JP2012236924A - 熱分解炉、熱分解油の製造装置および熱分解油の製造方法 - Google Patents

熱分解炉、熱分解油の製造装置および熱分解油の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機物原料から液化可能な熱分解ガスを製造する連続式高速熱分解炉であって、ラボスケールでも液化可能な熱分解ガスを効率的に製造することができる連続式高速熱分解炉を提供すること。
【解決手段】本発明の熱分解炉(100)は、有機物供給口(112)および熱分解ガス取出口(114)を有する管状の熱分解炉本体(110)と、熱分解炉本体(110)内に配置された複数の球状熱媒体(120)と、球状熱媒体(120)を加熱する熱媒体加熱部(130)とを有する。球状熱媒体(120)は、熱分解炉本体(110)内において、有機物供給口(112)から熱分解ガス取出口(114)の方向に移動している。有機物供給口(112)から供給された有機物原料と、加熱された球状熱媒体(120)とを接触させて、有機物原料から熱分解ガスを発生させる。発生した熱分解ガスは、熱分解ガス取出口(114)から取り出される。
【選択図】図1

Description

本発明は、バイオマスなどの有機物を原料として液化可能な熱分解ガスを製造する熱分解炉、前記熱分解炉を有する熱分解油の製造装置、およびバイオマスなどの有機物を原料として熱分解油を製造する熱分解油の製造方法に関する。
バイオマスは、再生可能な生物由来の資源であって、化石資源を除いたものと定義されている。バイオマスの例には、林地残材、稲藁、麦藁、籾殻、資源作物、飼料作物、デンプン作物などの未利用バイオマスや、廃棄紙、家畜糞尿、食品廃棄物、建築廃材、黒液、下水汚泥、生ごみなどの廃棄物系バイオマスなどが含まれる。
バイオマスは、化石資源と異なり、持続的に再生可能な資源である。また、バイオマスの燃焼により発生する二酸化炭素は、生物が大気中から吸収したものであることから、バイオマスは、大気中の二酸化炭素を増加させない(カーボンニュートラル)。これらのことから、近年、エネルギー源や工業原料などとしてのバイオマスの活用が注目されている。
バイオマスは、燃焼させて直接的に利用することも可能であるが、このような直接的利用は、保存性や輸送性、利用性などに問題がある。そこで、近年は、バイオマスを熱化学的または生物化学的に変換させた上で利用することが多い。
バイオマスの熱化学的変換方法の一つに、バイオマスを熱分解油に変換する急速熱分解法がある。急速熱分解法では、低酸素雰囲気においてバイオマスを500℃程度まで急速に加熱し、発生した熱分解ガスを急速に冷却することで熱分解油を製造する。得られた熱分解油は、黒褐色で粘性を有する液状組成物であり、バイオオイルやバイオクルードなどとも称される。この熱分解油は、化石資源に代わるエネルギー源および工業原料として注目されている。
急速熱分解法で熱分解油を製造する際には、熱分解反応を生じさせてから数秒以内に熱分解ガスを反応系外に移動させる必要があるため、バッチ式ではなく連続式の高速熱分解炉を使用するのが一般的である。このような連続式の高速熱分解炉としては、流動層熱分解炉が主として用いられている(例えば、非特許文献1参照)。近年、バブリング流動層熱分解炉または循環流動層熱分解炉を有する商業プラントが相次いで建設されている。
Park, Y.K., Jeon, J.K., Kim, S. and Kim, J.S., "Bio-Oil from rice straw by pyrolysis using fluidized bed and char removal system", Prepr. Pap.-Am. Chem. Soc., Div. Fuel Chem., Vol.49, No.2, pp.800-801.
急速熱分解法で熱分解油を製造する場合、使用する有機物原料の種類により熱分解などの最適条件が変わってしまう。たとえば、間伐材を原料とする場合と稲藁を原料とした場合とでは、熱分解条件も冷却条件も大きく異なる。有機物原料の種類に応じた最適な熱分解の条件を探るためには、試験を繰り返し行わなければならない。
しかしながら、現在採用されている流動層熱分解炉は、その構造上、実験室に設置できる程度まで小型化することが困難である。したがって、ラボスケールの熱分解炉で試験を行うことができず、ベンチスケール(またはプラントスケール)の熱分解炉で試験を行うしかなかった。ベンチスケールの熱分解炉では、製造コストがかかるだけではなく、1回あたりの試験コスト(費用および時間)も高くなってしまう。
以上の観点から、現在、ラボスケールでも試験を行うことができる連続式高速熱分解炉の開発が強く求められている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、有機物原料から液化可能な熱分解ガスを製造する連続式高速熱分解炉であって、ラボスケールでも液化可能な熱分解ガスを効率的に製造することができる連続式高速熱分解炉を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記連続式高速熱分解炉を利用した熱分解油の製造装置および熱分解油の製造方法を提供することも目的とする。
本発明者は、ステンレス鋼球などの球状熱媒体を利用して有機物原料を加熱することで、熱分解炉の内部空間を極限まで小さくできることを見出した。そして、本発明者は、上記知見にさらに検討を加えることで、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の熱分解炉に関する。
[1]有機物供給口および熱分解ガス取出口を有する管状の熱分解炉本体と;前記熱分解炉本体内に配置され、前記熱分解炉本体内を前記有機物供給口から前記熱分解ガス取出口の方向に移動する複数の球状熱媒体と;前記球状熱媒体を加熱する熱媒体加熱部とを有し;前記有機物供給口から供給された有機物原料と前記加熱された球状熱媒体とを接触した状態で移動させ、前記有機物原料から発生した前記熱分解ガスを前記熱分解ガス取出口から取り出す、熱分解炉。
[2]前記球状熱媒体の直径は、3〜20mmの範囲内である、[1]に記載の熱分解炉。
[3]前記球状熱媒体は、ステンレス鋼球、鉄球、アルミニウム球、セラミックス球またはこれらの組み合わせである、[1]または[2]に記載の熱分解炉。
[4]前記熱分解炉本体は、環状の管である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の熱分解炉。
[5]前記熱分解炉本体は、ステンレス鋼からなる丸管である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の熱分解炉。
[6]前記熱分解炉本体内の前記球状熱媒体を、前記有機物供給口から前記熱分解ガス取出口の方向に移動させる、熱媒体移送部をさらに有する、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の熱分解炉。
[7]前記熱媒体移送部は、前記熱分解炉本体内において前記球状熱媒体を一方向に押すことで、前記球状熱媒体を前記有機物供給口から前記熱分解ガス取出口の方向に移動させる、[6]に記載の熱分解炉。
[8]前記熱媒体移送部は、前記熱分解炉本体内に設置されたスクリューフィーダーである、[7]に記載の熱分解炉。
[9]前記熱媒体加熱部は、前記熱分解炉本体外に設置されたヒーターである、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の熱分解炉。
[10]前記熱媒体加熱部の少なくとも一つは、前記有機物供給口よりも、前記球状熱媒体の移動方向の上流部に設置される、[9]に記載の熱分解炉。
また、本発明は、以下の熱分解油の製造装置にも関する。
[11][1]〜[10]のいずれか一項に記載の熱分解炉と;前記熱分解炉の前記熱分解ガス取出口から取り出された熱分解ガスを冷却して液化する冷却器とを有する、熱分解油の製造装置。
また、本発明は、以下の熱分解油の製造方法にも関する。
[12]複数の球状熱媒体を加熱するステップと;加熱された前記複数の球状熱媒体を、管状の熱分解炉本体内において一方向に移動させるステップと;移動させられている前記複数の球状熱媒体と有機物原料とを接触させて、前記有機物原料を熱分解するステップと;前記熱分解炉本体内から熱分解ガスを取り出すステップと;前記熱分解ガスを冷却して熱分解油を得るステップとを有する、熱分解油の製造方法。
[13]前記球状熱媒体の直径は、3〜20mmの範囲内である、[12]に記載の熱分解油の製造方法。
[14]前記球状熱媒体は、ステンレス鋼球、鉄球、アルミニウム球、セラミックス球またはこれらの組み合わせである、[12]または[13]に記載の熱分解油の製造方法。
[15]前記熱分解炉本体は、ステンレス鋼からなる丸管である、[12]〜[14]のいずれか一項に記載の熱分解油の製造方法。
本発明によれば、ラボスケールであっても、液化可能な熱分解ガスを急速熱分解法で効率的に製造できる連続式高速熱分解炉を提供することができる。本発明の熱分解炉を用いれば、ラボスケールで有機物原料の種類に応じた最適な熱分解の条件を迅速に探ることができる。
本発明の熱分解炉の概念を説明するための模式図 熱媒体移送部が球状熱媒体を移動させる例を示す模式図 本発明の一実施の形態に係る熱分解油の製造装置の構成を示す模式図 熱分解炉本体の横断面図
本発明の熱分解炉は、急速熱分解法で熱分解油を製造する際に用いられる連続式高速熱分解炉であって、熱分解炉本体と、球状熱媒体と、熱媒体加熱部とを有する。
図1は、本発明の熱分解炉の概念を説明するための模式図である。100は熱分解炉、110は熱分解炉本体、112は有機物供給口、114は熱分解ガス取出口、120は球状熱媒体、130は熱媒体加熱部、140は球状熱媒体の移動方向を示す矢印、150は有機物原料を示している。
以下、図1を参照しながら、本発明の各構成要素について説明する。
熱分解炉本体110は、内部に反応用の空間を有する管体である。熱分解反応は低酸素雰囲気において行われるため、熱分解炉本体110の内部空間は外気から隔離されている。通常、熱分解炉本体110の内部空間は、真空に近い状態であるか、窒素などの不活性ガスが充填されている。
熱分解炉本体110の材料は、稼動時に壊れない程度の強度および耐熱性を有するものであれば特に限定されないが、耐食性に優れるものであることが好ましい。熱分解炉本体110の例には、ステンレス鋼管などが含まれる。
熱分解炉本体110は、2つの端部を有する管体(例えば直管)であってもよいし、2つの端部が接続された環状の管体(例えば環管)であってもよい。熱分解炉本体110を環状の管体とすることで、熱分解炉本体110の内部空間を外気から容易に隔離することができる。また、熱分解炉本体110内で球状熱媒体120を一方向に循環的に移動させることもできる。
熱分解炉本体110の断面形状は、特に限定されないが、円形であることが好ましい。すなわち、熱分解炉本体110は、丸管(円管)であることが好ましい。熱分解炉本体110の断面形状が円形の場合、内部に配置された球状熱媒体120が不規則に移動しても、球状熱媒体120が熱分解炉本体110内面の特定の部位にのみ衝突するということがなく、力が分散するからである。
熱分解炉本体110の内径は、特に限定されず、球状熱媒体120の直径などに応じて適宜設定すればよい。
熱分解炉本体110には、有機物供給口112および熱分解ガス取出口114が設けられている。有機物供給口112は、粉状バイオマスなどの有機物原料150を熱分解炉本体110内に供給するための貫通孔である。通常、有機物供給口112には、有機物供給器が取り付けられている。有機物供給器は、所定の速度で有機物原料150を熱分解炉本体110内に供給する。一方、熱分解ガス取出口114は、熱分解炉本体110内で発生した熱分解ガスを熱分解炉本体110外に取り出すための貫通孔である。通常、熱分解ガス取出口114は、熱分解ガスを液化するための冷却器に接続されている。
有機物供給口112および熱分解ガス取出口114は、いずれも熱分解炉本体110の上側の面に設けられることが好ましい。有機物供給口112を熱分解炉本体110の上側の面に設けることで、熱分解炉本体110内の球状熱媒体120の上に有機物原料150を均一に供給することができる。また、熱分解ガス取出口114を熱分解炉本体110の上側の面に設けることで、熱分解ガスを効率的に取り出すことができる。
有機物供給口112と熱分解ガス取出口114との間隔は、有機物原料150の種類や大きさ、稼動時の球状熱媒体120の移動速度などに応じて設定される。急速熱分解法で熱分解油を得るためには、熱分解反応の時間を必要以上に長くしないことが重要である。熱分解反応が長すぎると、熱分解ガスに含まれる有機物がさらに分解されてしまい(ガス化)、熱分解油を得ることができない。たとえば、熱分解反応が2秒以内となるように、有機物供給口112と熱分解ガス取出口114との間隔は設定される。
球状熱媒体120は、有機物原料150を加熱するための球体である。本発明の熱分解炉100では、複数の球状熱媒体120が熱分解炉本体内に収容されている。より具体的には、複数の球状熱媒体120は、熱分解炉本体内の底面(下部内面)上に敷き詰められている。通常、複数の球状熱媒体120は、1層の球状熱媒体層を形成するように熱分解炉本体110内の底面上に並んでいる(図1および図4参照)。
球状熱媒体120の材料は、稼動時に壊れない程度の強度を有するものであれば特に限定されないが、比熱が高く、かつ1層の球状熱媒体層を形成しうる程度の重さを有するものが好ましい。球状熱媒体120の例には、ステンレス鋼球や鉄球、アルミニウム球、セラミックス球などが含まれる。球状熱媒体120は、1種類のみ使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
球状熱媒体120の直径は、使用する有機物原料150の種類や大きさなどに応じて適宜設定すればよい。通常、球状熱媒体120の直径は、3mm〜20mmの範囲内である。熱分解炉本体110内には、同一サイズの球状熱媒体120が収容されていてもよいし、異なるサイズの球状熱媒体120が混合された状態で収容されていてもよい。なお、従来の流動層熱分解炉では、熱媒体を空気の力で浮遊させることから、熱媒体の直径は通常1mm未満である。
球状熱媒体120は、熱分解炉本体110内において、有機物供給口112から熱分解ガス取出口114の方向に一方向に移動する(図1の矢印140参照)。
球状熱媒体120を移動させる方法は、特に限定されない。たとえば、本発明の熱分解炉100にさらに熱媒体移送部を設け、この熱媒体移送部により球状熱媒体120を移動させてもよい。熱媒体移送部は、球状熱媒体120を機械的に押して球状熱媒体120を移動させてもよいし、磁力や重力などを利用して球状熱媒体120を移動させてもよい。
図2は、熱媒体移送部が球状熱媒体120を移動させる方法の例を示す模式図である。
図2Aは、球状熱媒体120を機械的に押して球状熱媒体120を移動させる例である。この例では、熱媒体移送部として、スクリューフィーダー(スクリューコンベア)160を使用している。この後の実施の形態において示すように、熱分解炉本体110を環状とした場合、スクリューフィーダー160を使用することで、環状の熱分解炉本体110内において球状熱媒体120を一方向に循環的に移動させることができる。
図2Bは、磁力を用いて球状熱媒体120を移動させる例である。この例では、熱媒体移送部として、磁石170を固定したベルトコンベアを使用している。この態様でも、熱分解炉本体110を環状とした場合、環状の熱分解炉本体110内において球状熱媒体120を一方向に循環的に移動させることができる。
図2Cは、重力を利用して球状熱媒体120を移動させる例である。この例では、熱媒体移送部(図示せず)は、所定の角度で傾けられている熱分解炉本体110の上流部から
球状熱媒体120を供給している。この態様では、熱分解炉本体110の下流部において球状熱媒体120を回収し、回収した球状熱媒体120を熱分解炉本体110の上流部から再度供給するようにしてもよい。また、円環状の熱分解炉本体110の中心軸を地面に対して傾けた状態(垂直ではない状態)で、円環状の熱分解炉本体110を回転させることでも、重力を利用して球状熱媒体120を移動させることができる。
熱媒体加熱部130は、熱分解炉本体110内の球状熱媒体120を加熱するための加熱器(ヒーター)である。加熱器の種類は、有機物原料150を急速に熱分解できる温度(例えば、450〜600℃)まで球状熱媒体120を加熱することができれば特に限定されない。熱媒体加熱部130の例には、バンドヒーターなどが含まれる。
熱媒体加熱部130の数および設置位置は、熱分解炉本体110の大きさや形状、球状熱媒体120の種類や数などに応じて適宜設定すればよい。有機物供給口112より供給された有機物原料150を急速に熱分解する観点から、少なくとも1つの熱媒体加熱部130が、球状熱媒体120の移動方向の上流に設置されることが好ましい。
次に、本発明の熱分解炉を用いて液化可能な熱分解ガスを製造する方法について、図1を参照して説明する。
熱分解炉本体110内の複数の球状熱媒体120は、熱媒体加熱部130により所定の温度まで加熱されている。球状熱媒体120は、有機物原料150を瞬時に熱分解できる温度(例えば、450〜600℃)に加熱される。また、球状熱媒体120は、熱分解炉本体110内において、有機物供給口112から熱分解ガス取出口114の方向に一方向に移動している(図1の矢印140参照)。たとえば、球状熱媒体120は、熱媒体移送部により移動させられる。球状熱媒体120の加熱および移動は、同時に行ってもよいし、別個に行ってもよい。すなわち、球状熱媒体120を加熱した後に、球状熱媒体120を移動させてもよいし、球状熱媒体120を一方向に移動させつつ加熱してもよい。いずれの場合であっても、複数の球状熱媒体120は、有機物供給口112に到達するまでに所定の温度に加熱されている。
所定の温度に加熱された球状熱媒体120が有機物供給口112の付近に到達すると、有機物供給口112から球状熱媒体120上に有機物原料150が供給される。供給された有機物原料150は、移動している球状熱媒体120と接触し、瞬時に加熱される。これにより、有機物原料150は熱分解され、熱分解ガスが発生する。発生した熱分解ガスは、極めて短い時間の間(例えば、2秒以内)に熱分解ガス取出口114から熱分解炉本体110外へ取り出される。
以上の手順により、本発明の熱分解炉を用いて液化可能な熱分解ガスを製造することができる。
以上のように、本発明の熱分解炉は、球状熱媒体を浮遊させることなく有機物原料を加熱するため、熱分解させるのに必要なスペース(反応炉内の体積)が従来の連続式高速熱分解炉に比べて極めて小さい。したがって、本発明の熱分解炉は、実験室に設置しうる程度にまで小型化することができる。
なお、本発明の熱分解炉と冷却器を接続することで、熱分解油の製造装置とすることができる(実施の形態参照)。この熱分解油の製造装置では、熱分解炉本体の熱分解ガス取出口と冷却器とが接続されている。この熱分解油の製造装置は、熱分解ガス取出口から取り出された熱分解ガスを冷却器で冷却し、液化することで、熱分解油を製造することができる。
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について、図3および図4を参照して詳細に説明する。ここでは、本発明の熱分解炉を有する熱分解油製造装置(本発明の熱分解油製造装置)について説明する。
図3は、本発明の一実施の形態に係る熱分解油製造装置の構成を示す模式図である。図3Aは平面図であり、図3Bは側面図である。また、図4は、熱分解炉本体の横断面図である。
図3に示されるように、熱分解油製造装置200は、熱分解炉300および冷却器400を有する。また、図3および図4に示されるように、熱分解炉300は、有機物原料供給器310、熱分解炉本体320、球状熱媒体330、熱媒体加熱部340、熱媒体移送部350、炭化物取出部360および熱分解ガス連絡流路370を有する。
以下、熱分解油製造装置200の各構成要素について説明する。
有機物原料供給器310は、熱分解炉本体320の有機物供給口322に接続されており、有機物原料(例えば、粉状バイオマス)を熱分解炉本体320内に供給する。有機物原料供給器310の有機物原料を収容する空間と有機物供給口322との間にはスリットが設けられており、このスリットの幅を調整することで、有機物原料の供給速度を制御することができる。たとえば、有機物原料供給器310は、1〜10g/分の割合で有機物原料を熱分解炉本体320内に供給する。
熱分解炉本体320は、環状(厳密には「D」字状)に接続された、ステンレス鋼からなる内径40〜60mm程度の丸管である。このステンレス鋼管には、球状熱媒体330の移動方向(図3Aの矢印参照)の上流側から、有機物供給口322、熱分解ガス取出口324および炭化物取出口326が設けられている。有機物供給口322および熱分解ガス取出口324は、ステンレス鋼管の上側の面(天面)に設けられている。一方、炭化物取出口326は、ステンレス鋼管の下側の面(底面)に設けられている。炭化物取出口326には、球状熱媒体330が落ちないようにスリットが設けられている。
球状熱媒体330は、熱分解炉本体320内に多数(例えば、3000〜4000個)収容されている、直径5〜10mm程度のステンレス鋼球である。図4に示されるように、球状熱媒体330は、熱分解炉本体320の底面上に1層に敷き詰められている(熱媒体移送部350が設置されている部分を除く)。
熱媒体加熱部340は、熱分解炉本体320の外周部に4つ設置されているヒーターである。熱媒体加熱部340は、有機物原料が球状熱媒体330に接触した際に急速に熱分解させることができるように、球状熱媒体330を450〜600℃に加熱する。
熱媒体移送部350は、熱分解炉本体320の直線部(有機物供給口322よりも上流に位置する)に設置されたスクリューフィーダーである。熱媒体移送部350は、熱分解炉本体320の下流(炭化物取出口326側)で球状熱媒体330を回収するとともに、熱分解炉本体320の上流(有機物供給口322側)で球状熱媒体330を供給する。これにより、球状熱媒体330は、熱分解炉本体320内を一定方向に移動させられる(図3Aの矢印参照)
炭化物取出部360は、熱分解炉本体320の炭化物取出口326に接続されており、熱分解炉本体320内の炭化物(粉炭)を回収する。
熱分解ガス連絡流路370は、熱分解炉本体320の熱分解ガス取出口324および冷却器400に接続されており、熱分解炉本体320内で発生した熱分解ガスを冷却器400に供給する管である。
冷却器400は、熱分解ガス連絡流路370から供給された熱分解ガスを冷却して熱分解油を分離する、サイクロン式の気液分離装置である。たとえば、冷却器400は、熱分解ガスを0℃程度まで冷却して、熱分解油を分離する。
次に、熱分解油製造装置200の動作について説明する。
熱分解炉本体320内の球状熱媒体330は、熱媒体移送部350により一方向に押し出されながら、熱媒体加熱部340により所定の温度になるように加熱されている。球状熱媒体330は、熱媒体移送部350により押し出された後、有機物供給口322の下、熱分解ガス取出口324の下、および炭化物取出口326の上を順次通過し、再び熱媒体移送部350に回収される(図3Aの矢印参照)。すなわち、球状熱媒体330は、所定の温度に加熱された状態で、熱分解炉本体320内を時計回りに回り続けている。
有機物原料供給器310が、有機物原料を熱分解炉本体320内に一定速度で供給すると、有機物原料は移動している球状熱媒体330と接触し、瞬時に加熱される。これにより、有機物原料は熱分解され、熱分解ガスが発生する。発生した熱分解ガスは、2秒以内に熱分解ガス取出口324から取り出され、冷却器400に供給される。冷却器400において、熱分解ガスは、熱分解油と気体燃料とに分離される。
以上の手順により、熱分解油製造装置200は、熱分解油を製造することができる。
本発明の熱分解炉、熱分解油の製造装置および製造方法は、ラボスケール、ベンチスケールまたはプラントスケールで熱分解油を製造する際の熱分解炉、熱分解油の製造装置および製造方法として有用である。
100 熱分解炉
110 熱分解炉本体
112 有機物供給口
114 熱分解ガス取出口
120 球状熱媒体
130 熱媒体加熱部
140 球状熱媒体の移動方向
150 有機物原料
160 スクリューフィーダー
170 磁石
200 熱分解油製造装置
300 熱分解炉
310 有機物原料供給器
320 熱分解炉本体
322 有機物供給口
324 熱分解ガス取出口
326 炭化物取出口
330 球状熱媒体
340 熱媒体加熱部
350 熱媒体移送部
360 炭化物取出部
370 熱分解ガス連絡流路
400 冷却器

Claims (15)

  1. 有機物供給口および熱分解ガス取出口を有する、管状の熱分解炉本体と、
    前記熱分解炉本体内に配置され、前記熱分解炉本体内を前記有機物供給口から前記熱分解ガス取出口の方向に移動する、複数の球状熱媒体と、
    前記球状熱媒体を加熱する、熱媒体加熱部と、を有し、
    前記有機物供給口から供給された有機物原料と、前記加熱された球状熱媒体とを接触した状態で移動させ、前記有機物原料から発生した前記熱分解ガスを前記熱分解ガス取出口から取り出す、
    熱分解炉。
  2. 前記球状熱媒体の直径は、3〜20mmの範囲内である、請求項1に記載の熱分解炉。
  3. 前記球状熱媒体は、ステンレス鋼球、鉄球、アルミニウム球、セラミックス球またはこれらの組み合わせである、請求項2に記載の熱分解炉。
  4. 前記熱分解炉本体は、環状の管である、請求項1に記載の熱分解炉。
  5. 前記熱分解炉本体は、ステンレス鋼からなる丸管である、請求項1に記載の熱分解炉。
  6. 前記熱分解炉本体内の前記球状熱媒体を、前記有機物供給口から前記熱分解ガス取出口の方向に移動させる、熱媒体移送部をさらに有する、請求項1に記載の熱分解炉。
  7. 前記熱媒体移送部は、前記熱分解炉本体内において前記球状熱媒体を一方向に押すことで、前記球状熱媒体を前記有機物供給口から前記熱分解ガス取出口の方向に移動させる、請求項6に記載の熱分解炉。
  8. 前記熱媒体移送部は、前記熱分解炉本体内に設置されたスクリューフィーダーである、請求項7に記載の熱分解炉。
  9. 前記熱媒体加熱部は、前記熱分解炉本体外に設置されたヒーターである、請求項1に記載の熱分解炉。
  10. 前記熱媒体加熱部の少なくとも一つは、前記有機物供給口よりも、前記球状熱媒体の移動方向の上流部に設置される、請求項9に記載の熱分解炉。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の熱分解炉と、
    前記熱分解炉の前記熱分解ガス取出口から取り出された熱分解ガスを冷却して液化する冷却器と、
    を有する、熱分解油の製造装置。
  12. 複数の球状熱媒体を加熱するステップと、
    加熱された前記複数の球状熱媒体を、管状の熱分解炉本体内において一方向に移動させるステップと、
    移動させられている前記複数の球状熱媒体と有機物原料とを接触させて、前記有機物原料を熱分解するステップと、
    前記熱分解炉本体内から熱分解ガスを取り出すステップと、
    前記熱分解ガスを冷却して熱分解油を得るステップと、
    を有する、熱分解油の製造方法。
  13. 前記球状熱媒体の直径は、3〜20mmの範囲内である、請求項12に記載の熱分解油の製造方法。
  14. 前記球状熱媒体は、ステンレス鋼球、鉄球、アルミニウム球、セラミックス球またはこれらの組み合わせである、請求項13に記載の熱分解油の製造方法。
  15. 前記熱分解炉本体は、ステンレス鋼からなる丸管である、請求項12に記載の熱分解油の製造方法。
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