JP2004295534A - 不動産価値のリアルタイム評価システム - Google Patents
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Abstract
【課題】REIT証券価格から対象不動産の実態的な評価の変動をリアルタイム得る
【解決手段】REIT(J−REIT)の不動産証券の時価から当該銘柄の不動産証券時価総額を求め、既知のブラック・ショールズ式等を逆に用いて当該銘柄の原資産価格を算出し、この原資産価格に対する利益率等を介して当該銘柄の対象不動産の評価指数を作成し、この指数の変動をリアルタイム・インデックス5とすることにより不動産証券の時価から当該不動産の評価の変動をリアルタイムに知ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】REIT(J−REIT)の不動産証券の時価から当該銘柄の不動産証券時価総額を求め、既知のブラック・ショールズ式等を逆に用いて当該銘柄の原資産価格を算出し、この原資産価格に対する利益率等を介して当該銘柄の対象不動産の評価指数を作成し、この指数の変動をリアルタイム・インデックス5とすることにより不動産証券の時価から当該不動産の評価の変動をリアルタイムに知ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は不動産の証券化により取り扱われるようになった金融商品である不動産投資信託の価格変動情報から、投資用不動産市場全体に対する評価をリアルタイムに指数化するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今のオフィスビルや大規模店舗用ビル等の証券化に伴い、投資用不動産の取引市場も拡大傾向にある。このような投資用不動産の取引市場おいても投資パフォーマンスの測定、或いは投資意思の決定を行うために、株式市場に於けるTOPIXや日経平均株価に対応する指標が必要となる。このような不動産市場に関する指標によりマーケット分析、リスク・リターン分析、ポートフォリオ分析、他の金融資産との相関関係分析、収益還元法における割引率決定等が可能となるものと期待されている。
【0003】
現在日本国内において、不動産投資に関する指標は不動産の過去の収益性をインカムゲイン(賃料収入)とキャピタルゲイン(価格変動)の両面から総合的に評価し、総合収益率や投資指数として公表されている。例えばA社は対象不動産はオフィスビルとし、指標作成の資料として大都市57地点の公示地価及び路線価、建築着工統計、自社の算定賃料を用いている。
【0004】
B社は対象不動産はオフィスビル、指標作成の資料としてB社が選定した9エリアの公示地価、建築着工統計、算定賃料を用いている。C社は対象不動産はオフィスビル、指標作成の資料として13都市の73ゾーンの公示地価、想定建物、成約賃料モデルを用いている。さらにD社は対象不動産は高級賃貸住宅、指標作成の資料としてD社が選定した13都市の73ゾーンの公示地価、想定建物、成約賃料モデルを用いている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように各社は選定したそれぞれのデータから指標を作成してこれを公表している。しかしながら、現時点ではこれらの指標が有効に利用されているとは言いがたい状態である。先ず、指標を発表する時間的間隔については例えば、A社の指標の発表の間隔は3か月、つまり3か月毎に指標の差替えを行う。B社は1年、C社は3カ月、D社は6か月となっている。しかも、データの算定集計等に時間がかかるため、指標の発表は数カ月遅れとなる。
【0006】
つまり、指標の発行頻度が極めて低く、然も発表の時期も遅れるため、これらの指標だけでは不動産を取り巻く環境の変動を推測することが困難であり、従ってこれらの指標からでは投資パフォーマンスの測定、或いは投資意思の決定を行うことは極めて困難である。図5を用いて説明すると、上記各社で最も指標発行頻度の高いA社及びB社でも3か月であり、指数P1から指数P2までの間の3か月間はL3のように指数の変動を直線として想定する以外にない。しかしながら、実際には不動産を取り巻く環境は日々刻々変化しているのであるから、実際にはL1或いはL2に示すよう複雑な変化をしているものと推定され、このような低い頻度での指数の表示では高い信頼性を得ることはできない。
【0007】
また、指標(指数)を作成するデータの信頼性にも問題がある。例えば収益率の分母である不動産価格の評価が、土地では公示地価を、建物では統計データや会計上の減価償却率を使用している等、以前から市場価格と乖離しているとの指摘がなされている。また、分子の賃料も成約データではなく、統計処理、新規賃料のモデル化されたデータであるため、リスクが過少に評価されるなど、信頼性が低い。またデータサンプル数も少なく地域も限られているいるため、この点からも信頼性は低くならざるを得ない。
【0008】
更に評価に恣意性が入る恐れがある。賃料モデルや鑑定評価、建物想定、データの採用等に当たって厳格な基準を設けることは本来困難であり、このためこれらのデータの選定に恣意性が入ってしまう可能性が少なからずあり、結果として指数の信頼性を低下させることになる。
【0009】
更にまた、ポートフォリオや分散投資、金融商品化といった概念においては、先ず全体指標の動きを知り、この全体指標における相対位置としての価値付けをすることが理論的でありかつ重視されてきている。しかし、現在の投資インデックスや評価方法は実物不動産に関するデータの積み上げという考え方であり、誤差が大きい上、そもそも非論理的なものとなっている。
【0010】
以上のように、従来方式では指数の発行頻度が低く、発行遅れも大きい割りにはその作成にコストがかかる。即ち膨大なデータの処理を行う必要があり、このための多大なマンパワーを必要とし、この結果としてコスト高と指数発行の低頻度、発行時期の遅れという問題が発生する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点に鑑み構成されたものであって、株価のようにリアルタイムに発信されている不動産投資信託における不動産証券の価格から、総合的な投資用不動産市場の指数を算出し、かつこの指数の変化により投資用不動産市場全体の価値変動をリアルタイムに知得できるよう構成したことを特徴とする。
【0012】
即ち本発明は、株価のようにリアルタイムで表示される不動産投資信託における投資証券の価格(変動)を受信する手段と、この投資証券価格から投資証券の対象となっている不動産ポートフォリオの資産価値を算出する手段と、この資産価値を指数化する手段とにより、前記投資証券価値に対して総合的な不動産の指数をリアルタイムに作成することを特徴とする不動産のリアルタイムインデッスの作成システムである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、前述のとおり時々刻々表示される不動産投資証券の価格(取引価格)から不動産価値の変化をリアルタイムに捉えることを目的とするものであるため、先ず不動産投資信託のシステムを説明する。
【0014】
不動産投資信託(Real Estate Investment Trust/ REIT)とは、米国を起源とする金融商品である。即ち、投資主から資金を集めて例えば法人(投資法人)を設立し、この投資法人は不動産に投資することで投資主に配当を行う。投資は1口幾ら、例えば1口50万円等として行われる。このため投資法人の運用実績に応じて投資証券(以下「REIT証券」とする)の経済的価値が変動することになり、株式と同様売買の対象となる。
【0015】
このため投資証券売買のマーケットが形成され、株と同様REIT証券の価格は時々刻々変動することになり、この価格変動はインターネット等の通信手段を介してリアルタイムに表示され、投資家はこの価格データを投資の可否決定の重要なデータとして利用することが可能となる。
【0016】
ここで、例えばオフィスビルのREITである場合、我が国においては投資法人は通常10棟以上、或いは数十棟のオフィスビルにより不動産ポートフォリオを構成し、この不動産ポートフォリオを外部委託運用する形をとっている。従ってREIT証券の価格は、株式の価格と同様に運用実績を含めた投資法人の所有する不動産価値を反映したものと一応の理解が可能である。
【0017】
米国のREITに対応して、我が国においては2001年9月から日本版REIT、即ちJ−REITとして東京証券取引所に上場され、投資証券の価格が時々刻々値付けされ表示されている。先ず、米国のREITにおいては、投資法人自らが直接に運用することが多いため、投資運用法人の経営能力、人件費、設備費等その会社の現状が投資証券価格に色濃く反映し、前述のとおり中小不動産会社に対する株価とほぼ同様に会社の実勢を示す指標として機能している。
【0018】
一方J−REITの対象となっている投資法人は、REIT証券発行会社として形式的に会社を構成している。このため、REIT証券の価格変動においては投資運用法人としての経営内容自体の評価は余り反映されず、当該REIT証券価格には不動産ポートフォリオの資産価値そのものの評価が色濃く反映することになる。
【0019】
本発明はJ−REIT等のように投資対象不動産の資産価値が色濃く反映する投資REIT証券価格情報を用い、演算部にはブラック・ショールズ式等本来原資産価格からコールオプションを算出する演算手段が設けられ、この演算手段によりJ−REITの時価総額をコールオプションとして当該式に代入することによりこの式を逆に使い、J−REIT証券の時価総額から不動産ポートフォリオの原資産価格を求め、これを指標化することにより、投資用不動産市場全体の変動をリアルタイムに確認できるインデックスを作成するシステムである。
【0020】
【実施例】
図1は本発明の基本的構成を示す。
それぞれの投資法人の投資REIT証券の時価(以下「REIT証券時価」とする)1は時々刻々と変化しかつこのデータが発信されている。このREIT証券時価を受信し、受信したREIT証券時価によりこの投資法人のREIT証券時価総額を演算部2でブラック・ショールズ式等の既知の式に代入し、このブラック・ショールズ式等を逆算することにより原資産価格を算出する(符号3)。因みに、投資証券の発行口数が公表されているのでREIT証券時価総額はREIT証券時価に発行口数を乗じることにより求めることができる。
【0021】
ここで、REIT証券の価格変動について考察すると、株式同様世の中で一般的に知られた情報、例えば新たな税法の施行、金利、オフィス賃料の動向、投資法人の公式発表(当該法人の決算発表等)等の因子は瞬時にREIT証券時価に反映されると考えられる。
次にREIT資産の時価総額はREIT証券時価総額に負債時価総額を加えたものである。このため、資産は負債簿価に対してREIT証券時価に発行口数を乗じた値を加えれば求められるように考えられる。
【0022】
しかし、簿価はあくまでも会計上の固定的な数字であって市場が評価した負債価値ではない。例えば貸出金の担保とした不動産の評価額が変動することを考えれば、資産、資本等と共に負債価値も時々刻々と変動することが分かる。
【0023】
そこでREIT資産時価総額を原資産に、負債返済の満期、負債簿価を行使価格、REIT証券時価総額をコールオプションと考えると、既知のブラック・ショールズ(Black ・Sholes) 式(以下「B・S式」とする)、ボラティリティ関係式外の複数の式にこのREIT証券時価総額外のデータを代入(符号2)して計算することによりREIT証券時価を受信した時点での投資法人のポートフォリオ不動産の時価の原資産価格をリアルタイムに求めることができる。
【0024】
但し、特定の投資法人を考えた場合、オフィスビル等ポートフォリオを形成する個々の不動産の購入、売却が行われるこや演算対象のポートフォリオ価値は不動産市場のレベルとは開きがある事などにより、上記の原資産価格そのものでは、その資産価値の変動が判ってもこれをそのまま活用することは困難である。
【0025】
このため、この原資産価格から後述する実施例のように収益率等、ポートフォリオを形成する不動産の変更に連動しない数値(指数)を算出し(符号4)、この指数の変動を観察することにより不動産ポートフォリオ全体の価値の変動やその動向(トレンド)をみる(符号5)。この不動産価値の変動指数に基づいて、不動産投資やREIT証券投資の指標として利用する。
【0026】
図2は本発明の実施例を示す。
符号6A、6Bは各投資法人のうち東京証券取引所等に上場されているJ−REITのREIT証券時価のデータであって、このREIT証券価格は株式と同様取引状態に対応して値付けされ、時々刻々変化する。各社のREIT証券時価データは受信手段7において受信され、発行口数データ8を用いてREIT証券時価総額算出手段9において銘柄毎のREIT証券時価総額が算出される。因みに現時点でJ−REITとして上場されている投資法人は10社弱ある。
【0027】
以下符号6Aで示すα社のREIT証券時価を例に説明する。REIT証券時価総額算出手段9において算出されたα社のREIT証券時価総額をオプション価格とみなし、この数値等を用いて演算部10においてB・S式の逆算等によりα社の原資産価格を算出する(符号11)。また符号11´で示すように、B・S式等で算出可能な副次的なデータも取得可能である。
【0028】
前述のとおり不動産の購入、売却等によりポートフォリオの中身は変わり、かつ不動産市場と証券市場とのレベルの違いがあるため、原資産価格、不動産以外の資産から求めた不動産価格(インプライド価値)はα社の不動産ポートフォリオの市場価格を必ずしも示すものではない。従ってこの価格を指数化し、不動産ポートフォリオの変更や水準に影響されない指標を作成する。
その一例として収益率算出手段12において予想NOI(Net Oparating Incom / 純収益) をインプライド価値で除した収益率(符号13)で当該不動産ポートフォリオをみる。分子となる予想NOIはその時点において現に稼働中の不動産のものではなく、長期的・平均的な純収益(年次換算)であるため、例えばビルの買収が決定した時点でそのビルの予想NOIを反映させる。
【0029】
収益率は例えば6.0%、5.8%等と表示され、この数値の変動をみれば不動産評価の変動やトレンドをみることができる。但し、これらの数字ではその変動をやや掴みにくいので、指数算出手段14によりこの収益率に基づいたより分かりやすい指数を作成することが望ましい。例えば特定日時の収益率を100とし、収益率の変動を100を基準とした指数で表すようにすれば、不動産評価の変動をより容易に理解することができる。
【0030】
以上の指数を直接表示することより、或いは図4に示すように時系列的にグラフ化することにより不動産価値の変動を表示し、不動産の価値変動に対応したα社のリアルタイムのインデックス15Aを作成することが可能となる。
以上の説明において、α社という特定銘柄における不動産価値の変動について説明したが、評価対象となっているα社の不動産は例えば数十棟のオフィスビルディング等からなる不動産ポートフォリオを構成しているため、特定銘柄の不動産評価であっても、その評価は投資用不動産全体の動向にかなり近いものとなる。
【0031】
α社のREIT証券時価と同様、β社以下各社のREIT証券時価から上記のシステムで銘柄毎の不動産リアルタイム・インデックスを作成する。前述のように各銘柄の不動産リアルタイム・インデックス自体、かなり普遍性を持ったものであるが、これら銘柄毎の不動産リアルタイム・インデックスを加重平均手段16で加重平均してまとめれば、より総合的な誤差の少ない不動産リアルタイム・インデックス17を作成することが可能となる。これはJ−REIT等の集団投資スキームに投資されそうな(実際に投資が検討される必要はない)投資用不動産市場の総合インデックスとしての意味を持つことになる。なお上記加重平均は総合的なリアルタイム・インデックスの作成手段の一つであって、この方法に限定する趣旨ではない。
【0032】
REIT証券購入の意思決定、不動産物件の買い時の判断など、総合的不動産リアルタイム・インデックス17はそれ自体直接的に利用することができるが、これ以外に総合的不動産リアルタイム・インデックス17を用いて、逆に用途別、地域別等の特定の不動産の評価動向を推定することも可能となる。
【0033】
図3は特定の不動産の評価動向を推定するシステムの一例を示す。
符号22はサブインデックス作成用のデータを記憶しているデータベースである。このサブインデックス作成用データベースには、地域、用途(例えばオフィス、住宅、ショッピングセンター等)、更には築年等に対応して総合不動産リアルタイム・インデックスを補正する補正係数が予め設定記憶されている。
【0034】
例えば、地域に関しては不動産物件の地域がA地域100、B地域96、C地域103、D地域98等、過去の取引資料、地域・用途毎の資料データ或いは地名の人気度等から補正用係数を設定する(当然この係数はニーズに対応して変化することになる)。同様に不動産物件の種類に対応してオフィスビル100、住居用マンション110、ショッピングセンター95等のようにして補正用係数を作成する。或いは符号22´で示すように多変量解析による要因分析によってサブインデックスを作成することも可能である。
【0035】
上記の係数や解析を用いて、特定不動産価格算出手段18により、総合不動産リアルタイム・インデックス17から、符号19a乃至19cとして示す地域、種類、築年等を特定した不動産に関するインデックスであるサブ・インデックスを作成することができる。
【0036】
更に、細分化インデックス作成手段20において、前記各サブ・インデックス19a等から、或いは前記サブインデックス作成用データベース22における複数種類の係数を重畳的に使用することにより、細分化されたサブ・インデックスを作成することもできる。例えば、符号21で示すように、A区域に於ける築10年のオフィスビルの指数(の変動)等の細分化されたサブ・インデックスを作成することも可能である。
【0037】
上記の総合不動産リアルタイム・インデックス、特定不動産のリアルタイム・インデックス或いは細分不動産リアルタイム・インデックス等をいろいろな目的に利用することできる。以下利用例を示す。
【0038】
(1)図5に示すように従来は3か月以上の長期間をL3の如く線形補完で直線的に評価するしかなかったが、不動産評価を月、週はもとより日にち、前場(午前)・後場(午後)、従来に比較して極めて短期の時点修正率で精密に求めることができる。このため、先ず市場全体の動きを知り、その市場の動きに対する相対位置と変動リスクで不動産の評価が可能となり実際の不動産評価の変動に対応したL1或いはL2で示されるような評価変動を求めることができる。(2)不動産市場の先行指標として不動産価格の変動の予測に利用する。
(3)リスク・リターンの分析によって収益還元法(DCF法、直接還元法等)における割引率を求めることができる。
(4)ポートフォリオ分析、不動産投資パフォーマンス分析に利用してこれら分析の精度を向上させる。
(5)不動産投資市場とREIT市場の相関関係を測ることが可能となるので両市場における投資意思決定の支援データとする。
(6)他の金融資産との比較分析ができるので、不動産市場と他の金融市場との相対的評価が可能となる。
(7)当該リアルタイム・インデックス自体を不動産デリバティブとして商品化したり、デリバティブ契約の指標とする。例えば指数先物取引、不動産スワップ、オプション契約の指標とする等。
(8)継続賃料の改定基準、買戻し契約、先渡し契約等、不動産契約の指標とする。
(9)固定資産税や地価公示等バランスが重視される公的評価の全体指標として使用する。
(10)市街地再開発事業、不動産開発事業、マンション開発事業等の事業計画の指標、修正、ヘッジ等の指標とする。
(11)株式市場のインデックスと本願の不動産市場のインデックスを合わせることにより、より大規模な投資資産全体のインデックス(市場ポートフォリオ)を作成することができ、株式をはじめとする資産評価体系をより明瞭化させる。
(12)倒産確率、負債時価、資産ボラティリティ等の副次的なデータも同時に得られ、投資意思決定や分析の補完資料として利用する等。
【0039】
【発明の効果】
以上、本発明を各実施例により具体的に説明したように、本発明では証券化された不動産を取り扱う投資法人の時々刻々変わるREIT証券の時価に基づき不動産の評価の変動を自動的にリアルタイムに得ることが可能となり、この結果従来方法では全く不明であった、月、週、日にち、場合によっては時間等の極めて短時間の時点修正率で不動産評価の変動を知ることが可能となる。
【0040】
従来はインデックス作成において、時間のみでなく各種データの取得費用、人件費等多大のコストがかかっていたが、本発明では時々刻々表示されるREIT時価を本システムで自動的に加工するすることにより極めて低コストでインデックスの作成が可能となる。
【0041】
また、従来は資料モデルや鑑定評価、想定建物あるいは、データの選択方法等、不動産評価の基礎となるデータとして恣意性を排除することが困難なデータを使用せざるを得なかったが、本願発明ではREIT証券の時価という多量の取引が行われる市場において値付けされた客観性の高いデータを加工して評価を行うため、不動産評価の信頼性を大幅に高めることができる。
【0042】
従来、それぞれ特性を有する実物不動産の面から不動産或いは市場全体を評価しているため、不動産は価値基準が明瞭でない特殊な資産とされていたが、本発明により不動産市場全体からの統一的かつ理論的な価値付けをすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的構成を示す不動産のリアルタイム評価システムのブロック図である。
【図2】本発明の実施例を示す不動産のリアルタイム評価システムのブロック図である。
【図3】図2に示すシステムに基づいて構成された実施例を示す不動産のリアルタイム評価システムのブロック図である。
【図4】不動産のリアルタイムインデックスとしての表示例を示す線図である。
【図5】不動産評価の変動を示す線図である。
【符号の説明】
1 REIT価格
6A、6B 銘柄毎のREIT証券時価
7 受信手段
8 REIT証券時価総額算出手段
10 演算部
12 収益率算出手段
14 指数算出手段
15A、15B 銘柄毎の不動産リアルタイム・インデックス
16 加重平均手段
17 総合的不動産リアルタイム・インデックス
18 特定不動産指数算出手段
19a、19B、19c 個別の不動産指数
20 細分インデックス算出手段
21 細分インデックス
【発明の属する技術分野】
本発明は不動産の証券化により取り扱われるようになった金融商品である不動産投資信託の価格変動情報から、投資用不動産市場全体に対する評価をリアルタイムに指数化するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今のオフィスビルや大規模店舗用ビル等の証券化に伴い、投資用不動産の取引市場も拡大傾向にある。このような投資用不動産の取引市場おいても投資パフォーマンスの測定、或いは投資意思の決定を行うために、株式市場に於けるTOPIXや日経平均株価に対応する指標が必要となる。このような不動産市場に関する指標によりマーケット分析、リスク・リターン分析、ポートフォリオ分析、他の金融資産との相関関係分析、収益還元法における割引率決定等が可能となるものと期待されている。
【0003】
現在日本国内において、不動産投資に関する指標は不動産の過去の収益性をインカムゲイン(賃料収入)とキャピタルゲイン(価格変動)の両面から総合的に評価し、総合収益率や投資指数として公表されている。例えばA社は対象不動産はオフィスビルとし、指標作成の資料として大都市57地点の公示地価及び路線価、建築着工統計、自社の算定賃料を用いている。
【0004】
B社は対象不動産はオフィスビル、指標作成の資料としてB社が選定した9エリアの公示地価、建築着工統計、算定賃料を用いている。C社は対象不動産はオフィスビル、指標作成の資料として13都市の73ゾーンの公示地価、想定建物、成約賃料モデルを用いている。さらにD社は対象不動産は高級賃貸住宅、指標作成の資料としてD社が選定した13都市の73ゾーンの公示地価、想定建物、成約賃料モデルを用いている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように各社は選定したそれぞれのデータから指標を作成してこれを公表している。しかしながら、現時点ではこれらの指標が有効に利用されているとは言いがたい状態である。先ず、指標を発表する時間的間隔については例えば、A社の指標の発表の間隔は3か月、つまり3か月毎に指標の差替えを行う。B社は1年、C社は3カ月、D社は6か月となっている。しかも、データの算定集計等に時間がかかるため、指標の発表は数カ月遅れとなる。
【0006】
つまり、指標の発行頻度が極めて低く、然も発表の時期も遅れるため、これらの指標だけでは不動産を取り巻く環境の変動を推測することが困難であり、従ってこれらの指標からでは投資パフォーマンスの測定、或いは投資意思の決定を行うことは極めて困難である。図5を用いて説明すると、上記各社で最も指標発行頻度の高いA社及びB社でも3か月であり、指数P1から指数P2までの間の3か月間はL3のように指数の変動を直線として想定する以外にない。しかしながら、実際には不動産を取り巻く環境は日々刻々変化しているのであるから、実際にはL1或いはL2に示すよう複雑な変化をしているものと推定され、このような低い頻度での指数の表示では高い信頼性を得ることはできない。
【0007】
また、指標(指数)を作成するデータの信頼性にも問題がある。例えば収益率の分母である不動産価格の評価が、土地では公示地価を、建物では統計データや会計上の減価償却率を使用している等、以前から市場価格と乖離しているとの指摘がなされている。また、分子の賃料も成約データではなく、統計処理、新規賃料のモデル化されたデータであるため、リスクが過少に評価されるなど、信頼性が低い。またデータサンプル数も少なく地域も限られているいるため、この点からも信頼性は低くならざるを得ない。
【0008】
更に評価に恣意性が入る恐れがある。賃料モデルや鑑定評価、建物想定、データの採用等に当たって厳格な基準を設けることは本来困難であり、このためこれらのデータの選定に恣意性が入ってしまう可能性が少なからずあり、結果として指数の信頼性を低下させることになる。
【0009】
更にまた、ポートフォリオや分散投資、金融商品化といった概念においては、先ず全体指標の動きを知り、この全体指標における相対位置としての価値付けをすることが理論的でありかつ重視されてきている。しかし、現在の投資インデックスや評価方法は実物不動産に関するデータの積み上げという考え方であり、誤差が大きい上、そもそも非論理的なものとなっている。
【0010】
以上のように、従来方式では指数の発行頻度が低く、発行遅れも大きい割りにはその作成にコストがかかる。即ち膨大なデータの処理を行う必要があり、このための多大なマンパワーを必要とし、この結果としてコスト高と指数発行の低頻度、発行時期の遅れという問題が発生する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点に鑑み構成されたものであって、株価のようにリアルタイムに発信されている不動産投資信託における不動産証券の価格から、総合的な投資用不動産市場の指数を算出し、かつこの指数の変化により投資用不動産市場全体の価値変動をリアルタイムに知得できるよう構成したことを特徴とする。
【0012】
即ち本発明は、株価のようにリアルタイムで表示される不動産投資信託における投資証券の価格(変動)を受信する手段と、この投資証券価格から投資証券の対象となっている不動産ポートフォリオの資産価値を算出する手段と、この資産価値を指数化する手段とにより、前記投資証券価値に対して総合的な不動産の指数をリアルタイムに作成することを特徴とする不動産のリアルタイムインデッスの作成システムである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、前述のとおり時々刻々表示される不動産投資証券の価格(取引価格)から不動産価値の変化をリアルタイムに捉えることを目的とするものであるため、先ず不動産投資信託のシステムを説明する。
【0014】
不動産投資信託(Real Estate Investment Trust/ REIT)とは、米国を起源とする金融商品である。即ち、投資主から資金を集めて例えば法人(投資法人)を設立し、この投資法人は不動産に投資することで投資主に配当を行う。投資は1口幾ら、例えば1口50万円等として行われる。このため投資法人の運用実績に応じて投資証券(以下「REIT証券」とする)の経済的価値が変動することになり、株式と同様売買の対象となる。
【0015】
このため投資証券売買のマーケットが形成され、株と同様REIT証券の価格は時々刻々変動することになり、この価格変動はインターネット等の通信手段を介してリアルタイムに表示され、投資家はこの価格データを投資の可否決定の重要なデータとして利用することが可能となる。
【0016】
ここで、例えばオフィスビルのREITである場合、我が国においては投資法人は通常10棟以上、或いは数十棟のオフィスビルにより不動産ポートフォリオを構成し、この不動産ポートフォリオを外部委託運用する形をとっている。従ってREIT証券の価格は、株式の価格と同様に運用実績を含めた投資法人の所有する不動産価値を反映したものと一応の理解が可能である。
【0017】
米国のREITに対応して、我が国においては2001年9月から日本版REIT、即ちJ−REITとして東京証券取引所に上場され、投資証券の価格が時々刻々値付けされ表示されている。先ず、米国のREITにおいては、投資法人自らが直接に運用することが多いため、投資運用法人の経営能力、人件費、設備費等その会社の現状が投資証券価格に色濃く反映し、前述のとおり中小不動産会社に対する株価とほぼ同様に会社の実勢を示す指標として機能している。
【0018】
一方J−REITの対象となっている投資法人は、REIT証券発行会社として形式的に会社を構成している。このため、REIT証券の価格変動においては投資運用法人としての経営内容自体の評価は余り反映されず、当該REIT証券価格には不動産ポートフォリオの資産価値そのものの評価が色濃く反映することになる。
【0019】
本発明はJ−REIT等のように投資対象不動産の資産価値が色濃く反映する投資REIT証券価格情報を用い、演算部にはブラック・ショールズ式等本来原資産価格からコールオプションを算出する演算手段が設けられ、この演算手段によりJ−REITの時価総額をコールオプションとして当該式に代入することによりこの式を逆に使い、J−REIT証券の時価総額から不動産ポートフォリオの原資産価格を求め、これを指標化することにより、投資用不動産市場全体の変動をリアルタイムに確認できるインデックスを作成するシステムである。
【0020】
【実施例】
図1は本発明の基本的構成を示す。
それぞれの投資法人の投資REIT証券の時価(以下「REIT証券時価」とする)1は時々刻々と変化しかつこのデータが発信されている。このREIT証券時価を受信し、受信したREIT証券時価によりこの投資法人のREIT証券時価総額を演算部2でブラック・ショールズ式等の既知の式に代入し、このブラック・ショールズ式等を逆算することにより原資産価格を算出する(符号3)。因みに、投資証券の発行口数が公表されているのでREIT証券時価総額はREIT証券時価に発行口数を乗じることにより求めることができる。
【0021】
ここで、REIT証券の価格変動について考察すると、株式同様世の中で一般的に知られた情報、例えば新たな税法の施行、金利、オフィス賃料の動向、投資法人の公式発表(当該法人の決算発表等)等の因子は瞬時にREIT証券時価に反映されると考えられる。
次にREIT資産の時価総額はREIT証券時価総額に負債時価総額を加えたものである。このため、資産は負債簿価に対してREIT証券時価に発行口数を乗じた値を加えれば求められるように考えられる。
【0022】
しかし、簿価はあくまでも会計上の固定的な数字であって市場が評価した負債価値ではない。例えば貸出金の担保とした不動産の評価額が変動することを考えれば、資産、資本等と共に負債価値も時々刻々と変動することが分かる。
【0023】
そこでREIT資産時価総額を原資産に、負債返済の満期、負債簿価を行使価格、REIT証券時価総額をコールオプションと考えると、既知のブラック・ショールズ(Black ・Sholes) 式(以下「B・S式」とする)、ボラティリティ関係式外の複数の式にこのREIT証券時価総額外のデータを代入(符号2)して計算することによりREIT証券時価を受信した時点での投資法人のポートフォリオ不動産の時価の原資産価格をリアルタイムに求めることができる。
【0024】
但し、特定の投資法人を考えた場合、オフィスビル等ポートフォリオを形成する個々の不動産の購入、売却が行われるこや演算対象のポートフォリオ価値は不動産市場のレベルとは開きがある事などにより、上記の原資産価格そのものでは、その資産価値の変動が判ってもこれをそのまま活用することは困難である。
【0025】
このため、この原資産価格から後述する実施例のように収益率等、ポートフォリオを形成する不動産の変更に連動しない数値(指数)を算出し(符号4)、この指数の変動を観察することにより不動産ポートフォリオ全体の価値の変動やその動向(トレンド)をみる(符号5)。この不動産価値の変動指数に基づいて、不動産投資やREIT証券投資の指標として利用する。
【0026】
図2は本発明の実施例を示す。
符号6A、6Bは各投資法人のうち東京証券取引所等に上場されているJ−REITのREIT証券時価のデータであって、このREIT証券価格は株式と同様取引状態に対応して値付けされ、時々刻々変化する。各社のREIT証券時価データは受信手段7において受信され、発行口数データ8を用いてREIT証券時価総額算出手段9において銘柄毎のREIT証券時価総額が算出される。因みに現時点でJ−REITとして上場されている投資法人は10社弱ある。
【0027】
以下符号6Aで示すα社のREIT証券時価を例に説明する。REIT証券時価総額算出手段9において算出されたα社のREIT証券時価総額をオプション価格とみなし、この数値等を用いて演算部10においてB・S式の逆算等によりα社の原資産価格を算出する(符号11)。また符号11´で示すように、B・S式等で算出可能な副次的なデータも取得可能である。
【0028】
前述のとおり不動産の購入、売却等によりポートフォリオの中身は変わり、かつ不動産市場と証券市場とのレベルの違いがあるため、原資産価格、不動産以外の資産から求めた不動産価格(インプライド価値)はα社の不動産ポートフォリオの市場価格を必ずしも示すものではない。従ってこの価格を指数化し、不動産ポートフォリオの変更や水準に影響されない指標を作成する。
その一例として収益率算出手段12において予想NOI(Net Oparating Incom / 純収益) をインプライド価値で除した収益率(符号13)で当該不動産ポートフォリオをみる。分子となる予想NOIはその時点において現に稼働中の不動産のものではなく、長期的・平均的な純収益(年次換算)であるため、例えばビルの買収が決定した時点でそのビルの予想NOIを反映させる。
【0029】
収益率は例えば6.0%、5.8%等と表示され、この数値の変動をみれば不動産評価の変動やトレンドをみることができる。但し、これらの数字ではその変動をやや掴みにくいので、指数算出手段14によりこの収益率に基づいたより分かりやすい指数を作成することが望ましい。例えば特定日時の収益率を100とし、収益率の変動を100を基準とした指数で表すようにすれば、不動産評価の変動をより容易に理解することができる。
【0030】
以上の指数を直接表示することより、或いは図4に示すように時系列的にグラフ化することにより不動産価値の変動を表示し、不動産の価値変動に対応したα社のリアルタイムのインデックス15Aを作成することが可能となる。
以上の説明において、α社という特定銘柄における不動産価値の変動について説明したが、評価対象となっているα社の不動産は例えば数十棟のオフィスビルディング等からなる不動産ポートフォリオを構成しているため、特定銘柄の不動産評価であっても、その評価は投資用不動産全体の動向にかなり近いものとなる。
【0031】
α社のREIT証券時価と同様、β社以下各社のREIT証券時価から上記のシステムで銘柄毎の不動産リアルタイム・インデックスを作成する。前述のように各銘柄の不動産リアルタイム・インデックス自体、かなり普遍性を持ったものであるが、これら銘柄毎の不動産リアルタイム・インデックスを加重平均手段16で加重平均してまとめれば、より総合的な誤差の少ない不動産リアルタイム・インデックス17を作成することが可能となる。これはJ−REIT等の集団投資スキームに投資されそうな(実際に投資が検討される必要はない)投資用不動産市場の総合インデックスとしての意味を持つことになる。なお上記加重平均は総合的なリアルタイム・インデックスの作成手段の一つであって、この方法に限定する趣旨ではない。
【0032】
REIT証券購入の意思決定、不動産物件の買い時の判断など、総合的不動産リアルタイム・インデックス17はそれ自体直接的に利用することができるが、これ以外に総合的不動産リアルタイム・インデックス17を用いて、逆に用途別、地域別等の特定の不動産の評価動向を推定することも可能となる。
【0033】
図3は特定の不動産の評価動向を推定するシステムの一例を示す。
符号22はサブインデックス作成用のデータを記憶しているデータベースである。このサブインデックス作成用データベースには、地域、用途(例えばオフィス、住宅、ショッピングセンター等)、更には築年等に対応して総合不動産リアルタイム・インデックスを補正する補正係数が予め設定記憶されている。
【0034】
例えば、地域に関しては不動産物件の地域がA地域100、B地域96、C地域103、D地域98等、過去の取引資料、地域・用途毎の資料データ或いは地名の人気度等から補正用係数を設定する(当然この係数はニーズに対応して変化することになる)。同様に不動産物件の種類に対応してオフィスビル100、住居用マンション110、ショッピングセンター95等のようにして補正用係数を作成する。或いは符号22´で示すように多変量解析による要因分析によってサブインデックスを作成することも可能である。
【0035】
上記の係数や解析を用いて、特定不動産価格算出手段18により、総合不動産リアルタイム・インデックス17から、符号19a乃至19cとして示す地域、種類、築年等を特定した不動産に関するインデックスであるサブ・インデックスを作成することができる。
【0036】
更に、細分化インデックス作成手段20において、前記各サブ・インデックス19a等から、或いは前記サブインデックス作成用データベース22における複数種類の係数を重畳的に使用することにより、細分化されたサブ・インデックスを作成することもできる。例えば、符号21で示すように、A区域に於ける築10年のオフィスビルの指数(の変動)等の細分化されたサブ・インデックスを作成することも可能である。
【0037】
上記の総合不動産リアルタイム・インデックス、特定不動産のリアルタイム・インデックス或いは細分不動産リアルタイム・インデックス等をいろいろな目的に利用することできる。以下利用例を示す。
【0038】
(1)図5に示すように従来は3か月以上の長期間をL3の如く線形補完で直線的に評価するしかなかったが、不動産評価を月、週はもとより日にち、前場(午前)・後場(午後)、従来に比較して極めて短期の時点修正率で精密に求めることができる。このため、先ず市場全体の動きを知り、その市場の動きに対する相対位置と変動リスクで不動産の評価が可能となり実際の不動産評価の変動に対応したL1或いはL2で示されるような評価変動を求めることができる。(2)不動産市場の先行指標として不動産価格の変動の予測に利用する。
(3)リスク・リターンの分析によって収益還元法(DCF法、直接還元法等)における割引率を求めることができる。
(4)ポートフォリオ分析、不動産投資パフォーマンス分析に利用してこれら分析の精度を向上させる。
(5)不動産投資市場とREIT市場の相関関係を測ることが可能となるので両市場における投資意思決定の支援データとする。
(6)他の金融資産との比較分析ができるので、不動産市場と他の金融市場との相対的評価が可能となる。
(7)当該リアルタイム・インデックス自体を不動産デリバティブとして商品化したり、デリバティブ契約の指標とする。例えば指数先物取引、不動産スワップ、オプション契約の指標とする等。
(8)継続賃料の改定基準、買戻し契約、先渡し契約等、不動産契約の指標とする。
(9)固定資産税や地価公示等バランスが重視される公的評価の全体指標として使用する。
(10)市街地再開発事業、不動産開発事業、マンション開発事業等の事業計画の指標、修正、ヘッジ等の指標とする。
(11)株式市場のインデックスと本願の不動産市場のインデックスを合わせることにより、より大規模な投資資産全体のインデックス(市場ポートフォリオ)を作成することができ、株式をはじめとする資産評価体系をより明瞭化させる。
(12)倒産確率、負債時価、資産ボラティリティ等の副次的なデータも同時に得られ、投資意思決定や分析の補完資料として利用する等。
【0039】
【発明の効果】
以上、本発明を各実施例により具体的に説明したように、本発明では証券化された不動産を取り扱う投資法人の時々刻々変わるREIT証券の時価に基づき不動産の評価の変動を自動的にリアルタイムに得ることが可能となり、この結果従来方法では全く不明であった、月、週、日にち、場合によっては時間等の極めて短時間の時点修正率で不動産評価の変動を知ることが可能となる。
【0040】
従来はインデックス作成において、時間のみでなく各種データの取得費用、人件費等多大のコストがかかっていたが、本発明では時々刻々表示されるREIT時価を本システムで自動的に加工するすることにより極めて低コストでインデックスの作成が可能となる。
【0041】
また、従来は資料モデルや鑑定評価、想定建物あるいは、データの選択方法等、不動産評価の基礎となるデータとして恣意性を排除することが困難なデータを使用せざるを得なかったが、本願発明ではREIT証券の時価という多量の取引が行われる市場において値付けされた客観性の高いデータを加工して評価を行うため、不動産評価の信頼性を大幅に高めることができる。
【0042】
従来、それぞれ特性を有する実物不動産の面から不動産或いは市場全体を評価しているため、不動産は価値基準が明瞭でない特殊な資産とされていたが、本発明により不動産市場全体からの統一的かつ理論的な価値付けをすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的構成を示す不動産のリアルタイム評価システムのブロック図である。
【図2】本発明の実施例を示す不動産のリアルタイム評価システムのブロック図である。
【図3】図2に示すシステムに基づいて構成された実施例を示す不動産のリアルタイム評価システムのブロック図である。
【図4】不動産のリアルタイムインデックスとしての表示例を示す線図である。
【図5】不動産評価の変動を示す線図である。
【符号の説明】
1 REIT価格
6A、6B 銘柄毎のREIT証券時価
7 受信手段
8 REIT証券時価総額算出手段
10 演算部
12 収益率算出手段
14 指数算出手段
15A、15B 銘柄毎の不動産リアルタイム・インデックス
16 加重平均手段
17 総合的不動産リアルタイム・インデックス
18 特定不動産指数算出手段
19a、19B、19c 個別の不動産指数
20 細分インデックス算出手段
21 細分インデックス
Claims (5)
- 不動産証券の時価データを用いて投資用不動産価値をリアルタイムに評価するシステムであって、特定銘柄の不動産証券の時価データから当該特定銘柄の不動産証券の対象である複数の不動産に対する評価指数を算出し、当該特定銘柄の不動産の評価指数を単独で、或いは各銘柄から総合的な不動産評価指数を算出するよう構成したことを特徴とする不動産価値のリアルタイム評価システム。
- 不動産証券の時価データを用いて不動産をリアルタイムに評価するシステムであって、各銘柄の不動産証券の時価を受信する手段と、受信した各銘柄の不動産証券の時価総額を算出する手段と、この時価総額から当該銘柄の不動産の不動産価格を算出する手段と、算出した不動産価格から当該不動産の収益率を算出する手段と、収益率を指数に変換する手段とを有し、この指数の変動状態を不動産のリアルタイム・インデックスとして表示するよう構成したことを特徴とする不動産価値のリアルタイム評価システム。
- 各銘柄の不動産リアルタイム・インデックスを加重平均又は総合的に再計算する手段が設けられ、複数の銘柄の不動産リアルタイム・インデックスを加重平均等でまとめることにより総合的な不動産リアルタイム・インデックスを作成するよう構成したことを特徴とする請求項2記載の不動産価値のリアルタイム評価システム。
- 地域毎の補正用係数、オフィスビルや住居用マンション等の物件の種類毎の補正用係数等のサブインデックス作成用のデータが格納されたサブインデックス作成用データベース又は多変量解析を行う処理部、及び特定不動産指数算出部が設けられ、特定不動産指数算出部において、これらサブインデックス作成用のデータ等を用いて前記総合的な不動産リアルタイム・インデックスを、地域、不動産の種類等目的に応じたサブインデックスに加工するよう構成したことを特徴とする請求項3記載の不動産価値のリアルタイム評価システム。
- 細分インデックス算出手段が設けられ、前記補正用係数等を重畳的に用いることにより特定区域の特定目的のビル等、対象不動産をより具体的に特定した細分不動産リアルタイム・インデックスを作成するよう構成したことを特徴とする請求項4記載の不動産価値のリアルタイム評価システム。
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