JP2012241524A - 排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】三元触媒の過剰な肥大化を招くことなく冷間始動時のエミッション性能を向上する。
【解決手段】ガソリンエンジン1(エンジン)の排気管10の途中に三元触媒11を装備した排気浄化装置に関し、前記三元触媒11より上流の排気管10に、該排気管10内へ空気を導入するエアポンプ12(空気導入手段)を設けると共に、該エアポンプ12と前記三元触媒11との間の排気管10に、排気ガス8中に放電してプラズマを発生させるプラズマ発生装置13を設け、該プラズマ発生装置13の放電により排気ガス8中のHCと空気とからHラジカルとOラジカルを夫々生成して両者のH2Oへの反応を誘導するように構成する。
【選択図】図1
【解決手段】ガソリンエンジン1(エンジン)の排気管10の途中に三元触媒11を装備した排気浄化装置に関し、前記三元触媒11より上流の排気管10に、該排気管10内へ空気を導入するエアポンプ12(空気導入手段)を設けると共に、該エアポンプ12と前記三元触媒11との間の排気管10に、排気ガス8中に放電してプラズマを発生させるプラズマ発生装置13を設け、該プラズマ発生装置13の放電により排気ガス8中のHCと空気とからHラジカルとOラジカルを夫々生成して両者のH2Oへの反応を誘導するように構成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、排気浄化装置に関するものである。
排気系に装着されて排気ガス中のHC,CO,NOxを同時に低減させる触媒として三元触媒が従来から知られており、該三元触媒における反応では、HC及びCOの酸化にNOxのO2が使われ、該NOxがN2に還元されると共に、前記HC及びCOが酸化されてCO2と水(H2O)になるので、有害三成分が同時に無害化されることになる。
ただし、三元触媒には、O2が過不足なく燃料を燃焼させる空燃比、即ち、理論空燃比(ストイキオメトリ)でないと十分な効果が発揮されないという条件があり、排気ガスの残存酸素量が多いディーゼルエンジンで三元触媒は使用されておらず、主としてガソリンエンジンに適用されているのが実情である。
尚、本発明の排気浄化装置に関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1等がある。
しかしながら、前述した如き三元触媒を用いた従来の排気浄化装置においては、ガソリンエンジンの冷間始動時に未燃のHCが多量に放出されるのに対し、三元触媒が未だ暖まっていないために活性が落ちた状態となっており、多量のHCを処理することができないためにエミッション性能が低下するという問題があった。
このため、HCを吸着し得るようゼオライトやマグネシア等を触媒原料として三元触媒に含ませ、該三元触媒が暖まるまでHCを一時的に吸着させて車外への放出を抑制することが考えられているが、このようにすることで三元触媒が過剰に肥大化して車両への搭載性が悪化するという新たな問題を招く虞れがあった。
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、三元触媒の過剰な肥大化を招くことなく冷間始動時のエミッション性能を向上することを目的とする。
本発明は、エンジンの排気管の途中に三元触媒を装備した排気浄化装置であって、前記三元触媒より上流の排気管に、該排気管内へ空気を導入する空気導入手段を設けると共に、該空気導入手段と前記三元触媒との間の排気管に、排気ガス中に放電してプラズマを発生させるプラズマ発生装置を設け、該プラズマ発生装置の放電により排気ガス中のHCと空気とからHラジカルとOラジカルを夫々生成して両者のH2Oへの反応を誘導するように構成したことを特徴とするものである。
而して、排気管の途中に三元触媒を装備したエンジンでは、三元触媒を機能させるために理論空燃比で運転が行われるため、その排気ガス中における残存O2量は極めて少ないが、冷間始動時において、エンジンの排気ガスに空気導入手段で空気を加え、該空気を加えられた排気ガス中にプラズマ発生装置で放電してプラズマを発生させ、排気ガス中のHCからHラジカルを生成し且つ空気からOラジカルを生成すると、これらHラジカル及びOラジカルは、2原子が電子を1個ずつ分け合う形で結合が切れた非常に不安定な状態となっているため、互いに反応することで電子対をつくって安定化しようとしてH2Oへの反応が瞬時に起こり、この際に反応熱が大量に発生して排気温度が大幅に上昇し、その昇温した排気ガスにより三元触媒が急速に暖められて活性状態となる。
更に、本発明において、エンジンがガソリンエンジンである場合には、排気ガス中の残存燃料からHラジカルを生成すれば良く、エンジンがディーゼルエンジンである場合には、プラズマ発生装置より上流側で排気ガス中に燃料を添加する燃料添加手段を備え、該燃料添加手段による添加燃料からHラジカルを生成すれば良い。
また、空気導入手段については、外気を取り込んで排気管内に導入するエアポンプにより構成されていても良く、ターボチャージャのコンプレッサ出口から吸気を抽気して排気管内に導入する連絡管により構成されていても良い。
上記した本発明の排気浄化装置によれば、冷間始動時にプラズマ発生装置によりHラジカル及びOラジカルを生成して両者のH2Oへの反応を誘導し、この際に発生する大量の反応熱により三元触媒を急速に暖めて活性状態とすることができるので、エミッションの一時的な吸着を図るべく三元触媒を過剰に肥大化させなくてもエミッション性能を著しく向上することができ、車両への搭載性の悪化を未然に回避することができるという優れた効果を奏し得る。
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明を実施する形態の一例を示すもので、ここに図示している例では、エンジンがガソリンエンジン1である場合を示しており、このガソリンエンジン1はターボチャージャ2を備え、図示しないエアクリーナから導かれた吸気3が吸気管4を通し前記ターボチャージャ2のコンプレッサ2aへと送られ、該コンプレッサ2aで加圧された吸気3がインタークーラ5へと送られて冷却され、該インタークーラ5から更に吸気マニホールド6へと吸気3が導かれてガソリンエンジン1の各気筒7に分配されるようになっている。
更に、このガソリンエンジン1の各気筒7から排出された排気ガス8は、排気マニホールド9を介しターボチャージャ2のタービン2bへと送られ、該タービン2bを駆動した排気ガス8が排気管10を介し車外へ排出されるようにしてあり、前記タービン2bに近い排気管10の上流側には、理論空燃比(ストイキオメトリ)でHC,CO,NOxの同時低減化を図り得る三元触媒11が装備されている。
また、この三元触媒11より上流の排気管10には、外気を取り込んで排気管10内に導入するエアポンプ12が空気導入手段として設けられており、該エアポンプ12と前記三元触媒11との間の排気管10には、排気ガス8中に放電してプラズマを発生させるプラズマ発生装置13が設けられ、該プラズマ発生装置13の放電により排気ガス8中のHCと空気とからHラジカルとOラジカルを夫々生成して両者のH2Oへの反応を誘導するようにしてある。
ここで、前記プラズマ発生装置13には、誘電体により絶縁被覆した電極を対向配置して相互間にバリア放電を行い得るようにしたものを使用し、これら各電極に対しては、図示しない放電制御ユニットを介し電源を接続して適宜な周波数で必要な電圧を印加し得るようにしてある。
而して、排気管10の途中に三元触媒11を装備したガソリンエンジン1では、三元触媒11を機能させるために理論空燃比で運転が行われるため、その排気ガス8中における残存O2量は極めて少ないが、冷間始動時において、ガソリンエンジン1の排気ガス8にエアポンプ12で空気を加え、該空気を加えられた排気ガス8中にプラズマ発生装置13で放電してプラズマを発生させ、排気ガス8中に残存するHCからHラジカルを生成し且つ前記エアポンプ12で導入した空気からOラジカルを生成すると、これらHラジカル及びOラジカルは、2原子が電子を1個ずつ分け合う形で結合が切れた非常に不安定な状態となっているため、互いに反応することで電子対をつくって安定化しようとしてH2Oへの反応が瞬時に起こり、この際に反応熱が大量に発生して排気温度が大幅に上昇し、その昇温した排気ガス8により三元触媒11が急速に暖められて活性状態となる。
従って、上記形態例によれば、冷間始動時にプラズマ発生装置13によりHラジカル及びOラジカルを生成して両者のH2Oへの反応を誘導し、この際に発生する大量の反応熱により三元触媒11を急速に暖めて活性状態とすることができるので、冷間始動時に多量に発生する未燃のHCの一時的な吸着を図るべく三元触媒11を過剰に肥大化させなくても、前記多量のHCを活性状態の三元触媒11にて処理することができてエミッション性能を著しく向上することができ、車両への搭載性の悪化を未然に回避することができる。
また、図2は本発明を実施する形態の別の例を示すもので、ここに図示している例では、エンジンがディーゼルエンジン1’である場合を示しているが、排気ガス8の残存酸素量が多いディーゼルエンジン1’で三元触媒11を機能させるにあたっては、空燃比を理論空燃比(空気過剰率が約1.0)まで下げる必要があり、単純に燃料の噴射量を増やして空気過剰率(λ)を1程度(理論空燃比)にしても気筒7内での燃焼が失火してしまうという不具合があるため、例えば、本発明者が既に特願2010−279017として出願している先行出願のように、排気ガス8を再循環する方式によって理論空燃比での運転を実現することが考えられている。
即ち、本発明者が提案しているディーゼルエンジン1’にあっては、前記三元触媒11の直後に配置したパティキュレートフィルタ14の下流側から排気ガス8の一部を抜き出して前記ターボチャージャ2のコンプレッサ2aより上流の吸気管4へ再循環する低圧ループ15と、排気マニホールド9から排気ガス8の一部を抜き出して吸気マニホールド6の入口付近に再循環する高圧ループ16とが装備されている。
前記低圧ループ15及び高圧ループ16の夫々には、排気ガス8の再循環量を調整するためのEGRバルブ17,18(再循環量調整手段)と、再循環される排気ガス8を冷却するためのEGRクーラ19,20が装備されており、低圧ループ15により加速時に黒煙を生じない程度に抑えたEGR率(例えば9%程度)でベースとなる排気ガス再循環を実施し且つ高圧ループ16では不足EGR率分(例えば25%程度分)を補足するべく追加の排気ガス再循環を実施して空燃比を理論空燃比近傍(空気過剰率が約1.1付近)に抑制し得るよう各EGRバルブ17,18の開度が制御されるようになっている。
また、先に説明した図1の形態例の場合と同様に、前記三元触媒11より上流の排気管10には、外気を取り込んで排気管10内に導入するエアポンプ12が空気導入手段として設けられており、該エアポンプ12と前記三元触媒11との間の排気管10には、排気ガス8中に放電してプラズマを発生させるプラズマ発生装置13が設けられ、該プラズマ発生装置13の放電により排気ガス8中のHCと空気とからHラジカルとOラジカルを夫々生成して両者のH2Oへの反応を誘導するようにしてある。
しかも、ディーゼルエンジン1’の場合、図1のガソリンエンジン1の場合のように排気ガス8中にHCが多く残存していないため、プラズマ発生装置13より上流側で排気ガス8中に燃料を添加する燃料添加弁21が燃料添加手段として備えられており、該燃料添加弁21による添加燃料からHラジカルを生成されるようになっていると共に、この燃料添加による未燃燃料分の増加により空燃比を理論空燃比(空気過剰率が約1.0)まで下げられるようにもなっている。
このようにすれば、低圧ループ15側でベースとなる排気ガス再循環が実施され、高圧ループ16側では不足EGR率分を補足するべく追加の排気ガス再循環が実施されるので、低圧ループ15と高圧ループ16の併用により高いEGR率が実現され、空燃比を理論空燃比近傍に抑制することが可能となる。
尚、低圧ループ15と高圧ループ16とを併用すれば、加速時に黒煙を生じない程度に抑えたEGR率で低圧ループ15によりベースとなる排気ガス再循環を実施し、加速時に高圧ループ16側の排気ガス8の再循環量を即時低減することで黒煙の発生を未然に回避することが可能となる。
そして、このように低圧ループ15と高圧ループ16とにより多量の排気ガス8が再循環されて空燃比が理論空燃比近傍に抑制された条件下で、燃料添加弁21により燃料を添加して未燃燃料分を増加すれば、失火を招くことなく空燃比が理論空燃比(空気過剰率が約1.0)まで下げられ、ディーゼルエンジン1’でも三元触媒11を機能させてHC,CO,NOxの同時低減を図ることが可能となる。
斯かる理論空燃比での運転を実現したディーゼルエンジン1’では、先のガソリンエンジン1の場合とは異なり、冷間始動時に未燃のHCが多量に放出されるような事態は起こらないが、三元触媒11が未だ暖まっていないために活性が落ちた状態となる不具合は同じであり、NOxが処理できないまま放出されてしまって冷間始動時のエミッション性能が低下するという問題を同様に有するものと考えられる。
このため、NOxを吸着し得る触媒原料を三元触媒11に含ませ、該三元触媒11が暖まるまでNOxを一時的に吸着させて車外への放出を抑制することが同様に考えられているが、三元触媒11が過剰に肥大化して車両への搭載性が悪化する虞れがあることは、図1のガソリンエンジン1の場合と同様である。
しかしながら、前述したように構成すれば、三元触媒11を機能させるために理論空燃比で運転が行われていても、冷間始動時において、ディーゼルエンジン1’の排気ガス8にエアポンプ12で空気を加え、該空気を加えられた排気ガス8中にプラズマ発生装置13で放電してプラズマを発生させ、排気ガス8中に残存するHCからHラジカルを生成し且つ前記エアポンプ12で導入した空気からOラジカルを生成すると、これらHラジカル及びOラジカルは、2原子が電子を1個ずつ分け合う形で結合が切れた非常に不安定な状態となっているため、互いに反応することで電子対をつくって安定化しようとしてH2Oへの反応が瞬時に起こり、この際に反応熱が大量に発生して排気温度が大幅に上昇し、その昇温した排気ガス8により三元触媒11が急速に暖められて活性状態となる。
従って、本形態例の場合においても、冷間始動時にプラズマ発生装置13によりHラジカル及びOラジカルを生成して両者のH2Oへの反応を誘導し、この際に発生する大量の反応熱により三元触媒11を急速に暖めて活性状態とすることができるので、冷間始動時に発生するNOxの一時的な吸着を図るべく三元触媒11を過剰に肥大化させなくても、前記NOxを活性状態の三元触媒11にて処理することができてエミッション性能を著しく向上することができ、車両への搭載性の悪化を未然に回避することができる。
また、図2の形態例では、図1の形態例の場合と同様に、外気を取り込んで排気管10内に導入するエアポンプ12により空気導入手段を構成しているが、図3に示す如く、ターボチャージャ2のコンプレッサ2a出口から吸気3を抽気して排気管10内に導入する連絡管22により空気導入手段を構成しても良く、このようにした場合には、前記連絡管22に開閉バルブ23を備えて必要時にのみ吸気3を抽気して導けるようにしておくと良い。
尚、本発明の排気浄化装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、図示例の説明では、冷間始動時の三元触媒を急速に暖めて活性状態とすることについてだけ説明しているが、図2や図3のように三元触媒の直後にパティキュレートフィルタを備えた例では、該パティキュレートフィルタの強制再生をHラジカルとOラジカルの反応熱により実行させるようにしても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 ガソリンエンジン(エンジン)
1’ ディーゼルエンジン(エンジン)
2 ターボチャージャ
2a コンプレッサ
8 排気ガス
10 排気管
11 三元触媒
12 エアポンプ(空気導入手段)
13 プラズマ発生装置
21 燃料添加弁
22 連絡管(空気導入手段)
1’ ディーゼルエンジン(エンジン)
2 ターボチャージャ
2a コンプレッサ
8 排気ガス
10 排気管
11 三元触媒
12 エアポンプ(空気導入手段)
13 プラズマ発生装置
21 燃料添加弁
22 連絡管(空気導入手段)
Claims (5)
- エンジンの排気管の途中に三元触媒を装備した排気浄化装置であって、前記三元触媒より上流の排気管に、該排気管内へ空気を導入する空気導入手段を設けると共に、該空気導入手段と前記三元触媒との間の排気管に、排気ガス中に放電してプラズマを発生させるプラズマ発生装置を設け、該プラズマ発生装置の放電により排気ガス中のHCと空気とからHラジカルとOラジカルを夫々生成して両者のH2Oへの反応を誘導するように構成したことを特徴とする排気浄化装置。
- エンジンがガソリンエンジンであり、排気ガス中の残存燃料からHラジカルを生成することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
- エンジンがディーゼルエンジンであり、プラズマ発生装置より上流側で排気ガス中に燃料を添加する燃料添加手段を備え、該燃料添加手段による添加燃料からHラジカルを生成することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
- 空気導入手段が外気を取り込んで排気管内に導入するエアポンプにより構成されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の排気浄化装置。
- 空気導入手段がターボチャージャのコンプレッサ出口から吸気を抽気して排気管内に導入する連絡管により構成されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の排気浄化装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011109141A JP2012241524A (ja) | 2011-05-16 | 2011-05-16 | 排気浄化装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2011109141A Withdrawn JP2012241524A (ja) | 2011-05-16 | 2011-05-16 | 排気浄化装置 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2011
- 2011-05-16 JP JP2011109141A patent/JP2012241524A/ja not_active Withdrawn
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