〈r+1〉と、を、以下の如く求める。
なお、本明細書において、「標準状態」とは、振動フィーダ12のトラフ12a上に載置される物品を従来例の制御パターンIによって(つまり、標準的な重量の物品がトラフ12a上に載置された状態で、パルス幅Tasの駆動信号でもって、供給停止パルス数Nsだけ振動フィーダ12を駆動されることによって)、供給ホッパ13への物品の供給重量(安定計量値)がほぼ目標値Wqtに等しくなる条件(例えば、振動フィーダ12の電磁石24の温度、振動フィーダ12のトラフ12a上に載置される物品重量等)に設定された状態を指すものとする。
標準状態の安定計量値Wq〈0〉,Wq〈1〉,Wq〈2〉,・・・,Wq〈r〉,Wq〈r+1〉は、駆動信号のパルス数Nxがパルス数n〈0〉(=N0),n〈1〉,n〈2〉,・・・,n〈r〉(=Nr),n〈r+1〉のそれぞれで、振動フィーダ12を強制的に停止されることにより、上記の調整モードと同様の方法を用いて導くことができる。
また、標準状態の推定供給重量Wx'〈0〉,Wx'〈1〉,Wx'〈2〉,・・・,Wx'〈r〉,Wx'〈r+1〉は、後述の推定供給重量の関係式Wx’〈x〉=Fpx〈x〉を用いて導くことができる。
なお、以上の各測定を複数回行い、安定計量値および推定供給重量について平均を取り、この平均値を計量安定値および推定供給重量として用いる方が好ましい。
<標準状態の落差量および標準状態の供給流量の導出>
パルス数n〈0〉(=N0),n〈1〉,n〈2〉,・・・,n〈r〉(=Nr),n〈r+1〉のそれぞれにおける、標準状態の物品の落差量wd〈0〉,wd〈1〉,wd〈2〉,wd〈3〉,・・・,wd〈r〉,wd〈r+1〉は、安定計量値Wq〈0〉,Wq〈1〉,Wq〈2〉,・・・,Wq〈r〉,Wq〈r+1〉と、推定供給重量Wx'〈0〉,Wx'〈1〉,Wx'〈2〉,・・・,Wx'〈r〉,Wx'〈r+1〉との差分重量に相当する。
よって、落差量wd〈0〉,wd〈1〉,wd〈2〉,wd〈3〉,・・・,wd〈r〉,wd〈r+1〉はそれぞれ、以下の式を用いて導くことができる。
wd〈0〉=Wq〈0〉−Wx'〈0〉
wd〈1〉=Wq〈1〉−Wx'〈1〉
wd〈2〉=Wq〈2〉−Wx'〈2〉
・ ・ ・
・ ・ ・
・ ・ ・
wd〈r〉=Wq〈r〉−Wx'〈r〉
wd〈r+1〉=Wq〈r+1〉−Wx'〈r+1〉
また、パルス数n〈1〉,n〈2〉,n〈3〉,・・・,n〈r〉(=Nr),n〈r+1〉のそれぞれにおける、標準状態の物品の供給流量wq〈1〉,wq〈2〉,wq〈3〉,・・・,wq〈r〉,wq〈r+1〉は、隣接するパルス間における推定供給重量Wx'〈0〉,Wx'〈1〉,Wx'〈2〉,・・・,Wx'〈r〉,Wx'〈r+1〉の増加分に相当する。
よって、供給流量wq〈1〉,wq〈2〉,wq〈3〉,・・・,wq〈r〉,wq〈r+1〉はそれぞれ、以下の式を用いて導くことができる。
wq〈1〉=Wx'〈1〉−Wx'〈0〉
wq〈2〉=Wx'〈2〉−Wx'〈1〉
wq〈3〉=Wx'〈3〉−Wx'〈2〉
・ ・ ・
・ ・ ・
・ ・ ・
wq〈r〉=Wx'〈r〉−Wx’〈r−1〉
wq〈r+1〉=Wx'〈r+1〉−Wx'〈r〉
以上の標準状態の物品の落差量wd〈0〉,wd〈1〉,wd〈2〉,wd〈3〉,・・・,wd〈r〉,wd〈r+1〉、および、標準状態の物品の供給流量wq〈1〉,wq〈2〉,wq〈3〉,・・・,wq〈r〉,wq〈r+1〉は、下記表1の如く表形式で整理され、この表1の内容が、制御装置19の記憶部19bに記憶されている。
なお、これらの標準状態の落差量wd〈0〉,wd〈1〉,wd〈2〉,wd〈3〉,・・・,wd〈r〉,wd〈r+1〉、および、供給流量wq〈1〉,wq〈2〉,wq〈3〉,・・・,wq〈r〉,wq〈r+1〉は、後述の供給停止重量の導出過程において用いられる。
<目標供給モデル(制御パターンII)の制御テーブル>
本実施形態の組合せ秤100では、振動フィーダ制御手段(制御装置19)が、後述のとおり、供給ホッパ13への物品の供給過程において、供給ホッパ13への物品の供給重量が、目標供給モデル(制御パターンII)の目標制御重量に一致するように振動フィーダ12の操作量を駆動信号の周期毎に(つまり、時々刻々と)制御している。これにより、駆動信号のパルス数Nxが供給停止予定パルス数Nrにおいて、物品の供給重量が目標値Wqtに到達するよう、振動フィーダ12の振動振幅が制御されている。
上記の制御を行うには、標準状態の組合せ秤100の供給ホッパ13への物品の供給過程において、振動フィーダ12に周期的に印加する制御信号(ここでは、駆動信号や減衰パルス等)の周期に同期するパルスカウント(供給時間)毎に、物品の供給重量の目標制御重量を予め設定する必要がある。
そこで、本実施形態の組合せ秤100では、上記の供給過程でのパルス数n〈0〉(=N0),n〈1〉,n〈2〉,・・・,n〈r〉(=Nr),n〈r+1〉のそれぞれにおける後述の推定供給重量を複数回に亘り求め、これらの平均値Wx'q〈0〉,Wx'q〈1〉,Wx'q〈2〉,・・・,Wx'q〈r〉,Wx'q〈r+1〉が、上記の目標制御重量として定められている。そして、下記表2の如く、目標供給モデル用の制御テーブルが作成され、この制御テーブルが制御装置19の記憶部19bに記憶されている。
なお、組合せ秤100の実際の稼働運転時には、振動フィーダ制御手段は、供給ホッパ12への物品の供給過程において、振動フィーダ12に周期的に印加する制御信号(ここでは、駆動信号や減衰パルス等)の周期に同期させるようにして、重量センサ15’を用いて供給ホッパ13への物品の供給重量を逐次、取得している。そして、振動フィーダ制御手段は、上記の制御信号に同期する最新のパルスカウント時(現在の供給時間)に取得された供給重量と、最新のパルスカウント時(現在の供給時間)に対応する表2の目標制御重量Wx'q〈x〉との間の大小を比較し、この比較の結果に基づいて振動フィーダの振幅を制御しているが、この詳細は後述する。
<推定供給重量の導出法>
振動フィーダ12から供給ホッパ13に物品が供給されると、重量センサ15’からの出力信号(供給重量信号)が安定するまでは、この供給重量信号は、様々な振動ノイズ成分が混在しながら漸増変化する。供給重量信号に含まれる最大振幅の振動ノイズの周期は、供給ホッパ13で構成される供給ホッパ秤系の固有振動周期とほぼ等しく、上記の供給重量信号には、供給ホッパ秤系の固有振動信号と供給重量を表す漸増信号とが混在する。
この場合、従来の固有振動信号の除去方法として、例えば、供給ホッパ秤系の固有振動数の整数倍の周期の供給重量信号を平均化する方法がある。しかし、この方法を用いる場合、最大振幅の振動ノイズを除去できる一方、供給重量信号の出力応答に遅れが生じる。
本実施形態の組合せ秤100では、後述のとおり、漸増変化中の供給重量信号を用いて時々刻々と供給ホッパ13に供給された物品重量を求め、この値に基づいて物品の供給を適時に停止することを意図しているので、供給重量信号の時間遅れを小さくして振動ノイズを除去する必要がある。つまり、供給重量信号の漸増変化を正確に検出できるよう、短い時間幅のデータでもって短い時間間隔で(つまり、元の供給重量信号の変化が小さい間に)、振動ノイズを除去する信号処理の技術が不可欠となる。よって、上記の従来の固有振動信号の除去方法は、本実施形態の組合せ秤100の信号処理方法として使い物にならない。組合せ秤100の制御系に、時定数が大きいローパスフィルターを組み込む場合も同様に本実施形態の組合せ秤100の信号処理方法として適さない。
そこで、本実施形態の組合せ秤100では、かかる供給重量信号に含まれる高周波数ノイズのみを除去できるフィルタが組合せ秤100の制御系に組み込まれ、以下の如く、時間遅れの小さい供給重量信号に対して供給重量の推定演算を実行している。
制御装置19は、重量センサ15’からの供給重量信号に含まれる最大振幅の振動ノイズの略整数周期(つまり、供給ホッパ秤系の固有振動の略整数周期)分の期間(例えば、2周期分の期間)を演算対象期間として定め、この演算対象期間内において、供給ホッパ秤系の固有振動周期(一般に数十Hz)より充分に短い時間ΔT(例えば、ΔT=2msec毎)で重量センサ15’からの供給重量信号をサンプリングする。そして、制御装置19は、上記の演算対象期間におけるサンプリングデータに基づいて供給重量信号の漸増傾向を推定し、このようにして得られた推定供給重量を、供給ホッパ13への供給物品の供給重量の制御に使用している。つまり、制御装置19は、サンプリングデータに基づいて振動ノイズの振幅の平滑化を行うとともに、演算対象期間における時間経過に応じた供給重量信号のプロファイルを表す関数(後述)を導き、この関数から得られる供給物品の重量の推定に基づいて供給停止重量を導いている。
以下、このような制御装置19の制御の詳細について図面を参照しながら説明する。
まず、最大振幅の振動ノイズの周期(供給ホッパ秤系の固有振動の周期)の測定について説明する。
重量センサ15’からの供給重量信号に含まれる最大振幅の振動ノイズの周期測定は、以下の方法を用いることができる。
図11は、図1の組合せ秤における供給ホッパ用の重量センサからの供給重量信号の時間変化プロファイルの一例を示した図である。図11では、供給ホッパ13への物品の供給開始時からの時刻をカウントするカウンタCtを用い、重量センサ15’からの供給重量信号のサンプリング時間ΔTに同期させて時間をカウントする。そして、図11では、時刻t(=t〈n〉)に対応する供給重量信号のサンプリングデータ(ΔT毎のサンプリングされる供給重量信号データ)をw〈n〉として表している。また、供給重量の目標値Wqtの1/5程度の値が、予め閾値THとして設定されている。
振動フィーダ12の振動によって振動フィーダ12のトラフ12a上に載置された物品が供給ホッパ13に落下し、供給ホッパ13への物品の供給が開始する。すると、重量センサ15’は、図11に例示する供給重量信号を出力する。
まず、このとき、供給ホッパ13に物品が到達(落下)することによって、駆動信号のパルス数がN0以降の供給重量信号に現れる最初のピーク信号の検出について説明する。
制御装置19は、重量センサ15’からの供給重量信号の最初の極大ピークのタイミングを適切に認識できるよう、上述の閾値THが設定されており、この供給重量信号のサンプリングデータが、閾値TH以上になったら、このとき以降のサンプリングデータを用いて供給重量信号の最初の極大ピークを表すピーク信号w〈a〉(以下、「第1極大値w〈a〉」という)を以下の如く検出する。
制御装置19は、サンプリングデータを読み込むと、記憶部19bの一時メモリに、次のサンプリングデータを読み込むまで先行データとして記憶させる。そして、制御装置19は、次のサンプリングデータ(後続データ)を読み込むと、先行データと後続データとの間の大小を比較する。
図11に示すように、供給重量信号が閾値THを超えた直後の供給重量信号の急激な増加中は、後続データは、先行データよりも常に大きい。一方、供給重量信号が、図11の第1極大値w〈a〉に近づくと、先行データと後続データとの差は小さくなり、第1極大値w〈a〉を超えると、両者の大小関係は逆転する。よって、制御装置19は、後続データが、初めて先行データよりも小さくなったときの先行データをもって第1極大値w〈a〉として認識し、この先行データを読み込んだタイミングを第1極大値w〈a〉の発生時刻として認識する。つまり、第1極大値w〈a〉は、時刻t〈a〉(カウンタCt=a)のときのサンプリングデータとして認識される。
また、制御装置19は、重量センサ15’からの供給重量信号の最初の極小ピークを表すピーク信号w〈b〉(以下、「第1極小値w〈b〉」という)を以下の如く検出する。
第1極大値w〈a〉付近の小さい振幅を持つノイズによって、第1極小値w〈b〉が誤検出されないよう、制御装置19は、時刻t〈a〉以降の所定個数(例えば、u個分)のサンプリングデータの評価を行わない。つまり、制御装置19は、時刻t〈a+u〉におけるw〈a+u〉を基点にして、このとき以降のサンプリングデータを用いて、上記第1極小値w〈b〉を検出している。
図11に示すように、供給重量信号がw〈a+u〉を超えた直後の供給重量信号の急激な減少中は、後続データは、先行データよりも常に小さい。一方、供給重量信号が、図11の第1極小値w〈b〉に近づくと、先行データと後続データとの差は小さくなり、第1極小値w〈b〉を超えると、両者の大小関係は逆転する。よって、制御装置19は、後続データが、初めて先行データよりも大きくなったときの先行データをもって第1極小値w〈b〉として認識し、この先行データを読み込んだタイミングを第1極小値w〈b〉の発生時刻として認識する。つまり、第1極小値w〈b〉は、時刻t〈b〉(カウンタCt=b)のときのサンプリングデータとして認識される。
以上により、制御装置19は、第1極大値w〈a〉の発生時刻t〈a〉および第1極小値w〈b〉の発生時刻t〈b〉を取得でき、その結果、両時刻の時間差「t〈b〉−t〈a〉」を演算できる。この時間差「t〈b〉−t〈a〉」は、最大振幅の振動ノイズの1/2周期に相当する。よって、制御装置19は、供給ホッパ秤系の固有振動周期Tcpを「Tcp=2(t〈b〉−t〈a〉)」として演算でき、その結果、固有振動周期Tcpの2周期分の区間におけるサンプリングデータの個数(サンプリング個数P)を、以下の式(5)を用いて導くことができる。
P=(2・Tcp/ΔT)・・・(5)
ただし、式(5)において、サンプリング個数Pは四捨五入して整数化する。
なお、以上の方法に代えて、適宜の周波数測定装置を用いて供給重量信号をFFT周波数解析にかけることにより、周期Tcpを求めてもよい。また、供給重量信号を時系列に、想定の固有振動周期よりも充分に長い時間記憶させ、記憶したデータをプリントアウトすることによっても、周期Tcpを求めることができる。
次いで、上記サンプリング個数Pが求まると、制御装置19は、図12に示すP個の最新のサンプリングデータを入力順に記憶するシフトレジスタSRを用いて、供給ホッパ13内の物品の推定供給重量を以下の如く導くことができる。
組合せ秤100の運転中において、制御装置19は、図12に示す如く、供給ホッパ13への物品の供給開始時から排出指令信号(図2参照)を受け取るまで、重量センサ15’からの供給重量信号のサンプリングデータを読み込む度に、シフトレジスタSRのデータを右シフトさせ、最新のサンプリングデータをシフトレジスタSRに入力させる。
そして、制御装置19は、駆動信号のパルス数n〈x〉をカウントするカウンタCtが、パルス数N0(=n〈0〉)をカウントした以降は、パルス数n〈x〉をカウントしたとき(或いはこのときから短い一定時間を置いて)、シフトレジスタSRのデータに基づいて、駆動信号のパルス数がパルス数n〈x〉における供給ホッパ13への物品の推定供給重量を演算する。
この推定供給重量の演算には、制御装置19は、まず、シフトレジスタSRの中の最新データを基準に遡ってP個のデータを取得し、これらのP個のサンプリングデータを一時記憶レジスタMRにコピーする。制御装置19は、この一時記憶レジスタMRのデータに対して、例えば、最小二乗法等の方法を用いて、図11に示す如く、パルス数n〈x〉での推定供給重量の関数Fpx〈x〉を導くことができる。
具体的には、一時記憶レジスタMR内のデータは、サンプリング時間ΔT毎にサンプリングされた供給重量信号なので、最新のサンプリングデータを得たタイミングをt=Pとし、最古のサンプリングデータを得たタイミングをt=1として、P個の供給重量信号を基に最小二乗法等の方法を用いて、供給重量信号の漸増変化を関数化する(つまり、関数Fpx〈t〉を得る)。これにより、t=Pのタイミングでの関数値Fpx〈P〉をもって、パルス数n〈x〉における推定供給重量Wx'〈x〉=Fpx〈x〉とする。なお、図7には、このような関数Fpx〈時間=パルス数〉の変化の様子が図示されている。
このような推定供給重量の関数Fpx〈x〉は、固有振動数の振動ノイズが平滑化されており、t=1〜Pまでの供給重量信号の漸増傾向、つまり、実際に供給ホッパ13に供給された物品の物品重量の増加傾向を適切に再現できていると考えられる。よって、以上のパルス数n〈x〉のときの推定供給重量Wx'〈x〉=Fpx〈x〉は、この時点において供給ホッパ13に供給される物品の供給重量に近い値となるはずである。
なお、制御装置19が、以上の推定供給重量の演算中に、次のサンプリングデータを読み取った場合、シフトレジスタSRのデータを右シフトさせ、最新のサンプリングデータをシフトレジスタSRに入力させる。そして、パルス数n〈x+1〉のときの推定供給重量Wx'〈x+1〉=Fpx〈x+1〉を、供給ホッパ13に供給される物品の供給重量として推定演算する。
<組合せ秤の運転制御>
以下、本実施形態の組合せ秤100の運転制御の一例について説明する。
まず、供給ホッパ13への物品の供給重量の目標値Wqtが設定され、この目標値Wqtが記憶部19bに記憶される。また、上記の調整モードにおいて、振動フィーダ12の操作量(パルス幅Ta0,Tar,Tb、パルス数N0,Nr等)が設定され、これらの振動フィーダ12の操作量も記憶部19bに記憶される。
次いで、組合せ秤100の運転を開始すると、制御装置19は、所定のサンプリング時間ΔT毎に、重量センサ15’からの供給重量信号をサンプリングするとともに、供給ホッパ13への物品供給の制御パターンII(図6参照)を実現できるよう、振動フィーダ12の操作量を制御する。そして、制御装置19は、サンプリングデータを用いて、駆動信号のパルス数Nx毎に、これに対応する推定供給重量を演算する。同時に、制御装置19は、カウンタCtを用いて、供給ホッパ13への物品の供給開始時(振動フィーダ12の駆動開始時)からの駆動信号のパルス数Nx(=n〈x〉)または供給開始時からの経過時間(供給時間)を逐次、取得している。
[物品供給の目標供給モデルへの追従制御]
図13に示すように、本実施形態の組合せ秤100では、振動フィーダ制御手段(制御装置19)は、物品の供給重量が、図7の制御パターンIIに対応する上記表2の目標制御重量Wx'q〈x〉に一致するよう、振動フィーダ12の操作量の一例である減衰パルスのパルス幅Taを以下の如く増減させ、振動フィーダ12の振動振幅を所望の値に制御している。
なお、上記の目標供給モデル(制御パターンII)では、図8に示す如く、減衰パルスのパルス幅Tbは、パルス数Nx(供給時間)に依存せずに一定され、物品の供給重量の漸増に応じて振動フィーダ12の振動振幅をほぼ等しい割合で漸減制御している。
これに対し、物品供給の目標供給モデルへの追従制御では、振動フィーダ制御手段(制御装置19)は、図13に示す如く、供給ホッパ13への物品の供給過程において、パルス数Nx(=n〈x〉)のタイミングにおける重量センサ15’からの推定重量信号に基づいた推定供給重量Wx'〈x〉と、表2のパルス数Nx(=n〈x〉)に対応する目標制御重量Wx'q〈x〉との間の大小を比較する。
そして、推定供給重量Wx'〈x〉と目標制御重量Wx'q〈x〉との間の大小の比較の結果、両者の値がほぼ等しいときは(Wx'〈x〉=Wx'q〈x〉の場合)、供給ホッパ13への物品の供給重量が、目標供給モデルにおける予定通りの量になっているので、振動フィーダ12の振動振幅の減衰度をそのまま維持してよいと考えられる。よって、この場合、振動フィーダ制御手段(制御装置19)は、以下の関係式(6)に基づいて、次のパルス数n〈x+1〉における減衰パルスのパルス幅Tb〈x+1〉の変更を行わない(つまり、Tb〈x+1〉=Tbとする)。
一方、上記の比較の結果、推定供給重量Wx'〈x〉が、目標制御重量Wx'q〈x〉よりも大きいときは(Wx'〈x〉>Wx'q〈x〉の場合)、供給ホッパ13への物品の供給重量が、目標供給モデルにおける予定量よりも大きめになっているので、両者の差分に応じて振動フィーダ12の振動振幅の減衰度を強める必要があると考えられる。この場合、振動フィーダ制御手段(制御装置19)は、以下の関係式(6)に基づいて、次のパルス数n〈x+1〉における減衰パルスのパルス幅Tb〈x+1〉を長くする。
逆に、上記の比較の結果、推定供給重量Wx'〈x〉が、目標制御重量Wx'q〈x〉よりも小さいときは(Wx'〈x〉<Wx'q〈x〉の場合)、供給ホッパ13への物品の供給重量が、目標供給モデルにおける予定量よりも小さめになっているので、両者の差分に応じて振動フィーダ12の振動振幅の減衰度を弱める必要があると考えられる。この場合、振動フィーダ制御手段(制御装置19)は、以下の関係式(6)に基づいて、次のパルス数n〈x+1〉における減衰パルスのパルス幅Tb〈x+1〉を短くする。但し、Tb=0の場合は、パルス数n〈x+1〉における振動フィーダ12の振動振幅を、パルス数n〈n〉におけるそれに比べて減衰させない。
本実施形態の組合せ秤100では、推定供給重量Wx'〈x〉の大きさの基準値の導出において、上記の物品の供給流量という考え方を用い、Tb〈x+1〉とTbとの間の関係を以下の如く、定式化している。
パルス数n〈x〉における推定供給重量Wx'〈x〉の大小の基準値Sは、パルス数n〈x+1〉における目標制御重量Wx'q〈x+1〉と、パルス数n〈x〉における目標制御重量Wx'q〈x〉との差分とする。
つまり、基準値Sは、下記式で表される。
S=Wx'q〈x+1〉−Wx'q〈x〉
このとき、経験的な制御則として、D=Wx'〈x〉−Wx'q〈x〉という変数Dを用いることにより、Tb〈x+1〉とTbとの間の関係は、下記式(6)の如く表すことができる。そして、この場合、パルス幅Tbに代えて、パルス幅Tb〈x+1〉の減衰パルス(制御信号)を用いて、振動フィーダ12を駆動させるとよい(図14参照)。
Tb〈x+1〉=Tb+d1(D/S)・Tb
=Tb[1+d1・(D/S)]・・・(6)
式(6)において、0≦Tb〈x+1〉<Tv/2とし(Tv:駆動信号の周期)、d1は、組合せ秤100の調整において減衰パルスの減衰効果を見極めることにより決定される係数である。
上記式(6)によれば、Wx'〈x〉>Wx'q〈x〉の場合は、変数Dがプラスの値をとることにより、Tb〈x+1〉>Tbとなるので、振動フィーダ12の振動振幅の減衰度を強めることができる。また、Wx'〈x〉<Wx'q〈x〉の場合は、変数Dはマイナスの値をとることにより、Tb〈x+1〉<Tbとなるので、振動フィーダ12の振動振幅の減衰度を弱めることができる。Wx'〈x〉=Wx'q〈x〉の場合は、変数Dはゼロをとることにより、Tb〈x+1〉=Tbとなるので、振動フィーダ12の振動振幅の減衰度をそのまま維持できる。
なお、以上の減衰パルスのパルス幅Tbの制御のみでは、振動フィーダ12の振動振幅の増減量が足りない場合は、追加措置として、以下の如く、駆動信号のパルス幅Taを所定の幅に対して増減させてもよい。なお、本追従制御系の基本構成の図示は省略する。
つまり、本実施形態の組合せ秤100では、上記のとおり、駆動信号のパルス幅Ta〈x〉は、パルス数N0(=n〈0〉)におけるTa0(=Ta〈0〉)からパルス数Nr(=n〈r〉)におけるTar(=Ta〈r〉)まで、関数Tax=Ta〈x〉=fn(Nx)に応じて変化させている。よって、パルス数Nx(=n〈x〉)毎の駆動信号のパルス幅Tax=Ta〈x〉を、以下の如く調整する場合、この調整値を上記のパルス幅Taxの変化に反映させる必要がある。なお。パルス数Nr(=n〈r〉)以降の駆動信号については、そのパルス幅は、Tar=Ta〈r〉から変化させずに一定とする。
上記の推定供給重量Wx'〈x〉と目標制御重量Wx'q〈x〉との間の大小の比較の結果、両者の値がほぼ等しいときは(Wx'〈x〉=Wx'q〈x〉の場合)、供給ホッパ13への物品の供給重量が、目標供給モデルにおける予定通りの量になっているので、振動フィーダ12の振動振幅の減衰度をそのまま維持してよいと考えられる。よって、この場合、振動フィーダ制御手段(制御装置19)は、以下の関係式(7)に基づいて、次のパルス数n〈x+1〉における駆動信号のパルス幅Ta〈x+1〉の変更を行わない(つまり、Ta〈x+1〉=Ta〈x〉とする)。
一方、上記の比較の結果、推定供給重量Wx'〈x〉が、目標制御重量Wx'q〈x〉よりも大きいときは(Wx'〈x〉>Wx'q〈x〉の場合)、供給ホッパ13への物品の供給重量が、目標供給モデルにおける予定量よりも大きめになっているので、両者の差分に応じて振動フィーダ12の振動振幅の減衰度を強める必要があると考えられる。この場合、振動フィーダ制御手段(制御装置19)は、以下の関係式(7)に基づいて、次のパルス数n〈x+1〉における駆動信号のパルス幅Ta〈x+1〉を短くする。
逆に、上記の比較の結果、推定供給重量Wx'〈x〉が、目標制御重量Wx'q〈x〉よりも小さいときは(Wx'〈x〉<Wx'q〈x〉の場合)、供給ホッパ13への物品の供給重量が、目標供給モデルにおける予定量よりも小さめになっているので、両者の差分に応じて振動フィーダ12の振動振幅の減衰度を弱める必要があると考えられる。この場合、振動フィーダ制御手段(制御装置19)は、以下の関係式(7)に基づいて、次のパルス数n〈x+1〉における減衰パルスのパルス幅Ta〈x+1〉を長くする。
経験的な制御則として、上記の変数Dを用いることにより、物品供給の目標供給モデルへの追従制御が行われるパルス数n〈n+1〉におけるパルス幅Ta〈x+1〉'は、目標供給モデル(制御パターンII)におけるパルス幅Ta〈x+1〉との間で、下記式(7)の如く表すことができる。そして、この場合、パルス幅Ta〈x+1〉に代えて、パルス幅Ta〈x+1〉'の駆動信号(制御信号)を用いて、振動フィーダ12を駆動させるとよい(図14参照)。
Ta〈x+1〉'=Ta〈x+1〉−d2(D/S)・Ta〈x+1〉
=Ta〈x+1〉[1−d2・(D/S)]・・・(7)
式(7)において、0≦Ta〈x+1〉'<Tv/2とし(Tv:駆動信号の周期)、d2は、組合せ秤100の調整において駆動信号の減衰効果を見極めることにより決定される係数である。
上記式(7)によれば、Wx'〈x〉>Wx'q〈x〉の場合は、変数Dがプラスの値をとることにより、Ta〈x+1〉'<Ta〈x+1〉となるので、振動フィーダ12の振動振幅の減衰度を強めることができる。また、Wx'〈x〉<Wx'q〈x〉の場合は、変数Dはマイナスの値をとることにより、Ta〈x+1〉'>Ta〈x+1〉となるので、振動フィーダ12の振動振幅の減衰度を弱めることができる。Wx'〈x〉=Wx'q〈x〉の場合は、変数Dはゼロをとることにより、Ta〈x+1〉'=Ta〈x+1〉となるので、振動フィーダ12の振動振幅の減衰度をそのまま維持できる。
このようにして、本実施形態の組合せ秤100では、振動フィーダ制御手段(制御装置19)が、供給ホッパ13への物品の供給過程において、物品の供給流量が不安定になっても、物品供給過程の進行につれて、時々刻々の物品の供給重量が、パルス数Nx毎に予め定めた目標制御重量に一致するように振動フィーダ12の振動振幅を駆動信号の周期毎に(つまり、時々刻々と)増減制御している。よって、本実施形態の組合せ秤100では、以上の物品供給の目標供給モデルへの追従制御により、駆動信号のパルス数Nxが供給停止予定パルス数Nr付近において、物品の供給重量を目標値Wqtに適切に到達させることができる。
[物品供給の供給停止制御]
制御装置19は、推定供給重量と供給停止重量(後述)との間の比較を行い、供給ホッパ13への物品供給の停止を以下の如く制御している。
なお、制御装置19は、このパルス数Nxと供給停止予定パルス数Nrとの大小関係に依存して、供給ホッパ13への物品供給の停止制御を変更している。よって、以下、パルス数Nx(=n〈x〉)と供給停止予定パルス数Nrとの大小関係で場合分けして、制御装置19による上記の物品供給の停止制御を説明する。
[パルス数Nxが供給停止予定パルス数Nrに到達するまでの制御(Nx<Nrでの制御)]
図14は、図1の組合せ秤の運転制御の説明に用いる図である。また、図15は、図1の組合せ秤の運転制御の一例を示したフローチャートである。つまり、図15には、振動フィーダ12の電磁石24に印加する駆動信号のパルス数Nxが供給停止予定パルス数Nrに到達するまでの、組合せ秤100の制御装置19による処理フローが例示されている。
なお、図14において、駆動信号、減衰パルスおよび供給停止パルスの立ち上がり、および、立ち下がりは、制御装置19に用いられ、周期Δtの時間間隔毎に発生する基本クロックパルスに同期して行われる。また、供給重量信号のサンプリングは、この基本クロックパルスの周期Δtの2以上の整数倍の時間間隔のΔTに同期して行われる。本例では、パルス数n〈x−1〉(図示せず)における駆動信号の立ち下げのタイミングから時間Tv−Ta〈x〉(又はTa〈x〉')を経過したタイミングにおいて、パルス数n〈x〉における駆動信号を立ち上げ、パルス幅Ta〈x〉(又はTa〈x〉')の時間をカウントして、この駆動信号を立ち下げている。また、パルス数n〈x〉における駆動信号の減衰度を決める減衰パルスは、この駆動信号の立ち下げのタイミングから「Tv/2−Tb(又はTb〈x〉)」だけ時間をカウントして立ち上げ、パルス幅Tb(又はTb〈x〉)分の時間をカウントして立ち下げている。
ところで、上記のとおり、供給ホッパ13への物品供給が制御パターンIIで実現されている場合、供給ホッパ13への物品の供給流量wqの漸減変化に応じて落差量wdも漸減変化する。このため、目標値Wqtを達成するのに物品の供給停止のときに見込む落差量wdは、時々刻々と変化するので、駆動信号のパルス毎に、供給ホッパ13への物品の供給流量wqに基づいて落差量wdを求め、目標値Wqt分の物品を供給ホッパ13に供給するための供給停止重量Wcを求める必要がある。
そこで、本実施形態では、組合せ秤100の運転が以下の如く制御されている。
まず、制御装置19は、駆動信号のパルス数が、パルス数N0以降において、所定のタイミングにてシフトレジスタSRのデータを取り込み、上記のとおり、シフトレジスタSRのデータに基づいて推定供給重量Wx'〈x〉を演算する(ステップS1)。そして、この演算結果を記憶部19bに記憶させる(ステップS1)。この所定のタイミングは、図14に示す如く、パルス数n〈x〉の駆動信号がカウントされ、次の駆動信号のパルス幅Ta〈x+1〉(又はTa〈x+1〉')が演算される時(図14の時刻A)でも、この時刻Aから一定の短い時間を経た時(図14の時刻B)でもよい。
次いで、制御装置19は、パルス数n〈x〉に対応する標準状態の供給流量wq〈x〉および標準状態の落差量wd〈x〉を記憶部19bから読み込む(ステップS2)。なお、これらの供給流量wq〈x〉および落差量wd〈x〉は、上記のとおり、調整モードにおいて導かれ、上記表1の如く整理されて記憶部19bに予め記憶されている。
次いで、制御装置19は、パルス数n〈x−1〉のときの推定供給重量Wx'〈x−1〉(これは、すでに記憶部19bに記憶されている)と、ステップS1のパルス数n〈n〉の推定供給重量Wx'〈x〉とを用いて、両者の差分「Wx'〈x〉−Wx'〈x−1〉」を演算する(ステップS3)。
この差分「Wx'〈x〉−Wx'〈x−1〉」は、パルス数n〈x〉における現時点の推定供給流量に相当する。また、供給流量wqの大きさと、落差量wdの大きさとは、変化量が小さいので、ほぼ比例関係にあると考えられる。
よって、制御装置19は、上記の差分「Wx'〈x〉−Wx'〈x−1〉」と、標準状態の供給流量wq〈x〉および落差量wd〈x〉と、を用いて、以下の式(8)に基づいて、パルス数n〈x〉における現在の落差量wd'〈x〉を推定する演算をする(ステップS4)。
wd'〈x〉=[(Wx'〈x〉−Wx'〈x−1〉)/wq〈x〉]・wd〈x〉
・・・(8)
次いで、制御装置19は、目標値Wqtと、ステップS4の落差量wd'〈x〉と、を用いて、以下の式(9)に基づいて、パルス数n〈x〉における供給停止重量Wc〈x〉を演算する(ステップS5)。
Wc〈x〉=Wq−wd'〈x〉・・・(9)
このようにして、本実施形態の組合せ秤100では、パルス数n〈x〉および推定供給重量Wx’〈x〉の増加に応じて、時々刻々と落差量wd'〈x〉が更新され、同時に供給停止重量Wc〈x〉も更新されている。
次いで、制御装置19は、ステップS1の推定供給重量Wx'〈x〉がステップS5の供給停止重量Wc〈x〉以上であるか否かを判定する(ステップS6)。
推定供給重量Wx'〈x〉が供給停止重量Wc〈x〉以上の場合(ステップS6において「Yes」の場合)、目標値Wqt分の物品が供給ホッパ13に供給されると考えられる。例えば、図7では、パルス数Nx(=n〈x〉)において関数Wx'〈x〉=Fpx〈x〉から得られる、推定供給重量Wx'〈Nx〉が丁度、供給停止重量Wc〈Nx〉に到達した場合の様子が図示されている。
よって、この場合、制御装置19は、供給停止重量Wc〈Nx〉への推定供給重量Wx'〈Nx〉の到達に基づいて、供給ホッパ13への物品の供給を停止する(ステップS7)。これにより、供給ホッパ13に、目標値Wqtに近い適量の物品を供給できる。
なお、このような物品の供給停止は、例えば、図14の一点鎖線に示すように、パルス幅Tbの減衰パルスの立ち上げ時間(図14の時刻D)を早めるとよい。つまり、減衰パルスのパルス幅を変更し、図5の供給停止パルスのパルス幅Tcとほぼ同じパルス幅となる立ち上げ時間(図14の時刻C)に立ち上がるパルスを、振動フィーダ12の電磁石24に印加するとよい。なお、1個のパルスで物品の供給停止ができなかった場合は、次の位相のタイミングにおいて、適宜のパルス幅のパルスを振動フィーダ12の電磁石24に印加するとよい。
一方、推定供給重量Wx'〈x〉が供給停止重量Wc〈x〉未満の場合(ステップS6において「No」の場合)、推定供給重量Wx'〈x〉が供給停止重量Wc〈x〉に到達していないので、供給ホッパ13に目標値Wqt分の物品が供給されないと考えられる。この場合、次の所定のタイミングで、シフトレジスタSRのデータが、制御装置19に再び取り込まれ、以上のステップS1〜S6と同じ類の制御が再び行われる。
なお、この次の所定のタイミングは、図14に示す如く、パルス数n〈x+1〉の駆動信号がカウントされ、次の駆動信号のパルス幅Ta〈x+2〉(又はTa〈x+2〉')が演算される時(図14の時刻E)でも、この時刻Eから一定の短い時間を経た時(図示せず)でもよい。
なお、パルス数Nxが、供給停止予定パルス数Nrに到達しても、推定供給重量Wx'〈x〉が供給停止重量Wc〈x〉未満の場合(つまり、推定供給重量Wx'〈x〉が供給停止重量Wc〈x〉に到達していない場合)、この供給停止予定パルス数Nr以降は、図8に示す如く、一定のパルス幅Tarの駆動信号が振動フィーダ12の電磁石24に印加される。よって、この場合、パルス数n〈r+1〉以降における落差量および供給流量は、パルス数に対応する推定供給重量と、パルス数n〈r+1〉における標準状態の落差量wd〈r+1〉および供給流量wq〈r+1〉に基づいて決定するとよい。
[パルス数Nxが供給停止予定パルス数Nrに到達した以降の制御(Nx≧Nrでの制御)]
推定供給重量Wx'〈x〉が供給停止重量Wc〈x〉に到達しないまま(Wx'〈x〉<Wc〈x〉)、パルス数Nxが供給停止予定パルス数Nrに到達した場合、供給停止予定パルス数Nrへのパルス数Nxの到達に基づいて、供給ホッパ13への物品の供給を停止してもよいが、制御装置19が、計量ホッパ14の制御回路からの物品の排出指令信号(図2参照)を受け取っていない場合、以下の制御形態を取る方が好ましい。
パルス数Nx(=n〈x〉)が供給停止予定パルス数Nrに到達したときと、推定供給重量Wx'〈x〉≧供給停止重量Wc〈x〉の成立と、が同時である場合、制御装置19は、計量ホッパ14の制御回路からの物品の排出指令信号の有無に関係なく、供給停止重量Wc〈Nx〉への推定供給重量Wx'〈Nx〉の到達に基づいて、供給ホッパ13への物品の供給を停止する。これにより、供給ホッパ13に、従来例よりも短時間に、従来例に比べて目標値Wqtに近い適量の物品を供給できる。
一方、パルス数Nx(=n〈x〉)が供給停止予定パルス数Nrに到達したとき、および、それ以降において、推定供給重量Wx'〈x〉≧供給停止重量Wc〈x〉が成立していない場合、制御装置19が、計量ホッパ14の制御回路からの物品の排出指令信号を受け取らない限り、供給停止重量Wc〈Nx〉への推定供給重量Wx'〈Nx〉の到達に基づいて、供給ホッパ13への物品の供給を停止する。これにより、供給ホッパ13に、従来例に比べて目標値Wqtに近い適量の物品を供給できる。
また、制御装置19は、供給ホッパ13への物品の供給停止を行った後においても、計量ホッパ14の制御回路からの物品の排出指令信号を受け取らない場合、適宜の安定タイマーを作動させ、重量センサ15’を用いて供給ホッパ13内の物品の安定値が計量されるまで、供給ホッパ13内に物品を待機させる。これにより、組合せ演算への上記安定値の速やかな参加、計量ホッパ14での計量値と上記安定値の比較に基づいた重量センサ15,15’の異常検出等、様々な有益な効果を奏することができる。なお、このような重量センサ15,15’の異常検出の具体的な手法については、例えば、特開2006−275887号公報に記載されている。よって、ここでは、この詳細な説明は省略する。
一方、制御装置19が、計量ホッパ14の制御回路からの物品の排出指令信号を受け取った場合、推定供給重量Wx'〈x〉≧供給停止重量Wc〈x〉が成立していない場合でも、物品の排出指令信号の受け取りに基づいて、供給ホッパ13への物品の供給を停止する。これにより、供給ホッパ13内の物品を適時に計量ホッパ14に排出できるので、計量ホッパ14への物品供給のタイミングが遅れて、組合せ秤100の処理能力の低下を招くことを回避できる。
以上の組合せ秤100の運転制御により、本実施形態の組合せ秤100は、以下の如く、様々な作用および効果を奏する。
第1に、従来の組合せ秤に用いる振動フィーダの制御パターンI(図6参照)は、駆動信号のパルス幅Tasおよび物品の供給停止パルス数Nsに基づいた物品の供給体積量を制御する方式であり、制御装置は、供給ホッパへの物品の供給過程において、物品の供給流量がばらついても、それに関係なく、物品の供給停止パルス数Nsの到達と同時に、物品の供給を停止している。よって、この方式は、制御装置による振動フィーダの制御量(物品の供給重量)の外乱の一要因である物品の供給流量のばらつきに対して何等の対策も施されていない。
これに対し、本実施形態の組合せ秤100では、制御装置19が、供給ホッパ13への物品の供給重量を検出できる重量センサ15’からの供給重量信号を受け取ることができるように構成されている。そして、制御装置19は、この供給重量信号に含まれる振動ノイズ成分を時間遅れが小さい状態で減衰させて、上記の推定供給重量Wx'〈x〉を演算している。よって、供給ホッパ13への物品の供給重量を高精度に検出できる。また、制御装置19は、駆動信号のパルス数Nxが、供給停止予定パルス数Nrに近づくに連れて、物品の供給流量を少なくするように制御している。よって、供給ホッパ13への物品の供給重量の精度を向上できる。また、図6に示すように、供給ホッパ13への物品の供給の前半において、従来例よりも物品の供給流量を大きくして物品を供給することによって、平均的に供給停止重量に到達する時間を従来例よりも短縮するとともに、その後半において、物品の供給流量を従来例よりも小さくした状態で、物品の供給重量を測定することによって物品の供給を停止させる。
以上により、本実施形態の組合せ秤100では、供給ホッパ13に、目標値Wqtに近い適量の物品を従来例よりも平均的に短い時間で供給できる。
更に、振動フィーダ制御手段(制御装置19)は、上記の物品供給の目標供給モデルへの追従制御により、供給ホッパ13への物品の供給過程において、物品の供給量に大きなばらつきが発生しても、このばらつきを修正するよう、振動フィーダ12の振動振幅を駆動信号の周期毎に(つまり、時々刻々と)増減制御できる。つまり、振動フィーダ制御手段(制御装置19)は、駆動信号のパルス数Nxが供給停止予定パルス数Nr付近(供給停止予定パルス数Nr<パルス数Ns(従来例))付近において、物品の供給重量が目標値Wqtに適切に到達するよう、振動フィーダ12の振動振幅を駆動信号の周期毎に(つまり、時々刻々と)増減制御できる。
以上により、本実施形態の組合せ秤100では、供給ホッパ13に、従来例よりも短時間に、従来例に比べて目標値Wqtに近い適量の物品を供給できる。
第2に、本実施形態の組合せ秤100では、振動フィーダ12の電磁石24に印加する駆動信号のパルス数Nxが供給停止予定パルス数Nrに到達するまでの間、上述のとおり、供給ホッパ13への物品の供給停止が、推定供給重量Wx'〈x〉≧供給停止重量Wc〈x〉の成立の有無によって優先的に制御されている。
以上により、供給ホッパ13に目標値Wqtを超える重量の物品が供給される確率は、従来例よりも低減し、かつ、組合せ物品の歩留まりが従来例よりも小さくなる。
第3に、振動フィーダ12の電磁石24に印加する駆動信号のパルス数Nxが停止予定パルス数Nr(=n〈r〉)に到達するときに、推定供給重量Wx'〈x〉≧供給停止重量Wc〈x〉が成立しない場合、パルス数Nxが、パルス数Ns(従来例)に到達するまでは、供給ホッパ13への物品の供給停止が、推定供給重量Wx'〈x〉≧供給停止重量Wc〈x〉の成立の有無によって制御されている。
以上により、供給ホッパ13に目標値Wqtを超える重量の物品が供給される確率は、従来例よりも低減し、かつ、組合せ物品の歩留まりが従来例よりも小さくなる。