JP2012233911A - 安全表示構造を有する扉構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、高温であることが容易に目視によって認識できる安全表示構造を有する扉構造を提供することを目的とする。

【解決手段】 図3に示す扉構造は、扉4の片側の表面に安全表示構造を有しており、前記安全表示構造は着色層2の表面に変色層3を積層した膜構造であって、この変色層3は変色温度以上の温度になると透明に変色する。なお、変色層3の変色温度は45〜80℃であり、着色層2の色調と変色層3の色調とが室温において異なっている。なお、着色層2には熱発光剤を含有させてもよい。
【選択図】図3

Description

本発明は、火災時に扉が高温であることが容易に視認できる扉構造に関する。
従来、生産活動などにおいて、高温になった部材によって作業者が火傷などの事故にあう恐れがある。具体例としては、プラスチックや金属などの成型又は成形の作業では、金型や工具などが高温になる場合があり、これらを不用意に放置しておくと、これらが高温であることが分からない作業者が直接肌で触れてしまい、火傷などの事故の原因となるおそれがあった。
また、建築物や構造物などの壁や扉などで仕切られた空間では、火災時に壁や扉などの向こう側の空間(以下、隣接区画ともいう)が高温になっているかどうかを容易に確認できないために、避難が遅れるおそれや、誤って火災が発生している方向へ移動してしまうおそれがあった。
これらの問題を解決するため、温度上昇する物体に予め安全表示塗料を塗っておき、温度上昇と共に安全表示塗料が警告色に変化し、危険を視覚的に知らせる表示構造や、温度上昇する物体に予め警告マークや警告色を塗っておき、その上から安全表示塗料を塗ることによって、温度上昇と共に警告マークや警告色を浮かび上がらせ、危険を視覚的に知らせる表示構造があった(例えば、特許文献1参照。)。
ところが、これらの表示構造は容易に形成し、容易に剥離できるものではなかった。そのため、表示構造が熱等によって劣化した場合に、その表示構造を取り外し、新たに表示構造を取り付けることが困難であった。特に、成型に用いられる金型などは温度変化が急激であるため、表示構造が劣化しやすく、このような問題が生じやすい。
さらに、これらの構造は火災を前提としたものではないため、建築物の火災発生下では十分な視認性が得られない。
また、これらは、色を視認しにくい環境下、例えば夜間や昼間であっても明かりが乏しい環境下では視認できないおそれがある。
特開平6−43042号公報(第2〜3頁)
本発明は、高温であることが容易に目視によって認識できる(以下、視認できるともいう)安全表示構造を有する扉構造を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、扉の片側又は両側の表面の一部又は全部に安全表示構造を有し、該安全表示構造は変色温度以上の温度になると透明に変色する変色層を有する膜構造であることを特徴とする扉構造である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記安全表示構造は着色層の表面に変色層を積層した膜構造であって、着色層の色調と変色層の色調とが室温において異なることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記着色層が熱発光剤を含有することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、扉の片側又は両側に、扉の片側の表面積の10%以上に前記安全表示構造が形成されていることを特徴とする。

請求項1又は請求項2に記載の発明によれば、火災等により扉の温度が上昇して高温になっていることを視認することが容易である。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、扉の高温であることを明かりの乏しい環境下においても視認することが容易になる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3に記載の発明の効果に加え、火災時に扉を注視していなくとも、変色を視認することができる。
以下、本発明の扉構造に用いる安全表示構造を図1〜図2に基づいて説明する。
図1及び図2に示す安全表示構造は、変温部材としてのプラスチック成型用アルミ製金型1の下部側面に、着色層2としての赤色着色塗料の乾燥塗膜が幅3cmで帯状に形成されており、着色層2の表面には室温では着色層2を隠蔽し、約50℃で透明に変色する黒色の変色層3が設けられている。また、室温の環境での変色層3の色調は、着色層2の色調とは異なる。
前記変温部材はアルミ製金型1に限らず、室温状態と80℃以上の高温状態とを繰り返す部材であれば任意に設定する事ができる。例えば、やかん、フライパン等の金属製品、建築物の扉4、壁、高温の流体を通すパイプ等の建築用の部材や構造体が挙げられる。また、その素材は、アルミ製に限らず、鉄、銅、ステンレス等の金属類、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン等のプラスチック等であってもよい。
なお、室温とは住環境として適した温度であり、本明細書においては、−10℃〜40℃の温度をいう。
前記着色層2は、加熱等による温度上昇で変色層3が透明に変色した場合に、表示され視認される層である。前記着色層2の形成は着色塗料を塗付することで形成する方法や着色されたテープやシート等を粘着剤で貼り付ける方法などがある。これらのうち、着色塗料を塗付することによって形成させることが好ましい。着色塗料を塗付することによって着色層2を形成させることにより、複雑な形状の部材に対しても着色層2を形成することが容易になる。
前記着色塗料は例えば以下のような組成である。
着色塗料の組成例:合成樹脂としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルジョン100重量部、増粘剤1重量部、分散剤1重量部、着色顔料20重量部。
前記合成樹脂は、乾燥、硬化することによって塗膜を形成することができる成分(以下、合成樹脂結合材又は結合材ともいう。)であって任意に設定することができる。例えば、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、プロピオン酸ビニル樹脂、バーサティック酸ビニル樹脂等のカルボン酸ビニル樹脂、(メタ)アクリル酸メチル樹脂、(メタ)アクリル酸エチル樹脂、(メタ)アクリル酸メチル樹脂、(メタ)アクリル酸エチル樹脂、(メタ)アクリル酸ブチル樹脂、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル樹脂、アクリロニトリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂等のアクリル酸樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂等、またはそれらの変性樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、これらの樹脂を形成する単量体の2以上を共重合させて用いても良い。またこれらの樹脂は結合材として塗膜を形成できる形態のものを用いればよく、例えば、溶媒に溶解させたもの或いはエマルションとして溶媒に分散させたものなどを利用することがきる。
これらのうち、アクリルシリコーン共重合樹脂、シリコーン樹脂等のシリコーン系樹脂を用いることが好ましい。シリコーン系樹脂を用いることにより、耐熱性に優れた安全表示塗料を得ることができる。また、アクリルシリコーン共重合樹脂を用いることにより、耐候性に優れた安全表示構造を得ることができるため、変温部材としての金型1を屋外に保管しても変色層3を長期に渡って維持することができる。
なお、前記シリコーン系樹脂中の合成樹脂固形分に対するSi元素の含有量は好ましくは3〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%、最も好ましくは8〜20質量%である。シリコーン系樹脂中のSi元素の含有量が3〜30質量%であることにより、耐熱性と柔軟性に優れた安全表示塗料を得ることができる。前記シリコーン系合成樹脂中のSi元素の含有量が3質量%未満の場合には、Si元素の含有量が少なすぎて耐熱性が低下するおそれがある。逆に30質量%を超える場合には塗膜が硬すぎて、80℃以上の高温状態となる変温部材の熱膨張に追従できないおそれがある。
また、前記合成樹脂はモノマー組成中にカルボニル基を分子量換算(分子量中に占めるカルボニル基部分の割合)で0.001〜0.05%含有することが好ましく、より好ましくは0.005〜0.05%、最も好ましくは0.01〜0.03%である。モノマー組成中のカルボニル基の分子量換算での含有量が0.001〜0.05%以上であれば、80℃以上かつ250℃以下の変温部材の使用温度において、着色塗料により形成される着色層と変温部材との密着性に優れ、前記使用温度において塗膜欠陥が生じにくい着色層を得ることができる。前記含有量が0.001%未満の場合には変温部材への密着が十分でない場合がある。また、前記含有量が0.05%を超える場合には、前記使用温度においても加熱によって脱水縮合が進み、塗膜が収縮してクラックが生じるなどの欠陥が生じやすくなるおそれがある。また、前記含有量が0.005%以上である場合には、塗膜を250℃以上に加熱するとカルボニル基同士の脱水縮合が進み塗膜が適度な脆さを有するため、変温部材から塗膜を剥離することが容易になる。前記含有量が0.01〜0.03%であれば、特に密着性に優れ、塗膜欠陥を生じ難い着色層を得ることができる。
前記着色顔料としては、通常の塗料に用いられるものを任意で設定することができる。例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、黄鉛、亜鉛華、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルー等の無機顔料、アゾ顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンズイミダゾロン顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジオキサン系顔料等の有機顔料、アルミニウム顔料、パール顔料等が挙げられる。
前記増粘剤とは通常の塗料に用いられるものを任意で設定することができる。例えば、アルカリ膨潤型、アルカリ会合型、ウレタン会合型、非会合膨潤型等の増粘剤が挙げられる。
前記分散剤とは通常の塗料に用いられるものを任意で設定することができる。例えば、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。
また、前記着色塗料には、前記した成分以外にも通常の塗料に用いられる充填材や添加剤等を添加してもよい。
前記変色層3は、加熱等による温度上昇で所定温度以上になると透明に変色し、透明に変色した後に温度が所定温度以下になると再び元の色調に戻る層である。なお、前記所定の温度、即ち変色層が変色する温度を、以下、変色温度ともいう。
なお、本願の安全表示構造は、高温となった変温部材に人が接触することによって火傷をする危険を回避するために、変温部材が高温であることが容易に視認できる安全表示構造であるので、変色温度を45〜80℃の範囲に設定することが好ましい。人間が火傷をする温度は42℃以上の温度であるが、変温部材が42℃程度であってもかなり長時間の接触がなければ火傷の危険性は非常に少ない。よって、変色温度が45℃未満の場合は、火傷しない又は火傷の危険性が非常に少ない温度で変色してしまうため、安全表示としては好ましくない。また、変温部材が80℃を超えた場合はごく短時間の接触によって火傷をしてしまうため、変温部材が80℃になったときには、危険性が分かるようにする必要があるため、変色温度は80℃以下であることが好ましい。変温部材が45〜80℃の場合には短時間の接触であれば火傷をしない場合もあるので、変色温度は45〜80℃の範囲で、作業者等の人と変温部材が接触する時間等を考慮して設定すればよい。
前記変色層3の形成は変色温度で変色する塗膜を形成できる塗料(以下、変色塗料という)を塗付することで形成する方法や、変色温度で変色するテープやシート等を粘着剤等で貼り付ける方法などがある。これらのうち、前記変色塗料を塗付することによって形成させる方法が好ましい。前記変色塗料を塗付することによって着色層2を形成させることにより、複雑な形状の部材に対しても着色層2を形成することが容易になる。
前記変色塗料は例えば以下のような組成である。
変色塗料の組成例:合成樹脂としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルション100重量部、マイクロカプセル化感温色素10質量部、増粘剤1重量部、分散剤1重量部。
前記合成樹脂は塗料の結合材であって任意に設定することができる。例えば、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、プロピオン酸ビニル樹脂、バーサティック酸ビニル樹脂等のカルボン酸ビニル樹脂、(メタ)アクリル酸メチル樹脂、(メタ)アクリル酸エチル樹脂、(メタ)アクリル酸メチル樹脂、(メタ)アクリル酸エチル樹脂、(メタ)アクリル酸ブチル樹脂、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル樹脂、アクリロニトリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂等のアクリル酸樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂等、またはそれらの変性樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、これらの樹脂を形成する単量体の2以上を共重合させて用いても良い。またこれらの樹脂は結合材として塗膜を形成できる形態のものを用いればよく、例えば、溶媒に溶解させたもの或いはエマルションとして溶媒に分散させたものなどを利用することがきる。
これらのうち、アクリルシリコーン共重合樹脂、シリコーン樹脂等のシリコーン系樹脂を用いることが好ましい。シリコーン系樹脂を用いることにより、耐熱性に優れた安全表示塗料を得ることができる。また、アクリルシリコーン共重合樹脂を用いることにより、耐候性に優れた安全表示構造を得ることができるため、基材としての金型1を屋外に保管しても変色層3を長期に渡って維持することができる。
なお、前記シリコーン系合成樹脂中の合成樹脂固形分に対するSi元素の含有量は好ましくは3〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%、最も好ましくは8〜20質量%である。シリコーン系合成樹脂中のSi元素の含有量が3〜30質量%であることにより、耐熱性と柔軟性に優れた安全表示塗料を得ることができる。前記シリコーン系合成樹脂中のSi元素の含有量が3質量%未満の場合には、Si元素の含有量が少なすぎて耐熱性が低下するおそれがある。逆に30質量%を超える場合には塗膜が硬すぎて、80℃以上の高温状態となる変温部材の熱膨張に追従できないおそれがある。
また、前記合成樹脂は、前記着色塗料に用いる合成樹脂と同様に、そのモノマー組成中に分子量換算で0.001〜0.05%のカルボニル基を含有することが好ましく、より好ましくは0.005〜0.05%、最も好ましくは0.01〜0.03%である。モノマー組成中のカルボニル基の分子量換算での含有量が0.001〜0.05%以上であれば、80℃以上かつ250℃以下の変温部材の使用温度において、着色塗料により形成される着色層と変温部材との密着性に優れ、前記使用温度において塗膜欠陥が生じにくい着色層を得ることができる。前記含有量が0.001%未満の場合には変温部材への密着が十分でない場合がある。また、前記含有量が0.05%を超える場合には、前記使用温度においても加熱によって脱水縮合が進み、塗膜が収縮してクラックが生じるなどの欠陥が生じやすくなるおそれがある。また、前記含有量が0.005%以上である場合には、塗膜を250℃以上に加熱するとカルボニル基同士の脱水縮合が進み塗膜が適度な脆さを有するため、変温部材から塗膜を剥離することが容易になる。前記含有量が0.01〜0.03%であれば、特に密着性に優れ、塗膜欠陥を生じ難い着色層を得ることができる。
また、前記変色塗料に用いられる合成樹脂は、前記着色塗料に用いる合成樹脂と同じ組成のものを用いることが好ましい。前記着色塗料と変色塗料とに用いられる合成樹脂が同じ組成であることにより、温度の上昇下降に対して同じ様に膨張収縮するために、温度の上昇下降を繰り返しても、着色層と変色層の界面での剥がれやひび割れが生じにくい。
前記マイクロカプセル化感温色素は、変色温度で変色する性質を備えているものであれば特に限定されず、市販のものを使用してもよい。
前記感温色素とは、電子受容性化合物(顕色剤)類と、該電子受容性化合物類と反応して発色する電子供与性色素(呈色剤)類と減感剤の混合物をいう。
前記電子受容性化合物(顕色材)類とは、電子供与性色素と反応して所定の温度以下で発色する色素である。例えば、ジブチルフェノール、2−ヒドロキシ4オクチロキシベンゾフェノン、ビスフェノールA、βーナフトール等のフェノール類、トリアゾール類、芳香族カルボン酸類、脂肪族カルボン酸類、リン酸類、またはこれらの化合物等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2以上を混合して用いても良い。
前記電子供与性色素(呈色剤)類とは、電子受容性化合物と反応して所定の温度以下で発色する色素である。例えば、トリフェニルメタンフタリド、フルオラン、フルオレン類、インドリルフタリド、ロイコオーラミン、スピロピラン等のロイコ色素等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2以上を混合して用いても良い。
なお、前記電子受容性化合物(顕色材)類としてフェノール類、前記電子供与性色素(呈色剤)類としてロイコ色素を用いることで、変温部材の室温と80℃以上の高温との繰り返しに対しての耐久性に優れた変色層を得ることができる。
前記フタリド類の具体例としては、クロロフタリド、テトラクロロフタリド、ピリフタリド、フタリド、ベンザルフタリド、ベンジリデンフタリド等が挙げられる。
前記フルオレンの具体例としては、アミノフルオレン、ジオクチルフルオレン、2,4,7−トリニトロフルオレン−9−オン、ニトロフルオレン、ヒドロキシフルオレン、フルオレン、フルオレン−9−カルボン酸、フルオレン−9−メタノール等が挙げられる。
前記フルオラン類の具体例としては、ニトロフルオランテン、フルオランテン、ベンゾフルオランテン等が挙げられる。
これらの中でも、特に、黒発色の2−アリールアミノ−3−〔H、ハロゲン、アルキル又はアルコキシ−6−置換アミノフルオラン〕が好ましく挙げられる。具体的には、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−シクロヘキシル−N−メチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジオクチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−ドデシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−エチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−p−ブチルアニリノフルオラン、2−アニリノ−3−ペンタデシル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−エチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−トルイジノ−3−メチル−6−ジイソプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−イソブチル−N−エチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−γ−プロポキシプロピルアミノフルオラン等が挙げられる。
前記減感剤としては例えば、アルコール、脂肪酸等が挙げられる。
前記マイクロカプセルとは、前記感温色素を含有する活性成分を皮膜形成材料で覆った微粒子状製品である。活性成分には、固体、液体、溶液あるいは懸濁液など、様々な状態の物質を用いることができる。また、前記変色塗料には、マイクロカプセル化しない活性成分を直接添加してもよいが、その場合は、固体の活性成分を用いることが好ましい。
前記皮膜形成材料は、任意に設定することができる。例えば、ウレタン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ゼラチンなどが挙げられる。これらのうち、好ましくはゼラチンが用いられる。ゼラチンを用いることにより、等電点以下のpHで溶解するとカチオンの性質を示す。皮膜形成材料がカチオン性を示すことにより、金属や無機材料等のマイナスに帯電しやすい基材に対する密着性を向上することができる。
前記ゼラチンとしては、未精製ゼラチン、精製ゼラチン、酸分解ゼラチン、酵素分解ゼラチンなどが例示され、特に限定されるものではないが、好ましくは精製ゼラチンが用いられる。精製ゼラチンを用いることにより、不純物が混入しにくく、芯物質をより保護することができる。
前記活性成分とゼラチンとの重量比は特に限定されるものではないが、好ましくは100:1〜100:100、より好ましくは100:10〜100:60の範囲で用いられる。この比が100:1未満であればマイクロカプセルの皮膜が薄く、強度が低下するおそれがある。逆に、100:100を超えると、マイクロカプセルの皮膜が厚くなり、外部の影響を受けにくく、感温色素が任意の温度で変色しなくなるおそれがある。
前記マイクロカプセルの平均粒子径としては、好ましくは5〜100μmであり、より好ましくは3〜50μmであり、最も好ましくは5〜10μmである。マイクロカプセルの平均粒子径が5μm未満の場合には容易に破壊されにくくなるため十分な効力が発揮されない。5μm未満の場合には、内包される感温色素の量が相対的に少なくなってしまうため、十分な変色効果を得ることができない。逆に100μmを超える場合には安定したマイクロカプセルを調整することが困難になり、またマイクロカプセル組成物の希釈や撹拌の操作によってマイクロカプセルが破壊されやすくなるためマイクロカプセルとしての効力の持続性が十分でないおそれがある。
前記感温色素をマイクロカプセル化することにより、感温色素を塗料成分と分離することができ、感温色素の成分物質同士が効率的に接触することができるため、変色層3の変色効率を高めることができる。
前記増粘剤とは通常の塗料に用いられるものを任意で設定することができる。例えば、アルカリ膨潤型、アルカリ会合型、ウレタン会合型、非会合膨潤型等の増粘剤が挙げられる。
前記分散剤とは通常の塗料に用いられるものを任意で設定することができる。例えば、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。
また、前記変色塗料には、前記した成分以外にも通常の塗料に用いられる充填材や添加剤等を添加してもよい。
以上の様に構成された安全表示構造は、以下の様に用いられる。
変温部材としてのプラスチック成型用アルミ製金型1中に溶融した被成型材料としてのポリプロピレン樹脂をインジェクションによって射出して成型する。前記着色層2及び変色層3は金型1下部に帯状に設けられているため、成型中は着色層2及び変色層3はポリプロピレン樹脂に接することなく、外気に触れている。金型1温度は約160℃に達しており、変色層3は透明に変色して赤色の着色層2のみを視認することができる。
前記着色層2及び変色層3が外気に触れる部位に設けられていることにより、外気により表面が冷却されるため、着色層2及び変色層3の温度上昇による劣化を抑制することができる。
続いて成型されたプロピレン樹脂は金型1からはずされ、金型1は所定の置き場で保管される。成型直後は金型1の温度が高いため、赤色の着色層2が見えており、作業者は金型1が高温で危険であることを容易に視認することができるため、不用意に金型1に触れることがない。しばらく放置した後、金型1の温度が約50℃を下回ると、変色層3が元の黒色を呈し、着色層2の赤色を隠蔽するため、作業者は金型1に直接素手で触れても火傷をしない温度まで低下していることを視認することができる。
以上のように金型1が繰り返し使用され、100〜200回ほど経過した後には、変色層3及び着色層2は熱により劣化している場合がある。このとき、変色層3及び着色層2の合成樹脂結合材がモノマー組成中に分子量換算で0.005%以上のカルボニル基を含有するものであれば、金型1をガスバーナーや電熱器等で250℃以上に加熱することによって、変色層3及び着色層2の結合材としての合成樹脂中のカルボニル同士の脱水縮合が進み、変色層3及び着色層2の塗膜を脆弱にすることで、変色層3及び着色層2を変温部材から容易に剥離することができる。
前記変色層3及び着色層2を容易に剥離することにより、劣化した変色層3及び着色層2を容易に塗り替えることができるとともに、異なる色調に変色させたい場合にも塗替えが容易になる。
<第一実施形態>
以下、本発明を具体化した第一の実施形態を図3に基づいて説明する。
図3には示すように、建築物としてのオフィスビルの事務所室において、該事務所と隣接区画としての共用廊下とを区切るアルミ製の扉4の室内側には、着色層2としての着色塗料の乾燥塗膜が扉4表面積の12%の面積で「火災発生」という文字を形成するように赤色で設けられており、該着色層2の表面には約50℃で透明に変色する黒色の変色層3が扉4の屋内側全体に設けられた安全表示構造が形成されている。なお、前記変色層3は、着色層2が設けられている部分の厚みが薄く、着色層2が設けられていない部分の厚みが厚いため、扉4表面は平滑になっている。
前記扉4の素材はアルミに限らず任意に設定することができる。例えば、鉄、ステンレス等の各種金属や、ガラス、木、プラスチック等や、これらを組み合わせたものなど挙げられる。これらのうち金属を使用している扉を用いることが好ましい。金属を用いることにより、熱伝導が良好であるため、扉4の反対側の温度変化に対して変色層3を鋭敏に反応させることができる。
前記着色層2及び変色層3は室内側に限らず室外側に設けても良い。また、両側に設けても良い。特に居室側に設けることにより、火災時に居室内から室外の温度上昇を視認することができ、適確な避難をすることができる。
前記着色層2は、加熱等による温度上昇で変色層3が透明に変色した場合に、表示され視認される層である。前記着色層2の形成は着色塗料を塗付することで形成する方法や着色テープ等を粘着剤で貼り付ける方法などがある。これらのうち、着色塗料を塗付することによって形成させることが好ましい。着色塗料を塗付することによって着色層2を形成させることにより、複雑な形状の部材に対しても着色層2を形成することが容易になる。
なお、前記着色層2は熱発光剤を含有することが好ましい。前記着色層2が熱発行剤を含有することにより、明かりの乏しい環境下においても、着色層2を視認することができる。明かりの乏しい環境下とは、着色層や変色層の色を明確に見分けることができるだけの明るさがない環境であり、例えば、夜間や太陽光が僅かしか差し込まない屋内等において照明による光が不足している環境などがある。また、火災時には電気系統が切断されることによって、照明が不足できる場合がある。
前記熱発光剤とは、加熱によって励起され発光する性質を持った物質をいう。例えば、硫化亜鉛や硫化カルシウムなどのアルカリ土類金属の硫化物に銅、銀、ビスマス、マンガンなどの重金属を添加したもの、アルミン酸ストロンチウム、ユーロピウムジスプロシウム、ローダミンのタングステン酸塩等が挙げられる。
前記着色層2は扉4の片側には、その表面積の10%以上に設けられていることが好ましく、10〜80%であることがより好ましく、20〜50%であることが最も好ましい。なお、扉の両側に安全表示構造を設ける場合には、それぞれの側において着色層2が前記の面積に形成されておればよい。前記着色層2が扉4の片側の表面積の10%以上に設けられていることにより、火災時に扉4を注視していなくとも、変色を視認することができる。前記着色層2の面積が扉4の片側の表面積の10%未満の場合には、火災時に扉4を注視していないと変色に気づかないおそれがある。前記着色層2が扉4の片側の表面積の10〜80%であることにより、より視認性を高めることができる。前記着色層2が扉4の片側の表面積の80%を超える場合には、変色面積が大きすぎて色調によっては変色に気づくのが遅れるおそれがある。
前記着色層2の形成は「火災発生」という文字に限らず任意に設定することができる。例えば、「火災」、「危険」といった文字に形成してもよいし、また、文字に限らず図形を形成してもよい。また、単に危険を知らせる色に塗装するだけでもよい。着色層2として危険を知らせる文字として設けることにより、居室内の居住者に変化をより効果的に認識させることができる。
前記着色層2は赤色に限らず、変色温度以下での変色層3と色調を異にするものであれば任意に設定することができる。例えば、青、茶、黄色等が挙げられる。これらのうち、赤色を用いることが好ましい。着色層2として赤色を用いることにより、居室内の居住者に火災発生の心理的な危険を訴えることが容易となる。
前記変色層3は黒色に限らず、室温の環境で着色層2と色調を異にするものであれば任意に設定することが出来る。例えば、赤、緑、青等が挙げられる。これらのうち、黒色を用いることが望ましい。変色層3として黒色を用いることにより、室温時において着色層2を十分に隠蔽して標示の誤認識を防ぐことが容易になる。
以上の様に構成された建築物の扉4構造は、以下のように使用される。
隣接区画としての共用廊下で火災が発生し、雰囲気温度が上昇すると着色層2及び変色層3が設けられたアルミ製扉4の温度が上昇する。該扉4の居室としての事務所側温度が約50℃に達すると変色層3が透明に変色し、危険を知らせる文字、図、又は避難経路が表示される。着色層2が扉4表面積の10%以上に設けられているため、室内の居住者は扉4を注視していなくても危険標示を認識することができ、避難安全行動を開始することができる。
本実施形態は以下に示す効果を発揮することができる。
・前記着色塗料を塗付することによって着色層2を形成させることにより、複雑な形状の部材に対しても着色層2を形成することが容易になる。
・前記シリコーン系合成樹脂中の合成樹脂固形分に対するSi元素の含有量が3〜30質量%であることにより、耐熱性と柔軟性に優れた安全表示塗料を得ることができる。
・前記合成樹脂がモノマー組成中に分子量換算で0.001〜0.05%のカルボニル基を含有することにより、80℃以上かつ250℃以下の変温部材の使用温度において、着色塗料により形成される着色層と変温部材との密着性に優れ、前記使用温度において塗膜欠陥が生じにくい着色層を得ることができる。
・前記合成樹脂のモノマー組成中に含有されているカルボニル基が分子量換算で0.005%以上であることにより、250℃以上に加熱するとカルボニル基同士の脱水縮合が進み塗膜が適度な脆さを有するため、基材から塗膜を剥離することが容易になる。
・前記着色層2及び変色層3が外気に触れる部位に設けられていることにより、外気により表面が冷却されるため、着色層2及び変色層3の温度上昇による劣化を抑制することができる。
・前記着色層2は扉4の片側の表面積の10%以上に設けられていることにより、火災時に扉4を注視していなくとも、変色を視認することができる。
・前記着色層2が赤色であることにより、居室内の居住者に火災発生の心理的な危険を訴えることが容易となる。
・前記変色層3が黒色であることにより、室温時において着色層2を十分に隠蔽して標示の誤認識を防ぐことが容易になる。
なお、本発明の前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・前記第一実施形態においては、扉4の室内側にのみ安全表示構造を設けたが、室外側・室内側の両方に設けても良い。
このように構成した場合、室外側から室内で火災が発生していることを視認することができる。
・前記第一実施形態においては、扉4の室内側の一部に着色層2を設け、全面に変色層3を設けたが、全面に着色層2を設けても良い。また、着色層2が設けられている部分だけに変色層3を設けても良い。
・前記第一実施形態においては、着色層2が設けられている部分の変色層3の厚みを薄くし、着色層2が設けられていない部分の変色層3の厚みを厚くすることによって扉4表面を平滑にしたが、着色層2が設けられている部分と設けられていない部分とに同じ厚みの変色層3を設けても良い。また、異なる厚みで変色層3を設けても良い。
次に、前記実施形態から把握される請求項に記載した発明以外の技術的思想について、それらの効果と共に記載する。
(1)着色層が設けられている部分の変色層の厚みを薄くし、着色層が設けられていない部分の変色層の厚みを厚くすることによって扉表面を平滑にしたことを特徴とする請求項4に記載の建築物の扉構造。
このように構成した場合、扉表面を平滑にすることができるため、火災発生時以外の平時において、着色層の形状が変色層表面に浮き出ることを抑制することができる。
(試験A)
本発明の安全表示構造の性能を確認するために以下の試験を行った。
変温部材として長さ150mm×幅75mm×厚さ2.3mmのアルミ板を用いて、アルミ板の片面の表面に下記の実施例の安全表示構造、及び比較例の塗膜構造を設けたものを試験体とした。
この試験体を用いて、以下の試験を行った。
まず、試験体の安全表示構造を設けなかった面を加熱するために、その面を下にして試験体を300℃まで温度調整が可能なホットプレートに乗せ、ホットプレートの温度を室温から徐々に上昇させた。
続いて、加熱された状態の試験体1枚を室温状態の試験体5枚とともに並べ、被験者10名に試験体を観察させ、加熱された試験体を視認できるかを確認した。
(実施例1)
実施例1の安全表示構造は、着色層は赤色の塗膜層とし、変色層は室温で黒色の塗膜層とした。着色層及び変色層は試験体の方面の全面に設けた。
なお、変色層は、下記の変色塗料による乾燥塗膜とした。
変色塗料の組成:合成樹脂としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルション100重量部、マイクロカプセル化感温色素10質量部、増粘剤1重量部、分散剤1重量部。マイクロカプセル化感温色素の変色温度は55℃のものを使用した。
試験の結果、試験体は、室温では黒色であったが、ホットプレートにより加熱すると55℃では完全に赤色になった。また、加熱された状態の試験体1枚を室温状態の試験体5枚とともに並べて被験者に観察させたところ、被験者10名中10名が試験体の変色に気づいて加熱された試験体を視認することができた。
その後、試験体の温度は室温に戻り、試験体は黒色に戻った。この試験体と加熱を行わなかった試験体とを比較したが、色調に違いは見られなかった。
(実施例2)
実施例2の安全表示構造は、着色層は赤色の塗膜層とし、変色層は室温で黒色の塗膜層とした。このとき着色層は試験体の片側の面積の22%の面積に形成した「危険」という文字形状とし、変色層は試験体の片側全面に設けた。
なお、変色層は、下記の変色塗料による乾燥塗膜とした。
変色塗料の組成:合成樹脂としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルション100重量部、マイクロカプセル化感温色素10質量部、増粘剤1重量部、分散剤1重量部。マイクロカプセル化感温色素の変色温度は50℃のものを使用した。
試験の結果、試験体は、室温では黒色であったが、ホットプレートにより加熱すると50℃では「危険」という赤色の文字が完全に浮かび上がった。また、加熱された状態の試験体1枚を室温状態の試験体5枚とともに並べて被験者に観察させたところ、被験者10名中10名が試験体の変化に気づいて加熱された試験体を視認することができた。
その後、試験体の温度は室温に戻り、試験体は黒色に戻って文字は見えなくなった。この試験体と加熱を行わなかった試験体とを比較したが、色調に違いは見られなかった。
(実施例3)
実施例3の安全表示構造は、着色層は赤色の塗膜層とし、変色層は室温で黒色の塗膜層とした。このとき着色層は試験体の片側の面積の22%の面積に形成した「危険」という文字形状とし、変色層は着色層の表面にのみ設けた。
なお、変色層は、下記の変色塗料による乾燥塗膜とした。
変色塗料の組成:合成樹脂としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルション100重量部、マイクロカプセル化感温色素10質量部、増粘剤1重量部、分散剤1重量部。マイクロカプセル化感温色素の変色温度は45℃のものを使用した。
試験の結果、試験体の表面には室温では黒色の「危険」という文字があったが、ホットプレートにより加熱すると45℃では「危険」という赤色の文字となった。また、加熱された状態の試験体1枚を室温状態の試験体5枚とともに並べて被験者に観察させたところ、被験者10名中10名が試験体の変化に気づいて加熱された試験体を視認することができた。
その後、試験体の温度は室温に戻り、試験体の文字は黒色に戻った。この試験体と加熱を行わなかった試験体とを比較したが、色調に違いは見られなかった。
(比較例1)
比較例1の塗膜構造は、着色層は赤色の塗膜層のみを設けたものとし、変色層を設けなかった。着色層は試験体の方面の全面に設けた。
試験の結果、試験体は、室温では赤色であり、ホットプレートにより100℃に加熱しても色調は変化しなかった。また、加熱された状態の試験体1枚を室温状態の試験体5枚とともに並べて被験者に観察させたところ、被験者10名中10名ともが、加熱された試験体を視認することができなかった。
(実施例4)
実施例4の安全表示構造は、着色層は設けずに変色層のみからなるものとし、変色層は室温で黒色の塗膜層とした。変色層は試験体の片側の全面に形成した。
なお、変色層は、下記の変色塗料による乾燥塗膜とした。
変色塗料の組成:合成樹脂としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルション100重量部、マイクロカプセル化感温色素10質量部、増粘剤1重量部、分散剤1重量部。マイクロカプセル化感温色素の変色温度は55℃のものを使用した。
試験の結果、試験体は、室温では黒色であったが、ホットプレートにより加熱すると55℃ではアルミ素地が見えた。また、加熱された状態の試験体1枚を室温状態の試験体5枚とともに並べて被験者に観察させたところ、被験者10名中10名が試験体の変色に気づいて加熱された試験体を視認することができた。
その後、試験体の温度は室温に戻り、試験体は黒色に戻った。この試験体と加熱を行わなかった試験体とを比較したが、色調に違いは見られなかった。
(試験B)
次に、本発明の扉構造の性能を確認するために以下の試験を行った。
幅600mm×高さ1800mm×厚さ2.3mmの鋼板を扉とみたてて、その片側の表面に下記の実施例の安全表示構造を設けて試験体とした。
この試験体を用いて、以下の試験を行った。
コンクリートを床として、高さ2500mm×幅1000mm×暑さ15mmの珪酸カルシウム板を壁として、珪酸カルシウム板で囲った広さ10m×10mの実験室を屋外に設置した。安全のため天井は設けなかった。そして、その珪酸カルシウム板の壁の3箇所を幅600mm×高さ1800mmにくりぬいて、そこに前記試験体3枚を安全表示構造が室内側になる様に設置した。次に、前記室内に被験者10名を配置し、被験者にはどの試験体を加熱するのかが分からないようにして、3枚の試験体の内の1枚だけを室外側からガスバーナーで加熱して、被験者に屋内側から試験体を観察させた。
(実施例5)
実施例5の安全表示構造は、着色層は赤色の塗膜層とし、変色層は室温で黒色の塗膜層とした。着色層及び変色層は試験体の屋内側全面に設けた。
なお、変色層は、下記の変色塗料による乾燥塗膜とした。
変色塗料の組成:合成樹脂としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルション100重量部、マイクロカプセル化感温色素10質量部、増粘剤1重量部、分散剤1重量部。マイクロカプセル化感温色素の変色温度は55℃のものを使用した。
試験の結果、被験者10名中10名が、加熱された試験体の温度が80℃に達する前に、加熱された試験体に気付いた。
(実施例6)
実施例6の安全表示構造は、着色層は赤色の塗膜層とし、変色層は室温で黒色の塗膜層とした。着色層及び変色層は試験体の屋内側全面に設けた。
なお、着色層は熱発光剤を含有したものであって、下記の着色塗料による乾燥塗膜であった。
着色塗料の組成:合成樹脂としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルション100重量部、熱発光剤としてのアルミン酸ストロンチウム10質量部、増粘剤1重量部、分散剤1重量部。
また、変色層は、下記の変色塗料による乾燥塗膜とした。
変色塗料の組成:合成樹脂としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルション100重量部、マイクロカプセル化感温色素10質量部、増粘剤1重量部、分散剤1重量部。マイクロカプセル化感温色素の変色温度は55℃のものを使用した。
また、試験は夜間に照明を用いず行った。
試験の結果、被験者10名中10名が、加熱された試験体の温度が80℃に達する前に、加熱された試験体に気付いた。
(参考例1)
参考例1の安全表示構造は、着色層は赤色の塗膜層とし、変色層は室温で黒色の塗膜層とした。着色層及び変色層は試験体の屋内側全面に設けた。
なお、着色層は下記の着色塗料による乾燥塗膜であった。
着色塗料の組成:合成樹脂としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルション100重量部、増粘剤1重量部、分散剤1重量部。
また、変色層は、下記の変色塗料による乾燥塗膜とした。
変色塗料の組成:合成樹脂としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルション100重量部、マイクロカプセル化感温色素10質量部、増粘剤1重量部、分散剤1重量部。マイクロカプセル化感温色素の変色温度は55℃のものを使用した。
また、試験は夜間に照明を用いず行った。
被験者10名中10名ともが、加熱された試験体を視認することができなかった。
(試験C)
本発明の安全表示構造の性能を確認するために以下の試験を行った。
変温部材として長さ150mm×幅75mm×厚さ2.3mmのアルミ板を用いて、アルミ板の片面の表面に下記の実施例の安全表示構造、及び比較例の塗膜構造を設けたものを試験体とした。
この試験体を用いて、以下の試験を行った。
まず、試験体の安全表示構造を設けなかった面を加熱するために、その面を下にして試験体を300℃まで温度調整が可能なホットプレートに乗せ、ホットプレートの温度を室温から徐々に上昇させて試験体の温度を200℃まで上昇させた。そして、200℃の試験体の外観を観察した後、ステンレスブラシで10回擦って、剥離状況を確認した。
次に、試験体の温度を270℃まで上昇させた。そして、270℃の試験体をの試験体の外観を観察した後、前記のステンレスブラシで10回擦って、剥離状況を確認した。
(実施例7)
実施例7の安全表示構造は、着色層は赤色の塗膜層とし、変色層は室温で黒色の塗膜層とした。着色層及び変色層は試験体の屋内側全面に設けた。
なお、着色層は下記の着色塗料による乾燥塗膜であった。
着色塗料の組成:合成樹脂としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルション100重量部、増粘剤1重量部、分散剤1重量部。
また、変色層は、下記の変色塗料による乾燥塗膜とした。
変色塗料の組成:合成樹脂としてのアクリルシリコーン共重合樹脂エマルション100重量部、マイクロカプセル化感温色素10質量部、増粘剤1重量部、分散剤1重量部。マイクロカプセル化感温色素の変色温度は55℃のものを使用した。
なお、前記着色塗料と変色塗料に用いた合成樹脂は同一のものであって、そのモノマー組成中に分子量換算で0.002%のカルボニル基を含有するものであった。
試験の結果、200℃においては塗膜に異常はみられず、ブラシで擦っても塗膜は剥離しなかった。
また、270℃においては塗膜に異常はみられず、ブラシで擦っても塗膜は剥離しなかった。
(実施例8)
実施例8の安全表示構造は、実施例7の安全表示構造と前記着色塗料と変色塗料に用いる合成樹脂のみを置き換えたものとした。なお、着色塗料と変色塗料に用いる合成樹脂はモノマー組成中に分子量換算で0.006%のカルボニル基を含有するものであった。
試験の結果、200℃においては塗膜に異常はみられず、ブラシで擦っても塗膜は剥離しなかった。
また、270℃においては塗膜に異常はみられなかったが、ブラシで擦った後、塗膜の一部が剥離していた。
(実施例9)
実施例9の安全表示構造は、実施例7の安全表示構造と前記着色塗料と変色塗料に用いる合成樹脂のみを置き換えたものとした。なお、着色塗料と変色塗料に用いる合成樹脂はモノマー組成中に分子量換算で0.045%のカルボニル基を含有するものであった。
試験の結果、200℃においては塗膜に異常はみられず、ブラシで擦っても塗膜は剥離しなかった。
また、270℃においては塗膜に異常はみられなかったが、ブラシで擦った後、塗膜の一部が剥離していた。なお、塗膜が剥離した部分の面積は、実施例8より大きかった。
(実施例10)
実施例10の安全表示構造は、実施例7の安全表示構造と前記着色塗料と変色塗料に用いる合成樹脂のみを置き換えたものとした。なお、着色塗料と変色塗料に用いる合成樹脂はモノマー組成中に分子量換算で0.07%のカルボニル基を含有するものであった。
試験の結果、200℃においては塗膜に僅かにクラックが見られ、ブラシで擦った後、塗膜の一部が剥離していた。
また、270℃においては塗膜にクラックが見られ、ブラシで擦った後、塗膜の一部が剥離していた。なお、塗膜が剥離した部分の面積は、実施例9より大きかった。
安全表示構造を金型に付した場合を示した概略断面図である。 図1の安全表示構造が付されている部分を拡大した拡大断面図である。 本発明の扉構造を示した概略断面図である。
1 アルミ製金型
2 着色層
3 変色層
4 扉

Claims (4)

  1. 扉の片側又は両側の表面の一部又は全部に安全表示構造を有し、該安全表示構造は変色温度以上の温度になると透明に変色する変色層を有する膜構造であることを特徴とする扉構造。
  2. 前記安全表示構造は着色層の表面に変色層を積層した膜構造であって、着色層の色調と変色層の色調とが室温において異なることを特徴とする請求項1に記載の扉構造。
  3. 前記着色層が熱発光剤を含有することを特徴とする請求項2に記載の扉構造。
  4. 扉の片側又は両側に、扉の片側の表面積の10%以上に前記安全表示構造が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の扉構造。
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