JP2012251864A - 電流検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電流検出装置において、バスバーの温度を検出する温度センサがバスバーに接触して摩耗することを回避しつつ、バスバーの温度を速やかに検出できること。
【解決手段】電流検出装置1は、電流検出用バスバー30が貫通する状態で磁性体コア10とホール素子20と温度センサ9とを一定の位置関係で支持しつつ収容する絶縁筐体40を備える。絶縁筐体40の内側には、温度センサ9を4方向において取り囲むセンサ囲い部420が形成されている。センサ囲い部420における温度センサ9に対向する内側面には、絶縁筐体40の材料よりも熱反射率の高い材料で構成された熱反射被覆421が形成されている。センサ囲い部420における2方向の開口の内の一方は、温度センサ9の信号端子が固定された電子基板50により塞がれている。電子基板50におけるセンサ囲い部420の開口に対向する部分の表面にも、熱反射被覆53が形成されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、磁性体コアの中空部を貫通するバスバーに流れる電流を検出する電流検出装置に関する。
ハイブリッド自動車又は電気自動車などの電導車両には、バッテリに接続されたバスバーに流れる電流を検出する電流検出装置が搭載されることが多い。また、そのような電流検出装置としては、磁気比例方式の電流検出装置又は磁気平衡方式の電流検出装置が採用される場合がある。
磁気比例方式又は磁気平衡方式の電流検出装置は、例えば、特許文献1に示されるように、磁性体コアと磁電変換素子(磁気感応素子)とを備える。磁性体コアは、両端がギャップ部を介して対向し、バスバーが貫通する中空部の周囲を囲んで一連に形成された概ねリング状の磁性体である。
また、磁電変換素子は、磁性体コアのギャップ部に配置され、中空部を貫通して配置されたバスバーを流れる電流に応じて変化する磁束を検出し、磁束の検出信号を電気信号として出力する素子である。磁電変換素子としては、通常、ホール素子が採用される。
特許文献1に示されるように、電流検出装置においては、磁性体コア及び磁電変換素子は、絶縁性の筐体によって一定の位置関係に支持されることが多い。この筐体は、電流検出装置を構成する複数の部品を一定の位置関係に位置決めする。なお、筐体は、一般に、絶縁性の樹脂部材により構成されている。
ところで、電気自動車及びハイブリッド自動車などの電動車両においては、大きな電流がバスバーに流れる。そのため、バスバーの温度を測定し、バスバーが過剰に発熱する異常を速やかに検知し、バスバーの過剰発熱による各種の弊害を未然に防止することが必要である。特許文献2−4には、温度センサを備えた電流検出装置が示されている。
特開2009−128116号公報 特開2009−42003号公報 特開2009−156803号公報 特開2009−216456号公報
温度検出の反応を速めるためには、温度センサをバスバーに接触させることが有効である。しかしながら、温度センサは、バスバーに接触する状態で固定されると、車両の振動によりバスバーと擦れて摩耗し、破損しやすい。
一方、温度センサの摩耗の防止のため、特許文献2−4に示されるように、温度センサがバスバーから離れて固定されると、温度検出の反応が遅延し、バスバーの過剰発熱を速やかに検知できない。
本発明は、車載用の電流検出装置において、バスバーの温度を検出する温度センサがバスバーに接触して摩耗することを回避しつつ、バスバーの温度を速やかに検出できることを目的とする。
本発明に係る電流検出装置は、以下に示される各構成要素を備える。
(1)第1の構成要素は、両端がギャップ部を介して対向し、電流が流れるバスバーが貫通する中空部の周囲を囲んで一連に形成された磁性体コアである。
(2)第2の構成要素は、磁性体コアの前記ギャップ部に配置され、バスバーに流れる電流に応じて変化する磁束を検出する磁電変換素子である。
(3)第3の構成要素は、バスバーに対して隙間を隔てて配置される温度センサである。
(4)第4の構成要素は、絶縁体からなり、バスバーが貫通する状態で磁性体コアと磁電変換素子と温度センサとを一定の位置関係で支持しつつ収容するとともに、温度センサをバスバー側の第1の方向と温度センサにおける信号端子が形成されている側の第2の方向とを除く残りの方向において取り囲む囲い部が内側に形成された絶縁筐体である。
(5)第5の構成要素は、絶縁筐体の囲い部における温度センサに対向する内側面に形成され、絶縁筐体の材料よりも熱反射率の高い材料で構成された熱反射被覆である。
また、本発明に係る電流検出装置が、電子基板をさらに備えることも考えられる。この電子基板は、絶縁筐体により絶縁筐体の内側に支持されるとともに温度センサの信号端子が固定され、囲い部の第2の方向の開口に対向する部分がその開口を塞ぐ。
また、本発明に係る電流検出装置において、熱反射被覆が、電子基板における囲い部の第2の方向の開口に対向する部分の表面にも、温度センサの信号端子と電気的に絶縁された状態で形成されていることが考えられる。
また、本発明に係る電流検出装置において、熱反射被覆が、接着剤により接着された金属シート、又は金属メッキであることが考えられる。
本発明において、絶縁筐体の内側に形成された囲い部は、温度センサを、バスバー側の第1の方向と温度センサにおける信号端子が形成されている側の第2の方向とを除く残りの方向において取り囲む。そのため、バスバーに接触して加熱された空気は、温度センサが配置された囲い部の内側に留まりやすい。その結果、バスバーにおける温度センサが対向する部分が発する熱は、空気を媒体として効率的に温度センサに伝わる。
さらに、囲い部における温度センサに対向する内側面には、熱反射率の高い材料で構成された熱反射被覆が形成されている。そのため、バスバーにおける温度センサが対向する部分が発する輻射熱は、熱反射被覆で反射しつつ、囲い部の内側に配置された温度センサに対して効率的に伝わる。
従って、本発明によれば、温度センサは、バスバーの温度を遅滞なく速やかに検出することができる。また、本発明において、温度センサは、バスバーに対して隙間を隔てて配置されているため、温度センサがバスバーに接触して摩耗することはない。
また、本発明において、温度センサの信号端子が固定された電子基板が、囲い部における2方向の開口のうちの一方を塞げば、バスバーに接触して加熱された空気は、温度センサが配置された囲い部の内側により留まりやすくなる。その結果、バスバーが発する熱が、温度センサに対してより効率的に伝わり、温度センサは、バスバーの温度をより速やかに検出することができる。
また、本発明において、熱反射被覆が、電子基板における囲い部の開口に対向する部分の表面にも形成されていれば、バスバーが発する輻射熱は、囲い部の内側に配置された温度センサに対してより効率的に伝わる。その結果、温度センサは、バスバーの温度をより速やかに検出することができる。
また、熱反射被覆が、接着剤により接着された金属シートであれば、熱反射率が特に高い金属材料からなる既存の金属シートを熱反射被覆として採用することができる。また、熱反射被覆が金属メッキであれば、熱反射被覆を形成する工程を、一般的なメッキ工程により容易に実現できる。
本発明の実施形態に係る電流検出装置1の分解斜視図である。 電流検出装置1が備える電流検出用バスバーの三面図である。 電流検出装置1において絶縁筐体を構成する本体ケースの正面図である。 電流検出装置1の平面図である。 電流検出装置1の電流通過方向から見た断面図である。 電流検出装置1の電流通過方向に直交する方向から見た断面図である。 電流検出装置1の絶縁筐体の一部を形成するセンサ囲い部の斜視図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
以下、図1〜図6を参照しつつ、本発明の実施形態に係る電流検出装置1の構成について説明する。電流検出装置1は、電気自動車又はハイブリッド自動車などの車両において、バッテリとモータなどの機器とを電気的に接続するバスバーに流れる電流を検出する装置である。図1に示されるように、電流検出装置1は、磁性体コア10、ホール素子20、電流検出用バスバー30、温度センサ9、絶縁筐体40及び電子基板50を備える。さらに、絶縁筐体40の内側の一部及び電子基板50の一部には、熱反射被覆421,53が形成されている。
<磁性体コア>
磁性体コア10は、フェライト又はケイ素鋼などからなる磁性体であり、両端が数ミリメートル程度のギャップ部12を介して対向し、中空部11の周囲を囲んで一連に形成された形状を有している。即ち、磁性体コア10は、狭いギャップ部12と併せて環状に形成されている。本実施形態における磁性体コア10は、ギャップ部12と併せて円形状の中空部11を囲む円環状に形成されている。
<ホール素子(磁電変換素子)>
ホール素子20は、磁性体コア10のギャップ部12に配置される磁電変換素子の一例である。ギャップ部12に配置されたホール素子20は、磁性体コア10の中空部11を通過する電流に応じて変化する磁束を検出し、磁束の検出信号を電気信号として出力する。このホール素子20には、電力の入力用及び検出信号の出力用の接続端子21が伸び出て形成されている。
ホール素子20は、予め定められた検出中心点が、磁性体コア10のギャップ部12の中心点に位置し、かつ、その表裏の面がギャップ部12に形成される磁束の方向に対して直交するように配置される。ホール素子20は、その検出中心点が、磁性体コア10における対向する両端部の投影面の中心を結ぶ線上に位置する状態が、理想の配置状態である。
<温度センサ>
温度センサ9は、例えばサーミスタなどであり、電流検出用バスバー30の温度を検出するセンサである。温度センサ9は、その信号端子91の部分において電子基板50に固定され、電子基板50から起立した状態で、電流検出用バスバー30に対して1ミリメートルから数ミリメートル程度のわずかな隙間を隔てて配置される。
<電子基板>
電子基板50は、ホール素子20及び温度センサ9が実装されたプリント回路基板である。ホール素子20は、その接続端子21の部分において電子基板50に固定され、温度センサ9は、その信号端子91の部分において電子基板50に固定されている。また、電子基板50には、ホール素子20から出力される磁束の検出信号に対して増幅などの処理を施す回路と、温度センサ9に電力を供給する導体のパターンと、コネクタ51とが実装されている。
コネクタ51は、不図示の電線に設けられた相手側コネクタが接続される部品である。さらに、電子基板50には、ホール素子20の接続端子21とコネクタ51の端子とを電気的に接続する回路、及び温度センサ9の信号端子91とコネクタ51の端子とを電気的に接続する回路が設けられている。
例えば、電子基板50には、外部から電線及びコネクタ51を介して入力される電力をホール素子20の接続端子21及び温度センサ9の信号端子91へ供給する回路、及び、ホール素子20の検出信号を増幅し、増幅後の信号をコネクタ51の端子に出力する回路などが設けられている。これにより、電流検出装置1は、コネクタ51に接続されたコネクタ付き電線を通じて、電流検出信号を電子制御ユニットなどの外部の回路へ出力することができる。
<電流検出用バスバー>
電流検出用バスバー30は、銅などの金属からなる導体の部材であり、バッテリと伝送機器とを電気的に接続するバスバーの一部である。即ち、電流検出用バスバー30には、検出対象の電流が流れる。この電流検出用バスバー30は、磁性体コア10の中空部11に通される電流伝送媒体の一例である。
また、電流検出用バスバー30は、バッテリに対して予め接続されたバッテリ側のバスバーと、伝送機器に対して予め接続された機器側のバスバーとは独立した部材である。そして、電流検出用バスバー30は、その両端が予め敷設された他のバスバー(バッテリ側のバスバー及び機器側のバスバー)に対して接続される。
なお、電流検出用バスバー30の三面図である図2において、図2(a)は平面図、図2(b)は側面図、図2(c)は正面図である。
図1及び図2に示されるように、電流検出用バスバー30は、磁性体コア10の中空部11を貫通する棒状の導体の両端部分に加工が施された部材からなる。電流検出用バスバー30において、加工された両端部分は、電流伝送経路の前段及び後段各々の接続端と連結される端子部32である。即ち、電流検出用バスバー30は、概ね、中央部分において一定の範囲を占める棒状の貫通部31と、その両側の端部に形成された端子部32とを有する導体からなる部材である。
貫通部31は、磁性体コア10の中空部11を電流通過方向に沿って貫通する部分である。電流通過方向は、磁性体コア10の厚み方向であり、環状の磁性体コア10を筒とみなした場合におけるその筒の軸心方向であり、さらに、環状の磁性体コア10が形成する面に直交する方向でもある。各図において、電流通過方向はX軸方向として記されている。
端子部32は、貫通部31に対して電流通過方向の両側各々に連なり電流伝送経路の前段及び後段各々の接続端と連結される部分である。本実施形態における端子部32は、平板状である。また、電流検出用バスバー30における貫通部31は、例えば、円柱状又は楕円柱状などの棒状に形成されている。各図において、平板状の端子部32の幅方向及び厚み方向は、それぞれY軸方向及びZ軸方向として記されている。
電流検出用バスバー30は、棒状の金属部材の両端における一定範囲の部分が、プレス機などを用いたプレス加工によって平板状に押しつぶされた構造を有する部材である。その際、棒状の金属部材の両端のうちの少なくとも一方は、磁性体コア10の中空部11に棒状の金属部材が挿通された後に、平板状にプレス加工される。
図1及び図2に示される電流検出用バスバー30の元となる金属部材は円柱状の部材であり、円柱状の金属部材の両端の加工により製造される電流検出用バスバー30の貫通部31は円柱状である。
なお、電流検出用バスバー30の元となる金属部材は、断面が楕円の楕円棒状又は断面が矩形の角棒状であることも考えられる。また、元となる棒状の金属部材は、断面が四角形又はその他の多角形である棒状であることも考えられる。但し、電流検出用バスバー30の貫通部31の断面形状は、磁性体コア10の中空部11の輪郭形状と相似な形状であることが望ましい。それにより、磁性体コア10と電流検出用バスバー30との隙間をより狭めることができ、ひいては電流検出装置1をより小型化できる。
電流検出用バスバー30において、平板状の端子部32の幅は、磁性体コア10の中空部11の直径(最大幅)よりも大きく形成されている。そのため、予め製造された電流検出用バスバー30の貫通部31に対して磁性体コア10を装着することはできない。従って、磁性体コア10と、その磁性体コア10の中空部11に貫通した状態の電流検出用バスバー30とのセットが作られた後に、電流検出用バスバー30が前段及び後段の他のバスバーに接続される。そこで、平板状の端子部32には、ネジ止め用の貫通孔32zが形成されており、これにより、平板状の端子部32は、ネジにより前段及び後段の他のバスバーと連結される。
電流検出用バスバー30は、磁性体コア10の中空部11及び後述する絶縁筐体40の貫通孔であるバスバー孔45に通された状態で、絶縁筐体40により支持される。
<絶縁筐体>
絶縁筐体40は、磁性体コア10と電流検出用バスバー30とホール素子20、温度センサ9及びコネクタ51が実装された電子基板50とを一定の位置関係で支持する絶縁材料からなる部材である。即ち、磁性体コア10、電流検出用バスバー30、ホール素子20、温度センサ9及びコネクタ51は、絶縁筐体40によって一定の位置関係で支持される。
また、絶縁筐体40は、磁性体コア10とホール素子20と温度センサ9と電流検出用バスバー30の貫通部31とを収容する。絶縁筐体40は、本体ケース41及び本体ケース41に取り付けられる蓋部材42の2つの部材を含む。
本体ケース41は、開口部を有する箱状に形成され、蓋部材42は、本体ケース41に取り付けられることによって本体ケース41の開口部を塞ぐ。また、本体ケース41及び蓋部材42には、電流検出用バスバー30の両端子部32が内側から外側へ挿入される貫通孔であるバスバー孔45が形成されている。
また、蓋部材42は、磁性体コア10、ホール素子20及び電流検出用バスバー30を支持する本体ケース41に対し、磁性体コア10と、ホール素子20と、コネクタ51を含む電子基板50とを挟み込みつつ、本体ケース41の開口部を塞ぐように取り付けられる。その際、電流検出用バスバー30における他方の端子部32が、蓋部材42のバスバー孔45に対して内側から外側へ通され、電子基板50が本体ケース41と蓋部材42との間に挟み込まれて保持される。
また、電子基板50及び電流検出用バスバー30が、絶縁筐体40によって一定の位置関係で保持されることにより、電子基板50に実装された温度センサ9は、電流検出用バスバー30に近接した位置に保持される。
図4は、本体ケース41及び蓋部材42が組み合わされた状態における電流検出装置1の平面図である。図4に示されるように、本体ケース41及び蓋部材42(絶縁筐体40)は、電流検出用バスバー30の端子部32と、電子基板50のコネクタ51とが外部に露出する状態で、磁性体コア10と、ホール素子20と、電子基板50とを挟み込みつつ、それらを一定の位置関係で支持する。
また、電流通過方向(X軸方向)に直交する平面(Y−Z平面)に沿う方向における磁性体コア10及びホール素子20の絶縁筐体40内での位置は、コア位置決め部43及び素子位置決め部44によって保持される。さらに、磁性体コア10は、本体ケース41及び蓋部材42の間に挟み込まれることによって、電流通過方向(X軸方向)における位置が保持される。同様に、ホール素子20は、それが実装された電子基板50が本体ケース41及び蓋部材42の間に挟み込まれることによって、電流通過方向(X軸方向)における位置が保持される。
また、本体ケース41の側壁の内側面には、基板支持部49が突出して形成されている。この基板支持部49は、電子基板50に形成された欠け部52に嵌り込み、電子基板50を予め定められた位置に保持する。また、電流検出用バスバー30は、本体ケース41、磁性体コア10の中空部11及び蓋部材42を貫通する状態で本体ケース41により支持される。
さらに、本体ケース41及び蓋部材42には、それらを組み合わせ状態で保持するロック機構47,48が設けられている。図1に示されるロック機構47,48は、本体ケース41の側面に突出して形成された爪部47と、蓋部材42の側方に形成された環状の枠部48とを備える。本体ケース41の爪部47が、蓋部材42の枠部48が形成する孔に嵌り込むことにより、本体ケース41及び蓋部材42は、それらが組み合わされた状態で保持される。
以下、図1、図3及び図6を参照しつつ、本体ケース41による磁性体コア10及びホール素子20の支持の構造について説明する。なお、図6は、図4に示される平面図におけるB−B断面の図である。
図1及び図3に示されるように、絶縁筐体40を構成する2つの部材の一方である本体ケース41の内側の面には、電流通過方向(X軸方向)において突出するコア位置決め部43及び素子位置決め部44が形成されている。
コア位置決め部43は、本体ケース41の内側面におけるバスバー孔45の縁部における複数の箇所に分断された状態で突出して形成されている。本実施形態では、2つのコア位置決め部43が、端子部32を通すことが可能なスリット状の隙間の両側の2箇所において対向して形成されている。
コア位置決め部43における電流検出用バスバー30の貫通部31に対向する面である内側面は、電流検出用バスバー30の貫通部31の外周面に沿う形状に形成されている。また、コア位置決め部43における磁性体コア10に対向する面である外側面は、中空部11を形成する磁性体コア10の内周面に沿う形状に形成されている。そして、図6に示されるように、コア位置決め部43は、磁性体コア10の中空部11に挿入されて磁性体コア10を支持するとともに、磁性体コア10と電流検出用バスバー30の貫通部31との間に挟み込まれる状態で磁性体コア10を位置決めする。
また、コア位置決め部43の内側面には、磁性体コア10と電流検出用バスバー30の貫通部31とにより挟み込まれる圧力によって塑性変形する3つ以上の突起部431が形成されている。これら突起部431各々は、電流通過方向(X軸方向)、即ち、電流検出用バスバー30がバスバー孔45を貫通する方向に沿って伸びて形成されている。
また、突起部431は、コア位置決め部43の内側面における3箇所以上において電流検出用バスバー30の貫通部31を挟み込むように形成されている。3つ以上の突起部431が設けられることにより、コア位置決め部43は、突起部431のみによって磁性体コア10を安定的に支持する。
本体ケース41において、磁性体コア10を支持するコア位置決め部43は、電流検出用バスバー30の貫通部31がバスバー孔45に挿入される前の状態、即ち、自然状態においては、磁性体コア10との間に若干の隙間(遊び)が生じる状態で設けられている。そして、コア位置決め部43は、磁性体コア10の中空部11における磁性体コア10と電流検出用バスバー30との間に挿入された状態においては、電流検出用バスバー30から受ける圧力によって外側へ弾性変形し、磁性体コア10の内側の周面に密接する。即ち、電流検出用バスバー30は、コア位置決め部43を磁性体コア10に密接させるためのくさびとして機能する。
以上に示した構造を備えた電流検出装置1において、磁性体コア10及びコア位置決め部43は、車両などの振動を受ける環境において衝突を繰り返すという現象が生じず、振動による摩耗が生じにくいため、耐久性が高い。
また、コア位置決め部43の内側面に樹脂製の突起部431が存在することにより、電流検出用バスバー30、コア位置決め部43及び磁性体コア10の各々の寸法公差が、突起部431の塑性変形の程度によって吸収される。そのため、寸法公差によって磁性体コア10と電流検出用バスバー30との間の隙間にコア位置決め部43を挿入できなくなる事態を回避できる。
一方、素子位置決め部44は、磁性体コア10のギャップ部12に配置されたホール素子20の周囲を取り囲んで一連に形成されている。素子位置決め部44が取り囲む空間は、磁性体コア10のギャップ部12においてホール素子20が嵌め込まれる空間である。即ち、この素子位置決め部44は、その内側の空間にホール素子20が嵌め込まれることにより、ホール素子20をギャップ部12内の予め定められた位置に保持する。
また、本実施の形態において、素子位置決め部44は、複数のコア位置決め部43のうちの一つと一連に形成されている。そのため、コア位置決め部43及び素子位置決め部44の相対的な位置の誤差が小さくなり、磁性体コア10及びホール素子20の相互間の位置決めの精度が高まる。
次に、図1、図5、図6及び図7を参照しつつ、温度センサ9を囲う部分の構造について説明する。なお、図5は、図4に示される平面図におけるA−A断面の図である。また、図5において、A−A断面に現れない電子基板50が仮想線(二点鎖線)により描かれている。
電子基板50が固定されることによって電流検出用バスバー30に近い位置に保持された温度センサ9は、蓋部材42の内側に形成されたセンサ囲い部420と、電子基板50の一部とにより囲まれる。
センサ囲い部420は、蓋部材42の内側の一部分であり、蓋部材42の外装を形成する板状部の一部と、その板状部の一部から内側へ起立して3方向において連なって形成された仕切り壁とにより構成されている。
図5から図7に示されるように、センサ囲い部420は、電子基板50が固定されることによって電流検出用バスバー30に近い位置に保持された温度センサ9を、上下、前後及び左右の全6方向のうちの4方向において取り囲む部分である。より具体的には、センサ囲い部420は、温度センサ9を、全6方向のうち、電流検出用バスバー30側の方向(Z軸の負方向)と、温度センサ9における信号端子91が形成されている側の方向(X軸の負方向)とを除く残りの4方向において取り囲む。従って、センサ囲い部420は、X軸の負方向と、Z軸の負方向とにおいて開口を形成している。
また、温度センサ9における信号端子91が形成されている側の方向(X軸の負方向)におけるセンサ囲い部420の開口は、電子基板50における温度センサ9の信号端子91が固定されている部分及びその周辺部分により塞がれる。従って、温度センサ9は、センサ囲い部420及び電子基板50により、全6方向のうち電流検出用バスバー30側の方向を除く残りの5方向において取り囲まれている。
また、センサ囲い部420の内側面、即ち、温度センサ9に対向する面には、絶縁筐体の材料よりも熱反射率の高い材料で構成された熱反射被覆421が形成されている。さらに、電子基板50におけるセンサ囲い部420の開口に対向する部分の表面にも、同様の熱反射被覆53が形成されている。但し、電子基板50の熱反射被覆53は、温度センサ9の信号端子91と電気的に絶縁された状態、即ち、温度センサ9の信号端子91が半田により固着された部分に対して間隔を隔てた状態で形成されている。
熱反射被覆421,53は、例えば、接着剤により接着された金属シート、又は金属メッキなどである。また、熱反射被覆421,53が金属シートである場合、その金属シートは、高純度のアルミニウムのシートなどであることが考えられる。また、熱反射被覆421,53が金属メッキである場合、その金属メッキは、ニッケル又は錫などの金属のメッキであることが考えられる。金属メッキで構成される熱反射被覆421は、センサ囲い部420の表面全体に形成されていてもよい。
また、電子基板50の表面に形成された銅箔のパターンが、電子基板50の熱反射被覆53として構成されてもよい。また、センサ囲い部420の熱反射被覆421と電子基板50の熱反射被覆53とが、異なる材料で構成されることも考えられる。
また、センサ囲い部420の熱反射被覆421が金属メッキである場合、絶縁筐体40の蓋部材42は、金属メッキが定着しやすい樹脂材料からなるセンサ囲い部420と、金属メッキが定着しない樹脂材料からなるその他の部分とで構成されることが考えられる。この場合、蓋部材42におけるセンサ囲い部420とその他の部分とは、それぞれ異なる樹脂材料の二色成形により形成される。これにより、絶縁筐体40に対して必要な部分にのみ選択的に金属メッキを施すことが容易となる。
<効果>
電流検出装置1において、絶縁筐体40の内側に形成されたセンサ囲い部420は、温度センサ9を、電流検出用バスバー30側の第1の方向と温度センサ9における信号端子91が形成されている側の第2の方向とを除く残りの方向において取り囲む。そのため、電流検出用バスバー30に接触して加熱された空気は、温度センサ9が配置されたセンサ囲い部の内側に留まりやすい。その結果、電流検出用バスバー30における温度センサ9が対向する部分が発する熱は、空気を媒体として効率的に温度センサ9に伝わる。
さらに、センサ囲い部420における温度センサ9に対向する内側面には、熱反射率の高い材料で構成された熱反射被覆421が形成されている。そのため、電流検出用バスバー30における温度センサ9が対向する部分が発する輻射熱は、熱反射被覆421で反射しつつ、センサ囲い部420の内側に配置された温度センサ9に対して効率的に伝わる。
従って、温度センサ9は、電流検出用バスバー30の温度を遅滞なく速やかに検出することができる。また、温度センサ9は、電流検出用バスバー30に対して隙間を隔てて配置されているため、温度センサ9が電流検出用バスバー30に接触して摩耗することはない。
また、電流検出装置1においては、温度センサ9の信号端子91が固定された電子基板50が、センサ囲い部420における2方向の開口のうちの一方を塞ぐ。そのため、電流検出用バスバー30に接触して加熱された空気は、温度センサ9が配置されたセンサ囲い部420の内側により留まりやすくなる。その結果、電流検出用バスバー30が発する熱が、温度センサ9に対してより効率的に伝わり、温度センサ9は、電流検出用バスバー30の温度をより速やかに検出することができる。
また、熱反射被覆53が、電子基板50におけるセンサ囲い部420の開口に対向する部分の表面にも形成されているため、電流検出用バスバー30が発する輻射熱は、センサ囲い部420の内側に配置された温度センサ9に対してより効率的に伝わる。その結果、温度センサ9は、電流検出用バスバー30の温度をより速やかに検出することができる。
また、熱反射被覆421,53が、接着剤により接着された金属シートであれば、熱反射率が特に高い金属材料からなる既存の金属シートを熱反射被覆421,53として採用することができる。また、熱反射被覆421,53が金属メッキであれば、熱反射被覆421,53を形成する工程を、一般的なメッキ工程により容易に実現できる。また、電子基板50の熱反射被覆53が銅箔のパターンであれば、熱反射被覆53を形成する工程を、一般的な配線パターン形成工程により容易に実現できる。
<その他>
以上に示した実施形態においては、温度センサ9は、センサ囲い部420の熱反射被覆421と電子基板50の熱反射被覆53とにより取り囲まれている。しかしながら、電流検出装置1において、電子基板50の熱反射被覆53が省略されることも考えられる。
1 電流検出装置
9 温度センサ
10 磁性体コア
11 磁性体コアの中空部
12 磁性体コアのギャップ部
20 ホール素子
21 接続端子
30 電流検出用バスバー
31 貫通部
32 端子部
32z 貫通孔
40 絶縁筐体
41 本体ケース
42 蓋部材
43 コア位置決め部
44 素子位置決め部
45 バスバー孔
47 爪部(ロック機構)
48 枠部(ロック機構)
49 基板支持部
50 電子基板
51 コネクタ
52 電子基板の欠け部
53,421 熱反射被覆
91 温度センサの信号端子
420 センサ囲い部
431 コア位置決め部の突起部

Claims (5)

  1. 両端がギャップ部を介して対向し、電流が流れるバスバーが貫通する中空部の周囲を囲んで一連に形成された磁性体コアと、
    前記磁性体コアの前記ギャップ部に配置され、前記バスバーに流れる電流に応じて変化する磁束を検出する磁電変換素子と、
    前記バスバーに対して隙間を隔てて配置される温度センサと、
    絶縁体からなり、前記バスバーが貫通する状態で前記磁性体コアと前記磁電変換素子と前記温度センサとを一定の位置関係で支持しつつ収容するとともに、前記温度センサを前記バスバー側の第1の方向と前記温度センサにおける信号端子が形成されている側の第2の方向とを除く残りの方向において取り囲む囲い部が内側に形成された絶縁筐体と、
    前記絶縁筐体の前記囲い部における前記温度センサに対向する内側面に形成され、前記絶縁筐体の材料よりも熱反射率の高い材料で構成された熱反射被覆と、を備えることを特徴とする電流検出装置。
  2. 前記絶縁筐体により前記絶縁筐体の内側に支持されるとともに前記温度センサの前記信号端子が固定され、前記囲い部の前記第2の方向の開口に対向する部分が該開口を塞ぐ電子基板をさらに備える、請求項1に記載の電流検出装置。
  3. 前記熱反射被覆は、前記電子基板における前記囲い部の前記第2の方向の開口に対向する部分の表面にも、前記温度センサの前記信号端子と電気的に絶縁された状態で形成されている、請求項2に記載の電流検出装置。
  4. 前記熱反射被覆は接着剤により接着された金属シートである、請求項1から請求項3のいずれかに記載の電流検出装置。
  5. 前記熱反射被覆は金属メッキである、請求項1から請求項3のいずれかに記載の電流検出装置。
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