本明細書では、脊椎の所定の部位を切断するための装置、システム及び方法を説明する。
概略的には、本明細書に記載の方法は、脊柱背面で(例えば、椎弓根、椎弓板又は脊柱の他の骨部位の)骨を2回切断することを含んでいる。切断は、同時に(例えば、並行に並べられ得る2個の切断要素を有する装置を用いて)又は順次行われてもよい。方法は、標準的には、目標骨部位の周辺にガイドワイヤを送達することから始められる。ガイドワイヤは、第1の箇所から身体の中へ入れられ、目標骨の周囲に、そして、第2の箇所で身体の外へ送られる。ガイドワイヤは、ガイドワイヤの挿入時にガイドワイヤを誘導することができる1つ又はそれ以上の針、カニューレ等を用いて配置されてもよい。この方法は、先述の参考文献に包含される特許の多くに記載されている。ガイドワイヤの遠位端部は、尖っていてもよく、これによって、ガイドワイヤが近位端部から押し出される際に組織を貫通することができる。ガイドワイヤの近位端部は、切断線鋸等の切断装置の遠位端部としっかりと(及び取り外し可能に)つながるように作られてもよい。
ガイドワイヤを切断する目標骨の周囲に送った後、電極又は他の神経位置確認装置(その全体を援用している先述の参考文献の幾つかに記載されるような)を使用して、ガイドワイヤと切断される骨との間に神経(例えば、脊髄神経)がないことを確認し得る。例えば、(比較的に平らで可撓性を有する外形の)リボン状の神経位置確認装置の遠位端部は、ガイドワイヤ連結部材を介してガイドワイヤの遠位端部と連結され、骨の周囲の所定の位置へ引き入れられ、その後、神経位置確認装置の1つ又は複数の表面の上で電極に電流を流すことによって刺激されることで、神経の存在がないことを確認してもよい。目標骨と神経位置確認装置との間に神経が存在する場合、ガイドワイヤを移動及び再配置して、検出工程を繰り返すことができる。他の神経位置確認方法又は装置を使用してもよく、神経位置の目視による検出/確認、電気インピーダンス測定による検出、超音波等が挙げられる。
ガイドワイヤを、骨を切断する切断要素が通るべき所望の経路に配置すると、次に、ガイドワイヤを用いて保護要素(例えば、カバー、シールド等)を所定の位置に引き入れることで保護要素を配置し得る。幾つかの変形例では、神経位置確認装置は、シールド又はカバーとして構成されている。例えば、シールド又はカバーは、平らで、薄い、可撓性を有する細長い(例えば、リボン形状の)本体で、ガイドワイヤを使用して配置することができるものであってもよい。保護要素は、ガイドワイヤ用チャネル又は通路を含んでいてもよい。幾つかの変形例では、保護要素の遠位端部をガイドワイヤと連結した後、ガイドワイヤを使用して保護要素を所定の位置に引き入れる(例えば、遠位方向に引く)ことができ、その後、ガイドワイヤを近位方向に押し進めることで、ガイドワイヤの近位端部は、患者の体外へ伸張して戻され、第2の要素(例えば、切断要素)と連結することができ、その間、保護装置の遠位端部は、所定の位置にとどまっている。幾つかの変形例では、第2のガイドワイヤを組織の中を通る同じ又は並行する経路に沿って送ることで、切断要素等の追加の要素を配置してもよい。保護要素の中/上のチャネルがこれを支援してもよい。或いは、幾つかの変形例では、保護要素を、遠位端部で連結するのではなく、ガイドワイヤの表面に配置してもよい。
切断される目標骨の周囲の経路が(幾つかの保護される変形例において)決定されれば、次に、切断工具をガイドワイヤの端部と連結し、ガイドワイヤを引いて切断工具(例えば、線鋸)を所定の位置へ引き入れることで、線鋸等の切断工具を配置してもよい。切断工具は、例えば、骨を切断する装置の近位端部及び遠位端部の両方で引くことによるように、双手で使用し得る、随意的に薄く、可撓性を有するようにされる切断工具である。切断装置の実施例は、切断装置を往復式の切断装置を含んでおり、その幾つかの実施例を下文で説明する。切断要素は、研削材(例えば、研削表面を有する)であってもよい。切断要素は、当外技術で公知の、ギグリー線鋸等の線鋸であってもよく、これは、本明細書に記載するような使用に適している。切断要素は、機械的なカッターに限定されない。他の切断要素として、電気的切断要素、温度的(熱)切断装置等を含んでいてもよい。
幾つかの変形例では、別個のガイドワイヤを用いずに、切断要素が、ガイドワイヤとして機能している。例えば、切断要素は、遠位端部に一体化されたガイドワイヤを含んでいてもよい。幾つかの変形例では、ガイドワイヤは、切断要素として作られてもよい。
目標組織の周囲に配置されれば、切断要素の端部を手動で又は支援装置を使用して把持してもよく、切断要素を、作動させて(例えば、手動の往復運動で)骨を切断することができる。骨の切断は、標準的には、骨を完全に切断することを意味している。切断要素がガイドワイヤに連結される変形例では、ガイドワイヤの遠位端部を引いて切断要素を往復運動させてもよい。
ガイドワイヤの手動往復運動は、患者の体外から行ってもよい。引く方向及び/又は往復運動の方向は、意図する切断方向に基づくようにされ得る。例えば、切断が脊椎に対して横方向に伸張するように骨(例えば、関節突起又はSAP)を横方向に切断することが望ましい場合、患者から伸張する切断要素の近位及び遠位端部(又はガイドワイヤ又は患者から伸張していて把持して装置を操作することができる切断要素に接続された他のワイヤの部分)を引くことで、結果的には、或る角度で2つの端部を引くことによって印加される力のベクトルが概ね横方向を指すことになる。一般的には、本明細書で記載するような可撓性ワイヤシステムを用いた切断の方向は、可撓性切断要素の端部がその両端部から引かれる時に生じる力のベクトルによって決定されるであろう。引き力は、相互に加えられてもよく、例えば、切断要素を組織に当てて往復運動させる。
幾つかの変形例では、切断要素を脊椎に当てて往復運動させる際に、支援又はガイド要素を使用して切断要素の配置を助けてもよい。例えば、支援装置又はガイドは、切断要素を組織に押し当てることができ、切断方向を制御することに役立っている。
本明細書に記載の方法は、2つ又はそれ以上の骨部位を同時に切断することが可能なように構成された装置を含んでいてもよい。例えば、骨を切断する装置は、所定のスペーサ又は空間によって離されている2つの平行な切断要素を含んでいてもよい。切断要素の遠位及び近位端部位は、接続されているので、装置の端部を往復運動させることが両方の切断要素の往復運動を引き起こすことになる。述べたように、切断要素は、標準的には可撓性を有しており、骨と接触する時又は位置決めの間であってさえ、所定の間隔だけ離れた状態であり続けるように接続されてもよい。例えば、2つの平行な切断要素は、約4mmと16mmとの間又は約6mm−14mmの間又は約8mm−15mmの間の距離だけ離れていてもよい。2つの(又は幾つかの変形例では、2つより多い)切断要素は、装置の長軸(長さ)に沿って並べられている。幾つかの変形例では、切断要素は、ほぼ平行である又は実質的に平行であってもよい。幾つかの変形例では、切断要素は、平行ではなく、例えば、切断面は、相互に対して幾らか角度を成していてもよく、装置は、切断刃の間の距離を様々なものにすること又は変更することが可能なように構成され得る。
骨の一部を除去するための2つ又はそれ以上の切断を順次(並行してではなく)行う変形例では、方法は、骨の第1の部分を切断することと、次に切断要素を組織から除去することなく切断要素を第2の切断の開始に移行させることを含んでいる。従って、骨を除去するための切断は、両方ともに、切断要素を除去することなく行うことができる。可撓性要素(例えば、ワイヤ)を身体から除去する必要なく骨の或る区分を完全に切除できることは、本明細書に記載の方法の1つの利点である。
上述のように2つの切断を順次行う時、切断要素の中間部(例えば、骨の周囲のループ状の部位)を所望の第2の切断位置の骨の周囲の所定の位置へ押し入れる、引き入れる、又は他の方法で案内するために、追加的な位置決め装置を使用してもよい。例えば、線鋸を使用してSAPを横方向に切断し、次に、SAPを完全に切除した後、組織の中で切断要素の湾曲部分を第2の箇所へ押し進める又は摺動させることで、所定の位置へ移動させることができる。このような実施例を下文に示す。位置決め装置は、切断要素のループを押す又は把持するように構成された遠位端部を有する剛性を有した又は堅固な部材であってもよい。切断されている骨は、除去されるので、幾つかの実施形態では、処置には、骨を露出させるために組織を切断するステップが含まれる。1つ又はそれ以上の探針を切断部の中へ挿入して、所望の組織の周囲にループをかけた時点で、操作装置を使用してどちらか一方のワイヤを配置する又は切断される骨の周囲にガイドワイヤを送るために探針を配置するのに使用してもよい。
切除された骨部位を除去するために、骨の中に開口部を形成してもよいが、ガイドワイヤを別の(更に低侵襲性の)アクセス点から目標の骨の周囲へ送れれば有益であり得る。従って、骨を除去するための組織の中への切り込みは、比較的に小さく(例えば、切除された骨を取り出すだけであれば十分な大きさ)保つことができ、線鋸用の別の経路は、線鋸が往復運動される方向に組織を貫通して形成され得る。他の変形例では、処置は、骨の部位を実質的に「覆われていない状態で」露出させ、ガイドワイヤ及び/又は切断要素の端部を操作することで必要に応じて所望の角度で切断し骨を除去することができるようにすることで行われ得る。
幾つかの変形例では、本明細書に記載の方法は、具体的には、ケージ又はスペーサ等の装置の挿入を可能にするために、脊椎間関節突起の部位を切断する(例えば、上関節突起の片側を切断する)のに適している。1つの処置の具体的な実施例及び処置を行うのに使用し得る装置の変形例、更に当該装置を含むシステム、を下文で説明する。幾つかの変形例では、本明細書に記載の方法及び装置は、骨切り術を行うために骨を切断するのに適している。例えば、脊柱側弯を軽減する手術では、脊椎の歪み矯正に役立つように骨の一部を除去している。幾つかの変形例では、本明細書に記載の方法及び装置は、棘突起、横突起又は骨の他の適した部分を切断するのに適している。
更に、本明細書では、組織を改造するための改良された装置及びそれらを使用する方法を説明する。これらの装置は、組織を改造するためのシステムの一部分として含まれてもよい。本明細書に記載の組織改造装置は、標準的には、細長い、可撓性を有する長さ及び可撓性要素と連結された組織改造要素を含んでいる。可撓性要素は、可撓性要素の少なくとも一部を第1の幅から第2の幅まで拡張させる拡張機構を含んでいてもよい。組織改造装置は、これらの特性を任意で組み合わせたものの1つ又はそれ以上を含んでいてもよい。
本明細書に記載の組織を改造するための方法は、以下のステップ、即ち、第1の幅を有する細長い、可撓性要素を挿入するステップと、可撓性要素の一部が目標組織に隣接するまで可撓性要素を前進させるステップと、目標組織に隣接する可撓性要素の少なくとも一部を第2の幅まで拡張するステップと、可撓性要素を用いて目標組織を改造するステップと、の1つ又はそれ以上を含んでいてもよい。
説明している組織を改造するため方法は、代替的に、以下のステップ、即ち、第1の細長い、可撓性要素を第1の箇所で患者の体内へ挿入するステップと、可撓性要素の一部が目標組織に隣接するまで第1の可撓性要素を前進させるステップと、第2の細長い、可撓性要素を第2の可撓性要素から或る距離だけ離れた第1の箇所で患者の体内へ挿入するステップと、可撓性要素を用いて目標組織を改造するステップと、の1つ又はそれ以上を含んでいてもよい。
軟組織(例えば、黄色靭帯等)及び硬組織(例えば、骨)等の組織を改造するために、本明細書に記載の装置の何れかを組織減圧(例えば、脊椎減圧術)方法の一部として使用してもよい。具体的には、これらの装置を脊椎孔の中で脊椎減圧技法の一部として使用してもよい。
本明細書に記載の装置は、それぞれの出願の全体を参考文献としてここに援用する、以下の特許出願及び仮特許出願、即ち、米国特許出願第11/250,332号「組織の選択的な外科的除去のための装置及び方法」(2005年10月15日出願)、米国特許出願第11/251,199号「組織アクセスのための装置及び方法」(2005年10月15日出願)、米国特許出願第11/375,265号「組織改造のための方法及び器械」(2006年3月13日出願)、米国特許出願第11/405,848号「機械的な組織改造装置及び方法」(2006年4月17日出願)、米国特許出願第11/429,377号「可撓性組織用石目やすり」(2006年5月4日出願)、米国特許出願第11/538,345号「関節組織切断装置」(2006年10月3日出願)、米国特許出願第11/687,548号「少なくとも一部が可撓性である装置を用いた組織除去」(2007年3月16日出願)、米国特許出願第11/687,558号「可撓性組織除去装置と方法」(2007年3月16日出願)、米国特許出願第11/870,370号「経皮的脊椎狭窄治療」(2007年10月10日出願)及び米国特許出願第12/127,535号「脊椎狭窄を治療するためのガイドワイヤ交換システム」(2008年5月27日出願)、の何れかにおいて以前に記載されたものを含む、ガイドベースのアクセス及び減圧術用システムの一部として使用してもよい。
特に、本明細書に記載の装置は、装置を所定の位置へ引き入れる及び/又は張力を掛けることで、装置を組織に押し当て、それによって、組織を改造することができるように構成された、ガイドワイヤベースのシステムとして使用することができる。この構成は、両端部(例えば、装置の近位端部及び遠位端部)に張力を掛ける又は引くことで組織を改造することができるという理由から、双手システムと呼ぶことができる。組織は、組織を除去又は平滑化することで改造され得、作業面(例えば、横桟上の鋸刃)が1つ又はそれ以上の表面と接触するように本明細書に記載の装置を引いて組織を貫通させることで行われ得る。
更に、本明細書では、組織を患者から除去するための組織改造装置を送達させるための送達装置を説明する。幾つかの実施形態では、装置は、第1の刃と第2の刃によって画定される幅を有するリボン形状の可撓性を有する細長い本体を含んでいる。幾つかの実施形態では、第1及び第2の刃は、実質的に平行である。装置は、更に、第1の細長い切断部材を受けるように構成され、細長い本体の長さの一部に沿って配列され、細長い本体の第1の刃の方向に配置された第1のチャネルと、第2の細長い切断部材を受けるように構成され、細長い本体の長さの一部に沿って配列され、細長い本体の第2の刃の方向に配置された第2のチャネルと、を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、装置は、更に、細長い本体の遠位端部位にガイドワイヤカプラを含んでいてもよい。
幾つかの実施形態では、第1の可撓性を有する細長い切断部材を、第1のチャネルの中に配列し、及び/又は第2の可撓性を有する細長い切断部材を、第2のチャネルの中に配列している。
更に、本明細書では、組織を患者から除去する組織改造装置を送達するための方法を説明する。幾つかの実施形態では、方法は、細長い、可撓性シールドを第1の箇所で患者の体内に挿入するステップと、シールドの一部が目標組織に隣接するまでシールドを前進させるステップと、第1の切断要素の一部が目標組織に隣接するまで、第1の細長い、可撓性切断要素をシールドから挿入するステップと、第2の切断要素の一部が目標組織に隣接するまで、第1の切断要素から或る距離だけ離して且つ第1の切断要素と実質的に平行に、第2の細長い、可撓性切断要素をシールドから挿入するステップと、可撓性要素を用いて組織を改造するステップと、を含んでいる。
幾つかの実施形態では、方法は、第1の切断要素の一部が目標組織に隣接するまで、第1の細長い、可撓性切断要素を挿入するステップと、細長い、可撓性シールドを患者の体内へ前進させるステップであって、シールドの一部を、第1の細長い、可撓性切断要素の表面で前進させるステップと、第2の切断要素の一部が目標組織に隣接するまで、第1の切断要素から或る距離だけ離して且つ第1の切断要素と実質的に平行に、第2の細長い、可撓性切断要素をシールドから挿入するステップと、可撓性要素を用いて組織を改造するステップと、を含んでいる。幾つかの実施形態では、方法は、切断要素を患者の体内の所定の位置に残しながら、シールドを患者から除去するステップを更に含んでいる。
幾つかの実施形態では、患者の体内で組織を切断するための組織改造部位を有する双手で制御される組織改造装置は、組織改造部位の長さに沿って伸張する一対の可撓性を有する細長い切断部材を含んでいる。それぞれの細長い切断部材は、或る厚さを有していてもよく、それぞれの細長い切断部材は、切断部材の厚さより大きい深さに達する個別の溝を組織の中へ切り込むように構成され得る。幾つかの実施形態では、装置は、装置の組織改造部位の遠位部にあるガイドワイヤカプラを含んでいる。ガイドワイヤカプラは、例えば、ガイドワイヤの近位端部で、ガイドワイヤと連結されるように構成され得、組織改造部位は、近位ハンドル又は装置に接続されたハンドルを、又は装置の遠位端部と連結されたガイドワイヤを、引くことで作動され得る。幾つかの実施形態では、組織改造部位は、近位ハンドル及び遠位ハンドルを使って作動されるように構成されている。幾つかの実施形態では、ガイドワイヤカプラによってガイドワイヤの近位端部位を装置に対して静止状態に保ちながら、ガイドワイヤを引くことで組織改造部位を所定の位置に引き入れることができるように、ガイドワイヤカプラは、装置を取り外し可能にガイドワイヤの近位端部位に取り付けることができるように構成されている。或いは、幾つかの実施形態では、装置は、組織改造装置の遠位端部にある可撓性ガイドを含んでおり、ガイドは、ガイドを引くことで組織改造部位を所定の位置へ引き入れることができるように構成されている。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの切断部材は、切断ワイヤを備えていて、更に、幾つかの実施形態では、少なくとも1つの切断部材は、ギグリーワイヤ又はワイヤの長さに沿って螺旋状切断刃を有する細長いワイヤを備えている。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの切断部材は、ケーブルの長さに沿って分散して配置された鋸刃先を有する細長いケーブルを備えている。
幾つかの実施形態では、装置は、組織改造部位の細長い切断部材と連結されたスペーサを備えており、スペーサは、切断部材を相互に離れた状態に一時的に保持するような大きさ及び構成になっている。幾つかの実施形態では、スペーサは、細長い、可撓性を有するリボン形状の基材を備えており、幾つかの実施形態では、スペーサは、スペーサの外縁部位の方向にある、切断部材をスペーサの外縁部位に一時的に固定するように構成されたカプラを含んでいる。幾つかの実施形態では、スペーサは、細長い切断部材の長さに沿って摺動するような大きさ及び構成になっている。
幾つかの実施形態では、装置は、複数の可撓的に接続された横桟を更に含んでおり、それぞれの横桟は、少なくとも一部で装置の幅に亘って伸張している。幾つかの実施形態では、横桟は、装置の組織改造部位に対して近位部と遠位部とにある。幾つかの実施形態では、装置は、横桟に隣接するコネクタ結合を更に含んでいる。幾つかの実施形態では、コネクタは、少なくとも1つのケーブルを含んでいてもよく、幾つかの実施形態では、ケーブルは、第1の細長い部材と第2の細長い部材を形成していてもよい。
一般的には、患者の体内の組織を切断するための双手で制御される組織改造装置は、装置の細長い長さに沿って伸張する一対の可撓性を有する、細長い切断部材と、切断部材の間に配置され得るスペーサと、を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、スペーサは、2つの内の1つのモードで作動するような大きさ及び構成になっており、即ち、第1のモードでは、スペーサは、切断部材と連結されていて、そのため、スペーサが、2つの切断部材のそれぞれの一部を装置の幅に亘って相互に或る距離だけ離れた状態に保持しており、第2モードでは、スペーサの少なくとも一部が切断部材から離れる方向に動かされ、切断部材が組織の中へ更に切り込んでいくことが可能になる。第1のモードでは、1つ又は複数のスペーサは、切断部材と同一平面にあってもよく、一方、第2のモードでは、1つ又は複数のスペーサは、同一平面から逸れていてもよい。
幾つかの実施形態では、細長い切断部材は、実質的に相互に平行である。幾つかの実施形態では、第2のモードにあるスペーサは、切断部材の平面以外に配置されている。装置は、組織改造装置の遠位端部位にあるガイドワイヤカプラを含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、第2のモードにあるスペーサは、切断部材のそれぞれが、切断部材の厚さより大きい深さまで組織の中へ切り込むことができるように配置されている。幾つかの実施形態では、スペーサは、スペーサが第1のモードにある間、スペーサを切断部材と連結するように構成されたカプラを更に備えている。幾つかの実施形態では、スペーサは、切断部材がカプラを切断すると第1のモードから第2のモードへ移行する。幾つかの実施形態では、スペーサは、カプラが細長い切断部材の長さに沿って摺動するにつれて第1のモードから第2のモードへ移行する。スペーサは、任意の適切な数だけ使用してもよい。同じ装置が異なる型又は構成のスペーサを使用してもよい。
幾つかの実施形態では、カプラは、変形可能材料が変形し、スペーサの一部が切断部材に対して動いてゆくにつれてスペーサが第1のモードから第2のモードへ移行するような大きさ及び構成になっている、変形可能な材料であってもよい。幾つかの実施形態では、装置は、更にばねを含んでいて、ばねは、スペーサが第1のモードから第2のモードへ移行する際に拡張するように構成されている。幾つかの実施形態では、切断部材は、スペーサが第1のモードにある間、第1の深さまで組織の中へ切り込むような、また、スペーサが第2のモードにある間、第2のより大きい深さまで組織の中へ切り込むような、大きさ及び構成になっている。幾つかの実施形態では、切断部材は、近位ハンドル及び遠位ハンドルによって作動されるように構成されている。切断部材は、往復運動することができ、例えば、遠位ハンドルを用いて遠位方向に引かれ、近位ハンドルを用いて近位方向に引かれ得る。
一般的には、組織を改造する方法は、細長い、可撓性組織改造装置を目標組織の少なくとも一部の周囲に送るステップと、装置の少なくとも一方の端部から組織改造装置を引くことによって装置の組織改造部位を目標組織に当てて動かすステップと、組織改造部位の細長い長さに沿って伸張する一対の可撓性を有する細長い切断部材を用いて2つの個別の細長い溝を組織の中へ切り込むステップと、を含んでいてもよい。例えば、細長い切断部材は、或る厚さ(例えば、約0.01cmから約5cmの間)を有していてもよく、細長い溝のそれぞれは、切断部材の厚さより大きい深さまで切り込まれてもよい。幾つかの実施形態では、細長い溝は、それぞれ、1cmより大きい深さを有している。幾つかの実施形態では、細長い溝は、それぞれ、2cmより大きい深さを有している。幾つかの実施形態では、細長い溝は、実質的に相互に平行である。
述べたように、溝は、標準的には個別になっており、相互に離れている。幾つかの変形例では、溝は、装置が組織(例えば、骨)の中へ切り込み続ける間に結合しても又は交わってもよい。溝の間の間隔は、所定のもの(例えば、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm等)であってもよく、切断装置上の切断要素間の間隔に対応し得る。
幾つかの実施形態では、方法は、更に、目標組織を除去するステップを含んでいる。目標組織は、椎間関節の少なくとも一部を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、組織改造装置を目標組織の周囲の少なくとも一部へ送るステップは、ガイドワイヤを目標組織の周囲の少なくとも一部へ送ることと、ガイドワイヤを使用して目標組織の周囲にある可撓性組織改造装置を引くことと、を備えている。幾つかの実施形態では、切断ステップは、スペーサによって相互に或る距離だけ離れた状態に保持された一対の可撓性を有する細長い切断部材を用いて組織の中へ第1の深さまで溝を切り込むステップと、一対の可撓性を有する細長い切断部材を用いて組織の中へ第2のより大きい深さまで溝を切り込むステップと、を含んでいる。
スペーサは、第2の、より大きい深さまで溝を切り込む前に切断部材に対して動かされてもよい。幾つかの実施形態では、方法は、スペーサが動いて切断部材から離れる際にスペーサを用いて切断された組織を集めるステップを含んでいる。組織改造装置を組織に当てて動かすステップは、組織改造装置の近位端部及び遠位端部の両方に張力を掛けて、組織改造装置を組織に当てて同時に或いは順次に駆動する(例えば、往復運動させる)ステップを備えていてもよい。
幾つかの実施形態では、方法は、溝を切断する間、切断部材の少なくとも1つを用いてカプラを切断するステップを含んでおり、カプラは、スペーサを切断部材と連結している。幾つかの実施形態では、方法は、カプラがスペーサを切断部材と連結している所で、溝を組織の中へ切り込む間、切断部材の少なくとも1つをカプラから取り外すステップを含んでいる。幾つかの実施形態では、切断ステップは、遠位ハンドルを用いて組織改造部位を遠位方向に引き、近位ハンドルを用いて組織改造部位を近位方向に引くことによって、装置の組織改造部位を目標組織に当てて往復運動させるステップを更に含んでいる。
本明細書においては、骨及び/又は軟組織等の脊椎組織、特に脊柱背面の脊椎骨を、骨の周囲に送ることのできる可撓性切断要素を使用して切断するための装置、システム及び方法を説明する。幾つかの実施形態では、これらの装置、方法及びシステムを、切り込みの間に切断要素を取り外す必要なしに、実質的に平行な2つの切り込みを組織に入れるのに使用してもよい。本明細書に記載の方法、装置及びシステムを、椎弓切除術、椎弓切開術、脊椎関節突起切除術、椎弓根切除術等の、脊椎骨又は関節の完全な又は部分的な除去を含む脊椎外科手術の一部として使用してもよい。
図1Aから図1Dは、説明しているような骨を切断するためのシステムの一部として使用され得る様々な要素を図解している。図1Aは、ガイドワイヤを使用して別の装置を所定の位置へ引き入れることができるように、別の装置の遠位端部と連結するように作られたガイドワイヤ100を示している。ガイドワイヤの遠位端部101は、尖っていてもよく、近位端部は、連結継手102(例えば、ボール又は連結部材が捉えることができる他の広がった部位)を含んでいてもよい。
図1Bは、軟組織(例えば、靭帯)及び/又は骨等の組織を切断する研磨表面を有する切断ワイヤ103等の細長い切断部材の1つの変形例を示している。当該鋸線(例えば、既存のギグリー線鋸)は、ガイドワイヤと共に使用するのに適している。例えば、鋸の遠位端部は、ガイドワイヤ連結部104を含んでいてもよい。幾つかの変形例では、ワイヤは、薄い又は平たいものである。任意の適切な鋸又は切断要素を使用してもよく、それには、往復運動又はエネルギーを加えることで切断するものが含まれる。
図1Cは、可撓性を有するリボン状の神経位置確認装置105の1つの変形例を図解している。装置の遠位端部106は、実質的に平たくなっており(図からは見て取れないが)、すぐ隣にある場合には、神経又は神経組織に刺激を与えることができるように表面沿いに1つ又はそれ以上の電極107を備えた平たい側部を有している。
図1Dは、所定の距離(例えば、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm等)だけ離れた2つの平行な切断ワイヤ108を有する骨鋸装置の別の変形例を図解している。装置の遠位端部は、ガイドワイヤ100と連結するように構成されてもよい。或いは、装置は、どの様な追加的なガイドワイヤ/カプラも必要としないように、装置の遠位端部に一体化された可撓性ガイド部位109を有していてもよい。例えば、示している可撓性ガイド部位109は、可撓性ガイド部位109の少なくとも一部が可撓性を有していることを明示する曲線的な形状を有している。遠位部分は、少なくとも一方向性の可撓性を有していて、それにより、遠位部分は、目標組織の周囲に巻きつくことができ、同時に、遠位端部が座屈せずに組織を貫通し得る十分なコラム強さを有していることが望ましい。幾つかの実施形態では、遠位端部は、組織を貫通及び/又は穿通するように構成された尖った遠位先端部を有していてもよい。様々な実施形態では、可撓性ガイド部位109は、円形、卵形、楕円、平面、上反り平面、長方形、正方形、三角形、対称又は非対称性、の形状の1つ又はそれ以上を有していてもよい。遠位可撓性ガイド部位109は、先細になっていて、患者の皮膚の小さい切開部を通過し、更に狭い空間の中へ入る又は狭い空間を通過することを円滑にするようになっていてもよい。遠位可撓性ガイド部位109は、患者に作られた第1の切開部を通り抜け、目標組織と非目標組織との間を通り、患者に作られた第2の切開部から外へ伸張するのに十分な長さになっている。幾つかの実施形態では、遠位端部は、刺激部位の近位端部の周囲から、患者の体外まで伸張し、患者の体外では使用者及び/又は遠位ハンドルが把持することができるように、7.62センチメートル(3インチ)より長い又はそれに等しい長さを有していてもよい。幾つかの代替的な実施形態では、遠位端部は、25.4センチメートル(10インチ)より長い又はそれに等しい長さを有していてもよく、更に、幾つかの他の代替的な実施形態では、遠位端部は、40.64センチメートル(16インチ)より長い又はそれに等しい長さを有していてもよい。或いは、遠位可撓性ガイド部位109は、第1の切開部を通り抜け、目標組織と非目標組織との間を通り、患者の体内の固着箇所まで伸張するのに十分な長さになっていてもよい。
本明細書に記載するような切断ワイヤ108は、切断ワイヤの幾つかの変形例の1つであってもよい。幾つかの実施形態では、切断ワイヤは、2.54センチメートル(1インチ)の千分の5から50の範囲の外径を有していてもよい。1つの線鋸は、異なるピッチで相互に巻き付きあう複数のワイヤを含んでいてもよい。図2に示すように、第1の直径を有するワイヤ202は、第2の直径を有するワイヤ201に巻き付いていてもよい。示すように、第1の直径は、第2の直径より小さくてもよい。図2は、ギグリー切断ワイヤの1つの実施例を図解している。或いは、図3A−図3Dで示すように、組織改造装置の切断ワイヤは、幾つかの代替的な実施形態の1つであり得る。例えば、図3Aで示すように、切断ワイヤは、従来式のギグリー線鋸の第2の実施形態であってもよい。ギグリー線鋸は、標準的には、第2の直径を有する第2のワイヤに巻き付いた第1の直径を有する第1のワイヤで作られている。標準的には、第2の直径は、第1の直径より大きくなっているが、代替的には、それらは、図3Aで示すように実質的に同じ直径を有していてもよい。幾つかの実施形態では、第1及び第2のワイヤでできた第1セットが、第1及び第2のワイヤでできた第2セットに巻き付いていてもよい。或いは、図3Bで示すように、切断ワイヤは、ワイヤの長さに沿って、螺旋又は渦巻状刃先を含むように機械加工された1つのワイヤを含んでいてもよい。このワイヤは、ワイヤの長さに沿って渦巻又は螺旋状の溝を切削することで機械加工されてもよい。図3C及び図3Dで示すように、切断ワイヤは、ワイヤの束を巻き付けることで形成されてもよい。例えば、図3Dの断面で示すように、切断ワイヤは、3×3構造を備えていてもよい。この実施形態では、先ず、3つのワイヤを相互に巻き付けあってワイヤの第1の束を作っている。次に、3セットのこれらの3つのワイヤの束を、相互に順次巻き付けあう。図3Cの断面で示すように、最初に3つのワイヤをまとめて巻き付けるのではなく、6ワイヤをまとめて巻き付けてワイヤの束を作ってもよく、その後3セットの6ワイヤの束をまとめて3×6構造を形成する。それぞれの6ワイヤセットは、1つのワイヤ位置を空にしたまま7ワイヤセットを形成するように形成されてもよい。
図4で示すように、組織改造装置400は、組織改造部分401、遠位端部402及び近位端部403を含んでいる。組織改造部分は、骨及び/又は軟組織を切断するように構成された線鋸を含んでいてもよい。遠位端部402は、ガイドワイヤカプラを含んでいてもよい。近位端部403は、可撓性組織改造部位401より高い剛性を有していてもよい。近位端部は、組織改造装置を把持する、配置する及び/又は往復運動させるのに使用される近位ハンドルと連結されてもよい。
手術中、上述の装置は、図5−図6Bで図解されるような、骨切断用システムの一部として使用されてもよい。この実施例では、椎間関節突起は、横方向に切断されており、例えば、TLIF処置の一部として使用されてもよい。図5は、この方法の概要を示している。この実施例では、骨を切断する2つの切り込みが順次行われる。この処置に望ましいように椎間関節を切断するために、最初に、ガイドワイヤの一部を、切断される上関節突起(SAP)500の周囲に/上関節突起に当てて配置する。ガイドワイヤは、ガイドワイヤが第1の位置(A)から横方向に進入して孔を通りぬけSAP500の周囲を通過し、第2位置(A’)で脊椎から離れる(更に患者から抜け出る)ように、1つ又はそれ以上の探針又はカニューレを使用して配置されてもよい。ガイドワイヤが配置されると、ガイドワイヤは、神経位置確認装置を引き入れ、切断される骨とガイドワイヤの経路との間に神経(脊髄神経又は神経根)がないことを確認するのに使用され得る。神経が骨と経路との間にないことが確認された後、切断要素(例えば、線鋸1B)は、所定の位置へと引き入れられ、その結果、線鋸の遠位端部及び近位端部の両方が患者から抜け出て、(後方方向に)引きあげられ且つ横方向に往復運動されることで、図5の点線501で示されるようにSAPを切断し得る。
SAPが鋸によって切断されれば、次に、鋸は、椎弓板を抜けて第2の切断のために配置され得る。随意的に、切断が行われる前及び線鋸がこの箇所まで動かされる前、椎弓板は、骨鉗子又は他の装置(例えば、椎弓切開術を組織する)で椎弓板502の一部分を切り込む又は咬み取ることで準備されてもよい。例えば、図5では、点線部位は、椎弓板に部分的な窓を形成するために咬み取られてもよい区域502を示している。これらの処置が行われた後、切断要素(線鋸)は、頭方向に動かされ(図5の向きでは下方へ)、ワイヤの端部は、頭方向に(中心脊椎軸を横切って)伸張する。従って、鋸Bの一方の端部は、椎弓板に形成された切り込み又は窓の中に存在していて、他方の端部B’は、孔に沿って移動する。必要に応じて、例えば、ガイドワイヤを近位方向に引き込み、切断要素素を除去し、神経位置確認装置を取り付けることで、再び、神経位置確認装置を使用して神経がこの位置から切断されないことを確認し得る。最終的には、切断要素を往復運動させて、点線503に沿って椎弓板の部分部位を切断することができる。この後、骨の切断された部分を除去し、要望に応じて他の処置を行ってもよい。
2つの平行なワイヤを含む実施形態では、椎間関節突起又は目標組織の縫合を1つのステップに短縮し得る。例えば、椎間関節突起切除術を行うために、装置を尾方椎弓根のちょうど頭方部で展開してもよい。平行なワイヤは、所望の幅で保持され得る又はワイヤは、所望の幅に広げ得る。所望の幅は6mmから15mmの範囲であってもよく、例えば、椎骨の間に挿入される椎体間装置によって決まる。幾つかの変形例では、頭方のワイヤを、所望の幅に広げ得る。次に、組織を横切って装置を往復運動させ、少なくとも一部の幅の椎間関節を切断及び除去し得る。装置の近位端部(近位ハンドル)を引く、及び装置の遠位端部(例えば、遠位ハンドル及び/又は、又はガイドワイヤ)を引く、を交互に行うことで、装置を往復運動させることができる。一方の端部を引くと、他方の端部も引かれ得るので装置全体の張力が維持される。
図6A及び図6Bは、上述のステップの代替的な図を示している。例えば、図6Aは、SAP600(点線601)を切断するステップと、椎弓板を咬み取る/窓602を形成するステップと、切断要素を尾方向(矢印603)に動かし、部分(点線604)を切断するステップと、を示している。図6Bは、脊椎の断面図を示しており、SAPの切断を表している。示すように、切断ワイヤ600は、孔を通ってSAP(図示せず)の周囲に配置されている。ワイヤは、往復運動され、矢印の方向に引かれることでSAPを切断するであろう。
上述のように、本明細書に記載の何れの椎間関節処置でも、椎間関節突起(例えば、上関節突起及び/又は下関節突起)の全体又は一部を切断し得る。例えば、椎間関節を融合する又は準備するための処置は、特にTLIF(経椎間孔腰椎椎体間融合)処置のための椎間関節突起切除術を含んでいてもよい。処置は、骨を鋸引きするように構成された椎間関節治療装置を含んでいてもよい。例えば、装置は、前述のような引きワイヤと連結するように構成された遠位端部を含む、1つ又はそれ以上のケーブル型鋸を含んでいてもよい。述べたように、引きワイヤを椎間関節の下に設置するのに、1つ又は複数の探針を使用してしてもよい。次に、双手で制御して、椎間関節改造装置を引き得る。椎間関節改造装置を背側へ引けば(例えば、遠位/近位往復運動で)、その結果椎間関節全体が除去される。この方法は、骨鉗子型装置を用いた時間のかかる咬み取りを含む現状の方法より素早く行われ得る。
2つの細長い切断部材を有する組織改造装置
本明細書に記載の患者の体内で組織を切断するための装置、システム及び方法の幾つかの実施形態では、装置の組織改造部位は、組織改造部位の長さに沿って伸張する一対の可撓性を有する細長い切断部材を含んでいる。それぞれの細長い部材は、切断部材の厚さより大きい深さに達する別個の溝を組織の中へ切り込むように構成され得る。
第1の実施形態では、組織改造装置(例えば、骨鋸)は、図7で示すようにケーブルと直接連結された切断刃を含んでいてもよく、ケーブル701は、ビーズ、鋸刃、ワイヤ又は他の適した切断要素等の切断要素703を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、切断要素は、ワイヤの上に圧着されても又は他の適した方法で取り付けられてもよい。切断ケーブルは、熱又は高周波エネルギー等のエネルギーを使用して組織を切断してもよい。エネルギーは、組織を切断するのではなく、組織を乾燥させる又は縮ませるように作用してもよい。図7で示すように、装置の一部は、切断ケーブル701を含んでいてもよく、更に、装置の一部は、ケーブルに装着されたスペーサ又は横桟702を(スペーサ上に切断刃を備えている又は備えていない状態で)含んでいる。切断ケーブル及びスペーサが装着されるケーブルは、同じケーブルでも異なったケーブルでもよい。
図8で示すように、組織改造装置800は、改造部分801と、遠位端部802と、近位端部803と、を含んでいる。組織改造部分は、骨及び/又は軟組織を切除するように構成された2つの平行な線鋸805を含んでいてもよい。遠位端部802は、ガイドワイヤカプラを含んでいてもよい。近位端部803は、可撓性組織改造部位801より高い剛性を有していてもよい。近位端部は、組織改造装置を把持する、配置する及び/又は往復運動させるのに使用される近位ハンドルと連結されてもよい。近位端部803は、近位端部803を平行な線鋸805と連結する近位コネクタ要素804を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、組織改造部分801は、一方の端部で遠位端部と連結され、近位コネクタ要素804の中を通って搬送され、第2の端部で遠位端部と連結される、1つの線鋸を含んでいてもよい。切断ワイヤは、近位コネクタ要素の中を通って摺動し、近位端部803に対して可動的であるように構成されてもよい。図9は、脊椎の中に配置された組織改造装置を示している。示すように、装置がその周囲に配置される脊椎の表面は、起伏があってもよい。幾つかの事例では、装置は、均衡のとれた状態で脊椎の表面に接触しない場合がある、又は切断される表面に当たって張った状態ではない場合がある。図9及び図10で示すように、近位コネクタ要素(それぞれ904及び1004と表示)のおかげで、切断ワイヤは、確実に、コネクタ要素の中を通って摺動することができ且つ切断ワイヤの平行部分の両方が切断される組織に当たって張った状態になることが可能になるような配置に修正され得る。
代替的な実施形態では、図11で示すように、組織改造装置は、滑車1101を含んでいてもよい。滑車は、切断ワイヤ1102と連結され、組織改造装置の近位端部及び/又は遠位端部に配置されてもよい。滑車は、切断ワイヤの平行部分の両方が切断される組織に当たって張った状態になるように、切断ワイヤの配置を修正するように構成されてもよい。
図12で示すように、組織改造装置1200は、改造部分1201と、遠位端部1202と、近位端部1203と、を含んでいる。組織改造部分は、骨及び/又は軟組織を切除するように構成された2つの平行な線鋸1205を含んでいてもよい。遠位端部1202は、ガイドワイヤカプラを含んでいてもよい。ガイドワイヤカプラは、ガイドワイヤ(遠位ハンドルと連結され得る)と連結されてもよく、組織改造装置を把持する、配置する及び/又は往復運動させるのに使用されてもよい。近位端部1203は、可撓性組織改造部位1201より高い剛性を有していてもよい。近位端部は、組織改造装置を把持する、配置する及び/又は往復運動させるのに使用される近位ハンドルと連結されてもよい。近位端部1203は、近位端部1203を平行な線鋸と連結する近位コネクタ要素1204Aを含んでいてもよく、遠位端部1202は、遠位端部1202を平行な線鋸と連結する遠位コネクタ要素1204Bを含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、組織改造部分1201は、近位コネクタ要素1204A及び遠位コネクタ要素1204Bの中を通って搬送される1つの線鋸を含んでいてもよい。切断ワイヤは、近位コネクタ要素の中を通って摺動するように構成されてもよい。示すように、コネクタ要素は、切断ワイヤを相互に離れた状態に保つように構成されている。幾つかの変形例では、装置の位置決め及び/又は往復運動の間に、(例えば、脊椎の幾何学及び/又は生体構造が原因で)切断ワイヤ1205のかなり近置した状態が発生した場合でも、ワイヤが少なくとも最小所望幅だけ離れているように、ワイヤは、最小所望幅よりも広い距離だけ離れた状態に保持されている。幾つかの変形例では、コネクタ要素は、ニチノール等の可撓性を有する又は形状記憶性の材料から作られている。この変形例では、コネクタの脚部が相互に接近するようにコネクタが圧縮された場合、コネクタの脚部は、離れる方向に付勢され、元の形状へ戻るであろう。
代替的な変形例では、図13A及び図13Bで示すように、組織改造装置1300は、改造部分1301と、遠位端部1302と、近位端部1303と、を含んでいる。組織改造部分は、骨及び/又は軟組織を切除するように構成された2つの平行な線鋸を含んでいてもよい。遠位端部1302は、ガイドワイヤカプラを含んでいてもよい。ガイドワイヤカプラは、ガイドワイヤ(遠位ハンドルと連結され得る)と連結されてもよく、組織改造装置を把持する、配置する及び/又は往復運動させるのに使用されてもよい。近位端部1303は、可撓性組織改造部位1301より高い剛性を有していてもよい。近位端部は、組織改造装置を把持する、配置する及び/又は往復運動させるのに使用される近位ハンドルと連結されてもよい。幾つかの変形例では、切断ワイヤは、ニチノール等の可撓性を有する又は形状記憶性の材料から作られている。図13Aで示すように、平衡形状又は付勢形状にあるワイヤは、第1の距離Aだけ離れた状態に保持されている。距離Aは、最小所望幅より大きくなっている。この変形例では、切断ワイヤが相互に接近するようにコネクタが圧縮された場合、切断ワイヤは、離れる方向に付勢され、元のより広い形状へ戻るであろう。記載するように、かなり近置した状態が発生した場合でも、ワイヤが少なくとも最小所望幅だけ離れているように、ワイヤは、最小所望幅よりも広い距離だけ離れた状態に保持されている。手術中、ガイドワイヤは、組織改造装置を、ガイドワイヤ及び装置の近位端部で二者択一的に引くことが可能になるように、遠位端部1302と連結されてもよい。図13Bで示すように、装置を引いて往復運動させる際、組織改造部分1301が細長いので、ワイヤが相互に近づいて幅Bまで接近することが起こり得る。幅Bは、最低でも最小所望幅と同じ幅であることが望ましい。幾つかの変形例では、装置は、長さ制限要素1304を更に含んでいてもよい。図13Aで示すように、長さ制限要素は、可撓性を有していて、張った状態で引かれるものではない。図13Bでは、装置を引いて往復運動させる際、組織改造部分1301は、長さ制限要素1304の長さまでの長さしかない。幅Bが小さくなりすぎるほど組織改造部分1301が細長くなり得ないように、長さ制限要素1304は、構成されている。幅Bは、最低でも最小所望幅と同じ幅であることが望ましい。或いは、幾つかの変形例では、幅Cは、最低でも最小所望幅と同じ幅であることが望ましい。
幾つかの実施形態では、図14A及び図14Bで示すように、切断ワイヤは、直交方向の可撓性を制限していて、その結果、ワイヤの近置状態を制限するように構成された断面を有し得る。図14Bで示すように、実質的に長方形の断面が広いほど、示されるような直交荷重の影響を受けにくくなる。
スペーサを有する組織改造装置
幾つかの実施形態では、切断装置の組織改造部位は、組織改造部位の長さに沿って伸張する一対の可撓性を有する細長い切断部材を含んでおり、更に、スペーサを含んでいる。それぞれの細長い切断部材は、切断部材の厚さより大きい深さに達する個別の溝を組織の中へ切り込むように構成されてもよい。スペーサは、標準的には、2つの切断部材の間の幅にかかっていて、これらの部材を所定の(又は調整可能な)距離だけ離れた状態に保持している。スペーサは、標準的には、組織を切断しないので、スペーサは、実質的に、切断ワイヤ又は刃が組織を切断するのを妨げないような構成になっていてもよい。スペーサは、2つのモードの内の1つで機能するような大きさ及び構成になっていてもよい。第1のモードでは、スペーサは、切断部材と連結されていて、そのため、スペーサが、2つの切断部材のそれぞれの一部を相互に或る距離だけ離れた状態に保持しており、第2モードでは、スペーサの少なくとも一部が切断部材から離れる方向に動かされ、切断部材が組織の中へ更に切り込んでいくことが可能になる。
再び図9を参照すると、幾つかの実施形態では、脊椎の起伏のある又は湾曲した表面では、細長い切断部材901が、曲面の頂点及び/又は例えば、椎間関節の前方部分で接近する場合がある。ワイヤがかなりの程度まで接近する場合、装置によって切断及び/又は除去される組織の幅は、特定の処置に所望される又は必要とされるものと同じ幅でない場合がある。例えば、ワイヤが相互に接近しすぎている場合、ワイヤは、椎間関節の周囲を切断することができない場合があり、椎間関節の全体を除去し得ない。このような事例では、下文で詳細に説明するように、追加的にスペーサを含む組織改造装置が提供されれば好都合な場合がある。
図15は、平行な線鋸の別の変形例を示しており、この線鋸では、平行なワイヤ1500及び1501は、最小な距離だけ離れた状態に保持されている。従って、装置が可撓性を有していても、所定の長さだけ離れた切断ワイヤの間に距離があること(それによって、その幅の骨の塊を取り去る)は望ましい。図15では、1つ又はそれ以上のスペーサ1502は、切断ワイヤを離れた状態に保持することができる。スペーサは、往復運動の間に除去されてもよい(例えば、ちぎれて又は装置の片側から切り離されて)、又は拡張可能(極めて圧縮可能ではない)であるので、拡張する間、切断部位が骨の中へ咬み込むことができるものであってもよい。
図16A及び図18Dは、一対の可撓性を有する細長い切断部材1601及びスペーサ1602を有する組織改造装置1600の代替的な実施形態を示している。図16Aで示されるように、組織改造装置は、組織改造部位を有する遠位端部と、幾つかの実施形態では近位ハンドル1604を有している近位端部1605と、を含んでいる。遠位組織改造部位は、一対の可撓性を有する細長い切断部材1601及びスペーサ1602を含んでいる。示されるように、ガイドワイヤカプラ1608は、組織改造装置の遠位端部にあってもよい。ガイドワイヤを装置に固定した後、少なくとも部分的にガイドワイヤを引くことで装置を操作する(例えば往復運動させる)ことができるように、ガイドワイヤカプラは、ガイドワイヤ(例えば、ガイドワイヤの近位端部)に取り付けるように構成されてもよい。図16Aに、更に図16Bでより詳細に示されるように、スペーサ1602は、スペーサの外縁部に連結される受動的抑制部1609を更に含んでいてもよい。示されるように、これらの抑制部の部分は、切断部材1601と連結されている。これらの抑制部は、切断ワイヤを装置の外縁部方向に保持する及び/又はワイヤが接近することを防止するように機能し得る。示されるように、抑制部は、装置の組織改造部位の全長に及ぶものでなくてもよい。ここでは、切断ワイヤ1601の一部が露出するようであれば望ましい。これらの露出ワイヤは、組織改造装置を組織に当てて行う最初の往復運動の間に切断作用を提供し得る。装置を組織を横切って前後に引いて動かす(即ち、往復運動させる)際、切断ワイヤ1601の露出部分は、骨及び/又は軟組織を切除し始めるであろう。幾つかの実施形態では、装置が組織を横切って往復運動される間、装置は、「上向きに」(患者の背面方向に)且つ組織に当てた状態で引かれる。この上方向の圧力によって、切断ワイヤは、組織の中へ切り込み始め、組織の中へ溝を作り出す。最初の溝が組織に形成され、切断ワイヤが組織の深部へと移動する際、切断ワイヤは、最終的には、抑制部1609から外れるであろう。幾つかの実施形態では、抑制部は、弾性を有している又はその他の変形可能な材料から作られていて、抑制部の上部リップ部(図17Bで1707と表示)は、切断ワイヤを抑制部から抜け出させるように変形し得る。或いは、切断ワイヤは、抑制部の一部(例えば、上部リップ)を切断する又は破断してもよい。
図16Aを参照すると、組織改造装置は、更に、ばね1603を含んでいる。このばねは、シールド1602を組織改造装置の近位端部1605と連結するように機能し得る。切断ワイヤ1601が組織の中へ切り込んでゆき、スペーサ1602が切断ワイヤから離れると、ばね1603が伸び、スペーサ(図18A−図18Cでは1802と表示)の近位端部が装置の遠位端部に向かって動くことが可能になるので、結果的にスペーサの遠位端部は、撓んで切断ワイヤ1601から離れてゆく。更に、図16Aで示されるように、組織改造装置は、随意的に横桟1607を含んでいてもよい。これらの横桟は、装置の長さに亘って伸びているワイヤの上に引っ掛けられてもよい。横桟は、装置の組織改造部位に対して遠位部及び/又は近位部に配置されてもよい。幾つかの実施形態では、スペーサは、組織改造部位の遠位部に配置された1つ又は複数の横桟に接続されてもよい。
図17A及び図17Bは、上述のような受動的抑制部1700を詳細に図解している。図17Aで示されるように、抑制部は、切断ワイヤと連結し、切断ワイヤを別の切断ワイヤから離れた適所に一時的に保持する上部リップ部分を含んでいる。上部リップ部は、チャネル1703を画定しており、ここで切断ワイヤを一時的に保持し得る。抑制部は、更に、抑制部1700を組織改造装置のスペーサと連結させるように機能し得るベース部分を含んでいる。図17Bで示されるように、抑制部のベース部分1702は、チャネル1704を画定し得る。このチャネルは、スペーサの外縁部を受け入れるような大きさ及び構成になっていてもよい。図16Bで示されるように、スペーサは、2つの受動的抑制部を含んでいてもよく、一方がスペーサのそれぞれの縁部と連結されている。幾つかの実施形態では、抑制部は、押し出し成形又はモールド成形された後、接着剤、UV接着剤又は任意の他の適した連結機構を用いてスペーサと連結されてもよい。或いは、抑制部は、スペーサに直接的にオーバーモールドされてもよい。
図18Aから図18Dは、組織改造装置の1つの実施形態の構成要素を詳細に図解している。図18Aで示されるように、組織改造装置は、スペーサ1800と、スペーサの外縁部と連結される少なくとも1つの抑制部1801と、を含んでいる。スペーサは、切断ワイヤ(図18B−図18Dで1803と表示)に隣接する、装置の組織改造部位の中に配置される遠位部分1800と、近位部分1802と、を含んでいる。この実施形態では、スペーサ1800の遠位端部は、装置の遠位端部に固定され、近位端部1802は、ばね(図18C及び図18Dで1808と表示)を介して装置の近位端部と可動的に連結される。幾つかの実施形態では、装置の組織改造部位は、1cmから数センチメートル(インチ)までの範囲の長さのものでもよい。組織改造部位は、例えば、椎間関節に当てて往復運動させて切除するのに十分な長さであれば望ましい。幾つかの実施形態では、組織改造部位は、長ければ、切断荷重を長いワイヤに亘って分散することができるという理由から、長いほうが切断ワイヤの疲労寿命が延びるという追加的な恩恵を有し得る。或いは、切断ワイヤが相互に接近して装置の有効性に悪影響を及ぼすほど長くないように組織改造部位を設計することが同様に望ましい。
図18Bで示されるように、装置は、切断ワイヤ1803を更に含んでいる。示されるように、切断ワイヤは、(少なくとも最初には)抑制部1801に隣接して配置される。この実施形態では、装置は、装置の遠位端部に向かうケーブル1804と、装置の近位端部に向かうケーブル1805を更に含んでいてもよい。示されるように、この実施形態では、切断ワイヤ1803及びケーブル1804、1805は、近位端部から遠位端部まで続いていて、装置の遠位端部にあるガイドワイヤカプラ1806を通って近位端部まで戻る、完全に1つの連続するケーブルである。幾つかの実施形態では、ケーブルの切断ワイヤ部分は、鋸刃又は他の適した切断刃を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、切断刃は、ペーパー仕上げされても、又は他の方法で、ケーブル(1804及び1805)の非切断部分から除去されてもよい。或いは、ケーブル1804及び1805は、切断ワイヤ1803と連結された異なるケーブル又は異なる材料であってもよい。その上、1つの連続するケーブルは、装置の遠位端部までずっとくるまれていなくてもよい。或いは、別個のケーブルが、装置の遠位端部を通ってループになっていてもよく(図18Dの横桟1809)、遠位端部は、別の連結機構を用いて装置の組織改造部位と連結されてもよい。或いは、装置の遠位又は近位端部にケーブルが無くてもよい。
図18Cで示されるように、装置は、近位端部1807及びばね1808を含んでいてもよい。上述のように、ばね1808は、スペーサ1802の近位端部を装置1807の近位端部と可動的に連結するように機能し得るので、スペーサは、切断ワイヤ1803に対して動き得る。図18Dで示されるように、幾つかの実施形態では、装置は、遠位横桟1809及び遠位横桟1810を更に含んでいてもよい。これらの横桟は、厚さと可撓性を維持しながら、同時に、装置に構造部材を加えるように機能し得る。
幾つかの実施形態では、図19Aで示されるように、スペーサは、「U」字型形状(例えば、丸みを帯びた又は角が取れたU字型)を有していてもよい。スペーサは、2つの脚部分1901及びベース部分1902を含んでいてもよい。脚部分は、ベース部分に対して垂直になっていてもよい又は任意の他の適した様式で構成されてもよい。脚部分は、実質的に直線状であってもよく、又は曲線状構成を有していてもよい。スペーサは、ケーブル1905又は他のコネクタが中を通される開口部を画定している。幾つかの実施形態では、スペーサは、切断刃1903を含んでいてもよい。切断刃は、開口部1904の上方でスペーサの脚部分と連結されてもよい。図19Bで示されるように、U字型形状のスペーサは、切断刃が組織を切除する時に、スペーサの脚が組織1908、例えば、靭帯及び骨等の中を貫通することが可能になるように機能してもよいので、結果的に、スペーサのベース部分は、組織に引っ掛かることはない又は組織の切断を妨げることはない。示されるように、複数のU字型形状スペーサをケーブルと連結して改造装置を形成してもよい。幾つかの実施形態では、第2のスペーサ1906を2つの隣接するU字型スペーサの間でケーブルと連結してもよい。第2のスペーサ1906は、切断刃1907を含んでいてもよい。
幾つかの実施形態では、脚部分は可撓性を有していてもよい。図20A−図20Bで示されるように、U字型形状スペーサの脚部分2001は、拡張性材料又は伸縮性材料から作られていてもよいので、切断刃2002が組織を切除する際、切断刃及び脚部分は、組織の中へ一層深く伸張し得(図20B)、一方でベース部分2002は、組織の表面上にとどまり、組織に引っ掛かることはない又は他の方法で組織の切断を妨げることはない。
幾つかの実施形態では、装置は、装置が患者の体内に導入されている間、切断刃を被覆する鞘部を更に含んでいる。装置が導入された後、鞘部は、除去され得る。幾つかの実施形態では、鞘部は、更に、切断組織を除去するように機能する。
幾つかの実施形態では、図21A−図21Cで示されるように、スペーサ要素2101を、組織改造装置の切断ワイヤ2102と取り外し可能に連結してもよい。スペーサ要素を、摺動要素2103及び/又は離脱要素2104を組み合わせて切断ワイヤと連結してもよい。スペーサは、可撓性、剛性又は半剛性であってもよい。望ましいことに、スペーサは、切断ワイヤが所望の幅を超えて相互に接近しないように、スペーサの幅に対して垂直方向において十分な剛性を有している。例えば、所望の幅は、8mm−15mmm、即ち、椎体間装置の幅及び又は椎間関節の幅又は厚さであってもよい。スペーサ2101は、長手方向において可撓性を有していて、幅沿いの可撓性はより低くてもよい。幾つかの実施形態では、図21B及び21Cで示されるように、スペーサは、シリコン材料又は他の適したポリマーでできていてもよい。使用時、スペーサは、当初、図21A及び図21Bで示されるように、スペーサの端部方向の摺動要素2103と、スペーサの中心方向の離脱要素2104と、の両方によって切断ワイヤと連結されていてもよい。離脱要素は、切断ワイヤに摺動自在に取り付けられても又は固定されてもよい。スペーサは、ワイヤが、患者の体内に位置している間及び組織改造装置が最初に組織に当てられて往復運動する間に、切断ワイヤの間で距離を維持するように構成されている。装置を組織を横切って前後に引いて動かす(即ち往復運動させる)際、切断ワイヤ2102の露出部分は、骨及び/又は軟組織を切除し始めるであろう。幾つかの実施形態では、装置が組織を横切って往復運動される間、同時に、装置は、「上方へ」(患者の背面方向に)且つ組織に当てた状態で引かれる。この上方向の圧力によって、切断ワイヤは、組織の中へ切り込み始め、組織の中へ溝を作り出す。切断ワイヤが組織を切断する際、ワイヤは、離脱要素2104も同様に切断するので、結果的に、図21Cで示されるように、スペーサは、離脱要素から解放されることとなる。切断溝の更なる恩恵は、これよりその全体を説明するように、切断要素を組織の中に作り出された溝の中に埋め込むことによって、切断ワイヤに曝される神経及び脈管構造(即ち、非目標組織)は、限定される、ということである。或いは、離脱要素は、切断ワイヤを単独的に解放するので、必ずしも切断ワイヤによって切断されるものではない。スペーサが離脱要素によって外されると、スペーサは、摺動要素2103で切断ワイヤに沿って摺動することが可能になり得る。これは、図21Cで示されるように、スペーサの中心が切断ワイヤから離れていくように、スペーサの端部がワイヤの長さに沿って相互に向かって摺動することができるようになるためには、好都合な特徴である。このおかげで、切断ワイヤが組織を完全に切断することをスペーサが妨げる又は阻むことなく、切断ワイヤが組織の中へ一層深く切り込むことが可能になる。更に、スペーサは、スペーサと切断ワイヤとの間に作り出された空間で、切断された及び/又は除去された組織を捕捉する又は担持するように構成されてもよい。
図22A−図22Bは、切断ワイヤの間にあるスペーサの代替的な変形例の側面図を示している。示されるように、スペーサ2201は、摺動カプラ2203及び固定カプラ2204を介して切断ワイヤと連結されている(1つのワイヤ2202だけを示している)。摺動カプラは、固定カプラから離れて位置付けられてもよい。或いは、両方のカプラは、切断ワイヤ2202に摺動自在に接続されてもよい。切断ワイヤを組織を横切って往復運動させる際、切断ワイヤは、組織の中へ切り込み始め、組織の中へ溝を作り出す。切断ワイヤが、組織の中へ一層深く入っていく際、スペーサは、組織の外面に沿って進んでゆく(実質的には、組織の中へ切り込まれる溝の間及び/又はその下方で)。従って、切断ワイヤがスペーサによって制限される事無く溝を一層深く切り込んで組織の中へ進み続けることができるように、スペーサは、切断ワイヤから離れている必要がある。スペーサの摺動端部2203は、図22Bで示されるように、距離YがY’に縮まり、且つスペーサ中心と切断ワイヤとの間の距離Xが広がるように、スペーサの固定端部2204に向かって摺動する。
図23A−図23Cで示されるように、剛性(又は半剛性)スペーサ2301を、少なくとも1つの可撓性部分2302を介して切断ワイヤ2304と連結してもよい。可撓性部分2302を、連結要素2303を用いて切断ワイヤに固定してもよい。連結要素2303を用いて、可撓性部分2302を切断ワイヤ2304に固定してもよいが、或いは、可撓性部分を切断ワイヤに摺動自在に連結してもよい。上述のように、剛性スペーサは、切断ワイヤを所望に幅に保持するように構成されている。スペーサは、装置が配置されている間及び最初の切断が発生する間、ワイヤを離れた状態に保持するであろう。図23B及び図23Cの断面図及び軸方向図でそれぞれ示されるように、切断ワイヤ2304が骨2305(又は他の組織)の中へ一層深く切り込む際に、組織(特に組織区分2307)は、スペーサが切断ワイヤ2304によって形成された溝2306の中へ入ることを防止している。そのために、スペーサは、切断ワイヤ2304から「跳ね落ちる」及び/又は離れ、その結果、可撓性部分2302が伸張する。図23Cで示されるように、スペーサは、切断ワイヤが目標組織の中へより一層深く切り込む際に目標組織の外側に留まる。例えば、組織区分2307は、椎間関節を含んでいてもよい。切断ワイヤを往復運動させて組織を貫通して上方向に移動させる際、最終的には、組織の区分2307は、組織2305の残余部から完全に切り離されるであろう。
図24Aは、組織改造装置の上面図を示しており、図24Bは、同じ組織改造装置の後面図を図解している。示している装置は、例えば、脊椎の中へ及び椎間関節の周囲に挿入されてもよく、そうすると、装置の上面部分(図24A)が、目標組織(例えば、椎間関節)に面し、装置の底部分(図24B)が、非目標組織(例えば、神経又は脈管の組織)に面する。図24A及び図24Bで示されるように、剛性(又は半剛性)スペーサ2401を少なくとも1つの可撓性部分2402を介して接続ワイヤ2404と連結してもよい。示されるように、可撓性部分は、組織改造装置の長さに亘って伸張し得るので、スペーサ2401は、図24Bで示されるように可撓性部分の背面側と連結され得る。この変形例では、可撓性部分は、位置2403で組織改造装置に固定されている。上述のように、スペーサは、切断ワイヤを所望の幅に保持するように構成されている。スペーサは、装置が配置されている間及び最初の切断が発生する間、ワイヤを離れた状態に保持するであろう。この変形例では、スペーサ2401は、離脱要素2415によって接続ワイヤ2404と連結されている。上述のように、離脱要素を切断ワイヤに摺動自在に取り付けても又は固定してもよい。装置を、組織を横切って前後に引いて動かす(即ち、往復運動させる)際、切断ワイヤ2404は、骨及び/又は軟組織を切除し始めるであろう。幾つかの実施形態では、装置が組織を横切って往復運動される間、装置は、「上方へ」(装置の上面側を患者の背面方向に向けて)且つ組織に当てた状態で引かれる。この上方向の圧力によって、切断ワイヤは、組織の中へ切り込み始め、組織の中へ溝を作り出す。切断ワイヤが組織を切断する際、ワイヤは、離脱要素2415も同様に切断するので、結果的に、スペーサは、離脱要素から解放されることとなる。
代替的な変形例では、図25で示されるように、スペーサ2501は、1つの可撓性部分2502だけを含んでいてもよい。この変形例では、可撓性部分が第2端部2509で切断ワイヤ2504と連結されながら、スペーサは、第1端部2508で切断ワイヤ2504と連結されてもよい。示しているように、スペーサ2501は、切断ワイヤの近置を防止するように、第1平面では(装置の幅に亘って、即ち、ページの中へ)、剛性を有していることが望ましい。スペーサは、第2平面では(装置の長さに沿って)及び/又は第3平面では(装置の厚さに亘って、即ち図に関して言えば上下に)可撓性を有し得る。
別の代替的実施形態では、図26A−図26Cで示されるように、剛性又は半剛性スペーサ2601は、切断ワイヤ2604に可動的に連結されている。図26Aの断面図で示されるように、切断ワイヤ2604は、骨2605(又は他の組織)の中へ一層深く切り込む際、組織2605は、スペーサが切断ワイヤ2604によって形成された溝2606の中へ入ることを防止している。そのために、スペーサは、組織2605の中にある切断ワイヤ2604’から「跳ね落ちる」及び/又は離れる。図26Aで示されるように、スペーサ2601は、切断ワイヤ2604’が目標組織の中へより一層深く切り込む際に目標組織の外側に留まる。幾つかの変形例では、ワイヤ2604は、スペーサの溝2612の中で摺動することができてもよい。この変形例では、ワイヤが往復運動していても、スペーサは、静止していて(即ち、往復運動していなくて)よい。スペーサの材料は、モールドポリマー、或いは押し出しポリマーであってもよい。材料の弾性特性は、切断ワイヤへの装着及びワイヤからの取り外しの両方を円滑化させ得る。
更に別の代替的な変形例では、図27Aの断面で示されるように、スペーサ2701は、切断ワイヤ2704から「跳ね落ちる」のではなく、切断ワイヤから滑り落ちるように構成されている。幾つかの変形例では、スペーサは、組織改造装置から完全に除去されるのではなく、切断ワイヤの一部分から除去され得ることで、切断ワイヤ2704の少なくとも一部が組織の中へ切り込む又は組織を切除することができる。幾つかの実施形態では、スペーサは、完全に滑り落ちるのではなく、切断ワイヤに沿って束になって、折り畳まれる。図27Aで示されるように、スペーサは、スペーサを取り外し可能に切断ワイヤ2704と連結させるように構成された連結要素2710を更に含んでいてもよい。連結要素2710は、任意の適した様式で切断ワイヤに圧着、溶接又は連結されてもよい。幾つかの変形例では、切断ワイヤを非切断ケーブルと置き換えてもよく、また、連結要素2710は、切断刃(図示せず)を含んでいてもよい。
図27Bは、スペーサ2705の代替的な実施形態を(断面で)示している。例えば、図27Bで示されるように、スペーサは、切断尾根部2707を含んでいてもよい。これらの切断尾根部は、切断ワイヤ2706の直径より大きい高さを有するように伸張し得る。切断尾根部は、切断ワイヤを相互に或る距離だけ離れた状態に保持し、切断ワイヤ2706が接近することを防止するように機能し得る。スペーサは、ワイヤが患者の体内に配置されている間及び組織改造装置を組織に当てて最初に往復運動させる間、切断ワイヤの間に或る距離を維持するように構成されている。装置を組織を横切って前後に引いて動かす(即ち、往復運動させる)際、切断尾根部は、骨及び/又は軟組織を切除し始めるであろう。幾つかの実施形態では、装置を組織を横切って往復運動させる間、装置は、「上方へ」(患者の背面方向に)且つ組織に当てた状態で引かれる。この上方向の圧力によって、切断尾根部は、組織の中へ切り込み始め、組織の中へ溝を作り出すであろう。切断尾根部は、装置の長さに沿って個別の箇所に配置されてもよい。従って、最初の溝が形成されると、スペーサが切断ワイヤから離れる方向に動かされ、最終的には、切断ワイヤは、溝の中へ落ち込んで一層深い溝を切り込み続け得る。
上述の変形例の何れにおいても、組織改造装置が患者の体内の組織を切断及び/又は改造するのに使用される間に、スペーサは、神経又は脈管等の非目標組織の損傷を防止するように機能するシールドとして機能するように追加的に構成されてもよい。幾つかの実施形態では、スペーサ及び/又はシールドは、電極を含んでいてもよく、図1Cに関連して説明したような神経構造を検出するように構成されてもよい。或いは又は更に、スペーサ及び/又はシールドは、薬剤、止血剤又は他の適した薬剤を送達するように構成されてもよい。幾つかの実施形態では、スペーサ及び/又はシールドは、先細になっていてもよい。例えば、遠位端部は、使用者が装置を所定の位置に引き入れることができるように、近位端部より細くなっていてもよい。スペーサが先細になっている特性によって、外科医は、往復運動を開始する前に、所望される所まで装置を入れることが、確実にできるので、ワイヤを組織の中へ引き入れる前に、ワイヤを最適に離れた状態にし得る。例えば、椎弓根の椎間関節突起切除術を行うために、使用者は、装置のそれぞれの側面が椎弓根に当たるまで装置を引き入れ得る。
幾つかの実施形態では、装置は、癒着の剥離に役立つように構成されてもよい。例えば、椎間関節突起の包又は骨は、孔の中で硬膜、神経又は脈管の要素に癒着している場合がある。外科医又は使用者がそれらの潜在的な癒着を剥離する能力を手助けするために、且つ椎間関節突起がそれらの脆弱組織を含まないことを確実にするために、これより説明する装置の1つは、有用であり得る。
幾つかの実施形態では、スペーサは、図28で示されるようにスライダ要素2801である。スライダ要素2801は、装置の近位部分2812上に、幾つかの事例では近位ハンドルで又はその付近に、位置するアクチュエータ(図示せず)と連結し得るケーブル2811と連結されている。組織改造装置2800を患者の体内に挿入して配置する際、スライダは、装置の組織改造部分の中心の方向、例えば、切断ワイヤ2804の中心に向けて配置される。示されるように、スライダは、切断ワイヤの遠位端部から距離A、切断ワイヤの近位部分から距離Bの位置に配置されている。使用者は、目標組織の周囲に遠位部分(距離A)を配置し得る。スライダ2801は、往復運動の最初の行程長さを実質的に長さAに制限し得る。行程長さが短い程、往復運動の間、制御しやすくなる及び/又はワイヤが接近する傾向を低下させることができる。使用者が、切断ワイヤ2804を用いて切断を開始した後及び/又は切断ワイヤが目標組織の中に最初の溝を形成した後、スライダは、近位方向に摺動して、行程長さを長さAから、長さBと同等又はそれ未満まで増し得る。
図29で示されるように、代替的な変形例では、スライダ2901は、二又の構成になっていてもよい。この構成のスライダは、少なくとも装置の幅に亘って、剛性を有していて、往復運動の間、ワイヤ2904が接近することを防止し得る。スライダは、二叉になっていてもよく、二叉部分を切断ワイヤによって作り出された溝の中へ挿入し得る。上述のように、スライダをアクチュエータと連結してもよい。
図30Aは、2つの骨鋸引き要素3002、3002’を含む椎間関節改造装置の1つの変形例の断面を示している。2つの鋸要素は(鋸刃を含むケーブル又は面であってもよい)、スペーサ3005によって離されてもよい。図30Cは、椎間関節突起切除術を行うように構成された椎間関節改造装置の1つの変形例の上面図を示している。装置の遠位端部は、上述のように引きワイヤと結びつけるように構成されている。装置の組織接触部分は、2つの平行な切断面(ケーブルであってもよい)3002、3002’を含んでいてもよく、切断面は相互に離れている。これらの2つの離れた切断面は、2つの切断が椎間関節を貫通して同時に行われることを可能にし得るので、椎間関節の一部の除去が可能である。この種類の椎間関節改造装置は、1つ又はそれ以上のスペーサ3005を更に含んでいてもよい。スペーサは、特に切断面がケーブルの場合、切断面が相互に広がる又は収縮することを防止し得る。幾つかの実施形態では、これらのスペーサは、取り外し可能又は分離式であってもよいので、椎間関節改造装置が椎間関節を切断する際、装置を骨に当てて往復運動する時に加えられる圧力によって、スペーサの分離、破断又は除去が引き起こされる。図30Bは、破断可能な(例えば、脆弱な)スペーサ3005を有する装置の1つの部分の断面を示している。
1つの組織改造面を有する組織改造装置
他の椎間関節改造装置(図31A−図31Eで示すものを含む)は、1つの組織改造面を含んでいてもよく、故に、スペーサは必要ではない。椎間関節突起切除術を行う方法の1つの変形例では、ガイドワイヤ/引きワイヤを案内するためのカニューレを挿入した探針は、最初に、関節の中に及び/又はその周囲に挿入される。図32Aは、下位椎骨3209と上位椎骨3207との間で上関節突起(SAP)及び下関節突起(IAP)を含む、椎間関節3205を示している。ガイドワイヤ/引きワイヤは、線3203で概括的に表示されるように、椎間関節の中を通って、その周囲に又はそれに隣接して通されてもよい。幾つかの変形例では、椎間関節の中を通る経路は、上関節突起(SAP)の最上部の上側を通っている。幾つかの変形例では、椎間関節の中を通る経路は、SAPの下側を通っていて、SAPの先端部までのアクセスを提供している。椎間関節の周囲又はその中を通るガイドワイヤの配置は、棘突起を持ち上げることで行いやすくなる。従って、幾つかの変形例では、棘突起は、この処置を行う前に持ち上げられておいてもよい。
探針は、ガイドワイヤを配置するのに使用された後、除去されてもよい。先に説明したように、探針は、異なる曲率を有するカニューレを含む、1つ又は複数の(同心性の)カニューレを含み得るので、ガイドワイヤを関節の周囲まで向かわせ、更に、適切な出口場所を目指させることができる。ガイドワイヤ又は引きワイヤは、次に、カニューレの中を通って患者の体外へと押し進められ得る。その後、遠位ハンドルをガイドワイヤの遠位端部に取り付け、遠位端部からガイドワイヤ/引きワイヤを操作するのに役立てられ得る。
次に、関節治療装置の遠位端部(又は端部位)をガイドワイヤ/引きワイヤの近位端部と連結することで、治療装置を関節の中又はその周囲の所定の位置へ引き入れてもよい。幾つかの変形例では、治療装置は、椎間関節突起切除術を行うために骨を研磨する、引っ掻く、又は他の方法で骨を除去するように構成された1つ又はそれ以上の面を含んでいる。例えば、図31A−図31は、治療装置の変形例を示している。図31Aでは、治療装置は、関節面を粗面化する及び/又は関節から骨を除去するために関節面を横切って引くことができる表接合表面と裏接合表面を含んでいる。この実施例では、装置の遠位端部は、ガイドワイヤ用の取り付け/コネクタ場所を含んでいる。近位端部は、細長い部材を更に含んでおり、近位ハンドルを有していてもよい。幾つかの変形例では、粗面化された面は、拡張可能になっているので、潰れた又は圧縮された形態(非目標組織を保護する)で関節の中へ引き入れることができ、関節の中に入った後に、治療用形態に拡張することができる。例えば、装置は、膨張式であってもよく、膨張によって装置を拡張し得るので、結果的に、1つ又は複数の接触面が1つ又は複数の関節面を押すことができる。所定の位置に配置されれば、装置は、関節の内部又はその周囲において双手で動かすことができ、遠位方向及び近位方向に(例えば、前後に)引くことで、骨を除去するために関節を擦り取る又は他の方法で改造する。
図31B−図31Dは、説明している関節治療装置の代替的な断面を示している。例えば、図31Bでは、装置は、実質的に平坦であり、上面と下面を有している。述べたように、この装置は、上面と下面との間の空間を増やす(又は減らす)、又は拡張後にインプラントを「堅固に」するために、膨張可能/拡張可能であってもよい。図31Cは、卵形断面を有する装置を示しており、図31Dは、円形断面を有する装置を示している。あらゆるこれらの変形例では、装置は、骨又は他の組織を除去又は改造するように構成された「歯」又は突起を含んでいる。幾つかの変形例では、装置は、関節の中の軟骨を研磨、切断及び/又は除去するように構成されている。幾つかの変形例では、装置は、実質的には骨を切断又は除去せずに軟骨を研磨するように構成されている。幾つかの変形例では、装置表面は、関節から骨を研磨切断及び/又は除去を行う、及び/又は全部まとめて関節を除去するように構成されている。
装置を後方及び前方に(近位方向及び遠位方向に)動かすことで、双手による往復運動によって装置は作動する。図31Eで示されるもの等、幾つかの変形例では、例えば、装置は、更に又は或いは、関節の中又はその周囲で所定の位置に配置された後、軸方向に回転させることで接合されるものでもよい。
拡張可能な組織改造装置及び方法
本明細書に記載の組織改造装置の幾つかの変形例は、第1の幅と第2の幅を有する細長い可撓性要素と、可撓性要素と連結される組織改造要素と、を含んでいる。可撓性要素は、拡張機構を含んでいてもよい。可撓性要素の少なくとも一部を第1の幅から第2の幅まで拡大する拡大機構を含んでいてもよい。これらの特性のそれぞれを、下文でより詳細に説明及び図解する。
図33で示されるように、幾つかの実施形態では、組織改造装置は、第1の幅(図示せず)と第2の幅(図示)を有する細長い可撓性要素3301を含んでいる。可撓性要素は、軸方向長さ、幅(第1及び第2)及び厚さを有している。示されるように、軸方向長さは、幅より大きく、幅や厚さより大きい。幾つかの実施形態では、第1の幅は、厚さと実質的に同等又はそれ未満であってもよく、第2の幅は、厚さより大きくてもよい。第1の幅は、第2の幅より概ね小さい。可撓性要素は、第1の幅で患者の体内に挿入され、その後、目標組織を改造するために第2の幅に拡大されるような大きさ及び構成になっていることが望ましい。例えば、可撓性要素は、椎間関節の周囲に巻き付くために第2の幅に拡大され得るので、要素3302は、椎間関節の第1の側面(上棘突起(SAP)等)上にあり、要素3303は、椎間関節の第2の側面(下棘突起(IAP)等)上にある。幾つかの変形例では、装置は、可撓性要素の第2の幅と実質的に等しい又はそれより大きい幅の目標組織を改造又は除去するであろう。1つの特定の実施例では、第1の幅は、装置が患者の脊椎の層間窓の中に適するように、2mm−15mmであってもよい。第2の幅は、装置が、患者の脊椎の椎間関節等の5mm−20mである、組織の幅を改造し得るように、5mm−20mmであってもよい。幾つかの変形例では、装置の第2の幅は、使用者が、ケージ等の椎体間装置を挿入し、作り出された開口部を通って隣接する椎体との間の空間まで進め得るように、8mmから15mmの範囲であってもよい。可撓性要素は、複数の第2の幅に調整することが可能であってもよい。例えば、可撓性要素は、第1の幅で患者の体内に挿入された後、例えば、椎間関節の周囲等の目標組織に隣接するまで前進され得る。それから、可撓性要素は、隣接する椎弓根又は他の適した解剖学的構造に接し、これ以上拡張できない状態になるまで拡張され得る。
可撓性要素3301は、第1の幅から第2の幅まで拡張可能な、2つの可撓性を有する細長いケーブル3302と3303を含んでいてもよい。ワイヤは、可撓性要素の第1の幅では、ワイヤが相互に隣接している及び/又はその長さに沿って実質的に接触しているように構成されてもよい。その後、ワイヤは、図33に示されるように、相互に離され、可撓性要素は第2の幅を有するようになる。ケーブルは、装置の近位端部から装置の遠位端部まで相互に実質的に隣接して伸張していてもよい。ケーブルの少なくとも一部は、可撓性を有している。任意の適切なケーブルを使用してもよく、それには、金属又はポリマーケーブルが含まれる。ケーブルは、単一フィラメントであっても、又は複数フィラメントで形成されてもよい。この実施例で示されるように、装置の遠位端部の方向のケーブルの部分は、ヒンジ、又は他の方法で連結要素3304と連結されてもよい。連結要素3304は、ガイドワイヤ又は引きワイヤの端部を受けるように構成されてもよく、その結果、引きワイヤで可撓性要素を引く及び/又は配置することができる。
図33では、装置の可撓性要素3301は、装置3305の近位端部に結合されており、装置3305は、可撓性に劣っていてもよく、ハンドル又はハンドル用の取り付け部位を含んでいてもよい。可撓性ケーブルと、近位端部及び/又はハンドルとの間の接合部分は、継手又はヒンジ又は任意の他の適した連結機構であってもよい。近位端部付近の近位継手は、幾つかの実施形態では、ボール継手であってもよく、これによって、ハンドル及び/又は装置の近位部分を組織改造部位及び/又は装置の可撓性要素に対して回転させることができる。従って、近位ハンドルは、組織改造装置の長軸に沿って回転し得るが、装置の組織改造部位に実質的には回転力を与えないであろう。図33で示される変形例は、ハンドルが取り付けられる装置の近位端部3305の近くに近位接続部位を更に含み得る。この接続部位は、比較的に堅固でも(又は非可撓性であっても)よい、又は可撓性であってもよい。
幾つかの実施形態では、下文で説明するように、可撓性要素は、風船又は他の適した可撓性要素を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、図34で示されるように、可撓性要素は、2つの別個のケーブルではなく、ループ状のケーブルを備えていてもよい。ケーブルループ3401は、第1の幅から第2の幅まで拡張可能であり得る。ケーブルループは、可撓性要素の第1の幅では、ループの2つの側面部分が相互に隣接するように、及び/又は長さに沿って実質的に接触しているように構成されてもよい。ループの2つの側面部分は、その後、図34で示されるように相互に離され、結果的に可撓性要素は、第2の幅を有するようになる。装置は、更に、図34で示されるように、滑車3402又はケーブルループをその周りに巻き付け得る他の適した歯車又は輪を含んでいてもよい。滑車は、ケーブルループを第1の幅から第2の幅まで拡張するように機能し得る、及び又は下文で説明するように組織を切断するためにケーブルループを往復運動させるのに役立つように機能し得る。
組織改造装置は、可撓性要素と連結された組織改造要素を含んでいる。第1の実施形態では、可撓性要素は、組織を切断する又は他の方法で組織を改造するように構成された少なくとも1つのワイヤを含んでいる。ワイヤは、組織を切断するのに適するように、表面に凹凸があってもよく又は被覆されていてもよい。図33で示されるように、装置は、可撓性要素3301の少なくとも一部と連結された少なくとも1つの切断刃3306を更に含んでいる。幾つかの実施形態では、切断刃は、ケーブルの上に圧着されている。組織改造装置は、ケーブルに直接連結された切断刃を含んでいてもよく、切断幅固定された又は一体化されたケーブルの上に装着されたフェルール又はビーズを含んでいてもよい、又は装置は、任意の適した様式で可撓性要素と連結された任意の他の適した切断刃を含んでいてもよい。可撓性要素は、ビーズ、鋸刃、ワイヤ又は他の適した切断要素等の切断要素を含んでいてもよい。図33で示されるように、装置の一部は、切断ケーブルを含んでいてもよく、装置の一部は、(横桟の上に切断刃が付いた状態又は付いていない状態で)ケーブルの上に装着された横桟を含んでいる。組織改造装置は、改造要素を目標組織に当てて動かすことで組織を改造又は切断し得る。幾つかの変形例では、装置は目標組織に当てて往復運動させられる。代替的な実施形態では、可撓性要素の第1のケーブルは、目標組織に当てて第1の方向に動かされ、第2のケーブルは、目標組織に当てて第2の方向に動かされ、その後、各ケーブルは、目標組織に当てて往復運動させられる。或いは、ループ状のケーブルを備える可撓性要素の場合、ループは、図34で示されるように、目標組織に当てて回転し得る又は駆動され得る。
代替的な実施形態では、組織改造要素は、熱エネルギー又は高周波エネルギー等のエネルギーを用いて組織を改造してもよい。エネルギーは、組織を乾燥及び/又は収縮させる働きをし得る。或いは、エネルギーは、組織を切断する働きをし得る。図35で示されるように、可撓性要素は、目標組織を切断、乾燥及び/又は収縮させる働きをする切断ループ3500を更に含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、可撓性要素は、加熱要素又は他のエネルギー源と連結されている。
幾つかの実施形態では、組織改造装置は、可撓性要素の少なくとも一部を第1の幅から第2の幅まで拡張する拡張機構を含んでいる。第1の実施形態では、図36で示されるように、可撓性要素は、第1の幅(A)から第2の幅(B)まで拡張可能な2つのワイヤ3601及び3602を備えている。幾つかの実施形態では、拡張機構は、更に、可撓性要素を所定の位置に保持する、即ちそれらのワイヤを或る距離(第2の幅)だけ離れた状態に保持し、それらのワイヤが、特に、装置を用いて組織を改造する間、接近することを防止する働きをしている。
第1の変形例では、図36で示されるように、拡張機構3603は、2つのワイヤ3601と3602との間に連結されており、拡張機構がワイヤの長さに沿って動く際にワイヤを第1の幅から第2の幅だけ離している。拡張機構は、三角形状であってもよく又はジッパー又はジップロック(ZIP−LOCK)バッグのスライド機構に似た様式で機能するように構成されてもよい。或いは、図37で示されるように、拡張要素は、拡張ロッド3703であってもよい。ロッドは、ワイヤが所定の位置(即ち、患者の体内に挿入された及び/又は目標組織に隣接した)に配置されると、2つのワイヤ又はケーブルの間に挿入され、可撓性要素を第1の幅(A)から第2の幅(B)へ拡張するような大きさ及び構成になっていてもよい。
代替的な実施形態では、図38で示されるように、拡張機構は、第1の箇所で2つのワイヤ3802及び3803と連結された第1の要素3801と、第2の遠位箇所で2つのワイヤと連結された第2の要素3804と、を備えている。装置は、ワイヤが第1の幅だけ離れている間に患者の体内へ挿入され得、次に、図38で示されるように、第1の要素3801を第2の要素3804の方向に動かすことで、ワイヤは第1の幅から第2の幅へ拡張する。
図39及び図40で示されるように、拡張機構は、第1の幅(図示せず)から第2の幅まで拡張可能なフレーム3900を備えていてもよい。フレームは、ニチノール又は任意の他の形状記憶、形状変化又は超弾性の材料等の形状記憶材料であってもよい。フレームは、第1の幅から第2の幅まで拡張可能な少なくとも2つの部分(ワイヤ3901及び3902等)を備えていてもよい。第1の実施形態では、図39で示されるように、フレームは、更に、網目3903又はフレームの部分の間にフレームと連結される他の材料を含んでいてもよい。網目は、椎間関節等の切断又は改造された目標組織を捕える及び/又は除去する働きをし得る。幾つかの実施形態では、フレームは、網目材料を完全に取り囲んでいなくてもよく、例えば、フレームは、それぞれ拡張可能なフォーク構造をした遠位端部と近位端部を備えていてもよい。
図40で示されるように、フレームは、フレーム4000と連結されたスリーブ4001を更に含んでいてもよい。スリーブは、可撓性要素の第1の幅と実質的に等しい幅を有していてもよく、そのため、フレームをスリーブの中へ挿入して第1の幅で保持することができる。次に、スリーブを後方に引き、(後方に引いた位置にある図40で図示)フレームを分かれた状態にすることができる。組織を改造した後に装置を除去する時、幾つかの実施形態におけるフレームは、組織の除去を容易にするために、フレームが引き込められる際に(矢印4003で図示)改造された目標組織4002を捉え、組織をフレームと共にスリーブ4001の中へ引き戻すように構成され得る。
図41A及び41Bで示されるように、幾つかの実施形態では、拡張機構は、風船4100である。この構成の装置は、風船の側面部分と連結された切断鋸刃4101を有していてもよいので、鋸刃は、膨張した又は拡張した構成時の風船の幅と実質的に等しい組織の幅を切断することができる。この実施形態では、風船は、例えば、靭帯等の軟組織を捕えるように構成されたフック4102を更に含んでいてもよい。
図41C及び41Dで示されるように、拡張機構は、アクチュエータ4103(図41B)又はアクチュエータ4104(図41C)であってもよい。第1の変形例では、図41Cで示されるように、アクチュエータ4103は、伸縮することで可撓性要素4105を第1の幅から第2の幅(図示)まで動かす、ばね又はピストンである。第2の変形例では、図41Dで示されるように、アクチュエータは、ニチノール又は任意の他の形状記憶、形状変化又は超弾性の材料から作られたワイヤ4104である。ワイヤは、示されるように可撓性要素4105と連結されてもよく、拡張可能であるので、可撓性要素を第1の幅から第2の幅(図示)まで動かすことができる。
図42で示されるように、装置は、可撓性要素と連結されたシールド4200を含んでいてもよい。シールドは、可撓性要素4201と連結されてもよく、その結果、可撓性要素が目標組織に隣接している間、シールドは隣接する神経組織等の非目標組織を保護する及び/又は装置を用いて切断及び/又は改造された組織を集めることができる。幾つかの実施形態では、可撓性要素は、実質的に静止したシールドの中又はその上を遠位方向及び近位方向に摺動する働きをしている。幾つかの実施形態では、シールドは、装置によって切断及び/又は改造された組織(例えば、椎間関節)と接触及び/又は係合して、除去する働きをしてもよい。幾つかの実施形態では、図42で示されるように、可撓性要素は、シールと連結され、相互に或る距離だけ離れた状態に保持されたワイヤ4202及び4203を備えている。シールドは、可撓性要素の底面に隣接して連結されており、組織を改造する間にケーブルが相互に接近することを防止することで可撓性要素の幅を維持するような大きさ及び構成になっている。
幾つかの実施形態では、装置は、追跡要素を含んでいてもよい。例えば、追跡要素は、装置の遠位端部に配列されてもよく、それによって、装置が患者の体内に挿入される及び又は患者の体内で移動される際に装置の先端を追跡することができる。或いは、装置は、装置の長さに沿って配列される複数の追跡要素又は装置の脚部の一部に沿って(例えば、装置の切断部位に沿って)配列される複数の追跡要素を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、追跡要素は、画像システムによって検出可能な材料である。適した追跡要素の幾つかの例には、音響発生材料又は超音波システムで検出可能な(即ち、音響発生面を形成するように作られた)物質と、X線透視装置等のX線写真システムで検出可能なX線不透過性材料が含まれる。或いは、追跡要素は、MRI又は赤外線システムで検出可能であるように構成されてもよい。幾つかの実施形態では、追跡要素は、電磁気的な追跡又はナビゲーションのシステムで検出されるように構成されたコイルであれば望ましい。例えば、本明細書に記載の装置は、AXIEM(商標)電磁追跡技術、例えば、StealthStation(登録商標)AXIEM(商標)(米国、コロラド州ルーイビル、Medtronic Navigation社製)等の追跡システムを包含し得る。幾つかの実施形態では、装置は、患者の目標の解剖学的構造の周囲に電磁場を発生させるように構成されており、追跡して、追跡要素を有する装置の位置決めを三角法で測定することができる
上述のように、本明細書に記載の何れの装置も、ガイドワイヤカプラを含んでいてもよい。ガイドワイヤカプラは、ガイドワイヤに取り付ける(例えば、ガイドワイヤの一方の端部に)ように構成されているので、ガイドワイヤが装置に固定された後、ガイドワイヤを引くことで装置を少なくとも部分的に操作することが可能になる。例えば、幾つかの変形例では、ガイドワイヤは、身体の外側の第1の箇所から身体の中へ挿入され得て、それから、目標組織の周囲(例えば、脊椎孔の周囲)、そして、第2の位置から身体の外へ送られる。次に、ガイドワイヤの遠位端部は、組織改造装置(図33で示される装置等の)と連結され、装置の組織改造部位、例えば、組織改造要素3306を含む装置の部分が、目標組織の反対側に位置するまで身体の中を通って引かれ得る。幾つかの変形例では、使用されるガイドワイヤは、広がっていてガイドワイヤカプラと係合し得る先端部位を含んでいる。例えば、ガイドワイヤは、フランジ又はボールを備えた近位端部を有していてもよい。この広がった部位は、ガイドワイヤカプラの開口部の中へ嵌るように構成され得るので、ガイドワイヤを患者の体外から遠位方向に引くことが可能になる。幾つかの変形例では、装置の遠位端部は、完全に引き出すことができるので、把持して操作することが可能である。他の変形例では、組織改造装置の遠位端部は、ガイドワイヤと連結されたままの状態であり、ガイドワイヤを把持して組織改造装置の遠位端部を操作し得る。ハンドルを、ガイドワイヤに取り付けてもよい。述べたように、操作中、装置は、目標組織に押し当てられて、目標組織を改造(例えば、切断)するために近位/遠位方向に動かされ得る。例えば、組織改造装置の近位及び遠位の両端部は、装置を目標組織に押し当てるために引かれ得、それぞれは、目標組織の上で装置を摺動させるために他方のハンドルよりも強い度合いで交互に引かれ、切断刃が目標組織を切断及び改造することができる。
例えば、ガイドワイヤカプラは、ガイドワイヤの近位端部に広がった又はネック状の部位を受けるために開口部及び/又はチャネルを含んでいてもよい。この構成は、参考文献として先に援用した文献の多くに記載される「トレーラー連結」構成に類似していてもよい。
本明細書に記載の組織を改造するための方法は、標準的には、1つ又はそれ以上の以下のステップ、即ち、第1の幅を有する細長い可撓性要素を挿入するステップと、可撓性要素の一部が目標組織に隣接するまで可撓性要素を前進させるステップと、目標組織に隣接する可撓性要素の少なくとも一部を第2の幅まで拡張するステップと、可撓性要素を用いて目標組織を改造するステップと、を含んでいる。組織を改造するための方法は、これらのステップを組み合わせたものの1つ又はそれ以上を含んでいてもよい。これらの各ステップを下文でより詳細に説明及び図解する。
挿入することは、装置を所定の位置へ移動する働きをする。挿入ステップは、装置を患者の体内へ、より具体的には、例えば、患者の脊椎の中へ挿入することを更に含んでいる。幾つかの変形例では、装置を患者の脊椎の層間窓から挿入してもよい。この変形例では、可撓性要素は、第1の幅で構成されることが望ましい。第1の幅は、2つの隣接する椎弓板(即ち、層間窓)によって画定される空間と同等であっても又はそれより小さくてもよい。挿入されれば、装置を所定の位置まで前進させ得る。装置は、目標組織に隣接するまで移動され得る。幾つかの実施形態では、前進ステップは、ガイドワイヤを目標組織の周囲の少なくとも一部に送るステップと、ガイドワイヤを使用して目標組織の周囲にある装置を引くことで、可撓性要素及び/又は切断要素を目標組織に隣接させるステップと、を更に含んでいる。幾つかの実施形態では、ガイドワイヤは、装置の遠位部分でガイドワイヤカプラと連結されている。挿入ステップ及び前進ステップは、可撓性要素が第1の幅で構成されている間に行われ得る。これによって、装置が狭い解剖学的な空間及び箇所を何とか通り抜け得るように、装置をより小さく、より操縦し易くすることができる。
装置が患者の体内で正確に配置されれば、可撓性要素を第1の幅から第2の幅まで拡大することが望ましい。拡大された幅(第2の幅)は、第1の幅より広いので、可撓性要素と連結された切断要素が目標組織のより広く及び/又はより大きい部分又は区域を改造することが可能になる。幾つかの実施形態では、第2の幅は、椎間関節の幅、患者の脊椎の神経孔の幅及び/又は椎体間融合装置の幅と実質的に等しくても(又はそれらより幾らか小さくても)よい。幾つかの実施形態では、第2の幅は、第1の椎弓根から隣接する椎弓根までの距離と実質的に等しくても(又はそれらより幾らか小さくても)よい。装置が拡張された後、より目標組織を改造するために、広い装置を使用し得る。
幾つかの実施形態では、改造ステップは、目標組織を横切って可撓性要素を動かすステップを更に含んでいる。可撓性要素を、目標組織を貫いて又はその上で動かしてもよい。目標組織の区域を改造するために、可撓性要素を、目標組織を横切って往復運動させても又は前後に動かしてもよい。改造要素を、遠位部分と近位部分との間で往復運動させてもよい。可撓性要素及び/又は改造要素を目標組織に当てて駆動させるために装置の近位端部と遠位端部の両方に張力を掛けることで、装置を往復運動させ得る。
幾つかの実施形態では、目標組織を改造することは、可撓性要素の第2の幅と実質的に等しい幅を有する、椎間関節等の、組織の或る幅を切断することを含んでいてもよい。図43で示されるように、説明中の組織を改造するための方法は、以下のステップ、即ち、第1の細長い可撓性要素4300を第1の箇所で患者の体内へ挿入するステップと、可撓性要素の一部が目標組織に隣接するまで可撓性要素を前進させるステップと、第2の細長い、可撓性要素4301を、第1の箇所で、第1の可撓性要素から或る距離だけ離して患者の体内へ挿入するステップと、可撓性要素を用いて目標組織を改造するステップと、の1つ又はそれ以上を代替的に含んでいてもよい。組織を改造するための方法は、これらのステップを任意で組み合わせたものの1つ又はそれ以上を含んでいてもよい。これらの各ステップを下文でより詳細に説明及び図解する。
幾つかの実施形態では、第2の可撓性要素を挿入するステップは、第2の可撓性要素を第1の可撓性要素から或る距離だけ離して挿入するステップを更に含んでおり、その距離は、椎間関節の幅と実質的に等しい。或いは、第2の可撓性要素を挿入するステップは、第2の可撓性要素を第1の可撓性要素から或る距離だけ離して挿入するステップを更に含んでおり、その距離は、椎体間融合装置の幅と実質的に等しい。挿入されると、2つの可撓性要素は、遠位ハンドル4302及び/又は近位ハンドル4303と連結され得る。方法は、第1の可撓性要素の遠位端部を遠位ハンドルと連結して、次に、第2の可撓性要素の遠位端部を遠位ハンドルと連結するステップを更に含んでいてもよい。
これらのステップは、1つの可撓性要素を挿入し、容易に単独で操縦して狭い解剖学的な場所及び箇所を通り抜けさせることができる、という点において便益を有している。次に、第2の可撓性要素(同様に容易に単独で操縦される)を第1の可撓性とは或る角度を成して又はそれから或る距離だけ離して挿入することで、結果的には、可撓性要素の組織改造部分が互いに隣接し、且つ或る距離(例えば、椎間関節の幅又は椎体間融合装置の幅と実質的に等しい距離)だけ離れており、その距離と実質的に等しい組織の部分を改造することができる。幾つかの実施形態では、2つの可撓性要素は、可撓性要素の間の距離と実質的に等しい幅を有する目標組織の一片を切断する働きをしている。
送達装置及び方法
図44は、患者から組織を切除する組織改造装置を送達するための送達装置の実施形態を示している。幾つかの実施形態では、装置は、第1の刃4402及び第2の刃4403で画定される幅を有するリボン形状の可撓性の細長い本体4401を含んでいる。幾つかの実施形態では、第1及び第2の刃は、実質的に平行である。装置は、細長い本体の長さの一部に沿って配列されていて、細長い本体の第1の刃の方向に配置された第1のチャネルと、細長い本体の長さの一部に沿って配列されていて、細長い本体の第2の刃の方向に配置された第2のチャネルと、を更に含んでいてもよい。示されるように、チャネルは、要素4404及び4405で構成されていてもよい。或いは、作られたチャネルは、1つの管状要素(図示せず)を備えている。チャネルは、2つの細長い切断部材4406を受けるような大きさ及び構成になっている。幾つかの実施形態では、装置は、細長い本体4401の遠位端部位にあるガイドワイヤカプラ(図示せず)を更に含んでいてもよい。
更に、本明細書では、患者から組織を切除する組織改造装置を送達するための方法を説明する。幾つかの実施形態では、方法は、細長い、可撓性シールド4401を第1の箇所で患者の体内へ挿入するステップと、シールドの一部が目標組織に隣接するまでシールドを前進させるステップと、第1の切断要素の一部が目標組織に隣接するまで、第1の細長い、可撓性切断要素4406をシールドの中を通して挿入するステップと、第2の切断要素の一部が目標組織に隣接するまで、第2の細長い、可撓性切断要素4406をシールドの中を通して、第1の切断要素から或る距離だけ離して且つ第1の切断要素と実質的に平行に挿入するステップと、可撓性要素を用いて組織を改造するステップと、を含んでいる。
幾つかの実施形態では、方法は、第1の切断要素の一部が目標組織に隣接するまで、第1の細長い、可撓性切断要素4406を挿入するステップと、細長い、可撓性シールド4401を患者の体内へ前進させるステップであって、シールドの一部を、第1の細長い、可撓性切断要素の上を前進させるステップと、第2の切断要素の一部が目標組織に隣接するまで、第2の細長い、可撓性切断要素4406をシールドの中を通して、第1の切断要素から或る距離だけ離して且つ第1の切断要素に実質的に平行に挿入するステップと、可撓性要素を用いて組織を改造するステップと、を含んでいる。幾つかの実施形態では、方法は、切断要素を患者の体内の所定の位置に残しながら、シールド4401を患者から除去するステップを更に含んでいる。
組織改造装置及びシステムの様々な実施形態、並びに、組織改造装置及びシステムの形成方法及び使用方法を本明細書で提供している。概して、本明細書に記載するような可撓性組織改造装置は、患者から組織を除去するように構成されている。特に、これらの組織改造装置は、椎間関節切除術等の組織除去を行うように構成され得る。これらの装置は、標準的には、近位方向から遠位方向まで(近位/遠位)伸張していて、且つ患者の体内へ挿入されて、目標組織の周囲に伸張するように構成されているので、結果的に、装置のどちらか一方の端部に張力を掛けることで目標組織に当てて引くことができるようになっている、可撓性の細長い本体を含んでいる。このように、装置を、脊椎孔の中へ又はその中を通して、及び/又は脊椎椎間関節の周囲に伸張させることができる。
これより後の説明の大部分及び添付図面は、概ね脊椎の外科手術処置に焦点を合わせたものであるが、代替的な実施形態では、本発明の装置、システム及び方法は、患者の身体の他の解剖学的な多くの箇所の何れにおいても使用することができる。例えば、幾つかの実施形態では、本発明の可撓性組織改造装置を、肩、肘、手首、手、臀部、膝、足、踵、他の関節又は身体の他の解剖学的箇所における低侵襲的処置で使用してもよい。同様に、幾つかの実施形態を、脊椎を治療するために脊椎の黄色靭帯及び/又は骨を除去する又は他の方法で改造するのに使用してもよいが、代替的な実施形態では、多くの他の状態の何れかを治療するために他の組織を改造してもよい。例えば、様々な実施形態では、治療される組織には、靭帯、腱、骨、腫瘍、嚢胞、軟骨、瘢痕、骨棘、炎症性組織等が、これらに限定するわけではないが含まれる。非目標組織は、幾つかの実施形態の神経組織及び/又は神経血管組織、又は他の実施形態の多くの他の組織及び/又は構造の何れかを含み得る。このような次第で、本明細書に記載の様々な実施形態を、多くの異なる状態の何れかを治療するために、身体の多くの解剖学的箇所の何れにおいても、多くの異なる組織の何れを改造するのにも使用することができる。
本明細書に含まれる実施例及び説明図は、例証的なものであって制限を課すものではなく、主題を実行し得る具体的な実施形態を示している。他の実施形態を利用すること及び導き出すこともできるので、本開示の範囲を逸脱すること無く構造的及び論理的な置換及び変更を行うことができる。本発明の主題の当該実施形態は、本明細書において、単に便宜上「発明」という用語で、個別的にも集合的にも参照され得るが、実際、1つ以上が開示されている場合でも、この出願の範囲を任意の単一の発明又は発明概念に自発的に制限する意図はない。従って、本明細書では具体的な実施形態を図解及び説明しているが、同じ目的を達成するために計算された任意の配列は、示された具体的な実施形態を代替し得る。本開示は、様々な実施形態の任意の及びあらゆる改作又は変形をその範囲に含むことを意図している。上述の実施形態及び本明細書において特に記載されていない他の実施形態の組み合わせは、上述の記載を精査することで、当業者には自明のものであろう。