以下、別紙図面を参照し本発明の実施形態及び用途に関し説明する。当該図面は本発明に係る着想を説明するためのものであり、正しい縮尺になっていない部分を含んでいる。
以下の詳細な説明の趣旨は、本件技術分野で習熟を積まれた方々(いわゆる当業者)に理解を頂くことにある。周知要素についての記述は、その理解の妨げになるため省略又は簡略化してある。総じて、以下の説明及び図面の記載は例示を趣旨とするものであって、発明の要旨を限定するものではない。
図1に、本発明の一実施形態に係る記録装置10を模式的に示す。これは、記録媒体17のうち模式的に破線で示す領域内に画像19を記録する装置である。媒体17としては、画像生成可能面を有する任意の媒体を使用することができる。また、本装置10に備わる媒体支持器12は円筒面13を有する外ドラム型の構成であり、その上に配置された媒体17をその辺上の幾個所かで円筒面13に固定するクランプ28A,28Bを備えている。内ドラム型、フラットベッド型等の媒体支持器を用い本発明を実施することや、媒体17を他手段で支持器12に固定する形態、例えば減圧吸引等の手段で円筒面13に固定する形態で本発明を実施することもできる。支持器12は基台20に対し可動、具体的には可回動に連結されており、また位置規制子25A,25Bを含む複数個の位置規制子25を有している。
本装置10に備わる記録ヘッド16は、媒体支持器12に対し動かせるようキャリッジ18上に実装されている。支持器12がある回動軸を中心に可回動、キャリッジ18がその支持器12に対し可動であるため、ヘッド16も支持器回動軸に対し平行な経路に沿い駆動することができる。駆動システム22はそれらヘッド16・支持器12間に相対運動をもたらすシステムであり、所要の動きに相応しい幾つかの駆動手段で構成されている。本実施形態では、駆動システム22を用い、主走査軸26に支持器12を回動させまた副走査軸24に沿いヘッド16を並進させる。案内システム32はキャリッジ18の動きを案内するシステム、輸送器33はその動きを司る装置であり、後者は図示の通り精密なスクリュー機構を備えている。リニアモータを用いヘッド16を移動させる形態、複数個のヘッド16を個別に移動させる形態、複数個のヘッド16をタンデムに移動させる形態等でも、本発明を実施することができる。
いわゆる当業者には自明な通り、記録ヘッド16・媒体支持器12間相対運動は様々な形態を採りうる。例えば、ヘッド16を固定し支持器12を移動させる形態、支持器12を固定しヘッド16を移動させる形態、ヘッド16,支持器12双方を移動させる形態等である。ヘッド16、支持器12又はその双方を対応する経路沿いに往復させる形態でもよいし、本装置10内システムのうち1個又は複数個を個別の駆動システムで駆動する形態にしてもよい。
記録ヘッド16は、図示しない輻射源、具体的にはレーザ光源のほか、個別作動可能な記録チャネル23を備えている。記録媒体17上に画像を生成する際には、そのチャネル23を個別に制御する。チャネル個数は1個でも複数個でもよく、チャネル配列は一次元アレイ状でも二次元アレイ状でもかまわない。画像生成時には、輻射される成像ビーム21で媒体17が走査されるようこのヘッド16を制御する。そのビーム21には、記録したい画像を示す画像データ37に従い像状変調を施す。具体的には、成像対象個所では対応するチャネル23が作動し成像対象外個所では作動しないよう、ビーム21の強度を動的に制御して画像19を発生させる。また、チャネル23はデータ37から得た情報に基づき個別に制御される。その制御下で発生する画像19の最小構成要素のことを一般に画素或いは画像ドット、画素同士の組合せで形成される画像構成要素のことを画像特徴と呼ぶ。画素を組み合わせることで、中間調パターン、確率論的パターン、両者を併含する複合パターン等、様々なパターンを発生させることができる。画素同士の組合せで、グリッドパターン、基準マークパターン等、様々な非スクリーンパターンを発生させることができる。
記録媒体17上に画像19を記録する仕組みとしては様々な仕組みを使用できる。例えば、媒体17の可修飾面特性を変化させる、媒体17の表面を部位選択的に切除する、媒体17の表面に(熱転写等で)画像生成部材を転写させる、といった仕組み等を通じ、成像ビーム21の射突で画像19を生成することができる。ビーム21が辿る経路を、輻射源からまっすぐ媒体17に届く経路としてもよいし、1個又は複数個の光学素子による方向転換を経て媒体17に至る経路としてもよい。画像19が他の手法で生成される形態、例えば記録チャネル23から画像形成素材を吐出し媒体17上に画像19を発生させるインクジェットプロセスの形態にしてもよい。
記録媒体17への画像記録に当たり、一群の記録チャネル23で画像スワスを発生させるようにしてもよい。スワス幅は、その走査で最初に生じる画素と最後に生じる画素との距離で決まる。こうした構成では、媒体17上の画像全体を単一スワスで生成し得ず複数スワスの生成が必要になるのが一般的である。
本装置10はセンサ52及び照明器55を備えている。センサ52は存在する事物例えば画像19の諸部分を検出するためのものであり、照明器55は検出等の際にそうした事物を照明するためのものである。
コントローラ30は、本装置10を構成するシステム群を制御すべく幾つかの制御部材で構成されている。制御対象となるのは、媒体支持器12及びキャリッジ18用の駆動システム22、支持器12に対する記録媒体17の装荷/回収を司る媒体ハンドリング機構等である。コントローラ30は、また、供給される画像データ37に従い記録ヘッド16から成像ビーム21を輻射させる。コントローラ30は、センサ52、照明器55等も制御する。コントローラ30による制御には、様々なシステム、制御信号乃至手法を使用可能である。コントローラ30はプログラマブルであり、1個又は複数個のデータプロセッサ、実行可能な相応のソフトウェア、並びに各種ハードウェアで構成されている。使用されうるハードウェアとしては、アクセシブルメモリ、論理回路、駆動回路、増幅器、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、入出力ポート等がある。こうしたコントローラ30は、マイクロプロセッサ、オンチップコンピュータ、コンピュータ用CPU等のマイクロコントローラを初め、様々な制御部材で実現することができる。コントローラ30を幾つかの論理ユニットで構成し、個々の論理ユニットに特定のタスクを委ねるようにしてもよい。
図2に、本発明の一実施形態に係る記録装置校正方法100の流れを示す。説明の都合上、図中の諸ステップを図1中の記録装置10に適用する例を示すが、本発明は他種記録装置に適用する形態で実施することもできる。また、図3に模式的に示す画像40を目標に画像を生成する例を示すが、画像40以外を目標とし諸媒体上に画像を生成する形態でも本発明を実施することができる。本実施形態で使用される目標画像40は精密なグリッド状パターンを有しており、所定寸法の画像境界を有する正方形の目標画像内セル41複数個で構成されている。この平面展開図に明示した通り、目標画像40は媒体17の諸辺に対し厳密に揃った画像、具体的には媒体17Aの辺35,36に揃った画像である。ここでは、一例として、副走査軸24と平行な辺を第1辺35、主走査軸26と平行な辺を第2辺36としているので、画像40の幾何学的特性は軸24,26を基準にして記述されることになる。媒体17A上の他の位置決め点を位置基準として画像40の記録を実行する形態で本発明を実施することもできる。
コントローラ30は、その目標画像40を表す画像データの供給を受け記録媒体17A上に画像を発生させる。その際、コントローラ30は、媒体17Aに対し記録ヘッド16が相対運動するよう駆動システム22を制御する。具体的には、所定形態の画像スワスが生じるよう、媒体支持器12の回動と協調する形態でヘッド16を並進させる。サークル走査技術を用いリングスワス、サークルスワス等のスワスを発生させる形態でも本発明を実施可能だが、ここではヘリカル走査技術を用いスパイラルスワス、ヘリカルスワス等のスワスを発生させるようにしている。
ステップ110では、その目標画像40を示す画像データに従い記録装置10が校正用の画像を生成する。即ち、画像40を目標に記録ヘッド16を動作させることで、図4に模式的に示す校正画像19Aを記録媒体17A上に発生させる。この図では、明瞭化のため、媒体17Aの円筒面13を平坦化して描いてある。図示の通り、生じる画像19Aは目標画像40内セル41と同個数のセル42で構成されているが、歪んでいるため目標画像40と厳密には対応していない。即ち、画像19Aの諸部分が様々に歪んでいるため、画像40内セル41と画像19A内セル42との対応関係がやや崩れている。例えば、セル42入カラムの主走査軸26沿い位置が、セル42A入カラム・セル42B入カラム間でずれている。同じく、セル42C等のセル42における副走査軸24沿い寸法が対応するセル41のそれに比し図示の如く大きくなっている。なお、セル42A,42Cは画像歪発生個所の一例、その歪み方は画像19A内セル42で生じうる歪の一例に過ぎない。
こうした位置歪や寸法歪の発生原因は幾通りかある。例えば、温度変化に伴う全体的寸法比崩れが一因となりうる。即ち、記録媒体17、媒体支持器12、諸輸送部材例えば輸送器33等の間に存する形成素材差ひいては熱膨張係数差が原因となり、熱膨張速度に違いが生じ寸法比が崩れてしまう。また、キャリッジ18の移動に関わる案内システム32の形態的な不完全さも一因となりうる。案内システム32に備わるガイドトラック、被案内部材等の部材は摺動用又は回動用のベアリング素子を有しているので、その精度を高めたとしても不完全さが残り、ガイドトラック・被案内部材間の遊び、ガイドトラックの直線性、基台20の撓み等といった機械的原因で画像歪が発生しうることを否めない。
即ち、副走査軸24に対し平行な経路に沿いキャリッジ18を移動させる際に、そうした不完全さが原因で記録ヘッド16に不必要な動きが生じ、記録媒体17に対する成像ビーム21の射突位置が乱れることとなりかねない。この場合、図5A〜図5Cに示す如く画像歪が発生する。
記録媒体17Aに対する成像ビーム21の射突位置乱れによる画像歪のうち、副走査性歪は例えば図5Aに示す原因で発生する。この図では明瞭化のためやや強調してあるが、副走査軸24に沿い移動中のキャリッジ18に、案内システム32の遊び等を原因とする僅かなヨー方向27沿い回動即ちヨー運動が生じると、媒体17Aに対するビーム21の射突位置が乱れて副走査性歪が発生する。また、他部材の不完全さが原因で副走査性歪が発生することもある。例えば、輸送器33として使用される精密なリードスクリューに、僅かであれ長手方向沿いピッチ不整があると、それが原因となり画像に副走査性歪が生じてしまう。
記録媒体17Aに対する成像ビーム21の射突位置乱れによる画像歪のうち、主走査性歪は例えば図5B、図5C等に示すものを含め様々な原因で発生しうる。まず、図5Bに示す例では、明瞭化のためやや強調してあるが、基台20やガイドトラックに重力撓み等が生じ後者の直線性が損なわれている。この類の現象が発生すると、案内システム32に沿い移動中のキャリッジ18に主走査軸26沿い位置ずれが生じ、ビーム21の主走査方向沿い射突位置精度に悪影響が生じてしまう。次に、図5Cに示す例では、明瞭化のためやや強調してあるが、副走査軸24に沿い記録ヘッド16を駆動しているキャリッジ18に、案内システム32内の遊びを初めとする諸原因により僅かなピッチ方向29沿い運動、ひいては主走査性歪を発生させている。いわゆる当業者には自明な通り、画像歪としては、ここで掲げたものに限らず、様々な種類の歪が発生しうる。
次に、図2に示すステップ120では、生成された校正画像19Aの歪が補正されるよう記録装置10を調整する。この調整は様々な手法で行えるが、ここでは、セル42A・42B間位置ずれを初めとする主走査性歪が補正されるよう諸記録チャネル23の作動タイミングを調整している。このチャネル作動タイミングは、画像データで決まる画素生成要否と異なり、チャネル23又はその集まり毎に調整することができる。チャネル作動タイミングを調整するとそのチャネル23による画素生成動作が遅れ又は進むため、諸チャネル23を制御し同じ画像スワスの構成部分間で主走査方向沿い位置をずらすことができる。あるスワスの一部分又は全体と別のスワスの一部分又は全体との間で、主走査方向沿い位置をずらすこともできる。従って、副走査軸24に対し平行な記録ヘッド移動経路沿いの諸点で、記録ヘッド16内諸チャネルの作動タイミングを調整することができる。即ち、ヘッド16の副走査方向沿い位置に応じチャネル作動タイミングを調整することで、その副走査方向沿い位置に対応する画像19A内歪発生領域に関し補正を施すことができる。この作動タイミング調整は画像データから独立した形態で行われる。画像データを操作する形態で本発明を実施し同様の効果を得ることもできる。また、コントローラ30は、ヘッド16に対し信号を供給し、全チャネル23又は一部チャネル23の作動タイミングを調整する。即ち、ヘッド16の副走査方向沿い位置に応じ、その位置に現れるべき画像歪を補正する。具体的には、駆動システム22に備わる図示しない適当なセンサ乃至エンコーダから、ヘッド16、媒体支持器12又はその双方の位置を示す信号群を取得し、それに基づきヘッド移動経路沿い諸点で諸チャネル23の作動タイミングを調整する。オープンループ制御技術を用いコントローラ30がヘッド16の位置を追跡する形態でも、本発明を実施することができる。
副走査性歪の補正、例えばセル42Cの拡がりの補正も様々な手法で行えるが、ここでは、キャリッジ18又は輸送器33の動きを調整するようにしている。調整されるのは、例えばキャリッジ18又は輸送器33の移動速度である。記録装置10は、ドラム状の媒体支持器12を回動させつつキャリッジ18を並進させる構成であり、この構成ではスパイラルスワス、ヘリカルスワス等の画像スワスが発生するので、こうしてキャリッジ18又は輸送器33の移動速度を調整することで、スワスのピッチを調整し画像の各部寸法を整えることができる。生じる画像の寸法を移動速度の均一調整で全体的に調整することも、移動速度の部分調整で部分的に調整することもできる。即ち、キャリッジ移動経路沿い諸点で輸送器速度を調整して対応する画像歪を補正すること、例えば輸送器33内ピッチ不整を補正することや記録ヘッド16のヨー運動性位置ばらつきを補正することができる。また、コントローラ30は、所与のプログラムに従い駆動システム22に信号群を送り、キャリッジ18又は輸送器33の動きを調整する。具体的には、センサ又はエンコーダから供給される信号に従い動作し、ヘッド移動経路沿い諸点におけるキャリッジ18又は輸送器33の動きを調整する。
これら、作動タイミング調整や動き調整を通じた画像補正は、工場に設置された専用の装置を用い所定の時点で実行されるのが普通であり、それを経た記録装置10にはいずれ再校正が必要になる。再校正が必要になる原因は、当初校正時に対する条件例えば環境温度の変化、駆動システム22や案内システム32の構成要素の使用摩耗及び精度・正確度低下、負荷条件による構造要素例えば基台20の経時クリープ等、数多くある。構造要素のクリープは特に大型の記録装置で問題となる。記録ヘッド16から輻射される成像ビーム21と、記録媒体17との間の位置関係は、これらを初めとする諸原因で理想からずれる。ひいては、ヘッド16により生成される画像が歪み始める。
図6に、本発明の一実施形態に係る記録装置再校正方法200の流れを示す。説明の都合上、図中の諸ステップを図1中の記録装置10に適用する例を示すが、他種記録装置に適用される形態でも本発明は実施することができる。ステップ210では、媒体支持器12上に記録媒体17Bをある姿勢50Aで配置する。図7Aに示したのはこの状態、即ち装置10に備わる支持器12上に媒体17Bが第1姿勢50Aで配置されている状態である。
記録媒体17Bは、記録ヘッド16を用いた画像記録が可能な位置を占めるよう媒体支持器12上に配置され、第1姿勢50Aでは、その第1辺35Aが支持器12側位置規制子25複数個と接触する。各規制子25の表面は、辺35Aと好適に接触可能な面となっている。この接触で、媒体17Bの姿勢が、画像生成動作を好適に行える第1姿勢50Aとなる。従って、第1姿勢50Aとは、いわば、規制子25A,25Bと辺35A上の位置決め点64,66とが接触する姿勢のことである。規制子25毎にインジケータを設け、媒体17Bの姿勢が画像生成動作向けの姿勢50Aになったことを通知するようにしてもよい。また、支持器12上にランダムな姿勢で媒体17Bを配置し、その姿勢を姿勢50Aと見なしヘッド16の諸画像生成パラメタを調整するようにしてもよい。調整可能な画像生成パラメタとしては、例えば作動タイミング、副走査軸24に対するヘッド16の傾き等がある。媒体17Bの姿勢50Aは、媒体17Bの諸辺に沿い諸点の位置を検出する相応のセンサを用い検出することができる。
本実施形態では、第1姿勢50A下記録媒体17Bの第1辺35Aが副走査軸24に対し略平行になる。これとは違い、姿勢50A下媒体17Bの辺35Aが軸24と平行にならない形態でも、本発明を実施することができる。
ステップ220では、第1姿勢50A下記録媒体17Bの上に、記録装置10の動作で画像特徴を発生させる。生成する画像特徴の個数は1個でも複数個でもよい。発生させるのは、装置10の再校正が必要になる画像歪を好適に検出しうる形態の第1画像特徴60である。即ち、装置10の前回校正後に生じるようになった画像歪のうち主走査性歪を好適に検出できる形態、例えば副走査軸24に対し略平行に延びる長尺な形態の特徴60を、装置10の動作で発生させる。特徴60を発生させる際には、検出済の画像歪が補正されるよう、方法100等を用いた前回の校正に倣い作動タイミング、動き等に関する諸調整を実行する。
記録装置10による第1画像特徴60の生成は様々な形態で行える。例えば、媒体支持器12,記録ヘッド16の双方を協調的に動かすヘリカル走査を複数回実行することで、特徴60の諸部分を生成することができる。また、ヘッド16の副走査方向沿い位置を保ちつつ支持器12を主走査方向に回動させるリング走査又はサークル走査を複数回実行することでも、特徴60の諸部分を生成することができる。媒体支持器12の主走査方向沿い位置を所要位置に保ちつつヘッド16を副走査軸24沿いに並進させることで特徴60の個別部分を生成する副走査技術等、他種画像記録技術を使用してもよい。特徴60は、図7Aに示す通り画像データ37Aに従い生成される。
こうして生成される第1画像特徴60には、同図の如く画像歪が現れることがある。明瞭化のため強調して描いてあるが、この例では、本来は長尺直線状であるはずの特徴60が歪んで曲線状になっており、画像補正を改めて行う必要が生じている。ここで示した歪は一例であり、曲線以外の形状に歪むこともあり得る。発生した歪はステップ250にてセンサ52により検出される。
そのセンサ52は、様々な副走査方向沿い位置にて諸画像特徴又はその構成部分を検出できるよう基台20に実装されている。具体的には、記録ヘッド16に対し所定の位置関係を占めるようキャリッジ18に実装されている。センサ52の個数は1個でも複数個でもよい。センサ52を用い第1画像特徴60の諸部分を検出する際には、駆動システム22を用いキャリッジ18及び媒体支持器12の位置関係を制御し、適切な位置関係になった時点でその部分をセンサ52で検出する。具体的には、図7Aに示すように、キャリッジ18を用い経路沿いの適切な位置へとセンサ52を移動させ、そのセンサ52で特徴60の諸部分を検出する。その際駆動システム22から得られるエンコーダ信号やセンサ信号は、特徴60の構成部分に対するキャリッジ18の位置関係を表している。コントローラ30では、駆動システム22やセンサ52から得られる様々な信号に基づき、特徴60の諸構成部分がどのような位置、どのような姿勢を採っているかを示す情報を生成する。
ただ、キャリッジ18の動作でセンサ52の副走査方向沿い位置を様々に変化させるだけでは、第1画像特徴60内歪を好適に検出することができない。まず、図5A〜図5Cを参照して前述した仕組みで特徴60内歪が生じるのは、記録ヘッド16の位置を変化させつつ特徴60を生成する際、基台20のクリープを初めとする諸要因でヘッド16の位置や姿勢が変化するため、即ちヘッド16の副走査方向沿い移動経路がぶれるためである。他方で、センサ52もヘッド16と共にキャリッジ18に実装されている。従って、センサ52の副走査方向沿い移動経路54(図7Aでは省略)にも、歪のある特徴60が生成される際ヘッド16が辿った副走査方向沿い移動経路と同じくぶれが発生することとなる。
図8に、その経路54に沿ったセンサ52の動きを模式的に示す。図示の通り、この経路54は、第1姿勢50A下で記録媒体17B上に生成された第1画像特徴60に対し略平行となる。上述の如く、この経路54上の諸位置へとセンサ52を移動させて特徴60の諸部分を検出した場合、特徴60の各部分に係る情報がコントローラ30に供給される。コントローラ30では、その情報例えば主走査方向沿い位置情報に基づきその部分の位置を特定する。しかしながら、特徴60が歪んでいるときにはセンサ52の位置にもずれが生じている。そのずれは、歪により特徴60の諸部分に生じた主走査方向沿い位置ずれに相当する幅となる。従って、得られた主走査方向沿い位置情報をコントローラ30に供給したとしても、図8に模式的に示すように、実際には歪のある特徴60が略無歪状態60Aであるかの如くコントローラ30によって誤認され、記録装置10の再校正が不要とされてしまう。なお、副走査方向に沿い基台20上にセンサ52を幾つか配した構成でも、これと同様の誤認が発生しかねない。基台20上にあるセンサ52個々の位置が装置10の状態変化に伴い変化し、特徴60に歪が生じる余地があるためである。
こうした誤認問題の発生を抑えるため、本実施形態では、媒体支持器12における記録媒体17Bの姿勢を変化させるようにしている。即ち、ステップ240にて、支持器12上での媒体17Bの姿勢を第1姿勢50Aとは別の第2姿勢50Bに変化させるようにしている。支持器12上での媒体17Bの姿勢を第2姿勢50Bにするのは、媒体17B上に特徴60を生成した後、特徴60からの歪検出を実行する前である。図7Cに示す通り、支持器12上での姿勢が第2姿勢50Bに変わると、媒体17の第2辺36Aが位置規制子25の近傍を占めることとなる。ここでは、その第2辺36Aとして、媒体17Bの辺のうち第1辺35Aと交差する向きに延びる辺を使用している。この場合、支持器12上での第2姿勢50Bは、第1姿勢50Aに対し、媒体17Bを回動させた姿勢となる。この回動の際には、例えば、円筒面13に対し略直交する方向に沿いその面13と交差する軸が回動軸となり、回動角の値が約90°となる。約85〜95°の範囲に属する回動角で、本発明を実施することもできる。回動角は、第1辺35A・第2辺36Aの角度が90°からどの程度ずれているか等、諸要因に応じ設定することができる。
媒体支持器12上での記録媒体17Bの姿勢を第2姿勢50Bに変化させる動作は、媒体17B・支持器12間接触を保ったまま行ってもよいし、媒体17を支持器12から分離させ姿勢50Bで配置し直す段取りで行ってもよい。支持器12上での媒体17Bの姿勢を姿勢50Bに変化させる前に、幾つかのステップを実行することもできる。即ち、媒体17Bに対し様々な処理、例えばその表面の機械的処理、熱的処理、化学的処理等を施す諸ステップを実行することができる。例えば、媒体17Bの記録部分・非記録部分間コントラストを協調する処理を実行するとよい。
いずれにせよ、こうして媒体支持器12上に配置された記録媒体17Bからは、センサ52を用い第1画像特徴60内歪を好適に検出することができる。これは、支持器12上での媒体17Bの姿勢を第2姿勢50Bに変化させると、上述した誤認問題が発生しにくくなるからである。即ち、姿勢50Bにすると支持器12に対する特徴60の位置関係が変化するため、センサ52に生じている位置ずれの影響をあまり受けずに特徴60を検出することができる。
図7Cに示すように、第1画像特徴60の諸部分は、媒体支持器12の主走査軸26沿い回動及びセンサ52の副走査軸24沿い並進により、センサ52による検出に相応しい位置に送られる。検出中には、センサ52の副走査方向沿い位置56が固定される。この構成では、キャリッジ18を副走査軸24沿いに並進させる動作に比べ、支持器12を主走査軸26沿いに回動させる動作の方が、位置ずれひいては特徴60内歪につながりにくい。何故なら、円筒状の支持器12が図示しない可回動ベアリングを介し基台20に可回動連結されているからである。即ち、シャフト偏心が大きくならないよう、その可回動ベアリングとして各種精密深溝ボールベアリング、精密角接触ベアリング、精密自動整列ベアリング等を使用することで、記録装置10の状態変化に伴う特徴60内歪を抑えられるからである。従って、記録ヘッド16を副走査軸24沿いに並進させる動作に比べ、支持器12を主走査軸26沿いに回動させる動作の方が、発生する位置ずれが小さくなる。そのため、この構成では、記録媒体17Bの姿勢を第2姿勢50Bに変化させた後、特徴60の諸部分ひいてはその特徴60内歪を、センサ52を用い好適に検出することができる。
センサ52を用い第1画像特徴60内歪を検出する際には、特徴60の被検出部分毎に副走査方向沿い位置ずれを検出する。例えば、記録媒体17Bの姿勢が第2姿勢50Bに変更された後、特徴60の構成部分がセンサ52に相応しい位置に来るよう媒体支持器12を回動させ、その部分に関し期待位置からのずれを検出する。第2姿勢50B下で媒体17B上の特徴60から被検出部分毎に検出される副走査方向沿い位置ずれは、第1姿勢50A下でその媒体17B上に生成された特徴60の主走査性歪を表している。
第1画像特徴60内歪を検出する際センサ52で検出される副走査方向沿い位置ずれは、例えば、センサ52の可検出域に順次進入してくる他検出部分に対する位置差又は間隔の形態で得られる。その値は、第2姿勢50B下で媒体17B上の特徴60から被検出部分毎に検出される副走査方向沿い位置ずれ、ひいては第1姿勢50A下でその媒体17B上に生成された特徴60の主走査性歪を表している。また、特定の副走査方向沿い位置56を基準にした副走査方向沿い位置ずれの形態で得ることも可能である。特徴60の被検出部分同士の間隔と同じく、位置56を基準とした副走査方向沿い位置ずれも主走査性歪を表している。但し、第2姿勢50B下の媒体17Bで特徴60の向きが主走査軸26に対し不平行な場合、このやり方では誤差が若干生じる可能性がある。更に、検出時のセンサ52の移動経路を、主走査軸26に沿った媒体支持器12の回動で定めるようにしてもよい。但し、第2姿勢50B下媒体17Bで特徴60の向きがその検出経路に対し不平行な場合、このやり方では、特徴60の被検出部分間位置ずれの検出結果に、両者間の角度に応じた誤差が生じる可能性がある。
第2姿勢50B下での第1辺35Aの位置等、検出可能な事物を基準に副走査方向沿い位置ずれを検出することもできる。ステップ220にて第1画像特徴60を生成する際、辺35Aが位置規制子25A,25Bで位置決めされ、辺35Aに対し特徴60の位置が整うからである。従って、それらの間隔からずれを検出することで、特徴60内歪を検出することができる。但し、大判の媒体、形状安定性が低い素材で形成された媒体等のように、辺35Aが波打ち非直線状になりがちな記録媒体17では誤差が発生しやすくなる。
本実施形態の場合、第2画像特徴62を基準に副走査方向沿い位置ずれを検出するようにしている。ステップ230ではその第2画像特徴62を画像データ37Bに従い発生させる。第2画像特徴62は、図7Bに示すように、媒体支持器12における記録媒体17Bの姿勢を、第1画像特徴60を生成した際の第1姿勢50Aとは別の姿勢50Cにしてから、記録ヘッド16で媒体17B上に記録する。第2画像特徴62としては、例えば、長尺なものを第1画像特徴60の脇に記録する。具体的には、第1画像特徴60とほぼ同じ長さの第2画像特徴62を、第1画像特徴60とほぼ同じ方向に沿い記録する。特徴60,62が記録された媒体17Bの平面展開形状は図7Fに明示する形状となる。
第2画像特徴62を生成する際には、第1辺35A上にある2個の位置決め点64,66を基準にしてその生成位置を定める。点64,66は、第1画像特徴60を生成する際にも使用された点、即ち記録媒体17Bを第1姿勢50Aで配置し第1画像特徴60を記録する際対応する位置規制子25A,25Bに接触させた点である。従って、第1姿勢50A下での第1画像特徴60の生成位置も、それら2個の点64,66を基準として定まっている。媒体支持器12における規制子25A,25Bの位置は、第1姿勢50A下媒体17Bにて、図示しない点64・66間線分が副走査軸24と略平行になる位置でも不平行になる位置でもかまわない。
第2画像特徴62を生成する際には、このように第1画像特徴60の記録に使用された位置決め点64,66を基準にその生成位置を定めるのに加え、歪が発生しにくい手法を使用する。即ち、主走査方向回動に比べ副走査方向並進の方が位置ずれにつながりやすいので、記録ヘッドの副走査軸24沿い位置が(ほぼ)固定されている状態で第2画像特徴62を生成する。
第2画像特徴62を記録する際には、上述の通り、第1画像特徴60を記録した際の第1姿勢50Aとは異なる姿勢50Cにする。ステップ250にて歪を検出する際の第2姿勢50Bと同じ姿勢でも別の姿勢でもよいが、本実施形態では、第1辺35Aが媒体支持器12の周沿いに延びる姿勢を以て姿勢50Cとしている。辺35Aの向きが主走査軸26に対し平行でも不平行でもかまわない。両者の角度差は例えば±15°以内に抑えるのが望ましい。いずれにせよ、このような姿勢であれば、辺35Aが支持器12の周沿いに延びることとなる。
記録媒体17Bの姿勢を姿勢50Cにしたら、位置決め点64,66を基準に第2画像特徴62の生成位置を定めることができるよう、2個の点64,66それぞれの位置を検出する。姿勢50Cにおける点64,66の位置検出には様々な手法を使用することができる。例えば、この参照を以て本願に繰り入れられるところの特許文献1(発明者:Cummings)及び2(発明者:Neufeld et al.)には、ドラム状媒体支持器の周沿いに延びる媒体の辺に沿い諸点を検出する手法が幾つか示されている。これらの手法によれば、2個の点64,66を様々なセンサで検出することができる。姿勢50Cが主走査軸26に対し不平行でも差し支えない。本実施形態ではセンサ52を点64,66の検出に使用する。
2個ある位置決め点64,66それぞれの主走査方向沿い位置及び副走査方向沿い位置を検出したら、記録装置10の動作で、それらの点64,66を位置基準にして第2画像特徴62を生成する。特徴62の生成には様々な手法を使用することができる。記録媒体17Bがサークル走査されるよう装置10を動作させつつ特徴62を生成してもよいし、媒体17Bがヘリカル走査されるよう装置10を動作させつつ特徴62を生成してもよい。図示しない点64・66間線分が主走査軸26に対し不平行な場合、両者間の角度を踏まえ画像データ37Bに調整を施し特徴62を生成してもよいし、当該角度に従い記録ヘッド16及び媒体支持器12を協調動作させつつ特徴62を生成してもよい。角度が小さければ、この協調動作の際のヘッド16の副走査軸24沿い移動量は僅かとなり、ヘリカル走査で画像スワスを発生させる際のそれに比べても小さくなるのが普通である。
線分をなす2個の位置決め点64,66を位置基準にして記録媒体17B上に第2画像特徴62を記録したら、ステップ250でセンサ52を用い第1画像特徴60内歪を検出する。この検出は、特徴60,62の諸部分をセンサ52の可検出域内に送り、特徴60,62の対応部分間副走査方向沿い間隔が期待間隔からどの程度ずれているかを検出することで行う。第1画像特徴60と同じく第2画像特徴62も点64,66を位置基準として生成されているので、両者の対応部分間副走査方向沿い間隔におけるずれの検出値から、第1画像特徴60の記録時に発生した主走査性歪を知ることができる。コントローラ30には、副走査方向沿い間隔に関する検出結果情報を含んだ信号が供給される。
ステップ260では、センサ52からもたらされる検出結果情報に基づきコントローラ30が歪情報を生成する。具体的には、副走査方向沿い間隔に関する検出結果情報を、ステップ220の画像生成動作で使用される主走査基準座標系に逆変換する。この変換には、第1画像特徴60を記録したとき媒体支持器12上で記録媒体17Bが占めていた位置、副走査方向沿い間隔の検出結果(大きさ及び方向)等、様々な情報を利用することができる。コントローラ30は、また、第2姿勢50B下の特徴60から検出された有歪部分の位置に関する主走査方向沿い位置情報を、ステップ220の画像生成動作で使用される副走査基準座標系に逆変換する。コントローラ30は、これら位置情報の処理に当たり、駆動システム22から供給される種々のエンコーダ情報を随時参照する。
そして、ステップ270にて記録装置10を再校正する。即ち、第1画像特徴60内歪に関する検出結果情報に基づき、新規な画像補正内容の画定又は従前の画像補正内容に対する調整を実行する。例えば、コントローラ30が検出結果情報に基づき諸歪の大きさ及び方向を求め、その歪の位置を示す副走査方向沿い位置情報にその結果を関連付ける。装置10の再校正が必要なほど歪が大きい場合、コントローラ30は、その歪の大きさ及び方向に応じ画像補正内容を調整する。例えば、特徴60の記録及びそこからの検出で判明した主走査性歪に従い、媒体支持器12のうちその歪に対応する領域における記録チャネル作動タイミングを調整する。特徴60から歪が検出された領域内に、次の画像中の画像生成所要領域が到来したとき、諸記録チャネル23は、この調整後の作動タイミングにて作動する。
記録装置10に対するこの再校正は、好適なことに使用時点で実行することができる。しかも、専用の校正装置を別途準備せずとも実行することができる。本実施形態では、更に、画像補正内容に施した調整の内容を示すデータを、コントローラ30がログ化して保存する。このログは、システム画質がより高まる条件の特定に役立つ。
なお、本方法200のステップ構成はその性質上例示的なものである。これとは諸ステップの実行順序が違う形態、別のステップが追加された形態、諸ステップの内容が異なる形態等でも本発明を実施することができる。例えば、第1画像特徴60の生成に先立ち第2画像特徴62を生成してもよい。生成、検出する画像特徴を1個(例えば第1画像特徴60)ではなく複数個にしてもよい。第1画像特徴60の代わりに複数個の画像特徴からなるパターンを生成し、第2姿勢50B下記録媒体17Bでの画像特徴位置ずれから歪を検出するようにしてもよい。第1画像特徴60の代わりに複数個の画像特徴からなるパターンを生成し、第2姿勢50B下媒体17Bでの画像特徴間隔ずれから歪を検出するようにしてもよい。特徴60,62それぞれの代わりに複数個の画像特徴からなるパターンを生成し、第2姿勢50B下媒体17Bでのパターン別画像特徴間隔ずれから歪を検出するようにしてもよい。
また、本発明の実施に当たり好適に取り扱える記録媒体17Bの寸法は、主走査軸26や副走査軸24に沿った媒体支持器12の寸法属性によって制限される。例えば、支持器12の周長が有限であるため、姿勢50A,50Bの双方で支持器12上に配置できる媒体17Bの寸法も有限となる。この制限への対策として、方法200に類する方法を支持器12沿いの様々な副走査方向沿い位置にて実行し、個々の副走査方向沿い位置に対応する領域での画像補正量を決定する、という形態を採ることもできる。
記録媒体17Bの姿勢50A・50B間回動角が図7A及び図7Cに示した角度と異なる形態にすることもできる。例えば、第1辺35Aが位置規制子25に接触する第1姿勢50Aから、その辺35Aから見て媒体17Bの対辺に当たる第2辺35Bが規制子25に接触する別の姿勢へと、媒体17Bの姿勢を変化させる形態である。この場合の回動角は約175〜185°の範囲内となろう。媒体17Bの透明度が高い場合は、画像形成済の面が円筒面13に接触することとなるよう媒体17Bを表裏反転させ、第1画像特徴60がセンサ52の検出域に入るよう支持器12を駆動した後、センサ52を副走査軸沿いの諸位置に送り、個々の位置で特徴60内歪を検出する、といった形態にすることもできる。これらの形態では、センサ52が辿る経路54に沿い特徴60内歪がほぼ鏡像的に反転されるため、特徴60に実際に生じている歪を約2倍化したものが歪として検出されることになる。
記録媒体17Bの姿勢を第1姿勢50Aとは別の姿勢にして第1画像特徴60とは別の画像特徴を記録するに当たり、当該別の画像特徴における歪発生が小さくなる姿勢(例えば姿勢50C)を以て当該別の姿勢とする形態にすることもできる。この形態では、媒体17Bの姿勢を、第1画像特徴60及び当該別の画像特徴が共に副走査軸24に対し略平行な方向に沿い延びる姿勢にすることで、主走査性歪をセンサ52で直接検出することが可能となる。この形態における歪検出は、センサ52を副走査軸24沿いに移動させつつ、第1画像特徴60の諸部分と当該別の画像特徴の対応する部分との間隔が期待間隔からどの程度ずれているかを検出することで、実行することができる。なお、媒体17Bを検出用の姿勢にしたとき、副走査軸24と、第1画像特徴60及び当該別の画像特徴が並ぶ方向との間に、多少の角度ずれがあっても差し支えない。
副走査性歪を検出する形態にすることもできる。その一例として、図7Dに、記録媒体17Cを媒体支持器12上に第1姿勢50Dで配置し、あるパターンをなすようその上に複数個の画像特徴63を記録する実施形態を示す。第1姿勢50Dは上述した第1姿勢50Aと同様のものである。本実施形態では、特徴63で一次元的又は二次元的なパターンが形成されるようにしている。そのパターンにおける特徴63の配列方向は、副走査軸24及び主走査軸26を基準に定められている。支持器12における媒体17Cの姿勢が第1姿勢50Dから別の姿勢へと変化すると、特徴63の配列方向も見かけ上変化する。特徴63によるパターンを例えば副走査軸24に対し略平行な1本のローに沿い特徴63が並ぶパターンとし、画像データ37Cに従い複数個の特徴63を記録した場合、それらの特徴63は例えばある目標間隔にて副走査方向沿いに略均一に並ぶのが理想である。しかし、副走査性歪が発生していると、図示の如く、特徴63間副走査方向沿い間隔が目標間隔に対し様々なずれを呈する。
パターンをなすよう画像特徴63を記録したら、図7Eに示す通り、記録媒体17Cの姿勢を第1姿勢50Dとは別の第2姿勢50Eに変化させた上で、特徴63同士の間隔の目標間隔からのずれを検出する。
記録媒体17Cを媒体支持器12上に第1姿勢50Dで配置したままパターン内画像特徴63間の間隔ずれをセンサ52で検出しないのは、そうした姿勢50Dで検出すると様々な検出誤差が生じるからである。例えば、キャリッジ18が図5Cの如くヨー運動している場合、そのヨー運動が原因で特徴63に生じる間隔ずれと同傾向の指向誤差が、キャリッジ18によって駆動されるセンサ52にも生じてしまう。支持器12における媒体17Cの姿勢を第2姿勢50Eに変化させることで、そうした指向誤差による検出漏れを減らすことができる。また、ここでは第2姿勢50Eとして上掲の第2姿勢50Bに類する姿勢を採用しているので、姿勢を第2姿勢50Eに変えると特徴63からなるローの方向、即ちパターンをなしている特徴63の配列方向が見かけ上略周方向沿い方向へと変化する。キャリッジ18の副走査方向並進に比べ、支持器12の主走査方向回動の方がずれの影響を受けにくいので、支持器12を回動させて個々の特徴63を動かしセンサ52で検出することで、特徴63間の間隔ずれを正確に検出することができる。なお、媒体17Cの姿勢を第2姿勢50Eにしたとき、特徴63のローが延びる方向(略周方向)と主走査軸26との間に多少の方向ずれがあっても差し支えない。
こうして間隔ずれを検出することで、その記録装置10で生じている副走査性歪を検出することができる。検出された副走査性歪は、キャリッジ18の動き例えば速度に対する調整による画像補正を通じ補正することができる。歪発生領域内の諸副走査方向沿い位置にてキャリッジ18の位置を調整することもできるが、本実施形態ではキャリッジ18の移動経路沿い諸点でキャリッジ18の速度を調整するようにしている。その際使用される諸点は、歪発生の際に記録ヘッド16が位置していた点に対応しており、上掲の諸実施形態で使用していたものと同様の手法に従いその位置を特定することができる。このように、本実施形態では、キャリッジ18の移動経路沿い諸点間でキャリッジ18の移動速度を僅かに変えること、検出された歪を克服することができる。
同じ画像スワスに属する画像特徴63同士の間隔ずれを検出する形態にて、本発明を実施することもできる。同一スワス内副走査性歪に比べスワス間副走査性歪が卓越している場合には、走査毎に特徴63を1個又は複数個記録し、別々のスワスに属する特徴63間の間隔ずれを検出する形態で、本発明を実施するとよい。
画像特徴63毎に位置の変化を調べ副走査性歪を検出する形態にて、本発明を実施することもできる。検出対象となった特徴63の位置を特定する際、駆動システム22からもたらされる種々のエンコーダ信号を援用することもできる。また、特徴63毎に寸法の変化を調べ副走査性歪を検出する形態にて、本発明を実施することもできる。例えば、所定の副走査方向沿い寸法に従い個々の特徴63を記録し、その寸法に生じたずれから歪を検出すればよい。目標寸法からのずれが生じるのは、例えば記録ヘッド16にヨー運動が生じた場合や、輸送器33の動きが乱れた場合である。
記録媒体17Cの姿勢を第1姿勢50Dとは別の姿勢にし、その姿勢で別の画像特徴を1個又は複数個発生させる形態にて、本発明を実施することもできる。画像特徴63と、第2姿勢50E下で媒体17Cに記録された別の画像特徴と、の間の間隔ずれを検出することで、歪を検出することができる。また、画像特徴63と、第2姿勢50E下で媒体17Cに記録された別の画像特徴と、の間に生じた主走査方向沿い間隔のずれを検出した上で、特徴63の副走査方向沿い位置ずれを検出する形態にて、本発明を実施することもできる。
画像特徴63からなるパターンを用い副走査性歪及び主走査性歪の双方を検出する形態にて、本発明を実施することもできる。媒体支持器12上に記録媒体17Cを第1姿勢で配置し画像特徴によるパターンを形成してから、支持器12における媒体17Cの姿勢を第1姿勢とは別の第2姿勢にし、対応する副走査性歪及び主走査性歪を検出すればよい。上掲の諸実施形態を任意に組み合わせたものも本発明の技術的範囲に属する。上掲の諸実施形態における画像補正、例えばキャリッジ18の動き調整や記録チャネル23の作動タイミング調整の実行タイミングは、その記録装置10による画像生成動作のうち後続の段階でも、キャリッジ18の移動中でもかまわない。
本発明を実施するに当たっては、諸画像特徴を、検出に適した任意の形態、寸法、形状乃至特性にすることができる。例えば、検出に適した種々の標的、位置規制子乃至位置基準子を画像特徴とし本発明を実施してもよい。
センサ52としては、画像特徴(群)に生じる種々の歪を検出可能な種々のセンサを使用することができる。光学素子でも機械素子でも電気素子でもかまわない。CCDセンサ、CMOSセンサ等の撮像デバイスをセンサ52として使用することもできる。画像特徴の諸部分を画像として捉えうる広さの視野を有する撮像デバイスを使用するのが望ましい。画像特徴の被検出部分の位置は、撮像デバイスから得られる種々の信号に基づき検出することができる。撮像デバイスの視野内にある画像特徴構成部分の主走査方向沿い位置や副走査方向沿い位置を、媒体支持器12やキャリッジ18の位置に関連する諸信号例えばエンコーダ信号との併用で検出することもできる。センサ52を、記録装置10とは別の装置の一部とすることもできる。
画像特徴の歪を検出する際、その画像特徴(群)の構成部分を照明器55で照明する形態にしてもよい。例えば、撮像デバイスで画像特徴(群)の構成部分を撮像する際、照明器55でその部分を照明する形態にすることができる。輻射方向を記録媒体17に向けた輻射源を照明器55として使用することで、生成された画像特徴と媒体17の境界部分との違いを際立たせることができる。センサ52によって検出される反射輻射の強度や方向の変化に基づき、画像特徴の特定部分を検出することもできる。照明器55としては、輻射源タイプのものを使用することも、輻射源兼検出器タイプのものを使用することもできる。照明器55としてLED光源やストロボ光源を使用することもできる。照明器55の実装先はキャリッジ18でも基台20でもよい。