JP2012254222A - サーモグラフィによるヒトの動的顔面温度変化測定のための装置及び測定方法並びにこれに使用する較正器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のサーモグラフィによるヒトの動的顔面温度変化測定のための装置は、赤外線カメラ(1)と、熱伝導率の高い金属板又は金属箔(101)の片面の少なくとも一部領域に黒体被覆(102)を施して成る較正器(10)と、前記赤外線カメラから出力される熱画像データをディジタル変換する変換器(2)と、前記変換器からのデータに基づき所定のプログラムにそって被験者の顔面等の温度を算出するコンピュータ(3)とを備え、前記コンピュータ(3)は、前記赤外線カメラ(1)により撮影された前記較正器の黒体被覆(102)部分の撮影データに基づいて、被験者の顔面等の温度を算出する際の較正を行うようにプログラムされていることを特徴とする。前記赤外線カメラの連写の時間間隔は、好適には、100分の1秒以上、1秒以下に設定される。
【選択図】図1
Description
近年サーモグラフィは広く普及し、サーモグラフィを使用してヒトの体温等を測定する方法も多く見られるようになってきた。然しながら、サーモグラフィによってヒトの動的な顔面温度変化を迅速かつ正確に捉えるには、技術的に困難な問題があった。即ち、サーモグラフィによって記録される放射熱を温度に換算するためには、被験者の周囲温度の影響を考慮する必要があり、特にヒトの顔面温度のような僅かな温度変化を測定する場合には、放射熱に影響する周辺温度の測定が重要になる。特に、被験者の顔面の温度変化を短い時間間隔で連続的に測定するためには、被験者周辺の温度を同時に測定しながら、随時補正をする必要がある。
然しながら、実際にはカメラから離れた所の被験者の周囲温度を常時考慮しつつ温度に換算することは容易ではない。また、赤外線カメラ自体も固有の温度特性を持っており、温度変化に影響する。また、ヒトの体温は生体機能を維持するために、特定の状態を除くと概ね一定に制御されているが、体表面放射熱に関しては周囲の温度変化に影響され易く、皮膚内血管の状態によっても変化する。
短時間間隔で多数回連写し得る赤外線カメラと、
熱伝導率の高い金属板又は金属箔の片面の少なくとも一部領域に黒体被覆を施して成り、前記赤外線カメラにより被験者の顔面又は毛髪のない頭部と共に撮影し得る位置に配置される較正器と、
前記赤外線カメラで撮影され出力される熱画像データをディジタル変換する変換器と、
前記変換器からのデータに基づき所定のプログラムにそって被験者の顔面又は毛髪のない頭部の温度を算出するコンピュータと、
前記コンピュータの出力データを記録表示するプリンタ及びディスプレイ装置と、を備え、 前記コンピュータは、前記赤外線カメラにより撮影された前記較正器の黒体被覆部分の撮影データに基づいて、被験者の顔面又は毛髪のない頭部の温度を算出する際の較正を行うようにプログラムされていることを特徴とする。
前記ヒトの動的顔面温度変化測定のための装置の一つの望ましい実施例においては、更に心拍計又は心電計(本願において単に「心拍計」というときは「心電計」を含むものとする。)が備えられ、当該心拍計は前記コンピュータに接続され、前記コンピュータの出力データには前記心拍計の出力データも含まれることを特徴とする。
前記撮影間隔を100分の1秒以上、1秒以下とした理由は、計算結果を転送するための時間を必要とするからであり、また、実際的に100分の1秒未満とする必要性は乏しく、更にまた、1秒を超えると、短時間で変化する顔面の温度変化を捉え損なう場合があるためである。
また、前記較正器の金属板又は金属箔は、中央部がヒトの顔面サイズの空洞となった額縁状フレームとして形成することが推奨される。
熱伝導率の高い金属板又は金属箔の片面の少なくとも一部領域に黒体被覆を施して成る較正器を、被験者の顔面又は毛髪のない頭部の近傍に配置するステップと、
赤外線カメラにより、被験者の顔面又は毛髪のない頭部を前記較正器と共に、短時間間隔で多数回連写するステップと、
前記赤外線カメラにより撮影された前記較正器の黒体被覆部分の撮影データに基づいて、コンピュータにより前記被験者の顔面又は毛髪のない頭部の撮影データからその温度を算出する際の較正を行うステップと、
を実行することを特徴とする。
前記金属板又は金属箔の材質としては、最も好適には銅が用いられるが、それ以外にも、アルミニウム、銀が利用でき、その他各種の金属、合金も利用できること、また、前記金属板又は金属箔は、その中央部がヒトの顔面サイズに適した空洞となった額縁状フレームとして形成することが推奨されることは、前記と同様である。
また、前記較正器は、その金属板又は金属箔の片面の少なくとも一部領域に熱吸収率の高い黒体被覆を施したことにより、黒体の一定の放射率で赤外線量を較正すると共に、当該黒体被覆領域が迅速に周囲温度と同一温度となり、その温度を、熱伝導率の高い金属板又は金属箔の裏側に設けた温度ゲージにより速やかに測定し、同時に測定された実際の温度値を知ることができるものである。周囲温度変化を予め較正可能なため、以後は同時に温度ゲージ電圧を測定しなくても補正が可能となる。このように、前記赤外線カメラにより撮影された較正器の前記黒体被覆部分の撮影データに基づき、被験者の顔面等の撮影データからその温度を算出する際の較正を行うように構成したものであるから、被験者の顔面等の周辺温度の変化による影響を受けることなく、顔面等の僅かな温度変化を正確、迅速かつ連続的に測定し得るものである。
上記の場合において、心拍計(又は心電計)を併用し、被験者の顔面等の動的温度変化と共に、心拍数のデータ(又は心電データ)を直接若しくは適宜編集を加えて表示することにより、被験者の精神的変化等を一層的確に判断可能となる。
前記赤外線カメラの撮影間隔を100分の1秒以上、1秒以下とした理由は、前記の如く、計算結果を転送するための時間を必要とするからであり、また、実際的に100分の1秒未満とする必要性は乏しく、更にまた、1秒を超えると、短時間で変化する顔面の温度変化を捉えきれない場合があるためである。
心拍計6(又は心電計6)は、被験者の心拍数(又は心電データ)を測定し、その出力データはコンピュータ3に入力され、心拍数(又は心電データ)の変化は直接又は適宜編集されて被験者の顔面等の温度変化と共に、ディスプレイ装置4及びプリンタ5により表示されるようになっている。
前記熱伝導率の高い金属板又は金属箔の材質としては、銅が最も好適に用いられるが、それ以外にも、アルミニウム、銀が利用でき、その他各種の熱伝導率の高い金属、合金も利用できることは前記の通りである。
また、前記金属板又は金属箔は、その中央部がヒトの顔面サイズの空洞となった額縁状フレームとして形成し、その空洞部分から被験者の顔面等を覗かせた状態で赤外線カメラにより連写するようにすることが推奨される。
以下、更に具体的に説明する。
本発明で用い得る一例としてのサーモグラフィ(NEC三栄株式会社製:製品番号TH5104)の温度表示について、製品に付属の温度解析ソフト等で較正を行ったところ、図2のように、周囲温度に影響された複雑な温度指示値を示すと共に、最も日常的に使用される周囲環境温度付近で、測定誤差が大きいことが明らかになった。また、電源投入後約90分間は温度指示値の誤差が大きく、それ以降も0.5℃程度の変動が持続していた。そのため、結果的に当該サーモグラフィを使用した本発明による生体温度の測定は困難に思われた。しかし、コンピュータの高速化を利用して画像処理などで改善できないか検討することとし、赤外線カメラの出力NTSC信号を利用して温度較正をやり直すことから再開した。
撮影データは、最初、動画として保存し、その動画情報を静止画に変換して開発ソフトで画像処理を行うようにした。
〈温度較正〉
狭い部屋に数人の成人が居れば、数分後には周囲温度が上昇するが、カメラ筐体内部にある周囲温度測定用センサーはこれらの変化を測定できない。そこで、本発明においては、別途作成した較正器により周囲温度を検出するようにした。
本発明に係る較正器の第1実施例のものを、例えば、図3に示す較正器7として作製した。
即ち、図示した較正器7は、熱伝導率の高い金属板(又は金属箔。以下、単に金属板という。)71の片面の少なくとも一部領域に黒体被覆72を施すと共に、前記黒体被覆72を施した領域の金属板の裏面に温度ゲージ73を取り付けたものである。黒体被覆72の領域をサーモグラフィで撮影する際に、金属板71から周囲の反射光が入らないようにするために、黒体被覆72の周囲を囲うように紙製等の遮光枠74を取り付けておくことが望ましい。また、金属板71の裏面には接触式ディジタル温度計75も取り付けた。
前記金属板(又は金属箔)71の材質としては、銅、アルミニウム、銀等の熱伝導率の高いものを用いるようにする。本明細書では銅板を用いる例について説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
より具体的には、図示した例の較正器7は、銅板71の前面の一部に黒体塗料(黒艶消しの耐熱塗料、主成分シリコン樹脂:株式会社アサヒペン製)を塗布して黒体被覆72を形成し、その黒体被覆72の部分の銅板71の裏面に温度ゲージ73(株式会社共和電業製:TA−12UA)を貼り付け、ひずみ増幅器(図では省略)を介して銅板71の温度変化を測定するようにしたものである。温度ゲージ73は、較正器7自体の較正のために用いるものであり、ヒトの顔面等の撮影データの取得時には用いる必要はないものである。
尚、図3に図示した較正器7において、銅板71の横幅a=200mm、黒体被覆72の縦及び横の長さb=110mm、遮光枠74の縦及び横の長さc=150mmであるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
この較正器7から200mm離れた位置から温風を当て、較正器7の銅板71全体を暖め、黒体被覆72全体に一様の温度分布を生じさせた。温風と較正器7の距離や暖める時間を変えて温度変化を起こさせた。
温度は、(1)前記温度ゲージ73から得られる電位変化をA/D変換器を介して図1に示すコンピュータ3(ソニー社製、パーソナルコンピュータVAIO−RZ)にサンプリング周波数500Hzで取り込み、(2)接触式ディジタル温度計75(IWATSU−ELECTRIC社製、TD−70)を使用して10秒間隔で銅板71の裏面の温度変化(直読とアナログ電位出力可能)を取り込み、(3)前記赤外線カメラ1によっても同時に銅板71上の黒体被覆72部分を撮影、記録した。温度ゲージ73の出力データに基づき較正器7自体の較正後、この較正器7を、被験者の近傍に置いて周囲温度モニター装置として使用することとした。
図4に、較正器7の銅板71の裏面に貼られた温度ゲージ73からの電位変化と接触式ディジタル温度計75の温度表示の関係を示す。図のように温度と出力電位が一定の関係を示している。図中の直線は回帰直線を示すが、この直線を放射熱換算に利用した。
図3に示す如く、半田ゴテ8(HOZAN社製、H−110)の先端部81付近(d=45mm)に前述の黒体塗料を塗布し放射率を一定とした。これを被験者とみなして温度較正を行うために、電圧調整器で電圧を変えて先端部81の黒体塗料部位の温度を24℃〜40℃の範囲で変化させ、同時に先端部を前述の接触型ディジタル温度計とサーモグラフィで記録し、温度較正を行った。
周囲温度が半田ゴテ測定時にどの程度影響を及ぼすのかを調べるため、エアコン付きの小部屋(44m2)にて、周囲温度を20℃、24℃、28℃の室温に調節し、図3に示すように、架台9により半田ゴテ8との距離e=200mmに設置した較正器7で周囲温度を測定した。このときの半田ゴテ先端部81の温度と平均RGB値の関係を図6のグラフに示す。
上記温度較正のために、図5に示すように、サーモグラフィの赤外線カメラ1で前記半田ゴテ8の先端部81の黒体塗料部と較正器7の銅板71の黒体被覆72の部分とを同時に撮影し、その出力NTSC信号(白黒画像)を、前記パーソナルコンピュータ3にインストールした録画ソフト(例えば、ソニー社「GigaPocket(商品名)」)でMPEG2形式にして保存した後、静止画像に変換し、「Visual C++」による開発ソフトで画素毎の数値に分解し、サーモグラフィが独自に、その筐体内のセンサーでの温度較正を行ったグレイスケールバーによる濃淡情報を参照して放射熱量に換算した。この時、R値(またはG値、B値)のみによる換算により、それらR、G、B3色の平均値を使用することによって、色成分の特性が良い線形が得られたため、「画素毎の平均RGB値」とした。
サーモグラフィの性能は、焦点距離30cmから無限大まで、走査角縦21.5°、横21.5°、温度は256階調、温度分解能は0.3〜2℃、毎秒22フレームで撮影となっている。
尚、上記換算等の処理を行うためのコンピュータプログラムとしては、市販のプログラム(例えば、デジモ社:Hyper Image II)を利用することも可能である。
本例において、被験者の顔面温度変化を測定する場合は、被験者の顔面が赤外線カメラの画面にできるだけ大きく撮影されるように、赤外線カメラ1から被験者までの距離は1mとし、被験者の測定顔面温度範囲を24℃〜40℃とし、被験者の姿勢は安静座位状態で、若干動揺が生じるが、測定対象画面外にならないよう配慮する。サーモグラフィの外部出力はNTSC信号なので、毎秒30フレームで画像処理をすることを目標とした。
前記較正器7から1m離れた所に置かれたサーモグラフィで、較正器7の黒体被覆72の部位の温度変化を記録し、指示値(℃)を物体温度変化としてステファン・ボルツマンの式に代入し、一方での単位面積当たりの物体の温度とで、単位面積当たりの放射熱量との関係を求めた。
Q1=σ(T0 4−Ta 4)
Q1:単位面積(m2)からの放射熱量(W/m2)
σ:ステファン・ボルツマンの定数
5.67×10−8(W/m2・K4)
T1:物体表面の絶対温度(K)
Ta:物体から離れた大気温度(℃)
(2)自然対流伝達熱量
Q2=Hm(t0−ta)
Q2:単位面積(m2)から放出される熱量(W/m2)
(3)平均自然対流熱伝達率
Hm=1.173×(t0−ta)−1/3
Hm:平均自然対流熱伝達率(W/m2・℃)
t0:物体表面の温度(℃)
ta:物体から離れた大気温度(℃)
(4)全体の放射熱量
Q=Q1+Q2
Q:全体の放射熱量(W/m2)
被験者(顔面の温度変化測定を行う者)の温度較正のため、初め、恒温槽内の水と流動パラフィンで試行した。温度較正は大変良い線形特性が得られたが、温度制御が困難であること、水蒸気が発生して赤外線カメラへの悪影響があり得ること、などの問題が生じ、測定対象を半田ゴテに変更した。
図6に「サーモグラフィの温度情報を平均RGB値に分解したもの」と接触型ディジタル温度計により測定された「半田ゴテ先端部分の放射熱量」との関係を示す。図6(a)は室内温度20℃一定時、(b)24℃一定時、(c)28℃一定時の各分布図に対し、回帰曲線は、(a)相関係数0.977、精度±7.446(W/m2)、
(b)相関係数0.9819、精度±7.446(W/m2)、
(c)相関係数0.971、精度±5.007(W/m2)だった。
周囲温度の変化は一様ではなく、環境によって複雑な温度変化をすることがあるが、周囲温度変化によって対象物体から得られる温度情報にも変化が生じてしまう。しかし、実際に全ての温度変化に対する較正は極めて効率が悪いので、図6の結果から、周囲温度20℃、24℃、28℃の各放射熱量はそれぞれの回帰直線の勾配が平行に近い傾きを示しているので、20〜28℃の範囲内で、任意の周囲温度の補正を可能にするために、補間法により全ての周囲温度で温度較正をすることを試みた。
図7において、(a)周囲温度20℃、(b)周囲温度24℃、(c)周囲温度28℃
の周囲温度を基に、(a)と(b)の間に周囲温度22℃、(b)と(c)の間に周囲温度26℃の温度較正図を推測した結果を示している。
この補間法によって推測された較正図の精度を確認するため、実際の周囲温度から測定された分布図と推測された分布図を比較した。その結果、周囲温度22℃では±4.965(W/m2)、周囲温度26℃では±6.236(W/m2)の許容誤差であった。
この結果から補間法を用いることにより周囲温度が20℃〜28℃の間であれば、その間で生じる任意の温度を推測することが可能となる。
〈ヒトの顔面温度測定〉
本測定システムを使用し、ヒトの顔面温度を測定した。
被験者の同意を得た上で、被験者が安静座位の状態で姿勢を正している60秒間についてサーモグラフィで記録し、その後一度深呼吸して随意的に30秒間呼吸を停止するよう指示した。その後の回復過程を含めて300秒間測定した。時間経過は予め伝えておいたが、被験者の意欲を引き起こすために10秒前からカウントダウンを読み、事前に呼吸を停止する準備をしてもらった。これらの顔面温度を測定するため、被験者顔面の高さに赤外線カメラを合わせ、顔面の額(ひたい)部から直線距離で1mの位置に赤外線カメラを固定した。顔面撮影のため、被験者には頭髪が額部分にかからないようにした。周囲温度測定のための前記較正器7は被験者から0.5mの位置に配置し、リアルタイムで周囲温度の変化をパーソナルコンピュータに取り込んだ。
本例で作成した赤外線測定システムと、NEC三栄株式会社が開発したTH5107リモートプログラム(サーモグラフィ付属品)とで比較を行った。
尚、心拍計(又は心電計)6による被験者の心拍数(又は心電データ)の測定データも同時に採用する場合には、当該測定データをコンピュータ3に入力し、被験者の顔面等の温度変化と共に、ディスプレイ装置4及びプリンタ5により出力、表示するようにする。
この温度較正グラフを使用して、室内温度が19℃〜37℃の範囲で変化した場合、精度(偏差の最大値)±0.580℃で温度ゲージから得られる電圧を周囲温度に換算することができた。(但し、この較正器7を使用して周囲温度を測定する時は、実験開始前に周囲温度に15分間以上馴染ませる必要があった。)
図8は、周囲温度測定システムにより、一例として、10秒毎に加算平均をした温度ゲージからの電気信号を使って温度情報に換算した値であるが、5分程度の短時間の実験であるため、周囲温度の変化は全く見られない。
図9に、本発明に係る較正器の第2実施例を示す。図9では、較正器10の正面図が中央に描かれ、その下部にA−A線に沿った断面図、左側にB−B線に沿った断面図が描かれている。
この較正器10は、図3に示す前記較正器7と同様に、熱伝導率の高い銅板等の金属板(又は金属箔)101の片面の少なくとも一部領域に黒体被覆102を施すと共に、当該黒体被覆102を施した領域の金属板の裏面に温度ゲージ103を取り付けたものである。
前記較正器7との主な相違点は、前記金属板101の中央部をヒトの顔面サイズの空洞104とし、金属板101全体を額縁状フレームに形成したことである。この中央の空洞104の部分に被験者の顔面(又は毛髪のない頭部)が入るように構成されている。図示した例では、空洞104の下辺部分の金属板101の表面に黒体被覆102が形成されているが、黒体被覆102の配置や面積は、図示した例に限定されるものではない。
この較正器10は机上据置型であり、椅子に腰掛けた被験者がその顔面又は頭部を較正器10の中央の空洞部分から赤外線カメラへ向けて覗かせることにより、撮影と周囲温度変化の測定を正確、迅速かつ容易に行い得るようにしたものである。
この較正器10の各部分の寸法は、例えば、f=300mm、g=240mm、h=400mm、i=300mmとされるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
尚、前記金属板(又は金属箔)101の材質としては、前記第1実施例と同様に、銅、アルミニウム、銀等の熱伝導率の高いものを用いるようにし、黒体被覆102も、例えば黒体塗料(黒艶消しの耐熱塗料、主成分シリコン樹脂:株式会社アサヒペン製)を塗布して形成でき、裏面の温度ゲージ103としても第1実施例と同様のものを用い得るが、必ずしもそれらに限定されるものではない。この較正器10を用いて行う較正の方法は、前記較正器7の場合と同様である。
2 変換器
3 コンピュータ
4 ディスプレイ装置
5 プリンタ
6 心拍計(又は心電計)
7 較正器
71 金属板
72 黒体被覆
73 温度ゲージ
74 遮光枠
75 接触式ディジタル温度計
8 半田ゴテ
9 架台
10 較正器
101 金属板
102 黒体被覆
103 温度ゲージ
104 空洞
T サーモグラフィ
Claims (10)
- 短時間間隔で多数回連写し得る赤外線カメラと、
熱伝導率の高い金属板又は金属箔の片面の少なくとも一部領域に黒体被覆を施して成り、前記赤外線カメラにより被験者の顔面又は毛髪のない頭部と共に撮影し得る位置に配置される較正器と、
前記赤外線カメラで撮影され出力される熱画像データをディジタル変換する変換器と、
前記変換器からのデータに基づき所定のプログラムにそって被験者の顔面又は毛髪のない頭部の温度を算出するコンピュータと、
前記コンピュータの出力データを記録表示するプリンタ及びディスプレイ装置と、を備え、 前記コンピュータは、前記赤外線カメラにより撮影された前記較正器の黒体被覆部分の撮影データに基づいて、被験者の顔面又は毛髪のない頭部の温度を算出する際の較正を行うようにプログラムされていることを特徴とする、サーモグラフィによるヒトの動的顔面温度変化測定のための装置。 - 更に心拍計を備え、当該心拍計は前記コンピュータに接続され、前記コンピュータの出力データには前記心拍計の出力データも含まれることを特徴とする、請求項1に記載のサーモグラフィによるヒトの動的顔面温度変化測定のための装置。
- 前記赤外線カメラの連写の時間間隔が100分の1秒以上、1秒以下である、請求項1又は2に記載のサーモグラフィによるヒトの動的顔面温度変化測定のための装置。
- 前記較正器の金属板又は金属箔の材質が、銅、アルミニウム又は銀のいずれかである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のサーモグラフィによるヒトの動的顔面温度変化測定のための装置。
- 前記較正器の金属板又は金属箔を、中央部が空洞となった額縁状フレームとして形成したことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のサーモグラフィによるヒトの動的顔面温度変化測定のための装置。
- 前記較正器が、前記黒体被覆を施した領域の金属板又は金属箔の裏面に温度ゲージを取り付けて成り、当該温度ゲージの出力データに基づき前記較正器自体の較正を行い得るよう構成されたことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のサーモグラフィによるヒトの動的顔面温度変化測定のための装置。
- 熱伝導率の高い金属板又は金属箔の片面の少なくとも一部領域に黒体被覆を施して成る較正器を、被験者の顔面又は毛髪のない頭部の近傍に配置するステップと、
赤外線カメラにより、被験者の顔面又は毛髪のない頭部を前記較正器と共に、短時間間隔で多数回連写するステップと、
前記赤外線カメラにより撮影された前記較正器の黒体被覆部分の撮影データに基づいて、コンピュータにより前記被験者の顔面又は毛髪のない頭部の撮影データからその温度を算出する際の較正を行うステップと、
を実行することを特徴とする、サーモグラフィによるヒトの動的顔面温度変化測定のための方法。 - 熱伝導率の高い金属板又は金属箔の片面の少なくとも一部領域に黒体被覆を施したことを特徴とする、サーモグラフィによる温度変化測定のための較正器。
- 前記金属板又は金属箔の材質が、銅、アルミニウム又は銀のいずれかである、請求項8に記載の較正器。
- 前記金属板又は金属箔を、中央部が空洞となった額縁状フレームとして形成したことを特徴とする、請求項8又は9に記載の較正器。
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