JP2013020995A - リアクトル - Google Patents
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Abstract
【課題】リアクトルにおいて、低コストな構成で、過度な大型化を防止しつつ、低負荷領域での損失低減と、高負荷領域での電流負荷に対するインダクタンスの低下抑制とを図ることである。
【解決手段】リアクトル22は、外側コア26と、外側コア26の内側に内外間ギャップGiを介して配置される内側コア24と、内側コア24及び外側コア26の中央側部分と外側部分との間に配置された内側コイル10及び外側コイル12とを含む。外側コア26の磁気抵抗は、内側コア24の磁気抵抗よりも、少なくとも一部の動作領域で高くし、内側コア24は、外側コア26を構成する外側磁性材料よりも鉄損の小さい内側磁性材料により構成する。
【選択図】図3
【解決手段】リアクトル22は、外側コア26と、外側コア26の内側に内外間ギャップGiを介して配置される内側コア24と、内側コア24及び外側コア26の中央側部分と外側部分との間に配置された内側コイル10及び外側コイル12とを含む。外側コア26の磁気抵抗は、内側コア24の磁気抵抗よりも、少なくとも一部の動作領域で高くし、内側コア24は、外側コア26を構成する外側磁性材料よりも鉄損の小さい内側磁性材料により構成する。
【選択図】図3
Description
本発明は、外側コアと、外側コアの内側に配置される内側コアと、コイルとを備えるリアクトルに関する。
従来から、エンジンと走行用モータとを搭載し、エンジン及び走行用モータの一方または両方を主駆動源として使用するハイブリッド車両(HV)や、電気自動車(EV)、燃料電池車両等において電池電圧と、走行用モータに接続されたインバータの駆動電圧との最適化を図るために、昇圧コンバータ等の電圧変換器が使用されている。
このような電圧変換器は、コアと、そのコアの周囲に巻装されたコイルとを含むリアクトルを備えている。また、コアは、複数の磁性体により構成し、複数の磁性体の一部をギャップ板と呼ばれるスペーサや空間(ギャップ空間)を介して対向させることが考えられている。
また、リアクトルの従来構造としては、例えば図9から図11に示すような3例が考えられている。図9に示すリアクトルの従来構造の第1例は、「外鉄型」と呼ばれるもので、内側コイル10とその外側に同心に配置した外側コイル12とを接続し、内側、外側両コイル10,12の周方向一部を囲うように磁性材料製のコア14を配置している。図10に示すリアクトルの従来構造の第2例も「外鉄型」と呼ばれるもので、内側コイル10とその外側に同心に配置した外側コイル12とを接続し、内側、外側両コイル10,12の全体を囲うように磁性材料製のコア16を配置している。図11に示すリアクトルの従来構造の第3例は、「内鉄型」と呼ばれるもので、コア18を外形が略矩形状の環状に形成し、コア18の両側に設けられた2の脚部20のそれぞれの周囲に内側コイル10とその外側の外側コイル12とを配置し、コイル10,12同士を互いに接続している。
また、特許文献1には、複数の半円筒状鉄心の軸方向と磁路が形成される方向とが平行になるように、2ずつの半円筒状鉄心の切断面を絶縁体板を介して対向させ、半円筒状鉄心を覆うようにボビンを介してコイルを巻きまわししたリアクトルが記載されている。なお、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1の他に特許文献2〜4がある。
コアを、複数の磁性体の一部をギャップ板やギャップ空間を介して対向させて構成する場合、コアを流れる磁束は、ギャップ板やギャップ空間を通過せず、これらの周囲に漏れ出る漏れ磁束が生じる可能性がある。この場合、漏れ磁束が周囲に配置されたコイルを通過すると渦電流の発生による渦電流損が生じる可能性がある。このため、従来構成では、性能向上のために渦電流損の低減を図ることが望まれている。また、従来構成の場合、コアで生じる鉄損を小さくしたり、電流負荷に対するインダクタンスの低下を抑制することが性能向上の面から望まれている。
これに対して、コア体格を大きくすることで磁束密度を小さくし、鉄損を低く抑えるとともに、電流負荷に対するインダクタンスの低下を抑制することが考えられる。ただし、この場合、リアクトル全体が過度に大型化する可能性がある。また、鉄損を低くするために、コアのすべてに低鉄損材を使用すると、リアクトルのコストが過度に上昇する原因となる。
また、渦電流損の低減を図るためにコイルの巻回数を減らして起磁力を小さく抑えるとともに、コアを構成する磁性体間のギャップを小さくすることも考えられるが、性能確保の面からリアクトル全体が過度に大型化する可能性がある。すなわち、ギャップを小さくすることで電流負荷に対するインダクタンスが著しく低下する可能性があり、これを防止するために磁束密度を低くすると、コア体格が大きくなり、やはりリアクトル全体が過度に大型化する可能性がある。
一方、本発明者は、通常多く使用される低負荷領域での鉄損を小さくできれば、実用上の性能を高くでき、しかも、リアクトルのインダクタンスは特に電流負荷が大きくなる高負荷領域で低下が著しいので高負荷領域でのインダクタンスの低下を防止できれば、使用時のインダクタンスの低下を抑制できると考えた。
これに対して、特許文献1に記載されたリアクトルは、複数の半円筒状鉄心を、絶縁体板を介して対向させた部分と、板面が長方形である強磁性体製の薄板を積層することにより構成される複数の直方体状鉄心を、絶縁体板を介して対向させた部分の異なる種類の磁路形成部分により、コアが構成されている。このようなコアは、異なる種類の磁路形成部分が磁路の流れ方向に対し直列に配置されている。ただし、このような特許文献1には、リアクトルにおいて、低コストな構成で、過度に大型化することなく、低負荷領域での渦電流損及び鉄損の低減を図り、高負荷領域での電流負荷に対するインダクタンスの低下を抑制できる手段は開示されていない。また、このような不都合を解消できる手段は、特許文献2から特許文献4にも開示されていない。
本発明の目的は、リアクトルにおいて、低コストな構成で、過度な大型化を防止しつつ、低負荷領域での損失低減を図り、かつ、高負荷領域での電流負荷に対するインダクタンスの低下を抑制することである。
本発明に係るリアクトルは、外側コアと、前記外側コアの内側に、内外間ギャップを介して配置される内側コアとを備え、前記外側コアは、一対の基部と、一対の基部を連結する3の脚部とを含む断面形状を有し、前記内側コアは、前記外側コアの前記各脚部のうち、2の外側脚部のそれぞれと1の中央脚部との間にそれぞれ配置された2の環状である断面形状を有し、さらに、前記外側コアの前記中央脚部と、前記内側コアに設けられた中央側の脚部との周囲で、前記外側コアの前記外側脚部と、前記内側コアに設けられた外側の脚部との間に少なくとも一部が配置されたコイルとを備え、前記外側コアの磁気抵抗は、前記内側コアの磁気抵抗よりも、少なくとも一部の動作領域で高くし、前記内側コアは、前記外側コアを構成する外側磁性材料よりも鉄損の小さい内側磁性材料により構成されていることを特徴とするリアクトルである。なお、「内側コア」及び「外側コア」は、磁性材料製の磁性体部分のみにより構成されてもよく、磁性体部分と、磁性体間に設けられた空間ギャップ、または非磁性材のギャップ板、充填材等のギャップ材であるギャップとにより構成されてもよい(本明細書全体及び特許請求の範囲で同じとする)。また、「内外間ギャップ」は、内側コアと外側コアとの間に設けられた空間ギャップ、または非磁性材のギャップ板、充填材等のギャップ材であるギャップをいう(本明細書全体及び特許請求の範囲で同じとする)。
また、本発明に係るリアクトルにおいて、好ましくは、前記内側コアは、第1コアと第2コアとにより構成され、前記外側コアは、前記第1、第2両コアを、内外間ギャップを介して内側に配置する第3コアにより構成され、前記第1コアは、一対の第1基部と、前記一対の第1基部同士を連結する第1外側脚部及び第1中央側脚部とを含み、前記第2コアは、一対の第2基部と、前記一対の第2基部同士を連結する第2外側脚部及び第2中央側脚部とを含み、前記第3コアは、一対の第3基部と、前記一対の第3基部同士を連結する2の第3外側脚部及び第3中央脚部とを含み、前記第1コア及び前記第2コアは、前記各第3外側脚部と前記第3中央脚部との間にそれぞれ配置されており、前記コイルは、前記第1中央側脚部及び前記第2中央側脚部と前記第3中央脚部との周囲で、かつ、前記第1外側脚部及び前記第2外側脚部と前記各第3外側脚部との内側に一部が配置されており、前記第3コアの磁気抵抗は、前記第1コア及び前記第2コアのそれぞれの磁気抵抗よりも、少なくとも一部の動作領域で高くし、前記第1コア及び前記第2コアは、前記第3コアを構成する第3磁性材料よりも鉄損の小さい第1磁性材料及び第2磁性材料によりそれぞれ構成されている。なお、第1コアを構成する第1磁性材料と、第2コアを構成する第2磁性材料とは、同じ鉄損を有するようにしても、異なる鉄損を有するようにしてもよい。例えば第1磁性材料と第2磁性材料とを同じにすることもできる(以下の説明において同様である。)。
また、本発明に係るリアクトルにおいて、好ましくは、前記内側コアは、一対の環状の内側基部と、前記一対の内側基部同士を連結する内側筒状脚部及び第1外側筒状脚部とを含む内側筒コアにより構成され、前記外側コアは、一対の円板状の外側基部と、前記一対の外側基部同士を連結する中央脚部及び第2外側筒状脚部とを含む外側筒コアにより構成され、前記内側筒コアは、前記第2外側筒状脚部と前記中央脚部との間に配置されており、前記コイルは、前記内側筒状脚部及び前記中央脚部の周囲で、かつ、前記第1外側筒状脚部及び前記第2外側筒状脚部の内側に配置されており、前記外側筒コアの磁気抵抗は、前記内側筒コアの磁気抵抗よりも、少なくとも一部の動作領域で高くし、前記内側筒コアは、前記外側筒コアを構成する外側筒磁性材料よりも鉄損の小さい内側筒磁性材料により構成されている。
また、本発明に係るリアクトルにおいて、好ましくは、前記内側コアは、複数の内側磁性体と、前記内側磁性体間の内側ギャップとを有し、前記外側コアは、複数の外側磁性体と、前記外側磁性体間の外側ギャップとを有し、磁路方向についての前記内側ギャップのギャップ長の和は、磁路方向についての前記外側ギャップのギャップ長の和よりも小さくしている。
また、本発明に係るリアクトルにおいて、好ましくは、前記外側コアを構成する外側磁性材料は、前記内側コアを構成する内側磁性材料よりも低透磁率で、電流負荷に対する磁気抵抗の変化が小さい。
また、本発明に係るリアクトルにおいて、好ましくは、前記コイルは、互いに同心に配置され、互いに一端同士が接続された内側コイル及び外側コイルを含み、独立した2相励磁を行うように使用される。また、本発明に係るリアクトルにおいて、好ましくは、前記コイルは、互いに同心に配置され、互いに直列接続された内側コイル及び外側コイルを含み、単相励磁を行うように使用される。
本発明のリアクトルによれば、コイルに流れる電流が小さい低負荷領域で、磁気抵抗の小さく、かつ、コイルに近い内側コアに、コイルにより発生した磁束が外側コアよりも先に流れる。一方、コイルに流れる電流が大きくなる高負荷領域になると、コイルにより発生した磁束は、磁気抵抗の大きく、かつ、コイルから遠い外側コアにも流れるようになる。この場合、内側コアの磁気抵抗を小さくできるので、内側コアを、磁性体と、磁性体間のギャップとにより構成する場合でも、対応するギャップ長を小さくできるので、コイル渦損である渦電流損を小さくできる。また、電流負荷が小さい低負荷領域では、鉄損の小さい内側磁性材料により構成される内側コアを磁束が通過するため、低負荷領域での鉄損の低減を図れる。さらに、電流負荷が大きい高負荷領域では、磁気抵抗の高い外側コアを磁束が通過するので、高負荷領域でのインダクタンスの低下を抑制できる。また、コア全体を過度に大型化して飽和磁束密度を高くする必要がない。また、コア全体をコストが上昇しやすい低鉄損の磁性材料により構成する必要もない。このように本発明のリアクトルでは、磁束が通過する磁路方向に対し、内側コアと外側コアとを並列に配置したのと同様に作用するので、低コストな構成で、過度な大型化を防止しつつ、低負荷領域での損失低減を図れ、かつ、高負荷領域での電流負荷に対するインダクタンスの低下を抑制できる。
[第1の発明の実施の形態]
以下、本発明の実施形態のリアクトルを、図面を用いて説明する。なお、本実施の形態のリアクトルは、例えばハイブリッド車両や、電気自動車、燃料電池車両等の電動車両の電気回路を構成する昇圧コンバータや昇降圧コンバータ等の電圧変換器に組み込んで使用できる。ただし、リアクトルは、このような使用形態で使用するものに限定せず、種々の電気回路に組み込んで使用できる。
以下、本発明の実施形態のリアクトルを、図面を用いて説明する。なお、本実施の形態のリアクトルは、例えばハイブリッド車両や、電気自動車、燃料電池車両等の電動車両の電気回路を構成する昇圧コンバータや昇降圧コンバータ等の電圧変換器に組み込んで使用できる。ただし、リアクトルは、このような使用形態で使用するものに限定せず、種々の電気回路に組み込んで使用できる。
図1から図5は、本発明の第1の実施の形態を示している。図1、図2に示すように、リアクトル22は、コイルの外側にコアが存在する「外鉄型」であり、それぞれ断面の外形が矩形状の内側コア24及び外側コア26と、内側コイル10及び外側コイル12とを備える。
内側コア24は、互いに幅方向(図1の左右方向)両側に離れて配置された断面矩形の第1コア28及び第2コア30により構成されている。すなわち、第1コア28は、断面矩形枠形の四角筒状に構成されている。図3に示すように、第1コア28は、それぞれ磁性材により造られた第1内側磁性体である、2の第1コア要素32を含む。各第1コア要素32は、I字形の第1基部34の両端部から直交する方向に形成された平行な2本のI字形の第1脚部要素36を含み、断面がU形の角を略直角に形成された形状を有する。第1コア28は、対応する各第1脚部要素36の先端を、内側ギャップであるギャップ材G1を介して互いに向き合うように組み合わせることにより構成され、両側に2本の第1脚部である、第1外側脚部38と第1中央側脚部40とを含んでいる。後述するようにリアクトル22が構成された状態で、第1外側脚部38は第1中央側脚部よりも外側に配置される。このように、第1コア28は、一対の第1基部34と、一対の第1基部34同士を連結する第1外側脚部38及び第1中央側脚部40とを含む。
また、第2コア30も、第1コア28と同じ形状または同様の形状に構成されており、それぞれ磁性材により造られた第2内側磁性体である、2の第2コア要素42を組み合わせることにより構成されている。各第2コア要素42は、I字形の第2基部44の両端部に設けられた2本のI字形の第2脚部要素46を含み、対応する各第2脚部要素46の先端を、内側ギャップであるギャップ材G2を介して互いに向き合うように組み合わせることにより第2コア30が構成され、第2コア30は、両側に2本の第2脚部である、第2外側脚部48と第2中央側脚部50とを含んでいる。後述するようにリアクトル22が構成された状態で、第2外側脚部48は第2中央側脚部50の外側に配置される。このように、第2コア30は、一対の第2基部44と、一対の第2基部44同士を連結する第2外側脚部48及び第2中央側脚部50とを含む。
各第1コア要素32は、例えば、内側磁性材料である第1磁性材料として、鉄を基材とする磁性粉末を加圧成形することにより造られるダストコアにより構成されたり、第1磁性材料として、ケイ素鋼やアモルファス材等で造られる複数枚の磁性板の積層体により構成されることができる。同様に、各第2コア要素42は、例えば、内側磁性材料である第2磁性材料として、ケイ素鋼やアモルファス材等で造られる複数枚の磁性板の積層体により構成されることができる。各第1コア要素32と各第2コア要素42とは、互いに同じ磁性材料により構成することも、互いに異なる磁性材料により構成することもできる。
また、外側コア26は、第1コア28及び第2コア30を、内外間ギャップGiを介して内側に配置する第3コア52により構成されている。すなわち、第3コア52は、第1コア28と第2コア30とを内側に配置する形状を有し、それぞれ磁性材により造られた外側磁性体である、断面E字形の2の第3コア要素54を含む。各第3コア要素54は、I字形の第3基部56の両端部及び中間部から直交する方向に形成された平行な3本のI
字形の第3脚部要素58を含む。第3コア52は、対応する各第3脚部要素58の先端を、外側ギャップであるギャップ材G3を介して互いに向き合うように組み合わせることにより構成され、平行な3本の第3脚部である、2本の第3外側脚部60と各第3外側脚部60の間の第3中央脚部62とを含んでいる。このように、第3コア52は、一対の第3基部56と、一対の第3基部56同士を連結する2の第3外側脚部60及び第3中央脚部62とを含む。各第3コア要素54も、例えば、外側磁性材料である第3磁性材料として、鉄を基材とする磁性粉末を加圧成形することにより造られるダストコアにより構成されたり、第3磁性材料として、鉄やケイ素鋼等で造られる複数枚の磁性板の積層体により構成されることができる。
字形の第3脚部要素58を含む。第3コア52は、対応する各第3脚部要素58の先端を、外側ギャップであるギャップ材G3を介して互いに向き合うように組み合わせることにより構成され、平行な3本の第3脚部である、2本の第3外側脚部60と各第3外側脚部60の間の第3中央脚部62とを含んでいる。このように、第3コア52は、一対の第3基部56と、一対の第3基部56同士を連結する2の第3外側脚部60及び第3中央脚部62とを含む。各第3コア要素54も、例えば、外側磁性材料である第3磁性材料として、鉄を基材とする磁性粉末を加圧成形することにより造られるダストコアにより構成されたり、第3磁性材料として、鉄やケイ素鋼等で造られる複数枚の磁性板の積層体により構成されることができる。
また、第1コア28及び第2コア30が、第3コア52に設けられた各第3外側脚部60と第3中央脚部62との間にそれぞれ配置されることにより、コア64が構成されている。この場合、第1コア28及び第2コア30のそれぞれと、第3コア52との間に内外間ギャップGiが設けられている。内外間ギャップGiは、第1コア28及び第3コア52の間でGp1−3のギャップ長を有し、第2コア30及び第3コア52の間でGp2−3のギャップ長を有する。内外間ギャップGiは、例えば充填材等のギャップ材またはギャップ空間により構成される。この構成により、第1コア28、第2コア30及び第3コア52は、磁気的に高い独立性が確保される。すなわち、各コア28,30,52には別のコアから磁束が流れ込みにくくなっている。
このようなコア64は、次の断面形状を有する。すなわち、図3に示すように、第3コア52は、一対の第3基部56と、一対の第3基部56を連結するI字形の第3外側脚部60及びI字形の第3中央脚部62とを含む断面形状を有する。また、第1コア28及び第2コア30は、第3コア52に設けられた2の第3外側脚部60のそれぞれと第3中央脚部62との間に配置された2の環状である断面形状をそれぞれ有する。
また、外側コイル12及び内側コイル10は、第1中央側脚部40及び第2中央側脚部50と第3中央脚部62との周囲で、かつ、第1外側脚部38及び第2外側脚部48と各第3外側脚部60との内側に、それぞれ周方向2個所部分が配置されるように、第1中央側脚部40及び第2中央側脚部50と第3中央脚部62との周囲に巻装されている。外側コイル12は、内側コイル10の内側に略同心に配置されている。各コイル10,12は、例えば軸方向に複数のターンが設けられ、図2に示すように軸方向に見た形状が略矩形である、エッジワイズコイルにより構成されている。また、各コイル10,12は、樹脂等の非磁性材製の図示しないボビン等により支持されることができる。なお、各コイル10,12は、軸方向に見た形状が略円形等の矩形以外の形状であるエッジワイズコイルにより構成することもできる。また、各コイル10,12は、断面丸形の通常のソレノイドコイルや、フラットワイズコイル等のエッジワイズコイル以外により構成することもできる。また、外側コイル12と内側コイル10とでコイルの種類や基本形状やターン数、すなわち巻回数等を異ならせることもできる。また、このようにコイルの種類等を異ならせる場合に、内側コイル10と外側コイル12との一方または両方で、それぞれコイルの種類、基本形状、及び巻回数が同じコイルを径方向の互いに異なる位置に配置することで、複数レア(層)とし、互いに直列接続することもできる。このような外側コイル12及び内側コイル10は、例えば電気的に並列に接続して使用する。図3で、「in」と示されている各コイル10,12の電流経路の一端側と、図3で「out」と示されている各コイル10,12の電流経路の他端側とにそれぞれ図示しない外部端子を接続可能としている。例えば、「in」側から電流を入力し、「out」側から電流を出力する。また、このように並列接続する場合、内側コイル10と外側コイル12とで巻き方向を逆にし、磁気的に逆結合で結合することもできる。
なお、内側コイル10及び外側コイル12は、単相励磁で使用することもできる。例えば、各コイル10,12の一端にトランジスタ、IGBT等の共通のスイッチング素子(図示せず)をそれぞれ接続し、単相励磁用として、昇圧コンバータまたは高圧コンバータ等の電圧変換器を構成し、使用することができる。なお、内側コイル10及び外側コイル12は、2相励磁用として電圧変換器を構成し、使用することもできる。この場合、例えば、図3で「out」と示された部分に、各コイル10,12で互いに別のアームを構成する別のスイッチング素子(図示せず)を接続し、それぞれのスイッチング素子のスイッチングのオンオフの位相を、各コイル10,12に対応するもの同士で完全に逆にする、すなわち180度位相をずらせてスイッチングすることもできる。また、この場合に、スイッチングのオンオフの位相を、各コイル10,12に対応するもの同士で120度等の180度とは異なる位相でずらせてスイッチングすることもできる。
さらに、一部の動作領域であり、実用上頻繁に使用される低負荷側の動作領域である主要動作領域で、外側コア26を構成する第3コア52の磁気抵抗を、内側コア24を構成する第1コア28及び第2コア30のそれぞれの磁気抵抗よりも高くしている。例えば、図4、図5に各コアの磁気特性の例を示している。なお、以下では、図1から図3で示した要素と同一の要素には同一の符号を付して説明する。図4に示す第1例では、各コアにコイルを巻装してコイルに電流を流した場合の電流負荷と各コアの磁気抵抗との関係を示しており、主要動作領域で、第3磁路である第3コア52の磁気抵抗が最も高く、第2磁路である第2コア30、第1磁路である第1コア28の順に磁気抵抗が小さくなっている。また、第3コア52は、電流負荷に対する磁気抵抗の変化が第1コア28及び第2コア30に対して小さく、一定値に近くなっている。また、主要動作領域から高負荷側に外れた領域に、第1コア28、第2コア30及び第3コア52の磁気特性が交差するクロスポイントP1が設定されるように、ギャップ材G1,G2,G3の厚さや、各コア要素32,42,54の材料を設定している。なお、ギャップ材G1,G2,G3は、樹脂等の非磁性材により構成されるギャップ板、または非磁性材の充填材により構成することができる。また、各ギャップ材G1,G2,G3の少なくとも1のギャップ材の代わりに、空間である空間ギャップを設けることもできる。
なお、各コア28,30,52の磁気特性は、図5に示す第2例のように設定することもできる。すなわち、主要動作領域で、第3コア52の磁気抵抗が第1コア28及び第2コア30の磁気抵抗よりも高くなっており、第1コア28及び第2コア30は互いに同じ材料を使用する等により同じ磁気特性を有するようにする。また、第3コア52は、電流負荷に対する磁気抵抗の変化が第1コア28及び第2コア30に対して小さく、一定値に近くなっている。また、主要動作領域から高負荷側に外れた領域に、第1コア28、第2コア30及び第3コア52の磁気特性が交差するクロスポイントP2が設定されるように、ギャップ材の厚さや、各コア要素32,42,54の材料を設定する。
また、第1コア28及び第2コア30は、第3コア52を構成する第3磁性材料よりも鉄損の小さい第1磁性材料及び第2磁性材料によりそれぞれ構成されている。例えば、第1磁性材料及び第2磁性材料として、鉄損特性のよいアモルファスやフェライト等を使用し、第3磁性材料として、第1磁性材料及び第2磁性材料よりも鉄損の悪い、すなわち大きい材料を使用することができる。
また、主要動作領域で、第3コア52の磁気抵抗を第1コア28及び第2コア30のそれぞれの磁気抵抗よりも高くするために、内側コア24に設けられた内側ギャップであるギャップ材G1,G2または空間ギャップとの磁路方向についての総和は、外側コア26に設けられた外側ギャップであるギャップ材G3または空間ギャップの磁路方向についての総和よりも小さくしている。より具体的には、図3に示すように、第1コア28の各第1コア要素32間に設けられるギャップ材G1または空間ギャップの厚さであるギャップ長をGP1a、GP1bとし、第2コア30の各第2コア要素42間に設けられるギャップ材G2または空間ギャップの厚さであるギャップ長をGP2a、GP2bとし、第3コア52の中央部及び外側での第3コア要素54間に設けられるギャップ材G3または空間ギャップの厚さであるギャップ長をGP3a、GP3bとした場合を考える。この場合、次の(1)式及び(2)式が成立するように、ギャップ材G1,G2,G3または空間ギャップの厚さを設定する。
(Gp1a+Gp1b)<(Gp3a+Gp3b)・・・(1)
(Gp2a+Gp2b)<(Gp3a+Gp3b)・・・(2)
(Gp2a+Gp2b)<(Gp3a+Gp3b)・・・(2)
また、次の(3)式が成立するようにする。
(Gp1a+Gp1b)≦(Gp2a+Gp2b)・・・(3)
(Gp1a+Gp1b)≦(Gp2a+Gp2b)・・・(3)
また、第3コア52を構成する第3磁性材料は、第1コア28を構成する第1磁性材料及び第2コア30を構成する第2磁性材料のそれぞれよりも低透磁率で、電流負荷に対する磁気抵抗の変化が小さい材料とし、電流負荷に対する磁気抵抗特性が一定定数に近くなる意味での線形性を高くしている。なお、この構成の代わりに、第3コア52のギャップ長GP3a、GP3bを調整して、磁気抵抗を上げて第1コア28及び第2コア30のそれぞれよりも磁気飽和しにくい構成とすることもできる。ただし、いずれの構成の場合も、第3磁性材料は、第1磁性材料及び第2磁性材料のそれぞれよりも飽和磁束密度が高い方が好ましい。
また、上記のようにギャップ長の関係を調整することで、コア64の磁気抵抗バランスを、上記の図4または図5の関係に設定することができる。これにより、第1コア28及び第2コア30の電流負荷に対する磁気抵抗特性が一定定数から大きく外れる意味での非線形性を許容することができる。図4の特性を採用する場合に、第1コア28と第2コア30とでその関係を逆にすることもできる。また、第1コア28、第2コア30及び第3コア52の外側のギャップ長Gp1b、Gp2b、Gp3bは、それぞれ0とすることもできる。また、適切な磁気抵抗を得られるのであれば、第1コア28及び第2コア30の内側のギャップ長Gp1a、Gp2aも0とすることができる。
また、第3コア52では、図3で示すように、外側のギャップ材G3またはギャップ空間を、第3コア52の第3外側脚部60の長さ方向に対し直交する断面と平行に形成されたギャップである平行ギャップとしている。ただし、厚さGP3bを有する外側のギャップ材G3またはギャップ空間からの漏れ磁束が問題となる等の場合には、平行ギャップを、例えば、第3外側脚部60の長さ方向に対し斜め方向に形成されたギャップであるスラッシュギャップに変更することができる。また、第3コア52に設けられるギャップ材G3またはギャップ空間の厚さが大きくなりすぎる等の場合には、第3コア要素54をさらに複数に分割して、分割された要素同士の間にギャップ材またはギャップ空間をさらに設けることもできる。
このようなリアクトル22によれば、各コイル10,12に流れる電流が小さい低負荷領域で、磁気抵抗の小さく、かつ、各コイル10,12に近い第1コア28及び第2コア30に、各コイル10,12により発生した磁束が第3コア52よりも先に流れる。一方、各コイル10,12に流れる電流が大きくなる高負荷領域になると、各コイル10,12により発生した磁束は、磁気抵抗の大きく、かつ、各コイル10,12から遠い第3コア52にも流れるようになる。この場合、第1コア28及び第2コア30の磁気抵抗を小さくできるので、第1コア28及び第2コア30を、第1コア要素32及び第2コア要素42と、第1コア要素32及び第2コア要素42間のギャップ材G1,G2またはギャップ空間とにより構成する場合でも、対応するギャップ長Gp1a、Gp1b、Gp2a、Gp2bを小さくできるので、コイル渦損である渦電流損を小さくできる。
また、電流負荷が小さい低負荷領域では、鉄損の小さい内側磁性材料である第1磁性材料及び第2磁性材料により構成される第1コア要素32及び第2コア要素42を磁束が通過するため、低負荷領域での鉄損の低減を図れる。さらに、電流負荷が大きい高負荷領域では、磁気抵抗の高い第3コア52を磁束が通過するので、高負荷領域でのインダクタンスの低下を抑制できる。また、コア64全体を過度に大型化して飽和磁束密度を高くする必要がない。また、コア64全体をコストが上昇しやすい低鉄損の磁性材料により構成する必要もない。このように本実施の形態のリアクトル22では、磁束が通過する磁路方向に対し、第1コア28及び第2コア30と第3コア52とを並列に配置したのと同様に作用するので、低コストな構成で、過度な大型化を防止しつつ、低負荷領域での損失低減を図れ、かつ、高負荷領域での電流負荷に対するインダクタンスの低下を抑制できる。
また、内側コイル10及び外側コイル12は、互いに同心に配置され、互いに直列接続して単相励磁できるようにするか、または、互いに一端同士が接続され、それぞれの他端側に別のアームのスイッチング素子が接続されるようにして独立して2相励磁できるようにしている。特に、各コイル10,12が2相励磁で、かつ、内側コイル10及び外側コイル12を磁気的に逆結合で結合して使用する場合に顕著な効果を得られる。すなわち、この場合、各コイル10,12には、電力を伝達するための直流電流に、各コイル10,12に接続されるスイッチング素子のオンオフ動作に基づくチョッピング作用により形成される電流リップルが重畳される。この場合、正常にスイッチング素子が作動する正常使用状態で、直流電流に基づく磁束である直流磁束が逆相で打ち消しあい、電流リップルに基づく磁束であるリップル磁束が同相で重なる。このように直流磁束が打ち消しあい、リップル磁束のみが発生するときは、低損失な第1コア28及び第2コア30のみに磁束が流れるので、鉄損を小さくできる。さらに、万が一、各コイル10,12のいずれかに接続したスイッチング素子である片側スイッチング素子が故障により止まってしまい、各コイル10,12の片側のコイル10(または12)のみが励磁された場合、直流磁束が消滅しなくなるという事態が発生して、大きな直流磁束が発生する可能性がある。ただし、本実施の形態によれば、大きな直流磁束に基づく大きな起磁力が発生した場合でも、この起磁力を第3コア52が吸収してくれるので、磁気飽和による極端なインダクタンスの低下を防止できるという顕著な効果を得られる。
なお、上記では、リアクトル22に内側コイル10及び外側コイル12の複数のコイルを設ける場合を説明したが、内側コイル10及び外側コイル12の代わりに1のコイルのみを設けて構成することもできる。
[第2の発明の実施の形態]
次に、図6から図8により、本発明の第2の実施の形態を説明する。図6は、本発明の第2の実施の形態に係るリアクトルを示す概略斜視図である。図7は、図6のB−B断面の半部を示す図である。図8は、図6のC−C断面図である。図6、図7に示すように、本実施の形態のリアクトル66は、内部に環状のコア配置空間が設けられた円柱状の外側コア70と、コア配置空間の内部に配置された環状の内側コア72と、内側コイル10及び外側コイル12とを備える。図8に示すように、外側コア70は、断面の外形が矩形状であり、内側コア72は、図8の左右片側半部に示す断面矩形枠状に形成された部分を外側コア70の中心軸O(図8)を中心に全周にわたって環状に連結された形状に形成されている。すなわち、内側コア72は、図8の中心軸Oに対し対称形状を有する。このような内側コア72及び外側コア70の図8に示す断面形状自体は、上記の図3に示した第1の実施形態の内側コア24及び外側コア26の断面形状と同様であるが、第1の実施形態で内側コア24が互いに分離した第1コア28及び第2コア30により構成されているのに対し、本実施の形態では内側コア72が単一の部材により構成されている点で異なる。
次に、図6から図8により、本発明の第2の実施の形態を説明する。図6は、本発明の第2の実施の形態に係るリアクトルを示す概略斜視図である。図7は、図6のB−B断面の半部を示す図である。図8は、図6のC−C断面図である。図6、図7に示すように、本実施の形態のリアクトル66は、内部に環状のコア配置空間が設けられた円柱状の外側コア70と、コア配置空間の内部に配置された環状の内側コア72と、内側コイル10及び外側コイル12とを備える。図8に示すように、外側コア70は、断面の外形が矩形状であり、内側コア72は、図8の左右片側半部に示す断面矩形枠状に形成された部分を外側コア70の中心軸O(図8)を中心に全周にわたって環状に連結された形状に形成されている。すなわち、内側コア72は、図8の中心軸Oに対し対称形状を有する。このような内側コア72及び外側コア70の図8に示す断面形状自体は、上記の図3に示した第1の実施形態の内側コア24及び外側コア26の断面形状と同様であるが、第1の実施形態で内側コア24が互いに分離した第1コア28及び第2コア30により構成されているのに対し、本実施の形態では内側コア72が単一の部材により構成されている点で異なる。
すなわち、内側コア72は、断面矩形枠形の筒状に構成されており、内部に内側コイル10及び外側コイル12を配置するための環状空間が形成されている。このために、内側コア72は、環状で中心部に円形孔部を有する一対の内側基部76と、一対の内側基部76同士を連結する内側筒状脚部78及び第1外側筒状脚部80とを含む内側筒コア82により構成されている。内側筒状脚部78及び第1外側筒状脚部80は、互いに平行であり、各内側基部76に直交する方向に結合している。内側筒コア82は、それぞれ磁性材により造られた内側磁性体である、2の内側コア要素84を含む。各内側コア要素84は、内側基部76の外周側端部及び内周側端部からそれぞれ直交する方向に形成された平行な2本の筒状脚部要素86を含む。内側筒コア82は、対応する各筒状脚部要素86の先端を、内側ギャップであるギャップ材G1を介して互いに向き合うように組み合わせることにより構成され、内周側と外周側とにそれぞれ設けられた内側筒状脚部78及び第1外側筒状脚部80を含んでいる。
また、各第内側コア要素84は、例えば、内側筒磁性材料として、鉄を基材とする磁性粉末を加圧成形することにより造られるダストコアにより構成されたり、内側筒磁性材料として、ケイ素鋼やアモルファス材等で造られる複数枚の磁性板の積層体により構成されることができる。
また、外側コア70は、内側コア72を、内外間ギャップGiを介して内側に配置する外側筒コア88により構成されている。すなわち、外側筒コア88は、内側筒コア82を内側に配置する形状を有し、それぞれ磁性材により造られた外側磁性体である、断面E字形の2の外側コア要素90を含む。各外側コア要素90は、円板状の外側基部92の外周側端部及び中心部からそれぞれ直交する方向に形成された平行な筒状の第1外側脚部要素94及び柱状の第2外側脚部要素96を含む。外側コア70は、対応する第1外側脚部要素94,96の先端同士を、外側ギャップであるギャップ材G3を介して互いに向き合うように組み合わせることにより構成され、平行な中央脚部98と第2外側筒状脚部100とを含んでいる。このように、外側コア70は、一対の円板状の外側基部92と、一対の外側基部92同士を連結する中央脚部98及び第2外側筒状脚部100とを含む外側筒コア88により構成されている。
外側コア要素90も、例えば、外側筒磁性材料として、鉄を基材とする磁性粉末を加圧成形することにより造られるダストコアにより構成されたり、外側筒磁性材料として、鉄やケイ素鋼等で造られる複数枚の磁性板の積層体により構成されることができる。
また、内側コア72が、外側コア70に設けられた第2外側筒状脚部100と中央脚部98との間に配置されることにより、コア102が構成されている。この場合、内側コア72と、外側コア70との間に内外間ギャップGiが設けられている。内外間ギャップGiは、例えば充填材等のギャップ材またはギャップ空間により構成される。この構成により、内側コア72及び外側コア70は、磁気的に高い独立性が確保される。すなわち、内側コア72及び外側コア70には別のコアから磁束が流れ込みにくくなっている。
このようなコア102は、次の断面形状を有する。すなわち、図8に示すように、外側コア70は、一対の外側基部92のI字形構成部分と、一対の外側基部92のI字形構成部分を連結する第2外側筒状脚部100の2のI字形構成部分及び中央脚部98のI字形構成部分とを含む断面形状を有する。また、内側コア72は、外側コア70に設けられた第2外側筒状脚部100の2のI字形構成部分のそれぞれと中央脚部98のI字形構成部分との間に配置された2の環状である断面形状を有する。
また、外側コイル12及び内側コイル10は、内側筒状脚部78及び中央脚部98の周囲で、かつ、第1外側筒状脚部80及び第2外側筒状脚部100の内側に配置されるように、内側筒状脚部78及び中央脚部98の周囲に巻装されている。外側コイル12及び内側コイル10の構成は、上記の第1の実施の形態の場合と同様である。
さらに、一部の動作領域であり、実用上頻繁に使用される低負荷側の動作領域である主要動作領域で、外側コア70の磁気抵抗を、内側コア72の磁気抵抗よりも高くしている。例えば、上記の図5で示した第1の実施形態での磁気特性で、第3コア52(図1)を外側コア70とし、第1コア28(図1)及び第2コア30(図1)を内側コア72とした場合と同様の特性とすることができる。すなわち、主要動作領域で、内側コア72よりも外側コア70の磁気抵抗を高くするとともに、外側コア70は、電流負荷に対する磁気抵抗の変化が内側コア72に対して小さく、一定値に近くなっている。また、主要動作領域から高負荷側に外れた領域に、内側コア72及び外側コア70の磁気特性が交差するクロスポイントが設定されるように、ギャップ材G1,G3の厚さや、各コア要素84,90の材料を設定している。なお、ギャップ材G1,G3は、樹脂等の非磁性材により構成されるギャップ板、または非磁性材の充填材により構成することができる。また、各ギャップ材G1,G3の少なくとも1のギャップ材の代わりに、空間である空間ギャップを設けることもできる。
また、内側コア72は、外側コア70を構成する外側筒磁性材料よりも鉄損の小さい内側筒磁性材料により構成されている。例えば、内側筒磁性材料として、鉄損特性のよいアモルファスやフェライト等を使用し、外側筒磁性材料として、内側筒磁性材料よりも鉄損の悪い、すなわち大きい材料を使用することができる。
また、主要動作領域で、外側コア70の磁気抵抗を内側コア72の磁気抵抗よりも高くするために、内側コア72に設けられた内側ギャップであるギャップ材G1または空間ギャップとの磁路方向についての総和は、外側コア70に設けられた外側ギャップであるギャップ材G3または空間ギャップの磁路方向についての総和よりも小さくしている。より具体的には、図8に示すように、内側コア72の中央側及び外側での内側コア要素84間に設けられるギャップ材G1または空間ギャップの厚さであるギャップ長をGP11a、GP11bとし、外側コア70の中央部及び外側での外側コア要素90間に設けられるギャップ材G3または空間ギャップの厚さであるギャップ長をGP13a、GP13bとした場合を考える。この場合、次の(4)式が成立するように、ギャップ材または空間ギャップの厚さを設定する。
(Gp11a+Gp11b)<(Gp13a+Gp13b)・・・(4)
また、外側コア70を構成する外側磁性材料は、内側コア72を構成する内側磁性材料よりも低透磁率で、電流負荷に対する磁気抵抗の変化が小さい材料とし、電流負荷に対する磁気抵抗特性が一定定数に近くなる意味での線形性を高くしている。なお、この構成の代わりに、外側コア70のギャップ長GP13a、GP13bを調整して、磁気抵抗を上げて内側コア72よりも磁気飽和しにくい構成とすることもできる。ただし、いずれの構成の場合も、外側磁性材料は、内側磁性材料よりも飽和磁束密度が高い方が好ましい。
なお、内側コア72及び外側コア70の外側のギャップ長Gp11b、Gp13bは、それぞれ0とすることもできる。また、適切な磁気抵抗を得られるのであれば、内側コア72の内側のギャップ長Gp11aも0とすることができる。
また、外側コア70に設けるギャップ材G3またはギャップ空間の厚さが大きくなりすぎる等の場合には、外側コア要素90をさらに複数に分割して、分割された要素同士の間にギャップ材またはギャップ空間をさらに設けることもできる。
このようなリアクトル66の場合も、上記の第1の実施の形態と同様に、各コイル10,12に流れる電流が小さい低負荷領域で、磁気抵抗の小さく、かつ、各コイル10,12に近い内側コア72に、各コイル10,12により発生した磁束が外側コア70よりも先に流れる。一方、各コイル10,12に流れる電流が大きくなる高負荷領域になると、各コイル10,12により発生した磁束は、磁気抵抗の大きく、かつ、各コイル10,12から遠い外側コア70にも流れるようになる。この場合、内側コア72の磁気抵抗を小さくできるので、内側コア72を、内側コア要素84と、内側コア要素84間のギャップ材G1またはギャップ空間とにより構成する場合でも、対応するギャップ長Gp11a、Gp11bを小さくできるので、コイル渦損である渦電流損を小さくできる。
また、電流負荷が小さい低負荷領域では、鉄損の小さい内側磁性材料により構成される内側コア要素84を磁束が通過するため、低負荷領域での鉄損の低減を図れる。さらに、電流負荷が大きい高負荷領域では、磁気抵抗の高い外側コア70を磁束が通過するので、高負荷領域でのインダクタンスの低下を抑制できる。また、コア102全体を過度に大型化して飽和磁束密度を高くする必要がない。また、コア102全体をコストが上昇しやすい低鉄損の磁性材料により構成する必要もない。このように本実施の形態のリアクトルでも、磁束が通過する磁路方向に対し、内側コア72と外側コア70とを並列に配置したのと同様に作用するので、低コストな構成で、過度な大型化を防止しつつ、低負荷領域での損失低減を図れ、かつ、高負荷領域での電流負荷に対するインダクタンスの低下を抑制できる。
また、内側コイル10及び外側コイル12は、互いに同心に配置され、互いに直列接続して単相励磁できるようにするか、または、互いに一端同士が接続され、それぞれの他端側に別のアームのスイッチング素子が接続されるようにして独立して2相励磁できるようにしている。特に、各コイル10,12が2相励磁で、かつ、内側コイル10及び外側コイル12を磁気的に逆結合で結合して使用する場合に、上記の第1の実施の形態で説明したのと同様に顕著な効果を得られる。
なお、上記では、リアクトル66に内側コイル10及び外側コイル12の複数のコイルを設ける場合を説明したが、内側コイル10及び外側コイル12の代わりに1のコイルのみを設けることもできる。その他の構成及び作用は、上記の第1の実施の形態と同様である。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の形態で実施し得ることは勿論である。
10 内側コイル、12 外側コイル、14,16,18 コア、20 脚部、22 リアクトル、24 内側コア、26 外側コア、28 第1コア、30 第2コア、32 第1コア要素、34 第1基部、36 第1脚部要素、38 第1外側脚部、40 第1中央側脚部、42 第2コア要素、44 第2基部、46 第2脚部要素、48 第2外側脚部、50 第2中央側脚部、52 第3コア、54 第3コア要素、56 第3基部、58 第3脚部要素、60 第3外側脚部、62 第3中央脚部、64 コア、66 リアクトル、70 外側コア、72 内側コア、74 環状空間、76 内側基部、78 内側筒状脚部、80 第1外側筒状脚部、82 内側筒コア、84 内側コア要素、86 筒状脚部要素、88 外側筒コア、90 外側コア要素、92 外側基部、94 第1外側脚部要素、96 第2外側脚部要素、98 中央脚部、100 第2外側筒状脚部、102 コア。
Claims (7)
- 外側コアと、前記外側コアの内側に、内外間ギャップを介して配置される内側コアとを備え、
前記外側コアは、一対の基部と、一対の基部を連結する3の脚部とを含む断面形状を有し、
前記内側コアは、前記外側コアの前記各脚部のうち、2の外側脚部のそれぞれと1の中央脚部との間にそれぞれ配置された2の環状である断面形状を有し、
さらに、前記外側コアの前記中央脚部と、前記内側コアに設けられた中央側の脚部との周囲で、前記外側コアの前記外側脚部と、前記内側コアに設けられた外側の脚部との間に少なくとも一部が配置されたコイルとを備え、
前記外側コアの磁気抵抗は、前記内側コアの磁気抵抗よりも、少なくとも一部の動作領域で高くし、
前記内側コアは、前記外側コアを構成する外側磁性材料よりも鉄損の小さい内側磁性材料により構成されていることを特徴とするリアクトル。 - 請求項1に記載のリアクトルにおいて、
前記内側コアは、第1コアと第2コアとにより構成され、
前記外側コアは、前記第1、第2両コアを、内外間ギャップを介して内側に配置する第3コアにより構成され、
前記第1コアは、一対の第1基部と、前記一対の第1基部同士を連結する第1外側脚部及び第1中央側脚部とを含み、
前記第2コアは、一対の第2基部と、前記一対の第2基部同士を連結する第2外側脚部及び第2中央側脚部とを含み、
前記第3コアは、一対の第3基部と、前記一対の第3基部同士を連結する2の第3外側脚部及び第3中央脚部とを含み、
前記第1コア及び前記第2コアは、前記各第3外側脚部と前記第3中央脚部との間にそれぞれ配置されており、
前記コイルは、前記第1中央側脚部及び前記第2中央側脚部と前記第3中央脚部との周囲で、かつ、前記第1外側脚部及び前記第2外側脚部と前記各第3外側脚部との内側に一部が配置されており、
前記第3コアの磁気抵抗は、前記第1コア及び前記第2コアのそれぞれの磁気抵抗よりも、少なくとも一部の動作領域で高くし、
前記第1コア及び前記第2コアは、前記第3コアを構成する第3磁性材料よりも鉄損の小さい第1磁性材料及び第2磁性材料によりそれぞれ構成されていることを特徴とするリアクトル。 - 請求項1に記載のリアクトルにおいて、
前記内側コアは、一対の環状の内側基部と、前記一対の内側基部同士を連結する内側筒状脚部及び第1外側筒状脚部とを含む内側筒コアにより構成され、
前記外側コアは、一対の円板状の外側基部と、前記一対の外側基部同士を連結する中央脚部及び第2外側筒状脚部とを含む外側筒コアにより構成され、
前記内側筒コアは、前記第2外側筒状脚部と前記中央脚部との間に配置されており、
前記コイルは、前記内側筒状脚部及び前記中央脚部の周囲で、かつ、前記第1外側筒状脚部及び前記第2外側筒状脚部の内側に配置されており、
前記外側筒コアの磁気抵抗は、前記内側筒コアの磁気抵抗よりも、少なくとも一部の動作領域で高くし、
前記内側筒コアは、前記外側筒コアを構成する外側筒磁性材料よりも鉄損の小さい内側筒磁性材料により構成されていることを特徴とするリアクトル。 - 請求項1から請求項3のいずれか1に記載のリアクトルにおいて、
前記内側コアは、複数の内側磁性体と、前記内側磁性体間の内側ギャップとを有し、
前記外側コアは、複数の外側磁性体と、前記外側磁性体間の外側ギャップとを有し、
磁路方向についての前記内側ギャップのギャップ長の和は、磁路方向についての前記外側ギャップのギャップ長の和よりも小さくしていることを特徴とするリアクトル。 - 請求項1から請求項4のいずれか1に記載のリアクトルにおいて、
前記外側コアを構成する外側磁性材料は、前記内側コアを構成する内側磁性材料よりも低透磁率で、電流負荷に対する磁気抵抗の変化が小さいことを特徴とするリアクトル。 - 請求項1から請求項5のいずれか1に記載のリアクトルにおいて、
前記コイルは、互いに同心に配置され、互いに一端同士が接続された内側コイル及び外側コイルを含み、独立した2相励磁を行うように使用されることを特徴とするリアクトル。 - 請求項1から請求項5のいずれか1に記載のリアクトルにおいて、
前記コイルは、互いに同心に配置され、互いに直列接続された内側コイル及び外側コイルを含み、単相励磁を行うように使用されることを特徴とするリアクトル。
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