JP2013001822A - プリプレグの製造方法と製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】扱い易く、形状追従性が良好で、自動車の成形天井やドアトリム等の内装部材、あるいはパソコンの筐体等の製造に好適なプリプレグを、効率良く製造する方法を提供する。
【解決手段】連続気泡構造を有する発泡体又は繊維からなる多孔体の基材に、2〜3官能のイソシアネート化合物をスプレーあるいはロールコーター法等により含浸させる含浸工程を行い、次に2〜3官能のイソシアネート化合物含浸後の基材に、170℃以上で200℃未満の過熱蒸気を吹き付けて、基材に含浸及び付着している2〜3官能のイソシアネート化合物を加熱する加熱工程を行うことにより、半硬化状態のプリプレグを製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、プリプレグの製造方法と製造装置に関する。
従来、自動車内の成形天井等の内装部材等として用いられる成形体の製造方法として、不織布にイソシアネート等からなる湿分硬化型のバインダーを含浸させ、水分を供給して金型で熱プレスすることにより、バインダーを硬化させて不織布を金型の型面形状に賦形する方法が提案されている。不織布としては、ガラス繊維や炭素繊維等の無機繊維あるいはポリエステル繊維やポリアミド繊維等の有機繊維からなるものが用いられている。
しかし、不織布に湿分硬化型のバインダーを含浸させたものは、濡れていて取り扱い難く、また、金型にセットした際に皺が発生したり、捩れたりして良好な成形体を得るのが難しい問題がある。
そこで、不織布に湿分硬化型のバインダーを含浸させて加熱によりプリプレグを形成し、得られたプリプレグを金型にセットして賦形することにより、前記扱いにくさの問題及び皺や捩れの問題を解消することが考えられる。
しかしながら、プリプレグを製造する際に、湿分硬化型のバインダーを乾燥空気や遠赤外線で加熱しても、乾燥させるのに長時間必要なため、実用的ではなかった。さらに、プリプレグの製造時に水分の存在により湿分硬化型のバインダーがウレア反応を起こして発泡による気泡を形成しやすく、ウレア結合を生成してプリプレグが非常に硬い状態になるため、その後のプリプレグの賦形が困難である。
特開平10−138353号公報 特開平8−174687号公報
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、扱い易くしかも金型へのセット時に皺を生じにくく形状追従性の良いプリプレグの製造方法と製造装置の提供を目的とする。
請求項1の発明は、多孔体からなる基材に2〜3官能のイソシアネート化合物を含浸させて170℃以上の過熱蒸気で加熱することを特徴とするプリプレグの製造方法に係る。
請求項2の発明は、請求項1において、前記基材の表面に、前記イソシアネート化合物を塗布し、その後、前記基材を圧縮することにより前記イソシアネート化合物を基材に含浸させ、前記イソシアネート化合物が含浸した基材中に170℃以上の過熱蒸気を通過させて加熱することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記基材は連続気泡構造を有する発泡体又は繊維であり、前記イソシアネート化合物はMDI系イソシアネートであることを特徴とする。
請求項4の発明は、多孔体からなる基材の表面に2〜3官能のイソシアネート化合物を塗布する塗布装置と、前記塗布後の基材を通して圧縮する1対のロールと、前記圧縮後の基材に対して170℃以上の過熱蒸気を吹き付ける過熱蒸気供給装置とよりなるプリプレグの製造装置であって、前記過熱蒸気供給装置は、170℃以上の過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生器と、前記過熱蒸気発生器が発生した過熱蒸気を前記圧縮後の基材の片面に向けて吹き出す噴出口と、前記基材を通過した過熱蒸気を前記基材の他面側で吸引する吸引機とから構成されることを特徴とするプリプレグの製造装置に係る。
請求項1の発明によれば、170℃以上の過熱蒸気は、飽和水蒸気をさらに加熱したものであって水分が0%であり、通常の水蒸気よりも効率よく加熱することができる。そのため、基材に含浸している2〜3官能のイソシアネート化合物は、170℃以上の過熱蒸気で加熱されることで高エネルギー状態になって、ウレア結合ではなく、イソシアネート化合物同士が2量体、3量体となって分子量を増大させ、高粘度の乾燥状態、すなわち半硬化状態となり、プリプレグが形成される。
請求項2の発明によれば、前記基材の表面に、2〜3官能のイソシアネート化合物を塗布し、その後、前記基材を圧縮することにより含浸させているため、2〜3官能のイソシアネート化合物を塗布し易く、容易に基材の内部にまで含浸させることができる。さらに、前記2〜3官能のイソシアネート化合物が含浸した基材中に170℃以上の過熱蒸気を通り抜けさせて加熱するため、基材内部のイソシアネート化合物を効率よく、直接加熱により、2量体、3量体としたプリプレグを形成することができる。
請求項3の発明によれば、多孔体からなる基材が連続気泡構造を有する発泡体又は繊維であり、2〜3官能のイソシアネート化合物がMDI系イソシアネートであるため、イソシアネート化合物、すなわちMDI系イソシアネートが基材に含浸しやすく、かつ、含浸したMDI系イソシアネートを過熱蒸気により加熱し易い。そのため、基材に含浸しているMDI系イソシアネートは、170℃以上の過熱蒸気で加熱されることで高エネルギー状態になって、ウレア結合ではなく、MDI系イソシアネート同士が2量体、3量体となって分子量を増大させ、未反応MDI系イソシアネートを残したままでも高粘度の乾燥状態、すなわち半硬化状態となり、プリプレグが形成される。
MDI系イソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(ピュアMDI)、クルードMDI(粗MDI)、及びこれらの混合物、及びこれらのイソシアネートとポリオールとのプレポリマー、が挙げられる。
請求項4の発明によれば、過熱蒸気供給装置は、170℃以上の過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生器と、前記過熱蒸気発生器が発生した過熱蒸気を前記圧縮後の基材の片面に向けて吹き出す噴出口と、前記基材を通過した過熱蒸気を前記基材の他面側で吸引する吸引機とから構成されるため、2〜3官能のイソシアネート化合物が含浸した基材に170℃以上の過熱蒸気を効率よく通り抜けさせて基材内のイソシアネート化合物を効率よく加熱することができる。
なお、過熱蒸気の温度が170℃より低い場合には、過熱蒸気に水分が含まれることになる。そのため、170℃より低い温度の過熱蒸気を基材に吹き付けると、基材内の2〜3官能のイソシアネート化合物は反応の速いウレア反応で架橋が進行することになり、未反応のイソシアネート化合物の量を調整し難く、その後にプリプレグの賦形が困難となる。さらに、ウレア硬化物は発泡によりセルを形成するため、プリプレグをその後に熱プレスで賦形して成形品とする際にプリプレグ内のセルが破壊され、型面への形状追従性に劣るようになる。
本発明におけるプリプレグの製造工程を示す図である。 プリプレグを連続して製造するための製造装置の概略図である。 プリプレグを用いる成形体の製造時の熱プレスを示す断面図である。
以下、本発明における実施形態について説明する。
本発明におけるプリプレグの製造方法は、多孔体からなる基材に2〜3官能のイソシアネート化合物を含浸させて170℃以上の過熱蒸気で加熱するものであり、図1に示すように、含浸工程と加熱工程とを有する。図2にプリプレグを連続的に製造する製造装置の概略を示す。図2の連続製造装置を用いて本発明のプリプレグの製造方法を以下に説明する。
含浸工程では、基材11Aが巻かれた基材ロール51から基材11Aを含浸装置53に供給し、前記含浸装置53で基材11Aの表面に2〜3官能のイソシアネート化合物12Aを塗布し、塗布後の基材を圧縮させることによりイソシアネート化合物の含浸を行う。
前記基材11Aは、連続気泡構造の発泡体又は繊維からなる多孔体で構成されている。前記繊維からなる基材としては、無機繊維、有機繊維、あるいはそれらの混合繊維からなる不織布が好適である。無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維等を挙げることができ、また有機繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、プリプロピレン繊維等を挙げることができる。また、無機繊維は、アクリル樹脂や酢酸ビニル樹脂、不飽和ポリエステル等の熱可塑性樹脂で表面処理を施したものでもよい。不織布の目付量は、適宜設定されるが、例として100〜1000g/mを挙げる。不織布は、湿式、乾式、直接式の何れの方式で製造されたものであってもよい。
一方、連続気泡構造の発泡体としては、軟質ポリウレタン発泡体が好適である。使用する連続気泡構造の発泡体の密度及び厚みは適宜決定されるが、例として、10〜80kg/m、厚み3〜10mm程度を挙げる。
前記基材11Aに塗布する2〜3官能のイソシアネート化合物は2〜3官能のイソシアネート基を有するものが含まれていればよく、170℃以上の過熱蒸気により2量体、3量体とすることができるものである。ここで、2〜3官能のイソシアネート基を有する化合物としては、MDI系イソシアネート、およびエマルジョンタイプのイソシアネートが挙げられる。なお、MDI系イソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(ピュアMDI)、クルードMDI(粗MDI)、及びこれらの混合物、及びこれらのイソシアネートとポリオールとのプレポリマー、が挙げられる。2〜3官能のイソシアネート化合物(2〜3官能のイソシアネート基を有する化合物)は、取扱いのよさ、刺激臭の少なさの観点で、MDI系イソシアネート、特に、ジフェニルメタンジイソシアネート(ピュアMDI)、クルードMDI(粗MDI)、又は、両者の混合物が、使用し易く、好ましい。
図示の含浸装置53は2〜3官能のイソシアネート化合物を基材の表面に塗布する塗布装置54と、塗布後の基材を圧縮する圧縮ロール55とからなる。
塗布装置54はスプレー装置に限られず、ロールコーター等を用いる公知の塗布装置で構成することもできる。塗布装置54によって2〜3官能のイソシアネート化合物(好ましくはMDI系イソシアネート)が表面に塗布された基材は、前記基材の供給経路の上下に設けられた1対のロールからなる圧縮ロール55に通されて圧縮され、前記基材の内部中心までイソシアネート化合物が含浸する。前記2〜3官能のイソシアネート化合物の基材への含浸量は、基材の材質や目付量等によって最適量が異なるが、例として100〜2500g/mを挙げる。
加熱工程では、前記2〜3官能のイソシアネート化合物が含浸した基材に対し、過熱蒸気供給装置57によって170℃以上の過熱蒸気を吹き付け、2〜3官能のイソシアネート化合物を加熱する。過熱蒸気供給装置57は、170℃以上の加熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生器57aと、過熱蒸気発生器57aから発生した過熱蒸気を吹き出す噴出口57bと、前記基材を通過した過熱蒸気を吸引する吸引機57cとから構成される。過熱蒸気発生器57aから発生した過熱蒸気を噴出口57bから基材の片面に、例えば基材の裏面に吹き付け、その基材の反対面、例えば基材の表面側に設置している吸引機57cにより過熱蒸気を吸引する。これにより、発泡体又は繊維からなる多孔体の基材中を過熱蒸気が通り抜ける(通過する)構造となっている。
使用する過熱蒸気は大気圧下で、170℃以上であり、より好ましくは170℃以上で、かつ200℃未満である。170℃未満の過熱蒸気は、水分が含まれるため、2〜3官能のイソシアネート化合物が水分によってウレア反応を起こし、硬くなりすぎて、形状追従性の良好なプリプレグが得られなくなる。一方、200℃以上の過熱蒸気は基材自体の劣化を生じやすい問題がある。また、過熱蒸気による加熱時間は30〜300秒が好ましい。なお、前記の過熱蒸気は大気圧下で、所定の温度の過熱蒸気を発生することができるため、過熱蒸気供給装置57において、多孔体からなる基材中に過熱蒸気を吹付け、他面から吸引する際に、圧力容器を特に必要とせず、基材供給等の生産性を低下させる事なく利用し易いものとなっている。
前記加熱工程による基材の過熱によって、前記基材中の2〜3官能のイソシアネート化合物が過熱蒸気により熱せられて、イソシアネート化合物の2量体又は3量体となり、増粘化し、やがて高分子量化して半硬化状態となる。なお、エマルジョンタイプのイソシアネート(MDI)を用いた場合でも、過熱蒸気の乾燥能力が高く、多孔体基材中に過熱蒸気が貫流するため、エマルジョン中の水分の蒸発速度が速く、イソシアネートの2量化・3量化反応の際ウレア結合を生成することは少なく、他のイソシアネートと同様に、増粘し、半硬化状態のプリプレグが得られる。このイソシアネート化合物(MDI系イソシアネート)の2量体と3量体が、前記基材を構成する発泡体層または繊維層の周りに形成されるため、単にジイソシアネートが含浸した状態のような液だれがなく、半硬化状態のプリプレグ11が形成される。プリプレグ11は、その後、カット機59によって所定寸法に切断される。得られたプリプレグ11は半硬化状態となっており、完全に硬化した状態ではないため変形性を有し、その後、後述のように加熱成形により、容易に腑形することができ、中間材料として有用である。
本発明の製造方法によって得られたプリプレグを用いて成形体を製造する方法について説明する。図3に示すように、前記プリプレグ11の両面に表皮材21、23を配置して熱プレス型31、33の型面にセットし、熱プレス型31、33を閉じて熱プレスする。前記熱プレス型31、33の型面は、目的とする熱プレス成形体の形状とされている。また、前記熱プレス型31、33内にはヒータ等の加熱手段が設けられて型面が加熱可能になっている。前記表皮材21、23は一方が表面材、他方が裏面材からなる。前記表皮材21、23は、可撓性のある材質とされ、例えば、不飽和ポリエステル等の不織布、ポリプロピレンのフィルム等を挙げることができる。前記プリプレグ11には、熱プレス前に、イソシアネート化合物の硬化反応触媒、例えばアミン触媒等をスプレー等により付着させるのが、生産性が高くなり好ましい。
前記熱プレスにより前記プリプレグ11が硬化すると共に、前記プリプレグ11の両面に前記表皮材21、23が接着し、硬化したプリプレグとその両面の表皮材とからなる成形体が得られる。前記熱プレス時、前記プリプレグ11は半硬化状態で熱プレス型31、33の型面で挟まれるため、型面に沿って変形し、型面形状に賦形された成形体が得られる。前記成形体を製造する際の熱プレス条件は、熱プレス温度100〜140℃、熱プレス時間10〜60秒が好ましい。なお、前記の成形体は、熱プレス時に表皮材21、23を両面に設けたものであるが、成形体の用途等によっては、熱プレス時に表皮材を設けないで、あるいは片面にのみ設けて成形体を形成することもできる。
・実施例1、2
基材として、繊維径6μmmのカーボン繊維からなる不織布(厚み0.2mm、目付量200g/mを用い、MDI系イソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネート(ピュアMDI)とクルードMDIとの混合物(品名:ミリオネートMILLIONATE MR−200、日本ポリウレタン製)を、基材の表面にスプレー装置で150g/m塗布し、続いて基材を対になっているロールに通して圧縮することによりジフェニルメタンジイソシアネート(ピュアMDI)とクルードMDIとの混合物を基材内に含浸させた。その後、大気圧下で温度170℃の過熱蒸気を前記過熱蒸気供給装置により基材に3分間吹き付けて実施例1のプリプレグを作成した。また、実施例1における過熱蒸気の温度を180℃にして実施例2のプリプレグを作成した。
・比較例1、2
比較のため、実施例1における過熱蒸気の温度を130℃にした比較例1のプリプレグと、過熱蒸気の温度を150℃にした比較例2のプリプレグを作成した。
また、前記実施例1、2及び比較例1、2に対して、ジフェニルメタンジイソシアネートのウレア結合による発泡度合い、プリプレグの表面タック(表面の粘着性)を調べた。
発泡度合いは、作成したプリプレグを断面カットして、電子顕微鏡で写真を取り、目視にて判定した。塗布したジフェニルメタンジイソシアネート(ピュアMDI)とクルードMDIとの混合物の半硬化層における発泡状態により判断した。
表面タックは、プリプレグの作成後5分後にポリプロピレン(PP)フィルムをプリプレグの表面に押し当ててプリプレグの表面タック性を評価した。PPフィルムが微粘着する程度以上の場合を「表面タック:あり」とし、PPフィルムを押し当てても、くっつかない場合を「表面タック:なし」と判断した。その結果は表1に示す通り、実施例1及び2は何れも発泡してなく、かつ表面タックの有る、すなわち半硬化状態のものであった。それに対し、過熱蒸気の温度が130℃の比較例1は発泡しており、かつ表面タックの無い、すなわち硬化状態のものであった。また、過熱蒸気の温度が150℃の比較例2は微発泡状態であり、かつ表面タックの無いもの、すなわち硬化状態のものであった。
さらに、実施例1、2及び比較例1、2のプリプレグを用い、次のようにして表皮材の無い成形体を作成した。前記プリプレグの表面に触媒として3級アミン系触媒、品名:アミン触媒〔カオライザーNo25、花王(株)製〕をスプレーで塗布し、型面形状がL型(角部はR3mm)からなる熱プレス型にセットし、熱プレスした。熱プレスの温度は120℃、熱プレス時間は30秒である。熱プレスによって得られた成形体について座屈性と形状追従性を調べ、総合評価を行った。
座屈性は、脱型時の成形品の状態で評価し、成形品が折れたりヒビが入ったりした場合は×であり、折れずにヒビが入った場合は△、折れもせず、ヒビも入らなかった場合には○とした。
形状追従性は、L型の特にコーナ部の成形性に着目して判断し、コーナ部にうまく追従して成形できて、「しわ」や「よれ」が発生しない場合は○、しわ、よれのいづれかが発生した場合には△、しわ、よれが、共に発生した場合には×とした。
総合評価は、表面タック性が「あり」であって成形体の座屈性・形状追従性に不具合がない○の場合に○とし、表面タック性が「なく」であって成形体の座屈性・形状追従性の不具合が△の場合に△とし、成形体の評価が×の場合に×とした。
その結果は、表1に示す通り、実施例1及び2は何れも座屈性及び形状追従性が良好であって総合評価が○であったが、比較例1は座屈性及び形状追従性の何れも×であって総合評価が×、また比較例2は座屈性及び形状追従性の何れも△であって総合評価が△であった。
Figure 2013001822
・実施例3、4
基材として、軟質ポリウレタン発泡体(比重0.035、厚み5mm、品名:天井用ウレタンフォームRNB−35、株式会社イノアックコーポレーション製)を用い、ジフェニルメタンジイソシアネート(ピュアMDI)とクルードMDIとの混合物(品名:ミリオネートMILLIONATE MR−200、日本ポリウレタン製)を、基材の表面にスプレー装置で200g/m塗布し、続いて基材を対になっているロールに通して圧縮することにより、ジフェニルメタンジイソシアネート(ピュアMDI)とクルードMDIとの混合物を基材内に含浸させた。その後、大気圧下で温度170℃の過熱蒸気を前記過熱蒸気供給装置により基材に1分間吹き付けて実施例3のプリプレグを作成した。また、実施例3における過熱蒸気の温度を180℃にして実施例4のプリプレグを作成した。
・比較例3、4
比較のため、実施例3における過熱蒸気の温度を130℃にした比較例3のプリプレグと、過熱蒸気の温度を150℃にした比較例4のプリプレグを作成した。
また、前記実施例3、4及び比較例3、4に対して、実施例1、2及び比較例1、2と同様に発泡度合い、表面タックを調べた。その結果は、表2に示す通り、実施例3及び4は何れも発泡してなく、かつ表面タックの有る、すなわち半硬化状態のものであった。それに対し、過熱蒸気の温度が130℃の比較例3は発泡し、かつ表面タックの無い、すなわち硬化状態のものであった。また、過熱蒸気の温度が150℃の比較例2は、微発泡状態であり、かつ表面タックの無い、すなわち硬化状態のものであった。
さらに実施例3、4及び比較例3、4のプリプレグを用い、次のようにして表皮材の無い成形体を作成した。前記プリプレグの表面に触媒として3級アミン系触媒、品名:アミン触媒〔カオライザーNo25、花王(株)製〕をスプレーで塗布し、型面形状がL型(角部はR3mm)からなる熱プレス型にセットし、熱プレスした。熱プレスの温度は、120℃、熱プレス時間は30秒である。熱プレスによって得られた成形体について座屈性、形状追従性を調べ、総合評価を行った。
座屈性・形状追従性は、実施例1、2等と同様にして判断した。その結果は、表2に示す通り、実施例3及び4は何れも座屈性及び形状追従性が良好であって総合評価が○であったが、比較例3は座屈性及び形状追従性の何れも×であって総合評価が×であり、また比較例4は座屈性及び形状追従性の何れも△であって総合評価が△であった。
Figure 2013001822
このように、本発明によれば、扱い易く、形状追従性の良好なプリプレグが得られる。さらに高温の過熱蒸気を用いてプリプレグを作成しているため、プリプレグの製造時間を短縮することができる。また、本発明の製造方法によって得られるプリプレグは、自動車の成形天井やドアトリム、1ボックス車の床嵩上げ材等の自動車内装部材、あるいはパソコンの筐体等の成形体を製造するのに好適なものである。
11 プリプレグ
11A 基材
12A 2〜3官能のイソシアネート化合物
21、23 表皮材
31、33 熱プレス型

Claims (4)

  1. 多孔体からなる基材に2〜3官能のイソシアネート化合物を含浸させて170℃以上の過熱蒸気で加熱することを特徴とするプリプレグの製造方法。
  2. 前記基材の表面に、前記イソシアネート化合物を塗布し、
    その後、前記基材を圧縮することにより前記イソシアネート化合物を基材に含浸させ、
    前記イソシアネート化合物が含浸した基材中に170℃以上の過熱蒸気を通過させて加熱することを特徴とする請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
  3. 前記基材は連続気泡構造を有する発泡体又は繊維であり、
    前記イソシアネート化合物はMDI系イソシアネートであることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリプレグの製造方法。
  4. 多孔体からなる基材の表面に2〜3官能のイソシアネート化合物を塗布する塗布装置と、
    前記塗布後の基材を通して圧縮する1対のロールと、
    前記圧縮後の基材に対して170℃以上の過熱蒸気を吹き付ける過熱蒸気供給装置とよりなるプリプレグの製造装置であって、
    前記過熱蒸気供給装置は、170℃以上の過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生器と、前記過熱蒸気発生器が発生した過熱蒸気を前記圧縮後の基材の片面に向けて吹き出す噴出口と、前記基材を通過した過熱蒸気を前記基材の他面側で吸引する吸引機とから構成されることを特徴とするプリプレグの製造装置。
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