JP2013018709A - 慢性痒疹治療用外用剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】結節性痒疹や多形慢性痒疹等の慢性痒疹に有効で、副作用の少ない皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】多硫酸化コンドロイチン硫酸を有効成分とする、慢性痒疹治療用外用剤。前記外用剤は、特に結節性痒疹の治療に適している。前記外用剤は、ステロイドを含まないことが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、慢性痒疹の治療に有効な皮膚外用剤に関する。
痒みを伴う疾患には、様々な種類があり、その原因、発生機序、症状は疾患ごとに異なるため、疾患の種類ごとに最適な治療薬および治療方法が模索されている。
痒みを伴う疾患のうち、痒疹は、激しいかゆみを伴う丘疹もしくは蕁麻疹様小結節を特徴とし、数ヵ月以上に渡り慢性に経過するものは、慢性痒疹と呼ばれる。慢性痒疹の中でも、最も個疹が大きく難治性で知られるのが、結節性痒疹である。結節性痒疹は、固い芯があり、イボのようにぶつぶつした、ひどい痒みを伴う皮疹である。虫刺されやアレルギー、アトピー性皮膚炎等が誘因とされ、掻破等により増悪し、結節を形成し難治性の疾患となる。
アトピー性皮膚炎は、結節性痒疹の誘因の一つとして知られているが、結節性痒疹は、アトピー性皮膚炎と異なる疾患として位置づけられている。
結節性痒疹を治療するため、中長波UVBによる紫外線療法、液体窒素による凍結療法、ステロイドの局部注射、ステロイドや免疫抑制剤の経口投与等が行われてきた。
しかし、紫外線療法、凍結療法、局部注射による治療は、医療機関に行く必要があるため、患者の負担が大きく、治療に時間がかかるといった問題がある。
また、ステロイドや免疫抑制剤の経口投与には、全身性の副作用が生じるという問題がある。
そのため、手軽に使用でき、経口投与と比べて副作用の少ない外用剤による治療が望まれている。
結節性痒疹を治療するための外用剤としては、ステロイドの使用が主流であるが、ステロイドは皮膚の萎縮、局所の易感染性、自己ステロイドの生成抑制等の副作用が問題となる。結節性痒疹は、慢性であるため、副作用の少ない薬物の使用が要望される。
痒みを伴う皮膚疾患に使用でき、ステロイドを含まない外用剤として、例えば、特許文献1〜3に開示されている外用剤が挙げられる。
特許文献1には、アトピー性皮膚炎再発防止剤として用いられる外用剤として、コンドロイチン多硫酸エステルおよび酸化亜鉛からなる皮膚外用剤が開示されている。
この皮膚外用剤は、実施例にも記載されている通り、まず、ステロイド配合の抗炎症剤でアトピー性皮膚炎患者の治療を行い、皮疹や痒みの症状が改善し、ステロイドの投与量を減量した時期に塗布されるものである。すなわち、単独でアトピー性皮膚炎に効くものではなく、一旦軽減した症状が、再度悪化することを予防するものにすぎない。また、特許文献1には、慢性痒疹に関する開示はない。
特許文献2には、特定のガラクトサミノグリカンまたはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする鎮痒剤が開示されている。
特許文献2の段落[0009]および[0010]には、特許文献2の有効成分であるガラクトサミノグリカンは、抗凝固作用が問題となるコンドロイチン硫酸の多硫酸エステル(多硫酸化コンドロイチン硫酸;上記のコンドロイチン多硫酸エステルも同一物質)ではないことが開示されている。
また、特許文献2は、アトピー性皮膚炎モデルマウスにおいて、前記特定のガラクトサミノグリカンが、マウスの掻爬行動の回数を有意に抑制したことを実証するものであるが、結節性痒疹等の慢性痒疹の治療にかかる実施例はない。
特許文献3は、出願人自身の出願であり、多硫酸化コンドロイチン硫酸を有効成分とする乾癬治療薬を開示するものである。乾癬は、厚い鱗屑、痂皮を有する紅斑性疾患であって、慢性痒疹とは異なる疾患である。
特開平11−060494号公報 特開2001−151680号公報 特開平09−286731号公報
上述のように、特許文献1〜3はいずれも、慢性痒疹に対する皮膚外用剤を開示するものではない。
特に、慢性痒疹の中でも、結節性痒疹は、症状の進行により、イボのようなぶつぶつした固い芯を形成し、その固い皮膚のため、ステロイド等を含め、従来の皮膚外用剤を用いた治療法では薬物の浸透が十分でなく、治療効果を発揮できない病態に至り、難治性となる。したがって、現在もなお、結節性痒疹のような難治性の慢性痒疹を効果的に治療でき、かつ副作用の少ない皮膚外用剤が望まれていた。
本発明者らは、上記状況に鑑み、慢性痒疹の治療に効果的な皮膚外用剤について研究を続けた結果、多硫酸化コンドロイチン硫酸を含有する組成物により、結節性痒疹患者の症状を著しく改善することに成功し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、多硫酸化コンドロイチン硫酸を有効成分とする慢性痒疹治療用外用剤である。
本発明に係る外用剤は、多硫酸化コンドロイチン硫酸を有効成分として含む。多硫酸化コンドロイチン硫酸は、難治性の結節性痒疹が進行したことにより、固くなり、ステロイド等が十分浸透できない皮膚に対しても、高い保湿性に起因した良好な浸透性を示し、且つ、痒疹に対して抗炎症効果を発揮すると考えられ、それにより症状を著しく改善することができる。
また、多硫酸化コンドロイチン硫酸は、すでに皮膚外用剤の分野で、副作用がほとんどないことが分かっている成分であり、非常に安全性が高い。
本発明の製剤は、結節性痒疹のような難治性の慢性痒疹に対し、優れた治療効果を発揮し、ステロイドで効果の無い症例でも効果を示し、かつ再発抑制効果を示す。さらに、有効成分の安全性が非常に高いため、副作用の少ない外用剤を提供することができる。
図1は、結節性痒疹患者の治療開始時の皮膚の写真である。 図2は、図1の写真に示す患者を、多硫酸化コンドロイチン硫酸を含む組成物で2ヶ月間治療した後の皮膚の写真である。 図3は、図1の写真に示す患者を、多硫酸化コンドロイチン硫酸を含む組成物で7ヶ月間治療した後の皮膚の写真である。 図4は、図1の写真に示す患者を、多硫酸化コンドロイチン硫酸を含む組成物で6ヶ月間治療した後、ステロイドを併用して1ヶ月間治療した後の皮膚の写真である。
本発明に係る外用剤は、多硫酸化コンドロイチン硫酸を有効成分とする。
多硫酸化コンドロイチン硫酸とは、D−ガラクトサミンとD−グルクロン酸からなる二糖単位あたり、硫酸エステル残基が2〜4個程度、好ましくは2〜3個程度含まれるポリマーである。
多硫酸化コンドロイチン硫酸は、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸(A、C、D、E)等のコンドロイチン成分とクロロ硫酸、濃硫酸、三酸化硫黄−ピリジン錯体等の硫酸化剤を反応させる公知の方法により容易に製造できる。
好ましい多硫酸化コンドロイチン硫酸としては、日本薬局方外医薬品成分規格に収載されているヘパリン類似物質が例示される。
物理化学的性質として次の値を示す。
a)硫酸基含量:25.8〜37.3%
b)極限粘度:0.09〜0.18
多硫酸化コンドロイチン硫酸は、硫酸残基に由来する遊離の酸の形態で用いてもよいが、通常は、塩基塩を用いる。
該塩基塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
本発明に係る外用剤は、上述した多硫酸化コンドロイチン硫酸を有効成分として含み、慢性痒疹(結節性痒疹、多形慢性痒疹、慢性単純性痒疹等)の治療に有効である。
本発明の外用剤が、ステロイドですら効果を発揮しにくい結節性痒疹に対しても優れた治療効果を発揮する理由は明らかではないが、以下のような理由が考えられる。結節性痒疹は固い皮膚を形成し、治療薬の浸透が十分に届かず、その結果、治療が困難であると考えられるが、本発明に係る外用剤の有効性分である多硫酸化コンドロイチン硫酸は、保湿作用を有するため、皮膚に塗布した場合、その保湿作用により、皮膚を柔らかくし、多硫酸化コンドロイチン硫酸を皮膚の中に浸透させ、かつ、多硫酸化コンドロイチン硫酸自身に、痒疹を改善する抗炎症作用があるため、優れた治療効果を発揮する。
このように、本発明に係る外用剤は、慢性痒疹の中でも、特に難治性であることで知られている結節性痒疹に対してさえ、優れた効果を示す。
本発明に係る外用剤中の多硫酸化コンドロイチン硫酸の濃度は、0.1〜1.0重量%程度が好ましく、0.2〜0.5重量%程度がより好ましい。多硫酸化コンドロイチン硫酸は安全性が高いため、上記濃度では副作用は殆ど生じない。
本発明の慢性痒疹治療用外用剤は、軟膏剤、硬膏剤、貼付剤、クリーム、ローション、ゲル等の剤型で、好ましくは薬学的に許容される添加剤と共に医薬組成物として使用できる。
軟膏剤に配合される添加剤としては、基剤、保湿剤、増粘剤、乳化剤等が挙げられる。基剤に高級炭化水素、油脂類、ロウ類、脂肪酸、高級アルコール、エステル類等を用いることができる。高級炭化水素としては、例えば、スクワラン、合成パラフィン、流動パラフィン、白色ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられ、ロウ類としては、ミツロウ、サラシミツロウ、ラノリン、セレシンロウ等が挙げられ、脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、高級アルコールとしては、ラノリンアルコール、セトステアリルアルコール等が挙げられ、エステル類としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ステアリル等が挙げられる。
保湿剤としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール等が挙げられ、増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、乳化剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
硬膏剤ないし貼付剤に配合される添加剤としては、増粘剤、保湿剤、充填剤、架橋剤、溶解剤、乳化剤等が挙げられる。具体的には、増粘剤としてはアルギン酸ナトリウム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられ、保湿剤としてはグリセリン等が挙げられ、充填剤としてはカオリン、二酸化チタン、亜鉛華等が挙げられ、架橋剤としては、アセトアルデヒド、ジメチルケトン、硫酸アルミニウム等が挙げられ、溶解剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類等が挙げられ、乳化剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が各々例示される。
クリーム剤に配合される添加剤としては、油溶性物質、水溶性物質、乳化剤等が挙げられる。油溶性物質に高級炭化水素、油脂類、ロウ類、脂肪酸、高級アルコール、エステル類等を用いることができる。高級炭化水素としては、例えば、スクワラン、合成パラフィン、流動パラフィン、白色ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられ、ロウ類としては、ミツロウ、サラシミツロウ、ラノリン、セレシンロウ等が挙げられ、脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、高級アルコールとしては、ラノリンアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、コレステロール等が挙げられ、エステル類としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ステアリル等が挙げられる。
水溶性物質としては、水、増粘剤、保湿剤等を用いることができる。増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
乳化剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
ローション剤に配合される添加剤としては、油溶性物質、水溶性物質、乳化剤等が挙げられる。油溶性物質に高級炭化水素、油脂類、ロウ類、脂肪酸、高級アルコール、エステル類等を用いることができる。高級炭化水素としては、例えば、スクワラン、合成パラフィン、流動パラフィン、白色ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられ、ロウ類としては、ミツロウ、サラシミツロウ、ラノリン、セレシンロウ等が挙げられ、脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、高級アルコールとしては、ラノリンアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール等が挙げられ、エステル類としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ステアリル等が挙げられる。
水溶性物質としては、水、増粘剤、保湿剤等を用いることができる。増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、保湿剤としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
乳化剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
ゲル剤に配合される添加剤としては、基剤等が挙げられ、基剤にはイソプロパノール、プロピレングリコール等が使用される。
本発明において上記の各製剤で使用できる陽イオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヤシアルコールエトキシ硫酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、乳化セトステアリルアルコール等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシル、グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル等が例示できる。
両性界面活性剤としては、例えば、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、イミダゾリン型両性界面活性剤等が挙げられる。
上記界面活性剤は、単独又は組み合わせて使用することができる。
上記の軟膏剤、硬膏剤、貼付剤、クリーム、ローション、ゲル剤等の剤型に於いて、必要によりpH調節剤、保存剤、マクロゴール類等が使用される。
pH調節剤としては、例えば、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、氷酢酸等が挙げられ、保存剤としては、チモール、ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸ナトリウム水和物、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等が挙げられる。
本発明の慢性痒疹治療用外用剤は、患者の年齢、体重、性別、慢性痒疹の程度(重症、軽症)等により異なり、特に限定されず、適用量は患部の大きさにより異なる。
患部へは、1日当たり1回〜数回適用する。
本発明の外用剤は、軟膏剤、硬膏剤、貼付剤、クリーム、ローション、ゲル等として、皮膚に適用してもよく、密閉療法(ODT)によってもよい。
本発明に係る外用剤は、ステロイドを含有しないことが好ましい。ステロイドと併用することにより、却って慢性痒疹が悪化する可能性があるからである。
また、本発明に係る外用剤は、有効成分が多硫酸化コンドロイチン硫酸のみであっても、慢性痒疹を有意に改善できる。そのため、ステロイドや免疫抑制剤といった、副作用の多い成分を含まないことが好ましい。好ましくは、本発明に係る外用剤は、有効成分として、多硫酸化コンドロイチン硫酸のみを含む。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
ステロイド外用剤(有効成分:クロベタゾールプロピオン酸エステル)およびステロイド内服薬(有効成分:プレドニゾロン)で12ヶ月治療を行っても治癒しない難治性の結節性痒疹患者(成人女性)の四肢の病変部に、多硫酸化コンドロイチン硫酸を含む水中油型乳剤性軟膏(ヒルドイド(登録商標)クリーム0.3%;以下、単にヒルドイドクリームと称する)を塗布する処置を2ヶ月連続して行った。
ヒルドイドクリームは、製剤1g中に、有効成分として多硫酸化コンドロイチン硫酸(ヘパリン類似物質)を3.0mg含む。その他の添加物は、グリセリン、ステアリン酸、水酸化カリウム、白色ワセリン、ラノリンアルコール、セトステアリルアルコール、乳化セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、チモール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、イソプロパノールである。
治療前の状態を図1に、2ヶ月経過後の臨床像を図2に示す。図1および図2に示すように、丘疹ないし結節を主体とした皮膚炎は、2ヶ月間の治療で著しく改善し、色素沈着のみを残す程度となった。その後、さらに4ヶ月間(治療開始から6ヶ月間)ヒルドイドクリームを塗布する処置を継続すると、さらに著明な改善が見られた。
前記6ヶ月間の治療後、左腕にヒルドイドクリームのみを、右腕にヒルドイドクリームとステロイド製剤(有効成分:クロベタゾールプロピオン酸エステル)を塗布し、それぞれ1ヶ月間治療を継続した。図3に、左腕の写真(ヒルドイドクリームのみで7ヶ月間治療)を、図4に、右腕の写真(6ヶ月間ヒルドイドクリームを塗布する処置を継続し、症状が改善した後、ヒルドイドクリームとステロイド製剤を併用して1ヶ月間治療)を示す。図3および図4から分かるように、ヒルドイドクリームのみで治療した左腕には、著明な改善効果が見られるが、ステロイドを併用した右腕には、皮膚炎の再燃が認められた。
ステロイド製剤は、結節性痒疹の標準的治療薬であり、ステロイドと多硫酸化コンドロイチン硫酸の併用により、治療効果のさらなる向上が予期されていたため、この結果は驚くべきものであった。
なお、この治療期間中、ヒルドイドクリームの塗布による副作用は観察されなかった。
[実施例2]
実施例1と同様に、ステロイド外用剤にて治癒しない難治性の結節性痒疹患者(成人男性)に、ヒルドイドクリームを数ヶ月連続して塗布した。
ヒルドイドクリーム塗布による実施例1および実施例2の結果を表1にまとめる。
表1の「治療効果」欄は、結節性痒疹の皮疹が著明に改善し、色素沈着が主になった場合を◎とし、皮疹の数、程度がある程度改善した場合を○とし、無効、つまり皮疹の数、程度に変化がない、或いは増悪した場合は×とする。
表1の「副作用」欄は、治療期間中に副作用が観察されない場合を○とし、何らかの副作用が観察された場合を×とする。
表1の「再発」欄は、再発がない場合を○とし、再発が観察された場合を×とする。
表1に示すように、多硫酸化コンドロイチン硫酸を含む外用剤を塗布することで、結節性痒疹の著明な改善が認められ、再発、副作用は認められなかった。このように、本発明の外用剤は、ステロイドで改善の見られない難治性の結節性痒疹に対しても著効を示した。

Claims (4)

  1. 多硫酸化コンドロイチン硫酸を有効成分とする、慢性痒疹治療用外用剤。
  2. 前記慢性痒疹が結節性痒疹である、請求項1に記載の外用剤。
  3. ステロイドを含まない、請求項1または2に記載の外用剤。
  4. 有効成分として多硫酸化コンドロイチン硫酸のみを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の外用剤。
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