JP2012241397A - 地下ピットを利用した地下施設 - Google Patents
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Abstract
【課題】地中梁によって区画された複数の地下ピットからなる地下ピット空間を、一体的かつ全体的に駐輪場、トランクルームなどとして有効利用した地下施設を提供する。
【解決手段】建物の基礎を構成する高さ2800〜3800mm程度の地中梁1によって区画される複数の地下ピットを利用した地下施設であって、各地下ピットの間を仕切る地中梁1に、人が直立歩行してもしくは自転車を引いて歩行し通過するのに十分な高さと幅の開口部2を設けることで、区画された複数の地下ピットを連通させ、地下ピット空間9を形成する。地中梁1間に安価に形成される地下ピット空間9の一部の区域を駐輪場10、他の区域をトランクルーム11というように多目的に有効利用することができる。
【選択図】 図3
【解決手段】建物の基礎を構成する高さ2800〜3800mm程度の地中梁1によって区画される複数の地下ピットを利用した地下施設であって、各地下ピットの間を仕切る地中梁1に、人が直立歩行してもしくは自転車を引いて歩行し通過するのに十分な高さと幅の開口部2を設けることで、区画された複数の地下ピットを連通させ、地下ピット空間9を形成する。地中梁1間に安価に形成される地下ピット空間9の一部の区域を駐輪場10、他の区域をトランクルーム11というように多目的に有効利用することができる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、建物の基礎を構成する地中梁によって区画される地下ピットを利用した地下施設であって、各地下ピットの間を仕切る地中梁には人が往来可能な開口部が設けられ、一体的に駐輪場やトランクルームなどとしての利用が可能な地下ピットを利用した地下施設に関するものである。
従来から、集合住宅等の建物の基礎には、地中梁によって区画される地下ピットが構築され、配管ピットや貯留槽として利用されている。また、地中梁には保守点検のために人が伏して通ることができる程度の開口部(人通孔)が設ける場合もあり、開口部を有する地中梁関連の発明に関する出願も幾つか出されている。
例えば、特許文献1には、人通孔が凹状に設けられた地中梁の人通孔上に受材が配置され、受材によって地中梁の人通孔上に敷設された床板が支承された床板の支承構造が開示されている。
特許文献2には、PC版を用いた開口部を有する地中梁の施工方法が開示されている。また、特許文献3には、地中梁によって区画された複数の貯留槽が地中梁に形成された人間が通ることができる大きさ(身体が通る大きさ)を有する連通孔を介して直列に連結された、建築物の地下二重スラブ空間を利用して形成された蓄熱槽が開示されている。
一方、上記の通り、建物の基礎に構築される地下ピットは配管ピットや貯留槽としての利用はあるものの、デッドスペースとなっている。そこで、この地下ピットの有効利用についても若干検討されている。例えば、特許文献4には、地下ピットを一部改築し、ワイン等の飲食物の保管庫として利用した集合住宅が開示されている。
上記の通り、特許文献4には地下ピットの飲食物の保管庫としての利用が開示されているが、これは地下ピットの一部利用を図ったものであり、地中梁によって区画された複数の地下ピットを一体化して全体的に有効利用したものではない。
また、特許文献1〜3に記載される地中梁に設けられた開口部(人通孔、連通孔)は保守点検のためのものであって地下ピットを有効利用するために設けられたものではないので、人や自転車の往来を考慮して設けられたものではない。
このように、従来の地下ピットの利用は、非常に限られた用途での利用となっている。これは一般的な集合住宅の地中梁は、地下階の階高ほどの高さ(深さ)にはならず、かつ基礎の一部として重要な構造体であることから、人が直立歩行できるような大きな開口を設けることは現実的でないと考えられていたためである。
本願発明は、上述のような課題の解決を図ったものであり、地中梁によって区画された地下ピット間を仕切る地中梁に、人が直立歩行で、もしくは自転車を引いて歩行し往来できる程度の大きな開口部を設けられるようにし、それによって地下ピットからなる地下ピット空間を駐輪場、トランクルームなどとして有効利用できるようにすることを目的としている。
本願の請求項1に係る発明は、建物の基礎を構成する地中梁によって区画される複数の地下ピットを利用した地下施設であって、前記地下ピット間を仕切る地中梁に人が歩行して通過するのに十分な高さと幅を有する開口部を設けることで、区画された複数の地下ピットを連通させ、該複数の地下ピット間で人の自由な移動を可能とする連続した1または複数の地下ピット空間を形成させ、前記地下ピット空間を一体の地下施設として利用し得るようにしたことを特徴とするものである。
ここで、人が歩行して通過するのに十分な高さと幅とは、好ましくは一般の玄関や室内のドアのように、人が直立歩行して普通に通れる寸法、例えば高さが2000mm以上、幅が900mm以上程度を想定しており、また幅についてはさらに駐輪場に利用する場合には人が自転車を引いて通行するのに不便とならない1500mm以上程度を想定している。
ただし、設計のグレードや地中梁の寸法との関係で、これより若干小さい寸法とすることもある。また、設計上余裕があれば、より大きな寸法とすることで、地下ピット空間をより有効に活用することができる。
また、開口部の外周形状は矩形に限定されず、例えば上部を応力的に有利なアーチ形状としたり、あるいは外周形状の一部または全部を弧状としてもよい。
本発明おける地下ピットは、基本的には従来からマンション等の建物の基礎としての地中梁間に形成される地下ピットと同様のピットであるが、本発明では地中梁自体を従来の通常の地中梁より高く(深く)形成することで、人が歩行して通過するのに十分な高さと幅の開口部を設けることが可能となる。
本発明では、地中梁によって区画される複数の地下ピットを一体的かつ全体的に地下施設として有効利用する。特に、マンション等の集合住宅の場合、地下施設の代表例として駐輪場やトランクルームとしての有効利用が挙げられる。
本発明では、複数の地下ピットを一体的かつ全体的に利用できるように、隣り合う地下ピット間を仕切る地中梁に開口部を設ける。開口部の大きさと形態は、例えば駐輪場としても利用できるようにするためには、人が直立歩行して、もしくは自転車を引いて歩行し通過するのに十分な高さと幅で、スムーズな往来ができる形態が望ましい。
地中梁の幅方向における開口部の位置は、できるだけ地中梁の強度や剛性に影響を与えない位置が望ましいが、利用形態によっては地中梁ごと位置が若干異なっていてもよい。
また、開口部には、必要に応じて扉を設けてもよい。例えば、地下施設が駐輪場とトランクルームからなる場合、駐輪場とトランクルームの間の開口部に扉を設けることによって、トランクルームへの関係者以外の立ち入りを禁じることができる。
請求項2は、請求項1に係る地下ピットを利用した地下施設において、前記地中梁の高さは前記開口部の高さ以上であり、地中梁の上部は、前記地下ピット空間の天井となる最下階スラブに接続され、地中梁下部は、耐圧盤とその上に設けられる湧水処理パネルとその上に敷設されるシンダーコンクリートからなる床部材に接続され、前記開口部の下端は前記地下ピット空間の床レベルと同一またはほぼ同一の高さとしたことを特徴とするものである。
本発明は、地下ピット空間を単なる配管スペースあるいはデッドスペースの利用するのではなく、駐輪場やトランクルームなどとしての有効利用を図ったものであり、請求項2はその具体的形態の一つとして、耐圧盤と湧水処理パネルとシンダーコンクリートの三層構造の床部材を限定したものである。
下部については、耐圧盤によって地盤内における土圧や地下水圧に抵抗させつつ、湧水処理パネルにより湧水を導水し処理する構成となっている。シンダーコンクリートは、床面のレベル調整や屋上の防水層の押さえ等に用いられる非構造用軽量コンクリートもしくは普通コンクリートである。
また、開口部の下端は地下ピット空間の床レベルと同一またはほぼ同一の高さとすることで、なるべく段差をなくし、人や自転車の自由な移動がスムーズに行えるようにする。
請求項3は、請求項1または2に係る地下ピットを利用した地下施設において、前記地中梁の高さが2800〜3800mmであり、前記開口部の高さが1800〜2200mmであることを限定したものである。
人が歩行して通過するのに十分な高さと幅の開口部としての高さに関しては、2000mm以上程度が好ましいが、設計のグレードなどによって、2000mmが難しい場合、日本人の平均身長等を考慮した場合、1800mm程度の高さがあればほとんど支障なく地下ピット空間を有効利用することができる。
また、単に有効利用の面から考えれば、高ければ高いほどよいことになるが、通常、2200mmあれば地下ピット空間の利用としては十分であると考えられ、また地中梁の断面欠損やその補強に関する経済性等を考慮した場合、2200mm超える高さは必ずしも有利とはならない。
そのため、請求項3は、開口部の高さの好ましい範囲を、1800〜2200mmとしたものである。
また、前述のように、人が歩行して通過するのに十分な高さと幅の開口部を設ける本発明では地中梁自体を従来の通常の地中梁より高く(深く)形成することが条件となるが、その高さは、開口部の大きさと、地中梁として要求される強度、剛性などから決まり、開口部の高さ1800〜2200mmに対しては、2800〜3800mm程度が設計上経済的な範囲と考えられる。
請求項4は、請求項1、2または3に係る発明において、前記地下施設の少なくとも一つが、駐輪場、トランクルーム、ワインセラーのいずれかである場合を限定したものである。
地下施設としては、地上に建設される建物の居住者や利用者にとって有用なものであれば特に限定されないが、建物がマンション等の集合住宅である場合、駐輪場、トランクルーム、ワインセラー等のいずれか一つ以上に利用することが好ましい。
例えば、駐輪場は集合住宅にとって欠かせないスペースであるが、都市部のマンションでは敷地面積が狭いため、そのスペース確保に苦慮している。本発明では、地下ピット空間を一体的に地下室化し、人や自転車が自由に往来できるようにするので、駐輪場の問題を解決することができる。
トランクルームも収納スペースの少ない都市部のマンションでは、有効な利用方法である。
なお、従来は地下ピットを配管スペースとして利用している場合が多いが、本発明において、地下ピット空間を、駐輪場やトランクルームなどに利用する場合において、その天井部のスペースを、配管スペースに利用すれば、別途、配管スペースを設ける場合に比べ、地下ピット空間をさらに有効利用することができる。
本発明によれば、従来、配管ピットや湧水処理ピットや貯留槽などに一部利用されているもののデッドスペースとなっていた地中梁によって区画された複数の地下ピットにおいて、その隣接する地下ピット間を仕切る地中梁に、人が直立歩行で、もしくは自転車を引いて歩行し往来できる程度大きさの開口部を設け、前記複数の地下ピットからなる地下ピット空間を、一体的かつ全体的に駐輪場、トランクルームなどとして有効利用できるようにしたので、地下室を省略するなど設計によっては建物の施工トータルコストを下げることができる。また、コスト低減分を他に回して、建物の財産価値をトータル的に高めることもできる。
すなわち、地下ピットの有効利用ではなく、通常の地下階を設計する場合には、地中梁の高さを増すのに比べはるかに大きなコストがかかるのに対し、本発明ではあえて地中梁を高く(深く)して、大きな開口を可能とすることで、地下ピットの利用という形で、従来の地下階にほぼ匹敵する地下ピット空間を形成し、その有効利用を可能としたものである。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の地下施設における隣り合う地下ピット間を仕切る開口部を有する地中梁近傍の構造を示す概略図である。(a)は開口部側面方向からの断面図であり、(b)は開口部正面方向からの断面図である。
図1の例は、厚さ650mmで、下端から1階スラブ上面までの高さ(深さ)が3500mmの場所打ち鉄筋コンクリート製の地中梁1(図2の水平断面図における紙面上下方向に延びる地中梁1)に対し、地中梁1に人が自転車を引いて歩行し往来できる大きさとして、高さ2000mm、幅1500mmの開口部2を設けた場合である。
また、この例では、地中梁1の上部1a、すなわち開口部2より上側の部分は、建物最下階(本例では1階)の厚さ200mmの鉄筋コンクリート製スラブと一体的に接続されている。一方、地中梁1の下部1b、すなわち開口部2より下側の部分には、厚さ600mmの三層構造の地下ピット床部7が一体的に形成されている。
図示した例における三層構造の地下ピット床部7は、地盤に接する厚さ350mmの鉄筋コンクリート製の耐圧盤4と、その上の厚さ120mmの湧水処理パネル5と、さらにその上に打設されたシンダーコンクリート6からなる。
シンダーコンクリート6は床レベル調整などのために打設されるコンクリートであり、この例では厚さ130mmとして、上面を開口部2の下面の高さに合わせ、人や自転車の通路となる開口部2に段差が生じないようにしている。
また、地下ピット空間9において、地中梁の上部1aと最下階スラブ3で構成される天井部スペース8を、配管スペースとして利用している。
本発明では、上記の通り、地中梁1に従来の人通孔よりはるかに大きい開口部2を設けるため、地中梁1の高さ(深さ)を少なくとも開口部2以上の高さとする必要があり、その点において地中梁1自体も従来の一般的な地中梁1より高く(深く)なっており、ある程度開口部2の断面欠損分をカバーすることができる。
ただし、断面欠損となる開口部2の外周部については補強、補剛をする必要がある。この補強、補剛に関しては、耐力壁の開口部補強と同様の構造のものなどを用いることができる。すなわち、開口部2の外周部に補剛用の鋼材を設置したり、開口部2の外周部の鉄筋コンクリート中の配筋量を増すなどの方法がある。
また、課題を解決するためにアーチ形状や弧状の形態を設計することも有効である。また、図4に示すように、開口部2のある地中梁1の上に剛強な鉄筋コンクリートの壁Wを設けるといった広い視点から補強、補剛を図ってもよい。
図1(a)からわかるように、各地下ピット空間9は開口部2により連通され、地下施設として一体的に利用される。この例で、地下ピット空間9の高さは2700mmであり、地下施設として十分利用できる。地下施設としては、駐輪場、トランクルームなどが好ましいが、これらに限定されるものではない。
図2は、本発明の地下ピットを利用した地下施設例の水平断面図である。この例では、地中梁1で区画された7つの地下ピットを開口部2により連通して、一体の地下施設として利用している。
左側3つの地下ピットは駐輪場10であり、右側4つの地下ピットはトランクルーム11である。各地下ピットの一部は配管ピット12のスペースとなっている。駐輪場10を構成する地下ピットの一つは地上への階段13に通じており、他の一つには二輪車・荷物運搬用の地上に通じるエレベータ14が備わっている。
本発明の地下ピットを利用した地下施設は、地中梁1によって区画される複数の地下ピットの隣接地下ピット間に開口部2を設けてなるものであるが、図2の例のように、地下ピット外周を構成する地中梁1の一部を取り除き、必要に応じて、取り除いた部分に地中梁とは異なる壁部材16、17を設けた地下施設とすることもできる。
この例では、一つ置きに外周を構成する地中梁を取り除いているが、これに限定されず、建物全体としての設計要件、構造的安定性を満たせば、適宜、地下ピット外周を構成する地中梁の一部を取り除くことができる。
図3は、本発明の地下ピットを利用した地下施設がある建物18(集合住宅)の縦断面図である。1階にはエントランスホール20や共用スペース21が備わり、1階の一部と上階は住戸22となっている。
地下には地下階はなく、本発明の地下ピットを利用した地下施設が備わっている。地下施設は、図2に示すものであり、駐輪場10とトランクルーム11とからなっている。
この例のように、本発明の地下ピットを利用した地下施設をマンション等の集合住宅の建物に設けることは、通常の地下室を設ける場合に比べ、施工の簡略化、トータルコストの低減など多くの点で好ましく、本発明の好適な実施形態である。
1…地中梁、1a…地中梁の上部、1b…地中梁の下部、2…開口部、3…最下階スラブ、4…耐圧盤、5…湧水処理パネル、6…シンダーコンクリート、7…床部材、8…天井部スペース、9…地下ピット空間、10…駐輪場、11…トランクルーム、12…配管ピット、13…階段、14…エレベータ、15…フーチング、16…壁部材A、17…壁部材B、18…建物、19…地面、20…エントランスホール、21…共用スペース、22…住戸、W…鉄筋コンクリート壁
Claims (4)
- 建物の基礎を構成する地中梁によって区画される複数の地下ピットを利用した地下施設であって、前記地下ピット間を仕切る地中梁に人が歩行して通過するのに十分な高さと幅を有する開口部を設けることで、区画された複数の地下ピットを連通させ、該複数の地下ピット間で人の自由な移動を可能とする連続した1または複数の地下ピット空間を形成させ、前記地下ピット空間を一体の地下施設として利用し得るようにしたことを特徴とする地下ピットを利用した地下施設。
- 前記地中梁の高さは前記開口部の高さ以上であり、地中梁の上部は、前記地下ピット空間の天井となる最下階スラブに接続され、地中梁下部は、耐圧盤とその上に設けられる湧水処理パネルとその上に敷設されるシンダーコンクリートからなる床部材に接続され、前記開口部の下端は前記地下ピット空間の床レベルと同一またはほぼ同一の高さとしたことを特徴とする請求項1記載の地下ピットを利用した地下施設。
- 前記地中梁の高さが2800〜3800mmであり、前記開口部の高さが1800〜2200mmであることを特徴とする請求項1または2記載の地下ピットを利用した地下施設。
- 前記地下施設の少なくとも一つが、駐輪場、トランクルーム、ワインセラーのいずれかであることを特徴とする請求項1、2または3記載の地下ピットを利用した地下施設。
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JP2011111656A JP2012241397A (ja) | 2011-05-18 | 2011-05-18 | 地下ピットを利用した地下施設 |
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Citations (3)
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JP2944565B2 (ja) * | 1996-11-28 | 1999-09-06 | 普 山田 | 地下室構造体、その運搬方法およびその施工方法 |
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- 2011-05-18 JP JP2011111656A patent/JP2012241397A/ja active Pending
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