JP2012520298A - Gabaに結合したアントラサイクリン−脂質複合体 - Google Patents
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Abstract
本発明は、GABAに結合したアントラサイクリン−脂質複合体、および該複合体の癌の処置のための使用方法に関する。GABAに結合したアントラサイクリン−脂質複合体を作製する方法も提供される。
Description
関連出願
この出願は、2009年3月12日に出願された、米国分割出願シリアル番号61/159,768の35U.S.C.§119(e)による利益を要求し、その全内容は参照として本明細書に組み込まれる。
この出願は、2009年3月12日に出願された、米国分割出願シリアル番号61/159,768の35U.S.C.§119(e)による利益を要求し、その全内容は参照として本明細書に組み込まれる。
本発明の分野
本発明は、GABAに結合した(GABA-linked)アントラサイクリン−脂質複合体および癌を処置するための該複合体の使用方法に関する。
本発明は、GABAに結合した(GABA-linked)アントラサイクリン−脂質複合体および癌を処置するための該複合体の使用方法に関する。
本発明の背景
標的組織に対する薬物選択性の改善は、医学の分野における確立された目的である。一般に、薬物または治療剤をその標的に選択的に送達し、それにより投与量を減少させ、したがって副作用を低減することが望ましい。これは特に、抗癌剤などの毒性のある薬物にあてはまり、なぜならば、癌治療に有効な治療的用量の達成が、正常で健康な組織に対する抗癌剤の有毒な副作用により、しばしば制限されるからである。
標的組織に対する薬物選択性の改善は、医学の分野における確立された目的である。一般に、薬物または治療剤をその標的に選択的に送達し、それにより投与量を減少させ、したがって副作用を低減することが望ましい。これは特に、抗癌剤などの毒性のある薬物にあてはまり、なぜならば、癌治療に有効な治療的用量の達成が、正常で健康な組織に対する抗癌剤の有毒な副作用により、しばしば制限されるからである。
標的組織への、例えば抗癌剤などの治療剤の選択性を改善する脂肪酸の使用については、多大な研究がなされている。脂肪酸は前もって治療剤と複合され、複合体としてのこれらの剤が血液脳関門を越えるのを補助している。DHA(ドコサヘキサエン酸)は、薬物と複合した場合、血液脳関門を越えるのに非常に有効であることが示された、
治療剤と脂質分子との複合体の例は、米国特許5,919,815、5,795,909、5,580,899ならびに米国特許出願2003/0065023および2002/0177609に記載されている。前述の特許文献に記載されている治療剤−脂質複合体の効用は:治療剤を、関心のある組織に標的化すること、好ましくは、関心のある組織における治療剤の分布量に影響を与えることならびに治療剤の有毒性および副作用を低減することを含む。記載されている治療剤−脂質複合体の別の効用は、脂質がin vivoで一旦治療剤との複合体から分離されると、脂質は体内において容易に代謝可能であることである。
用いられる脂質分子のタイプには、リン脂質、天然に存在しない分岐状および非分岐状脂肪酸、ならびに炭素原子数が4個程度に少ないものから30を超えるものの範囲の天然に存在する分岐状および非分岐状脂肪酸が含まれる。一つの例においては、受容体結合活性の増大が観察され(アデノシン受容体作動薬について)、これは、ペンダント脂質分子がリン脂質膜と相互作用し、受容体のミクロな膜環境において受容体リガンドの遠位のアンカーとして作用したと考えられた。しかし、この作用強度(potency)の増加は、アデノシン受容体アンタゴニストの同一の脂質誘導体を用いた場合には観察されず、したがってこれらの研究から一般化することはできなかった。
例えば脂肪酸などの脂質分子が、これらと複合した剤が血液脳関門を越えるのを補助する正確な作用機序は、未だ十分に理解されていない。脂質分子の親水性の剤への付着が、これらを、複合していない剤より親水性(より脂溶性)にすると考えられている。この増大した脂溶性により、剤が血液脳関門を越えるのを補助すると考えられている。増大した脂溶性はまた、剤のリンパ系への腸吸収を高める作用機序として示唆されてきており、これにより脳への複合体の侵入を高め、また、これにより肝臓における複合体の初回通過代謝を回避する。標的組織において、または標的組織の近傍において、より効果的となるには、脂質分子−剤複合体が、親剤(parent agent)に変換されて戻らなければならないことが、データで裏付けされながら報告されている。
末端がヒドロキシ基の脂質分子(脂肪アルコール)および末端がアミノ基の脂質分子(脂肪アミン)はまた、リンカーを介して薬物に複合してきた。薬物と脂肪アルコールとを複合させるために用いられるリンカーの例は、カーボネート、カルバメート、エステル、ホスファート、チオノカルバメート、グアニジン、ホスホネートオキシムおよびチオ尿素結合(linkage)を含む。治療剤への脂肪アルコールの結合は、米国特許出願2002/0177609に記載されている。薬物と脂肪アミンとを複合させるために用いられるリンカーの例は、ホスホルアミド、ホスホンアミド、尿素、アミド、チオノカルバメート、チオ尿素およびグアニジンを含む。医薬品への脂肪アミンの結合は、米国特許出願2003/0065023に記載されている。
種々の他のリンカー(例えば、自己犠牲リンカー)は、治療剤およびリガンドまたは担体分子の複合体の合成において利用されてきた。かかるリンカーの1つの例は、ガンマ−アミノ酪酸(GABA)である((Rosowsky et al., J Med Chem 29, 1872-1876, 1986; Zhang et al., Cancer Research 64, 6707-6715, 2004;米国特許6,214,345;米国特許5,652,335;米国特許5,094,848;米国特許出願2006/0105948;および米国特許出願2005/0054607)。GABAは、治療剤およびリガンドまたは担体分子のリンカーまたはスペーサーとしての役割を果たし得る。
本発明の概要
本発明は、特定のGABAに結合した抗癌剤−脂質複合体(すなわち、GABAを介して脂質に共役した抗癌剤)が、複合していない抗癌剤と比較して優れた抗癌活性を示したという、予想外の知見に基づく。特に、2’位において複合した、リノレイルアルコール−GABA−ドキソルビシン(LOC−GABA−ドキソルビシン)、オレイルアルコール−GABA−ドキソルビシン(OOC−GABA−ドキソルビシン)およびDHA−GABA−パクリタキセルが、腫瘍増殖の阻害において、それぞれ複合していないドキソルビシンおよびパクリタキセルより優れた活性を示した。LOC−GABA−ドキソルビシンの抗腫瘍活性は、3種の腫瘍モデルにおいて検討された。
本発明は、特定のGABAに結合した抗癌剤−脂質複合体(すなわち、GABAを介して脂質に共役した抗癌剤)が、複合していない抗癌剤と比較して優れた抗癌活性を示したという、予想外の知見に基づく。特に、2’位において複合した、リノレイルアルコール−GABA−ドキソルビシン(LOC−GABA−ドキソルビシン)、オレイルアルコール−GABA−ドキソルビシン(OOC−GABA−ドキソルビシン)およびDHA−GABA−パクリタキセルが、腫瘍増殖の阻害において、それぞれ複合していないドキソルビシンおよびパクリタキセルより優れた活性を示した。LOC−GABA−ドキソルビシンの抗腫瘍活性は、3種の腫瘍モデルにおいて検討された。
LOC−GABA−ドキソルビシンは、Madison 109(M109)マウス肺癌モデルおよびHT29ヒト癌モデルと比較して、優れた抗腫瘍活性を示したが、MDA−MB−435ヒト乳癌モデルにおいては示さなかった。OOC−GABA−ドキソルビシンもまた、M109マウス肺癌モデルにおいてドキソルビシンと比較して、優れた抗腫瘍活性を示した。これらの結果は、他のGABAに結合した抗癌剤−脂質複合体(例えば、7’位において複合したDHA−GABA−パクリタキセル、および2’または4’位において複合したエトポシド−GABA−リノリエート)が、複合していない薬物と比較して優れた抗腫瘍活性を示さなかったため、予想外である。
複合していない抗癌剤と比較して、脂質分子または抗癌剤のタイプおよび複合した抗癌剤において観察される優れた抗腫瘍活性間に相関関係はなかった。これらの研究結果を、さらに以下の例において説明する。
従来技術の教示に基づき、当業者は、複合していない抗癌剤と比較して、どのGABAに結合した抗癌剤−脂質複合体が改善された抗腫瘍活性を示すかを予想することができなかったであろう。しかしながら、ドキソルビシン(例えば、ダウノマイシン、エピルビシンおよびイダルビシン)と構造的および官能的に類似したアントラサイクリン剤が、複合していないアントラサイクリンと比較して、優れた類似の抗腫瘍活性を示すであろうことが期待される。
本発明の一側面によれば、構造
を有する化合物を提供する。
本発明の別の一側面によれば、医薬組成物を提供する。医薬組成物は、式Iの化合物および薬学的に許容し得る担体を含む。医薬組成物は、さらに式I以外の化合物の剤を含んでもよい。いくつかの態様において、剤は抗癌剤である。抗癌剤の例は、これらに限定されないが、シクロホスファミド、パクリタキセル、タキソテール、ブレオマイシン、ダカルバジン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ラパマイシン、モノクローナル抗体、エトポシド、メトトレキサートおよびフルオロウラシルを含む。
本発明の別の一側面によれば、医薬組成物を提供する。医薬組成物は、式Iの化合物、10%のクレモホール(R)EL−P、10%のエタノール、および80%の生理食塩水を含む。医薬組成物は、さらに式I以外の化合物の剤を含んでもよい。いくつかの態様において、剤は抗癌剤である。
一態様において、癌を有する対象を処置するための方法を提供する。本方法は、癌を処置するために、対象に式Iの化合物の有効量の医薬組成物を投与することを含む。本発明の医薬組成物により処置され得る癌の例を以下に示す。いくつかの重要な態様において、癌は、白血病(例えば、急性リンパ性白血病および慢性リンパ球性白血病)、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、肺癌、頭頸部癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頚癌、乳癌、胃癌、精巣癌、前立腺癌、軟部肉腫、AIDS関連カポジ肉腫、またはウィルムス腫瘍である。
本発明の別の一側面によれば、構造:
を有する化合物を提供する。
本発明の別の一側面によれば、構造:
を有する化合物を提供する。
本発明の別の一側面によれば、医薬組成物を提供する。医薬組成物は、式IVの化合物および薬学的に許容し得る担体を含む。医薬組成物は、さらに式IV以外の化合物の剤を含んでもよい。いくつかの態様において、剤は抗癌剤である。抗癌剤の例は、これらに限定されないが、シクロホスファミド、パクリタキセル、タキソテール、ブレオマイシン、ダカルバジン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ラパマイシン、モノクローナル抗体、エトポシド、メトトレキサートおよびフルオロウラシルを含む。
本発明の別の一側面によれば、医薬組成物を提供する。医薬組成物は、式IVの化合物、10%のクレモホール(R)EL−P、10%のエタノール、および80%の生理食塩水を含む。医薬組成物は、さらに式IV以外の化合物の剤を含んでもよい。いくつかの態様において、剤は抗癌剤である。
一態様において、癌を有する対象を処置するための方法を提供する。本方法は、癌を処置するために、対象に式IVの化合物の有効量の医薬組成物を投与することを含む。本発明の医薬組成物により処置され得る癌の例を以下に示す。いくつかの重要な態様において、癌は、白血病(例えば、急性リンパ性白血病および慢性リンパ球性白血病)、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、肺癌、頭頸部癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頚癌、乳癌、胃癌、精巣癌、前立腺癌、軟部肉腫、AIDS関連カポジ肉腫、またはウィルムス腫瘍である。
本発明の別の一側面によれば、構造:
を有する化合物を提供する。
本発明のこれらのおよび他の側面は、種々の利点および有用性と同様に、本発明の詳細な説明を参照してより明らかとなるであろう。本発明の各側面は、当然のことながら種々の態様を包含できる。
発明の詳細な説明
本明細書に記載された発明は、GABAに結合したアントラサイクリン−脂質複合体および癌を処置するための該複合体の使用方法に関する。本発明は、物質の組成を提供する。本発明はまた、アントラサイクリン(ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシンおよび/またはそのあらゆる誘導体)を脂質(例えば、ステアリルアルコール、リノレイルアルコールおよびドコサヘキサエノイルアルコールなどのC8〜C22脂肪アルコール)に複合させ調製する方法も包含する。本組成物の製造方法および製法の例を、本明細書において記載するが、当業者は他の可能な合成方法があり得ることを認識するであろう。
本明細書に記載された発明は、GABAに結合したアントラサイクリン−脂質複合体および癌を処置するための該複合体の使用方法に関する。本発明は、物質の組成を提供する。本発明はまた、アントラサイクリン(ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシンおよび/またはそのあらゆる誘導体)を脂質(例えば、ステアリルアルコール、リノレイルアルコールおよびドコサヘキサエノイルアルコールなどのC8〜C22脂肪アルコール)に複合させ調製する方法も包含する。本組成物の製造方法および製法の例を、本明細書において記載するが、当業者は他の可能な合成方法があり得ることを認識するであろう。
アントラサイクリンは、DNA/RNAらせん構造の塩基対間において挿入することによりDNAおよびRNA合成を阻害する化学療法剤のクラスであり、これにより、急速に成長する癌細胞の複製を妨害する。それらはまた、DNAおよび細胞膜を損傷する、イオンにより仲介された遊離酸素ラジカルを作り出す。アントラサイクリンの例には、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシンおよびイダルビシンが含まれる。いくつかの好ましい態様において、アントラサイクリンはドキソルビシンである。
ドキソルビシンは、臨床において初めて使用されたアントラサイクリンであり、最も広く使用されているアントラサイクリンであり続けており、癌の化学療法の中心である。多くの腫瘍は、固形腫瘍および血行性腫瘍共に、ドキソルビシンに反応する。残念なことに、骨髄抑制、吐き気、嘔吐、下痢、粘膜炎、脱毛症、ならびに最も深刻な急性および慢性心毒性を含む、多くの重度の毒性を有する。慢性心毒性は、しばしば鬱血性心不全および死をもたらす、用量依存性の鬱血性心筋症を示す。この危険な毒性は、他のリスク要因が存在しない場合に、ドキソルビシンの累積投与量を450mg/m2未満に制限することにより臨床的に管理される。ドキソルビシンの累積投与量が550、660および700mg/m2に増加するにつれ、心筋症の発生率は7%、15%および30%までそれぞれ増加する。
心臓毒性は、静脈内(i.v.)投与後に心筋に到達したドキソルビシンの高ピーク濃度に起因すると考えられている。毒性の作用機序は、おそらく、Fe2+の存在下での、ミトコンドリアリッチである心筋におけるピーク濃度において起こる酸素ラジカル生成によるものである。ミトコンドリアは、ドキソルビシンにより損傷される心筋内での標的細胞器官であり得る。ドキソルビシンは以下の構造:
を有する。
リノレイルアルコール(9Z,12Z−オクタデカジエン−1−オール)は、18個の炭素原子、ポリ不飽和、リノリン酸の加水分解、オメガ6脂肪酸である。オレイルアルコール、オクタデセノール、またはcis−オクタデセン−1−オールは、脂肪アルコールであり、その化学式は、C18H36OまたはCH3(CH2)7−CH=CH−(CH2)8OHである。リノレイルアルコールは、標準的手法を使用して、リノリン酸をリノレイルアルコールに変換することにより製造してもよい。
本発明は、物質の組成を提供する。本発明の一側面において、物質の組成は、式I:
の化合物である。
本発明は、物質の組成を提供する。本発明の一側面において、物質の組成は、式I:
本発明の一側面において、物質の組成は、式IV:
の化合物である。
本発明の一側面において、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物または式IVの化合物)は、標識に結合している。標識は、蛍光標識、酵素標識、放射性標識、核磁気共鳴標識、発光標識、または発色団標識であってもよい。いくつかの態様において、標識はフッ素である。
いくつかの態様において、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物または式IVの化合物)は、放射性同位体に結合している。放射性同位体は、α線を放出し得る。他のものは、β線を放出し得る。他の放射性同位体は、γ線を放出し得る。本発明において使用され得る放射性同位体の例は、これらに限定されないが、225Ac、211At、212Bi、213Bi、186Rh、188Rh、177Lu、90Y、131Iまたは67Cu、125I、123Iまたは77Brである。
本発明はまた、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物または式IVの化合物)を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、薬学的に許容し得る担体または希釈剤における本発明の化合物(例えば、式Iの化合物または式IVの化合物)を含む。
本明細書において使用される用語「薬学的に許容し得る担体」は、レシピエント対象、好ましくは、哺乳動物、およびより好ましくはヒトと接触させて使用するのに好適な化合物であって、合理的な便益/リスク比に応じた毒性、刺激およびアレルギー反応を有し、それらの意図した使用に効果的であるものを指す。いくつかの態様において、薬学的に許容し得る担体は、水溶液(例えば、生理食塩水)である。
医薬組成物はまた、調剤分野において標準的な全ての界面活性剤、溶媒、防腐剤、希釈剤、緩衝剤などを含む、対象、特にヒトへの投与用の医薬品製剤において有用な他の成分を含有することができる。
本発明との使用に好適な界面活性剤は、例えば、長鎖脂肪酸およびその不水溶性誘導体などの非イオン性剤を含む。これらは、例えば、ラウリルアセチルおよびステアリルアミンなどの脂肪アミン、例えば、天然由来のモノ、ジおよびトリグリセリドなどのグリセリルエステル、ならびに、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビタン、スクロースおよびコレステロールなどの脂肪アミンの脂肪酸エステルを含む。また、有用なのは、アミン基とのエーテル結合により付加された(add through)ポリオキシエチレン基を有する化合物である。本発明においてまた有用な化合物は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレングリセロールおよびステロイドエステルを含む。好ましい界面活性剤のいくつかは、ポリオキシエチレン化されたヒマシ油界面活性剤である、クレモホール(R)ELおよびクレモホール(R)EL−Pである。
他の界面活性剤を、本明細書において記載した化合物を可溶化するために用いてもよいと考えられる。例えば、本発明の特定の態様において、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ナトリウムラウレート、およびソルビタンモノオレエートが有用であり得ると考えられる。陰イオン界面活性剤はまた、本発明の実施において有用であり得る。これらの例は、これらに限定されないが、コール酸ナトリウム、ナトリウムラウリルスルフェート、デオキシコール酸ナトリウム、ナトリウムラウレート、ナトリウムオレエートおよびカリウムラウレートを含む。
特定の態様において、本明細書において記載した化合物用の溶媒として無水エタノールを用いてもよい。他の態様において、例えば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコールは、本発明の範囲内である。単純なポリオール錯体はまた、好適な溶媒であり得る。さらに、非無水アミンの使用はまた、本発明の範囲内において適している。複合体を完全に可溶化するための溶媒の、および例えば、式Iの化合物の組成物などの適切な濃度の決定は、当業者の範囲内であることが認められ、過度の実験を必要としない。
好適な緩衝剤は:酢酸および塩(1〜2%W/V);クエン酸および塩(1〜3%W/V);ならびにリン酸および塩(0.8〜2%W/V)を含む。
好適な防腐剤は、抗菌剤、例えば塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03%W/V);クロロブタノール(0.3〜0.9%W/V);パラベン(0.01〜0.25%W/V)およびチメロサール(0.004〜0.02%W/V)、および/または好適な抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、BHA、BHT、次亜リン酸、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、没食子酸プロピル、ホルムアルデヒド・スルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、二硫化硫黄、トコフェロールおよび/またはトコフェロール賦形剤などを含む。
好適な防腐剤は、抗菌剤、例えば塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03%W/V);クロロブタノール(0.3〜0.9%W/V);パラベン(0.01〜0.25%W/V)およびチメロサール(0.004〜0.02%W/V)、および/または好適な抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、BHA、BHT、次亜リン酸、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、没食子酸プロピル、ホルムアルデヒド・スルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、二硫化硫黄、トコフェロールおよび/またはトコフェロール賦形剤などを含む。
いくつかの態様において、式Iの化合物は、薬学的に許容し得る塩の形態で提供される。「薬学的に許容し得る塩」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応などなしに対象の組織と接触して用いるのに適しており、かつ合理的な便益/リスク比に見合う塩を意味する。薬学的に許容し得る塩は、当分野に知られている。例えば、S. M. Bergeらは、J. Pharmaceutical Sciences, 66:1 (1977)において、薬学的に許容し得る塩について詳述している。
塩は、本発明の化合物の最終的分離および精製の間に、またはこれとは別に、調製することができる。塩は、遊離塩基官能基を好適な酸と反応させて塩(酸付加塩)を形成させることにより、または、カルボン酸含有部分を好適な塩基と反応させることにより(塩基付加塩)、調製することができる。好適な塩基の例としては、薬学的に許容し得る金属カチオンまたはアンモニアの水酸化物、炭酸塩、または重炭酸塩、または有機1級、2級もしくは3級アミンが挙げられる。
代表的な酸付加塩としては、限定することなく、アセテート、アジパート、アルギン酸塩、シトレート、アスパルテート、ベンゾアート、ベンゼンスルホナート、重硫酸塩、ブチラート、カンフォラート、カンファースルホン酸塩、ジグルコナート、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホナート(イソチオナート)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホナート、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホナート、オキサレート、パモエート、ペクチナート(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニルプロピオナート、ピクラート、ピバレート、プロピオナート、スクシナート、タルトレート、チオシアナート、ホスファート、グルタメート、重炭酸塩、p−トルエンスルホナート、およびウンデカノエートが挙げられる。薬学的に許容し得る酸付加塩を形成するために用いることのできる酸の例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、およびシュウ酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸などの有機酸が挙げられる。
代表的な薬学的に許容し得る塩基付加塩としては、限定することなく、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属ベースのカチオン、および非毒性の4級アンモニアおよびアミンのカチオン、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどを含むものが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用なその他の代表的な有機アミンとしては、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどが挙げられる。
一側面において、医薬組成物は、式Iの化合物および1または2以上の治療剤を含む。いくつかの好ましい態様において、治療剤は、1または2以上の抗癌剤である。使用してよい抗癌剤の例としては、限定することなく、アルキル化剤、代謝拮抗剤、I型トポイソメラーゼ阻害剤、抗有糸分裂薬、抗生物質、酵素、生物学的応答調節剤、分化剤、および/または放射線増感剤が挙げられる。
本発明で用いることのできる抗癌剤の例としては、限定することなく、以下が挙げられる:アクチモマイシンD、アクチノマイシンD、AD32/バルルビシン、副腎皮質抑制剤、副腎皮質ステロイド/拮抗剤、アドリアマイシン、AG3340、AG3433、メルファランおよびシクロホスファミドなどのアルキル化剤、アルキルスルホン酸塩、5−アザシチジン(Azacitidine)、5−アザシチジン(Azacytidine)、アルファ2b、アミノグルテチミド、アムサクリン(m−AMSA)、アントラセンジオン、抗アンドロゲン、抗生物質、抗エストロゲン、代謝拮抗剤、抗有糸分裂薬、アスパラギナーゼ、AraC、アザシチジン、アザチオプリン、バクテリオクロロフィル−a、バチマスタット、BAY12−9566、BB2516/マルミスタット(Marmistat)、BCH−4456、ベンゾポルフィリン誘導体、生物学的応答調節剤、ブレオマイシン、BMS−182751/経口プラチナ、ブスルファン(busulfan)、ブスルファン(Busulfan)、ブロモデオキシウリジン(bromodeozyuridine)、5−ブロモデオキシウリジン(bromodeozyuridine)、2−CdA、キャエリクス(Caelyx)/リポソームドキソルビシン、カンプト/レバミゾール、カンプトサール/イリノテカン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(carmustaine)およびポリフェプロザン(poliferposan)、カルムスチン(BCNU)、CDP845、CDK4およびCDK2阻害剤、クロラムブシル、クロロエチルニトロソウレアシスプラチン、CI−994、シスプラチン(シス−DDP)、2−クロロデオキシアデノシン、クラドリビン、CP−358(774)/EGFR、CP−609(754)/RAS癌遺伝子阻害剤、CS−682、9−AC、シクロパックス(Cyclopax)/経口パクリタキセル、シクロホスファミド、シトシンアラビノシド、シタラビン、シタラビンHCl、サイトカイン、D2163、D4809/デキシフォスアミド(Dexifosamide)、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノマイシン、ダウノルビシンHCl、DepoCyt、
デスメチルミゾニダゾール、2’−デオキシコホルマイシン、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロールエチニルエストラジオール、分化剤、ドセタキセル、2,2’−ジフルオロデオキシシチジン、2’−ジフルオロデオキシシチジン、ドセタキセルエトポシド、ドキシル/リポソームドキソルビシン、ドキソルビシン、ドキソルビシンHCl、DX8951f、E7070、EO9、エダトレキサート、エニルウラシル/776C85/5FUエンハンサー、酵素、エピポドフィロトキシン、エルガミソール(Ergamisol)/レバミゾール、エリスロヒドロキシノニルアデニン(EHNA)、エストラムスチン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エストロゲン、エリスロポエチン、エタニダゾール、エチレンイミン、エトポシド(V16−213)、エヴァセット(Evacet)/リポソームドキソルビシン、ファメシルトランスフェラーゼ阻害剤、葉酸アナログ、FK317、フロクスウリジン、フルダラ/フルダラビン、リン酸フルダラビン、フルオロデオキシウリジン、5−フルオロウラシル(5−FU)、フルタミド、フルオキシメステロン、フラジリン(fragyline)、フルツロン/ドキシフルリジン、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、G−CSF、ジェムザール(Gemzar)/ゲムシタビン、グラモレク(Glamolec)、GM−CSF、ヒドロキシウレア、ヘマトポルフィリン誘導体、ヘキサメチルメラミン(HMM)、HMR1275/フラボピリドール、ホルモン類似体、ホルモンおよび拮抗薬、ハイカムチン/トポテカン、酢酸ヒドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシウレア(ヒドロキシカルバミド)、イダルビシン、阻害剤、Ifes/メスネックス(Mesnex)/イホスファミド(Ifosamide)、イホスファミド、5−ヨードデオキシウリジン、インセル(Incel)/VX−710、ヨウ素シード、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターフェロンα−2a、インターロイキン−2、IL−2、
イリノテカン、ISI641、L−アスパラギナーゼ、L−ブチアミン(Buthiamine)スルホキシド、ロイプロリド、レモナール(Lemonal)DP2202、酢酸ロイプロリド(LHRH放出因子アナログ)、ロイスタチン/クラドリビン、ロムスチン(CCNU)、LU79533/ビス−ナフタルイミド、LU103793/ドラスタチン(Dolastain)、LY264618/ロメトレキソール(Lometexol)、メクロレタミンHCl(ナイトロジェンマスタード)、酢酸メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、酢酸メゲストロールミトタン、メグラミンGLA、メルファラン、6−メルカプトプリン、メスナ、メタストロン/ストロンチウム誘導体、メタレト(Metaret)/スラミン、メトロニダゾール、メトトレキサート(MTX)、メチルグリオキサールビス−グアニルヒドラゾン(MGBG)、メチルヒドラジン誘導体、メチルメラミン、ミソニダゾール、ミトグアゾン(メチル−GAG)、マイトマイシンC、ミトラマイシン、ミトタン(o.p’−DDD)、ミトキサントロン、ミトキサントロンHCl、MMI270、MMP、MTA/LY231514、ナフタロシアニン、ナフタロシアニン類、ニコチンアミド、ニモラゾール、Npe6、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素(Nitrosourceas)、N−メチルヒドラジン、N−メチルヒドラジン(MIH)、非ステロイド性抗アンドロゲン剤、ノバントロン/ ミトキサントロン(Mitroxantrone)、ODN698、オクトレオチド、経口タキソイド、パクリタキセル、パラプラチン/カルボプラチン、PARP阻害剤、パクセクス(Paxex)/パクリタキセル、ペントスタチン、PD183805、ファーマルビシン/エピルビシン、フェオボリド(pheoboride)−a、フォトフリン(登録商標)、光増感剤、フタロシアニン、ピシバニール(Picibanil)/OK−432、ピモニダゾール、ピモニダゾールエタニダゾール、PKC412、プランチノール/シスプラチン、プラチナ配位錯体、プリカマイシン、ポリフェプロザン(poliferposan)、プレドニゾン、プレドニゾンおよび均等物、
プロカルバジン、プロカルバジンHCl、プロゲスチン、プリン類似体、ピリミジン類似体、放射線増感剤、RASファメシルトランスフェラーゼ阻害剤、レチノイン酸誘導体、ルビドマイシン、RB6145、RSU1069、SR4233、セムスチン(メチル−CCNU)、セムスチンストレプトゾシン、SPU−077/シスプラチン、置換尿素、TA2516/マルミスタット(Marmistat)、タモキシフェン、クエン酸タモキシフェン、タキサンアナログ、タキサン、タキソール、タキソール/パクリタキセル、タキソイド、タキソテール、タキソテール/ドセタキセル、グアニンアラビノシドのプロドラッグ、テモダール(Temodal)/テモゾロミド、テニポシド、テニポシド(VM−26)、プロピオン酸テストステロン、チオグアニン、チオホスホルアミド、6−チオグアニン、チオテパ、スズエチオポルフィリン(SnET2)、トリエチレンメラミン(Thriethylenemelamine)、TNP−470、トリエチレンチオホスホルアミド、チアソフラン(Tiasofuran)、スズエチオポルフィリン、トポテカン、トリアジン、トリエチレン、トリメトレキサート、ツモデックス(Tumodex)/ラルチトレキセド(Ralitrexed)、I型トポイソメラーゼ、UFT(テガフール/ウラシル)、バルルビシン、バルスポダール(Valspodar)/PSC833、ベペシド(Vepeside)/エトポシド、ビンブラスチン、ビンブラスチン(VLB)、硫酸ビンブラスチン、ビンカアルカロイド、ビンクリスチン、硫酸ビンクリスチン、ビノレルビン、VX−853、ブモン/テニポシド、ZD0101、キセロード(Xeload)/カペシタビン、イエウタキサン(Yewtaxan)/パクリタキセル(Placlitaxel)、YM116、ZD0473/アノルメド(Anormed)、ZD1839、ZD9331、または亜鉛フタロシアニン。
抗癌剤のその他の例も本発明で用いることができ、これらは表1にリストされている。
処置する状態により、本発明の医薬組成物は、医薬組成物のみの投与から生じるかまたはこれに付随する可能性のある副作用を低減可能な、1または2以上の、サイトカイン、リンホカイン、成長因子、または他の造血因子などの治療剤を含んで配合することができる。本発明の医薬組成物に特に有用なサイトカイン、リンホカイン、成長因子、または他の造血因子としては、限定することなく、以下が挙げられる:M−CSF、GM−CSF、TNF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IFN、TNF、G−CSF、Meg−CSF、GM−CSF、トロンボポエチン、幹細胞因子、エリスロポエチン、アンギオポエチン(angiopoietin)、例えばAng−1、Ang−2、Ang−4、Ang−Y、および/またはヒトアンギオポエチン様ポリペプチド、血管内皮増殖因子(VEGF)、アンギオゲニン、骨形態形成タンパク質−1(BMP−1)、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−14、BMP−15、BMP受容体IA、BMP受容体IB、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、毛様体神経栄養因子受容体、サイトカイン誘導性好中球走化性因子1、サイトカイン誘導性好中球走化性因子2アルファ、サイトカイン誘導性好中球走化性因子2β、β内皮細胞増殖因子、エンドセリン−1、
上皮成長因子、上皮由来好中球誘引物質、線維芽細胞増殖因子(FGF)4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF8b、FGF8c、FGF9、FGF10、FGF酸性、FGF塩基性、グリア細胞株由来好中球因子受容体α1、グリア細胞株由来好中球因子受容体α2、成長関連タンパク質、成長関連タンパク質α、成長関連タンパク質β、成長関連タンパク質γ、ヘパリン結合上皮増殖因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子受容体、インスリン様成長因子II、インスリン様成長因子結合タンパク質、ケラチノサイト成長因子、白血病抑制因子、白血病抑制因子受容体α、神経成長因子、神経成長因子受容体、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、胎盤成長因子、胎盤成長因子2、血小板由来内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子A鎖、血小板由来増殖因子AA、血小板由来増殖因子AB、血小板由来増殖因子B鎖、血小板由来増殖因子BB、血小板由来増殖因子受容体α、血小板由来増殖因子受容体β、プレB細胞増殖刺激因子、幹細胞因子、幹細胞因子受容体、トランスフォーミング増殖因子(TGF)α、TGFβ、TGFβ1、TGFβ1.2、TGFβ2、TGFβ3、TGFβ5、潜在型TGFβ1、TGFβ結合タンパク質I、TGFβ結合タンパク質II、TGFβ結合タンパク質III、腫瘍壊死因子受容体I型、腫瘍壊死因子受容体II型、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体、血管内皮細胞増殖因子、およびキメラタンパク質、およびそれらの生物学的または免疫学的に活性な断片。
本発明の1または2以上の化合物を含む組成物の治療指標は、1または2以上の化合物を前述のように抗腫瘍抗体と複合化することにより、強化される(例えば、Pietersz and McKinzie, Immunol. Rev. 129:57 (1992);Trail et al., Science 261:212 (1993);Rowlinson-Busza and Epenetos, Curr. Opin. Oncol. 4:1142 (1992))。本発明の化合物の腫瘍指向性の送達は、放射線処置または化学療法からもたらされ得る、潜在的な非特異的毒性を最小化することによって、治療便益を増強する。本発明の一側面において、本発明の化合物および放射性同位体または化学療法剤は、同一の抗体分子に複合化することができる。腫瘍特異的抗体は、化学療法複合化抗腫瘍抗体の投与または放射性免疫治療の前に、その最中に、またはその後に投与することができる。
本発明はまた、対象における癌を処置する方法であって、該対象に、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物または式IVの化合物)を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、前記方法も提供する。好ましくは、この方法は、哺乳動物などの対象における一定の癌を処置するために用いる。本発明の方法はまた、アッセイシステムにおいて、例えば癌の増殖および特性の解析、および癌の進行に影響する化合物の同定においても、容易に適合される。
本明細書において、対象は哺乳動物を含み、例えばヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ウサギ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、またはげっ歯動物、例えばラット、マウス、またはウサギである。いくつかの態様において、対象はヒトである。
本明細書において、対象は哺乳動物を含み、例えばヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ウサギ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、またはげっ歯動物、例えばラット、マウス、またはウサギである。いくつかの態様において、対象はヒトである。
本発明の産物および方法は、一定の癌の処置に有用である。本発明の化合物により処置可能な癌の例としては、限定することなく、固形腫瘍、例えば癌腫および肉腫が挙げられる。癌腫は、上皮細胞に由来し周辺組織に浸潤(侵入)して転移する癌を含む。腺癌は、腺組織に、または認識できる腺構造を形成する組織に由来する癌腫である。肉腫は、原線維または胚性結合組織などの均一な物質中に、その細胞が包埋されている腫瘍である。
本発明はまた、骨髄またはリンパ系の癌であって、白血病、リンパ腫、および一般的に腫瘍塊として存在せず、血管系またはリンパ細網系に分散されているその他の癌を含む癌の処置も可能である。
本発明はまた、骨髄またはリンパ系の癌であって、白血病、リンパ腫、および一般的に腫瘍塊として存在せず、血管系またはリンパ細網系に分散されているその他の癌を含む癌の処置も可能である。
本発明により処置が可能な癌の例は、以下を含む:粘液性および円形細胞癌腫、胆道癌、絨毛癌、胃癌、上皮内新生物、リンパ腫、(例えば、小細胞および非小細胞)、神経芽細胞腫、口腔癌、膵臓癌、および腎臓癌、さらに他の癌腫、脳およびCNS癌、結合組織の癌、食道癌、眼癌、喉頭癌、口腔癌、皮膚癌、および精巣癌、局所進行腫瘍、転移性癌、ユーイング肉腫を含む軟部組織肉腫、リンパ節転移を含む癌転移、扁平上皮癌、特に頭頸部のもの、食道扁平上皮癌、口腔癌腫、多発性骨髄腫を含む血液細胞の悪性腫瘍、急性リンパ性白血病、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、およびヘアリー細胞白血病を含む白血病、滲出性リンパ腫(体腔ベースのリンパ腫)、小細胞癌を含む胸腺リンパ腫肺癌、皮膚T細胞リンパ腫、
ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、副腎皮質の癌、ACTH産生腫瘍、非小細胞癌、小細胞癌および腺管癌を含む乳癌、胃癌、結腸癌、結腸直腸癌を含む消化管癌、結腸直腸新生物に関連するポリープ、膵臓癌、肝臓癌、泌尿器癌であって、膀胱癌を含むもの、また原発性表在性膀胱腫瘍、侵襲的膀胱移行上皮癌、および筋層浸潤膀胱癌、前立腺癌を含むもの、女性生殖器の悪性腫瘍であって、卵巣癌、原発性腹膜上皮腫瘍、子宮頸癌、子宮内膜癌、膣癌、外陰部の癌、卵巣卵胞における子宮癌および固形腫瘍を含むもの、男性生殖器の悪性腫瘍であって、精巣癌および陰茎癌を含むもの、腎細胞癌を含む腎臓癌、脳腫瘍であって、内因性脳腫瘍、神経芽細胞腫、星状膠細胞の脳腫瘍、神経膠腫、中枢神経系における転移性腫瘍細胞の浸潤を含むもの、骨腫および骨肉腫を含む骨癌、皮膚癌であって、悪性黒色腫、ヒト皮膚ケラチン生成細胞の腫瘍進行を含むもの、扁平上皮癌、甲状腺癌、網膜芽細胞腫、神経芽細胞腫、腹水、悪性胸水、中皮腫、ウィルムス腫瘍、胆嚢癌、栄養膜新生物、血管周囲細胞腫、およびカポジ肉腫。これらおよび他の形態の癌の処置を強化する方法は、本発明に包含される。
本発明の化合物は、有効量で投与される。有効量は、医学的に望ましい結果をもたらすのに十分な治療剤の用量である。有効量とは、処置する特定の状態または疾患の発症を遅延させる、進行を抑制する、または発症もしくは進行を完全に停止させるのに必要な量を意味する。例えば癌の処置においては、一般に、有効量は、癌細胞の複製を阻害し、癌細胞負荷を減少させ、または癌の1または2以上の徴候もしくは症状を低減するのに必要な量である。対象に投与する場合、有効量は、当然ながら、処置する特定の癌;癌の重篤度;個々の患者のパラメータ、例えば年齢、身体状態、身長および体重、併用される処置、処置の頻度、および投与の様式などに依存する。これらの因子は当業者によく知られており、ルーチンの実験内で対処することができる。いくつかの態様において、正当な医学的判断による最大安全用量を用いるのが好ましい。
有効量は、典型的には、約0.001mg/kg〜約1000mg/kg、約0.01mg/kg〜約750mg/kg、約0.1mg/kg〜約500mg/kg、約1.0mg/kg〜約250mg/kg、約10.0mg/kg〜約150mg/kgの範囲で、毎日1または2以上の用量の投与で、1日または数日間(投与の経路および様式、および上述の因子に依存する)で変化する。他の好適な用量範囲は、1日当たり1mg〜10000mg、1日当たり100mg〜10000mg、1日当たり500mg〜10000mg、1日当たり500mg〜1000mgを含む。いくつかの特定に態様において、この量は、1日当たり10,000mgより少なく、1日当たり750mg〜9000mgの範囲である。
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の用量レベルを変化させて、特定の患者、組成物および投与の様式について、所望の治療反応を達成するのに有効な活性化合物(単数または複数)の量を得ることができる。選択された用量レベルは、特定の化合物の活性、投与経路、処置する状態の重篤度、状態、および処置する患者の以前の病歴に依存する。しかし、所望の治療効果を実現するのに必要なレベルより低い化合物の用量から開始して、所望の効果が得られるまで用量を次第に増加させることは、当分野の技能の範囲である。
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の用量レベルを変化させて、特定の患者、組成物および投与の様式について、所望の治療反応を達成するのに有効な活性化合物(単数または複数)の量を得ることができる。選択された用量レベルは、特定の化合物の活性、投与経路、処置する状態の重篤度、状態、および処置する患者の以前の病歴に依存する。しかし、所望の治療効果を実現するのに必要なレベルより低い化合物の用量から開始して、所望の効果が得られるまで用量を次第に増加させることは、当分野の技能の範囲である。
本発明の化合物および医薬組成物は、対象に対して、任意の好適な経路により投与することができる。例えば、組成物は、舌下を含み経口的に、直腸内、非経口的、大槽内、膣内、腹腔内、局所的および経皮的(粉末剤、軟膏剤、または滴剤による)、口腔内、または経鼻的に投与することができる。本明細書において、用語「非経口」投与とは、胃腸管を介する以外の投与の様式を言い、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、乳房内、眼内、球後、肺内、髄腔内、皮下および関節内注射および注入を含む。外科的移植も意図され、これには例えば、本発明の組成物を身体中に、例えば脳に、腹腔内に、脾膜下に、脳、または角膜に埋め込むことを含む。
本発明の化合物はまた、リポソームの形態において投与することもできる。当分野に知られているように、リポソームは一般に、リン脂質または他の脂質物質に由来する。リポソームは、水性媒体中に分散された、単層状または複層状の水和液晶により形成される。リポソームを形成可能な、任意の非毒性の生理学的に許容し得る、代謝可能な脂質を、用いることができる。リポソーム形態の本組成物は、本発明の化合物に加えて、安定剤、防腐剤、賦形剤などを含むことができる。好ましい脂質は、天然および合成両方の、リン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成する方法は、当分野に知られている。例えば、Prescott, Ed., Methods in Cell Biology, Volume XIV, Academic Press, New York, N.Y. (1976), p. 33以下参照。
本発明の化合物の局所投与用の剤形としては、ここに記載のように粉末剤、スプレー剤、軟膏剤、および吸入剤などが挙げられる。活性化合物は、無菌条件下で、薬学的に許容し得る担体、および任意の必要な防腐剤、緩衝液、または必要な場合には噴霧剤と混合する。眼科用製剤、眼軟膏、粉末剤および液剤も、本発明の範囲内であることが意図される。
非経口注射剤用の本発明の医薬組成物は、薬学的に許容し得る無菌水性または非水性溶液、分散液、懸濁液、または乳濁液、および使用の直前に無菌注射溶液または分散液中に再構成するための無菌粉末を含む。好適な水性または非水性担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルとしては、水、エタノール、ポリオール類(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびこれらの好適な混合物、植物油(例えばオリーブ油)、および注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルなどが挙げられる。適当な流動性は、例えばレシチンなどの被覆材料の使用により、分散剤の場合は必要な粒径を維持することにより、および界面活性剤の使用により、維持することができる。
非経口注射剤用の本発明の医薬組成物は、薬学的に許容し得る無菌水性または非水性溶液、分散液、懸濁液、または乳濁液、および使用の直前に無菌注射溶液または分散液中に再構成するための無菌粉末を含む。好適な水性または非水性担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルとしては、水、エタノール、ポリオール類(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびこれらの好適な混合物、植物油(例えばオリーブ油)、および注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルなどが挙げられる。適当な流動性は、例えばレシチンなどの被覆材料の使用により、分散剤の場合は必要な粒径を維持することにより、および界面活性剤の使用により、維持することができる。
これらの化合物はまた、例えば防腐剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などのアジュバントも含むことができる。微生物の活動の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含むことにより、保証することができる。等張剤、例えば糖類、塩化ナトリウムなどを含むことも、望ましい場合がある。注射用医薬形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどを含むことにより、可能となる。
ある場合には、薬物の効果を延長させるために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅延させることが望ましい。これは、水溶性の低い結晶質または非晶質材料の液体懸濁物の使用により、実現可能である。薬物の吸収速度はつぎに、その溶解速度に依存し、これは、結晶サイズおよび結晶形態に依存する。あるいは、非経口的に投与された薬物形態の遅延吸収は、薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁させることにより、実現される。
ある場合には、薬物の効果を延長させるために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅延させることが望ましい。これは、水溶性の低い結晶質または非晶質材料の液体懸濁物の使用により、実現可能である。薬物の吸収速度はつぎに、その溶解速度に依存し、これは、結晶サイズおよび結晶形態に依存する。あるいは、非経口的に投与された薬物形態の遅延吸収は、薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁させることにより、実現される。
注射用デポ形態は、例えばポリアクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー内に、薬物のマイクロカプセル化マトリクスを形成することにより、作製される。薬物のポリマーに対する比率および用いる特定のポリマーの性質に依存して、薬物放出速度は制御可能である。その他の生分解性ポリマーとしては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)を含む。デポ注射製剤はまた、薬物を身体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョンに封入することにより調製される。
注射用製剤は、例えば細菌またはウイルス保持フィルターを通した濾過により、または、使用の直前に無菌水または他の無菌注射用媒体中に溶解または分散することができる無菌の固体組成物形態の滅菌剤を組み込むことにより、滅菌することができる。
注射用製剤は、例えば細菌またはウイルス保持フィルターを通した濾過により、または、使用の直前に無菌水または他の無菌注射用媒体中に溶解または分散することができる無菌の固体組成物形態の滅菌剤を組み込むことにより、滅菌することができる。
本発明は、本発明の医薬組成物の経口投与のための方法を提供する。経口固体剤形は、一般にRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., 1990 (Mack Publishing Co. Easton Pa. 18042)の89章に記載されている。経口投与のための固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末剤、トローチ剤またはロゼンジ剤、カシェ剤、ペレット剤、および顆粒剤を含む。また、リポソームまたはプロテイノイドカプセル化も、本組成物の製剤化に用いることができる(例えば、米国特許第4,925,673号に報告されているプロテイノイド小球体など)。リポソームカプセル化は、種々のポリマーで誘導体化されたリポソーム(例えば米国特許第5,013,556号)を含んでよい。一般に製剤は、本発明の化合物および、胃での分解を防ぎ、腸内で生物学的活性材料を放出させる、不活性成分を含む。
かかる固体剤形において、活性化合物は、少なくとも1つの薬学的に許容し得る不活性な賦形剤または担体と混合されるか、またはこれを含むように化学的に修飾される。賦形剤または担体は、(a)タンパク質分解の抑制および(b)胃または腸から血流への取り込みを許容するのが好ましい。もっとも好ましい態様において、賦形剤または担体は、化合物の取り込み、化合物の全体的安定性、および/または化合物の身体での循環時間を増加させる。賦形剤または担体としては、例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、および/または以下を含む:(a)充填剤および増量材、例えばデンプン、乳糖、ショ糖、グルコース、セルロース、修飾デキストラン、マンニトール、およびケイ酸、および無機塩、例えば三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび塩化ナトリウム、および市販の希釈剤、例えばFAST-FLO(登録商標)、EMDEX(登録商標)、STA- RX1500(登録商標)、EMCOMPRESS(登録商標)およびAVICEL(登録商標)、(b)結合剤、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゴム(例えば、アルギン酸塩、アラビアゴム)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、およびショ糖、(c)グリセロールなどの保湿剤、(d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、炭酸ナトリウム、デンプンベースの市販の崩壊剤を含むデンプン、EXPLOTAB(登録商標)、デンプングリコール酸ナトリウム、アンバーライト(登録商標)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン(ultramylopectin)、ゼラチン、オレンジピール、カルボキシメチルセルロース、天然スポンジ、ベントナイト、不溶性カチオン交換樹脂、および寒天、カラヤまたはトラガカントなどの粉末ゴム;(e)パラフィンなどの緩染剤、(f)吸収促進剤、例えば四級アンモニウム化合物およびオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸を含む脂肪酸、
(g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール、アニオン性洗浄界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、およびジオクチルスルホン酸ナトリウム、カチオン性洗浄剤、例えば塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウム、非イオン性洗浄剤、例えばラウロマクロゴール400、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油10、50および60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート40、60、65、および80、ショ糖脂肪酸エステル、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース;(h)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイト粘土、(i)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油、ワックス、カーボワックス(CARBOWAX)(登録商標)4000、カーボワックス(登録商標)6000、ラウリル硫酸マグネシウム、およびこれらの混合物;(j)製剤化の間に薬物の流動特性を改善し、圧縮中の再配置を支援する流動促進剤、例えばデンプン、タルク、熱分解法シリカ、および水和シリコアルミナート(silicoaluminate)。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、剤形は緩衝剤も含むことができる。
類似する種類の固体組成物もまた、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用いて、軟および硬ゼラチンカプセル剤における充填剤として用いることができる。
錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、被覆物およびシェル、例えば腸溶コーティングおよび、薬学的配合の分野においてよく知られているその他のコーティングを用いて調製することができる。これらは任意に、不透明剤を含むことができ、また、活性成分(単数または複数)を腸管の一部においてのみ、またはここで選択的に、任意に遅延様式で、放出するような組成物であることができる。例示の物質としては、pH感受性溶解性を有するポリマー、例えばオイドラギット(EUDRAGIT)(登録商標)として入手可能な物質を含む。用いることのできる包埋組成物としては、高分子物質およびワックスを含む。
活性化合物はまた、適切な場合には、1または2以上の上述の賦形剤とともにマイクロカプセル化された形態であってよい。
錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、被覆物およびシェル、例えば腸溶コーティングおよび、薬学的配合の分野においてよく知られているその他のコーティングを用いて調製することができる。これらは任意に、不透明剤を含むことができ、また、活性成分(単数または複数)を腸管の一部においてのみ、またはここで選択的に、任意に遅延様式で、放出するような組成物であることができる。例示の物質としては、pH感受性溶解性を有するポリマー、例えばオイドラギット(EUDRAGIT)(登録商標)として入手可能な物質を含む。用いることのできる包埋組成物としては、高分子物質およびワックスを含む。
活性化合物はまた、適切な場合には、1または2以上の上述の賦形剤とともにマイクロカプセル化された形態であってよい。
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容し得る乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤を含む。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば当分野で一般に用いられる不活性希釈剤を含むことができ、例としては、水または他の溶媒、溶解剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物である。
不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、例えば湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味料、着色料、調味料、および香料などのアジュバントを含むことができる。経口組成物は製剤化されてさらに、飲料などの食用製品を含むことができる。
不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、例えば湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味料、着色料、調味料、および香料などのアジュバントを含むことができる。経口組成物は製剤化されてさらに、飲料などの食用製品を含むことができる。
懸濁剤は、活性化合物に加えて、懸濁化剤を、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウム金属水酸化物(metahydroxide)、ベントナイト、寒天、トラガント、およびそれらの混合物を含むことができる。
本明細書においてさらに意図されるのは、本発明の化合物の肺送達である。化合物は、哺乳動物が息を吸い込む間に肺へ送達され、これにより、肺上皮層から血流への横断を促進する。以下を参照のこと:Adjei et al., Pharmaceutical Research 7:565-569 (1990);Adjei et al., International Journal of Pharmaceutics 63:135-144 (1990) (leuprolide acetate);Braquet et al., Journal of Cardiovascular Pharmacology 13 (suppl.5): s.143-146 (1989)(endothelin-1);Hubbard et al., Annals of Internal Medicine 3:206-212 (1989)(a1-antitrypsin);Smith et al., J. Clin. Invest. 84:1145-1146 (1989) (a1-proteinase);Oswein et al., "Aerosolization of Proteins," Proceedings of Symposium on Respiratory Drug Delivery II, Keystone, Colorado, March, 1990 (recombinant human growth hormone);Debs et al., The Journal of Immunology 140:3482-3488 (1988) (interferon-g and tumor necrosis factor a)およびPlatz et al., U.S. Pat. No. 5,284,656 (granulocyte colony stimulating factor)。
本明細書においてさらに意図されるのは、本発明の化合物の肺送達である。化合物は、哺乳動物が息を吸い込む間に肺へ送達され、これにより、肺上皮層から血流への横断を促進する。以下を参照のこと:Adjei et al., Pharmaceutical Research 7:565-569 (1990);Adjei et al., International Journal of Pharmaceutics 63:135-144 (1990) (leuprolide acetate);Braquet et al., Journal of Cardiovascular Pharmacology 13 (suppl.5): s.143-146 (1989)(endothelin-1);Hubbard et al., Annals of Internal Medicine 3:206-212 (1989)(a1-antitrypsin);Smith et al., J. Clin. Invest. 84:1145-1146 (1989) (a1-proteinase);Oswein et al., "Aerosolization of Proteins," Proceedings of Symposium on Respiratory Drug Delivery II, Keystone, Colorado, March, 1990 (recombinant human growth hormone);Debs et al., The Journal of Immunology 140:3482-3488 (1988) (interferon-g and tumor necrosis factor a)およびPlatz et al., U.S. Pat. No. 5,284,656 (granulocyte colony stimulating factor)。
本発明の実践において用いることが意図されているのは、治療産物の肺への送達用にデザインされた広範囲の機械的装置であって、限定することなく、ネブライザー、定量吸入器、および粉末吸入器を含み、これらはすべて当業者によく知られている。
本発明の実践に適した市販の装置のいくつかの具体例としては、Mallinckrodt, Inc.,(St. Louis, MO)製造のULTRAVENT(登録商標)ネブライザー、Marquest Medical Products(Englewood, CO.)製造のACORN II(登録商標)ネブライザー、Glaxo Inc.(Research Triangle Park, N.C.)製造のVENTOL(登録商標)定量吸入器、およびFisons Corp., (Bedford, MA.)製造のSPINHALER(登録商標)粉末吸入器が挙げられる。
本発明の実践に適した市販の装置のいくつかの具体例としては、Mallinckrodt, Inc.,(St. Louis, MO)製造のULTRAVENT(登録商標)ネブライザー、Marquest Medical Products(Englewood, CO.)製造のACORN II(登録商標)ネブライザー、Glaxo Inc.(Research Triangle Park, N.C.)製造のVENTOL(登録商標)定量吸入器、およびFisons Corp., (Bedford, MA.)製造のSPINHALER(登録商標)粉末吸入器が挙げられる。
全てのかかる装置は、本発明の化合物の分配に適した製剤の使用を必要とする。一般に、各製剤は用いる装置の種類に特有であり、治療に有用な希釈剤、アジュバント、および/または担体に加えて、適切な噴霧材料の使用を伴い得る。
組成物は粒子形態で調製され、好ましくは平均粒径が10μm未満、および、遠位の肺への最も効果的な送達には、最も好ましくは0.5〜5μmである。
担体としては、トレハロース、マンニトール、キシリトール、ショ糖、乳糖、およびソルビトールなどの炭水化物を含む。製剤に使用する他の成分としては、脂質、例えばDPPC、DOPE、DSPCおよびDOPCなど、天然または合成界面活性剤、ポリエチレングリコール(阻害剤自体を誘導体化することにおけるその使用以外に)、デキストラン、例えばシクロデキストラン、胆汁酸塩、および他の関連するエンハンサー、セルロースおよびセルロース誘導体、およびアミノ酸などを含んでよい。
組成物は粒子形態で調製され、好ましくは平均粒径が10μm未満、および、遠位の肺への最も効果的な送達には、最も好ましくは0.5〜5μmである。
担体としては、トレハロース、マンニトール、キシリトール、ショ糖、乳糖、およびソルビトールなどの炭水化物を含む。製剤に使用する他の成分としては、脂質、例えばDPPC、DOPE、DSPCおよびDOPCなど、天然または合成界面活性剤、ポリエチレングリコール(阻害剤自体を誘導体化することにおけるその使用以外に)、デキストラン、例えばシクロデキストラン、胆汁酸塩、および他の関連するエンハンサー、セルロースおよびセルロース誘導体、およびアミノ酸などを含んでよい。
また、リポソーム、マイクロカプセルまたは小球体、包接複合体、または他の種類の担体の使用も意図されている。
ジェットまたは超音波いずれかのネブライザーでの使用に適した製剤としては、通常は本発明の化合物を、生物学的に活性なタンパク質の濃度として溶液1ml当たり約0.1〜25mgで水に溶解したものを含む。製剤はまた、緩衝液および単純な糖(例えば、タンパク質の安定化と浸透圧の調節用)を含むことができる。ネブライザー製剤は界面活性剤も含むことができ、こうして、エアロゾルを形成する際に溶液の噴霧化によって引き起こされる、阻害剤組成物の表面誘発性凝集を軽減または回避することができる。
ジェットまたは超音波いずれかのネブライザーでの使用に適した製剤としては、通常は本発明の化合物を、生物学的に活性なタンパク質の濃度として溶液1ml当たり約0.1〜25mgで水に溶解したものを含む。製剤はまた、緩衝液および単純な糖(例えば、タンパク質の安定化と浸透圧の調節用)を含むことができる。ネブライザー製剤は界面活性剤も含むことができ、こうして、エアロゾルを形成する際に溶液の噴霧化によって引き起こされる、阻害剤組成物の表面誘発性凝集を軽減または回避することができる。
定量吸入器で使用するための製剤は一般に、界面活性剤の支援により推進剤中に懸濁された阻害剤化合物を含む、微細に分割された粉体を含有する。推進剤は、この目的のために用いられる任意の従来の物質とすることができ、例えば、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、または炭化水素であり、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、および1,1,1,2−テトラフルオロエタン、またはそれらの組合せを含む。好適な界面活性剤は、三オレイン酸ソルビタンおよび大豆レシチンを含む。オレイン酸はまた、界面活性剤としても有用となり得る。
粉末吸入器から分配するための製剤は、阻害剤を含有する微細に分割された乾燥粉末を含み、また、例えばラクトース、ソルビトール、ショ糖、マンニトール、トレハロース、またはキシリトールなどの増量剤を、装置からの粉末の分散を促進する量で、例えば製剤の50〜90重量%で、含むことができる。
粉末吸入器から分配するための製剤は、阻害剤を含有する微細に分割された乾燥粉末を含み、また、例えばラクトース、ソルビトール、ショ糖、マンニトール、トレハロース、またはキシリトールなどの増量剤を、装置からの粉末の分散を促進する量で、例えば製剤の50〜90重量%で、含むことができる。
本発明の化合物および組成物の、鼻への送達も意図される。鼻への送達は、化合物または組成物を、治療産物の鼻への投与後に直接血流へ通過させることができ、産物を肺に析出させる必要がない。鼻送達用製剤としては、デキストランまたはシクロデキストランを有するものを含む。他の粘膜を横切る輸送を介した送達も意図される。
直腸または膣投与用の組成物は好ましくは坐剤であり、これは本発明の化合物を、適切な非刺激性賦形剤または担体と混合して調製することができ、その例としてはカカオバター、ポリエチレングリコール、または坐剤ワックスなどであるが、これらは室温で固体であるが身体温度では液体であり、したがって直腸または膣腔で融解して活性化合物を放出する。
直腸または膣投与用の組成物は好ましくは坐剤であり、これは本発明の化合物を、適切な非刺激性賦形剤または担体と混合して調製することができ、その例としてはカカオバター、ポリエチレングリコール、または坐剤ワックスなどであるが、これらは室温で固体であるが身体温度では液体であり、したがって直腸または膣腔で融解して活性化合物を放出する。
細胞および/または核膜を介した化合物の送達を促進するために、比較的疎水性の高い組成物が好ましい。化合物は疎水性を増加させる様式に変更することができ、または化合物は、疎水性の増加をもたらす疎水性担体もしくは溶液中にカプセル化することができる。
一般に、1日体重1kg当たり、約0.1〜約1000mg、約0.5〜約500mg、約1〜約250mg、約1.5〜約100mg、および好ましくは約5〜約20mgの活性化合物を、経口または静脈内投与する。必要に応じて、例えば1日2〜4回の個別用量を投与することを目的として、効果的な1日用量を複数回に分けることができる。
本発明はまた、GABAをリンカーとして用いた、リノレイルアルコールとドキソルビシンを結合する方法を含む。合成法は本明細書に記載されているが、当業者は、他にも可能な合成方法があり得ることを認識する。
本発明を以下の例により例示する。
一般に、1日体重1kg当たり、約0.1〜約1000mg、約0.5〜約500mg、約1〜約250mg、約1.5〜約100mg、および好ましくは約5〜約20mgの活性化合物を、経口または静脈内投与する。必要に応じて、例えば1日2〜4回の個別用量を投与することを目的として、効果的な1日用量を複数回に分けることができる。
本発明はまた、GABAをリンカーとして用いた、リノレイルアルコールとドキソルビシンを結合する方法を含む。合成法は本明細書に記載されているが、当業者は、他にも可能な合成方法があり得ることを認識する。
本発明を以下の例により例示する。
例
概要
LOC−GABA−ドキソルビシンは、固形および血液腫瘍の処置用の製品として開発された。LOC−GABA−ドキソルビシンの構造は以下に示されているが(式I)、これは、GABAをリンカーとして用いた、脂肪アルコールであるリノレイルアルコールとドキソルビシンの複合体である。LOC−GABA−ドキソルビシンは、マウス癌モデルにおいて、ドキソルビシンより優れていることが証明されている。
概要
LOC−GABA−ドキソルビシンは、固形および血液腫瘍の処置用の製品として開発された。LOC−GABA−ドキソルビシンの構造は以下に示されているが(式I)、これは、GABAをリンカーとして用いた、脂肪アルコールであるリノレイルアルコールとドキソルビシンの複合体である。LOC−GABA−ドキソルビシンは、マウス癌モデルにおいて、ドキソルビシンより優れていることが証明されている。
LOC−GABA−ドキソルビシンは、Madison 109(M109)マウス肺癌モデルおよびHT29ヒト結腸癌異種移植片において、ドキソルビシンより優れた活性を示した。MDA−MB−43ヒト乳癌異種移植モデルにおいては、活性ではあるが、ドキソルビシンよりも活性が低かった。
LOC−GABA−ドキソルビシンは、短い3段階のシーケンスを介して市販のドキソルビシンから合成した。LOC−GABA−ドキソルビシンのためのクレモホール(登録商標)ES−P−エタノール製剤の予備的な開発は完了している。
LOC−GABA−ドキソルビシンは、短い3段階のシーケンスを介して市販のドキソルビシンから合成した。LOC−GABA−ドキソルビシンのためのクレモホール(登録商標)ES−P−エタノール製剤の予備的な開発は完了している。
前臨床薬理
以下の全てのin vivo実験において、親化合物であるドキソルビシンは生理食塩水中にて静脈注射(i.v.)し、一方ドキソルビシンの脂肪酸複合体は、10%クレモホール(登録商標)EL−P/10%エタノール/80%生理食塩水中にて静脈注射した。投薬スケジュールはQ3D X5であった。
Madison 109(M109)マウス肺癌モデルにおいて、LOC−GABA−ドキソルビシンは、ドキソルビシンよりも強力に腫瘍増殖を抑制した(図1)。ドキソルビシンは、いずれの用量においても完全寛解を引き起こさず、腫瘍増殖速度の低下をもたらし、これは最大耐量(MTD)6mg/kgにおいて、T−C値として5.7日、および次に低い用量4mg/kgにおいて4.0日であった(表2)。ドキソルビシンはいずれの投与量でも完全寛解を引き起こさなかったが、LOC−GABA−ドキソルビシンは、50mg/kgの用量で、5匹の動物のうち1匹において完全寛解を引き起こした。ドキソルビシンは再度、最大耐量6mg/kgにおいて5〜7日間のみで、腫瘍増殖速度を5.7日(T−C)減少させた。対照的に、LOC−GABA−ドキソルビシンは、75および50mg/kgの用量反応にて、腫瘍増殖速度をT−Cで25日減少させた。このアッセイにおけるT−Cは、薬物で処置した腫瘍について、その質量が3回倍増する時間(日数)を、ビヒクルで処置した腫瘍の質量が3回倍増する時間(日数)から差し引いた日数の値として定義される。対照的に、LOC−GABA−ドキソルビシンで処置したマウスは、50mg/kgにて1例の完全寛解を、および75mg/kg用量ではT−C値25日、50mg/kg用量では28日を示した。
以下の全てのin vivo実験において、親化合物であるドキソルビシンは生理食塩水中にて静脈注射(i.v.)し、一方ドキソルビシンの脂肪酸複合体は、10%クレモホール(登録商標)EL−P/10%エタノール/80%生理食塩水中にて静脈注射した。投薬スケジュールはQ3D X5であった。
Madison 109(M109)マウス肺癌モデルにおいて、LOC−GABA−ドキソルビシンは、ドキソルビシンよりも強力に腫瘍増殖を抑制した(図1)。ドキソルビシンは、いずれの用量においても完全寛解を引き起こさず、腫瘍増殖速度の低下をもたらし、これは最大耐量(MTD)6mg/kgにおいて、T−C値として5.7日、および次に低い用量4mg/kgにおいて4.0日であった(表2)。ドキソルビシンはいずれの投与量でも完全寛解を引き起こさなかったが、LOC−GABA−ドキソルビシンは、50mg/kgの用量で、5匹の動物のうち1匹において完全寛解を引き起こした。ドキソルビシンは再度、最大耐量6mg/kgにおいて5〜7日間のみで、腫瘍増殖速度を5.7日(T−C)減少させた。対照的に、LOC−GABA−ドキソルビシンは、75および50mg/kgの用量反応にて、腫瘍増殖速度をT−Cで25日減少させた。このアッセイにおけるT−Cは、薬物で処置した腫瘍について、その質量が3回倍増する時間(日数)を、ビヒクルで処置した腫瘍の質量が3回倍増する時間(日数)から差し引いた日数の値として定義される。対照的に、LOC−GABA−ドキソルビシンで処置したマウスは、50mg/kgにて1例の完全寛解を、および75mg/kg用量ではT−C値25日、50mg/kg用量では28日を示した。
HT−29ヒト大腸腫瘍のヌードマウス異種移植モデルにおいて(表3)、ドキソルビシンは6mg/kgのMTD用量で15.3日のT−C遅延を生じ、一方P−367(LOC−GABA−ドキソルビシン)は、50mg/kgで32日、25mg/kgで22日のT−C遅延を生じた。留意すべきは、LOC−GABA−ドキソルビシンの最低用量の活性が、ドキソルビシン自体の最高MTDの活性とほぼ同等であることである。
MDA−MB−435ヒト乳癌腫瘍のヌードマウス異種移植モデルにおいて(表4)、ドキソルビシンは、約6mg/kgのMTD用量(薬物関連死1/10)で14日のT−C遅延を生じた。同じモデルで、LOC−GABA−ドキソルビシンは、50mg/kg(薬物関連死6/10)で13日、25mg/kg(薬物関連死0)で1.5日のT−C遅延を生じた。したがって、この乳癌異種移植試験においては、LOC−GABA−ドキソルビシンはドキソルビシンよりいくらか効果が少ない。
毒性学
表3〜5に示すように、LOC−GABA−ドキソルビシンのMTDは、3日毎に1回のスケジュールで合計5回i.v.で与えられた場合、50〜75mg/kgである。これらのMTDは、ドキソルビシン自体のMTDである6mg/kgより顕著に高く、LOC−GABA−ドキソルビシンの低減された毒性と整合する。LOC−GABA−ドキソルビシンと同様の結果が、OOC−GABA−ドキソルビシンについても観察された(表5参照)。
表3〜5に示すように、LOC−GABA−ドキソルビシンのMTDは、3日毎に1回のスケジュールで合計5回i.v.で与えられた場合、50〜75mg/kgである。これらのMTDは、ドキソルビシン自体のMTDである6mg/kgより顕著に高く、LOC−GABA−ドキソルビシンの低減された毒性と整合する。LOC−GABA−ドキソルビシンと同様の結果が、OOC−GABA−ドキソルビシンについても観察された(表5参照)。
化学
A.塩酸ドキソルビシンの調達
暗赤色の結晶粉末として入手可能な塩酸ドキソルビシンは、Hande Tech Inc.より購入した。この化合物は、Streptomyces peucetius var caesiusから分離される。
A.塩酸ドキソルビシンの調達
暗赤色の結晶粉末として入手可能な塩酸ドキソルビシンは、Hande Tech Inc.より購入した。この化合物は、Streptomyces peucetius var caesiusから分離される。
B.LOC−GABA−ドキソルビシンの合成
LOC−GABA−ドキソルビシンは、以下に詳述する3段階反応シーケンスを介して合成した。
i.N−ヒドロキシスクシンイミジルリノレイルカーボネートの調製:
リノレイルアルコール(5.0グラム、18.91mmol)を、アセトニトリル(5mL)中の溶液として、乾燥CH3CN(90mL)中のN,N’−ジスクシンイミジルカーボネート(9.7g、37.86mmol)の懸濁物に加え、次にトリエチルアミン(8mL、57.39mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、110gのカラムを用いたISCO combiflash systemにより精製した。産物を、勾配溶離:100%ヘキサン−100%酢酸エチルを用いて、30分かけて単離した。
収率:6.2g、80.4%
化学式;C23H37NO5
精密質量:407.27
分子量:407.54
LOC−GABA−ドキソルビシンは、以下に詳述する3段階反応シーケンスを介して合成した。
i.N−ヒドロキシスクシンイミジルリノレイルカーボネートの調製:
収率:6.2g、80.4%
化学式;C23H37NO5
精密質量:407.27
分子量:407.54
ii.LOC−GABA(2)の合成
N,N’−ジイソプロピルエチルアミン(1.3mL、7.46mmo)を、アルゴン下、乾燥DMF(10mL)中の4−アミノ酪酸(GABA)(525mg、5.09mmol)の懸濁液に添加した。乾燥DMF(5mL)中のN−ヒドロキシスクシンイミジルリノレイルカーボネート(1、2.1g、5.15mmol)の溶液を、反応混合物に添加した。反応混合物を室温で約18時間撹拌した。溶媒を高真空下で除去し、粗反応混合物をシリカゲル上に前吸着させ、35gカラムのISCO combiflash systemを用いて精製した。産物を、勾配溶離:100%ヘキサン−100%酢酸エチルを用いて30分、次に100%酢酸エチルで15分間、単離した。LOC−GABA(2)を、溶媒の蒸発および高真空下で約18時間の乾燥の後、白色固体として単離した。収率:1.9g、94%
化学式;C23H41NO4
精密質量:395.30
分子量:395.58
LC-MS: 434.3 [M+39 (K)], 418.3 [M+23 (Na)], 396.3 (M+1); Exact Mass: 395.3.
1H NMR (360 MHz, CDC13): δ; 0.89 (t, J = 7.2 Hz, 3 H), 1.2 - 1.5 (m, 16 H), 1.5 - 1.75 (m, 2 H), 1.84 (m,2 H), 2.02 - 2.07 (m, 4 H), 2.41 (t, J = 7.2 Hz, 2 H), 2.77 (t, J = 7.2 Hz, 2 H), 3.15 - 3.25 (m, 2 H), 4.02 - 4.05 (m, 2 H), 4.81 (s, 1 H), 5.31- 5.40 (m, 4 H).
化学式;C23H41NO4
精密質量:395.30
分子量:395.58
LC-MS: 434.3 [M+39 (K)], 418.3 [M+23 (Na)], 396.3 (M+1); Exact Mass: 395.3.
1H NMR (360 MHz, CDC13): δ; 0.89 (t, J = 7.2 Hz, 3 H), 1.2 - 1.5 (m, 16 H), 1.5 - 1.75 (m, 2 H), 1.84 (m,2 H), 2.02 - 2.07 (m, 4 H), 2.41 (t, J = 7.2 Hz, 2 H), 2.77 (t, J = 7.2 Hz, 2 H), 3.15 - 3.25 (m, 2 H), 4.02 - 4.05 (m, 2 H), 4.81 (s, 1 H), 5.31- 5.40 (m, 4 H).
iii.LOC−GABA−ドキソルビシンの合成
アルゴン下、DMF(10mL)中の塩酸ドキソルビシン(500mg、0.862mmol)の懸濁液に、N,N’−ジイソプロピルエチルアミン(450μL、2.58mmol)を加え、続いてEDC(185mg、0.963mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(130mg、0.962mmol)およびLOC−GABA(2.380mg、0.961mmol)を加えた。反応混合物を室温で約18時間撹拌した。本産物に加え、少量のビス−アクリル化産物も形成された。溶媒を真空下で除去し、粗反応混合物を35gカラムを用いてISCO combiflash systemにより精製した。産物を、勾配溶離:100%CHCl3−CHCl3中の20%CH3OHを用いて45分、単離した。単離した産物は、微量の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを含んでいた。これを、勾配溶離:100%酢酸エチル−酢酸エチル中の10%CH3OHを用いて45分、単離した。収率:415mg、52%
化学式;C50H68N2O14
精密質量:920.47
分子量:921.08
LC-MS (negative ion): 919.5 (M-1); Exact Mass: 920.47
1H NMR (360 MHz, CDCl3): δ; 0.89 (t, J = 7.2 Hz, 3 H), 1.26 - 1.37 (m, 16 H), 1.5 - 1.6 (m, 2 H), 1.74 - 1.89 (m, 4 H), 2.02 - 2.08 (m, 5 H), 2.13 - 2.20 (m, 4 H), 2.35 (d, 1 H), 2.77 (t, J = 7.2 Hz, 2 H), 2.98 (d, J = 18 Hz, 1 H), 3.25 (d, J = 18 Hz, 1 H), 3.05 - 3.28 (m, 3 H), 3.72 (s, 1 H), 3.99 - 4.04 (m, 3 H), 4.07 (s, 3 H), 4.11 - 4.15 (m, 2 H), 4.62 (s, 1 H), 4.77 (s, 2 H), 4.88 (t, J = 7.2 Hz, 1 H), 5.27 (s, 1 H), 5.31 - 5.40 (m, 4 H), 5.51 (s, 1 H), 6.15 (d, J = 7.2 Hz, 1 H), 7.38 (d, J = 7.2 Hz, 1 H), 7.78 (t, J = 7.2 Hz, 1 H), 8.02 (d, J = 7.2 Hz, 1 H).
精密質量:920.47
分子量:921.08
LC-MS (negative ion): 919.5 (M-1); Exact Mass: 920.47
1H NMR (360 MHz, CDCl3): δ; 0.89 (t, J = 7.2 Hz, 3 H), 1.26 - 1.37 (m, 16 H), 1.5 - 1.6 (m, 2 H), 1.74 - 1.89 (m, 4 H), 2.02 - 2.08 (m, 5 H), 2.13 - 2.20 (m, 4 H), 2.35 (d, 1 H), 2.77 (t, J = 7.2 Hz, 2 H), 2.98 (d, J = 18 Hz, 1 H), 3.25 (d, J = 18 Hz, 1 H), 3.05 - 3.28 (m, 3 H), 3.72 (s, 1 H), 3.99 - 4.04 (m, 3 H), 4.07 (s, 3 H), 4.11 - 4.15 (m, 2 H), 4.62 (s, 1 H), 4.77 (s, 2 H), 4.88 (t, J = 7.2 Hz, 1 H), 5.27 (s, 1 H), 5.31 - 5.40 (m, 4 H), 5.51 (s, 1 H), 6.15 (d, J = 7.2 Hz, 1 H), 7.38 (d, J = 7.2 Hz, 1 H), 7.78 (t, J = 7.2 Hz, 1 H), 8.02 (d, J = 7.2 Hz, 1 H).
C.OOC−GABA−ドキソルビシンの合成
OOC−GABA−ドキソルビシンを、下記の3段階反応シーケンスを介して合成した。
i.N−ヒドロキシスクシンイミジルオレイルカーボネートの調製:
オレイルアルコール(5.08グラム、18.91mmol)を、アセトニトリル(5mL)中の溶液として、乾燥CH3CN(95mL)中のN,N’−ジスクシンイミジルカーボネート(9.70g、37.86mmol)の懸濁物に加え、次にトリエチルアミン(8mL)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、所望の産物を、ジクロロメタンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製した(6.24g、80.6%)。
化学式;C23H39NO5
精密質量:409.28
分子量:409.56
1H NMR (400 MHz, CDC13): δ; 0.81 (t, J = 8 Hz, 3 H), 1.15 -1.34 (m, 22 H), 1.64 - 1.71 (m, 2 H), 1.91 - 1.98 (m, 4 H), 2.76 (s, 4 H), 4.24 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 5.23-5.29 (m, 2 H).
OOC−GABA−ドキソルビシンを、下記の3段階反応シーケンスを介して合成した。
i.N−ヒドロキシスクシンイミジルオレイルカーボネートの調製:
化学式;C23H39NO5
精密質量:409.28
分子量:409.56
1H NMR (400 MHz, CDC13): δ; 0.81 (t, J = 8 Hz, 3 H), 1.15 -1.34 (m, 22 H), 1.64 - 1.71 (m, 2 H), 1.91 - 1.98 (m, 4 H), 2.76 (s, 4 H), 4.24 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 5.23-5.29 (m, 2 H).
ii.OOC−GABAの合成
N,N’−ジイソプロピルエチルアミン(2.60g、14.92mmo)を、アルゴン下、乾燥DMF中の4−アミノ酪酸(GABA、1.05g、10.18mmol)の懸濁液に加えた。乾燥DMF(10mL)中のN−ヒドロキシスクシンイミジルオレイルカーボネート(4.22g、10.30mmol)の溶液を、反応混合物に加えた。反応混合物を室温で約21時間撹拌した。溶媒を高真空下で除去し、粗残留物を、塩化メチレン/MeOH(100:0〜95:5、v/v)を用いてシリカゲルクロマトグラフィにより精製し、白色の表題化合物を得た(3.5g、87%)。
化学式;C23H43NO4
精密質量:397.32
分子量:397.59
1H NMR (400 MHz, CDC13): δ; 0.88 (t, J = 8 Hz, 3 H), 1.25 - 1.50 (m, 22 H), 1.65 - 1.75 (m, 2 H), 1.81-1.88 (m, 2 H), 1.99 - 2.03 (m, 4 H), 2.41 (t, J = 8.0 Hz, 2 H), 3.20-3.30 (m, 2 H), 4.00 - 4.15 (m, 2 H), 4.80 (bs, 1 H), 5.30- 5.39 (m, 2 H).
化学式;C23H43NO4
精密質量:397.32
分子量:397.59
1H NMR (400 MHz, CDC13): δ; 0.88 (t, J = 8 Hz, 3 H), 1.25 - 1.50 (m, 22 H), 1.65 - 1.75 (m, 2 H), 1.81-1.88 (m, 2 H), 1.99 - 2.03 (m, 4 H), 2.41 (t, J = 8.0 Hz, 2 H), 3.20-3.30 (m, 2 H), 4.00 - 4.15 (m, 2 H), 4.80 (bs, 1 H), 5.30- 5.39 (m, 2 H).
iii.OOC−GABA−ドキソルビシンの合成
N,N’−ジイソプロピルエチルアミンを、乾燥DMF(10mL)中の塩酸ドキソルビシン(1.50g、2.59mmol)の懸濁液に加え、続いて乾燥DMF(5mL)中のEDC:HCl(555mg、2.90mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(390mg、2.89mmol)およびOOC−GABA(1.033g)をアルゴン下で加えた。反応混合物を室温で21時間撹拌した。溶媒を高真空下で除去し、残留物を、EtOAc〜1%MeOH/EtOAcを用いてシリカゲルクロマトグラフィにより精製し、純赤色の表題化合物を得た(1g、純度=99.42%、0.425g、純度=93%、収率:1.425g(1.00g+0.425g)、59.6%)。
化学式;C50H70N2O14
精密質量:922.48
分子量:923.10
LC-MS (negative ion): [M-H] - =921.5121, [M+H] + = 923.5213.
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ; 0.88 (t, J = 8.0 Hz, 3 H), 1.26 - 1.34 (m, 24 H), 1.50 - 1.95 (m, 7 H), 1.96 - 2.07 (m, 4 H), 2.13 - 2.20 (m, 3 H), 2.35 (d, J = 16 Hz, 1 H), 2.94-3.30 (m, 6 H), 3.71 (d, J = 8.0 Hz, 1 H), 3.99 - 4.06 (m, 2 H), 4.06 (s, 3 H), 4.11 - 4.15 (m, 2 H), 4.61 (s, 1 H), 4.77 (s, d, J = 4 Hz, 2 H), 4.90 (m, 1 H), 5.26 (s, 1 H), 5.31 - 5.40 (m, 2 H), 5.51 (s, 1 H), 6.14-6.16 (m, 1 H), 7.37 (d, J = 8 Hz, 1 H), 7.77 (t, J = 8.0 Hz, 1 H), 8.01 (d, J = 8.0 Hz, 1 H), 13.19 (m, 1H), 13.94 (s, 1H).
精密質量:922.48
分子量:923.10
LC-MS (negative ion): [M-H] - =921.5121, [M+H] + = 923.5213.
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ; 0.88 (t, J = 8.0 Hz, 3 H), 1.26 - 1.34 (m, 24 H), 1.50 - 1.95 (m, 7 H), 1.96 - 2.07 (m, 4 H), 2.13 - 2.20 (m, 3 H), 2.35 (d, J = 16 Hz, 1 H), 2.94-3.30 (m, 6 H), 3.71 (d, J = 8.0 Hz, 1 H), 3.99 - 4.06 (m, 2 H), 4.06 (s, 3 H), 4.11 - 4.15 (m, 2 H), 4.61 (s, 1 H), 4.77 (s, d, J = 4 Hz, 2 H), 4.90 (m, 1 H), 5.26 (s, 1 H), 5.31 - 5.40 (m, 2 H), 5.51 (s, 1 H), 6.14-6.16 (m, 1 H), 7.37 (d, J = 8 Hz, 1 H), 7.77 (t, J = 8.0 Hz, 1 H), 8.01 (d, J = 8.0 Hz, 1 H), 13.19 (m, 1H), 13.94 (s, 1H).
D.解析方法:HPLCおよびマウス血清安定法
クレモホール(登録商標)EL−P/エタノール(1:1)中のLOC−GABA−ドキソルビシンを、マウス血清に50μmol/Lの濃度で加えた。クレモホール(登録商標)およびエタノールの最終濃度はそれぞれ1%であった。エタノール/クレモホール(登録商標)のみを加えた血清試料を、対照として用いた。
スパイク試料からアリコート(100μL)を0、1、4、8、および24時間の間隔で採取した。タンパク質は、300μLのアセトニトリルを添加することによってスパイク溶液から沈殿させた。懸濁液を遠心分離し、上清を別のマイクロチューブに移した。沈殿物を300μLの90%アセトニトリルで2回洗浄した。洗浄溶液を上清と合わせて、Centrivapコンセントレータで乾燥するまで蒸発させた。残留物を次に100μLのメタノールに溶解した。渦混合および超音波をそれぞれ30秒用いて、残留物の溶解を支援した。溶液を次に10,000rpmで15分間遠心分離した。上清の20μLのアリコートを、HPLC(Phenomenexカラム、C18、250×4.6mm、5u)で次の勾配条件で解析した。
クレモホール(登録商標)EL−P/エタノール(1:1)中のLOC−GABA−ドキソルビシンを、マウス血清に50μmol/Lの濃度で加えた。クレモホール(登録商標)およびエタノールの最終濃度はそれぞれ1%であった。エタノール/クレモホール(登録商標)のみを加えた血清試料を、対照として用いた。
スパイク試料からアリコート(100μL)を0、1、4、8、および24時間の間隔で採取した。タンパク質は、300μLのアセトニトリルを添加することによってスパイク溶液から沈殿させた。懸濁液を遠心分離し、上清を別のマイクロチューブに移した。沈殿物を300μLの90%アセトニトリルで2回洗浄した。洗浄溶液を上清と合わせて、Centrivapコンセントレータで乾燥するまで蒸発させた。残留物を次に100μLのメタノールに溶解した。渦混合および超音波をそれぞれ30秒用いて、残留物の溶解を支援した。溶液を次に10,000rpmで15分間遠心分離した。上清の20μLのアリコートを、HPLC(Phenomenexカラム、C18、250×4.6mm、5u)で次の勾配条件で解析した。
分析物は、標準溶液を直接注射した場合のピーク面積を、抽出手順を経た試料から得たものと比較することにより、定量した。
スパイク分析物のリカバリー百分率を、インキュベーション前の試料のピーク面積(時間:0時間)を、37℃でのインキュベーションを経たものと比較して算出した。
E.溶解性
表7は、LOC−GABA−ドキソルビシンの数種類の溶媒への溶解性をまとめたものである。
表7は、LOC−GABA−ドキソルビシンの数種類の溶媒への溶解性をまとめたものである。
F.製剤
LOC−GABA−ドキソルビシンを、クレモホール(登録商標)EL−P(10%)、エタノール(10%)、および生理食塩水(0.9%NaCl)の混合物中に配合した。これは、複合体をエタノール中に溶解し、等容積のクレモホール(登録商標)EL−Pおよび最後に十分な生理食塩水を加えて、最終的に10%/10%/80%比率となるようにして行った。この製剤を、この複合体の初めのin vivo試験に用いた。
LOC−GABA−ドキソルビシンを、クレモホール(登録商標)EL−P(10%)、エタノール(10%)、および生理食塩水(0.9%NaCl)の混合物中に配合した。これは、複合体をエタノール中に溶解し、等容積のクレモホール(登録商標)EL−Pおよび最後に十分な生理食塩水を加えて、最終的に10%/10%/80%比率となるようにして行った。この製剤を、この複合体の初めのin vivo試験に用いた。
G.マウス血清中のLOC−GABA−ドキソルビシンの安定性
マウス血清中のLOC−GABA−ドキソルビシンの安定性を評価するために、LOC−GABA−ドキソルビシンをクレモホール(登録商標):エタノール:生理食塩水(10:10:80)中に、10mg/mLでpH7.5にて溶解し、次にマウス血漿と、10部の製剤対90部の血漿の割合で混合し、37℃で0、1、4、8および24時間インキュベートした。LOC−GABA−ドキソルビシンは、上清中でHPLCにより、前記の方法を用いてアッセイした。結果を下の図2に示す。
図2に示した安定性のデータは、LOC−GABA−ドキソルビシンがマウス血漿中で8時間以上安定であることを示す。実際、90%を超える薬物が、24時間後にも存在する。
本発明はその適用において、上に記載されているかまたは図に示された成分の構成および配置の詳細には限定されない。本発明は別の態様でも可能であり、種々の方法により実践または実施することができる。また、本明細書で用いたフレーズおよび用語は記述目的であり、限定するものと解釈されるべきではない。「含む」、「含有する」、または「有する」、「含む」、「付随する」、およびこれらの種々の変形は、続いてリストされる項目およびそれらの均等物ならびに追加の項目を包含することを意味する。
マウス血清中のLOC−GABA−ドキソルビシンの安定性を評価するために、LOC−GABA−ドキソルビシンをクレモホール(登録商標):エタノール:生理食塩水(10:10:80)中に、10mg/mLでpH7.5にて溶解し、次にマウス血漿と、10部の製剤対90部の血漿の割合で混合し、37℃で0、1、4、8および24時間インキュベートした。LOC−GABA−ドキソルビシンは、上清中でHPLCにより、前記の方法を用いてアッセイした。結果を下の図2に示す。
図2に示した安定性のデータは、LOC−GABA−ドキソルビシンがマウス血漿中で8時間以上安定であることを示す。実際、90%を超える薬物が、24時間後にも存在する。
本発明はその適用において、上に記載されているかまたは図に示された成分の構成および配置の詳細には限定されない。本発明は別の態様でも可能であり、種々の方法により実践または実施することができる。また、本明細書で用いたフレーズおよび用語は記述目的であり、限定するものと解釈されるべきではない。「含む」、「含有する」、または「有する」、「含む」、「付随する」、およびこれらの種々の変形は、続いてリストされる項目およびそれらの均等物ならびに追加の項目を包含することを意味する。
Claims (24)
- 構造:
- 構造:
- 式Iの化合物以外の剤をさらに含む、請求項2に記載の医薬組成物。
- 剤が抗癌剤である、請求項3に記載の医薬組成物。
- 抗癌剤が、シクロホスファミド、パクリタキセル、タキソテール、ブレオマイシン、ダカルバジン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ラパマイシン、モノクローナル抗体、エトポシド、メトトレキサートおよびフルオロウラシルである、請求項4に記載の医薬組成物。
- 構造:
- 式Iの化合物以外の剤をさらに含む、請求項6に記載の医薬組成物。
- 剤が抗癌剤である、請求項7に記載の医薬組成物。
- 抗癌剤が、シクロホスファミド、パクリタキセル、タキソテール、ブレオマイシン、ダカルバジン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ラパマイシン、モノクローナル抗体、エトポシド、メトトレキサートおよびフルオロウラシルである、請求項4に記載の医薬組成物。
- 癌を有する対象を処置する方法であって、
該対象に、癌を処置するために請求項2に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、前記方法。 - 癌が、白血病(急性リンパ性白血病または慢性リンパ性白血病)、多発性骨髄腫、肺癌、頭頸部癌、子宮体癌、卵巣癌、子宮頸癌、乳癌、精巣癌、前立腺癌、またはウィルムス腫瘍である、請求項10に記載の方法。
- 構造:
- 構造:
- 構造:
- 式IVの化合物以外の剤をさらに含む、請求項14に記載の医薬組成物。
- 剤が抗癌剤である、請求項15に記載の医薬組成物。
- 抗癌剤が、シクロホスファミド、パクリタキセル、タキソテール、ブレオマイシン、ダカルバジン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ラパマイシン、モノクローナル抗体、エトポシド、メトトレキサートおよびフルオロウラシルである、請求項16に記載の医薬組成物。
- 構造:
- 式IVの化合物以外の剤をさらに含む、請求項18に記載の医薬組成物。
- 剤が抗癌剤である、請求項19に記載の医薬組成物。
- 抗癌剤が、シクロホスファミド、パクリタキセル、タキソテール、ブレオマイシン、ダカルバジン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ラパマイシン、モノクローナル抗体、エトポシド、メトトレキサートおよびフルオロウラシルである、請求項16に記載の医薬組成物。
- 癌を有する対象を処置する方法であって、
該対象に、癌を処置するために請求項14に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、前記方法。 - 癌が、白血病(急性リンパ性白血病または慢性リンパ性白血病)、多発性骨髄腫、肺癌、頭頸部癌、子宮体癌、卵巣癌、子宮頸癌、乳癌、精巣癌、前立腺癌、またはウィルムス腫瘍である、請求項22に記載の方法。
- 構造:
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