JP2012518169A - ターゲット物質を検出する検知装置 - Google Patents

ターゲット物質を検出する検知装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、検査領域113のターゲット物質2を検出する検知装置100に関する。検知装置100は、検査領域113及び参照領域120をその上に有する検知表面112を有する。検知装置100は、参照領域120に位置する参照エレメント121を更に有する。参照エレメント121は、内部全反射条件下で参照領域120において反射される光がターゲット物質2の有無によって影響されないままであるように、ターゲット物質2から参照領域120をシールドするように適応される。これは、ターゲット物質2の有無に関係なく、参照領域120において反射された光の特性、一般には強度、を測定することを可能にする。反射された光のこの測定された特性は、検査領域113において反射された光の改善された補正を実施するために使用されることができる。

Description

本発明は、検査領域のターゲット物質を検知するための検知装置及び解析装置に関する。本発明は、更に、検査領域のターゲット物質を検知するための対応する検知方法に関する。
米国特許第7,317,534B2号明細書は、ターゲット分子がその表面に固定される検出エリアと、リガンドがその表面に固定されない参照エリアとをもつフィルム層を有する測定ユニットを備える測定方法を提供している。フォト検出器は、検出エリア及び参照エリアにおいてそれぞれ内部全反射で反射された光ビームの強度を検出する。更に、検出エリアの測定の結果が、参照エリアの測定の結果に基づいて較正される。
米国特許出願公開第2005/0052655A1号明細書は、表面プラズモンに関する2次元環境として作用することが可能なフィルムを有する測定エリア及び隣接する参照エリアを搭載するように動作時に適応される光学本体と、表面プラズモン共鳴を生成することができる放射線によって参照及び測定エリアを照射する光ビーム生成手段と、参照及び測定エリアから反射される放射線を組み合わせるための光学手段と、組み合わせられた放射線ビームの2次元画像を表わすデータを生成するピクセル化された検出手段と、を有する干渉計を記述している。
しかしながら、多くの場合、参照エリアが、いかなるターゲット分子ももたないままであること、又は他のやり方で媒体中のターゲット分子の存在によって影響されないままであること、を確実にすることは困難である。特に、ビーズを利用するターゲット分子検出システムを用いる場合、いかなるこのようなビーズも非特異的に参照エリアと接触せず、参照エリアから検出される信号に影響を与えないことを確実にすることは困難である。従って、参照エリアが、較正の間、ターゲット分子をもたないままでいることを確実にする方策が提供されなければならないが、これは、較正プロシージャを非常に複雑にする。
本発明の目的は、より容易な較正を可能にする、検査領域のターゲット物質を検出するための検知装置及び解析装置を提供することである。本発明の他の目的は、対応する検知方法を提供することである。
本発明の1つの見地において、検査領域のターゲット物質を検出する検知装置であって、
−検査領域及び参照領域をその上に有する検知表面と、
−参照領域に位置する参照エレメントであって、内部全反射条件下で参照領域において反射される光が、物質の有無によって影響されないままであるように、参照領域を物質からシールドするように適応される参照エレメントと、
を有する検知装置が提供される。
本発明は、内部全反射条件下で検査領域から反射された光を検出することによって取得される検査領域の物質の存在に対応する信号が、内部全反射条件下の標準反射光に対応する信号によって、較正されることができるという考えに基づく。従って、検査領域に潜在的に存在する物質の影響から参照領域を効果的にシールドする参照エレメントが、標準化された形式で、すなわち解析されるべき物質の有無に関係なく、参照領域において反射された光の特性、一般には強度、を測定することを可能にする。こうして、参照領域において反射された光は、実質的に、物質の有無以外のファクタの関数にすぎず、従って、例えば温度の増加又は参照領域に到達する光出力の揺らぎのような、測定誤差によるエラーを反映する。
本発明の中で、一般にはその強度である光の選択された特性が、物質の有無によって、10%以上、好適には1%以下、最も好適には0.1%以下、変化されない場合、内部全反射条件下で参照領域において反射された光は、物質の有無によって影響されないものとして考えられる。0.05乃至0.3%のレンジが特に好ましい。
更に好適には、参照エレメントは、解析されるべき物質からだけでなく、参照領域に存在するエバネセント場に影響を与える可能性がある他の物質に対しても、参照領域をシールドする。これは、有利には、媒体の呈色が内部全反射条件下で参照領域において反射される光と干渉しないので、着色された媒体中の物質の存在を解析することを可能にする。こうして、着色された媒体の場合であっても、参照領域は、信頼できる標準として役立つことができる。本発明の方法及び本発明の検知装置は、例えば光吸収及び光学密度の測定のような、送信された光の測定を含む解析方法を補足するためにも有利に使用されることができる。従って、参照エレメントは、媒体によって洗い流されることに対して耐性がある好適には固体、ゲル様のもの、又は他のものあることが望ましい。
「内部全反射」という語は、多くの場合、入射光の一部が反射プロセス中に失われる「漏れ内部全反射(frustrated total internal reflection)」と多くの場合称されるケースを含むことに注意すべきである。検査領域からくる反射光ビームは、一般に、検知表面の検査領域において内部全反射された入射光ビームからなり又はそれを含み、かかる検知表面は、ターゲット物質と結合するための結合表面でありうる。しかしながら、それは、検査領域において刺激された蛍光のような他のソースからの光を含むこともありうる。
参照エレメントの屈折率及び寸法は、好適には、寸法がそこに誘導されるエバネセント場の指数減衰長を越えるように、すなわちエバネセント場が、実質的に参照エレメントの外に位置せず、参照エレメントが位置する担体の外に位置しないように、選択される。参照エレメントの厚さ及び横方向寸法は、参照エレメント内部で内部全反射条件下で生成されるエバネセント場が、光の選ばれた波長及び入射角に関して実質的に減衰されるようなやり方で、選択される。指数減衰長ζは、
Figure 2012518169
のように与えられる。
上式で、λ及びθは、それぞれ、使用される光の波長及び入射角であり、n及びnは、それぞれ、光がその中を進む材料の屈折率及び参照エレメントの屈折率である。角度θcritは臨界角を規定する。従って、当業者であれば、その中を進む光線に関して、予め選択された波長、入射角及び材料について参照エレメントを製造するのに適切な材料を選択することができる。
参照エレメントの横方向形状は、任意に選択されることができ、こうして、本装置が、多くの付加的条件にあわせて適応されることを可能にする。好適には、参照エレメントは、少なくとも200nm、より好適には500nm−1mm、最も好適には500nm−100μm、の厚さを有するフィルム又は層である。このようなエレメントは、有利には、媒体の微小な量を解析することを可能にするマイクロセンサに含められることができる。
他の好適な検知装置において、検査領域は、ターゲットと結合するためのバインダを有する。ターゲットは、それ自身の上のエバネセント場に影響を与えうるターゲット物質でありうる。しかしながら、濃度が決定されることができる物質が、その検出のためにエバネセント場に影響を与えるための標識−以下「アナライト」と称される−を必要とする場合、ターゲットは、このような標識である。一般に、ターゲットは、好適には媒体中に更に含まれることが期待される他の物質からみてアナライトにとって特異的なアタッチメントによって、アナライトにアタッチするための結合セクションを含む、好適には磁気ビーズのような物質である。結合セクションは、アナライト及びターゲット物質の残りのものに共有結合され、又は非共有結合されることができる。好適には、ターゲットは、アナライトの同じ又は別のセクションでアナライトに結合することができる1、2、3又はより多くの抗体、又はF(ab')フラグメントを含むそのFabフラグメントを含む。
検査領域のバインダの典型的な例は、抗体又はF(ab')フラグメントを含むそのFabフラグメントである。このようなバインダは、非常に多様なターゲット分子及びその抗原について生成されることができ、適用可能な場合は検知表面の検査領域において、ターゲット及び/又はアナライトの特異的結合を可能にする。従って、検査領域においてこれらのターゲット/アナライトを選択的に豊富にすることが可能である。更に、望ましくないターゲットは、所望のターゲット分子とバインダとの間の結合を実質的に壊すべきでない適切な反発力(例えば磁気又は流体力学的な力)によって、検査領域から除去されることができる。ターゲットの結合は、検査領域に誘導されるエバネセント場に影響を与えることができ、ゆえに、内部全反射条件下でそこから反射される光の強度に影響を与えることができる。更に、他の物質が付加されることにより、検査領域において結合されたターゲットによってそれに誘導されるエバネセント場に対して及ぼされる影響を強化することができる。更に、検査領域は、1、2又はそれ以上のタイプのバインダを含むことができる。それらのタイプのバインダは、異なるターゲット分子にとって、1又は複数のターゲット分子の異なるセクション及び抗原にとって、特異的でありうる。こうして、本発明の検知表面は、さまざまな異なる種類のバイオセンサ及び測定方法に適する。
媒体中のアナライトの濃度を決定するための別のタイプのアッセイは、競合結合アッセイでありうる。このようなアッセイにおいて、アナライト濃度の定量化は、バインダ及び/又はターゲット又はその個々の結合セクションによって結合するためのアナライトとアナライト様の物質との間の競合の結果として、個々の検査領域におけるターゲットの有無を解析することによって、達成されることができる。
本発明の検知装置は、好適には、1nm以下、より好適には1乃至1000pM、最も好適には10乃至1000fM、の濃度の媒体中の物質(すなわちターゲット又は適用可能な場合はアナライト)の存在を解析するように適応されている。このような低い濃度は、一般に、長い測定時間を必要とし、更に、媒体から取得される信号が小さい。一般的な光学センサ装置によって生成される信号は、アッセイ組成の変化なしに、時間を通じてドリフトしうる。例えば、光源の光出力は、例えば環境の又はバイオセンサ装置内の温度変化により、変化しうる。ドリフトは、検査領域において結合されるターゲット分子の実際の量と比較して、取得される信号の重大な偏りをもたらすことがありうる。従って、検出器によって取得される検査領域からの信号の較正が、重要な結果を取得するために必要である。本発明の特に価値ある利点は、参照領域及びそこで反射された光に基づいてこのような較正を可能にすることにより、上述した低い濃度での物質の有無を信頼性をもって解析することを可能にすることである。これは特に、例えば、1pM以下の検出限界を必要とする、血液のような生理学的サンプル中の心臓トロポニンI、上皮小体ホルモン(PTH)及びBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)のような物質の存在を測定する場合に有利である。
好適な検知装置において、参照領域の検知表面は、検査領域の平行な入射光ビームの角度よりも浅い角度で参照領域に入射光ビームが入射することを可能にするために、検査領域の検知表面に対して相対的に傾けられる。検知表面と参照エレメントとのインタフェースにおいて内部全反射条件を達成するために、参照エレメント材料の屈折率は、反射光がその中を進む材料の所与の屈折率に対して十分に低く選択されなければならない。従って、幾つかの材料に関して、適切な参照エレメント材料を見つけることは困難である。参照領域の表面をわずかに傾けることによって、検査エリアより浅い入射角を参照エレメントにおいて達成することが可能であり、ゆえに、相対的により高い屈折率を有する参照エレメント材料を使用することを可能にする。
他の好適な検知装置において、参照領域は、好適には、検査領域と隣接する。このようにして、例えば担体材料組成のわずかなバリエーションによる、内部全反射条件下で反射された光の強度測定の誤差が、最小限にされることができる。本発明の中で、参照領域は、それが検査領域から、好適には上述したようにバインダをそれにアタッチさせる検査領域から、多くとも5mm、より好適には0.5乃至1mm、最も好適には0.1乃至0.5mm、隔てられている場合、隣り合っていると考えられる。
参照エレメントの材料は、それが光の予め選択された波長及び入射角に関して参照領域における内部全反射を可能にし、上述したように参照領域を十分にシールドする限り、任意に選択されることができる。好適には、参照エレメントは固体であり、より好適には、参照エレメントはフィルムである。本発明の中で、ガラスが、考えられる固体である。参照エレメントの他の好適な材料は、ポリマ、特にタンパク質、核酸及び多糖類のような生体分子、ゲル、ゾルゲル及び他のプラスチックから選択される。
例えばインクジェット印刷のような簡素なやり方で堆積されることができる材料を選択することが好ましい。UV硬化されることができる又は高速の、信頼できる、自動化された重合のための他の適当手段によって重合されることができる多くのポリマが、利用可能である。
更に、参照領域が、入射光を反射するためのミラーを有することが好ましい。真のミラーと称されるこのようなミラーは、誘電多層又は金属コーティングの形で適用されることができ、特に、十分に低い屈折率を有する参照エレメント材料を見つけることが困難である条件において参照エレメントとして適切である。
検知装置の多くの実際に重要な実施形態において、検知表面は、それぞれ異なる入射光ビームが内部全反射されることができる2又はそれ以上の検査領域を含む。1つの装置が、幾つかの検査領域の処理を可能にし、ゆえに、例えば異なるターゲット物質についてのサーチ、それぞれ異なる条件下での同じターゲット物質の観察、及び/又は統計的な目的での幾つかの測定値のサンプリング、を可能にする。「異なる入射光ビーム」は、任意には1つの光源によって均一に生成される1つの幅広の光ビームの成分でありえ、それらは、(任意には同じ又は異なる光学ウィンドウを通じて)同時に検査領域及び/又は参照領域に入る個々の別個の光ビームでありえ、及び/又はそれらは、時間的に異なりうる(すなわち、検査領域をスキャンする1つの一般的な光ビームによって生成されることができる)。好適には、「異なる入射光ビーム」は、1、2又はそれ以上の参照領域及び1、2又はそれ以上の検査領域を同時に照射する1つの幅広の光ビームの一部である。検出器は、後に詳しく述べるように、個々の領域から別々に反射された光を測定することができる。
検知装置は、好適には、検知表面をその上に有する担体を有するカートリッジである。このようなカートリッジは、解析装置と共に有利に使用されることができ、解析装置を特定の測定作業に適応させることができる。
原則的に、担体がそれぞれ異なる材料の複数の成分を有する特化した構造を有する場合、担体は、透明な材料から、例えばガラス又は透明プラスチックから、均質に製造されることが好ましい。従って、担体は、例えば射出成形によって、容易に生成されることができる。
カートリッジは、バイオセンサ装置及び方法を含む多くの異なる装置と組み合わされた使用されることができる。検査プロシージャの実際に重要なアプリケーションの場合、カートリッジは、好適には、第1及び第2の光学ウィンドウを有し、それによって、入射光ビームは、第1の光学ウィンドウを通って担体に入射することができ、それは検知表面の検査領域及び/又は参照領域において内部全反射され、検査領域及び/又は参照領域からくる反射光ビームが、第2の光学ウィンドウを通って担体を出ることができる。
本発明の検知装置は、好適には、
−入射光が検査領域及び参照領域において内部全反射条件下で反射され、反射光を生成するように、検知表面の検査領域及び参照領域に入射光を向けるための光源と、
−反射光を検出して、検査領域における反射に依存する第1の特徴的な信号と、参照領域における反射に依存する第2の特徴的な信号とを生成する検出器と、
−第2の特徴的な信号を考慮して、第1の特徴的な信号を較正する較正器と、
を有する。
このような装置は、本発明の利点を使用するものであり、すなわち、検知装置は、第2の特徴的な信号を考慮して第1の特徴的な信号を較正することを可能にする。こうして、検知装置は、特に、信頼性の高い重要な測定を容易にし、測定誤差を制限し、(より)長い測定時間を可能にすることによって低い濃度で(複数の)検査領域のターゲット物質を検出することを可能にする。
このような装置の実際的な実施形態において、較正器は、好適には、第2の特徴的な信号を考慮して第1の特徴的な信号のドリフトを補正する又は改善するように適応される。このような装置の利点は、特に、ドリフトの重大な影響なく特に長い測定時間が達成されることができ、それゆえ、検査領域において、又はノイズが多い媒体バックグラウンドに対して、低い濃度のターゲット物質を検出することを容易にし又は検出することを可能にすることである。
好適な実施形態において、検知装置は、ターゲット物質を検出するために解析装置と協働するように適応され、解析装置は、
−検知装置を収容するための解析領域と、
−検知装置が解析領域に収容される場合、入射光が検知表面の検査領域及び参照領域に向けられ、入射光が、検査領域及び参照領域において内部全反射条件下で反射されて、反射光を生成するように、解析領域に入射光を向けるための光源と、
−反射光を検出して、検査領域の反射に依存する第1の特徴的な信号及び参照領域の反射に依存する第2の特徴的な信号を生成する検出器と、
−第2の特徴的な信号を考慮して、第1の特徴的な信号を較正する較正器と、
を有する。
本発明の他の見地において、ターゲット物質を検出するための解析装置であって、ターゲット物質を検出するために検知装置と協働するように適応され、検知装置が、
−検査領域及び参照領域をその上に有する検知表面と、
−参照領域に位置する参照エレメントであって、内部全反射条件下で参照領域において反射される光が、ターゲット物質の有無によって影響されないままであるように、参照領域をターゲット物質からシールドするように適応される参照エレメントと、
を有し、解析装置が、
−検知装置を収容するための解析領域と、
−検知装置が解析領域に収容される場合、入射光が検知表面の検査領域及び参照領域に向けられ、入射光が、検査領域及び参照領域において内部全反射条件下で反射されて、反射光を生成するように、解析領域に入射光を向けるための光源と、
−反射光を検出して、検査領域の反射に依存する第1の特徴的な信号及び参照領域の反射に依存する第2の特徴的な信号を生成する検出器と、
−第2の特徴的な信号を考慮して、第1の特徴的な信号を較正する較正器と、
を有する解析装置が提供される。
このような解析装置は、本発明の検知装置に、特にカートリッジに、有利に適応され、検査領域から取得される特徴的な信号を較正するために参照領域を使用する。特徴的な信号は、好適には光強度信号である。検知装置は、好適にはバイオセンサである。
再び、較正器は、好適には、検知装置、特にカートリッジ、の検査領域からくる光の第1の特徴的な信号のドリフトを、検知装置の参照領域からくる光の第2の特徴的な信号を考慮して補正する又は改善するように適応される。
こうして、解析装置は、検査領域における光強度測定値の測定誤差を低減することを可能にする。従って、誤った光強度ドリフトによって、前記検査領域から取得される第1の特徴的な信号を著しく損なうことなく、長い時間期間にわたって検査領域から反射される光を解析することが可能である。従って、このような解析装置は、一般に検査領域の長い照射時間を必要とする非常に低い濃度での、検査領域における物質の検出を容易にする。
本発明の更に別の見地により、検査領域のターゲット物質を検出する検知方法であって、
−検査領域及び参照領域をその上に有する検知表面を準備するステップと、
−参照領域に位置する参照エレメントを準備するステップであって、参照エレメントは、内部全反射条件下で参照領域において反射される光が、ターゲット物質の有無によって影響されないままであるように、参照領域をターゲット物質からシールドするように適応される、ステップと、
−内部全反射条件下で検査領域及び参照領域を照明するステップと、
を含む方法が提供される。
検知方法は更に、
a)本発明の検知装置の検査領域を光で照射し、そこから内部全反射された光の第1の特徴的な信号を取得するステップと、
b)ステップa)の前、その間又はその後、本発明の検知装置の参照領域を光で照射し、そこから内部全反射された光の第2の特徴的な信号を取得するステップと、
c)ステップb)において取得された第2の特徴的な信号によって、ステップa)において取得された第1の特徴的な信号を較正するステップと、
を含む。
検知方法は、検査領域におけるターゲット物質の存在を検出することを可能にし、更に、検査領域の別の特性をも決定することを可能にし、例えば、検査領域において内部全反射条件下で反射された光の強度に対するサーモクロミック物質の影響を解析することによって温度を判定することを可能にする。
好適には、ステップa)及びc)、ステップb)及びc)、又はステップa)、b)及びc)が反復される。このような反復は、1つの検査領域について、検査領域において結合するターゲット物質の時間分解解析を可能にするために実施されることができる。ステップは更に、それらを異なる検査領域に逐次的に適用することによって、繰り返されることができ、それにより、それぞれ異なる検査領域において結合される(複数の)ターゲット物質の量を判定することを可能にする。
特に、少なくとも1つの参照領域及び1つの検査領域についてステップa)及びb)を同時に実施することが少なくとも好ましい。このようにして、較正は、非常に低い測定誤差によって実施されることができる。
更に、
i)本発明の解析装置を準備するステップと、
ii)前記解析装置の解析領域に本発明の検知装置、好適にはカートリッジ、を準備するステップと、
iii)前記検知装置の検査領域においてターゲット物質を結合させるステップと、
iv)上述した測定方法のステップa)、b)及びc)を実施するステップと、
を含む検知方法が好ましい。
このような方法は、本発明の利点を利用するとともに、特に、上述したように検査領域における非常に低い濃度のターゲット物質の解析を可能にする。
請求項1に記載の検知装置、請求項12に記載の解析装置及び請求項14に記載の検知方法は、従属請求項に規定されるのと同様の及び/又は同一の好適な実施形態を有することが理解されるべきである。更に、本発明の好適な実施形態は、個々の独立請求項と従属請求項の任意の組み合わせであってもよいことが理解されるべきである。
検知装置の一実施形態を概略的及び例示的に示す側面図。 補正されていない検出信号の信号ドリフトを概略的及び例示的に示すグラフ。 内部全反射条件下で反射される光を概略的及び例示的に示す側面図。 検知装置の一実施形態を概略的及び例示的に示す上面図。 図4の検知装置の実施形態を概略的及び例示的に示す側面図。 検知装置の一実施形態を概略的及び例示的に示す上面図。 図6の検知装置の実施形態を概略的及び例示的に示す側面図。 検出信号及び参照信号を概略的及び例示的に示すグラフ。 検知装置の一実施形態を概略的及び例示的に示す側面図。 図9の検知装置の実施形態を概略的及び例示的に示す上面図。 検知装置の一実施形態を概略的及び例示的に示す側面図。 解析装置の一実施形態を概略的及び例示的に示す側面図。 検知装置の検査領域に結合される磁性粒子を概略的及び例示的に示す図。 本発明の方法を概略的及び例示的に示す図。
図1は、本発明の検知装置100の一実施形態の側面図を概略的及び例示的に示している。装置100は、入射光ビームL1にとってトランスペアレントな材料で作られた担体110を有する。担体110は、検知表面112を有する。例えば媒体4が検知表面112に加えられることを可能にするように、検知表面112には、流体デリミタ101が位置付けられる。検知表面112の或るエリアは、媒体4中の任意のターゲット物質(2)から、検知表面112の参照領域120をシールドするために、参照エレメント121によってカバーされる。参照領域120の近傍には、検知表面112の検査領域113がある。検査領域113は、ターゲット物質2と直接的又は間接的に結合するためのバインダ114を含むことができる。
参照領域120及び検査領域113は、入射光(入射光ビームL1として示される)によって照明されることができる。入射光L1は、参照領域120において内部全反射条件下で反射されて、出射光L2を生成する。参照エレメント121は、参照領域120における内部全反射によって誘導されるエバネセント場が、ターゲット物質2の有無によって影響されないままであるような屈折率及び寸法を有する。従って、参照領域120の出射光ビームL2の強度は、媒体4中のターゲット物質2の有無に依存せず、好適には、媒体4中の他の物質の有無にも依存しない。参照領域120の出射光ビームL2は、標準光ビームの役目を果たすことができ、その強度は、検出器18において(第2の)特徴的な信号220として使用されることができる。
入射光L1は更に、検査領域113において内部全反射条件下で反射されて、他の出射光L2を生成する。しかしながら、検査領域113に誘導されるエバネセント場は、媒体4のターゲット物質2の影響を受け、好適には、唯一に又は主にターゲット物質2の影響を受ける。このような他の出射光の強度は、検査領域113におけるターゲット物質2の有無と相関し、検出器18において(第1の)特徴的な信号213の役目を果たすことができる。
較正器20は、参照領域120及び検査領域113の両方の出射光L2を比較する。このような比較によって、内部全反射条件下で検査領域113において反射された光の強度に対するターゲット物質2の影響が、判定されることができる。比較は、参照領域120及び検査領域113の出射光L2の強度の同時又は逐次的に迅速な測定によって、入射光L1強度のバリエーションにほとんど関係なく行われることができるので、比較のこのモードは、測定誤差のいかなる他のソースをも低減し又は除去する。更に、第1及び第2の特徴的な信号213及び220は共に、単一の検出器18においてそれぞれ測定されることができ、それゆえ測定誤差を更に低減する。従って、較正器20は、第2の特徴的な信号220を考慮して第1の特徴的な信号213のドリフトを効果的に補正し又は改善する。
参照エレメント121を生成するために、UV硬化可能な低屈折率のアクリレート(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−ヘキサンジオール−1,6−ジメタクリレート)の小滴が、ポリスチレンカートリッジの検知表面112に適用されることができる。こうして、窒素条件下での硬化後、参照領域120においてn<1.42を有する参照エレメント121が得られることができる。このような参照エレメント121に関して、検知表面112の隣接する検査領域113が、黒色マーカペンによって黒くされた場合、内部全反射条件下(入射角θ:70°)で反射された光(L2)の強度は、検査領域113において著しく低下することが分かった。しかしながら、参照エレメント121が、黒色マーカペンインクによって更にカバーされたとしても、内部全反射条件下で反射された光(入射角θ:70°)の強度は、図8に示されるように、参照領域120において著しく低下しなかった。
硬化されたアクリレートの屈折率nは、なおかなり高い。上述した特別な実験条件下で、入射ビームは、完全に平行ではなく、入射光の一部は70°より小さい角度を有していた。これは、入射光ビームの小さい割合が参照エレメント121を通り抜け、黒色マーカインクの影響を受けて、反射光の強度を低減させることを意味する。
これは、参照エレメント121上の屈折率を更に低減することによって、及び/又は入射角を増大することによって、及び/又はカートリッジ材料の屈折率を増大することによって、及び/又は到来照明ビームのコリメーションを改善することによって、解決されることができる。ポリマの代わりに、例えば生体分子(特にタンパク質、核酸、多糖)、ゲル、ゾルゲル又は他のプラスチックのような他の低い屈折率の材料が、適切でありうる。これらの異なる参照エレメント121が検知表面112に適用されるやり方は、参照エレメント121、検知表面112及びカートリッジ材料の性質に依存する。例えば、生体分子の場合、それらを共有結合によりカートリッジ検知表面112にアタッチする必要がありうる。
図2は、補正されていない検出信号の信号ドリフトのグラフを概略的及び例示的に示している。x軸は、分で与えられる測定時間tに関し、y軸は、図1のタイプの検知装置100の検査領域113の光の第1の特徴的な信号213のバリエーション(パーセンテージとして与えられる)に関する。図2の測定の間、いかなる物質も検査領域113に加えられなかった。グラフは、10分の測定時間の後、第1の特徴的な信号213が0.1%ドリフトしたことを示している。このドリフトは、検査領域113への物質の付加によって引き起こされたものではないので、ドリフトは、測定誤差と考えられなければならない。任意の特定の理論に拘束されることなく、このようなドリフトは、特に装置における温度変化による、LEDのような光源11の強度及びCMOSセンサのようなセンサの感度の不定のバリエーションから生じると考えられる。このような測定誤差は、例えば血液のような媒体4中のトロポニンI濃度の決定のように、高い検出感度及び精度を必要とする解析作業において許容されることができない。このような解析作業は、1pMより小さい検出限界を要求することがあり、これは、非常に低い信号ドリフトとともに長い測定時間を必要とする。図1の装置は、これらの解析作業を信頼性をもって達成することを可能にする。
図3は、内部全反射条件下で反射された光の側面図を概略的及び例示的に示しており、内部全反射の原理を示している。入射光ビームL1は、第1の屈折率nを有する媒体4中を進む。光ビームL1は、第2の屈折率nを有する別の媒体4に対する表面に到達する。光ビームL1は、入射角θが臨界角θcritより大きい場合、内部全反射条件下で反射されて、光ビームL2を形成する。ここで、Snell法により、θcrit=sin−1(n/n)である。
例えば、バイオセンサカートリッジの製造に有用な材料は、ポリスチレンである。ポリスチレン材料の場合、nは1.55である。更に、ポリスチレン/水様のセンサインタフェースを有するバイオセンサ装置に有用であるような70°の入射角θを選択する場合、第2の媒体4は、n<1.45であるように選択されるべきである。内部全反射が両方の媒体間の表面で発生するように、θcritは、69.1°である。
入射角には角度分布があることが多く、例えばLEDは完全に平行のビームを生成しないことがあるので、好適な検知装置において、nに関して幾らかのマージンが含まれる。2°の角度マージンを有するように、nは、1.419をより小さく選ばれるべきである。
図4及び図5は、検知装置100の上面図及び側面図を概略的及び例示的に示している。検知装置100は、第1の屈折率nをもつカートリッジ110を有する。カートリッジ110は、検知表面112を有する。検知表面112上には、参照エレメント121が、検知表面112の参照エリア120をシールドするように位置付けられる。参照エリア120には、検知表面112の検査領域113が隣接する。検査領域113は、参照エレメント121を含まない。図5において、検査領域113は、参照エレメント121によって隠されている。
検査領域113及び参照領域120の両方が、LED光源11の入射光ビームL1によって照明されることができる。光源11は更に、レーザダイオード、スーパールミネセントダイオード(SLED)又は別の光源11であってもよい。入射光ビームL1は、参照領域120において及びターゲット物質(2)がない場合に更に検査領域113において、内部全反射条件下で反射されて、光ビームL2を形成する。光ビームL2は、参照領域120及び検査領域113においてそれぞれ反射された光の強度を決定するために、検出器18において検出される。較正器20は、図1に関する議論において詳述されるように、及び更に図12に関する議論において詳述されるように、参照領域120及び検査領域113の両方の出射光L2を比較する。
図6及び図7は、検知装置100の一実施形態の上面図及び側面図をそれぞれ概略的及び例示的に示している。検知装置100は、担体110を含む。担体110は、検知表面112を有する。検知表面112上には、流体デリミタ101が、好適には液体媒体4が検知表面112に加えられることを可能にするように位置付けられる。流体デリミタ101は、流体チャネルシステムを形成する開口を有し、流体チャネルシステムは、流体受け入れ開口112、測定チャンバに至るチャネル、参照チャンバから離れるチャネル、及びベント開口119を有する。測定チャンバは、検知表面112の検査領域113を含む。2つの参照領域120は、測定チャンバに隣接しており、各々の参照領域は、担体110における入射光の内部全反射を可能にするような固体の参照エレメントを有する。
使用時、検査領域113及び参照領域120の一方又は両方は、図1に表される態様で、入射光ビーム(図示せず)によって照射される。光は、(複数の)参照領域120及び/又は検査領域113において内部全反射条件下で反射される。好適には液体である流体媒体4が、流体受け入れ開口112を介して検知装置100に加えられる。測定チャンバ及びそれにつながるチャネルに含まれる空気は、ベント開口119を介して排出される。媒体4は、測定チャンバに導かれる。測定チャンバにおいて、ターゲット物質2は、内部全反射条件下で検知表面112の検査領域113において反射される光の強度に影響を与えることができる。
検査領域113及び(複数の)参照領域120において内部全反射条件下で反射された光の強度は、検出器18によって検出される。較正器20は、図1に関して記述された態様で、(複数の)参照領域120及び検査領域113の両方の出射光を比較する。
図8は、図6及び図7の装置の検出信号及び参照信号のグラフを概略的及び例示的に示している。正規化された信号強度sが、グラフ化されている。分かるように、検知表面112の参照領域120において反射された光から取得された特徴的な信号220は、信号強度のドリフトを示す。信号強度のこの検出されたドリフトは、検知表面112の検査領域113において反射される光から取得される特徴的な信号213を補正し較正するために、使用されることができる。
図9及び図10は、検知装置100の他の実施形態の側面図及び上面図をそれぞれ概略的及び例示的に示している。装置100は、検知表面112をその上に有する担体110を有する。検知表面112は、その中に低くなった一連の参照領域120を形成するために、一連の凹部を有する。凹部は、例えば焦点イオンビームミリング又はパルスレーザアブレーションを使用することによって、表面パターニングによって、形成されることができる。図1に関して記述されたように、検査領域113は、参照エリア120に隣り合っている。
使用時、液体媒体4が、担体110の検知表面112上を通過する。説明の目的で、媒体4の一液滴のみが、図9及び図10に示されている。媒体4は、その表面張力のため参照領域120の凹部に入ることができず、それにより、媒体液滴4と参照領域120との間に空気をトラップする。空気は、図1に関して記述されたような参照エレメント121として機能する。
更に、例えば空気の気泡が予め規定されたエリアに、好適には流体チャネル内部又はその近傍に、トラップされるようにするために、図6及び図7に示されるタイプの装置の上部流体部分に対する変更がなされることもできる。このようなトラップされた空気の気泡は、図1に関して記述されたような参照エレメント121として機能する。
図11は、検知装置100の他の実施形態の側面図を概略的及び例示的に示している。装置は、検知表面112がその上に形成された担体110を有する。検知表面112は、図1に記述されるような検査領域113及び参照領域120を有する。参照領域120の検知表面112は、検査領域113の検知表面112に対して角度β傾けられている。従って、検査領域113及び参照領域120の両方に到達する平行入射光ビームL1は、検査領域113における入射角θcrit+δに代わって、θcrit+β+δの角度で参照領域120に効果的に到達する。参照エレメント121の屈折率nTWRに関する制約は、ほぼ、
Figure 2012518169
に緩和される。ここで、nは、媒体4の期待される屈折率であり、nは、担体110の材料の屈折率である。一般に、このような緩和された条件下で、参照エレメント121のための適切な材料を見つけることは、より容易である。
図12は、解析装置10の一実施形態の側面図を概略的及び例示的に示している。検知装置100が、解析装置10に挿入されている。検知装置100は、本実施形態において、検知表面112をその上に有する担体110を有する。更に、流体デリミタ101が、担体110上に位置付けられている。上部流体部分14は、検知表面112、流体デリミタ101及び上部流体部分14の間の測定チャンバを完成させる。
解析装置10は、磁性粒子2を検知装置の検知表面112上に押しやるための磁界を提供する磁気素子13を更に有する。本実施形態において、磁性粒子2は、光源11によって生成される光ビームL1により検知表面112を照明することによって、検出される。光源11は、例えばレーザ装置、SLED又はLEDである。検知表面112から反射された光L2は、検出器18によって検出される。検出器18は、例えば光検出器又は2次元カメラである。光学素子が、平行光ビームL1及びL2をそれぞれ生成するために、光ビームL1及びL2経路に配置されることができる。このような光学素子は、好適にはレンズである。
担体110が、解析領域に収容される。解析領域において、両方の入射光L1が、参照領域120及び検査領域113に向けられることができ、それにより、内部全反射下で反射された光が、検出器18によって検出されることができる。更に、解析領域において、磁気素子13によって生成される磁界は、磁性粒子2を検知表面112上に押しやることができる。
検知表面112は更に、参照領域120及び検査領域113を有する。両方とも図示されていない。検知表面112の参照領域120及び検査領域113に到達する入射光L1は、内部全反射条件下で反射されて、光ビームL2になる。しかしながら、検査領域113において、このような内部反射は、漏れ内部全反射条件でありうる。すなわち、検査領域113に磁性粒子2が移動すると、入射光ビームL1によりそこに存在するエバネセント光が、散乱され、吸収され、その結果、検査領域113から反射された光L2の強度の変化をもたらす。この変化は、上述したように検出器18によって検出されることができる。
検出器18は、2つの特徴的な信号213、220を生成する。検査領域113において内部全反射条件下で反射された光の強度は、第1の特徴的な信号213として生成され、参照領域120において内部全反射条件下で反射された光の強度は、第2の特徴的な信号220として生成される。較正器20は、第1の特徴的な信号213及び第2の特徴的な信号220を比較して、補正された結果を与える。比較の結果は、表示装置21によって表示される。
図13は、検知装置の検査領域113に結合される磁気ビーズを概略的及び例示的に示している。検知表面112の検査領域113は、抗体114でコーティングされる。抗体114は、アナライト2'に結合することができる。更に、磁気ビーズ2は、アナライト2'と結合するために抗体でコーティングされる。媒体4にアナライト2'を付加すると、アナライト2'は、抗体114と磁気ビーズ2の間にサンドイッチされ、ゆえに、磁気ビーズ2を検査領域113に効果的に結合させる。磁気ビーズ2は、例えば図12を参照して記述されたように、検査領域113において反射される光に影響を与えることができる。磁気ビーズは、3nm乃至10000nmのレンジ、好適には10nm乃至3000nmレンジ、より好適には200nm乃至1000nmのレンジにある少なくとも1つの寸法を有する粒子である。
図14は、本発明の方法を概略的及び例示的に示している。ステップ401において、検査領域113及び参照領域120を有する検知表面112が準備される。参照エレメント121は、内部全反射条件下で参照領域120において反射された光が、ターゲット物質2及び該当する場合アナライトを含む媒体4のターゲット物質2又は着色された微粒子の有無によって影響されないままであるように、参照領域120をシールドするように、参照領域120に位置付けられる。参照領域120にこのような参照エレメント121を設けることは、或る実施形態において、独立した方法ステップとして実施されることができる。
ステップ401の後、検査領域113及び参照領域120は、ステップ402において、内部全反射条件下で照明される。検出器18は、内部全反射条件下で検査領域113(ステップ403)及び参照領域120(ステップ404)から反射された光を検出する。ステップ403及び404は、例えばCCD検出器を使用して、同時に実施されることができる。検査領域113から反射された光に依存する第1の特徴的な信号213が、検出器18から取得される。参照領域120から反射された光に依存する第2の特徴的な信号220が、検出器18から取得される。
更なるステップ410において、第1及び第2の特徴的な信号の213、220が、較正器20によって読み取られる。較正器20は、第2の特徴的な信号220を考慮して、第1の特徴的な信号213を較正する。較正された第1の特徴的な信号213は、較正器20によって出力される。
上述した実施形態において、媒体4は、好適には血液であった。他の実施形態において、流体は、任意の他の流体でありえ、特に任意の他の身体流体、例えば唾液又は尿でありうる。検知及び解析装置10の好適なアプリケーションは、特にフィンガープリック血液サンプル及び唾液サンプルに基づく、ポイントオブケア診断、及び薬剤の検出、又は心臓発作の発生の検出の分野である。
本発明の装置、方法及びシステムは、センサ多重化(すなわちさまざまな異なるセンサ及びセンサ表面の平行使用)、標識多重化(すなわちさまざまな異なるタイプの標識のターゲット物質2としての平行使用)及びチャンバ多重化(すなわち異なる反応チャンバの平行使用)に適している。
本発明において記述される装置及び方法は、小さいサンプルボリュームについてポイントオブケアバイオセンサを使用するために迅速で、ロバストで、容易なものとして使用されることができる。担体は、1又は複数の磁界生成手段及び1又は複数の検出手段を有するコンパクトなリーダと共に使用されるべき使い捨て可能なアイテムでありうる。更に、本発明の装置及び方法は、自動化された高スループットテスティングにおいて使用されることができる。この場合、担体は、自動化された器具に収まる例えばウェルプレート又はキュベットタイプの担体である。
上述の実施形態において、装置は、検知表面112の検査領域113上の磁性粒子の量を決定するためにエバネセント場技法を使用する。他の実施形態において、他の物質が検出されることもできる。分子アッセイに加えて、例えば細胞、ウイルス、細胞又はウイルスの断片、組織抽出物等のようなより大きいモイエティが、検出されることもできる。
特に、実施形態は、図13に説明したように、サンドイッチアッセイに関して記述された。しかしながら、例えば結合/非結合アッセイ、サンドイッチアッセイ、競合アッセイ、変位アッセイ、酵素アッセイ等の他のアッセイタイプが、用いられることもできる。
ターゲット物質2は、磁気ビーズを使用することなく、検査領域113上のその存在によって直接解析されることもできる。これは、特に検査領域113上のエバネセント場の光を吸収し又は散乱する高い能力を有するターゲット物質2の場合に好ましい。それに加えて又はその代替として、ターゲット物質2は、検出前に更に処理されることもできる。更なる処理の例は、更なる材料が加えられることであり、又はターゲット物質2の(生物)化学又は物理特性が、検出を容易にするように変更されることである。ターゲット物質2は、例えば、検査領域113上のエバネセント場の光を吸収し又は散乱するその能力を変更するように、反応物と反応されることができる。特に、ターゲット物質2は、検査領域113のエバネセント場に影響を与えるように、光吸収又は散乱物質に共有結合されることができる。
検出は、特に参照領域120及び/又は検査領域113のような検知表面112に対するセンサ素子のスキャニングの有無にかかわらず、行われることができる。
上述の実施形態において、参照エレメント121は、入射光に対しトランスペアレントであるが内部全反射条件下で反射をもたらすように選択されたエレメントとして記述されている。しかしながら、参照エレメント121は、入射光を反射するために、真のミラー121、好適には金属層、であってもよい。これは、検知表面材料の屈折率及び入射光に対して十分な屈折率を有する材料を、参照エレメント121の製造のために選択する必要をなくす。
開示された実施形態に対する他の変更は、図面、開示及び添付の請求項の検討から、当業者によって請求項に記載の本発明を実行する際に理解され実現されることができる。
請求項において、「含む、有する」という語は、他の構成要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」及び「an」は、複数性を除外しない。
単一のユニット又は装置が、請求項に列挙されるいくつかのアイテムの機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。
請求項における任意の参照符号は、請求項の範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。図面及び実施形態は、請求項の範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。

Claims (13)

  1. 検査領域におけるターゲット物質を検出する検知装置であって、
    入射光ビームを生成する光源と、
    検査領域及び参照領域を有する検知表面と、
    前記参照領域に位置する参照エレメントであって、内部全反射条件下で前記参照領域において反射される光が前記ターゲット物質の有無によって影響されないままであるように、前記参照領域を前記ターゲット物質からシールドする参照エレメントと、
    前記参照領域及び前記検査領域の両方の出射光を比較する較正器と、を有し、
    前記参照エレメントは、前記参照領域に誘導されるエバネセント場が前記ターゲット物質の有無によって影響されないままであるような屈折率及び寸法を有する、検知装置。
  2. 前記検査領域が、前記ターゲット物質に結合するためのバインダを含む、請求項1に記載の検知装置。
  3. 前記検知装置は、1nMより低い又はそれに等しい濃度の媒体中の物質の存在を解析する、請求項2に記載の検知装置。
  4. 前記参照領域の前記検知表面は、前記検査領域における平行入射光ビームより浅い角度で前記参照領域に入射光ビームが入射することを可能にするように、前記検査領域の前記検知表面に対して相対的に傾けられている、請求項1に記載の検知装置。
  5. 前記参照領域は、前記検査領域と隣り合っている、請求項1に記載の検知装置。
  6. 前記参照領域は、入射光を反射するミラーを有する、請求項1に記載の検知装置。
  7. 前記検知装置は、前記検知表面を含む担体を有するカートリッジである、請求項1に記載の検知装置。
  8. 入射光が前記検査領域及び前記参照領域において内部全反射条件下で反射されて、反射光を生成するように、前記検知表面の前記検査領域及び前記参照領域に入射光を向けるための光源と、
    前記反射光を検出して、前記検査領域の反射に依存する第1の特徴的な信号及び前記参照領域の反射に依存する第2の特徴的な信号を生成する検出器と、
    前記第2の特徴的な信号を考慮して、前記第1の特徴的な信号を較正する較正器と、
    を有する請求項1に記載の検知装置。
  9. 前記較正器は、前記第2の特徴的な信号を考慮して、前記第1の特徴的な信号のドリフトを補正し又は改善する、請求項8に記載の検知装置。
  10. 前記検知装置が、前記ターゲット物質を検出するために解析装置と協働するように適応され、前記解析装置が、
    前記検知装置を収容するための解析領域と、
    前記検知装置が前記解析領域に収容される場合、前記入射光が前記検知表面の前記検査領域及び前記参照領域に向けられ、前記入射光が前記検査領域及び前記参照領域において内部全反射条件下で反射されて、反射光を生成するように、前記解析領域に入射光を向けるための光源と、
    前記反射光を検出して、前記検査領域の反射に依存する第1の特徴的な信号及び前記参照領域の反射に依存する第2の特徴的な信号を生成する検出器と、
    前記第2の特徴的な信号を考慮して、前記第1の特徴的な信号を較正する較正器と、
    を有する、請求項1に記載の検知装置。
  11. ターゲット物質を検出する解析装置であって、ターゲット物質を検出するために検知装置と協働し、
    前記検知装置は、
    検査領域及び参照領域を有する検知表面と、
    前記参照領域に位置する参照エレメントであって、内部全反射条件下で前記参照領域において反射される光が前記ターゲット物質の有無によって影響されないままであるように、前記参照領域を前記ターゲット物質からシールドする参照エレメントと、を有し、
    前記解析装置は、
    前記検知装置を収容するための解析領域と、
    前記検知装置が前記解析領域に収容される場合、入射光が前記検知表面の前記検査領域及び前記参照領域に向けられ、前記入射光が前記検査領域及び前記参照領域において内部全反射条件下で反射されて、反射光を生成するように、前記解析領域に前記入射光を向けるための光源と、
    前記反射光を検出して、前記検査領域の反射に依存する第1の特徴的な信号及び前記参照領域の反射に依存する第2の特徴的な信号を生成する検出器と、
    前記第2の特徴的な信号を考慮して、前記第1の特徴的な信号を較正する較正器と、
    を有する、解析装置。
  12. 前記較正器は、前記第2の特徴的な信号を考慮して、前記第1の特徴的な信号のドリフトを補正し又は改善する、請求項11に記載の解析装置。
  13. 検査領域におけるターゲット物質を検出する検知方法であって、
    検査領域及び参照領域を有する検知表面を準備するステップと、
    前記参照領域に位置する参照エレメントを準備するステップであって、前記参照エレメントは、内部全反射条件下で前記参照領域において反射される光が前記ターゲット物質の有無によって影響されないままであるように、前記参照領域を前記ターゲット物質からシールドするように適応される、ステップと、
    前記検査領域及び前記参照領域を内部全反射条件下で照明するステップと、
    を含む方法。
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