JP6254233B1 - 不動産投資信託に係る収益指数の算出方法及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】投資用不動産の収益性を表す新たな指標を提供する。【解決手段】コンピュータが、物件情報と増減床情報を基に、物件の決算期の延べ賃貸可能面積を算出し、決算期における収入を延べ賃貸可能面積で除算して、日ごとの単位収入を算出し、決算期に含まれる日のうち着目する日(当日)における物件の賃貸可能面積とその前日における物件の賃貸可能面積とを比較し、値の小さい方を前日に共通する賃貸可能面積として算出し、前日に共通する賃貸可能面積に当日の単位収入を乗算して得た当日の収入を、該共通する賃貸可能面積に前日の単位収入を乗算して得た前日の収入で除算して前日比騰落率を算出し、日ごとの前日比騰落率を所定の期間に含まれる最初の日から順次累乗することで、物件の所定の期間に含まれる各日の不動産投資信託に係る収益指数を算出する。【選択図】図1

Description

本発明は、不動産投資信託に係る収益指数の算出方法及びプログラムに関する。
近年、投資家から集めた資金で、商業施設、オフィスビル、物流施設、及び集合住宅などの不動産を購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する不動産投資信託(REIT)が注目されている。日本版の不動産投資信託は、一般的にJ−REITと呼ばれ、その投資証券は、証券取引所に上場され、証券会社を通じて日々の価格(投資口価格)で売買されている。
REITの投資証券が上場株と同様に売買の対象となることから、投資家は投資の意思決定を行う際に参考にする何らかの指標を必要としている。このような指標の例として次の指標が一般的に知られている。「東証REIT指数」(登録商標)は、東京証券取引所に上場している不動産投信信託の全銘柄を対象とした時価総額加重型の指数であり、その算出方法は、基準時を平成15年3月31日(終値)に置き、その日の時価総額を1000として、その後の時価総額を指数化したものである。「修正PBR」は、投資証券が割安又は割高にあるかを判断する指標であり、通常のPBRを算出する際の純資産額(簿価)に、含み損益を加えて修正した純資産額(NAV:Net Asset Value)により算出される。また、「FFO倍率」は、投資口価格が1口当たりFFO(Funds From Operation:不動産売却損益を除いた純利益に減価償却費を加算した金額)の何倍まで買われているかを見る指標である。
株価のようにリアルタイムで表示される不動産投資信託における投資証券の価格を元に、投資証券の対象となっている不動産ポートフォリオの資産価値を指数化するシステムも知られている(特許文献1)。
特開2004−295534号公報
投資用不動産(物件)ごとや特定の地域ごと等にその賃料収入がマーケットサイクルの中でどのように変動しているかを分析したい場合に、一般に公開されている不動産物件の募集賃料データは、募集に係る空室部分の希望賃料であって、必ずしもその物件の実際の賃料収入を表しているものではない。また、特許文献1に記載のシステムでは投資証券の投資口価格を基に指標化するものであるため、その指標は、投資用不動産の賃料収入の変動を直接反映したものではない。
ARES(登録商標)J-REIT Property Database(https://jreit-pdb.ares.or.jp/pdb/)のサイトには、上場しているJ−REITが保有している物件情報のデータベースが公開されている。そこで、限定されないが、この保有物件ごとや特定の地域ごと等の運営実績のデータを活用して、投資用不動産の賃料収入の指標を求めることが考えられる。
一般に個々の投資用不動産においては、期中における「(追加)取得」や「(部分)売却」が発生することがある。そのため、簡便かつ正確に不動産物件の賃料収入の変動を把握しようとすると、長期にわたって床面積(賃貸可能面積)の変動が無く、且つ、不動産投資法人に応じた不動産投資信託の決算日のばらつきの影響を排除するために、個々の不動産投資法人に継続して保有されている物件のみを対象にして分析せざるを得ない。
例えば、2005年9月から2015年9月までにJ−REITが都心5区で継続して保有されているオフィスビルの賃料収入の推移を調べると、床面積の変動が無く且つ個々の不動産投資法人に継続して保有されている物件に該当するサンプル数は43棟しか存在しない。そのため、物件ごとや、オフィスや賃貸住宅といった用途ごと、特定の地域ごと、その他一定の条件で切り分けたクラスターによる賃料収入の変動の分析を可能とするためには、物件のサンプル数が不足するという問題がある。
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、投資用不動産の収益性を表す新たな指標(不動産投資信託に係る収益指数)を提案することを目的とする。
本発明には、下記の態様[1]〜[8]が含まれる。
[1]
コンピュータが、
不動産投資信託用の物件に関する情報を含む物件情報と前記物件の賃貸可能面積の増減に関する情報を含む増減床情報を基に、前記物件の決算期の「延べ賃貸可能面積」を算出するステップと、
前記物件の前記決算期における収入を前記延べ賃貸可能面積で除算することにより、前記物件の前記決算期に含まれる日ごとの「単位収入」を算出するステップと、
前記決算期に含まれる日のうち着目する日(「当日」という。)における前記物件の賃貸可能面積と前記当日の前日における前記物件の賃貸可能面積とを比較し、値の小さい方を前記物件の前記当日の「前日に共通する賃貸可能面積」として算出するステップと、
前記「前日に共通する賃貸可能面積」に前記当日の「単位収入」を乗算して得た「当日の収入」を、前記「前日に共通する賃貸可能面積」に前記前日の「単位収入」を乗算して得た「前日の収入」で除算することにより、前記物件の前記「当日の収入」の前日比騰落率を算出するステップと
日ごとの前記前日比騰落率を所定の期間に含まれる最初の日から順次累乗することで、前記物件の前記所定の期間に含まれる各日の不動産投資信託に係る収益指数を算出するステップと
を実行する、不動産投資信託に係る収益指数の算出方法。
[2]
コンピュータが、
物件群に含まれる複数の物件ごと且つ日ごとに、前記「当日の収入」及び前記「前日の収入」を算出するステップと、
日ごとに、前記複数の物件について算出された前記「当日の収入」を合算するステップと、
日ごとに、前記複数の物件について算出された前記「前日の収入」を合算するステップと、
日ごとに、前記合算後の前記「当日の収入」を前記合算後の前記「前日の収入」で除算することにより、前記物件群の前記「当日の収入」の前日比騰落率を算出するステップと、
日ごとの前記前日比騰落率を所定の期間に含まれる最初の日から順次累乗することで、前記物件群の前記所定の期間に含まれる各日の不動産投資信託に係る収益指数を算出するステップと
をさらに実行する、[1]に記載の方法。
[3]
前記物件群は、所定の地域に含まれる物件群、所定の不動産投資法人が保有する物件群、および/または所定の建物用途に含まれる物件群である、[2]に記載の方法。
[4]
前記物件情報には、物件名称、保有投資法人、決算期の期首及び期末の日、期末賃貸可能面積、及び賃貸事業収入に関する情報が含まれ、
前記増減床情報には、前記物件の賃貸可能面積の増減があった日及びその増減値に関する情報が含まれる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5]
前記「延べ賃貸可能面積」を算出するステップは、コンピュータが、
前記増減床情に基づき前記決算期中に前記物件の賃貸可能面積に増減がない場合には、前記期末賃貸可能面積と前記決算期に含まれる日数とを乗算することで、前記「延べ賃貸可能面積」を算出するステップと、
前記増減床情に基づき前記決算期中に前記物件の賃貸可能面積に増減がある場合には、前記増減があった日、前記増減値、及び前記期末賃貸可能面積の情報を基に、増減前の日数に増減前の賃貸可能面積を乗算した値と、増減後の日数に増減後の賃貸可能面積を乗算した値とを合算することで、前記「延べ賃貸可能面積」を算出するステップと
を実行することを含む、[4]に記載の方法。
[6]
前記収入が前記物件の賃貸事業収入であり、且つ、前記収益指数が賃料指数であるか、又は
前記収入が前記物件のNOI(純収益)であり、且つ、前記収益指数が純収益指数である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の方法。
[7]
コンピュータを、
不動産投資信託用の物件に関する情報を含む物件情報と前記物件の賃貸可能面積の増減に関する情報を含む増減床情報を基に、前記物件の決算期ごとの「延べ賃貸可能面積」を算出する手段、
前記物件の前記決算期における収入を前記延べ賃貸可能面積で除算することにより、前記物件の前記決算期に含まれる日ごとの「単位収入」を算出する手段、
前記決算期に含まれる日のうち着目する日(「当日」という。)における前記物件の賃貸可能面積と前記当日の前日における前記物件の賃貸可能面積とを比較し、値の小さい方を前記物件の前記当日の「前日に共通する賃貸可能面積」として算出する手段、
前記「前日に共通する賃貸可能面積」に前記当日の「単位収入」を乗算して得た「当日の収入」を、前記「前日に共通する賃貸可能面積」に前記前日の「単位収入」を乗算して得た「前日の収入」で除算することにより、前記物件の前記「当日の収入」の前日比騰落率を算出する手段、並びに
日ごとの前記前日比騰落率を所定の期間に含まれる最初の日から順次累乗することで、前記物件の前記所定の期間に含まれる各日の不動産投資信託に係る収益指数を算出する手段
として機能させるための不動産投資信託に係る収益指数の算出プログラム。
[8]
コンピュータを、
物件群に含まれる複数の物件ごと且つ日ごとに、前記「当日の収入」及び前記「前日の収入」を算出する手段、
日ごとに、前記複数の物件について算出された前記「当日の収入」を合算する手段、
日ごとに、前記複数の物件について算出された前記「前日の収入」を合算する手段、
日ごとに、前記合算後の前記「当日の収入」を前記合算後の前記「前日の収入」で除算することにより、前記物件群の前記「当日の収入」の前日比騰落率を算出する手段、並びに
日ごとの前記前日比騰落率を所定の期間に含まれる最初の日から順次累乗することで、前記物件群の前記所定の期間に含まれる各日の不動産投資信託に係る収益指数を算出する手段
としてさらに機能させるための[7]に記載のプログラム。
本発明の一実施形態に係る不動産投資信託に係る収益指数の算出方法及びプログラムは、不動産投資信託の決算期日のばらつきの影響を排し、分析期間の途中で新規取得又は売却による投資用不動産の賃貸可能面積(床面積)の変動を分析対象に組み込むことを可能にする。
賃料指数を算出するための端末のブロック図である。 物件情報の一例を示す図である。 増減床情報の一例を示す図である。 増減床情報が追加された物件情報の一例を示す図である。 単位賃料の算出方法の一例に係るフローチャートである。 データベースの一例を示す図である。 賃料指数の算出方法の一例に係るフローチャートである。 データベースの一例を示す図である。 単位賃料及び賃料指数の算出の一例の説明図である。 単位賃料及び賃料指数の算出の一例の説明図である。 単位賃料及び賃料指数の算出の一例の説明図である。 単位賃料及び賃料指数の算出の一例の説明図である。 本発明の実施例1に関するグラフである。 本発明の実施例2に関するグラフである。
本発明における不動産投資信託に係る収益指数は、物件が生みだす収益に基づく「収益指数」であり、「収益指数」には、物件の賃貸事業収入に基づく「賃料指数」や、「NOI(Net Operating Income)」に基づく「純収益指数」、その他損益項目一般の各種値に基づく「損益項目一般に係る指数」などが含まれる。以下では、不動産投資信託に係る収益指数として主に「賃料指数」について説明するが、本発明の不動産投資信託に係る収益指数の算出方法及びプログラムは、「純収益指数」や「損益項目一般に係る指数」などについても同様に適用可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る賃料指数(不動産投資信託に係る収益指数)を算出するための端末10のブロック図である。端末10は、CPU、メモリ、ハードディスク(又はSSD等の不揮発性メモリ)、ユーザーインターフェース、及びネットワークインターフェース等を備えた汎用のコンピュータである。
端末10は、インストールされたソフトウェアとの協働により実現される各種機能部(手段)として、物件情報入力部11、増減床情報入力部12、単位賃料算出部13、及び賃料指数算出部14を有する。また、端末10は、ハードディスク上に、各種演算結果をまとめたデータベース15を有する。
物件情報入力部11、増減床情報入力部12、単位賃料算出部13、及び賃料指数算出部14は、端末10にインストールされたソフトウェア(例えば、Microsoft社のVisual Basic(登録商標)for Applications言語で作成したマクロ機能を含むExcelファイル)により実現される機能部であってもよいし、複数のソフトウェアが協働して実現する機能部であってもよい。なお、これらの機能部(11〜14)はそれぞれ、ASIC等の専用のLSIを用いたハードウェアにより実現されてもよい。
物件情報入力部11は、上場している不動産投資信託(J−REIT)が保有している物件情報を読み込み(入力若しくは受信し)、それをメモリ上に展開及び/又はハードディスク上に記憶する。物件情報は、限定されないが、一般社団法人不動産証券化協会が運営するデータベース20(https://jreit-pdb.ares.or.jp/pdb/)から、CSVファイルの形式で提供されている情報である。
物件情報の取得は、ユーザがインターネットを介して該データベース20にアクセスし、必要な項目(投資法人ごと、物件の地域ごと、所定の決算期ごと、その他分析に必要な情報等)を含む物件情報を手動で取得し、それを物件情報入力部11に読み込ませるようにしてもよいし、物件情報入力部11がSQL言語等で作成した所定のプログラムに従いデータベース20に自動でアクセスして予めユーザが指定しておいた項目を含む物件情報を取得するようにしてもよい。
ここで、限定されないが、物件情報には、物件名称(その物件に一意に割り振られた物件コードを含む)、決算期(期首及び期末の日)、期末賃貸可能面積、及び賃貸事業収入(その他損益項目一般が含まれていてもよい)の項目が含まれる。その他損益項目一般には、駐車場利用料や共益費による収入、公租公課、建物管理委託費、修繕費、及び減価償却費などに加えて、分析の目的に応じ、必要な収益項目から必要な損失項目を控除したもの等も含まれる。また、該物件情報には、用途や分析対象に応じて、物件の保有投資法人の名称、面積(土地面積・建物面積)、建物用途、建築時期、特定資産の種類、所有形態、取得年月日、管理会社・マスタリース会社、所在地(住居表示)、用途地域、取得価格、部分売却額、取得時鑑定評価額 (価格時点・鑑定評価額)、期末総賃貸面積(稼働中)、決算期鑑定調査価格(調査の基準となる時点・期末算定価格)、期末稼働率、簿価(貸借対照表計上額)、期中の営業日数、賃貸事業損益、NOI、賃貸事業費用、資本的支出、減価償却費、NCF、地震リスク分析における予想最大損失率(PML)、再調達価格、及びその他損益項目一般の各種値のうちの1種以上の項目が含まれる。
また、物件情報入力部11は、物件名称(物件コードを含む)、決算期(期首及び期末の日)、期末賃貸可能面積、及び賃貸事業収入の4項目以外の項目を含む物件情報を読み込んだ後、少なくとも必要な情報として前記4項目の情報を抽出するようにしてもよい。
図2は、物件情報入力部11が入力する物件情報の一例を示す図である。図2に例示する物件情報には、物件コード、物件の名称、物件を保有する保有投資法人、決算期、決算期の期首及び期末、期末時の賃貸可能面積(m)、並びに決算期をとおした賃貸事業収入の合計値(円)の項目が含まれる。
増減床情報入力部12は、不動産投資法人等のウェブサイト(図1では例示的に2つのウェブサイト30A、30Bを図示)から、決算期中(期首及び期末も含む)に物件の賃貸可能面積の増減があった場合に公開される増減床情報であって、その物件の物件名称(物件コード)、増減日、及び賃貸可能面積の増減値(又は増減後の面積)(m)に関する情報を含む増減床情報を読み込む。
増減床情報の取得は、ユーザがウェブサイト30A、30Bにインターネットを介してアクセスして増減床情報を取得し、それを増減床情報入力部12に読み込ませるようにしてもよいし、増減床情報入力部12がSQL言語等で作成した所定のプログラムに従いウェブサイト30A、30Bに自動でアクセスして増減床情報を取得するようにしてもよい。増減床情報を取得するための情報源は、不動産投資法人のウェブサイトに限らない。データベース20に増減に関する情報があればその情報を用いてもよいし、他の不動産投資情報を開示するウェブサイト等の情報を増減床情報として用いてもよい。
例えば、ユーザが不動産投資法人A及びBのウェブサイト30A、30Bにアクセスし、それぞれから増減床情報301、302を取得するようにしてもよい(図3)。増減床情報301、302には、限定されないが、図3に示すような、不動産投資法人A及びBそれぞれが扱う物件の物件コード、物件名称、賃貸可能面積の増減日、及び賃貸面積の増減値(又は増減後の面積)(m)の項目が関連付けられた情報が含まれていてもよい。
また、増減床情報入力部12は、物件情報入力部11が読み込んだ物件情報に増減床情報を追加し、増減床情報が追加された物件情報をメモリ上に展開したり及び/又はハードディスク上に記憶するようにしてもよい。図4は、限定されるものではないが、該当する物件コード及び該当する増減床情報が追加された物件情報の例を示す。例えば、増減床情報の追加は、増減床情報の物件コードに該当する物件コードを物件情報内で検索し、該当する行の期首及び期末のうち増減日がどの範囲に含まれるか検索し、含まれる行の「増減日」、「賃貸可能面積の増減値」の列に増減床情報の該当する情報を追加するようにしてもよい。
さらに、増減床入力部12は、増減床情報が追加された物件情報において、「期末賃貸可能面積」の列について最初の行(ヘッダ除く)から処理する行を順次下へ降ろしながら、同一の物件内で、処理する行の値とその直前の行(直前の決算期)の値に相違があり、且つ、処理する行の「増減日」及び「賃貸可能面積の増減値」の列に値が無い(つまり増減床情報が存在しない)場合には、処理する行の「増減日」をその決算期の中央日に設定し、「賃貸可能面積の増減値」を「期末賃貸可能面積」の値から直前の行の「期末賃貸可能面積」の値との差に設定するようにしてもよい。つまり、物件情報によると同一物件内の連続する決算期で「期末賃貸可能面積」に変動が存在しているが、それに関する増減床情報を取得できない場合には、決算期の中央日に賃貸可能面積の増減があったとみなすようにするとよい。
単位賃料算出部13は、物件情報入力部11が読み込んだ物件情報及び増減床情報入力部12が読み込んだ増減床情報に基づき、各物件の1日1mあたりの賃料(「単位賃料」という。)を算出する。
本発明において1日1mあたりの賃料である「単位賃料」を採用し、物件の収益性を把握する。その理由としては、新規物件の取得、既存物件の売却、賃貸可能面積の追加取得又は部分売却による物件の消長・増減に応じて実際の賃貸収入総額(物件情報には「賃貸事業収入」として反映)は増減するが、これは床面積の増減により実際の賃貸収入総額が変化しているのであり、必ずしもその物件の収益性が増減している訳ではないためである。
まず、単位賃料算出部13は、決算期中に発生した賃貸可能面積の増減の規模(増減値)とタイミング(増減日)を収益性に適切に反映するために、物件情報に基づき、個々の物件につき各決算期における「時間を含む延べ賃貸可能面積」(m・日)を算出する。即ち、単位賃料算出部13は、物件情報及び増減床情報に基づき、決算期中に賃貸可能面積の増減が無い場合は、物件情報に含まれる期末賃貸可能面積(m)×決算期の日数(日)となり、増減が有る場合は、増減前後の各賃貸可能面積がそれぞれ延べ何日あったかとの積を計算し、それらを合計して「時間を含む延べ賃貸可能面積」(m・日)を算出する。例えば、決算期中に賃貸可能面積の増減が一度あった場合、増減前の賃貸可能面積と増減前の日数との積と、増減後の賃貸可能面積と増減後の日数との積とを合計して、「時間を含む延べ賃貸可能面積」(m・日)を算出する。
そして、単位賃料算出部13は、物件情報に含まれる「賃貸事業収入」の額(円)を、上記のように算出した「時間を含む延べ賃貸可能面積」(m・日)で除算して、当該物件の「1日1m当たりの賃料」を算出する。この「1日1m当たりの賃料」には、物件の規模(賃貸可能面積)の大小は反映されていない。そこで、単位賃料算出部13は、この値に当該物件の各日の賃貸可能面積を乗算することで、物件の規模や賃貸可能面積の増減が加味された1日当たり賃料(円)を算出することができる。このような計算を、分析対象の物件群(例えばある地域に含まれる任意の物件群や、ある不動産投資法人が保有する任意の物件群など)に拡大すれば、そのような物件群(ポートフォリオ)の1日当たりの総賃料を算出することも可能となる。
本発明において決算期ごとではなく、日ごと(日次)で単位賃貸可能面積あたりの賃料を考慮するのは主に次の理由による。一般的に、不動産物件の(全部又は一部の)取得又は売却の反映にあたって、物件ごとに、決算期の期首から期末に至るまでの決算期中の任意の日に売買が発生する可能性がある。また、同一の決算期に属していても、決算期中の早期と晩期の取引を同一に評価すること(例えば、決算期の中央日に取引が発生したとして全て処理する等)は、正確性を欠くおそれがある。さらに、物件の所属する不動産投資法人が異なると、一般的に決算期の期末時点が異なり、複数の不動産投資法人に係るデータを無理に統合しようとすると、多くの不動産投資法人は半年決算であることから、各年を前半・後半に分け、その半年間に着地した決算データを総合するという作業を行なうことになり、収益性の変動の把握がかなり大まかになるきらいがある。
従って、これらのデータを「期」(決算期)の概念で扱うのは柔軟性に欠け、無理があると考えられ、全て「日」で処理することが望ましい。このようなことから、本発明では、単位賃料として、「1日1m当たりの賃料」を用い、これに基づき、賃料指数算出部14が物件の収益性の指標となる賃料指数(前日比騰落率の累乗値)を算出する。このように、個々の物件につき、1日1m当たりの賃料(単位賃料)を計算したうえで、これらを総合して騰落を求めるというものであり、この様に計算の最小単位(即ち単位賃料)が小さいため、異なる不動産投資法人に属する物件同士をまとめて賃料指数を導出することも容易となる。
ここで、限定されるものではないが、図5を用いて、単位賃料算出部13による物件の1日1mあたりの賃料(即ち、単位賃料)の算出方法の一例について説明する。
まず、S501で、単位賃料算出部13は、増減床情報が追加された物件情報の最初の行(ヘッダを除く)から順に、処理(着目)する行の決算期の「時間を含む延べ賃貸可能面積」(m・日)を算出する。単位賃料算出部13は、算出した値を、メモリ上に一時的に記憶させたり、物件情報の最後尾に列を追加して処理した行のその列に追記したりして記憶させておいてもよい。
「時間を含む延べ賃貸可能面積」は、その決算期中に賃貸可能面積の増減が存在しない場合は(処理する行の「増減日」や「賃貸可能面積の増減値」の列に値が存在しない場合)、決算期の日数に、処理する行の「期末賃貸可能面積」を乗算することで算出する。他方、その決算期中に賃貸可能面積の増減が存在する場合は、処理する行の「増減日」及び「賃貸可能面積の増減値」の列の値に基づき、その決算期中の増減前後の日数を算出し、それぞれの日数に、対応する増減前後の賃貸可能面積を乗算することで「時間を含む延べ賃貸可能面積」を算出する。例えば、図4に示すテーブルの例において、3行目(Aビル、決算期3)の「時間を含む延べ賃貸可能面積」は、その決算期の途中で賃貸可能面積が増加しているため、「増減日」(2008/5/1)の前日から「期首」(2008/2/1)までの日数に「期末賃貸可能面積」(6647)から「賃貸可能面積の増減値」(+3918)を引いた値を乗算した値と、「期末」(2008/7/31)から「増減日」(2008/5/1)までの日数に「期末賃貸可能面積」(6647)の値を乗算した値とを加算することで算出することができる。
次に、S502で、単位賃料算出部13は、処理する行の「賃貸事業収入」の列の値(円)を、S501で算出した「時間を含む延べ賃貸可能面積」(m・日)で除算することにより、その決算期に含まれる各日の「単位賃料」(円/m)を算出する。単位賃料算出部13は、算出した単位賃料の値を、物件ごとに、日、各日の賃貸可能面積及び単位賃料の列を含むデータベースとして記憶させておくとよい。図6はこのようなデータベースの一例を示す。
S503で、単位賃料算出部13は、処理した行が物件情報の最後の行であるか否か(即ち、物件情報の全ての対象行について「単位賃料」の算出が終了したか否か)を判定する。最後の行ではない場合は(S503でNo)、処理する行を次の行とし、処理がS501に戻り、最後の行である場合は(S503でYes)、単位賃料算出部13による単位賃料の算出処理は終了する。
このようにして、単位賃料算出部13は、物件情報及び増減床情報に基づき、物件の1日1mあたりの賃料(単位賃料)を算出する。
賃料指数算出部14は、処理対象の(着目する)日(「当日」という。)の「前日に共通する賃貸可能面積」(m)を算出し、単位賃料算出部13により算出された当日の「単位賃料」(円/m)を乗算して得た「当日賃料値」(円)を、該「前日に共通する賃貸可能面積」に前日の「単位賃料」を乗算して得た「前日賃料値」(円)で除算することにより、前日比騰落率(%)を算出する。この前日比騰落率(%)を所定の期間(例えば物件の取得日から現在まで)累乗したものを、本発明において物件の収益性の指標となる「不動産投資信託の賃料指数」(又は単に「賃料指数」)と呼ぶ。
当日の賃料と前日の賃料との比較として、当日の「前日に共通する賃貸可能面積(m)」を採用するのは主に次の理由による。
「1日1m当たりの賃料」(即ち、単位賃料)に直接各日の賃貸可能面積を適用してしまうと、物件の取得や処分、増減床の影響が、直接総賃料に反映されてしまう。即ち、収益性を示す「1日1m当たりの賃料」が同一であっても、前日より当日の床面積が大きければ、各日の「1日1m当たりの賃料」と床面積の積である日次総賃料は、前日の値に比べ当日の値の方が大きくなってしまう。この問題を防ぐため、本発明では、計算に適用する賃貸可能面積の採用に一定のルールを設けている。即ち、「騰落率の比較の対象となる2つの日における各物件の賃貸可能面積は、両日間の少ない方を採用する」(変動が無ければ当然同一、増減したら少ない方を両日に適用する。)ということである。
例として、前日の単位賃料をI、前日の賃貸可能面積をF、当日の単位賃料をI、及び当日の賃貸可能面積をFとすると、前日の賃料収入額(前日賃料値)はI×Fとなり、当日の賃料収入額(当日賃料値)はI×Fとなる。ここで、増床のケースでは、F>Fであるため、I=Iであっても(即ち、収益性を示す単位賃料が同じであっても)、I×F>I×Fとなり、収入額が増えた形となってしまう。しかしながら、収益性を示す「単位賃料」はあくまで変わっていないので、収益性を判断する際に、この両日間に変化が発生するのは不適切であり、このような床面積増減の影響を排除する必要がある。
賃貸可能面積の増加について考えれば、F=F+ΔF0−1となることから、この両日間に「共通した」床面積として、(このケースでは)Fが考えられる。逆に部分売却等で賃貸床面積が減少する場合は、両日間に「共通」する面積は、前日まで存在した大きい面積ではなく、「当日にも」残存している小さい方の面積となる。このようにして、本発明では、前日比騰落率の計算対象となる両日間の面積を揃えることで「床増減当日」を巡る賃貸可能面積の面積の段差の影響を排除することが可能となる。
なお、このような計算手法としては、Irving Fisherの連鎖型指数公式が知られているが、同公式の問題点は、常に「前日の規模」(オリジナルの式では「株式数」、本発明では「床面積」に相当)を基準としている点である。本発明においてこれをそのまま適用すると、物件の完全売却により「当日」の残高が無い場合においても、「前日」の床面積を基準に「当日」の値が出現する、という問題が生じる。そこで、本発明では前日及び当日間の「どちらか小さい方」の面積を比較の対象とすることで、当日付で物件を全て売却した場合であっても比較対象の賃貸可能面積はゼロとなり、事実上計算対象から外れることになり、この問題点を回避することができる。
次に、増減日(当日)の翌日(「明日」とする。)について、「明日」の賃貸可能面積がFであり、F=Fであった場合は、両日に共通する面積はF=Fで同じである。また、昨日の面積Fは前日比騰落率の計算における「両日」に含まれないため比較の対象外である。このように、増減日の翌日には変化後の床面積F(=F)が採用されるため、増減後の賃貸可能面積の影響が全体に反映されることになる。即ち、物件群の中で当該物件の「賃貸可能面積シェア」の増加(又は減少)が反映されることになる。
以上より、収益性に変化がなく単に賃貸可能面積が増減しただけの場合は、賃貸可能面積の増減による総賃料の段差を生じさせず、その翌日には増減後の床シェアが全体に対して反映され、実態に合う(ここでもI=Iであれば総賃料も変動せず、「前日」から「明日」に至るまで指数は横ばいとなる)という処理が可能となる。
ここで、限定されるものではないが、図7を用いて、賃料指数算出部14による物件の賃料指数の算出方法の一例について説明する。
S701で、賃料指数算出部14は、単位賃料算出部13により算出された日ごとの単位賃料と賃貸可能面積を有するデータベース(例えば図6に示すテーブル)の1行目から順に、処理する行(当日)の「賃貸可能面積」と、その処理する行の一つ上の行(前日)の「賃貸可能面積」とを比較し、小さい方の賃貸可能面積を、当日の「前日に共通する賃貸可能面積」(m)として設定する。物件の新規取得等により、前日のデータが無い場合は、前日に共通する賃貸可能面積は0(m)となり、決算期の途中で物件を売却した場合は、売却日以降の当日の賃貸可能面積は0(m)となるので、前日に共通する賃貸可能面積も0(m)となる。
S702で、賃料指数算出部14は、「前日に共通する賃貸可能面積」(m)に前日の「単位賃料」(円/m)を乗算して「前日の賃料収入」(円)を算出し、「前日に共通する賃貸可能面積」に当日の「単位賃料」を乗算して「当日の賃料収入」(円)を算出する。
S703で、賃料指数算出部14は、「当日の賃料収入」を「前日の賃料収入」で除算することにより、当日の前日に対する騰落率(前日比騰落率)(%)を算出する。なお、「前日の賃料収入」又は「当日の賃料収入」が0となる場合(物件の新規取得時や売却時等)は、前日比騰落率を0%(横這い)として処理する。S701〜S703で算出した値は、図6に示すデータベースに列を追加して、日ごとに記憶させておくとよい。
S704で、賃料指数算出部14は、処理した行がデータベースの最後の行であるか否かを判定し、最後の行ではない場合は(S704でNo)、処理する行を次の行とし、処理がS701に戻り、最後の行である場合は(S704でYes)、処理がS705に進む。
S705で、賃料指数算出部14は、処理する対象の全ての物件についても、日ごとの前日比騰落率の算出が終了しているかどうか判定する。通常、データベース20から取得した物件情報に含まれる全ての物件について行ってもよい。また、ユーザが予め指定する所定の地域に含まれる物件群や、所定の建物用途に該当する物件群、所定の不動産投資法人が保有する物件群などを対象物件としてもよい。
S706で、賃料指数算出部14は、物件ごと(又は不動産投資法人ごとや、物件の地域ごとであってもよい)に、日ごとに対応した前日比騰落率を用いてデータベース15を作成する。図8は、限定されないが、そのようなデータベース15の例である。
S707で、賃料指数算出部14は、ユーザが指定した条件(例えば、物件ごと、不動産投資法人ごと、地域ごと、建物用途ごと等)及び期間に応じて、該期間の最初の日から最後の日まで各日の前日比騰落率を累乗していくことで、該期間に含まれる各日の賃料指数を算出する。賃料指数算出部14は、算出した結果をデータベース化してもよい。また、賃料指数算出部14は、縦軸に賃料指数、横軸に期間(日)をとったグラフを作成し、賃料指数の推移がユーザにとって分かりやすくなるようにしてもよい。
ここで、S707で、複数の物件が含まれる物件群に対して賃料指数を算出する場合は、賃料指数算出部14は、物件群に含まれる複数の物件ごと且つ日ごとに、「当日の賃料収入」及び「前日の賃料収入」を算出し(又はデータベース15から読み出し)、日ごとに該複数の物件について算出された「当日の賃料収入」及び「前日の賃料収入」をそれぞれ合算する。その後、賃料指数算出部14は、日ごとに、合算後の「当日の賃料収入」を合算後の「前日の賃料収入」で除算することにより、該物件群の「当日の賃料収入」の前日比騰落率を算出し、データベース化する。そして、賃料指数算出部14は、日ごとの前日比騰落率を所定の期間に含まれる最初の日から順次累乗することで、該物件群のその所定の期間に含まれる各日の不動産投資信託に係る収益指数を算出する。
このようにして、賃料指数算出部14は、物件情報及び増減床情報に基づき、各物件の各日の賃料指数を算出する。
概括すると、本発明の一実施形態に係る不動産投資信託に係る収益指数の算出方法では、コンピュータが、
不動産投資信託用の物件に関する情報を含む物件情報と前記物件の賃貸可能面積の増減に関する情報を含む増減床情報を基に、前記物件の決算期の「延べ賃貸可能面積」を算出するステップ(S501)と、
前記物件の前記決算期における収入を前記延べ賃貸可能面積で除算することにより、前記物件の前記決算期に含まれる日ごとの「単位収入」を算出するステップと(S502)、
前記決算期に含まれる日のうち着目する日(「当日」という。)における前記物件の賃貸可能面積と前記当日の前日における前記物件の賃貸可能面積とを比較し、値の小さい方を前記物件の前記当日の「前日に共通する賃貸可能面積」として算出するステップと(S701)、
前記「前日に共通する賃貸可能面積」に前記当日の「単位収入」を乗算して得た「当日の収入」を、前記「前日に共通する賃貸可能面積」に前記前日の「単位収入」を乗算して得た「前日の収入」で除算することにより、前記物件の前記「当日の収入」の前日比騰落率を算出するステップ(S702〜S703)と、
日ごとの前記前日比騰落率を所定の期間に含まれる最初の日から順次累乗することで、前記物件の前記所定の期間に含まれる各日の不動産投資信託に係る収益指数を算出するステップ(S707)と
を実行する。
次に、単位賃料及び賃料指数の算出について、図9〜12に示す簡単な例を用いてさらに説明する([説明1]及び[説明2])。
[説明1]
不動産投資法人Xが決算期1の期首に物件Xを購入し、決算期の途中で増床し、次の決算期2の途中で物件Xを売却した場合の簡単な例について説明する(図9)。
図9に示す例において、不動産投資法人Xが保有する物件Xの決算期1(期首は4月1日、期末は4月10日)〜決算期2(期首は4月11日、期末は4月20日)の単位賃料及び賃料指数の算出について説明する。
不動産投資法人Xは決算期1の期首(4月1日)に物件X(賃貸可能面積は10m)を購入し、決算期1の4月4日に増床し(増床後の賃貸可能面積は20m)、決算期2の4月18日に物件Xを全て売却(賃貸可能面積は0m)したとする。物件情報入力部11が読み込んだデータベース20から提供された物件情報には、決算期1の「期末賃貸可能面積」が20m、「賃貸事業収入」が100000円であり、決算期2の「期末賃貸可能面積」が0m、「賃貸事業収入」が90000円であるとの情報が含まれていたとする。また、増減床情報入力部12が読み込んだ不動産投資法人30A等から提供された増減床情報には、増減日が4月4日であり、賃貸可能面積の増減値が+10mであり、物件Xの売却に係る増減日が4月18日であり、賃貸可能面積の増減値が−20mであるとの情報が含まれていたとする。
(1-1)延べ賃貸可能面積(m・日)の算出
単位賃料算出部13は、物件Xの決算期1における「時間を含む延べ賃貸可能面積」(m・日)及び決算期2における「時間を含む延べ賃貸可能面積」(m・日)を算出する。決算期1の途中(4月4日)で賃貸可能面積が増加し、決算期2の途中(4月18日)に物件Xを売却している。単位賃料算出部13は、物件情報及び増減床情報に基づき、以下の式から、各決算期の「時間を含む延べ賃貸可能面積」(m・日)を算出する。
(決算期1)10m×3日+20m×7日=170m・日
(決算期2)20m×7日=140m・日
(1-2)1日1m当たりの賃料(単位賃料)の(円/m・日)の算出
単位賃料算出部13は、物件情報から抽出した決算期1の「賃貸事業収入」(100000円)及び決算期2の「賃貸事業収入」(90000円)を、それぞれ上記(1)で算出した決算期1及び2の「時間を含む延べ賃貸可能面積」で除算し、決算期1及び2の各日における1日1mあたりの賃料(単位賃料)(円/m)を算出する。
決算期1の各日(4月1日〜10日)の単位賃料:
100000円/170m・日=588.2円/m
決算期2の各日(4月11日〜20日)の単位賃料:
90000円/140m・日=642.9円/m
この算出結果から、決算期2では物件Xの収益性が向上していることがわかる。
(1-3)前日に共通する賃貸可能面積(m)の算出
賃料指数算出部14は、決算期1及び2の各日について、当日の賃貸可能面積(m)とその前日の賃貸可能面積(m)とを比較し、小さい方の面積(つまり両日間で共通する面積)を該当日の前日に共通する賃貸可能面積として算出する。ただし、決算期1の期首(4月1日)の前日(3月31日)には物件Xを保有していないため、期首(4月1日)の賃貸可能面積(10m)と前日(3月31日)の賃貸可能面積(0m)とに共通する面積は0mとなる。また、決算期2における売却日(4月18日)には物件Xを保有していないため、売却日(4月18日)の賃貸可能面積(10m)とその前日(4月17日)の賃貸可能面積(20m)とに共通する面積は0mとなる。このようにして、賃料指数算出部14は、図9の表に示すように、決算期1及び2の各日について、「前日に共通する賃貸可能面積」(m)を算出する。
(1-4)前日比騰落率(%)の算出
賃料指数算出部14は、当日の「前日に共通する賃貸可能面積」(m)に当日の「単位賃料」を乗算することで算出した「当日の賃料収入」(円)を、該「前日に共通する賃貸可能面積」(m)に前日の「単位賃料」を乗算することで算出した「前日の賃料収入」(円)で除算することにより、当日の「前日比騰落率」(%)を算出する。なお、例えば4月1日のように、「前日の賃料収入」及び「当日の賃料収入」がともに0となる場合は、前日比騰落率を0%(横這い)として処理する。
(1-5)賃料指数の算出
賃料指数算出部14は、決算期1の期首(4月1日)から決算期2の期末(4月20日)まで、前日比騰落率を累乗していき、各日について、賃料指数を算出する。例えば、4月6日の賃料指数の値は、4月1日〜6日までの前日比騰落率を累乗した値(100)であり、4月20日の賃料指数の値は、4月1日〜20日までの前日比騰落率を累乗した値(109)である。
[説明2]
不動産投資法人Xが決算期X1の期首に物件Xを購入し、決算期の途中で増床し、次の決算期X2の途中で物件Xを売却し、不動産投資法人Yが決算期Y1の前から決算期Y1〜Y3を通じて物件Yを保有し続けていた場合の簡単な例について説明する(図10〜12)。例えば、物件XとYとが同じ地域に立地しているが、所有する不動産投資法人が異なり、決算期もそれぞれで異なっている状況で、その分析を行う場合が想定される。
図10に示す例において、不動産投資法人Xが保有する物件Xの決算期X1(期首は4月1日、期末は4月10日)〜決算期X2(期首は4月11日、期末は4月20日)の単位賃料等の算出については上記[説明1]と同じであり以後の説明を省略する。不動産投資法人Yが保有する物件Yの決算期Y1(期首は3月29日、期末は4月7日)、決算期Y2(期首は4月8日、期末は4月17日)、及び決算期Y3(期首は4月18日、期末は4月27日)の単位賃料及び賃料指数の算出について説明する。
不動産投資法人Yは、決算期Y1の前から物件Yを保有し続けており(賃貸可能面積は150m)、決算期Y2の期首(4月8日)に減床し(減床後は100m)、4月9日に増床し(増床後は150m)、4月11日に再度減床し(減床後は100m)、さらに4月14日に再度増床し(増床後は150m)たとする。物件情報入力部11が読み込んだデータベース20から提供された物件情報には、物件Yの決算期Y1の「期末賃貸可能面積」が150m、「賃貸事業収入」が1000000円であり、決算期Y2の「期末賃貸可能面積」が150m、「賃貸事業収入」が900000円であり、決算期Y3の「期末賃貸可能面積」が150m、「賃貸事業収入」が900000円であるとの情報が含まれていたとする。また、増減床情報入力部12が読み込んだ不動産投資法人30A等から提供された増減床情報には、増減日が4月8日、9日、11日、14日であり、賃貸可能面積の増減値がそれぞれ−50m、+50m、−50m、+50mであるとの情報が含まれていたとする(図10の表参照)。
(2-1)延べ賃貸可能面積(m・日)の算出
単位賃料算出部13は、物件Yの決算期Y1〜Y3における「時間を含む延べ賃貸可能面積」(m・日)を算出する。単位賃料算出部13は、物件情報及び増減床情報に基づき、以下の式から、各決算期の「時間を含む延べ賃貸可能面積」(m・日)を算出する。
(決算期Y1)150m×10日=1500m・日
(決算期Y2)100m×4日+150m×6日=1300m・日
(決算期Y3)150m×10日=1500m・日
(2-2)1日1m当たりの賃料(単位賃料)の(円/m・日)の算出
単位賃料算出部13は、物件情報から抽出した決算期Y1〜Y3の「賃貸事業収入」(それぞれ1000000円、900000円、900000円)を、それぞれ上記(1)で算出した決算期Y1〜Y3の「時間を含む延べ賃貸可能面積」で除算し、決算期Y1〜Y3の各日における1日1mあたりの賃料(単位賃料)(円/m)を算出する。
決算期Y1の各日(3月29日〜4月7日)の単位賃料:
1000000円/1500m・日=666.7円/m
決算期Y2の各日(4月8日〜17日)の単位賃料:
900000円/1300m・日=692.3円/m
決算期Y3の各日(4月18日〜27日)の単位賃料:
900000円/1500m・日=600円/m
この算出結果から、決算期Y2では決算期Y1に比べ物件Yの収益性が向上しているが、決算期Y3では決算期Y1〜Y2に比べ物件Yの収益性が低下していることがわかる。
(2-3)前日に共通する賃貸可能面積(m)の算出
賃料指数算出部14は、決算期Y1〜Y3の各日について、当日の賃貸可能面積(m)とその前日の賃貸可能面積(m)とを比較し、小さい方の面積(つまり両日間で共通する面積)を該当日の「前日に共通する賃貸可能面積」として算出する。このようにして、賃料指数算出部14は、図11の表に示すように、決算期Y1〜Y3の各日について、「前日に共通する賃貸可能面積」(m)を算出する。
(2-4)前日比騰落率(%)の算出
賃料指数算出部14は、当日の「前日に共通する賃貸可能面積」(m)に当日の「単位賃料」を乗算することで算出した「当日の賃料収入」(円)を、該「前日に共通する賃貸可能面積」(m)に前日の「単位賃料」を乗算することで算出した「前日の賃料収入」(円)で除算することにより、当日の「前日比騰落率」(%)を算出する。
(2-5)賃料指数の算出
ユーザが物件XとYは同じ地域に立地する不動産であり、この地域の賃料指数の推移を知りたいとする。この場合、賃料指数算出部14は、各日について該当する物件Xの「前日の賃料収入」と物件Yの「前日の賃料収入」を合算し、同様に「当日の賃料収入」も合算する。そして、賃料指数算出部14は、合算後の「当日の賃料収入」を「前日の賃料収入」で除算することにより、各日について「前日比騰落率」(%)を算出し、それを所定の期間(図12の例では3月29日〜4月20日)累乗していくことで各日の賃料指数を算出する。図12のグラフは、この例における賃料指数の推移をグラフ化したものである。
本発明の不動産投資信託の賃料指数の算出方法及びプログラムを用いて、J−REITを分析した実施例1について説明する(図13)。
図13は、本発明の不動産投資信託の賃料指数の算出方法及びプログラムを用いて算出したJ−REITの賃料指数の推移を、東証REIT指数、及び平均募集賃料に基づく指数と比較したグラフである。図13のグラフの縦軸は各指数であり(2005年9月30日を基準にして100としている。)、横軸は2005年9月30日から2015年6月30日までの日である。図13中、符号1301は、本発明の不動産投資信託の賃料指数の算出方法及びプログラムを用いて算出したJ−REITの賃料指数の推移を示し、符号1302は東証REIT指数の推移を示し、そして符号1303は平均募集賃料に基づく指数の推移を示す。
一般的な理解では、平均募集賃料1303は、物件の空室部分の希望賃料(募集賃料)であり、既存の賃貸分を含めた収入の動きはこれより緩慢になると考えられる。また、東証REIT指数1302は、投資家が収益性の向上の動きを捉えることで反応するので、物件の募集賃料の動きに対して先行的かつより期待大きく変動することになると考えられる。
J−REITの賃料指数1301の動きで特徴的なのは、2006年頃の市場が好況であった頃は、平均募集賃料に基づく指数1303に遅れて、緩慢ながらもJ−REITの賃料指数1301が上昇したが、2013年以降の市場回復時においては、J−REITの賃料指数1301の目立った上昇が見られないことである。つまり、2013年以降では、賃貸物件の空室部分の募集賃料が上昇していたにもかかわらず、物件全体の賃貸収入は上昇しておらず、既存の賃貸分の賃料改定が捗々しく進んでいないことが推し量れる。
本発明の不動産投資信託の賃料指数の算出方法及びプログラムを用いて、J−REITを分析した実施例2について説明する。
実施例2では、データベース20からJ−REITの物件情報を「建物用途」の項目の情報が含まれる形で取得し、「オフィス」、「住居」、「リテール」、及び「物流」の4つのセクターの有力銘柄が保有している物件の「賃貸事業収入」に着目して、賃料指数を算出し、比較した(図14)。
図14に示すグラフの縦軸は、各セクターの賃料指数の値であり、横軸は平成17年1月〜平成27年1月までの日である。図14中、符号1400は、4つのセクターの賃料指数の推移を表示したグラフであり、符号1410は、4つのセクターの賃料指数を統合した値の推移を表示したグラフである。また、符号1401は「オフィス」のセクターに属する物件の賃料指数を示し、符号1402は「住居」のセクターに属する物件の賃料指数を示し、符号1403は「リテール」のセクターに属する物件の賃料指数を示し、そして符号1404は「物流」のセクターに属する物件の賃料指数を示す。
4つのセクターの内、「オフィス」1401と「リテール」1403のセクターに属する物件の収益性の変動が大きく、「住居」1402と「物流」1404のセクターに属する物件の収益性は、当初大きく動いた後は、変動がほとんど無く安定していたことが分かった。
4つのセクターの賃料指数を統合し、総合型REITを模したものが、グラフ1410の折れ線1411となる。ファンドバブルの時期においては好調なセクターが多く、個々の指数もやや上振れしていたが、市場が下落する局面に入ってもこの統合した賃料指数自体は大きく下落することなく、平成27年1月において当初(平成17年1月)比でもややプラスの賃料指数を保っていた。この結果から、近年見られるようになった、特化型REITが合併して総合型化する動きは、収益性の観点で合理性があることがわかった。
また、本発明の一実施例によると、2005年9月から2015年9月までにJ−REITが都心5区で継続して保有されているオフィスビルの賃料収入の推移の分析対象とすることができる物件数は、376棟となり、同条件で床面積の変動が無く且つ個々の不動産投資法人に継続して保有されている物件数(43棟)に比べ、約9倍のサンプル数を分析対象に組み込むことが可能であることがわかった。
(その他の実施形態)
本発明は、上記具体的に記載された実施形態及び実施例に限定されるものではない。上記説明した本発明の不動産投資信託の賃料指数の算出方法及びプログラムによる手法は、「賃貸事業収入」に対するもの(即ち、単位賃料や賃料指数を算出すること)に限らず、NOIや、決算期に発生する損益項目一般に対しても同様に適用することができる。つまり、上記説明において「賃貸事業収入」の値をNOIや決算期に発生する損益項目一般の各種値に置き換えることで、「1日1m当たりの純収益(NOI)」(単位純収益)や「1日1m当たりの損益項目一般の値」を算出し、それに基づき「純収益指数」や「損益項目一般に係る指数」を不動産投資信託に係る収益指数として算出することができる。
また、あるカテゴリー(例えば、同一地域、同一建物用途、同一期間など)でくくられた物件群の収益性を示す「単位賃料」の平均値の計算を行い、日ごとの推移を調べるようにしてもよい。
また、本発明の不動産投資信託の賃料指数の算出方法及びプログラムの実現は、一つの端末10のみによってなされる場合に限定されず、端末10の機能部の一部を他の端末が実行する構成であってもよい。また、端末10の物件情報入力部11、増減床情報入力部12、単位賃料算出部13、及び賃料指数算出部14のそれぞれの機能の一部を、他の機能部が実現するものであってもよい。例えば、単位賃料算出部13が、「前日に共通する賃貸可能面積」を算出したり、物件情報入力部11及び増減床情報入力部12を設けずに、単位賃料算出部13及び賃料指数算出部14に、それらの機能を持たせるようにしてもよい。また、端末10の各機能を、クラウド上のアプリケーションサーバーに実行させるようにしてもよい。
10 端末
11 物件情報入力部
12 増減床情報入力部
13 単位賃料算出部(単位収益算出部)
14 賃料指数算出部(収益指数算出部)
15 データベース
20 データベース
30A、30B サーバー

Claims (7)

  1. 物件情報入力部、増減床情報入力部、単位賃料算出部、及び賃料指数算出部を備えた端末を用いた不動産投資信託に係る収益指数の算出方法であって、
    前記物件情報入力部が、不動産投資信託用の物件の決算期及び前記決算期の賃貸可能面積に関する情報を含む物件情報を読み込むステップと、
    前記増減床情報入力部が、前記物件の前記決算期中における賃貸可能面積の増減日及び増減値に関する情報を含む増減床情報を読み込むステップと、
    前記単位賃料算出部が、前記増減床情報に基づき前記決算期中における賃貸可能面積の増減の有無を判断し、(i)前記増減が無い場合、前記決算期の賃貸可能面積と前記決算期に含まれる日数とを乗算することで「延べ賃貸可能面積」を算出し、(ii)前記増減が有る場合、前記決算期の増減前の賃貸可能面積と増減前の日数との積と、前記決算期中の増減後の賃貸可能面積と増減後の日数との積とを合計することで「延べ賃貸可能面積」を算出するステップと、
    前記単位賃料算出部が、前記物件情報に含まれる前記物件の前記決算期の収入を前記「延べ賃貸可能面積」で除算することにより、前記決算期に含まれる日ごとの「単位収入」を算出し、前記決算期に含まれる各日と、各日の賃貸可能面積及び「単位収入」とを関連付けてデータベースに記憶させるステップ
    前記賃料指数算出部が、前記決算期に含まれる日のうち着目する日(「当日」という。)における賃貸可能面積と前記当日の前日における賃貸可能面積とを比較し、値の小さい方を前記当日の「前日に共通する賃貸可能面積」として算出するステップと、
    前記賃料指数算出部が、前記「前日に共通する賃貸可能面積」に前記当日の「単位収入」を乗算して得た「当日の収入」を、前記「前日に共通する賃貸可能面積」に前記前日の「単位収入」を乗算して得た「前日の収入」で除算することにより、前記物件の前記「当日の収入」の前日比騰落率を算出するステップと、
    前記賃料指数算出部が、日ごとの前記前日比騰落率を所定の期間に含まれる最初の日から順次累乗することで、前記物件の前記所定の期間に含まれる各日の不動産投資信託に係る収益指数を算出するステップと
    含む、前記方法。
  2. 前記賃料指数算出部が、物件群に含まれる複数の物件ごと且つ日ごとに、前記「当日の収入」及び前記「前日の収入」を算出するステップと、
    前記賃料指数算出部が、日ごとに、前記複数の物件について算出された前記「当日の収入」を合算するステップと、
    前記賃料指数算出部が、日ごとに、前記複数の物件について算出された前記「前日の収入」を合算するステップと、
    前記賃料指数算出部が、日ごとに、前記合算後の前記「当日の収入」を前記合算後の前記「前日の収入」で除算することにより、前記物件群の前記「当日の収入」の前日比騰落率を算出するステップと、
    前記賃料指数算出部が、日ごとの前記前日比騰落率を所定の期間に含まれる最初の日から順次累乗することで、前記物件群の前記所定の期間に含まれる各日の不動産投資信託に係る収益指数を算出するステップと
    を含む請求項1に記載の方法。
  3. 前記物件群は、所定の地域に含まれる物件群、所定の不動産投資法人が保有する物件群、および/または所定の建物用途に含まれる物件群である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記物件情報には、物件名称、保有投資法人、前記決算期に関する情報として決算期の期首及び期末の日、前記決算日の賃貸可能面積に関する情報として期末賃貸可能面積、及び賃貸事業収入に関する情報が含まれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記収入が前記物件の賃貸事業収入であり、且つ、前記収益指数が賃料指数であるか、又は
    前記収入が前記物件のNOI(純収益)であり、且つ、前記収益指数が純収益指数である、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  6. 物件情報入力部、増減床情報入力部、単位賃料算出部、及び賃料指数算出部を備えた端末にインストールされる、不動産投資信託に係る収益指数の算出プログラムであって、
    前記物件情報入力部を、不動産投資信託用の物件の決算期及び前記決算期の賃貸可能面積に関する情報を含む物件情報を読み込む手段として機能させ、
    前記増減床情報入力部を、前記物件の前記決算期中における賃貸可能面積の増減日及び増減値に関する情報を含む増減床情報を読み込む手段として機能させ、
    前記単位賃料算出部を、前記増減床情報に基づき前記決算期中における賃貸可能面積の増減の有無を判断し、(i)前記増減が無い場合、前記決算期の賃貸可能面積と前記決算期に含まれる日数とを乗算することで「延べ賃貸可能面積」を算出し、(ii)前記増減が有る場合、前記決算期の増減前の賃貸可能面積と増減前の日数との積と、前記決算期中の増減後の賃貸可能面積と増減後の日数との積とを合計することで「延べ賃貸可能面積」を算出する手段として機能させ、
    前記単位賃料算出部を、前記物件情報に含まれる前記物件の前記決算期の収入を前記「延べ賃貸可能面積」で除算することにより、前記決算期に含まれる日ごとの「単位収入」を算出し、前記決算期に含まれる各日と、各日の賃貸可能面積及び「単位収入」とを関連付けてデータベースに記憶させる手段としてさらに機能させ、
    前記賃料指数算出部を、前記決算期に含まれる日のうち着目する日(「当日」という。)における賃貸可能面積と前記当日の前日における賃貸可能面積とを比較し、値の小さい方を前記当日の「前日に共通する賃貸可能面積」として算出する手段として機能させ、
    前記賃料指数算出部を、前記「前日に共通する賃貸可能面積」に前記当日の「単位収入」を乗算して得た「当日の収入」を、前記「前日に共通する賃貸可能面積」に前記前日の「単位収入」を乗算して得た「前日の収入」で除算することにより、前記物件の前記「当日の収入」の前日比騰落率を算出する手段としてさらに機能させ、
    前記賃料指数算出部を、日ごとの前記前日比騰落率を所定の期間に含まれる最初の日から順次累乗することで、前記物件の前記所定の期間に含まれる各日の不動産投資信託に係る収益指数を算出する手段としてさらに機能させる
    ための前記プログラム。
  7. 物件情報入力部、増減床情報入力部、単位賃料算出部、及び賃料指数算出部を備えた端末であって、
    前記物件情報入力部は、不動産投資信託用の物件の決算期及び前記決算期の賃貸可能面積に関する情報を含む物件情報を読み込み、
    前記増減床情報入力部は、前記物件の前記決算期中における賃貸可能面積の増減日及び増減値に関する情報を含む増減床情報を読み込み、
    前記単位賃料算出部は、前記増減床情報に基づき前記決算期中における賃貸可能面積の増減の有無を判断し、(i)前記増減が無い場合、前記決算期の賃貸可能面積と前記決算期に含まれる日数とを乗算することで「延べ賃貸可能面積」を算出し、(ii)前記増減が有る場合、前記決算期の増減前の賃貸可能面積と増減前の日数との積と、前記決算期中の増減後の賃貸可能面積と増減後の日数との積とを合計することで「延べ賃貸可能面積」を算出し、
    前記単位賃料算出部は、前記物件情報に含まれる前記物件の前記決算期の収入を前記「延べ賃貸可能面積」で除算することにより、前記決算期に含まれる日ごとの「単位収入」を算出し、前記決算期に含まれる各日と、各日の賃貸可能面積及び「単位収入」とを関連付けてデータベースに記憶させ、
    前記賃料指数算出部は、前記決算期に含まれる日のうち着目する日(「当日」という。)における賃貸可能面積と前記当日の前日における賃貸可能面積とを比較し、値の小さい方を前記当日の「前日に共通する賃貸可能面積」として算出し、
    前記賃料指数算出部は、前記「前日に共通する賃貸可能面積」に前記当日の「単位収入」を乗算して得た「当日の収入」を、前記「前日に共通する賃貸可能面積」に前記前日の「単位収入」を乗算して得た「前日の収入」で除算することにより、前記物件の前記「当日の収入」の前日比騰落率を算出し、
    前記賃料指数算出部は、日ごとの前記前日比騰落率を所定の期間に含まれる最初の日から順次累乗することで、前記物件の前記所定の期間に含まれる各日の不動産投資信託に係る収益指数を算出する、前記端末。
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