JP2012509001A - コンパクト型多重ビーム反射器アンテナ - Google Patents

コンパクト型多重ビーム反射器アンテナ Download PDF

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Abstract

コンパクト化を確実に実現し、周波数10.7〜12.75GHzの範囲で、しかも、高いアンテナ効率(AE)で最小の厚みを達成した進歩的機器を提供している。技術成果として、少なくとも2個のフィードと、少なくとも2個の副反射器でアンテナを実現している。各副反射器の外形表面が、フィードの指向性パターン中心ビームを上記主反射器の縁部に確実に反射させ、横方向のビームを確実に主反射器の中心部に反射させるようになっており、上記副反射器の隣接表面が部分的に切り出されている。

Description

本発明は、衛星テレビアンテナとして使用することのできるアンテナおよびフィーダ機器に関する。
パラボラ反射器アンテナは、以下のような、多くの理由により、衛星テレビアンテナとして広く使用されている。
・低コスト
・広帯域の動作周波数
・異なった極性の電波でも扱いやすい
・比較的高い開口効率(AE)(通常60乃至65%)
パラボラアンテナは主反射器から成り、その表面が3次元空間での軌道に沿っての放物線状の動きに対応したものである。このような種類の反射器で最も一般的なものは、放物曲面の頂点と焦点とを通過する軸の回りを、母面が放物線状に回転するタイプのものである。パラボラアンテナのフィードが放物線の焦点の位置に配置されている。1つの主要最大値を有する指向性パターンが放物線の軸の方向に形成される。この型のパラボラアンテナの欠点は、単一ビームが使用されて、しかも、アンテナサイズが大きいという特徴があることである。
アンテナのサイズが大きいと、以下の欠点が発生する。
・大きなアンテナを屋外に設置すると、ビルの建築学的イメージをゆがめてしまう。特に、ヨーロッパでは、パラボラアンテナをビルの壁や屋根に設置することを法的に規制している国もある。
・パラボラアンテナは移動運搬手段においては、ほとんど使用されておらず、特に、確実な信号の受信が必要な移動中の車、列車、船などには使用されてない。
・大きなパラボラアンテナがバルコニーの近くや窓に固定されると、光を過剰にさえぎってしまうことになる。
このような状況であるために、衛星テレビ信号を受信でき、極めて小さい寸法のもので、複数の衛星から同時に信号を確実に受信できる、コンパクト型の多重ビームアンテナの開発が必要となっている。
ところで、デュアル反射器型のアンテナはパラボラ反射器型アンテナに比べると、よりコンパクトである。
デュアル反射器型のアンテナの場合は、フィードからの球状に近い電波の波面を、大きな反射器からの電波の平面波に変換する1個の主反射器から成るシングル反射器型パラボラアンテナの場合と違って、一個の大型の(主)反射器と一個の小型(補助または副)反射器から構成されている。デュアル反射器型のアンテナにも同様の機能があり、フィードからの球状に近い電波の波面を、主反射器からの電波の平面波に変換する機能がある。しかし、設計の自由度を広げて追加機能を備えるようにすれば、つまり、副反射器の個数を追加すれば、電波波面の変換がより適切に実行され、アンテナ特性の電気的は問題、寸法的な問題が解決可能となる。ところで、デュアル反射器型のアンテナにも異なる型のものが存在し、即ち、カセグレン型のアンテナとグレゴリー型のアンテナという異なっ型のアンテナがある。この2つは、フィードから副反射器を経て主反射器に向かう電波のレイトレーシング機能の点で違いがある。カセグレン型のアンテナでは、フィード電波波面の中心部ビームが主反射器の中心部に到達し、フィード電波波面の横部分ビームが主反射器の横部分に到達するようになっている。
ADE(axially displaced ellipse 軸方向変位楕円型)アンテナはすでに知られている(英国特許第973583号、1964年公開)。このアンテナは、1個の主反射器と、1個の副反射器と、1個のフィードから成る。この主反射器と副反射器は、共通の回転軸を有する回転体として構成されている。その回転軸が、軸0zである。主反射器の母面は放物線状である。重要なことは放物線上の焦点が回転軸上にはないことである。副反射器の母面形状は任意でよい。楕円形の母面を持つ副反射器の1つの例が英国特許第973583号に開示されている。技術的解決策として、楕円母面と放物線上の焦点の配置を以下のようにする方法がある。つまり、一方の楕円焦点を放物線上の焦点に合わせ、他方の楕円焦点を回転軸上に置くことである。
母面として放物線曲面と楕円曲面を使用したアンテナ(例えば、上記のADEシステム)とは別に、ビームパス反転機能(反転レイトレーシング機能)を有する他のアンテナも存在する。反射器アンテナのフィード電波は、限定された空間内の点(フィードフェーズ中心点)から放射されるビーム量の合計として表される。反転レイトレーシング機能を有するシステムにおいて、放射中心部から伝搬されるフィード電波は、副反射器により反射されて主反射器の周縁部に向かい、放射部の周縁部から伝搬されたフィード電波は、副反射器により反射されて主反射器の中心部に向かう。ここで、反射器の主要な特性は維持されることになる。つまり、フィード電波は主反射器の開口部から伝搬された端部の電波の平面波に変換される。ビームパス反転機能を有するアンテナ母面の積極的合成法については、従来技術としてよく知られていることである。この波面合成は、フィードの指向性パターンを作成して、フィードフェーズ中心、反射器表面のスタート点(例えば、中心ビーム)を設定することで実現できる。中心から角座標に沿って動かすことにより、ビームパス長の均等化の条件により、ビームパス反転機能を有するアンテナの表面形状が得られることになる。このようなアンテナでは、ADEシステムに類似した「放物線ー楕円」から成るペアの代わりに、母面ペアが使えるのである。
フランス特許第2296397号(2006年公開)には、放物線状母面を有する主反射器と楕円母面を有する副反射器で構成され、円と、主反射器に面し、その円と主反射器との間に配置された頂点とを有しているアンテナが開示されている。そのフィードは、主反射器放物線状表面と副反射器との間の、主反射器台の長さ方向の対称軸上に配置されている。これが、最小のアンテナ厚さで最大の利得要素を得るために最適化された従来型のADEアンテナである。最小のアンテナ厚さが、上記のフランス特許で決定された主反射器の反射器パラメータ間の特別な比率(0.2乃至0.25のH/D比率、ここで、Hはアンテナ厚さ、Dは主反射器の直径)を使うことで得られた。
衛星テレビシステム用に設計された、上記の1個のフィードを使ったシングル反射器とデュアル反射器の唯一の難点は、シングルメインビームを使うことである。
アンテナには、例えば、円形などの形をした導波路のような電波の入力部があり、その指向性パターンには、回転軸に沿って発生する狭いメインローブが見られる。このアンテナは、主に、指向性パターンでのメインローブに対応する角度で信号を受信(送信)する構成となっている。そこで、アンテナの方向を回したり形状を変更したりせずに、多様な方向からの信号を同時受信または同時送信する多重型の機能が要求されるのである。このような要求は、例えば、衛星テレビ信号を受信する際に起こる。この状況は、いくつかの衛星が同時に異なった方位角(つまり、静止軌道での全衛星の高度ベアリングは等しい)で動作する時に典型的に起こる。従って、形状を変えたり、あるいは、機械的な位置の変更したりせずに、いくつかの衛星からの信号を同時に受信できるアンテナであれば、衛星テレビ信号受信の能力が拡大させ、特に、1つのアンテナで多数のチャネルを見ることができるので、情報取り扱い用量が増加することになる。
次に、多重ビームパラボラアンテナには、シングルビームパラボラアンテナに比べてさらに追加の大きい能力がある。この多重ビームアンテナは数個のフィードを備え、各フィードを焦点の近くに設置している。この場合、数個の指向性パターン(ビーム)が異なった方向に形成され、その1つ1つがフィードに関係している。この型のアンテナの長所は、数個のアンテナが多重ビーム特性を有し、信号を多様な方向から主反射器に同時に送受信し、あるいは、信号を主反射器から多様な方向に同時に送信し、複数のメインローブから成る複雑な形状の指向性パターンを作成する能力を有していることである。特に、この後者の能力が衛星ベースの送信アンテナでは広く活用されている。
特に、衛星テレビシステムに利用される多重ビームアンテナがフランス特許第2173496(2001年公開)に開示されている。このアンテナはデュアル反射器レイアウト設計に従って構成されている。このアンテナの母面は放射線状であり、副反射器の母面は楕円形状であり、反射器の表面は、メインローブ方向に直角な軸の回りを母面が空間的に回転する結果として形成される。放射源は空間焦点カーブに配置されている。
この開示アンテナの欠点は、寸法が大きいことである。この欠点は、反射器が長焦点である時だけ高いアンテナ効果が得られるという事実に関係がある。光学システムの特質は、通常、パラボラ主反射器の焦点距離Fと、その反射器の直径Dまたはその他の寸法に対する比率により決まる。
指向性利得(DG)やサイドローブのレベルなどのアンテナ特性の向上のために、アンテナ形状が、オフセットレイアウトに従って設計され、カセグレン型デュアル反射器の場合と同様に、フィードと副反射器から成るシステムを主反射器のフィードとして利用している。進歩的なパラボラアンテナを実現するための最も有望な技術的解決は、衛星信号送信用のオフセットアンテナシステム(日本特許第4068803号)の開発であり、このシステムは、回転放物面を切り出すようになっている主反射器に、複数のホーンからの信号放射がなされ、それに対応する複数の部分指向性(DP)パターンが多様な方向に形成されるようになっている。この部分的指向性パターンの改良のために、各ホーンには1個または2個の追加的副反射器を配置している。
上記で説明した従来アンテナの欠点は、サイズが大きいことであるが、その原因は、焦点長さと直径の比率F/Dが大きいこと,部分指向性(DP)パターンでのメインローブ間の角距離が小さいこと、開口効率(AE)が比較的低いこと,フィードと副反射器との間にブロックが存在することである。
本発明の目的は、最小の厚さを有するコンパクト型(つまり、アンテナ厚みHとその寸法Dとの比率が最小)多重ビーム反射器アンテナを提供することである。
この進歩的アンテナを使用する時に得られる技術的成果は、周波数範囲が10.7乃至12.75 GHzで、高いアンテナ開口効率を維持しながら同時にコンパクト化を実現しているアンテナ特性を獲得できたことである。
上記の目的と技術的成果を達成するために、既存のアンテナとは異なる本発明の進歩的アンテナは、1個の主反射器と、少なくとも2個のフィードと、少なくとも2個の副反射器とから成り、上記の各副反射器は、対応するフィードからの電波を上記主反射器に反射させるように構成されているアンテナであって、上記各副反射器の外形表面がフィードの指向パターン中心ビームを、上記主反射器の縁部に確実に反射させ、横方向のビームを確実に上記主反射器の中心部に反射させるようになっており、上記副反射器の隣接表面が部分的に切り出されたことを特徴としている。
上記の進歩的発明機器の追加の実施形態では、
・共通カバーが導入されており、そのカバーは上記主反射器の周辺平面部に装着され、上記副反射器が上記カバーに固定されており、
・上記フィードがホーン形状に作製されており、
・上記ホーンの隣接壁が連結(接触)されており、
・上記のフィードとそれに対応する副反射器が主反射器の長さ方向の軸に対して傾斜しており、
・上記フィードの長さ方向の軸が、各副反射器の長さ方向の軸に対して傾斜している角度よりも大きな角度で、主反射器の長さ方向の軸に対して傾斜しており、
・上記副反射器の隣接表面が、その副反射器の平面を2分割するように切り離されており、その平面が、副反射器に対して傾斜している角度の半分の角度で上記主反射器の長さ方向の軸に対して傾斜しており、
・上記副反射器の隣接表面が連結(接触)して、単一の要素として構成されており、
・上記副反射器の隣接表面間に隙間があり、
・上記主反射器が回転体として作製されており、
・上記主反射器の母面形状が放物線であり、
・上記副反射器が回転体として作製されており、
・上記副反射器の母面形状が楕円形であり、
・上記副反射器の母面形状は双曲線であり、
・上記副反射器の最大直径dと上記主反射器の開口部の直径Dとの比率I=d/Dが、「0.1<I<0.2」の範囲内に設定されていることを特徴とする(図1)。
このように、クレームされた技術は、衛星信号伝送のための多重ビームシステムであって、各副反射器の外形表面が、フィード平面波(指向性パターン)の中心ビームを上記主反射器の横部に確実に反射させ、フィード平面波の横方向ビームを確実に上記主反射器の中心部に反射させるようになっている。利得要素とメインローブの位置設定するために、主反射器の幾何学的位置、副反射器の幾何学的位置、主反射器に対する副反射器の位置を選択して、中心位置から傾斜しているビームの最大アンテナ開口率を達成するようになっている。
進歩性を有するアンテナの模式図である。 図1と同様、上記アンテナの別の実施形態である。 図1と同様、上記アンテナの第3の実施形態である。 1個のフィードと1個の副反射器を使ったADEシステムのビームパスを示した図である。 デュアル反射器アンテナシステムの平面対称と軸対称による事前設定振幅分布のチャートを示した図である。 フィードホーンと副反射器の相対位置を模式的に示したチャートである。 副反射器の切り出しを模式的に示したチャートである。 図1と対応する副反射器の切り出しを示したチャートである。 図1と対応する副反射器の切り出しを示したチャートである。 図2と図9のアンテナ構造の上面図である。 図10のアンテナ構造の側面図である。 多重ビームアンテナシステムの主反射器と副反射器の母面を模式的に示した図である。 ホーンと副反射器とから成る中心ペアの特徴点の座標を示した図である。 ホーンと副反射器とから成る横方向ペアの特徴点の座標を示した図である。 図2、10、11の多重ビームアンテナの部分的指向性パターンを示した図である。
上記で述べた本発明の特徴と長所を、添付図面を参照して好ましい実施形態の形で説明する。
図1乃至図3に示されているアンテナは、主反射器1と、少なくとも2個のフィード2と、少なくとも2個の副反射器3とで構成されている。各副反射器3は、対応フィード2からの電波を主反射器1で再反射させ、さらに、フィード2からの電波の波面を、主反射器1から反射された電波の平面波に変換することができるように設計されている(図4)。
主反射器1は、おもに放物線状母面を有する回転体として作製されている。各副反射器3には外部表面部があり、これにより、フィード2からの指向性パターンの中心ビームを主反射器1の横部分へ確実に反射させ、横向きビームを主反射器1の中心部に確実に反射させるようになっている。副反射器3の隣接表面部は、部分的に切り出しがなされ離されている。
共通カバー4を追加してもよいが、その場合には、そのカバー4を、主反射器1の縁部の平面に設置し、そのカバー4に副反射器3を固定する(図1)。
フィード2は、特に、ホーン形状になるように作製してもよい(図1乃至3)。
各ホーンの隣接壁が互いに連結された状態としてもよいが(図3)、その場合には、その連結(接触)する壁方向でのホーン壁の厚さを減らすことが必要となる。
フィード2と、そのそれぞれに対応する副反射器3の長手方向の軸を、主反射器1の長手方向の軸に対して傾斜した状態にしてもよい(図2)。
上記フィード2の長手方向の軸の、主反射器1の長手方向軸に対する傾斜角は、対応する副反射器3の長手方向の軸の主反射器1の長手方向軸の傾斜角よりは大きく、その角度は、図2に示すようにβである(図2)。
上記副反射器3の隣接表面部は、その平面部を二分割するように頂点で切り離されており、その切り離し面は、主反射器1の長手方向の軸に対して傾斜しており、その傾斜角は、副反射器3の傾斜角βの半分の角度γである(図2)。
上記副反射器3の隣接表面間は連結されていてもよい(図1、2)。
上記副反射器3の隣接表面の間に隙間5があってもよい(図3)。
上記主反射器1と副反射器3は、回転体として作製してもよい(図1乃至3)。
上記主反射器1の母面形状は、放物線であってもよい。
上記副反射器3の母面形状は、楕円または双曲線であってよい。
上記副反射器3の最大直径dと主反射器1の開口部の直径Dとの比率I=d/Dは、0.1<I<0.2の範囲から選択する(図1)。
技術説明を分かりやすくするために、本発明のなかの少なくとも2個のフィードと、少なくとも2個の対応する副反射器だけを例として取り上げて記載する。
但し、本発明には、一個のフィードと少なくとも2個の副反射器が含まれている。例えば、最も近い衛星からの多重信号を受信(送信)する場合には、副反射器の各頂点部を衛星に近い位置になるように設定することで、各副反射器は、その対応する1個の共通フィードからの電波の波面を主反射器に再反射させ、その共通フィードからの電波を主反射器から反射された電波の平面波に変換することができるように設計されている。
コンパクト型多重ビーム反射器アンテナ(図1乃至3)は、以下のように動作する。
本発明の特徴の1つは、各副反射器3が外部表面形状を有し、それにより、フィード2からの指向性パターンの中心ビームを、主反射器の横方向エリアに確実に反射させ、横方向のビームを主反射器1の中心に確実に反射させるようになっていることである(図4)。この特長は、従来のADEアンテナにも取り入れられているが(英国特許第973583号、1964年公開;フランス特許第2296397号、2006年公開)、それらのアンテナには、1個のフィードと1個の副反射器3のみが使用されているだけである。
このアンテナ構造が、多重ビームアンテナシステムを構成する場合に最適の構造であり、その理由は以下の通りである。
1.フィード2がアンテナの中心部に設置されており(図1乃至3)、主反射器1の開口面ブロックとなっている。ADEシステム内の電力(フィード2により放射される)の主要部分が主放射器1の縁部に向かうので、上記のブロックの影響を減少させる。
2.軸対称のシステム内の分散焦点が円形焦点となる。指向性パターンにおけるメインローブの利得の損失速度が、ローブ位置が中心位置からずれている場合には、集中焦点のカセグレン型アンテナに比べて遅いので、「フィードと副反射器」がペアを形成した形で、Z軸に直角な方向に移動し、その結果として、この多重ビームアンテナシステムの走査特性が改善されることになる。
3.上記円形焦点がアンテナの主反射器1の直径を増加させ、それにより、Z軸に沿ったコンパクト化(つまり、H/D係数)を進行させる。
本発明のアンテナを動作させて、その特性を研究している際に、本アンテナの走査特性を発見した(多分、業界での初めての発見であろう)。「フィード2と副反射器3」がペアの形で、ADEアンテナ対称軸に直角の方向に移動している時、指向性パターンの方向が元の位置に対しての最大の傾斜をすることが分かった。そのような移動の際しては、主反射器1の放物曲面の円形焦点に対して、副反射器3の円形焦点が、ある一定の値まで、大きく移動するにもかかわらず、開口効率(AE)の重要な低下は見られなかった。「フィード2と副反射器3」から成る2つ以上のペアを、主反射器1の前面に配置することにより、アンテナの多重ビーム特性が達成され、そのようなペアの1つ1つが、主反射器1と一緒になって、事前に設定してある方向への部分的な指向性パターンを提供することになる。
ここで、点Q(θ、0)を副反射器3を照射する最初の電波のためのフィード2の位置とし(図5)、点A(θ、r(θ))を副反射器3上の最初の電波ビームの反射点とし、点Bを主反射器1上のビームの反射点とする。点Q(θ、0)からのビームは、デュアル反射器により、事前に設定した反射法則x(θ)(つまり、最初の電波ビームと最後の電波ビームとの間の対応則)に従い、平面波に変換される。
パラメータフォームx=x(θ)およびz=z(θ)(ここでx、θ、zは図5に示している)に従って、主反射器1におけるビーム反射点Bの座標を探すことを試みる。光路長S=QA+AB+BC、ここで、QA、AB、BCは、それぞれ対応する点の間の距離である。
副反射器3の座標を求める解法(この中には、x(θ)の一重積分を含む)は、以下の数式で与えられる。

Figure 2012509001

ここで、


Figure 2012509001

上式(1)において、r(θ)は、副反射器3の表面の動径ベクトル、r0 とr(θ0)は、動径ベクトルと角度の既設定の初期値、その他の表記は、式内の補助の変数と記号である。
主反射器1の座標を求める式は以下の通り。

Figure 2012509001


上記の式(1)と(2)は、論文にて発表されている[Bodulinsky V.K., Kinber
B.Ye., Romanova V.I. "Generatices of Dual-reflector antennas",
Radiotechnika 110 Electronika, 1985, No. 10, p.1914 - 1918]。
球面波を平面波に変換する特別なケースでは、以下の反射の法則の式が適用される。つまり、
Figure 2012509001
この式において、hは、主反射器の垂直開口の大きさを特徴づけているパラメータであり、この時は、副反射器の形状は、双曲線状または楕円であり、上記のパラメータを組み合わせた以下のような式により特徴づけられる。

Figure 2012509001
例えば、ex > 1の場合には、副反射器は双曲線形状であり、ex < 1の場合には、楕円形状である。ex>1の場合がカセグレン型のシステムに対応しており、ex < 1の場合がグレゴリー型のシステムに対応している。主反射器1は常に放物線状である。
反射法則の式x(θ)が第(3)式の内容と異なっていれば、式(1)と(2)を使うことで得られるデュアル反射器アンテナシステムの母面形状は、上記で述べたものとは異なっており、主反射器1が放物線状ではなく、副反射器3は双曲線状でも楕円状でもない。反射法則の式x(θ)が、アンテナ指向性パターンでの必要特性(例えば、最大利得要素、サイドローブの最少レベル、アンテナ指向性パターンとしての必要な形状など、あるいは、いくつかのパラメータの組み合わせの中で最適のもの)を基にして決定されることは当業者には理解できることである。
「フィード2と副反射器3」から成るいくつかのペアを、以下のような手順で、アンテナ内に配置する。
まず最初に、フィード2と副反射器3から成るペアの回転軸への直角の移動については、主反射器1の回転軸に対しての指向性パターンにおける移動のための任意の値を計算する必要があり、もし必要であれば、最大の開口効率(AE)の値を得る目的で、副反射器3の幾何学的パラメータおよびフィーダ2と副反射器3の空間的位置を調整することになる(図6)。そのあとに、「フィード2と副反射器3」から成るペアを同時に主反射器1の開口部に配置する必要がある。ここで、ある技術的条件下では、フィード2と副反射器3の空間的な重なりが起きるかもしれない。計算されたアンテナシステムを実現するために、副反射器3とフィード2(ホーン)の表面の切り出しが必要である。この意味は、2つの隣接する副反射器3の重なっている表面の断片を選択して、現実の構造にあてはめることにより、アンテナパラメータが部分的な指向性パターンを最大の状態に保てるようにすることが大切である。このような場合、副反射器3(またはフィードホーン2)の横方向部分を切り出して(図1乃至3、6、7)、それらの表面を連結された状態にしているので、この副反射器3が物理的に組み合わされて1個の固体を構成しているか(図1,2)、あるいは、別個の状態になっているかどうかは重要でない(図3)。
副反射器3の横方向部分は、様々な事前の状態の元、別々の方法で切り落とされている。当初の事前の状態として、例えば、部分的な指向性パターンに対しての最大のAE(開口効率)を選択してもよいし、等しい値のAEを選択してもよい。副反射器3の表面部を連結している間に上記の作業を達成するために、副反射器3の隣接表面を試作的に平面で切り取り、アンテナの特定の特性を計算する。副反射器3の隣接表面が、必ずしも、互いに接触された状態にする必要はなく、隣接表面間に小さい隙間があってもよく、その隙間がアンテナ動作に影響を与えることはない(図3)ことは当業者に理解できることである。
副反射器3が平面により切り取られた場合(図7)、副反射器3が組み合わされた表面には急激な凹凸が発生して副反射器3の反射面の特性に負の影響を与えることはありうる。このような悪影響を減らすために、副反射器3の組み合わせ表面を最大限に滑らかで平坦であるようにする方法で副反射器3の切り出しを行う。このような場合、類似の副反射器3を選択して、その副反射器の位置は、主反射器1が、その回転Z軸にある点の回りを回転することよる移動の結果として選択されるものであり、中心にある副反射器3と横にある副反射器3の縁部を平面で切り取り、その平面状の部分が、その回転点を通り、副反射器3間の角度で2分割されるような状態にする。
さらに、副反射器3の横部分を切り取る場合、平面状でなくても、事前の状態を基準にして、副反射器3の湾曲表面部(円錐、円筒、任意の形状の表面)を切り取ってもよいことは当業者に理解できることである。
部分指向性パターンのメインローブを事前に傾斜(例えば、中心位置から±9°)させるための、「フィード2と副反射器3」から成るペアの位置は、そのフィード2と副反射器3から成るペアをZ軸に対して直角方向に移動させることで見つかった。上記のアンテナ配置では、標準的なホーンを互いに近い位置に配置することは不可能である。これらのホーンの外側壁部をそぎ取る必要がある。ホーン内部の開口部の直径には変化がない。
ホーンの切り出しは多様な方法で実現できる。この切り出しは、ホーンの外側壁部で実施するが、その場合、ホーンの内部穴部までは切り出しを進めてはならないが、外壁部ではなく、ホーンの内部穴部そのものを切り出してもよい。ホーン内部穴部まで切り出す場合には、ホーンを組み合わせている場合であり、組み合わせ型のフィードが得られる(図1、3)。
フィード2の長手方向の軸およびフィード2に対応する副反射器3を主反射器の長手方向軸に傾斜させる場合には、ホーンを切り出す必要はない(図2、9)。「フィード2と副反射器3」から成るペアをZ軸、および、そのあとに続く回転部に直角に移動させることにより、部分DP指向性パターンのメインローブを事前に傾斜(例えば、中心位置から±9°)させる場合の、「フィード2と副反射器3」から成るペアの位置を見つけた。本発明の配置では、標準ホーンを互いに近い位置に配置することが可能で、従って、ホーンの外部壁をそぎ落とす必要はない。±10dBのレベルにおいて、2Δ9=65°と等しいDP厚を有する標準ホーン型フィードを使用する(ここで、9は、DPフィードの半分の長さである)。
この場合、部分指向性パターンに対する多重ビームアンテナの利得要素は、図1および8に示された多様な配置に対する利得要素に比べて増加する。
主反射器1と副反射器3の幾何学的パラメータ、および、当初と追加の移転および回転の値は、事前に設定されている利得値と、フィード2の追加ビーム傾斜角と、パラメータから決定される。
部分DPのメインローブ(中心位置から±9°)の事前設定を変更するために、上記の「フィード2と副反射器3」から成るペア(図2)をZ軸に直角に移動させ、その後回転させた。フィード2の標準ホーンはそれぞれ近くに配置される。
結果において、フィード2の長さ方向軸が、主反射器の長さ方向軸にそれぞれ対応する副反射器3の長さ方向軸の傾斜角βより大きい角αで傾斜しており、さらに、副反射器3の隣接表面が、その平面を2分割するように切り離されており、つまり、主に、副反射器3に対する傾斜角度βの半分の角度で、主反射器1の長さ方向軸に傾いている平面により2分割されるように、切り出さられており、副反射器3の最大直径dと主反射器1の直径Dとの間の比率I=d/Dを0.1<1<0.2の範囲内に設定している(図1で示された配置に類似)アンテナが得られた(図2、10、11)。
主反射器1の母面(図12)は、点F1に中心のある放物線状の断片であり、この母面は、その頂点において、寸法x=D/2により制限を受けており、その底部においては、寸法x=dxにより制限を受けている。副反射器3は、楕円形の表面断片であり、点F1とF2に焦点があり、楕円偏心は0.7228である。この楕円表面は、その頂点において、寸法x=dxにより制限をうけ、その底部において、寸法x=0により制限を受けている。
D=700mm;f=146mm、dz=43.33、dx=45.65mm、ex=0.7228。代表的な寸法値は表1に示した通りである。
Figure 2012509001
主反射器1と副反射器3の軸方向対称表面は、上記の母面をZ軸を中心にして回転させることで作製される。
フィード2が標準的なホーン形状になるように作製されている場合の、「フィード2と副反射器3」から成るペアの代表的な座標点(図13)が表2に示されている。
Figure 2012509001

「フィード2と副反射器3」から成る横方向ペアの代表的座標(図14)が表3に示されている。
Figure 2012509001

ホーン(半径=27.00mm)と副反射器3(半径R=45.65mm)の座標は、簡単な方法で選択されるようになっており、表4に示されている。
Figure 2012509001

副反射器3をP15(図14)の点で切り取り、その平面部を2分割するように、すなわち、その平面部を軸方向に、副反射器3に対する傾斜角の半分の角度(つまり、4.47°=8.93°/2の角度)で傾斜させる。
この種類のアンテナの部分DPは、中心部分DPに対して左右9°の位置になるように配置する(図15)。部分DPの多重ビームアンテナ(図2)の利得は、図1で示された多様な配置例での利得よりも大きく増加している。
アンテナに関する上記記載の追加として、1個のフィードと、少なくとも2個の副反射器が主反射器に含まれている発明も、本発明の範囲に入ることを理解すべきである。
上記の実施例が、本発明のすべての構造的実施をカバーしているものでなく、この発明の本質は、添付クレームの独立クレームで特徴づけられているは当業者に理解できることである
本発明の進歩性のあるコンパクト型多重ビーム反射器アンテナは、産業的利用可能性があり、特に衛星テレビアンテナとして有用である。

Claims (16)

  1. 1個の主反射器と、少なくとも2個のフィードと、少なくとも2個の副反射器とから成り、上記の各副反射器は、対応するフィードからの電波を上記主反射器に反射させるように構成されているアンテナであって、上記各副反射器の外形表面がフィードの指向パターンにおける中心ビームを、上記主反射器の縁部に確実に反射させ、横方向のビームを、確実に上記主反射器の中心部に反射させるようになっており、上記副反射器の隣接表面が部分的に切り出されていることを特徴とするアンテナ。
  2. 共通カバーが導入されており、そのカバーは上記主反射器の周辺平面部に装着され、上記副反射器が上記カバーに固定されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  3. 上記フィードがホーン形状に作製されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  4. 上記ホーンの隣接壁が連結されていることを特徴とする請求項3に記載のアンテナ。
  5. 上記のフィードとそれに対応する副反射器が、主反射器の長さ方向の軸に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  6. 上記フィードの長さ方向の軸が、各副反射器の長さ方向の軸に対して傾斜している角度よりも大きな角度で、主反射器の長さ方向の軸に対して傾斜していることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ。
  7. 上記副反射器の隣接表面が、その副反射器の平面を2分割するように切り離されており、その平面が副反射器に対して傾斜している角度の半分の角度で、上記主反射器の長さ方向の軸に対して傾斜していることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ。
  8. 上記副反射器の隣接表面が連結されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  9. 上記副反射器の隣接表面間に隙間があることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  10. 上記主反射器が回転体として作製されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  11. 上記主反射器の母面形状が放物線であることを特徴とする請求項10に記載のアンテナ。
  12. 上記副反射器が回転体として作製されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  13. 上記副反射器の母面形状が楕円形であることを特徴とする請求項12に記載のアンテナ。
  14. 上記副反射器の母面形状は双曲線であることを特徴とする請求項13に記載のアンテナ。
  15. 上記副反射器の最大直径dと上記主反射器の開口部の直径Dとの比率I=d/Dが、0.1<I<0.2の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項10および12に記載のアンテナ。
  16. 1個の主反射器、1個のフィード、少なくとも2個の副反射器から成り、上記各副反射器が上記フィードからの電波を上記主反射器に再反射させ、フィード電波波面を上記主反射器から反射された平面波に変換するようになっているアンテナであって、上記各副反射器の外形表面が、フィードの指向性パターン中心ビームを上記主反射器の縁部に確実に反射させ、横方向のビームを確実に上記主反射器の中心部に反射させるようになっており、上記副反射器の隣接表面が部分的に切り出されていることを特徴とするアンテナ。

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