本開示の上記及び他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、図面及び添付の請求の範囲から当業者により認識及び理解されるであろう。
本開示の例示的な実施形態は、人間に対する処置の間に利用される外科的又は他の医療デバイスに対する電磁追跡システムに関して記載される。本開示の例示的な実施形態が、様々なタイプの医療又は外科的デバイス、様々なタイプの処置及び人間又は動物に関係なく体の様々な部分に適用され、及びこれらと共に利用されることができる点を、当業者であれば理解されたい。本開示の例示的な実施形態の方法及びシステムの使用は、他のタイプの内部標識への適用のために適合されることができる。
図面、特に図1〜3を参照すると、追跡システム300は、センサデバイス50を備える内部標識10を持つことができる。センサデバイス50は、コア55(例えば、金属芯)と、コアの周りに巻きつけられるコイル状ワイヤ60とを備えるセンサコイルとして構成されることができる。デバイス50が磁場に露出されるとき、センサコイル50は、ワイヤ60を通る電流の誘導を与えるサイズ及び形状を持つことができる。コイルの直径及び長さ、並びにコイルの環状部分の間の間隔を含むコイル50の特定の寸法は、多くの要素に基づかれることができる。この要素は、磁場強度、目標生体構造、及び/又は目標生体構造の近くでの金属歪曲の存在又は存在可能性を含む。本開示は、磁場への露出に基づき中を流れる電流の誘導を可能にする他のコイル構成の使用も想定される。
ある実施形態において、センサコイル50は、目標生体構造内でセンサコイルを位置決めすることを可能にする針75又は他のデバイスに嵌入される又は組み込まれることができる。位置決めの態様としては、例えば、組織内で、又は器官に隣接して行われる等である。例えば、針75は、目標生体構造に到達するため患者への挿入を容易にするテーパ端80と、そこにセンサコイル50を設置するため、その長さに沿ったチャネル85又は他の開口部とを持つことができる。チャネル85は、ワイヤ95又は他の接続が、外部プロセッサ11又は他のコンピュータをセンサコイル50に接続することも可能にする。
針75は、撮像バンド90又は他の識別領域を持つことができる。バンド90は、目標生体構造の撮像の間視認できることを可能にする物質から作られ、そのような大きさ及び形状を持つことができる。そのサイズ及び形状だけでなくこの特定のタイプの物質は、多数の要素に基づかれることができる。この要素は、利用される撮像のタイプ及び撮像される目標生体構造を含む。例えば、バンド90は、撮像モダリティが磁気共鳴撮像である場合、ガドリニウムドープ物質を有することができる。別の例として、バンド90は、撮像モダリティがコンピュータ断層撮影又はX線撮像である場合、X線減衰を提供するのに充分な密度の可塑性又は骨状物質を有することができる。ある実施形態において、バンド90は、コイル50の中央に近接して配置されることができる。センサコイル50に対するバンドの位置は、センサコイルにおける誘導電流から決定される位置及び方向を表すことができる。
ある実施形態において、追跡システム300は、例えば針75を通り延在するワイヤ95を介して内部標識10と通信するプロセッサ11と、目標生体構造における磁場を作成する磁場生成器340とを含むことができる。内部標識10のセンサ50は、患者305に近接して、例えば患者のためのベッド370又は他の支持構造体の下に配置されることができる磁場生成器340により生成されるEM信号を受信することができる。
ある実施形態において、磁場生成器340は、異なる方向に複数のアンテナを持つことができる。センサ50は、目標生体構造における様々な位置及び方向にあるアンテナから信号をピックアップすることができる。それらの相対的な信号特性、例えば、相対的な信号強度、相対的な位相等から、アンテナに対するセンサ50の位置が決定されることができる。
追跡システム300は、1つ又は複数の外部標識310を含むこともできる。この標識は、目標生体構造に近接して患者305に付けられることができる。各標識310は、例えばセンサコイルといった電磁センサユニットを含むことができる。このユニットは、プロセッサ11と通信する。外部標識310は、撮像の間見える物質を有することができる。内部標識10及び外部標識310は、磁場生成器340を用いてセンサユニットにおける電流の誘導に基づき、位置及び方向情報をプロセッサ11に提供することができる。標識10、310における誘導電流は、磁場生成器340に対するセンサ50の位置及び方向の関数とすることができる。プロセッサ11は、位置及び方向に関してこの決定をするために、電流又は電流を表すデータを分析することができる。再び後で後述されるが、3つ以上の標識を含む、様々な数の内部標識10及び外部標識310が、追跡システム300により利用されることができる。
追跡システム300は、例えばCTスキャナ360を含む高分解能撮像モダリティといった撮像モダリティ350と共に用いられることができるか、又は含むことができる。例えば、内部標識10、1つ又は複数の外部標識310及び周囲領域(例えば、組織、器官、血管等)を含む患者305の目標生体構造の高分解能画像が、CTスキャナ360により生成され、CT画像メモリに格納されることができる。CT画像メモリは、ワークステーション320に組み込まれることができ、及び/又は、別々の記憶及び/又は処理デバイスとすることができる。クローズ型のCTスキャンデバイス360が、説明目的のため図3に示されるが、本開示は、移動Cアームデバイス又はオープン型のMRIを含む様々な撮像デバイスの使用を想定する。本開示は、単独あるいは併用で、MRl、超音波、X線、CT等を含む様々な撮像モダリティの使用を想定する。本開示は、撮像モダリティ350が、術前及び/又は手術中の画像を含む画像を集める際に使用される別々のシステムであることも想定する。
ある実施形態において、プロセッサ11は、複数の標識のセンサコイルから検出された電流を受信し、EM磁場生成器からの情報と結合して、センサコイルに関する位置及び方向情報を計算するEM追跡システムプロセッサとすることができる。プロセッサ11はその後、別のプロセッサ320(例えばコンピュータワークステーション)に位置及び方向情報を提供することができる。別の実施形態では、CTスキャナ360からの画像が、コンピュータワークステーション320に提供されることができるか又はこのワークステーションと直接インタフェースする。同様に、プロセッサ11からの位置及び方向情報が、医療手順をガイドするため、コンピュータワークステーション320に提供されることができる。例示的な実施形態は、センサ電流の信号処理を実行する及び位置合わせを実行する、別々のプロセッサ11及び320の使用を表す。しかしながら、本開示は、これらの機能又はこれらの機能の一部を実行する単一のプロセッサ又は2つ以上のプロセッサの使用を想定する。それは例えば、標識10、310から生の電流データを受信し、CTスキャナ360から撮像データを受信し、その後少なくとも部分的にこの情報に基づき、位置合わせを実行するコンピュータワークステーションである。
コンピュータワークステーション320は、撮像空間とEM空間との位置合わせに関して、標識10及び310からのEMデータを利用することができる。内部標識10のバンド90及び外部標識310の各々は、撮像において視認できる。これは、ポイントバイポイント位置合わせといった様々な位置合わせ技術が利用されることを可能にする。例えば、撮像モダリティ350のCT画像における、EM追跡標識10、310の位置及び方向、並びにそれらの可視性は、CT画像の座標系に対してEM測定を位置合わせするのに使用されることができる。
撮像空間とEM空間との結果として生じる位置合わせはその後、EMセンサ399を含む外科用デバイス398を追跡するため、手術中に利用されることができる。外科用デバイスセンサ399のEM測定を、EM座標系から、ディスプレイデバイス330により表示されることができるCT画像座標系へと移すために、位置合わせが利用されることができる。ある実施形態において、EM追跡と撮像との使用を介して、外科用デバイス398の表示は、リアルタイムに行われることができる。別の実施形態では、システム300は、ユーザの介入なしにCT画像の座標系に対して、標識10、310及び/又は外科用デバイス398のEM測定を位置合わせすることができる。別の実施形態では、システム10は、例えばディスプレイ330を用いることにより、CT画像上にオーバレイされる又は重畳されるEM測定位置を視覚的に表示することができる。ある実施形態において、ユーザは、位置合わせされたEM測定位置を正確な位置合わせとして受け入れる、拒絶する又は編集することができ、外科的手順を用いて処理を進めることができる。
本開示は、標識10、310に加えて他の技術が利用されることも想定する。例えば、例示的な実施形態は、ローカライゼーションのため画像相関又は処理アルゴリズムを利用することができる。例えば、画像において現れ、既知の位置を持つ1つ又は複数の特徴が、画像相関アルゴリズムにより利用されることができる。この特徴は、例えば外科用デバイス398の部分である。
ある実施形態において、追跡システム10は、例えばTraxtal社又はNorthern Digital社から利用可能な外科用デバイス398を追跡するための様々な追跡要素を用いることができる。外科用デバイス398を追跡することは、磁場生成器340及びプロセッサ11を用いて実行されることができるか、又はコンピュータワークステーション320により実行される位置合わせに基づき、他の要素を用いて実行されることができる。
図4を参照すると、内部標識の別の例示的な実施形態が示され、全体が参照符号400で表される。標識400は、標識10に対する上記の1つ又は複数の要素を含むことができる。この要素は、センサコイル50、針75及びバンド90を含む。標識400は、無線送信機を持つコントローラ495を含むことができる。コントローラ495は、ワイヤ95によりセンサコイル50に動作可能に結合されることができ、センサコイルにおける誘導電流を表す位置データを例えばプロセッサ11に動作可能に接続される受信機に無線で送信することができる。ある実施形態において、コントローラ495は、センサコイル50における誘導電流の自身の解析から、この位置データを生成することができる。位置データを無線で送信するのに使用される要素及び技術は、変化することができ、RF信号を含むことができる。コントローラ495は、自身の電源(例えば、バッテリ)を持つことができ、及び/又は、例えばRF信号又は他の無線電力場といった外部信号により電力供給される受動的なデバイスとすることができる。
図5を参照すると、別の内部標識が示され、全体が参照符号500で表される。標識500は、標識10に対する上記の1つ又は複数の要素を含むことができる。この要素は、針75及びバンド90を含む。標識500は、針の外側表面560に沿って形成される、又はそこに埋め込まれる(例えば外側表面において形成されるチャネル又は溝に配置される)センサコイル550を提供することができる。コイル550は、ここでも針の外側表面560に沿って形成される、又はそこに埋め込まれる(例えば外側表面において形成されるチャネル又は溝に配置される)ワイヤ95に接続されることができる。このワイヤは、誘導電流をそこに提供するプロセッサ11に接続されることができる。ある実施形態において、コイル550及び/又はワイヤ560(又はその部分)は、外側表面560に沿って印刷されることができる。この例において、印刷されたワイヤは、例えばハンダ付けを介して絶縁ワイヤに接続されることができる。絶縁ワイヤは、プロセッサ11に接続される。
図6を参照すると、カテーテルが示され、全体が参照符号600で表される。カテーテル600は、例えば外科用デバイス698といった外科用器具が中を通過することを可能にする中空デバイスとすることができる。カテーテル600は、標識10に対する上記の1つ又は複数の要素を含むことができる。この要素は、バンド90を含む。カテーテル600は、カテーテルの遠位端部に近接してカテーテル本体部675の外側表面660に沿って形成される又は埋め込まれるセンサコイル650を提供することができる。コイル650は、カテーテル本体部675の外側表面660に沿って形成される又は埋め込まれるワイヤ95に接続されることができる。このワイヤは、誘導電流をそこに提供するプロセッサ11に接続されることができる。ある実施形態において、コイル650及び/又はワイヤ95(又はその部分)は、外側表面660に沿って印刷されることができる。この例において、印刷されたワイヤは、例えばハンダ付けを介して絶縁ワイヤに接続されることができる。絶縁ワイヤは、プロセッサ11に接続される。
外科用デバイス698は、例えば外科用デバイスの先端又は遠位端部に配置されるセンサといった1つ又は複数の追跡センサ699を含むことができる。その結果、デバイスはシステム300により追跡されることができる。ある実施形態において、カテーテル600は柔軟とすることができる。これは、形状記憶合金の使用を含む。別の実施形態では、カテーテル600は、例えば非線形長さのピーク及び谷に沿ってという態様で、カテーテルに沿って配置される複数のセンサコイル650及びバンド90を備え、非線形形状を持つことができる。
更に図7を参照すると、医療手順における電磁気追跡方法700が示される。方法700は、医療デバイスの配置が、この手順の所望の基準であるような様々なタイプの医療処置に対して使用されることができる。ステップ702において、内部標識10が目標生体構造に挿入されることができる。内部標識10は、例えばカテーテル等といった容易化器具を必要とすることなく、目標生体構造に直接挿入することを可能にするサイズ及び形状を持つことができる。しかしながら、本開示は、標識10と共に斯かる容易化器具の使用も想定する。
ステップ704において、1つ又は複数の外部標識310は、目標とされた生体構造及び埋め込まれた内部標識10に近接して患者305に付けられることができる。ステップ706において、内部及び外部標識10、310及び周囲組織を含む目標生体構造の高分解能画像が、撮像デバイスにより生成され、コンピュータワークステーション320に提供されることができる。ステップ708において、標識10、310の各々の位置及び方向が、磁場生成器340を用いて標識の各々において電流を誘導し、例えばプロセッサ11の使用を介して標識の位置及び方向を決定するため、強度及び位相を含む電流を解析することにより、追跡システムを用いて得られることができる。プロセッサ11はその後、コンピュータワークステーション320にこの情報を送信することができる。
ステップ710において、コンピュータワークステーション320は、プロセッサ11により処理される、標識10、310からのEMデータを利用することができ、CT画像におけるバンド90及び外部標識からの視覚のデータと組み合わせて、撮像空間とEM空間とを位置合わせすることができる。位置合わせ処理は、異なる数の標識に基づかれることができる。これは、3つ以上の標識を含む。3つ以上の標識は、内部及び外部標識10、310の様々な組合せとすることができる。この組み合わせは例えば、単一の内部標識10と2つ又はこれ以上の外部標識310とを含む。ステップ712において、EM追跡外科用デバイスを用いて、医療手順が実行される。
ある実施形態において、位置合わせ処理は、ポイント・ツー・ポイント位置合わせとすることができる。一旦位置合わせが行われると、デバイスに結合されるEMセンサ399を用いることにより医療手順の間医療デバイス398を追跡するのに、EM空間が利用されることができる。別の実施形態では、医療手順の間撮像が得られることができ、この撮像に関連する医療デバイス398の追跡が、臨床医に対して表示される。医療デバイス398のEM追跡精度は、内部標識10及び外部標識310を利用する位置合わせ処理の使用を介して増加されることができる。
本開示は、最小侵襲的医療手順において用いられる内部アクティブ基準標識を提供することができる。これは、医療画像において見えるようにマークされるセンサコイルを持ち、電磁気の追跡システム空間における位置読み出しを提供する。内部アクティブ基準標識は、患者の体内に配置されることができる。この標識は、電磁追跡システムにより認識されるセンサコイルを含むことができる。センサコイルの中央領域は、医療画像において見えるようマークされることができる。アクティブ基準標識は機械的なツールに一体化されることができる。その結果、この標識は、体に挿入されることができる。機械的なツールは、センサコイルワイヤに関する導管も提供することもできる。電磁追跡システムは、センサコイルの位置を計算することができる。計算される位置から、医療器具の位置が、電磁追跡システムにより追跡される。アクティブ基準標識は、画像空間において見えることができ、電磁気の追跡システム空間における位置読み出しを与えることができる。これは、2つの空間の位置合わせを可能にする。アクティブ基準標識は、電磁気追跡システム空間において又はその近くで金属によりもたらされるEM場歪みの結果として、電磁追跡システム空間の位置誤差を補償することもできる。
上記の方法論のステップを含む本発明は、ハードウェア、ソフトウェア又はハードウェア及びソフトウェアの組合せにおいて実現されることができる。本発明は、1つのコンピュータシステムにおいて中央化された態様において、又は異なる要素が複数の相互接続されるコンピュータシステムにわたり広げられる分散された態様において実現されることができる。本書に記載される方法を実行するよう適合される任意の種類のコンピュータシステム又は他の装置が適している。ハードウェア及びソフトウェアの典型的な組合せは、ロードされて実行されるときそれが本書に記載される方法を実行するようコンピュータシステムを制御するコンピュータプログラムを備える汎用のコンピュータシステムとすることができる。
上記の方法論のステップを含む本発明は、コンピュータプログラム製品に埋め込まれることができる。コンピュータプログラム製品は、本書に記載される様々な手順、処理及び方法を実行するよう計算デバイス又はコンピュータベースのシステムに指示するコンピュータ実行可能コードを有するコンピュータプログラムが埋め込まれるコンピュータ可読記憶媒体を有することができる。本文脈におけるコンピュータプログラムは、直接又はa)別の言語、コード又は表記への変換、b)異なるマテリアル形式での再生のいずれか若しくは両方の後、情報処理機能を持つシステムが特定の機能を実行することをもたらすよう意図される命令セットの、任意の言語、コード又は表記における任意の表現を意味する。
本書において記載される実施形態の説明は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することを目的とするものであり、本書に記載される構造を利用する装置及びシステムのすべての要素及び特徴の完全な説明として機能することを意図するものではない。上記説明をチェックすれば、他の多くの実施形態が当業者にとって明らかであろう。そこから他の実施形態が、利用され、得られることができる。その結果、構造的及び論理的な置換及び変化がこの開示の要旨を逸脱しない範囲でなされることができる。図は、単に代表的なものであり、大きさどおりに描かれているものではない。その特定の部分は、拡大され、一方他の部分が、縮小される場合がある。従って、明細書及び図面は、限定的な意味としてではなく説明するためのものとして理解されたい。
こうして、特定の実施形態が、本書において図示及び説明されてきたが、同じ目的を実現するために計算される任意の構成で、この特定の図示される実施形態を置換することができる点を理解されたい。この開示は、様々な実施形態のすべての適合又は変動をカバーするものである。上記実施形態の組合せ及び本書で詳述されない他の実施形態は、上記説明をチェックすれば、当業者にとって明らかであろう。従って、本開示は、本発明を実行するために想定されるベストモードとして開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、添付の請求項の範囲に含まれるすべての実施形態を含むことになることが意図される。
読者が技術開示の本質を迅速に理解することを可能にすることになる要約を求める、米国規則37C.F.R.セクション1.72(b)に合致する本開示の要約が与えられる。請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するのに用いられることがないという了解の下で、これは提出される。