JP2012528188A - c−Metタンパク質キナーゼの阻害剤 - Google Patents

c−Metタンパク質キナーゼの阻害剤 Download PDF

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Abstract

c−Met受容体に対して高親和性を有し、アンタゴニストとしての機能活性を示す一方、他のキナーゼ受容体に対して、または有害作用に関連することが公知である標的に対してほとんど親和性を示さない化合物が求められている。本発明は、c−Metプロテインキナーゼの阻害に有用である、式Iの化合物に関する。加えて本発明は、式Iの化合物を含む薬学的に許容される組成物、およびその組成物を増殖性の障害の処置に用いる方法を提供する。

Description

本発明はc−Metの選択的阻害剤に関する。本発明はまた、c−Met阻害剤を含む薬学的に許容される組成物、および様々な増殖性障害を処置する際の組成物の使用方法も提供する。
肝細胞増殖因子(HGF:hepatocyte growth factor)は分散因子とも呼ばれ、有糸分裂誘発および細胞運動を誘導して形質転換および腫瘍の発生を促進する多機能増殖因子である。HGFはさらに様々なシグナル経路を介して細胞の運動および浸潤を刺激して転移も促進する。HGFが細胞効果を発現するには、その受容体c−Met、つまり受容体型チロシンキナーゼに結合しなければならない。c−Metは、50キロダルトン(kDa)のαサブユニットおよび145kDaのα−サブユニットからなり、広く発現するヘテロ二量体タンパク質である(非特許文献1)。c−Metはヒト癌にかなりの割合で過剰発現しており、原発腫瘍が転移する間に増幅される。c−Metの過剰発現が関係している様々な癌には、胃腺癌、腎癌、小細胞肺癌、結腸直腸癌、前立腺癌、脳癌、肝癌、膵癌および乳癌があるが、これに限定されるものではない。c−Metはさらにアテローム性動脈硬化症および肺線維症にも関与している。
したがって、c−Metプロテインキナーゼ受容体の阻害剤として有用な化合物の開発が強く求められている。特に、好ましい化合物はc−Met受容体に対して高親和性を有し、アンタゴニストとしての機能活性を示す一方、他のキナーゼ受容体に対して、または有害作用に関連することが公知である標的に対してほとんど親和性を示さない化合物である。
Maggiora et al.,J.Cell Physiol.,173:183−186,1997 Dennis et al.,Biochemical Society Transactions 35(5):1060−1063(2007) Scipture et al.,Lancet Oncology 6:780−789(2005)
6−((R)−1−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[3,4−b][1,3,4]チアジアゾール−3−イル)エチル)キノリンおよび5,7−ジフルオロ−6−((R)−1−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[3,4−b][1,3,4]チアジアゾール−3−イル)エチル)キノリンは、c−Metの阻害に有効であり、かつそれぞれのエナンチオマーよりもPDE3に対する活性が驚くほど低いことが見出されている。
したがって、本発明は、以下の式を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする:
Figure 2012528188
ここでRは水素またはフルオロである。
本発明は、式Iの化合物と、薬学的に許容されるキャリア、補助剤またはビヒクルとを含む医薬組成物も提供する。加えて本発明は、患者の増殖性の疾患、状態または障害を処置するか、またはその重症度を軽減する方法であって、治療有効用量の式Iの化合物またはその医薬組成物を患者に投与するステップを含む方法を提供する。
定義および一般用語
本明細書で使用する場合、他に記載がない限り、以下の定義を適用するものとする。本発明における化学元素はCAS式の元素周期表およびHandbook of Chemistry and Physics,75th Ed.1994により特定される。さらに、有機化学の一般原理については、その内容を参照によって本明細書に援用する「Organic Chemistry」,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999および「March’s Advanced Organic Chemistry」,5th Ed.,Smith,M.B.and March,J.,eds.John Wiley & Sons,New York:2001に記載されている。
本発明の化合物の説明
第1の態様では、本発明は以下の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする:
Figure 2012528188
ここで各Rは独立に水素またはフルオロである。
一実施形態では、Rは水素である。別の実施形態では、Rはフルオロである。
別の態様では、本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される誘導体と、薬学的に許容されるキャリア、補助剤またはビヒクルとを含む医薬組成物を特徴とする。一実施形態において、この組成物は付加的な化学療法剤または抗増殖剤、抗炎症薬、アテローム性動脈硬化症の処置剤、または肺線維症の処置剤を含む。
別の態様では、本発明は、患者の増殖性の障害を処置するか、またはその重症度を軽減する方法であって、前記患者の増殖性の障害を処置するか、またはその重症度を軽減するために十分な量の式Iの化合物を投与するステップを含む方法を特徴とする。一実施形態において、増殖性の障害は転移性癌である。別の実施形態において、増殖性の障害は膠芽細胞腫;肝細胞癌、胃癌;または結腸癌、乳癌、前立腺癌、脳腫瘍、肝癌、膵癌もしくは肺癌から選択される癌である。
本発明の化合物の組成物、製剤および投与
別の態様では、本発明は、化合物1またはその薬学的に許容される誘導体と、薬学的に許容されるキャリア、補助剤またはビヒクルとを含む組成物を提供する。一実施形態では、本発明の組成物中の化合物の量は、生物学的サンプルまたは患者のc−Metを測定可能な程度に阻害するのに有効な量である。好ましくは、本発明の組成物はそうした組成物を必要とする患者に投与できるように製剤化される。最も好ましくは、本発明の組成物は患者に経口投与できるように製剤化される。
「患者」という用語は、本明細書で使用する場合、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
また、当然のことながら、化合物1は処置のための遊離型として存在しても、あるいは適切な場合、その薬学的に許容される誘導体として存在してもよい。本発明における薬学的に許容される誘導体としては、薬学的に許容されるプロドラッグ、塩、エステル、そのエステルの塩、または必要としている患者への投与時に本明細書で他に記載した化合物1に直接的または間接的になり得る他の任意の付加物もしくは誘導体、またはその代謝産物または残留物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、適切な医学的判断に従い、過度の毒性、刺激、アレルギー反応および同種のものを回避しつつ、ヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに好適な塩をいう。
薬学的に許容される塩は当該技術分野において周知である。たとえばS.M.Bergeらは、参照によって本明細書に援用するJ.Pharmaceutical Sciences,66:1−19,1977に薬学的に許容される塩について詳細に記載している。化合物1の薬学的に許容される塩としては、好適な無機酸および有機酸ならびに無機塩基および有機塩基から誘導されるものが挙げられる。薬学的に許容される無毒性の酸付加塩の例には塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸などの有機酸と形成されるアミノ基の塩、あるいは、イオン交換など当該技術分野において使用される他の方法を用いて形成されるアミノ基の塩がある。他の薬学的に許容される塩として、アジパート、アルギナート、アスコルバート、アスパルタート、ベンゼンスルホナート、ベンゾアート、ビスルファート、ボラート、ブチラート、カンホラート、ショウノウスルホナート、シトラート、シクロペンタンプロピオナート、ジグルコネート、ドデシルスルファート、エタンスルホナート、ホルマート、フマラート、グルコヘプトナート、グリセロホスファート、グルコネート、ヘミスルファート、ヘプタノアート、ヘキサノアート、ヒドロヨージド、2−ヒドロキシ−エタンスルホナート、ラクトビオネート、ラクタート、ラウラート、ラウリル硫酸、マラート、マレアート、マロナート、メタンスルホナート、2−ナフタレンスルホナート、ニコチナート、ニトラート、オレアート、オキサラート、パルミタート、パモアート、ペクチナート、ペルスルファート、3−フェニルプロピオナート、ホスファート、ピクラート、ピバラート、プロピオナート、ステアラート、スクシナート、スルファート、タルトラート、チオシアナート、p−トルエンスルホナート、ウンデカノアート、吉草酸塩および同種のものが挙げられる。適切な塩基から誘導される塩として、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。
上記のような本発明の薬学的に許容される組成物は薬学的に許容されるキャリア、補助剤またはビヒクルをさらに含み、本明細書で使用する場合、薬学的に許容されるキャリア、補助剤またはビヒクルとして、所望の個々の剤形に適したあらゆる溶媒、希釈液または他の液体ビヒクル、分散助剤または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、粘稠化剤または乳化剤、防腐剤、固体バインダー、滑沢剤および同種のものが挙げられる。それぞれの内容を参照によって本明細書に援用するRemington:The Science and Practice of Pharmacy,21st edition,2005,ed.D.B.Troy,Lippincott Williams & Wilkins,PhiladelphiaおよびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988−1999,Marcel Dekker,New Yorkには、薬学的に許容される組成物の製剤化に使用される様々なキャリア、およびその調製に使用される公知の技法が開示されている。任意の従来型キャリア媒体は、望ましくない生物学的作用を起こすか、あるいは薬学的に許容される組成物の他の任意の成分(単数または複数)と有害な相互作用を起こすなどして、化合物1との相性が悪い場合を除き、その使用は、本発明の範囲内であることを意図している。
薬学的に許容されるキャリアとして働き得る材料の一部の例として、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、たとえばヒト血清アルブミン、緩衝物質、たとえばホスファート、グリシン、ソルビン酸もしくはソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、たとえば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリラート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、羊毛脂、糖、たとえばラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン、たとえばコーンスターチおよびポテトスターチ;セルロースおよびその誘導体、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末トラガント;モルト;ゼラチン;タルク;賦形剤、たとえばカカオバターおよび坐剤ワックス;油、たとえばピーナッツ油、綿実油;サフラワー油;ゴマ油;オリーブ油;トウモロコシ油および大豆油;グリコール;たとえばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコール;エステル、たとえばオレイン酸エチルおよびエチルラウラート;寒天;緩衝剤、たとえば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコールおよびリン酸塩緩衝溶液、さらに他の無毒で適合性がある滑沢剤、たとえばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムがあるが、これに限定されるものではない。製剤者の判断に従い、組成物にはさらに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味剤および香料、防腐剤および酸化防止剤が存在していてもよい。
本発明の組成物は、経口投与しても、非経口的に投与しても、噴霧吸入により投与しても、局所投与しても、直腸内投与しても、経鼻投与しても、頬粘膜投与しても、経膣投与しても、あるいは埋め込まれたリザーバーを介して投与してもよい。「非経口」という用語は、本明細書で使用する場合、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、関節内注射、滑液内注射、胸骨内注射、髄膜内注射、眼内注射、肝臓内注射、病巣内注射および頭蓋内注射または注入法を含む。好ましくは、組成物は経口投与、腹腔内投与または静脈内投与する。本発明の組成物の滅菌注射用形態は水性懸濁液でも、または油性懸濁液でもよい。こうした懸濁液は、当該技術分野において公知の技法に従い、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて調製すればよい。滅菌注射用調製物はまた、非経口的に許容可能な無毒の希釈剤または溶媒に溶かした滅菌注射用溶液または懸濁液、たとえば1,3−ブタンジオール溶液としてもよい。使用してもよい許容可能なビヒクルおよび溶媒には水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに溶媒または懸濁媒体として滅菌の不揮発性油が従来使用されている。
そのような場合には、合成のモノまたはジグリセリドを含めて任意の無菌性不揮発性油を使用することができる。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸、特にそのポリオキシエチル化したものは、注射剤の調製に有用であり、薬学的に許容される天然油、オリーブ油またはヒマシ油も同様である。これらの油性の、溶液または懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤または分散薬、たとえばカルボキシメチルセルロース、またはエマルジョンおよび懸濁液などの薬学的に許容される剤形の製剤に繁用される同様の分散剤をさらに含んでもよい。製剤においてはさらに、他の繁用される界面活性剤、たとえばTween、Span、および薬学的に許容される固体、液体または他の剤形の製造に一般に使用される他の乳化剤またはバイオアベイラビリティー向上剤を使用してもよい。
本発明の薬学的に許容される組成物は、以下に限定されるものではないが、カプセル剤、錠剤、水性懸濁液または溶液など経口的に許容可能な任意の剤形で経口投与することができる。経口的に使用する錠剤の場合、繁用されるキャリアとしてラクトースおよびコーンスターチがある。さらに、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も添加するのが一般的である。カプセル形態で経口投与する場合、有用な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥コーンスターチを含む。経口的に使用するのに水性懸濁液を必要とする場合、活性成分は乳化剤および懸濁化剤と組み合わせられる。必要に応じて、ある種の甘味料、香味剤または着色剤を加えてもよい。
あるいは、本発明の薬学的に許容される組成物は、直腸投与のための坐剤の形態で投与してもよい。坐剤形態は、この薬を、室温では固体だが、直腸の温度では液体になるため、直腸で融解して薬剤を放出する好適な非刺激性の賦形剤と混合して調製することができる。そうした材料としては、カカオバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールがある。
本発明の薬学的に許容される組成物はまた、局所投与してもよく、特に処置の標的が眼、皮膚または下部腸管の疾患など局所塗布を利用しやすい領域または器官を含む場合にそうである。好適な局所製剤は、そうした領域または器官ごとに容易に調製される。
下部腸管の局所塗布は、直腸の坐剤製剤(上記を参照)を用いて行っても、または好適な浣腸剤製剤を用いて行ってもよい。また、局所経皮パッチを使用してもよい。
局所塗布の場合、薬学的に許容される組成物は、1種または複数種のキャリアに懸濁または溶解させた有効成分を含む好適な軟膏として製剤化してもよい。化合物1の局所投与のためのキャリアとしては、鉱油、流動ペトロラタム、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水があるが、これに限定されるものではない。あるいは、薬学的に許容される組成物は、1種または複数種の薬学的に許容されるキャリアに懸濁または溶解させた有効成分を含む好適なローションまたはクリームとして製剤化してもよい。好適なキャリアとしては、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水があるが、これに限定されるものではない。
眼に使用する場合、薬学的に許容される組成物は、たとえばpH調整した等張の無菌生理食塩水または他の水溶液中の微粒子懸濁液として製剤化しても、あるいは好ましくは、塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤を使用してあるいは使用せずに、pH調整した等張の無菌生理食塩水または他の水溶液に中の溶液として製剤化してもよい。あるいは、眼に使用する場合、薬学的に許容される組成物は、ペトロラタムなどの軟膏として製剤化してもよい。さらに、本発明の薬学的に許容される組成物は鼻エアロゾルまたは鼻吸入により投与してもよい。こうした組成物は、医薬製剤の技術分野において公知の技法により調製され、ベンジルアルコールまたは他の好適な防腐剤、バイオアベイラビリティーを高める吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または他の従来の可溶化剤または分散剤を用いて食塩水に溶かした溶液として調製してもよい。
最も好ましくは、本発明の薬学的に許容される組成物は経口投与用に製剤化される。
経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤があるが、これに限定されるものではない。液体剤形は活性化合物以外に、当該技術分野において繁用される不活性希釈剤、たとえば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、たとえばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルボナート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾアート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物をさらに含んでもよい。経口組成物は不活性希釈剤のほかに、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味料、香味剤および香料などの補助剤をさらに含んでもよい。
注射用調製物、たとえば注射用の滅菌水性または油性懸濁液は、従来技術に従い好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて製剤化すればよい。また、注射用無菌調製物は、たとえば1,3−ブタンジオール中の溶液など、無毒の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒に溶かした注射用滅菌溶液、懸濁液またはエマルジョンであってもよい。使用してもよい許容可能なビヒクルおよび溶媒には水、リンゲル液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌の不揮発性油も溶媒または懸濁媒体として従来使用されている。このような場合には、合成のモノまたはジグリセリドを含む、任意の無菌性不揮発性油を使用することができる。さらに、注射剤の調製にはオレイン酸などの脂肪酸も使用される。
注射用製剤は、たとえば細菌捕集フィルターで濾過するか、あるいは滅菌水または他の注射用無菌媒体に溶解または分散できる無菌の固体組成物形態の滅菌剤を使用前に加えることにより滅菌してもよい。
化合物1の作用を延長させるには、皮下または筋肉内注射されたこの化合物の吸収を遅延させることが望ましい場合が多い。これは、水溶性に乏しい結晶材料またはアモルファス材料の液体懸濁液を使用することにより達成することができる。その後の化合物1の吸収速度は、その溶解速度により決まるが、溶解速度は、結晶の大きさおよび結晶形態によって異なる場合がある。あるいは、化合物1を油性ビヒクルに溶解または懸濁しても、非経口投与した化合物形態の吸収が遅延される。注射用のデポ剤形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に化合物1のマイクロカプセル化マトリックスを形成することにより製造される。化合物とポリマーとの比率および使用する個々のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例として、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。注射用デポ製剤はまた、体組織との適合性があるリポソームまたはマイクロエマルジョンに化合物1を封入することによっても調製される。
直腸投与または膣内投与用の組成物は好ましくは、周囲温度では固体だが、体温では液体であるため、直腸または膣腔で融解して活性化合物を放出するカカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの非刺激性の賦形剤またはキャリアなどの好適な非刺激性の賦形剤と化合物1を混合して調製することができる坐剤である。
経口投与用の固形剤形として、カプセル剤、錠剤、ピル、散剤および顆粒剤が挙げられる。こうした固形剤形では、活性化合物を、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1種の不活性な薬学的に許容される賦形剤またはキャリアおよび/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)たとえばカルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロースおよびアカシアなどのバインダー、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリケートおよび炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延化剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進薬、g)たとえばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびこれらの混合物などの滑沢剤と混合する。カプセル剤、錠剤およびピルの場合、剤形は緩衝剤をさらに含んでもよい。
類似の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖のほか、高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して軟および硬ゼラチンカプセル剤の充填剤として使用してもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、ピルおよび顆粒剤の固形剤形は、腸溶コーティングおよび医薬製剤技術分野でよく知られた他のコーティングなどコーティングおよびシェルにより調製してもよい。こうした固形剤形は任意に乳白剤を含んでもよく、さらに腸管のある部分に任意に遅延させて活性成分(単数または複数)のみを、または活性成分(単数または複数)を優先的に放出するような組成物でも構わない。使用してもよい封入組成物の例として、高分子物質およびワックスが挙げられる。類似の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖のほか、高分子量ポルエチレン(polethylene)グリコールなどのような賦形剤を使用して軟および硬ゼラチンカプセル剤の充填剤として使用してもよい。
また、活性化合物は、上述のような1種または複数種の賦形剤を使用したマイクロカプセル形態であってもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、ピルおよび顆粒剤の固形剤形は、腸溶コーティング、放出制御コーティングおよび医薬製剤技術分野でよく知られた他のコーティングなどコーティングおよびシェルにより調製してもよい。こうした固形剤形では、活性化合物を、スクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1種の不活性希釈剤と混合してもよい。こうした剤形には、通常行われているように不活性希釈剤以外の追加物質、たとえばステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースのような打錠用滑沢剤および他の打錠用助剤をさらに含ませてもよい。カプセル剤、錠剤およびピルの場合、その剤形は緩衝剤をさらに含んでもよい。剤形は任意に乳白剤を含み、さらに腸管のある部分に任意に遅延させて活性成分(単数または複数)のみを、または活性成分(単数または複数)を優先的に放出するような組成物でも構わない。使用してもよい封入組成物の例として、高分子物質およびワックスが挙げられる。
化合物1の局所または経皮投与用の剤形として、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、散剤、溶液、噴霧剤、吸入剤またはパッチが挙げられる。有効成分は、滅菌条件下で薬学的に許容されるキャリア、および適宜、必要とされる任意の防腐剤または緩衝液と混合する。眼科用製剤、点耳剤および点眼薬も本発明の範囲内にあるものとして想定している。加えて、本発明は、化合物1の体内への送達を制御する別の利点を有する経皮パッチの使用も想定している。こうした剤形は、化合物1を適切な媒体に溶解または分散することにより製造することができる。また、皮膚を通過する化合物1の流れを促進するように吸収改善剤を使用してもよい。その速度は律速膜を設けるか、あるいは、化合物1をポリマーマトリックスまたはゲルに分散することにより制御することができる。
化合物1は好ましくは、投与のしやすさおよび投与量の均一性のため投薬単位剤形として製剤化される。「投薬単位剤形」という表現は、本明細書で使用する場合、処置対象の患者に適した薬の物理的に分離した単位をいう。一方、化合物1および化合物1を含む組成物の1日の総使用量は、適切な医学的判断に従い主治医により決定されることは言うまでもない。任意の個々の患者または生体の具体的な有効投与量は、処置される障害および障害の重症度;使用される個々の化合物の活性;使用される個々の組成物;患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別および食事;投与期間、投与経路および使用される個々の化合物の排泄速度;処置の期間;使用される個々の化合物と組み合わせてあるいは同時に使用される薬剤、および医療技術分野でよく知られた同様の要因など様々な要因によって異なる。
単一剤形として組成物を製造する際にキャリア材料と組み合わせてもよい化合物1の量は、処置される宿主、個々の投与モードによって異なる。好ましくは、組成物は、その組成物を投与する患者に阻害剤が0.01〜100mg/kg体重/日の投与量で投与され得るように製剤化されるべきである。一例では、組成物は、化合物1の投与量が5〜30mg/kg体重/日になるように製剤化される。
本発明の組成物には、処置または予防の対象となる個々の状態または疾患に応じてその状態の処置または予防に通常投与される追加の治療薬がさらに存在していてもよい。本明細書で使用する場合、個々の疾患または状態の処置または予防に通常投与される追加の治療薬は、「処置される疾患または状態に適切であるもの」として知られている。以下に、追加の治療薬の例を記載する。
本発明の組成物中に存在する追加の治療薬の量は、その治療薬を唯一の作用薬として含む組成物において通常投与されると考えられる量以下である。好ましくは、本明細書に開示される組成物中の追加の治療薬の量は、その薬を唯一の治療上の作用薬として含む組成物中に通常存在する量の約50%〜100%の範囲である。
化合物1および化合物1を含む組成物の使用
一実施形態によれば、本発明は、生物学的サンプルのc−Metプロテインキナーゼ活性を阻害する方法であって、前記生物学的サンプルを化合物1または前記化合物を含む組成物と接触させるステップを含む方法に関する。「生物学的サンプル」という用語は、本明細書で使用する場合、生体外のサンプルを意味し、細胞培養物またはその抽出物;哺乳動物から採取される生検材料またはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液もしく他の体液またはその抽出物があるが、これに限定されるものではない。生物学的サンプルのキナーゼ活性の阻害は、当業者に知られる様々な目的に有用である。そうした目的の例には、生物学的検体の保存および生物学的アッセイがあるが、これに限定されるものではない。一実施形態では、生物学的サンプルのキナーゼ活性を阻害する方法は、非治療的方法に限定される。
「c−Met」という用語は、「c−MET」、「cMet」、「MET」、「Met」または当業者に知られる他の名称と同義である。
別の実施形態によれば、本発明は、患者のc−Metキナーゼ活性を阻害する方法であって、前記患者に化合物1または前記化合物を含む組成物を投与するステップを含む方法に関する。
「c−Met関連疾患」または「c−Met関連状態」という用語は、本明細書で使用する場合、c−Metが関与していることが知られている任意の病状または他の有害な状態を意味する。「c−Met関連疾患」または「c−Met関連状態」という用語は、c−Met阻害剤を用いた処置により緩和される疾患または状態も意味する。そうした状態として、腎癌、胃癌、結腸癌、脳癌、乳癌、前立腺癌、肝癌、膵癌または肺癌、膠芽細胞腫、アテローム性動脈硬化症または肺線維症があるが、これに限定されるものではない。
一態様では、本発明は患者の増殖性障害を処置する方法(method treating)であって、治療有効用量の化合物1または化合物1を含む組成物を患者に投与するステップを含む方法を特徴とする。
一実施形態によれば、増殖性障害は、たとえば腎癌、胃癌、結腸癌、脳癌、乳癌、肝癌、前立腺癌および肺癌または膠芽細胞腫などの癌である。
別の実施形態では、本発明は、処置または軽減を必要としている患者の肝細胞癌を処置またはその重症度を軽減する方法であって、前記患者に化合物1またはその組成物投与することを含む方法に関する。
別の実施形態では、増殖性障害は真性赤血球増加症、本態性血小板血症、慢性特発性骨髄線維症、骨髄線維症を伴う骨髄様化生、慢性骨髄性白血病(CML:chronic myeloid leukemia)、慢性骨髄単球性白血病、慢性好酸球性白血病、好酸球増加症候群、全身性(systematic)肥満細胞症、非定型CMLまたは若年性骨髄単球性白血病である。
別の実施形態では、増殖性障害はアテローム性動脈硬化症または肺線維症である。
本発明の別の態様は、腫瘍の転移の阻害を必要としている患者の腫瘍の転移を阻害する方法であって、前記患者に化合物1またはその組成物を投与することを含む方法に関する。
本発明の組成物には、処置される個々の状態または疾患に応じてその状態の処置に通常投与される追加の治療薬がさらに存在していてもよい。本明細書で使用する場合、個々の疾患または状態の処置に通常投与される追加の治療薬は、「処置される疾患または状態に適切であるもの」として知られている。
一実施形態では、増殖性疾患および癌を処置するために化学療法剤または他の抗増殖剤を化合物1と組み合わせてもよい。知られている化学療法剤の例としては、アルキル化剤、たとえばシクロホスファミド、ロムスチン、ブスルファンプロカルバジン、イホスファミド、アルトレタミン、メルファラン、リン酸エストラムスチン、ヘキサメチルメラミン、メクロレタミン、チオテパ、ストレプトゾシン、クロラムブシル、テモゾロミド、ダカルバジン、セムスチンまたはカルムスチンなど;白金製剤、たとえばシスプラチン、カルボプラチナム、オキサリプラチン、ZD−0473(AnorMED)、スピロプラチナム、ロバプラチン(Aeterna)、カルボキシフタラトプラチナム、サトラプラチン(Johnson Matthey)、テトラプラチンBBR−3464、(Hoffmann−La Roche)、オルミプラチン(ormiplatin)、SM−11355(Sumitomo)、イプロプラチンまたはAP−5280(Access)など;代謝拮抗剤、たとえばアザシチジン、tomudex、ゲムシタビン、トリメトレキサート、カペシタビン、デオキシコホルマイシン、5−フルオロウラシル、フルダラビン、フロクスウリジン、ペントスタチン、2−クロロデオキシアデノシン、ラルチトレキセド、6−メルカプトプリン、ヒドロキシ尿素、6−チオグアニン、デシタビン(SuperGen)、シタラビン、クロファラビン(Bioenvision)、2−フルオロデオキシシチジン、イロフルベン(MGI Pharma)、メトトレキサート、DMDC(Hoffmann−La Roche)、イダトレキサート(idatrexate)またはエチニルシチジン(Taiho)など;トポイソメラーゼ阻害剤、たとえばアムサクリン、ルビテカン(SuperGen)、エピルビシン、メシル酸エキサテカン(Daiichi)、エトポシド、キナメド(quinamed)(ChemGenex)、テニポシド、ミトキサントロン、ギマテカン(Sigma−Tau)、イリノテカン(CPT−11)、ジフロモテカン(Beaufour−Ipsen)、7−エチル−10−ヒドロキシ−カンプトテシン、TAS−103(Taiho)、トポテカン、エルサミトルシン(Spectrum)、デキスラゾキサネト(dexrazoxanet)(TopoTarget)、J−107088(Merck & Co)、ピクサントロン(Novuspharma)、BNP−1350(BioNumerik)、レベッカマイシンアナログ(Exelixis)、CKD−602(Chong Kun Dang)、BBR−3576(Novuspharma)またはKW−2170(Kyowa Hakko)など;抗腫瘍抗生物質、たとえばダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、アモナフィド、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、アゾナフィド、デオキシルビシン(deoxyrubicin)、アントラピラゾール、バルルビシン、オキサントラゾール、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ロソキサントロン、エピルビシン、ブレオマイシン、スルファート(ブレノキサン)、テラルビシン、ブレオマイシン酸、イダルビシン、ブレオマイシンA、ルビダゾン、ブレオマイシンB、プリカミシンプ(plicamycinp)、マイトマイシンC、ポルフィロマイシン、MEN−10755(Menarini)、シアノモルホリノドキソルビシン、GPX−100(Gem Pharmaceuticals)またはミトキサントロン(ノバントロン)など、有糸分裂阻害薬、たとえばパクリタキセル、SB408075(GlaxoSmithKline)、ドセタキセル、E7010(Abbott)、コルヒチン、PG−TXL(Cell Therapeutics)、ビンブラスチン、IDN5109(Bayer)、ビンクリスチンA、105972(Abbott)、ビノレルビン、A204197(Abbott)、ビンデシン、LU223651(BASF)、ドラスタチン10(NCI)、D24851(ASTAMedica)、リゾキシン(Fujisawa)、ER−86526(Eisai)、ミボブリン(Warner−Lambert)、コンブレタスタチンA4(BMS)、セマドスズ(BASF)、イソホモハリコンドリン−B(PharmaMar)、RPR109881A(Aventis)、ZD6126(AstraZeneca)、TXD258(Aventis)、PEG−パクリタキセル(Enzon、)エポチロンB(Novartis)、AZ10992(Asahi)、T900607(Tularik)、IDN−5109(Indena)、T138067(Tularik)、AVLB(Prescient NeuroPharma)、クリプトフィシン52(Eli Lilly)、アザエポチロンB(BMS)、ビンフルニン(Fabre)、BNP−7787(BioNumerik)、アウリスタチンPE(Teikoku Hormone)、CA−4プロドラッグ(OXiGENE)、BMS247550(BMS)、ドラスタチン−10(NIH)、BMS184476(BMS)、CA−4(OXiGENE)、BMS188797(BMS)またはタキソプレキシン(Protarga)など;アロマターゼ阻害剤、たとえばアミノグルテチミド、エキセメスタン、レトロゾール、アタメスタン(BioMedicines)、アナストラゾール、YM−511(Yamanouchi)またはホルメスタン;チミジル酸シンターゼ阻害剤、たとえばペメトレキセド(Eli Lilly)、ノラトレキセド(Eximias)、ZD−9331(BTG)またはCoFactor(商標)(BioKeys)など;DNAアンタゴニスト、たとえばトラベクテジン(PharmaMar)、マホスファミド(Baxter International)、グルホスフアミド(Baxter International)、アパジクオン(Spectrum Pharmaceuticals)、アルブミン+32P(Isotope Solutions)、O6ベンジルグアニン(Paligent)、チメクタシン(NewBiotics)またはエドトレオチド(Novartis)など;ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、たとえばアルグラビン(NuOncology Labs)、チピファルニブ(Johnson & Johnson)、ロナファーニブ(Schering−Plough)、ペリリルアルコール(DOR BioPharma)またはBAY−43−9006(Bayer)など;ポンプ阻害剤、たとえばCBT−1(CBA Pharma)、ゾスキダル三塩酸塩(Eli Lilly)、タリキダル(Xenova)、ビリコダルジシトレート(Vertex)またはMS−209(Schering AG)など;ヒストンアセチルトランスフェラーゼ阻害剤、たとえばタセジナリン(Pfizer)、酪酸ピバロイルオキシメチル(Titan)、SAHA(Aton Pharma)、デプシペプチド(Fujisawa)またはMS−275(Schering AG)など;メタロプロテイナーゼ阻害剤、たとえばネオバスタット(Aeterna Laboratories)、CMT−3(CollaGenex)、マリマスタット(British Biotech)またはBMS−275291(Celltech)など;リボヌクレオシドレダクターゼ阻害剤、たとえばガリウムマルトレート(Titan)、テザシタビン(Aventis)、トリアピン(Vion)またはジドックス(didox)(Molecules for Health)など;TNFαアゴニスト/アンタゴニスト、たとえばビルリジン(Lorus Therapeutics)、レビミド(Celgene)、CDC−394(Celgene)、エンタネルセプト(entanercept)(Immunex Corp.)、インフリキシマブ(Centocor,Inc.)またはアダリムマブ(Abbott Laboratories)など;エンドセリンA受容体アンタゴニスト、たとえばアトラセンタン(Abbott)YM−598(Yamanouchi)またはZD−4054(AstraZeneca)など;レチノイン酸受容体アゴニスト、たとえばフェンレチニド(Johnson & Johnson)アリトレチノイン(Ligand)またはLGD−1550(Ligand)など;免疫調節剤、たとえばインターフェロンデキソソーム療法剤(Anosys)、オンコファージ(Antigenics)、ペントリクス(pentrix)(Australian Cancer Technology)、GMK(Progenics)、ISF−154(Tragen)、腺癌ワクチン(Biomira)、癌ワクチン(Intercell)、CTP−37(AVI
BioPharma)、ノレリン(norelin)(Biostar)、IRX−2(Immuno−Rx)、BLP−25(Biomira)、PEP−005(Peplin Biotech)、MGV(Progenics)、シンクロバクスワクチン(synchrovax vaccines)(CTL Immuno)、β−アレチン(Dovetail)、メラノーマワクチン(CTL Immuno)、CLL療法剤(Vasogen)またはp21RASワクチン(GemVax)など;ホルモン剤および抗ホルモン剤、たとえばエストロゲン、プレドニゾン、結合型エストロゲン、メチルプレドニゾロン、エチニルエストラジオール、プレドニゾロン、クロルトリアニセン(chlortrianisen)、アミノグルテチミド、イデネストロール、ロイプロリド、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ゴセレリン、メドロキシプロゲステロン、ロイポレリン(leuporelin)、テストステロン、ビカルタミド、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン、フルタミド、メチルテストステロン、オクトレオチド、ジエチルスチルベストロール、ニルタミド、メゲストロール、ミトタン、タモキシフェン(tamoxifen)、P−04(Novogen)、トレモフィン、2−メトキシエストラジオール(EntreMed)、デキサメタゾンまたはアルゾキシフェン(Eli Lilly)など;光線力学的療法剤、たとえばタラポルフィン(Light Sciences)、Pd−バクテリオフェオフォルバイド(Yeda)、セララックス(Theralux)(Theratechnologies)、ルテチウムテキサフィリン(Pharmacyclics)、モテキサフィンガドリニウム(Pharmacyclics)またはヒペリシンなど;およびチロシンキナーゼ阻害剤、たとえばイマチニブ(Novartis)、カハライドF(kahalide F)(PharmaMar)、レフルノミド(Sugen/Pharmacia)、CEP−701(Cephalon)、ZD1839(AstraZeneca)、CEP−751(Cephalon)、エルロチニブ(Oncogene Science)、MLN518(Millenium)、カネルチニブ(Pfizer)、PKC412(Novartis)、スクアラミン(Genaera)、フェノキソジオール、SU5416(Pharmacia)、トラスツズマブ(Genentech)、SU6668(Pharmacia)、C225(ImClone)、ZD4190(AstraZeneca)、rhu−Mab(Genentech)、ZD6474(AstraZeneca)、MDX−H210(Medarex)、バタラニブ(Novartis)、2C4(Genentech)、PKI166(Novartis)、MDX−447(Medarex)、GW2016(GlaxoSmithKline)、ABX−EGF(Abgenix)、EKB−509(Wyeth)、IMC−1C11(ImClone)またはEKB−569(Wyeth)があるが、これに限定されるものではない。
こうした追加薬は、複数投与療法の一部として化合物1を含む組成物と別に投与してもよい。あるいは、こうした薬は、単一の組成物において化合物1と混合して単一剤形の一部としてもよい。2つの作用薬を複数投与療法の一部として投与する場合、同時に投与しても、連続的に投与しても、あるいは相互に一定時間内に、通常5時間以内に投与してもよい。
単一剤形を製造するためにキャリア材料と組み合わせてもよい(上記のような追加の治療薬を含む組成物中の))化合物1および追加の治療薬を合わせた量は、処置される宿主および個々の投与モードによって異なる。好ましくは、本発明の組成物は、化合物1を0.01〜100mg/kg体重/日の投与量で投与できるように製剤化すべきである。一例では、組成物は、化合物1の投与量が5〜30mg/kg体重/日になるように製剤化される。
追加の治療薬を含むこうした組成物の場合、その追加の治療薬および化合物1は、相乗的に作用することができる。したがって、そうした組成物中の追加の治療薬の量は、その治療薬しか使用しない単独療法に必要とされる量より少なくなる。こうした組成物の場合、追加の治療薬を0.01〜100mg/kg体重/日の投与量で投与することができる。
本発明の組成物中に存在する追加の治療薬の量は、その治療薬を唯一の作用薬として含む組成物において通常投与されると考えられる量以下になる。好ましくは、本明細書に開示される組成物中の追加の治療薬の量は、その薬を唯一の治療上の作用薬として含む組成物中に通常存在する量の約50%〜100%の範囲である。
化合物1またはその医薬組成物は組成物に組み込んで、プロテーゼ、人工弁、人工血管、ステントおよびカテーテルなどの埋め込み型医療装置をコーティングしてもよい。たとえば血管ステントは、再狭窄(傷害後に血管壁が狭くなること)に対処するために使用されている。しかしながら、ステントまたは他の埋め込み型装置を使用している患者には血餅の形成または血小板活性化のリスクがある。こうした望ましくない作用は、キナーゼ阻害剤を含む薬学的に許容される組成物で装置を予めコーティングすることにより予防または軽減することができる。好適なコーティング剤およびコーティングした埋め込み型装置の一般的な調製については米国特許第6,099,562号;同第5,886,026号;および同第5,304,121号に記載されている。コーティング剤は典型的には、生体適合性高分子材料、たとえばヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニルおよびこれらの混合物である。コーティング剤は任意に、フルオロシリコーン、多糖類(polysaccarides)、ポリエチレングリコール、リン脂質またはこれらの組み合わせといった好適なトップコートによりさらに被覆して組成物に放出制御特性を付与してもよい。化合物1でコーティングした埋め込み型装置は、本発明の別の実施形態である。
式Iの化合物の調製
本明細書に記載の本発明の理解を十分に深めるため、以下に例を示す。そうした例は説明のみを目的としたものであり、いかなる意味でも本発明を限定するものと解釈してはならないことを理解すべきである。
本明細書で使用する場合、他の略語、記号および用法は、科学文献に現在使用されているものと同じである。たとえば参照によってその全体を本明細書に援用するJanet S.Dodd,ed.,The ACS Style Guide:A Manual for Authors and Editors,2nd Ed.,Washington,D.C.:American Chemical Society,1997を参照されたい。以下の定義は本明細書に使用する用語および略語を説明するものである:
ブライン NaCl飽和水溶液
BSA ウシ血清アルブミン
DMSO ジメチルスルホキシド
ESMS エレクトロスプレー質量分析法
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エチルアルコール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LCMS 液体クロマトグラフィー−質量分析法
Me メチル
MeOH メタノール
Ph フェニル
RT 室温
TCA トリクロロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオ酢酸(trifluoacetic acid)
(実施例1)2−(キノリン−6−イル)プロパン酸(化合物1001)および2−(5,7−ジフルオロキノリン−6−イル)プロパン酸(化合物1002)
Figure 2012528188
化合物1001は、Okeanos Tech、Beijing、China(カタログ番号OK−J−05025)より購入した。化合物1002は、スキーム1に示されるとおりに調製された。したがってステップ1−iに示されるとおり、0℃にてDMSO中のNaH(鉱油中に60%、8.47g、212mmol)の懸濁液(260mL)に、ジエチル2−メチルマロネート(29.5g、169.4mmol)をゆっくり加えた。混合物を0℃にて2時間撹拌し、3,4,5−トリフルオロニトロベンゼン(25.0g、141.2mmol)を加えた。その結果得られた混合物を室温まで温めて12時間撹拌した。この反応混合物を飽和NHCl水溶液に注ぎ入れ、濾過によって沈殿を集めた。水で3回洗浄した後に得られたジエチル2−(2,6−ジフルオロ−4−ニトロフェニル)−2−メチルマロネート(化合物1003、44.5g、95%収率)を減圧下で乾燥し、そのまま次の反応に用いた。
ステップ1−iiに示されるとおり、MeOH中のジエチル2−(2,6−ジフルオロ−4−ニトロ−フェニル)−2−メチルマロネート(44.5g、135mmol)の溶液に、窒素雰囲気下でPd/C(10%、4.0g)を加えた。雰囲気をHで置換し、混合物を50psiにて3日間水素化した。雰囲気を窒素で置換し、混合物を珪藻土で濾過し、減圧下で揮発物を除去した。その結果得られたジエチル2−(4−アミノ−2,6−ジフルオロフェニル)−2−メチルマロネート(化合物1004、40.5g、99%収率)を減圧下で乾燥し、そのまま次の反応に用いた。
ステップ1−iiiに示されるとおり、メタノール(200mL)中のジエチル2−(4−アミノ−2,6−ジフルオロフェニル)−2−メチルマロネート(40g、132.8mmol)の溶液に、6M NaOH(110.7mL、664.0mmol)を加えた。混合物を100℃にて4時間加熱し、0℃に冷却し、濃HClでpH3が得られるまで酸性化した。混合物を室温まで温めて3時間撹拌した。その結果得られた沈殿を濾過によって集め、水で洗浄し、高真空下で50℃にて20時間乾燥して、2−(4−アミノ−2,6−ジフルオロフェニル)プロパン酸(化合物1005、22g、84%収率)を得た:H NMR(300.0MHz,DMSO)δ12.25(brs,1H),6.16(d,J=10.8Hz,2H),5.58(s,2H),3.74(q,J=7.2Hz,1H)および1.28(d,J=7.2Hz,3H)ppm。
ステップ1−ivに示されるとおり、2−(4−アミノ−2,6−ジフルオロフェニル)プロパン酸(19g、94.45mmol)と、グリセロール(35.83g、28.41mL、389.1mmol)と、ニトロベンゼン(7.209g、6.028mL、58.56mmol)と、濃硫酸(30.57g、16.61mL、311.7mmol)との混合物を穏やかに加熱した。初期の活発な反応が休止した後に、混合物を170℃にて16時間加熱した。冷却後、減圧下で揮発物を除去し、残渣をMeOH(150mL)に溶解し、150mLの6N NaOHを加え、混合物を110℃にて3時間加熱した。室温まで冷却した後、混合物を濃HClで酸性化してpH3にした。その結果得られた暗色の沈殿を濾過によって集め、水で洗浄した。沈殿をエタノールに入れて、塩化チオニル(11.24g、6.891mL、94.45mmol)を注意深く滴下して加えた。添加が完了した後、混合物を50℃にて20時間加熱した。室温まで冷却した後、減圧下で揮発物を除去し、残渣を飽和NaHCOおよびDCMの混合物に溶解した。層を分離し、水層をDCMで抽出した。この合わせた有機物をMgSO4で乾燥し、減圧下で体積を減らし、中圧シリカゲルクロマトグラフィー(36分間で0%EtOAc/ヘキサンから30%)に供し、2−(5,7−ジフルオロキノリン−6−イル)プロパン酸メチル(14g、2ステップに対して56%収率)を得た。このメチルエステル(5.0g)をメタノール(30mL)に入れ、得られた溶液をNaOH(6Mを16.58mL、99.50mmol)で処理し、室温にて20時間撹拌することによってけん化した。濃HClによってpH2まで注意深く酸性化した後、得られた沈殿を濾過によって集め、高真空下で乾燥することによって2−(5,7−ジフルオロキノリン−6−イル)プロパン酸を得、これをそのまま後の反応に用いた。
Figure 2012528188
(実施例2)式Iの化合物の調製
式Iの化合物は、スキーム2に示されるとおりに調製される。したがってスキーム2のステップ2−iに示されるとおり、式IIの適切に置換されたキノリン酢酸(248.5mmol、1.0当量)および1,3−ジアミノチオ尿素(273.4mmol、1.1当量)を、テトラメチレンスルホン(スルホラン、38mL)および水(57mL)の混合物に懸濁する。混合物にメタンスルホン酸(546.7mmol、2.2当量)を加えると、すべての固体が溶解する。反応混合物をゆっくり90℃に温め、反応物を90℃にて40時間加熱し、反応の進行をHPLC分析でモニターする。反応混合物を氷浴中で冷却して水(75mL)を加え、続いてpH8が得られるまで飽和重炭酸ナトリウム(500mL)を注意深く加える。その結果得られる沈殿を真空濾過によって集め、水、飽和重炭酸ナトリウム、水、およびメチルt−ブチルエーテルでそれぞれ洗浄する。生成物を真空オーブン中で55℃にて乾燥することによって、式IIIの化合物を得る。
スキーム2のステップ2−iiに示されるとおり、式IIIの化合物(453.3mmol、1.00当量)および1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(476.0mmol、1.05当量)を、POCl(1.23リットル)およびスルホラン(246mL)に溶解する。その結果得られる混合物を83℃にて18時間撹拌する。減圧下で揮発物を蒸発させ、残渣を減圧下でもう2回トルエンで付加的に共沸させる。その結果得られる油を撹拌氷水の中にゆっくり注ぎ、ジクロロメタンで水溶液を抽出することによってあらゆる残余スルホランを取り除く。この水溶液を、pH7が得られるまで飽和重炭酸ナトリウム(3.2リットル)で処理する。その結果得られる油をデカントして少量のメタノールに溶解し、残りの水層をジクロロメタンで抽出する(4回)。この合わせた有機抽出物および油のメタノール溶液を組み合わせて、飽和重炭酸ナトリウム、水、およびブラインでそれぞれ洗浄する。この有機物を無水MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発させることによって、粗生成物を濃厚な褐色の油として得る。生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより、ジクロロメタンからジクロロメタン中5%メタノールまでのグラジエントで溶出して精製する。生成物を含む画分を減圧下で蒸発させて式Iaの化合物を得、これはジクロロメタンおよびメチルt−ブチルエーテルからの結晶化によってさらに精製されてもよい。式Iaの化合物のラセミ混合物を、1%TFAを含むメタノールに入れ(33mg/mL)、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC:supercritical fluid chromatography)によってそれぞれのエナンチオマーに分離した。したがって化合物1およびそのエナンチオマーは、ChiralPak(登録商標)AD−Hカラム(80μL注入;20mm×250mm、5ミクロンカラム;25%MeOH(0.1%DEA)、75%COにより溶出;100barにて70mL/min)を用いて分離された。これらの条件下では、最初に(S)−エナンチオマー(化合物1a)が溶出し、2番目に(R)−エナンチオマー(化合物1)が溶出した。化合物2およびそのエナンチオマーは、ChiralCel(登録商標)OJ−Hカラム(100μL注入;20mm×250mm、5ミクロンカラム;10%MeOH(0.1%DEA)、90%COにより溶出;60mL/min)を用いて分離された。これらの条件下では、最初に(S)−エナンチオマー(化合物2a)が溶出し、2番目に(R)−エナンチオマー(化合物2)が溶出した。本発明の化合物に対する分析データを表1に示す。
Figure 2012528188
表1。式Iの化合物の物理的特徴付け
Figure 2012528188
式Iの化合物の生物学的アッセイ
(実施例3)c−Metキナーゼ阻害アッセイ
標準的なラジオメトリックアッセイを用い、本発明の化合物についてc−Metキナーゼの阻害能力をスクリーニングした。簡単に説明すると、このキナーゼアッセイでは、33P−ATPの末端33P−ホスファートが基質polyE4Yに取り込まれるのを調べる。アッセイは、1ウェル当たり100μLを最終容量として0.5nMのc−Met、100mMのHEPES(pH7.5)、10mMのMgCl、25mMのNaCl、0.01%BSA、1mMのDTT、0.5mg/mLのpolyE4Yおよび35μMのATPを含む96ウェルプレートで行った。これに合わせて本発明の化合物をDMSOに溶解させて10mMの初期原液を作製した。次いでDMSOの希釈系列を作製してアッセイの最終溶液を得た。DMSOまたは阻害剤を含むDMSOの1.5μLのアリコートを各ウェルに加え、続いて33P−ATPを、最後にc−MetおよびpolyE4Y(Sigmaから入手)を加えた。20分後、反応を、4mMのATPを含む50μLの30%トリクロロ酢酸(TCA)でクエンチした。この反応混合物を0.66mmのGFフィルタープレート(Corning)に移し、5%TCAで3回洗浄した。50μLの高効率シンチラントUltimate Gold(商標)(Packard Bioscience)の添加後、サンプルをPackard TopCount NXT Microplate Scintillation and Luminescence Counter(Packard BioScience)でカウントした。表2に示されるK値は、Microsoft Excel Solverマクロを使用して算出し、データを競合的強結合阻害の反応速度モデルにフィッティングさせた。
(実施例4)
Snu5胃癌細胞におけるc−Met活性の阻害
式Iの化合物について、操作されたSnu5細胞株を用いてルシフェラーゼによるシグナルの阻害能力をさらにスクリーニングした。Snu5[アメリカンタイプカルチャーコレクションから入手(カタログ番号CRL−5973)]は、常時活性型のc−Metを過剰発現することが知られているヒト胃癌である。この細胞株を、遺伝子コンストラクトを含むレトロウイルスpCLPCXによって形質導入した。遺伝子コンストラクトは6xAP1プロモーター応答エレメント、およびC末端にPEST配列(ルシフェラーゼの半減期を短縮させるマウスオルニチンデカルボキシラーゼ由来のタンパク質分解シグナル)を持つルシフェラーゼ遺伝子からなる。常時活性型c−Metは細胞経路(主にMAPキナーゼ)を活性化し、その結果ルシフェラーゼ−PESTのAP−1による転写および最終産物への翻訳が起こり、その活性はルシフェリン(Promega社製のSteady−Glo。)の添加時に化学発光値として定量できる。残留発光量は、c−Metの阻害と強く相関する。ピューロマイシンで新しい細胞株(Snu5−AP1−Luc−Pest)を選択して安定な細胞株を得た。この細胞を完全培地[10%ウシ胎仔血清(FBS:fetal bovine serum、Hyclone)およびペニシリン/ゲンタマイシン(Invitrogen)を含むIscove培地(Invitrogen)]で増殖させた。本発明の化合物をDMSOに溶解させて10mMの初期原液を作製した。次いでDMSOの希釈系列を作製し、完全培地に移して10×溶液を作製した。Snu5−AP1−Luc−Pest細胞をカウントし、200,000細胞/mL溶液になるように希釈した。細胞(90μL)を96ウェル黒透明底プレート(Costar)の各ウェルに加えた。次いで10μLの10×化合物溶液を三連で細胞に加えた。37℃/5%COインキュベーターでプレートをインキュベートした。6時間後、各ウェルに50μLのSteady−Glo試薬(Promega)を加え、プレートシェーカーに5分間載せて細胞が完全に溶解するようにした。プレートを1450 Microbeta Liquid Scintillation and Luminescence Counter(Perkin−Elmer)で読み取った。表2に示されるIC50値は、グラフ作成ソフトウェアPrism(GraphPad)を使用して4−パラメーターフィッティングにより算出した。
(実施例5)
PDE3の阻害
ホスホジエステラーゼ−3(Phosphodiesterase−3:PDE3)は、環状ヌクレオチド二次メッセンジャーの調節を担うホスホジエステラーゼのファミリーの1つである。PDE3酵素は心臓および血管の平滑筋収縮性の調節に関与する。PDE3を阻害する薬剤は、もともと心不全の処置のために研究されていたが、望ましくない不整脈の副作用を有する。Dart R.C.,Medical Toxicology,Edition 3,page 708;Lippincott 2004を参照されたい。
LabChip 3000(Caliper Life Sciences,Hopkinton,MA)を用いて、サイクリックAMPの蛍光類似体からAMPの蛍光類似体への転換を定量化する移動度シフトアッセイにおいて、式Iの化合物がPDE3を阻害する能力をスクリーニングした。したがって、DMSOに溶解したテスト化合物の0.6μLアリコートを384ウェルプレートのウェルに入れ、続いて5mMのMgClおよび0.001%のBrij−35を含有するpH7.5の50mM HEPES緩衝液(緩衝液A)中の200ng/mL PDE3A(BPS Bioscience,San Diego,CA,カタログ番号60030)の15μLアリコートを加えた。この酵素および化合物を室温にて15分間インキュベートした後、緩衝液A中の2μM iFL−cAMP(Caliper Life Sciences,カタログ番号760444)の15μLアリコートを加えた。室温にて40分間インキュベートした後、30mMのEDTAと、0.015%のBrij−35と、0.1%のCR−3(Caliper Life Sciences)とを含有するpH7.5の100mM HEPES緩衝液の45μLアリコートを加えることによって、反応をクエンチした。基質と生成物との分離は、ProfilerPro Separation Buffer(Caliper Life Sciences,カタログ番号760367)、50μMのCR−8(Caliper Life Sciences,カタログ番号760278)、および0.1%のCR−3からなるランニング緩衝液中で、LabChip 3000上の12シッパー(12−sipper)チップを用いて、下流電圧約2000ボルト、上流電圧約250ボルト、およびランニング圧力約2.0psiによって達成された。HTS Well Analyzerソフトウェア(Caliper Life Sciences,v5,SP2)を用いて転換パーセント数を定めた。Prism(v5.0a,GraphPad Software,Inc.,La Jolla,CA)による非線形回帰を用いてIC50値を定めた。化合物1および2ならびにそれぞれのエナンチオマー1aおよび2aのIC50値を表2に示す。
表2。
Figure 2012528188
Figure 2012528188
本明細書に引用した刊行物および特許はすべて、参照によって援用するために各刊行物または特許を具体的に個々に示しているかのように参照によって本明細書に援用する。前述の発明について理解しやすいように図面および実施例によりある程度詳細に記載してきたが、本発明の本教示内容に照らして、添付の特許請求の範囲の精神または範囲を逸脱することなく、ある種の変更および修正をなし得ることが当業者には容易に明らかであろう。

Claims (9)

  1. 以下の式を有する化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
    Figure 2012528188
    各Rは独立に水素またはフルオロである、化合物。
  2. は水素である、請求項1に記載の化合物。
  3. はフルオロである、請求項1に記載の化合物。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容されるキャリア、補助剤またはビヒクルとを含む、医薬組成物。
  5. 化学療法剤または抗増殖剤、抗炎症薬、アテローム性動脈硬化症の処置剤、または肺線維症の処置剤を付加的に含む、請求項4に記載の組成物。
  6. 患者の増殖性の障害を処置するか、またはその重症度を軽減する方法であって、前記患者の前記増殖性の障害を処置するか、またはその重症度を軽減するために十分な量の、請求項1に記載の化合物または前記化合物を含む医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
  7. 前記障害は転移性癌である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記障害は膠芽細胞腫;胃癌;または結腸癌、乳癌、前立腺癌、脳癌、肝癌、膵癌もしくは肺癌から選択される癌である、請求項6に記載の方法。
  9. 前記障害は肝細胞癌である、請求項6に記載の方法。
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