JP2013019000A - 成膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板上に複数の膜を連続して高品質に成膜する。
【解決手段】基板200を搬送経路に沿って搬送する搬送コンベア110と、搬送経路中に並ぶように位置する複数の成膜室100と、複数の成膜室100のうち隣接する成膜室同士を繋ぐように搬送経路に沿ってトンネル状に位置し、複数の成膜室100を順次通過する基板200を取り囲んで加熱する加熱炉120とを備える。複数の成膜室100の各々は、筐体と、この筐体内に成膜材料を微粒子化した成膜ガスを噴霧する噴霧機構と、筐体の1つの側壁に位置して成膜ガスを排気するための排気口152とを有する。筐体は、複数の成膜室100を順次通過する基板200と対向する開放部を加熱炉120内に有する。成膜ガスは、複数の成膜室100の各々において、噴霧機構から開放部を通過して排気口152に向けて流動する。複数の成膜室100のうち互いに隣接する成膜室の少なくとも1対の成膜室同士においては、互いの排気口152同士が対向している。
【選択図】図1

Description

本発明は、成膜装置に関し、特に、微粒子化した成膜材料を堆積させて成膜する成膜装置に関する。
半導体、ディスプレイおよび太陽電池などの分野で、透明導電膜が広く利用されている。透明導電膜としては、STO(チタン酸ストロンチウム)およびITO(Snドープ酸化インジウム)などの金属酸化物からなるものが主流である。透明導電膜は、一般的に、スパッタリング法、蒸着法、および、有機金属化合物を用いた有機金属化学気相成長法などを用いて成膜される。
スパッタリング法および蒸着法においては、真空プロセスで成膜するため、真空容器などの真空雰囲気を形成して維持する設備が必要となる。有機金属化学気相成長法においては、原料として用いる有機金属化合物が爆発性および毒性を有するため、機密性の高い設備が必要となる。このため、上記の成膜方法を行なうためには、高価な成膜装置が必要となる。
そこで、従来とは異なる成膜方法としてミスト法が提案されている。ミスト法は、原料金属を溶質として含む溶媒を霧化して基板上に噴霧することによって成膜する方法である。
ミスト法においては、大気圧で成膜することができるため、真空容器およびポンプ類などの製造設備が不要である。また、ミスト法においては有機金属化合物のような危険物質を用いないため、簡易な構成で安価な成膜装置を使用することができる。
透明導電膜を形成する成膜装置の構成を開示した先行文献として、国際公開第2005/081269号パンフレット(特許文献1)、および、特開平5−214543号公報(特許文献2)がある。
特許文献1に記載された成膜装置は、220cm2以上の面積を有する下地上にCVD(Chemical Vapor Deposition)によって透明導電膜を堆積するための成膜室と、有機金属蒸気を含む第1のガスを輸送する第1のガス管と、酸化剤蒸気を含む第2のガスを輸送する第2のガス管と、第1のガス管と第2のガス管とを結合させて第1のガスと第2のガスとを混合するためのガス混合空間と、そのガス混合空間おいて混合された反応ガスを成膜室内へ導入するガス導入手段と、成膜室から排ガスを排出するための排気装置とを含む。
特許文献2に記載された薄膜形成装置においては、基板搬送手段により搬送される基板を挟んでその両主面側に夫々別箇の霧化器と排気口とを備える成膜室を形成している。成膜室を通過する過程で、基板の両面に薄膜が形成される。また、この装置において、基板を2列に平行に並んで搬送させれば、両側の基板に同時に薄膜を形成することができる。
国際公開第2005/081269号パンフレット 特開平5−214543号公報
基板上に異なる種類の膜を連続して成膜するためには、複数の成膜室を配置する必要がある。複数の成膜室を設けた場合、異なる種類の成膜ガスがそれぞれの成膜室に導入される。そのため、成膜室内に、隣接して配置された他の成膜室から異なる成膜ガスが混入することがある。この場合、基板上に形成される膜の品質が低下する。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、基板上に複数の膜を連続して高品質に成膜できる、成膜装置を提供することを目的とする。
本発明に基づく成膜装置は、基板を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、搬送経路中に並ぶように位置する複数の成膜室と、複数の成膜室のうち隣接する成膜室同士を繋ぐように搬送経路に沿ってトンネル状に位置し、複数の成膜室を順次通過する基板を取り囲んで加熱する加熱炉とを備える。複数の成膜室の各々は、筐体と、この筐体内に成膜材料を微粒子化した成膜ガスを噴霧する噴霧機構と、筐体の1つの側壁に位置して成膜ガスを排気するための排気口とを有する。筐体は、複数の成膜室を順次通過する基板と対向する開放部を加熱炉内に有する。成膜ガスは、複数の成膜室の各々において、噴霧機構から開放部を通過して排気口に向けて流動する。複数の成膜室のうち互いに隣接する成膜室の少なくとも1対の成膜室同士においては、互いの排気口同士が対向している。
本発明の一形態においては、複数の成膜室は、偶数個の成膜室からなる。偶数個の成膜室のそれぞれは、互いに隣接して互いの排気口同士が対向した成膜室対を構成している。
本発明の一形態においては、複数の成膜室は、奇数個の成膜室からなる。奇数個の成膜室のうち1つの成膜室においては、排気口が基板の搬送方向における入側に位置している。奇数個の成膜室のうち残りの偶数個の成膜室のそれぞれは、互いに隣接して互いの排気口同士が対向した成膜室対を構成している。
本発明の一形態においては、排気口に接続されて排気された成膜ガスを処理するガス処理手段をさらに備える。ガス処理手段は、1対の成膜室対ごとに1つ設けられている。
本発明によれば、基板上に複数の膜を連続して高品質に成膜できる。
本発明の実施形態1に係る成膜装置の構成を示す側面図である。 同実施形態に係る成膜装置に含まれる成膜室の構成を示す断面図である。 図2の成膜室を矢印III方向から見た図である。 本発明の実施形態2に係る成膜装置の構成を示す側面図である。
以下、本発明の実施形態1に係る成膜装置について説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。なお、本実施形態においては、薄膜太陽電池などに用いられる透明導電膜の成膜を例に説明するが、本発明は様々な膜の成膜に応用可能である。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る成膜装置の構成を示す側面図である。図2は、本実施形態に係る成膜装置に含まれる成膜室の構成を示す断面図である。図3は、図2の成膜室を矢印III方向から見た図である。
図1に示すように、本発明の実施形態1に係る成膜装置10は、基板200が投入される投入部11と、基板200が予熱される予熱部12と、基板200が成膜処理される成膜部13と、基板200が冷却される徐冷部14と、基板200が取り出される取出し部15とを有している。
図1から3に示すように、成膜装置10は、基板200を搬送経路に沿って搬送する搬送手段である搬送コンベア110を備える。搬送コンベア110は、投入部11、予熱部12、成膜部13、徐冷部14および取出し部15に亘って設けられている。
搬送コンベア110は、基板200が載置される搬送ベルト111と、搬送ベルト111が巻き掛けられたプーリ112と、プーリ112を駆動させる駆動軸113と、駆動軸113に動力を付与する図示しないモータとから構成されている。搬送ベルト111は、耐熱性を有する金属または樹脂から形成されている。
基板200は、搬送コンベア110により矢印114で示す方向に搬送される。すなわち、本実施形態に係る成膜装置10においては、基板200の搬送経路は平面視において直線状である。ただし、搬送経路は直線状に限られず、搬送経路が平面視において屈曲していてもよいし、曲線状であってもよい。
また、成膜装置10は、搬送経路中に並ぶように位置する偶数個の成膜室100(100a,100b,100c,100d)を備える。具体的には、基板200の搬送方向の上流側から順に、成膜室100a、成膜室100b、成膜室100c、成膜室100dが設けられている。本実施形態においては、4つの成膜室100(100a,100b,100c,100d)が設けられているが、偶数個の成膜室100が設けられていればよい。
さらに、成膜装置10は、複数の成膜室100のうち隣接する成膜室同士を繋ぐように搬送経路に沿ってトンネル状に位置し、複数の成膜室100を順次通過する基板200を取り囲んで加熱する加熱炉120を備える。図3に示すように、筐体150の下部が、加熱炉120に覆われている。
トンネル状の加熱炉120の上部に開口が設けられ、その開口内に筐体150が組み込まれている。加熱炉120は、4つの成膜室100(100a,100b,100c,100d)に亘って設けられている。加熱炉120は、基板200を予熱するために、基板200の搬送方向の上流側に位置する成膜室100aより上流側から設けられている。すなわち、加熱炉120は、予熱部12および成膜部13に亘って設けられている。
基板200は、搬送コンベア110により加熱炉120内を搬送されつつ加熱される。基板200に成膜する際には、加熱炉120内は、ほぼ同一の温度、たとえば550℃に維持されている。
本実施形態に係る成膜室100は、微粒子化した成膜材料160を基板200上に堆積させて成膜する装置である。図2に示すように、成膜室100は、筐体150と、筐体150内に成膜材料160を微粒子化した成膜ガスを噴霧する噴霧機構と、筐体150の1つの側壁に位置して成膜ガスを排気するための排気口152とを有している。
図1に示すように、排気口152には、接続管310の一端が接続されている。接続管310の他端は、排気された成膜ガスを無害化処理するガス処理手段である除害装置300に接続されている。
図2に示すように、筐体150は、キャリアガス170が導入される導入口151を有している。また、筐体150は、筐体150内を3つの空間に分割する仕切壁154を有している。第1の空間は、噴霧機構の一部が配置される噴霧機構配置空間158である。第2の空間は、噴霧機構から成膜ガスが噴霧される成膜ガス噴霧空間159である。第3の空間は、排気口152と繋がっている排気空間153である。
筐体150は、成膜ガス噴霧空間159から成膜ガスを基板200上に流動可能とする、基板200と対向する開放部を有している。開放部は、筐体150の下部に形成されている。図1,3に示すように、開放部は、加熱炉120内に位置している。
搬送コンベア110により搬送されている基板200と筐体150の開放部との間には、所定における隙間が設けられている。導入口151が位置する側の側壁と基板200との間には、隙間156が設けられている。排気口152が位置する側の側壁と基板200との間には、隙間157が設けられている。
噴霧機構は、成膜材料160を貯留するタンク140と、タンク140内に圧縮空気を導入する図示しないコンプレッサーと、圧縮空気により加圧された成膜材料160が通過する通路141と、成膜材料160を微粒子化して成膜ガスとして噴霧するスプレーノズル130とから構成されている。筐体150には、スプレーノズル130の位置に対応して開口155が形成されている。
設けられるスプレーノズル130の数は、基板200の成膜処理の所望のタクトタイムを満たすために必要な単位時間当たりの成膜ガスの噴霧量、または、成膜処理を行なううえで必要な成膜速度に応じて適宜変更される。
なお、後述するように、導入口151から導入されるキャリアガス170の一部は、スプレーノズル130を冷却するためにスプレーノズル130に対して送られる。スプレーノズル130にキャリアガス170を送るために、スプレーノズル130の近傍に図示しない冷却ファンが配置されている。
スプレーノズル130は、冷却ファンにより空冷される。さらに、スプレーノズル130の近傍に、図示しない水冷用の冷却管が設けられている。冷却管内を冷却水が循環することによりスプレーノズル130が水冷される。
このように、スプレーノズル130の近傍を冷却することにより、加熱炉120の熱がスプレーノズル130に及ばないようにしている。その結果、スプレーノズル130から噴き付けられる成膜材料160の濃度を一定に保ち、基板200上に成膜される膜の品質を安定させることができる。また、成膜材料160が加熱されて固化することによりスプレーノズル130が目詰まりすることを抑制することができる。
成膜材料160は、無機材料として、亜鉛、スズ、インジウム、カドミウム、ストロンチウムなどの材料の少なくともいずれかを含む。これらの無機材料が溶質として、有機金属または塩化物金属からなる溶媒に、0.1mol/L以上3mol/L以下の濃度で溶解されることにより、成膜材料160の溶液が作製される。
たとえば、SnCl4:0.9M、NH4F:0.3M、HCl:30%、HCl:30%、メタノール:2.5%を含む溶液を用いることができる。ただし、成膜材料160の溶液としてはこれに限られず、種々の溶液を用いることができる。
ここで、筐体150内におけるガスの流動経路について説明する。まず、導入口151から、たとえば圧縮空気からなるキャリアガス170が筐体150の成膜ガス噴霧空間159内に導入される。成膜ガス噴霧空間159内に導入されたキャリアガス170は、矢印171で示す向きに流動する。
スプレーノズル130から成膜ガスが矢印161で示す向きに噴霧される。成膜ガスとキャリアガス170とは、混合領域181において互いに混合されて混合ミストとなる。混合ミストは、矢印182で示す向きに流動して開放部に到達する。混合ミストは、開放部から基板200の主面上に噴き付けられる。成膜ガスを含む混合ミストが基板200上に噴き付けられる領域を、噴き付け領域Xと称する。
噴き付け領域Xに到達した混合ミストは、基板200の主面に沿って流動する。具体的には、仕切壁154の一部であって基板200の主面と対向している対向面と、基板200の主面との間を矢印183で示す向きに混合ミストが流動する。混合ミストが矢印183で示す向きに流動する領域を、流路領域Yと称する。
流路領域Yを通過した混合ミストは、排気空間153内を矢印184で示す向きに流動する。このように混合ミストが基板の主面上から排気口152に向かう領域を、排気領域Zと称する。排気空間153内を通過して排気口152に到達した混合ミストは、除害装置300により無害化されて排気ガス180として外部に放出される。なお、図2においては、除害装置300を図示していない。
上記の噴き付け領域Xと流路領域Yと排気領域Zとから開放部が構成されている。成膜ガスは、複数の成膜室100(100a,100b,100c,100d)の各々において、噴霧機構から開放部を通過して排気口152に向けて流動する。なお、排気口152においては、導入口151から導入されるキャリアガス170の3倍〜10倍程度大きな流量で混合ミストを排気している。
図1に示すように、成膜室100aにおいて、矢印400で示すように成膜ガスが流動する。成膜室100bにおいて、矢印410で示すように成膜ガスが流動する。成膜室100cにおいて、矢印420で示すように成膜ガスが流動する。成膜室100dにおいて、矢印430で示すように成膜ガスが流動する。
上述の通り、導入されるキャリアガス170より排気される混合ミストの流量の方が多いため、成膜ガスが成膜室100内を流動する際に、隙間156から加熱炉120内の空気が成膜室100内に流入し、隙間157から成膜ガスの一部が加熱炉120内に流出する。
上記のように成膜ガスが流動している状態で、開放部の近傍を基板200が通過することにより、基板200が成膜処理される。本実施形態の成膜装置10においては、開放部の近傍を基板200が通過するように搬送コンベア110が設けられている。
基板200は、搬送コンベア110により、複数の成膜室100(100a,100b,100c,100d)の各々において、噴き付け領域X、流路領域Yおよび排気領域Zを順に通過するように搬送される。基板200は、噴き付け領域X、流路領域Yおよび排気領域Zを通過する間に、主面上に成膜材料160の微粒子が堆積することにより成膜される。
たとえば、基板200には、アルカリバリア層としてSiO2膜、および、透明導電膜としてTCO(Transparent Conductive Oxide)などの複数の膜が形成される。なお、アルカリバリア層は、基板200に含まれるアルカリ分によって太陽電池の性能低下を防止するためのものである。そのため、基板200がアルカリ分を多く含まない材質からなる場合、アルカリバリア層を形成しなくてもよい。
このように基板200上に異なる種類の膜を形成する場合は、複数の成膜室100(100a,100b,100c,100d)において、種々の成膜ガスが用いられる。たとえば、成膜室100aにおいてSiO2を成膜材料160とする成膜ガスを用い、成膜室100bにおいてSnO2を成膜材料160とする成膜ガスを用いる。
そのため、複数の成膜室100(100a,100b,100c,100d)のいずれかにおける隙間157から加熱炉120内に流出した成膜ガスが、隣接する他の成膜室100における隙間156からその成膜室100内に混入して噴き付け領域Xに到達した場合、成膜される膜の品質が低下する。
そこで、本実施形態に係る成膜装置10においては、成膜室100aの排気口152と成膜室100bの排気口152とが対向している。また、成膜室100cの排気口152と成膜室100dの排気口152とが対向している。すなわち、偶数個の成膜室100のそれぞれは、互いに隣接して互いの排気口152同士が対向した成膜室対を構成している。1対の成膜室対ごとに1つの除害装置300が設けられている。
本実施形態においては、2対の成膜室100同士において、互いの排気口152同士が対向しているが、少なくとも1対の成膜室100同士において、互いの排気口152同士が対向していればよい。
このようにした場合、成膜室100aにおける隙間157と成膜室100bにおける隙間157とを対向させることができる。上述の通り、成膜室100a内においては矢印400で示すように成膜ガスが流動し、成膜室100b内においては矢印410で示すように成膜ガスが流動する。また、加熱炉120内においては、基板200の搬送によって起きる風により、矢印114で示す方向に空気が流動している。
成膜室100aにおける隙間157からは、成膜ガスの一部が加熱炉120内の一部121に流出する。成膜室100aに隣接する成膜室100bにおける隙間157からは、成膜ガスの一部が加熱炉120内の一部121に流出する。
そのため、成膜室100a内から加熱炉120内に流出した成膜ガスは、成膜室100b内に流入することがほとんどできない。仮に、成膜ガスが加熱炉120内から成膜室100b内に流入できたとしても、隙間157は排気領域Zと繋がっているため、成膜室100b内に流入した成膜ガスは直ちに成膜室100bの排気口152から排気される。
その結果、成膜室100b内に流入した成膜ガスは、成膜室100bの噴き付け領域Xに到達することができない。よって、成膜室100b内で成膜される膜の品質が低下することを防止できる。
また、成膜室100bにおける隙間156と成膜室100cにおける隙間156とを対向させることができる。上述の通り、成膜室100c内においては矢印420で示すように成膜ガスが流動する。
成膜室100bにおける隙間156からは、加熱炉120の一部122から空気が成膜室100b内に流入する。成膜室100cにおける隙間156からは、加熱炉120の一部122から空気が成膜室100c内に流入する。加熱炉120の一部122は、加熱炉120の一部121から離れている。そのため、加熱炉120内の一部121に流出した成膜室100aおよび成膜室100bの成膜ガスは、加熱炉120の一部122においては拡散して希釈されており、成膜室100bおよび成膜室100cで成膜される膜の膜質に影響を及ぼさない程度にまで薄まっている。
さらに、成膜室100cにおける隙間157と成膜室100dにおける隙間157とを対向させることができる。上述の通り、成膜室100d内においては矢印430で示すように成膜ガスが流動する。
成膜室100cにおける隙間157からは、成膜ガスの一部が加熱炉120内の一部123に流出する。成膜室100cに隣接する成膜室100dにおける隙間157からは、成膜ガスの一部が加熱炉120内の一部123に流出する。
そのため、成膜室100c内から加熱炉120内に流出した成膜ガスは、成膜室100d内に流入することがほとんどできない。仮に、成膜ガスが加熱炉120内から成膜室100d内に流入できたとしても、隙間157は排気領域Zと繋がっているため、成膜室100d内に流入した成膜ガスは直ちに成膜室100bの排気口152から排気される。
その結果、成膜室100d内に流入した成膜ガスは、成膜室100bの噴き付け領域Xに到達することができない。よって、成膜室100d内で成膜される膜の品質が低下することを防止できる。
このように、互いに隣接する成膜室100同士の排気口152を対向配置することにより、互いに隣接する成膜室100同士において成膜ガスの混入を防止することができる。その結果、基板200上に複数の膜を連続して高品質に成膜することができる。
また、本実施形態に係る成膜装置10においては、1対の成膜室対ごとに1つの除害装置300が設けられている。そのため、各成膜装置10に除害装置300を設けた場合に比べて、除害装置300の数を低減して成膜装置10を小型化することができる。
以下、本発明の実施形態2に係る成膜装置について説明する。なお、本実施形態に係る成膜装置20は、備える成膜室100の数が奇数個であることのみ実施形態1に係る成膜装置10と異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2に係る成膜装置の構成を示す側面図である。図4に示すように、本発明の実施形態2に係る成膜装置20は、基板200が投入される投入部21と、基板200が予熱される予熱部22と、基板200が成膜処理される成膜部23と、基板200が冷却される徐冷部24と、基板200が取り出される取出し部25とを有している。
本実施形態に係る成膜装置20は、奇数個の成膜室100(100a,100b,100c,100d,100e)を備える。具体的には、基板200の搬送方向の上流側から順に、成膜室100e、成膜室100a、成膜室100b、成膜室100c、成膜室100dが設けられている。本実施形態においては、5つの成膜室100(100a,100b,100c,100d,100e)が設けられているが、複数の奇数個の成膜室100が設けられていればよい。
5つの成膜室100のうち1つの成膜室100においては、排気口152が基板200の搬送方向における入側に位置している。本実施形態においては、基板200の搬送方向における最も上流側に位置する成膜室100eの排気口152が、基板200の搬送方向における入側に位置している。成膜室100eの排気口152には、接続管310の一端が接続されている。接続管310の他端は除害装置300に接続されている。
5つの成膜室100のうち残りの4つの成膜室100(100a,100b,100c,100d)のそれぞれは、互いに隣接して互いの排気口152同士が対向した成膜室対を構成している。
ただし、成膜室対を構成するのは上記の成膜室100a,100b,100c,100dに限られず、たとえば、成膜室100e,100a,100b,100dで成膜室対を構成してもよい。また、少なくとも1対の成膜室対が構成されていればよい。
本実施形態においては、成膜室100eにおける隙間156と成膜室100aにおける隙間156とを対向させることができる。成膜室100e内においては矢印440で示すように成膜ガスが流動する。
上述の通り、加熱炉120内においては、基板200の搬送によって起きる風により、矢印114で示す方向に空気が流動している。成膜室100eにおける隙間157からは、成膜ガスの一部が加熱炉120内の一部125に流出するが、加熱炉120内の空気の流動により流出する成膜ガスの量を低減することができる。
成膜室100eにおける隙間156からは、加熱炉120の一部124から空気が成膜室100e内に流入する。成膜室100aにおける隙間156からは、加熱炉120の一部124から空気が成膜室100a内に流入する。加熱炉120の一部124は、加熱炉120の一部125から離れている。そのため、加熱炉120内の一部125に流出した成膜室100eの成膜ガスは、加熱炉120の一部124においては拡散して希釈されており、成膜室100aで成膜される膜の膜質に影響を及ぼさない程度にまで薄まっている。
このように、1つの成膜室100の排気口152を基板200の搬送方向の入側に配置し、かつ、残りの互いに隣接する複数個の成膜室100同士の排気口152を対向配置することにより、互いに隣接する成膜室100同士において成膜ガスの混入を防止することができる。その結果、基板200上に複数の膜を連続して高品質に成膜することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10,20 成膜装置、11 投入部、12 予熱部、13 成膜部、14 徐冷部、15 取出し部、100,100a,100b,100c,100d,100e 成膜室、110 搬送コンベア、111 搬送ベルト、112 プーリ、113 駆動軸、120 加熱炉、121,122,123,124,125 加熱炉の一部、130 スプレーノズル、140 タンク、141 通路、150 筐体、151 導入口、152 排気口、153 排気空間、154 仕切壁、155 開口、156,157 隙間、158 噴霧機構配置空間、159 成膜ガス噴霧空間、160 成膜材料、170 キャリアガス、180 排気ガス、181 混合領域、200 基板、300 除害装置、310 接続管。

Claims (4)

  1. 基板を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
    前記搬送経路中に並ぶように位置する複数の成膜室と、
    前記複数の成膜室のうち隣接する成膜室同士を繋ぐように前記搬送経路に沿ってトンネル状に位置し、前記複数の成膜室を順次通過する基板を取り囲んで加熱する加熱炉と
    を備え、
    前記複数の成膜室の各々は、筐体と、該筐体内に成膜材料を微粒子化した成膜ガスを噴霧する噴霧機構と、前記筐体の1つの側壁に位置して前記成膜ガスを排気するための排気口とを有し、
    前記筐体は、前記複数の成膜室を順次通過する基板と対向する開放部を前記加熱炉内に有し、
    前記成膜ガスは、前記複数の成膜室の各々において、前記噴霧機構から前記開放部を通過して前記排気口に向けて流動し、
    前記複数の成膜室のうち互いに隣接する成膜室の少なくとも1対の成膜室同士においては、互いの前記排気口同士が対向している、成膜装置。
  2. 前記複数の成膜室は、偶数個の成膜室からなり、
    前記偶数個の成膜室のそれぞれは、互いに隣接して互いの前記排気口同士が対向した成膜室対を構成している、請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記複数の成膜室は、奇数個の成膜室からなり、
    前記奇数個の成膜室のうち1つの成膜室においては、前記排気口が基板の搬送方向における入側に位置し、
    前記奇数個の成膜室のうち残りの偶数個の成膜室のそれぞれは、互いに隣接して互いの前記排気口同士が対向した成膜室対を構成している、請求項1に記載の成膜装置。
  4. 前記排気口に接続されて排気された前記成膜ガスを処理するガス処理手段をさらに備え、
    前記ガス処理手段は、1対の前記成膜室対ごとに1つ設けられている、請求項2または3に記載の成膜装置。
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