JP2012232386A - 軸力算出方法および締付工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】各ワーク13・15にパッキン14を介設した状態でボルト11を締め付けて、各ワーク13・15を締結するときに、ボルト11(もしくはナット孔15a)に作用する予想軸力F2を算出するための軸力算出方法であって、ボルト11の締め付け完了時において該ボルト11に作用する軸力F1と、ボルト11の締め付け完了時から所定時間経過後に該ボルト11に作用する予想軸力F2と、の比(軸力降下率M(t1))を、ボルト11の締付時間t1の関数として表した関係式(数式5)を予め算出しておくとともに、ボルト11の締め付け完了時に該ボルト11に作用する軸力F1の検出値と、ボルト11の締付時間t1を、関係式(数式5)に代入して、予想軸力F2を算出する。
【選択図】図2
Description
このため、固定に要する所定の軸力がボルトに生じているか否かを判断するためには、軸力を測定する代わりに、ボルトを締め付けたときの締め付けトルクを測定し、締め付けトルクからボルトに生じた軸力の可否(即ち、部品の固定状態の可否)を判断するようにしている。
そして、トルク上昇率と残り締め付けトルクに基づいて、現時点から目標締め付けトルクに至るまでの残り締め付け予想時間を算出し、この残り締め付け予想時間と残り締め付け時間と現時点における回転数から、目標締め付け時間で締め付けを完了するための回転数を算出するようにしている。
このようなボルトに緩みが生じる現象は、ボルトの締結部に、パッキン等の軟性部材が介設されている場合に顕著に生じていた。
まず始めに、本発明の一実施形態に係る軸力算出方法について、図1〜図4を用いて説明をする。
図1に示す如く、本発明の一実施形態に係る軸力算出方法では、螺合部材たるボルトの締め付け完了時において該ボルトに作用する軸力を軸力F1、ボルトの締め付け完了後所定時間が経過したときにおいて該ボルトに作用する軸力を予想軸力F2、ボルトの締め付けに要した時間(以下、締付時間と呼ぶ)を締付時間t1、軸力F1の降下率を締付時間t1の関数として表したものを軸力降下率M(t1)と規定するとき、予想軸力F2を、以下に示す数式1により求めるようにしている。
尚、ここでいう「螺合部材」とは、ボルト・ナット等であって、螺合することによって締結力を生じさせることができる部材を意味している。
尚、本実施形態では、締め付け対象たる螺合部材を「ボルト」として説明を行うが、締め付け対象たる螺合部材は、「ナット」であってもよい。
また、本実施形態では、「ボルト」を締め付けたときに、該「ボルト」に作用する軸力を算出するものとしているが、「ボルト」が螺合される部位(被螺合部)である「ネジ部」や「ナット」等にも同等の反力が作用するため、本発明の一実施形態に係る軸力算出方法により、「ネジ部」や「ナット」等において軸方向に作用する反力を算出することもできる。
締結部10は、ボルト11を、第一のワーク(以下、第一ワークと呼ぶ)13に形成されるボルト孔13aに挿通しつつ、被固定対象物たる第二のワーク(以下、第二ワークと呼ぶ)15に形成されたナット孔15aに螺合させることにより、第一ワーク13を第二ワーク15に対して締結する構成としており、また、第一ワーク13と第二ワーク15の間には、軟性部材によって構成されるパッキン14を介設している。
また、ボルト11と第一ワーク13には、ワッシャ12を介設している。
尚、ここでいう軟性部材とは、ボルト11を締め付けたときに生じる軸力で変形が生じる程度の硬さ(軟らかさ)を有する部材を意味している。
また、本実施形態では、第一ワーク13と第二ワーク15の間に軟性部材たるパッキン14を介設するモデルを例示しているが、例えば、第一ワーク13が無く、ボルト11およびワッシャ12と第二ワーク15の間にパッキン14を介設するモデルに対しても、本発明の一実施形態に係る軸力算出方法を同様に適用できる。
図3に示す如く、ボルト11の締め付け時(即ち、時刻0から時刻t1まで)において、ボルト11に作用する軸力は時間の経過に略比例して増大していく。
即ち、パッキン14は、ボルト11の締め付け時においては、図2(b)に示すバネ定数k1のバネS1として機能するような挙動を示す。
そして、ボルト11の締め付け完了時(即ち、時刻t1)においては、ワッシャ12と第二ワーク15との距離は、距離Lとなっている。
即ち、このときの締め付けに要した時間(締付時間)は、締付時間t1となっている。
即ち、ボルト11の締め付け完了後において時間が経過すると、パッキン14は、粘性係数ηのダンパーDが押し縮められるような(即ち、パッキン14の厚みが減少してくる)挙動を示すようになり、これに伴って、パッキン14が、図2(b)に示すバネ定数k2のバネS2としても機能し始めるようになる。
そして、このようにモデル化した系の時刻tにおける軸力Fの理論式は、以下に示すような数式2として表すことができる。
換言すれば、予想軸力F2は、軸力F1と締付時間t1の関数として表されるため、軸力F1と締付時間t1が既知であれば、変位ΔLを計測しなくても、数式5を用いて予想軸力F2を算出することができる。
各定数k1、k2、ηを決定し、モデルを同定するためには、図4に示すような実験装置を用いる。
図4に示す実験装置では、本発明に係る軸力算出方法の適用対象たる締結部10に対して、ボルト11(もしくはナット孔15a)に作用する軸力Fを測定するための圧力センサ(例えば、ロードセル)16を介設して、直接的に軸力Fを測定することが可能な構成としている。
また、図4に示す実験装置では、ワッシャ12の上方に変位センサ(例えば、超音波センサ)17を設置して、パッキン14が痩せたときに生じるワッシャ12の微小な変位ΔLを測定することができる構成としている。
図5に示す如く、本発明の一実施形態に係る締付工具1は、ボルト・ナット等を締結する用途に用いられる工具(所謂ナットランナー)であり、レンチ部2と制御部3等を備えている。
また、レンチ部2は、図示しないロボット装置の手先部等において支持されており、当該ロボット装置により姿勢の変更や変位等が行われ、締結対象たるボルト・ナット等に位置決めして配置される構成としている。
また、制御部3は、モーター5の回転を制御するためのコントローラ3aを備えており、該コントローラ3aに設定されたプログラムに従って、モーター5の回転(即ち、締付工具1によるボルト・ナットの締結動作)を制御する構成としている。
そして、演算部3bは、ボルト・ナット等を締結しているときのモーター5の電流値等(モーター5の負荷)に基づいて、そのときの締め付けトルクをリアルタイムで演算することができ、演算した締め付けトルクの値をコントローラ3aにフィードバックして、モーター5の回転数を制御する構成としている。
尚、ここで使用する相関式は、締結部10(即ち、使用する各ワーク13・15やボルト11およびパッキン14等)の仕様ごとに実験等を行って、締め付けトルクと軸力との関係(摩擦係数)を予め把握して、相関式を導出しておいて、締結部10の仕様ごとに記憶部3cに記憶させておくようにしている。
また、以下の説明では、検出した締め付けトルクに基づいて変換して求められた軸力を、軸力Ftと記載して区別する。
尚、ここで使用する数式6は、締結部(即ち、使用する各ワーク13・15やボルト11およびパッキン14等)の仕様ごとに実験等を行って、各定数k1・k2・ηが予め同定しておいて、締結部10の仕様ごとに記憶部3cに記憶させておくようにしている。
図5に示すような本発明の一実施形態に係る締付工具1において、制御部3の記憶部3cには、締め付け対象たる締結部10に係る各定数k1・k2・ηが予め記憶されている。
また、記憶部3cには、数式5に係る情報も予め記憶されている。
そして、算出した軸力Ftに基づく判定を行う(STEP−2)。
ここでは、軸力Ftが発生しているか否か(即ち、Ft>0か否か)によって、ワッシャ12が着座する時刻を検出するようにしており、軸力Ft>0となるまで、軸力Ftの算出を継続する。
そして、制御部3によって、時刻t1における締め付けトルクから、締め付け完了時における軸力Ftを算出し、これを軸力F1として採用する(STEP−5)。
即ち、演算部3bによって、算出した予想軸力F2が、予め設定した閾値(即ち、所望する軸力)Fx以上の値となっているか否か(即ち、F2≧Fx)の判定をする。
ここで、算出した予想軸力F2が、閾値Fx以上の値となっていれば、制御部3によって、レンチ部2によるボルト11の締め付け動作を完了する。
一方、算出した予想軸力F2が、未だ閾値Fx未満であれば、前述した(STEP−4)に戻ってさらに締め付け動作を継続し、算出した予想軸力F2が、閾値Fx以上となるまで、(STEP−4)〜(STEP−7)を繰り返す。
このような構成により、所定の時間が経過した後にボルト11(もしくはナット孔15a)に作用する予想軸力F2を精度良く算出することができる。またこれにより、ボルト11による固定状態の可否を適正に判断することができる。
このような構成により、ボルト11の締め付け完了時において該ボルト11(もしくはナット孔15a)に作用する軸力F1(軸力Ft)を、簡易な装置構成で、容易かつ精度良く検出することができる。
このような構成により、ボルト11の締結部10において、所望する軸力(即ち、閾値Fx以上の軸力)を確実に確保することができる。
2 レンチ部
3 制御部
Claims (4)
- 単一もしくは複数の部品に軟性の部材を介設した状態で螺合部材を締め付けて、
前記部品を締結するときに、
前記螺合部材もしくは該螺合部材の被螺合部に作用する軸力を算出するための軸力算出方法であって、
前記螺合部材の締め付け完了時において前記螺合部材もしくは前記被螺合部に作用する軸力と、
前記螺合部材の締め付け完了時から所定時間経過後において前記螺合部材もしくは前記被螺合部に作用する軸力と、
の比を、
前記螺合部材の締め付けに要した時間の関数として表した関係式を予め算出しておくとともに、
前記螺合部材の締め付け完了時において前記螺合部材もしくは前記被螺合部に作用する軸力の検出値と、
前記螺合部材の締め付けに要した時間を、
前記関係式に代入して、
前記螺合部材の締め付け完了時から所定時間経過後において前記螺合部材もしくは前記被螺合部に作用する予想軸力を算出する、
ことを特徴とする軸力算出方法。 - 単一もしくは複数の部品に軟性の部材を介設した状態で、螺合部材を締め付けて、前記部品を締結するときに用いる締付工具であって、
前記螺合部材を所定のトルクで締め付けるためのレンチ部と、
前記レンチ部の動作を制御するための制御部と、
を備え、
前記制御部には、
前記螺合部材の締め付け完了時において前記螺合部材もしくは該螺合部材の被螺合部に作用する軸力と、
前記螺合部材の締め付け完了時から所定時間経過後において前記螺合部材もしくは前記被螺合部に作用する軸力と、
の比を、
前記螺合部材の締め付けに要した時間の関数として表した第一の関係式が予め記憶され、
前記制御部によって、
前記螺合部材の締め付け完了時において前記螺合部材もしくは前記被螺合部に作用する軸力の検出値と、前記螺合部材の締め付けに要した時間から、前記第一の関係式に基づいて、前記螺合部材の締め付け完了時から所定時間経過後において前記螺合部材もしくは前記被螺合部に作用する予想軸力を算出する、
ことを特徴とする締付工具。 - 前記制御部には、
前記螺合部材もしくは前記被螺合部に作用する締め付けトルクと軸力の相関を表した第二の関係式が予め記憶され、
前記制御部によって、
前記螺合部材の締め付け完了時において前記螺合部材もしくは前記被螺合部に作用する締め付けトルクから、前記第二の関係式に基づいて、前記螺合部材の締め付け完了時において前記螺合部材もしくは前記被螺合部に作用する軸力を検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の締付工具。 - 前記制御部は、
算出した前記予想軸力が、
予め設定した閾値以上となったときに、
前記レンチ部の締め付け動作を停止させる、
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の締付工具。
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2011
- 2011-05-06 JP JP2011103530A patent/JP5724595B2/ja active Active
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