第1の発明は、断熱壁によって内部に貯蔵室が形成された断熱箱体を備え、前記貯蔵室は奥行きの異なる上部貯蔵区画と下部貯蔵区画とを有し、前記上部貯蔵区画は前記下部貯蔵区画より奥行きが狭く設定され、前記上部貯蔵区画前方の上面もしくは側面に鏡を備えたものであり、背の低い人でも鏡の反射により上部貯蔵区画に収容した貯蔵品を視認することができる。
また、上部貯蔵区画の奥行きを下部貯蔵区画よりも狭く設定したことで、例えば背の低い人が鏡を見た際など、鏡に対する視線の入射角度が大きい場合でも、鏡を通じて上部貯蔵区画の奥部まで視認できるようになる。
また、背の低い人にとって上部貯蔵区画の奥部は手が届かず、使い勝手の悪い空間であるため上部貯蔵区画の奥行きを狭くしても使用者の使い勝手を悪化させることは無い。
また、冷蔵庫の奥行き全体を狭くして上部貯蔵区画と下部貯蔵区画とを同一に設定することで上部貯蔵区画の奥部を見やすくすることも可能だが、冷蔵庫の全体容量が小さくなるか、更に冷蔵庫の高さを高くしたり、幅を広げるなどして全体容量を確保しなくてはならないが、本発明では上部貯蔵区画のみの奥行きを狭くすることで、全体容量の低減を抑えているので、視認性を確保するために冷蔵庫の外形寸法を大きく変更する必要も無い。
第2の発明は、鏡は反射を利用して前記上部貯蔵区画の奥部まで視認可能となるよう配設するものである。
これによって、背の低い使用者であっても、冷蔵庫の上部貯蔵区画を奥部まで見ることができ、冷蔵庫の貯蔵室の使い勝手を向上することが可能となる。
第3の発明は、上部貯蔵区画の冷蔵庫本体の設置面からの高さ位置を140cm以上としたものである。
日本人女性の平均身長は約155cmであり、視線の高さは約145cmである。
そのため上部貯蔵区画の高さを140cm以上とすると、多くの女性が鏡を有効に利用できる一方で、奥行きの狭い上部貯蔵区画を設けることによる冷蔵庫本体の収容量低減を抑制することができる。
また、140cm以上の高さとすることにより、小学校高学年の女子平均身長から効果を発揮し、彼女たちの家事手伝いの際にも有効であるが、逆にそれより身長が低い場合には鏡を見ても視線の入射角度が大きすぎて上部貯蔵区画の奥部まで視認することができないため、小学校低学年の子供たちのおやつなどを隠す場所としても最適である。
第4の発明は、上部貯蔵区画の奥側に非貯蔵区画を備えたことで、上部貯蔵区画の奥の空間を有効利用することができる。
また、非貯蔵区画には貯蔵品を収容しないので、使用者の使い勝手は悪化しない。
第5の発明は、非貯蔵区画の温度は上部貯蔵区画よりも高く設定され、非貯蔵区画は断熱壁を介して上部貯蔵区画と区分したことにより、非貯蔵区画内を貯蔵室同様に冷却する必要が無いので冷蔵庫本体の冷却に必要な能力を軽減でき、冷蔵庫本体の消費電力量を低減することができる。
第6の発明は、冷蔵庫本体は貯蔵室内を冷却する冷凍サイクルを備え、前記冷凍サイクルは少なくとも圧縮機を有し、前記圧縮機を非貯蔵区画に配置したことにより、更に空間を有効利用することができる。
一般的に圧縮機は冷蔵庫本体の下部に配置される場合が多いが、その際には下部貯蔵室の奥行きが狭くなっていた。
これにより下部貯蔵室の奥行きを大きく設定できるので、使用者の使い勝手を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の正面図、図2は同実施の形態の冷蔵庫の断面図を示すものである。
図1、図2において、冷蔵庫本体20の断熱箱体21は、樹脂にて形成された内箱22と鋼板などの金属磁性体にて形成された外箱23との間に断熱材24を充填した断熱壁から形成されるものであり、前面開口部21aを有し、仕切壁25,26,27,28により、上部から冷蔵室29、製氷室30、第一の冷凍室31、第2の冷凍室32、野菜室33と複数の貯蔵室を形成している。なお、製氷室30と第1の冷凍室31とは左右並列に配置されている。
冷蔵室29と野菜室33との保存設定温度は冷蔵温度帯に設定され、製氷室30と第一の冷凍室31と第2の冷凍室32との保存設定温度は冷凍温度帯に設定されている。
また、各貯蔵室には全閉時に前面開口部21aを閉塞し、断熱箱体21と連結され、それぞれ断熱壁を有する冷蔵室ドア29a、製氷室ドア30a、第一の冷凍室ドア31a、第2の冷凍室ドア32a、野菜室ドア33aを備える。更に冷蔵室ドア29aは右側上下端をそれぞれ回転軸を有する上部ヒンジ34と下部ヒンジ35とで断熱箱体21と回動自在に連結されており、その他の貯蔵室は引出し式であり、各貯蔵室に備えられたレール部材36によって前後方向に開閉自在に断熱箱体21と連結されている。
レール部材36は各貯蔵室の引出し容量や引出し長さに応じて、例えば比較的容量の小さい製氷室30と容量の大きい野菜室33とで異なる部材や位置に形成しても良い。
更に、各貯蔵室ドアの断熱箱体21側の面は、全閉時に前面開口部21aとの間に5mm程度の空間37を有し、空間37は各貯蔵室ドアの断熱箱体21の面の上下左右4辺に設けられたマグネットを有するガスケット38の磁力にて前面開口部21aにガスケット38を吸着させることで密着させることができ、各貯蔵室は略密閉にシールされる。
また、断熱箱体21は冷蔵庫本体20を運転時に冷却する冷凍サイクル(図示せず)を有し、この冷凍サイクルは圧縮機50と凝縮器(図示せず)と減圧器(図示せず)と蒸発器51とを順に備えて一連の冷媒流路を備えている。
冷凍サイクルの冷媒は可燃性の炭化水素系冷媒、例えばイソブタンを使用しており、イソブタンの密度は空気より大きい。
また、断熱箱体21の背面側の上下にそれぞれ上凹部21bと下凹部21cとを有する。
上凹部21bは断熱箱体21の上面部と背面部との一部を切り欠き、断熱材24を介して冷蔵室29と対向するように形成され、上凹部21bには機械室60を配置し、機械室60内には圧縮機50と制御部70(図示せず)とを断熱箱体21の左右方向に配置し、機械室60の上面と背面とは鋼板などの良熱伝導性材料にて形成された機械室カバー80にて一体に覆われている。
機械室60は非貯蔵区画であり、使用者が貯蔵品を収容するなど日常的に使用する場所ではない。
さらに冷蔵室29の冷却設定温度は冷蔵温度帯に設定されるのに対し、機械室60は圧縮機50の停止時には外気温と同じ温度となり、圧縮機50の運転時には外気温より約30℃高くなるため、機械室60は冷蔵室29よりも高い温度に保持される。
また、圧縮機50はピストンがシリンダ内を往復運動することで冷媒の圧縮を行う往復運動型圧縮機であり、直流電力を電気的に交流電力に変換してインバータ制御される。
インバータ制御によって圧縮機50の駆動周波数を複数の所定値に段階的に切り替えることが可能となり、効率的に各貯蔵室を冷却している。
制御部70は圧縮機50など冷蔵庫本体20の電気部品を駆動制御し、各電気部品とケーブル(図示せず)にて連結されている。
また、下凹部21cは断熱箱体21の底面部と背面部との一部を切り欠き、断熱材24を介して野菜室33と対向するように形成され、下凹部21cには蒸発器51の除霜時に発生する除霜水を熱源や送風により強制的に蒸発処理する除霜水処理部90を配置している。
下凹部21cの背面部の切欠き高さは、上凹部21bの切欠き高さよりも低くなるように構成されている。
外箱23の背面部の上凹部21bと下凹部21cとの間の断熱材24内には真空断熱パネル100を配置している。
真空断熱パネル100は外箱23の背面部の両凹部間の平面部ほぼ全体を所定の厚みをもって一体に覆い、断熱材24を介して蒸発器51や各貯蔵室の背面側に配置され、各貯蔵室に低温の空気を循環させるダクト110のほぼ全体と対向するように構成されている。
また、冷蔵室29には上から順に上棚120と中棚121と下棚122とを備え、冷蔵室29内に収容する貯蔵品を区分収容可能としている。
それぞれの棚は略平板状であり、断熱箱体21の左右方向に対しては冷蔵室29内のほぼ全幅に形成され、同様に前後方向に対しては前面開口部21a付近からダクト110近傍まで収容可能に形成される。
この時、ダクト110は冷蔵室29内の最上部付近まで形成されており、機械室60との間に断熱材24を充填し、ダクト110の最上部は上凹部21bの形状に合わせて前側に突出した略階段状の断面となっている。
これにより、冷蔵室29は貯蔵区画の奥行きの異なる上部貯蔵区画29bと下部貯蔵区画29cとに区分され、上部貯蔵区画29bの方が狭く形成される。
上棚120は上部貯蔵区画29bの最下部付近に配置され、中棚121と下棚122とは下部貯蔵区画29cに配置され、それぞれ上の棚とは350ml缶を立てて収容可能な約125mm以上の空間を有する。
また、冷蔵庫本体20の設置面からの高さH1は約180cm、同様に上棚120の高さH2は約160cmに構成されており、上棚120は日本人女性の平均身長である約155cmの使用者の視線よりも高い位置に配置されている。
一方で中棚121の高さH3は145cmに構成されており、日本人女性の平均身長の使用者の視線とほぼ同レベルの配置となっている。
なお、上記日本人女性の特徴は、欧米人と比較して一般的に身長が低いアジア人女性でも、同様である。
また、冷蔵室29の上部には上棚120奥に収容した目的貯蔵品130を見ることができる鏡140を有する。
鏡140は冷蔵室29の内箱22の天井面と左右両側面とにまたがって、略コの字状の断面で一体に形成されている。
鏡140は断熱箱体21の前後方向に対しては、前端は上棚120の前端と同一、もしくは、やや上棚120よりも前側に位置し、後端は上棚120の後端よりも前側に位置しており、同様に上下方向に対しては内箱22の天井面から上棚120の上面近傍までを覆う。
使用者の身長や姿勢に応じて視線の高さは変化するが、使用者が冷蔵庫本体20との前後方向の距離を変化させることにより、もし目的貯蔵品130の前に非目的貯蔵品150を収容している場合でも、鏡140の反射により目的貯蔵品130を視認することができる。
特に、本実施の冷蔵庫本体20では上棚120より視線の低い使用者でも目的貯蔵品130を視認できるように鏡140の配置を調整して構成されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルが運転されると圧縮機50の圧縮動作により吐出された高温高圧の冷媒は凝縮器にて周囲の空気と熱交換して放熱する。放熱によって凝縮液化した冷媒は減圧器に至って減圧された後、蒸発器51において貯蔵室内の空気と熱交換を行ない蒸発する。
この時、蒸発作用により蒸発器周辺の空気が低温になり、その空気をダクト110を通じて貯蔵室内に循環させることで各貯蔵室が設定された温度帯まで冷却保持される。
使用者は貯蔵品の最適保存温度に応じて各貯蔵室に貯蔵品を冷却保存する。
近年の大型冷蔵庫は使用者の身長より高いものが多いが、上棚120より上の上部貯蔵区画29bの奥行きを下部貯蔵区画29cよりも狭くすることで、背の低い使用者にとってのデッドスペースを狭くしている。
したがって、これによって冷蔵庫本体20の使い勝手を悪化させることは無い。
また、貯蔵区画である冷蔵室29の上部貯蔵区画29bの奥側に断熱材24を挟んで非貯蔵区画である機械室60を配置しているが、デッドスペースを有効活用すると共に、比較的高温環境にある機械室60から冷蔵室29への熱侵入を抑制している。
さらに、上凹部21bの背面部の切欠き高さを下凹部21cの切欠き高さより低くして、最下の貯蔵室の野菜室33にレール部材36を備えて引出しドアとすることで、皆が使用できる高さに配置される野菜室33の奥行き寸法を大きく、かつ使い勝手良く野菜室33内の貯蔵品を出し入れすることができる。
また、使用者が鏡140を見た時の入射角度θ1と同じ角度で鏡140が使用者の視線を反射し、目的貯蔵品130を視認することができる。
さらに鏡140の前端の位置を上棚120の前端と同一、もしくは、やや上棚120のよりも前側に位置しているので、使用者が上棚120方向を見上げれば鏡140の存在を認識できる。
上棚120より視線が高い使用者が鏡140を見た際には、入射角度θ1が小さいので鏡140を通じて貯蔵品を見ることができないため、鏡140が使用者の視認性を阻害することは無い。
一方例えば下棚122の視線高さの使用者が鏡140を見た場合には、入射角度θ1が大きいので、上棚120の前端付近しか見ることができない。
また、中棚121は平均身長の日本人女性の視線高さと同レベルの高さに配置しているので多くの使用者は中棚121の上面に置いた貯蔵品を直接視認することができる。
なお、鏡140の後端を上棚120の後端よりも前側に位置するとしたが、もちろん意匠性向上のために上棚120の後端と同一まで広げることは可能である。
しかしながら、鏡140の反射による視認性確保のみを目的とする場合には、鏡140を後に広げる必要は無く、当然広げない方が鏡140のコストダウンになる。
なお、鏡140の幅方向に対しても、使用者が回動自在の冷蔵室ドア29aを開ける際には、使用者の視線は左右方向で言えば上部ヒンジ34と下部ヒンジ35側を向いていることが多いので、鏡140を上部ヒンジ34と下部ヒンジ35側のみに限定すると、さらに鏡140を小さくでき、コストダウンになる。
以上のように、本実施の形態では、冷蔵室29は奥行きの異なる上部貯蔵区画29bと下部貯蔵区画29cとを有し、上部貯蔵区画29bは下部貯蔵区画29cより奥行きが狭く設定され、上部貯蔵区画29b前方の上面もしくは側面に、反射を利用して上部貯蔵区画29bの奥部まで視認可能な鏡140を備えたので、背の低い人でも鏡140の反射により上部貯蔵区画29bに収容した貯蔵品を視認することができる。
また、上部貯蔵区画29bの奥行きを下部貯蔵区画29cよりも狭く設定したことで、例えば背の低い人が鏡140を見た際など、鏡140に対する視線の入射角度θ1が大きい場合でも、鏡140を通じて上部貯蔵区画29bの奥部まで視認できるようになる。
また、上部貯蔵区画29bの冷蔵庫本体20の設置面からの高さ位置を140cm以上としたことにより、多くの女性が鏡140を有効に利用できる一方で、奥行きの狭い上部貯蔵区画29bを設けることによる冷蔵庫本体20の収容量低減を抑制することができる。
また、上部貯蔵区画29bの奥側に非貯蔵区画として機械室60を備えたことで、上部貯蔵区画29bの奥の空間を有効利用することができる。
さらに、機械室60には貯蔵品を収容しないので、使用者の使い勝手は悪化しない。
また、機械室60の温度は上部貯蔵区画29bよりも高く設定されるが、機械室60が断熱材24を介して上部貯蔵区画29bと区分したことにより、機械室60内を冷蔵室29同様に冷却する必要が無いので冷蔵庫本体20の冷却に必要な能力を軽減でき、冷蔵庫本体20の消費電力量を低減することができる。
さらに、機械室60の熱が冷蔵室29内へ侵入することを断熱材24が抑制していることは言うまでも無い
また、圧縮機50を機械室60に配置したことにより、更に非貯蔵室空間を有効利用することができる。
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2における冷蔵庫の正面図、図5は同実施の形態の冷蔵庫の断面図を示すものである。
なお、本実施の形態において実施の形態1と同一の構成に関しては同一の番号を付し、説明を省略する。
図4、図5において、冷蔵庫本体200は実施の形態1よりも背の高い冷蔵庫である。
冷蔵庫本体200の断熱箱体201は、樹脂にて形成された内箱202と鋼板などの金属磁性体にて形成された外箱203との間に断熱材204を充填した断熱壁から形成されるものであり、前面開口部201aを有し、仕切壁205,206,207,208によ
り、上部から冷蔵室209、製氷室210、第一の冷凍室211、第2の冷凍室212、野菜室213と複数の貯蔵室を形成している。なお、製氷室210と第1の冷凍室211とは左右並列に配置されている。
冷蔵室209と野菜室213との保存設定温度は冷蔵温度帯に設定され、製氷室210と第一の冷凍室211と第2の冷凍室212との保存設定温度は冷凍温度帯に設定されている。
また、各貯蔵室には全閉時に前面開口部201aを閉塞し、断熱箱体201と連結され、それぞれ断熱壁を有する冷蔵室ドア209a、製氷室ドア210a、第一の冷凍室ドア211a、第2の冷凍室ドア212a、野菜室ドア213aを備える。更に冷蔵室ドア209aは右側上下端をそれぞれ回転軸を有する上部ヒンジ214と下部ヒンジ215とで断熱箱体201と回動自在に連結されており、その他の貯蔵室は引出し式であり、各貯蔵室に備えられたレール部材216によって前後方向に開閉自在に断熱箱体201と連結されている。
レール部材216は各貯蔵室の引出し容量や引出し長さに応じて、例えば比較的容量の小さい製氷室210と容量の大きい野菜室213とで異なる部材や位置に形成しても良い。
更に、各貯蔵室ドアの断熱箱体201側の面は、全閉時に前面開口部201aとの間に5mm程度の空間217を有し、空間217は各貯蔵室ドアの断熱箱体201の面の上下左右4辺に設けられたマグネットを有するガスケット218の磁力にて前面開口部201aにガスケット218を吸着させることで密着させることができ、各貯蔵室は略密閉にシールされる。
また、断熱箱体201は冷蔵庫本体200を運転時に冷却する冷凍サイクル(図示せず)を有し、この冷凍サイクルは圧縮機220と凝縮器(図示せず)と減圧器(図示せず)と蒸発器221とを順に備えて一連の冷媒流路を備えている。
冷凍サイクルの冷媒は可燃性の炭化水素系冷媒、例えばイソブタンを使用しており、イソブタンの密度は空気より大きい。
また、断熱箱体201の背面側の上下にそれぞれ上凹部201bと下凹部201cとを有する。
上凹部201bは実施の形態1と比較すると背面部の切り欠き高さが大きくなっており、その分冷蔵庫本体200がより高くなっている。
また、実施の形態1と同様に、下凹部21cの背面部の切欠き高さは、上凹部21bの切欠き高さよりも低くなるように構成されている。
上凹部201bは断熱箱体201の上面部と背面部との一部を切り欠き、断熱材204を介して冷蔵室209と対向するように形成され、上凹部201bには機械室230を配置し、機械室230内には圧縮機220と制御部240とを断熱箱体201の上下方向に配置し、圧縮機220の上部に制御部240が配置されている。
また、機械室230の上面と背面とは鋼板などの良熱伝導性材料にて形成された機械室カバー250にて一体に覆われている。
機械室230は非貯蔵区画であり、使用者が貯蔵品を収容するなど日常的に使用する場所ではない。
さらに冷蔵室209の冷却設定温度が冷蔵温度帯に設定されるのに対し、機械室230は圧縮機220の停止時には外気温と同じ温度となり、圧縮機220の運転時には外気温より約30℃高くなるため、機械室230は冷蔵室209よりも高い温度に保持される。
また、圧縮機220はピストンがシリンダ内を往復運動することで冷媒の圧縮を行う往復運動型圧縮機であり、直流電力を電気的に交流電力に変換してインバータ制御される。
インバータ制御によって圧縮機220の駆動周波数を複数の所定値に段階的に切り替えることが可能となり、効率的に各貯蔵室を冷却している。
制御部240は圧縮機220など冷蔵庫本体200の電気部品を駆動制御し、各電気部品とケーブル(図示せず)にて連結されている。
また、下凹部201cは断熱箱体201の底面部と背面部との一部を切り欠き、断熱材204を介して野菜室213と対向するように形成され、下凹部201cには蒸発器221の除霜時に発生する除霜水を熱源や送風により強制的に蒸発処理する除霜水処理部260を配置している。
外箱203の背面部の上凹部201bと下凹部201cとの間の断熱材204内には真空断熱パネル270を配置している。
真空断熱パネル270は外箱203の背面部の両凹部間の平面部ほぼ全体を所定の厚みをもって一体に覆い、断熱材204を介して蒸発器221や各貯蔵室の背面側に配置され、各貯蔵室に低温の空気を循環させるダクト280のほぼ全体と対向するように構成されている。
また、冷蔵室209には上から順に第一の上棚290と第二の上棚291と中棚292と下棚293とを備え、冷蔵室209内に収容する貯蔵品を区分収容可能としている。
それぞれの棚は略平板状であり、断熱箱体201の左右方向に対しては冷蔵室29内のほぼ全幅に形成され、同様に前後方向に対しては前面開口部201a付近からダクト110近傍まで収容可能に形成される。
この時、ダクト280は冷蔵室209内の最上部付近まで形成されており、機械室230との間に断熱材204を充填し、ダクト280の最上部は上凹部201bの形状に合わせて前側に突出した略階段状の断面となっている。
したがって、ダクト280の最上部は、実施の形態1と比較すると断熱箱体201の上下方向に長く形成されている。
また、これにより冷蔵室209は貯蔵区画の奥行きの異なる上部貯蔵区画209bと下部貯蔵区画209cとに区分され、上部貯蔵区画209bの方が狭く形成される。
第一の上棚290と第二の上棚291とは上部貯蔵区画209bに配置され、特に第二の上棚291は上部貯蔵区画209bの最下部付近に配置されている。
また、中棚292と下棚293とは下部貯蔵区画209cに配置され、それぞれ上の棚
とは350ml缶を立てて収容可能な約125mm以上の空間を有する。
また、冷蔵庫本体200の設置面からの高さH4は約200cm、同様に第一の上棚290の高さH5は約180cm、第二の上棚291の高さH6は160cmに構成されており、第一の上棚290と第二の上棚291とは日本人女性の平均身長である約155cmの使用者の視線よりも高い位置に配置されている。
一方で中棚292の高さH7は145cmに構成されており、日本人女性の平均身長の使用者の視線とほぼ同レベルの配置となっている。
また、冷蔵室209の上部には、第一の上棚290と第二の上棚291との奥にそれぞれ収容した目的貯蔵品300を見ることができる第一の鏡310と第二の鏡320とを有する。
第一の鏡310は冷蔵室209の内箱22の天井面と左右両側面とにまたがって、略コの字状の断面で一体に形成されている。
第一の鏡310は断熱箱体201の前後方向に対しては、前端は第一の上棚290の前端と同一、もしくは、やや第一の上棚290よりも前側に位置し、後端は第一の上棚290の後端よりも前側に位置しており、同様に上下方向に対しては内箱202の天井面から第一の上棚290の上面近傍までを覆う。
第二の鏡320は第一の上棚290下面に略平板状に形成されている。
第二の鏡320は断熱箱体201の前後方向に対しては、前端は第一の上棚290の前端とほぼ同一に位置すると共に第一の鏡310の前端よりも後ろ側に形成され、後端は第一の上棚290の後端よりも前側に位置すると共に第一の鏡310の後端とはほぼ同一に形成されている。
使用者の身長や姿勢に応じて視線の高さは変化するが、使用者が冷蔵庫本体200との前後方向の距離を変化させることにより、もし目的貯蔵品300の前に非目的貯蔵品330を収容している場合でも、第一の鏡310と第二の鏡320との反射により目的貯蔵品300を視認することができる。
特に、本実施の冷蔵庫本体200では第二の上棚291より視線の低い使用者でも目的貯蔵品300を視認できるように第一の鏡310と第二の鏡320との配置を調整して構成されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルが運転されると圧縮機220の圧縮動作により吐出された高温高圧の冷媒は凝縮器にて周囲の空気と熱交換して放熱する。放熱によって凝縮液化した冷媒は減圧器に至って減圧された後、蒸発器51において貯蔵室内の空気と熱交換を行ない蒸発する。
この時、蒸発作用により蒸発器周辺の空気が低温になり、その空気をダクト280を通じて貯蔵室内に循環させることで各貯蔵室が設定された温度帯まで冷却保持される。
使用者は貯蔵品の最適保存温度に応じて各貯蔵室に貯蔵品を冷却保存する。
近年の大型冷蔵庫は使用者の身長より高いものが多いが、第二の上棚291より上の上部貯蔵区画209bの奥行きを下部貯蔵区画209cよりも狭くすることで、背の低い使用者にとってのデッドスペースを狭くしている。
したがって、これによって冷蔵庫本体200の使い勝手を悪化させることは無い。
また、貯蔵区画である冷蔵室209の上部貯蔵区画209bの奥側に断熱材204を挟んで非貯蔵区画である機械室230を配置しているが、デッドスペースを有効活用すると共に、比較的高温環境にある機械室230から冷蔵室209への熱侵入を抑制している。さらに、上凹部201bの背面部の切欠き高さを下凹部201cの切欠き高さより低くして、最下の貯蔵室の野菜室213にレール部材216を備えて引出しドアとすることで、皆が使用できる高さに配置される野菜室213の奥行き寸法を大きく、かつ使い勝手良く野菜室213内の貯蔵品を出し入れすることができる。
また、使用者が第一の鏡310や第二の鏡320を見た時の入射角度θ2、θ3と同じ角度で第一の鏡310と第二の鏡320とが使用者の視線を反射し、目的貯蔵品300を視認することができる。
この時、同じ視線高さの場合にはθ3よりもθ2の方が大きくなるので、第一の鏡310を通じて第一の上棚290奥部を見る範囲が狭くなる。
その際には上部貯蔵区画209bの第一の上棚290奥部を更に狭くすれば目的貯蔵品300の視認性を確保することができる。
さらに第一の鏡310の前端の位置を第一の上棚290の前端と同一、もしくは、やや第一の上棚290よりも前側に位置しているので、使用者が第一の上棚290方向を見上げれば第一の鏡310の存在を認識できる。
また、第二の鏡320の前端を第一の鏡310の前端よりも後ろ側に配置したので、使用者が第一の鏡310を見る際に、第二の鏡320が視認性を阻害することは無い。
第一の上棚290や第二の上棚291より視線が高い使用者が第一の鏡310や第二の鏡320を見た際には、入射角度θ2、θ3が小さいので第一の鏡310や第二の鏡320を通じて貯蔵品を見ることができないため、第一の鏡310や第二の鏡320が使用者の視認性を阻害することは無い。
一方例えば下棚293の視線高さの使用者が第一の鏡310や第二の鏡320を見た場合には、入射角度θ2、θ3が大きいので、第一の上棚290や第二の上棚291の前端付近しか見ることができない。
また、中棚292は平均身長の日本人女性の視線高さと同レベルの高さに配置しているので多くの使用者は中棚292の上面に置いた貯蔵品を直接視認することができる。
なお、第一の鏡310と第二の鏡320との後端を第一の上棚290と第二の上棚291との後端よりも前側に位置するとしたが、もちろん意匠性向上のために第一の上棚290と第二の上棚291と同一まで広げることは可能である。
しかしながら、第一の鏡310と第二の鏡320との反射による視認性確保のみを目的とする場合には、第一の鏡310と第二の鏡320とを後に広げる必要は無く、当然広げない方が第一の鏡310と第二の鏡320とのコストダウンになる。
なお、それぞれの鏡の幅方向に対しても、使用者が回動自在の冷蔵室ドア209aを開ける際には、使用者の視線は左右方向で言えば上部ヒンジ214と下部ヒンジ215側を向いていることが多いので、それぞれの鏡を上部ヒンジ214と下部ヒンジ215側のみに限定すると、さらに第一の鏡310と第二の鏡320とを小さくでき、コストダウンになる。
以上のように、本実施の形態では、冷蔵室209は奥行きの異なる上部貯蔵区画209bと下部貯蔵区画209cとを有し、上部貯蔵区画209bは下部貯蔵区画209cより奥行きが狭く設定され、上部貯蔵区画209b前方の上面もしくは側面に、反射を利用して上部貯蔵区画209bの奥部まで視認可能な第一の鏡310と第二の鏡320とを備えたので、背の低い人でも第一の鏡310と第二の鏡320との反射により上部貯蔵区画209bに収容した貯蔵品を視認することができる。
また、上部貯蔵区画209bの奥行きを下部貯蔵区画209cよりも狭く設定したことで、例えば背の低い人が第一の鏡310や第二の鏡320を見た際など、第一の鏡310や第二の鏡320に対する視線の入射角度θ2、θ3が大きい場合でも、第一の鏡310や第二の鏡320を通じて上部貯蔵区画209bの奥部まで視認できるようになる。
また、上部貯蔵区画209bの冷蔵庫本体200の設置面からの高さ位置を140cm以上としたことにより、多くの女性が第一の鏡310や第二の鏡320を有効に利用できる一方で、奥行きの狭い上部貯蔵区画209bを設けることによる冷蔵庫本体200の収容量低減を抑制することができる。
また、上部貯蔵区画209bの奥側に非貯蔵区画として機械室230を備えたことで、上部貯蔵区画209bの奥の空間を有効利用することができる。
さらに、機械室230には貯蔵品を収容しないので、使用者の使い勝手は悪化しない。
また、機械室230の温度は上部貯蔵区画209bよりも高く設定されるが、機械室230が断熱材204を介して上部貯蔵区画209bと区分したことにより、機械室230内を冷蔵室209同様に冷却する必要が無いので冷蔵庫本体200の冷却に必要な能力を軽減でき、冷蔵庫本体200の消費電力量を低減することができる。
さらに、機械室230の熱が冷蔵室209内へ侵入することを断熱材204が抑制していることは言うまでも無い
また、圧縮機220を機械室230に配置したことにより、更に非貯蔵室空間を有効利用することができる。