実施形態の詳細な説明では、例としての実施形態と、その最良の形態とを説明する。こうした実施形態は、当業者が本発明を実施可能となるように十分に詳細に説明するが、他の実施形態も実現し得ると共に、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、論理的及び機械的変更を施し得ることを理解されたい。したがって、本明細書の詳細な説明は、限定ではなく、例示のみを目的として提示される。
カラーホログラフィの分野における直近の研究では、実在の有色物体の利用可能性が想定されており、慎重に選択された異なる色の幾つか(通常は三本)のレーザ光線を使用し、パンクロマチック応答を有するホログラフィ記録材料を使用して、この物体をホログラフ的に記録することに着手している。一般に、こうしたアプローチでは、正確な色再現の達成が困難なホログラムが生じ、これは、利用可能な記録材料のスペクトル応答の限界と、少数の特定レーザ波長のセットによる限られた色空間サンプリングとのためであり、更に、大きな深度と、角度に依存しない適切な色とを有する、鮮明且つ正確なカラー画像を十分に再現しないホログラフィ再生手法に対して、こうしたアプローチが使用されていたためである。再現したカラーホログラムの2次元における一致したジオメトリを提供可能な「分散補償」ホログラフィ手法が利用可能となっているが、この手法では、残存する長手方向の色への依存性を有しているため、相当に浅いホログラム及び相当に小さな視野角に限定される。
本発明は、任意の対象(コンピュータ又は他のデータを含む)の深いカラーホログラムを作成及び使用するシステム、方法、及び手法を提供することにより、こうした問題を解決するものであり、ホログラムの記録は、単色のレーザ光と、この波長においてのみ感度を有し得る記録材料とを使用して達成し得る。本明細書に開示したこうしたホログラムの記録及び再生は、残存する長手方向の色の問題を克服し、更に、接近した軸外の観察者に対しても、記録基準ビームに(角度、輻輳、又は波長において)十分に一致しない再生基準ビームに対しても、正確なカラーレジストレーション及びジオメトリ忠実性を提供する。
モーションホログラフィにおける直近の研究では、一般に、実在の移動物体の利用可能性が想定されており、直線的な一連のホログラムを細めのフィルム片に記録するパルスレーザを使用して、この物体をホログラフ的に記録することに着手しているおり、或いは、一連のステレオペアの形態で運動を提示する立体画像(Gabor、Denisyuk、及びLeithの意味では真のホログラムではない)を記録及び再生するホログラフィ手法を使用している。本発明は、著しいサイズ制限の無い、任意の対象(コンピュータ又は他のデータを含む)の真のホログラム(即ち、3次元全ての実際の範囲を備えたもの)を作成及び使用するシステム、方法、及び手法を提供することにより、こうした問題を解決するものであり、複数のホログラフィ画像を単一のホログラフィ材料内に記録し、それらの画像が、記録材料に対する再生基準ビームの回転を介して、一度に1枚ずつ連続して、ランダムに、又は不連続な順序で、再生され得るようにする。
マルチスライスホログラフィにおける直近の研究は、一般に、CT及びMRスキャン等の放射線データを記録及び再生することに集中しており、CT及びMRスキャン等では、情報の空間個別的なスライスが既に利用可能であると共に、データ内の内部詳細を見るために再生中の透明性が望ましい。本発明は、ホログラフィコンテンツが完全又は部分的に不透明に見えるように、制御可能なオクルージョンと共に任意のデータ(例えば、元々は映画表示用に製作されたコンピュータアニメーション)を使用してホログラムを作成及び使用する手段及び手法を提供することにより、こうした問題に対処する。
色
各実施形態において、システム及び方法は、複数の単一色ホログラムと角度依存カラーフィルタとを組み合わせることにより、フルカラーホログラフ像を達成している。例えば、赤、緑、青、及び/又は他の広範の色の何れか及び色の陰影により画像コンテンツを再生するフルカラー透過ホログラムを達成し得る。色の陰影は、例えば、白と、赤、緑、及び青のバランスのとれた組み合わせである一定の範囲の灰色と、主に緑及び赤のバランスのとれた組み合わせである黄色と、全色の実質的な欠如である黒とを含む、2種類以上の色を異なる割合で組み合わせることにより達成し得る。
本発明の導入的な例として、第1のホログラフィックフィルムは、記録された光が、3つの次元において各像点が赤として再生される度合いを表す透過ホログラムとして準備される。便宜的に、これをフィルムR(又はRフィルム)と呼び、それが再生する画像をR画像(又はRホログラム)と呼ぶ。同様に、第2のホログラフィックフィルムは、記録された光が、3つの次元において各像点が青として再生される度合いを表す透過ホログラムとして準備される。便宜的に、これをフィルムB(又はBフィルム)と呼び、それが再生する画像をB画像(又はBホログラム)と呼ぶ。同様に、第3のホログラフィックフィルムは、記録された光が、3つの次元において各像点が緑として再生される度合いを表す透過ホログラムとして準備される。便宜的に、これをフィルムG(又はGフィルム)と呼び、それが再生する画像をG画像(又はGホログラム)と呼ぶ。
この例では、R、B、及びGフィルムのそれぞれは、実質的にコリメートされた軸外単色基準ビームにより、実質的には特定の基準ビーム角度で記録される。Rフィルムの基準ビーム角度は、REFrと呼ばれ、Bフィルムの基準ビーム角度は、REFbと呼ばれ、Gフィルムの基準ビーム角度は、REFgと呼ばれる。
この例において、3枚のフィルムのそれぞれは、それ自体が再生するものの表現を記録し、各表現は、Rフィルムの場合には角度Wrと呼ばれる角度幅と、Rフィルムの場合には角度Hrと呼ばれる高低角とを有するものとして都合よく説明し得る視体積を介して、再生時に可視となる。同様に、B及びGフィルムは、それぞれ、幅及び高さの角度Wb、Hb、Wg、及びHgにより説明される視体積を介して再生時に可視となる表現を記録する。
こうした3枚のホログラムフィルムのうち、それぞれの1枚は、事実上、共通の対象の表現を、赤、緑、及び青の3原色の1つにより再生し得るように記録しており、したがって、再生することが可能である。そこで我々の目標は、こうした3枚のフィルムを組み合わせて、Wr、Wb、及びWgの重複部(存在する場合)間とHr、Hb、及びHgの重複部(存在する場合)間において可視となる再生領域内の任意の再生点において、その再生点の正味の色が、こうした原色の付加的組み合わせにより発生し得る任意の色又は陰影を得る上で適切な相対比での、Rフィルムからの赤色光の割合、Bフィルムからの青色光の割合、及びGフィルムからの緑色光の割合の組み合わせにより決定されるように再生することである。
この目標を達成するために、我々の例では、図1Aを参照すると、3枚のホログラフィックフィルムR(10)、B(30)、及びG(50)を、2枚の介在するダイクロイックフィルタ(20及び40)に積み重ねる。図1Aにおいて、これらのフィルム及びフィルタは、その縁部から見て、平面が図の外側へ延びている状態で(垂直な点線として)図示されており、それらを通過する様々な光路は、図の紙面内を左から右へ移動する光に関して(実線として)図示している。図1Aでは、フィルム及びフィルタ間には隙間を残しているため、光路を更に明瞭に確認し得る。これらの隙間は、図1B、図1C、及び図1Dでは無くしてある。
2枚のフィルタの第1のもの(20)は、Rフィルム(10)とBフィルム(30)との間に配置される。このフィルタは、Piフィルタと呼ばれる。Rホログラム(21)の所定のHr×Wr視野角内で入射した赤色光を実質的又は完全に透過するが、Bホログラム(22)の所定のHb×Wb視野角内で入射した青色光を実質的又は完全に遮断し、Gホログラム(23)の所定のHg×Wg視野角内で入射した緑色光を実質的又は完全に遮断する。更に、Piフィルタ(20)は、基準角度REFr(24)又はその近くで入射した赤色光を実質的又は完全に遮断し、基準角度REFb(25)又はその近くで入射した青色光を実質的又は完全に透過し、基準角度REFg(26)又はその近くで入射した緑色光を実質的又は完全に透過する。
第2のフィルタ(40)は、Bフィルム(30)とGフィルム(50)との間に配置される。このフィルタは、Stフィルタと呼ばれる。Rホログラム(21)の所定のHr×Wr視野角内で入射した赤色光を実質的又は完全に透過し、Bホログラム(31)の所定のHb×Wb視野角内で入射した青色光を実質的又は完全に透過するが、Gホログラム(32)の所定のHg×Wg視野角内で入射した緑色光を実質的又は完全に遮断する。更に、Stフィルタ(40)は、基準角度REFr(33)又はその近くで入射した赤色光を実質的又は完全に遮断し、基準角度REFb(25)又はその近くで入射した青色光を実質的又は完全に遮断し、基準角度REFg(26)又はその近くで入射した緑色光を実質的又は完全に透過する。
このように積層体として配置された3枚のフィルム及び2枚のフィルタの複合効果は、次の通りである。
赤色基準角度REFr(11)又はその近くでの透過照射時、Rフィルム(10)は、赤色コンテンツ(21)を最終画像として再生し、この赤色コンテンツ(21)は、Piフィルタ(20)、Bフィルム(30)、Stフィルタ(40)、及びGフィルム(50)の順序で、それぞれにより実質的又は完全に透過される角度又はその近くで再生されるため、積層体を通過する際に実質的又は完全に可視となる。
青色基準角度REFb(12)又はその近くでの透過照射時、Bフィルム(30)は、青色コンテンツ(31)を最終画像として再生し、この青色コンテンツ(31)は、Stフィルタ(40)及びGフィルム(50)の順序で、それぞれにより実質的又は完全に透過される角度又はその近くで再生されるため、積層体を通過する際に実質的又は完全に可視となる。
緑色基準角度REFg(13)又はその近くでの透過照射時、Gフィルム(50)は、緑色コンテンツ(27)を最終画像として再生し、この緑色コンテンツ(27)は、Gフィルム(50)は本例の積層体の最終構成要素であるため、実質的又は完全に可視となる。
図1Bは、図1AのRフィルム(10)、Piフィルタ(20)、Bフィルム(30)、Stフィルタ(40)、及びGフィルム(50)を順に備える隙間のない積層体(60)を示しており、こうした積層体から出て行く光路のみ、具体的には、フィルムB(30)による青色再生基準(12b)の回折に由来する青色画像(31b)と、フィルムG(50)による緑色再生基準(13b)の回折に由来する緑色画像(27b)と、フィルムR(10)による赤色再生基準(11b)の回折に由来する赤色画像(21b)とを示している。
図1Cは、図1AのRフィルム(10)、Piフィルタ(20)、Bフィルム(30)、Stフィルタ(40)、Gフィルム(50)を順に備える隙間のない積層体(60c)を、積層体(60c)の同一領域に入射した赤色再生基準ビーム(11c)、緑色再生基準ビーム(13c)、青色再生基準ビーム(12b)と共に示している。照明された組立積層体(60c)を見ている観察者(61)は、3次元ホログラフ画像(62)を見ており、この画像では、Rフィルム(10)により回折され、Bフィルム(30)又はGフィルム(50)からの無視できる赤色像を有するか、或いはこれを有しない、赤色再生基準ビーム(11c)から生成された、赤色の陰影内の赤色コンテンツが、Bフィルム(30)により回折され、Rフィルム(10)又はGフィルム(50)からの無視できる青色像を有するか、或いはこれを有しない、青色再生基準ビーム(12c)から生成された、青色の陰影内の青色コンテンツに合成されると共に、Gフィルム(50)により回折され、Rフィルム(10)又はBフィルム(30)からの無視できる青色像を有するか、或いはこれを有しない、緑色再生基準ビーム(13c)から生成された、緑色の陰影内の緑色コンテンツに合成された状態となる。複合効果として、組立積層体(60c)を見ている観察者(61)には、フルカラーの3次元ホログラフ画像(62)が見え、赤の陰影は、Rフィルム(10)が単独で又は殆ど全てを生成しており、青の陰影は、Bフィルム(30)が単独で又は殆ど全てを生成しており、緑の陰影は、Gフィルム(50)が単独で又は殆ど全てを生成しいている。
図1Aを再び参照すると、Rフィルム(10)は、広帯域の応答性を有してよく、角度REFr又はその近くでの赤色光(11)の照射時に赤色画像(21)を再生することに加え、角度REFb又はその近くでの青色光(12)の照射時の青色画像(22)及び/又は角度REFg又はその近くでの緑色光(13)の照射時の緑色画像(23)も視覚的に有意な程度まで再生し得る。しかしながら、こうした疑似青色(22)及び緑色(23)画像は、存在する場合、Piフィルタ(20)により実質的又は完全に遮断され、疑似緑色画像(41)は、更に、Stフィルタ(40)により実質的に又は完全に遮断される。積層体を透過した光を見る観察者は、Rフィルム(10)からの青色又は緑色画像を相対的に殆ど又は全く含まない状態で、Rフィルムからの赤色画像(21)を見る。
同様に、Bフィルム(30)は、広帯域の応答性を有してよく、角度REFb又はその近くでの青色光(12)の照射時に青色画像(31)を再生することに加え、角度REFr又はその近くでの赤色光(33)の照射時の赤色画像(42)及び/又は角度REFg又はその近くでの緑色光(13)の照射時の緑色画像(32)も視覚的に有意な程度まで再生し得る。しかしながら、角度REFr又はその近くで存在する元の赤色基準光(11)は、Rフィルム(10)とPiフィルタ(20)との複合作用により、Bフィルム(30)に到達可能となる前に実質的又は完全に遮断されるため、有意な赤色疑似画像はBフィルム(30)により形成不可能であり、疑似緑色信号(32)は、存在する場合、Stフィルタ(40)により実質的又は完全に遮断される。積層体を透過した光を見る観察者は、Bフィルム(30)からの赤色又は緑色画像を相対的に殆ど又は全く含まない状態で、Bフィルム(30)からの青色画像(31)を見る。
同様に、Gフィルム(50)は、広帯域の応答性を有してよく、角度REFg又はその近くでの緑色光(13)の照射時に緑色画像(27)を再生することに加え、角度REFr又はその近くでの赤色光(52)の照射時の赤色画像(51)及び/又は角度REFb又はその近くでの青色光(54)の照射時の青色画像(53)も(視覚的に有意な程度まで)再生し得る。しかしながら、角度REFr又はその近くで存在する元の赤色基準光(11)は、Rフィルム(10)と、Piフィルタ(20)と、Bフィルム(30)と、Stフィルタ(40)との複合作用により、Gフィルム(50)に到達可能となる前に実質的又は完全に遮断されるため、有意な赤色疑似画像はGフィルム(50)により形成不可能である。同様に、角度REFb又はその近くで存在する元の青色基準光(12)は、Rフィルム(10)と、Piフィルタ(20)と、Bフィルム(30)と、Stフィルタ(40)との複合作用により、Gフィルム(50)に到達可能となる前に実質的又は完全に遮断されるため、有意な青色疑似画像はGフィルム(50)により形成不可能である。積層体を透過した光を見る観察者は、Gフィルム(50)からの赤色又は青色画像を相対的に殆ど又は全く含まない状態で、Gフィルム(50)からの緑色画像(27)を見る。
Rフィルム(10)のホログラフ効率が完全ではない限り、一定の割合の赤色基準ビーム(11)は、角度REFr又はその近くのまま、Rフィルム(10)を通り抜けて、Piフィルタ(20)に入射(24)し、Bフィルム(30)又はGフィルム(50)に到達する前に実質的に又は完全に遮断される。したがって、Bフィルム(30)及びGフィルム(50)は、それぞれ、角度REFr又はその近くにおいて、赤色光を殆ど又は全く受けず、そのため、その赤色光の有意な割合を回折可能であったとしても、こうした赤色光を受ける量が小さすぎるため、視覚的に有意な赤色画像を生成できない。
同様に、Bフィルム(30)のホログラフ効率が完全ではない限り、一定の割合の青色基準ビーム(12)は、角度REFb又はその近くのまま、Bフィルム(30)を通り抜けて、Stフィルタ(40)に入射し、Gフィルム(50)に到達する前に実質的に又は完全に遮断される。したがって、Gフィルム(50)は、角度REFb又はその近くにおいて、青色光を殆ど又は全く受けず、そのため、その青色光の有意な割合を回折可能であったとしても、こうした青色光を受ける量が小さすぎるため、視覚的に有意な青色画像を生成できない。
Rフィルム(10)及びPiフィルタ(20)は、青色(12)又は緑色(13)基準ビームを実質的に偏光させない。青色基準角度REFb又はその近くでの青色光、或いは緑色基準角度REFg又はその近くでの緑色光の透過照射時、Rフィルム(10)は、青色及び緑色基準光の全て又は少なくとも一部を、それぞれの伝播の角度を実質的に変えることなく透過する。これらの青色及び緑色基準光は、その後、それぞれの基準角度REFb及びREFg又はその近くでPiフィルタ(20)に入射し、Piフィルタ(20)は、青色及び緑色基準光の全て又は少なくとも一部を、それぞれの伝播の角度を実質的に変えることなく透過し、基準光は、基準ビームとして、それぞれの角度REFb及びREFg又はその近くでBフィルム(30)に入射する。
同様に、Bフィルム(30)及びStフィルタ(40)は、緑色基準ビーム(13)を実質的に偏光させない。緑色基準角度REFg又はその近くでの緑色光の透過照射時、Bフィルム(30)は、緑色基準光の全て又は少なくとも一部を、伝播の角度を実質的に変えることなく透過する。この緑色基準光は、その後、基準角度REFg又はその近くでStフィルタ(40)に入射し、Stフィルタ(40)は、緑色基準光の全て又は少なくとも一部を、伝播の角度を実質的に変えることなく透過し、基準光は、基準ビームとして、角度REFg又はその近くでGフィルム(50)に入射する。
Gフィルム(50)のホログラフ効率が完全ではない限り、一定の割合の緑色基準ビーム(26)は、角度REFg又はその近くのまま、Gフィルム(50)を通り抜ける。この残存緑色基準ビームは、角度Wr、Wb、Wg、Hr、Hb、及びHgにより画成された視体積の外側にあると想定される角度REFg又はその近くに留まっているため、赤色、青色、及び緑色ホログラフコンテンツ(62)の観察者(61)による鑑賞を混乱させない。一般に、この残存参照ビームは、ビームブロック(55)、又はホログラムが見られる空間の床面(63)を照射する。状況によっては、この残存参照ビームを、テーブル、天井、又は壁等、別の表面に照射させることが利点を有し得る。本発明の別の態様では、図1Dに示したように、Saフィルタと呼ばれる第3の角度依存フィルタ(64)を、図1AのRフィルム(10)、Piフィルタ(20)、Bフィルム(30)、Stフィルタ(40)、及びGフィルム(50)を順に備える積層体(60d)に追加し得る。この第3のフィルタは、Gフィルム(50)の後ろにあり、Rホログラムの所定のHr×Wr視野角内で入射した赤色光を実質的又は完全に透過し、Bホログラムの所定のHb×Wb視野角内で入射した青色光を実質的又は完全に透過し、Gホログラムの所定のHg×Wg視野角内で入射した緑色光を実質的又は完全に透過するが、基準角度REFg又はその近くで入射した緑色光を実質的又は完全に遮断し、理想的には、基準角度REFb又はその近くで入射した任意の残存青色光を実質的又は完全に遮断し、理想的には、基準角度REFr又はその近くで入射した任意の残存赤色光を実質的又は完全に遮断する。これにより、例えば、こうした残存光の光路内に位置する第2の観察者(61d)にも、こうしたSaフィルタ(64)を通過する光は殆ど又は全く見えなくなる。
本発明の利点は、全ての所望の色に直接関与しない、或いは十分に記録又は再現しないホログラフ記録材料、プロセス、及びジオメトリを使用して、構成ホログラムを作成できることである。例えば、532nm(非常に都合の良い緑色波長)の周波数倍増YAGレーザ等の緑色レーザを使用して、緑色光に対しては優れた性能を示すが、赤色又は青色光では記録が劣化する又は全く記録しないホログラフ記録材料及びプロセスを使用することができる(こうしたフィルム及び処理体系は広く利用可能であり、例えば、Bjelkhagenの“Silver Halide Recording Materials for Holography and Their Processing,Springer−Verlag,1993を参照されたい)。本発明により製造された「赤色」及び「青色」フィルムは、それぞれ赤色光及び青色光において再生可能であるが、その記録には緑色光及び緑色感受性フィルムのみを使用した。これにより、青色感受性及びパンクロマチックホログラフィ材料にとって問題であった青色散乱及び解像度の問題も克服される。更に、利点が生じ得る場合に(例えば、非静止物体のホログラフィ)、別の波長(例えば、ルビーレーザ等のパルス状赤色光源)を用いて「緑色」フィルムを製造する際の記録材料及びジオメトリを使用することが可能となる。例えば、ハロゲン化銀、熱可塑性物質、DCG、液晶、フォトレジスト、結晶又はガラス電子ホログラム材料、バクテリア材料、及びフォトポリマを含む多種多様なホログラフ記録材料は、たとえ1つ以上の原色の直接的な記録、或いは同一又は他の材料へ最終的にコピーされるマスタホログラム又は中間ホログラムとしての記録に適していないとしても、本発明による個別のホログラムの記録に適したものとなる。
本発明の色の態様では、例として上述したように、フィルム間(及び、Saフィルタの場合、フィルムの後)での角度依存フィルタの使用を想定しているため、説明したように、Bフィルム(30)は、Gフィルム(50)より、少なくともStフィルタ(40)の厚さ(及び恐らくは、ホログラフィックフィルム自体と、フィルム−フィルタ積層体に導入された任意のスペーサ及び他の層との厚さを含む多少大きくなる分離)の分だけ観察者から遠くなる。同様に、Rフィルム(10)は、観察者から更に遠く、Pi(20)フィルタの後方に位置する。したがって、特定の実施形態における正確なカラーレジストレーションには、赤色、青色、及び緑色ホログラフ画像を、それぞれのフィルムにより、フィルムに垂直な方向への僅かなシフトを付けて作成することが含まれるため、上述した例において、Rフィルムは、Gフィルムが対応する画像に対して行う場合より僅かに大きな距離に渡って画像を投影し、Bフィルムは中間の量で投影するようになり、画像間の正確なオフセットは、それぞれのフィルムの記録面間の光学距離に対応し、ここで、「光学距離」とは、Piフィルタ(20)が、例えば、3mmの物理的厚さを有し得る一方で、その見掛けの厚さが、nを基板材料の平均屈折率として場合に1/nだけ小さくなることを示すものであり、水溜まりが実際より浅く見えるのと同じである。
上述した例において説明した赤、青、緑の順序は、代わりに、赤、緑、青として、或いは、これらの色又は別の適切な色による他の任意の順序として実現してもよい。実際には、特定の1種類の色順序に基づいて、フィルタ及びホログラムを設計又は製造する方が容易であり、コストが低くなり、或いは他の利点を有し得る。本発明者は、上述した赤、青、緑の順序を使用することで、満足できる性能をより容易に達成することができた。
上述した例では、各色の具体的な波長又は波長範囲を提示することなく、「赤色」光、「青色」光、及び「緑色」光に言及した。本発明は、白色光源からの広帯域な波長範囲を使用して、各色が約100ナノメートルの範囲に及ぶ状態で実施することができる。しかしながら、例えば、数十ナノメートルの半値全幅(FWHM)帯域幅を有する赤色、青色、及び緑色LEDからの光のように、より狭い帯域の発光体、或いは、例えば、数ナノメートル以下のFWHM帯域幅を有する、更に非常に狭い帯域の赤色、青色、及び緑色レーザ源を使用することで利点が得られる場合がある。狭帯域幅の光源により、鮮明及び/又は効率的な通過帯域及び阻止帯域に欠ける場合があるフィルタの設計、製造、及び使用を簡略化できるが、しかしながら、広帯域のソースは、一般にコストが低い。商業的又は他の利点を有する設計では、色毎に性質の異なる光源を含んでよく、例えば、緑色光源用の帯域フィルタ処理した白色光、青色光源用の青色LED又は帯域フィルタ付きLED、アーク灯、又は白熱光源、及び赤色光源用に組み合わせた幾つかの赤色レーザ等にしてよい。特に、各色のFWHM帯域幅が制限され(或いは、上述した発明の前後又は内部の付加的なフィルタ処理により低減され)、可視スペクトルの1つ以上の領域が、1つ以上のフィルタ及び/又はホログラムの設計及び性能と実質的に無関係になる場合、適切なフィルタ及び/又はホログラムを設計及び製造することが容易となり得る。
例えば、本発明者の色のデモンストレーション(後述)では、付加的な小さなフィルタを、光源からの光が著しく拡張しない地点に導入することができる。例えば、Semrock BrightLine Multiband Bandpass FF01−457/530/628の干渉フィルター[Semrock Inc,ニューヨーク州ロチェスタ]が適している。これにより、このデモンストレーションに使用された3個の広帯域LEDの帯域幅が制限され、これらの帯域幅には、特定の構成要素が使用される場合、著しい度合いのスペクトルの重複が含まれており、適切なフィルタの設計及び製造を更に難しくすると共に、目に見える有色のゴーストを引き起こす場合があり、これは例えば、一定の割合の黄色及び緑色を帯びた青色光が、望ましくない形でPi及びStフィルタを通過し、その後、基準光として機能し、有色のゴースト像を発生させるGフィルムにより再構築されることで引き起こされる。
本発明との関連において、ゴースト像は、意図したホログラフ画像の周囲に又は隣接して、或いはホログラフ画像からずれた位置に、有色又は無色の鮮明な画像又は拡散した画像として生じ、2次元又は3次元の性質となる場合がある。様々な種類のゴースト像が現れる場合があり、上述したもの(疑似画像とも呼ばれる)、後述するような不整合によるゴースト、フィルム/フィルタ積層体内の構成要素間での相互反射等、他の幾つかの潜在的原因によるゴーストが含まれる。一般には、こうしたゴーストを除去すること、或いはその数及び強度を実質的に減少することは利点を有し、これは、ゴーストが視覚的に邪魔となる場合があり、意図したホログラフィックコンテンツの視認性、輝度、コントラスト、及び彩度を低減する場合があるためである。しかしながら、許容可能な美的又は芸術的効果として受け入れられる場合もあり、或いは更に、画像コンテンツの設計又は選択に入ることを許容される場合もある。
ゴーストの別の原因は、本発明の観察者側に由来する環境光である。これは、任意の色、強度、偏光、及び方向を有する場合があり、反射、集束、及び拡散成分を含む場合がある。こうした光は、本発明の様々な構成要素から、及びそれらの間で、反射、屈折、回折、及び散乱する場合があり、その後、2次元又は3次元の有色又は無色のゴースト像、或いは、輝く光又は眩光、或いは、拡散、集中、又は集束したノイズとして、観察者に見える場合がある。こうした欠陥は、環境光のソースに対して、本発明を実現する表示システムを慎重に位置決めすること、環境光のソースの全部又は一部を低減又は除去すること、反射防止又は更に色のフィルタリングを行うコーティングを本発明の光学部品に施すこと、こうした欠陥の深刻さを減少させるように1個以上の光学部品の設計を調整すること、或いは、こうした手段を1つ以上組み合わせることにより低減又は除去し得る。最も外側のカラーフィルタ、即ち上述した例ではフィルタSt、或いは付加的なオプションフィルタを含める場合のフィルタSaは、こうした欠陥の非ホログラフ的な要因になりやすく、最も外側のホログラム、即ち上述した例ではGフィルムは、こうした欠陥のホログラフ的な要因になりやすく、これは、これらのフィルタ及びフィルムが、それぞれ観察者と何らかの環境光源とに最も近いためである。これは、本発明の任意の特定の実施例の設計及びこうした実施例の何れかの使用において認識され得る。例えば、最も外側のフィルムがGフィルムとなるように選択された場合、緑色の環境光源(及び黄色光及び白色光等の緑色成分を含む他の環境光源)は特に問題となる可能性があり、Bフィルム又はRフィルムを観察者に最も近くする利点が大きくなり得る。同様に、最も外側のフィルタ要素(上述した例のSt又はSa)は、観察者又は観察者群の方向に環境光を強く反射しないように設計することが一般的に有利であり、そうしない場合、フィルタ要素は鏡として機能し、環境光源、観察者、及び部屋又は本発明の外側で光学的に前方に存在する他の空間の明確な反射が見えることになる。
カラー画像の緑色コンテンツは、一般に、ビジュアルコミュニケーションにとって最も重要な成分である。これは、例えば、青及び赤成分の何れかと比較して約2倍の帯域幅を緑成分に割り当てたカラーテレビジョン用NTSCシステム[全米テレビジョン方式委員会、1953]において認識されている。本発明に関連して、2つの設計考慮事項がこれに由来している。第1に、例えば、単一のフィルムを全ての緑色コンテンツに使用するのではなく、2枚以上のフィルムに緑色コンテンツを分割して、赤色及び又は青色コンテンツより緑色コンテンツを優先することで利点が得られる場合があり、こうすることにより、各フィルムは、例えば、十分に明るくすること、コントラストを強めること、或いはノイズを少なくすることが可能となり、この2枚以上への分割が、緑色画像の向上をもたらすようになり、後述するプレビュー環境及び測定基準に基づく最適化においては、使用者に緑色関連の問題に警戒させるように特別に注意を払うことが可能となり、測定基準に加重して、画像の緑色成分に有利な解決策を見つけることができる。第2に、Gフィルムが積層体の観察者側にならない色の順序を選択することが有利となる場合があり、これにより、Gフィルム及び最終の色選択フィルタ(上述した例においてSt又はSa)は、緑の鏡として機能しなくなり、一般に軽減が容易であり、或いは一般に観察者にとって問題が少ない青色の鏡又は赤色の鏡の問題となる。
上述した例において説明した本発明の原理は、例えば、赤、緑、青、及び黄色、又は赤緑、青緑、及び紫を使用した、3つより多い基底色に拡張してよく、これは、こうした基底色の選択が、正確又は魅力的な色再現に適している場合があり、或いは、設計性、製造性、又は耐久性を更に向上させ、或いは対応するフィルタ及びホログラムのコストを低減させ得るためである。
上述した例において説明した本発明の原理は、3色以上ではなく、例えば、赤及び緑を使用した2色に適用してもよく、これは、こうした限定された基底色が、場合によっては正確又は魅力的な色再現をもたらす場合があり、或いは、設計性、製造性、耐久性を更に向上させ、或いは対応するフィルタ及びホログラムのコストを低減させ得るためである。
一般に、n個の基底色の組では、少なくともn−1個のフィルタと、n枚のホログラムフィルムとが使用され、最後の基準ビーム成分(上述した例ではSaフィルタを介する緑色)の最終的な遮断が望ましい場合は、1枚の追加フィルタが存在する。2枚以上のフィルタの複合効果が上述したように広範である場合には、上述した何れか1枚のフィルタの代わりに2枚以上のフィルタを使用することが有利となる場合もあり、例えば、2枚のフィルタは、それぞれ特定の「色」に使用される波長帯の一部しかカバーしないが、組み合わせることで、その色を十分に良好に、或いは優れた度合いまでフィルタリングするか、或いは単一のフィルタよりコストが低くなる場合がある。特定の色に対する画像コンテンツを、Gフィルムについて上述したように、2枚以上のホログラムフィルムに分割することが有利となる場合もある。
上述した例において説明した本発明の原理は、不可視の用途、或いは、例えば、紫外線励起が蛍光又は燐光像のために使用される場合等に、無線の帯域、マイクロ波、赤外線、紫外線、又はX線等、2つ以上の可視又は不可視の色に適用してよい。一例として、熱赤外線ホログラフ体積を、熱いマフィンのホログラム表現に重ね合わせ、観察者がホログラフのマフィンに触れようと手を伸ばした場合に、マフィンの可視画像に近づくにつれ、適切な熱の分布を感じるようにし得る。同様に、無線又はマイクロ波のホログラムは、高周波識別装置(RFID)又は近距離無線通信(NFC)装置等の小型ハンドヘルド受信/送信装置の存在、近接、又は空間位置を感知するか、それらをトリガするために使用することができる。ホログラフ画像の熱又は他の放射効果は、そのホログラフ画像と空間的に一致する或いは隣接する物理的材料の特性を恒久的又は一時的に修正するために使用し得るものであり、例えば、芸術、科学、又は商業目的での特定の2次元又は3次元形状の作成又は修正のために、ホログラフ画像の少なくとも一部における適切なエネルギの分布に実質的に対応して、例えば、画像空間の加熱又は生物発光を誘発すること、或いは、フォトポリマ又は粉末状物質を凝固させること、或いは氷を溶かすことを実行し得る。
上述した例において説明したような本発明の原理は、透過ではなく反射の作用を有する1枚以上のフィルタ及び/又はフィルムにより実現してもよく、ただし、上述した透過積層体は、幾つかの有用な利点を有し、これには、耐久性の向上、使いやすさ、或いは、例えば、要素間の光学遷移における吸収、散乱、反射、回折、及び屈折を含む望ましくない光学的効果の低減といった理由から有利である場合に、実質的に固体であり、一時的又は恒久的に実質的な分割が不能な組立体を形成するために個別の要素のラミネーション又は接着を随意的に使用できる比較的薄い積層体として組み立て可能であることが含まれる。
更に、例えば、入力側及び出力側の一方又は両方を機械的に保護するカバーウィンドウ、ガスケット、スペーサ、シール、及び光学的インデックス方法を含む、光学的及び機械的要素を、有利な形でフィルム/フィルタ積層体又は組立体に含めて、要素間の隙間及び傾斜を設置又は除去し、塵及び水分等の汚染物の進入を防止してもよい。端部シール、層のラミネーション、又はBarix[Vitex System、カリフォルニア州サンノゼ]等のカバー層の付与によるシーリング、特に水分に対するシーリングは、埃、塵、又は他の汚染物、又は大気湿度が著しい、或いはガス放出又は吸収又は吸着が望ましくない任意の動作又は輸送環境において有用であり、DCGのように水分に著しく敏感なホログラフ材料、或いは水中又は高湿度、真空又は低圧、高圧又は爆発の可能性のある環境で使用されるべきホログラフ材料に特に有用である。
上述した例では、ダイクロイックフィルタとホログラフィックフィルタとを使用したが、しかしながら、上述した例において説明したような本発明の原理は、上述したような又はそれに類似する角度依存性及び色彩効果を示すが、それ自体はダイクロイックフィルタではない他のフィルタ又はフィルタリング要素により、例えば、空間的にパターン化されたカラーフィルタ、プリズム又は全内部反射効果、小型レンズ又はプリズムシートの色収差、負の屈折率を有する光学的メタマテリアル、又はホログラフィックフィルタのホログラフ二色性又は二色性のような効果を利用することにより、カラーフィルタ処理を達成するなどして実現してもよく、更には、例えば、回折格子等、上述した又はそれに類似するホログラムではないが、類似する要素であるフィルム、或いは全て又は限られた色再現が本発明のもの以外の手段により達成されるカラーホログラムにより実現してもよい。
上述した例は、基準角度REFr、REFb、及びREFgとして実質的に一定の値を維持するが、1つ以上の有色基準ビームの角度を、そのビームが1枚以上のフィルム又はフィルタ構成要素と相互作用する際に変更し、或いは、この目的で追加の光学部品を導入すること、例えば、色分散又は色依存性回折を使用することにより変更して、フィルム及びフィルタ及び他の構成要素でのビームの伝播を最適化し、フィルム、フィルタ、又は他の構成要素のそれぞれにおける各ビームの入射角について特定の値又は最適な値を達成することが有利となる場合もある。
「最適化する」、「最適な」、及び「最適」という用語は、本明細書において、改善された結果を得るための探求又は実験又は計算又はモデリングのプロセス及び/又は結果を示す。こうした用語は、可能な最善の結果の判断又は発見に限定されるべきではないが、こうした結果が得られる場合もある。
上述した例により本発明の色の態様を紹介してきたが、良好な3次元カラーレジストレーションにより任意のコンテンツのカラーホログラムを達成する有利な方法について次に説明する。
Bazargan[米国特許第4,623,214号及び第4,623,215号]は、分散補償型ホログラフ表示システムを教示しており、これは本発明により有益に使用可能であり、Holorad LLC[ユタ州ソルトレークシティ]により市販されている。これにおいて、透過ホログラムは、例えば、特定の波長と、例えば、約56.3°の基準角度(約1.5の屈折率を有する一般的はホログラフ材料のブルースター角)を有する、実質的にコリメートされた基準ビームを使用して、緑色波長である約532nmで作成され、この波長では、非常に適したレーザ及びフィルム/化学反応の組み合わせが広範囲で利用可能であるため、都合のよい選択となる。このホログラム(又はそのホログラフ的コピー)は、ハロゲンランプ等の白色光源と、フレネルレンズ等のコリメートレンズと、透過ホログラムとして都合よく製造可能な回折格子、及び様々な角度の3MのLight Control Film[3M Imaging Systems Division、ミネソタ州セントポール]等の異方性阻止材料を組み込んだ表示装置の前から見える。
こうした要素は、表示装置の部品を保持するハウジングと、1つ以上のホログラムを装置の前に恒久的に又は一時的に取り付ける又は保持する機構と、電源及びオン/オフスイッチ等の便利な構成要素を更に含み得る自立式自己完結型ホログラム表示装置内において一般に組み合わせる。動作の原理は次の通りである。上述したホログラムは、同一(又はほぼ同一)の波長の実質的にコリメートされた光を、記録時に使用したものと同じ基準ビーム角度又はそれに近い角度で再照射された時、比較的強く、実質的な空間的歪みが無い状態で再生され、他の長い又は短い波長で、同じ基準角度の場合、一般に、著しい幾何学的な歪みがある状態で(通常は、あまり強くなく)再生される。しかしながら、任意の一定の再生波長では、再生されたホログラムの横方向歪みが最小化される、一致基準ビーム角度(「分散補償角度」)が存在する。この角度は、周知の「回折格子式」を使用して決定することができる。実際には、格子要素が鑑賞対象のホログラムと実質的に同じ波長及び基準角度で作成されている場合、格子要素は、コリメート白色光ビームからの光の各波長を、その波長の分散補償角度に厳密に一致する角度を介して回折させ、ホログラムとの組み合わせにおいて、無視できる横方向歪みを有するグレイスケールのホログラフ画像を生成する。
Bazarganの発明において、この望ましい補償は、同一又は非常に似たビーム角度、記録材料、及び処理体系を使用するホログラム及び回折格子を作成することにより、都合よく達成可能である。材料/処理がホログラム又はそれぞれの回折角度をシフト可能な分散補償回折格子の著しい膨張又は縮小をもたらす場合、これは、対応して変更された基準ビーム角度(実験的に、或いは例えばBazarganが提供したもの等の数学的方法を使用して決定される)を使用することにより補正し得る。或いは、回折格子又はホログラムは、主要な光学軸線に対して傾斜させてもよく、又は光源を、この軸線と垂直に移動させてもよい。この場合も、傾斜又はオフセットは、実験的に、又はBazarganのもの等の数学的方法を使用して設定することができる。
Bazarganのもの等の分散補償手法により、本発明は、単一の波長で出された単一の記録レーザと共に、類似又は一致した記録基準ビーム角度を各再生色に対して使用して、都合よく有利に実現可能である。この随意的な特徴により、複数のレーザ波長又は基準ビーム角度の何らかの変化を用いることなく、1つのホログラム記録ステップを全てのホログラムフィルムの製造に使用することが可能となる。こうした変化を加えることには、一般に、高価で重く精巧なビーム配向及びコリメートレンズの物理的な再配置と、部分的又は完全な複製とが含まれるため、これは、大きな商業的利点となり得るものであり、他の方法では実際に達成することが困難又は不可能なホログラム記録ジオメトリさえ可能にし得る。
この分散補償手法の基本的な特徴は、当業者には周知である。周知ではないが、Bazarganの博士論文[Techniques in Display Holography,University of London,1986]に詳述されている事柄は、残存長手方向色度効果が依然として存在することである。具体的には、分散補償手法は理論上、ホログラフ画像の横方向の歪み/変位を完全に補正するが、画像拡大における長手方向の変動が残り、ホログラフィ画像の深度及び範囲が波長依存性となる。これに対する数学的処置は、Bazargan博士の前掲の博士論文に記載されており、Champagneの数学的手法を使用している[Nonparaxial Imaging,Magnification,and Aberration Properties in Holography,JOSA 57,51−5,1967]。
図2A及び図2Bは、基準角度48.3°のコリメートされた532nm記録基準と、48.3°(図2A)及びそれぞれ63.9°、48.3°、及び38.9°(図2B)の分散補償角度のコリメートされた640nm、532nm、及び447nm再生基準とに対する、z軸線(ホログラムに垂直で中心となる軸線)に沿って十分な距離に位置する観察者が見るようなBazarganの分散補償手法の一例の側面図である。
本発明者は、上述したカラーホログラム手法を使用して、Bazarganの手法の長手方向の色度変化を実質的に低減又は完全に除去可能であることを発見した。これを行うために、本発明の単一色ホログラムのそれぞれは、横方向の次元(ホログラフィックフィルムに実質的に平行な2方向)において実質的に同一の画像位置及びサイズで作成するが、フィルムに実質的に垂直な軸線(z軸線と呼ばれる)では、適切に計算された異なる画像位置及びサイズを用いる。例えば、Bazarganが提供した数学的方法において、特定の赤色波長について、赤色像点が生じるフィルムからのz軸線距離が、対応する緑色像点の対応z軸線距離の60%となり、対応する青色像点が生じるフィルムからのz軸線距離が、対応する緑色像点の対応z軸線距離の140%となることが予測される場合、こうしたスケールの逆数は、本発明において、赤色ホログラムを深度軸線において1/0.6倍(又は約1.66倍)伸長させるべきであり、青色ホログラムを深度軸線において1/1.4倍(又は約0.71倍)圧縮するべきであることを示す。完全性のため、緑色像点は、100%とする。これを行った場合、赤色ホログラムからの赤色像点と、緑色ホログラムからの緑色像点と、青色ホログラムからの青色像点は、ホログラフ記録フィルムの何れかの縮小又は膨張と、上述したような個別のフィルムから観察者までの異なる距離とを考慮する限り、3つ全ての次元において重なり合う。
図2Cは、基準角度48.3°のコリメートされた532nm記録基準と、分散補償角度がそれぞれ63.9°、48.3°、及び38.9°であるコリメートされた640nm、532nm、及び447nm再生基準と、それぞれ84%(=447/532)、100%、及び120%(=640/532)のzスケールとによる、この長手方向色補正の実施形態例を示している。
殆どのレーザのような非常に狭帯域の再生ソースにおいて、この長手方向色度変化は、上述したように実質的に又は完全に除去することができる。しかしながら、それぞれが数十ナノメートルの帯域幅を有する、名目上は赤色、青色、及び緑色である広い帯域へ分割される白色光のように広帯域のソースにおいても、この手法を使用して、各色帯域の視覚的に優勢な波長が正確に又はほぼ正確に補正される状態を確保することにより、長手方向色度変化の影響を実質的に低減することが可能である。これにより、3つの帯域の実質的又は完全な重複が生じ、残存する長手方向色度変動は約3分の1に減少する。
特別な場合として、各ホログラムフィルムが、本発明の色の手法での組立後に、赤、青、及び緑の強度が常にほぼ同じ割合に保たれる画像を生成する場合、有意なカラーコンテンツはないが、z軸線において鮮明さが大幅に改善されたグレイスケールホログラムが達成され得る。
実際には、Bazarganの手法等の分散補償手法を特定の実施形態に組み合わせるためのz軸線のオフセット及びスケールは、例えば、Bazarganが説明したようにChampagneの式を使用して計算可能であり、或いは、像点の位置をルーラ又は他の深度測定機器又は手法を用いて測定可能な試験積層体(フィルム及びフィルタ)を作成及び組立することにより、実験的に設定し得る。類似する実験的、計算的、又は混合手法を使用して、カラー画像の何れかの、他のカラー画像の何れかに対する、3つの次元の何れかにおける、残存する原点、オフセット、又はスケールの誤差を決定することが可能であり、対応する補正を、対応するフィルタ又はホログラムの製造において設計することができる。極端な場合、この手法は、各ホログラムの記録及び再生条件間の全体的な相違を補正するために、例えば、実質的にコリメートされた基準ビームにより記録されていても、実質的にコリメートされてない基準ビームにより再生した時に所望のジオメトリをもたらす、或いはその逆のホログラムを生成するために使用してよく、ただし、このようにより極端な場合には、フィルタの性能仕様に空間的変動を施し、例えば、その帯域幅又は帯域中心が、中央のz軸線から半径方向外側へ、或いは直線的に上から下へ又は左右へ変化するようにすることが望ましい場合もある。更に、こうした手法を使用して、明確に非コリメートである基準光により記録及び/又は再生されるホログラムの固有の拡大又は縮小を利用することができる。例えば、ホログラムは、実質的にコリメートされた基準ビームにより記録し、発散ビームにより再生することが可能であり、結果的に生じたホログラフ画像の拡大及び歪みは、実質的に又は完全に除去すること、或いは一定の度合いの縮小へ変換することが可能であり、これは、こうした状況での拡大又は縮小及び他の関連する歪みの度合いが一般的に波長依存性であっても、本発明に関連して成分色毎に達成することができる。一例として、図3Aは、図2Cに似たシステムの一例の側面図及び正面図だが、記録基準ビームはコリメートされており、再生基準ビームは強く発散している。実質的な色割れは明白であり、各単一色にも実質的な幾何学的歪みがある。図3Bは、発散再生基準ビームに一致する集束記録参照ビームの一例を使用して、こうした色割れ及び歪みを単一色毎に補正可能であることを示している(図3Bには532nmの場合を表示)。図3Cは、コリメートされた記録基準ビームを、強く発散する再生基準ビームと共に使用した時でも、各ホログラムにより記録されたxスケール、yスケール、及びzスケールを修正することにより、類似するが完全ではない補正を得られることを示しており、再生時、輻輳不整合により持ち込まれた歪み及び色割れは、一般的には対応するが実質的には反対となる記録コンテンツの修正により実質的に補正される(図3Cでは、xスケール=150%、yスケール=200%、zスケール=200%)。この残存する幾何学的歪みも、例えば、正しい位置でのピクセルの再生が生じるように、元のコンテンツのピクセル毎にx、y、z記録座標を計算すること、即ち、再生時に実質的に歪みがないように記録前に先行歪みを与えるために、元のコンテンツをピクセル単位、スライス単位、又は領域単位で再サンプリングすることにより、非常に高い度合いまで補正可能である。色依存性である幾何学的歪みから生じる色割れは、この先行歪みプロセスを再生色毎に独立して繰り返すことにより、同様に非常に高い度合いまで補正することができる。
図3D、図3E、及び図3Fは、それぞれ図3A、図3B、及び図3Dに類似したシステムの例を示しているが、観察者の位置がホログラムに接近しており(300mm)z軸線から実質的に離れている(25°左及び25°上)。一致した基準の場合(図3E)、依然として優れた補正を示しており、コリメート記録と、強発散再生と、各軸線に沿った単純なスケーリングの場合でも、部分的に補正されている。再生の輻輳及び基準角度も、例えば、動作追跡された観察者が動く際にホログラフ画質を最適化するため、或いは、芸術的又は美的効果として変化する歪み及び色彩を生成するために、再生中に調節制御し得る。
本発明の色の態様の更に詳細な例として、本発明者は、上述した原理に基づいてデモンストレーション用のフルカラーホログラフディスプレイの一例を構築した。
赤、緑、青それぞれ1枚ずつ、3枚のホログラムフィルムを使用した。Hart[US6,151,143及びそのCIP]において説明された2段階マルチスライス連続露光ホログラフプロセスを使用し、マスタホログラムは、厚さ約0.006インチのポリエステル基板に工場でコーティングされた約14インチ×17インチのAgfa Gevaert 8E56エマルジョンに記録し、アスコルビン酸及びフェニドンBにより調製した現像液と、二クロム酸ナトリウム(及び低塩化物水)により調製した漂白剤とにおいて、Colex RTK20SP自動フィルムプロセッサ[Colex Imaging Inc.ニュージャージ州パラマス]を使用して処理した。これらのマスタフィルムは、同様のホログラフィックフィルム(コニカ[コニカ株式会社、日本、東京]が製造したカスタム材料、ただし上記Agfa 8E56も非常に適していた)にコピーし、マスタと同じ方法で処理した。マスタフィルム(図4A)では、約56.3°の実質的にコリメートされた基準ビーム角度と、実質的なP偏光とを使用した。コピーフィルム(図4B)では、非コリメート基準ビームを、6インチ×7インチのコピーフィルム上での約3°のフルアングルの発散、フィルム中心で約48.3°の基準角度、及び実質的なP偏光と共に使用した。マスタとコピーとの物理的及び光学的分離は約14.5インチとし、これにより、我々の記録システム(実質的にHartが説明したもの)では、コピーフィルムには、フィルムの約4インチ後方からフィルムの約6インチ前方までに実像のアクセス可能な画像体積が生じた。これらのマスタ及びコピーは、全て約532nmで、Coherent 100mWダイオード励起固体レーザ[Coherent Laser Group、カリフォルニア州サンタクララ]のOEMバージョンを使用して記録した。この例は、「マスタ」又は「H1」ホログラムからの「コピー」又は「H2」ホログラムの準備を示しているが、しかしながら、本発明は、コピーを行わないマスタホログラムを使用して、或いはH2からコピーされた第3世代(以降)のホログラムを使用して実施することもできる。
コニカ製材料のバッキング層からの散乱ノイズを減らすために、家庭用漂白剤の希釈(約10%)液を使用して、バッキング層を取り除いた。一般に、本発明のホログラムフィルム内のノイズ、或いは、フィルムと、ホログラム再生及びホログラム記録中に本発明を実現するために望ましい又は使用される他の光学部品との間又はそれらの内部での散乱又は迷光を含む望ましくない効果に由来するノイズのソースを減らすために、可能なあらゆる予防措置を講じることには大きな利点がある。例えば、ホログラフ画像内の要素のコンテンツ及び位置決めと、そのコンテンツのスラビング、フェザリング、又はシェル化(後述)の分布又は他の詳細は、手動又は自動で調整して、連続して記録されるホログラムの数を減らし(一般に、輝度及びコントラストが向上し、ノイズが減る)、情報を殆ど含まず(幾つかの孤立した黒ではないピクセル)、したがって一般的に長時間の露出を使用する露光の発生を防止してよく、長時間の露光は、実用的ではない又は商業的に望ましくない場合があり、振動又は明るく明瞭なホログラムの記録を妨げる傾向にある他の外乱を生じやすくする場合がある。
Hartは、基準及び物体ビーム間のビーム比を1つの連続露光から次のものまで実質的に均一に保つべきであり、こうした露光数が増加する際の単位となる傾向にある値を有するべきであると教示している。以下の経験的な式は、Agfa 8E56に類似する材料に記録される連続露光数N(N=1から約N=100の範囲内)の関数として、ビーム比及びマスタリング用の露光エネルギについて良好に機能する。
ビーム比k=基準出力/物体出力=6.153832543*N^(−0.334672624)
連続露光毎の露出エネルギE(μJ/cm2)=18.22665*N^(0.4796472)
Nの値毎に生じるk及びEの値は、同様の値を発生させる上記以外の式により、事前計算、作表、近似、及び/又は導出することも可能である。
これらの式は、記録材料Prにおける(これに垂直な)測定又は推定基準ビーム出力(μW/cm2)及び記録材料Poにおける(これに垂直な)測定又は推定基準ビーム出力(μW/cm2)と共に使用して、例えば、次の式を使用して、Agfa 8E56に類似する材料に記録される連続露出毎に適切な有効露光期間teffective(秒)を計算し得る。
teffective=E/(Po+Pr)
Agfa 8E56に類似する材料に記録される連続露出毎の適切な実際露光期間tactual(秒)は、次の経験的な5次多項式を使用して計算し、ほぼteffective=0.02秒からteffective=50秒の範囲で相反則不軌を補償し得る。
tactual=10^(−0.04704082954975890+1.08351170247430000*Log10(teffective)+0.11749593991745200*Log10(teffective)^2+0.00018336117455206*Log10(teffective)^3−0.01827231737567560)*Log10(teffective)^4)
都合の良いteffective値の範囲に対して生じるtactual値は、同様の値を発生させる上記以外の式により、事前計算、作表、近似、及び/又は導出することも可能である。
長時間の露光(上述したものを含む理由により望ましくない)を使用する画像の記録では、上記の式による実質的な有効露光エネルギを維持しつつ、選択した最大値(例えば、tactualには20秒が実用的且つ好都合である)をtactual(相反則補正を可能とする)が実質的に超えない十分な程度まで、こうした露光のビーム比が上記の式による値を超えることを許容することにより、一般に満足できる結果が得られる。これは、「基準ブースト」と呼ばれる。
本発明が利用する他の有効なノイズ低減手法には、相互干渉を最大化する物体及び基準ビームの偏光の度合い及び配向性の慎重な制御と、曇り、化学的な色かぶり又は汚れ、表面摩耗、凹み、擦り傷、及び他のこのような損傷等、フィルムのノイズの光化学的及び機械的ソースを回避するための清浄な作業による化学処置とが含まれる。
Hartの説明のようにコピーホログラムを使用することは、Hartの説明した恩恵の中で特に、マスタフィルムの一方の側において、マスタフィルムから相当な距離(我々がHartの説明を実施したものでは約10乃至18インチ)に完全に再現される深い像のホログラムを、ホログラフ画像がコピーフィルムに接近し、その両側にさえ存在し得る(即ち、またがり得る)浅い像のホログラムに変換するために使用できることから、潜在的な利点を有している。他の手法では、透過ホログラム用のマスタリング基準ビームはマスタリング物体ビームと同じ側から記録材料に入射するため、一般に、浅い像の透過マスタホログラムを作成することは困難であるが、但し、この問題は、例えば、エッジリットジオメトリの使用、急角度のマスタリング基準ビームの使用、又はHartのマスタリングジオメトリ内において拡散スクリーンと記録フィルムとの間に導入された再画像化レンズの使用により、ある程度対処可能である。別の選択肢として、特に、ポートレートモードのコピーからランドスケープモードのコピーが欲しい場合又はその逆の場合、一方の基準用の側面基準ビームと他方の基準用の頭上基準ビームとを有する「交差基準」と呼ばれるタイトフィットジオメトリを使用可能であり、この場合、一方をそのフィルムにおいてP偏光し、他方をそのフィルムにおいてS偏光することが可能であり(コピーフィルムにおいて、両方が同じ偏光方向となるため)、より均一な回折を発生させ、偏光散乱光に対する感受性を少なくできることから、従来のアプローチ(両方のビームをそれぞれのフィルムにおいて同じ偏光状態とする)よりも良好となる可能性がある。
本発明に関連して広帯域の照明光源を使用した場合に、画像がフィルムから遠すぎるために、深い像のホログラムがぼやける又は他の形で不明瞭となる、或いはそうなり得る限りは、こうしたぼやけ又は他の明瞭さの欠如は、こうしたマスタの浅い像のコピーでは目立たなくなり得る。しかしながら、本発明に関連する狭帯域のソースを使用すると、深い像のホログラムでも鮮明な再生を可能になる。本発明者は、例えば、一連のカニの画像(後述)を、深度約10乃至18インチの深い像のホログラムの形で、非常に満足できる状態で表示した。本発明におけるマスタ又はコピーホログラムの使用の別の態様は、異なる視野角を垂直方向及び水平方向に有し得ること、或いは有するように幾分異なる形で最適化し得ることである。比較的大きなマスタフィルムは、比較的小さな領域の広い視野角を獲得及び再生可能だが、この同じマスタの同様又は同等の大きさのコピーであっても、コピープロセス中にコピー及びマスタ基準ビームをそれぞれのフィルムへ届けることに関連する制約により、視野角が低減される場合がある。こうした制約は、エッジライト、急角度な基準、再画像化レンズ、又は上述したような交差基準ジオメトリの使用により低減し得る(したがって、コピーの視野角が増加する可能性がある)。一方、本発明に関連するマスタホログラム又はそのコピーの垂直又は水平視野角は、芸術的又は美的効果のために、或いはホログラムの輝度又はコントラストを増やすために、低減すること、或いは非対称、非直線、又は断続的にすることが望ましい場合がある。
Agfa 8E56材料は、使用する処理体系に応じて、後処理において一定の度合いの感光性を保持可能なホログラフ材料の一例であり、その後の光への露出、特に明るい青色又は紫外線光への露出時に、光分解性銀粒子形成のプロセスが生じ、この効果又は他の効果(一般に「プリントアウト」と呼ばれる)により、こうした材料は徐々に暗くなる。これを使用して、寿命を意図的に限定したホログラムを作成可能であり、こうしたホログラムは、使用と共に暗化し、予想可能な使用期間後に、十分に輝度が失われて不満足又は使用不能となる。本発明者は、恐らくは特定のサイズの感光性粒子の存在に起因する散乱ノイズがホログラフ画像自体よりも急速に又は先に暗化し得ることから、一部の材料/処理システムにおけるプリントアウトがホログラムの画質を実際には改善可能であることも観察しており、したがって、プリントアウトは、ホログラムの画像コントラストを改善可能であり、例えばホログラムに光を当てること、特に、例えば、Q−PanelのUV強化蛍光灯[Q−Panel Company、オハイオ州クリーブランド]により提供可能であるような青色又は紫外線光を当てることにより、意図的に誘導、加速、又は促進することが利点を有し得る。この意図的なプリントアウトの誘導は、こうした露光中の対象ホログラムを、例えばアスコルビン酸の希釈液等の現像剤に浸漬することにより加速し得る。プリントアウトは、Agfaの8E56のような材料においても、写真処理の前、最中、又は後に、減感槽又は減感材料を使用することで回避又は遅延させてよく、本発明に関連して、1枚以上の成分色フィルムは、フィルム/フィルタ積層体内の位置のため、所望の化学光から部分的又は実質的に保護され得る。例えば、本発明者の色のデモンストレーションにおいて、本明細書で説明したように、観察者に面した最も外側のフィルムのみが感光光に直接晒されており、他のフィルムは、こうした外部の環境光の一部がこれらのフィルムに到達する前に取り除くフィルタの後ろに存在する。同様に、最も外側のフィルムは、他のフィルムが関与する光の色のうち、これらのフィルムがそれぞれの画像へ方向付ける部分のみを照明光源から受けるが、こうした色の非回折基準ビームの残りの部分が存在するとしても、フィルタにより実質的に保護される。化学線の内部の発生源及び何らかの外部の発生源により誘導されるプリントアウトからの別の保護は、特に紫外線領域のもの等、最も有害な波長を反射又は吸収する後部及び前部の保護窓又はカバーの追加により提供され得る。
こうした前部及び後部窓は、何れの場合も前部及び後部フィルムを所定の位置で平坦に保持する上で望ましく、前部窓の場合、不慮の或いは悪意又は好奇心を持った観察者による擦り傷及び衝撃から前部を保護するために、後部窓の場合、照明光源により生じた赤外線加熱(レーザ光源を使用した場合、こうした熱の発生は非常に僅かだが、LED及び特に白熱光源は著しい熱源となる恐れがある)からフィルム/フィルタ組立体を保護するために、望ましい場合がある。
本発明者の色のデモンストレーションにおける3つのホログラムのそれぞれの「物体」は、Hartが説明したような一連の2次元画像により構成されるが、ここでは、放射線画像ではなく選択した企業のロゴを使用し、各ロゴの各色成分を任意のz深度に割り当てて、カラーのコンテンツの視覚的に楽しい分布と、3つ全ての空間次元を達成した。各ロゴのアートワークの元のフルカラーデジタルファイルは、ImageJ画像処理プログラム[Wayne Rasband、米国国立衛生研究所、メリーランド州ベセスダ]のビルトインコマンドを使用して色分解及び色補正を施した。こうした2次元画像のそれぞれは、全般的にHartが説明したように順番に記録し(図4A)、Sony LCX106AL LCDを使用して、約45°の対称なフルアングルの拡散を備え、拡散側が記録材料から離れる方向を向いたホログラフディフューザ[LSD、Physical Optics Corporation、カリフォルニア州トランス]上へ投影及び拡大した(記録材料に面する側には反射防止コーティングを施し、ディフューザ内の散乱及びハレーションと、ディフューザ及び記録フィルム間の鏡像を低減するとよい)。他のフィルム製造の詳細は、概してHartの説明の通りであり、ImageJと我々独自のホログラム製造ソフトウェアとの組み合わせにおいて実現したガンマ補正及びスーパーブロックと、複写(図4B)と、Bazarganの48.3°で532nmに合わせた回折格子を備えた分散補償ディスプレイの例を使用したコピーの再生とが含まれる(この角度が経験的に選択されたのは、他の場合に一般的に好ましい56.3°(上述したブルースター角)を使用すると、更に詳細に後述する分散補償ディスプレイの光学層を急角度で通過する分散補償スペクトルの赤色端においてフレネル反射損失が特に深刻となるためである)。
ガンマ補正は、人間の眼の反応に合わせた所望の指数関数的傾斜を提供するルックアップテーブル(LUT)の使用に基づくものとし、このルックアップテーブルは、Sony/POC投影システムの測定グレイスケール応答から計算された。カラーマッチング及び白色点の選択は、カラーフィルム毎に異なるLUTを使用して達成することも可能である。LUTの使用は、計算効率にとって実用上都合が良いが、LUTは本質的に一連の計算又は推定のインデックス化された記録を含むため、その使用は、一般に、必要が生じた際に、計算又は推定の実行と置き換えることができる。
加えて、zスケールのオフセットと、各フィルムのスケールとを計算し、上述したBazarganの長手方向色度スケール依存性の補正を可能にした。この計算においては、我々のホログラムフィルム及びフィルタの公知の厚さを考慮した。
我々は、Champagneの式の完全な形を使用するのではなく、計算が簡略化された特別なケースであることに留意した。具体的には、この特別なケースでは、各フィルムは、同じ基準角度と緑色レーザ波長とを有するコリメート基準ビームを使用して作成され、コリメーションと、同じ基準角度及び緑色波長用に作成された補償格子とにより実現されたBazarganの分散補償ディスプレイの例において我々のカラー方法を使用して再生されるものであり、1)緑色画像は、zスケーリングを使用しておらず、Gフィルムは積層体において最終要素となるため(即ち、観察者に最も近くなるため)、zオフセットも使用せず、2)Bフィルムは、その再現に使用される優勢な青色及び緑色波長と同じ割合でzスケールを含み、自身の光学的厚さ及びStフィルタの光学的厚さを考慮したzオフセットを含んでおり、3)Rフィルムは、その再現に使用される優勢な緑色及び赤色波長と同じ割合でzスケールを含み、自身の光学的厚さ及びPiフィルタの光学的厚さを考慮した追加のzオフセットを含んでいた。
分散補償ディスプレイを構築するために、我々は、ハウジング、フレネルレンズ、及び回折格子を含むBazarganの装置を実現したHolorad製Voxbox Model22[Holorad、ユタ州ソルトレークシティ]を修正した例を使用した。更に、その異方性材料であるHolorad製Voxblock材料シートを使用しており、これはBazarganが説明した3M LCFに似た機能を発揮するが、後述するように、我々の目的にとって優れている。標準のModel22 Voxboxは、広帯域ハロゲンランプを使用している。我々は、Samsung製HL−T56087Sリアプロジェクションテレビに使用されるSamsung BP96−01725A[Samsung Electronics America Inc.ニュージャージ州リッジフィールドパーク]の形態のビーム結合レンズと共に、個別の赤色、緑色、及び青色LED[PhlatLight PT120 Projection Chipset、Luminus Device Inc.マサチューセッツ州ウォバーン]に基づく三色LED照明光源に置き換えた。Samsungは、これらの部品を各色の時系列照明に使用しているため、LEDを並列に配線しており、それぞれを個別に全出力(18Amp)又は低減した出力で起動可能だが、我々は、LEDを直列に再配線して継続的に動作させ(Luminusの命名法におけるDCモード)、約4.5ボルト及び約10.9Ampの低電圧モードで動作するBK Precision 1621A可変電源[BK Precision、カリフォルニア州ヨーバリンダ]により電力を供給した。SamsungがHL−T56087Sに用いたファンに基づく空冷システムを残しておき、Model22の標準のファン冷却の代わりとしたが、代替LEDソースは本質的に電力変換効率が高いため、伝導冷却で十分であった可能性もある。
カラーマッチング、白色点選択、及び輝度及びコントラスト制御も、各LEDの相対輝度を調整することで達成可能であり、例えば、直列のLED間に固定又は可変抵抗を導入すること、或いは、個別に選択可能な電圧及び/又は電流及び/又はパルス幅変調(PWM)スキーム(線形又は対数)により動作させること、或いは、光学部品を我々のフィルム/フィルタ積層体において傾斜させることにより達成可能である。例えば、色固有のLUTを使用するソフトウェアにおいて行われたカラーマッチングと、白色点選択と、輝度及びコントラスト制御との最初のステップを補完又は無効にするような方法を使用することが望ましい場合がある。これは、カラーマッチングと、白色点と、輝度及びコントラストとを調整して、特定の用途又は環境又は観察者の視覚反応に適合させ、例えば、観察者間での変動、又は異なる環境光条件の心理視覚的影響を考慮するために、設定調整として、或いは、光測定機構、タイマ、又は観察者向け制御入力に応答して動的に実行することができる。
カラーマッチング及び白色点補正は、肌色、又は食用産物、又はロゴ等のコーポレートアイデンティティマークを含むホログラムに特に有用であり、最初の2つのケースは、人間の視覚系が肌色及び果物その他の食物の色における誤りに気付くことに特に優れているためであり、最後のケースは、特定の色、例えば、Eastman Kodakの商標の黄色等の誤りのない正確な使用は、商業的及び法的に重要だからである。
Model22の標準の厚さ約3mmの透明アクリルカバープレートの後ろには、厚さ約1/4インチの黒い(散乱ノイズを減らすため)アクリルプレートを追加しており、これに約12インチの円形に近い開口部を切り開け、開口部内に3枚のホログラムフィルムと2枚のガラスダイクロイックフィルタとを装着した。適切なダイクロイックフィルタは、例えば、Piフィルタには、Optical Filter Source,LLC[テキサス州オースチン]の品番070927−01、Stフィルタには、同じくOptical Filter Source,LLCの品番071011−04が含まれる。これらのフィルタは、独自の詳細な計算に基づいて我々が提供した仕様に合わせて、OFSの社内ダイクロイック設計ソフトウェアとFilmStar[FTG Software Associates、ニュージャージ州プリンストン]とを使用して、本発明者の色のデモンストレーション用に設計された。具体的には、我々は、Excel[Microsoft Corporation、ワシントン州シアトル]において、所望のフィルタ透過率を、フィルタ毎に、S及びP偏光それぞれの波長の関数として、紫(400nm)から赤(700nm)へ5nm単位で計算し、これにはBazarganの分散補償計算と、回折格子の式と、人間の眼の標準明順応反応曲線[Commission Internationale de l‘Eclairage Proceedings,1924,Cambridge University Press]と、我々の回折格子及びホログラムの透過、散乱、及び回折とVoxblock材料の透過との角度依存性の独自の測定とを使用した。図5は、PiダイクロイックのP(実線)及びS(点線)偏光における透過スペクトルの一例を示しており、画像コンテンツについて0.0°(図5A)、17.0°(図5B)、25.0°(図5C)、及び35°(図5D)、青色再生基準について40.2°(図5E)、緑色再生基準について47.5°(図5F)、及び赤色再生基準について61.3°(図5G)のものを示している。図6は、StダイクロイックのP(実線)及びS(点線)偏光における透過スペクトルの一例を示しており、画像コンテンツについて0.0°(図6A)、17.0°(図6B)、25.0°(図6C)、及び38.0°(図6D)、青色再生基準について38.0°(図6E)、緑色再生基準について45.0°(図6F)、及び赤色再生基準について57.0°(図6G)のものを示している。2枚のダイクロイックで僅かに異なる基準角度を示しているのは、フィルム/フィルタ積層体における僅かな調整可能な傾斜を想定して設計及び測定したためである。
これらの特定のフィルタは、約3.3mmのボロフロートガラス上に作製したが、例えば、重量が軽い、又はコストが低い、又は脆弱ではない、又は他の利点を有し得るプラスチック基板等、他の適切な基板材料を使用することも可能である。所望の角度依存性を示すホログラフィックフィルタを使用することも可能であり、これらは、それぞれ薄く柔軟なプラスチック基板上において、例えば、積層体全体のコスト、厚さ、及び脆弱性の大幅な低減を可能とする約千分の数インチの厚さで製造し得る。例えば、ホログラフィックダイクロイックフィルタ等の柔軟な角度依存性フィルタは、柔軟なホログラムにラミネート加工、或いは他の方法で永久的又は半永久的に取り付ける際に有利となる。
ホログラフィック「ダイクロイック」の一例は、次のように製造し得る。約45グラムのゼラチンを約35℃の約300mlの水に溶解して、重クロム酸塩エマルジョンを製造する。この混合物を、ゆっくりと継続的に攪拌し、ゼラチンを溶解し液化する。ゼラチンが完全に液化したら、約8グラムの重クロム酸アンモニウムを添加し、混合物を同じ温度で更に約15分間攪拌する。次に、清浄なガラスプレートにゼラチン/重クロム酸塩混合物を厚さ約12μmまでコーティングし、約48時間室温で乾燥させ、約2週間寝かせた後使用する。フィルタは、プレートの垂線を中心にほぼ対称の角度を成す2本の実質的にコリメートされた488nmビームを使用した約120mJ/cm2の露光を用いて、反射モードで記録される。フィルタは、Kodak Rapid Fixer[Eastman Kodak Company、ニューヨーク州ロチェスタ]において約30秒間硬化させることで現像し、濾過水において2分間洗浄し、パーセンテージに段階を付けた一連のアルコール/蒸留水混合物槽に、それぞれ1分ずつ通過させ、最後に100%無水アルコール槽に通して脱水する。最後に、約70℃の濾過暖気においてプレートを乾燥させ、必要であれば、水分の進入を防ぐためにラミネート加工を施した。図7は、こうしたフィルタの透過スペクトルを示している(図6の従来のダイクロイックと比較されたい)。
本発明者のデモンストレーションの例において使用した特定の形式のフレネルレンズ及びホログラフ回折格子は、それぞれ他の種類のコリメート及び分散要素に置き換えることができる。例えば、コリメーションは、固体又は液体充填プラスチック又はガラスレンズ(厚さに対して光学的に非常に高速にすることが可能なTIRレンズを含む)を使用して、或いは、球面、放物面、又は高次の鏡を軸上又は軸外で使用して達成し得る。エンボス回折格子を使用可能であり、何れの種類の回折格子も、コリメーションの一部を達成するか、これに寄与するか、或いはある程度の色補正を行うように屈折力を与えることができる。
本発明における偏光の分析(実験的及び数学的)及び制御は、非常に興味深いものとなり得る。本発明の多数の光路は、フィルム、フィルタ、回折格子、レンズ、鏡、ホログラム、窓、又は他の光学部品に、相当な急角度で入射し、その後の屈折、反射、回折、散乱、及び吸収には、大きな偏光依存性が存在し得る。これは、光の偏光依存損失につながる恐れがあるため、観察されるホログラフ画像の全体的又は局所的な輝度及び色に影響する可能性がある。追加的な偏光依存光学部品(偏光子、波長板、及び偏光リサイクラ等)の導入は、例えば、完全又は部分的に非偏光の光源からの光の偏光、或いは偏光が誘発するホログラフ画像内の輝度変化、又はホログラフ画像に関連して見える、偏光が誘発する背景ノイズの変化を、除去又は低減する上で利点を有し得る。更なる考慮事項としては、ホログラフ画像の観察者は、例えば、偏光依存性サングラス等の偏光眼鏡を装着し得るため、例えば、上述した積層体の内部に組み込まれた、或いはその前方又は後方に位置した追加波長板の使用により、例えば、ホログラフ画像を実質的な直線偏光、実質的な円偏光、又は実質的な非偏光状態にすることにより、ホログラフ画像の正味の偏光が、こうした眼鏡の予想される変更軸線に対して、同一である、又は無視できる、又は整合されている、又は他の形で配向された状態を維持することは利点を有し得る。
このようなシステムの設計に関する一般的な観測結果として、厳密に計算又は経験によるもの、或いは計算と経験とを混合した組み合わせによるものであっても、多くの場合、上述した各フィルタの機能的特徴は、設計を簡略化するため、或いは製造性又は動作を向上させるために、実質的に簡略化又は緩和することができる。例えば、上述した詳細な説明において、PiフィルタがREFr角度又はその近くで残存赤色基準ビームを実質的に全て除去する場合、StフィルタがREFr角度又はその近くで更に赤色光を遮断する必要性は殆ど又は全く無くなり、青色及び緑色ホログラムの赤色回折効率は基本的に無視することが可能になり、或いは、事実上、これら2つのホログラムを、それぞれの青及び緑の役割について個別に最適化することが可能となる。一般には、このように、前又は後ろにある他の構成要素を他の方法で最適化できる場合に、各構成要素を更に上手く最適化可能となる幾つかの方法が存在し、これは部分的には単純な理論的議論により判断可能であるが、実際には、波長及び偏光依存を見越した幾分詳細なモデリング作業により、こうした最適化の予想外の機会が明らかになる場合がある。例えば、1つ以上の構成要素の1つ以上の表面の反射防止コーティングの有用性及び設計パラメータは、構成要素を傾斜させること或いは構成要素の屈折率を一致させることの潜在的な利点と同じように推定できる。こうした設計の計算は、手書きで、或いはExcel等の数学プログラム又は重要な物理効果の多く又は全てをモデリング可能な光学設計ソフトウェア、例えば、ZEMAX[ZEMAX Development Corporation、ワイオミング州ベルビュー]において定式に従って実行することができる。
最終結果がホログラフ画像の改善となることから、或いは、恒久的又は一時的又は可変的に変更、調節、又は他の方法で修正することにより、付加的な効果又は修飾として、ホログラフ画像を向上させるために使用できることから、こうした任意の設計行動の目標の1つを、偏光依存性等の特定の効果の低減又は除去ではなく、強化することとしてもよい。例えば、角度依存性の色ズレは、美的又は芸術的効果として使用してよく、一時的又は恒久的な画像のちらつき又は揺れにより、画像はより魅力的又は刺激的になり得る。
同様に、ホログラフ画像は、例えば、ホログラフ画像に隣接する又はその近傍に位置する、或いは本発明の1枚以上のホログラムフィルム(特に最も前のフィルム)又は保護前部窓等、他の説明した構成要素の1つ以上に印刷、エンボス加工、又は他の方法で付与された、有色又は有形の周辺物及び囲い、他のホログラム、及び2次元又は3次元テキスト、グラフィックス、像、及び装飾と組み合わせて使用することにより向上させ得る。こうした追加の修飾又は情報要素は、ミスト、霧、煙、ガス、蛍光又は燐光、反射、回折、屈折、拡散要素の形態をとってもよく、その一部又は全部は、ホログラフ画像又は画像群、或いは本明細書に記載の他の光源(残存する又は利用中の基準ビーム)、或いはこれを目的とした追加発光体として提供される又は環境光源に由来する他の光源により照明される。2次元及び/又は3次元の静止又は移動又は可動物体、形状、又は装置(彫刻、鋳造、又は特別に製造された物体、形状、又は装置を含む)を、ホログラフ画像又は画像群の周囲又は内部に配置してもよい。こうしたホログラフ画像内の物体又は形状又は装置は、恒久的、一時的、又は断続的に、特定の視点からホログラフ画像を選択的に遮蔽してよく、ホログラフ画像が占める空間の一部又は全部に、他の2次元又は3次元画像又は物体を反射又は画像化してよい。
色のデモンストレーションの例に戻ると、Samsung/Luminus光源をModel22のベースプレートに堅固に装着し、2枚の追加の平面折り曲げミラーを導入し(1枚は、Newport Corporation[カリフォルニア州アービン]の高品質アルミニウムガラスミラー、他方は地元のプラスチックショップが我々向けに製造した低品質アルミニウムプラスチックミラーで、両方ともNewport製の調整可能なレンズマウントに装着(Bazarganの表示装置の実施例では、一般に高品質の光学機器は使用されておらず、喜ばしいことに、光学機器の不完全性や損傷に影響されない)、複合白色光をこの光源から、Model22の既存の平面ビーム折り曲げミラーを介して、Model22のプラスチックフレネルレンズの焦点近くへ送った。これは、高速(約f/0.5)カスタムフレネルレンズ[RHK Japan Inc.日本、東京]であるため、様々な折り曲げミラーの非常に僅かな位置ずれ及び傾斜が、コリメーションの大きな誤差を生み出す恐れがあり、その後、何らかの画像の歪みにつながり、更に、例えば、画像上部の飽和した明赤色及び画像下部の飽和した明青色、又はその逆を達成することに何らかの困難を有するディスプレイにつながる恐れがある。この色の相違は、美的又は芸術的効果に使用可能だが、光学機器の慎重な整合と、(我々が行ったように)Model22の既存のビーム折り曲げミラーを、元の設計が意図したものより装着ポストから少し離して(したがってフレネルに少し近づけて)保持するスペーサの導入により低減又は除去することもできる。代わりに、所望の補正が、こうした構成要素の距離を増加させるものであった場合には、Model22の前にスペーサを導入し、フレネルレンズを観察者の方向に短い距離だけ移動させる。
このデモンストレーションでは、単純な平面鏡を追加して、Model22の筐体内の光を導き、主にModel22の全体的な奥行きを低減する目的で存在する既存の平面鏡を保持した。こうした鏡を使用して、この程度まで、又は更に大きな度合いまで光路を折り曲げることは利点を有する。例えば、より長い光路では、低速のコリメート光学機器の使用が可能となり、これは一般に、Model22において使用されるf/0.5フレネルレンズのような対応する高速要素よりもコストが低く、良好に機能する。更に、長い光路は、軸上光線が光源からホログラムフィルムまで移動する距離と、軸外光線が光源からホログラムフィルムまで移動する距離との間の比率の違いが少なくなることを意味し、これにより、軸上光線により照明される部分と比較して、軸外光線により照明されるホログラフ画像の部分の結果的な輝度の減少が低減され、これは、長い光路を有する軸外光線のコリメータに対する入射角が浅い場合に更に強化される効果である。しかしながら、長い光路を折り曲げない、或いは1度か2度しか折り曲げない場合、表示装置の全体的な奥行きは、商業的又は技術的に不合理又は不都合となる。しかしながら、幾つかの要因は、余りに頻繁又は急な光路の折り曲げに不利に働く。例えば、各ミラーは、反射防止コーティングされていても、入射した光の偏光依存部分のみを反射し、残りの光は吸収又は散乱され、或いはある程度偏光が解消され、画像の輝度及び画像のコントラストの全般的な損失につながるが、適切に挿入したバッフルにより、こうした散乱光の大部分又は全てを遮断して減衰させることができる。更に、白熱灯のように比較的エタンデュが高い光源では、大きな光路長が使用された場合、コリメータから見て小さな立体角を成す、又は成すように思われるため、コリメータにより捕らえることが可能な光源の光が少なくなる場合があり、したがって、暗いホログラフ画像が生じるが、但し、この悪影響の部分的補償として、光源がより小さく見えるため(この輝度の損失を相殺することを試みて、物理的に大きく、したがって一般的にはより明るい光源が使用されていない限り)、フィルム平面から外れたホログラム像点において高い解像度をもたらす理想点光源に近くなると思われる。
一般に、非常に大きな単一の折り曲げミラー(1方向又は2方向の広がりにおいて、コリメータ要素の最小寸法とほぼ同じ大きさ)を使用して、f/0.5コリメータであっても光路を折り曲げることが可能であり、これにより、理論的に最小となる装置の奥行きを、最大でも、自身の平面におけるコリメータ要素の短い方の直線範囲の半分にすることができる(即ち、コリメータの厚さの半分ではなく、これはフレネルレンズ、特にエンボス処理又は他の高ピッチフレネルレンズの場合、他の寸法に比較して非常に薄くすることが可能であり、例えば、Model22のフレネルの場合、約2.7mmである)。したがって、例えば、Model22内の14インチ×17インチのフレネルレンズコリメータを使用することにより、単一の鏡により、約14/2≒7インチ以下の奥行きに折り曲げることが可能となる。実際には、この場合でも一般に幾分大きな奥行きが必要となり、これは、折り曲げる光学機器と折り曲げられる光学機器自体が、一定の奥行きを有しており、一般には、位置決めのために何らかの形のホルダ、リテーナ、又はマウントを含んでおり、このホルダ、リテーナ、又はマウント自体が、一般に何らかの奥行きを有するためである。例えば、Model22の実際の奥行きは、約9インチである(オプションのハンドルを除く)。
図8A及び図8Bは、上述した修正型Model22の内部及び外観の例をそれぞれ示しており、図8Cは、この装置により光を当てたデモンストレーションのフルカラーホログラムの例を示している。
別のアプローチにおいて、本発明の視覚的及び商業的に魅力的な実施形態では、エタンデュが低い又は非常に低いLED又はレーザ光源を使用して、ホログラム又はホログラム群から物理的又は光学的に一定の実質的距離にあり、物理的又は光学的に実質的に軸外である光源(又は光源群)によるホログラム又はホログラム群の明るい照明を可能にし、本明細書において別の方法(図9A)として説明したVoxblock又はLCF等の異方性材料を使用することなく、ホログラム又はホログラム群を鑑賞し得るようにする。こうしたジオメトリにおいて、光源又は光源群は、十分な実際又は見掛けの距離から、ホログラム又はホログラム群の視野角内では見えない十分な実際又は見掛けの角度を成して照明することが可能であり、したがって、異方性材料は使用されない(但し、ディスプレイを不透明にして、ディスプレイの直後にある環境を観察者から直接見えなくする等、他の理由では依然として利点を有する場合もある)。こうしたシステムは、レーザ発光体(又は十分に狭帯域のLED)を使用し、分散補償を使用しない(但し、他の理由で利点を有する場合もある)本発明の色の態様に対しても実現可能であり、これは、各発光体の色を異なる光源から得ることが可能であり、それらの光源を所望の基準角度(例えば、REFr、REFg、及びREFb)又はその近くで発光するように位置決めでき、したがって、上述及びBazarganによる分散回折格子及び結果として生じる分散補償を省略し得るためである。各光源は、独立してコリメート可能であり、或いは、追加的なコリメーションが必要ないように十分に離してもよく、或いは、上述した輻輳補正を使用して、比較的近い点光源の発散を許容してもよい。
図9A及び図9Bは、垂直に取り付けられた直径約300mmの円形ホログラムの後方約705mm及び上方約1,057mmに位置する、緑色チャネル用の点光源である、ピークが530nm、FWHMが70nmの53ルーメンLED[品番LXHL−NM98“Luxeon Star/O”、Philips Lumileds、カリフォルニア州サンノゼ]からの折り曲げのない光路を使用した実施形態を示している。この例のLEDは、ピークが532nm、FWHMが10nmのダイクロイックフィルタ[品番N62−157、Edmund Optics、ニュージャージ州バーリントン]を使用して帯域を狭くして、この例ではホログラムの前方外側、約200mm乃至約300mmに延びる範囲内に位置するホログラムの詳細の鮮明さを改善する。このジオメトリの利点は、ホログラムの直後の空間が空いていることであり、一方、修正型Model22 Voxboxディスプレイを使用して説明した例では、この空間は、ホログラムに直接隣接して後方に位置するLCF/Voxblock、回折格子、及びフレネルレンズが占めており、更に後方は、鏡と、光学的に並んだ光源とが占めている。
こうしたホログラムディスプレイの心理的な影響は、強化される場合があり、これは(潜在的に隠された)発光体と機械的に接続されていない自立式ホログラムの場合、観察者は、どのように再生されているのか容易に判断できない或いは推測さえできないことが多いためである。一方、ホログラムの直後に箱、ケース、又はハウジング(Model22等)がある場合、観察者は、一般に、内部に隠された何らかの任意に複雑な機構又はトリックが存在すると想定する場合がある。更に、ホログラム後方の空間は、他の視覚効果又は機器用に使用し得る。例えば、この空間に位置する彫刻の顔等の物体は、通常は、別個に照明しない限り観察者には見えないため、こうした追加照明をオン/オフすることにより、驚くべき幻影を出現/消失させ得る。別の例として、ビデオカメラ、潜望鏡、覗き穴、又は他の観察又は記録手段をホログラム後方に上手く配置し、これを使用してホログラムの観察者を観察又は記録し、例えば、市場調査の目的でホログラムに対する観察者の反応をモニタしたり、観察者とホログラムとの間の相互作用、又は音声によるフィードバック/相互作用を提供するラウドスピーカ等のホログラムの補助的な対話型システム、又は上述したようなホログラム内の動作を制御又はトリガする手段を提供したりし得る。
例えば、図9Aのような配置の第1のホログラムと共に、又はそれに近接して第2のホログラムを取り付け、第2の発光体が第1のホログラムの前方に設けられ、両方のホログラムを介して後方を照らすようにして、このような第2のホログラムを回転させ、第2の発光体により再現されるが、図9Aの元の発光体では再現されないようにし、一方、第1のホログラムは元の発光体により再現されるが、第2の発光体では再現されないようにした場合、第1の観察者は、システムの一方の側から第1のホログラムを見ることができるが、ホログラムの反対側に位置する第2の観察者は、第2のホログラムが見えるが、第1のホログラムは見えない。2人の観察者は、どちらも照明されている場合にはお互いが見え、或いは、一方の観察者は、暗い場所に位置するか、覆いを掛ける等により隠されることで、他方から隠され、或いは、両方の観察者が暗い場所に位置するか、覆いを掛ける等により隠されることで、お互いに見えなくさせ得る。こうした隠された観察者は、例えば、連続的又は断続的に照明することにより、任意の時点で見せることが可能であり、他方の観察者のこうした幽霊のような幻影は、ホログラムと、観察者と、随意的には外部のオペレータ又は制御システム間の計画された又は即興の相互作用の一部として、出現又は消失させたり、或いは色又は輝度を変化させたりし得る。
照明源の説明に戻ると、上述したエタンデュの制限の問題は、低エタンデュLEDの使用により実質的に低減され、エタンデュの非常に低いレーザ光源を使用した場合、基本的に除去される。一例として、Mitsubishi L65−A90 LaserVueリアプロジェクションテレビ(RPTV)[Mitsubishi Digital Electronics America,Inc.カリフォルニア州アーバイン]は、レーザ光源(波長約447、532、及び640nm)を使用して、非球面軸外構成要素を組み入れた、緊密に折り曲げたビーム路を達成し、約10.1インチの筐体奥行き内で、即ち、上述した単純な単一の平面折り曲げミラーにより一般に達成可能な最善のものである1/2ではなく、コリメータの最小寸法の約1/3で、約57×32インチ(対角約65インチ)の内部コリメータを照射している。ホログラフィック光学素子(HOE)等の更に複雑な他の光学素子を使用して、このような装置において全体的な奥行きを更に浅くすることができる。光路の極めて緊密な折り曲げは、非球面又は軸外レンズ又はミラー又はHOEが無くとも、レーザ光源を使用することで一般には実質的に問題となることが少なくなり、更に、反射及び散乱損失を波長最適化及び偏光最適化コーティングの使用により低減することが可能であり、これは、レーザ光源の付加的な利点として、一般的には十分に、或いは少なくとも部分的に、レーザ光源が偏光されているためである。鏡からの全ての反射、及び(通常はより小さな度合いで)レンズ表面又はHOEの全ての散乱又は反射は、偏光依存性を有しており、偏光光源により良好に管理可能であり、偏光光源では、大幅の偏光について、一実施形態では、直交偏光状態のうち1つのみが、少なくとも最初に存在し、検討され、許容され得る。
1つ以上の色に狭帯域のレーザソースを使用することの潜在的な欠点は、結果的なレーザスペックルの存在及び視認される可能性である。実際には、本発明に関連して、レーザスペックルは予想されるほど問題ではない。異なる色を提供するため、或いは特定の色の光を多く提供するため、2つ以上のレーザが使用される場合、これらの単一のレーザ光源に対するスペックルは、たとえ顕著又は不愉快であっても、他のレーザ光源又は光源群からのスペックルが存在する場合に、それとは実質的に相関関係はなく、そのため一緒に見えることは少ない。更に、本発明のカラーホログラフディスプレイは、コヒーレンス長が非常に短いレーザにより実施可能であり、こうしたレーザは、一般に、成分ホログラムを記録(又はコピー)することに一般には適していないが、再生には全く問題ない。レーザスペックルを更に低減する又は実質的に除去することが望ましい場合は、それを行う市販の装置は、例えば、dyoptyka[アイルランド、ダブリン]から入手可能なスペックル除去装置等、費用効率が高く、本発明を組み込んだホログラム表示装置に都合よく組み込むことができる。
こうしたカラーホログラムの原理の本発明者のデモンストレーションは、直径約12インチのほぼ円形の使用フィルタを中心として、およそ高さ6インチ×幅7インチの四角形の領域で見えるホログラフ画像を提供する。黒いカードマスクをディスプレイの前面に付与して、この面積のフレームとする。しかしながら、一般に、フィルム及びフィルタの照明面積と、任意のマスク又は囲みとは、任意のサイズ及び形状にすることが可能であり、例えば、円形、楕円形、卵形、星形、或いは、文字、数字、又は他の表象若しくは記号の幾何学的形状等、四角形以外の形状が含まれる。これは、照明面積を所望の形状又はサイズに限定するように1枚以上のフィルム又はフィルタ(又はその囲み及び/又はマスク)の形状及びサイズを定めること、或いは、所望のサイズ又は形状を更に画成又は構築するようにアパーチャ又はマスクの形態の付加的な要素を導入することにより達成できる。一般に、小さなホログラムは、それほど明るくない光源を使用して十分な輝度で照明可能であり、例えば、電池での動作(或いは、ソーラーパワー等の自然エネルギによる動作)が可能となり得るが、大型のディスプレイは、より実質的な電源供給を含み得る。
本発明の利点は、フィルム/フィルタの積層体を上述したVoxbox Model22表示装置等の照明機構の前部に保持する又は取り付けることが可能であり、便利且つ簡単なホログラフ画像の入れ替えが可能となることである。表示デバイスの前部は、交換可能なカートリッジ、ホルダ、又はカセットの一時的な取り付けを可能にするように形成又は装備可能であり、カートリッジ、ホルダ、又はカセットは、フィルム又はフィルタを実質的に望ましい配置関係で保持すると共に、異なるホログラフコンテンツ又は色の異なる同じコンテンツを表示するために、取り外して、異なるフィルム及び/又はフィルタを収容する別の同様のカートリッジ、ホルダ、又はカセットと入れ替えることができる。こうしたカートリッジ、ホルダ、又はカセットは、フロントローディングその他の形で、特別又は特注の工具又はプロセスを使用して作動されるロッキング機構又は留め具により取り付け又は保持可能であり、カートリッジ、ホルダ、又はカセットの不慮又は無断の除去又は交換を防止し得る。同様に、フィルタを実質的に所定位置に保持するが、そのフィルタに隣接して配置されたフィルムの除去、交換、再配置、入れ替え、又は置き換えを可能にする機構又は固定具を設けてもよく、ここでも、ロック又はロック群又は特別な留め具を設けて、フィルムの不慮又は無断の除去、交換、再配置、入れ替え、又は置き換えを防止し得る。柔軟なフィルムに記録されたホログラムは、これにより実質的に平坦又は平面となる形で保持し得るが、出荷及び保管の都合により、丸める又は他の形で変形させ得る。一方、ガラス又は他の剛体又は半剛体材料に記録されたホログラムは、状況によっては取り扱いが容易であり、その高い剛性に依拠して、フィルム/フィルタ積層体の正確な組立及び運用の整合及び配向を行い得る。
本発明を組み込んだ表示装置、特に明るい光源を使用する装置、とりわけレーザ光源を使用するものについて、その近傍にいる或いはそれを見ることが可能な観察者、設置者、その他の者に対する安全機能として、光源を無効する、オフにする、或いはシャッタその他の介在ビーム遮断機構により隠すようにインターロックを設けることが可能であり、こうした安全機能は、光源への安全ではない露出の可能性につながり得る装置の状態を感知又は検出するセンサ及びスイッチ、例えば、正確な配置の有無、及び上述したカートリッジ、ホルダ、又はカセット或いはフィルム及びフィルタ自身の状態を検出するスイッチ、又は装置ハウジング内の1つ以上の位置における光の適切な、妥当な、又は予想されるレベル及び波長を検出するセンサ、又は筐体内の光源又は光源群からの光への(例えば、保守目的での)アクセスを可能にするアクセスハッチ又はカバーの開閉を検出するセンサ又はスイッチにリンクさせることができる。
こうしたカラーホログラムの原理の本発明者のデモンストレーションでは、修正型Model22 Voxboxディスプレイを使用しており、これは、一部分において、コンパクトさ、使いやすさ、光学機器の封入、及び使用の利便性に関してこれが体現する利点のためであり、その全ては本発明を使用して達成できる利点であるが、しかしながら、本発明では、本発明の構成部分が、個別に又は上述したように組み合わせて、本発明を利用する他の形態の表示装置に組み込むためのモジュラ部品としての有用性を有し得ることが期待される。例えば、上述したフィルム/フィルタ積層体、又はその部品、或いは上述したカートリッジ、ホルダ、又はカセット内に組み込まれる又は収容される、一個以上のこうした部品は、本明細書で説明した他の部品及び構成要素及びシステム及びプロセスの一部又は全部が無い状態で、提供され得る。特に、本発明は、ホログラム表示デバイスを構築、実装、又は修理するため、或いは、ホログラフ表示機能を他の装置、例えば、売店、自動販売機、広告及び販促表示、スロットマシーン、ポスタ、ゲーム、情報ディスプレイ、玩具、及び芸術作品に追加するために、他者により使用される部品のモジュール又はキットの形態で製造又は販売し得る。
こうしたカラーホログラムの原理の本発明者のデモンストレーションでは、ほぼHartの説明のように作成された成分ホログラムを使用した。しかしながら、本明細書で説明した基本的な色の発明は、各成分ホログラムのz軸線スケールがBazarganの特定した長手方向の色度の欠陥を十分に許容する又は利用するような状態であることを条件に、他の方法で作成されたホログラムでも使用し得る。
例えば、ステレオリソグラフィプロセスを使用して、CADモデル又は他の3次元コンピュータデータを、固化フォトポリマ、燒結金属、又はラミネート紙等の材料から成る個体の物理的モデル、形態、物体に変換又は「プリント」し得る(こうした広範なシステムは、上記及び他の材料を使用して商業的又は実験的に実現されており、こうした機器の使用は、通常、デスクトップマニュファクチャリング又はDTMと呼ばれる)。こうしたDTMプロセスにおいて、ソースデータ又はモデルは、一般に、プリント前に操作可能であり、例えば、縮尺を1つ以上の次元で変更したり、1つの次元において縮尺を異なるものにしたりできるため、本発明の色依存zスケーリングを達成することができる。例えば、建物のモデルを、2つの次元で実物大から実物大の約1%まで縮小し、他の次元では1.66%まで縮小し得る。このプロセスを繰り返すことで、3つの次元のうち2つでは実質的に同じ縮尺だが、第3の次元において様々な縮尺を有する一組のモデルを製造し得ることになり、例えば、各モデルが2つの次元で約1%に縮小され、第3の次元は、第1のモデルが約1.66%、第2のモデルが約1.0%、第3のモデルが約0.71%に縮小された組を製造し得る。これらの1.66%、1.0%、及び0.71%という値は、以前のBazarganのz軸線計算の例において使用した、約166%、100%、及び71%の値と同じ相対比率である。ここで3つのホログラムが作成され、1つずつのモデルは、それぞれ実質的に同じ記録ジオメトリ及びプロセスを使用し、各モデルは、ホログラフ記録材料に対して、縮尺が変化する次元が記録材料に対して実質的に垂直になるように配向され、必要であれば、再生時にフィルム/フィルタ間の物理的及び光学的間隔を補償することが望ましいものとして、上述したz軸線オフセットに対応する量だけ、その軸線に沿ってオフセットされる場合、本発明の色の態様を利用した再生システムにおけるそのフィルムの再生時、ホログラフ画像は、長手方向の色度変化に影響される。z軸線に沿って約1.66%スケールで記録されたモデルは、実質的に第1の色により約1.0%のz軸線スケールで再生され、約1.0%のz軸線で記録されたモデルは、実質的に第2の色により約1.0%のz軸線スケールで再生され、z軸線に沿って約0.71%スケールで記録されたモデルは、実質的に第3の色により約1.0%のz軸線スケールで再生される。したがって、各モデルの対応する像点は、結合されたホログラフの再現及びグレイスケールホログラフ表現において重なり、元のCADモデルは、3つ全ての次元で約1%の一致したスケールで観察される。
2つ以上の色又は1色以上の陰影、或いは、視覚的に異なって見える又はレーザ光と異なる形で作用する表面テクスチャ又は仕上げを有する物体を生成可能な幾つかのDTMプロセスが利用可能であり、上述した3つのzスケールの異なる物体のそれぞれをプリントする前に、CADモデル又は他の3次元コンピュータデータを再着色し得る。そのため、例えば、元のデータが特定の点又は領域に対して青色を記述した範囲において、その点又は領域を、異なる灰色の陰影又は異なる色、或いは異なる表面テクスチャ又は仕上げでプリントし、そのホログラムを記録するために使用されたレーザ光を照射した時、元々は暗青色に着色されるように意図された点よりも、元々は明青色に着色されるように意図された点が、レーザの光の下で明るく(或いは、偏光フィルタを介して見た時に明るく)見えるようにすることができる。この再カラー化は、手動で、又はソフトウェアにおいて自動で実行可能であり、或いは、プリント又は他の方法で製造された物体に、修正された表面色、陰影、テクスチャ、又は仕上げをペイントするか、他の形で与えることが可能であり、上述したようにレーザにより見た時に、物体のそれぞれが、その物体のホログラムを再現する際に使用されるべき色について意図された相対輝度を実質的に表現するようにすることができる。これにより、上述したような我々の発明の色の態様を使用して、こうした物体のホログラムが作成及び鑑賞された時、個々の物体がそのように扱われなかった時に生じるグレイスケール又は単色画像ではなく、元のCADモデル又は他の3次元コンピュータデータのカラーホログラフ画像を見ることができる。
或いは、このプロセスに適した物体は、説明したz軸線スケーリング無しで、或いは幾分又は実質的に不正確なzスケーリングと共に利用してもよい。こうした物体も、z軸線に沿った見掛けの深度を変更する追加手段を使用することにより、上述したように記録及び再生し得る。例えば、圧縮可能な物体は、機械的に、或いは、異方性の熱的特性を有する材料又は材料群からなる場合は熱処理により、1つの次元に沿って物理的に縮小又は伸長し得る。また、拡大又は縮小レンズ、ミラー、又は他の光学機器といった光学的手段も使用し得る。また、こうした物体は、1つの次元に沿った見掛けの深度が変化するように、適度に透明な液体又は気体(後で凍結、ゲル化、又は他の形で部分的又は完全に固化し得るもの)に浸してもよい。
CADアプリケーションにおいては、設計の異なる様相に対する異なる色のような印を使用することが一般的である。例えば、1つの色、陰、又はパターンをガラス部分に使用し、別の色、陰、又はパターンを金属部分に使用し得る。また、こうした様々な表現を使用して、仕上げ又は公差設定の違いを示し得る。何れの場合も、こうした印は、本発明により作成したホログラムにおいて、ソースCADシステムにおいて使用されるであろうものと同じ色、又は異なる色の選択によりコード化された色にしてよい。更に、CADデータセット(又は他のデータセット)の2つの部分が、異なるホログラムにカラーで記録され、一方のホログラムの他方に対する並進及び/又は回転を可能にする表示用の装置又は仕組みにおいて見る場合、ホログラムが重なって見え、その色が付加的に混合され、体積が集積する(後述)場所では、輝度が増加する。例えば、2つの部品の機械的干渉は、こうしたホログラムを調整して、それぞれの部品の画像を実質的に意図された相対位置にした時に、こうした混合色又は輝度が上昇した領域に注意することで検出できる。同様に、実際の部品(例えば、この目的又は他の目的で発見、選択、又は製造された、機械、鉱物、又は有機部品)をホログラムの再生体積に挿入して、ホログラム体積の特定の領域を占め、したがってその領域内の光を遮断するようにし、このようにして、実際の部品と、例えば、ホログラム内でのその表現、或いはホログラフ内の他の部分又は特徴部の表現との間で比較を行い得る。非CADの例として、ホログラムは、希少又は貴重な芸術又は文化作品を表示するために使用し得ると共に、更には、完全な又は復元された芸術又は建築作品のホログラフを、実際の不完全又は損傷のある芸術作品又は建物(又はそのスケールモデル)が占める体積内で再生可能であり、例えば、ミロのビーナス[アンティオキアのアレクサンドロスによる]の失われた腕を復元し得る。別の例として、教育又は訓練の目的で、部分的な機構又は損傷した又は未完成の部分を、ホログラムの再生体積内へ挿入し、ホログラムの可視部分により、制御又は追加部分をどのように追加又は調節して、使用する機構を完成又は準備するべきか、或いは、仕上げプロセスをどのように実行するべきかを静的又は動的なコンテンツにより実演又は教示し得る。
特定の実施形態では、上述したカラーホログラムの方法及び例において、成分ホログラムは、6空間自由度において十分に整合していなくてもよい。例えば、青色ホログラムが再生時の好ましい位置から回転及び/又は並進した不十分な整合が生じた場合、観察されるホログラフ画像の全ての青色コンテンツは、同様に回転及び/又は並進している(画像における回転及び/又は並進の正確な程度は、z軸線スケーリング及び他の潜在的な光学収差及び歪みのため、一般に、成分ホログラムの物理的な回転及び/又は並進と正確には一致しない)。この例において、最終画像の青色コンテンツの回転及び/又は並進は、全般的な誤着色、及び青色コンテンツを有していた又は現在有している画像内の全ての点又は領域の全般的に不正確な強度として見え、特に、青色のゴースト像が、一般に、画像の1つ以上の側(左側又は前側等)に向かって見え、一般的に反対側又は複数の側のほぼ対応する領域では、青色の完全又は部分的な欠如が、光学的な補色のゴーストとして知覚される。本発明者は、例えば、画像化された物体又は場面の縁部の賢明な再着色又は脱色により、こうした挙動が予期又は許される画像、又はこの挙動が自然に見える、或いは美的又は芸術的に望ましい画像では特に、少量のこうしたミスレジストレーションは、視覚的に目立たない、或いは許容できると判断した。しかしながら、一般には、こうしたミスレジストレーションは、最小化又は除去するべきであり、これは例えば、1つ以上の成分ホログラムの回転及び/又は並進を提供し、再生画像を十分なレジストレーションへ復帰させる機械的又は光学的手段により達成できる。例えば、個別の成分ホログラムを、組立中に、その平面においてスライドさせるか、或いは、その平面の外へ移動させてよい。何らかの理由で、ミスレジストレーションが予測可能である場合、例えば、コンピュータデータ内の点又は座標の離散的又は近似的性質から、十分に正確なレジストレーションを他の方法で達成できない場合、光学的に実質的に対応するが正反対のミスレジストレーションを、記録中に成分ホログラムに意図的に導入することができる。したがって、十分なレジストレーションは、光学的又は機械的に、設計又はその後の調整の何れかにより達成し得る。こうした調整は、合成カラー画像の観察者により視覚的に誘導すること、或いは、例えば、カメラ及び画像処理システム等の機械視覚設備により、完全又は部分的に自動化することができる。こうしたレジストレーション調整を回避又は最小化するために、成分フィルムは、レジストレーションピン及びレジストレーション面といった機械的なレジストレーション手段により、及び/又はこれを使用して又は取り入れて、製造し得る。こうした任意のレジストレーション調整を簡略化又は高速化するために、或いは、こうした任意の調整が望ましい場合に、その度合いを示す又は決定するために、付加的な点、マーク、又は構造を、任意の2つ以上の成分ホログラムに記録された物体又はデータ内に含めるか、或いは隣接した状態としてよく、こうした点、マーク、又は構造は、不整合のおおよその範囲、性質、及び度合いを視覚的又は光学的に明らかにする基準として機能する。
我々のデモンストレーションの例において使用したHartのマルチスライスホログラム記録方法では、通常、各スライス間に個別の隙間を有するホログラムが生じるが、この効果は、この方法において記録された拡散画像自体が並進の軸線に沿った深度を有する場合、例えば、基本的に2次元のディフューザではなく、拡散する材料の体積を使用することにより、低減又は除去することができる。こうした隙間は、本発明の色の態様により形成された成分ホログラム又はホログラフ画像において、視覚的に邪魔又は不快、或いは他の形で望ましくない場合がある。後述するような本発明のオクルージョンの態様を使用して、こうした隙間を低減又は除去することができる。しかしながら、本発明者は、十分なオクルージョンが無い場合、こうした隙間の視認度は、変数の中で特に、スライスの数及び分布と、観察者のz識別能と、再生されたホログラフ画像において達成されるz解像度とに応じて決まると判断しており、特に、z解像度は、再生光の帯域が減ると共に一般に増加するため、例えば、本発明において、z解像度、したがってスライス間の隙間の視認性は、帯域幅の広いLED光源又は広帯域のフィルタ処理済み白色光ではなく、狭帯域幅のレーザソースが使用される場合に増加する。
一般に、他の理由から、高いz解像度、したがって鮮明さを保持することが望ましく、そのため、LED又は特にレーザ等の狭い帯域幅の再生光源を使用することが望ましく、したがって、こうしたスライス間の隙間の視認を低減又は除去することが一般に望ましい。オクルージョンに加えて、又はその代わりに、これを達成するために本発明者が使用した方法の1つは、使用されるスライスの数を増やすことにより、スライス間の実際の隙間を減らすことである。同様に、スライス間の隙間が発生する位置を、スライス単位で有利に調整し、例えば、比較的滑らかな、均一な、又は粗さのない画像の範囲又は領域において、例えば、スライス間の隙間の視認度が大きくなることが予測される又は観察される場所では、スライスの間隔を近接させ得る。更に、本発明のz軸線の長手方向の色補正が、実際には全体として不完全である場合、最終的なホログラフ画像内に、補正が悪化したことからスライス間の隙間が見えにくい領域が存在し得るため、こうした領域では、粗いスライスを使用し得る。特に、再現光源又は光源群が、事実上無限小の点光源から発するように見えるのではなく、有限の広がりを有する又は有するように見える場合(特に非レーザ光源では一般的なケース)、再現されたホログラフ画像の解像度は、それらを再生するホログラフィックフィルムからの像点の距離にほぼ比例して下落するため、事実上、ホログラムは、再生フィルムに近いほど、より鮮明でコントラストが強くなるか、或いはそのように見え(更に、より明るい又は他の良好な状態になるか、或いは少なくとも、そのように見えると観察者が描写する場合が多い)、したがって、成分フィルム又はフィルム群に近いと思われる又は実際に近い画像領域及び体積において、より間隔が密接したスライスを有利に使用し得る。しかしながら、例えば、ホログラム製造のコスト及び時間を低減するために、スライスの総数を減らす、或いは、特定の位置にスライスを配置するのを回避することが利点を有する場合もあり、このような場合、視覚的及び経済的に満足のいくバランスを求めるべきである。
上記及び他の効果及び手法を使用して、こうしたスライス間の隙間の数、視認度、又は視覚的重要性を低減する(或いは、望ましい場合には、増強する)ことが可能であり、これらの効果及び手法は、互いに有利な形で組み合わせることができる。例えば、成分ホログラムのそれぞれにおいて好きな位置を選択し、z軸線スケーリング及び任意のz軸線オフセットを考慮した後、1つ以上の色のスライスを、再生時に他の1つ以上の色のスライス間に位置決めし得る。別の例において、スライスは、それらが見えやすい、又は視覚的により顕著となる、ホログラフ画像の特定の領域又は体積における望ましくない視覚効果を低減するために配置又は再配置し得る。こうした再配置は、ホログラム記録中のスライス位置の手動調整、又はスライスの位置を決定するはずであるコンピュータデータ又は処理の手動調整、又は例えば、エッジ、テクスチャ、又は厚さ判定を使用する自動又は手動誘導プロセスにより達成し、画像内でスライスを最も有利に配置し得る場所を選択し得る。
更に、記録されたスライス画像、又はDTM手法が使用された場合の記録物体の正確な形状及びサイズは、合成ホログラフ画像の外観を最適化するために調整し得る。例えば、各スライスにおいて記録されるべき画像の領域のエッジ(図10A)は、「フェザリング」(図10B)、ソフト化/拡散(図10C)、或いは「増大」又は延長(図10D)を行い、再生時に、この成分ホログラム又は他の成分ホログラムの他のスライスと連動して、スライシングの視覚的に望ましくない効果を低減(或いは、望ましい場合には強化)し得る。本発明者は、例えば、各スライスの照明された画像領域を適切な量だけ増大させる場合、スライス間の隙間は、スライスの見掛け又は実際の重複として見えるようになり、2枚以上のスライスが部分的又は完全に加算されて、重複領域の輝度を増加させ、この増加した輝度は、数枚のスライスが輝度を高めることに寄与する場合は、非常に僅かな視覚効果となるものであり、特にホログラムを軸外の位置から観察する時には、一般に、他の場合にスライス間に現れる暗い隙間に比べて、目立ちにくく、視覚的に邪魔にならず、或いは気にならない。何れの場合も、暗い隙間又は輝度が強くなった領域は、観察者の視点が変化すると、再生されたホログラフ画像の周りを動くように見え、観察者がホログラフ画像を観察する角度が変化すると、拡がったり狭くなったりし、殆どの観察者は、2つの眼を有し使用するため、こうした隙間又は増強に気付く能力と、これが視覚的に邪魔になる又は気になる度合いとには、立体的な差異が存在する。
エッジの増大、フェザリング、拡大等のステップは、選択的又は全体的な焦点のぼかし又は拡散のような光学的効果により達成し得るものであり、或いは、例えば、ImageJ又はAfter Effects[Adobe Systems Inc.カリフォルニア州サンノゼ]等の画像処理又は操作プログラムにおいて、自動的に又は手動誘導により施した2次元手順として、例えば、隣接する画像のペアを平均化することにより実施し得る。こうした2次元の画像操作の3次元での類似処理は、一定の量のデータ又はデータの3次元配列を処理可能なImageJ等のプログラムにおいて達成し得る。z軸線における画像コンテンツ内のスライス間の変動を計算又は他の方法で決定し、これを使用することで、元のスライスが表現するデータ、物体、又は場面内の体積からシェル化又は空洞化を達成し得る(図10E)。このように保持されたシェルの厚さは、手動又は自動で適応的に調整し、スライス間効果を低減(又は望ましい場合は強化)し得る。一般に、厚いシェルは、場面内の物体のエッジ及び表面及びその周囲に、大きな体積の積み重ね(後述)も発生させるため、一般には、結果的に生じたホログラムにおいて、そのエッジ及び表面の輝度、鮮明さ、及びコントラストを増加させる。更に、重複を増加させることにより、厚いシェルは、一般に、滑らかで連続した外観を維持するために必要なスライスの数も減少させ、少数のスライスの使用により、一般には、より明るくコントラストの強いホログラムが生じる。
3次元データを、Maya[Autodesk Inc.カリフォルニア州サンラファエル]等のレンダリングプログラム又はSolidWorks[Dassault Systemes SolidWorks Corp.マサチューセッツ州コンコード]等のモデリングプログラムにおいて、CAD或いは表面又は個体モデリングの形態で合成又は操作可能である場合、スライス及びスライス間の隙間の視認性を低減(又は望ましい場合は強化)する望ましい効果を達成するために、基礎モデル或いはその表現又はレンダリングの適切な操作を得ることが可能であり、したがって、例えば、Mayaモデルの表面は、適切な方法及び/又は方向で、粗化又は膨張させ得るか、或いはソフトな表面によりレンダリングし得る。このような場合、或いは、それ自体がHartの考えたような一組の2次元画像の形態ではない、或いはその形態に簡単に変換可能ではないモデル、数学的表現、又はデータセットにより所望のホログラフ画像が表現される任意の状況では、その2次元画像へ、或いは、Hartの考えたような一組の2次元画像の形態に簡単に変換可能な中間表現への「スライシング」又は「スラビング」を得る方法を有することが望ましい。
こうしたスライシングに適した方法は、対象のモデル、データ、或いは他の3次元情報又は記述と共に、プログラム内でレンダリング可能な有限の厚さのスラブ又は壁をプログラム内でモデル化し、プログラムの能力、又は適切なアドイン又はサービスを使用して、スラブ又は壁と、実質的に同じサブボリューム内に存在するものとして表現されるモデル、データ、或いは他の3次元情報又は記述の一部又は複数の部分とが占める3次元空間の共通のサブボリュームをレンダリングすることである。これは、コンストラクティブソリッドジオメトリ(CSG)交差演算として考えられ、場合によっては、こうした演算として実施し得る。この演算は、CSGプロセスによるか、他の形で実施されるかを問わず、3次元体積全体を一掃すると考えられる一組のスラブ又は壁の位置に対して、或いはモデル、データ、或いは他の3次元情報又は記述に一部又は全部が占められる3次元体積全体の少なくとも選択された部分に位置する一組のスラブ又は壁の位置に対して反復される。こうした各交差演算により、モデル、データ、或いは他の3次元情報又は記述を表すレンダリング又はレンダリング可能なサブボリュームが生じる。これは、事実上、X線に対する被験者の空間的に変動する影響(したがって、ほぼ被験者の密度分布)をサンプリングするX線の回転ビーム、扇、又は射線と交差させて移動させることにより、患者の身体等の実在の物体をスライスしてデータ画像にするコンピュータ断層撮影のプロセスに類似すると考えられる。スラビングの別の実施例では、場面又は物体の一連の隣接又は幾分重複したソフトエッジの平坦なサブボリュームをレンダリングする傾斜レンダラを使用して所望の効果をもたらす。これはスラビング機能を提供し、制御可能な度合いのエッジソフト化を達成するという利点を有し、例えば、本発明者は、短い(約20行のコード)MEL(Maya埋め込み言語)スクリプトとして、この方法を実施した。Maya又はSolidWorks等のプログラムにおいて、例えば、元のモデル、データ、或いは他の3次元情報又は記述の幾分縮小したバージョンを減算又は消去或いは他の形で除去することにより生成可能なシェル化オブジェクトでは、スラビング処理により、上述した所望のスライス間重複を有することが可能なスライス画像が必然的に生じる。図11Aは、Mayaにおいてモデル化及びレンダリングした漫画のカニの「キャラクタ」の例を示しており、図11Bは、傾斜レンダラ手法を使用して、このモデルから得られた一組の緑色スライスの例を示している。図11Cは、カラーホログラムとして再現したキャラクタを示している。
このスラビング方法の代替的アプローチは、Maya等のプログラムにおいて一般的な機能である、前方及び後方クリップ平面を使用することであり、これは、2枚の規定された平面間で見つかった要素のみをレンダリングするようにプログラムに指示するソフトウェア調整である。しかしながら、本発明者の経験としてMayaの少なくとも一定のバージョンを含む特定のプログラムにおける、この機能の詳細な実施は、少なくとも2つの理由から、本明細書で説明したスラビングの目的に不適切となり得る。第1に、一部の実施例では、2平面間で全体的ではなく部分的に見つかった要素の不規則な処理が生じる。こうした要素は、レンダリングから除外してよく、或いはクリップ平面でクリッピングせずに含めてもよい。第2に、クリップ平面(又はその一方)のレンダリングは、例えば、その使用により、クリッピングされたオブジェクトの内部が見えるようになる時等に、不適切となる場合がある。クリップ平面の概念のカスタム又はセミカスタムの実施を使用して、こうした制限が克服できる場合もあり、或いは、上述したCSG法又は傾斜レンダリングが好適な場合もある。何れの場合も、或いは他の任意のスラビング方法においても、上述したシェル化を使用して上述した所望のスライス間重複を得ることが可能であり、或いは、この重複は、そのように生成されたスラブを、平行な前面及び後面又は非平行な前面及び後面により画成されているかを問わず、例えば、スラブnの前面及び背面がそれぞれスラブn−1及びスラブn+1のほぼ中心に位置するように3次元において部分的に重複させることにより達成可能となる。
実質的に平行且つ平坦なスライスを得るための計算的なスラビング又はスライシング(或いは、コンピュータ断層撮影走査等の走査手段、或いはミクロトーム又は共焦点走査した試料断面をそれぞれ記録した一連の画像の集合等の物理的スライシング手段により実質的に平行且つ平坦なスライスを得ること)の代わりとして、実質的に平行ではない及び/又は実質的に平坦ではない一連の画像を計算的に(或いは適切なスキャナ或いは物理的又は光学的な区分化により)得ることも可能である。こうした画像も、最初に、実質的に平行且つ平坦なスライスとして計算的に再サンプリングする場合、或いは(実質的に非平面なスライスの場合)Hartの平面(平坦)拡散スクリーンを、非平坦スライスとして、実質的に同じ形状の非平坦拡散スクリーンに置き換える、及び/又は(実質的に非平行なスライスの場合)Hartの拡散スクリーンのトラック又は運動を修正して、一連の対応する非平行スクリーン位置を生成し、これらの位置により、結果的に生じたスクリーン位置の連続が1つ以上の点において、又は1つ以上の線又は面に沿って、交差するようにする場合に、実質的にHartの方法に従って本発明のホログラムを作成するために使用し得る。
例えば、円筒形の物体(ソーダ缶等)のホログラムをHartに従って記録するには、缶のコンピュータモデル(又は缶自体)をスライスして、それぞれが缶の1平行断面を表す多数の画像とし、そのそれぞれを、Hartの平面拡散スクリーン上で表現されるようにホログラフ的に連続して記録する。或いは、缶の前面の形状に凹ませた(刻まれた缶の形状を硬化時に保持する軟化プラスチックシートディフューザに缶を押し付けたような)拡散スクリーンを使用し、適切に歪ませた缶の前面の画像を、この缶形状のディフューザに投影して、缶の形状(「ジオメトリ」)(即ち、缶形状のスクリーンのジオメトリ)と、缶表面の詳細(その「フォトメトリ」)(即ち、缶表面の画像)との両方をホログラフ的に記録するために、単一のホログラフ記録で十分となるようにし得る。このように作成されたホログラムは、一般に、複数のホログラフ露光を使用せず、一般に、スライスの重複の影響を示さない。このように作成されたホログラムは、上述したような厚い拡散スクリーンを使用して、或いは、例えば、より小さな画像が投影される小さな凹みを第2のこうしたスクリーンが有している2枚以上の入れ子のスクリーンを使用して、事実上、より大きな輝度でシェル化することができる。このプロセスは、例えば異なるブランドのソーダ缶又はシリアルパック等、形状及びサイズの小セットの1つを共有しており、標準スクリーンの小セットを保持して必要に応じて使用可能な物体を、本発明に関連するホログラムとして記録するために特に有利である。
別の例として、平面だが非平行のスライスを、医療用超音波スキャナにより扇のように普通に収集し、扇状に配置された画像を、同様の扇状の一連の位置にそれ自体を配置可能な拡散スクリーンを使用して、本発明に関連してホログラフ的にプリントし得る。更に一般的なケースにおいて、平面又は非平面拡散スクリーンは、ロボットアーム又は6脚マウント等の一般的な位置決め装置により、このスクリーンを6空間自由度までを備えた空間において位置決めし得るように貼り付け又は他の形で位置決めしてよく、こうしたスクリーンは、光ファイバを経由して送ったパルスレーザからの光を使用して、Hartが説明したような像により有利な形で照明し得る。
スライシング/スラビングの前又は後には、結果的に生じるホログラムにおいて、ホログラムに記録された、より近い2次元画像内の他の明るい領域の陰になる明るい領域が、結果的に生じた各2次元画像に存在する場合、これを除去する後面カリング走査を実行することが利点を有する。これはHartが予想した(及びHartが説明していない)臨床上のデータには一般的に望ましくなく、ゴーストのような外観(内側の物体及び詳細と、物体の後部及び詳細とが、外側及び前方の物体及び詳細を通して見える)は、放射線データでは一般に利点を有する。これは他の種類の画像コンテンツには該当しない場合もあり、したがって、明るい後方領域の除去は、こうしたゴーストのようなもの及び後述する体積の積み重ねの効果を防止する上で利点を有し得る。何かの後ろにあるものとして観察者に何が見えるかは、観察者のホログラム内への視点に依存しており、観察者(及び/又はホログラフ動画の場合はホログラム内のコンテンツ)が移動するにしたがって変化し、何れの場合も、一般的には、立体視している眼毎に異なるため、この後面カリングは、一般的には完全に実行可能なプロセスではない。しかしながら、実際には、ホログラフ画像の中心軸線(z軸線)に沿って平面視で観察する観察者に見えるはずである後方領域を除去することにより、視覚的に満足のいく結果が一般に得られ、これは、単純な画家のアルゴリズムを使用して達成し得るものであり、このアルゴリズムは、本発明者が作成したデモンストレーションホログラムにおいて、少量の手動調整(望ましくないと思える隙間又は明るい領域を手書きで描き加える又は消去する)により補正したImageJのマクロとして実施され、手動調整は、後述するDaltonの通りに、同じくImageJマクロとして実施されたSimgram画像(後述するように、こうしたホログラムのシミュレーション)によりガイドした。この例は、図10Bにおいて、例えば、カニの身体が脚を通して見えるスライスにおいて確認し得る。
Maya及びSolidWorks(及び他の同様のプログラム及び開発環境)は、共に、レンダリング及びモデリング用のツール及び方法を、直接的に、或いは、利用可能なプラグイン又は追加の補完プログラム又はサービスにより、包含及びサポートする。本明細書で使用した「Maya」及び「SolidWorks」の名称は、これら及び他の同様又は特定のツール及び方法の排他的な使用を意味すると理解するべきではなく、保証又は推奨でもないが、カスタムスクリプトによる傾斜レンダラ形式のスラビングを含め、本明細書で説明した本発明者のデモンストレーションの一部にはMayaを使用した。
上述したスラビング、後面カリング、及びフェザリング等の動作をシミュレート又は実行し、ホログラムを望むオペレータ、デザイナ、又はクライアントへ視覚的なフィードバックを行い、オペレータ、デザイナ、又はクライアントが、動作を様々な形で又は様々な制御パラメータで実行した時の最終的なホログラムへの影響を制御、操作、誘導、又は判断することができるプレビュー環境を提供すること、又はそれ対するアクセスを有することが望ましい。或いは、多数の数値測定基準を定義し、アルゴリズム又は制御パラメータの任意の特定の選択に対して測定基準を決定又は推定可能とし、最適化又は検索手順を自動的に又は手動誘導により実行して、最善、好適、又は十分な選択を発見できるようにし得る。
理想的には、こうしたプレビュー環境又は測定基準に基づく最適化は、Maya又はSolidWorksの内部で、或いはそのプラグイン又はサービスとして実施されるべきであり、或いは、過度な訓練又は習熟無しに新しいプログラム又は開発環境又はその機能により生産を行えるような、オペレータ、デザイナ、又はクライアントに都合のよい、又は熟知している他の何らかのプログラム又は開発環境となる。
理想的には、こうしたプレビュー環境又は測定基準に基づく最適化は、本明細書で説明した(随意的にオクルージョンを含む)、或いは、存在する又は起こり得る又は可能性があると他の形で判断される、他のホログラフ及び光学効果の全て又は殆どを更に取り入れるべきであり、例えば、成分ホログラムの限定された視野角、その限定された又は不完全なカラーレンダリング、上述した緑色ミラー効果、色の付いたゴースト及び影、及び他のアーチファクトがこれに相当し、これらを発生させると予測される、発生させると思われる、或いは発生させる可能性が少しでもある又は発生させると見込まれるものは、光学部品間の不整合及び相互反射と、色再現光源の波長と、環境光源と、スラビングプロセスと、ホログラムの被写体に対する他の必要な又は望ましい近似又は表現の修正と、z軸線スケーリング及びオフセット計算の誤差、簡略化、又は修正と、ホログラフ画像を記録又は再現するために使用される機械的又は光学的構成要素の何れかの意図的又はそうではない揺動又は他の運動と、観察者の眼の様々な位置及び性能特性により生じる立体効果を含め、観察者が移動可能な、或いは移動を選択し得る、必要とし得る、又は移動可能となり得る空間のサイズ及び範囲と比較した時に、実際のサイズ及び範囲により生じるホログラフ画像により範囲を定められる限られた角度と、この特定の効果を低減又は除去するためのプロセス及び装置を提供するHart2[米国特許第6,441,930号]において説明される任意の度合いのホログラフターゲティングとである。例えば、オペレータ、デザイナ、又はクライアントは、例えばiZ3D[iZ3D、LLC、カリフォルニア州サンディアゴ]等の立体LCDディスプレイのような立体視能力を準備又は装備し得るとともに、その頭部及び/又は眼の位置は、例えばUM−5トラッカ[RuCap、ロシア、モスクワ]等の超音波トラッカを使用して、追跡、識別、又は推定し得る。
プレビュー環境又は測定基準に基づく最適化に組み込むことで有益となり得る特定の光学効果は、Hartの方法における様々なスライスからの光の視覚的な結合の仕方であり、これを行う方法及び装置は、本発明において使用される種類のホログラムの外観をシミュレートする「Simgram」画像及び動画の生成及び使用を説明するDalton[米国特許第6,748,347号及び第6,123,733号]により提供される。Daltonは、Hartによるスーパーブロッキングの効果も含む。これは、スライス間重複を達成するため、輝度を増加させるため、或いは他の何らかの理由で(本明細書で説明した)シェル化を使用する時に特に有用である。
本発明者は、本発明の2枚以上のホログラムフィルムを使用することの複合効果により、Hart2において説明されるホログラフターゲティングが一般に低減され或いは除去されることを観察しており、これは、埃及びフィルム、フィルタ、及び他の光学部品に対する物理的損傷等、他のホログラフ及び製造アーチファクトの場合と同様であり、こうしたアーチファクトは、別の色の対応するフィルム、フィルタ、又は部品に同様に存在しない限り、単一色のコンテンツのみに影響する場合が多く、こうした埃又は損傷を受けた領域により、その色が生成されない場合もある。
本発明者は、2枚以上のスライスが重複するデータでは、Hart2において説明されるホログラフターゲティングが一般に強く、より明確に見え、一般には、厚くシェル化したデータにおいて特にそうであることを観察した。実際には、Hart2の方法及び装置は、こうした度合いのターゲティングも実質的に除去可能であり、例えば、本発明者は、ターゲティングは、厚くシェル化したデータのホログラムにおいても、レーザ照明下(広帯域照明下より遥かに顕著にターゲティングが見える)であっても、例えば、z軸線又は深度軸線において約2mmのスライス間隔では、x軸線又はy軸線(Hart2において拡散スクリーンの平面に実質的に平行な軸線)において約4mmの増分スクリーン並進移動をスライス露光間に行い、約4mm以上の変化後にのみスクリーンが実質的に元のx位置に戻るようにした場合、基本的に見えなくすることが可能であると判断した。こうしたシーケンスの例は、任意のx値がz値の約10mmの変化後にのみ反復される4:0、2:8、0:16、−2:−16、−4:−8、−6:0のようなシーケンスに従った(mmを単位とし、任意の原点と相対的な)z:xペアである。
プレビュー環境又は測定基準に基づく最適化は、更に、オペレータ、デザイナ、又はクライアントが使用目的に最適化されたホログラフ画像又は画像群を作成することを許可し、促進し、可能とするために、特定用途向けにし得る一組の設計規則を取り入れるか、或いはこれにより補完するべきである。例えば、外科医、放射線科医、又は研究者には、動脈血流を赤の陰影で、静脈血流を青の陰影でレンダリングすることを推奨、案内、又は強制し得る。別の例として、地球物理学者には、様々な岩の種類を一般に受け入れられ理解された色でレンダリングすることを推奨、案内、又は強制し得る。別の例として、広告主には、特定の色又は陰影を避けること、或いは、他の形ではホログラフ画像において満足のいく形で作成できないことから、ロゴの着色、デザイン、又は配置に補正調整を施すことを推奨、案内、又は強制し得る。別の例として、建築家は、例えば、ホテルのロビーの中、又は太陽に照らされた映画館の外壁等、特定の、一般的な、或いは公知又は予想の照明条件下にある特定の場所又は建物に位置する特定の再生ハードウェア(又はその近似)を使用して見えるように、或いは、店のウィンドウの後方に表示装置を配置し、ウィンドウの反対側に部分的に又は完全にホログラフ画像が見えるように、ホログラフ画像の外観をシミュレーションで示し得るため、例えば、適切なバッテリ電源を指定したり、輝度を追加する複数のレーザ光源等の表示ハードウェアを選択したり、ホログラフ画像を上回る周囲環境の強い光を防止するために使用するべき日よけ又は日よけ群を設計又は選択したりし得る。別の例として、パッケージング又は消費者製品のデザイナは、特定のホログラムが対象の観察者にとって大きすぎるか小さすぎるかをシミュレーションで評価し得る。別の例として、芸術家又はインテリアデザイナは、特定の再生ハードウェアにより達成できる画像のサイズをシミュレーションで示し得るため、複数の表示装置を整列させ又はタイル配置し又は任意の組み合わせで使用して、大きな全体画像を作成すること、或いは、表示環境をより完全に又はより効果的に満たすか、他の形で使用すること(例えば、一連の別個のホログラムを使用して、メッセージ、サイン、又はロゴの文字、シンボル、又は記号のそれぞれを表示する)を選択したり、ホログラフ画像又は画像群又はその一部又は複数の部分を、美的又は芸術的理由から、或いは観察者の視覚的な驚き又は興奮を形成するために、或いは特定の場所の特定の観察者又は観察者群が、ホログラフ画像又は画像群又は表示ハードウェアの全部又は一部を見ることを防ぐために、例えば、ハードウェア又はその何らかの一部又は複数の部分を壁、天井、又は床、或いは柱脚、戸棚、又は展示壁等の既存又は追加のハウジング、或いは製品又はそのパッケージ、或いは固定具又は建具に隠すこと又は購入することにより、表示環境内の特定の場所、位置、又は区域から隠したりし得る。
この最後の例を更に説明すると、更に一般的には、2つ以上のホログラムが使用される時、或いは単一のホログラム又はホログラムの連続が分割される或いは全体として、又は一部として、又は複数の部分として起動される時は常に如何なる場所においても、1つ以上のホログラム又は1つ以上のホログラムの複数の部分を同期又は関連させることが望ましい場合がある。例えば、2つ以上のホログラムがある部屋では、ホログラムをオンオフする、又は輝度を変化させる、又は移動させる、又は付属機構若しくは装置を起動又は停止し、予測可能な、所定の、或いはランダム又は疑似ランダム又は半ランダムなパターン若しくはスキームで、長時間に渡って、或いは音、光、温度、又は湿度等の外部刺激、或いは例えば観察者又は観察者群の存在又は位置、或いは環境光又はノイズの度合い又は性質に反応するモニタセンサに応答して、ホログラムを隠す、或いは、その外観を修正することが望ましい場合がある。例えば、ホログラムは、観察者、又は別の対象、又は発話、手の動き、又は頭部の動きといった行動の存在、近接性、配向性、又は行動を検出するカメラ若しくは動作追跡装置、スイッチ、容量センサ、又はマイクロフォンの結果として、観察者の存在に反応するように見せ得る。別の例において、断続的モーションホログラム(後述)は、例えば、外部温度センサに応答して、1つの画像から別の画像へ変化させることが可能であり、したがって、この例においては、雪のある冬の風景から夏の熱波の絵画的表現までの様々な場面と共に、温度の数値又はアナログの示度を示す視覚的な温度計として機能することができる。こうした各ホログラムは、完全に3次元であるため(又はそうすることが可能であるため)、例えば、環境磁場等の非スカラ現象又は測定を、測定パラメータの大きさ及び方向の両方を指し示す又は他の形で表現するホログラフィコンテンツにより示すように順序づけ又は制御可能であり、この場合、ホログラフィコンパス又は磁気探知器として機能する。別の例において、こうしたホログラムの連続は、ホログラフ画像の体積内の物体の有無の検出によりトリガすることが可能であり、例えば、ホログラムは、銀行ATMとNFC「キャッシュカード」との間を行き来するデータの流れを表す画像を示すことが可能であり、ホログラムはATMから銀行の顧客が持つカードの近傍へ投影され、事実上、顧客の口座からカードへの金銭(預金)の流れを描く。
こうした起動センサ又はトリガは、例えば、観察者がいなくなったことを検出した時、同じもの又は他のホログラム又はホログラムの一部を停止するために使用してもよく、例えば、サウンドトラック又は音声効果、他の視覚的表示又はインジケータ、部屋の照明又は温度又は湿度、或いは、例えば、香水又は焼きたてのパンといった、ホログラフ画像の内容に一致する又は適した香り等、特定のにおいの放出又は除去等、ホログラム又はホログラム群に連動して動作することが望ましい他の装置の状態又は出力をトリガ及び制御するために使用してもよい。別の例では、触覚機構を使用して、観察者の身体の一部又は複数の部分に対して作用するフォースフィードバックを提供し、例えば、三種類の生地のサンプルの外観を、それぞれの色で一緒に、或いは一度に一色ずつ等の組み合わせで再生し、ホログラフ画像に触れた観察者は、触覚フィードバックにより、対応する生地タイプの適切な手触りを感じる。
上述したように、複数の表示装置を整列させ又はタイル配置して又は任意の組み合わせで使用し、大きな全体画像を作成すること、或いは、表示環境をより完全に又はより効果的に満たすか、他の形で使用することに加え、或いはこれと組み合わせて、こうした複数の装置は、例えば、幾分又は実質的に異なる方向を向けて2つ以上のディスプレイを配置することにより、更に広い視野角を提供するために使用することもできる。これには、例えば、表面を埋めた又はタイル状にした大型及び小型の多角形ディスプレイの配置等、実質的に類似するユニット又は類似しないユニットの集合から成る規則的又は不規則な多面体配置を含み得る。こうした多面体配置は、観察者に対して凸状又は凹状となった、円筒又は半円筒、或いは球形又は半球形の表示面に近いものとして、部分的又は完全に観察者を取り囲んでもよい。同様に、2つ以上のホログラム装置からの画像群又は部分的な画像群を、例えば、ビームスプリッタにより光学的に組み合わせ、より大きな又はより複雑なホログラムを作成してもよく、例えば、本発明の運動の態様を使用して、ビームスプリッタを介して2つのモーションディスプレイ(後述)を連続して見ることにより、2つの短い運動シーケンスを1つの長いシーケンスとして組み合わせて、継続時間の長い単一のホログラムに見えるようにしてもよい。別の例として、こうしたホログラム装置の1つを使用して、実質的に変化しない部分又は場面のホログラムを表示し、交換が可能な一組の他のホログラムのうちの1つを、ビームスプリッタ又は他の光学機械手段により、変化しない部分又は場面に重ね合わせ、例えば、(観察者が「劇」を見る)「舞台」を1つの装置により表示し、ビームスプリッタは、このホログラフ画像の一部又は全部に第2のホログラフ画像を重ね合わせ、キャラクタが舞台の上で動いて「演技」をしているように見せて、劇の「所作」を伝達することが可能であり、こうした配置においてホログラムを交換することにより、更に長く複雑な「物語」を伝え得る。
一般に、真の3次元ホログラムの設計及び使用は、2人以上の観察者が存在することが可能であり、観察者又は観察者群は、一般に、3次元のある程度の範囲を移動可能である点において、劇場設計、彫刻、建築、立体映画及びビデオ、並びに商業用その他の空間のレイアウトと共通した特徴を有しており、時間と空間の様々な経路を辿る様々な高さの様々な観察者向けに、事前に視覚化を行うことが賢明となり得る。
上記及び他の変化をパラメータ化し、シミュレートを支援する設計規則は、言語又は図式の形態で、オペレータ、デザイナ、クライアント、及び他の関係者の教育又は訓練を介して提供してよく、或いは、プレビュー環境又は測定基準に基づく最適化の中に、制約、規則、又は指針として組み込んでもよい。こうした規則には、例えば、特定の被写体に関して、影(自己遮蔽を含む)或いは包囲又はオフセットする面又は環境を含むことは、一部又は全ての位置の又は特定又は任意の鑑賞条件下にある特定の観察者又は観察者群に対して視覚的な中断、途絶、又はアーチファクトをもたらす恐れがあるため、望ましくない場合があることが含まれる。例えば、限られた立体視領域のエッジ又は複数のエッジにおいて物体が部分的に見えなくなる時に立体写真家が呼ぶようなフレーム違反又は「ウィンドウ違反」は、一般には推奨されないが、美的又は芸術的効果のために使用してもよい。
プレビュー環境又は測定基準に基づく最適化に続いて、又はこれと併せて、又はこれの代わりに、又はこれに加えて、オペレータを支援する製造環境、或いは、所望のホログラフ画像又は画像群の設計又は選択を、ホログラム製造及び再生システム及び装置向けの特定のデータ、命令、及び設定に変換する規定又は予備的プロセスを提供することが有利となる場合もある。この製造環境を使用して、例えば、Maya又はSolidWorksからのモデル又は設計を実際にスラビング、カリング、及びフェザリングすることが可能であり、こうした動作は、プレビュー環境又は測定基準に基づく最適化においては、おそらく部分的又は不完全にのみシミュレート又は実行されている。他の必要な又は望ましい変換も、事前に完全にシミュレートされていたとしても、(任意の所望のオクルージョンに関する計算を含め)この製造環境において達成可能であり、これに含まれるステップには、スーパーブロッキングと、孤立した邪魔なピクセル、要素、又はデータセットの小部分の除去と、色補正及びバランシングと、例えば、ロゴ又は場面オブジェクト等、グラフィック要素の格納済みの表現を含む、異なる設計又はデータの2次元及び3次元での合成、混合、又はモーフィングとが含まれ、1つのホログラムから別のホログラムへ反復し得ると共に、アーカイブ、キャッシュ、インデックス化、及びクライアントへのプロモーションを都合よく実行し得る。プレビュー環境及び製造環境は、非常に類似していても、或いは同一であってもよく、或いは、有意な違いを有していてもよく、例えば、プレビュー環境は、線遠近法を使用してレンダリングを行い、3次元ホログラムの外観及び使用をより忠実にシミュレートするが、製造環境は、正射影のジオメトリを使用して形成された場合に、結果的なホログラムが、空間内の光の真の3次元分布として、自然な遠近法で知覚されることから、正射影のレンダリングを使用する等であってもよい。
Maya又はSolidWorksにおいて実行される設計、選択、修正、及びレンダリングは、多角形又は他の種類の平坦面に制限される必要はない。霧のような体積効果は、それ自体が3次元又は色成分を含有していなくとも空間化又はカラー化し得る抽象データ、数学、観察、測定、又は計算として、ホログラフ表示用に含め、レンダリングし得る。鏡面性及び表面下散乱等の表面及び表面知覚の効果も、ホログラフ表示用に含め、レンダリングし得る。スライシング/スラビング前にレンダリングに都合よく又は効率よく含めることができない効果、特徴、及び詳細も、例えば、Adobe After Effects等の一般的なポストプロダクションツール及びソフトウェアを使用して、結果的に生じたスライスに2D効果として再導入することができる。深度は、点群データ又は測定から入手するか、或いは立体像から、又はカメラ又はシミュレートしたカメラが場面をパンする際に、又は場面の周りや中を移動する際に、又は場面自体が計時的に変化又は進展する際に、モーションフロー又は画像間の変化を介して導出し得る。単純なベクタグラフィックスも、一部の用途には適しているか、利点を有し得る。本発明者は、平面視されたこのようなホログラフにおいて、1つのベクトルが別のベクトルの前方又は後方を通過するように見える時、2つのベクトルからの光は加算され、幾分又は著しく明るい点又は領域を生成することを観察した。立体視した時、それぞれの眼は、こうした強調点又は領域を異なる位置に見る場合があり、有用な追加のデプスキューとして機能し、観察者に対して、ホログラフ空間内における観察者に関するベクトルの相対位置を示すことが可能となる。Daltonは、一定の技術及びアルゴリズムを使用することで、交差又は重複するベクトルの輝度が強化されたように見えるコンピュータグラフィックス表示における類似効果を説明する時に使用されている用語「ベクトルの積み重ね」に似せて、これを「体積の積み重ね(volume pileup)」と呼んでいる。こうした体積の積み重ねは、上述したHartによるホログラムにおいてスライスのエッジが重複する時に見えるバンディングの根本原因であり、DaltonのSimgran画像によりシミュレートされる主要な効果である。
運動
概要:実施形態は、それぞれが単一のホログラムを備える「フレーム」の集合の角度多重化により、移動するホログラム像を達成することを含む。
ホログラムの再生は、一般に、角度依存プロセスであり、再生基準ビームの入射する角度が大きすぎる又は小さすぎる場合に、ブラッグ選択性により効率的な再現が妨げられる。この角度選択性を利用して、2つ以上の記録ホログラムを1つの記録媒体から独立して再生させることを可能にし得る。
例えば、適切な非露光ホログラフ記録材料に、特定の角度Rで入射する基準ビームと、角度O1で入射する物体ビームとを使用して第1の記録露光を施し、次に、自身の平面内で約90°回転させ、次に、再び実質的に角度Rで入射する同じ基準ビームと、角度O2で入射する異なる物体ビームとを使用して第2の記録露光を施し(角度O2は、角度O1と実質的に同じにしてよい)、その後処理した場合(この材料の用法に、これら2回の露光中に記録されたホログラム潜像を現像するための処理が含まれる場合)、2組のホログラフ像を記録材料内又は記録材料上に記録可能であり、更に、この記録材料が十分に厚い場合、実質的に第1の記録位置に保持され、実質的に角度R(或いは、処理中に記録材料の厚さが有意に増加又は減少された場合は、適切な異なる角度)で基準ビームに再露光された場合、第1の記録済み物体ビームが再生され、第2の物体ビームは再生されないか、少なくとも第1の物体ビームの再生よりも実質的に弱く再生され、次に材料を自身の平面において約90°回転させ、実質的に第2の記録位置に保持し、実質的に角度R(或いは、処理中に記録材料の厚さが有意に増加又は減少された場合は、適切な異なる角度)で基準ビームに再露光された場合、第2の記録済み物体ビームが再生され、第1の物体ビームは再生されないか、少なくとも第2の物体ビームの再生よりも実質的に弱く再生される状態が、ブラッグ選択性により確保される。
ホログラフ作成者は、一般に「正視(orthoscopic)」及び「疑似視(pseudoscopic)」という用語を使用して、それぞれ正常に見える画像と裏返しに見える画像とを示す。こうした疑似視画像は、一般に、記録されたホログラムを反転させることで形成し得る。そのため、例えば、Hartのコピージオメトリにおいてコピーされたホログラムは、元々記録されたスクリーン位置の疑似視再現となる。物体を裏返しに見ることは一般には非常に望ましくないため、殆どの表示ホログラムは、正視モードで再生される。本発明のマルチスライスホログラムでは、「物体」の前と後ろは、記録スクリーンの位置を入れ替えることで入れ替え可能である。これにより、実際には、記録された物体又は場面のz軸線の逆転が達成され、正視及び疑似視に対する内側と外側との関係の逆転が可能となる。
本発明に関連して、ホログラフ「ウィンドウ」(即ち、コピーホログラムにおいて見られるマスタホログラムに記録されたエッジ)は、観察者がウィンドウの存在に気付きにくくなるように、観察するホログラフコンテンツより観察者の近くに位置決めすることが有利な場合があり、これは、観察者の目がホログラフ空間の深い位置に焦点を合わせ、この状況において、ウィンドウは再生フィルムから遠くなり、あまり鮮明に再生されないためである。本発明のマルチスライス記録では、(上述したような)正視及び疑似視に対する内側及び外側の正常な関係の逆転が可能であるため、ホログラフウィンドウは、オブジェクト又はシーンを「裏返し」に再生することなく、観察者の近くに位置決めすることができる。
別の2つの効果は、ブラッグ選択性と共に働いて、隣接する角度位置において記録及び再生されるホログラフコンテンツの視認性を更に制御する。第1に、Bazargan/Champagneの歪み計算では、再生材料を回転させた際には、それが再生するホログラフ画像が急速に歪み、観察者から離れる方向へ振れることを示しており(図12)、この効果の組み合わせを本明細書において「スイングアウト」と呼ぶ。第2に、ホログラフウィンドウは、記録角度が変化する際に視認性の急速な終了をもたらすようにサイズ及び位置を決定し得る。例えば、マスタホログラムを円形又は楕円形のフィルムに記録する、或いはコピー用に再生する時に円形又は楕円形にマスキングすることにより、円形又は楕円形のウィンドウを形成し得る。こうした円形又は楕円形のウィンドウは、回転時、正方形又は四角形のウィンドウよりも急速に視認性を断ち切る。更に、このウィンドウが(上述したように)観察するホログラフコンテンツよりも観察者に近い場合、ウィンドウは、他の場合よりも再生フィルムから遠くに位置決めされ、そのため、回転時に更に急速に歪み、スイングアウトするため、フレームの分離を更に支援する。
この手順(露光間の角回転と、ブラッグ選択性、スイングアウト、及びホログラフウィンドウとを使用して、1つの記録材料内に一連のホログラムを連続して記録し、その後、記録ホログラムの任意の1つを基本的に分離して、このように記録された他のホログラムの何れかの実質的な視認性が無い状態での再生を可能にすること)は、第3の記録露光のために更に約90°回転させて繰り返し、第4の記録露光のために更に約90°回転させて繰り返し得る。更に約90°回転させて第5の露光を試みた場合、システムは、実質的に元の位置に戻るため、こうした第5の露光は、第1の露光と実質的に同じジオメトリにおいて記録され、したがって、その後の再生中に単独で再生されない。
上述したように約90°の分離で4回の露光により準備したホログラムを、上述したような適切な再生基準ビームに露光させながら徐々に回転させた場合、記録材料が回転して約0°、90°、180°、及び270°の角度に到達する際に、4つの記録ホログラムが連続して再生され、観察者に見える。こうした4つの値の中間の回転では、1つ又は2つのホログラムが見えるが、幾何学的に歪んでおり、約0°、90°、180°、及び270°の角度における正確に再現されたホログラムよりも一般に薄れる。通常、記録材料の厚さが厚くなるほど、ブラッグ選択性が大きくなるため、十分に厚い記録材料では、中間の回転角度、例えば、約45°、135°、225°、及び315°の角度では、ホログラフ画像が再生されないか、又は見えなくなる。更に厚い材料では、一般には、約45°、135°、225°、及び315°の回転値を中心に、実質的に再現が見えなくなる角度の範囲が存在する。
上述及び本明細書の他の箇所で述べたように記録/再生材料を回転させる代わりに、記録中(図4C)及び再生中に記録材料を全体として静止させたまま、再生基準ビームを回転させることが可能である。これは、例えば、再生基準ビームの光学機器を回転させること、或いは、再生材料の周りに角度を付けて複数の再生基準ビームを提供することにより達成できる。これを行った場合、記録材料と、基準ビーム又はビーム群と、観察者との間で正確な回転関係を維持するために、ホログラフコンテンツは、再生基準又は基準群が回転する又は配置される際に中心となるものと同じ軸線を中心にして回転させるべきであり、そうしない場合、ホログラフコンテンツは、フレーム間において、フレーム間の角度だけ(観察者と相対的に)回転する。例えば、z軸線を中心とした約45°の回転において8本の再生基準ビームが提供された場合、そのそれぞれは、順番にオン/オフすることが可能であり(図13)、このようにして、単一の静止再生基準ビームを使用し、再生材料をフレーム間で45°回転させることにより見えていたアニメーションホログラムに視覚的に対応するアニメーションホログラムを生成することができる。このスキームの潜在的な欠点には、複数の再生材料ビーム又は回転する再生基準ビームを提供するコスト及び複雑性と、ビーム群又はビームが占める大きな体積とが含まれる(後者の欠点は、上述したModel22 Voxboxディスプレイの折り曲げと似た形で、1枚以上の平面又は湾曲ミラーを使用してビーム群又はビームの経路を折り曲げることにより低減できる)。このスキームの利点には、特に複数の再生ビームが使用される場合に、可動部分の欠如が含まれる。回転する再生基準ビームが使用される場合でも、静止した折り曲げ光学機器に反射される比較的小さな回転光源を提供することにより、これを達成可能であり、何れの場合も、再生ホログラフ材料自体は、実質的に静止させることが可能であり、再生光と検知及び制御信号とを回転するホログラフ材料へ運ぶことの複雑性(後述)を回避することができる。
複数の再生基準の別の利点は、こうした各基準のオン期間を、回転ホログラムで使用されるパルス状の基準よりも長くすることが可能な点であり、これは、(後述するように)こうした回転が、半径方向に依存する追加的なホログラフコンテンツのぼやけを発生させるためであり、結果として、複数の再生基準による再生では、回転ホログラムによる再生と比べて、大幅に明るくすることが可能であり、及び/又は遥かに暗い光を使用することができる。
複数の再生基準の別の利点は、記録されたホログラムのフレームを、様々な美的、芸術的効果、又は物語を進める効果のために、逆の順序、ランダムな順序、又は他の循環する順序(例えば、フレーム1、2、3、4、4、3、2、1等)で容易に再生できることである。
回転する再生基準及び複数の再生基準の潜在的な欠点は、観察者の再生基準との間の角度関係がフレーム毎に異なることである。結果として、上述したようなウィンドウは、フレーム間で回転する(但し、ウィンドウが実質的に円形である場合、これは目立たない)。更に、結果として、記録基準ビームと1つ以上の再生基準ビームとの間に輻輳の不整合が存在した場合、こうした再生基準ビームのそれぞれに、一定の度合いの上述したスイングアウト効果が観察され、これにより一般に、再生されたホログラフコンテンツの位置の循環的な回転オフセットと、その形状の循環的な歪みとが生じる。こうしたスイングアウト効果は、上述したようなホログラフコンテンツの先行歪みにより実質的に除去することができる。
回転する再生基準及び複数の再生基準の別の潜在的欠点は、残存基準(上述)がそれぞれ回転すること、或いは常に一方向で出射せずに複数の方向で出射することである。これも、上述したSaフィルタにより、或いは適切に配置したバッフル又は遮蔽面により遮断可能であり、或いは美的又は芸術的効果に利用することができる。
こうした2つの運動シナリオ、即ち、回転するホログラムと、回転する/複数の再生基準ビーム(群)とは、視覚的に等価である。観察者がフレーム間に回転し、単一の再生基準は静止し、ホログラフ材料が観察者に合わせて回転する第3のシナリオも可能である。これも等価であることは明らかであり、一般に、全ての再生シナリオは、アクティブな再生基準とホログラフコンテンツとの間の角度関係を変化させつつ、観察者の配向性とホログラフコンテンツの配向性との間の実質的に固定された角度関係を維持することに依存している。こうしたシナリオの掛け合わせも可能であり、利点を有する場合があり、例えば、ホログラムを回転角度の範囲で前後に振動させ、角度を付けて配置した複数の再生参照基準を使用しつつ、観察者を静止させることができる。以降、簡潔にするため、回転するホログラムのシナリオのみを説明し、回転する再生基準、複数の再生基準、回転する観察者を伴う等価のシナリオは、更に説明しないが、関連技術の当業者には、明白な回転による等価物により理解されよう。
例えば、本発明者は、この性質の連続角度多重化ホログラムを、Agfa 8E56記録材料(エマルジョン厚さ約6μm)に、約532nmの記録波長と、約56.3°の基準ビーム角度とにより記録し、こうした12枚の連続したホログラムを実質的又は完全に独立して記録及び再生可能とするために、約30°の露光間の回転が十分となることを観察した。このホログラムを、その平面に垂直な軸線を中心にゆっくりと回転させ、約56.3°の基準ビーム角度で、約532nmの再生波長の再生基準ビームに連続的に露光させた場合、12枚のホログラムが記録した順序(又は、反対方向の回転の場合、逆の順序)で見え、各ホログラムは、次の(又は前の)順番のものが次第に明るくなり捻れて視界に入る前に、次第に暗くなり捻れて視界から消える。ここで、上述した再生基準ビームを、回転するホログラフ材料が0°、30°、60°等から300°及び330°の回転角度に近い時を除いて中断した場合、連続したホログラムの捻れた薄い像は見えず、代わりに、12枚の別個の明瞭且つ独立した一連のホログラムが見え、これらの角度間で、再生基準が存在しない時に、ホログラムの再現は見えなくなる。
特定の実施形態では、再生基準の短いパルスを同期させて光らせつつ、速度を上げて、こうした記録(又は再生基準ビーム)を回転させることにより、短い反復するホログラフ動画を達成し得る。そのため、例えば、材料を一定の速度、例えば、約2Hzで回転させ、基準を同じ速度で同期して、継続時間約1msの短いパルスにより脈動させ、記録された連続の中の各ホログラムが、同じ場面又は物体を表すものの、場面が変化しているか、物体が動いており、周期運動する12の順次的なステップ、或いは描写された場面又は物体の他の滑らかなループする変化を、12枚の記録ホログラムが表現又は描写している場合、約1/2秒の継続時間で、約1/2秒毎に反復される、場面又は物体の動くホログラム画像が知覚される。フリッカ融合は、フリッカが見えるのを防止し、短距離仮視運動が滑らかな動きを提供する。
「短距離仮視運動」という用語により、我々は、一般的に「残像」と呼ばれる現象を意味しており、“The Myth of Persistence of Vision Revisited”,Joseph Anderson and Barbara Anderson,Journal of Film and Video,Vol.45,No.1(Spring 1993),3−12を参照されたい。
不十分な再生速度では、フリッカ及びジャーキネス、又は滑らかな動きの欠如が明白となる。本発明者は、毎秒16ホログラム(即ち、ここで説明している12枚のホログラムのデモンストレーションにおいて16/12≒1.3Hzの正味回転速度)の低さの回転速度であっても、(連続的な運動の満足できる錯視が知覚される点において)これが許容可能であること、及び十分に高い回転速度では、フリッカ又は不連続性又はジャーキネスが知覚されないことを実証しており、経験的には、毎秒24ホログラム、或いは、ここで説明している12枚のホログラムのデモンストレーションにおいて約2Hzの正味回転速度が、一般に十分となる。本発明者は、最小必要フレームレートが、画像コンテンツ(ホログラフ画像内の大きく明るい面積及び体積は、一般に高い速度に恩恵を受ける)と、環境光が存在する場合は、それに対するホログラフ画像の全体又は平均輝度と、ある程度ではあるが、ホログラフ画像の色又は複数の色及び再生基準パルスの持続時間とに、幾分依存することを実証している。最小速度及び望ましい速度は、観察者間で幾分変化し、単一の観察者であっても、異なる観察条件下で変化することが分かっている。
これは、非常に短い、通常はナノ秒未満のパルス状の露光を使用して運動する物体のホログラムを記録する、一般に使用される用語としての「パルスホログラフィ」ではない。本デモンストレーションでは、例えば、約1msのパルス持続時間及び約2Hzの正味回転速度により、回転材料は、各パルス中に約0.72°の角度に渡って回転する。これはホログラムの記録を可能にするには、余りにも大きな運動であるが、ホログラムの再生中、こうした大きさの運動は、再生の軽いぼやけを発生させるのみであり、回転の中心から離れたホログラム領域により再現されるホログラフ画像内の点は、約0.72°ぼやけるようになるが、これは視覚的な乱れを殆ど又は全くもたらさず、実際には、望ましい滑らかで連続的な運動の感覚に寄与する場合さえあることが、本発明者により経験的に分かっている。
本発明者の12フレームの例において、繰り返し率毎秒16パルスである持続時間1msの基準パルスは、パルスデューティサイクル16/1000又は約1.6%を表すため、こうしたパラメータを有するホログラフィック動画は、平均して、連続的であること以外は同様である参照ビームにより連続的に再生される構成ホログラムの何れかの約1.6%の明るさしかない。実際には、本発明者は、このホログラムが予想よりも幾分明るく見えることを観察している。
敏感な観察者において、てんかんを誘発する危険性のあるフリッカ速度を常に(アイドル期間及び回転増加及び回転減少期間中を含め)避けることが望ましい。
厚いホログラフ記録材料ほど、一般に、大きなブラッグ選択性を示すため、厚い材料内には、対応して減少させたホログラム間角度で、より多くの回転多重化ホログラムを記録することができる。例えば、厚さ約60μmの記録材料では、約120枚のホログラムを約3°の角度分離で記録及び再生可能になる。こうした材料は、丁度1/5Hz又は毎秒72°の正味回転速度で回転させた場合でも、動画を毎秒24フレームで再生することができる。この場合、毎秒24パルスの速度で、10msの再生参照パルス持続時間により、経験的に許容可能であり、有益な場合もあると判断された0.72°の同じ回転ぼやけが生じ、これは24%のデューティサイクルに対応するため、動くホログラフ画像は、単一の連続再生画像の約4分の1の明るさに見え、約5秒の正味持続時間又はサイクル時間を有する。
この明るさの推定では、120枚のこうしたホログラムが、それぞれ同じ材料内に記録された1枚のホログラムとほぼ同じ明るさ及びほぼ同じコントラストを有し、実質的に同じ記録、処理、及び再生パラメータを備えるように記録されたと仮定している。厚いホログラフ材料は、例えば、DCG及びフォトポリマの形態で入手可能であり、或いは、Agfa 8E56等の材料のハロゲン化銀エマルジョンのゼラチンエマルジョンを増大させることで作成してよく、特定の場合、こうした材料では、単一のホログラフ記録にとって望ましい又は使用可能なものさえ遥かに超えた屈折率変調能力が利用可能となり、こうした材料を使用して、数十、数百、更には数千のこうした露光の連続を記録可能となる。更に、こうした連続記録に使用される記録ジオメトリ及び他のパラメータは、経験的に又は計画的に最適化し、連続内の各ホログラムの明るさ及びコントラストを最大化し、こうしたホログラムの平均輝度又はコントラストが連続の中で変化する任意の望ましくない傾向を最小化することができる。これには、ビーム比又は露光期間又は露光間の遅延等の記録パラメータの1つ以上を露光の連続において変化させる際の式、又は経験的関係を決定することが含まれる。
こうした方法により、上述した材料を使用することで、例えば、三菱の上述したL65−A90 RPTVに組み込まれたレーザ光源(約640nmの赤色が約3.8平均ワット、約532nmの緑色が約3.0平均ワット、及び約447nmの青色が約4.85平均ワット)のような十分に明るい再現光源が利用可能であれば、(フリッカに関して)許容可能なフレームレート及び許容可能な明るさを有する、総継続時間約1分の動画又は動画ループに対応する、1,000ものフレームを含むホログラフ動画を作成することができる。こうした再現光源は、本発明の色の態様及び運動の態様を使用して作成したカラーホログラフ静止画及び動画の再生に著しく適している。
本発明者は、各成分カラーホログラムが12枚のホログラフ画像又はフレームにより本発明の運動の態様を実現した状態で、赤色、青色、及び緑色の成分ホログラムを本発明の色の態様を使用して生成し、このカラー動画フィルム/フィルタ積層体を、本発明によるカラーホログラム再生について以前に説明した再生ジオメトリ内の回転ホルダに装着し、上述したSamsung/LuminusのLEDに基づく再現光源をパルスモードで動作させて使用して再生することにより、こうしたカラーホログラフ動画ループの例を実証している。
高フレーム数の動画用にホログラフ画像を生成する際には、熱可塑性物質、特定のフォトポリマ、又は電子ホログラフィ材料等の再生可能、消去可能、再使用可能、又はリアルタイムホログラフ記録材料を使用し、これらの複数の単一ホログラム画像を、ハロゲン化銀又はDCG等のより恒久的なホログラフ材料に記録された角度多重化合成画像へコピーすることが利点を有し、角度多重化合成画像自体は、任意の適切なホログラフ材料へ随意的に何度も再コピーし、本発明の運動の態様に関する複数の最終ホログラフフィルムを生成し得る。再生可能、消去可能、再使用可能、又はリアルタイム材料は、後続の動画用に再使用し得るが、第2世代のコピー画像は、直接使用又は使用可能な第3世代の部品への要求に応じた再コピーのために長期的に保管できるため、この2段階又は3段階の手順により、第1世代のマスタ画像を記録するためにホログラフ材料を多数の枚数(又は大きな面積)に渡って使用する経費が回避される。再生可能、消去可能、再使用可能、又はリアルタイムホログラフ記録材料、或いは、迅速に光処理可能なホログラフ記録材料が望ましい別の状況は、本発明のシステム及び方法によるホログラムの現場での作成が速度的又は経済的に望ましい時であり、例えば、こうしたホログラムの迅速な回転が、例えば、外科的処置における有用性を高める上で有益となる場合であり、例えば、インターベンショナル磁気共鳴又は計算断層撮影走査等、最近取得された断層撮影走査データを、対応して走査した患者の生体構造及び病状に重ね合わせた1枚以上のホログラフ仮想画像として表示し得る。
例えば、本発明者の12フレームのデモンストレーション等、低フレーム数(例えば、2乃至10又は数十)の角度多重化連続ホログラムは、低速で回転させる場合であっても、或いは画像位置間で回転可能だが、全般的に1つの位置に比較的長期間(例えば、数秒から数分又は数ヶ月まで)に渡って留まる場合であっても有用性がある。こうした断続的に回転するホログラムは、例えば、それぞれが数秒又は数分の期間(メッセージ、意味、又は他の画像の意図が知覚及び吸収される上で十分な時間)に渡って観察者又は観察者群に見える4種類の広告について、その4つの広告を任意の好適又はランダムな順序で一度に1枚ずつ表示する等、多数の独立した(又は関連した)ホログラム画像を任意の順序で再生することができる。商業的には、この例により、1つのホログラフ広告装置で4種類の広告を表現可能となり、4種類の広告又は広告主の間で表示装置の資本及び運用費が分担される。別の例として、12枚の画像のバージョンは、1年の月毎に1枚のホログラフ画像を収容し、各月に相応しい画像に切り換えてよく、これは、カレンダ付きの時計により制御された計時回転機構により行うか、或いは、例えば、上述したようなカートリッジ、ホルダ、又はカセットであり、12種類のホログラフ画像を備えてフィルム又はフィルム群を含むカートリッジ、ホルダ、又はカセットを、ロック解除、必要な場合に取り外し、回転、必要な場合に移動、及び再ロックすることが可能な現場の店員等の手動介入により切り換える。このように達成される表示ホログラフ画像の毎月の変更は、各月で全く異なる画像を使用してもよく、或いは、各月の画像において画像の一部又は複数の部分を同じにし、例えば、その月の名称を綴るテキスト等、他の部分を変化させてもよい。
更に一般的には、画像が僅かに又は完全に変化する2枚程度のホログラフ画像、或いは数十枚、数百枚、又は数千枚もの画像を収容するこうしたホログラム変更装置は、多数の用途にとって有用である。数十枚以上の画像を含むこうした交換装置の場合、モーションホログラムに使用された機械的その他の実施の詳細(更に詳しく後述する)を有益に使用してよく、或いは断続的又は低速の回転又は角度的な再配置が必要なものの全てであるとの認識に基づいて、他の手段で代用してもよい。2枚乃至数十枚といった少数の画像を含むこうした変更装置の場合は、例えば、正確な角度的位置決めを強制するインデックスマーク、ラチェット、又は他のレジスタリング手段を備えた回転可能なフロント機構等、フィルム/フィルタ(単色バージョンの場合、フィルム又はフィルム群のみ)を回転又は再配置する手動手段を提供することで十分となり得る。或いは、ジュークボックス形式又は同様の機構を提供し、上述した複数のカートリッジ、ホルダ、又はカセットを格納し、要求に応じて、上述した照明機構の前で交換してもよく、或いは、柔軟なホログラムが、ロール上に記録されている場合、或いはベルト又は運搬用ロールに取り付けられている場合、ホログラムは、フィルタを組み込んだ多重フィルム用フィルムゲート内のフィルタの緩い組立体により巻き付け得る。ホログラフダイクロイックフィルタ等の柔軟な角度依存フィルタを、フレキシブルホログラフに取り付ける、又はこれと共に巻き付ける場合は、それ自体が本発明の主要な角度依存フィルタを含まない、従来的なフィルムゲートにより巻き付け得る。
一般に、本発明の色の態様について本明細書に記載の特徴の何れかを、本発明の運動及び/又はオクルージョンの態様と共に使用してよく、逆も同様である。例えば、他の要素又は効果との組み合わせ(例えば、光源を点滅させる、或いは、成形した囲い、他のホログラム、テキスト、グラフィック、ミスト、静止又は移動物体等と組み合わせる)を、モーションホログラム又は静止ホログラムに対して達成し得る。特定の例は、恒久的又は断続的に動くホログラム又はホログラム群を、1つ以上の動かない又は実質的に静止したホログラムに組み合わせ、例えば、大きな動かないホログラムが、より小さな1つ以上のホログラムを完全に又は部分的に囲むか、封入するか、或いは空間的に関連した状態として、結果的な合成表示の動く又は変化する様相を、大きく動かない潜在的な静止ホログラフ領域内に埋め込むことである。
例えば、動画の場合、又は一連の関連画像が比較的迅速に表示される交換装置の場合、動画を再生又はループさせる際、或いは、交換装置が画像を切り換える際に、一般には、「物語」を伝えること、或いは、画像の内容の連続的な進展を観察者に他の形でコミュニケートすることが意図される。こうした目的を達成するために、上述したプレビュー環境は、理想的にはモーションコンテンツを含むように拡張するべきであり、例えば、こうしたプレビュー環境を使用すると共に、こうした物語を伝えること又は特定の形でのコミュニケーションを行うことを望むオペレータ、デザイナ、又はクライアントは、例えば、視点の異なる又は異なる経路で空間を通過する様々な観察者が見た場合に、物語又はコミュニケーションがどのように進展するかをプレビュー又は「ストーリーボード化」することができる。これは、作成又は画像化するべき場面及び物体と、作成された場面又は物体を見る観察者とが移動する、或いは他の形で変化する点において、劇場設計者、静止した彫刻の彫刻家、静的構造物の建築家、及び立体映画撮影者及びビデオ撮影者の(上述したような)一般的な体験を超えるものである。
別の例において、輝度、カラーバランス、白色点、及びコントラスト等のこうした画像変数を制御する、及び、ホログラフ画像又は画像群に組み込まれた、その周囲にある、又は隣接する追加的要素を起動、停止、或いは他の形で制御又は修正する、上述した全てのシステム及び方法は、上述した動画又は変換装置の場合に、拡張又は適応させ、時間の要素を有利な形で組み込み得るものであり、例えば、動画の各フレームは、漸進的、計画的、環境駆動式、又は任意の形で、その輝度を他のフレームと相対的に調整して、動画或いは他の物語又はコミュニケーションが、スムーズに流れるように、或いは必要に応じて、徐々に又は急激に変化するようにすることができる。これは、表示装置が制御する又は各画像変数又は追加要素を発生させるあらゆる事柄に対して、適切な制御値又は状態を格納又は生成する機構を含めることにより達成できる。こうした格納値、或いはそれらをオンザフライで生成する手順は、例えば、USBデータ格納装置又はWiFi通信等、任意の従来のデータ通信手段を介して表示装置に伝達可能であり、こうした通信手段又は装置は、上述した交換可能なフィルム、カートリッジ、ホルダ、又はカセットに組み込むこと又は付属させることが可能であり、或いは、共に供給すること又は共に使用するために供給することが可能である。こうした動画関連の画像変数及び追加要素は、こうした環境を使用するオペレータ、デザイナ、又はクライアントがその様々な影響を判定及び走査できるように、上述したプレビュー環境においてシミュレートすること、又は他の形で組み込むことが可能である。
例えば、本発明者のカラーの運動のデモンストレーション(図14)において、制御コンピュータからRS232ポートを介したシリアル通信を使用して、動画ループのフレーム毎にオンザフライの輝度制御パラメータを送給し、パターン、即ち、12個の黒(吸収性)及び12個の白(反射性)のほぼ均等に間隔を空けたマークを回転機構の周囲に付与し、固定赤外線光センサ[P5588、浜松ホトニクス、日本、浜松市]を配置して、これらのマークが素早く通り過ぎるのを読み取り(1個の白マークを他のものの約2倍の長さにして、ゼロ又はホームインジケータとして機能するようにする)、単一のチップマイクロコントローラ[PIC18F4520、Microchip Technology Inc.アリゾナ州チャンドラ]を使用して、周囲のインデックスマーク(ゼロマーカーを含む)の検出に応答してLuminus LEDのスイッチをオン/オフし、モータ速度の推定及びスリップ検出を行うと共に、制御コンピュータにより各フレームの各色用に提供された輝度及び位相値からマイクロコントローラが算出したLED PWM持続時間及びタイミングについてこれを行う。輝度及び位相値は(外部のRoland Fantom X6 Workstation Keyboard[Roland Corporation U.S.カリフォルニア州ロサンゼルス]によりそれぞれ格納及び再生される、事前に生成されたカスタムサウンドファイル用のMIDIノート及びボリュームトリガと共に)リングバッファとCTS/RTS通信プロトコルを使用して、制御コンピュータからマイクロコントローラにバッファされる。同様に、1つ以上の追加又は代替の周辺分布制御トラック又はトラック群により、上述した他の画像変数又は追加要素を制御するための制御値又は信号を、光学的、機械的、又は磁気的に格納及び提供する。
音響効果用のサウンドトラック又はトリガは、このようにして提供してよく、或いは、他の手段により送給して、このようにして送給された制御信号により同期させてもよいが、回転機構が、許容限界内の変動又は回転速度の増加、減少、又は変調制御の結果として、角速度の大きな変化を受ける場合、トリガにより作動されるサウンドトラック又は音響効果は、例えば、サウンドトラックの場合、より低速又は高速で再生されても、望ましくないピッチの変化を受けていないようにピッチ変化させることにより、一般に、再タイミングから恩恵を受け、或いは、トリガの場合、音声と画像との所望の同期を維持するために所望の音響効果を同様に短縮又は延長(及び必要であれば、ピッチ変化)させることができるように、現在、所望の、又は予想される回転速度を音源又はそのコントローラに通信した状態にすることにより恩恵を受ける。
モーションホログラムの場合、提供された音声が存在する場合、少なくともステレオ音声、好ましくは5.1以上のシアターサウンド等のサラウンドサウンドのようなシステムにおいて空間化することが利点を有する。これは、本発明者の運動のデモンストレーションに組み込まれており、目に見える動画と対応するサウンドトラック又は音響効果との間の非常に小さな不一致であっても、観察者の連続性、滑らかさ、及び一貫性の知覚を有害な形で低減する恐れがある。この理由から、上述したプレビュー環境は、対象となる動画の音声環境のシミュレーションを、それ自身の空間化音声と、モーション表示装置の最終的な位置における任意の公知の、予測される、又は期待される環境又は周辺音声とを含め、組み込むことが可能である。
表示装置、及び上述した理由からシミュレーション環境に組み込むことで利点がある他の効果としては、動画の全部又は一部を逆に流すこと(対応する順方向のサウンドトラック又は音響効果を単に逆にしたものや繰り返したものではなく、異なるサウンドトラック又は音響効果を含むことが可能)と、音声又は他の非ホログラフ効果又はホログラフ効果のプレロール又はポストロールを、1つ以上の動画シーケンスを形成する代わりに或いはそれと同時にこの目的で使用される、1つ以上の個別の動画フレーム又は1つ以上の追加フレームを利用して実行し、こうしたプレ/ポストロールを使用して、例えば、ホログラフ動画の実際の限られた継続時間を超えて物語又は他のコミュニケーションを延長することにより、動画又は動画ループの知覚継続時間を延ばすことと、変化させたタイミング、着色、或いは、各カラー発光体に使用される照明シーケンス又は輝度(PWMを含む)値の変更により得られるような他の修正点、或いは、例えば、異なるサウンドトラックの使用を含む追加要素と共に、動画又は動画シーケンス(或いは動画又は動画シーケンス全体)を再使用し、例えば、特定の唇の動きと顔の表情とを有する「話をする頭部」を、幾つかの異なるサウンドトラックの1つと合成可能とし、幾つかの異なる発話又は他の発声の1つが行われているように知覚可能とすることと、例えば、照明光源又は光源群とホログラフ画像との間の光路に配置され、回転させて1つ以上の修正要素を光路に導入することが可能なエフェクトホイール等の追加要素の使用(こうした修正要素及び結果的な効果には、例えば、ホログラフ画像をソフトにするディフューザと、ホログラフ画像を歪ませる又は移動させるプリズム要素と、ホログラフ画像の異なる領域を異なる形又は異なる範囲で変更するこうした光学要素の配列と、を含めることが可能であり、こうした任意の修正要素は、小要素の列又は連続を含むか、或いはこうした要素を混合したものの列又は連続により構成し、ホログラフ画像を徐々に修正すること、或いはホログラフ画像内において空間的に変化する修正を達成することが可能である)或いは、照明光源又は光源群の輝度の変調(LED及び一般的にレーザは、通常、必要又は望ましい場合、強度を変調すること又はフリッカ融合速度を超える速度で脈動させることが可能である)により、フリッカ、脈動、或いは他の変調又は不安定性を1つ以上のフレームに意図的に導入することと、を含む。
本発明を実現する高速回転ホログラフモーション表示の場合、フィルム/フィルタ積層体上のフロントカバーウィンドウを固定安全窓により置換又は補完した状態を確保することが望ましく、固定安全窓は、フィルム/フィルタ積層体又は他のフロントウィンドウの前方に間隔を空けており、十分な剛性及び強度を有し、不慮又は故意の圧力、殴打、衝撃、又は衝突を受けても、安全ウィンドウ自体が表示装置の回転機構又は他の任意の高速回転要素と接触することを防止し、観察者その他の人々、動物、及び移動物体が、容易に表示装置に損傷を与えること、その回転を停止させること、或いは表示装置から損傷を受けることを不可能にする。こうした安全窓の光学及び音響効果は、上述したシミュレーション環境に組み入れることができる。
バー等の監視されない場所又は露出した場所においては、表示装置全体を(モーション装置、交換装置、又は単純な静止画像装置であっても)収容又はパッケージして、そうした環境において見られる液体又は投射物への露出により容易に損傷を受けないようにし、或いは、そうした液体又は投射物と接触した時に、何らかの重大な危険性、例えば電気的な危険性を、その環境の他の人々、動物、物質、又は物体に与えないようにすると共に、更に、こうした環境において、(あらゆる種類の)表示装置は、少なくとも一時的に壁、床、天井、又は実施的に動かない物体に固定する又は取り付けることで動かなくし、許可又は工具による作業無しで容易に移動させたり、容易に盗難されたり、投射物又は他の形の武器として容易に使用されたりできないようにするべきである。
本発明において考えられるモーションホログラムディスプレイのフィルム/フィルタ積層体又は他の要素(上述したカートリッジ、ホルダ、又はカセット)の回転は、幾つかの方法で達成することができる。高フレーム数(したがって、比較的低速で回転する)動画に一般に望ましい、或いは単純の画像交換装置による、一般に低速な回転は、例えば、回転部分の1つ以上の外面又は内面と接触する駆動ローラ機構、或いはベルト駆動(歯付き又は平面)又はギア機構、或いはアイドラローラを使用して、容易に達成できる。
こうした回転機構では、回転軸線を通過する軸線上で回転機構を支持及び駆動することが一般に困難であり、これは、一般に、コンパクトなディスプレイとするために、この位置は、照明光源及び関連するビーム折り曲げ及び形成光学機器が占めているためである(こうした構成要素の全て(又は十分な小部分)を、後車軸又は回転軸線と直列の他の装着機構を有し得るドラム状の回転機構内に含めることは可能であるが、しかしながら、こうした手法は通常、回転質量、したがって角運動量を増やし、不利となる可能性があり、こうした手法では、通常、コストが高く信頼性が低い恐れがあるスリップコネクタを使用しない限り、電力制御及び検知用の電気的接続を回転ドラムの内側体積へ持ち込むことが困難であり、一方、こうしたドラムに外部発光体から光を持ち込むことは、ドラム状機構の本体内の窓又は隙間を使用して達成できる)。逆に、一般には、支持及び駆動機構の両方を装置の回転部の周囲に提供し、回転軸線及びその周りの空間を実質的に占拠、遮断、又は他の形で邪魔しないようにすることが望ましい。
本発明の低速回転バージョン(又は非回転静止画像又は交換画像バージョン)のデモンストレーションの一例は、上述したLED駆動のSamsung HL−T5087S又は上述したレーザ駆動の三菱L65−A90等の市販のRPTVを修正し、本発明のフィルム/フィルタ積層体及び随意的に回転機構を組み込むためにこうしたRPTVのフロントスクリーン材料に最小限の修正を施すことにより達成できる。具体的には、こうしたRPTVは、フレネルレンズに続いて大きなコリメートビームを走査する走査及び色変調スポットを提供し、フレネルレンズは、このスポットにより形成されたビームを、幅広く水平及び垂直分布した潜在的な観察者位置へ拡散するディフューザの直前にある。このディフューザに穴を開け、本発明のフィルム/フィルタ積層体を穴に挿入した場合、フィルム/フィルタ積層体は、通常のディフューザの代わりに穴の領域に存在し、コリメートされた走査スポットによるビームが照射される。この照射は、RPTVのディフューザの穴に適切なフィルム及び回転機構が挿入される場合、動画バージョンを含む本発明のホログラムに対する所望の発光を形成する。この穴の外側では、通常のテレビ画像を通常の形で見ることが可能であり、この穴の内側では、ホログラフ画像(又は動画又は交換装置バージョンの場合、複数のホログラフ画像)が見え、その(又はそれらの)輝度、白色点、及びカラーバランスは、その穴全体でどのビデオ信号が表示されるはずだったかに依存する。例えば、(例えば、適切な形状及び位置の白色領域を、RPTVに供給されるビデオ信号に挿入することにより)ビデオ信号のその部分を純粋な白色にさせた場合、全ての成分カラーホログラムが再生され、元々意図された合成カラーホログラフ画像(又は動画)が生じる。白色領域の代わりに、ビデオ信号への挿入が純粋な赤色、青色、又は緑色の領域である場合、対応するカラーホログラフ像のみが見える。ビデオ信号内の他の色では、ホログラフ像内のカラーバランスが変更され、黒は、ホログラフ像が無い状態に対応する。時間及び空間の両方でビデオ信号への挿入の色及び輝度を変化させることにより(レコーダに事前に生成されたビデオ信号を使用して、又は挿入信号をオンザフライで生成することにより、容易に達成し得る)、そのように生成されたホログラフ画像において広範な特殊効果を形成し得る。
低フレーム数の動画にとって一般に望ましい高速回転装置は、低速回転について上述したような要素により支持及び駆動し得るが、こうした高い速度では、他の要素が有利となる場合があり、これは例えば、空気ベアリング、電磁リフト装置、又は高速ボールベアリング又はローラベアリング等の支持と、弾性表面波(SAW)駆動、様々な種類の空気タービンに使用される種類及び配置のタービン状ブレード又は平坦面に作用する空気ジェット、又は例えば線形誘導モータ等の電磁デバイスといった駆動要素である。こうした高速回転駆動及び支持機構は何れも、例えば、電気又は空気供給が故障、中断、又は乱れた場合、或いは損耗により動作パラメータにダメージ又は著しい変化が生じた場合、安全に機能停止するように設計し得る。更に、こうした任意の機構を使用前に所定速度に加速すること、使用後に停止させる又は低速の保守速度まで減速すること、更には、例えば出荷、組立、及び補完中に回転を制約することを考慮し得る。
高速回転装置の大きな角運動量は、逆方向に回転する平衡輪又は重りの使用、或いは一部の機能構成要素を時計回りに、他の構成要素を反時計回りに回転させることにより、低減することができる。高速回転機構に恩恵を受ける低フレーム数のホログラフ動画表示は、本発明者が実証している。上述したように、このデモンストレーションの成分カラーホログラムは、それぞれ、12枚のホログラフ画像を30°の角度増分で含んでいる。12枚の画像は、一般には、動画又はループにとってさえも少なすぎると考えられるが、しかしながら、フィルム/フィルタ積層体を高速回転機構に装着することにより、本発明者が作成した装置では、12枚の画像の何れかを、ホログラフ再生の正確な位置へ、遅くとも1/16秒で届け得るため、フィルム内の実際の角度配置の連続順序だけでなく、フレームを任意の順序で表示して、毎秒16ホログラムの平均フレームレートを達成し得る。言い換えると、各フレームへのランダムアクセスが提供され、上述した制御コンピュータと、RS232通信経路と、CTS/RTSプロトコル及びリングバッファを備えたオンボードマイクロコントローラとを介して、フレームが特別に選択された順序で表示される動画シーケンスを選択して、視覚的に意味のある面白い物語を達成し得る(図15)。
本発明の一部の例では、Hartにしたがって記録されたホログラムの単一のインスタンスより多くのホログラフ露光が一般的に関与することが考えられる。通常、本発明の色の態様では、Hartにおいて想定された各スライスは、各原色につき1回ずつ、3回の露光を受けるが、実際には、本発明者は、特に本発明のオクルージョンの態様が使用される時、一部の場面又は物体が、特定の色について少ない露光で十分となり得るような特定の領域内の特定の色を含み得ると判断した。一般に、本発明の運動の態様では、数十枚又は数百枚のフレームが記録され、それぞれが数十枚又は数百枚のスライスを含む。Hartにおいて教示された装置及び方法に特定の改善及び修正を施し、多数の露光の使用に優れた形で対応し、生産の速度、容量、及び信頼性を改善することが望ましい。幾つかの例は次の通りである。
例えば、ロールフィルム及びロールホルダ/ディスペンサ又はカットシートディスペンサを、手動のフィルム処理の代わりに使用することができる。人間により読み取り可能又は機械により読み取り可能な識別子を備えた印刷ラベルを、フィルム及びログブックに貼り付けて、フィルムの追跡を可能にし、混同の可能性を低減することができる。こうした視覚的形態のフィルム識別子は、スライスの一部として(又は追加の露光として)露光させ、容易に又は誤って除去できない信頼性の高い識別子として、各合成ホログラムに写真的又はホログラフ的に記録し得る。追加の露光として記録される場合、この識別子のホログラフ又は写真記録は、1枚以上の記録スライスにおいて画像コンテンツが占めることが可能であった領域の一部に含めることが可能であり、或いは、この領域の外側で、スライスデータを記録するために使用されない隣接領域に含めてもよい。自動及びプログラム可能ハードウェアを使用して、オペレータの誤りの可能性を減らすと共に、誤った、望ましくない、又は予想外のシステム状態を検出することができる。位置、露出量、ビーム比、及び他の動作パラメータを合成ホログラムの露光毎に定める「スクリプト」を、例えば、スライス画像を生成するために使用したソフトウェアシステム又はシステム群により自動的に生成可能であり、こうしたスクリプト及びログファイルは、スライス画像と共に維持して、ホログラム生成の正確な反復を可能にすると共に、QA/QCの目的で達成及び解析して、様々なパラメータで作成したホログラムの準備及び比較を容易にすることができる。品質及び信頼性は、オンライン密度計又は密度計アレイをフィルム処理装置に、現像槽、現像ステージ、又は現像液浴に続いて組み込み、現像したフィルムの光学密度(透過又は反射)を監視することにより、更に強化できる。この密度の予想外の変動は、露出不足/過多、現像液の不足/汚染、及び不正確な現像液の処方又は補充の兆候とすることが可能であり、これらの監視及び制御に使用することができる。漂白槽、漂白ステージ、又は漂白液浴(使用される場合)後の同様の密度計又は密度計アレイにより、露出過多、漂白液の不足/汚染、及び不正確な漂白液の処方又は補充を同様に監視、制御、及び診断することが可能であり、或いは、槽、ステージ、又は液浴間で処理装置からフィルムを取り出し、別の密度計で確認することができる。
別の例として、フリンジ検知手法により、一般に、露出中の過度の動き又は他の外乱の検出を可能にすることができ、著しいレーザ出力の変化が伴わない場合であっても、レーザのモードホッピングを検出することができる。フリンジロッキング手法(及びパルス状ホログラフィ)により、一般に、他の場合には過度となる動き又は他の外乱が存在しても、露出の実行を可能にすることができる。
別の例として、Hartのビームブロック、シャッタ、及びシャントの一部又は全部を、光強度測定器により置換又は増強することが可能であり、光強度測定器は、各露光前(又は露光中)に正確な設定を確立して、所望のビーム比及び露光期間を達成するために使用可能であり、この設定は、未露光記録材料の導入又は除覆前に得られた出力測定値から事前に他の方法で計算してもよく、或いは、事前に測定された又は他の方法で較正された、関連する光学的、機械的、又は電気的/電子的成分の特性曲線と、各スライスのピクセルの内容及び性質の知識とから、必要に応じて事前計算又は計算してもよい。Hartに記述されるシステムの種類において3枚以上のシャッタを使用することは利点を有し、一枚のシャッタは、レーザの直後に配置し、露光中を除き通常は閉鎖し、他のシャッタは、基準ビーム又は物体ビーム等の特定のビームを遮断又は通過させるために使用して、例えば、ビーム出力間の比を都合良く測定可能にすることができる。レーザビームが基準ビームと物体ビームに分離する前に、レーザビームを遮断又は通過させるために使用可能な位置に、こうしたシャッタのうち少なくとも1つが存在する限り、このシャッタのみにより、正確な露光期間を達成することができる。コンピュータ自動化を限定的に使用する又は使用しないシステムにおいて、複数のシャッタをこのように使用して、シャッタが全般的に手動で開閉される場合、シャッタコントローラを配線で共にスイッチ(例えば、フットスイッチ)につなげ、スイッチをクリックする度に、全て開く、全て閉じる、基準用のみ開く、物体用のみ開くといった有用な状態の間でシャッタを循環させることが利点を有し、これは、全般的にHartに記載されるようなホログラムコピーシステムにおいて、本発明者が使用したUniblitz D122及びT132シャッタコントローラ[Vincent Associates、ニューヨーク州ロチェスタ]により都合良く達成することができる。
Hartにおいて教示される本開示のマスタホログラフをコピーするステップには、適切なビーム比及び露光時間を露光毎に決定し、近似的に達成することが含まれる。本発明者は、例えば、以下の経験値が、Agfa 8E56に類似する材料へコピーするためのビーム比及び露光エネルギとして良好に機能すると判断した:ビーム比k=2、露光エネルギE=70μJ/cm2。本発明者は、これらの値を、記録材料Prにおける(垂直な)測定又は推定基準ビーム出力(μW/cm2)及び記録材料Poにおける(垂直な)測定又は推定物体ビーム出力(μW/cm2)と共に使用して、Agfa 8E56に類似する材料に記録される連続露出毎の適切な有効露光期間teffective(秒)を、例えば次の式により計算可能であると判断した:teffective=E/(Po+Pr)。
画像面上又は画像面に近いコピー(即ち、ホログラフ画像がコピーフィルム面にまたがる又は極めて近接するもの)において、こうした物体及び基準ビームは、理想的には「ホットスポット」(即ち、最も高い物体ビーム出力が見られるコピー記録材料の表面上の点又は表面付近)に対して決定するべきである。マスタリング中に一般に記録される物体光は、更に拡散され、一般に記録フィルム面において遥かに均一となり、フィルム面の中心において、或いは、拡散物体光の出力がフィルム面の中心の出力に対して妥当な一定の公知又は計算可能な関係を有する他の任意の便利な場所において、一般に十分に特徴付けすることが可能となる。同様に、マスタリング中に記録される基準光は、記録フィルム面において一般に非常に均一であり、記録フィルム面の中心において、或いは、基準光の出力がフィルム面の中心の出力に対して妥当な一定の公知又は計算可能な関係を有する他の任意の便利な場所において、一般に十分に特徴付けすることが可能となる。
出力の測定では、光ダイオード或いは他の光測定又は推定装置又は機構といった1つ以上の光検出器を、記録フィルム面に直ぐ近くの便利な位置に都合よく配置し得る。特に有利なこうした位置は、記録フィルムの真後ろであり、プラテン又は他のフィルム保持装置又は機構の中心又はその近くである。この位置の光検出器は、感光性材料の導入前に使用可能であり、感光性材料が記録光に対して(Agfa 8E56のように)妥当な度合いの透明性を有する場合、こうした光検出器は、露光中に出力モニタとして、或いは、延長露光の開始時にビーム比を迅速に設定するために、又は所望の露光期間又切断時間を決定するために使用し得る。こうした任意の光検出器には、フィルタ処理を施し、ホログラムを記録するために使用されない光(例えば、写真用安全灯等)に対して感受性を殆ど又は全く有しないようにする一方で、記録光の出力を測定又は推定するために十分な感受性を保持するようにし得る。例えば、本発明者は、Newport918−SLセンサ[Newport Corporation、カリフォルニア州アーバイン]の光ダイオードをVG−14フィルタ[SCHOTT North America Inc.ニューヨーク州エルムズフォード]の後ろに配置し、Newport853光強度測定器に取り付けた場合に、R20安全灯[Encapsulite International Inc.テキサス州シュガーランド]と共に、Agfa 8E56のような材料に対して良好に機能し、VG−14フィルタを介した僅かな漏れは、測定された値を使用する時に較正のオフセットとして許容できると判断した。光検出器は、2つ以上のこうした光検出器の示度が適切に平均化及び較正される場合、基準ビームの指向/均一性と、物体及び基準出力とを確認するために使用し得る記録材料の周辺に配置してもよい。
本発明者は、Agfa 8E56のような材料にコピーするための適切な実際露光期間tactual(秒)を、例えば、ほぼteffective=0.02秒からteffective=50秒の範囲で相反則不軌を補償する、Agfa 8E56でのマスタリング用の上述の経験的な5次多項式を使用して計算し得ると判断した。マスタリング同様に、過度な露光期間は、基準ブーストを使用して制限してよく、本明細書に記載のマスタリング用の他のノイズ低減手法も、ノイズを低減したコピーのために使用し得る。
本発明者は、更に、Hart及び本明細書において開示されるAgfa 8E56のような材料における連続多重露光マスタリングでは、こうした測定、計算、及び関連ステップは、一般に、5乃至20%の範囲の精度で実行し、信号又は信号対ノイズ比の著しい減少等の望ましくない効果を回避するべきであり、一方、Agfa 8E56のような材料における単一露光コピーでは、より大きな余裕を想定し、4程度の大きさ又は1程度の小ささのコピービーム比と、25乃至100μJ/cm2のコピービーム露光エネルギとにより、本発明に関連して許容可能な結果が一般に生じるようにし得ると判断した。本発明の運動の態様について上述した多重露光コピーは、多くの点で多重露光マスタリングと類似しており、一般に同様の精度が望ましく、最善の結果は、約2の比と、約70μJ/cm2のエネルギとにより得られた。
本発明者は、露光中にホログラフ記録材料を保持するために真空プラテンを使用することが利点を有することを発見した。本発明の色及び運動の態様だけでなく、より一般的にも、こうしたプラテン又は他のフィルム保持機構を、レジストレーションピン又は表面、或いは他の手段に有利な形で取り付け、記録材料の正確且つ反復可能な位置決め及び配向性を達成する。本発明の運動の態様では、こうしたプラテン又は他のフィルム保持機構を、ポインタ、凹み、ガイド、カム、キネマティックマウント、及びモータ駆動又は手動駆動の回転機構に有利な形で取り付け、記録材料の正確且つ迅速で信頼性の高い回転、位置決め、及び配向性を促進する。
運動のデモンストレーションの例として、本発明者は、カラフルなアニメーションのカニのようなキャラクタ(図11)を作成しており、これはMayaにおいて作成及びアニメ化した3次元のアニメキャラクタであり、背景の無い拡散的に光を当てた環境において、鏡面性の無い状態で垂直にレンダリングした約5,500個のテクスチャマッピングポリゴンを使用しており、キャラクタが意味のある動作をしているように見せるために、多数の異なる順序で繋ぎ合わせ得る一連の11のポーズ(図16)を、このキャラクタ向けに選択した。例えば、こうしたフレームのつながりの1つは、カニのキャラクタが前を向いてハサミを下げた中立のポーズから始まる。この画像に続くものでは、カニは、上にジャンプして、ハサミを外側に振り始めたように見え、口、尾、及び眼を含むカニの他の身体の部位の配向性及び位置は対応して半現実的に変化する。この連続の更なる画像では、カニは、ジャンプの頂点にある。この画像には、カニが中立のポーズへ向かって下降した際のもう一枚の画像が続き、中立のポーズの繰り返しによりシーケンス全体が完了する。同様のシーケンスは、ステレオ音響を含んだシミュレーション環境において繋ぎ合わせ、例えば、ステージ左又はステージ右での進入又は退出する、ひねる、ジャンプする、及び空手チョップをする等、カニのキャラクタが様々な動作をできるようにした。このような3、4枚のみの短いシーケンスは、途切れ途切れには見えず、これは、信じられる動き(ジャンプするキャラクタ等)に対しては、フレーム同士のコンテンツコヒーレンス(光学的意味ではなくコンピュータグラフィックスの意味での「コヒーレンス」)が、ストロボ状に見えるのではなく、視覚認知が一般にモーションブラーとなる十分な度合いまで存在するためである。
11枚の画像のそれぞれをスラビング、スライス、フェザリング、シェル化し、後面カリングを行い、上述したホログラフ記録用の他の準備を行った。
記録、処理、及び適切なフィルム/フィルタ積層体及び表示装置への組立後、ホログラフ画像を外部コンピュータの制御下でスクリプトの順序又は疑似ランダムな順序で再生し、それぞれ、記録された物語を伝えるか、或いは任意の動作をするカニを無期限に表示する。第12のホログラム位置は、3次元テキストによる紹介又はクレジット画像用に使用し、任意のカニのような動きの物語の始め及び終わりに表示する。
この運動のデモンストレーションの回転運動機構のために、本発明者は、6061−T6アルミニウムの厚さ2インチの板からCNC加工した直径約18.2インチの高精度「ホイール」(図17)を設計及び作成しており、その後研磨及び硬質陽極酸化処理した滑らかな半径方向及び軸線方向の座面を、3個の半径方向空気ベアリング[C325003、New Way Air Bearings、ペンシルバニア州アストン]と6個の軸線方向空気ベアリング[S102501、New Way Air Bearings]に結合させ、Husky Q19コンプレッサ[Campbell Hausfeld、オハイオ州ハリソン]からの約80psiの乾燥濾過圧縮空気を、SMC AW20水分/粒子フィルタと、SMC AFM20バルク油脂フィルタと、SMC AFD20微細オイルミストフィルタ[SMC Corporation of America、インディアナ州インディアナポリス]とから成るフィルタチェインを介して供給して動作させる時に摩擦が殆ど無い堅牢な支持を提供した。このホイールには、更に半径方向の座面を組み込み、これを使用して、直径約12インチの特注の大きく滑らかな駆動ホイール(図17)との摩擦接触によりホイールの回転を駆動し、駆動ホイール自体は、可変速DCモータ[59835K62、McMaster−Carr Supply Company、カリフォルニア州ロサンゼルス]により駆動する。回転の速度は、上述した黒と白のマークの周辺経路によりモニタし、約8Ampの定電流モードで動作する可変DC電源[Mastech HY3050E,Acifica,Inc.カリフォルニア州サンノゼ]を使用して駆動モータへの電流を変化させることで制御する。アルミニウムホイールと駆動ホイールとの間の接触力は、ロック可能なターンバックル機構により調整する。回転増加及び回転減少時間は、数分程度であり、動作速度は、このようにモニタされ、目標速度からの著しい逸脱が無い状態で手動により維持され、何らかの僅かな変動は、モニタリング機構を介してマイクロコンピュータが検知し、発光体の発光タイミングを調整して一致させる。ホイールの中央には、厚さ約1/8インチの透明アクリルディスク間に挟まれた状態で、ホイールの前面にフィルム/フィルタ積層体を保持するために作成された仕組み(リップと保持ブロックの形態)と共に、円形の穴を開け、ホイールの後方内側には、段付きの輪郭を与え、角度のついた再生基準光が、フィルム/フィルタ積層体の中央領域の相当な部分を照明できるようにした(図17)。しかしながら、こうしたホイールは、フィルム/フィルタ積層体を前部から取り外し及び交換可能となるように設計することで、更に利点を有し得る。
各フィルム上の画像間では、ホログラフ的に記録した際のように、また、フィルム間では、フィルム/フィルタ積層体に組み立てた際のように、良好なレジストレーションが達成されるように注意する。任意の著しいミスレジストレーションは、本発明に関連して説明したモーションホログラムの場合、顕著且つ一般に有害な視覚的振動につながる恐れがあり、ホイールが回転するにつれ、ミスレジストレーションによるアーチファクトが像の一方のエッジから他方のエッジへ循環的に変化し、ホイールの回転の中心がホログラムの回転の中心と十分に整合していない場合は、フィルムの平面における循環並進運動が像全体に重なる(この後者の効果は、像の高速アニメーション部分では特に目立たない場合があるが、静止又は低速アニメーション部分では、潜在的に著しいぼやけを引き起こす恐れがある)。
ベアリング及びドライブ付きのホイールは、カスタムカットの45mmの正方形のアルミ押し出しによるフレームワーク[FMS、Bosch Rexroth Corporation、イリノイ州ホフマン]に対して実質的に垂直に取り付け、これに更に、Samsung/Luminus発光源(上述したものだが、LEDは直列で動作し、パルス幅は低電圧モードで動作するMastech HY3050E DC電源[Precision Mastech Enterprises Co.香港、九龍]が提供する約23.2ボルトで変調される)と、10.5インチ四方の焦点距離19インチのフレネルレンズ[カタログ項目#51、Fresnel Technologies,Inc.テキサス州フォートワース]の静止組立体、及び本発明の色の態様のデモンストレーション(図17)において全て実質的に説明した、ホログラフ回折格子及び3M LCFの2枚のシートを含む、Model22 Voxboxディスプレイから目的を変更した他の材料へ、この光源からの光を向ける折り曲げミラーと、が取り付けられる。光学機械組立体全体は、FMSフレームワークに取り付けた黒塗りの約1/8インチの合板スキンに封入され、前面スキンのほぼ円形の穴に、アルミニウムホイールの前面を、安全のため厚さ1/4インチの透明アクリル板の後ろで嵌め込む。2枚のLCFシートを、その間に約1/4インチの空隙を空けて使用し、これは、このように使用した単一のLCFシートは、ピンホール及び他の欠陥及び不均一性(後述するVoxblock材料の製造において容易に回避される問題)の存在のため不十分となる場合が多いことを本発明者が観察したためであり、更には、緑色再生基準を光学的に透過するように3M LCFを調整した場合、一般により急な角度でこのデモンストレーション装置を通過する赤色基準は、LCF内のスラットの上側から部分的に反射され、ホログラム観察者に向かって伝播し、ホログラムが観察される場所に比較的明るい赤色の背景を発生させるためである(この問題は、Voxblock材料では発生しない)。LCFの第二のシートは、この反射赤色光を捕まえるように配置され、一枚のシート内のピンホール又は均一性が他方のシートの同様の欠陥と整合する可能性は低いため、2枚のシートの組み合わせにより、こうした欠陥の深刻さを実質的に減らすことができる。LCF、回折格子、フレネル、及び折り曲げミラーは、全て傾斜可能なフレーム(黒のSectional Metal Frame Kit[Michaels、テキサス州アーバイン])に保持し、これらを様々な組み合わせで傾斜させる効果を調査し、満足のいく最適な傾斜を経験的に決定した。このような設計において、各色の参照ビームに対して異なる分散補償基準角度にすることで、回折格子とフィルムとの間の任意の隙間が増加するにつれ、こうした全てのビームを利用してホログラムフィルムを照らすことが可能な面積は縮小する。したがって、こうした隙間を最小化することが有利となり、このデモンストレーションでは、LCF組立体全体をホイールの中央開口部に挿入して、十分に安全であると感じられるような近さで、回折格子をホイールの背面に近づけて位置決めすることにより達成される。
3MのLCFと比較した時、Voxblock材料は、内部構造が非常に異なるため、特有の利点を有する。LCFは、縮小したベネチアンブラインドに幾分似た形で構築され、この内部構造のスラットは、実質的に不透明であり(但し、スラット内の不十分な光学密度のため不十分に不透明となる場合があり、こうしたスラットにはピンホール、裂け目、又は他の欠陥が時折存在する)、3Mの角度付きLCF材料において、これらのスラットは、LCFシートの外部表面に対して幾分傾斜した角度(及び、残念なことに、一般にかなり不定の角度、通常、仕様では±8°)で位置決めされるため、光は、スラット間の角度では比較的妨げられずに通過可能だが、シートに実質的に直角に入射する光は、スラットに遮断され実質的に吸収される(但し、その一部、特に、Bazarganの装置を実現するために使用されたLCFの場合、こうした光の赤色成分は、スラットから反射及び散乱し、意図しない幾分散乱した角度でLCFシートから逃れる)。Voxblock材料は、2枚の平面層から成り、2枚の平面層は、薄い実質的に一定の厚さの実質的に透明な材料により分離されており、それぞれ、平行且つ不透明な線のパターンを、その線の間の実質的に透明な空間と共に有する(図18は、断面の例を示す)。各層の不透明な線は、他方の層のものと実質的に平行に延びるがオフセットしており、そのため、組み合わせた層を直角に(即ち、それらの平面に垂直な方向から)見た時、一方の層の不透明な線は、他方の層の当面な線の上に位置して、これを覆い、逆も同様となる。不透明な線は、透明な線より僅かに幅が広いため、二層の複合効果として、何れかの層に直角に入射した光は本質的に全て遮断されるが(線のエッジで回折されるこうした光の非常に小さな割合は無視する)、直角から外れた角度で何れかの層に入射した光は、両方の層の透明な線を部分的に通過できるため、Voxblockを透過することができる。少なくとも半分は不透明な線に遮断され得るため、こうしたVoxblockのシートでの平均透過率は、2分の1を超えることはない。しかしながら、実際には、本発明に適したVoxblockは、作成が非常に容易であり(後述)、一方3MのLCFは、そのシート間及びシート内の変動と、特定の実施形態に関連して結果的に2枚で使用することを考慮に入れる限り、作成が非常に困難であると思われ、本発明者の経験では、本発明に関連したVoxblockの実際の透過率は、一般にLCFのものとかなり類似している。
Voxblockは、最初に、例えば、インクジェット印刷又はレーザ印刷等の従来の印刷又は写真手法を使用して、薄い実質的に透明なプラスチックシートに平行で実質的に不透明な線の第一のパターンを印刷又は記録することにより、容易に製造し得る。最適なシート厚さは、例えば、約6/1000インチであり、この厚さの適切なポリエステルのシートは、均一性が高く光学品質に優れたものが容易に入手できる[例えば、Mylar(登録商標)、DuPont Teijin Films U.S. Limited Partnership、バージニア州ホープウェル]。不透明な線の適切な幅は、例えば、約12/1000インチであり、不透明な線の間の透明な空間の適切な幅も、例えば、12/1000インチである。次に、写真用の暗室条件下で、写真用フィルムのシートを、例えば、圧力又は熱的に活性化するか、或いは写真フィルム内、及び外側の感光層により潜像が形成されない光の波長範囲で光学的に活性される、光学的品質のラミネート接着剤を使用して、第一のシートの非印刷側にラミネートするか、或いは他の形で固定又は重ね合わせる。適切な写真フィルムは、例えば、Camera 2000CGP[Eastman Kodak Company、ニューヨーク州ロチェスタ]等の厚さ約6/1000インチのポリエステル基板にコーティングされた非常に高いコントラスト(「リス」)のネガティブフィルムである。次に、第一のシートに印刷された不透明なラインを、第一のシートに実質的に直角に入射する実質的にコリメートされた光を使用して、写真フィルムに密着印画し、第一のシートと写真シートとを備えたラミネートしたサンドイッチを光化学的に処理することにより、写真シートの露光領域は、実質的に不透明になり、写真シートの非露光領域は、実質的に透明なままとなる。第一のシート上の印刷線と第二のシート上の写真的に形成した線との間では、小さな割合のコリメート光が印刷線の周囲で回折されるため、望ましい小さな重複が形成されるが、リスフィルム特有の高コントラストのため、写真的に印刷された線は、非常に鋭いエッジを有する。プリントパターン内の任意のピンホール又は他の幾分透明な欠陥は、写真的に形成されたプリントパターンのネガ画像において、僅かに大きな対応する実質的に不透明な領域と自動的に一致し、同様に、印刷線における平行性からの任意の実質的な逸脱は、ネガ画像において、自動的に実質的に一致されるため、元の線パターンにおける実質的な誤差及び欠陥が許容される。元の線パターンの光学密度が不満足である場合、その中間接触コピーを、ポジ又はネガのリスフィルムにおいて、ラミネートステップ無しに作成することが可能であり、この中間フィルムのコピーパターン(又はそのネガ)は、リスフィルムの高い光学密度特性を示すため、この中間コピーを第一のフィルムの代わりに使用できる。
このように作成したVoxblockの角度依存挙動は、様々な層の内部及び外部への光の屈折が可能となるように容易に計算可能であり、線の幅及び間隔を変えること、及び様々な写真フィルム、プラスチックシート、及びラミネーション材料を選択すること、或いは、必要に応じて、印刷面がサンドイッチの内側を向くように第一のシートを裏返すことにより、広範な性能特性に合わせることができる。Voxblockの実験シートは、性能がシート全体で異なるものを容易に製造することが可能であり、こうしたシートを使用して、本発明者の用途に最適なVoxblock製造パラメータを選択した。
Model22の約12インチ×約13.5インチの面積より大きな照射面積を有するVoxboxディスプレイは、大型のフレネルレンズコリメータ、大型の回折格子、及び大型のVoxblockシートを含む、大型の光学機器を前部に使用して構築することが可能であり、或いは、複数のこうした前部光学機器は、小型の部品又は小型及び大型の部品の混合から構築したタイル状の配列として組み立てることが可能であり、例えば、大型のコリメータの後ろに、小型の回折格子の1つ以上のタイル状配列から成る第一の層、その後ろにVoxblockシートの1つ以上のタイル状配列から成る第二の層等にすることができる。タイル状前部材料の場合、Voxboxディスプレイ等の後方部分は、単一の光源が前部材料を照明する大きなモノリシックシステムにすることが可能であり、或いは、こうした後方部分も、タイル状とし、複数の光源の配列が前部材料を照らすようにすることができる。この後者の場合は、1つの小型Voxboxディスプレイがそれぞれ提供する小さな照射領域の集合から大きな照明領域を構築する複数の全てVoxboxディスプレイによるタイル配列と等価であり、この場合、一般には、未照射のエッジが細い状態、残存する状態、又は存在しない状態で小型Voxboxディスプレイを構築して、継ぎ目のない照射を達成できる利点があり、電気、制御、及び冷却手段を小型Voxboxディスプレイの集合間で共有する利点を有し得る。
カラーの運動のデモンストレーションにより、本発明者は、例えば、上述した最小及び十分なフリッカ速度の値等、特定の観察結果及び結論を得た。カニが不合理に素早く動いて見えることなく、こうした速度を達成するために、本発明者は、以下の追加的な特徴を実行した。一般に、各フレーム(したがって、カニの各ポーズ)が2、3回繰り返されるフレームシーケンスを選択する(経験的には、カニが凍った又は死んだように見えることなく、4、5回の反復も慎重に使用できる)。こうしたモーションシーケンスの反復パターンをスムーズにするため、時折、シーケンス内の前の画像の1回以上の反復を挿入し、結果的なカニの動きのぼやけにより、全体的な運動に有益な平滑化効果を提供する。カニの物語の継続時間を延ばすために、カニが舞台裏にいる時(対応する舞台裏のステレオ音響効果及び音楽により観察者に示す)に表示されるカニのいないフレームを有することが望ましく、これは11枚のカニのフレームの設計において予期していなかったため、偶然にカニが殆ど見えない、カニが舞台左に入るシーケンスのフレームを使用する。空のフレームを達成するために、単に照明を無効にするだけでは一般に十分ではないのは、こうした未照射のフレームは、通常少なくとも何らかのノイズ光を含む他のフレームの背景と比べて、通常非常に異なって見えてしまうためだが、しかしながら、例えば、カニのキャラクタの中立ポーズ又はテキストフレーム等のニュートラルな画像が表示されている時に、照明をそれぞれ傾斜的に減少又は増加させる黒へのフェードダウン及び黒へのフェードアップを行うことは実用的である。
加えて、本発明者は、3色の照射光源を全て一緒に点滅又は脈動させることが可能であり、或いは特定の時点で1色のみをオンにして、インタリーブされたカラーパルスが連続して発生するように、或いは、運動機構の回転全体に均等に分布されるようにタイミングが定められるインタリーブパターンで点滅又は脈動させることが可能であると判断した。後者の場合(単色パルスの均等な分布)、フリッカ速度は有利なことに増加すると思われるが、しかしながら、一般に、このタイミングシーケンスにより、3枚のカラーフィルム間に付加的な固定回転変位(本発明者のデモンストレーションでは、Gフィルムに約3°追加され、Bフィルムでは約6°となる)が含まれるという問題が持ち込まれるため、個別の各カラー画像は、発光体が光る時に正しい位置に配置されるものの、このデモンストレーションの例では、画像が見える状態から見えない状態になり、次の画像が見えない状態から見える状態になるには完全に30°回転する必要があるため、こうしたタイミングシーケンスにより、意図した画像に先行及び遅延して見える色付きのゴースト画像が生じる。
フレームレートが急激に大きく変化するのを避けるために、画像シーケンスの次フレームも、フィルムに対して角度を成して配置された次のフレームである場合、一度完全に回転し、更に1フレーム分進んでから次フレームを得ることが望ましい(我々のケースでは、390°の回転)。同様に、画像シーケンスの次フレームが、フィルムを半分回った位置にある場合、これには半回転又は1回と半回転してアクセスできる。これにより、表示される際のフレーム間の角度の増分は、常に半回転と完全に1回転との間になるようにして、多くとも2:1で変化するように制約し得るが、一方、この手順が採用されない場合、フレームレートは、我々の例では、12:1もの変化が生じ、ホログラフの動きがシャッタのように見える場合がある。
本発明者は、カニの動画の12枚のフレームを、(アクセス順ではなく)実際の順番でホログラムフィルムに角度を付けて分布させ、可能な限り、任意の特定の画像に隣接する直線又は直後の画像が、カニを目的通りにアニメーションさせた時に実行されるシーケンスの1つではないにしても、カニのキャラクタの合理的な動作シーケンスを形成するようにした。これにより、フレーム間の角度分離、利用可能なブラッグ選択性の度合い、各フレームのホログラフ視野角、及び任意の軸外の観察者の位置を含む様々な要素に応じた可能性で、こうした先行又は後続の画像が軸外の観察者に見える限り、こうした任意の軸外シーケンスにおいて見える動作のシーケンスも、合理的な物語を伝える。
上述したように、許容できない度合いの回転ぼやけ(このぼやけは効果としてシミュレーション環境に含めるべきである)を招かない16乃至24Hz程度で回転する装置上の12枚のフレームにアクセスすることにより、発光体には必然的に低いデューティサイクルが生じるため、比較的暗い画像が生じる。この暗さに対処する方法の1つは、フレームが所望に位置に接近するにしたがって回転機構を減速し、その後、元の速度に加速して次のフレームを探すことである。これには、光学画像回転装置を使用して達成しない限り、極端な速度の加速及び減速が伴うが、しかしながら、回転機構の周囲に配置された多数の機構を使用して、それ自体が本発明のフィルム/フィルタ積層体を保持する付加的な(理想的には低質量の)第2の運動要素を加速及び減速させ得る。適切な機構には、例えば、均一な運動により駆動された時に不均一な運動を与えることが可能な、様々な機械的結合及びカムに基づく機構の何れかが含まれ、例えば、ゼーマンのカタストロフマシン(ZCM)又はおそらくHenry T Brownによる「往復直線運動」装置(1868年の著書“Five Hundred and Seven Mechanical Movements”に記載)或いは単振動に近似した動作をするバネ又はバネ状の機構が含まれる。
オクルージョン
概要:実施形態は、マルチスライスホログラフ像から「隠面」を完全又は選択的に除去することを含む。
上述したように、本発明に関連して生成された成分ホログラムは、後面カリング、シェル化、及びフェザリングといった特徴を取り入れて、複数の記録スライス間での体積の積み重ねの効果を最小化又は隠蔽又は隠匿し得るが、Hartにおいて予想された臨床データ等、一部の場合において、一般的なケースでは体積の積み重ねにより生じるゴーストのような外観(内側の物体及び詳細と、後部の物体及び詳細とが、外側及び前部の物体及び詳細を通して見える)を達成することが有利となる場合があることが警告されており、第2の警告として、例えば、シェル化により生じる比較的均一で上手く配置された体積の積み重ねは、ホログラフ画像を明るくする上で有利となる場合がある。コンピュータグラフィックス用語において、体積の積み重ねの存在は、少なくとも体積の積み重ねが顕著となる結果的なホログラム内への視点からの隠面消去(光学用語においてオクルージョンとしても知られる)の達成の失敗として説明される。第3の態様として、本発明は、本発明の他の利点を全般的に維持しつつ、体積の積み重ねと、対応する暗帯形成(後述)との潜在的に望ましくない効果を実質的に又は完全に除去又は緩和するシステム及び方法を含む。
これまで説明した本発明のホログラムにおけるオクルージョンの欠如は、これまで説明したように、各連続露出の記録中に、Hartの拡散スクリーンの前部の実質的に全てが、記録材料の記録表面の実質的に全てに渡って見えるようになり、そのため、記録材料の1つ以上の領域から見えないことが望ましい(即ち、記録材料のその領域又は領域群を介して見た時に成分ホログラフ画像の他の部分により遮蔽又は隠蔽されるべき)記録画像の一部が見えるという事実により生じる。これは防止し得るものであり、したがって、オクルージョンは、選択的にホログラムに導入してもよく、これは、記録材料の特定の領域又は領域群に渡って記録されるべきではない構成スライスの部分からの光が、選択的に提供又は除去される実質的に不透明な材料の介在により、記録材料のその領域又は領域群に到達するのを遮断する機構又は手段を提供することにより行われ、或いは、記録材料のその領域又は領域群に達してもそこに記録されない(又は実質的に記録されない)ように、構成スライスのこうした部分からの光を変更する機構又は手段を提供し、例えば、提供されたオクルージョン機構又は手段が、記録材料のその領域又は領域群において基準ビームと有意に又は十分に干渉しない度合いまで、その方向、強度、波長、又は偏光を変化させることにより行われる。
不透明なタイプの機構の例は、記録材料に近接して重なる一定のパターン又は形状を有するマスクであり、物体光が記録されるべきではない領域に、物体及び/又は基準光が到達するのを遮断する。変更機構の例は、物体光が記録されるべきではない領域に到達する予定の物体及び/又は基準光の偏光及び/又は強度を回転させる、一定のパターン又は形状を有する偏光制御波長板である。こうした機構は、例えば、画素化又は他の形でパターン化された透過型LCDスクリーンを拡散スクリーンと記録材料との間に介在させ、LCDのピクセル又は他のパターンを、実質的に透明な状態と実質的に不透明な状態との間で(不透明タイプの機構)、或いは偏光の透過に可変の(潜在的に無視し得るものを含む)変化を与える状態間で(変更機構)、電気的又は他の形で切り換えられるようにすることで提供し得る。したがって、こうしたLCDスクリーンは、切り換え及びアドレス可能な形で、記録材料の任意の所望の領域又は領域群に渡る記録を選択的に防止し得る(図19)。
適切なLCDは、例えば、NECが製造する一連の大型グレイスケールLCD、例えば、NL205153BM21−01[NEC Electconics America,Inc.カリフォルニア州サンタクララ]、又は例えば、Sony XBR8[Sony Corporaton of America、ニューヨーク州ニューヨーク]等のRGB−LED(又はレーザ)型カラーシーケンシャルダイレクトビューLCDモニタ及びテレビジョンにおいて使用されるグレイスケールLCDである。或いは、各サブピクセルが特定の色(赤、緑、及び青又は赤、緑、青、及び白)を有するLCDパネルを使用し得るが、一般に、このようなカラーフィルタLCDにより、単色のレーザ光を使用してホログラムを記録する場合、光は、実質的には、ピクセルの1つ又は2つのサブセットのみを透過する(例えば、緑色レーザを使用する場合、緑色又は緑色及び白色ピクセル)。何れの場合も、視差効果のため、任意のこうしたLCDは、理想的には、記録材料の近くに位置決めして、LCDの任意のピクセルが、記録材料のピクセルサイズの領域に対する物体及び軸外基準光の両方に影響を与えられるようにするべきである。
任意の特定の不透明形状又はパターンについて、こうしたLCDの効果は、例えば、所望の形状又はパターンに切断した黒いカードのシート等、機械的なマスクによりエミュレートし得る。同様に、任意の特定の変更形状又はパターンについて、こうしたLCDは、例えば、所望の形状又はパターンに切断したプラスチック波長板材料等の光学的マスクによりエミュレートし得る。こうした機械的又は光学的マスクは、連続露光毎に必要に応じて準備又は提供し得ると共に、こうした露光毎に手動で又は自動機構により交換し得る。
例えば、非常に高い屈折率変調能力(DCG等)を有する又は非常に非線形な応答(非常に高いコントラストに処理したハロゲン化銀エマルジョン等)を有する記録材料は、基準ビームのみがマスクされた場合でも、個別のマスク露光を十分に良好に記録し得る。これは、例えば、基準ビームに上流で挿入された透過又は反射の小さいLCDパネルを使用して達成可能であり、この場合、マスクは、記録材料に近接して位置決めする必要はない。こうしたビーム強度又は偏光の空間変調を使用して、記録材料の表面全体で、基準及び/又は物体ビームの局所的な輝度又は偏光を調整し、記録面における基準及び物体ビームの有効出力を良好に一致させ、マスタリング及び/又はコピー中に、記録面全体で、所望のビーム比及び露光エネルギをポイント毎により厳密に達成することができる。
本発明のオクルージョンの態様を実現するために、各連続露光に必要な記録材料のマスキングの特定の形状又はパターンと、こうしたマスキングの各形状又はパターンを介した各連続露光に対して記録されるべき特定の画像コンテンツを、計算又は他の形で決定する必要がある。例えば、所望の画像コンテンツは、LCDの例により提供されるアドレス可能なピクセル又はパターン毎に、従来のコンピュータグラフィックス視認性アルゴリズムを実行することにより計算され、こうした視認性アルゴリズムには、例えば、レイトレーシングアルゴリズム又は画家のアルゴリズムが含まれる。任意の特定の露光に必要な対応するマスキング又は変更は、単に、視認性アルゴリズムが一致する又は実質的に類似する画像コンテンツを示したLCDピクセル又は他の小領域の集合となる。或いは、画像コンテンツは、小さな区画、例えば、平坦な多角形の区画又はNUBSから成るものとして扱ってもよく(そのコンテンツは、このような形で形成されていてもよい)、こうした各区画は、記録材料の2種類の範囲又は領域を画成する記録材料の範囲上に計算的に投影してよく、具体的には、第1の範囲又は領域では、区画は可視となり、第2の範囲又は領域では、不可視となる(或いは、両側性の区画の場合、第1の範囲では、区画の一方の側が可視となり、第2の範囲では、区画の他方の側が可視となる)。記録材料の範囲のこうしたタイル状配置は、その後、組み合わせて、露光毎の適切な1組のマスクの計算を、このように計算されたマスクの各領域を介して可視となる多角形面のリスト又は他の集合と共に実行し得る。
非常に単純なケースは、第1の側に第1のパターンを有し、他方の側に第2の(異なる)パターンを有する、ホログラフコンテンツにおける両側性平面である。この平面がホログラフ記録材料に対して垂直に位置決めされた場合には、記録材料の第1の領域には、平面の第1の側にある第1のパターンのみが見えて記録され、ホログラフ材料の残りの部分(第2の領域を形成する)には、平面の第2の側にある第2のパターンのみが見えて記録される(図20)。このコンテンツの正しいホログラフ記録は、平面の第1の側にある第1のパターンを示すコンテンツを記録しつつ、記録材料の第2の領域をマスキングし、その後、平面の第2の側にある第2のパターンを示すコンテンツを記録しつつ、記録材料の第1の領域をマスキングすることにより得られる。
最も一般的なケースでは、LCDの例の全てのピクセルが別個のマスクとして機能して、他の全てのピクセルは適切に遮断又は偏光される状態となり、こうした全てのピクセルは、合成ホログラムにおいて記録されたz深度毎に別個の露光を使用し、この露光に対して、拡散スクリーン上には画像コンテンツの異なる選択が投射される。したがって、X×Yピクセルとして画素化されたLCDは、個別のZ画像深度と組み合わせた時、X*Y*Z枚ものマスクと、画像コンテンツ計算及び露光とを使用する場合がある。しかしながら、本発明者は、一般に、こうした各露光の画像コンテンツ間には高い度合いの類似性が存在しており、こうした(コンピュータグラフィックスの意味での)「コヒーレンス」を利用して、使用される計算の数及び/又は精密度を低減し得ると共に、一般に、LCDピクセルは、画像コンテンツの同じ又は実質的に同じサブセットが実質的に可視となる、より少数の大きな領域へグループ化し得るため、更にこれを利用して、使用される計算の数及び/又は精密度を低減し、使用される露光の数を低減し得ると判断した。
中程度に複雑な例は、こうした低減された計算及び露光の範囲及び程度を明確にするのに役立ち得る。立方体又は他の六面直線3次元物体のホログラムを想定する。記録材料に対してどのように配向されるかに関係なく、その面のうち多くとも5つが記録材料から可視となり、普通は、3つの面のみが可視となる。こうした各面の3次元位置は、単一平面の例において上述した記録材料の2種類の小範囲を分離する線を画成する。したがって、5つの面が可視となる場合、記録材料の面積は、最大で9つの小領域に分割され得る(図21)。したがって、X*Y枚のマスクではなく、最大で9枚のマスクで十分となり、こうした任意のマスク範囲から可視となる面の任意の組み合わせが占める値は、利用可能なZ深度値全体よりも少なくなる場合があるため、こうした各マスクに対して、最大でもZ回の露光が使用される。X*Y*Zのマスク及び露光を使用する代わりに、この例では、最大で9枚のマスクと、記録材料の最大で9*Z回の露光とを使用するため、最大で9*Z枚の画像を拡散スクリーン用に計算する必要がある。したがって、この特別なケースに使用される計算コスト及び露光数は、オクルージョン無しで使用されるものの約9倍のみとなる。一般に、本発明者は、多くの所望の物体及び場面のホログラムは、オクルージョン無しで記録された同じ物体又は場面のホログラムに使用されるものより、数十又は数百回のみ多い視認性計算及び露光を使用して、満足できるオクルージョンと共に作成し得ると推定している。更に、上述した後面カリング、シェル化、及びフェザリングをオクルージョンと組み合わせて、計算及び露光の数を更に減らすことができる。効率的且つ費用効率よく多数の露光を行う本発明の動作の態様に関連して上述した方法は、この本発明のオクルージョンの態様にも使用することができる。
本発明のオクルージョンの態様の別の利点は、部分的透明性、及び例えば、鏡面反射及び閃光(それぞれの眼の視点から見た鏡面性の間の立体視差により一般に見えるもの)等のコンテンツ又はその外観の視点依存変化を示す又はシミュレートするホログラムの記録を可能にすることである。
一般に、上述したマスキングLCDのピクセルは、本発明の拡散スクリーンが個別のz値間で移動可能となるより遥かに迅速に切り替え可能であることを考慮すると、一般には、深度が最後となる形で本発明のオクルージョンの態様を進め、記録材料を分離するディフューザを第1のz値に設定し、その第1のz値での各遮蔽露出を実行し、その後、記録材料を分離するディフューザを、第2の値での各遮蔽露出のために第2のz値に設定する等を、所望の各z値に行うようにした方が高速となる。一方、例えば、手動で交換される一組のオクルージョンマスクを利用する場合、深度を最初にする手法が望ましくなり、この場合、深度を最初にして一組のz値を連続して変化させる方が、こうしたマスク間の変更をz値毎に繰り返す行為よりも迅速又は都合よく、良好に達成し得る。
以上、本発明を上述した実施形態において詳細に説明してきたが、説明は、例示のみを目的として行っており、付記特許請求の範囲のみにより定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者は、形態及び詳細の両方において他の変更を施し得ることを理解されたい。概略を述べたステップは、本発明の特定の実施形態を表すが、同様の結果を生み出すために利用し得る任意の数の機構及びプロセスと、計算アルゴリズム及びユーザインタフェースとが存在することは、実施者には理解されよう。ステップは、説明の目的のみで提示しており、如何なる形においても本発明の範囲を限定するものではない。
利益、その他の利点、及び問題の解決策は、本明細書において特定の実施形態に関して説明してきた。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、及び、任意の利益、利点、問題の解決策を発生させる又はより顕著にする任意の(複数の)要素は、本発明の特許請求の範囲の何れか又は全ての決定的な、望ましい、又は不可欠な特徴若しくは要素として解釈されるべきではない。本発明の実施形態例を示す詳細な説明及び具体例は、限定としてではなく、例示の目的のみで挙げていることを理解されたい。本発明の範囲内の多くの変更及び修正を、その趣旨から逸脱することなく施し得ると共に、本発明には、こうした全ての変更例が含まれる。特許請求の範囲内の全ての要素に対応する構造、材料、行為、及び等価物は、具体的に請求された他の特許請求の範囲と組み合わせて実行される機能のための任意の構造、材料、行為、及び等価物を含むものとする。
この目標を達成するために、我々の例では、図1Aを参照すると、3枚のホログラフィックフィルムR(10)、B(30)、及びG(50)を、2枚の介在するダイクロイックフィルタ(20及び40)に積み重ねる。図1Aにおいて、これらのフィルム及びフィルタは、その縁部から見て、平面が図の外側へ延びている状態で図示されており、それらを通過する様々な光路は、図の紙面内を移動する光に関して図示している。図1Aでは、フィルム及びフィルタ間には隙間を残しているため、光路を更に明瞭に確認し得る。これらの隙間は、図1B、図1C、及び図1Dでは無くしてある。
図1Cは、図1AのRフィルム(10)、Piフィルタ(20)、Bフィルム(30)、Stフィルタ(40)、Gフィルム(50)を順に備える隙間のない積層体(60c)を、積層体(60c)の同一領域に入射した赤色再生基準ビーム(11c)、緑色再生基準ビーム(13c)、青色再生基準ビーム(12c)と共に示している。照明された組立積層体(60c)を見ている観察者(61)は、3次元ホログラフ画像(62)を見ており、この画像では、Rフィルム(10)により回折され、Bフィルム(30)又はGフィルム(50)からの無視できる赤色像を有するか、或いはこれを有しない、赤色再生基準ビーム(11c)から生成された、赤色の陰影内の赤色コンテンツが、Bフィルム(30)により回折され、Rフィルム(10)又はGフィルム(50)からの無視できる青色像を有するか、或いはこれを有しない、青色再生基準ビーム(12c)から生成された、青色の陰影内の青色コンテンツに合成されると共に、Gフィルム(50)により回折され、Rフィルム(10)又はBフィルム(30)からの無視できる青色像を有するか、或いはこれを有しない、緑色再生基準ビーム(13c)から生成された、緑色の陰影内の緑色コンテンツに合成された状態となる。複合効果として、組立積層体(60c)を見ている観察者(61)には、フルカラーの3次元ホログラフ画像(62)が見え、赤の陰影は、Rフィルム(10)が単独で又は殆ど全てを生成しており、青の陰影は、Bフィルム(30)が単独で又は殆ど全てを生成しており、緑の陰影は、Gフィルム(50)が単独で又は殆ど全てを生成しいている。
同様に、Bフィルム(30)のホログラフ効率が完全ではない限り、一定の割合の青色基準ビーム(12)は、角度REFb又はその近くのまま、Bフィルム(30)を通り抜けて、Stフィルタ(40)に入射(25)し、Gフィルム(50)に到達する前に実質的に又は完全に遮断される。したがって、Gフィルム(50)は、角度REFb又はその近くにおいて、青色光を殆ど又は全く受けず、そのため、その青色光の有意な割合を回折可能であったとしても、こうした青色光を受ける量が小さすぎるため、視覚的に有意な青色画像を生成できない。
Gフィルム(50)のホログラフ効率が完全ではない限り、一定の割合の緑色基準ビーム(26)は、角度REFg又はその近くのまま、Gフィルム(50)を通り抜ける。この残存緑色基準ビームは、角度Wr、Wb、Wg、Hr、Hb、及びHgにより画成された視体積の外側にあると想定される角度REFg又はその近くに留まっているため、赤色、青色、及び緑色ホログラフコンテンツ(62)の観察者(61)による鑑賞を混乱させない。一般に、この残存参照ビームは、ビームブロック(55)、又はホログラムが見られる空間の床面(63)を照射する。状況によっては、この残存参照ビームを、テーブル、天井、又は壁等、別の表面に照射させることが利点を有し得る。本発明の別の態様では、図1Dに示したように、Saフィルタと呼ばれる第3の角度依存フィルタ(64)を、図1AのRフィルム(10)、Piフィルタ(20)、Bフィルム(30)、Stフィルタ(40)、及びGフィルム(50)を順に備える積層体(60d)に追加し得る。この第3のフィルタは、Gフィルム(50)の後ろにあり、Rホログラムの所定のHr×Wr視野角内で入射した赤色光を実質的又は完全に透過し、Bホログラムの所定のHb×Wb視野角内で入射した青色光を実質的又は完全に透過し、Gホログラムの所定のHg×Wg視野角内で入射した緑色光を実質的又は完全に透過するが(62d)、基準角度REFg(13d)又はその近くで入射した緑色光を実質的又は完全に遮断し、理想的には、基準角度REFb(12d)又はその近くで入射した任意の残存青色光を実質的又は完全に遮断し、理想的には、基準角度REFr(11d)又はその近くで入射した任意の残存赤色光を実質的又は完全に遮断する。これにより、例えば、こうした残存光の光路内に位置する第2の観察者(61d)にも、こうしたSaフィルタ(64)を通過する光は殆ど又は全く見えなくなる。
図2A及び図2Bは、基準角度48.3°のコリメートされた532nm記録基準と、48.3°(図2A)及びそれぞれ63.9°、48.3°、及び38.9°(図2B)の分散補償角度のコリメートされた640nm、532nm、及び447nm再生基準とに対する、z軸線(ホログラムに垂直で中心となる軸線)に沿って十分な距離に位置する観察者が見るようなBazarganの分散補償手法の一例の側面図及び正面図である。
図3D、図3E、及び図3Fは、それぞれ図3A、図3B、及び図3Dに類似したシステムの例を示しているが、観察者の位置がホログラムに接近しており(300mm)z軸線から実質的に離れている(25°左及び25°上)。一致した基準の場合(図3E)、依然として優れた補正を示しており、コリメート記録と、強発散再生と、各軸線に沿った単純なスケーリング(図3F)の場合でも、部分的に補正されている。再生の輻輳及び基準角度も、例えば、動作追跡された観察者が動く際にホログラフ画質を最適化するため、或いは、芸術的又は美的効果として変化する歪み及び色彩を生成するために、再生中に調節制御し得る。