JP2013012385A - リチウム空気電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】水性電解液の気化を抑え、本来の性能を長期にわたり維持させるのに有利なリチウム空気電池を提供する。
【解決手段】リチウム空気電池は、リチウムを含む負極1と、リチウム伝導性を有する固体電解質3と、正極側水性電解液4と、空気が供給される多孔質の正極5とがこの順に配置されている。正極側水性電解液4は、大気圧において沸点が150℃以上の酸性電解液で形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明はリチウム空気電池に関する。
近年、エネルギ密度が高いリチウム空気電池が着目されている。特許文献1は水性電解液を含むリチウム空気電池を開示する。このものは、金属リチウムを含む負極と、負極側電解液と、セパレータ、リチウム伝導性を有する固体電解質と、正極側水性電解液と、空気が供給される多孔質の正極とをこの順に積層されたリチウム空気電池である。このものは、水性電解液としてアルカリ溶液を用いたリチウム空気電池である。これの理論起電力は3.446Vであり、出力としては必ずしも充分ではない。この理由は次のように考えられる。放電時の負極での反応は、Li → Li+ + e- (標準電極電位 - 3.045 V)であり、放電時の正極での反応は、O2 + 2 H2O + 4 e- → 4 OH- (標準電極電位 0.401 V)だからである。
特許文献2はリチウム空気電池を開示する。このものは、負極複合体と、リチウムイオンを含む水性電解液で形成された水溶液電解質と、空気極である正極とを備えている。負極複合体は、リチウム金属またはリチウム合金からなる負極と、リチウムイオン伝導性をもつポリマー電解質で形成された緩衝層と、NASICON型のリチウムイオン伝導体からなる遮水性をもつガラスセラミックスで形成された耐水層とを備えている。水性電解液は、弱酸である酢酸を含む酢酸溶液で形成されている。このものによれば、放電時の正極での反応は、O2 + 4 H+ + 4 e- → 2 H2O (標準電極電位 1.229 V)で、理論起電力は 4.274 V である。このものは、水性電解液は、弱酸である酢酸を含む酢酸溶液で形成されており、理論起電力はアルカリ溶液を用いたリチウム空気電池の理論起電力よりも高い。
特開 2010 - 176941号公報 特開 2010 - 192313号公報
特許文献1に係るリチウム空気電池によれば、正極側水性電解液としてアルカリ溶液を用いているため、前述したように出力としては必ずしも充分ではない。また、特許文献2に係るリチウム空気電池によれば、正極側水性電解液は、弱酸である酢酸を含む酢酸溶液で形成されており、理論起電力はアルカリ溶液を用いたリチウム空気電池よりも高い理論起電力が得られるものの、酢酸溶液の酢酸の酸成分が水蒸気と共に気化し、多孔質の空気極の細孔から電池外へ溶出し易く、水性電解液の量が減少し易い問題が生じるおそれがある。この場合、リチウム電池の本来の性能が低下する。この理由は、酢酸の沸点が 118 ℃と低めであり、常温領域においても酢酸の気化量が多いためである。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、正極側水性電解液が多孔質の正極の細孔から外部に気化することを抑え、正極側水性電解液の量を確保し、本来の性能を長期にわたり維持させるのに有利なリチウム空気電池を提供することを課題とする。
(1)本発明の様相1に係るリチウム空気電池は、リチウムを含む負極と、リチウム伝導性を有する固体電解質と、正極側水性電解液と、空気が供給される多孔質の正極とがこの順に配置されたリチウム空気電池であって、正極側水性電解液は、大気圧において沸点が150℃以上の酸性電解液で形成されていることを特徴とする。
リチウム空気電池の正極側水性電解液として、アルカリ溶液を用いるよりも、酸性電解液を用いることで、リチウム空気電池の出力が向上する。この理由は、アルカリ溶液を用いるよりも酸性電解液を用いたほうが、正極の電位が高くなり、正極と負極との間の電位差である起電力が大きくなるためである。
更に、正極は、正極活物質である酸素を含む空気を透過させるために多数の細孔をもつ多孔質である。このため、正極側水性電解液に含まれる酸成分が、水蒸気と共に多質性の正極から外部に透過するおそれがある。この点について、沸点の高い酸性電解液をリチウム空気電池の正極側水性電解液として用いれば、正極側水性電解液の沸点が高いため、リチウム空気電池の使用状態および不使用状態において、正極側水性電解液に含まれる酸成分が水蒸気と共に多孔質性の正極の細孔から外部に透過することが抑制される。即ち、リチウム空気電池における正極側水性電解液が電池外部へ流出することが抑制される。従って、リチウム空気電池の使用期間が長期にわたったとしても、正極側水性電解液の量が維持され易くなり、リチウム空気電池の性能が維持され易くなる。更に、正極側水性電解液に含まれる酸成分が水蒸気と共に正極の細孔を透過して電池外部へ流出することが抑制されるため、酸成分等に起因する他の部品の劣化損傷が抑制される。
ちなみに、文献によれば、硝酸の沸点は82.6℃、1mol/Lの塩酸水溶液の沸点は100〜110℃、硫酸の沸点は290℃、クエン酸の沸点は153℃である。従って、正極側水性電解液を形成する酸性電解液としては、硫酸水溶液、クエン酸水溶液、硫酸リチウムを含む硫酸水溶液、クエン酸リチウムを含むクエン酸水溶液が挙げられる。
リチウムイオン伝導性をもつ固体電解質は、NASICON(ナトリウム超イオン伝導体)型のリチウムイオン伝導体かガーネット構造を有するのリチウムイオン伝導体であることが好ましい。更に好ましくは、NASICON型のリチウムイオン伝導体はLi1-xMx(Ge1-yTiy)2-x(PO4)(x=0〜0.8、y=0〜1.0)の組成式を有することが好ましい。このようなガラスセラミックス層はLATPとも称される。M=Al,Ga,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybのうちの少なくとも1種を意味する。xは0〜0.8の範囲、特に0.1〜0.7の範囲が好ましい。yは0〜1.0の範囲、特に0.1〜0.9の範囲が好ましい。固体電解質はリチウムイオン伝導層であり、NASICON型の結晶構造を有する水遮断性の高リチウムイオン伝導性をもつ母材(LATP)で形成されていることが好ましい。ガーネット構造を有するリチウムイオン伝導体はLi7La3Zr2O12に代表されるの組成が好ましい。
(2)本発明の様相2に係るリチウム空気電池によれば、上記様相において、酸性電解液は硫酸水溶液またはクエン酸水溶液であることを特徴とする。硫酸水溶液またはクエン酸水溶液といった沸点の高い酸性電解液を、リチウム空気電池において正極側水性電解液として用いることにより、リチウム空気電池の耐久性能が向上する。この理由は、これらの正極側水性電解液の沸点が高いため、リチウム空気電池の使用時において、または、不使用時においても、正極側水性電解液の正極の細孔の透過を介しての気化が抑制され、結果として、電池外への水性電解液の流出が抑制され、使用期間が長期に渡ったとしても、正極側水性電解液の量が維持され易くなり、リチウム空気電池の性能が維持され易くなるためである。
(3)本発明の様相3に係るリチウム空気電池によれば、上記様相において、酸性電解液はリチウム塩を含むことを特徴とする。充電時には充電電圧が低い方が好ましい。リチウム塩を添加した酸性電解液がリチウム空気電池に正極側水性電解液に用いられることで、後述する試験で示すように、リチウム空気電池が二次電池として使用される場合において、充電電圧が低下し、充電し易くなる。この理由は、正極側水性電解液として用いられる酸性電解液中にリチウム塩が存在すると、充電時において、酸性電解液から固体電解質へのリチウムイオンの移動がしやすくなるためである。上記したリチウム塩としては、硫酸リチウム、クエン酸リチウム、硝酸リチウムが挙げられる。酸性電解液に含まれている酸成分(例えば硫酸成分、クエン酸成分等)を含むリチウム塩を用いることが好ましい。酸性電解液が硫酸水溶液のときには、リチウム塩は硫酸リチウムが好ましい。酸性電解液がクエン酸水溶液のときには、リチウム塩はクエン酸リチウムが好ましい。リチウム塩の濃度が過剰に高いと、放電とともにリチウム塩の析出が起こりやすくなる。リチウム塩の濃度が過剰に低いと、充電電圧が高くなり、充放電効率が低下する。かかる観点からして、リチウム塩の濃度は適宜選択できるが、0.05mol/L〜5mol/L、好ましくは0.2mol/L〜3mol/Lが例示される。
本発明によれば、正極側水性電解液の沸点が高いため、リチウム空気電池の使用状態および不使用状態において、正極側水性電解液の気化が抑制される。従って、正極側水性電解液に含まれている酸成分が水蒸気と共に正極の細孔を透過して電池外部へ透過することが抑制される。従って、リチウム空気電池の使用期間が長期に渡ったとしても、正極側水性電解液の量が維持され易くなり、リチウム空気電池の性能が維持され易くなる。更に、正極側水性電解液に含まれている酸成分が水蒸気と共に正極を透過して電池外部へ透過することが抑制されるため、酸成分等に起因する他の部品の劣化損傷が抑制される。
実施形態に係り、リチウム空気電池の概念を模式的に示す断面図である。 リチウム空気電池の放電試験の結果に示すグラフである。 リチウム空気電池の充電試験の結果を示すグラフである。 各種酸性電解液の蒸気を正極シートに透過させる透過試験を模式的に示す図である。 酸性電解液の透過試験の結果を示す図である。
負極を形成する材料としては、リチウム金属の他、リチウムを豊富に含む化合物である、リチウムカーボン、リチウムシリコン、リチウム錫、窒化リチウム等が挙げられる。この中でも大容量、サイクル安定性の点からみて、金属リチウムが好ましく使用される。正極側水性電解液は、大気圧において沸点が150℃以上の酸性電解液で形成されている。この場合、酸性電解液の濃度が過剰に高いと、電池の構成部材を損傷させる。酸性電解液の濃度が過剰に低いと、体積エネルギー密度が小さくなる。かかる観点からして、正極側水性電解液を形成する酸性電解液の濃度は適宜選択できるが、0.02mol/L〜10mol/L、好ましくは0.1mol/L〜5mol/Lが例示される。但しこれに限定されるものではない。ここで、酸性電解液として硫酸水溶液が用いられる場合には、0.02mol/L〜10mol/L、0.1 mol/L〜5mol/Lが例示される。
負極側電解液の役割は、金属リチウムと金属リチウムと反応する固体電解質LATP との接触を防ぐことである。金属リチウムと反応しない固体電解質であれば、負極側有機電解液は不要にできる。金属リチウムと反応しない固体電解質としては、Li7La3Zr2O12などが例示できる。負極側電解液は有機電解液を用いることが好ましい。負極側電解液に含有させる電解質としては、電解液中でリチウムイオンを形成するものであれば、特に限定されない。例えば、LiPF6 、LiClO4 、LiBF4 、LiAsF6 、LiAlCl4 、LiCF3 SO3 、LiSbF6 等が挙げられる。これら電解質は、単独でもよいが、組み合わせて使用してもよい。また、負極側電解液の溶媒としては、有機溶媒として公知のものがすべて使用できる。例えば、プロピレンカーボネート、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクロン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、ジエチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられる。これら有機溶媒は、単独でもよいが、組み合わせて使用してもよい。
固体電解質は、リチウムイオンのみを伝導させ、遮水性を有することが好ましい。イオン伝導率は常温領域において2×10−5S/cm以上、または、2×10−4S/cm以上が好ましい。組成としては、Li1-xMx(Ge1-yTiy)2-x(PO4)(x=0〜0.8、y=0〜1.0)の組成式を有するNASICON(ナトリウム超イオン伝導体)型のリチウムイオン伝導体か Li7La3Zr2O12 に代表されるの組成ガーネット構造を有するリチウムイオン伝導体が好ましい。
(実施形態)
図1はリチウム空気電池の概念構成を模式的に示す。リチウム空気電池は、負極1側から正極5側にかけて、金属リチウム単体また金属リチウムを含む合金で形成された負極1と、リチウム伝導性を有する有機電解液で形成された負極側電解液2と、リチウム伝導性を有する遮水性をもつ固体電解質3と、正極側水性電解液4と、空気が供給される多孔質の正極5とをこの順に配置して形成されている。リチウム空気電池の正極側水性電解液4として、アルカリ溶液を用いるよりも、酸性電解液を用いることで、リチウム空気電池の出力が向上する。この理由は、アルカリ溶液を用いるよりも酸性電解液を用いたほうが、正極5の電位が高くなり、負極1と正極5との間の起電力が大きくなるためである。
ここで、正極5は活物質としての酸素を含む空気を透過させるため、多孔質とされている。正極5は、空気拡散性を有する多孔質のガス拡散層50と、触媒金属を有する多孔質の触媒層52とで形成されている。触媒金属としては、正極側水性電解液4を形成する酸性電解液に対して耐久性があるものが好ましく、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム等の貴金属系が好ましい。ガス拡散層50はカーボン系が好ましい。
正極側水性電解液4は多孔質の正極5に対向しているため、蒸気として外部に漏れるおそれがある。そこで、正極側水性電解液4の気化を抑制させるべく、正極側水性電解液4は、大気圧において沸点が150℃以上の酸性電解液で形成されている。具体的には、沸点が150℃以上の酸性電解液は硫酸水溶液である。硫酸水溶液は、硫酸のみを溶解させた水溶液でも良いし、硫酸およびリチウム塩を溶解させた水溶液でも良い。酸性溶液が酸性溶液とは異なる成分のリチウム塩を含むと、組み合わせによっては、酸性電解液の沸点が低下する可能性があるため、リチウム塩としては、正極側水性電解液4を形成する酸性電解液と同系の成分を含むリチウム塩が好ましい。従って、酸性電解液が硫酸水溶液であるときには、リチウム塩は硫酸リチウムが好ましい。場合によっては、硫酸水溶液に代えてクエン酸水溶液としても良い。この場合にはリチウム塩はクエン酸リチウムが好ましい。
更に本実施形態によれば、正極側水性電解液4を形成する酸性電解液の蒸気が正極5を厚み方向に透過して電池外部へ透過することが抑制されるため、使用期間が長期にわたったとしても、他の部品の劣化損傷が抑制される。なお、リチウム空気電池は一次電池でも良いし、充電可能な二次電池でも良い。なお、金属リチウムと反応しない固体電解質3であれば、負極側電解液2は不要にできる。
(実施例)
図1に基づく実施形態に基づいて、実施例に係るリチウム空気電池を作製した。負極1は金属リチウムで形成した。有機電解液で形成された負極側電解液2は、負極1と固体電解質3との反応を防止するための反応防止層として機能する。まず、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとが体積比で1:1で混合させた溶媒を用意した。この溶媒に、過塩素酸リチウム(LiClO)を1mol/Lの濃度で溶解させた溶液を有機電解液として用いた。固体電解質3は、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(株式会社オハラ、LICGC)を用いた。このガラスセラミックス層はLATPとも称されており、高いリチウムイオン伝導性および遮水性を有する。
正極側水性電解液4を形成する水性電解液としては、試験例1(実施例に相当)では0.5mol/Lの硫酸(HSO)を溶解させた酸性電解液を用いた。試験例2(比較例に相当)では1mol/Lの水酸化リチウム(LiOH)を含むアルカリ電解液を用いた。試験例3(実施例に相当)では0.5mol/Lの硫酸リチウム(LiSO)と0.5mol/Lの硫酸を溶解させた酸性電解液を用いた。
正極5は、正極活物質である酸素を含む空気を透過させ得るように多孔質であり、空気拡散性を有するガス拡散層50と、正極反応を促進させる触媒金属を含む触媒層52とで形成されている。触媒層52は正極側水性電解液4に対面する。ガス拡散層50は次のように形成した。即ち、カーボン繊維集積体である市販のカーボンペーパー(東レ株式会社,TGP-H-060,厚み220マイクロメートル)に、カーボンペーストを塗布して含浸させた後に乾燥させ、その後、300℃にて大気雰囲気において焼成させてガス拡散層50を形成した。そのガス拡散層50に触媒スラリーを塗布させた後に乾燥させて触媒層52(厚み:10マイクロメートル)を形成した。
カーボンペーストは、分散媒(純水)に固形分を分散させて形成した。カーボンペーストに含まれる固形分は質量比で12%であった。固形分を100%とするとき、固形分組成については、質量比で、微小導電粉末としてカーボンブラック(デンカブラック)は60%、導電繊維として炭素繊維(VGCF)は15%、撥水剤としてフッ素樹脂(PTFE,ポリテトラフルオロエチレン)は25%であった。
上記した触媒スラリーを100%とするとき、触媒スラリーは、質量比で、白金粒子をカーボン粒子に担持させた白金担持カーボン(白金30質量%)を3%と、N−メチル−2−ピロリドンを20%と、PBI溶液を0.36%、PVDF溶液を0.9%を含む。PBI溶液は、質量比で、PBI(ポリベンゾイミダゾール)12.5%を溶媒N,N−ジメチルアセトアミドに混合させて形成されている。PVDF溶液は、質量比で、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)10%を溶媒(N−メチル−2−ピロリドン)に混合させて形成されている。PBIとPVDFは白金担持カーボンの結着のために配合されている。PVDFは触媒層に撥水機能を付与するために配合されている。
上記したように形成した試験例1,2,3に係るリチウム空気電池について、放電評価試験を実施させた。放電評価試験では、500秒間一定の電流で保持して電圧を安定させ、その安定した電圧をその電流でのセル電圧とした。図2は放電評価試験の結果を示す(図2中の電圧は試験例2の開回路電圧を0Vとして補正した値)。図2に示すように、アルカリ電解液を用いた試験例2に係る電池よりも、酸性電解液(硫酸水溶液)を用いた試験例1に係る電池,酸性電解液(硫酸リチウムを含有する硫酸水溶液)を用いた試験例3に係る電池は、放電電圧は高く、電池性能が良好であった。試験例1,3の双方は同程度の放電電圧特性であり、酸性電解液に含まれているリチウム塩による優位性は特に認められなかった。
更に、試験例1,3に係るリチウム空気電池について充電評価試験を実施させた。充電評価試験では、一定の電流で保持し、時間経過につれて電圧の変化を調べた。図3は充電評価試験の結果を示す(図3中の電圧は試験例2の開回路電圧を0Vとして補正した値)。リチウム空気電池が二次電池として使用される場合、充電電圧は低い方が好ましい。図3に示すように、リチウム塩を含まない酸性電解液(硫酸水溶液)を用いた試験例1では、充電電圧が高かった。リチウム塩を含む酸性電解液(硫酸リチウムを含有する硫酸水溶液)を用いた試験例3では、充電電圧は低めであり、充電時間が長くなったとしても充電電圧の増加は少なく、充電性能が良好であった。正極側水性電解液4として用いられる酸性電解液中にリチウム塩が存在すると、充電時において、酸性電解液から固体電解質3へのリチウムイオンの移動がしやすくなるためであると考えられる。
(透過試験)
本発明者等は、各種の酸性電解液の蒸気が多孔質の正極を厚み方向に透過することを確認する透過試験を実施した。正極を上記した場合と同様な手順および同様な組成で形成した。透過試験によれば、図4に示すように、試験用の酸性電解液101をガラス容器100に収容した状態で、上記した多孔質性の正極5と同一材質で形成した正極シート102を容器100の上にセットした。更に、その正極シート102の上面にpH試験紙104を載せ、常温において8時間放置させた。試験例aとして1mol/Lの硝酸水溶液(HNO)を用いた。試験例bとして1mol/Lの塩酸水溶液(HCl)を用いた。試験例cとして0.5mol/Lの硫酸水溶液(HSO)を用いた。試験例dとして1/3mol/Lのクエン酸水溶液を用いた。試験例eとして1mol/Lの硝酸水溶液(HNO)に1molLの硝酸リチウム(LiNO)を溶解させた水溶液を用いた。試験例fとして0.5mol/Lの硫酸水溶液(HSO)に0.5molLの硫酸リチウム(LiSO)を溶解させた水溶液を用いた。試験例gとして1/3mol/Lのクエン酸水溶液に1/3mol/Lのクエン酸リチウムを溶解させた水溶液を用いた。
図5は試験結果を示す。試験例c,d,f,gによれば、pH試験紙104はpHほぼ7の中性域を示した。これは、試験環境下においては、試験例c,d,f,gでは、容器100内に収容されている酸性電解液101の沸点が高いため、容器100内の酸性電解液101の気化が抑えられ、その蒸気が正極シート102を介してpH試験紙104に到達しなかったことを意味する。
これに対して残りの試験例a,b,eでは、pH試験紙104は酸性域を示していた。これは、試験環境下においては、試験例a,b,eでは、容器100内に収容されている酸性電解液101の沸点が低いため、容器100内の酸性電解液101の気化により、その蒸気が正極シート102を厚み方向に透過し、pH試験紙104に到達し、pH試験紙104を変色させたことを意味する。
上記した透過試験から明らかなように、正極側水性電解液4となる酸性電解液としては、硫酸水溶液、クエン酸水溶液、硫酸リチウムを溶解させた硫酸水溶液、クエン酸リチウムを溶解させたクエン酸水溶液が好ましい。これらについては、前述したように大気圧雰囲気における沸点が相対的に高いため、酸成分の蒸気化が抑えられ、酸性電解液の酸成分が水蒸気と共に正極シート102を厚み方向に透過することが抑えられている。このため、リチウム空気電池において正極側水性電解液4を形成する酸性電解液として、硫酸水溶液、クエン酸水溶液、硫酸リチウムを溶解させた硫酸水溶液、クエン酸リチウムを溶解させたクエン酸水溶液といった酸性電解液を用いれば、大気圧雰囲気における沸点が相対的に高いため、リチウム空気電池の使用時および不使用時において、正極側水性電解液4を形成する酸性電解液が正極5の細孔を介して気化することが抑えられる。結果として、リチウム空気電池の本来の性能を長期にわたり維持させるのに有利となる。
(その他)
金属リチウムと反応しない固体電解質3であれば、負極側電解液2は不要にできる。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。正極側水性電解液4を形成する酸性電解液(硫酸水溶液、クエン酸水溶液等)の濃度は、リチウム空気電池の構成要素の構造、材質等の要因に応じて適宜調整されるものである。
1は負極、2は負極側電解液、3は固体電解質、4は正極側水性電解液、5は正極を示す。

Claims (3)

  1. リチウムを含む負極と、リチウム伝導性を有する固体電解質と、正極側水性電解液と、空気が供給される多孔質の正極とがこの順に配置されたリチウム空気電池であって、前記正極側水性電解液は、大気圧において沸点が150℃以上の酸性電解液で形成されていることを特徴とするリチウム空気電池。
  2. 請求項1において、前記酸性電解液は硫酸水溶液またはクエン酸水溶液であることを特徴とするリチウム空気電池。
  3. 請求項1または2において、前記酸性電解液はリチウム塩を含むことを特徴とするリチウム空気電池。
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