しかしながら、前述した例えば特許文献1に開示された技術によれば、輪郭残像を消去するための処理として、例えば書き換え前後の画像を比較して差分画像を求め、差分画像における黒画像部分の輪郭部を抽出し太らせるような比較的複雑な処理が求められてしまう。よって、仮に輪郭残像の発生を抑制できたとしても、画像書き換えの際に求められる処理が複雑化してしまうという技術的問題点がある。
本発明は、例えば前述した問題点に鑑みなされたものであり、表示部に表示される画像における輪郭残像の発生を好適に抑制でき、高品質な画像を表示可能な電気光学装置の制御方法、電気光学装置の制御装置、電気光学装置、及び電子機器を提供することを課題とする。
本発明に係る電気光学装置の制御方法は上記課題を解決するために、互いに交差する複数の走査線及び複数のデータ線の交差に対応して設けられ、互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素を有する表示部と、該表示部に画像データに応じた画像を表示させるために、前記複数の画素の各々の前記画素電極に前記画像データに応じたデータ電位を複数回に分けて供給する駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御方法であって、前記表示部に表示されている画像を書き換える画像書き換えの際、第1の所定期間において、表示すべき階調が第1の階調から該第1の階調とは異なる第2の階調へと変化する第1の画素の前記画素電極に、前記第2の階調に対応する電位を供給すると共に、表示すべき階調が前記第2の階調から前記第1の階調へと変化する第2の画素の前記画素電極及び表示すべき階調が変化しない第3の画素の前記画素電極の各々に、前記対向電極の電位と同一の電位を供給する第1制御工程と、前記第1の所定期間に続く第2の所定期間において、前記第1の画素の前記画素電極、前記第2の画素の前記画素電極及び前記第3の画素の前記画素電極の各々をハイインピーダンス状態とする第2制御工程とを含む。
本発明に係る電気光学装置の制御方法によって制御される電気光学装置は、例えばアクティブマトリクス駆動方式の電気泳動表示装置などであり、複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して例えばマトリクス状に配列された複数の画素を有する表示部と、各画素の画素電極に画像データに応じたデータ電位を供給する駆動部とを備える。
電気光学装置では、駆動部が複数の画素の各々における画素電極に画像データに応じたデータ電位を複数回に分けて供給されることにより、表示部に画像データに応じた画像が表示される。駆動部による電位供給は、例えば所定のフレーム期間単位で行われる。具体的には、所定のフレーム期間中に、複数の走査線が所定の順番で1回ずつ選択されるとともに、該選択した走査線に対応する画素における画素電極にデータ電位が複数のデータ線を介して供給される。なお、ここでの「フレーム期間」とは、複数の走査線を所定の順番で1回ずつ選択する期間として予め定められた期間である。つまり、連続する複数のフレーム期間の各々において、複数の画素の各々における画素電極にデータ電位を供給する電位供給が駆動部によって1回ずつ行われることにより表示部に画像データに応じた画像が表示される。
本発明に係る電気光学装置の制御方法によれば、表示部に表示されている画像(例えば、白色及び黒色の2階調からなる2階調画像)を書き換える画像書き換えの際、前述した複数回の電位供給として、第1制御工程及び第2制御工程が行われる。
第1制御工程では、第1の所定期間において、表示すべき階調が第1の階調から第2の階調へ変化する(例えば、黒から白へ変化する)第1の画素の画素電極に、第2の階調に対応する電位(例えば、対向電極の電位よりも高い高電位、或いは対向電極の電位よりも低い低電位)が供給される。これにより、第1の画素の階調は、多少なりとも第1の階調から第2の階調に近づくように変化する。なお、ここでの「第1の所定期間」は、駆動部によって行われる複数回の電位供給の少なくとも1回分に相当する期間であり、例えば1フレーム期間として設定される。
また第1制御工程では、上述した第1画素への電位供給に加え、表示すべき階調が第2の階調から第1の階調へと変化する(例えば、白から黒へ変化する)第2の画素の画素電極、及び表示すべき階調が変化しない(例えば、黒又は白のまま維持される)第3の画素の画素電極の各々に、対向電極の電位と同一の電位(例えば0ボルト)が供給される。このため、第2の画素及び第3の画素は、上述した第1画素とは異なり、共に階調が維持されたままとなる。なお、ここでの「対向電極の電位と同一の電位」とは、厳密に等しい電位のみを指す趣旨ではなく、僅かに異なる電位であることを含む。例えば、対向電極電位が、フィードスルーによる画素電極電位の変動を考慮して、第2の画素の画素電極に供給される電位とは異なる値とされている場合においても、第2の画素の画素電極に供給される電位と対向電極の電位とが同一であるとみなす。
第2制御工程では、第1の所定期間に続く第2の所定期間において、第1の画素の画素電極、第2の画素の画素電極及び第3の画素の画素電極の各々がハイインピーダンス状態(即ち、電位が供給されない状態)とされる。なお、ここでの「第2の所定期間」とは、第1所定期間の直後の期間であり、後述する輪郭残像を低減するのに適した長さを有する期間として予め設定される。「第2の所定期間」は、例えば1フレーム期間に相当する長さの期間として設定される。
第2制御工程では、第1画素、第2画素及び第3画素の各々がハイインピーダンス状態とされるため、各画素の駆動は行われない。但し、第1の画素については、直前の第1の所定期間において、第1制御工程による第2の階調に対応する電位の供給が行われている。このため第1の画素では、例えば画素毎に設けられた保持容量に保持された第2の階調に対応する電位がリークすることにより、隣り合う画素への部分的な滲みが生じる。本発明では、このような滲みを意図的に発生させることで、書き換え後の輪郭残像を低減する。以下では、輪郭残像の発生原理について具体例を挙げて説明する。
例えば、互いに隣り合う2つの画素が共に白色を表示している状態から、一方の画素のみが黒色へと書き換えられ、その後再び共に白色を表示する状態へ書き換えられる場合を考える。なお、画像の書き換えは、階調が変化する画素にのみ電圧が印加される駆動(所謂、部分書き換え駆動)によって行なわれるものとする。この場合、一方の画素が黒色へと書き換えられる際に、隣り合う白色を保持すべき画素には上述したリーク等に起因する滲みが発生する(即ち、白色を保持すべき画素の境界付近が部分的に灰色に変化してしまう)。この滲みは、一方の画素が黒色を表示している間は比較的視認され難い。しかし、黒色を表示していた一方の画素が再び白色へと書き換えられた後においても、白色を保持し続ける画素に発生した滲みはそのまま残り、結果として黒色から白色へと書き換えられた画素を囲むような輪郭残像が発生してしまう。
輪郭残像の発生は、階調によって滲みの発生度合いが異なることに起因している。即ち、輪郭残像は、第1の階調から第2の階調への書き換えの際に生じる滲みと、第2の階調から第1の階調への書き換えの際に生じる滲みとの度合いが互いに異なることで、発生する滲みが互いに相殺されないことで発生する。なお、本発明では、第1の階調から第2の階調への書き換えの際に生じる滲みの方が、第2の階調から第1の階調への書き換えの際に生じる滲みより度合いが小さい場合を前提としている。
本発明では、上述したように、第2制御工程によって第1の画素の画素電極、第2の画素の画素電極及び第3の画素の画素電極の各々がハイインピーダンス状態とされ、第1の画素に隣り合う画素への滲みが意図的に発生させられる。即ち、第1の階調から第2の階調への書き換えの際に生じる滲みが、意図的に高い程度で発生させられる。これにより、第1の階調から第2の階調への書き換えの際に生じる滲みの程度を、第2の階調から第1の階調への書き換えの際に生じる滲みの程度に近づけることができる。よって、第1の画素の周囲に既に発生していた滲みが相殺され、書き換え後に発生する輪郭残像を低減することができる。
以上説明したように、本発明に係る電気光学装置の制御方法によれば、画像の書き換えによって生じる輪郭残像を低減できる。この結果、高品位な画像を表示することが可能となる。
本発明に係る電気光学装置の制御方法の一態様では、前記第1の所定期間及び前記第2の所定期間とは異なる第3の所定期間において、前記第1の画素の前記画素電極に前記第2の階調に対応する電位を供給し、前記第2の画素の前記画素電極に前記第1の階調に対応する電位を供給し、前記第3の画素の前記画素電極に前記対向電極の電位と同一の電位を供給する第3制御工程を含む。
この態様によれば、上述した第1制御工程及び第2制御工程に加えて、第3制御工程が第3の所定期間に行なわれる。なお、「第3の所定期間」とは、第1の所定期間及び第2の所定期間とは異なる期間であり、典型的には第1の所定期間及び第2の所定期間の後の期間として設定される。
第3制御工程では、第1の画素の画素電極に第2の階調に対応する電位が供給され、第2の画素の画素電極に第1の階調に対応する電位が供給され、第3の画素の画素電極に対向電極の電位と同一の電位が供給される。よって、第2の階調が表示されるべき第1の画素は第2の階調へと書き換えられ、第1の階調が表示されるべき第2の画素は第1の階調へと書き換えられ、階調を維持すべき第3の画素の階調は変化しないままとなる。従って、好適に画像を書き換えることが可能となる。
本発明に係る電気光学装置の制御方法の他の態様では、前記第1の所定期間及び前記第2の所定期間とは異なる第4の所定期間において、前記第2の画素の前記画素電極に前記第1の階調に対応する電位を供給し、前記第1の画素の前記画素電極及び前記第3の画素の前記画素電極の各々に前記対向電極の電位と同一の電位を供給する第4制御工程を含む。
この態様によれば、上述した第1制御工程及び第2制御工程に加えて、第4制御工程が第4の所定期間に行なわれる。なお、「第4の所定期間」とは、第1の所定期間及び第2の所定期間とは異なる期間であり、典型的には第1の所定期間及び第2の所定期間の直後の期間として設定される。
第4制御工程では、第2の画素の画素電極に第1の階調に対応する電位が供給され、第1の画素の画素電極及び第3の画素の画素電極に対向電極の電位と同一の電位が供給される。よって、第1の階調が表示されるべき第2の画素は第1の階調へ近づくように駆動されるものの、第2の階調が表示されるべき第1の画素は第2の階調へ近づくように駆動されない。
上述した第2制御工程による駆動によれば、各画素におけるDCバランス比(即ち、画素電極及び対向電極間に一の階調に応じた電圧が印加される時間と、画素電極及び対向電極間に他の階調に応じた電圧が印加される時間との比)が崩れてしまうのを抑制或いは防止できる。具体的には、第1制御工程において、第1の画素には第2の階調を表示するための電圧が印加され、第2の画素には電圧が印加されなかったことによるDCバランス比の崩れを、第2制御工程によって解消できる。この結果、表示の焼き付きや表示部の劣化を低減することができる。
上述した第4制御工程を含む態様では、前記第1の所定期間及び前記第4の所定期間は、互いに同一の長さを有する期間であるようにしてもよい。
この場合、第1制御工程によって第1の画素にのみ電圧が印加される期間と、第4制御工程によって第2の画素にのみ電圧が印加される期間とが互いに等しくなるため、DCバランス比の崩れを効果的に抑制或いは防止できる。
なお、ここでの「同一の長さ」とは、厳密に等しい長さのみを指す趣旨ではなく、第1の所定期間及び第2の所定期間の長さが多少なりとも互いに近づけられれば、上述した効果は相応に得られる。
本発明に係る電気光学装置の制御装置は上記課題を解決するために、互いに交差する複数の走査線及び複数のデータ線の交差に対応して設けられ、互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素を有する表示部と、該表示部に画像データに応じた画像を表示させるために、前記複数の画素の各々の前記画素電極に前記画像データに応じたデータ電位を複数回に分けて供給する駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御装置であって、前記表示部に表示されている画像を書き換える画像書き換えの際、第1の所定期間において、表示すべき階調が第1の階調から該第1の階調とは異なる第2の階調へと変化する第1の画素の前記画素電極に、前記第2の階調に対応する電位を供給すると共に、表示すべき階調が前記第2の階調から前記第1の階調へと変化する第2の画素の前記画素電極及び表示すべき階調が変化しない第3の画素の前記画素電極の各々に、前記対向電極の電位と同一の電位を供給する第1制御手段と、前記第1の所定期間に続く第2の所定期間において、前記第1の画素の前記画素電極、前記第2の画素の前記画素電極及び前記第3の画素の前記画素電極の各々をハイインピーダンス状態とする第2制御手段とを備える。
本発明に係る電気光学装置の制御装置によれば、前述した本発明に係る電気光学装置の制御方法と同様に、電気光学装置において、画像の書き換えによって生じる輪郭残像を低減できる。この結果、高品位な画像を表示することが可能となる。
なお、本発明に係る電気光学装置の制御装置においても、前述した本発明に係る電気光学装置の制御方法における各種態様と同様の各種態様を採ることが可能である。
本発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、前述した本発明に係る電気光学装置の制御装置(但し、その各種態様も含む)を備える。
本発明に係る電気光学装置によれば、前述した本発明に係る電気光学装置の制御装置を備えるので、画像の書き換えによって生じる輪郭残像を低減できる。この結果、高品位な画像を表示することが可能となる。
本発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、前述した本発明に係る電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を備える。
本発明に係る電子機器によれば、前述した本発明に係る電気光学装置を備えるので、高品質な画像を表示することが可能な、例えば、腕時計、電子ペーパー、電子ノート、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの各種電子機器を実現できる。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
<電気光学装置>
先ず、本実施形態に係る電気光学装置について、図1から図11を参照して説明する。なお、以下の実施形態では、本発明に係る電気光学装置の一例として電気泳動表示装置を挙げて説明する。
<装置構成>
本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成を示すブロック図である。
図1において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、アクティブマトリクス駆動方式の電気泳動表示装置であり、表示部3と、コントローラー10と、走査線駆動回路60と、データ線駆動回路70と、共通電位供給回路220とを備えている。なお、コントローラー10が本発明に係る「電気光学装置の制御装置」の一例である。また、走査線駆動回路60及びデータ線駆動回路70が本発明に係る「駆動部」の一例を構成する。
表示部3には、m行×n列分の画素20がマトリクス状(二次元平面的)に配列されている。また、表示部3には、m本の走査線40(即ち、走査線Y1、Y2、…、Ym)と、n本のデータ線50(即ち、データ線X1、X2、…、Xn)とが互いに交差するように設けられている。具体的には、m本の走査線40は、行方向(即ち、X方向)に延在し、n本のデータ線50は、列方向(即ち、Y方向)に延在している。m本の走査線40とn本のデータ線50との交差に対応して画素20が配置されている。
コントローラー10は、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220の動作を制御する。コントローラー10は、例えば、クロック信号、スタートパルス等のタイミング信号を各回路に供給する。
走査線駆動回路60は、コントローラー10による制御下で、所定のフレーム期間中に、走査線Y1、Y2、…、Ymの各々に走査信号をパルス的に順次供給する。
データ線駆動回路70は、コントローラー10による制御下で、データ線X1、X2、…、Xnにデータ電位を供給する。データ電位は、基準電位GND(例えば0ボルト)、高電位VH(例えば+15ボルト)又は低電位VL(例えば−15ボルト)のいずれかの電位をとる。なお、後述するように、本実施形態では、前述した部分書き換え駆動が採用されている。
共通電位供給回路220は、共通電位線93に共通電位Vcom(本実施形態では、基準電位GNDと同一の電位)を供給する。なお、共通電位Vcomは、共通電位Vcomが供給された対向電極22と基準電位GNDが供給された画素電極21との間に電圧が実質的に生じない範囲内で、基準電位GNDとは異なる電位であってもよい。例えば、共通電位Vcomが、フィードスルーによる画素電極21の電位の変動を考慮して、画素電極21に供給される基準電位GNDとは異なる値とされていてもよく、この場合であっても、本明細書では、共通電位Vcomと基準電位GNDとが同一であるとみなす。ここで、フィードスルーとは、走査線40に走査信号が供給され、データ線50を介して画素電極21に電位が供給された後に、走査線40への走査信号の供給が終了した際(例えば走査線40の電位が低下した際)、画素電極21の電位が、走査線40との間の寄生容量に起因して変動する(例えば走査線40の電位低下とともに低下する)現象をいう。共通電位Vcomは、フィードスルーにより画素電極21の電位が低下することを予め想定して、画素電極21に供給される基準電位GNDより僅かに低い値とされることがあるが、この場合も共通電位Vcomと基準電位GNDとが同電位であるとみなす。
なお、コントローラー10、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220には、各種の信号が入出力されるが、本実施形態と特に関係のないものについては説明を省略する。
図2は、画素20の電気的な構成を示す等価回路図である。
図2において、画素20は、画素スイッチング用トランジスター24と、画素電極21と、対向電極22と、電気泳動素子23と、保持容量27とを備えている。
画素スイッチング用トランジスター24は、例えばN型トランジスターで構成されている。画素スイッチング用トランジスター24は、そのゲートが走査線40に電気的に接続されており、そのソースがデータ線50に電気的に接続されており、そのドレインが画素電極21及び保持容量27に電気的に接続されている。画素スイッチング用トランジスター24は、データ線駆動回路70(図1参照)からデータ線50を介して供給されるデータ電位を、走査線駆動回路60(図1参照)から走査線40を介してパルス的に供給される走査信号に応じたタイミングで、画素電極21及び保持容量27に出力する。
画素電極21には、データ線駆動回路70からデータ線50及び画素スイッチング用トランジスター24を介して、データ電位が供給される。画素電極21は、電気泳動素子23を介して対向電極22と互いに対向するように配置されている。
対向電極22は、共通電位Vcomが供給される共通電位線93に電気的に接続されている。
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセルから構成されている。
保持容量27は、誘電体膜を介して対向配置された一対の電極からなり、一方の電極が、画素電極21及び画素スイッチング用トランジスター24に電気的に接続され、他方の電極が共通電位線93に電気的に接続されている。保持容量27によってデータ電位を一定期間だけ維持することができる。
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の具体的な構成について、図3を参照して説明する。
図3は、電気泳動表示装置1の表示部3の部分断面図である。
図3において、表示部3は、素子基板28と対向基板29との間に電気泳動素子23が挟持される構成となっている。なお、本実施形態では、対向基板29側に画像を表示することを前提として説明する。
素子基板28は、例えばガラスやプラスチック等からなる基板である。素子基板28上には、ここでは図示を省略するが、図2を参照して前述した画素スイッチング用トランジスター24、保持容量27、走査線40、データ線50、共通電位線93等が作り込まれた積層構造が形成されている。この積層構造の上層側に複数の画素電極21がマトリクス状に設けられている。
対向基板29は、例えばガラスやプラスチック等からなる透明な基板である。対向基板29における素子基板28との対向面上には、対向電極22が複数の画素電極21と対向してベタ状に形成されている。対向電極22は、例えばマグネシウム銀(MgAg)、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料から形成されている。
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセル80から構成されており、例えば樹脂等からなるバインダー30及び接着層31によって素子基板28及び対向基板29間で固定されている。なお、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、製造プロセスにおいて、電気泳動素子23が予め対向基板29側にバインダー30によって固定されてなる電気泳動シートが、別途製造された、画素電極21等が形成された素子基板28側に接着層31によって接着されて構成されている。
マイクロカプセル80は、画素電極21及び対向電極22間に挟持され、1つの画素20内に(言い換えれば、1つの画素電極21に対して)1つ又は複数配置されている。
マイクロカプセル80は、被膜85の内部に分散媒81と、複数の白色粒子82と、複数の黒色粒子83とが封入されてなる。マイクロカプセル80は、例えば、50um程度の粒径を有する球状に形成されている。
被膜85は、マイクロカプセル80の外殻として機能し、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガム、ゼラチン等の透光性を有する高分子樹脂から形成されている。
分散媒81は、白色粒子82及び黒色粒子83をマイクロカプセル80内(言い換えれば、被膜85内)に分散させる媒質である。分散媒81としては、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエンや、キシレン、ヘキシルベンゼン、へブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩やその他の油類を単独で又は混合して用いることができる。また、分散媒81には、界面活性剤が配合されてもよい。
白色粒子82は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。
黒色粒子83は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。
このため、白色粒子82及び黒色粒子83は、画素電極21と対向電極22との間の電位差によって発生する電場によって、分散媒81中を移動することができる。
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
図3において、画素電極21と対向電極22との間に、相対的に対向電極22の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によってマイクロカプセル80内で画素電極21側に引き寄せられるとともに、負に帯電された白色粒子82はクーロン力によってマイクロカプセル80内で対向電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80内の表示面側(即ち、対向電極22側)には白色粒子82が集まることになり、表示部3の表示面にはこの白色粒子82の色(即ち、白色)が表示されることとなる。逆に、画素電極21と対向電極22との間に、相対的に画素電極21の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、負に帯電された白色粒子82がクーロン力によって画素電極21側に引き寄せられるとともに、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によって対向電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80の表示面側には黒色粒子83が集まることになり、表示部3の表示面にはこの黒色粒子83の色(即ち、黒色)が表示されることとなる。
なお、白色粒子82、黒色粒子83に用いる顔料を、例えば赤色、緑色、青色等の顔料に代えることによって、赤色、緑色、青色等を表示することができる。
<制御方法>
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の制御方法について、図4から図11を参照して説明する。以下では、図4に示すように、表示部3に表示される画像が、画像P1から画像P2に書き換えられる場合を例にとりながら、前述した電気泳動表示装置1の制御方法について説明する。なお、画像P1及びP2の各々は、黒色及び白色の2階調からなる2階調画像である。図4は、書き換え前の画像P1と書き換え後の画像P2の一例を示す平面図である。
図5は、電気泳動表示装置1における画像書き換えの際の複数の画素電極21へのデータ電位の供給方法を概念的に示す概念図である。なお、図5には、その上段側に、複数のフレーム期間T1、T2、T3、T4及びT5の各々について複数の画素電極21に供給されるデータ電位が概念的に示されており、その下段側に、各フレーム期間T1、T2、T3、T4及びT5において複数の画素電極21にデータ電位が供給されることにより表示部3に表示されることとなる画像が概念的に示されている。
図5に示すように、本実施形態では、表示部3に表示されている画像を画像P1から画像P2へ書き換える際、5つのフレーム期間T1、T2、T3、T4及びT5の各々において、複数の画素20の各々の画素電極21に、画像P1及びP2の画像データに応じたデータ電位を供給することにより、表示部3に画像P2を表示させる。ここで、フレーム期間T1、T2、T3、T4及びT5は、m本の走査線を順次に1回ずつ選択する期間として予め定められた期間である。つまり、フレーム期間T1、T2、T3、T4及びT5の各々において、複数の画素20の各々の画素電極21へのデータ電位の供給(以下、「データ電位供給」と適宜称する)が、コントローラー10による制御下で走査線駆動回路60及びデータ線駆動回路70(以下、走査線駆動回路60及びデータ線駆動回路70を「駆動部」と適宜総称する)によって1回ずつ行われることにより表示部3に表示されていた画像が画像P1から画像P2に書き換えられる。
次に、フレーム期間T1、T2、T3、T4及びT5の各々におけるデータ電位供給について、図5に加えて図6を参照して説明する。
図6は、電気泳動表示装置1における画像書き換えの際に、各画素の画素電極に供給される電位をフレーム期間毎に示すテーブル図である。なお、図6では、図5で示さない第6フレーム期間T6が、ディスチャージ期間(即ち、全ての画素20の画素電極21に基準電位GND(例えば0ボルト)を供給する期間)として図示されている。
図5及び図6において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1では、表示部3に表示されている画像を画像P1から画像P2へ書き換える際、まず、第1フレーム期間T1において、以下のようなデータ電位供給が行われる。なお、データ電位供給は、コントローラー10による制御下で、駆動部(即ち、走査線駆動回路60及びデータ線駆動回路70)によって行われる。
即ち、第1フレーム期間T1では、表示すべき階調が黒色から白色へ変化することとなる領域Rbwに対応する画素20の画素電極21にデータ電位として低電位VL(例えば−15ボルト)が供給され、表示すべき階調が白色から黒色へ変化することとなる領域Rwb、表示すべき階調が白色のままで変化しない領域Rww及び黒色のままで変化しない領域Rbbの各々に対応する画素20の画素電極21にデータ電位として基準電位GND(例えば0ボルト)が供給される。
なお、領域Rbwに対応する画素20は本発明に係る「第1の画素」の一例であり、領域Rwbに対応する画素20は本発明に係る「第2の画素」の一例であり、領域Rww及び領域Rbbの各々に対応する画素は本発明に係る「第3の画素」の一例である。
第1フレーム期間T1においてこのようなデータ電位供給が行われることにより、表示部3には例えば画像M1(図5参照)が表示される。即ち、第1フレーム期間T1においてこのようなデータ電供給が行われた後には、黒色を表示していた画素20のうち領域Rbwに対応する画素20では例えば濃い灰色など黒色から白色側にやや近づいた色が表示され、白色を表示していた画素20のうち領域Rwb及び領域Rwwに対応する画素20では引き続き白色が表示され、黒色を表示していた画素20のうち領域Rbbに対応する画素20では引き続き黒色が表示される。ここで、第1フレーム期間T1は「第1の所定期間」の一例であり、第1フレーム期間T1における上記工程は「第1制御工程」の一例である。
次に、第1フレーム期間T1の後の第2フレーム期間T2では、全ての領域(即ち、領域Rwb、領域Rbw、領域Rww及び領域Rbb)に対応する画素20の画素電極21がハイインピーダンス状態とされる。即ち、全ての画素20の画素電極21に対して電位が供給されない状態となる。
第2フレーム期間T2では、各画素20がハイインピーダンス状態とされるため、各画素20の駆動は行われない。但し、領域Rbwに対応する画素20については、直前の第1フレーム期間T1において低電位VLが供給されている。このため領域Rbwに対応する画素20では、保持容量27に保持された電位がリークすることにより、隣り合う画素への部分的な滲みが生じる。本実施形態では、このような滲みを意図的に発生させることで、書き換え後の輪郭残像を低減する。以下では、輪郭残像の発生について、図7から図11を参照して詳細に説明する。
図7は、比較例に係る電気泳動表示装置における画像書き換えの際の複数の画素電極21へのデータ電位の供給方法を概念的に示す概念図である。また図8は、比較例に係る電気泳動表示装置における画像書き換えの際に、各画素の画素電極に供給される電位をフレーム期間毎に示すテーブル図である。
図7及び図8において、比較例に係る電気泳動表示装置では、表示部3に表示されている画像を画像P1から画像P2へ書き換える際、フレーム期間T1、T2、T3及びT4の各々において、以下のようなデータ電位供給が行われる。
即ち、表示すべき階調が白色から黒色へ変化することとなる領域Rwbに対応する画素20の画素電極にデータ電位として高電位VH(例えば+15ボルト)が供給され、表示すべき階調が黒色から白色へ変化することとなる領域Rbwに対応する画素20の画素電極21にデータ電位として低電位VL(例えば−15ボルト)が供給され、表示すべき階調が白色のままで変化しない領域Rww及び黒色のままで変化しない領域Rbbの各々に対応する画素20の画素電極21にデータ電位として基準電位GND(例えば0ボルト)が供給される。比較例に係る電気泳動表示装置では、上述した本実施形態に係る電気泳動表示装置1とは異なり、フレーム期間T1、T2、T3及びT4の全てにおいて同様に電位が供給される。これにより、画像P1は段階的に画像P2へと書き換えられる。
ここで特に、図7では詳細に図示していないが、画像P1において黒表示されている領域の周辺には、図9に示すように、画像書き換え時のリークに起因する滲みが既に生じている。即ち、書き換え前の画像P1において黒表示されている領域Bp1の周囲を囲むように、灰色の滲みGp1が発生している。なお図9は、比較例に係る書き換え前の画像の一例を示す平面図である。
以下では、上述した滲みの発生原理について、図10を参照して説明する。
図10は、表示部に表示される画像における境界部の滲みの発生を説明するための模式図である。
図10に示すように、領域Rww(即ち、表示すべき階調が白色のままで変化しない領域)に対応する画素20wwの画素電極21wwにデータ電位として基準電位GNDが供給されるととともに、この画素20wwに隣り合う領域wb(即ち、表示すべき階調が白色から黒色へ変化する領域)に対応する画素20wbの画素電極21wbにデータ電位として高電位VHが供給された場合、画素スイッチング用トランジスター24(図2参照)がオフ状態とされたときに、画素電極21wbと画素電極21wwとの間にリーク電流が生じて、基準電位GNDであった画素電極21wwの電位が高くなる(即ち、高電位VHに近づく)おそれがある。よって、画素20wwにおいて、画素電極21wwと対向電極22との間に生じた電位差によって、黒色粒子83が対向電極22側に移動するとともに白色粒子が画素電極21ww側に移動してしまうおそれがある。したがって、白色を表示すべき画素20wwにおいて、灰色や黒色などの白色とは異なる色が表示されてしまうおそれがある。この結果、表示部3に表示される画像における黒画像部分と白画像部分との境界部の滲みが発生してしまうおそれがある。
このような滲みは、例えば図9に示すように、黒色を表示している領域Bp1を囲む領域にのみに発生している間は比較的視認され難い状態であると言える。しかしながら、図11に示すように、画像P1において発生していた滲み領域Gp1は、書き換え後の画像P2においても残り、黒色から白色へと変化した領域を囲むような輪郭残像として視認される状態となってしまう。なお、書き換え後の画像P2において白色から黒色へと変化した領域Bp2の周辺には、新たな滲み領域Gp2が発生するが、書き換え前の画像P1における滲み領域Gp1と同様に、黒色の領域の周辺のみに発生しているため視認し難い状態である。
輪郭残像の発生は、階調によって滲みの発生度合いが異なることに起因している。即ち、輪郭残像は、白色から黒色への書き換えの際に生じる滲みと、黒色から白色への書き換えの際に生じる滲みとの度合いが互いに異なることで、発生する滲みが互いに相殺されないことで発生する。滲みの発生度合いの違いは、例えばマイクロカプセル80における白色粒子82及び黒色粒子83の移動速度の差によって生じる。なお、本実施形態では、黒色から白色への書き換えの際に生じる滲みの方が、白色から黒色への書き換えの際に生じる滲みより度合いが小さい(即ち、黒色粒子83の方が白色粒子より移動速度が速い)場合を前提としている。
図5及び図6に戻り、本実施形態では上述したように、第2フレーム期間T2において、全ての画素20がハイインピーダンス状態とされ、領域Rbwに対応する画素20に隣り合う、領域Rwwに対応する画素20への滲みが意図的に発生させられる。即ち、黒色から白色への書き換えの際に生じる滲みが、意図的に高い程度で発生させられる。これにより、比較的小さい黒色から白色への書き換えの際に生じる滲みの程度を、比較的大きい白色から黒色への書き換えの際に生じる滲みの程度に近づけることができる。よって、領域Rbwに対応する画素20の周囲に既に発生していた滲みが相殺され、書き換え後に発生する輪郭残像を低減することができる。ここで、第2フレーム期間T2は「第2の所定期間」の一例であり、第2フレーム期間T2における上記工程は「第2制御工程」の一例である。
次に、第2フレーム期間T2の後の第3フレーム期間T3では、表示すべき階調が白色から黒色へ変化することとなる領域Rwbに対応する画素20の画素電極21にデータ電位として高電位VH(例えば+15ボルト)が供給され、表示すべき階調が黒色から白色へ変化することとなる領域Rbw、表示すべき階調が白色のままで変化しない領域Rww及び黒色のままで変化しない領域Rbbの各々に対応する画素20の画素電極21にデータ電位として基準電位GND(例えば0ボルト)が供給される。
第3フレーム期間T3においてこのようなデータ電位供給が行われることにより、表示部3には例えば画像M3(図5参照)が表示される。即ち、第3フレーム期間T3においてこのようなデータ電供給が行われた後には、白色を表示していた画素20のうち領域Rwbに対応する画素20では例えば薄い灰色など白色から黒色側にやや近づいた色が表示され、黒色を表示していた画素20のうち領域Rbwに対応する画素20では引き続き例えば濃い灰色など黒色から白色側にやや近づいた色が表示され、白色を表示していた画素20のうち領域Rwwに対応する画素20では引き続き白色が表示され、黒色を表示していた画素20のうち領域Rbbに対応する画素20では引き続き黒色が表示される。
第3フレーム期間T3における駆動によれば、各画素20におけるDCバランス比(即ち、画素電極21及び対向電極22間に白色に応じた電圧が印加される時間と、画素電極21及び対向電極22間に黒色に応じた電圧が印加される時間との比)が崩れてしまうのを抑制或いは防止できる。具体的には、第1フレーム期間T1において、領域Rbwに対応する画素20には白色を表示するための電圧が印加され、領域Rwbに対応する画素20には電圧が印加されなかったことによるDCバランス比の崩れを、第3フレーム期間T3において、領域Rbwに対応する画素20には電圧を印加せず、領域Rwbに対応する画素20に黒色を表示するための電圧を印加することで解消できる。この結果、表示の焼き付きや表示部の劣化を低減することができる。ここで、第3フレーム期間T3は「第4の所定期間」の一例であり、第3フレーム期間T3における上記動作は「第4制御工程」の一例である。
次に、第3フレーム期間T3の後の第4フレーム期間T4では、表示すべき階調が白色から黒色へ変化することとなる領域Rwbに対応する画素20の画素電極21にデータ電位として高電位VH(例えば+15ボルト)が供給され、表示すべき階調が黒色から白色へ変化することとなる領域Rbwに対応する画素20の画素電極21にデータ電位として高電位VL(例えば−15ボルト)が供給され、表示すべき階調が白色のままで変化しない領域Rww及び黒色のままで変化しない領域Rbbの各々に対応する画素20の画素電極21にデータ電位として基準電位GND(例えば0ボルト)が供給される。
第4フレーム期間T4においてこのようなデータ電位供給が行われることにより、表示部3には例えば画像M4(図5参照)が表示される。即ち、第4フレーム期間T4においてこのようなデータ電供給が行われた後には、領域Rwbに対応する画素20では例えば濃い灰色などより白色から黒色側に近づいた色が表示され、領域Rbwに対応する画素20では例えば薄い灰色などより黒色から白色側に近づいた色が表示され、領域Rwwに対応する画素20では引き続き白色が表示され、領域Rbbに対応する画素20では引き続き黒色が表示される。ここで、第4フレーム期間T4は「第3の所定期間」の一例であり、第4フレーム期間T4における上記動作は「第3制御工程」の一例である。
次に、第4フレーム期間T4の後の第5フレーム期間T5では、表示すべき階調が白色から黒色へ変化することとなる領域Rwbに対応する画素20の画素電極21にデータ電位として高電位VH(例えば+15ボルト)が供給され、表示すべき階調が黒色から白色へ変化することとなる領域Rbwに対応する画素20の画素電極21にデータ電位として高電位VL(例えば−15ボルト)が供給され、表示すべき階調が白色のままで変化しない領域Rww及び黒色のままで変化しない領域Rbbの各々に対応する画素20の画素電極21にデータ電位として基準電位GND(例えば0ボルト)が供給される。即ち、第5フレーム期間T5では、第4フレーム期間T4と同様のデータ電位供給が行なわれる。
第5フレーム期間T5においてこのようなデータ電位供給が行われることにより、表示部3には書き換え後の画像P2(図5参照)が表示される。即ち、第5フレーム期間T5においてこのようなデータ電供給が行われた後には、領域Rwbに対応する画素20では黒色が表示され、領域Rbwに対応する画素20では白色が表示され、領域Rwwに対応する画素20では引き続き白色が表示され、領域Rbbに対応する画素20では引き続き黒色が表示される。ここで、第5フレーム期間T5は「第3の所定期間」の一例であり、第5フレーム期間T5における上記動作は「第3制御工程」の一例である。
以上のように、本実施形態では、階調が変化すべき画素20のみに電位を供給する部分書き換えを段階的に行なうと共に、黒から白へと変化すべき領域Rbwに対応する画素20のみに電位を供給した直後に全ての画素20をハイインピーダンス状態とする期間を設けることで、領域Rbw周辺に発生していた滲みを低減し、輪郭残像の発生を抑制することができる。
なお、本実施形態では、領域Rbwに対応する画素20のみへのデータ電位供給を行なう期間及び各画素20をハイインピーダンス状態とする期間を、それぞれ第1フレーム期間T1及び第2フレーム期間T2としたが、これら2つの期間がこの順序で連続する期間である限り、他の期間において行われてもよい。例えば、領域Rbwに対応する画素20のみへのデータ電位供給を行なう期間を第2フレーム期間T2とし、各画素20をハイインピーダンス状態とする期間を第3フレーム期間T3としてもよい。加えて、各画素20をハイインピーダンス状態とする期間は、1フレーム期間より長くてもよいし、短くてもよい。
また、本実施形態では、黒色から白色への書き換えの際に生じる滲みの方が、白色から黒色への書き換えの際に生じる滲みより度合いが小さい場合を前提として説明したが、黒色から白色への書き換えの際に生じる滲みの方が、白色から黒色への書き換えの際に生じる滲みより度合いが大きい場合には、白色から黒色へと変化すべき領域Rwbに対応する画素20のみに電位を供給した直後に全ての画素20をハイインピーダンス状態とする期間を設ければよい。この場合は、領域Rwbに対応する画素20が「第1の画素」に相当し、領域Rbwに対応する画素20が「第2の画素」に相当することとなる。なお、本実施形態に係る制御方法は、白色及び黒色の2階調を表示する電気泳動表示装置1に限らず、滲みの発生度合いが異なる複数の階調を表示する表示装置であれば適用することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、表示部3に表示される画像における輪郭残像の発生を効果的に抑制することが可能である。従って、高品質な画像を表示することが可能となる。
<電子機器>
次に、前述した電気泳動表示装置を適用した電子機器について、図12及び図13を参照して説明する。以下では、前述した電気泳動表示装置を電子ペーパー及び電子ノートに適用した場合を例にとる。
図12は、電子ペーパー1400の構成を示す斜視図である。
図12に示すように、電子ペーパー1400は、前述した実施形態に係る電気泳動表示装置を表示部1401として備えている。電子ペーパー1400は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1402を備えて構成されている。
図13は、電子ノート1500の構成を示す斜視図である。
図13に示すように、電子ノート1500は、図12で示した電子ペーパー1400が複数枚束ねられ、カバー1501に挟まれているものである。カバー1501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力するための表示データ入力手段(図示せず)を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
前述した電子ペーパー1400及び電子ノート1500は、前述した実施形態に係る電気泳動表示装置を備えるので、高品質な画像表示を行うことが可能である。
なお、これらの他に、腕時計、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部に、前述した本実施形態に係る電気泳動表示装置を適用することができる。
なお、上記実施形態では、白色粒子82が負に帯電し、黒色粒子83が正に帯電している例で説明したが、白色粒子82が正に帯電し、黒色粒子83が負に帯電していてもよい。また、電気泳動素子23は、マイクロカプセル80を有する構成に限られず、隔壁によって仕切られた空間に電気泳動分散媒と電気泳動粒子が含まれる構成であってもよい。また、電気光学装置として電気泳動素子23を有するものを例に説明したが、これに限定する趣旨ではない。電気光学装置は、上記実施形態のように輪郭残像が生じ得る表示素子を備えるものであればどのようなものであってもよく、例えば電子粉流体を用いた電気光学装置であってもよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置の制御方法、電気光学装置の制御装置、電気光学装置、及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。