JP2012233672A - 循環進行波形スターリングシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のスターリングシステムでは、キネマティック形は装置が複雑となり、フリーピストン形は設計、調整が難しいという問題があった。ループ型熱音響システムはそれらの問題を解決するものであるが、その構成要素である共鳴管の寸法が共鳴音波の波長に依存するため小型化することが難しい。
【解決手段】熱音響システムが作動流体による分布定数系として波動系を構成しているのとは異なり、固体の振動子とばねからなる集中定数系の振動系に進行波を発生させることにより作動する熱システムを構成した。これにより、波長の概念とは無関係となり、小さな寸法で装置を実現することができる。
【選択図】図1

Description

本発明はスターリングシステムおよび進行波形熱音響システム等の進行波形の熱システムに関する。
同じ熱源温度条件での熱エネルギーと機械的仕事の間の変換では、理論上の最大効率、すなわち理論最大熱効率はカルノーサイクルにより得られる。熱サイクルの1つであるスターリングサイクルの理論熱効率もこれと同じであり、このサイクルによって稼動するスターリングエンジン、スターリング冷凍機およびスターリングヒートポンプ(以下、これらの総称としてスターリングシステムと記す)は効率あるいは成績係数において優れたシステムである。また、スターリングエンジンは外燃機関として実現されることから、燃料の種類、さらには熱源の種類についての制約が少ないため、エネルギーの有効利用において期待されている。
スターリングシステムは高温熱源と高温側作動空間内の作動流体との間で熱交換を行なう高温側熱交換器と、低温熱源と低温側作動空間内の作動流体との間で熱交換を行なう低温側熱交換器と、両熱交換器の間に設けられ、そこを通過する作動流体との間で熱交換をおこなう再生器と、高温側、低温側両作動空間の容積変化をなす手段(以下では、容積変化手段と記す)を主要構成要素として持つ。
スターリングシステムは前記容積変化手段による容積変化の実現形態により数種類の形式に分類され、それらはアルファ(α)形、ベータ(β)形、ガンマ(γ)形などと呼ばれる(例えば非特許文献1参照)。また、作動空間の容積変化手段としては具体的にはピストンやピストンと類似した形態のディスプレーサと呼ばれる部品が用いられるが、ダイアフラムやベローズにより当該の手段を実現することも考えられる(例えば特許文献1参照)。さらに、複数のアルファ形スターリングシステムを互いに容積変化手段(通常はピストン)を共有させて結合して装置を構成する形式がある。これは複動形と呼ばれる(例えば非特許文献1参照)。
スターリングシステムでは、どの形式においても容積変化手段、すなわち、ピストンやディスプレーサ、ダイアフラム等の運動を適切な関係で連動させる必要がある。特にこれらの運動の位相差が重要であり、これを適切に実現し、維持しないと有効な運転ができない。この連動をクランク機構や斜板機構等による機構的結合でなすものをキネマティック形、それらを持たずに機械的共振により実現するものをフリーピストン形という。複動形は通常はキネマティック形として実現されるが、フリーピストン形として実現することも考えられる(例えば特許文献2参照)。
キネマティック形はクランク機構や斜板機構等の連動機構を備えるため、容積変化手段の連動を適切に、かつ確実に実現できる反面、実現装置が複雑となり、小型化、低コスト化において不利である。一方、フリーピストン形は、それらの機構を持たないため、小型化、低コスト化の点で有利であるが、機械的共振により容積変化手段の連動を実現するため、設計、調整、制御が難しい。特に容積変化手段の運動の位相差が負荷および損失の影響を受けやすく、例えば負荷変動などの運転条件の変化に対応して運転を継続することが難しいという欠点を有する(例えば非特許文献2参照)。実用に供されているスターリングシステムのほとんどはフリーピストン形ではなくキネマティック形であるが、それはこのためである。
複動形は複数個(最も一般的ないし代表的には4個)のアルファ形スターリングシステムを結合して構成されることから装置はさらに複雑となる。すなわち、高温側熱交換器、低温側熱交換器、再生器、容積変化手段を前記個数分備える必要があり、さらに、各熱交換器にそれぞれ、外部から熱を供給する手段ないし外部に熱を放出する手段も備える必要がある。また、キネマティック形においては容積変化手段の数に応じてそれらの連動機構も複雑となり、フリーピストン形においても同様にストロークや負荷の制御が複雑となって、それらの実現手段も複雑となる。そのため複動形は装置の簡単化、低コスト化の点で不利である。
一方、管路内の圧縮性作動流体に波動を生じさせ、それ伴う作動流体の膨張、収縮と移動によりなされる熱サイクルを利用して熱エネルギーと機械的仕事との変換を行なう熱音響システムが最近注目され、研究が進められている(例えば非特許文献3、非特許文献4参照)。熱音響システムは構造が簡単なためコスト、メンテナンス性の点で有利であるとされ、期待されている。
熱音響システムは波動の種類により定在波形と進行波形に分けられるが、進行波形の内部でなされる熱サイクルは前述のスターリングシステムと同じであり、装置の形態においてもスターリングシステムと同様に高温側熱交換器、低温側熱交換器、再生器を備え、それらの果たす機能も同じである。再生器より進行波伝播の上流側にある熱交換器の中の作動流体が占める空間と、その近傍の空間が圧縮空間であり、下流側にある熱交換器の中の作動流体が占める空間と、その近傍の空間が膨張空間である。通常のスターリングシステムが容積変化手段として備えるピストンやダイアフラムは存在しないが、圧縮空間の上流側の隣接空間にある作動流体および膨張空間の下流側の隣接空間にある作動流体が、これらの役割を果たす。
以上のことから進行波形熱音響システムはアルファ形スターリングシステムの1形態であると考えることができる。そのため総称としては熱音響スターリングシステム、原動機の場合は熱音響スターリングエンジン(例えば非特許文献3参照)、冷凍機の場合は熱音響スターリング冷凍機などとも呼ばれる。
進行波形熱音響システムの代表的実施形態は作動流体で満たされる管路を環状とするものであり、この環状管路の中を進行波が循環的に伝播する。そのため、この形態のものはループ型熱音響システム、原動機の場合はループ型熱音響エンジン(例えば非特許文献4参照)などとも呼ばれる。
ループ型熱音響システムでは、膨張空間でなされた膨張仕事は、原動機の場合はその目的のために一部が外部に取出されるが、それ以外は進行波により伝播し、環状管路を一巡して圧縮空間に戻り、圧縮仕事に供される。このため、効率良く進行波を維持することができる。なお、この状態、すなわち共鳴状態を実現し維持するため、環状管路、すなわち環状共鳴管の1周長さは共鳴進行波の波長ないし、その整数倍でなければならない。
ループ型熱音響システムは従来のスターリングシステムよりも優れた特徴を有する。先ず、前述のように機械的可動部の形態による容積変化手段を持たないため、構造が簡単である。次に、フリーピストン形のような設計、調整、制御の難しさや負荷変動に対する脆弱性がない。すなわち、原動機の場合は高温熱源と低温熱源の温度、さらに、それらと関連する再生器の温度勾配、および熱交換器ならびに再生器の性能が条件を満たせば共鳴管の共鳴周波数で自励的に波動が生じて起動し、熱エネルギーの供給および排出と負荷の平衡を保てば安定的に運転が維持できる。負荷変動があると波動の振幅に影響が生じるが、これに対しては供給熱量ないし排出熱量を調節すれば復元できる。冷凍機ないしヒートポンプの場合は何らかの駆動手段で共鳴周波数による励振力を加えることにより起動し、駆動手段によりなされる機械的仕事と吸収および放出熱エネルギーの平衡を保てば安定的に動作する。これらの場合は熱負荷の変動に対して励振力を調節すれば良い。以上のことからループ型熱音響システムは従来のスターリングシステムの問題点を解消したもの、つまりスターリングシステムが進化したものとして捉えることができる。
特開平05−005479号公報 特表2008−510933号公報
濱口和洋、他3名、「模型スターリングエンジン」、第2版、株式会社山海堂,2005年3月25日、p.20−p.21 星野健、吉原正一、「低温度差フリーピストンスターリングエンジンの研究」、第13回スターリングサイクルシンポジウム講演論文集、社団法人日本機械学会、2010年、p.7−p.8 羽鳥宏樹、琵琶哲志、「熱音響スターリングエンジンにおける音場の測定」、第12回スターリングサイクルシンポジウム講演論文集、社団法人日本機械学会、2009年、p.95−p.96 納富信、他4名、「ループ型熱音響エンジンの高効率化と車両搭載に向けた研究」、第12回スターリングサイクルシンポジウム講演論文集、社団法人日本機械学会、2009年、p.97−p.98 富永昭、「熱音響工学の基礎」、第1版、株式会社内田老鶴圃、1998年7月25日、p.3
ループ型熱音響システムは従来のスターリングシステムの問題点つまり、装置の複雑さや設計、調整、制御の複雑さと困難さを解消するものであり、スターリングシステムが進化したものであると考えられることを述べた。しかし、ループ型熱音響システムにおいても解決すべき課題がある。すなわち、ループ型熱音響システムを含め、熱音響システムは気体の波動現象つまり音響現象により動作することから、装置の寸法は当該波動の波長に依存する。したがって装置を小型化するためには波長を短くする必要がある。波長は音速と周波数により定まるが、音速は作動流体の種類により決まるため自由に設定できない。したがって波長を短くするためには周波数を高くする必要がある。一方、周波数を高くすることは熱交換においては不利であり、周波数も熱交換器および再生器の熱交換特性、つまり、これらにおける熱緩和時間(例えば非特許文献5参照)に応じて制約される(例えば非特許文献4参照)。このことは小型化において大きな障害である。
また、出力ないし熱移送能力を大きくするためには、それに応じて管路内の波動のエネルギーも大きくする必要がある。管路の寸法の増大を抑えて大きな波動エネルギーを実現するには波動媒体の密度を大きくすることが有効である。すなわち、波動媒体の密度を大きくすることにより、同じ体積、同じ振幅において、より大きな波動エネルギーが実現できる。しかし、熱音響システムに使用される作動流体は圧縮性流体、つまり気体であり、その密度は液体や固体に比べて著しく小さい。このことも小型化において制約となる。
以上のことから、大きな出力ないし大きな熱移送能力を得るためには、ループ型熱音響システムの共鳴管は巨大化せざるを得ない。現在研究、開発されている多くのループ型熱音響システムの環状共鳴管の寸法は数メートルにおよぶ。
本発明は、従来のスターリングシステムに対する優位性を確保しつつ、前述のループ型熱音響システムの問題を解決しようとするものである。すなわち、構造が簡単で、設計、調整、制御が容易であり、負荷変動に対してもロバスト性を有し、しかも小型化が容易な熱システムを実現することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、アルファ形スターリングシステムを構成要素とし、該アルファ形スターリングシステムの圧縮空間容積変化手段を含み、かつ、これと一体となって往復運動をなす圧縮空間側可動部と、膨張空間容積変化手段を含み、かつ、これと一体となって往復運動をなす膨張空間側可動部を振動子とし、さらにこれらのいずれとも異なる振動子を備え、前記アルファ形スターリングシステムの作動流体を前記圧縮空間側可動部と前記膨張空間側可動部の間でばねとして作用させ、さらにこれとは異なる複数のばねを備え、前記圧縮空間側可動部と前記膨張空間側可動部を含む前記振動子と前記作動流体を含む前記ばねにより、振動子とばねを交互に配置し、かつ循環的に結合した振動系を構成し、該振動系に循環的進行波を発生させ、該循環的進行波により前記アルファ形スターリングシステムにスターリングサイクルを実現して作動することを特徴とする熱システムを構成するものである。
また、第2の課題解決手段は前記第1の課題解決手段において作動流体がばねとして作用する圧縮空間側可動部と膨張空間側可動部の間に、さらに前記作動流体と並列に作用するばねを追加して備えた熱システムを構成するものである。
さらに、第3の課題解決手段は前記第1の課題解決手段または第2の課題解決手段において、振動子間に作用するばねの内、スターリングシステムの作動流体によるものを除いたものの全て、または一部が気体の圧縮性により実現されている熱システムを構成するものである。
前記第1の課題解決手段による作用は次のとおりである。当該解決手段により構成された振動系の中で進行波が循環的に伝播している状態は、ループ型熱音響システムの環状共鳴管内を進行波が循環的に伝播している状態と類似している。ただし、当該解決手段による振動系は集中定数系であり、ループ型熱音響システムの波動系は分布定数系である。このことが両者の間の最も本質的で重要な違いである。
すなわち、当該解決手段において進行波が振動系を一巡したときの位相遅れが360度となったとき、つまり一巡前と一巡後の位相が一致したとき、振動系を構成する振動子の質量および、それらを結合しているばねの特性により定まる共振周波数による共振が起こる。一方、ループ型熱音響システムにおいても環状共鳴管内を一巡した音波の位相遅れが360度となったとき、すなわち、環状共鳴管の一周長が共鳴音波の波長ないし、その整数倍と一致したとき、その波長による共鳴が起こる。いずれにおいても膨張空間で作動流体によりなされる膨張仕事は波動により振動系内ないし環状共鳴管内を循環的に伝播し、圧縮空間において作動流体になされる圧縮仕事として回生される。この点において当該解決手段によるシステムはループ型熱音響システムと同じである。
また、この共振状態での当該解決手段によるシステムの作動流体の挙動、すなわち膨張ならびに圧縮および移動はループ型熱音響システムさらには進行波形熱音響システムの高温側熱交換器と再生器および低温側熱交換器の内部および、それらの近傍に在る作動流体の挙動と同等であり、また、従来のアルファ形スターリングシステムの作動流体の挙動と同じであって、この挙動によりスターリングサイクルが実現される。
一方、本発明によるシステムは波動系としては有限個数の振動子と、それらの間をつなぐばねで構成される集中定数系であるため、波長という概念とは無関係である。したがって作動流体、すなわち連続体を波動媒体とする分布定数系の熱音響システムとは異なり、波長による寸法の制約を受けない。
さらに、本発明によるシステムの振動子は必然的に固体であり、その密度は熱音響システムにおける波動媒体すなわち気体に比べてはるかに大きい。そのため、本発明によるシステムでは熱音響システムよりも小さな寸法で大きな振動エネルギーが実現できる。以上のことから、本発明によるシステムでは、ループ型熱音響システムのような装置の巨大化を伴わずに大きな出力ないし、大きな熱移送能力を得ることができる。
また、圧縮空間側可動部と膨張空間側可動部を含め、全ての振動子の質量を同等とし、それらを互いに同等な特性のばねで循環的に結合して振動系を構成すると、循環的進行波が生じた状態、すなわち共振状態にける圧縮空間側可動部と膨張空間側可動部の運動の位相差は必然的に圧縮空間側可動部と膨張空間側可動部を含めた振動子の数により定まる。すなわち、互いに隣接する振動子の振動の位相差は360度を振動子の数で除したものとなり、位相差を実現するための連動機構は必要としない。
前述のように本発明によるシステムはクランク機構や斜板機構等の連動機構を持たないためフリーピストン形に該当するが、以下の理由により負荷変動に対しロバスト性を有する。すなわち、従来のフリーピストン形のスターリングシステムは2個の振動子(通常、フリーピストン形スターリングシステムはベータ形またはガンマ形であり、それらにおいては具体的にはパワーピストンとディスプレーサがこれらに当たる)を有する共振系であり、両振動子の振動の位相差は一方に加わる負荷と、他方に作用する何らか損失とのかねあいにより実現されている。つまり、位相差は、システムの目的上、極力小さくあるべき損失と、負荷そのものに直接依存している。したがって負荷変動があると、このかねあいが大きく崩れて位相差に変化が生じ、運転の継続が困難ないし不可能となる。
一方、本発明によるシステムにおける振動子間の位相差は負荷や損失に依存するものでなく、循環的進行波による共振によって実現されているため、負荷変動の影響を受けにくい。このロバスト性は負荷変動に対し循環的進行波の波動エネルギーが大きいほど高くなる。
以上により、装置の構造が簡単であって、しかも設計、調整、制御が容易であり、負荷変動に対してもロバスト性を有し、さらに、小型化が容易な熱システムを実現することができる。
さらに、第2の課題解決手段による作用は次のとおりである。第1の課題解決手段の実施において、アルファ形スターリングシステムの作動流体を前記圧縮空間側可動部と前記膨張空間側可動部の間でばねとして作用させるが、そのばね特性は気体の一般的な特性から非線形である。振幅が小さければ、この非線形性を無視しても第1の課題解決手段は実施できるが、大きな振幅を実現しようとする程、非線形性が顕著となり実施において、これを考慮する必要が生じてくる。非線形性を有する系は力学的な取扱いが複雑となり、実現装置の設計、調整、制御も複雑で難しくなる。
また、第1の課題解決手段の実施において、全ての振動子の質量を同等とし、それらを互いに同等な特性のばねで結合して振動系を構成すると、見通し良く圧縮空間側可動部と膨張空間側可動部の運動の位相差を設定、実現できることを述べたが、アルファ型スターリングシステムの作動流体以外のばねとして最も一般的に、かつ簡便に利用できるものは固体の弾性を利用するもの(以下では固体ばねと記す)であり、その特性は通常、ばね定数で表わされるように線形である。したがって、ばねの特性の同等性の点においても構成要素であるアルファ形スターリングシステムの作動流体のばねとしての特性が非線形であることは不都合である。
そこで、作動流体がばねとして作用する圧縮空間側可動部と膨張空間側可動部の間に、それと並列に作用するように、追加のばね(以下、追加ばねと記す)を備えることが有効である。すなわち、作動流体の圧縮性により生じる力と追加ばねにより発生する力が重畳されて作用するため、追加ばねの特性により作動流体の圧縮性による非線形性を緩和、ないし補償することができる。これにより容易に第1の課題解決手段を実施することができる。
また、第3の課題解決手段による作用は次のとおりである。すなわち、作動流体によるばね特性の非線形性が直接的問題としては軽微であり、ばね特性の同等性確保の点で問題として重大である場合は、ばねの全てをガスばねにすれば、ばね特性の同等性を容易に確保でき、見通し良く第1の課題解決手段を実施することができる。一方、第2の課題解決手段を適用した上で、さらに圧縮空間側可動部と膨張空間側可動部の間以外の振動子間にも第2の課題解決手段と同様にガスばねと固体ばねを並列に作用するように設ければ、ばね特性の同等性の確保とともに非線形性の緩和ないし補償がなされ、容易に第1の課題解決手段を実施することができる。
さらに、スターリングシステムの作動流体以外のばねの一部または全部をガスばねに置換えれば、ガスばねの作動気体を満たす容器を管状とし、これを配管として取り回すことができるため、設計の自由度が増して、容易に第1の課題解決手段を実施することができる。
本発明により、従来のスターリングシステムに対する優位性を確保しつつ、ループ型熱音響システムの問題を解決した熱システムが実現できる。すなわち、装置の構造が簡単であり、設計、調整、制御が容易であって、負荷変動に対してもロバスト性を有し、しかも小型化が容易な熱システムを実現することができる。
本発明による循環進行波形スターリングシステムの一実施形態を示す概念図 波動を循環的に伝播させるための構造の実施例を示す概念図 圧縮空間容積変化手段および膨張空間容積変化手段としてダイアフラムを有するシステムの実施例を示す概念図 圧縮空間側可動部と膨張空間側可動部の間に追加ばねを備えたシステムの実施例を示す概念図 振動子間に作用するばねの全てが気体の圧縮性により実現されているシステムの実施例を示す概念図 振動子間に作用するばねの内、スターリングシステムの作動流体によるものを除いたものの一部が気体の圧縮性により実現されているシステムの実施例を示す概念図
以下に本発明の実施形態を図1〜図6を用いて説明する。
先ず、圧縮空間容積変化手段および膨張空間容積変化手段としてピストンを用いて冷凍機ないしヒートポンプを実現する例について説明する。図1において、1は本発明による循環進行波形スターリングシステムの主要構成要素であるアルファ形スターリングシステムである。ケーシング11、圧縮側ピストン12(すなわち圧縮空間容積変化手段)、膨張側ピストン13(すなわち膨張空間容積変化手段)、圧縮側駆動装置14、膨張側駆動装置15、圧縮側熱交換器16、再生器17、膨張側熱交換器18は前記アルファ形スターリングシステム1の構成要素であり、その構成、構造および働きは冷凍機ないしヒートポンプとして動作する通常のアルファ形スターリングシステムのものと同じである。
なお、冷凍機ないしヒートポンプの場合において圧縮側熱交換器16は高温側熱交換器として機能し、膨張側熱交換器18は低温側熱交換器として機能する。一方、後述の原動機の場合は圧縮側、膨張側と高温側、低温側の対応が逆となり、圧縮側熱交換器16は低温側熱交換器、膨張側熱交換器18は高温側熱交換器となる。
141、151はそれぞれ圧縮側駆動装置14、膨張側駆動装置15の可動部であり、例えば圧縮側駆動装置14、膨張側駆動装置15を往復動形のリニアモータとした場合、該リニアモータの振動子がこれらに該当する。圧縮側駆動装置可動部141および膨張側駆動装置可動部151は、それぞれ圧縮側ピストン12、膨張側ピストン13と結合されており、各々一体となって圧縮空間側可動部および膨張空間側可動部として振動する。以下では圧縮側駆動装置可動部141と圧縮側ピストン12が一体となった圧縮空間側可動部を圧縮側振動子と呼び、その符号を14Aとし、膨張側駆動装置可動部151と膨張側ピストン13が一体となった膨張空間側可動部を膨張側振動子と呼び、その符号を15Aとする。
2、4、6は波動を伝播するための中間ばねであり、膨張側振動子15A、中間振動子3、5、圧縮側振動子14Aの間に在って、それぞれ振動子を結合している。7、8は中立位置復元ばねであり、これらは中間振動子3、5に中立位置への復元力を与えるものである。
なお、本実施例においては圧縮側振動子14A、膨張側振動子15Aに対しては中立位置復元ばねを設けていない。これは圧縮側駆動装置14、膨張側駆動装置15が復元力発生機能を有し、これらによる復元力が圧縮側振動子14A、膨張側振動子15Aに対し適当に作用するものとしているためであり、必要に応じ圧縮側振動子14A、膨張側振動子15Aに対しても中立位置復元ばねを設けても良い。
ケーシング11、圧縮側ピストン12および膨張側ピストン13により囲まれた空間にはアルファ形スターリングシステム1の作動流体19が封入されている。該作動流体は気体であって、その圧縮性により圧縮側振動子14Aと膨張側振動子15Aの間でばねとして作用する。中間ばね2、4、6の特性は前記作動流体のばねとしての特性と同等に設定する。一方、圧縮側振動子14Aおよび膨張側振動子15Aと中間振動子3、5の質量は同等とする。
以上により、4個の同等質量(すなわち圧縮側振動子14A、膨張側振動子15A、中間振動子3、5)と4個の同等なばね(すなわちアルファ形スターリングシステム1の作動流体19、中間ばね2、4、6)による、質量とばねが交互に、かつ循環的に接続された振動系が構成される。
この系に対し、その共振周波数で圧縮側駆動装置14および膨張側駆動装置15により加振すると共振が起こるが、圧縮側駆動装置14の加振力に対し膨張側駆動装置15の加振力の位相を遅らせて与えると、圧縮側振動子14Aから膨張側振動子15A、さらに中間振動子3、中間振動子5へと伝播し、圧縮側振動子14Aに戻る循環的進行波が励起され、各振動子は進行波の伝播の順に順次90°遅れた位相で振動する。共振周波数は前記各質量と前記各ばねの特性により定まる。なお、中立位置復元ばね7、8の特性および圧縮側駆動装置14ならびに膨張側駆動装置15の復元力特性も共振周波数に影響を及ぼすが、これらによる復元力が作動流体19および中間ばね2、4、6が発生する力に比べ、十分小さい場合は、それらの影響は無視できる。また、その場合は振動子の内、少なくとも1個に復元力が与えられれば良く、その他の振動子に対しては中立位置復元ばね、ないし復元力発生機能を省略しても良い
上記の循環的波動の一環として圧縮側振動子14A、膨張側振動子15Aは90°の位相差により振動する。すなわち、圧縮側振動子14Aと膨張側振動子15Aは通常のアルファ形スターリングシステムの圧縮空間容積変化手段および膨張空間容積変化手段と同じ動作をする。こうして、アルファ形スターリングシステム1の内部の作動流体ではスターリングサイクルが実現され、膨張側熱交換器18で低温の外部から熱を取込み、圧縮側熱交換器16で高温の外部に熱を放出する冷凍機ないしヒートポンプが実現される。なお、膨張空間側でなされる膨張仕事は膨張側振動子15Aから循環的波動により伝播し、圧縮側振動子14Aに戻り、圧縮空間側での圧縮仕事に回生される。
以上とは逆に膨張側熱交換器18で作動流体を加熱し、圧縮側熱交換器16で作動流体を冷却すると自励的に循環的進行波が発生し、アルファ形スターリングシステム1は原動機として機能する。この場合、前述の冷凍機ないしヒートポンプの例における圧縮側駆動装置14および膨張側駆動装置15は動力取出し装置に置換える。例えば、これらを往復動形リニア発電機に置換えると、発生した動力は電力として利用することができる。その他の動力の利用方法として、往復動形ポンプ等の可動部を発生振動により直接駆動すること等も考えられる。
図2は振動子とばねを循環的に接続するための形態の一例を示す。本図の例では、図1における中間振動子5の形状を枠形とし、この枠形振動子5Aを介して中間ばね4と中間ばね6を接続している。これにより波動を循環的に伝播させることができる。
図3は圧縮空間容積変化手段および膨張空間容積変化手段である圧縮側ピストン12および膨張側ピストン13を各々圧縮側ダイアフラム12A、膨張側ダイアフラム13Aに置換えた実施例を示す。ピストンの場合に比べ、特許文献1に示されている利点がある。すなわち、摺動抵抗の低減と密封性の向上により、出力の損失を低減できる。また、摺動部を無くすことによる耐久性および保守性の向上も期待できる。
図4はアルファ形スターリングシステム1の圧縮空間側可動部および膨張空間側可動部つまり、圧縮側振動子14Aと膨張側振動子15Aの間に追加的に作用する追加ばね10を備えたシステムの実施例を示す。本実施例においては中間ばね2、4、6の特性は、アルファ形スターリングシステム1の作動流体19によるばね特性に追加ばね10の特性を重畳したものと同等になるよう設定する。その他の構成および各構成要素の動作、作用は図1に示すものと同じである。
図5は図1における中間ばね2、4、6を全て気体の圧縮性により実現されたばね、すなわちガスばね2A、4A、6Aに置換えて構成したシステムの実施例を示す。本図の例ではアルファ形スターリングシステム1の容積変化手段には図3と同様にダイアフラムを用い、ガスばね2A、4A、6Aの容積変化手段にもダイアフラムを用いている。また、ガスばね2A、4A、6Aのダイアフラムは復元力を発生するものとして、中間振動子3および中間振動子5に対する中立位置復元バネは省略している。なお、ばね特性の非線形性による直接的問題と同等性にかかわる問題のかねあいによって、本図のようにスターリングシステムの作動流体以外のばねも全てガスばねにしても良く、図4に示した追加ばね10を備えるとともに、これと同様のものをガスばね2A、4A、6Aに対しても設けても良い。
図6は装置の構造上の便宜のため、中間ばね2、4、6の内の一部、具体的には中間ばね4をガスばね4Aに置換えた実施例を示す。図5に示す実施例と同様に、アルファ形スターリングシステム1およびガスばねの容積変化手段にはダイアフラムを用い、中間振動子3、中間振動子5に対する中立位置復元バネは省略している。
以上の実施例において、振動系はアルファ形スターリングシステムの可動部、つまり圧縮側振動子および膨張側振動子を含め4個の振動子により構成されているが、本発明は振動子の数を4に限定するものではない。また構成要素としてのアルファ形スターリングシステムの数も1に限定せず、複数としても良い。さらに、隣接するアルファ形スターリングシステムの間で圧縮側振動子ないし膨張側振動子を共有するか、あるいは中間ばねを介在させて非共有とするか、さらには中間振動子を介在させるか否かも限定しない。また、各アルファ形スターリングシステムをそれぞれ原動機としても冷凍機ないしヒートポンプとしても良い。
本発明は熱機関(熱駆動原動機)、冷凍機、ヒートポンプに広く利用可能であり、特にスターリングシステムの適用が望まれる分野での利用が効果的である。
1 アルファ形スターリングシステム
2 第1の中間ばね
3 第1の中間振動子
4 第2の中間ばね
5 第2の中間振動子
6 第3の中間ばね
7 第1の中立位置復元ばね
8 第2の中立位置復元ばね
10 追加ばね
11 ケーシング
12 圧縮側ピストン
13 膨張側ピストン
14 圧縮側駆動装置
15 膨張側駆動装置
16 圧縮側熱交換器
17 再生器
18 膨張側熱交換器
19 アルファ形スターリングシステムの作動流体
2A ガスばねとして実現された第1の中間ばね
4A ガスばねとして実現された第2の中間ばね
5A 枠形振動子
6A ガスばねとして実現された第3の中間ばね
12A 圧縮側ダイアフラム
13A 膨張側ダイアフラム
141 圧縮側駆動装置可動部
151 膨張側駆動装置可動部
14A 圧縮側振動子(圧縮空間側可動部)
15A 膨張側振動子(膨張空間側可動部)

Claims (3)

  1. アルファ形スターリングシステムを構成要素とし、該アルファ形スターリングシステムの圧縮空間容積変化手段を含み、かつ、これと一体となって往復運動をなす圧縮空間側可動部と、膨張空間容積変化手段を含み、かつ、これと一体となって往復運動をなす膨張空間側可動部を振動子とし、さらにこれらのいずれとも異なる振動子を備え、前記アルファ形スターリングシステムの作動流体を前記圧縮空間側可動部と前記膨張空間側可動部の間でばねとして作用させ、さらにこれとは異なる複数のばねを備え、前記圧縮空間側可動部と前記膨張空間側可動部を含む前記振動子と前記作動流体を含む前記ばねにより、振動子とばねを交互に配置し、かつ循環的に結合した振動系を構成し、該振動系に循環的進行波を発生させ、該循環的進行波により前記アルファ形スターリングシステムにスターリングサイクルを実現して作動することを特徴とする熱システム。
  2. 作動流体がばねとして作用する圧縮空間側可動部と膨張空間側可動部の間に、さらに前記作動流体と並列に作用するばねを追加して備えた請求項1に記載の熱システム。
  3. 振動子間に作用するばねの内、スターリングシステムの作動流体によるものを除いたものの全て、または一部が気体の圧縮性により実現されている請求項1または請求項2に記載の熱システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016003781A (ja) * 2014-06-13 2016-01-12 株式会社東芝 スターリング型冷凍機
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