JP2013015406A - 超音波計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】相関係数の多峰性による誤流速検出を減少させ、特に、大口径や高流流速条件下での測定においても安定した正しい流速測定を可能にする。
【解決手段】超音波を流体に照射して得られる複数の反射波に相関演算処理を施して流体に関する所定の物理量を計測する超音波計測装置1Aであって、相関演算処理によって得られる複数の相関係数を所定回数積算演算処理するかまたはフィルタリング演算処理することによって、所定の物理量を演算する物理量演算手段(相関係数演算積算処理部152、積算メモリ153、流量演算部154)、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波を流体に照射して得られる反射波に相関演算処理を施し、流量や流速等の所定の物理量を計測する、超音波計測装置に関する。
流量計の一つに反射相関法を利用した反射相関型超音波流量計がある。この反射相関型超音波流量計は、流体に照射した超音波バルスが流体に含まれる気泡や粒子によって反射して得られる反射波に相互相関処理を施すことにより流速を計測し、この流速と流路断面積とに基づき流量を演算するものである。
2つの反射波の相関係数を求めると、例えば、図6に示すようになる。図6によれば、反射波(信号)の類似性が高ければ、正しい流速に相当する時間差(横軸)において相関係数値(縦軸)が最大になるが、実際には、種々の要因によって波形の類似性が崩れ、あるいは正弦波状の波形が連続していたりするため、誤った流速に相当する時間差においても複数のピークが存在し、場合によっては正しい流速のピークよりも大きな相関係数値になってしまうことがあり、誤流速検出の原因になっている。これは相関係数の多峰性の問題と呼ばれている。
上記した相関係数の多峰性の問題に対し、従来、インタバルの異なる2組の反射信号の相関の組み合わせから流速を求める方法(マルチインタバル法)や、発振周波数を変えて異なる周波数の2組の反射信号の相関の組み合わせから流速を求める方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記したマルチインタバル法によれば、図6に両方向矢印で示した、流速に対する相関係数値のピークの周期Wは、W=C/(2*sinθ*t*f)で表現される。ここで、fは信号の周波数、tは発振インタバル、θは超音波入射角、Cは流体の音速である。これらの方法は、ピークの周期Wが、発振インタバルtや信号波形の周波数fによって異なるため、正しい流速に相当するピークの位置は、発振インタバルや周波数に依存することなく一致するが、隣接するピークではその位置がずれることを利用した方法である。
特開2010−151452号公報
上記した特許文献1に開示された技術によれば、誤流速検出を減らすことはできても、特に、大口径や高流速条件下での測定においては十分に誤流速検出を減らすことはできない。その原因の一つとして、流速に相当する相関係数のピーク位置の算出結果は、波形類似性の低下や実際の反射体の運動の乱れ等により大きなばらつきを持つことが挙げられ、特に大口径や高流速条件下でばらつきが大きくなる。すなわち、1回の相関演算結果(ピーク位置)はそれぞればらつきを持っており、マルチインタバル法を使用しても各インタバルの相関演算結果がばらつきを持つため、図7(a)に示すように、図中、点線で示す正しい流速付近に相関係数のピークが一致して現れず、図7(b)に示すように、ばらつきによって正しい流速から外れたところに相関係数のピークが現れ、誤った流速付近にある相関係数のピークを検出してしまう。
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、相関係数の多峰性による誤流速検出を減少させ、特に、大口径や高流流速条件下での測定においても安定した正しい流速測定を可能にした超音波計測装置を提供することを目的とする。また、マルチインタバル法を改良することによって誤流速検出を減少させる超音波計測装置を提供することも目的とする。
上記した課題を解決するために本発明は、超音波を流体に照射して得られる複数の反射波に相関演算処理を施して前記流体に関する所定の物理量を計測する超音波計測装置であって、前記相関演算処理によって得られる複数の相関係数を所定回数積算演算処理するかまたはフィルタリング演算処理することによって、前記所定の物理量を演算する物理量演算手段、を有することを特徴とする。
本発明によれば、物理量演算手段は、相関係数演算結果を積算演算処理し、あるいはフィルタリング演算処理することで、相関係数がピークとなる流速がばらつくのを抑制する。このため、相関係数の多峰性による誤流速検出を減少させ、特に、大口径や高流流速条件下での測定においても安定した正しい流速測定を可能にした超音波計測装置を提供することができる。
本発明において、異なるタイムインタバルで間欠する少なくとも2組の前記超音波を前記流体に照射する超音波照射手段、を有し、前記物理量演算手段は、前記流体内で反射して得られる少なくとも2組の反射信号を受信すると、前記相関演算処理によって得られる少なくとも2組の相関係数を所定回数積算演算処理するかまたはフィルタリング演算処理することによって前記所定の物理量を演算することを特徴とする。
本発明によれば、物理量演算手段がインタバルの異なる2組の反射信号の相関に積算演算処理を施すことにより、積算回数に相当する時間内の、いわば平均的な流速に相当するところに相関係数のピークが現れるため、各々が持つばらつきは小さくなり、ばらつきの小さくなったピーク位置同士の組み合わせでマルチインタバル処理を行うことにより、マルチインタバル法を改良することによって誤流速検出を減少させる超音波計測装置を提供することができる。また、積算演算処理によらず、ローパスフィルタ処理を施すことでばらつきを減らすことができ、例えば、IIR(Infinite Impulse Response)フィルタを用いる場合、上記したばらつきを減らす他に、相関係数の演算結果を蓄積するメモリの容量が少なくて済むという効果も期待できる。
本発明によれば、相関係数の多峰性による誤流速検出を減少させ、特に、大口径や高流流速条件下での測定においても安定した正しい流速測定を可能にした超音波計測装置を提供することができる。また、マルチインタバル法を改良することによって誤流速検出を減少させる超音波計測装置を提供することもできる。
本発明の実施の形態1に係る超音波計測装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る超音波計測装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る超音波計測装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2に係る超音波計測装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る超音波計測装置の相関係数演算結果を時間軸上に示した図である。 相関係数の多峰性を説明するために示した図である。 従来の超音波計測装置による相関係数演算結果を時間軸上に示した図である。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための実施の形態(以下、単に本実施形態という)について詳細に説明する。
(実施形態1の構成)
図1は、本実施形態1に係る超音波計測装置の構成を示すブロック図である。図1によれば、本実施形態に係る超音波計測装置1Aは、バースト信号送信回路部11と、増幅器12a、12bと、トランスデューサ13と、ADC(Analog-Digital Converter)14と、演算処理部15と、制御部16と、により構成される。
バースト信号送信回路部11は、超音波の周波数帯域である、例えば500kHz〜2MHzの周波数帯域の何れかの周波数fを有する複数のバースト信号を増幅器12aに出力する電子回路である。バースト信号送信回路部11は、正弦波発振回路と、この正弦波発振回路が発振した周波数fの正弦波信号を連続して繰り返すバースト信号に強度変調する強度変調回路とから構成される。増幅器12aは、バースト信号送信回路部11から入力された送信バースト信号を所定の増幅度で増幅してトランスデューサ13に出力する。なお、バースト信号の波形は、正弦波の他に、矩形波を用いてもよい。
トランスデューサ13は、図示するように、管路10の外表面に設けられており、増幅器12aから入力された送信バースト信号を計測用超音波バースト信号に変換し、流体Xの流れ方向に直交する方向に対して角度θで管路10内に出射すると共に、計測用超音波バースト信号が管路10内の気泡等の粒子で反射することにより管路10から入射した評価用超音波バースト信号を電気信号(受信信号)に変換する電気/音響変換器である。
増幅器12bは、トランスデューサ13から入力された受信信号を所定の増幅度で増幅してADC14に出力する。ADC14は、増幅器12bから入力された受信信号を、サンプリング定理を満たす所定のサンプリングレート、つまり、上記した周波数fの2倍以上の繰り返し周期でサンプリングすることによりデジタル信号に変換して演算処理部15(ウォールフィルタ)へ出力する。
演算処理部15は、制御部16による制御の下で、超音波を流体Xに照射して得られる複数の反射波から相関演算処理によって得られる複数の相関関数を所定回数積算演算処理することにより、流体Xの流量や流速等の物理量を演算する物理量演算手段として機能する。このため、演算処理部15は、ウォールフィルタ151と、相関係数積算演算処理部152と、積算メモリ153と、流量演算部154と、に機能的に分解して表現することができる。
ウォールフィルタ151は、反射信号からなる評価用超音波バースト信号から残響振動成分を除去した受信データを相関係数積算演算処理部152に出力する。相関係数積算演算処理部152は、ウォールフィルタ151から入力される受信データ、つまり反射信号からなる評価用超音波バースト信号から上記した残響振動成分が除去されたものに相当するバースト信号について複数の時間領域毎に相関演算処理を施す。相関係数積算演算処理部152は、更に、相関演算処理によって得られる相関係数に所定回数積算演算処理を施し、過去複数回の相関係数を累積加算した結果を積算メモリ153に格納する。
ここで、相関係数積算演算処理とは、例えば、相関係数の積算回数をm回とすれば、積算相関係数F(v)=Σk(k=1〜m)(v)を求めることにより、積算回数mに相当する時間内の、いわば平均的な流速に相当するところに相関係数のピークを出現させることである。そして、気泡や粒子の移動速度の分布、つまり、管路10内における流体Xの流速の分布(流速分布)を求め、積算メモリ153に格納するとともに流量演算部154に出力する。流量演算部154は、相関係数積算演算処理部152で求められた流速分布と、流速を算出した位置近傍での管路10の断面積Sとに基づき流体Xの流量を演算する。
なお、制御部16は、バースト信号送信回路部11、ADC14、および上記したウォールフィルタ151、相関係数積算演算処理部152、積算メモリ153、流量演算部154からなる演算処理部15、とを同期制御することにより、バースト信号送信回路部11における送信バースト信号の発生タイミングに同期して受信信号をADC14で受信データに変換させると共に、この受信データを演算処理部15で演算処理させる。
(実施形態1の動作)
以下、図2のフローチャートを参照しながら、図1に示す本実施形態1に係る超音波計測装置1Aの動作について詳細に説明する。
まず、制御部16による制御の下、バースト信号送信回路部11は、例えば、500kHz〜2MHzの超音波周波数帯域の何れかの周波数fを有する複数のバースト信号を、増幅器12a経由でトランスデューサ13に出力する。これを受けてトランスデューサ13は、増幅器12aから入力された送信バースト信号を計測用超音波バースト信号に変換し、流体Xの流れ方向に直交する方向に対して角度θで管路10内に出射する(ステップS101)。また、トランスデューサ13は、計測用超音波バースト信号が管路10内の気泡等の粒子で反射することにより管路10から入射した評価用超音波バースト信号を受信すると(ステップS102“YES”)、受信信号に変換して増幅器12bに出力する(ステップS103)。
増幅器12bは、トランスデューサ13から入力された受信信号を所定の増幅度で増幅してADC14に出力し、ADC14は、増幅器12bから入力された受信信号を、サンプリングすることによりデジタル信号に変換して演算処理部15のウォールフィルタ151へ出力する。ウォールフィルタ151は、反射信号からなる評価用超音波バースト信号から残響振動成分を除去した受信データを相関係数積算演算処理部152に出力する。これを受けて相関係数積算演算処理部152は、ウォールフィルタ151から入力される受信データ、つまり反射信号からなる評価用超音波バースト信号から上記した残響振動成分が除去されたものに相当するバースト信号について複数の時間領域毎に相関演算処理を施して相関係数f(v)を算出する(ステップS104)。
相関係数積算演算処理部152は、更に、この相関演算処理によって得られる相関係数f(v)に積算演算処理をm回繰り返し(ステップS105“YES”)、積算相関係数F(v)=Σ(k=1〜m)fk(v)を求めて積算メモリ153に格納する(ステップS106)。ここで、相関演算処理を1回行うと、例えば、図6や図7に示したような周期的なピークを持つ相関係数f(v)が得られ、この相関演算を繰り返し行うことにより、fk(v)が求まるが、相関係数がピークになる流速が都度ばらつき、従来のマルチインタバル処理を用いても誤流速を検出してしまう原因になっている。しかしながら、上記した積算演算処理によって積算相関係数F(v)=Σ(k=1〜m)fk(v)を求め、相関係数がピークになる流速のばらつきを小さくすることができる。すなわち、測定対象の平均流速から大きく外れた流速において相関係数がピークとなることが少なくなる。このようにして、流量演算部154は、過去複数回の流速結果をもとにヒストグラムを作成して、ヒストグラム分布の山から明らかに外れた誤流速を排除する(ステップS107:ヒストグラム処理)。
最後に、流量演算部154は、積算メモリ153に格納された相関係数積算演算処理部152で求めた流速分布を読み出し、流速を算出した位置近傍での管路10の断面積Sに基づき流体Xの流量を演算する(ステップS108:流速プロファイル算出)。
(実施形態1の効果)
以上説明のように、本実施形態1に係る超音波計測装置1Aによれば、相関係数積算演算処理部152、積算メモリ153、流量演算部154からなる物理量演算手段が、相関係数演算結果を積算演算処理することで、相関係数がピークとなる流速がばらつくのを抑制する。このため、相関係数の多峰性による誤流速検出を減少させ、特に、大口径や高流流速条件下での測定においても安定した正しい流速測定が可能になる。すなわち、相関演算に積算演算処理を付加するで、積算回数に相当する時間内の、いわば平均的な流速に相当するところに相関係数のピークが現れるため、各々が持つ流速のばらつきは小さくなる。また、本実施形態1に係る超音波計測装置1Aによれば、ハードウェアの変更や追加の必要はなく、ソフトウェアによる演算処理の追加のみで誤流速の検出を減らすことができるため、廉価構成で新規な超音波計測装置1Aを設計することができる。
なお、本実施形態1に係る超音波計測装置1Aによれば、相関係数の積算にあたり、m回単純加算するものとして説明したが、積算演算処理に代わって、FIR(有限インパルス応答)フィルタやIIR(無限インパルス応答)フィルタ等を使用した重み付き加算で代替しても良い。要するに、従来のマルチインタバル法によれば、1回の相関演算毎のピークとなる流速結果がばらつくため、LPF(Low Pass Filter)演算処理を施すことで、上記したばらつきを減らすことができる。特に、IIRフィルタを用いる場合では、相関係数演算の結果を蓄積するメモリの容量を減らすことができるといった効果も合わせ持つ。
(実施形態2の構成)
図3は、本実施形態2に係る超音波計測装置1Bの構成を示すブロック図である。図3において、図1に示す実施形態1との構成上の差異は、バースト信号送信回路部11に代わってマルチインタバル送信回路部17が設けられ、更に、演算処理部15に、マルチインタバル処理部155が付加された点にある。他の構成は、図1に示した実施形態1と同様である。
マルチインタバル送信回路部17は、超音波の周波数帯域、例えば500kHz〜2MHzの周波数帯域の何れかの周波数fを有すると共に、異なる2つのタイムインタバル(第1インタバルT1、第2インタバルT2)でパルス状に間欠する複数の送信バースト信号を増幅器12aに出力する電子回路である。マルチインタバル送信回路部17は、正弦波発振回路と、この正弦波発振回路が発振した周波数fの正弦波信号(連続信号)を上記したタイムインタバルで繰り返すバースト信号に強度変調する強度変調回路から構成される。増幅器12aは、このマルチインタバル送信回路部17から入力された送信バースト信号を所定の増幅度で増幅してトランスデューサ13に出力する。
マルチインタバル処理部155は、相関係数のピークが一致する流速を算出するものであり、相関係数積算演算処理部152から、第1インタバルで得られる積算相関係数F1(v)=Σ(k=1〜m)fk(v)と、第2インタバルで得られる積算相関係数F2(v)=Σ(k=1〜m)fk(v)とから算出する。
(実施形態2の動作)
以下、図4のフローチャートを参照しながら図3に示す本実施形態2に係る超音波計測装置1Bの動作について、図2に示す実施の形態1の動作との差異に着目して説明する。
まず、制御部16による制御の下、マルチインタバル送信回路部17は、超音波の周波数帯域、例えば500kHz〜2MHzの周波数帯域の何れかの周波数fを有すると共に、第1インタバルT1(1st−2nd),第2インタバルT2(2nd−3rd)でパルス状に間欠する複数の送信バースト信号を増幅器12aに出力する(ステップS201)。
これを受けて、演算処理部15では、相関係数積算演算処理部152が、第1インタバルでは(ステップS202“YES”)、トランスデューサ13で受信し(ステップS204)、ADC14、ウォールフィルタ151を介して取り込まれる受信データから残響振動成分が除去されたものに相当するバースト信号について、複数の時間領域毎に相関演算処理を施し(ステップS205)、更に、この相関演算処理によって得られる相関係数にm回の積算演算処理(積算相関係数関数F(v)=Σ(k=1〜m)fk(v))を施すことにより、気泡や粒子の移動速度の分布、つまり管路10内における流体Xの流速の分布(流速分布)を求め、積算メモリ153を介してマルチインタバル処理部155に出力する(ステップS206)。
また、第2インタバルでも同様(ステップS203“YES”)、トランスデューサ13で受信し(ステップS204)、ADC14、ウォールフィルタ151を介して取り込まれる受信データから残響振動成分が除去されたものに相当するバースト信号について、複数の時間領域毎に相関演算処理を施し(ステップS205)、更に、この相関演算処理によって得られる相関係数にm回の積算演算処理(積算相関係数関数F(v)=Σ(k=1〜m)fk(v))を施すことにより、気泡や粒子の移動速度の分布、つまり管路10内における流体Xの流速の分布(流速分布)を求め、積算メモリ153を介してマルチインタバル処理部155に出力する(ステップS206)。
続いて、マルチインタバル処理部155は、第1インタバルで求めた相関係数演算結果(相関係数値のピークの周期W1=C/(2*sinθ*t1*f)と、第2インタバルで求めた相関係数演算結果(相関係数値のピークの周期W2=C/(2*sinθ*t2*f))とから、相関係数のピークが一致する流速を算出する(ステップS207)。ここでは、図5(a)(b)に双方向矢印で示すように、第1インタバル、第2インタバルでの積算演算処理により、(a)に示す第1インタバルで得られた相関係数演算結果と、(b)に示す第2インタバルで得られた相関係数演算結果のいずれにおいてもばらつきの範囲が縮小されるため、測定対象の平均流速から大きく外れた流速において相関係数がピークとなることが少なくなる。このため、マルチインタバル処理部155は、ばらつきが縮小したピーク位置(流速に相当)同士の組み合わせでマルチインタバル処理を行うことで誤流速検出の機会が減少する。このことは、従来例として示した図7(b)と比較して明らかである。
続いて、マルチインタバル処理部155は、過去複数回の流速の結果に基づき誤流速を排除し(ヒストグラム処理:ステップS208)、最後に、流量演算部154は、積算メモリ153に格納された相関係数積算演算処理部152で求めた流速分布を読み出し、流速を算出した位置近傍での管路10の断面積Sに基づき流体Xの流量(流速プロファイル)を演算する処理は(ステップS209)、実施形態1と同様である。
(実施形態2の効果)
以上説明のように、本実施形態2に係る超音波計測装置1Bによれば、相関係数積算演算処理部152と、積算メモリ153と、流量演算部154と、マルチインタバル処理部155とからなる物理量演算手段が、インタバルの異なる2組の反射信号の相関に積算演算処理を施すことにより、積算回数に相当する時間内の、いわば平均的な流速に相当するところに相関係数のピークが現れるため、各々が持つばらつきは小さくなり、ばらつきの小さくなったピーク位置同士の組み合わせでマルチインタバル処理を行うことにより、マルチインタバル法を改良することによって誤流速検出を減少させる超音波計測装置1Bを提供することができる。
また、実施形態1同様、積算演算処理によらず、ローパスフィルタ処理を施すことでばらつきを減らすことができ、例えば、IIRフィルタを用いる場合、上記したばらつきを減らす他に、相関係数の演算結果を蓄積するメモリの容量が少なくて済むという効果も期待できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
1A、1B・・・超音波計測装置、11・・・バースト信号送信回路部、
12a、12b・・・増幅器、13・・・トランスデューサ、14・・・ADC、15・・・演算処理部、16・・・制御部、17・・・マルチインタバル送信回路部、151・・・ウォールフィルタ、152・・・相関係数積算演算処理部、153・・・積算メモリ、154・・・流量演算部、155・・・マルチインタバル処理部

Claims (2)

  1. 超音波を流体に照射して得られる複数の反射波に相関演算処理を施して前記流体に関する所定の物理量を計測する超音波計測装置であって、
    前記相関演算処理によって得られる複数の相関係数を所定回数積算演算処理するか、またはフィルタリング演算処理することによって前記所定の物理量を演算する物理量演算手段、
    を有することを特徴とする超音波計測装置。
  2. 異なるタイムインタバルで間欠する少なくとも2組の前記超音波を前記流体に照射する超音波照射手段、を有し、
    前記物理量演算手段は、
    前記流体内で反射して得られる少なくとも2組の反射信号を受信すると、前記相関演算処理によって得られる少なくとも2組の相関係数を所定回数積算演算処理するか、またはフィルタリング演算処理することによって前記所定の物理量を演算することを特徴とする請求項1記載の超音波計測装置。
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