JP2012518387A5 - - Google Patents

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JP2012518387A5
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別の態様において、本スクリーニング法は、(a)試験剤または試験化合物を、JARID1Bの転写調節領域および該転写調節領域の制御下で発現されるレポーター遺伝子を含むベクターが導入された細胞と接触させる段階、(b)該レポーター遺伝子の発現または活性を測定する段階、および(c)試験剤または試験化合物の非存在下における発現レベルまたは活性レベルと比較して、該レポーター遺伝子の発現レベルまたは活性レベルを低下させる該試験剤または試験化合物を、候補剤または候補化合物として選択する段階を含む。
好ましくは、上記スクリーニング法によって選択された候補剤または候補化合物を、がん細胞と接触させること、および次にがん細胞増殖を阻害する候補剤または候補化合物を選択することにより、さらにスクリーニングする。本発明の1つまたは複数の局面はある目的を達成できるが、一方、1つまたは複数の他の局面は他の目的を達成できることが、当業者には理解されるであろう。各目的は、そのすべての点において、本発明のあらゆる局面に対して等しく適用されるわけではない。このように、前述の目的は、本発明のいずれか1つの局面に関して択一的に捉えることができる。本発明の上記および他の目的および特徴は、以下の詳細な説明を添付の図面および以下の実施例と併せて読むことにより、より十分に明らかになると考えられる。しかし、前記の本発明の概要および以下の詳細な説明はいずれも好ましい態様であり、本発明または本発明の他の代替的な態様を限定するものではないことが理解されるべきである。
[本発明1001]
がんを検出または診断するための方法であって、
(a)対象由来の生物試料における、jumonji, AT rich interactive domain 1B(JARID1B)遺伝子の発現レベルを、
(i)JARID1B遺伝子のmRNAを検出すること;
(ii)JARID1Bタンパク質を検出すること;および
(iii)JARID1Bタンパク質の生物活性を検出すること
からなる群より選択される方法のいずれか1つによって決定する段階;ならびに
(b)該遺伝子の正常対照レベルと比較した、段階(a)で測定された発現レベルの増大を、がんの存在と関連付ける段階
を含む、方法。
[本発明1002]
前記がんが、急性骨髄性白血病、膀胱癌、慢性骨髄性白血病、子宮頸癌、肺癌および腎細胞癌からなる群より選択される、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記対象由来の生物試料が、生検試料、喀痰、血液、胸水または尿を含む、本発明1001の方法。
[本発明1004]
(a)JARID1B遺伝子のmRNAを検出するための試薬;
(b)JARID1Bタンパク質を検出するための試薬;および
(c)JARID1Bタンパク質の生物活性を検出するための試薬
からなる群より選択される試薬を含む、がんを診断するためのキット。
[本発明1005]
前記がんが、急性骨髄性白血病、膀胱癌、慢性骨髄性白血病、子宮頸癌、肺癌または腎細胞癌からなる群より選択される、本発明1004のキット。
[本発明1006]
単離された二本鎖分子であって、該分子がJARID1B遺伝子を発現している細胞に導入された場合に該遺伝子の発現を阻害し、該分子がセンス鎖およびそれに相補的なアンチセンス鎖を含み、該鎖が互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成し、該センス鎖がSEQ ID NO:21または30に対応する核酸配列を含み、該分子が約19〜約25ヌクレオチド長を有する、分子。
[本発明1007]
センス鎖および/またはアンチセンス鎖の3'末端のいずれかまたは両方に、2〜10ヌクレオチドからなる1つまたは2つの3'オーバーハングを有する、本発明1006の二本鎖分子。
[本発明1008]
介在性の一本鎖核酸配列によって連結されたセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含む単一のポリヌクレオチドからなる、本発明1006の二本鎖分子。
[本発明1009]
一般式
5'−[A]−[B]−[A']−3'
を有し、[A]がセンス鎖であり、[B]が3〜23ヌクレオチドからなる介在一本鎖核酸配列であり、かつ[A']が[A]に対する相補的配列を含むアンチセンス鎖である、本発明1008の二本鎖分子。
[本発明1010]
本発明1006〜1009のいずれかの二本鎖分子をコードする、ベクター。
[本発明1011]
センス鎖核酸およびアンチセンス鎖核酸を含むポリヌクレオチドの組み合わせのそれぞれを含むベクターであって、該センス鎖核酸がSEQ ID NO:21または30のヌクレオチド配列を含み、該アンチセンス鎖核酸が該センス鎖に相補的な配列からなり、該センス鎖および該アンチセンス鎖の転写物が互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成し、該ベクターが、JARID1B遺伝子を発現している細胞に導入された場合に細胞増殖を阻害する、ベクター。
[本発明1012]
単離された二本鎖分子または該二本鎖分子をコードするベクターを対象に投与する段階を含む、がんを治療または予防するための方法であって、該分子がJARID1B遺伝子を発現している細胞に導入された場合に該遺伝子の発現を阻害し、該分子がセンス鎖およびそれに相補的なアンチセンス鎖を含み、該鎖が互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成し、該センス鎖がJARID1B遺伝子の核酸配列またはその断片に対応する核酸配列を含み、該分子が約19〜約25ヌクレオチド長を有する、方法。
[本発明1013]
前記二本鎖分子が、本発明1006〜1009のいずれかの二本鎖分子である、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記がんが、急性骨髄性白血病、膀胱癌、乳癌、慢性骨髄性白血病、子宮頸癌、肺癌、前立腺癌および腎細胞癌からなる群より選択される、本発明1012または1013の方法。
[本発明1015]
単離された二本鎖分子または該二本鎖分子をコードするベクターを含む、がんを治療または予防するための組成物であって、該分子がJARID1B遺伝子を発現している細胞に導入された場合に該遺伝子の発現を阻害し、該分子がセンス鎖およびそれに相補的なアンチセンス鎖を含み、該鎖が互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成し、該センス鎖がJARID1B遺伝子の核酸配列またはその断片に対応する核酸配列を含み、該分子が約19〜約25ヌクレオチド長を有する、組成物。
[本発明1016]
前記二本鎖分子が本発明1006〜1009のいずれかの二本鎖分子である、本発明1015の組成物。
[本発明1017]
前記がんが、急性骨髄性白血病、膀胱癌、乳癌、慢性骨髄性白血病、子宮頸癌、肺癌、前立腺癌または腎細胞癌からなる群より選択される、本発明1015または1016の組成物。
[本発明1018]
がんを治療もしくは予防するためまたはがん細胞増殖を阻害するための候補剤をスクリーニングする方法であって、
(a)試験剤をJARID1Bポリペプチドと接触させる段階;
(b)該ポリペプチドと試験剤との間の結合活性を検出する段階;および
(c)該ポリペプチドと結合する試験剤を候補剤として選択する段階
を含む、方法。
[本発明1019]
がんを治療または予防するためまたはがん細胞増殖を阻害するための候補剤をスクリーニングする方法であって、
(a)試験剤をJARID1Bポリペプチドと接触させる段階;
(b)該ポリペプチドの生物活性を検出する段階;および
(c)試験剤の非存在下で検出される生物活性と比較して、該ポリペプチドの生物活性を抑制する該試験剤を、候補剤として選択する段階
を含む、方法。
[本発明1020]
前記生物活性が、細胞増殖活性、抗アポトーシス活性、E2F1遺伝子またはE2F2遺伝子の発現の促進活性、および脱メチル化活性からなる群より選択される、本発明1019の方法。
[本発明1021]
がんを治療または予防するためまたはがん細胞増殖を阻害するための候補剤をスクリーニングする方法であって、
(a)試験剤の存在下で、JARID1Bポリペプチドを、脱メチル化される基質と、該基質の脱メチル化に適した条件下で接触させる段階;
(b)該基質のメチル化レベルを検出する段階;および
(c)試験剤の非存在下で検出されるメチル化レベルと比較して、該基質のメチル化レベルを増大させる該試験剤を、候補剤として選択する段階
を含む、方法。
[本発明1022]
前記基質がメチル化ヒストンH3である、本発明1021の方法。
[本発明1023]
前記メチル化レベルをヒストンH3のリシン4で検出する、本発明1021の方法。
[本発明1024]
がんを治療または予防するためまたはがん細胞増殖を阻害するための候補剤をスクリーニングする方法であって、
(a)試験剤を、JARID1B遺伝子を発現している細胞と接触させる段階;
(b)該細胞におけるヒストンH3のメチル化レベルを検出する段階:および
(c)試験剤の非存在下で検出されるメチル化レベルと比較して、ヒストンH3のメチル化レベルを増大させる該試験剤を、候補剤として選択する段階
を含む、方法。
[本発明1025]
前記メチル化レベルをヒストンH3のリシン4で検出する、本発明1024の方法。
[本発明1026]
がんを治療または予防するための候補剤をスクリーニングする方法であって、
(a)試験剤を、JARID1B遺伝子を発現している細胞と接触させる段階;
(b)JARID1B遺伝子の発現レベルを検出する段階;および
(c)試験剤の非存在下で検出される発現レベルと比較して、JARID1B遺伝子の発現レベルを低下させる該試験剤を、候補剤として選択する段階
を含む、方法。
[本発明1027]
がんを治療または予防するための候補剤をスクリーニングする方法であって、
(a)試験剤を、JARID1Bの転写調節領域および該転写調節領域の制御下で発現されるレポーター遺伝子を含むベクターが導入された細胞と接触させる段階、
(b)該レポーター遺伝子の発現レベルまたは活性を測定する段階;ならびに
(c)試験剤の非存在下における発現レベルまたは活性レベルと比較して、該レポーター遺伝子の発現レベルまたは活性レベルを低下させる該試験剤を、候補剤として選択する段階
を含む、方法。
[本発明1028]
前記がんが、急性骨髄性白血病、膀胱癌、乳癌、慢性骨髄性白血病、子宮頸癌、肺癌、前立腺癌または腎細胞癌からなる群より選択される、本発明1018〜1027のいずれかの方法。
図1は、英国人および日本人の患者の膀胱癌におけるJARID1B発現の上昇を表す。Aは、正常膀胱組織および臨床病期別に分類した膀胱癌組織における、定量的リアルタイムPCRを用いて測定したJARID1B遺伝子発現レベルの散布図を示す。Bは、英国人症例での正常膀胱組織および腫瘍膀胱組織におけるJARID1B遺伝子発現を表す。JARID1Bの発現レベルを定量的リアルタイムPCRによって分析し、結果を箱ひげ図(中央の50%を四角で囲む)によって示す。相対的mRNA発現は、GAPDHおよびSDHの発現によって正規化した値を示す。統計分析にはマン・ホイットニーのU検定を用いた。Cは、日本人患者における膀胱の正常組織と腫瘍組織との間の発現比を表す。各試料のシグナル強度はcDNAマイクロアレイによって分析されたものであり、発現比は腫瘍組織におけるシグナル強度を正常組織のそれによって除算したものである(1が正常)。 Dは、日本人患者における正常膀胱組織と腫瘍膀胱組織の間でのJARID1B発現の比較を表す。各試料のシグナル強度をcDNAマイクロアレイによって分析し、結果を箱ひげ図(中央の50%を四角で囲む)によって示す。統計分析にはマン・ホイットニーのU検定を用いた。Eは、膀胱組織におけるJARID1Bの免疫組織化学染色を表す。IgGの非特異的結合からまたは二次抗体からの偽陽性応答の可能性を除くために、非免疫マウスIgGを一次抗体の代わりに用いた。対比染色はヘマトキシリンおよびエオジンによって行った。元の倍率は×40および×400。 図2は、JARID1Bのタンパク質発現に関する標準的な免疫組織化学法によって染色した、さまざまな背景の膀胱腫瘍の組織マイクロアレイ画像を表す。対比染色はヘマトキシリンおよびエオジンによって行った。元の倍率は×100、×200、および×400。 図3は、肺癌におけるJARID1B発現の上昇を表す。Aは、正常肺組織と非小細胞肺癌(NSCLC)組織の間での発現比を表す。各試料のシグナル強度はcDNAマイクロアレイによって分析されたものであり、発現比は腫瘍組織におけるシグナル強度を正常組織のそれによって除算したものである(1が正常)。Bは、正常肺組織と小細胞肺癌(SCLC)組織の間での発現比を表す。各試料のシグナル強度はcDNAマイクロアレイによって分析されたものであり、発現比は腫瘍組織におけるシグナル強度を正常組織のそれによって除算したものである(1が正常)。 Cは、正常肺組織と腫瘍肺組織の間でのJARID1B発現の比較を表す。各試料のシグナル強度をcDNAマイクロアレイによって分析し、結果を箱ひげ図によって示す(中央の50%を四角で囲む)。統計分析にはマン・ホイットニーのU検定を用いた。Dは、肺組織におけるマウスモノクローナル抗JARID1B抗体を用いた免疫組織化学染色像を表す。IgGの非特異的結合からまたは二次抗体からの偽陽性応答の可能性を確認するために、非免疫マウスIgGを一次抗体の代わりに用いた。対比染色はヘマトキシリンおよびエオジンによって行った。元の倍率は×40、および×400。 図4は、JARID1Bのタンパク質発現について標準的な免疫組織化学法によって染色したさまざまな背景を持つ肺腫瘍の組織マイクロアレイ画像を表す。各切片に関する臨床情報を組織像の上方に示す。対比染色はヘマトキシリンおよびエオジンによって行った。元の倍率は×100、×200、および×400。 図5は、日本人群のAML、子宮頸癌、CML、乳癌および腎細胞癌におけるJARID1B発現の上昇を表す。JARID1Bの発現レベルを正常組織と腫瘍組織の間で比較した。各試料のシグナル強度をcDNAマイクロアレイによって分析し、結果を箱ひげ図(中央の50%を四角で囲む)によって示す。統計分析にはマン・ホイットニーのU検定を用いた。 図6は、7.5μg/mlのアフィジコリンを用いた24時間の処理による細胞周期停止に供し、次にアフィジコリン除去から4時間後および12時間後に抗JARID1Bモノクローナル抗体(Alexa594)、ファロイジン(F−アクチン、Alexa488)および4',6'−ジアミジン−2'−フェニルインドール二塩酸塩(DAPI)を用いて免疫細胞化学染色した、SBC5細胞を表す。挿入図は、アフィジコリン処理から4時間後(上)および12時間後(下)における細胞周期停止の同期的解除を実証するFACS分析を示す。 図7は、膀胱癌細胞および肺癌細胞の増殖におけるJARID1Bの関与を表す。Aは、12種の膀胱癌細胞株、4種の非小細胞肺癌細胞株および1種の小細胞肺癌細胞株におけるJARID1B遺伝子の発現パターンを表す。Bは、SW780細胞およびA549細胞におけるJARID1Bを標的とするsiRNA(siJARID1B#1)によるJARID1B遺伝子の内在性発現の抑制を示す、定量的リアルタイムPCRを表す。EGFPを標的とするsiRNA(siEGFP)を対照として用いた。3回の独立した実験の平均値±SDを示した。Cは、膀胱癌細胞株(RT4、SW780およびUMUC3)および肺癌細胞株(LC319、RERF−LC−AIおよびSBC5)の生存率に対するJARID1B siRNAノックダウンの影響を表す。細胞生存率は3回調べた。3回の独立した実験の平均値±SD。P値はスチューデントのt検定を用いて算出した。Dは、対照siRNAまたはJARID1B遺伝子を標的とするsiRNA(siJARID1B#1)による処理から72時間後にFACSによって分析した、SBC5細胞のDNA含量を表す。Eは、細胞周期の状態毎に細胞を分類した、DにおけるFACSの結果の数値解析を表す。サブG1期のがん細胞の割合は、対照siRNAで処理したがん細胞と比較して、siJARID1B#1による処理後の方が有意に高い。3回の独立した実験の平均値±SDを示した。P値はスチューデントのt検定を用いて算出した。 Fは、SW780細胞、A549細胞およびSBC5細胞における2種類の異なるJARID1B特異的siRNA(siJARID1B#1および#2)による内在性JARID1B発現の抑制を示す、定量的リアルタイムPCRの結果を表す。siEGFPおよびsiNCを対照として用いた。mRNA発現レベルはGAPDHおよびSDHの発現によって正規化されたものであり、値はsiEGFPに対して相対的である(siEGFP=1)。3回の独立した実験の平均値±SDを示した。Gは、膀胱癌細胞株(SW780およびRT4)および肺癌細胞株(A549、LC319およびSBC5)の生存率に対するJARID1B siRNAノックダウンの影響を表す。相対的細胞数は、siEGFPで処理した細胞に対して正規化した値を示す。3回の独立した実験の平均値±SDを示した。P値はスチューデントのt検定を用いて算出した。 図8は、JARID1B発現をノックダウンした後のSW780およびA549のmRNA発現プロファイルの、二次元の教師なし階層型クラスター分析を表す。差次的に発現している遺伝子をこの分析のために選択した。赤色はアップレギュレートされた遺伝子を示す(左の1列);緑色はダウンレギュレートされた遺伝子を示す(右の2列)。 図9は、E2F1およびE2F2がJARID1Bの下流遺伝子であることの確認を表す。AおよびBは、SW780細胞、A549細胞およびSBC5細胞におけるE2F1(A)およびE2F2(B)の発現レベルを表しており、これらはJARID1Bを標的とするsiRNA(siJARID1B#1)またはEGFP(対照)による処理後に定量的リアルタイムPCRによって分析された。相対的mRNA発現は任意値であるが、各細胞群についての発現をGAPDHおよびSDHの発現に対して正規化した。統計分析は3回の独立した実験に基づいて行った。P値はスチューデントのt検定を用いて算出した。Cは、リアルタイムPCRによって測定したE2F1およびE2F2の発現を表しており、非腫瘍性膀胱組織と比較して、膀胱腫瘍組織において有意にアップレギュレートされ、腫瘍組織におけるJARID1B発現に相関していた。13種のがん組織および正常組織をそれぞれ分析し、統計分析にはマン・ホイットニーのU検定およびスピアマンの順位相関係数を用いた。Dは、E2Fの転写活性に対するJARID1B遺伝子発現のsiRNAノックダウンの影響を表す。このアッセイにはCignal(商標)E2F Reporter Assay Kitを用いた。3回の独立した実験の平均値±SDを示した。P値はスチューデントのt検定を用いて算出した。Eは、JARID1B、E2F1およびE2F2の発現をタンパク質レベルで表す。siJARID1B#1またはsiJARID1B#2による処理後のA549細胞およびSBC5細胞由来の溶解物を、抗JARID1B抗体、E2F1抗体、E2F2抗体およびアクチン抗体を用いてイムノブロットした。アクチンは内部対照として利用した。 図10は、JARID1Bのタンパク質発現に関する標準的な免疫組織化学法によって染色した正常な心臓、腎臓および肝臓の画像を表す。対照染色は、二次抗体からの偽陽性応答の可能性を除くために一次抗体を用いずに行い、対比染色は、ヘマトキシリンおよびエオジンによって行った。元の倍率は×40および×400である。 図11は、A549細胞におけるJARID1Bの細胞内局在を表すこれらの細胞を、7.5μg/mlのアフィジコリンを用いた24時間の処理による細胞周期停止に供し、次に、アフィジコリン除去から0、4、8、12および24時間後に抗JARID1Bモノクローナル抗体(Alexa488[緑色])、ファロイジン(F−アクチン、Alexa594[赤色])および4',6'−ジアミジン−2'−フェニルインドール二塩酸塩(DAPI;青色)を用いて免疫細胞化学的に染色した。挿入図は、細胞周期停止の同期的解除を実証するFACS分析を示しており、矢印はJARID1Bの細胞質局在を示す。A549細胞を4%パラホルムアルデヒドを含むPBS(−)で20分間固定し、0.1% Triton X−100を含むPBS(−)を室温で2分間用いて透過性にした。引き続いて、該細胞を、3%ウシ血清アルブミンを含むPBS(−)を用いて室温で1時間覆って非特異的ハイブリダイゼーションを遮断し、その後、希釈比1:100で希釈したマウス抗JARID1B抗体(1G10、Abnova)とともにインキュベーションした。PBS(−)で洗浄した後に、細胞を、1:1000希釈したAlexa594結合抗マウス二次抗体(Molecular Probe)によって染色した。核を、4',6'−ジアミジン−2'−フェニルインドール二塩酸塩(DAPI)で対比染色した。蛍光画像をTCS SP2 AOBS顕微鏡(Leica)下で得た。 図12は、SBC5細胞におけるJARID1Bの細胞内局在を表す。SBC5細胞を、7.5μg/mlのアフィジコリンを用いた24時間の処理による細胞周期停止に供し、次に、アフィジコリン除去から0、4、8、12および24時間後に、抗JARID1Bモノクローナル抗体(Alexa488[緑色])、ファロイジン(F−アクチン、Alexa594[赤色])および4',6'−ジアミジン−2'−フェニルインドール二塩酸塩(DAPI;青色)を用いて免疫細胞化学的に染色した。挿入図は、細胞周期停止の同期的解除を実証しているFACS分析を示しており、矢印はJARID1Bの細胞質局在を示す。
本発明のキットはさらに、陽性対照試料またはJARID1B標準試料を含んでもよい。本発明の陽性対照試料は、急性骨髄性白血病、膀胱癌、慢性骨髄性白血病、子宮頸癌、肺癌および腎細胞癌に由来する細胞などのARID1B陽性試料を採取した後、それらのJARID1Bレベルを分析することによって、調製され得る。あるいは、精製されたJARID1Bタンパク質またはJARID1B遺伝子を細胞にトランスフェクトして、陽性試料またはJARID1Bの標準物質を形成させてもよい。
別の態様において、本発明のキットはさらに陰性対照試料を含んでもよい。本発明の陰性対照試料は、非がん性細胞などの、JARID1Bを発現しない細胞または組織である。
より具体的には、本方法は、
(a)試験剤または試験化合物を、JARID1B遺伝子に由来するJARID1Bポリペプチドと接触させる段階
(b)該ポリペプチドと該試験または試験化合物との間の結合レベルを検出する段階;
(c)(b)の結合レベルを、該試験剤または試験化合物の非存在下で検出した結合レベルと比較する段階;および
(d)(c)の結合レベルを、該試験剤または試験化合物の治療効果と関連付ける段階
を含む。
本発明において、治療効果は、JARID1Bポリペプチドの結合レベルと相関し得る。例えば、試験剤または試験化合物がJARID1Bポリペプチドに結合する場合には、該試験剤または試験化合物を、治療効果を有する候補剤または候補化合物として同定または選択することができる。代替的に、試験剤または試験化合物がJARID1Bポリペプチドに結合しない場合には、該試験剤または試験化合物を、有意な治療効果を有さない剤または化合物として同定することができる。

Claims (20)

  1. がんを治療または予防するためまたはがん細胞増殖を阻害するための候補剤をスクリーニングする方法であって、
    (a)試験剤をJARID1Bポリペプチドと接触させる段階;
    (b)該ポリペプチドの生物活性を検出する段階;および
    (c)試験剤の非存在下で検出される生物活性と比較して、該ポリペプチドの生物活性を抑制する該試験剤を、候補剤として選択する段階
    を含む、方法。
  2. 前記生物活性が、細胞増殖活性、抗アポトーシス活性、E2F1遺伝子またはE2F2遺伝子の発現の促進活性、および脱メチル化活性からなる群より選択される、請求項記載の方法。
  3. がんを治療もしくは予防するためまたはがん細胞増殖を阻害するための候補剤をスクリーニングする方法であって、
    (a)試験剤をJARID1Bポリペプチドと接触させる段階;
    (b)該ポリペプチドと試験剤との間の結合活性を検出する段階;および
    (c)該ポリペプチドと結合する試験剤を候補剤として選択する段階
    を含む、方法。
  4. がんを治療または予防するためまたはがん細胞増殖を阻害するための候補剤をスクリーニングする方法であって、
    (a)試験剤の存在下で、JARID1Bポリペプチドを、脱メチル化される基質と、該基質の脱メチル化に適した条件下で接触させる段階;
    (b)該基質のメチル化レベルを検出する段階;および
    (c)試験剤の非存在下で検出されるメチル化レベルと比較して、該基質のメチル化レベルを増大させる該試験剤を、候補剤として選択する段階
    を含む、方法。
  5. 前記基質がメチル化ヒストンH3である、請求項記載の方法。
  6. 前記メチル化レベルをヒストンH3のリシン4で検出する、請求項記載の方法。
  7. がんを治療または予防するためまたはがん細胞増殖を阻害するための候補剤をスクリーニングする方法であって、
    (a)試験剤を、JARID1B遺伝子を発現している細胞と接触させる段階;
    (b)該細胞におけるヒストンH3のメチル化レベルを検出する段階:および
    (c)試験剤の非存在下で検出されるメチル化レベルと比較して、ヒストンH3のメチル化レベルを増大させる該試験剤を、候補剤として選択する段階
    を含む、方法。
  8. 前記メチル化レベルをヒストンH3のリシン4で検出する、請求項記載の方法。
  9. がんを治療または予防するための候補剤をスクリーニングする方法であって、
    (a)試験剤を、JARID1B遺伝子を発現している細胞と接触させる段階;
    (b)JARID1B遺伝子の発現レベルを検出する段階;および
    (c)試験剤の非存在下で検出される発現レベルと比較して、JARID1B遺伝子の発現レベルを低下させる該試験剤を、候補剤として選択する段階
    を含む、方法。
  10. がんを治療または予防するための候補剤をスクリーニングする方法であって、
    (a)試験剤を、JARID1Bの転写調節領域および該転写調節領域の制御下で発現されるレポーター遺伝子を含むベクターが導入された細胞と接触させる段階、
    (b)該レポーター遺伝子の発現レベルまたは活性を測定する段階;ならびに
    (c)試験剤の非存在下における発現レベルまたは活性レベルと比較して、該レポーター遺伝子の発現レベルまたは活性レベルを低下させる該試験剤を、候補剤として選択する段階
    を含む、方法。
  11. 前記がんが、急性骨髄性白血病、膀胱癌、乳癌、慢性骨髄性白血病、子宮頸癌、肺癌、前立腺癌または腎細胞癌からなる群より選択される、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
  12. 単離された二本鎖分子であって、該分子がJARID1B遺伝子を発現している細胞に導入された場合に該遺伝子の発現を阻害し、該分子がセンス鎖およびそれに相補的なアンチセンス鎖を含み、該鎖が互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成し、該センス鎖がSEQ ID NO:21または30に対応する核酸配列を含み、該分子が約19〜約25ヌクレオチド長を有する、分子。
  13. センス鎖および/またはアンチセンス鎖の3'末端のいずれかまたは両方に、2〜10ヌクレオチドからなる1つまたは2つの3'オーバーハングを有する、請求項12記載の二本鎖分子。
  14. 介在性の一本鎖核酸配列によって連結されたセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含む単一のポリヌクレオチドからなる、請求項12記載の二本鎖分子。
  15. 一般式
    5'−[A]−[B]−[A']−3'
    を有し、[A]がセンス鎖であり、[B]が3〜23ヌクレオチドからなる介在一本鎖核酸配列であり、かつ[A']が[A]に対する相補的配列を含むアンチセンス鎖である、請求項14記載の二本鎖分子。
  16. 請求項12〜15のいずれか一項記載の二本鎖分子をコードする、ベクター。
  17. センス鎖核酸およびアンチセンス鎖核酸を含むポリヌクレオチドの組み合わせのそれぞれを含むベクターであって、該センス鎖核酸がSEQ ID NO:21または30のヌクレオチド配列を含み、該アンチセンス鎖核酸が該センス鎖に相補的な配列からなり、該センス鎖および該アンチセンス鎖の転写物が互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成し、該ベクターが、JARID1B遺伝子を発現している細胞に導入された場合に細胞増殖を阻害する、ベクター。
  18. 単離された二本鎖分子または該二本鎖分子をコードするベクターを含む、がんを治療または予防するための組成物であって、該分子がJARID1B遺伝子を発現している細胞に導入された場合に該遺伝子の発現を阻害し、該分子がセンス鎖およびそれに相補的なアンチセンス鎖を含み、該鎖が互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成し、該センス鎖がJARID1B遺伝子の核酸配列またはその断片に対応する核酸配列を含み、該分子が約19〜約25ヌクレオチド長を有する、組成物。
  19. 前記二本鎖分子が請求項12〜15のいずれか一項記載の二本鎖分子である、請求項18記載の組成物。
  20. 前記がんが、急性骨髄性白血病、膀胱癌、乳癌、慢性骨髄性白血病、子宮頸癌、肺癌、前立腺癌または腎細胞癌からなる群より選択される、請求項18または19記載の組成物。
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