JP2012236254A - 移動体把持装置と方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対象物の位置又は姿勢を計測する計測装置12と、対象物を計測した計測結果から、対象物の内部状態を推定し把持の可否を判定する状態推定装置14と、ロボットを制御するロボット制御装置20とを備える。(A)計測装置12により、対象物の位置又は姿勢を計測し、(B)計測結果から、状態推定装置14により、状態遷移モデルと観測モデルに基づいて、精度指標値を含む対象物の内部状態を推定し、かつ(C)精度指標値から対象物の把持の可否を判定し、(D)把持可能の場合、ロボット制御装置20により、内部状態の推定結果に基づいて対象物の移動先を予測してロボットを把持動作し、(E)把持不可の場合、前記(A)〜(D)を繰り返す。
【選択図】図2
Description
また、視覚センサの場合、センサの計測周期はロボットの制御周期(例:4ms)よりも一般に長いため、ロボットは制御周期ごとに最新の計測結果を得られるわけではなく、その分が計測遅れとなる。特に、画像処理に時間がかかったり、ワークがカメラの視野から外れたりすると、計測結果が更新される周期はさらに長くなり、かつ一定ではなくなる。このように、移動するワークを扱う装置では、制御遅れによりロボットの追従性能が低下する問題点があった。
特許文献2の「3次元運動予測装置」は、単振動する被計測体の位置データからその運動パラメータを推定し、その将来の位置を予測し、その位置情報を基にマニュピュレータにより被計測体を把持するものである。
特許文献3の状態推定手段は、観測により時系列に入力される観測信号に基づいて、その観測を行ったシステムの内部状態を推定するものである。内部状態とは、対象物の位置、姿勢、振れ角などの状態変数を意味する。
特許文献4の「運動予測装置」は、バックグラウンド処理とフォアグラウンド処理を併用して自動追尾と運動予測を行うものである。
特許文献1では、把持動作に移行する前に、アームと対象物の偏差が一定になっている状態(完全追従状態、不完全追従状態)であることを判定する。この判定によって、アームと対象物の運動状態が高い精度で一致している時のみ把持動作をするため、把持精度が向上する。しかし、この判定条件は、等速直線運動、等速円運動、等加速度直線運動には適用できるが、それ以外の運動に対して適用できない。
(1)計測開始直後。
(2)対象物を計測できない時間がしばらく続いた時。
(3)対象物が、事前に定めた状態遷移モデルと違った動きをしている時。
対象物の位置又は姿勢を計測する計測装置と、
対象物を計測した計測結果から、状態遷移モデルと観測モデルに基づいて、精度指標値を含む対象物の内部状態を推定し、かつ精度指標値から対象物の把持の可否を判定する状態推定装置と、
把持可能の場合、内部状態の推定結果に基づいて対象物の移動先を予測して把持動作するようにロボットを制御するロボット制御装置と、を備えることを特徴とする移動体把持装置が提供される。
(A)計測装置により、対象物の位置又は姿勢を計測し、
(B)計測した計測結果から、状態推定装置により、状態遷移モデルと観測モデルに基づいて、精度指標値を含む対象物の内部状態を推定し、かつ
(C)精度指標値から対象物の把持の可否を判定し、
(D)把持可能の場合、ロボット制御装置により、内部状態の推定結果に基づいて対象物の移動先を予測してロボットを把持動作し、
(E)把持不可の場合、前記(A)〜(D)を繰り返す、ことを特徴とする移動体把持方法が提供される。
この図において、1は対象物(ワーク)、2はロボット、3はロボットアーム、4はハンド、5aはハンド4に固定された第1カメラ、5bは外部の定位置に固定された第2カメラ、10は移動体把持装置である。
このロボットシステムは、振り子運動しながら移動するワーク1をカメラ5a,5bで計測し、ロボット2をワーク1に追従させて制御し、ハンド4によりワーク1を把持するようになっている。
この図において、移動体把持装置10は、計測装置12、状態推定装置14、及びロボット制御装置20を備える。状態推定装置14は、データ記憶装置16を備える。
計測装置12は、この例では第1カメラ5aと第2カメラ5bにそれぞれ接続された2台の計測装置(第1計測装置12aと第2計測装置12b)からなる。
すなわち、この例では、カメラと計測装置をそれぞれ2台用い、第1カメラ5aと第2カメラ5bから対象物1の画像を取り込み、画像処理によって、対象物1の位置と姿勢を求める。求められた対象物1の位置と姿勢は、データ記憶装置16に記憶される。
なお、計測装置12は、この構成に限定されず、対象物1の位置を1台で3次元計測することができる計測装置、例えばレーザレーダを用いてもよい。
この状態推定アルゴリズムでは、「状態遷移モデル」として、以下の4つを定義する。
時刻t=0の時の内部状態:X0
初期条件X0の共分散:CovX0
状態遷移方程式:Xt+Δt=f(Xt,Δt)・・・(1)
単位時間当たりのプロセスノイズ(共分散):Q
状態遷移方程式(1)は、時刻が進むと内部状態Xがどのように変化するかを示す。この例の場合、振り子の運動方程式や、支点位置が等速直線運動することなどから、状態遷移方程式を定義する。
また、カルマンフィルタは、計測装置12で算出される対象物1の位置と姿勢を計測値Yとし、式(2)(3)の「観測モデル」(観測方程式と観測ノイズ)を定義する。
観測方程式:Yt=g(Xt)・・・(2)
観測ノイズ(共分散):CovSt・・・(3)
本発明の方法では、(A)初めに、計測装置12により、対象物1の位置と姿勢を計測する。
(B)次いで、計測した計測結果から、状態推定装置14により、状態遷移モデルに基づいて、精度指標値Eを含む対象物1の内部状態を推定し、かつ(C)精度指標値Eから対象物1の把持の可否を判定する。
(D)次に、把持可能の場合、ロボット制御装置20により、内部状態の推定結果に基づいて対象物1の移動先を予測してロボット2を把持動作し、(E)把持不可の場合、ロボット制御装置20により、対象物1の位置と姿勢の計測を継続できるようにロボット2を移動させる。
第1閾値と第2閾値は、予め設定した任意の閾値である。
第3閾値と第4閾値は、予め設定した任意の閾値である。
(a1)計測装置12(第1計測装置12aと第2計測装置12b)は任意のタイミングで2台のカメラ(第1カメラ5aと第2カメラ5b)にそれぞれシャッター信号を送信し、撮像された画像を取得する。
(a2)計測装置12により、得られた画像から画像処理によって対象物1の位置と姿勢の情報(計測値Y)を取得する。例えば、画像内の白色領域を抽出し、重心を求める。
(a3)計測装置12からシャッター信号を送信した時刻をtyとする。また、カメラ5a,5bの向きや分解能などから、観測ノイズCovSを算出する。
(a4)状態推定装置14は、計測値Yと、状態遷移モデルと観測モデルによって予測したYの予測値Ymを比較して、内部状態Xを修正する。また、対象物1の位置を予測する精度を表す精度指標値Eを算出する。
(a5)ロボット制御装置20は、制御周期ごとに状態推定装置14の結果を参照し、精度指標値Eを評価して、把持動作を開始するかどうかの判定を行う。
(a6)把持動作を開始する場合は、対象物1の未来の位置を予測し、予測した把持位置を目指して手先速度指令値を算出する。把持動作しない場合は、カメラ5a,5bが対象物1を捕捉し続けられるように、手先速度指令値を算出する。
(b1)計測時刻tyと現在のモデル時刻tから、状態遷移させる時間幅Δtを算出する。モデル時刻tの初期値は、計測を開始した時刻とする。また、計測時刻を、開始時刻を基点とした経過時間として定義し、モデル時刻の初期値を0としても良い。
状態遷移させる時間幅Δtは、Δt=ty−t・・・(4)で表される。
内部状態の予測値Xt+Δtは、上述した状態遷移モデルで定義した、Xt+Δt=f(Xt,Δt)・・・(1)で表される。
更新(b9)前の内部状態の共分散CovXt+Δt|tは、式(5)で表される。
CovXt+Δt|t=At(Δt)・CovXt・At(Δt)T+Q・|Δt|
・・・(5)
状態遷移方程式の偏微分行列At(Δt)は、式(6)で表される。
At(Δt)=(∂f(Xt、Δt)/∂Xt)・・・(6)
Ymt+Δt=g(Xt+Δt)・・・(7)
CovYt+Δt=Ht・CovXt+Δt|t・HtT・・・(8)
観測方程式の偏微分行列Htは、式(9)で表される。
Ht=(∂g(Xt)/∂Xt)・・・(9)
共分散Vt+Δtは、予測値Ymの共分散に、カメラの観測ノイズを加えているため、予測値Ymと観測値Yの差の大きさを示す共分散となる。
Vt+Δt=CovYt+Δt+CovSt+Δt・・・(10)
Kt+Δt=(CovXt+Δt|t・HtT)/(Vt+Δt)・・・(11)
eYt+Δt=Ymt+Δt|t−Yt+Δt・・・(12)
Xt+Δt=Xt+Δt|t−Kt+Δt・eYt+Δt・・・(13)
CovXt+Δt=(I−Kt+ΔtHt)CovXt+Δt|t・・・(14)
Mt=(eYt T・Vt −1・eYt)0.5・・・(15)
(b10)以下の(c1)(c2)(c3)のいずれかにより精度指標値Eを算出する。
・・・(16)
ここでmは、eYの次数である。
(c2)E=exp(−Mt+Δt 2/2)/(trace(CovYt+Δt))0.5
・・・(17)
(c3)式(16)(17)のEを、過去の計測結果全てについて総和した式(18)。ここでpは、内部状態の変数の数である。
(c2)の式(17)は、分母に共分散CovYのトレースを用いる点に特徴がある。
式(16)において共分散の行列式の平方根は、eYの分布の体積を表す。一方、式(17)においてトレースの平方根は、分布を包み込む最小の球の半径を表す。
図3は、本発明による移動体把持方法の全体フロー図である。この図に示すように、移動体把持方法は、S1〜S12の各ステップ(工程)からなる。
S2では、把持動作中を示すフラグFを判定する。フラグFはプログラム開始時にfalseに初期化されている。
S6では、把持動作をしない場合、例えば以下の式(19)(20)(21)ようにアーム速度Vx、Vy、Vzを設定する。
Vx=Kpx・(mx−rx)+Kdx・(mx−rx−pr_x)・・・(19)
Vy=Kpy・(my−ry)+Kdy・(my−ry−pr_y)・・・(20)
Vz=Kpz・(mz−rz)+Kdz・(mz−rz−pr_z)・・・(21)
S8では、把持動作開始時に、把持動作中フラグFをtrueにする。
S9では、把持動作中は、ロボットアーム3が把持位置Aに移動するように、ロボットアーム3の目標速度を算出する。
S10では、把持動作が終了したかどうかを判定する。例えば、ロボットアーム3が把持位置Aに到達して、ハンド4を閉じる動作が終了している場合に把持動作終了と判定する。
S11では、把持動作を終了する場合、把持動作フラグFをfalseにする。把持動作を終了しない場合は、把持動作フラグFはtrueのままなので、S2の分岐により、次回以降も把持動作が継続される。
S12では、算出された目標速度やハンド開閉指令値をロボット2に送信する。
(e1)対象物1の運動状態を推定して、未来の位置を予測できること。
(e2)未来の位置を予測した時の予測誤差の分散を表す共分散行列を算出できること。
すなわち「誤差の分散を予想した共分散行列」が、V,CovYのどちらもあり得るようになっていればよい。
この例は、上述した(c2)の式(17)で、精度指標値Eを算出した結果である。
したがって、式(17)の精度指標値Eが80以上であることを把持動作開始条件とすれば、把持失敗しにくくなるといえる。
例えば、「120ms以上連続して、精度指標値が80を超えている」ことを把持動作開始条件とするのがよい。
したがって、本発明における「対象物の移動」は、ロボットから見た対象物の相対的な移動を意味する。
3 ロボットアーム、4 ハンド、
5a 第1カメラ、5b 第2カメラ、
10 移動体把持装置、12 計測装置、
12a 第1計測装置、12b 第2計測装置、
14 状態推定装置、16 データ記憶装置、
20 ロボット制御装置
Claims (5)
- 相対的に移動する対象物をロボットで把持する移動体把持装置であって、
対象物の位置又は姿勢を計測する計測装置と、
対象物を計測した計測結果から、状態遷移モデルと観測モデルに基づいて、精度指標値を含む対象物の内部状態を推定し、かつ精度指標値から対象物の把持の可否を判定する状態推定装置と、
把持可能の場合、内部状態の推定結果に基づいて対象物の移動先を予測して把持動作するようにロボットを制御するロボット制御装置と、を備えることを特徴とする移動体把持装置。 - 相対的に移動する対象物をロボットで把持する移動体把持方法であって、
(A)計測装置により、対象物の位置又は姿勢を計測し、
(B)計測した計測結果から、状態推定装置により、状態遷移モデルと観測モデルに基づいて、精度指標値を含む対象物の内部状態を推定し、かつ
(C)精度指標値から対象物の把持の可否を判定し、
(D)把持可能の場合、ロボット制御装置により、内部状態の推定結果に基づいて対象物の移動先を予測してロボットを把持動作し、
(E)把持不可の場合、前記(A)〜(D)を繰り返す、ことを特徴とする移動体把持方法。 - 前記精度指標値は、対象物の位置と姿勢を予測した予測値とその実測値との誤差と、状態遷移モデルと観測モデルに基づいて前記誤差の分散を予想した共分散行列とからなる、ことを特徴とする請求項2に記載の移動体把持方法。
- 前記(C)において、前記誤差を前記共分散行列で割ったマハラノビス距離の自乗が第1閾値より小さく、かつ、共分散行列の行列式が第2閾値より小さい時に、把持可能と判定する、ことを特徴とする請求項3に記載の移動体把持方法。
- 前記(C)において、前記誤差を前記共分散行列で割ったマハラノビス距離の自乗が第3閾値より小さく、かつ、共分散行列のトレースが第4閾値より小さい時に、把持可能と判定する、ことを特徴とする請求項3に記載の移動体把持方法。
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