JP2012233256A - 表面処理鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】TiとCoを含む水溶液中で継続的に陰極電解処理して密着性皮膜を形成しても、確実に優れた湿潤樹脂密着性と耐食性が得られるCr不用の表面処理鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも一層からなる耐食性皮膜を形成後、Tiを0.008〜0.07モル/l(l:リットル)含み、さらにCoをTiに対するモル比で0.01〜10含む水溶液中で、表面に酸化イリジウムおよび酸化ルテニウムのうちの少なくとも一種を含む触媒層を有する導電性基体からなる陽極を用いて陰極電解処理して密着性皮膜を形成する表面処理鋼板の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面に樹脂フィルムなどをラミネートする、または樹脂を含有する塗料を塗装することにより樹脂が被覆された後、主に缶などの容器に用いられる表面処理鋼板、特に、高温湿潤環境下において被覆された樹脂との密着性(以後、湿潤樹脂密着性と呼ぶ)に優れ、かつ被覆された樹脂が欠落しても優れた耐食性を示す表面処理鋼板の製造方法に関する。
飲料缶、食品缶、ペール缶や18リットル缶などの各種金属缶には、錫めっき鋼板やティンフリー鋼板と呼ばれる電解クロム酸処理鋼板などの金属板が用いられている。なかでも、ティンフリー鋼板は、6価Crを含むめっき浴中で鋼板を電解処理することにより製造され、塗料など樹脂に対して優れた湿潤樹脂密着性を有していることに特長がある。
近年、環境に対する意識の高まりから、世界的に6価Crの使用が規制される方向に向かっており、6価Crのめっき浴を用いて製造されるティンフリー鋼板に対してもその代替材が求められている。
一方、各種金属缶は、従来より、ティンフリー鋼板などの金属板に塗装を施した後に、缶体に加工して製造されていたが、近年、製造に伴う廃棄物の抑制のために、塗装に代わって樹脂フィルムなどの樹脂を被覆した樹脂被覆金属板を缶体に加工する方法が多用されるようになっている。この樹脂被覆金属板には、樹脂が金属板に強く密着していることが必要であり、特に飲料缶や食品缶として用いられる樹脂被覆金属板には、内容物の充填後にレトルト殺菌工程を経る場合があるため、高温の湿潤環境下でも樹脂が剥離することのない強い湿潤樹脂密着性と、引っ掻きなどで部分的に樹脂が欠落した場合でも、缶の内容物などに侵されて穴開きが生ずることのない優れた耐食性が要求されている。
こうした要請に応じて、本発明者等は、最近、特許文献1に、鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも一層からなる耐食性皮膜を形成後、Tiを含むイオンを含有し、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも一種の金属元素を含むイオンを含有する水溶液中で陰極電解処理して密着性皮膜を形成することにより、Crを用いず、極めて優れた湿潤樹脂密着性と優れた耐食性を有する表面処理鋼板を製造できることを提示した。
特開2009−155665号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法において、TiとCoを含む水溶液中で継続的に陰極電解処理して密着性皮膜を形成すると、優れた湿潤樹脂密着性が得られない場合がある。
本発明は、TiとCoを含む水溶液中で継続的に陰極電解処理して密着性皮膜を形成しても、確実に優れた湿潤樹脂密着性と耐食性が得られるCr不用の表面処理鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的とする表面処理鋼板の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、表面に酸化イリジウムおよび酸化ルテニウムのうちの少なくとも一種を含む触媒層を有する導電性基体からなる陽極を用いて陰極電解処理することが効果的であることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも一層からなる耐食性皮膜を形成後、Tiを0.008〜0.07モル/l(l:リットル)含み、さらにCoをTiに対するモル比で0.01〜10含む水溶液中で、表面に酸化イリジウムおよび酸化ルテニウムのうちの少なくとも一種を含む触媒層を有する導電性基体からなる陽極を用いて陰極電解処理して密着性皮膜を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法を提供する。
本発明の製造方法では、密着性皮膜に含まれるTi量を、片面あたり3〜200mg/m2とすることが好ましい。
本発明の製造方法により、TiとCoを含む水溶液中で継続的に陰極電解処理して密着性皮膜を形成しても、確実に優れた湿潤樹脂密着性と耐食性が得られるCr不用の表面処理鋼板を製造できるようになった。本発明の製造方法で製造された表面処理鋼板は、これまでのティンフリー鋼板の代替材として問題なく、油、有機溶剤、塗料などを内容物とする容器に樹脂被覆することなく使用できる。また、樹脂を被覆して樹脂被覆鋼板とし、缶や缶蓋に加工してレトルト雰囲気に暴露しても、樹脂の剥離が全く生じない。また、引っかき傷などの樹脂の欠落部においても、素地であるFeの溶出が著しく少なく、耐食性にも極めて優れている。
180°ピール試験を説明する図である。
1)耐食性皮膜の形成
素材として一般的な缶用の低炭素冷延鋼板を用い、鋼板表面に、まず、下地鋼板と強固に結合し、樹脂被覆鋼板とされた後に引っ掻きなどで部分的に樹脂が欠落した場合でも、鋼板に優れた耐食性を付与するために、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層の単層あるいはそれらの多層からなる耐食性皮膜を形成する。この耐食性皮膜の形成は、含有される金属元素に応じた公知の方法で行える。
なお、Ni層の場合は、耐食性皮膜に含まれる鋼板の片面あたりのNi量を200mg/m2以上とすることが好ましい。Fe-Ni合金層の場合は、耐食性皮膜に含まれる鋼板の片面あたりのNi量を60mg/m2以上とすることが好ましい。Sn層またはFe-Sn合金層の場合は、耐食性皮膜に含まれる鋼板の片面あたりのSn量を100mg/m2以上とすることが好ましい。Fe-Ni-Sn合金層の場合は、耐食性皮膜に含まれる鋼板の片面あたりのNi量を50mg/m2以上、Sn量を100mg/m2以上とすることが好ましい。ここで、NiやSn量の測定は、蛍光X線による表面分析により行うことができる。
2)密着性皮膜の形成
次に、この耐食性皮膜上に、Tiを0.008〜0.07モル/l(l:リットル)含み、さらにCoをTiに対するモル比で0.01〜10含む水溶液中で、表面に酸化イリジウムおよび酸化ルテニウムのうちの少なくとも一種を含む触媒層を有する導電性基体からなる陽極を用いて陰極電解処理して密着性皮膜を形成する。
Tiを0.008〜0.07モル/l(l:リットル)含み、さらにCoをTiに対するモル比で0.01〜10含む水溶液を用いるのは、緻密で、表面の凹凸がより均一に分布した密着性皮膜を形成でき、優れた湿潤樹脂密着性を得るためである。なお、Tiを0.02〜0.05モル/l、CoをTiに対するモル比で0.1〜2.5含まれる水溶液を用いることが、より緻密で、表面の凹凸がより均一に分布した密着性皮膜を形成し、より優れた湿潤樹脂密着性を得る上で好ましい。
また、表面に酸化イリジウムおよび酸化ルテニウムのうちの少なくとも一種を含む触媒層を有する導電性基体からなる陽極を用いて陰極電解処理するのは、本発明の処理液における特異的な効果を狙ったもので、継続的に陰極電解処理して密着性皮膜を形成した際に、湿潤樹脂密着性の劣化を防止するためである。この原因は、次のように考えられる。すなわち、一般的な鉛電極、白金電極、あるいはチタンなどの導電性基体上に白金被覆層を設けた陽極を用いて、陰極電解処理すると、陽極では、二価のコバルトイオンが酸化されて三価のコバルトイオンになる電位の方が酸素発生電位よりも低い(例:チタン基体上に白金を被覆した陽極の酸素発生電位は2.1V(vs.NHE)、二価コバルトから三価コバルトへの酸化電位は1.95V(vs.NHE))ため、コバルトイオンの酸化反応が優先して起こる。酸化により発生した三価のコバルトイオンは水と反応して固形のオキシ水酸化コバルトを形成し、電解を継続するにつれ、溶液中に数多く浮遊するようになる。そのため、密着性皮膜上にオキシ水酸化コバルトの固形物が付着するようになり、皮膜の湿潤樹脂密着性が経時的に劣化する。しかし、チタンなどの導電性基体表面に酸化イリジウムおよび酸化ルテニウムのうちの少なくとも一種を含む触媒層を設けると、酸素発生電位がコバルトイオンの酸化電位よりも低くなる(例:チタン基体上に酸化イリジウムを被覆した陽極の酸素発生電位は1.5V(vs.NHE)、二価コバルトから三価コバルトへの酸化電位は1.95V(vs.NHE))。このため、電流は酸素発生により消費され、三価コバルトイオンの生成および水との反応の進行が遅滞し、オキシ水酸化コバルトの生成が抑制されるので、結果的に、継続的に陰極電解処理しても、優れた湿潤樹脂密着性が得られる。
Tiを含む水溶液としては、フルオロチタン酸イオンを含む水溶液、またはフルオロチタン酸イオンおよびフッ素塩を含む水溶液が好適である。フルオロチタン酸イオンを与える化合物としては、フッ化チタン酸、フッ化チタン酸アンモニウム、フッ化チタン酸カリウムなどを用いることができる。フッ素塩としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化銀、フッ化錫などを用いることができる。特に、フッ化チタン酸カリウムを含む水溶液中で、あるいはフッ化チタン酸カリウムおよびフッ化ナトリウムを含む水溶液中で、耐食性皮膜形成後の鋼板を陰極電解処理する方法は、効率良く均質な皮膜を形成することが可能であり好適である。
また、Coを与える化合物としては、硫酸コバルト、塩化コバルトなどを用いることができる。
陰極電解処理においては、電流密度を5〜20A/dm2、電解時間を1〜10秒とすることが好ましい。
密着性皮膜に含まれるTi量を、片面あたり3〜200mg/m2とすることが好ましい。これは、Ti量が3mg/m2以上で湿潤樹脂密着性改善の効果が十分に得られ、200mg/m2を超えるとさらなる湿潤樹脂密着性の向上が望めず、コスト高となるためである。なお、密着性皮膜のTi量は、水溶液中のTi濃度やpH、陰極電解時の電流密度や電気量などによって制御できる。
密着性皮膜に含まれるCo量は、Tiに対する質量比(Co/Ti)で0.01〜10、好ましくは0.1〜2.5にする必要がある。これは、緻密で、表面の凹凸がより均一に分布した密着性皮膜を形成でき、優れた湿潤樹脂密着性が得られるためである。
密着性皮膜には、さらにOを含有させることが好ましい。Oを含有させることによりTiの酸化物を主体とする皮膜となり湿潤樹脂密着性に寄与すると考えられるからである。
なお、密着性皮膜に含まれるTiやCo量の測定は、蛍光X線による表面分析により行うことができる。また、O量については、特に規定しないが、XPS(X線光電子分光分析装置)による表面分析でその存在を確認することができる。
このような本発明の方法で製造された表面処理鋼板上には、樹脂フィルムをラミネートしてラミネート鋼板とすることができる。上述したように、本発明の方法で製造された表面処理鋼板は湿潤樹脂密着性に優れているため、このラミネート鋼板は優れた耐食性と加工性を有する。
本発明の方法で製造された表面処理鋼板にラミネートする樹脂フィルムとしては、特に限定はなく、各種熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂からなるフィルムを挙げることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリルエステル共重合体、アイオノマー等のオレフィン系樹脂フィルム、またはポリブチレンテレフタラート等のポリエステルフィルム、もしくはナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムの未延伸または二軸延伸したものを用いることができる。積層の際に接着剤を用いる場合は、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性オレフィン樹脂系接着剤、コポリアミド系接着剤、コポリエステル系接着剤等が好ましい。
さらに、フェノールエポキシ、アミノ-エポキシ等の変性エポキシ塗料、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、エポキシ変性-、エポキシアミノ変性-、エポキシフェノール変性-ビニル塗料または変性ビニル塗料、アクリル塗料、スチレン-ブタジエン系共重合体等の合成ゴム系塗料等の熱可塑性または熱硬化性塗料を、単独でまたは2種以上の組合わせで用いることができる。
樹脂ラミネート層の厚みは3〜50μmとすることが好ましい。これは、厚みが上記範囲を下回ると耐食性が不十分となり、厚みが上記範囲を上回ると加工性の点で問題が生じやすいためである。
表面処理鋼板への樹脂ラミネート層の形成は任意の手段で行うことができる。例えば、押出コート法、キャストフィルム熱接着法、二軸延伸フィルム熱接着法等により行うことができる。
ティンフリー鋼板(TFS)の製造のために使用される冷間圧延ままの低炭素鋼の冷延鋼板(板厚0.2mm)の両面に、表1に示すめっき浴a、bを用いて、次のA〜Dのめっき方法により耐食性皮膜を形成する。
A:冷延鋼板を、10vol%H2+90vol%N2雰囲気中で、700℃程度で焼鈍して、伸び率1.5%の調質圧延を行った後、アルカリ電解脱脂し、硫酸酸洗を施した後、めっき浴aを用いてNiめっき処理を施しNi層からなる耐食性皮膜を形成する。
B:冷延鋼板をアルカリ電解脱脂し、めっき浴aを用いてNiめっき処理を施した後、10vol%H2+90vol%N2雰囲気中で、700℃程度で焼鈍して、Niめっきを拡散浸透させた後、伸び率1.5%の調質圧延を行い、Fe-Ni合金層からなる耐食性皮膜を形成する。
C:冷延鋼板をアルカリ電解脱脂し、めっき浴aを用いてNiめっきを施した後、10vol%H2+90vol%N2雰囲気中で、700℃程度で焼鈍して、Niめっきを拡散浸透させ、伸び率1.5%の調質圧延を行った後、脱脂、酸洗し、めっき浴bを用いてSnめっき処理を施し、Snの融点以上に加熱保持する加熱溶融処理を施す。この処理により、Fe-Ni-Sn合金層とこの上層のSn層からなる耐食性皮膜を形成する。
D:冷延鋼板をアルカリ電解脱脂し、条件Aと同様に焼鈍、調質圧延した後、めっき浴bを用いてSnめっきを施した後、Snの融点以上に加熱保持する加熱溶融処理を施す。この処理により、Fe-Sn合金層とこの上層のSn層からなる耐食性皮膜を形成する。
C、Dの処理において、加熱溶融処理によりSnめっきの一部は合金化する。
次いで、鋼板両面に形成された耐食性皮膜上に、表2、3に示す陰極電解処理条件、すなわち水溶液組成、陽極、電流密度の条件で陰極電解を行い、乾燥して密着性皮膜を形成して、表面処理鋼板No.1〜18を作製する。なお、表面処理鋼板No.5、8、11、16、17、18は、表面に本発明の触媒層を有していない陽極を用いて密着性皮膜を形成しており、比較例である。
そして、耐食性皮膜に含まれるNiやSn量、密着性皮膜に含まれるTi量は、蛍光X線分析法により、それぞれ予め付着量を化学分析して求めた検量板と比較して求める。また、密着性皮膜に含まれるCo量についてはTiと同様の蛍光X線分析法、ならびに化学分析、オージェ電子分光分析および二次イオン質量分析から適宜測定方法を選択して求め、密着性皮膜に含有されるTiに対するCoの質量比(Co/Ti)を評価する。これらの結果は表2、3に示してある。また、Oは、表面処理鋼板No.1〜18のすべてについてXPSによる表面分析でその存在を確認することができる。
また、これらの表面処理鋼板No.1〜18の両面に、延伸倍率3.1×3.1、厚さ25μm、共重合比12モル%、融点224℃のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタラートフィルムを用い、樹脂フィルムのBO値が150になるようなラミネート条件、すなわち鋼板の送り速度:40m/分、ゴムロールのニップ長:17mm、圧着後水冷までの時間:1秒でラミネートして、ラミネート鋼板No.1〜18を作製する。ここで、ニップ長とは、ゴムロールと鋼板が接する部分の搬送方向の長さのことである。また、樹脂フィルムのBO値とは、X線源としてCu管球を用いて測定した2θ=26°近傍に観察されるPET(100)面のX線回折強度のことである。そして、作製したラミネート鋼板No.1〜18について、下記の方法により湿潤樹脂密着性および耐食性の評価を行う。このとき、湿潤樹脂密着性については、密着性皮膜を電解処理開始直後に作製した場合と6時間連続電解処理後に作製した場合について評価を行う。
湿潤樹脂密着性:温度130℃、相対湿度100%のレトルト雰囲気における180°ピール試験により湿潤樹脂密着性の評価を行う。180°ピール試験とは、図1の(a)に示すようなフィルム2を残して鋼板1の一部3を切り取った試験片(サイズ:30mm×100mm、表裏の二面をそれぞれn=1とし、各ラミネート鋼板についてn=2となる)を用い、図1の(b)に示すように、試験片の一端に重り4(100g)を付けてフィルム2側に180°折り返して30分間放置して行うフィルム剥離試験のことである。そして、図1の(c)に示す剥離長5を測定して評価し、各ラミネート鋼板について表裏二面の剥離長(n=2)の平均を求める。剥離長5は小さいほど、湿潤樹脂密着性が良好であり、BO値が150のとき剥離長5が10mm未満であれば、本発明の目的とする優れた湿潤樹脂密着性が得られていると評価する。
耐食性:ラミネート鋼板のラミネート面にカッターナイフを用い鋼板素地に達するカットを交差して施し、1.5質量%NaCl水溶液と1.5質量%クエン酸水溶液を同量ずつ混合した試験液80mlに浸漬し、55℃で9日間放置して、カット部の耐食性(表裏の二面をそれぞれn=1とし、各ラミネート鋼板についてn=2となる)を次のように評価し、○であれば耐食性が良好であるとする。
○:n=2とも腐食なし
×:n=2の1以上において腐食あり
結果を表4に示す。本発明例であるラミネート鋼板No.1〜4、6、7、9、10、12〜15では、密着性皮膜を電解処理開始直後に作製した場合も6時間連続電解処理後に作製した場合も、優れた湿潤樹脂密着性が得られている。これに対し、比較例であるラミネート鋼板No.5、8、11、16〜18では、密着性皮膜を電解処理開始直後に作製した場合は優れた湿潤樹脂密着性が得られているが、6時間連続電解処理後に作製した場合は湿潤樹脂密着性が劣っている。なお、いずれのラミネート鋼板でも、耐食性は優れている。
Figure 2012233256
Figure 2012233256
Figure 2012233256
Figure 2012233256
1 鋼板
2 フィルム
3 鋼板の切り取った部位
4 重り
5 剥離長

Claims (2)

  1. 鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも一層からなる耐食性皮膜を形成後、Tiを0.008〜0.07モル/l(l:リットル)含み、さらにCoをTiに対するモル比で0.01〜10含む水溶液中で、表面に酸化イリジウムおよび酸化ルテニウムのうちの少なくとも一種を含む触媒層を有する導電性基体からなる陽極を用いて陰極電解処理して密着性皮膜を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
  2. 密着性皮膜に含まれるTi量を、片面あたり3〜200mg/m2とすることを特徴とする請求項1に記載の表面処理鋼板の製造方法。
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