JP2012500649A - 神経変性プロセスに関与する遺伝子の同定のための方法 - Google Patents

神経変性プロセスに関与する遺伝子の同定のための方法 Download PDF

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Abstract

調節解除された遺伝子の遺伝子スクリーニングによる、神経変性に関与する表現型の遅発により検出可能な神経変性のプロセスに関与する遺伝子の同定のための方法であって、ショウジョウバエなどの動物モデルの個体の生後異なるステージ、弱齢および成体における、睡眠覚醒周期活性スキームの測定を含む、前記方法。そのゲノムがenabled遺伝子の破壊を含み、enabled遺伝子の発現の低下を伴い、成体において遅発性の神経変性の表現型を示す、変異体ハエ。

Description

発明の分野
本発明は、神経変性のプロセスに関与する遺伝子、特に、アルツハイマー病、パーキンソン病およびハンチントン病などの、遅発および進行性の変性により特徴付けられるヒト神経変性疾患に関連するものの、同定のための方法に関する。
発明の背景
加齢は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)およびハンチントン病(HD)などの神経変性疾患についての主要なリスクであり、これらの疾患は全て、悲惨な犠牲者を生じる。最近の概算は、全世界で約2500万人がこれらの甚大な被害をもたらす疾患に苦しんでいることを主張し、これらの数字は、20年ごとに倍増して、2040年までに8100万人に達すると考えられる(Ferri, C. P., et.al. (2005) Lancet 366, 2112: 2117.)。米国単独においても、500万人を超える人々がADを罹患し、この数は2050年までに1600万人に増加するであろうことが予測されている。一方、現在、100万人超がPDに苦しんでいる。
神経変性疾患は、集中的かつ長期の患者の治療を必要とし、したがって、集団ならびに社会保障システムに対して、重い負担を課する。
平均余命が長くなり、社会が高齢化するにつれて、この型の甚大な被害をもたらす疾患は、ますます頻繁になってゆくであろう。実際、60歳より高齢の個体の割合は、次の50年間において倍増するであろうと予測されている。これらの衝撃的な統計学は、これらの身体障害性疾患の根底にある基礎的な細胞および分子のプロセスを徹底的に理解することの必要性を明確に強調する。
多くの神経変性疾患は、容赦ない進行、遅い発症、核(HD)、細胞質(PD)または細胞外マトリックス(AD)において存在し得る、封入体、アミロイドのプラークまたは神経原線維変化の形態におけるミスフォールドしたタンパク質の沈着物との関連性(Ross CA et.al., (2004) Protein aggregation and neurodegenerative disease. Nat Med 10 Suppl: S10-S17)などの、多数の特徴を共有する。各疾患に関与するタンパク質の型は異なるが、分子および細胞の機構は、細胞沈着物の形成および蓄積と同様に、かかる多数の病気の原因を解明する鍵を握る可能性がある。
ショウジョウバエの非ヒト動物モデルは、様々なヒトの障害の研究のために多く用いられてきた生物である。Fortiniら(2000)は、ヒトにおいて疾患を引き起こす遺伝子に相同なショウジョウバエの遺伝子を同定するため、in silicoによる探索を行った(J.Cell Biol.150 (2): F23. 2000)。彼らは、疾患を有する対象において変異、変化、増幅または欠失していることが知られている287個のヒト遺伝子のうち、ハエにおいて保存されていると考えられる178個(62%に相当する)を同定した。癌遺伝子(72%)または神経障害に関与する遺伝子(64%)などの特定のカテゴリーは、より典型的であると考えられた。
神経変性に関与する遺伝子の同定は、効率的な治療および診断戦略の開発における重要なステップである。寿命の短縮を伴う変異体についてスクリーニングし、それらを変性の兆候について試験したSeymour Benzerらにより行われた先進的な研究により、そのアプローチの可能性が示された(Curr.Biol.7 (11): 885. 1997; Kretzschmar D et.al., (1997) The swiss cheese mutant causes glial hyperwrapping and brain degeneration in Drosophila. J Neurosci 17: 7425-7432; Buchanan RL et.al., (1993) Defective glia in the Drosophila brain degeneration mutant dropdead. Neuron 10: 839-850; Trends Genet.16 (4): 161. 2000)。Kretzschmarらは、同様の意図の下、頭部切片を用いて成体の脳における形態学的異常を伴う変異体をスクリーニングした(Bettencourt da Cruz et.al. (2005) Disruption of the MAP1B-related protein FUTSCH leads to changes in the neuronal cytoskeleton, axonal transport defects, and progressive neurodegeneration in Drosophila. Mol Biol Cell 16: 2433-2442; Tschape JA et.al. (2002) The neurodegeneration mutant lochrig interferes with cholesterol homeostasis and Appl processing. EMBO J 21: 6367-6376)。この型のアプローチは、明らかに時間を要し、成体の脳の解剖学における重篤な異常を引き起こす遺伝子の同定に限定される。Ganetzkyらは、一方、元来は麻痺性の表現型を示すものとして単離された変異体において、変性の組織学的徴候についての探索における、より「生理学的」なスクリーニングを行った。この研究は、数量化できる行動学的表現型を引き起こすニューロンの機能不全が、しばしば神経変性と関連するという概念に基づく(Palladino MJ et.al., (2002) Temperature-sensitive paralytic mutants are enriched for those causing neurodegeneration in Drosophila. Genetics 161: 1197-1208; Palladino MJ et.al., (2003) Neural dysfunction and neurodegeneration in Drosophila Na+/K+ ATPase alpha subunit mutants. J Neurosci 23: 1276-1286)。
過去数年において、様々な程度の神経変性の表現型を引き起こすいくつかの変異が単離されている。これらは、drop dead(J.Neurosci.17 (19): 7425. 1997)、swiss cheese(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A101 (14): 5075. 2004; 8. Neuron10 (5): 839. 1993)およびfutsch(Mol.Biol.Cell16 (5): 2433. 2005)のような神経系の構造および機能の維持に関与するものとして、あるいは、例えばsniffer(Curr.Biol.14 (9): 782. 2004)などの、酸化ストレスに対する応答などの重要な代謝機能において役割を果たすものとして、人為的に分類することができる。この意味において、リソソームにおける貯蔵に関与するものとしてbenchwarmer(J.Cell Biol.170 (1): 127. 2005)が、脂質の代謝に関与するものとしてlochrigが(EMBO J.21 (23): 6367. 2002)、同定されている。MinおよびBenzer(1997)は、アルキル化剤(エチルメタンスルホネート型のもの、またはEMS)による、ハエにおける平均余命の短縮に関連する変異体を追跡するためのスクリーニングを行い、spongecakeおよびeggrollの同定を報告し、これらは、ニューロンの変性の特定のパターンを引き起こす遺伝性変異を含む(Min KT et.al., (1997) Spongecake and eggroll: two hereditary diseases in Drosophila resemble patterns of human brain degeneration. Curr Biol 7: 885-888)。spongecakeの高齢の変異体の脳は、特定の部位において空胞形成を示し、これはクロイツフェルト・ヤコブ病に典型的な軸索末端の海綿状変性において観察されるものと類似する外見を有する。一方、eggrollは、不透明な多重膜構造を生じ、これは、テイ・サックス病などの脂質貯蔵疾患の特徴と類似する。
特許文献US 6,943,278、US 6,489,535、US 7,060,249およびWO 03/065795は、神経変性の表現型の研究のためのいくつかのトランスジェニックショウジョウバエモデルを開示する。
結果として、その後、多様な神経変性変異体が同定されたが、ショウジョウバエのゲノムが15000個を超える遺伝子を含むことを考えると、遅発および進行性の変性により特徴づけられるアルツハイマー病、パーキンソン病およびハンチントン病などの、神経変性プロセスに潜在的に関連する新規遺伝子同定のための体系的な遺伝子スクリーニングを可能にする方法を有する必要性が、なお存在する。
発明の要旨
したがって、本発明の目的は、神経変性に関与する遺伝子を保有する弱齢および高齢のトランスジェニック動物における時間の関数としての、進行性の行動的表現型の評価に基づく体系的な遺伝子スクリーニングによる、神経変性に関与する遺伝子の同定のための方法を提供することである。
好ましい態様によれば、トランスジェニック動物は、無脊椎動物のトランスジェニック動物、特に節足動物門のメンバー、ことさらには昆虫綱のメンバーである。好ましい態様において、昆虫は、ハエ、好ましくはショウジョウバエ科(Drosophilidae)のメンバーであるトランスジェニックハエであり、例えばキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)である。
本発明の一側面によれば、本発明者らは、休止/活動周期の自然の加齢パターンにおける異常、または言い換えると、概日性周期の周期性の喪失が、神経変性プロセスに関与する遺伝子の同定をもたらすことを示す。
したがって、本発明は、異常発現遺伝子(miss-expressed gene)の遺伝子スクリーニングによる、神経変性に関連する表現型の遅発により検出可能な神経変性プロセスに関与する遺伝子の同定のための方法を提供し、該方法は、ショウジョウバエなどの動物モデルの個体の異なる生後のステージである、弱齢および成体における睡眠覚醒周期活性スキームの測定を含み、該方法は、以下の工程を含む:
i)野生型非変異体ハエの、生涯初期の時点で、および成体期の中間ステージで、明暗条件の交互周期およびその後の連続的暗期における自発運動活性の標準的な周期性を評価すること;
ii)特異的トランスポゾンによるランダム挿入変異誘発により変異体ハエのコレクションを作製すること、およびその後に、前記トランスポゾンにおける認識部位により転写因子を調節する組織特異的な神経性発現プロモーターを含むトランスジェニック系統に交雑すること;
iii)工程(ii)において作製された変異体ハエにおける、生涯初期の時点で、および成体期の中間ステージで、明暗条件の交互周期およびその後の定常暗期における自発運動活性の周期性を評価すること;
iv)前記成体期の中間ステージにおける標準的な周期性に関して逸脱を示す変異個体を検出および選択すること;
v)前記トランスポゾン挿入部位を同定すること;ならびに
vi)前記挿入によりトラップされる遺伝子を同定すること。
本発明の一態様によれば、前記生涯初期の時点は、生後0〜3日を含む期間であり、前記成体期の中間ステージは、生後20〜30日を含む期間である。
本発明の一態様によれば、遺伝子スクリーニングは、生命そのもののためには必須ではない周期的行動の制御に関連する回路に限定される遺伝子の調節解除に基づき、これは、生後2つのステージにおいて対比される。特に、挿入変異誘発は、概日性行動が根底にある、自発運動活性を制御する限定された神経回路内、すなわち、明暗の交互周期における同調後に発現される内因性遺伝子の調節解除を目的とする。さらには、変異個体のコレクションを作製する工程は、P[UAS]エレメントの転位から生じる系統を、pdf神経ペプチドをコードする遺伝子のプロモーターの制御下においてGAL4転写因子を発現するトランスジェニック系統と交雑することを含む。
本発明の方法において同定される神経変性変異体は、ニューロンのバイアビリティーの維持のために必要とされるタンパク質および重要な生化学的経路の同定のための価値あるツールである。したがって、別のさらなる態様によれば、本発明の方法は、インターネットにおいて公共に利用可能なデータに基づいて、上記の本発明の方法の工程(vi)において同定されるヒトの相同遺伝子を同定することをさらに含む。
その結果、本発明の方法において同定される変異体は、ヒトおよび非ヒト動物において神経変性障害を処置および予防するための新規の治療を開発するために有利に用いることができる。
さらに、本発明の方法により同定される変異体は、神経変性障害、特に、アルツハイマー病、パーキンソン病およびハンチントン病などの、遅発および進行性の変性により特徴付けられるヒト神経変性疾患に関連するものの処置において、潜在的に有用である治療剤のin vivoスクリーニングにおけるその使用のための価値あるツールを構成する。前記の評価は、当該分野において公知の標準的な方法により行うことができる(Dokucu et.al., Lithium- and valproate-induced alterations in circadian locomotor behavior in Drosophila, Neuropsychopharmacology (2005) 30, 2216-2224; Desai et.al., (2006), Biologically active molecules that reduce polyglutamine aggregation and toxicity, Hum. Mol. Genet. 15, 2114-2124.)。具体的には、治療剤は、食餌と共に成体ハエに投与され、それにより潜在的な催奇形効果を回避する。
したがって、遅発を伴う神経変性プロセスの処置、予防または治療的増強のための候補化合物を評価するための方法は、本発明のさらなる態様であり、前記方法は、以下を含むことにより特徴づけられる:
− 前記候補化合物を、本発明の方法の工程(iv)により同定された変異体ハエに、経口経路により投与すること、および
− 上記工程の前記変異体ハエの表現型における変化を、候補化合物を投与していない同じ変異を保有するハエの表現型と比較すること、
ここで、評価される表現型は、生後20〜30日を含む成体期の中間ステージで、明暗条件の交互周期およびその後の定常暗期における、自発運動活性の周期性である。
本発明の一側面により、アクチン細胞骨格の能動的リモデリングに関与する遺伝子であるenabled遺伝子の発現レベルの低下とともに、進行性の非周期性(arrhythmicity)を示す候補変異体ハエが同定された。本発明は、低下したenaのレベルがニューロンの機能不全を引き起こし、進行性の行動異常およびニューロン死をもたらすことを実証した。
したがって、そのゲノムがそのenabled遺伝子中に破壊を含むハエは、本発明の目的であり、ここで、前記破壊は、enabled遺伝子の発現を強力に低下させ、前記ハエは、成体期において遅発性の神経変性の表現型を示す。特に、生後の成体ステージにおける前記遅発性神経変性の表現型とは、生後20〜30日を含む生後の期間におけるフリーランニング条件下における自発運動活性の周期性の喪失である。
さらに、そのゲノムが、ATGコドンの上流で、enabled遺伝子の第1のエクソンを分断するように位置するP[UAS]トランスポソームによる挿入を含む変異体ハエは、本発明の目的である。この変異体ハエは、成体期における遅発性神経変性の表現型を示し、これは、生後20〜30日を含む生涯の期間において、明暗の交互周期における同調化の後での自発運動活性の周期性の喪失にある。
本発明の別の側面により、進行性の非周期性を示し、そのゲノムが、遺伝子CG 15133(最近CG42555と改称された)とCG 6115(CG:Celera Genome)との間の遺伝子間領域内にP[UAS]トランスポソームによる挿入を含む変異体ハエが同定され、前記変異体ハエは、生後の成体ステージにおいて遅発性神経変性の表現型を示し、ここで、生後の成体ステージにおける前記遅延性神経変性の表現型とは、生後20〜30日を含む生後の期間内の、定常暗期における自発運動活性の周期性の喪失にある。本発明者らは、進行性の非周期性に成体の脳における神経変性が付随することを実証した。
図1Aは、時間(Y軸)に伴う2つの連続する日(X軸)を示す、加齢を伴うpdf-gal4/+ハエからの代表的なアクトグラムを示し、ここで、各パネルは、単一のハエの実験全体を通しての活動を表わす。実験開始時の日齢を、各パネルの下部に示す。白色、灰色および黒色のボックスは、それぞれ、昼、主観的昼および夜を示す。矢印は、定常暗期への移行を表わす。図1Bは、成体脳においてUAS-CD8-GFPレポーター遺伝子を駆動するpdf-gal4の発現パターンを示す。図1Cは、各遺伝子型(CSおよびpdf-gal4+)についての周期性のあるハエのパーセンテージを、日数で表わされる日齢の関数として表わすグラフを示す。
図2Aは、加齢を伴うpdf>APPおよび対照(pdf-gal4/+)のハエの代表的なダブルプロットアクトグラムを示す。図2Bは、各系統(変異体pdf>APPおよび対照pdf-gal4/+)についての周期性のハエのパーセンテージを表わす棒グラフを示す。 図2Cは、pdf-gal4系列と多数の独立した標的P[UAS]系列との間の交雑による異所性発現スクリーニングの模式図を示す。図2Dは、ハエの加齢に伴う周期性の直接比較を示し、ここで、潜在的な神経変性変異体としてみなされる(弱齢の時は高度に周期性であるが、その周期性が加齢と共に著しく低下する)ハエを、黒丸により示す。
図3Aは、弱齢(3日齢)および老齢(21日齢)のハエについての代表的なダブルプロットアクトグラムを示す。図3Bは、各系統(対照pdf-gal4/+および変異体pdf-gal4/P[UAS]117)についての周期性のハエのパーセンテージを表わす棒グラフを示す。
図4Aは、遺伝子ena、CG15111およびCG15118についての、挿入によりトラップされたDNA領域中のP[UAS]トランスポゾンの位置を表わす模式図を示し、ここで、矢印は、各遺伝子の転写の向きを示す。図4Bは、ヒートショック刺激を行った後(+hs)およびパルスを行っていない対照(−hs)のhs>P[UAS]117幼生からの全RNAを鋳型として用いて30サイクルのRT−PCRを行った後、アガロースゲル電気泳動により得られ、臭化エチジウムで染色したバンドの画像を示す。図4Cは、hs>P[UAS]117系列(−hsおよび+hs)における異なる遺伝子(ena、CG15111およびCG15118)からのmRNAレベルのRT−PCRによる定量化を示す。
図5Aは、異なる遺伝子型(対照UAS-ena/+;組み換えpdf-gal4、1コピーのUAS-enaを保有するenarev;およびpdf-gal4、enarev/++系統)からの老齢のハエ(24〜28日齢)についての代表的なダブルプロットアクトグラムを示す。図5Bは、図5Aの各々の系統の老齢のハエについての周期性のパーセンテージを表わす棒グラフを示す。 図5Cは、各々の遺伝子型(対照enarev/+、ホモ接合性enarevおよびトランスヘテロ接合体(transheterozygote)enarev/enaGC5のハエ)についての弱齢(3日齢)および老齢(21日齢)のハエについての代表的なアクトグラムを示す。図5Dは、図5Cにおいて示す遺伝子型のハエについての行動データ(周期性)をまとめる棒グラフを示す。
図6Aは、成体10日齢のy wのハエのホールマウント脳標本の2つの深度(8および22μm)における単一の共焦点の平面(厚さ2μm)を、免疫蛍光分析により観察し、ENAに対する特異的抗体により染色したものを示す。図6Bは、深度2〜3μmの投射の直接比較のために、図6Aにおけるものと同じ共焦点のセッティングで取得された画像を示す。図6Cは、RNAレベルのRT−PCR定量による、成体ハエにおける各々の遺伝子型(ホモ接合性enarev、ヘテロ接合性enarev/+および対照y w)についてのenaとアクチンとの間の発現レベルの比を示す。
図7は、異なる遺伝子型(対照elav-gal4/+、汎神経性プロモーター(panneural promoter)elavを含む変異体elav>enarev、およびドーパミン作動性ニューロンにおいてGAL4の発現を特異的に駆動するthプロモーターを含む変異体th>enarev)のハエからの成体前頭の準薄(semi-thin)切片(厚み1μm)を、メチレンブルーで染色して光学顕微鏡により観察したものを示す。
図8は、4つの異なる遺伝子型(enarev/+、enarev、c309>enarevおよびelav>P[UAS]218)のハエからの成体前頭の準薄切片(厚み1μm)を、メチレンブルーで染色して光学顕微鏡により観察したものを示す。
図9A1〜9A4は、シナプス小胞タンパク質であるCSPに対して染色した三齢幼生の体節神経の顕微鏡画像を示す。図9Bは、y w、elav>APPおよびelav>enarev幼生からの体節神経における、カーゴの蓄積による障害物(clog)の密度を測定する定量的分析の棒グラフを示す。図9Cは、y w、elav>APPおよびelav>enarev遺伝子型からのTUNEL染色の代表的画像を示す。図9Dは、elav>enarev、陽性対照elav>APPおよび対照系列y wにおけるニューロン死の程度を示すTUNEL染色の定量的分析を示す。
図10Aは、加齢に伴う成体脳におけるアポトーシス性細胞死の定量的分析の棒図を、30日齢のハエにおける脳の代表的な画像(左上端に示す)と共に示す。図10Bは、対照の老齢のハエ(y w)ならびにp35およびelav>APPを有する変異体elav>enarevの、前脳切片(ほぼ同じ深度におけるもの)を示す。図10Cは、老齢の系列pdf>enarev、p35および対照(左)の代表的なアクトグラムを示す。
図11Aは、対照系統(pdf-Gal4/+)および変異系統(pdf-Gal4/P[UAS]100B)の弱齢および老齢のハエについての代表的なダブルプロットアクトグラムを示す。図11Bは、11Aに示す遺伝子型のハエについての周期性のパーセンテージをまとめる棒グラフを示す。図11Cは、挿入によりトラップされるDNA領域内におけるP[UAS]100Bトランスポゾンの位置を表わす模式図を示す。
図12は、異なる遺伝子型(対照elav-gal4/+および変異体elav>gal4/UAS-100B)のハエからの前頭部の準薄切片(厚み1μm)を、メチレンブルーで染色して光学顕微鏡により観察したものを示す。
発明の詳細な説明
ショウジョウバエは、発達中および機能中の神経系に関する基礎的な細胞経路を明らかにするための、強力な遺伝子システムを提供してきた。本発明者らは、行動がその根底にある神経回路状態の信頼できる読み出しを提供すること、および神経変性がその回路の初期機能不全をもたらすことを考慮すれば、同じ変異を保有する弱齢および老齢のハエにおける日周活動パターンの評価に基づく遺伝子スクリーニングにより、神経変性プロセスの成分を同定することが可能であることを示す。本発明者らは、ハエにおける自発運動の特定の側面が加齢と共に低下すること(Exp.Gerontol.36 (7): 1137. 2001)を考慮すれば、活動および休止の自然加齢パターンにおける異常が、神経変性プロセスに関与する遺伝子の同定を導くことを示す。
概日行動の根底にある神経回路の詳細な特徴づけは、ニューロンの機能不全を誘発する変異を探索するための理想的な場となる。この回路は、脳の半球あたり、4個の小さな腹側外側ニューロン(ventral Lateral Neurons(LNvs))および4個の大きな腹側外側ニューロンの8個のニューロンを含み、これらは、pigment dispersing factor(PDF、図1B)と称される神経ペプチドを特異的に発現する(Helfrich-Forster C (2003) The neuroarchitecture of the circadian clock in the brain of Drosophila melanogaster. Microsc Res Tech 62: 94-102)。この回路は、周期的活動の制御の中心となることが示されている(Renn SC, et.al. (1999) A pdf neuropeptide gene mutation and ablation of PDF neurons each cause severe abnormalities of behavioral circadian rhythms in Drosophila. Cell 99: 791-802)。
概日周期の研究の歴史は、周期的行動を制御する経路などの複雑な経路を分析する上で、表現型に基づくスクリーニングが有し得る格別の利点を示す(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A68 (9): 2112. 1971; Science270 (5237): 805. 1995; Cell93 (5): 791. 1998、他)。弱齢のハエは、一般に、夜明けおよび日没の付近で活動する。本発明者らは、神経系の構造の進行性の衰退が、自発運動活性を直接的および間接的に変化させる観察可能な行動変化をもたらすことを考慮して、この方法論を、神経変性プロセスの包括的な理解のために適用する。
本発明による神経変性に関与する遺伝子の同定は、第1に、変異系列において出現する表現型との対比を可能にするために、野生型個体における自発運動活性の特徴づけを含む。神経症状を罹患する患者において観察される神経変性が、時間と共に進行することを考慮して、いくつかの加齢対照系列(CS、y wおよびpdf-gal4;+)を分析した。系列y w、Canton-S、およびpdf-gal4は、Bloomington Stock Centerにより提供された(y w(1495)、C S(1)、(6900))。組み換え系列であるpdf-gal4+、enarevは、本発明者らにより研究室において作製された。ショウジョウバエの培養は、12時間の明/暗周期において、標準的なコーンミール酵母寒天培地において、25℃で、環境チャンバー中で維持した。実験全体を通して、加齢するハエを、3日毎に新たなバイアル中へ移した。
変異体はP因子の転位により作製した(Rorth P (1996) A modular misexpression screen in Drosophila detecting tissue-specific phenotypes. Proc Natl Acad Sci U S A 93: 12418-12422)。この変異のコレクションは、同じP因子をゲノム中の異なる位置において含むことにより特徴づけられ、(5’非コード配列で挿入することについての優先性はあるものの(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A92 (24): 10824. 1995))挿入がランダムに生じることを考慮すれば、挿入が潜在的には全ての遺伝子において得られるであろう。用いられるP因子は、UAS-hsと称され、GAL4転写因子のためのいくつかの結合部位(UAS)をタンデムに含み、熱ショックタンパク質をコードする遺伝子の最小プロモーター(すなわち、それ自体は転写を駆動することができない)に隣接する。P因子挿入部位に隣接する遺伝子の発現を(制御された様式において)強制するために、変異体のコレクションを、ショウジョウバエにおいてUAS配列の特異的アクチベーターとして機能するGAL4酵母転写因子(Brand AH et.al., (1993) Targeted gene expression as a means of altering cell fates and generating dominant phenotypes. Development 118: 401-415)を所望のプロモーターの制御下において発現するトランスジェニック系列と、その後交雑させる(図2C)。特に、pdf神経ペプチドをコードする遺伝子のプロモーターが用いられ、これは、自発運動活性の周期性を制御する別々のニューロン群(外側ニューロン(Lateral Neurons)、NLs)内において構成的に発現し(Biol.Rhythms13 (3): 219. 1998)、生命にとって必須ではない。このpdf-Gal4系列は、それ自体が変性効果を有するGAL4の過剰な蓄積に関連する問題を回避するために、ヘテロ接合においてのみ用いられる(Eur.J.Neurosci.25 (3): 683. 2007)。
各々の交雑から生じた変異体ハエを、0〜3日齢(弱齢)および少なくとも21日齢(老齢)の日齢において、アッセイを比較的に行った。ハエの活動を、明/暗条件下において4日間モニタリングし、市販の活動モニター(Trikinetics, Walthman, MA)を用いて、その後それらを暗所に少なくとも1週間置いた。個々の弱齢(0〜3日齢)および老齢(21日齢)のハエの活動が、試験された。期間および周期性を、Clocklabソフトウェア(Actimetrics, Evanston, IL)を用いて、定常暗期において収集したデータから概算した。カイ二乗分析において有意線を超える単一のピークを有するハエを、周期性であるとしてスコアし、これをアクトグラムの目視検査により確認した。FFTパラメーターは、周期性の強度を表わす。弱周期性と分類されたハエは、平均期間の計算には組み込まなかった(Eur.J.Neurosci.25 (3): 683. 2007)。全活動レベルを、各々のハエについて示された1日あたりの全カウントとして決定した。図1、3および5において示されるデータは、少なくとも3回の独立した実験から得られた。
推定変異体を選択した後、関与する遺伝子を同定した。トランスポゾン挿入部位、したがって、潜在的に観察される表現型の原因である遺伝子を、P因子レスキューにより、または逆PCR技術を用いることにより決定した。簡単に述べると、いずれの技術も、目的の変異体からのゲノムDNAの単離を必要とし、これをP因子の末端に向かって切断する酵素により消化する。このDNAを、鎖内反応を促進するためにライゲーションし、次いで、特異的プライマーを用いる逆PCRのための鋳型として、または大腸菌を形質転換するために用いる。いずれの戦略も、挿入部位を決定するための隣接領域のシークエンシングにより補完される。
ショウジョウバエゲノムに対する(インターネットからのデータベースおよび利用可能なソフトウェアを用いての)単純な比較しか必要としないことを考慮すると、上記の配列が既知であれば、影響を与える領域における遺伝子の同定は取るに足りない。公共のストックセンター(例えばBerkeley Drosophila Genome Project)においてEST(発現配列タグ)が利用できない場合には、完全な配列の遺伝子は、成体頭部標本の全RNAからRT−PCRにより得られる。
レスキューされた遺伝子が、その調節解除が目的の表現型をもたらすものであるか否かを確認するために、GAL4を、基底レベルを超える検出を可能にする一般的なパターンにおいて(熱ショックプロモーターを用いて)発現させる。全RNAを、変異体および対照から抽出し、いずれの隣接する遺伝子がその対応する対照と比較して異なって発現するかを決定するために、各々について特異的オリゴヌクレオチドを用いたRT−PCRを行う。この分析を完成させるために、遺伝子相互作用アッセイを行う。ここで、挿入したものに隣接する遺伝子の効果を、ストックセンター(Bloomington、Szeged、Kyoto)において利用可能な、行動的パラダイムにおけるそれらの各々についての変異体を用いて試験する。この戦略は、研究中の変異の背景における、各々の遺伝子についての部分的な機能喪失(元の変異体において挿入により潜在的に影響を受けたもの)の効果を決定することを可能にする。各々の挿入に関する、トランスヘテロ接合体における行動の周期性に対する効果の比較は、個別に(すなわち、ヘテロ接合において)、影響を受けた領域内の他の遺伝子が最終的な表現型に寄与するか否かを決定することを可能にする。これらの実験は、この行動のデコンソリデーション(deconsolidation)における特定の遺伝子の関連性を確立(または否定)するのみならず、また、同じ遺伝子(ただし、それらが元来異なるコレクションに由来することを考慮すれば、異なる遺伝的背景におけるもの)における他の変異もまた、進行性の機能不全をもたらすことを確認する。この分析は、潜在的な遺伝的背景の効果を制御し、それにより、観察される表現型が、目的の遺伝子の特異的な調節解除に明確に起因し得ることを確認する。
本発明の方法において同定される神経変性の変異体は、ニューロンのバイアビリティーの維持のために必要とされるタンパク質および重要な生化学的経路の同定のための価値あるツールである。結果として、別のさらなる態様によると、本発明の方法は、上記のとおりインターネットにおいて公共で利用可能なデータに基づいて、本発明の方法において同定された遺伝子のヒト相同遺伝子を同定することをさらに含む。
さらに、本発明の方法により同定される遺伝子を、問題の遺伝子の潜在的な分子機能を解明するために、ならびに、それらが関与する分子経路を同定するために、ヒト相同遺伝子と相関させてもよい。ヒト遺伝子のショウジョウバエに対応するもの(ホモログ)において同定されるモチーフに依存して、以下のような異なる分子学的アプローチが適切であるとみなされ得る:いくつかの例を挙げると、電気泳動移動度シフトアッセイ、またはDNAに結合する能力を試験するためのクロマチン免疫沈降(これは、ゲノムマイクロアレイにおいて行われる場合、ゲノム中の全ての潜在的な標的を同定するために役立つはずである);酵母におけるツーハイブリッドアッセイ、または潜在的な相互作用タンパク質を調査するためのタグ化バージョンの候補タンパク質を用いる免疫沈降などである。さらに、一過性または安定性の細胞アッセイにおいて細胞内局在を突きとめるために蛍光タグ(YFPまたはCFPなど)との融合タンパク質を作製してもよい。
以下の例は、本発明の特定の態様および好ましい側面を実証して説明するために提供されるものであり、その範囲を限定するものとしてみなされるべきではない。

例1−概日行動における加齢に関連する変化の同定
概日行動における進行性の変化を同定するために、成体期の間の異なる時点における休止/活動周期のパターンを、いくつかのショウジョウバエ対照系列において試験し、概日パラメーターのセットをスコアした。図1Aは、遺伝子スクリーニングにおいて用いられるドライバー(driver)の単一のコピーを有する、ヘテロ接合性pdf-gal4ハエの加齢に伴う代表的なアクトグラムを含む。これらの対照系列(加齢のpdf-gal4/+ハエ)について試験した成体期の間の異なる時点における休止/活動周期は、図1Aにおいて観察し得る。アクトグラムにおいて、各パネルは、実験の間の単一のハエの活動を表わす。実験の開始時における日齢を、各パネルの下の脚注として示す。白色、灰色および黒色のボックスは、それぞれ、昼、主観的昼(すなわち、定常暗条件に保たれた個体にとっての昼)および夜を示す。矢印は、定常暗状態への移動を表わす。
さらに、2つの一般的に用いられる野生型系統(Canton Sおよびy w)を、平行して試験した。ハエを12:12時間の明/暗周期に4日間同調化させ、次いで定常暗期(DD)に保った。フリーランニング行動を、その後の10日間モニタリングした。Clocklabパッケージを用いて、カイ二乗ピリオドグラム分析により、期間を計算した。これについては、周期性の個体のみをもっぱら用いた。遺伝子型毎に分析された個体の日齢および数(n)を、以下の表Iに示す。周期性(R)、弱周期性(WR)および非周期性(AR)の個体のパーセンテージを示す。また、平均期間、FFT平均(FFTとは、周期性の強度の概念をもたらす定量化である)および前記個体の全活動もまた示す。
殆どのパラメーターは、ハエの生涯期間を通して相対的に一定であり続けた。驚くべきことに、周期性は、ハエが加齢しても(30日齢を超える)、僅かに影響を受けるのみであった。これは、翌日の間の活動期間のコンソリデーション(consolidation)の欠失を示す図1Aのアクトグラムおよび図1Cのグラフにおいて観察し得るとおりである(図1Aにおける左と右とのアクトグラムを比較)。しかし、このデコンソリデーションは、ピリオドグラム分析により評価された根底にある周期性を不明確にはしなかった。したがって、周期性の力および全自発運動活性は、老齢のハエにおいて低下する傾向を有するが、期間の長さは、他のモデル系において報告されているものとの連想を増強する傾向を示した(Joshi D et.al., (1999) Aging alters properties of the circadian pacemaker controlling the locomotor activity rhythm in males of Drosophila nasuta. Chronobiol Int 16: 751-758)。
このように、神経変性に関連する変化についての読み出し(観察可能な、測定可能な表現型)として、周期性を選択した。なぜならば、その加齢に関連する低下はわずかであるものの、この神経回路の障害は、この行動に対して強力な影響を有するからである(Fernandez MP et.al. (2007) Impaired clock output by altered connectivity in the circadian network. Proc Natl Acad Sci U S A 104 : 5650-5655)。したがって、3週齢のハエを、進行性の表現型の変化を探索するために選択した。なぜならば、野生型ハエは、このステージにおいて強力な活動および周期性を示すからである(図1C)。
例2−機能的遺伝子スクリーニングによる、神経変性に潜在的に関与する表現型を示す変異の選択(活動−周期性パターン)
生体のバイアビリティーに影響を及ぼすことなく、遺伝子の調節解除を介した神経変性に関与する遺伝子を同定するために、トランスジェニック系列pdf-gal4により、概日システムの特性を改変した(Park JH et.al., (2000) Differential regulation of circadian pacemaker output by separate clock genes in Drosophila. Proc Natl Acad Sci U S A 97: 3608-3613)(図1B)。第1に、神経変性が進行性の非周期性をもたらし得るという概念を試験するために、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の発現を、概日回路に向けた(pdf>APP)。APPの過剰発現は、ハエのアルツハイマー病モデルにおいて使用されてきた(Gunawardena S et.al., (2001) Disruption of axonal transport and neuronal viability by amyloid precursor protein mutations in Drosophila. Neuron 32: 389-401; Greeve I et.al., (2004) Age-dependent neurodegeneration and Alzheimer-amyloid plaque formation in transgenic Drosophila. J Neurosci 24: 3899-3906)。さらに、変化した活動の概日パターンが、APP23マウスモデルにおいて報告されており、この可能性をさらに強化している(Vloeberghs E et.al., (2004) Altered circadian locomotor activity in APP23 mice: a model for BPSD disturbances. Eur J Neurosci 20: 2757-2766)。
図2Aにおいて観察し得るように、APPの過剰発現を誘導したハエ(pdf>APP)の周期性を測定した際に、ハエが次第に加齢するに従って有意な減少が観察され、それによりこの行動の読み出しを確認したことは、言及するに値する。40〜70個体のハエを含む、3回の独立した実験を行った。図2Bは、各々の系統についての周期性のハエのパーセンテージを示す。老齢のpdf>APPハエは、それぞれの対照と有意に異なる、低下した周期性を示した。
次いで、pdf-gal4系列を、転移性P因子を保有するP[UAS]系列に由来する独立したトランスジェニック挿入の発現を駆動するために使用した(Rorth P, (1996))。異所性発現コンストラクトの簡略化したスキームを、図2Cに提供する。pdf-gal4系列を、多数の独立した標的P[UAS]系列と交雑した。両方の因子を含む子孫において、GAL4転写因子は、P[UAS]トランスポゾン中でUASに結合し、それとすぐに隣接する遺伝子の異所性発現を誘導する(図2C中、遺伝子X)。
図2Dに関して、ハエが加齢に伴う、すなわち、新たに孵化したハエおよび3週齢のハエの周期性の程度の直接比較を、進行性のニューロンの機能不全を潜在的に引き起こす遺伝子を同定するために使用した。殆どの野生型ハエが加齢に関連する行動異常を示さないことを確実にするように、時間枠を選択した。殆どのP[UAS]系列の異所性発現は、進行性の表現型をもたらさない。弱齢である際には高度に周期性であるが老齢になった際にその周期性が著しく低下するハエを、潜在的な神経変性の変異体とみなし、さらに再試験した(図2D中、黒丸により示す)。したがって、異所性発現挿入のおよそ10%が、周期性行動における進行性の異常を示し、それにより、弱齢のハエは70%を超えるものが周期性であって、3週齢までに非周期性となったことが観察された(図2D、黒色で強調されたもの)。
神経変性に潜在的に関連する変異の同定における第1のステージは、上記のとおりP因子を用いる変異誘発により作製される、約1000個の挿入系列のコレクションの作製およびスクリーニングを含んでいた。作製した変異のうち、30個の予備標的を、老齢においてより強力な行動異常を引き起こすものとして同定し、それらの中から、以下の表IIにおいて示す8個の変異を同定した。
代表的な弱齢(3日齢)および老齢(21日齢)のハエから得られた図3Aのアクトグラムから観察し得るように、P[UAS]117をpdf-gal4ドライバーに交雑することにより、老齢のハエの周期性の有意な低下がもたらされた。強力な日齢依存性非周期性を示すこれら挿入を、表現型の再試験およびさらなる特徴づけのために選択した。図3Bは、各々の系統についての周期性のハエのパーセンテージを示す。より高齢のpdf-gal4/ P[UAS]117ハエは、より弱齢のそれら対応するものと、および老齢の対照と、有意に異なった(p<0.05)。特に、pdf-gal4/P[UAS]117系列(以下、pdf>P[UAS]117として示される)は、その後の日々における活動の異常なデコンソリデーションに起因する、周期性のパーセンテージの日齢依存性の低下を示した。この表現型は、単一のコピーのpdf-gal4ドライバー(図3A〜B)またはP[UAS]117挿入を、ヘテロ接合状態において平行して分析した場合には、観察されなかった(図5C〜D)。
これらの結果は、P[UAS]117因子の挿入により潜在的に影響を受ける、GAL4に媒介される遺伝子座の改変が、神経機能を進行的に障害し、日齢依存的な行動異常を生じたことを示唆する。
例3−P[UAS] 117 挿入部位の決定および影響を受ける遺伝子の発現レベルの測定
トランスポゾン挿入の部位を、プラスミドレスキューにより同定した。この手順は、P[UAS]117系列からのゲノムDNAの調製を必要とし、これは、トランスポゾンの内側で単一の切断が行われるように、好適な制限酵素による消化に供される。消化されたゲノムDNAを、鎖内反応を促進するための条件においてライゲーションし、次いで、コンピテント大腸菌株中に形質転換する。単離したコロニーを選択し、プラスミドDNAを調製し、これを次いでシークエンシングする。
前記プラスミドレスキュー分析により、P[UAS]117因子が、enabled(ena)の第1のエクソン内においてATGの上流に挿入され、したがって、それが予測される5個のスプライスバリアントのうちの4個を分断することが明らかとなった。図4Aは、挿入により分断されるDNA領域中のP[UAS]トランスポゾンの位置を表わす模式図を提供する。P[UAS]117因子はまた、CG15118の第1のイントロン内、およびCG15111の近傍に入った。図4Aにおける矢印は、各遺伝子についての転写の方向を示す。各遺伝子座における異なるスプライスバリアントを、A〜Eとして示す。
P因子は、ena遺伝子座における転写に関して逆方向に配置され、GAL4依存的な様式において潜在的にアンチセンスRNAの転写を駆動することが観察される。かかる可能性は、前例のないものではない(Colombani J et.al., (2003) A nutrient sensor mechanism controls Drosophila growth. Cell 114: 739-749)。P[UAS]117はまた、遺伝子CG15118の長いスプライスバリアントを分断する。これは、同じ方向でATGを含むエクソンの上流である、その第1のイントロン内に位置する。3個の残るスプライスバリアントの転写開始部位は、ほぼ5kb下流に存在し、したがって、これらが影響を受ける可能性は低い。この領域内において、P[UAS]117と逆方向に走る第3の予測される遺伝子(CG15111)が存在するが、それによっては物理的に分断されない。
GAL4により媒介される発現により潜在的に影響を受ける遺伝子を同定するために、RT−PCR技術を用いた。例2において選択された系統のhs-gal4/ P[UAS]117幼生を用い、それらのプロセシングの前に、37℃における熱ショックにより30分間処理し(パルス)、次いで、リカバリーのために25℃で2時間おいた。この処理(熱ショック+リカバリー)を、2回繰り返した。パルスを行っていない対照を、比較のために用いた。
全RNAをTrizol(Invitrogen)を用いて単離した。次いで、SuperScript first-strand synthesis system(Invitrogen)を使用説明書に従って用いて、逆転写を行った。PCR分析を、以下のプライマーを用いて行った:enaFw 5’−CCCTTGAAAAGCCCAAACAC−3’(配列番号1);enaRv 5’−CCGGGCCTGATTGTACTTC−3’(配列番号2);15118Fw 5’−AGGAAGCTTCCAACGCTGGAGT−3’(配列番号3);15118Rv 5’−CAAGAGGAATTTGCCGACGG−3’(配列番号4);15111Fw 5’−TGTTCATCTCTGGCTGTCATCG−3’(配列番号5);15111Rv 5’−CCTGACGTGATCCTTTACGGT−3’(配列番号6);actinFw 5’−GAGCGCGGTTACAGCTTCAC−3’(配列番号7);actinRv 5’−ACTCTTGCTTCGAGATCCACA−3’(配列番号8)。
PCR産物を、臭化エチジウムで染色したアガロースゲル上で分析した。熱パルスを行ったかまたは行っていない成体hs-gal4/ P[UAS]117標本からの全RNAに対して、RT−PCR分析を行った。各遺伝子型についての、enabled、CG15111、15118およびアクチンについての発現レベルの間の比を決定した。独立したRNA調製物を用いて、実験を3回繰り返した。
各遺伝子についての全てのスプライスバリアントにおいて存在する領域に対するプライマーを用いて、RT−PCR分析を行った。結果を図4Bおよび4Cに示す。RT−PCR産物を、臭化エチジウムで染色したアガロースゲル上で分析した(画像は、30回目のサイクルにおけるenaのレベルを反映する:図4Bを参照)。アクチンのレベルを、独立したRNA調製物の品質管理のために比較した。これらの実験の定量化を、図4Cに示す。P[UAS]117は、enaのレベルに強力かつ特異的に影響を及ぼすと考えられる一方で、CG15111およびCG15118遺伝子については何らの変化も観察されなかった。興味深いことに、熱ショックハエ(+hs)は、パルスを行っていない対照と比較して、約5分の1のenaレベルを示し、したがって、GAL4駆動性発現が内因性enaレベルの低下を引き起こしていることを確認した。したがって、GAL4により媒介される発現がena遺伝子座の調節解除をもたらすことを反映させるために、P[UAS]117をenareverse(rev)と改称した。GAL4のソースと交雑した場合、かかる筋書きは、組織特異的な低次形態変異(遺伝子機能の部分的な喪失)を生じる。
例4−低下したenaレベルと進行性の行動表現型(非周期性)との間の関係の研究
enaの下方調節自体が進行性の非周期性の原因となり得るか否かを決定するために、2つの補完的なアプローチを行った。
第1に、1コピーのUAS-enaを、pdf>enarev中に導入して、GAL4媒介性の低次形態内でenaの発現を増大させることが、野生型の行動をレスキューするのに十分であるか否かを評価した。ENAレベルを回復させることは、老齢のpdf>enarevの非周期性を低下させ、これは、対照のハエと区別不可能になった。一方、弱齢のハエにおけるENAの過剰発現は、自発運動活性の周期性に影響を及ぼさなかった(データ非表示)。図5Aは、老齢(24〜28日齢)のハエについてのアクトグラムを示す。観察し得るように、組み換え体pdf-gal4、1コピーのUAS-enaを保有するenarevは、対照UAS-enaと区別不能であった。図5Bは、各々の系統についての老齢のハエについての周期性のパーセンテージを示す。pdf-gal4、enarev/++は、対照UAS-ena系列と有意に異なっている(**p<0.001)。
enaレベルを低下させるための他の戦略もまた非周期性行動を生じ得るか否かを試験するため、よく特徴づけられたヌル変異体(enaGC5)の背景において自発運動活性に対するenarevの効果を試験した(Gertler FB et.al., (1995) enabled、a dosage-sensitive suppressor of mutations in the Drosophila Abl tyrosine kinase, encodes an Abl substrate with SH3 domain-binding properties. Genes Dev 9: 521-533)。低下したENAレベルが当該形質の唯一の原因であった場合、トランスヘテロ接合体enarev/enaGC5は、ホモ接合性のenarevのハエにおいて観察される異常を再現するはずである。
図5Cは、トランスヘテロ接合体enarev/enaGC5とともに、1または2コピーのenarevを保有する弱齢(3日齢)および老齢(21日齢)のハエの、代表的なアクトグラムを示す。enarevおよびenarev/enaGC5のいずれも、周期性の強度に対する減退を示した。すなわち、enarevホモ接合体の挿入自体が、老齢のハエにおいて周期性の程度の進行性の低下を示し(図5C)、これはおそらく、enaレベルの低下に起因する(図6C)。
図5Dは、示された遺伝子型のハエについての行動データ(周期性)をまとめる。対照であるenarev/+のハエは、生涯期間を通して周期性のままであった。老齢のenarev(変異体)は、その弱齢の対応するものと有意に異なる(はp<0.05を表わす)。老齢のenarevおよびenarev/enaGC5はいずれも、enarev/+と異なる(p<0.05)。BおよびDにおいてまとめた実験は、少なくとも3回繰り返したものである。
再度図5Cに関して、ホモ接合体enarevの表現型を模写するenarev/enaGC5トランスヘテロ接合体について、進行性のアクトグラムが示され、したがって、enarevにおけるP因子挿入により潜在的に影響を受ける無関係な遺伝子座の寄与が除外される。興味深いことに、enarevおよびenarev/enaGC5のいずれも、弱齢の成体としてデコンソリデートした活動の兆候を示した。単一のコピーを試験した場合、enaGC5およびenarevのいずれも、何らの異常も示さなかった(図5C〜Dおよび以下の表IIIを参照)。さらに、そのレベルに対するより高度の影響が、観察される表現型に寄与し得るか否かを評価するため、CG15118(Bloomington Stock Centerからのストック18105)に特異的に影響を及ぼすP因子挿入の背景において、enarevを試験した。以下の表IIIにおいて示すとおり、老齢の18105/enarev個体は、高度に周期性であり、したがって、行動的表現型におけるこの遺伝子座の潜在的な関与は除外された。
注:ハエは、表Iにおいて示した行動パラダイムにおいて同調化して試験した。
まとめると、このデータは、進行性の非周期性が、下方調節されたenaレベルに由来するという概念を支持する。
例5−成体の脳におけるenaの検出
本発明において上述するとおり、enabledは、アクチン細胞骨格のリモデリングへのシグナル経路に関連するタンパク質をコードし、したがって、形態形成、細胞の遊走および接着を含む様々な細胞プロセスのために極めて重要である(Krause M. et.al., (2003) Ena/VASP proteins: regulators of the actin cytoskeleton and cell migration. Annu Rev Cell Dev Biol 19: 541-564)。したがって、それは、神経系発達の間の軸索の経路探索に結びつけられてきた(Gertler FB et.al., (1995))。しかし、成体の脳におけるENAの役割は、これまでに取り組まれたことがない。
enaが成体の脳において発現するか否かを決定するために、ホールマウント脳に対して抗ENA特異的モノクローナル抗体(Bashaw GJ et.al., (2000) Repulsive axon guidance: Abelson and Enabled play opposing roles downstream of the roundabout receptor. Cell 101: 703-715)を用いて免疫蛍光分析を行った。
この目的のために、10日齢の成体y wハエを解剖し、次いで、PB(100mM KHPO/NaHPO)中4%のパラホルムアルデヒド中で30分〜1時間、室温で固定した。PT(PBSに0.1%のTriton X-100を加えたもの)中で3回リンスすることにより、過剰な固定剤を取り除いた。次いで、脳をPT中7%のヤギ血清中で2時間、室温でブロッキングした。ブロッキング工程の後、組織を一次抗体と共に72時間4℃でインキュベートし、二次抗体を添加する前にPTで20分間、3回洗浄した。2時間のインキュベーション工程の後、脳をPT中で3回洗浄し、80%グリセロール(PT中)中にマウントした。
使用した一次抗体は、マウス抗ENA(1/5、Developmental Studies Hybridoma Bank)またはニワトリ抗GFP(1/500、Upstate technologies)であった。使用した二次抗体は、ロバCy3結合抗マウス、Cy2結合抗ニワトリ(1/250、Jackson ImmunoResearch)およびAlexa 594抗マウス(1/250、Invitrogen)であった。生体の脳におけるENAの検出を、少なくとも3回繰り返し、各実験において8〜10個の脳を観察した。野生型と変異体との脳の間のENAレベルを比較するために、同じ条件下における共焦点蛍光画像を取得した。成体の全脳および幼生の標本をイメージングするため、Zeiss LSM510共焦点顕微鏡を使用した。
いくつかのニューロピルにおいて局在する均質なENAシグナルを観察した。これは、シナプトタグミンを発現するものと類似する(Littleton JT et.al., (1993) Expression of synaptotagmin in Drosophila reveals transport and localization of synaptic vesicles to the synapse. Development 118: 1077-1088)。図6Aは、異なる脳領域を強調するために、2つの深度(8および22μm)における単一共焦点平面(厚み2μm)を示す。ENAで標識されたニューロピルの一部は、外髄質(o me)および内髄質(i me)、視葉中の小葉(lo)および小葉板(lo p)、中心体(central body complex)中の前大脳橋(pr br)、ならびに側角(l ho)などの前大脳中の他の領域である。前外側中大脳(protolateral deutocerebrum:p l deu)、脳脚(peduncle:pe)、脳間部(pars intercerebralis:pars in)、食道下神経節(su oes g)、および食道(oe)などの他の構造もまた、図中に示す。図6Aにおいて観察され得るように、視覚ラミナ(視葉におけるラミナ、髄質、小葉および小葉板)などの一次感受中枢、ならびに、中心体を含む一部の脳中心領域(例えば前大脳橋など)を染色した。
免疫組織化学分析を、図6Bに示す(顕微鏡画像)。ここで、enarev変異体において、対照y wと比較して、enaレベルが低下することを観察し得る。直接比較のために、同じ共焦点のセッティングにより画像を取得した。深さ2.3μmの投射を示す。ENA免疫組織化学アッセイを、少なくとも3回繰り返した。
図6Bに関して、免疫組織化学分析により、ENAの発現がホモ接合体enarevの成体において強力に低下したことが明らかとなった。次いで、enarev、enarev/+の成体および対照(y w系列)からの全RNAに対するRT−PCR分析により、enarevホモ接合性はenaの発現における有意な低下を示す一方で、単一のP[UAS]117のコピー(enarev/+変異体におけるものなど)は、enaレベルの僅かな低下をもたらすことが示された。これは、その行動的パラダイムに対する効果の欠如と一致し(図5C〜Dを参照)、ウェスタンブロット分析により確認された(データ非表示)。
各遺伝子型についてのenaとアクチンとの発現レベルの間の比を、図6Cにおいて示す。上記のとおり、RNAレベルの定量化により、用いられた対照系列と比較した場合に、enarevホモ接合性における有意な変化(p<0.05)が示された一方で、僅かな(有意でない)低下が、enarev/+ヘテロ接合性において観察された。実験は、独立したRNA調製物を用いて、3回繰り返した。
成体の脳におけるENAの検出は、このタンパク質が生物の生涯を通して存在し、したがってその下方調節は、やがては行動的障害をもたらす累積的な異常を誘発し得ることを示す。
例6−成体の脳におけるENAの下方調節の効果の決定およびその進行性変性との関係
下方調節されたENAの機能が脳内における変性をもたらし得るか否かを明らかにするために、2個の異なるドライバー:汎神経型ドライバーelav(Lin DM et.al., (1994) Ectopic and increased expression of Fasciclin II alters motoneuron growth cone guidance. Neuron 13: 507-523)、およびドーパミン作動性ニューロンにおいて特異的にGAL4発現を駆動するth-gal4プロモーター(Friggi-Grelin F et.al., (2003) Targeted gene expression in Drosophila dopaminergic cells using regulatory sequences from tyrosine hydroxylase. J Neurobiol 54: 618-627)を用いた。
これらのプロモーターの使用により、ENAレベルを低下させることが可能となり、したがって、神経変性との関係におけるその機能を分析することが可能となる。特に、elav-gal4に関連する領域特異的な発現レベルに起因する潜在的なアーチファクトを除外するために、ENAの異所性発現を、(th-gal4を用いて)ドーパミン作動性ニューロンに標的化した。
この分析を行うための手順は、以下の通りであった:成体の前頭部準薄切片(厚み1μm)を、メチレンブルーで染色して、光学顕微鏡で観察した。弱齢(0〜3日齢)および老齢(30日齢)のハエを、各遺伝子型について分析した。頭部を、PBS中3%のグルタルアルデヒド中で2時間、室温で固定し、1%オスミウム中で1〜2時間処理し、数回のエタノールステップを通して脱水し、Spurrエポキシ樹脂中に包埋した。各遺伝子型毎に、0〜3日齢または30日齢のハエからの4〜10個の頭部を、異なる試行機会において分析した。中間齢のハエを、特定の遺伝子型について試験した。BX-60 Olympus顕微鏡において切片を可視化し、CoolSnap Proデジタルカメラで撮影した。観察した切片の画像を、図7および図8に示す。
汎神経型の、およびドーパミン作動性の系におけるENAレベルの低下はいずれも、脳の同じ領域における変性を引き起こしたことが観察された。図7において観察され得るように、elav>enarevハエは、視葉内の髄質およびラミナにおける日齢依存性の空胞形成を示す一方で、対照系列(elav-gal4/+)の神経系は、評価した時期を通して、よく保存されている。対照個体は、老齢であっても、変性の兆候を示さない。ドーパミン作動性ニューロンにおいてもっぱら低下したENAレベルもまた、低い程度ではあるものの、老齢のハエにおいて視葉中の空胞形成をもたらした。
変異体の脳(elav>enarev)において確認された皮質およびニューロピルの空胞形成は、親系統であるelav-gal4/+およびヘテロ接合性のenarevにおいて、または弱齢のelav>enarevのハエにおいては明らかではなく、このことは、神経症状性表現型の日齢依存性を明らかにした(図7および図8を参照)。一方、elav>enarev脳における空胞形成は、広範囲ではなかった。対照的に、視葉中の髄質およびラミナなどの特定の部位は、調節解除されたENAに対して特に脆弱であった。これはまた、enarevホモ接合性変異体においてなされた観察によっても支持される(図8)。
興味深いことに、ドーパミン作動性ニューロンは成体の脳全体に分散しているにも関わらず、th>enarevにおいては、視葉のみが、elav>enarevと比較すると低い程度ではあるものの、明らかな空胞形成を示した。さらに、視葉以外の領域におけるenaの異所性発現は、ニューロン死の何らの兆候も誘発しなかった(C309>enarev変異体(Kitamoto T (2002) Conditional disruption of synaptic transmission induces male-male courtship behavior in Drosophila. Proc Natl Acad Sci U S A 99: 13232-13237.)による例を図8に示す)。小さなLNvの細胞体が、enaの誤制御に対して非常に脆弱な領域中に位置するという事実は、行動的表現型の原因である可能性がある。実際に、PDF反応性ニューロンの合計数は、3週齢のpdf>enarevハエにおいて低下している(データ非表示)。
総合すると、これらの観察は、低下したenaレベルがニューロンの機能不全を引き起こし、進行性の行動異常およびニューロン死をもたらすことを実証する。
例7−低下したenaレベルは軸索輸送異常を誘発する
小胞結合シナプス終末タンパク質およびミトコンドリアなどの速い軸索輸送カーゴは、キネシン1またはダイニンの変異に由来する軸索膨化部中に蓄積し得る(Hurd DD et.al. (1996) Kinesin mutations cause motor neuron disease phenotypes by disrupting fast axonal transport in Drosophila. Genetics 144: 1075-1085; Gindhart JG, Jr. et.al. (1998) Kinesin light chains are essential for axonal transport in Drosophila. J Cell Biol 141: 443-454; Martin M y col (1999) Cytoplasmic dynein, the dynactin complex, and kinesin are interdependent and essential for fast axonal transport. Mol Biol Cell 10: 3717-3728; Bowman AB et.al. (1999) Drosophila roadblock and Chlamydomonas LC7: a conserved family of dynein-associated proteins involved in axonal transport, flagellar motility, and mitosis. J Cell Biol 146: 165-180)。ENAは、速い軸索輸送に関与する分子モーターであるキネシン重鎖(Khc)と直接的に相互作用することが見出されている(Martin M et.al. WM (2005) Abl tyrosine kinase and its substrate Ena/VASP have functional interactions with kinesin-1. Mol Biol Cell 16: 4225-4230.0)。
ENAの下方調節が異常なカーゴ蓄積を生じ得るか否かを試験するため、シナプス小胞タンパク質であるCSPおよびSYTの幼生体節神経における局在化を行った(図9A1を参照)。この目的のために、三齢幼生からの幼生の脳を最初に取り除いて、体節神経をPBS中に保存し、4%ホルムアルデヒドPBS中で1時間、25℃で固定し、次いで、PT中でリンスした。試料をPT中7%のヤギ血清中で40分間、室温でブロッキングし、次いで、一次抗体と共に48時間、4℃でインキュベートした。次いで、脳をPT中で40分間洗浄し、その後、二次抗体と共に2時間インキュベートした。抗体の染色の後、脳をPTで3回洗浄し、80%グリセロール(PT中)中にマウントした。抗REPO(グリアのマーカー)を、ニューロン特異性の対照として用いた。用いた一次抗体は、抗CSP、SYTおよびREPOを、1/5の最終濃度(DSHB)としたものであった。二次抗体は、Cy2結合ヤギ抗マウスIgG1(1/250、Molecular Probes)およびCy5結合ヤギ抗マウスIgG2b(1/250、Jackson ImmunoResearch)であった。
図9A1〜A4は、示される遺伝子型に対応する、三齢幼生からの、幼生体節神経(挿入図中に示される)を含むインタクトな脳の標本の免疫組織化学であって、シナプス小胞タンパク質であるCSPに対して染色したものを示す。軸索の障害物は、膜結合カーゴの凝集塊であり、異常な軸索輸送の結果であり得る(Hurd DD et.al. (1996))。対照の幼生からの体節神経は、相対的に均一なCSP染色を示す(図9A2)。
アミロイド前駆体タンパク質(APP)の過剰発現(elav>APP)を、陽性対照として含めた。これは、軸索の障害を誘導することが既に実証されている操作である(Gunawardena S et.al., (2001); Rusu P et.al. (2007) Axonal accumulation of synaptic markers in APP transgenic Drosophila depends on the NPTY motif and is paralleled by defects in synaptic plasticity. Eur J Neurosci 25: 1079-1086)。この概念と一致して、elav>APPハエにおける体節神経は、プレシナプスタンパク質であるCSPの顕著なクラスターを示し(図9A3)、これは、野生型対照(図9A2)においては不在であった。驚くべきことに、elav>enarevにおける低下したENAレベルもまた、軸索の障害物の発達をもたらし、このことは、このレベルにおける障害を示唆している。
幼生体節神経の定量的分析を、基本的にGunawardena S et.al. (2001)において記載されているように行った。したがって、障害物濃度を測定した。elav>enarevハエは、elav>APPについて観察されたものと同様に、野生型対照と有意に異なった(図9B)(**p<0.001)。
SYTの局在を分析したところ、比較可能な結果が得られた(データ非表示)。
先の研究は、APPの誤制御がアポトーシスをもたらすことを示している(Gunawardena S, et.al. (2001))。低下したenaレベルもまたこの機構を誘発し得るか否かを調査するために、無固定の幼生の脳に対してTUNEL染色(アポトーシス性の核のin situ染色)を、製造者の推奨に従って行った(Apoptag Plus Fluorescent Kit、Millipore)。ELAV(ニューロンのマーカー)との共局在を、カウンター染色として用いた。
図9Cは、示された遺伝子型についてのTUNEL染色の代表的な画像を示す。TUNEL染色の定量的分析は、elav>enarevにおけるニューロン死の程度を示し、陽性対照を図9Dに示す。いずれも、野生型対照と有意に異なる(p<0.05、**p<0.001)。
驚くべきことに、増大した細胞死は持続的なenaレベルの下方調節と相関していた。このことは、elav>enarev変異体において観察された異常なオルガネラの蓄積がアポトーシス性細胞死をもたらすことを示唆する。
総合すると、これらの結果は、低下したenaレベルが特定のカーゴの輸送機能不全を引き起こし、それにより退行性の表現型に寄与しているという概念と一致する。
例8−進行性のアポトーシス性細胞死に関連するenaの下方調節の研究
アポトーシス性細胞死の定量的分析を、加齢を伴う対照ハエ(y w)、変異体elav>enarevおよびelav>APPの成体の脳において行った。結果を、図10Aに示す。30日齢のハエにおける細胞死の程度を、各グラフの左上の角に挿入した代表的な画像中に示す。影響を受けた個体におけるアポトーシスの程度は、野生型対照と有意に異なる(p<0.05、**p<0.001)。
幼生の脳において、低下したenaレベルは、陽性のTUNEL染色と相関していた。しかしながら、弱齢の成体ハエは、行動的および解剖学的異常を発症しなかった。変態の間に、新規のニューロンのクラスターおよび連絡の発達は、enaの下方調節に対して感受性の新たな構造を生じ、いずれはかかる異常を示すであろう。対照の脳において、最小レベルのTUNEL染色が脳全体に分散して観察され、これはより老齢のハエにおいて有意に増大しなかった(図10A)。
しかし、変異体elav>enarevの脳を染色した際に、APPの過剰発現後よりも低いレベルではあるが、視葉中のアポトーシス性ニューロンの数が増大していることが観察された。このデータは、低下したenaレベルがニューロンの機能不全を引き起こし、最終的にアポトーシスを誘発し、やがてはより大きく、そして感受性が異なるニューロンの集団に影響を及ぼし、それにより進行性の行動的および解剖学的異常の原因となるという筋書きに一致する。
また、老齢の個体において観察される広範囲な空胞形成が、アポトーシス性細胞死にのみ由来するのか否かを評価するために、老齢の対照およびelav>enarevにおいて前頭部切片(ほぼ同じ深さのもの)の分析を行った。この目的のために、一般的なカスパーゼ阻害剤であるp35(Hay BA et.al., (1994) Expression of baculovirus P35 prevents cell death in Drosophila. Development 120: 2121-2129)の単一のコピーを、elav>enarevに導入した。
特筆すべきことに、老齢のelav>enarev/p35変異体の脳のほとんどは、空胞形成を示さず、ほんの一部が、最も感受性の高い領域に位置する空胞を示した(図10B)。図10B中の切片は、形態学的なレスキューの程度を強調する。画像の右上の角におけるアスタリスクは、elav>enarevに対応する。UAS-p35は、レスキューが不完全であったいくつかの脳のうちの一つにおける、小さな空胞がなお見出される領域を表わす。
一方、図10Cは、enaにより誘導される行動的表現型の機能的レスキューを示す。老齢のpdf>enarev/p35および対照系列の代表的なアクトグラムを含む(左)。周期性の個体のパーセンテージもまた示す(右、p<0.05)。pdf>enarev/p35のハエにおいて観察された非周期性のレスキューは、ENA媒介性の神経変性の根底をなすさらなる機構に拘わらず、プログラムされた細胞死が重要なエフェクターであることを強調する。
例9−P[UAS] 100B 挿入部位の決定および影響を受ける遺伝子の発現レベルの測定
トランスポゾン挿入の部位を、例3において記載するように、30のP[UAS]100B系列の成体個体からのゲノムDNAから、プラスミドレスキューにより同定した。この変異体は、P[UAS]117と類似する進行性の非周期性異常を示すにも拘わらず、引き起こされた機能不全は、全自発運動活性に対して、より重篤な効果をもたらす(図11A)。この変異体は、ホモ接合性において致死性である(幼生齢L2およびL3における致死性として顕在化され、これは、この発達ステージにおける中心的な役割を示唆する)。
プラスミドレスキューにより、P[UAS]100B因子が、いずれもその機能が未知である遺伝子CG 15133(最近CG42555と改称された)とCG 6115との間の遺伝子間領域に挿入されることが明らかとなった。
P因子は、CG15133(CG42555)遺伝子座において、転写に関して同じ方向に位置する。P[UAS]100Bは、CG15133(CG42555)についての予測される遺伝子の転写開始部位に対して上流に位置する。いずれの転写レベルも、挿入により影響を受けると考えられるが、CG15133(CG42555)からのもののみが、GAL4の存在下において増大する(データ非表示)。図11Aは、遺伝子型pdf-Gal4/+およびpdf-Gal4/P[UAS]100Bの弱齢および老齢の個体の、代表的なアクトグラムを示す。各遺伝子型毎に約30個体を、平均的な実験において同時に観察した。図11Bは、代表的な実験において示される遺伝子型についての周期性のパーセンテージを示す。老齢のpdf-Gal4/P[UAS]100B個体の周期性において、対照と比較した場合に、明確な減退が観察される。図11Cは、挿入が、両遺伝子の間に位置していることを示す遺伝子座構成の模式図を示す。ショウジョウバエのゲノムデータベースは、各々の遺伝子について1つのスプライスバリアントを示すのみである(「A」)。簡素な矢印は、対応する遺伝子座についての転写の方向を示し、複合的な矢印は、GAL4を通じてCG15133の過剰発現を媒介するであろうトランスポゾンの方向を示す。
例10−成体の脳におけるP[UAS] 100B の調節解除およびその進行性の変性との関係
P[UAS]100Bにおいて進行性の行動的非周期性をもたらす調節解除もまた、成体の脳において変性を伴うか否かを明らかにするために、汎神経型ドライバーであるelav(Lin DM et.al., (1994) Ectopic and increased expression of Fasciclin II alters motoneuron growth cone guidance. Neuron 13: 507-523)を用いて、例6において示すものと類似の分析を行った。
図12において観察され得るように、対照個体は、老齢であっても、変性の兆候を示さない。対照的に、P[UAS]100Bレベルが汎神経性に調節解除されている個体は、著しい空胞形成を示し、これは主に、視覚情報の処理に関与するニューロピル、ならびに、情報の統合に関与する脳のより中心の領域(脳中心部(central brain))に影響を及ぼす。
図12は、弱齢および成体のハエからの頭部切片の代表的な画像を示す。画像は、示される遺伝子型についての弱齢および老齢の個体からの脳の比較可能な領域を表わす。P[UAS]100Bの調節解除は、変異体に典型的な空胞形成の程度から導かれるように、ニューロンのバイアビリティーに著しく影響を及ぼす。同じ遺伝子型の弱齢の個体がかかる兆候を示さないことに注意すべきである。

Claims (14)

  1. 変異体ハエにおける下方調節された遺伝子の遺伝子スクリーニングによる、遅発性神経変性プロセスに関与する遺伝子の同定のための方法であって、
    i)野生型非変異体ハエにおける、生涯初期の時点で、および成体期の中間ステージで、明暗条件の交互周期およびその後の定常暗期における自発運動活性の標準的な周期性を評価すること;
    ii)特異的トランスポゾンによるランダム挿入変異誘発により変異体ハエのコレクションを作製すること、およびその後に、前記トランスポゾンにおける認識部位により転写因子を調節する組織特異的な神経性発現プロモーターを含むトランスジェニック系統に交雑すること;
    iii)工程(ii)において作製された変異体ハエにおける、生涯初期の時点で、および成体期の中間ステージで、明暗条件の交互周期およびその後の定常暗期における自発運動活性の周期性を評価すること;
    iv)前記成体期の中間ステージにおける標準的な周期性に関して逸脱を示す変異個体を検出および選択すること;
    v)前記トランスポゾン挿入部位を同定すること;ならびに
    vi)前記挿入によりトラップされる遺伝子を同定すること
    を含むことにより特徴づけられる、前記方法。
  2. ハエがキイロショウジョウバエであるという事実により特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記生涯初期の時点が、生後0〜3日を含む期間であり、前記成体期の中間ステージが、生後20〜30日を含む期間であるという事実により特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  4. 変異体ハエのコレクションを作製する工程が、P[UAS]因子の転位から生じる系列を、pdf神経ペプチドをコードする遺伝子のプロモーターの制御下において、GAL4転写因子を発現するトランスジェニック系列に交雑することを含む、という事実により特徴づけられる、請求項1に記載の方法
  5. 請求項1に記載の方法における工程(vi)において、同定される遺伝子のヒトホモログをインターネットにおいて公共に利用可能なデータベースにおいて同定することをさらに含むという事実により特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  6. 遅発性神経変性プロセスが、アルツハイマー病、パーキンソン病およびハンチントン病において顕在化されるプロセスであるという事実により特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  7. 変異体ハエであって、そのゲノムがenabled遺伝子において破壊を含み、ここで、前記破壊がenabled遺伝子の発現を強力に低下させ、前記ハエが生後の成体ステージにおいて、遅発性神経変性の表現型を示すという事実により特徴づけられる、前記変異体ハエ。
  8. P[UAS]トランスポゾン挿入が、enabled遺伝子の第1のエクソンを、ATGコドンの下流で分断するように位置するという事実により特徴づけられる、請求項7に記載の変異体ハエ。
  9. 生後の成体ステージにおける遅発性神経変性の表現型が、生後20〜30日を含む生後の期間内における明暗条件の交互周期における自発運動活性の周期性の喪失であるという事実により特徴づけられる、請求項7に記載の変異体ハエ。
  10. 変異体ハエであって、そのゲノムが、遺伝子CG 15133とCG 6115との間の遺伝子間領域内においてP[UAS]トランスポゾン挿入を含み、前記ハエが生後の成体ステージにおいて遅発性神経変性の表現型を示すという事実により特徴づけられる、前記変異体ハエ。
  11. 生後の成体ステージにおける遅発性神経変性の表現型が、生後20〜30日を含む生涯の期間内における明暗条件の交互周期における自発運動活性の周期性の喪失であるという事実により特徴づけられる、請求項10に記載の変異体ハエ。
  12. キイロショウジョウバエであるという事実により特徴づけられる、請求項7および10のいずれか一項に記載の変異体ハエ。
  13. 遅発性神経変性プロセスの処置、予防または治療的増強のための候補化合物を評価するための方法であって、
    − 前記候補化合物を、請求項1の方法の工程(iv)により同定された変異体ハエに、経口経路により投与すること、および
    − 前の工程の前記変異体ハエの表現型における変化を、前記候補化合物を投与していない同じ変異を保有するハエの表現型と比較すること、
    ここで、試験される表現型は、生後20〜30日を含む成体期の中間ステージで、明暗条件の交互周期における自発運動活性の周期性である
    を含むという事実により特徴づけられる、前記方法。
  14. 候補化合物が投与されたハエの、生後20〜30日を含む成体期の中間ステージで、明暗条件の交互周期における自発運動活性の周期性を回復させる化合物を選択することをさらに含むという事実により特徴づけられる、請求項13に記載の方法。
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