JP2012526318A - 住宅価格指数を生成するシステム - Google Patents

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Abstract

住宅価格指数の自動生成のためのコンピュータシステムが提供される。システムは、家またはアパートの販売に関する取引データを受け取り、指定された期間に関し、受け取った取引データに基づいて、ヘドニック価格指数を生成することができる。システムは、さらに、受け取った新たな取引データに基づいて、当期の価格指数の推定値を連続して決定するように構成することができる。住宅価格指数はリアルタイムで流布させることができ、ここで説明しているような方法及びシステムは、住宅価格指数に依存する金融商品の市場操作及びインサイダー取引のリスクを著しく低減する。これは、システムへの入力によって取引データを生成しながら指数の推定値を連続して生成することによって得られる。

Description

本発明は、住宅価格指数を生成する方法及びシステムに関する。特に本発明は、住宅市場における価値の変化を反映した、速くて信頼性のある指数を提供する方法及びシステムに関する。
品質の良い住宅価格指数が望まれていることはよく知られている。品質の良い指数は、住宅所有者が保険を使って市場変化からリスクをヘッジすることができる金融派生商品市場の基準として役立てることができるが、参照によりここに組み込まれている国際特許出願WO2008/123817(特許文献1)も参照されたい。
価格指数を構築するひとつの方法は、ヘドニックアプローチ(快楽(hedonic)アプローチ)を使用することであり、参照により本明細書に組み込まれているSherwin Rosen、「Hedonic Prices and Implicit Markets: Product Differentiation in Pure Competition(快楽価格及び暗黙市場:純粋競争における製品差別化)」、The Journal of Political Economy, Vol. 82, No. 1, pp. 34-35 (1974)(非特許文献1)、及びMats Wilhelmsson、「Construction and updating of property price index series: The case of segmetned markets in Stockholm(不動産価格指数系列の構築と更新:ストックホルムでのセグメント化された市場の場合)」" Property Management, Vol. 27, No. 2, pp. 119-137 (2009)(非特許文献2)も参照されたい。
しかしながら、平均価格あるいは1平方メートル当たりの平均価格で構築された価格指数は、長い時間をかけて売却された異なる種類の家/アパートを統制しない。反復販売(repeated-sales)法には、標本選択バイアス及びパラメータ不均一性のような問題がある。ヘドニック価格指数(hedonic price index)法が持つ主な欠点は、不正確な関数形式、改訂に伴う変動、及び、省略された変数によるバイアスだけでなく、パラメータ不均一性及び空間的依存性にある。
さらに、住宅価格指数に基づいた金融商品で取引する場合、価格指数に潜在的に影響を与える情報の不公平な分配からだけでなく、インサイダー取引からも市場参加者を保護する必要性がある。
このように、住宅価格指数の品質と住宅価格指数を流通させるやり方とを向上させる要求が常にある。
したがって、品質がよくて迅速に生成される住宅価格指数を提供でき、住宅指数から生成された金融商品を取引する基準として広められ使用することができる方法及びシステムの必要性が存在する。
WO2008/123817
Sherwin Rosen, "Hedonic Prices and Implicit Markets: Product Differentiation in Pure Competition," The Journal of Political Economy, Vol. 82, No. 1, pp. 34-35 (Jan.-Feb., 1974) Mats Wilhelmsson, "Construction and updating of property price index series: The case od segmetned markets in Stockholm," Property Management, Vol. 27, No. 2, pp. 119-137 (2009)
本発明の目的は、住宅価格指数を生成する既存の方法及びシステムに関連する問題のいくつかを克服するまたは少なくとも低減することである。
本発明の他の目的は、住宅価格指数の効率的な流布を可能にする方法及びシステムを提供することである。
本発明のさらなる他の目的は、住宅価格の変化に密接に追従する住宅価格指数の確立を可能にする方法及びシステムを提供することである。
これらの目的及び他の目的の少なくとも1つは、添付の請求項に記載するような方法及びシステムによって獲得される。
したがって、一実施態様によれば、住宅価格指数の自動生成のコンピュータシステムが提供される。このシステムは、家またはアパートの販売に関する取引データを受け取る装置を有する。システムは、指定された期間に関し、受け取った取引データに基づいて、ヘドニック価格指数を生成するモジュールも有する。このモジュールは、受け取った新たな取引データに基づいて、現在の期間の価格指数の推定値を連続して決定するように、さらに構成されている。住宅価格指数はリアルタイムで流布することができる。
一実施態様によれば、住宅価格指数の自動生成のコンピュータシステムが提供される。このシステムは、家またはアパートの販売に関する取引データを受け取る装置を有する。システムは、指定された期間に関し、受け取った取引データに基づいて、ヘドニック価格指数を生成するモジュールも有する。このモジュールは、ヘドニック価格指数の生成の1つのパラメータとして、都市の中心地への距離を含ませるようにさらに構成されている。
一実施態様によれば、住宅価格指数の自動生成のコンピュータシステムが提供される。このシステムは、家またはアパートの販売に関する取引データを受け取る装置を有する。システムは、指定された期間に関し、受け取った取引データに基づいて、ヘドニック価格指数を生成するモジュールも有し、ヘドニック価格指数は移動窓回帰(moving window regression)を用いて生成される。
ここで説明しているような方法及びシステムを用いることは、住宅価格指数が反映された市場における家/アパートの価値の実際の変化に密接に追従するその住宅価格指数を提供する。これは、住宅の市場変化に対する保険のような金融商品を可能にすることを含むいくつかの異なる目的に必要とされる。
さらに、ここで説明しているような方法及びシステムは、住宅価格指数に依存する金融商品における市場操作及びインサイダー取引のリスクを著しく低減する。これは、システムへの入力によって取引データを生成しながら指数の推定値を連続して生成することによって得られる。一実施態様によれば、推定値が生成され、市場参加者へリアルタイムで流布される。
システムは、ここで説明しているような種々の機能を実行するるように配置されたソフトウェアを実行するコンピュータサーバを使用して、実現することができる。
住宅価格指数を生成し流布するシステムを示した図である。 データ中の異常値及び高いレバレッジを持つ観測値を処理するときに実行されるいくつかのステップを示すフローチャートである。
限定的でない例として、また添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
図1には、住宅価格指数を生成し流布する典型的なシステム100を示した図が示されている。システム100は、アパート及び不動産を含むがこれらに限定されない、すべての形態の住宅の指数生成に使用することができる。システム100は、住宅価格指数を生成する中央発生器モジュール101を有する。次にこのモジュールは、外部データを受け取る装置103を有する。さらに、モジュール101は、システム100に登録された取引のデータ(すなわち家の売買に関する情報)を格納する中央データベース105を有する。データベース105に格納されるデータは装置103で受け取られる。装置103は、いくつかの異なる情報源からデータを受け取ることができる。図1に示した実施形態では、この装置は、不動産/アパート仲介業者が住宅取引及び住宅取引に関するデータを登録するコンピュータシステム107から、データを受け取る。仲介業者によって登録されるデータは、通常、家/アパートの住所、それらの大きさ、取引価格、及び取引期日でありえる。以下に、より詳細に説明するように、他のデータも登録することができる。加えて、装置103は、住宅価格指数を生成する場合にモジュール101で使用することができるがコンピュータシステム107からはどうしても利用可能でない他のデータを有する、他のコンピュータシステム108に接続することができる。例えば、特定の売却された家/アパートの近隣周辺に関する情報を取り出すことができる。
住宅価格指数を生成する場合、モジュール101はヘドニック価格式を用いる。一実施形態によれば、移動窓回帰が使用される。移動窓の手法は、重複する副標本(sub-sample)に対して回帰母数(regression parameter)推定値を算出する。したがって、1次回帰は、標本中の例えば最初の12か月にわたる断面の副標本を使用する。2次回帰は、月2から月13までの断面を使用し、以下、同様である。したがって、3年の期間にわたり、1個または36個のヘドニック価格式の代わりに、25個のヘドニック価格式を推定することができる。この利点は、ヘドニック価格が経時的に変化できることである。
以下に、ヘドニック価格式を用いてモジュール101によってアパートの住宅価格指数を生成する場合において、入力データとして使用することができるいくつかの属性をより詳細に説明する。まず、対等な立場(arm-length filtered)での取引が取り出され、かつ、そのような取引のみが用いられる。アパートの属性として、部屋の数とともに、アパートの大きさを用いることができる。それらは、両方とも、価格に対してプラスの効果を有すると仮定される。大きさに加え、家の管理に対する毎月の費用を使用することができる。その効果は、価格に対してマイナスの効果を有するはずである。アパートについての使用することができる他の特性は、アパートにバルコニーがあるかどうかである。アパートがビルディングのどこにあるか示すいくつか(例えば3個)の変数を含むことも可能である。その最初の変数は床面高さであり、他の2つの変数はアパートが1階または最上階にあるかを示すダミー変数である。1階は割り引きに関連付けることができ、最上階(眺望を有すると見込まれる)は割り増し(プレミアム)に関連付けることができる。
この例では、3つの資産属性(すなわち資産の古さ、資産の高さ、及び資産にエレベータがあるかどうか)のみが用いられる。エレベータと階との間に相互作用変数を形成することが可能である。世帯主は、アパートが1階にある場合には割り増し金を支払うことを渋るが、資産がより高層になるにつれエレベータに対しては支払う意欲があるということが仮説である。資産の古さは、資産及びアパートの品質の代理するものであるが、連続変数を使用する代わりに、7つの異なるダミー変数を構築した。本発明者らによる仮説は、比較的新しいアパート及び非常に古いアパートの価格は最も高いが、一方「100万戸プログラム(Million programme)」中に建築されたアパートの価格は最も安い、ということである。
(1)新築;
(2)1900年以前;
(3)1900〜1939年(第二次世界大戦以前);
(4)1940〜1959年(戦中〜戦後の期間);
(5)1960〜1975年(「100万戸プログラム」);
(6)1976〜1990年(高い建設助成金を有する期間);
(7)1990年以降(補助金システムの廃止)。
近隣周辺の特性に関する情報は乏しい。都市の中心地への距離を推定することにより、価格勾配を推定することができる。当然、距離は、価格に対してマイナスの効果を有するはずである。さらに、距離に加えて、都市はいくつかの異なる地理的領域に分割することができる。例えば、都市は四象限(北西、北東、南西及び南東)に分割することができる。空間的依存性をさらに低減するために、経度と緯度の座標の属性を付加することができる。さらに、都市中心地は種々のやり方で決定することができる。1つのやり方は、都市での販売高の地理的データに基づいて中心地を決定することである。一実施形態によれば、販売高は、販売の価格で重み付けすることもでき、その結果、決定された都市の中心地を最も高い価格を有する地域の方へ移動させることができる。
さらに、ヘドニックモデルは、二次市場(submarket)に関するダミー変数を含むことができる。二次市場は、例えば、行政上の教区として規定することができる。教区変数は、
距離変数とともに、省略された変数によるバイアスを低減し、かつ空間的依存性を軽減するために、含まれている。
アパート及び資産特性の他に、近隣属性だけでなく、時間ダミー変数をヘドニック価格式に含むことができる。時間ダミー変数は、取引の日付を用いて構築される。
下の表1には、上記の特性のいくつかが、一連の取引のために示されている。
Figure 2012526318
最良の適合形式(fitting form)を見つけるためにボックス−コックス(Box-Cox)変換を使用することは、対数−線形形式を使用できることを示している。その結果を下の表に示している。
Figure 2012526318
時間ダミーに関する係数を使用して、都市のヘドニック・アパート価格指数を構築することができる。
一実施形態によれば、新たな指数が例えば毎日、毎週あるいは毎月計算されるとき、新しい指数が推定される。例えば、指数が毎月更新される場合、指数は、その新たな月より前の11か月とその新たな月とを加えた取引を用いて更新される。同時に、古い指数をすべて改訂することができる。指数は、移動窓回帰手法により、11回、すなわち1年まで改訂される。
ここで説明しているような住宅価格指数を生成する方法は、反復販売法(repeated sales method)またはケース−シラー法(Case Schiller method)のような、住宅価格指数を生成する他の方法とも組み合わせることができる。
上記方法を用いて、品質の良い住宅価格指数を、データベース105に接続された住宅価格指数発生器109によって自動的に生成することができる。一実施形態によれば、発生器109は、新たなデータが装置103で受け取られる毎に、新たな指数を生成するように促される。
現在の価格指数期間に対する新たな指数または推定値を連続して生成し、生成された価格指数/価格指数推定値を即座に流布させることによって、市場は、構成取引商品として住宅価格指数を有する金融派生商品の価格を更新するのに用いることができる、リアルタイムの住宅価格指数データを提供することができる。流布は、流布装置110によって行うことができる。装置110は、住宅価格指数データを受け取るシステムに接続された、いくつかの受信機111に接続されている。
1つの典型的な実施形態では、住宅価格指数は、毎月1回更新され、決定される。しかしながら、データは、仲介業者、または新たな取引が登録される別のあるデータシステムから連続して受け取られるので、住宅価格指数が達っしようとしている推定値を、既に月の初めから生成し始めることができる。次に、その推定値は、指数に基づいた住宅価格保険及び他の金融商品の価格情報のような、異なる用途に応じて市場へ流布される。
したがって、一実施形態によれば、毎月新たな指数値が計算される場合、最後のデータポイントのみが指数シリーズに付加される。新たなデータをシステムに入力する場合に、その新たなデータは、自動化された品質チェックを受けることができる。品質チェックは、入力されたデータが正しいことを確認する手順のステップを含むことができる。このステップは、そのデータの根底にある販売が、すべての当事者によって正当に署名されたことをチェックすることを含むことができる。
大部分の売買取引は、各指数値の計算の時点で利用可能であるが、以前の期間中のいくつかの売買取引が指数の計算時にはまだ記録されていないかもしれないことが、時々ある。通常、これは指数値に対して重要な影響を与えない。この情報が利用可能になったときに、それを次の月の計算に含ませることができるが、このことは、新たな月の値に影響を与えるのみであろう。
一実施形態によれば、指数が新たな期間で更新される場合、過去に生成した指数は変化させられない。過去に生成した指数を変わらないままにしておくために、基礎となる回帰モデルの仕様の変更または新たなデータの到着に関係なく、新たな期間中の指数は新たな期間とその直前の期間との間の価格指数の変化率と等価になるように構築されるだろう。このことは、仕様変更または新たなデータの到着が原因で過去に生成した指数に何が起こったとしても、価格指数の変化率の観点から、推定されたいかなる絶対指数値も、過去に生成した指数に対応するように調整される、ということを意味している。これによって履歴データは変わらないままであるが、データ及び式は、今後の指数値のために改良することができる。
一実施形態によれば、モジュール101は、売却された各々の家/アパートの位置データを受け取る。この位置データを用いて、都市の中心地を生成することができ、生成された中心地からの距離は、異なるパラメータを決定する回帰に用いることができる。
1つの典型的な実施形態では、都市内のすべてのアパート取引の位置は、都市中心地を生成するために用いられる。他の実施形態によれば、価格すなわち1つの居住区域当たりの価格が、都市中心地を決定するのに用いられる。
他の空間的パラメータも任意の適切な組み合わせで用いることができる。空間的パラメータは、二次市場、二次市場の中心地への距離、中心地からの方向、二次市場の中心地からの方向、教区、及び行政区画を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
一実施形態によれば、わずかな販売高を有する小さい都市または領域の価格指数を決定する場合、次の方法を用いることができる。市場の長期的変化がその都市/領域からの販売高を用いて決定される。しかしながら、通常、個々の単月にまたは3か月の期間にわたってさえ小都市では販売がほとんどないので、そのような短期の価格指数は、より大きな領域からのデータで補完される。より大きな領域は、近くの類似の都市、またはその都市と歴史的に密接な相関関係を示す都市でありえる。詳述すると、短期間に対する、この例では月ベースで1か月間に対する、信頼性のある統計量を提供するにはデータ量が少なすぎることが時々ある。他方では、そのような期間中の信頼性のあるデータを提供することへの願望または需要すらありえる。これは、信頼することができ、かつ、「真の」市場変動からの偏差を表す1つまたは2つの販売の結果ではない、指標変化を市場における異なる参加者が要求するという、住宅価格指数を生成する事例である。解決策は、住宅価格指数が生成されるべき小さな地域からのデータを、より大きな地域からのデータで補足することである。そして、より小さな地域と密接な相関関係を有すると予想される、またはそのより小さな地域と密接な相関関係を歴史的に有している1つの地域を表すのに、そのより大きな領域を選択することができる。
この手法のグラフを下に示している。
Figure 2012526318
この図は、ある期間にわたる小さな地方自治体(municipality)での価格指数、及び対応する郡(county)の価格指数をともに示している。小地域(この場合には地方自治体)の価格指数を生成する場合、最初に、平滑化された時系列が専用のコンピュータで、例えば移動平均値(sliding average value)として、自動的に生成される。その結果を下のグラフに示している。
Figure 2012526318
なお、価格動向は同一の基本的なパターンに従うが、変化量は異なることに留意されたい。次の段階で、小地域の価格変動は、より大きな地域の価格変動と組み合わせて用いられる。これを下のグラフに示している。
Figure 2012526318
組み合わされた指数値は、異なる方法によって、コンピュータで自動的に生成することができる。一実施形態によれば、組み合わされた指数値は、次式として生成することができる。
[1か月の郡指数(Index county 1 month)/12か月の郡指数(Index county 12 months)]*12か月の地方自治体指数(Index municipality 12 months)
この方法は、生成された価格指数が信頼できるように、1つの期間中にほとんどデータのない小地域の指数値を高精度で生成することを可能にする。他の実施形態によれば、完全な重みを与えることができないが、短期データをより小さな地域に用いることができ、次に、重みの残りの部分が、組み合わされた指数値のより大きな地域によって与えられる。上に挙げた例では、これは、下の組み合わされた指数値を生成するであろう
Figure 2012526318
一実施形態によれば、組み合わされた指数は、いくつかの都市に対して生成される。それらの都市は、通常、一国の大きな都市、領域、または、世界の特に興味のある任意の部分でありえる。その地域の都市は、特定の期間中の販売数に基づいて選択される。例えば、スウェーデンの20の都市に対する指数は、最多の販売数を有する20の都市を決定することによって生成することができる。次に、これらの20の都市に対する指数は、ここで説明している原理にしたがい、適切な重みを用いて生成される。次の期間において都市の1つがもはや十分な販売数を生成していない場合、その都市は、例えば最大の販売数を持つ20の都市だけが指数の部分となるように、他の都市と置き換えられる。
さらに、既に理解されるように、レバレッジ及び異常値の存在は、不動産価格指数の推定において問題を発生させうる。その問題を見つけて軽減するために、図2に関連して以下に説明するような試験手順及びモデル化を利用することができる。したがって、モデルは、異常値及び/または高いレバレッジを有すると判定された観測値を考慮及びモデル化して、観測値をモデル化するのに使用される。
図2は、上述のような指数を決定するのに用いられる基礎となるデータ中の異常値及び高いレバレッジを有する観測値を処理する際に行われる、いくつかのステップを示したフローチャートである。まず、ステップ201で、高いレバレッジを有する観測値が検出され、ある場合には削除される。例えば、1つまたは多くの判定基準が満たされた場合、その観測値は高いレバレッジを有する観測値であると判定することができる。1つの典型的な実施形態では、独立変数の観測値が平均値から所定の距離よりもさらに離れている場合、その観測値は高いレバレッジを有する観測値であると判定することができる。高いレバレッジを有する観測値を検出するために、いくつかの他の異なる方法が利用可能である。利用可能な方法は、例えば視覚調査であり、レバレッジ値を推定し、独立変数がすべて与えられた場合に、従属変数の期待値に対して観測値が有する影響力ある効果を算出する測定値を推定する。
なお、高いレバレッジを有する観測値は影響力がありえるが、それは必要条件ではないことに留意されたい。影響力のある観測値は、例えばクックの距離(Cook's distance)によって、検出することができる。それは、推定値に含まれた個々の観測値を有する期待値と有しない期待値との差の絶対値として測定される。一実施形態によれば、臨界値よりも大きなクックの距離を有する観測値は、推定値から除外される。利用することができる他の測度は、例えばウェルチの距離(Welsch distance)である。
次に、ステップ203で、大きな誤差を有する観測値の重みを下げるために、例えば観測された価格から予測された価格を引いた値として定義される、絶対誤差が推定される。1つの典型的な実施形態では、異常値と考えられる観測値は、他の観測値よりも低い重みを与えられる。誤差が大きな観測値として、異常値を定義することができる。重みを下げることは、例えばbiweight (bisquare)変換またはヒューバーの重み(Huber weight)で行うことができる。
それに引き続いて、ステップ205で、レバレッジ及び異常値を最もよく処理するモデルが、標本外予測テスト(out-of-sample prediction test)を用いて決定される。例えば、実際価格と比較された予測価格を比較する場合、最低の予測誤差を発生させるモデルが決定され、そのモデルは、異常値であると判定された及び/または高いレバレッジを発生させる観測値を処理するのに使用される。例えば最小の二乗平均平方根誤差を有するモデルを選択することができる。
実行の観点から、ステップ201及び203は、上述のような不動産ヘドニック価格指数を推定するプロセスにおいて、統計プログラムStata(ロバスト回帰)で実行することができる。ステップ201で、個々の観測値が予測価格(期待値)に実質的な影響を有するかどうかを調べるために、統計的尺度であるクックの距離を推定することができる。それは、推定値に含まれた個々の観測値を有する期待値と有しない期待値との差の絶対値として測定される。臨界値よりも大きなクックの距離を有する観測値は、推定値から除外される。臨界値は、調整された決定係数を最大にするグリッドサーチ(grid search)によって決定することができる。しかしながら、グリッドサーチは、Stataに含まれていない。ステップ203において、回帰パラメータは2つの異なる反復プロセス(Huberと双加重(biweighting))を用いることによって推定することができる。この方法は、高いレバレッジ及び異常値を有する観測値が処理される重み付き最小二乗(WLS:Weighted Least Square)法と見なすことができる。誤差が正規分布していない場合、WLS法はOLS法よりも効率的である。Stataでは実行されなかったステップ205は、好ましい推定プロセス(この場合、レバレッジ及び異常値を処理する)が決定される評価プロセスである。この検査手順では、観測値をすべて含む従来のOLS(通常の最小二乗(ordinary least square))モデルが、高いレバレッジを有する観測値を除外したOLSモデルと比較される。この除外は、一実施形態では、各独立変数の1番目のパーセンタイルと99番目の99パーセンタイルとに基づいており、1番目のパーセンタイルよりも低い値、または99番目のパーセンタイルよりも高い値を有する観測値は除外される。さらに、2つのOLSモデルが、標本外予測テストを用いて、上述のWLSモデルと比較される。最後の20パーセントの価格を予測するために、標本外予測テストは、観測値の最初の80パーセントを用いる。標本は、等しい確率を有する無作為標本である。この手順は10回行われたので、新たな標本は10回推定され、パラメータはすべて推定され、価格が予測された。一実施形態によれば、最小の二乗平均平方根誤差(RMSE:Root Mean Square Error)を有するモデルが推定方法として選択される。

Claims (27)

  1. 住宅価格指数の自動生成の方法であって、
    家またはアパートの販売に関する取引データを受け取る段階と、
    指定された期間に関し、前記受け取った取引データに基づいて、ヘドニック価格指数を生成する段階と、
    受け取った新たな取引データに基づいて現在の期間の価格指数の推定値を連続して決定する段階と、
    を有する方法。
  2. 前記決定された価格指数推定値がリアルタイムで流布される請求項1に記載の方法。
  3. 前記期間は1か月に対応し、前記決定された価格指数推定値は少なくとも毎日1回決定される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 受け取られたデータは、高いレバレッジ及び/または異常値を有すると判定された観測値を考慮してモデル化される、請求項1に記載の方法。
  5. 都市の住宅価格指数の自動生成の方法であって、
    家またはアパートの販売に関する取引データを受け取る段階と、
    指定された期間に関し、前記受け取った取引データに基づいて、ヘドニック価格指数を生成する段階と、
    前記ヘドニック価格指数の生成の1つのパラメータとして、都市の中心地への距離を含ませる段階と、
    を有する方法。
  6. 前記中心地は、取引に関する情報から決定される請求項5に記載の方法。
  7. 前記ヘドニック価格指数の生成において、次のパラメータ、すなわち二次市場、二次市場の中心地への距離、中心地からの方向、二次市場の中心地からの方向、教区、及び、行政区画の1つまたは多くが含まれている、請求項5または6に記載の方法。
  8. 前記ヘドニック価格指数を発生するために用いられるデータは、1つまたは2つ以上の隣接地域からのデータ、及び/または、より古いデータを含むように拡張することができる、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記データは、データの群が所定の数よりも少ない場合にのみ拡張される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記生成された価格指数の信頼区間が所定の値よりも大きい場合に、前記データの群は小さいと判定される、請求項9に記載の方法。
  11. 住宅価格指数の自動生成の方法であって、
    家またはアパートの販売に関する取引データを受け取る段階と、
    指定された期間に関し、前記受け取った取引データに基づいて、ヘドニック価格指数を生成する段階と、
    を有し、
    前記ヘドニック価格指数は移動窓回帰を用いて生成される、方法。
  12. 前記移動窓は、一定期間中に行われている取引に基づいて前記ヘドニック価格指数のパラメータ値を決定する前記一定期間にわたって移動する、請求項11に記載の方法。
  13. 前記一定期間は12か月であり、前記パラメータ値は毎月1回更新される、請求項12に記載の方法。
  14. 住宅価格指数の自動生成のコンピュータシステムであって、
    家またはアパートの販売に関する取引データを受け取る手段と、
    指定された期間に関し、前記受け取った取引データに基づいて、ヘドニック価格指数を生成する手段と、
    受け取った新たな取引データに基づいて現在の期間の価格指数の推定値を連続して決定する手段と、
    を有するシステム。
  15. 前記決定した価格指数推定値をリアルタイムで流布する手段をさらに有する、請求項14に記載のシステム。
  16. 前記期間は1か月に対応し、前記決定された価格指数推定値は少なくとも毎日1回決定される、請求項14または15に記載のシステム。
  17. 高いレバレッジ及び/または異常値を有すると判定された観測値を考慮して、受け取ったデータをモデル化する手段をさらに有する、請求項14に記載のシステム。
  18. 都市の住宅価格指数の自動生成のコンピュータシステムであって、
    家またはアパートの販売に関する取引データを受け取る手段と、
    指定された期間に関し、前記受け取った取引データに基づいて、ヘドニック価格指数を生成する手段と、
    前記ヘドニック価格指数の生成の1つのパラメータとして、都市の中心地への距離を含ませる手段と、
    を有するシステム。
  19. 前記取引に関する情報から中心地を決定する手段をさらに有する、請求項18に記載のシステム。
  20. 前記ヘドニック価格指数の生成において、次のパラメータ、すなわち二次市場、二次市場の中心地への距離、中心地からの方向、二次市場の中心地からの方向、教区、及び、行政区画の1つまたは多くが含まれている、請求項18または19に記載のシステム。
  21. 1つまたは2つ以上の隣接地域からの拡張されたデータ、及び/または、より古いデータを用いて前記ヘドニック価格指数を発生する手段をさらに有する、請求項乃至から20のいずれか1項に記載のシステム。
  22. データ群が所定の数よりも少ない場合にデータを拡張する手段をさらに有する、請求項20に記載のシステム。
  23. 前記システムは、前記生成された価格指数の信頼区間が所定の値よりも大きい場合に前記データ群を小さいと判定するように構成される、請求項22に記載のシステム。
  24. 住宅価格指数の自動生成のコンピュータシステムであって、
    家またはアパートの販売に関する取引データを受け取る手段と、
    指定された期間に関し、前記受け取った取引データに基づいて、移動窓回帰を用いてヘドニック価格指数を生成する手段と、
    を有するシステム。
  25. 前記システムは、一定期間にわたり移動窓を移動させるように構成され、さらに、前記一定時間中に行われている取引に基づいて前記ヘドニック価格指数のパラメータ値を決定するように構成されている、請求項24に記載のシステム。
  26. 前記一定期間は12か月であり、前記パラメータ値は毎月1回更新されるように構成されている、請求項25に記載のシステム。
  27. 1つの地域の住宅価格指数を生成する方法であって、
    第1の地域からの長期の開発に関する情報を、関連するより大きな地域または関連する地域群の短期の開発に関する情報と組み合わせるステップと、
    前記組み合わされた情報に基づいて、前記第1の地域の住宅価格指数の短期及び/または長期の開発を推定するステップと、
    を含む方法。
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