JP2012243460A - 導電性フィルム - Google Patents

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JP2012243460A JP2011110415A JP2011110415A JP2012243460A JP 2012243460 A JP2012243460 A JP 2012243460A JP 2011110415 A JP2011110415 A JP 2011110415A JP 2011110415 A JP2011110415 A JP 2011110415A JP 2012243460 A JP2012243460 A JP 2012243460A
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伸枝 宗像
Keita Takehisa
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Abstract

【課題】透明性および導電性に優れるだけでなく、UV透過性および耐光性に同時に優れた導電性フィルムを提供すること。
【解決手段】導電性フィルムにおける透明導電塗膜層として、カチオン性のポリチオフェンとポリアニオンとを含む導電性高分子、水溶性ポリエステル、および特定量の酸化防止剤を構成成分として含む透明度電塗膜層を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性フィルムに関する。更に詳しくは、紫外線(UV)透過性と耐光性とに同時に優れた導電性フィルムに関する。
従来、透明導電性フィルムは、液晶ディスプレイ(LCD)やタッチパネルにおける電極、あるいは電磁波シールド材といった、透明性および導電性が要求される用途において好適に用いられている。かかる透明導電性フィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やトリアセチルセルロース(TAC)等の透明基材フィルムの少なくとも片方の表面に、ドライプロセスもしくはウェットプロセスにより透明導電層を形成することによって得られる。ドライプロセスとは、上記透明基材フィルム上に、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により、酸化インジウム(In)、酸化錫(SnO)、InとSnOとの混合焼結体(ITO)等からなる透明導電層を形成する方法である。一方、ウェットプロセスとは、上記透明基材フィルム上に、導電性高分子や導電性無機粒子を含む液体を、各種コーターを用いて塗布し、透明導電層を形成する方法である。今日においては、導電層自体に柔軟性がある為にクラック等の問題が生じにくく、また製造コストが比較的安く生産性に優れる等の観点から、ウェットプロセスにより得られた透明導電性フィルムがよく用いられている。特に、透明性および導電性に優れるという観点から、特許文献1〜3にあるようなポリチオフェンを含む導電性高分子を用いた透明導電性フィルムがよく用いられている。
また、例えば携帯電話やスマートフォン、ナビゲーションシステム等の移動端末等のように、屋外で用いられ、導電性フィルムが紫外線に晒される状態で使用される用途が多くなってきた。しかしながら、ポリチオフェンを含む導電性高分子は紫外線に弱く、それを用いた導電性フィルムは、紫外線により導電性能が低下してしまう問題がある。そこで、例えば特許文献4には、基材フィルムに紫外線吸収剤を添加することで、紫外線による導電性能の低下を抑制した、すなわち耐光性を向上させた導電性フィルムが開示されている。
特開平1−313521号公報 特開2002−193972号公報 特開2003−286336号公報 特開2006−294533号公報
しかしながら上記特許文献4に開示されている導電性フィルムは、優れた耐光性を有するものであるが、一方で紫外線透過性が低く、例えば導電性フィルムの上に紫外線硬化性樹脂からなる層を形成しようとした場合に、導電性フィルム側から紫外線照射できないという問題がある。
そこで、本発明の目的は、透明性および導電性に優れるだけでなく、基材と導電層との密着性に優れ、紫外線による導電性能の低下を十分に抑制できる、すなわち耐光性に優れると同時に、紫外線透過性の高い導電性フィルムを提供することにある。
また近年、より長期における耐熱性の向上が求められている。これについて、上記特許文献1〜3に開示されている導電性フィルムは、導電層成分が高分子である為に、無機成分であるITOに比べて耐熱性に劣り、高温の環境下に長期に曝されると導電性が大幅に低下してしまうという欠点を有する。上記特許文献4に開示されている導電性フィルムも、高温の環境下に長期に曝されると導電性が低下してしまう場合がある。
そこで、本発明の望ましい目的は、上記目的に加えて、特に長期耐熱性に優れた導電性フィルムを提供することにある。
さらに、上記特許文献1〜3における導電層は、密着性および塗膜強度が低く、加工工程中や製品使用中に導電層が削れたり、剥離したりするという問題がある。
そこで、本発明のもう一つの望ましい目的は、上記目的に加えて、導電層の密着性および塗膜強度に優れた導電性フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、透明導電塗膜層として、カチオン性のポリチオフェンおよびポリアニオンを含む導電性高分子とともに、少なくとも末端または側鎖に水酸基またはカルボキシル基を有する水溶性ポリエステルと、特定量の酸化防止剤とを構成成分として含む塗膜を形成することにより、紫外線透過性と耐光性とに同時に優れた導電性フィルムが得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用するものである。
1.基材フィルムの少なくとも片面に、
(i)下記式(I)で表される繰り返し単位を主成分として含有するカチオン性のポリチオフェンとポリアニオンとを含む導電性高分子(A)、および
(ii)導電性高分子(A)100質量部に対して10質量部以上150質量部以下の、少なくとも末端または側鎖に水酸基またはカルボキシル基を有する水溶性ポリエステル(B)
(iii)導電性高分子(A)100質量部に対して0.1質量部以上40質量部以下の酸化防止剤(C)
を構成成分として含む透明導電塗膜層が積層された導電性フィルム。
Figure 2012243460
(式(I)中、RおよびRは、相互に独立して、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって、任意に置換されていてもよい炭素数1以上12以下のアルキレン基を表す。)
また本発明は、好ましい態様として以下の構成を採用するものである。
2.放射照度550W/mのキセノンランプを用いて48時間紫外線照射した前後の表面抵抗値変化率が300%以下である上記1に記載の導電性フィルム。
3.水溶性ポリエステル(B)の含有量が、導電性高分子(A)100質量部に対して80質量部を超え150質量部以下である上記1または2に記載の導電性フィルム。
4.透明導電塗膜層が、さらに
(iv)水溶性ポリエステル(B)100質量部に対して4質量部以上10質量部以下の、エポキシシクロ炭化水素基を有するシラン化合物(D)
を構成成分として含む上記1〜3のいずれか1に記載の導電性フィルム。
5.透明導電塗膜層の表面に、金属アルコキシドおよび金属アセトキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種の反応生成物からなるオーバーコート層を設けた上記1〜4のいずれか1に記載の導電性フィルム。
本発明によれば、紫外線透過性と耐光性の双方に優れた導電性フィルムを提供することができる。さらに、本発明の導電性フィルムは、導電性高分子を用いつつも、ITOを積層した導電性フィルムと同等の優れた導電性を有し、かつ透明性にも優れる。また密着性にも優れる。従って、本発明の導電性フィルムは、液晶ディスプレイ、タッチパネル、有機エレクトロルミネッセンス素子、無機エレクトロルミネッセンスランプ、電子ペーパー等の透明電極等として好適に使用することができ、とりわけ、耐光性が重要な分野において極めて有益である。
<導電性フィルム>
本発明の導電性フィルムは、後述する基材フィルムの少なくも片面に、後述する透明導電塗膜層が積層された導電性フィルムである。
本発明の導電性フィルムは、基材フィルムと透明導電塗膜層とを含む態様であれば、その他の層については特に限定されるものではない。その他の層を含む場合としては、例えば、密着性等を向上する目的で、基材フィルムと透明導電塗膜層との間にアンカーコート層等を有する場合、あるいは、表面を保護する等の目的で、透明導電塗膜層の上にオーバーコート層を有する場合等が挙げられる。また、透明導電塗膜層が基材フィルムの片面に設けられている場合は、その残りの片面には、必要に応じて粘着層、アンカーコート層、ハードコート層等の層を設けることもできる。
以下に、本発明の導電性フィルムの各構成成分、および特性について説明する。
<透明導電塗膜層>
本発明における透明導電塗膜層は、カチオン性のポリチオフェンとポリアニオンとを含む導電性高分子(A)、および少なくとも末端または側鎖に水酸基またはカルボキシル基を有する水溶性ポリエステル(B)、酸化防止剤(C)を必須構成成分として含有する。以下、透明導電塗膜層の各構成成分について説明する。
(導電性高分子(A))
本発明における透明導電塗膜層の必須構成成分である導電性高分子(A)(以下、成分(A)と呼称する場合がある。)は、カチオン性のポリチオフェンとポリアニオンとを必須構成成分として含むものである。本発明に用いられる導電性高分子の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアニオンの水溶液中において、カチオン性のポリチオフェンのモノマーとなる物質を酸化重合することにより得ることができる。
本発明におけるカチオン性のポリチオフェンは、下記式(I)で表される3,4−ジ置換チオフェンを繰り返し単位の主成分として含有する。
Figure 2012243460
ここで、上記式(I)中、RおよびRは、相互に独立して、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。あるいは、RおよびRは、一緒になって、任意に置換されていてもよい炭素数1以上12以下のアルキレン基を表す。RおよびRが、相互に独立して、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基である場合には、RおよびRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。RおよびRが、一緒になって、任意に置換されていてもよい炭素数1以上12以下のアルキレン基である場合には、かかる炭素数1以上12以下のアルキレン基としては、例えばメチレン基、1,2−エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、2,3−ブチレン基、1,2−シクロヘキシレン基等のアルキレン基が挙げられる。中でも特に、メチレン基、1,2−エチレン基、1,2−プロピレン基、2,3−ブチレン基等のα,β−アルキレン基が好ましい。このようなα,β−アルキレン基としては、例えばエテン、プロペン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、およびスチレン等のα−オレフィン類を臭素化して得られる1,2−ジブロモアルカン類から誘導することができる。また、上記アルキレン基における置換基としては、炭素数1以上12以下のアルキル基およびフェニル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
本発明におけるカチオン性のポリチオフェンは、上記式(I)で表される3,4−ジ置換チオフェンのみを繰り返し単位としていてもよいし、あるいは、3,4−ジ置換チオフェンを繰り返し単位の主成分として含有し、これと重合可能な他のモノマーを従成分として含有するものであってもよい。ここで「主成分」とは、カチオン性のポリチオフェンを構成する繰返し単位全体に対して、上記式(I)で表される3,4−ジ置換チオフェンを繰り返し単位とする部分が50モル%より大きく100モル%の範囲であることを意味する。
以上のようなポリチオフェンは、カチオン性を示すものである。このようなカチオン性を示すポリチオフェンは、例えば、特開平1−313521号公報に記載の方法により、モノマーである3,4−ジ置換チオフェンを酸化重合することにより得ることができる。
本発明におけるポリアニオンは、特に限定されるものではない。例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸等の高分子状カルボン酸類、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸等の高分子状スルホン酸類等が挙げられる。
かかる高分子状カルボン酸類および高分子状スルホン酸類等のポリアニオンは、1種類のアニオン性モノマーのみからなる単独重合体であってもよいし、あるいは、複数種のアニオン性モノマーからなる共重合体であってもよいし、さらには、アニオン性モノマーと当該モノマーと共重合可能な他のモノマー類との共重合体であってもよい。アニオン性モノマーと共重合可能な他のモノマー類としては、例えば、アクリレート類、スチレン類等を挙げることができる。ポリアニオンが共重合体である場合には、少なくとも1種類のアニオン性モノマーが共重合成分として含まれていればよい。
本発明におけるポリアニオンとしては、これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸、および少なくとも一部が金属塩となっているポリスチレンスルホン酸が特に好ましく、導電性の向上効果に優れる。
なお、ポリアニオンの数平均分子量Mnは、1,000以上2,000,000以下の範囲が好ましく、2,000以上500,000以下の範囲がより好ましい。
(水溶性ポリエステル(B))
本発明においては、透明導電塗膜層が、少なくとも末端または側鎖に水酸基またはカルボキシル基を有する水溶性ポリエステル(B)(以下、成分(B)と呼称する場合がある。)を必須構成成分として含み、かつ透明導電塗膜層における該水溶性ポリエステル(B)の含有量を特定の数値範囲とすることによって、長期耐熱性に優れた導電性フィルムを得ることができる。また、透明導電塗膜層の強度および基材フィルムとの密着性を高くすることができる。
かかる水溶性ポリエステル(B)は、水酸基、カルボキシル基、またはこれらの双方を有する。水酸基およびカルボキシル基の合計含有量は、水溶性ポリエステル(B)の全酸成分100モル%に対して、好ましくは0.1モル%以上40モル%以下、さらに好ましくは1モル%以上20モル%以下である。水酸基またはカルボキシル基は、末端または側鎖の両方にあってもよいし、どちらか片方にあってもよい。また、その数も限定されない。なお、本発明における「水溶性」とは、水が50%以上(体積%)含まれるメタノール中に可溶である物質を指すものとする。
本発明における水溶性ポリエステル(B)は、スルホン酸塩基を含有する態様が好ましい。スルホン酸塩基としては、−SONa、−SOKで表されるスルホン酸のアルカリ金属塩基が挙げられる。水溶性ポリエステル(B)におけるスルホン酸塩基の含有量は、水溶性ポリエステル(B)の全酸成分100モル%に対して、好ましくは1モル%以上10モル%以下、さらに好ましくは2モル%以上7モル%以下、特に好ましくは2モル%以上4モル%以下である。スルホン酸塩基の含有量が上記数値範囲にあると、耐光性、長期耐熱性などの向上効果が高くなる傾向にある。また、透明導電塗膜層の強度および基材フィルムとの密着性がより高くなる傾向にある。水溶性ポリエステル(B)は、酸成分が、50モル%以上95モル%以下のテレフタル酸、3モル%以上43モル%以下のイソフタル酸、および2モル%以上7モル%以下の5−スルホイソフタル酸アルカリ金属塩を含有することが好ましく、酸成分が、50モル%以上95モル%以下のテレフタル酸、3モル%以上46モル%以下のイソフタル酸、および2モル%以上4モル%以下の5−スルホイソフタル酸アルカリ金属塩を含有することが特に好ましい。
以上のような水溶性ポリエステル(B)の重量平均分子量Mwは、好ましくは1,000以上100,000以下、より好ましくは5,000以上30,000以下である。重量平均分子量Mwが上記数値範囲にあると、長期耐熱性の向上効果が高くなる傾向にある。また、透明導電塗膜層の強度および基材フィルムとの密着性がより高くなる傾向にある。
また、本発明においては、水溶性ポリエステル(B)として、市販品をそのまま用いることも可能である。市販の水溶性ポリエステル(B)としては、例えば、互応化学社製、商品名:プラスコートRZ−570、Z−565、Z−561、Z−658等がある。
透明導電塗膜層における水溶性ポリエステル(B)の含有量は、導電性高分子100質量部に対して、10質量部以上150質量部以下であり、かかる範囲とすることで、導電性、透明性、密着性、耐熱性、耐光性に優れる。また、水溶性ポリエステル(B)の含有量は、更に好ましくは80質量部を超え150質量部以下である。水溶性ポリエステル(B)の含有量をこのような範囲とすることによって、密着性、耐光性、長期耐熱性を更に良好なものとすることができる。また、透明導電塗膜層の強度をさらに高くすることができ、更に基材フィルムとの密着性をさらに高くすることができる。水溶性ポリエステル(B)の含有量が該数値範囲よりも少ない場合は、密着性および塗膜強度の向上効果が低くなる上、長期耐熱性に劣るものとなる。また、耐光性の向上効果も低くなる傾向にある。このような観点から、含有量は、85質量部以上がより好ましく、90質量部以上がさらに好ましく、110質量部以上が特に好ましい。他方、含有量が多すぎる場合は、導電性および透明性が低くなる傾向にある。このような観点から、含有量は、140質量部以下がより好ましく、135質量部以下がさらに好ましく、125質量部以下が特に好ましい。なお、ここでいう「導電性高分子100質量部に対して」とは、「導電性高分子の固形分100質量部に対して」という意味である。
(酸化防止剤(C))
本発明においては、透明導電塗膜層が、特定量の酸化防止剤(C)(以下、成分(C)と呼称する場合がある。)を構成成分として含む。かかる態様によって耐光性に優れ、同時に紫外線透過性の高い導電性フィルムを得ることができる。
酸化防止剤(C)は、生成したラジカルを捕捉して酸化を防止するラジカル補足剤(1次剤)、あるいは生成したパーオキサイドを分解して酸化を防止する過酸化物分解剤(2次剤)のことを示す。ラジカル補足剤としてはフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤が挙げられ、過酸化物分解剤としてはリン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル等、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等が例示される。アミン系酸化防止剤としては、琥珀酸と4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、セバシン酸−ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン)、セバシン酸−メチル−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン)、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ][1,6−ヘキサンジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]]、セバシン酸−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)等、ヒンダードアミン系酸化防止剤(ヒンダードアミン系光安定剤、HALS)等が例示される。リン系酸化防止剤としては、トリアルキルホスファイト、アルキルアリルホスファイト、トリアリルホスファイト等が例示される。硫黄系酸化防止剤としては、二酸化硫黄、亜硫酸塩等が例示される。中でも、耐光性と紫外線透過性とのバランスに優れるという観点から、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤が好ましく、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤が特に好ましい。また、取り扱い性の観点から、これらの水分散体を用いることが好ましい。
本発明においては、酸化防止剤(C)として、市販品をそのまま用いることも可能である。かかる市販品としては、例えば、BASF社製、TINUVIN(登録商標)123−DW、IRGANOX(登録商標)1010、1035、1076等が挙げられる。
透明導電塗膜層における酸化防止剤(C)の含有量は、導電性高分子(A)100質量部に対して0.1質量部以上40質量部以下である。酸化防止剤(C)の含有量を上記範囲とすることによって、優れた透明性および導電性を保持したまま、また優れた紫外線透過性を保持したまま、耐光性を優れたものとすることができる。含有量が少なすぎる場合は、耐光性に劣る。このような観点から、透明導電塗膜層における酸化防止剤(C)の含有量は、導電性高分子(A)100質量部に対して、0.15質量部以上であることがさらに好ましく、0.18質量部以上であることが特に好ましい。他方、含有量が多すぎる場合は、透明性および導電性の向上効果が低くなる。また紫外線透過性に劣る。このような観点から、透明導電塗膜層における酸化防止剤(C)の含有量は、導電性高分子(A)100質量部に対して、30質量部以下であることがさらに好ましく、20質量部以下であることが特に好ましい。
酸化防止剤(C)の含有量についてさらに詳述すると、酸化防止剤(C)がフェノール系酸化防止剤である場合は、透明導電塗膜層における酸化防止剤(C)の含有量は、導電性高分子(A)100質量部に対して、0.1質量部以上2質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上1質量部以下であることがさらに好ましく、0.2質量部以上0.5質量部以下であることが特に好ましい。また、酸化防止剤(C)がアミン系酸化防止剤である場合は、透明導電塗膜層における酸化防止剤(C)の含有量は、導電性高分子(A)100質量部に対して、5質量部以上40質量部以下であることが好ましく、10質量部以上30質量部以下であることがさらに好ましく、10質量部以上20質量部以下であることが特に好ましい。このような酸化防止剤(C)と含有量の組み合わせを採用することによって、優れた透明性および導電性を保持したまま、また優れた紫外線透過性を保持したまま、耐光性にさらに優れたものとすることができる。なお、ここでいう「導電性高分子100質量部に対して」とは、「導電性高分子の固形分100質量部に対して」という意味である。
(エポキシシクロ炭化水素基を有するシラン化合物(D))
本発明においては、透明導電塗膜層がシラン化合物を構成成分として含む態様が好ましい。とりわけ、特定量のエポキシシクロ炭化水素基を有するシラン化合物(D)(以下、成分(D)と呼称する場合がある。)を構成成分として含む態様が好ましい。このようなシラン化合物を含むことによって長期耐熱性により優れた導電性フィルムを得ることができる。また、透明導電塗膜層の塗膜強度および基材フィルムとの密着性をより高くすることができる。
かかるエポキシシクロ炭化水素基を有するシラン化合物(D)は、下記式(II)で表される化合物である。
Figure 2012243460
上記式(II)におけるXは、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲンから選ばれた加水分解性を有する官能基、または炭化水素基を表す。中でも、アルコキシ基、アシルオキシ基が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1以上10以下のアルコキシ基が好ましく、炭素数1以上6以下のアルコキシ基がさらに好ましい。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシメトキシ基、エトキシエトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。アシルオキシ基としては、炭素数2〜11のアシルオキシ基が好ましく、炭素数2〜7のアシルオキシ基がさらに好ましく、アセトキシ基が特に好ましい。ハロゲンとしては、クロロ基が好ましい。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリル基や、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、メタクリル基、シアノ基を有していてもよい炭化水素基が挙げられる。
上記式(II)におけるYは、エポキシシクロ炭化水素基を有する官能基を表す。本発明においてエポキシシクロ炭化水素基とは、エポキシシクロアルカン基、エポキシシクロアルケン基、エポキシシクロアルキン基を示す。中でも、エポキシシクロアルカン基が好ましい。エポキシシクロアルカン基としては、炭素数3以上12以下のエポキシシクロアルカン基が好ましい。かかる炭素数3以上12以下のエポキシシクロアルカン基としては、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシシクロヘプチル基、エポキシシクロオクチル基が好ましく、中でもエポキシシクロヘキシル基が特に好ましい。上記式(II)におけるYが上記のような態様であると、長期耐熱性の向上効果を高くすることができる。
上記式(II)においては、このようなエポキシシクロ炭化水素基が、アルキレン基等を介してケイ素原子Siと結合している。かかるアルキレン基としては、炭素数1以上12以下の直鎖状、または分岐状のアルキレン基が好ましい。中でもメチレン基、エチレン基、プロピレン基が特に好ましい。上記のようなアルキレン基は、エーテル結合やアミノ結合を、アルキレン基の鎖中に有していてもよい。
上記式(II)におけるnは、1以上3以下の整数を表す。nは1または2であることが好ましく、1であることが特に好ましい。すなわち、上記式(II)におけるケイ素原子Siには、少なくとも1つのXが結合していればよいが、2つ、もしくは3つのXが結合している態様が好ましい。上記のような態様であると、塗膜強度に優れ、耐湿熱性の向上効果を高くすることができる。ケイ素原子Siに複数のXが結合している場合は、該複数のXは全て同じ種類の官能基であってもよいし、異なる種類の官能基が混在していてもよい。
以上のようなエポキシシクロ炭化水素基を有するシラン化合物(D)の具体例としては、例えば、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランを好ましく挙げることができる。
また、本発明においては、エポキシシクロ炭化水素基を有するシラン化合物(D)として、市販品をそのまま用いることも可能である。市販のエポキシシクロ炭化水素基を有するシラン化合物(D)としては、例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名:A−186、あるいは商品名:Coatsil(登録商標)1770等がある。
透明導電塗膜層におけるエポキシシクロ炭化水素基を有するシラン化合物(D)の含有量は、水溶性ポリエステル(B)100質量部に対して4質量部以上10質量部以下であることが好ましい。エポキシシクロ炭化水素基を有するシラン化合物(D)の含有量を上記数値範囲とすることによって、長期耐熱性をより良好なものとすることができる。また、透明導電塗膜層の強度をより高くすることができ、更に基材フィルムとの密着性をより高くすることができる。含有量が少なすぎる場合は、長期耐熱性の向上効果が低くなるばかりでなく、基材フィルムとの密着性の向上効果が低くなる傾向にある。このような観点から、含有量は、水溶性ポリエステル(B)100質量部に対して、4.2質量部以上であることがさらに好ましく、4.6質量部以上であることが特に好ましい。他方、含有量が多すぎても、長期耐熱性の向上効果が低くなる傾向にある。このような観点から、含有量は、水溶性ポリエステル(B)100質量部に対して、8.3質量部以下であることがさらに好ましく、7.1質量部以下であることが特に好ましい。なお、ここでいう「水溶性ポリエステル100質量部に対して」とは、「水溶性ポリエステルの固形分100質量部に対して」という意味である。
(透明導電塗膜層に含まれるその他の成分)
本発明における透明導電塗膜層は、上記のカチオン性のポリチオフェンとポリアニオンとを含む導電性高分子(A)と、少なくとも末端または側鎖に水酸基またはカルボキシル基を有する水溶性ポリエステル(B)と、特定量の酸化防止剤(C)と、任意に添加してもよいエポキシシクロ炭化水素基を有するシラン化合物(D)との他に、導電性や塗膜強度等の透明導電塗膜層の性能をさらに向上させることを目的として、任意に他の成分を含んでいてもよい。以下、任意成分について説明する。
本発明における透明導電塗膜層は、導電性をさらに向上させるという観点から、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等を含有することができる。また、分子内にアミド結合を有する、室温で液体の水溶性化合物を含有することができる。
これらの化合物の含有量は、導電性高分子100質量部に対して、10質量部以上1000質量部以下が好ましく、30質量部以上600質量部以下がさらに好ましい。含有量が少なすぎる場合は、導電性の向上効果が低くなる傾向にある。他方、含有量が多すぎる場合は、透明性の向上効果が低くなる傾向にあり、密着性、耐ブロッキング性に劣る傾向にある。
また、耐光性を更に向上させるという観点から、紫外線の透過に係る本発明の目的を阻害しない限りにおいて、紫外線吸収剤を含有することが出来る。これらの含有量は、例えば導電性高分子(A)100質量部に対して20〜50質量部程度である。
なお、ここでいう「導電性高分子100質量部に対して」とは、上記と同様に、「導電性高分子の固形分100質量部に対して」という意味である。
また、本発明における透明導電塗膜層には、本発明の効果が損なわれない範囲内で、耐熱安定剤、耐候安定剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、透明導電剤、核剤等を配合してもよい。
(透明導電塗膜層を形成するためのコーティング組成物(塗剤))
本発明における透明導電塗膜層は、透明導電塗膜層を形成するためのコーティング組成物(以下、塗剤と呼称する場合がある。)を、透明導電塗膜層を形成したい層の上に塗布し、乾燥することにより形成される。ここで、塗剤としては、上記のカチオン性のポリチオフェンとポリアニオンとを含む導電性高分子(A)、少なくとも末端または側鎖に水酸基またはカルボキシル基を有する水溶性ポリエステル(B)、酸化防止剤(C)、任意に添加してもよいエポキシシクロ炭化水素基を有するシラン化合物(D)、透明導電塗膜層の性能を向上させるための任意成分、および後述する塗剤の性能を向上させるための任意成分を、水に分散させた水分散液を用いる。
かかる塗剤の性能を向上させるための任意成分としては、溶剤や界面活性剤を挙げることができる。以下、塗剤の性能を向上させるための任意成分について説明する。
本発明における塗剤には、上記の透明導電塗膜層を構成する各成分を溶解させることを目的として、もしくは、基材フィルムへの濡れ性を向上させることを目的として、あるいは、塗剤の固形分濃度を調整すること等を目的として、分散媒である水と相溶性のある適当な溶媒を、乾燥工程が許容する範囲で添加することができる。このような溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、エチレングリコール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、およびジオキサン、ならびにこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
また、本発明における塗剤には、基材フィルムに対する濡れ性を向上させることを目的として、少量の界面活性剤を添加することができる。好ましい界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、フルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、パーフルオロアルキル4級アンモニウム塩、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。
塗剤の製造方法としては、透明導電塗膜層を構成する成分が水に分散または溶解されるならば特に限定されるものではない。例えば、塗剤を構成する各成分を攪拌下で混合する方法を挙げることができる。特に、超音波処理をしつつ分散させれば、各成分をより均等に分散させることが可能となる。
(透明導電塗膜層の製造方法)
本発明における透明導電塗膜層は、前述のとおり、透明導電塗膜層を形成したい層の上に上記塗剤を塗布し、乾燥することにより形成される。塗剤の塗布方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用できる。例えば、リップダイレクト法、コンマコーター法、スリットリバース法、ダイコーター法、グラビアロールコーター法、ロールコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、ディップコート法、バーコーター法等を、好ましい方法として挙げることができる。
透明導電塗膜層を得るための乾燥条件は、特に限定されるものではないが、80℃以上160℃以下の温度範囲で10秒以上300秒以下の間乾燥することが好ましく、100℃以上150℃以下の温度範囲で20秒以上120秒以下の間乾燥することが特に好ましい。
(透明導電塗膜層の膜厚、配置)
本発明における透明導電塗膜層の膜厚は、20nm以上300nm以下が好ましい。膜厚を上記数値範囲とすることによって、導電性、透明性、長期耐熱性の向上効果を高くすることができる。また、紫外線透過性を保持したまま、耐光性の向上効果を高くすることができる。透明導電塗膜層の膜厚が厚すぎる場合は、透明性の向上効果が低くなる傾向にある。また、紫外線透過性の向上効果が低くなる傾向にある。他方、薄すぎる場合は、表面抵抗値が高くなる傾向にあり、導電性の向上効果が低くなる傾向にある。また、耐光性の向上効果が低くなる傾向にある。このような観点から、膜厚は、好ましくは30nm以上200nm以下である。
なお、透明導電塗膜層の膜厚を制御する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、塗剤の固形分濃度および塗布量を、実施する塗布方法によって適宜制御することにより、膜厚を制御することができる。
本発明の導電性フィルムは、後述する基材フィルムの少なくとも片面に透明導電塗膜層が形成されてなるが、前述の透明導電塗膜層1層のみが形成されている態様であってもよいし、前述の透明導電塗膜層が複数層形成されている態様であってもよいし、あるいは前述の透明導電塗膜層とは異なる他の導電層が形成されている態様であってもよい。かかる他の導電層としては、前述の透明導電塗膜層とは異なる他の導電性塗膜や、ITO等のドライプロセスにより得られる導電膜等を挙げることができる。
ここで、透明導電塗膜層が複数層形成されている場合、あるいは透明導電塗膜層とは異なる他の導電層が形成されている場合においては、その全体の厚みは20nm以上300nm以下とすることが好ましく、30nm以上200nm以下とすることがさらに好ましく、50nm以上200nm以下とすることが特に好ましい。全体の厚みが薄すぎる場合は、導電性の向上効果が低くなる傾向にある。他方、厚すぎる場合は、透明性の向上効果が低くなる傾向にあり、耐ブロッキング性に劣る傾向にある。
<オーバーコート層>
本発明の導電性フィルムは、透明導電塗膜層の表面にオーバーコート層を設けた態様であってもよい。導電性フィルムが、透明導電塗膜層を両面に有する場合は、いずれか一方の透明導電塗膜層の表面にオーバーコート層を設けてもよいし、両方の透明導電塗膜層の表面にオーバーコート層を設けてもよい。オーバーコート層を設けることにより、透明導電塗膜層の強度および基材フィルムとの密着性をより高くすることができる。
本発明におけるオーバーコート層は、熱硬化性樹脂よりなるもの、紫外線(UV)硬化性樹脂よりなるもの、電子線(EB)硬化性樹脂よりなるもの等を挙げることができる。オーバーコート表面における表面抵抗値が比較的高くてもよい用途(例えば電磁波シールド材等)においては、これらのオーバーコート層を適用することができる。かかるオーバーコート層の厚みは、塗膜強度や耐溶剤性に優れるという観点から、好ましくは10〜100nmである。
また、オーバーコート層表面における表面抵抗値が低い方が好ましい用途においては、金属アルコキシドおよび金属アセトキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種の加水分解後の縮合反応生成物から形成されるオーバーコート層を適用することが好ましい。
金属アルコキシドおよび金属アセトキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種の加水分解後の縮合反応生成物から形成されるオーバーコート層において、好適に用いられる金属アルコキシドおよび金属アセトキシドは下記式(III)で示される化合物である。
Figure 2012243460
ここで上記式(III)中のRおよびRは、それぞれメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、アセチル基などが例示でき、Mは金属元素を表し、好ましくはSi、Al、Ti、Zrであり、中でも特にSiが好ましい。又、上記式(III)におけるpは金属元素Mの価数を示し、qは金属元素Mに付加するアルコキシ基の数を示し、qはpと同じかそれよりも小さい数である。これら化合物は加水分解可能である必要があり、好ましい金属アルコキシド/金属アセトキシドとしては、金属メチルトリアセトキシド、金属ジメチルジアセトキシド、金属トリメチルアセトキシド、金属テトラアセトキシド、金属テトラメトキシド、金属メチルトリエトキシド、金属ジメチルジエトキシド、金属トリメチルエトキシド、金属フェニルトリエトキシド、金属γ−グリシドキシトリメトキシドなどが挙げられる。金属としては、上記好ましく例示した金属元素を用いたものであればよいが、これらのうち、金属としてSi、Alを用いたものがさらに好ましく、Siを用いたものが特に好ましい。上記金属アルコキシドおよび金属アセトキシドの加水分解/縮合を効率よく進行させるためには触媒を用いることが好ましい。好適に用いられる触媒としては、酸性触媒または塩基性触媒を挙げることができる。酸性触媒としては、酢酸、塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、プロピオン酸、しゅう酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等が好適である。塩基性触媒としては、アンモニア、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等の有機アミン化合物、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物などが好適である。
オーバーコート層の厚みは、10〜100nmの範囲にあることが好ましい。厚みが下限未満だと、十分な塗膜強度が得られず、後加工工程で不利となる場合がある。また、耐溶剤性も低くなる傾向にある。他方、上限を超えると、表面抵抗が低下する傾向にある。より好ましいオーバーコート層の厚みは、15〜80nmの範囲である。
(オーバーコート層の形成方法)
本発明におけるオーバーコート層は、透明導電塗膜層の上に、オーバーコート層を形成するためのコーティング組成物を塗布し、乾燥、硬化することにより形成される。かかるコーティング組成物に用いる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メタノール、エタノールイソプロピルアルコール、n−ブタノール、プロピレングリコール等のアルコール類が挙げられ、中でもアルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類が好ましい。
かかるオーバーコート層を、例えば上記した厚みの範囲で透明導電塗膜層上に形成しても表面抵抗値に大きな影響を与えない原因は明らかになっていないが、上記のような溶媒を用いることにより、オーバーコート層の形成時に透明導電塗膜層の一部が、オーバーコート層を形成するためのコーティング組成物中に溶解し、形成される塗膜が両層の材料の混合物になっている可能性が考えられる。
塗布方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用できる。例えば、リップダイレクト法、コンマコーター法、スリットリバース法、ダイコーター法、グラビアロールコーター法、ロールコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、ディップコート法、バーコーター法等を、好ましい方法として挙げることができる。
オーバーコート層を得るための乾燥条件は、特に限定されるものではないが、80℃以上160℃以下の温度範囲で10秒以上300秒以下の間乾燥することが好ましく、100℃以上150℃以下の温度範囲で20秒以上120秒以下の間乾燥することが特に好ましい。
UV硬化性樹脂またはEB硬化性樹脂からなるオーバーコート層の場合には、一般的には予備乾燥を行った後、紫外線照射又は電子線照射を行う。
<基材フィルム>
本発明における基材フィルムは、透明であり、塗膜層が積層可能であれば特に制限されるものではないが、例えばポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ならびにこれらのブレンド体および共重合体、ならびにフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂等からなるシート、フィルム、あるいは不織布を挙げることができる。
中でも、二軸配向したポリエステルフィルムは、透明性、機械的特性、寸法安定性、耐熱性、電気的特性等に優れている観点から好ましく用いることができ、とりわけ、透明性、機械的特性、耐熱性、寸法安定性に優れていることから、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムが特に好ましい。
なお、基材フィルムの厚みは、特に制限されるものではないが、500μm以下であることが好ましい。500μmより厚い場合には、基材フィルムの剛性が高すぎて、導電性フィルムをディスプレイ等に貼付ける際等の取扱い性に劣る傾向にある。このような観点から、基材フィルムの厚みは、より好ましくは350μm以下、さらに好ましくは250μm以下、特に好ましくは200μm以下である。他方、ある程度の剛性を付与するために、基材フィルムの厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、より好ましくは35μm以上、さらに好ましくは40μm以上、特に好ましくは70μm以上である。
基材フィルムは、紫外線吸収剤を実質的に含有しないことが好ましい。これにより紫外線透過率の向上効果を高めることができる。ここで「実質的に含有しない」とは、その含有量が基材フィルムの質量に対して1000ppm以下、好ましくは100ppm以下であることを示す。
また、基材フィルムは、塗剤を塗布する前に、密着性、塗工性等を向上させることを目的として、必要に応じてフィルム表面に予備的処理を施すことも可能である。かかる予備的処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理等の物理的表面処理、あるいは、製膜中または製膜後に有機樹脂系または無機樹脂系の塗料を塗布して、塗膜密着層を形成する化学的表面処理を挙げることができる。
<導電性フィルムの特性>
(全光線透過率)
本発明の導電性フィルム(オーバーコートを有しない導電性フィルムまたはオーバーコート層を有する導電性フィルム)は、その全光線透過率が80%以上であることが好ましい。全光線透過率が上記数値範囲にあると、透明性に優れ、例えばタッチパネルに用いた場合は視認性に優れる。このような観点から、全光線透過率は、より好ましくは83%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは87%以上である。
また、ヘイズは、2%以下が好ましく、1.6%以下がより好ましく、1.4%以下がさらに好ましい。ヘイズが上記数値範囲にあると、透明性に優れ、例えばタッチパネルに用いた場合は視認性に優れる。
なお、全光線透過率やヘイズを上記数値範囲とするには、透明導電塗膜層の膜厚を調整することによって達成される。また、水溶性ポリエステル(B)、酸化防止剤(C)、シラン化合物(D)の種類および含有量を調整することによって達成される。さらに、オーバーコート層の種類や厚みを調整することによって達成できる。
(紫外線透過率)
本発明の導電性フィルム(オーバーコート層を有しない導電性フィルムまたはオーバーコート層を有する導電性フィルム)は、波長340nm、350nm、360nmの各波長における光線透過率が全て50%以上であることが好ましい。このような態様であることによって、紫外線透過性に優れ、例えば本発明の導電性フィルムの上に紫外線硬化性樹脂からなる層を形成するにあたって、導電性フィルム側から紫外線照射してかかる層の硬化をすることが可能となる。このような観点から、紫外線透過率は、波長340nmにおける光線透過率が50%以上であり、かつ波長350nmにおける光線透過率が55%以上であり、かつ波長360nmにおける光線透過率が65%以上であることがさらに好ましく、波長340nmにおける光線透過率が55%以上であり、かつ波長350nmにおける光線透過率が60%以上であり、かつ波長360nmにおける光線透過率が70%以上であることが特に好ましい。
上記範囲の紫外線透過率は、透明導電塗膜層における酸化防止剤(C)の含有量を調整することで達成できる。また、透明導電塗膜層の膜厚によっても調整できる。また、基材フィルムが紫外線吸収剤を含有しないことが好ましい。
(表面抵抗値)
本発明の導電性フィルム(オーバーコート層を有しない導電性フィルムまたはオーバーコート層を有する導電性フィルム)は、透明導電塗膜層表面における表面抵抗値が1×10Ω/□以上1×10Ω/□以下であることが好ましい。導電性フィルムがオーバーコート層を有する場合は、オーバーコート層表面における表面抵抗値が上記数値範囲にあることが好ましい。表面抵抗値は、より好ましくは1×10Ω/□以上1×10Ω/□以下、更に好ましくは1×10Ω/□以上1×10Ω/□以下である。表面抵抗値を上記数値範囲とすることによって、導電性に優れ、例えばタッチパネルに用いた場合は優れた筆記性が得やすくなる。表面抵抗値が高すぎる場合は、導電性に劣る傾向にあり、タッチパネルにおいては、タッチしても筆記できない等、動作しにくくなる。他方、表面抵抗値を1×10Ω/□未満とするには、導電性高分子の使用量を増加させたり、透明導電塗膜層の膜厚を厚くしたりする必要が生じ、製造コストが高くなり経済的に不利となり、また、透明性の向上効果が低くなる傾向にある。
なお、表面抵抗値を上記数値範囲とするには、透明導電塗膜層の膜厚を調整することによって達成される。また、導電性高分子や水溶性ポリエステル(B)の種類および含有量を調整することによって達成される。また、オーバーコート層を設ける場合は、オーバーコート層の厚みを調整したり、オーバーコート層を形成するためのコーティング組成物における溶媒、塗布方法の選択することにより達成される。
(熱処理時の表面抵抗値変化率)
本発明の導電性フィルム(オーバーコート層を有しない導電性フィルムまたはオーバーコート層を有する導電性フィルム)は、85℃で2400時間処理した前後の表面抵抗値変化率が150%以下であることが好ましい。かかる表面抵抗値変化率は、さらに好ましくは145%以下である。かかる表面抵抗値変化率が高すぎると、長期耐熱性に劣ることとなり、比較的高温環境下で長期間にわたり導電性フィルムを使用した場合に、導電性能が短期間で低下してしまう使用できなくなる大きな要因となり好ましくない。
上記範囲の表面抵抗値変化率は、水溶性ポリエステル(B)の種類および含有量、シラン化合物(D)の種類および含有量を調整することによって達成できる。
(耐光性)
本発明での耐光性とは、紫外線(UV)に対する耐性を指す。具体的には、放射照度550W/mのキセノンランプを用いてUVを48時間照射した前後の表面抵抗値変化率が小さいと、耐光性に優れることを指す。本発明の導電性フィルム(オーバーコート層を有しない導電性フィルムまたはオーバーコート層を有する導電性フィルム)は、かかる表面抵抗値変化率が300%以下であることが好ましく、より好ましくは280%以下、さらに好ましくは250%以下、特に好ましくは220%以下である。かかる表面抵抗値変化率が高すぎると、耐光性に劣ることとなり、導電性フィルムが紫外線に晒された状態で使用していると、導電性能が低下してしまう。なお、ここでUV照射は、導電性フィルムにおいて塗膜層を有しない面より行うものとする。導電性フィルムが塗膜層を両面に有する場合は、UV照射した面とは反対側の塗膜層について、表面抵抗値変化率が上記範囲であることを示す。
耐光性(表面抵抗値変化率)を上記数値範囲とするには、酸化防止剤(C)の添加量を調整することによって達成される。また、水溶性ポリエステル(B)の含有量によっても耐候性を優れたものとすることができる。
(透明導電塗膜層の密着性・強度)
本発明の導電性フィルム(オーバーコート層を有しない導電性フィルムまたはオーバーコート層を有する導電性フィルム)は、透明導電塗膜層の密着性および強度について、以下の態様を満足することが好ましい。すなわち、導電性フィルムにおける透明導電塗膜層側の表面を、学振磨耗試験機(テスター産業社製、商品名:学振型摩擦堅牢度試験機)を用いて、擦過部としてイオン交換水を含浸させた10mmのガーゼ(スズラン株式会社製、綿糸40番手を1cm四方に縦・横12本ずつ打ち込んだもの)を用い、荷重700g、速度1往復/2秒の条件で5往復擦過し、擦過した部分における透明導電塗膜層の状態を目視にて評価し、該擦過した部分における透明導電塗膜層が、面積で60%以上残存することが好ましい。透明導電塗膜層は、70%以上残存することがさらに好ましく、80%以上残存することが特に好ましい。上記のような態様であると、フィルム基材と透明導電塗膜層との密着性がより高く、また透明導電塗膜層の強度がより高いため、さらに耐久性に優れたタッチパネルを得ることができる。
なお、上記のような態様とするには、透明導電塗膜層に含まれる水溶性ポリエステル(B)の種類および含有量を適宜調整することによって達成される。また、シラン化合物化合物(D)の種類および含有量を適宜調整することによって達成される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例においては、以下の方法によって各測定を実施した。
(1)表面抵抗値
三菱化学(株)製、Lorester MCP−T600を用いて、JIS K7194に準拠して測定した。測定は、3つのサンプル片を準備し、それぞれ任意の5箇所について実施し、それらの平均値を表面抵抗値(単位:Ω/□)とした。なお、オーバーコート層を有しない場合は塗膜層表面において、オーバーコート層を有する場合はオーバーコート層表面において、それぞれ測定を実施した。
(2)UV照射処理後の表面抵抗値および表面抵抗値変化率
耐光性試験機(ATLAS Material Testing Technology GmbH製、SUNSET CPS)にサンプルを格納し、キセノンランプを用い、放射照度500W/m、温度60℃の条件で、フィルターCを用いて連続して48時間UV照射した後、サンプルを取り出し、サンプル温度が室温に戻った後に上記(1)の方法と同様に表面抵抗値を測定し、UV照射後の表面抵抗値(単位:Ω/□)とした。なお、オーバーコート層を有しない場合は塗膜層表面において、オーバーコート層を有する場合はオーバーコート層表面において、それぞれ測定を実施した。
また、以上の方法で得られた熱処理前後の表面抵抗値から、以下の式により表面抵抗値変化率(単位:%)を求めた。
UV照射前後の表面抵抗値変化率=(UV照射後の表面抵抗値)/(UV照射前の表面抵抗値)×100
なお、UV照射は、導電性フィルムにおいて塗膜層を有しない面より行った。あるいは、導電性フィルムが両面に塗膜層を有する場合は、上記表面抵抗値変化率を測定する塗膜層とは反対側の面よりUV照射を行った。
(3)熱処理後の表面抵抗値および表面抵抗値変化率
温度85℃の恒温オーブン中にサンプルを格納し、連続して2400時間が経過したときにサンプルを取り出し、サンプル温度が室温に戻った後に上記(1)の方法と同様に表面抵抗値を測定し、熱処理後の表面抵抗値(単位:Ω/□)とした。なお、オーバーコート層を有しない場合は塗膜層表面において、オーバーコート層を有する場合はオーバーコート層表面において、それぞれ測定を実施した。
また、以上の方法で得られた熱処理前後の表面抵抗値から、以下の式により表面抵抗値変化率(単位:%)を求めた。
熱処理前後の表面抵抗値変化率=(熱処理後の表面抵抗値)/(熱処理前の表面抵抗値)×100
(4)全光線透過率、ヘイズ
JIS K7150に従い、日本電色工業(株)製のヘイズメーターNDH2000にて測定した。測定にあたっては、サンプル(導電性フィルム)の任意の5箇所について実施し、それらの平均値を求めた。
(5)紫外線透過率
島津製作所(株)製、分光光度計UV−3101PCを用い、スキャン速度中速、スリット幅20nm、サンプリングピッチ1.0nmの条件で、340nm、350nm、360nmの各波長における光線透過率を測定した。
(6)透明導電塗膜層の密着性・強度(残存率)
学振磨耗試験機(テスター産業社製、学振型摩擦堅牢度試験機)を用いて測定を実施した。具体的には、擦過部としてイオン交換水を含浸させた10mmのガーゼ(スズラン株式会社製、綿糸40番手を1cm四方に縦・横12本ずつ打ち込んだもの)を用い、荷重700g、速度1往復/2秒の条件で5往復、導電性フィルムにおける塗膜層側の表面(オーバーコート層を有する場合はオーバーコート層の表面となる)を擦過した。次いで、擦過した部分において、塗膜層が残存している部分の面積を求めた。塗膜層が残存している部分の面積の、擦過した部分の面積に対する割合を算出し、塗膜層の残存率(単位:%)とした。残存率が高いほど、基材フィルムと塗膜層との密着性に優れ、塗膜層の強度が高いことを示す。
(7)重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn
樹脂サンプル(固形分)1mgをヘキサフルオロイソプロパノール0.5mlに溶解後、クロロホルムを加えて10mlとし(濃度0.01w/v%)、メンブレンフィルター0.45μmで濾過したものを測定用溶液とし、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した。測定における測定装置、および測定条件は以下のとおりとした。
[測定装置]
本体:TOSOH HLC−8020
検出器:本体内蔵(示差屈折計)、TOSOH UV−8011(紫外吸収検出器)
カラム:TOSOH TSK−gel GMHHR−H、TOSOH TSK−gel GMHHR−N、TOSOH TSK−gel G2000H
データ処理装置:TOSOH SC−8020
[測定条件]
移動相:クロロホルム
流速:1.0ml/min
カラム温度:40℃
検出器:UV(254nm)
注入量:200μl
標準試料:ポリスチレン(Polymer Laboratories製、EasiCal“PS−1”)
[製造例1:導電性高分子の水分散体]
カチオン性のポリチオフェンとして、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)0.5質量%と、ポリアニオンとしてポリスチレンスルホン酸(数平均分子量Mn=150,000)0.8質量%とを含んでなる水分散体(バイエルAG製、Baytron P)を、固形分濃度1.1質量%となるよう蒸留水を用いて希釈し、導電性高分子の水分散体(固形分濃度1.1質量%)とした。
[製造例2:水溶性ポリエステルの水溶液]
互応化学(株)製、プラスコートZ−658(Tg=45℃の水溶性ポリエステル樹脂の水溶液、固形分濃度25質量%)をそのまま用いて水溶性ポリエステルの水溶液とした。
プラスコートZ−658は、末端に水酸基および/またはカルボキシル基を有し、酸成分100モル%中に、5−Naスルホイソフタル酸が3モル%共重合された水溶性ポリエステル樹脂である。
[製造例3:酸化防止剤1(HALS)の水分散体]
BASF製、Ciba TINUVIN(登録商標)123−DW(ヒンダードアミン系酸化防止剤の水分散体、固形分濃度30質量%)をそのまま用いて酸化防止剤1の水分散体とした。
[製造例4:酸化防止剤2のイソプロパノール(IPA)分散体]
BASF製、Ciba IRGANOX(登録商標)1010(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)を、固形分濃度0.05質量%となるようにIPAに分散したものを、酸化防止剤2のIPA分散体とした。
[製造例5:シラン化合物のIPA溶液]
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、Coatosil(登録商標)1770)を、IPAで希釈して、固形分濃度1.0質量%としたものをシラン化合物のIPA溶液とした。
[製造例6:オーバーコート層を形成するためのコーティング組成物]
テトラエトキシシラン22.5質量部とメチルトリエトキシシラン2.5質量部、シリコーンオイル0.25質量部、エタノール18.8質量部、n−プロパノール18.8質量部を混合し攪拌した溶液中に、予めイオン交換水17.5質量部と0.001Nの塩酸6.0質量部を混合しておいた溶液を加え、全量投入後10分間攪拌し、その後20時間静値することで加水分解反応を進行させた。この液をエタノールにて3倍に希釈したものを、オーバーコート層を形成するためのコーティング組成物とした。
[実施例1]
上記製造例1で得られた導電性高分子の水分散体100質量部に、上記製造例2で得られた水溶性ポリエステルの水溶液を0.88質量部添加して、さらに15分間攪拌した後、上記製造例5で得られたシラン化合物のIPA溶液を2.5質量部添加し、次いで製造例3で得られた酸化防止剤1(HALS)の水分散体を0.5質量部添加し、1時間攪拌して塗剤(固形分濃度1.4質量%)を得た。
得られた塗剤を、マイヤーバーを用いて基材フィルムとなる厚み100μmの透明PETフィルム(帝人デュポンフィルム社製、商品名:O3PF8W−100)上に塗布し、引き続き、150℃で1分間の乾燥処理を行うことにより、膜厚が50nmの透明導電塗膜層が積層された導電性フィルムを得た。なお、透明導電塗膜層における水溶性ポリエステルの含有量は、導電性高分子100質量部に対して20質量部、透明導電塗膜層におけるシラン化合物の含有量は、導電性高分子100質量部に対して2.3質量部、水溶性ポリエステル100質量部に対して11.4質量部であった。又、透明導電塗膜層における酸化防止剤1(HALS)の含有量は、導電性高分子100質量部に対して14質量部であった。得られた導電性フィルムの特性を表2に示す。
[実施例2〜10、比較例1〜5]
導電性高分子の水分散体100質量部に対する各成分の添加量を変更することにより、表1に示すような透明導電塗膜層の組成とする以外は、実施例1と同様にして導電性フィルムを得た。得られた導電性フィルムの特性を表2に示す。
Figure 2012243460
Figure 2012243460
[実施例11〜20]
実施例1〜10で得られた導電性フィルムの透明導電塗膜層上に、製造例6で得られたオーバーコート層を形成するためのコーティング組成物を、マイヤーバーを用いて塗布し、引き続き、140℃で1分間の乾燥処理を行うことにより、膜厚が50nmのオーバーコート層が積層された導電性フィルムを得た。得られた導電性フィルムの特性を表3に示す。
実施例11〜20で得られた導電性フィルムの特性を調べたところ、実施例1〜10と同様、耐光性に優れたものであった。
Figure 2012243460
本発明の導電性フィルムは、透明性および導電性に優れるだけでなく、UV透過性および耐光性に同時に優れているため、液晶ディスプレイ、タッチパネル、有機エレクトロルミネッセンス素子、無機エレクトロルミネッセンスランプ、電子ペーパー等の透明電極等として好適に使用することができ、とりわけ、耐光性が重要な分野において極めて有益である。

Claims (5)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に、
    (i)下記式(I)で表される繰り返し単位を主成分として含有するカチオン性のポリチオフェンとポリアニオンとを含む導電性高分子(A)、および
    (ii)導電性高分子(A)100質量部に対して10質量部以上150質量部以下の、少なくとも末端または側鎖に水酸基またはカルボキシル基を有する水溶性ポリエステル(B)
    (iii)導電性高分子(A)100質量部に対して0.1質量部以上40質量部以下の酸化防止剤(C)
    を構成成分として含む透明導電塗膜層が積層された導電性フィルム。
    Figure 2012243460
    (式(I)中、RおよびRは、相互に独立して、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって、任意に置換されていてもよい炭素数1以上12以下のアルキレン基を表す。)
  2. 放射照度550W/mのキセノンランプを用いて48時間紫外線照射した前後の表面抵抗値変化率が300%以下である請求項1に記載の導電性フィルム。
  3. 水溶性ポリエステル(B)の含有量が、導電性高分子(A)100質量部に対して80質量部を超え150質量部以下である請求項1または2に記載の導電性フィルム。
  4. 透明導電塗膜層が、さらに
    (iv)水溶性ポリエステル(B)100質量部に対して4質量部以上10質量部以下の、エポキシシクロ炭化水素基を有するシラン化合物(D)
    を構成成分として含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性フィルム。
  5. 透明導電塗膜層の表面に、金属アルコキシドおよび金属アセトキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種の反応生成物からなるオーバーコート層を設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性フィルム。
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