JP2012521856A - シアノアクリラート処方の発熱制御 - Google Patents

シアノアクリラート処方の発熱制御 Download PDF

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Abstract

本発明は、多官能性のアミン反応開始剤を含む、硬化可能なシアノアクリラート系製剤を目的とする。二官能性アミン、特にQuadrolは、同じ更に高粘度、非流動性シアノアクリラート製剤について、最高硬化温度及び硬化の固化時間の非常に望ましいバランスを提供する。本発明は発明の製剤及びこれらの製剤の使用方法を利用するシステムも目的とする。

Description

本発明は、安定化モノマー及び吸収性ポリマー接着剤及び封止剤組成物、並びに工業的及び医学的用途におけるそれらの利用に関する。
モノマー及びポリマー接着剤/封止剤は、工業的(家庭用を含む)及び医学的/外科的の両方の用途で用いられる。これらの接着剤又は封止剤に含まれるものとして、シアノアクリラートモノマー及びそれらから形成されるポリマーがある。このようなモノマー及びポリマーの接着剤/封止剤の特性が発見されて以来、硬化速度、形成する結合の強さ及び比較的使いやすいことから、これらは様々な用途で使用されている。これらの特徴から、多くの接着剤用途、例えばプラスチック、ゴム、ガラス、金属、木材及び最近では、医学的、生物学的又は生体組織の接着において、シアノアクリラート組成物が第一の選択肢となっている。
シアノアクリラート組成物の医学的及び外科的用途としては、外科縫合、メッシュ及びステープル又は創縫合におけるその他医療デバイスの代替又は補助としての利用、並びに外傷、例えば裂傷、擦過傷、熱傷、口内炎、潰瘍及びその他外傷の被覆及び保護目的が挙げられる。シアノアクリラート組成物が適用される際、たいていはモノマーの形状で適用され、形成されるポリマーが所望の接着剤の接合又は封止剤強度をもたらす。
シアノアクリラート接着剤の重合プロセスの間、組成物の温度を上昇させる発熱反応が起こる。組成物に使用されるモノマー及び用いられる添加剤により、温度の上昇度は異なる。特に、接着剤の粘度が上昇するにつれ、1回の使用で材料のより厚い層を適用できる能力が提供される。このような適用では、より低い粘性の組成物を多層で用いて同じ厚さに適用する場合よりも、高い発熱となる可能性が出る。加えて、いくつかの用途において、接着剤が表面に適用した際に流れ落ちたり、創傷内へ又は接着剤を必要としない領域に表面を伝って広がったりしないように、より粘性の高い接着剤の使用が望ましい。
モノマー成分の発熱重合による接着剤組成物の温度上昇は、接着剤の組成により、低くて5℃、高くて70℃の場合がある。生体組織の表面上に置かれた接着剤組成物の温度上昇がわずか45℃であっても、一般には不快感を引き起こす。60℃を超える温度は、一般に組織損傷を起こすと広く信じられている。
参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第6,010,714号(「714号特許」)に開示されているように、モノマーの重合時の発熱量を抑えるために、放熱剤をシアノアクリラート接着剤に添加することが知られている。「714号特許」は、エーテル、ケトン、クロロフルオロカーボン、アルカン、アルコール、アルケン及びこれらの混合物などの放熱剤の添加を開示している。「714号特許」に開示されている放熱剤は、比較的低い、例えば0.04〜0.05Pa.s(40〜50cp)の粘度を有する接着剤組成物に有用である。接着剤を組織に適用した後に生体組織の熱損傷又は壊死を起こさない、比較的粘度の高い外科的接着剤の必要性が残っている。したがって、シアノアクリラートモノマーの重合中に放出される熱量又は発生する熱量を削減する、添加剤又は添加剤の組み合わせが必要である。
他の背景情報が、McMahon,R.、M.Brennan及びJ.D.Glennon、「The pKa values of N,N,N’,N’−(2−hydroxypropyl)ethylenediamine」、Talanta,33(11),927(1986)及びJ G Woodsら、「Multi−amine Compound Primers for Bonding of Polyolefins with Cyanoacrylate Adhesives」、米国特許第6,673,192号B1(2004年1月)から入手できる。
1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマー、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマーのための、異なるpKa値を有する少なくとも2つのアミン部分を同じ分子中に含む、多官能性の重合開始剤を含む接着剤組成物が提供される。接着剤組成物は、1つ又は2つ以上の安定化剤、防腐剤、放熱剤、着色剤又はこれらの組み合わせを更に含んでもよい。
好ましい反応開始剤は、本明細書において記載される二官能性重合開始剤であり、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(本明細書においては、TKHPEDと称され、商標名QuadrolとしてBASFから入手可能)及び類似化合物であるN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(本明細書においては、TKHEEDと称され、TCI America,Inc.から入手可能)であり、一般的に次式で示され、
Figure 2012521856
各R基は独立してH、C〜Cアルキルである。
二官能性重合開始剤の例(R=CHである場合)は、次式Aで示される。
Figure 2012521856
1つの実施形態において、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマーが入っている第1の貯蔵器、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマーのための二官能性重合開始剤が入っている第1の貯蔵器と非接触関係にある第2の貯蔵器、並びに重合可能なシアノアクリラートモノマー及び二官能性重合開始剤を混合し接着剤組成物を形成し、次いで接着剤組成物を生体組織に適用することができるアプリケータを含む、生体組織処置システムが提供される。1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマーのための二官能性重合開始剤は、2つの明らかに異なるpKa値を有する2つのアミン部分を含む。
別の実施形態においては、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマー、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマーのための異なるpKa値の2つのアミン部分を含む二官能性重合開始剤を含む生体適合性の接着剤組成物を、生体組織に適用することを含む、生体組織の処置方法が提供される。
本発明の目的において、用語「吸収性」又はその変化形は、接着剤又は封止剤の適用後、動物(ヒトを含む)組織により完全に又は部分的に吸収、分解又は生分解されることを意味する。また、用語「実質的に吸収される」は、少なくとも90%が吸収されることを意味する。用語「非吸収性」又はその変化形は、接着剤又は封止剤の適用後、動物組織により完全に又は部分的に吸収されることが、完全に又は実質的に不可能であることを意味する。
用語「有効量」は、接着剤組成物に所望の性質をもたらすのに十分な量である。有効量は、シアノアクリラートモノマー、粘度調整剤、安定剤、反応開始剤又はその他の接着剤組成物の形成に用いられる成分の影響を受ける場合がある。
本明細書で用いる用語「安定性」又は「安定化された」は、ある期間にわたってシアノアクリラート組成物の粘度を測定することにより決定することができる。シアノアクリラート組成物の早まった重合により、時間の経過とともに粘度が上昇する結果となるため、組成物の粘度を用いて組成物の安定性を決定できる。
用語「生体適合性」は、材料が目的の場所に埋め込まれ又は適用されると、許容できない反応を起こすことなく必要な期間目的の機能を果たすような、医療デバイスに好適でかつデバイスの要件に合致した、長期間又は短期間の埋め込み又は非埋め込み用途として使用される材料を意味する。長期間埋め込み物とは、30日を超えて埋め込まれる品目であると定義される。
用語「多官能性アミン」は、各部分が異なるpKa値を有する、少なくとも2つのアミン部分を有する化合物を意味する。二官能性アミンの1つの例は、その分子中の第四級及び第三級アミン基のpKa値が、それぞれ4.3及び8.99である化合物、Quadrolである。Quadrolのプロトン解離定数pKaは、25℃Cにおいて0.15Mの塩化ナトリウム溶液中で電位差滴定法により測定される。それ故、pHが7では、アミン基の1つはカチオン型、又は第四級アンモニウム型(pKa=4.30+/−0.04)として存在し、一方他は中性又は無電荷の第三級型(pKa=8.99+/−0.04)として、存在することになるであろう。8.99を超えるpHでは、両方のアミンが無電荷型であろう。
1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマーを含むシアノアクリラート接着剤組成物が提供される。シアノアクリラートモノマー接着剤組成物の発熱制御は、pKa値の異なる2つのアミン部分を含む多官能性の反応開始剤を重合可能なシアノアクリラートモノマー組成物に加え、シアノアクリラート接着剤組成物とすることにより、達成できる。多官能性の反応開始剤組成物は、シアノアクリラートモノマーの重合に際して、硬化速度にいかなる悪影響をも与えることなく発熱を減らすことができる。
好適な二官能性アミンは反応開始剤として作用することができ、数秒から数分の短時間の硬化速度を有することができる。硬化速度は、組成物に添加される二官能性アミンの量又は濃度の選択により厳密に制御することができ、したがって、本開示を踏まえ当業者は硬化速度を容易に制御できる。好適な二官能性アミンは、モノマー又は複数種のモノマーの重合が、特定の用途における所望の時間内に行われるように、モノマー又は複数種のモノマーの、着実で、制御可能でかつ完全な重合をもたらす。
重合可能なシアノアクリラートモノマーに添加される二官能性アミン反応開始剤の量は、典型的にはシアノアクリラートモノマー(1種又は複数種)、促進剤、粘度調整剤、安定剤及び所望の重合速度に依存してもよい。典型的には、二官能性アミン反応開始剤は、約10ppm〜約10,000ppmの量において存在する。医療デバイスに適用する場合には、濃度は約500〜3000マイクログラムである。
二官能性アミン反応開始剤の有効性は2つのアミンの混合物を使用する比較により実証され得る。1つは第四級アンモニウム塩、例えば、塩化ベンザルコニウム(BAC)であり、他は第三級アミン、例えばトリイソプロパノールアミン(TIPA)であり、前者は反応開始剤として作用し、後者は促進剤として作用する。同様に、二官能性アミン反応開始剤は、モノマー又は複数種のモノマーの重合が、特定の用途における所望の時間内に行われるように、モノマー又は複数種のモノマーの、着実で、制御可能で、かつ完全な重合をもたらす。これに加えて、官能性アミン反応開始剤はシアノアクリラートモノマーの重合において放出される熱量を低減させる。
記載されたような多官能性アミン反応開始剤を含むシアノアクリラート接着剤モノマー組成物、並びにそれから形成されるポリマーは、出血の防止又は開放創の被覆に、組織接着剤、封止剤として、及びその他生物医学的用途に有用である。接着剤組成物は、例えば、体液の漏出予防、体内の空気漏出の封止、組織の隣接縫合、外科的に切られた又は外傷により裂かれた組織の並置、創傷からの血流の遅延、薬物送達、熱傷の包帯、皮膚又はその他表面若しくは深部組織の外傷(例えば、擦過傷、切り傷若しくは擦り傷、及び/又は口内炎)の包帯、並びに生体組織の修復及び再生の補助に使用される。本発明の接着剤組成物は、様々な生体組織、内臓器官及び血管における創傷の封止に広く応用され、例えば、血管の内部又は外部及び様々な器官又は組織に適用できる。本発明の接着剤組成物は、抗菌性バリアとしてもまた役立つ。本発明の接着剤組成物はまた、工業及び家庭用途、例えばゴム、プラスチック、木材、複合材料、布地、並びにその他天然及び合成材料の結合にも有用である。
本発明で用いることができるモノマーは容易に重合可能であり、例えばアニオン重合可能若しくはフリーラジカル重合可能であり、又は双性イオン若しくはイオン対により重合可能でポリマーを形成する。このようなモノマーのいくつかは、例えば、Leungらの米国特許第5,328,687号に開示され、それらのすべてを参考として引用し、本明細書に組み込む。好ましくは、シアノアクリラート接着剤組成物は、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマーを含み、生体適合性である。1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマーを含むシアノアクリラート接着剤組成物は、シアノアクリラートモノマーの組み合わせ又は混合物を含んでよい。
好ましくは、接着剤組成物は1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマーを含み、式(I)のシアノアクリラートモノマーの組み合わせ又は混合物を含んでもよい。シアノアクリラートモノマーは、式
Figure 2012521856
を有し、式中R14は水素であり、R15はヒドロカルビル若しくは置換ヒドロカルビル基、式−R16−−O−R17−−O−R18を有する基(式中、R16は、2〜4個の炭素原子を有する1,2−アルキレン基であり、R17は1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、R18は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である)、又は以下の式を有する基であり、
Figure 2012521856
式中、R19は、以下の式であり、
Figure 2012521856
式中、nは1〜10個、好ましくは1〜5個の炭素原子であり、R20は、有機部分である。有機部分R20は、置換又は非置換であってよく、直鎖、分枝鎖又は環状、飽和、不飽和又は芳香族であってもよい。好ましい有機ラジカルは、1〜約8個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル及びアルキニル部分、並びにそれらのハロ置換誘導体である。特に好ましいのは、4〜6個の炭素原子のアルキル部分である。
式(I)のシアノアクリラートモノマーにおいて、R15は1〜10個の炭素原子を有するアルキル基又は式−AOR21を有する基であってよく、ここで、Aは2〜8個の炭素原子を有する二価の直鎖又は分枝鎖アルキレン又はオキシアルキレン部分であり、R21は1〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル部分である。式−AOR21で表わされる基の例として、1−メトキシ−2−プロピル、2−ブトキシエチル、イソプロポキシエチル、2−メトキシエチル及び2−エトキシエチルが挙げられる。
式(I)のシアノアクリラートは、当該技術分野において既知の方法にしたがって調製することができる。例えば、シアノアクリラートは、非水性有機溶媒中、塩基性触媒の存在下でアルキルシアノアセタ−トをホルムアルデヒドと反応させ、続いて米国特許第2,721,858号及び同第3,254,111号に開示された重合阻害物質の存在下で、無水の中間体ポリマーを熱分解することにより調製することができる。R15が、式R16−−O−R17−−O−R18を有する基である式(I)のシアノアクリラートは、米国特許第4,364,876号に開示された方法にしたがって調製でき、R15が以下の式
Figure 2012521856
を有する基である式(I)のシアノアクリラートは、米国特許第3,995,641号に記載された方法にしたがって調製することができる。上記の特許はそれぞれ、それらのすべてを参考として引用し、本明細書に組み込む。
好適なシアノアクリラートモノマーを単独又は組み合わせて使用することができ、2−オクチルシアノアクリラート、ドデシルシアノアクリラート、2−エチルヘキシルシアノアクリラート、n−ブチルシアノアクリラートなどのブチルシアノアクリラート、エチルシアノアクリラート、メチルシアノアクリラート、メトキシエチルシアノアクリラート、2−エトキシエチルシアノアクリラート、3−メトキシブチルシアノアクリラート、2−ブトキシエチルシアノアクリラート、2−イソプロポキシエチルシアノアクリラート及び1−メトキシ−2−プロピルシアノアクリラートが挙げられるが、これらに限定されない。実施形態では、モノマーは、エチル、n−ブチル又は2−オクチルα−シアノアクリラートであってもよい。
生体適合性の組成物としての粘着剤/封止剤に使用することができるシアノアクリラートモノマーは、アルキルエステルシアノアクリラートを含むことができる。アルキルエステルシアノアクリラートモノマーは、以下の式を有してもよい。
Figure 2012521856
式中、R22及びR23は独立してH、直鎖、分枝鎖若しくは環式アルキル、又は環式アルキル基の中で互いに結合しており、R24は直鎖、分枝鎖又は環式アルキル基である。好ましくは、R22はH、又はメチル若しくはエチルなどのC、C若しくはCアルキル基であり、R23はH、又はメチル若しくはエチルなどのC、C若しくはCアルキル基であり、R24はC〜C16のアルキル基、より好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル又はデシルなどのC〜C10のアルキル基であり、更により好ましくはC、C又はCのアルキル基である。
アルキルエステルシアノアクリラートの例としては、ブチルラクトイルシアノアクリラート(BLCA)、ブチルグリコロイルシアノアクリラート(BGCA)、イソプロピルグリコロイルシアノアクリラート(IPGCA)、エチルラクトイルシアノアクリラート(ELCA)、若しくはエチルグリコロイルシアノアクリラート(EGCA)、イソプロピルエチルシアノアクリラート(IPECA)及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。BLCAは上式で表わすことができ、式中、R22はH、R23はメチル及びR24はブチルである。BGCAは上式で表わすことができ、式中、R22はH、R23はH、及びR24はブチルである。IPGCAは上式で表わすことができ、式中、R22はH、R23はH、及びR24はイソプロピルである。ELCAは上式で表わすことができ、式中、R22はH、R23はメチル、及びR24はエチルである。ELCAは上式で表わすことができ、式中、R22はH、R23はH、及びR24はエチルである。
アルキルエステルシアノアクリラートのその他の例としては、3−(2−シアノ−アクリロイルオキシ)−酪酸エチルエステル(Et−β−HBT−CA)、3−(2−シアノ−アクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル(Et−β−CPL−CA)、アルキルアルファシアノアクリロイルカプロラクタ−ト及びアルキルアルファシアノアクリロイルブチロラクタ−トが挙げられる。
アルキルエステルシアノアクリラートモノマーは、米国特許第3,995,641号に開示された、アルキルシアノアセタ−ト又はアルキルエステルシアノアセタ−トとパラホルムアルデヒドとのKnoevenagel反応により調製することができる。これにより、シアノアクリラートオリゴマーが生成される。続くオリゴマーの熱分解により、シアノアクリラートモノマーが生成される。更に蒸留した後、高純度(95.0%を超える、好ましくは99.0%を超える、及びより好ましくは99.8%を超える)のシアノアクリラートモノマーを得ることができる。低含水量で不純物を本質的に含まずに調製されたモノマー(例えば外科用等級)が、生物医学的用途に好ましい。
接着剤/封止剤組成物に使用できる他の又は追加のシアノアクリラートとしては、アルキルエーテルシアノアクリラートが挙げられる。アルキルエチルシアノアクリラートは次の一般式を有し、
Figure 2012521856
式中、R22’は直鎖、分枝鎖又は環状アルキル、及びR23’は直鎖、分枝鎖又は環状アルキル基である。好ましくは、R22’はC、C又はCアルキル基、例えばメチル又はエチルであり、R23’はC〜C16アルキル基、より好ましくはC〜C10アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル又はデシルであり、更により好ましくはC、C又はCアルキル基である。
アルキルエーテルシアノアクリラートの例としては、イソプロピルオキシエチルシアノアクリラート(IPECA)及びメトキシブチルシアノアクリラート(MBCA)又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。IPECAは上式で表わすことができ、式中、R22’はエチレン、R23’はイソプロピルである。MBCAは上式で表わすことができ、式中、R22’はn−ブチレン、R23’はメチルである。
内部使用に好適なシアノアクリラートの追加例は、米国特許第7,238,828号に記載されたα−シアノアクリラートモノマーであり、この特許を参考として引用し、本明細書に組み込む。
α−シアノアクリラートモノマーは、スペーサーR1を有する下記一般式のアルキルエステルα−シアノアクリラートモノマーであり、
Figure 2012521856
式中、
Figure 2012521856
であり、ここでnは2〜12であり、R3及びR4はアルキル基又は水素で、R3又はR4の少なくとも1つが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12及び13の炭素原子を有するアルキル基(例えば、直鎖又は分枝鎖又は環式)であり、R2は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12及び13の炭素原子を有するアルキル基(例えば、直鎖又は分枝鎖又は環式)であり、スペーサーR1中の炭素原子の合計数(N)は少なくともn+1である。
アルキルエステルシアノアクリラート及びアルキルエーテルシアノアクリラートは、それらの生体組織及び関連体液による吸収性から、医学的用途及び内部使用に特に有用である。接着剤を生体組織に適用した後、3年未満、好ましくは約1〜24か月、より好ましくは1〜18か月及び最も好ましくは3〜12か月の期間で、重合した及び適用されたシアノアクリラート接着剤の100%が吸収されるのが望ましい。吸収時間は、特定の用途や関連する組織により変化することがある。吸収時間は、ある種の組織ではより長く、他の種の組織ではより短いことが望ましい場合がある。例えば、接着剤組成物が骨などの硬組織に適用されるとき、より長い吸収時間が望ましい場合があるが、接着剤組成物がよりやわらかい組織に適用されるとき、より短い吸収時間が望ましい場合がある。
モノマーの選択は、生じるポリマーの吸収速度及びモノマーの重合速度に影響を与える。したがって、生じるポリマーの吸収速度及びモノマーの重合速度をより良く制御するように、様々な吸収及び/又は重合速度を有する2つ又はそれ以上の異なるモノマーを組み合わせて使用し得る。接着剤組成物は、様々な吸収速度のモノマー種の混合物を含んでよい。異なる吸収速度を有する2つのモノマー種を使用する場合、2つのモノマーの混合物が、2つのモノマーそれぞれの吸収速度とは事実上異なる第3の吸収速度を呈することができるよう、その吸収速度が十分に異なることが好ましい。これらの実施形態による組成物は、例えば、米国特許出願公開第2002/0037310号及び米国特許第6,620,846号に記載されており、両特許ともそれらのすべてを参考として引用し、本明細書に組み込む。
好適なモノマー組成物は、好適な量の2−オクチルα−シアノアクリラートなどのアルキルα−シアノアクリラートを、ブチルラクトイルシアノアクリラート(BLCA)、ブチルグリコロイルシアノアクリラート(BGCA)、イソプロピルグリコロイルシアノアクリラート(IPGCA)、エチルラクトイルシアノアクリラート(ELCA)及びエチルグリコロイルシアノアクリラート(EGCA)のうちの1つと混合することにより、調製してもよい。かかる混合物は、重量で約90:10〜約10:90、好ましくは重量で約75:25〜約25:75の比の範囲であってもよい。
早まった重合を防止する、又はシアノアクリラートモノマー組成物の貯蔵寿命を延長するために、安定剤又は安定化剤を組成物に添加することができる。例えば、三フッ化ホウ素を安定化剤として使用してもよい。モノマーシアノアクリラート組成物の中での使用に好適な他のフリーラジカル安定化剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール、ベンゾキノン、2−ヒドロキシベンゾキノン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン及びt−ブチルヒドロキノン、並びにこれらの混合物又は組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。フリーラジカル安定化剤は、約5〜約10,000ppmの量で使用してもよい。代表的な実施形態では、ヒドロキノンが用いられる場合、その量は、約5〜約2000ppmであってよく、約500〜約10,000ppmの量のブチル化ヒドロキシアニソールとともに用いてもよい。
シアノアクリラート接着剤組成物はまた、少なくとも1つのアニオン性蒸気相安定剤及び少なくとも1つのアニオン性液相安定剤を任意に含んでもよい。かかるアニオン性剤の例は、例えば、米国特許第6,620,846号に記載されており、それらのすべてを参考として引用し、本明細書に組み込む。
アニオン性蒸気相安定剤は、二酸化イオウ、三フッ化ホウ素又はフッ化水素を含むが、これらには限定されない既知の安定剤から選んでよい。典型的には、それぞれのアニオン性蒸気相安定剤は、約百万分の200(ppm)未満の濃度になるような量で添加される。代表的な実施形態では、それぞれのアニオン性蒸気相安定剤は、約1〜約200ppm、好ましくは約3〜約75ppm、更により好ましくは約3〜約50ppm及び最も好ましくは約3〜約20ppmの量で存在する。
液相アニオン性安定剤は、1.0未満の水性pKを有する超強酸である。かかる超強酸の例としては、硫酸(pK−3.0)、過塩素酸(pK−5)、塩酸(pK−7.0)、臭化水素酸(pK−9)、フルオロスルホン酸(pKa<−10)及びクロロスルホン酸(pK−10)が挙げられるが、これらに限定されない。実施形態では、超強酸液相アニオン性安定剤は、約1〜約200ppmの最終濃度になる量添加される。超強酸液相アニオン性安定剤は、約5〜約80ppm、好ましくは約5〜約40ppmの濃度で存在してもよい。例えば、超強酸液相アニオン性安定剤は、硫酸又はクロロスルホン酸であってもよい。
接着剤組成物は、少なくとも1つの第二級アニオン性活性剤を任意に含んでよい。第二級アニオン性活性剤を、接着剤の硬化速度及び安定性、並びに硬化した接着剤の分子量をより正確に制御するため、接着剤組成物に含んでよい。第二級アニオン性活性剤は、典型的には、2〜8、好ましくは2〜6及び最も好ましくは2〜5の範囲のより高いpKを有する酸である。かかる好適な第二級アニオン性活性剤の例として、リン酸(pK 2.2)、有機酸、例えば酢酸(pK 4.8)、安息香酸(pK 4.2)、クロロ酢酸(pK 2.9)、シアノ酢酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、酢酸及び/又は安息香酸の量は、約25〜約500ppmであってもよい。酢酸については、濃度は典型的に約50〜約400ppm、好ましくは約75〜約300ppm、より好ましくは約100〜約200ppmであってもよく、これは参考として引用し本明細書に組み込む米国特許第US5,981,621号に記載されている。
安定剤及び/又は第二級アニオン性活性剤の任意の混合物を、その混合物が組成物の所望の重合速度を著しく阻害しない限り、接着剤組成物に含んでよい。組成物の重合速度は、約30秒〜約5分の範囲であることが一般に望ましい。したがって、重合速度が好ましい速度領域から外れるような、重合を阻害する安定剤及び/又は第二級アニオン性活性剤の混合物は、望ましくない場合がある。更に医療用接着剤組成物において、その混合物は容認できないレベルの毒性を示してはならない。当業者にとって、医療用途において容認できる毒性レベルは周知であろう。したがって、用いられる安定剤及び/又はアニオン性活性剤の量は、不要な実験を行わずして当業者により定めることができる。
安定剤及び第二級アニオン性活性剤は、シアノアクリラートモノマー、三フッ化ホウ素及びその他の安定剤を含む選択された接着剤組成物、並びに梱包材料及び組成物の製造及び包装に使用される装置に適合するように選択される。それゆえに、好適な組み合わせは、包装及び滅菌後に、粘稠で、安定化され、かつ実質的に重合していない接着剤組成物でなくてはならない。
これらの安定化剤をシアノアクリラートモノマー組成物に加えることにより、組成物の硬化又は重合速度が影響を受ける場合がある。遅い重合を克服するために、シアノアクリラートモノマー又はシアノアクリラートモノマー混合物の重合を開始又は促進させる混合可能な物質を、モノマー組成物とともに用いてもよい。いくつかの医学的用途では、モノマー組成物の吸収性を維持しつつも、より速い硬化速度をもたらす反応開始剤又は速度調整剤が好ましい。
代表的な実施形態においては、本明細書において記載される二官能性重合開始剤は、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(本明細書においては、TKHPEDと称され、商標名QuadrolとしてBASFから入手可能)及び類似化合物であるN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(本明細書においては、TKHEEDと称され、TCI America,Inc.から入手可能)であり、一般的に次式で示され、
Figure 2012521856
式中、各R基は独立してH、C〜Cアルキルである。
二官能性重合開始剤の例(R=CHの場合)は、次式で表わされる。1つのアミン部分が第四級アンモニウム型である二官能性反応開始剤は、ヒドロキシルを対アニオンとして有することができる。
Figure 2012521856
2つ以上の反応開始剤又は速度調整剤の混合物を、少なくとも1つの二官能性重合ジアミン開始剤及び1つの第2の反応開始剤とともに使用してもよい。複数の反応開始剤又は速度調整剤の組み合わせが、重合可能なモノマー種の反応開始を調整するために役立つ場合がある。例えば、モノマーの混合物を用いるとき、反応開始剤の混合物は、単独の反応開始剤と比較して優れた結果をもたらす場合がある。また、反応開始剤の混合物は、1つのモノマーの重合を優先的に開始する第1の反応開始剤と、別のモノマーの重合を優先的に開始する第2の反応開始剤を提供することができ、又は両方のモノマー種が同じ若しくは所望の異なる速度で重合を開始することを確実にするのに役立つ開始速度を提供することもできる。この方法では、反応開始剤混合物は用いられる反応開始剤の量を有利に最小限にできる。更に、反応開始剤の混合物は重合反応速度を有利に増大できる。
第2の反応開始剤は第四級アンモニウム塩化物及び臭化物の塩を含んでもよい。例として、臭化ドミフェン、塩化ブチリルコリン、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化アセチルコリンなどの第四級アンモニウム塩を特に使用することができる。ベンザルコニウムハロゲン化物が使用されるとき、それは、炭素鎖長の異なる化合物の混合物を含む未精製状態のベンザルコニウムハロゲン化物であってよく、あるいはC12、C13、C14、C15、C16、C17及びC18化合物を含むがこれらに限定されない約12〜約18個の炭素原子の炭素鎖長を有するもののような任意の好適な精製化合物であってもよい。
当業者は、不要な実験を行わずして第2の反応開始剤又は速度調整剤を選択することも可能である。こうした好適な反応開始剤又は速度調整剤としては、洗剤組成物;例えばポリソルベート20(例えば、ICI Americasより販売されるTween 20(商標))、ポリソルベート80(例えば、ICI Americasより販売されるTween 80(商標))及びポロキサマーなどの非イオン性界面活性剤、臭化テトラブチルアンモニウムなどの陽イオン性界面活性剤、テトラデシル硫酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤及び水酸化ドデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウム、分子内塩などの両性又は双極性界面活性剤などの界面活性剤;イミダゾール、アルギニン及びポビジンなどのアミン、イミン及びアミド;トリフェニルホスフィン及びトリエチルホスファイトなどのホスフィン、ホスファイト及びホスホニウム塩;エチレングリコール、没食子酸メチルなどのアルコール;タンニン;亜硫酸水素ナトリウム、硫酸カルシウム及びケイ酸ナトリウムなどの無機塩基及びその塩;チオ尿素及びポリスルフィドなどの硫黄化合物;モネンシン、ノナクチン、クラウンエーテル、カリキサレン及びポリマーエポキシドなどのポリマー環状エーテル;ジエチルカーボネートなどの環状及び非環状カーボネート;Aliquat 336などの相間移動触媒;ナフテン酸コバルト及びマンガンアセチルアセトネートなどの有機金属;ジ−t−ブチルペルオキシド及びアゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル開始剤又は反応促進剤;並びに、触媒量のアミン活性化フリーラジカル反応開始剤、促進剤、又は速度調整剤が挙げられるが、これらに限定されない。
多官能性アミン重合開始剤又は速度調整剤は、粉末若しくは固体フィルムなどの固体の形態、又は粘稠な若しくはペースト状の物質などの液体の形態であってもよい。二官能性アミン重合開始剤又は速度調整剤は、界面活性剤又は乳化剤などの多様な添加物も含んでもよい。好ましくは、二官能性アミン重合開始剤はモノマー組成物に可溶性で、及び/又は、実施形態では、反応開始剤がモノマー組成物と共溶出するのに役立つ少なくとも1つの界面活性剤を含むか、伴う。実施形態では、界面活性剤は反応開始剤をモノマー組成物内に分散させるのに役立つことができる。
多官能性アミン重合開始剤又は速度調整剤は、モノマー組成物に先立って、処置される組織又は表面に適用することができ、あるいは組成物が組織に適用されるとき、モノマー組成物に直接適用することができる。多官能性重合開始剤又は速度調整剤は、存在するとき、組成物を組織に適用する直前に、モノマー組成物と組み合わせてもよい。
多官能性アミン重合開始剤又は速度調整剤(使用される場合)の選択は、重合したモノマーが生体組織に吸収される速度に追加の影響を及ぼす場合がある。したがって、いくつかの医学的用途では、最も好適な反応開始剤又は速度調整剤は、3年未満で実質的に吸収されるポリマーを提供する一方で、医学的用途に好適な速度でモノマーの重合を開始又は促進するものである。本明細書の目的において、語句「医学的用途に好適」は、モノマーの重合が、5分未満又は3分未満、好ましくは2.5分未満、より好ましくは1分未満及び多くの場合45秒未満に起こることを意味する。組成物及び/又は用途が異なることで、所望の重合時間は異なり得る。
防腐剤、放熱剤、可塑剤、粘度調整剤、揺変性剤及び着色剤を含むが、これらには限定されないその他の任意の成分が、重合可能なシアノアクリラート組成物内に存在してよく、本明細書で説明される。典型的には、これらの構成成分は、組成物の総重量に基づき、約25重量%まで、より好ましくは約10重量%まで及び最も好ましくは約5重量%までの量で使用され得る。
防腐剤はパラベン及びクレゾールを含むが、これらには限定されない防腐剤から選択してもよい。例えば、好適なパラベンとしては、アルキルパラベン及びその塩、例えば、メチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、エチルパラベン、プロピルパラベン、プロピルパラベンナトリウム、ブチルパラベンなどが挙げられるが、これらに限定されない。好適なクレゾールとしては、クレゾール、クロロクレゾールなどが挙げられるが、これらに限定されない。防腐剤はまた、ヒドロキノン、ピロカテコール、レゾルシノール、4−n−ヘキシルレゾルシノール、キャプタン(すなわち、3a,4,7,7a−テトラヒドロ−2−((トリクロロメチル)チオ)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン)、安息香酸、ベンジルアルコール、クロロブタノール、デヒドロ酢酸、o−フェニルフェノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロサール、チモール、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀及び酢酸フェニル水銀などのフェニル水銀化合物、ホルムアルデヒド、並びに防腐剤Germall II(登録商標)及びGermall 115(登録商標)(Sutton Laboratories,Charthan,N.J.から入手可能なイミダゾリジニル尿素)などのホルムアルデヒド発生源を含むが、これらには限定されない、その他の既知の剤から選択してもよい。その他の好適な防腐剤は、米国特許第6,579,469号に開示され、そのすべての開示を参考として引用し、本明細書に組み込む。実施形態では、2つ以上の防腐剤の混合物を使用してもよい。
放熱剤はモノマーに可溶性又は不溶性であってもよい液体又は固体を含むことができる。液体は揮発性であってよく、重合中に蒸発し、それにより組成物から熱を放出してもよい。好適な放熱剤は、米国特許第6,010,714号に見いだすことができ、そのすべての開示を参考として引用し本明細書に組み込む。
可塑化剤は、モノマーから形成されるポリマーに可撓性を付与する。可塑化剤は、好ましくは水分を少量しか含まないか又は全く含まず、モノマーの安定性又は重合に大きく影響を与えてはならない。好適な可塑剤の例としては、アセチルトリブチルシトラート、ジメチルセバケート、トリエチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリ(p−クレシル)ホスフェート、グリセリルトリアセタ−ト、グリセリルトリブチラート、ジブチルセバケート、ジ−n−ブチルセバケート、ジエチルセバケート、ジオクチルアジパート、イソプロピルミリステート、ブチルステアラート、ラウリン酸、トリオクチルトリメリテート、ジオクチルグルタラート、ポリジメチルシロキサン及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい可塑剤としては、ジ−n−ブチルセバケートが挙げられる。実施形態では、好適な可塑剤としては、ポリエチレングリコール(PEG)エステル及び末端が保護されたPEGエステル又はエーテル、ポリエステルグルタラート及びポリエステルアジパートなどの高分子可塑剤が挙げられる。
重合可能なシアノアクリラートモノマー若しくはモノマー類、及び/又はモノマー組成物の粘度は、粘度調整剤又は粘度調整構成成分の添加により制御できる。粘度調整剤は、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリラート)、ポリ(2−エチルヘキシルアクリラート)及びセルロースアセタ−トブチラートを含むが、これらに限定されない既知の増粘剤から選択してもよい。好適な増粘剤としては更に、例えば、ポリシアノアクリラート、ポリオキサラート、乳酸−グリコール酸コポリマー、ポリカプロラクトン、乳酸−カプロラクトンコポリマー、ポリ(カプロラクトン+DL−ラクチド+グリコリド)、ポリオルトエステル、ポリアルキルアクリラート、アルキルアクリラート及びビニルアセタ−トのコポリマー、ポリアルキルメタクリラート、並びにアルキルメタクリラート及びブタジエンのコポリマーが挙げられる。アルキルメタクリラート及びアクリラートの例は、ポリ(ブチルメタクリラート)及びポリ(ブチルアクリラート)、また、種々のアクリラート及びメタクリラートモノマーのコポリマー、例えば、ポリ(ブチルメタクリラート−共重合−メチルメタクリラート)である。生分解性ポリマー増粘剤は一部の外科的用途などの一部の用途に好ましい。
好ましくは、粘度調整剤はモノマー組成物を過度に加熱しなくてもモノマー組成物に添加でき、組成物中に均一に組み込まれたまま留まるように、室温(すなわち、20〜25℃)でモノマー組成物に可溶性である。
モノマー組成物に添加される粘度調整剤の量は、粘度調整剤の分子量に依存する。粘度調整剤は、好ましくは、接着剤組成物の約0.5〜約25.0重量%含まれる。好ましい実施形態では、粘度調整剤は、接着剤組成物の約1.0〜約10.0%、より好ましくは約1.0〜約5.0%含まれる。実施形態では、粘度調整剤は、高い分子量、好ましくは少なくとも100,000又は少なくとも500,000又は少なくとも1,000,000を有する。粘度調整剤は、モノマーに適合する(すなわち、重合、接着強度、主要特性又は貯蔵寿命に悪影響を及ぼさない)ように選択される。用いられる粘度調整剤の量は、不要な実験を行わずして当業者が既知の手法を用いて決定することができる。
実施形態においては、接着剤組成物は、25℃においてBrookfield粘度計を用いて測定される約0.02〜10Pa.s(20〜10,000センチポアズ)、好ましくは0.03〜1Pa.s(30〜1,000センチポアズ)及びより好ましくは0.2〜1Pa.s(200〜1,000センチポアズ)の粘度を有する。
好適な揺変性剤としてはシリルイソシアナートで処理したものなどのシリカゲルが挙げられるが、これらに限定されない。好適な揺変性剤の例は、例えば、米国特許第4,720,513号に開示され、その開示のすべてを本明細書に組み込む。
特に本発明の工業用組成物に好ましい耐衝撃性を付与するために、組成物はまた少なくとも1つの天然又は合成ゴムを任意に含んでもよい。好適なゴムは当業者に既知である。かかるゴムとしては、ジエン、スチレン、アクリロニトリル及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適なゴムの例は、例えば、米国特許第4,313,865号及び同第4,560,723号に開示され、その開示のすべてを本明細書に組み込む。
本発明の組成物は、毒性が少ししかないか又はないと考えられる。それにもかかわらず、本発明の医療用組成物はまた、ポリマーの生体内生分解中に生成される活性ホルムアルデヒド濃度を減少するのに有効な、少なくとも1つの生体適合性剤(本明細書において「ホルムアルデヒド濃度低減剤」とも言う)を含んでもよい。好ましくは、この構成成分は、ホルムアルデヒド捕捉化合物である。ホルムアルデヒド捕捉化合物の例としては、亜硫酸塩;亜硫酸水素塩;亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩の混合物;亜硫酸アンモニウム塩;アミン;アミド;イミド;ニトリル;カルバメート;アルコール;メルカプタン;タンパク質;アミン、アミド及びタンパク質の混合物;環状ケトン及びα−ジカルボニル基を有する化合物などの活性メチレン化合物;並びにカルボニル基を含まずNH基を有する複素環化合物(窒素又は炭素原子で構成される環を有し、環は不飽和又はフェニル基と融合するとき不飽和若しくは飽和であり、NH基は炭素又は窒素原子に結合しており、その原子は別の炭素又は窒素原子に二重結合で直接結合している)が挙げられる。ホルムアルデヒド濃度低減化合物及び組成物のその他の例は、代表的な特許、米国特許第6,010,714号、同第5,624,669号、同第5,582,834号及び同第5,575,997号に開示され、それらのすべての開示を参考として引用し、本明細書に組み込む。
本発明の組成物から形成される接着剤の貼着力を向上するため、二官能性モノマー架橋剤を本発明のモノマー組成物に添加してもよい。かかる架橋剤は既知である。代表的な架橋剤は、米国特許第3,940,362号に開示され、それらのすべてを参考として引用し、本明細書に組み込む。好適な架橋剤の例としては、アルキルビス(2−シアノアクリラート)、トリアリルイソシアヌラート、アルキレンジアクリラート、アルキレンジメタクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート及びアルキルビス(2−シアノアクリラート)が挙げられるが、これらに限定されない。
基質(例えば、組織表面)と本発明の組成物との間の接着を向上するため、プライミング剤を用いてシアノアクリラートモノマーの塗布前に基質を調整することができる。好適なプライマーとしては、pH調整剤(例えば有機又は無機塩基)、イオン性及び非イオン性界面活性剤、並びに有機又は無機塩が挙げられるが、これらに限定されない。本開示を踏まえれば当業者は、その他の好適なプライミング剤を容易に特定することができる。
本発明の組成物は、繊維状補強剤、並びに染料、顔料及び顔料染料などの着色剤を更に含んでよい。好適な繊維状補強剤の例としては、PGAマイクロファイバー、コラーゲンマイクロファイバー、セルロースマイクロファイバー及びオレフィンマイクロファイバーが挙げられる。好適な着色剤の例としては、1−ヒドロキシ−4−[4−メチルフェニル−アミノ]−9,10アントラセンジオン(医薬品及び化粧品用バイオレット2号)、6−ヒドロキシ−5−[(4−スルホフェニル)アクソ]−2−ナフタレン−スルホン酸の二ナトリウム塩(食品、医薬品及び化粧品用イエロー6号)、9−(o−カルボキシフェニル)−6−ヒドロキシ−2,4,5,7−テトラヨード−3H−キサンテン−3−オン二ナトリウム塩一水和物(食品、医薬品及び化粧品用レッド3号)、2−(1,3−ジヒドロ−3−オキソ−5−スルホ−2H−インドール−2−イリデン)−2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1H−インドール−5−スルホン酸二ナトリウム塩(食品、医薬品及び化粧品用ブルー2号)及び[フタロシアニン(2−)]銅が挙げられる。
組成物はまた、少なくとも1つの生物学的製剤又は治療薬を任意に含んでもよい。本発明の接着剤組成物とともに用いることができる様々な生物学的製剤/治療薬は膨大である。一般的に、本発明の接着剤/封止剤組成物とともに投与できる生物学的製剤/治療薬としては、抗生物質、抗菌剤(例えば、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル又はこれらの組み合わせ)、防腐剤、バクテリオシン、静菌剤、消毒剤、殺真菌剤、抗菌及び抗ウイルス剤などの抗感染剤;鎮痛剤及び鎮痛剤の組み合わせ;抗炎症剤;天然由来の又は遺伝子操作されたタンパク質、多糖類、糖タンパク質又はリポタンパク質;オリゴヌクレオチド、抗体、抗原、コリン作用薬、細胞増殖抑制剤、ヘパリン中和剤;プロトロンビン、トロンビン、フィブリノゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ヘパリナーゼ、X/Xa因子、VII/VIIa因子、IX/IXa因子、XI/XIa因子、XII/XIIa因子、組織因子、バトロキソビン、アンクロッド、エカリン、フォンウィルブランド因子、コラーゲン、エラスチン、アルブミン、ゼラチン、血小板表面糖タンパク質、バソプレシン、バソプレシン類似体、エピネフィリン、セレクチン、凝血促進毒素、プラスミノゲン活性化剤抑制剤、血小板活性化剤及び止血作用を有する合成ペプチドなどの凝血促進剤及び止血剤が挙げられるが、これらに限定されない。
組成物は、気体、液体又は固体の漏出の可能性を封ずるために、ステープル、縫合糸、テープ、メッシュなど主要な創縫合デバイスの補助として、外科的処置で使用してもよい。外科的接着剤/封止剤を、外科的処置の一部として、例えば、液体、粉末、フィルム、スポンジ又は発泡体、含浸布、含浸スポンジ又は発泡体及びスプレー等の種々の形態で組織に塗布してもよい。瞬間接着剤組成物は、その吸収性から外科的な状況では特に有利である。
接着剤組成物は1回又は複数回適用してもよい。例えば、接着剤組成物を第1の層に適用してよく、第1の層を完全に又は部分的に重合させた後、続いて層を追加することができる。このような方法を、創傷の寸法及びそれぞれの適用における接着剤の適用量により、多数回実施してもよい。
実施形態では、接着剤組成物を当業者には既知の任意の手段で適用してもよい。例として、任意の好適なアプリケータを用いて、接着剤複合材料組成物を適用面に適用してもよい。
反応開始剤は、本明細書に記述したように、重合性モノマー組成物の重合を開始することができる。これらの実施形態では、二官能性アミン反応開始剤及び重合可能なモノマー組成物を別々に保持することが好ましい。
例として、重合可能なモノマー又はモノマー類がシアノアクリラートモノマーの場合、シアノアクリラートモノマー又はモノマー類及びシアノアクリラートモノマー(モノマー類)と関連する構成成分、説明したように、例えば抑制剤、可塑剤、防腐剤などは、使用時まで官能性アミンとは別に保存するのが好ましい。例として、重合可能なシアノアクリラートモノマー又はモノマー類、及び例えば可塑剤、抑制剤、防腐剤又はその他所望の添加剤などの任意の添加剤が、使用時まで二官能性アミン反応開始剤とは別に又は非接触関係で保存される、重合可能なシアノアクリラートモノマー組成物を形成してもよい。接着剤組成物が使用されるとき又は直前に、分けられていた重合可能なモノマー組成物と二官能性アミン重合開始剤とが組み合わされ、接着剤組成物を形成する。
使用時まで構成成分の分離を可能にし、2構成成分系の混合を可能にするアプリケータは、当該技術分野において周知である。例として、Angiotech Pharmaceuticalから販売されるCoSeal Sealantのアプリケータが利用できる。加えて、本明細書に参考として組み込まれる特許出願第11/565,022号に開示されるアプリケータも利用できる。更なる例として、二官能性第三級アミン重合開始剤が1つの部分にあり、重合可能なモノマー組成物が別の部分にある、2室注射器システムが利用できる。構成成分を同時に押し出し使用時に混合して、所望の適用先に散布される接着剤組成物を形成することができる。このような注射器システムは、例えば、T型形状を利用してもよい。他の2構成成分システムは、例えば、米国特許第5,814,022号及び同第5,935,437号に示される。
実施形態では、生体組織処置用システムは、重合可能な生体適合性モノマー組成物を含有する第1の貯蔵器、反応開始剤及び促進剤を含有し、第1の貯蔵器とは非接触関係の第2の貯蔵器及びアプリケータを備える。反応開始剤は、好ましくは二官能性アミン重合開始剤を含む。重合可能な生体適合性モノマー組成物は、好ましくは、1つ又は2つ以上のシアノアクリラートモノマーを含む。アプリケータは、重合可能な生体適合性モノマー組成物と二官能性アミン重合開始剤とを混合して接着剤組成物を形成し、接着剤組成物を生体組織に適用することができる。
実施形態では、重合可能なモノマー組成物と二官能性アミン重合開始剤との間の非接触関係が接着剤組成物の使用時まで維持される限り、反応開始剤及び促進剤はアプリケータ本体の1つの容器に入れられることがあり、同時に重合可能なシアノアクリラートモノマー組成物はアプリケータ本体内の別の容器に保存される。
接着剤組成物は、ガラス、プラスチック、金属包装及びフィルム形成包装を含むがこれらに限定されない材料から作られる、任意の種類の好適な容器に入れられてもよい。好適な容器としては、好ましくは、容器又はモノマー組成物の構成成分に容認できない損傷を起こさずに又はこれらの分解を起こさずに、組成物を分注し、滅菌できるものが挙げられる。そのすべての開示が参考により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2003/0039781号に開示されるように、少なくとも容器のモノマー接触面上に、ハロゲン後処理(例えば、フッ素化)した又はシラン処理した高分子バリア層があると、モノマー組成物の優れた貯蔵寿命がもたらされる。乾熱滅菌(典型的には、少なくとも約140℃)に用いられる温度では多くのプラスチックが安定性を欠くため、乾熱により滅菌を達成する場合にはガラスが特に好ましい。容器の種類の例としては、アンプル、バイアル瓶、注射器、ピペットなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載される接着剤組成物には複数の医学的用途がある。例えば体内の外科的接着剤及び封止剤として、接着剤は、組織と組織、組織と医療デバイス(例えば、メッシュ、クリップ及びフィルム)及び医療デバイスと医療デバイスを結合できる。封止剤として、組成物は組織上、医療デバイス上又は医療デバイスと組織との境界面上を被覆して、漏れを防止することができる。組成物を使用してその場でフィルムを形成することが可能であり、それは、手術癒着の防止用等の用途を有し得る。組成物を使用して、充填剤(例えば、死腔除去、再建手術及び美容手術)、バルク剤、組織工学(例えば、細胞足場)材料、並びに発泡体及びスポンジが有用なその他などとしての用途を有し得る発泡体をその場で形成することが可能である。注入可能で、局所的で組織に接着し、それゆえ注入部位に残留するゲルのその場での形成に使用できるように、組成物を処方することができる。この注入可能な処方は、細胞並びに他の生物学的製剤、生物活性剤及び医薬品又は栄養補給剤用の供給基材として、塞栓剤として、並びに造影剤を局在させる手段等の用途を有し得る。
充填剤として、接着剤組成物を顔面、欠損又は空隙の充填剤として使用できる。例えば、組成物は、結果として生じるポリマーが内部空洞及び空隙を充填し、組織の間隙及び孔を貫通し適合するように内部空隙の隙間に適用し、かつその中で重合を可能にし得る。したがって、定型的乳房切除術(すなわち、癌治療のための乳房及び所属リンパ節除去)、乳房再生及び豊胸処理、再建的又は美容上の腹壁形成及び脂肪吸引、美顔手術、帝王切開及び肥満患者の子宮摘出、大腿領域の整形術、切開性ヘルニア修復、脂肪腫切除及び外傷性損傷(すなわち、閉鎖性外傷)を含むが、これらに限定されない、死腔形成の潜在的な危険性を有する多くの処理後に、この組成物を使用し得る。
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照することにより更に理解される。
以下の実施例においては、2つの接着剤組成物(A及びB)並びに対照接着剤組成物(対照)を使用し、二官能性アミン反応開始剤系を、反応開始剤及び促進剤システムの混合と比較して評価した。組成物A及びBは、粘度が0.2〜0.25Pa.s(200〜250センチポアズ)となるように処方した。対照組成物は、ほぼ0.04〜0.055Pa.s(40〜55センチポアズ)である。表1は各組成物の全体の処方を詳細に示す。2OCAは、安定化された2−オクチルシアノアクリラートを示す。
Figure 2012521856
約0.70グラムの組成物で満たしたガラスアンプルを調製し、乾熱滅菌した。滅菌アンプルを平底ブチラート管の内側に置いた。この管を多孔質アプリケータチップで封止した。多孔質アプリケータチップは、対象の反応開始剤/促進剤系を含んでいた。反応開始剤/促進剤系が多孔質アプリケータチップに適用されている。生体組織に適用するための滅菌を最終デバイスに付与するため、デバイスをエチレンオキシドなどの既知の方法を用いて滅菌してもよい。
以下の実施例において、平均発熱はあるデータの組で到達した最大発熱の平均値として定義される。最大発熱も比較のために報告する。
(実施例1)
組成物Bとアルカノールアミントリイソプロパノールアミン(TIPA)のみを使用して重合を行った。TIPAの3種類の濃度、65、130及び240マイクログラムを評価した。臨床的に許容できる時間範囲内で、フィルムは固まらなかった。5分以内にフィルムが硬化しない場合には、試験を放棄した。比較として、同じ組成物と塩化ベンザルコニウム(BAC)を用いると、フィルムは118秒で固まり、平均発熱は50.1℃、最高発熱は、57.9℃であった。これらのデバイスは最終的に滅菌しなかった。6ユニットをテストした。
(実施例2)
組成物A及びBを塩化ベンザルコニウム(BAC)のみを使用して重合した。組成物Aの3つのロット(A1、A2及びA3)を評価した。組成物Bの3ロット(B1、B2及びB3)もまた評価した。BACの1つの濃度、110マイクログラム(又はBACの平均分子量として340g/molを使用して、0.32マイクロモル)を評価した。対照組成物は、40マイクログラム(又は0.12マイクロモル、これは0.7gのシアノアクリラートに加えられた場合には57ppmに相当する)のBACを使用して開始した。評価した組成物に関しては、この反応開始剤レベルでは臨床的許容範囲内の時間内でフィルムが生成する。12のデバイスを平均及び最大発熱について評価した。表2には、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較した両方の値の減少度もまた報告されている。
Figure 2012521856
試験試料の平均の固化温度は、対照と比較してすべてのケースで低い。表2に与えられたデータの組では、最高固化温度が試験データの組の50%において、対照の最高固化温度を超えている。対照と比較した平均又は最高温度の減少は、正又は好ましい値として示され、一方増加は負又は好ましくない値として示されている。
更に高い粘度の非流動性接着剤処方は、単一反応開始剤BACを使用して硬化した場合、試験した試料の50%において対照試料を超える最高発熱を示し、同時に150秒未満の時間で硬化フィルムを生成した。
(実施例3)
含浸した多孔質チップを使用するBACとTIPAとの混合二重反応開始剤系
次いで実施例1又は2と同じ方法を使用して、二重促進剤/反応開始剤系に関してTIPAとBACとの混合物を評価した。組成物A及びBに関する、BAC/TIPA組成物の2つのレベルの固化時間及び固化温度の硬化データを表3にまとめた。このようは系は、平均及び最高固化時間が臨床的許容範囲の時間内であったことを示している。また試験したデバイスの平均固化温度及び最高固化温度はともに、1つの例外を除き対照の値未満であり、このように大部分は好ましい属性の目標範囲内である。
Figure 2012521856
BAC/TIPAのより低い濃度の追加データを作った。この結果では、すべての試料が臨床的許容範囲内の時間で硬化した。硬化温度は表4に示したとおりである。対照と比較して顕著な固化温度の低下が、表4で明らかに観察される。
Figure 2012521856
(実施例4)含浸した多孔質チップを使用する二重機能反応開始剤系としてのQuadrol
多孔質チップ中の同じ非流動性局所皮膚接着剤組成物用反応開始剤としての、Quadrolの適合性を判定するために実験研究を行った。同じ2つの2−OCA処方A及びBの各処方に対して、表に示した3つの濃度を使用した固化時間及び温度のデータが、表5にまとめられている。表5のデータは、Quadrolが臨床的許容範囲内の硬化時間を与え、発熱データは対照と比較して許容できることを示している。より高い濃度のQuadrolはより速い硬化速度を与えるが、それでも望ましい最高固化温度を維持する傾向がある。
Figure 2012521856
〔実施の態様〕
(1) 接着剤組成物であって、
a)1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマー、並びに
b)各アミン官能基が他のアミン官能基のpKa値とは異なるpKa値を有する、少なくとも2つのアミン官能基、及び少なくとも1つのヒドロキシ部分を有する多官能性化合物、
を含む、接着剤組成物。
(2) 前記多官能性化合物が塩基性環境において第三級アミンである2つのアミン官能基を有する、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(3) 前記アミン官能基のうちの少なくとも1つが、pHが中性の環境においてその第四級アンモニウム型として存在し、少なくとも1つの他のアミン官能基が、pHが中性の環境において第三級アミンである、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(4) 前記アミン官能基の1つの前記pKa値が少なくとも8であり、前記の他のアミン官能基の前記pKa値が5未満である、実施態様3に記載の接着剤組成物。
(5) 前記アミン官能基のうちの少なくとも1つの前記pKa値が約9である、実施態様3に記載の接着剤組成物。
(6) 第2のアミン官能基の前記pKa値が約4.5である、実施態様5に記載の接着剤組成物。
(7) 前記多官能性化合物が下記の式で表わされ、
Figure 2012521856
式中、各R基は独立してH又はC〜Cアルキルである、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(8) 前記多官能性化合物が下記の式で表わされる、実施態様1に記載の接着剤組成物。
Figure 2012521856
(9) 前記シアノアクリラートモノマーが生体適合性である、実施態様8に記載の接着剤組成物。
(10) 前記シアノアクリラートモノマーが生体吸収性である、実施態様9に記載の接着剤組成物。
(11) 生体組織の処置システムであって、
a)1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマーを含む、第1の貯蔵器、並びに
b)前記第1の貯蔵器と非接触関係にあり、各アミン官能基が他のアミン官能基のpKa値とは異なるpKa値を有する、少なくとも2つのアミン官能基及び少なくとも1つのヒドロキシ部分を有する多官能性化合物を含む、前記の1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマーの重合開始剤を含む、第2の貯蔵器、並びに
c)前記重合可能なシアノアクリラートモノマー及び前記重合開始剤を混合して、接着剤組成物を形成し、次いで前記接着剤組成物を生体組織に適用することのできるアプリケータ、を含む、システム。
(12) 前記アミン官能基のうちの少なくとも1つが、pHが中性の環境においてその第四級アンモニウム型として存在し、少なくとも1つの他のアミン官能基が、pHが中性の環境において第三級アミンである、実施態様11に記載のシステム。
(13) 前記アミン官能基の1つの前記pKa値が少なくとも8であり、前記他のアミン官能基の前記pKa値が5未満である、実施態様11に記載のシステム。
(14) 前記多官能性化合物が下記の式で表わされ、
Figure 2012521856
式中、各R基は独立してH又はC〜Cアルキルである、実施態様11に記載のシステム。
(15) 前記多官能性化合物が下記の式で表わされる、実施態様11に記載のシステム。
Figure 2012521856
(16) 前記重合可能なシアノアクリラートモノマーが生体適合性である、実施態様15に記載のシステム。
(17) 前記重合可能なシアノアクリラートモノマーが生体吸収性である、実施態様15に記載のシステム。
(18) 生体組織に実施態様1に記載の接着剤組成物を適用することを含む、生体組織処置方法。
(19) 前記接着剤組成物が生体適合性であり、局所に適用される、実施態様18に記載の生体組織処置方法。
(20) 前記接着剤組成物が生体吸収性であり、心臓血管、末梢血管、整形、心胸郭、婦人科、神経、及び腹部一般の手術からなる群から選択される処置において内部的に適用される、実施態様18に記載の生体組織処置方法。

Claims (17)

  1. 接着剤組成物であって、
    a)1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマー、並びに
    b)各アミン官能基が他のアミン官能基のpKa値とは異なるpKa値を有する、少なくとも2つのアミン官能基、及び少なくとも1つのヒドロキシ部分を有する多官能性化合物、
    を含む、接着剤組成物。
  2. 前記多官能性化合物が塩基性環境において第三級アミンである2つのアミン官能基を有する、請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 前記アミン官能基のうちの少なくとも1つが、pHが中性の環境においてその第四級アンモニウム型として存在し、少なくとも1つの他のアミン官能基が、pHが中性の環境において第三級アミンである、請求項1に記載の接着剤組成物。
  4. 前記アミン官能基の1つの前記pKa値が少なくとも8であり、前記の他のアミン官能基の前記pKa値が5未満である、請求項3に記載の接着剤組成物。
  5. 前記アミン官能基のうちの少なくとも1つの前記pKa値が約9である、請求項3に記載の接着剤組成物。
  6. 第2のアミン官能基の前記pKa値が約4.5である、請求項5に記載の接着剤組成物。
  7. 前記多官能性化合物が下記の式で表わされ、
    Figure 2012521856
    式中、各R基は独立してH又はC〜Cアルキルである、請求項1に記載の接着剤組成物。
  8. 前記多官能性化合物が下記の式で表わされる、請求項1に記載の接着剤組成物。
    Figure 2012521856
  9. 前記シアノアクリラートモノマーが生体適合性である、請求項8に記載の接着剤組成物。
  10. 前記シアノアクリラートモノマーが生体吸収性である、請求項9に記載の接着剤組成物。
  11. 生体組織の処置システムであって、
    a)1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマーを含む、第1の貯蔵器、並びに
    b)前記第1の貯蔵器と非接触関係にあり、各アミン官能基が他のアミン官能基のpKa値とは異なるpKa値を有する、少なくとも2つのアミン官能基及び少なくとも1つのヒドロキシ部分を有する多官能性化合物を含む、前記の1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリラートモノマーの重合開始剤を含む、第2の貯蔵器、並びに
    c)前記重合可能なシアノアクリラートモノマー及び前記重合開始剤を混合して、接着剤組成物を形成し、次いで前記接着剤組成物を生体組織に適用することのできるアプリケータ、を含む、システム。
  12. 前記アミン官能基のうちの少なくとも1つが、pHが中性の環境においてその第四級アンモニウム型として存在し、少なくとも1つの他のアミン官能基が、pHが中性の環境において第三級アミンである、請求項11に記載のシステム。
  13. 前記アミン官能基の1つの前記pKa値が少なくとも8であり、前記他のアミン官能基の前記pKa値が5未満である、請求項11に記載のシステム。
  14. 前記多官能性化合物が下記の式で表わされ、
    Figure 2012521856
    式中、各R基は独立してH又はC〜Cアルキルである、請求項11に記載のシステム。
  15. 前記多官能性化合物が下記の式で表わされる、請求項11に記載のシステム。
    Figure 2012521856
  16. 前記重合可能なシアノアクリラートモノマーが生体適合性である、請求項15に記載のシステム。
  17. 前記重合可能なシアノアクリラートモノマーが生体吸収性である、請求項15に記載のシステム。
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