JP2012510447A - エゼチミブおよびシンバスタチンを含む医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、製薬工業の分野に属し、シンバスタチンおよびエゼチミブを含有する剤形を調製するための方法であって、シンバスタチンを含有する第1組成物を提供する段階と、エゼチミブを含有する第2組成物を提供する段階と少なくとも2つの別個の区間を含む1つの剤形を形成する段階とを含み、1つの区画は第1もしくは第2組成物のいずれかを使用して形成され、もう1つの区画は他の組成物を使用して形成される方法に関する。本発明は、シンバスタチンおよびエゼチミブを含有する剤形を調製するための方法であって、直接圧縮段階を含む方法にさらに関する。さらに、本発明は、この方法によって得られる剤形であって、少なくとも2つの別個の区画を含む剤形に関するが、このとき1つの区画はシンバスタチンを含有し、1つの区画はエゼチミブを含有する。最後に、本発明は、剤形の2つの個別区画内に存在するシンバスタチンおよびエゼチミブの組み合わせを含む複合剤形に関する。

Description

本発明は、製薬工業の分野に属し、シンバスタチンおよびエゼチミブを含有する新規な剤形ならびにこのような剤形を調製するための方法に関する。
高い血中もしくは血漿中コレステロール濃度または高コレステロール血症は、主として西半球の裕福な国々において一般的な疾患パターンを表している。コレステロールは、「動脈の硬化」を引き起こす可能性があるので、動脈は狭小化し、心臓への血流は緩徐化または遮断さえされ、臓器への酸素供給が制約されるという結果が生じる。高コレステロール血症は、アテローム動脈硬化症、心臓発作、および脳卒中に関係していると見なされており、年間およそ600,000例の死亡をもたらす米合衆国における死亡の主因である冠動脈疾患を引き起こし得る幾つかの状態の1つである。このリスク群には、肥満者、喫煙者、食生活が貧弱な(例えば、飽和脂肪の多い食事を摂っている)人、運動不足やストレスに苦しんでいる人が含まれる。このようなリスク状態にある個人、ならびに過度に高い血漿中コレステロール濃度を有するという検査結果が出た、および見いだされた個人のためには、様々な治療法、例えば食生活や習慣の改善、運動の増加などが提案されてきた。しかし、このような治療法は実行するのが必ずしも容易ではなく、血漿中コレステロール濃度を低下させることに有効な改良された内科療法に対する必要が存在する。
個人における高コレステロール濃度を治療または予防するために一般に使用される化合物は、スタチン類、例えばフルバスタチン、シンバスタチン、およびロバスタチンである。スタチン類の群の中でも、特にシンバスタチンは高コレステロール濃度を特徴とする状態の治療において優れた結果を示した。シンバスタチンを調製する方法は、例えばEP0033538、EP0351918、およびEP0299656に開示されている。シンバスタチンは、コレステロールの生合成経路における初期段階である3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)からメバロネートへの変換を阻害することによってコレステロール降下作用を発揮する。さらに、シンバスタチンは、超低密度リポタンパク質(VLDL)およびトリグリセリド類(TG)の量を減少させ、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)を増加させるので、アテローム動脈硬化症のような疾患に対抗することができる。シンバスタチンは、世界中で市販されており、商標名ZOCOR(登録商標)で販売されている。ZOCOR(登録商標)錠は、シンバスタチン、無水ラクトース、微結晶セルロース(充填剤)、α化トウモロコシデンプン(崩壊剤)、マグネシウムステアレート(潤滑剤)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、クエン酸一水和物およびアスコルビン酸(抗酸化剤)を含有している。
血中コレステロール濃度の低下に関して相違する作用様式を有するさらに他の化合物も使用するために提案されている。このような化合物は、例えば、EP0720599に記載されているエゼチミブである。エゼチミブは、コレステロールの吸収および再吸収を阻害し、作用方法はコレステロールの排泄および腸内で糞便とともに生成されるこの代謝産物の増加を含んでいる。この作用は、生体内コレステロール濃度の低下、コレステロール合成の増加、およびトリグリセリド合成の減少を生じさせる。コレステロール合成の増加は、最初は循環中コレステロール濃度の維持を提供するが、循環中コレステロール濃度はコレステロールの吸収および再吸収の阻害が継続するにつれて最終的には低下する。薬物作用の全体的作用は、身体の循環中および組織中コレステロール濃度の低減である。米合衆国では、エゼチミブは、商標名ZETIA(登録商標)で販売されている。エゼチミブの多型形は、例えばWO2005/009955に記載されている。
改良された薬剤を提供するために、例えばエゼチミブおよびシンバスタチンの組み合わせなどの複合製剤が検討された。このような複合製剤は、例えば米合衆国では商標名VYTORIN(登録商標)で市販されている。市販で入手できるVYTORIN(登録商標)錠は、エゼチミブ、シンバスタチン、ラクトース一水和物、微結晶セルロース(充填剤)、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(結合剤)、クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤)、マグネシウムステアレート(潤滑剤)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、クエン酸一水和物および没食子酸プロピル(抗酸化剤)を含有している。各10mgのエゼチミブならびに各10、20、40および80mgのシンバスタチンを含有するVYTORIN(登録商標)錠を入手できる。
シンバスタチンおよびエゼチミブなどの活性物質は、通常は環境的影響、例えば貯蔵温度、湿度、光線(例えば、紫外線)、および酸素または二酸化炭素などの環境中に存在する気体に対して感受性である。重要な要素は、pH、すなわち環境の酸性もしくはアルカリ性に影響を及ぼす物質(例えば、酸、アルカリ、塩、金属酸化物)の存在および周囲媒体もしくは活性物質(フリーラジカル、重金属)の反応性などである。さらに、医薬組成物中に含有される賦形剤もまた不純物および/または酸化剤もしくは金属(例えば、不純物を表す。)の起源となることがあり、ペルオキシルラジカル、スーパーオキシド(一重項酸素)およびヒドロキシルラジカルなどの移動性酸化種の発生に関与することがある。移動性酸化種の発生は賦形剤の水素結合強度および良好な電子供与体部位(例えば、アミン類)があるかどうかに依存する。過酸化物不純物はポリマー賦形剤中に存在することが多く、医薬製剤における酸化の主要原因である(Waterman,K.C.,et al,Stabilization of Pharmaceuticals to Oxidative Degradation,Pharmaceutical Development and Technology,7(1),2002,1−32)。
分解および/または他の望ましくない化学反応、例えば酸化反応を防止するために、抗酸化剤を含む安定剤が通常は利用される。
シンバスタチン、エゼチミブおよび抗酸化剤を含む医薬製剤の例は、US7229982に記載されている。
WO2004/010993もまた、エゼチミブおよびシンバスタチンを含む医薬組成物について開示している。この組成物はさらに、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル−フェノール(BHT)、没食子酸プロピル、アスコルビン酸、クエン酸、エデト酸二ナトリウムおよびメタ重亜硫酸カルシウムなどの抗酸化剤を含む分解防止剤を含んでいる。
WO2007/003365は、分解防止剤、特別抗酸化剤が全く使用されない医薬組成物について開示している。本医薬組成物の必要な安定性は、この組成物と酸素との接触を実質的に減少させる段階、例えば本組成物をコーティングする、または本質的に減少した酸素含量を有する環境内で本医薬品を提供する段階によって達成される。
しかし、WO2007/003365に記載されているような組成物と酸素との接触を実質的に減少させる方法は、医薬組成物の調製においてまた別の段階および/または方法を必要とし、それにより製造時間および/または費用が実質的に増大する。
欧州特許第0033538号明細書 欧州特許第0351918号明細書 欧州特許第0299656号明細書 欧州特許第0720599号明細書 国際公開第2005/009955号 米国特許第7229982号明細書 国際公開第2004/010993号 国際公開第2007/003365号
Waterman,K.C.,et al,Stabilization of Pharmaceuticals to Oxidative Degradation,Pharmaceutical Development and Technology,7(1),2002,1−32
このため、シンバスタチンおよびエゼチミブを含有する製剤を調製するための改良された方法、および改良された製剤自体が必要である。
本発明は、各々単独または結合して、以下の態様、主題および好ましい実施形態を提供するが、さらに本発明の目的を解決することに寄与する:
(1)シンバスタチンおよびエゼチミブを含む剤形を調製するための方法であって:
a)シンバスタチンを含有する第1組成物を提供する段階と、
b)エゼチミブを含有する第2組成物を提供する段階と、
c)少なくとも2つ、好ましくは2つの別個の区画を含む剤形を形成する段階とを含み、
1つの区画は第1または第2組成物のいずれかを使用して形成され、もう1つの区画はそれぞれの他の組成物を用いて形成され、区画は直接接触しており、および
区画の各々はそれぞれに1つの層を構成する方法。
区画の直接接触の提供は、本発明による方法が、例えば該方法が各々エゼチミブおよびシンバスタチンを含有する各区画間にある1つの層を製造する段階を含む従来型方法に比較してより高速および安価であるという点で改良されているという利点を提供する。驚くべきことに、本発明による方法は、各層区画の直接接触にもかかわらずエゼチミブおよびシンバスタチンを含有する安定性剤形を提供することが見いだされている。
(2)先行項目による方法であって、該剤形は錠剤、好ましくはこの各々が1つの層を構成する2つの別個の区画からなる二層錠剤である方法。
本組成物は、任意の利用可能な方法、例えば混合法、湿式造粒法、乾式造粒法、押出/球形化法によって調製できる。混合法が好ましい。
(3)先行する2つの項目のいずれかによる方法であって、段階(a)から(c)が空気の存在下で実施される方法。
(4)先行する3つの項目のいずれかによる方法であって、第1組成物が第1層を形成し、第2組成物が第2層を形成し、第2層は第1層上に圧縮される方法。
(5)先行する4つの項目のいずれかによる方法であって、第1および第2組成物には1つ以上の賦形剤が各々添加されるが、抗酸化剤および/または酸素吸収剤の添加が除外される方法。
(6)先行項目のいずれかによる方法であって、希釈剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味料、流動促進剤、フレーバー剤および着色剤からなる群から選択される賦形剤が添加される方法。
(7)先行する2つの項目のいずれかによる方法であって、充填剤は、相違するグレードのデンプン類、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、コメデンプン、コムギデンプン、α化デンプン、完全α化デンプン、セルロース、例えば微結晶セルロースもしくはケイ化微結晶セルロース、マンニトール、エリトリトール、ラクトース、例えばラクトース一水和物およびラクトース無水物、カルシウム、例えばリン酸水素カルシウム、ソルビトール、およびキシリトールからなる群から選択され、特に好ましくは、充填剤は、α化デンプン、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、ラクトース一水和物、およびラクトースからなる群から選択される;
崩壊剤は、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム塩(架橋セルロースカルボキシメチルエーテルナトリウム塩)、デンプン、例えばナトリウムスターチグリコレートもしくはコーンスターチ、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、および低置換ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択され、特に好ましくは、崩壊剤は、ナトリウムスターチグリコレートおよびクロスカルメロースナトリウム塩からなる群から選択される;
潤滑剤は、ステアリン酸、タルク、ナトリウムステアリルフマレートおよびマグネシウムステアレートからなる群から選択され、特に好ましくは、潤滑剤はマグネシウムステアレートである;
結合剤は、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ビニルピロリドンと他のビニル誘導体(コポビドン)とのコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム末、ゼラチン、グアールゴム、カルボマー、例えばカーボポール、ポリメタクリレートおよびデンプンからなる群から選択され、特に好ましくは、結合剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびコポビドンからなる群から選択される;
希釈剤は、炭水化物、例えばグルコースのような単糖類、スクロースのようなオリゴ糖類、無水ラクトースおよびラクトース一水和物、ならびにソルビトール、マンニトール、エリスロ−ル、およびキシリトールのような糖アルコールから選択され、特に好ましくは、希釈剤はソルビトールである;
流動促進剤は、コロイド状シリカ、疎水性コロイド状シリカおよびマグネシウムトリシリケート、例えばタルカムからなる群から選択され、特に好ましくは、潤滑剤はコロイド状シリカおよび疎水性コロイド状シリカからなる群から選択される;および/または
甘味料は、アスパルテーム、サッカリンナトリウム、グリシルリジン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビア、タウマチンなどからなる群から選択される。
(8)先行項目のいずれかによる方法であって、第1および第2組成物に同一賦形剤が添加される方法。
(9)先行項目のいずれかによる方法であって、第1および第2組成物に微結晶セルロース、ラクトース、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コロイド状シリカおよびマグネシウムステアレートが添加される方法。
(10)先行項目のいずれかによる方法であって、剤形は錠剤であり、段階(c)の錠剤上にコーティングが適用されない方法。
(11)シンバスタチンおよびエゼチミブを含有する剤形を調製するための方法であって、直接圧縮法の使用を含む方法。
(12)先行項目による方法であって、項目(1)から(10)のいずれかによってさらに実施される方法。
(13)先行項目のいずれかによる方法であって、第1および第2組成物の提供が造粒段階を含有していない方法。
好ましい実施形態では、第1および第2組成物は、各成分(構成成分)を混合する段階によって調製される。
(14)先行項目のいずれかによる方法によって得られる剤形。
(15)先行項目による剤形であって、剤形は錠剤、好ましくは二層錠剤である剤形。
(16)少なくとも2つの別個の区画を含む剤形であって、1つの区画はシンバスタチンを含有し、もう1つの区画はエゼチミブを含有し、前記区画は直接接触しており、区画の各々はそれぞれに1つの層を構成する剤形。
(17)先行項目による剤形であって、剤形は錠剤、好ましくはこの各々が1つの層を構成する2つの別個の区画からなる二層錠剤である剤形。
(18)先行する2つの項目のいずれかによる剤形であって、抗酸化剤および/または酸素吸収剤が含有されていない剤形。
(19)先行する3つの項目のいずれかによる剤形であって、コーティング層を含んでいない剤形。
(20)先行する4つの項目のいずれかによる剤形であって、少なくとも2つの層は追加して1つ以上の賦形剤を含有する剤形。
(21)先行項目による剤形であって、賦形剤は希釈剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味料、流動促進剤、フレーバー剤および着色剤からなる群から選択され、該剤形は、好ましくは項目(8)に明記したものから選択される賦形剤を含んでいる剤形。
(22)先行する6つの項目のいずれか1つによる剤形であって、2つの層は、微結晶セルロース、ラクトース、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コロイド状シリカおよびマグネシウムステアレートを含有している剤形。
(23)先行する3つの項目のいずれかによる剤形であって、1つおよび他の区画は同一タイプの賦形剤を含有する剤形。
(24)先行する8つの項目のいずれか1つによる剤形であって、2つの層から構成される錠剤である剤形。
(25)高コレステロール血症の予防または治療において使用するための、剤形の2つの別個の区画内に存在するシンバスタチンおよびエゼチミブの組み合わせを含む複合剤形であって、前記区画は直接接触しており、区画の各々はそれぞれ1つの層を構成する複合剤形。
以下では本発明を好ましい実施形態および実施例によってより詳細に記載するが、これらは例示することだけを目的として提示されるものであり、決して本発明の範囲を限定するものであると理解すべきではない。
驚くべきことに、本発明による方法は、複数の区画を備える剤形、特に1層錠剤である公知の1区画剤形より安定性である特に二層錠剤を提供できることが見いだされた。安定性の増加は、2つの組み合わされた活性物質であるシンバスタチンおよびエゼチミブがプレフォーミュレーション安定性試験で不適合性を示さなかったので、予想外であった。任意の理論によって結び付けることを望まなくても、現在では、公知の剤形におけるエゼチミブおよびシンバスタチンの不適合性の理由は同時処理加工中および特別圧縮中の活性化合物間、および最終剤形内の望ましくない相互作用の増幅であると想定されている。
有益にも、本発明による方法は、抗酸化剤の添加を必要とせずにシンバスタチンおよびエゼチミブを含有する安定性剤形を提供することを可能にする。さらに、本発明による方法は、安定性製剤を提供するために不活性雰囲気下で実施する必要はないが、空気が存在する中で実施することができ、このため本方法はより安易に実施することができ、より安価である。さらに、本発明による方法は、好ましくは直接圧縮段階を含んでいる。これにより溶媒(例えば、水)の使用を回避できるので、溶媒感受性薬物の調製を可能にする。さらに、直接圧縮は、錠剤調製の最も迅速および最も費用効果的な方法である。
本発明は、第1および第2組成物を提供する段階(本方法の段階a)およびb))を含む剤形を調製するための段階に関する。本組成物は、本組成物の成分を混合する段階による公知の方法、または錠剤成形機のために適切な混合物の調製のための任意の他の方法(例えば、湿式造粒法、乾式造粒法、押出/球形化法)によって調製できる。好ましい実施形態では、本組成物の成分を混合する段階が実施される。混合する段階は、例えば湿式または乾式造粒法、押出/球形化法などの他の方法と比較してより高速でより低労働集約的であるという利点を有する。また別の好ましい実施形態では、本組成物の調製または本組成物の準備は、各々造粒段階を含んでいない。
本発明による剤形は、好ましくは、錠剤、カプセル剤(軟質または硬質カプセル)、カプレット剤、ロゼンジ剤、およびサシェ剤を含む固体形にある。本発明による剤形は、好ましくは錠剤の形態にある。
第1組成物、もしくは第1区画は、好ましくは10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mgまたは100mg、好ましくは60mg、70mg、80mgまたは90mg、より好ましくは70mgまたは80mg、最も好ましくは80mgの用量でシンバスタチンを含有している。
第2組成物、もしくは第2区画は、好ましくは1mg、2mg、5mg、7mg、10mg、12mg、15mgまたは20mg、好ましくは5mg、7mg、10mgまたは12mg、より好ましくは7mgまたは10mg、最も好ましくは10mgの用量でエゼチミブを含有している。
両方の組成物に、追加して1つ以上の医薬的に許容される賦形剤を各々加えることができるが、好ましくは、抗酸化剤の添加は除外される。一般に、抗酸化剤は、他の分子の酸化を緩徐化または防止することのできる分子である。シンバスタチンおよびエゼチミブを含有する剤形の安定化のために一般に使用される抗酸化剤は、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびメタ重亜硫酸ナトリウムである。しかし、抗酸化剤の使用は、抗酸化剤は皮膚を通して吸収される可能性があり、身体組織内に貯蔵される可能性があり、高濃度では有害であることが実証されているので、決定的な欠点を含んでいる。例えば、BHTまたはBHAは眼および皮膚の刺激を誘発し、粘膜および上気道に対して刺激性である。これらの作用は、軽度の刺激から組織の重度破壊まで様々に相違する可能性がある。抗酸化剤の使用の結果として生じるまた別の不利点は、このような保護化合物が分解生成物の形成を生じさせることがあり、これは順に保存するために加えられた活性物質と反応することがある点である。
さらに、本明細書に記載した組成物は酸素吸収剤を含有していないことが好ましい。一般に、このような酸素吸収剤は、市販で入手できる吸収剤、例えば湿度活性化酸素吸収剤、紫外線照射活性化吸収剤、放射線活性化吸収剤、マイクロ波照射活性化吸収剤、活性化方法の組み合わせによって活性化される吸収剤または活性化の必要性を伴わない吸収剤の群から選択することができる。市販で入手できる吸収剤の例は、Ageless(商標)(Mitsubishi Gas Chemical社)、ATCO(Standa Industry社)、Fresh Pax(商標)(Multisorb Technologies社)、O−Buster(商標)(Hsiao Sung Non−Oxygen Chemical社)、Biotika酸素吸収剤(Biotika社)などである。抗酸化剤に関する上記で言及した同一の欠点および不利点は、酸素吸収剤の使用と関連する可能性があり、そこでこれらの回避は同様に有益である。
しかし、本発明による方法を使用することによって、抗酸化剤および/または酸素吸収剤の添加は不要である。添加できる適切な医薬的に許容される賦形剤には、希釈剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味料、流動促進剤、フレーバー剤および着色剤が含まれるがこれらに限定されない。
本発明によると、任意の充填剤を使用できる。好ましい充填剤は、相違するグレードのデンプン類、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、コメデンプン、コムギデンプン、α化デンプン、完全α化デンプン、セルロース、例えば微結晶セルロースもしくはケイ化微結晶セルロース、マンニトール、エリトリトール、ラクトース、例えばラクトース一水和物およびラクトース無水物、カルシウム、例えばリン酸水素カルシウム、ソルビトール、およびキシリトールからなる群から選択され、特に好ましくは、充填剤は、α化デンプン、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、ラクトース一水和物、およびラクトースからなる群から選択される。
本発明によると、任意の崩壊剤を使用できる。好ましい崩壊剤は、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム塩(架橋セルロースカルボキシメチルエーテルナトリウム塩)、デンプン、例えばナトリウムスターチグリコレートもしくはコーンスターチ、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、および低置換ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択され、特に好ましくは、崩壊剤は、ナトリウムスターチグリコレートおよびクロスカルメロースナトリウム塩からなる群から選択される。
本発明によると、任意の潤滑剤を使用できる。好ましい潤滑剤は、ステアリン酸、タルク、ナトリウムステアリルフマレートおよびマグネシウムステアレートからなる群から選択され、特に好ましくは、潤滑剤はマグネシウムステアレートである。
本発明によると、任意の結合剤を使用できる。好ましい結合剤は、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ビニルピロリドンと他のビニル誘導体(コポビドン)とのコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム末、ゼラチン、グアールゴム、カルボマー、例えばカーボポール、ポリメタクリレートおよびデンプンからなる群から選択され、特に好ましくは、結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびコポビドンからなる群から選択される。
本発明によると、任意の希釈剤を使用できる。好ましい希釈剤は、炭水化物、例えばグルコースのような単糖類、スクロースのようなオリゴ糖類、無水ラクトースおよびラクトース一水和物、ならびにソルビトール、マンニトール、エリスロ−ル、およびキシリトールのような糖アルコールから選択され、特に好ましい希釈剤はソルビトールである。
本発明によると、任意の流動促進剤を使用できる。好ましい流動促進剤は、コロイド状シリカ、疎水性コロイド状シリカおよびマグネシウムトリシリケート、例えばタルカムからなる群から選択され、特に好ましくは、潤滑剤はコロイド状シリカおよび疎水性コロイド状シリカからなる群から選択される。
本発明によると、任意の甘味料を使用できる。好ましい甘味料は、アスパルテーム、サッカリンナトリウム、グリシルリジン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビア、タウマチンなどからなる群から選択される。
本発明によると、当業者には公知である任意のフレーバー剤および着色剤を使用できる。
上記の賦形剤は、第1および第2組成物のために使用できるが、本発明によると、2つの組成物は好ましくは同一賦形剤を含有することができる;しかし、これらの賦形剤は各組成物に対して独立して選択することもできる。さらに好ましくは、第1および第2組成物は、微結晶セルロース、ラクトース、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コロイド状シリカおよびマグネシウムステアレートを含有している。
段階a)およびb)に加えて、本発明による方法は、方法段階c)を含んでいる。方法段階c)では、少なくとも2つ、好ましくは2つの別個の区画が第1および第2組成物を使用して形成される。これを言い換えると、1つの区画はシンバスタチンを含有する、またはエゼチミブ(第1組成物)を含有するいずれかの組成物を使用して形成することができ、もう1つの区画は各々の他の有効成分(第2組成物)を使用して形成することができる。また別の(第3、第4などの)組成物およびこれに対応する区画もまた自由に選択することができる。
本発明の意図における用語「区画」は、医薬的有効成分および好ましくは成分の均質混合物としての場合による賦形剤からなる剤形の一部を意味しており、相違する区画は少なくとも有効成分のタイプが相違する様々な混合物からなる。本発明によると、有効成分は、シンバスタチンおよびエゼチミブである。各区画内には、シンバスタチンおよびエゼチミブの内の有効成分の1つのタイプだけが含有される。さらに好ましくは、本剤形の区画は直接接触しており、区画間のまた別の賦形剤によって分離されない。
従って区画間に層が存在しない場合は、驚くべきことに、本発明による方法がエゼチミブおよびシンバスタチンを含有する安定性剤形を提供する。
さらに好ましくは、各区画は本医薬剤形全体内に含まれるべき各有効成分の総量を含有している。これは、第1組成物を使用して形成される区画がシンバスタチンの総量を含有し、第2組成物を使用して形成される区画がエゼチミブの総量を含有することを意味する。
また別の好ましい実施形態では、少なくとも2つ、好ましくは2つの別個の区画の各々が、それぞれ1つの層を構成する。特に好ましくは、本発明によると、該剤形は、好ましくはこの各々が1つの層を構成する2つの別個の区画からなる錠剤である。
さらに好ましくは、段階(c)の錠剤上にコーティングが適用されない。本発明による方法を実施することによって、上述したように、剤形と酸素含有環境との間の接触を減少させる測定を講じることは必要ではない。これらの測定は、例えば、環境ガスがコア内に進入するのを防止するフィルムコーティングの適用である。本発明のさらに好ましい実施形態では、本方法は、空気の存在下で実施される。これは、上述したように、不活性雰囲気下で本方法を実施することが必要ではないことを意味する。
本発明の調製物は、周知の技術的方法によって調製することができ、好ましくは、本方法は直接圧縮段階、乾式造粒法および/または凍結乾燥法を含んでいる。好ましくは、剤形の層は相互に圧縮されるが、任意の他の手段、例えばコアコーティング法、粉体層形成法またはコア/マントル錠剤圧縮法を利用できる。本発明の特に好ましい方法によると、第2層は第1層上に圧縮される。本発明のまた別の好ましい実施形態では、本方法は、直接圧縮段階を含んでいる。直接圧縮は、他の方法技術に比較して、水のような溶媒の必要を排除し、このため溶媒感受性薬物の調製を許容するという利点を有する。さらに、直接圧縮は、錠剤調製の最も迅速および最も費用効果的な方法である。直接圧縮を実施するために、好ましくは多層状、特に二層状の錠剤を圧縮できる錠剤成形機が使用される。このような錠剤成形機は、上記の基準を満たす任意の錠剤成形機であってよく、好ましくはRiva二層錠剤成形機が使用される。本発明による錠剤を調製するためには、第1および第2組成物は、周知の二層錠剤化様式で二層錠剤成形機内で圧縮することができる。しかし、第1錠剤層に対して過度の圧縮力を使用しないように細心の注意が払われなければならない。好ましくは、第1錠剤層の圧縮中に印加される圧縮力対第1および第2錠剤層の両方の圧縮中に印加される圧縮力の比率は、1:10から1:2の範囲内にある。例えば、第1錠剤層は、4から8kNの中等度の力で圧縮されてよいが、他方第1+第2層の主要圧縮は、10から20kNの力で実施される。二層錠剤圧縮中の2つの層間での適正な結合形成は、距離引力(分子間力)および粒子間の機械的連結によって達成される。
本発明は、本発明の方法によって得られた剤形、好ましくは錠剤にさらに関する。
本発明は、各々シンバスタチンおよびエゼチミブを含有する少なくとも2つ、好ましくは2つの別個の区間を含む剤形にさらに関する。各区画および区画を形成するための組成物ならびにこのような剤形を調製する方法は上記に記載されている。
本発明は、高コレステロール血症の予防または治療において使用するための本剤形の2つの個別区画内に存在するシンバスタチンおよびエゼチミブの組み合わせを含む複合剤形にさらに関する。本発明の意図においては、用語「複合剤形」は、2つの医薬有効成分、例えばエゼチミブおよびシンバスタチンを含む剤形を意味する。各区画および区画を形成するための組成物ならびにこのような剤形を調製する方法が上記に記載されている。
好ましい実施形態では、前記区画は直接接触している、および/または該区画の各々はそれぞれが本明細書に記載したような1つの層を構成する。
好ましい実施形態では、抗酸化剤および/または酸素吸収剤は、上述した剤形内に含有され、特に好ましくは、本剤形はコーティング層を含んでいない。さらに好ましくは、本剤形は、上述したように、1つ以上の賦形剤をさらに含有している。
以下の実施例では本発明の方法を例示するが、添付の特許請求の範囲に規定した本発明の範囲を限定することは意図されていない。
参照例:
エゼチミブおよびシンバスタチン混合物のプレフォーミュレーション適合性/安定性試験
Figure 2012510447
比較例1
単層錠剤
比較のために、両方の有効成分、シンバスタチンおよびエゼチミブが単層錠剤内、すなわち1つの共通コンポーネント内に存在する剤形を製造した。
Figure 2012510447
製造方法:
エゼチミブ、シンバスタチン、ケイ化微結晶セルロース、ラクトース、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびコロイド状シリカを均質に混合した。マグネシウムステアレートを加え、この混合物を再び混合し、単層錠剤に圧縮した。
Figure 2012510447
実施例1
二層錠剤
1つの実施例によって、両方の有効成分であるシンバスタチンおよびエゼチミブが相違する成分の例としての二層錠剤の相違する層内に各々存在する剤形を製造した。
Figure 2012510447
上記の組成を有効成分のタイプが各々相違する2つの層内に分割した。各層の組成は、以下の通りであった:
Figure 2012510447
Figure 2012510447
製造方法:
シンバスタチン、ケイ化微結晶セルロース、ラクトース、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびコロイド状シリカを均質に混合した。マグネシウムステアレートを加え、この混合液を再び混合し、二層錠剤成形機の第1ホッパー内に充填した。
エゼチミブ、ケイ化微結晶セルロース、ラクトース、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびコロイド状シリカを均質に混合した。マグネシウムステアレートを加え、この混合液を再び混合し、二層錠剤成形機の第2ホッパー内に充填した。
二層錠剤は最初にシンバスタチンを含有する混合物を二層錠剤の第1層に圧縮し、その後にエゼチミブ混合物を第1層上に圧縮すると、結果として二層錠剤が生じた。
Figure 2012510447
比較例2
単層錠剤
Figure 2012510447
製造方法:
エゼチミブ、シンバスタチン、ケイ化微結晶セルロース、ラクトース、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび疎水性コロイド状シリカを均質に混合した。マグネシウムステアレートを加え、この混合物を再び混合し、単層錠剤に圧縮した。
Figure 2012510447
実施例2
二層錠剤
Figure 2012510447
上記の組成を2つの層に分割し、各層の組成は以下の通りであった。
Figure 2012510447
Figure 2012510447
製造方法:
シンバスタチン、微結晶セルロース、ラクトース、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび疎水性コロイド状シリカを均質に混合した。マグネシウムステアレートを加え、この混合液を再び混合し、二層錠剤成形機の第1ホッパー内に充填した。
エゼチミブ、微結晶セルロース、ラクトース、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび疎水性コロイド状シリカを均質に混合した。マグネシウムステアレートを加え、この混合液を再び混合し、二層錠剤成形機の第2ホッパー内に充填した。
二層錠剤は最初にシンバスタチンを含有する混合物を二層錠剤の第1層に圧縮し、その後にエゼチミブ混合物を第1層上に圧縮すると、結果として二層錠剤が生じた。
Figure 2012510447

Claims (16)

  1. シンバスタチンおよびエゼチミブを含む剤形を調製するための方法であって:
    a)シンバスタチンを含有する第1組成物を提供する段階と、
    b)エゼチミブを含有する第2組成物を提供する段階と、
    c)少なくとも2つの別個の区画を含む剤形を形成する段階とを含み、
    1つの区画は第1または第2組成物のいずれかを使用して形成され、もう1つの区画はそれぞれの他の組成物を用いて形成され、前記区画は直接接触しており、および区画の各々はそれぞれに1つの層を構成する方法。
  2. 剤形が、この各々が1つの層を構成する2つの別個の区画からなる錠剤である、請求項1に記載の方法。
  3. 段階(a)から(c)が空気の存在下で実施される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 第1組成物が第1層を形成し、第2組成物が第2層を形成し、第2層が第1層上に圧縮される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 第1および第2組成物には1つ以上の賦形剤が各々添加され、抗酸化剤および/または酸素吸収剤の添加は除外される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 段階(c)の錠剤上にはコーティングが適用されない、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. シンバスタチンおよびエゼチミブを含有する剤形を調製するための方法であって、直接圧縮の使用を含む方法。
  8. 第1および第2組成物の提供が造粒段階を含有していない、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 請求項1から8のいずれかによる方法によって得られた剤形。
  10. 少なくとも2つの別個の区画を含む剤形であって、1つの区画はシンバスタチンを含有し、もう1つの区画はエゼチミブを含有し、前記区画は直接接触しており、区画の各々はそれぞれに1つの層を構成する剤形。
  11. 剤形が、コーティング層を含んでいない、請求項10に記載の剤形。
  12. 少なくとも2つの層は追加して1つ以上の賦形剤を含有する、請求項10または11に記載の剤形。
  13. 1つおよび他の区画は同一タイプの賦形剤を含有する、請求項10から12のいずれかに記載の剤形。
  14. 剤形が、二層錠剤である、請求項10から13のいずれかに記載の剤形。
  15. 高コレステロール血症の予防または治療において使用するための剤形の2つの別個の区画内に存在するシンバスタチンおよびエゼチミブの組み合わせを含む複合剤形であって、前記区画は直接接触しており、区画の各々はそれぞれ1つの層を構成する複合剤形。
  16. 複合剤形が、二層錠剤である、請求項15に記載の複合剤形。
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