JP2012232373A - 高周波数振動・電解ハイブリッド内面研削盤及びその研削方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性を有する工作物Wの加工孔Waの内周面を研削砥石3により研削する内面研削盤において、砥石軸方向に高周波数振動する高周波数振動発生器41を備えた高周波数振動ユニットに接続された研削砥石3と、工作物が陽極、研削砥石が陰極となるように電圧を印加しつつ工作物と研削砥石の間に電解液7を供給して電解加工するための電解電源6とを備え、研削砥石を高周波数振動させながら工作物の加工孔の内周面を研削する高周波数振動援用研削加工と、工作物と研削砥石間に電圧を印加して加工孔の内周面を溶解させながら研削する電解研削加工とを順次又は同時に選択的に行う。
【選択図】図2
Description
また、研削砥石が工作物を研削したことにより発生する切屑が、研削液と混合し、集積、堆積してスラッジとなり、これが砥石を目詰まりさせることにより加工精度・研削効率を低下させていた。
さらに、工作物の加工孔の内周面を高い面粗度に仕上げるためには、従来は工作物を内面研削盤で研削した後に、ホーニング盤にローディングして仕上げ加工をする必要があった。このホーニング仕上げを省略して、内面研削盤だけで高精度に加工することができれば、作業効率が向上するものである。
このような構成とすることにより、以下の作用効果が得られる。
<高周波数振動の作用>
・まず高周波数振動の作用により、研削砥石が工作物の加工孔の内周面を研削して発生する切屑がより細かく寸断され、研削砥石表面に付着しづらく容易に排出されることから研削抵抗が低下する→
小径内面研削砥石軸の研削時のたわみが小さくなる→
工作物の加工孔の内周面の真直度・表面粗さが向上する。
これに加えて、高周波数振動により洗浄効果が発揮され、研削砥石表面に切屑や溶解したスラッジが付着することによる砥石の目詰まりを防ぐことができ、かつ研削砥石と工作物との間における電解液の供給及び排出を促すことができ、これにより一層研削抵抗が低下し、研削砥石軸のたわみが小さくなることにより、アスペクト比が高い加工孔の内周面を高精度・高能率で加工することが可能となる。
<電解作用>
・また電解作用により、工作物の加工孔の内周面が溶解され、研削抵抗が低下する→
小径内面研削砥石軸の研削時のたわみが小さくなる→
工作物の加工孔の内周面の真直度・表面粗さが向上して、高精度加工が可能となる。
<高周波数振動と電解作用との相乗効果>
・さらに、高周波数振動と電解作用との相乗効果により、さらに一層研削抵抗が低下し、小径内面研削砥石軸の研削時のたわみが小さくなり、かつ研削砥石の外周の周速を低下させることができる→
工作物の加工孔の内周面の真直度・表面粗さが向上するとともに、砥石軸のベアリングの寿命が長くなって生産コストが低下する。
まず前提として、本実施例にあっては、研削加工する工作物Wは、金属等の導電性を有する材料とする。
<構成>
まず図1に示すように、X−Y−Zの3軸を想定し、X軸は図1の左右方向となる砥石軸方向、Y軸は図1の上下方向となる主軸のスライド方向、Z軸は図1の前後の奥行き方向とする。
本発明の高周波数振動・電解ハイブリッド内面研削盤1は、工作物Wを着脱自在に保持し回転するチャックを備えた主軸2と、この主軸2を載置して、研削切り込みのためにY軸方向に移動させる主軸スライド21と、先端に備えた研削砥石3(砥石母材)を可聴領域以上の20kHz以上の高周波数でX軸方向に微小振動(振幅数μm以下)させるスピンドルと、研削砥石3を回転させるモータ(例えばACサーボモータ)とを組み合わせてなる高周波数振動ユニット4と、この高周波数振動ユニット4を載置してX軸方向に往復動(揺動)する砥石軸スライド5と、導電性を有する工作物Wと研削砥石3との間に直流電圧を印加して電解加工するための電解電源6とを備えている。
また、前記高周波数振動ユニット4は、研削砥石3を回転して工作物を研削する際に、高周波数振動発生器(後述する)を用いて、X軸方向の微振動となる高周波数振動をオンしたり、またオフしたりすることができる構成としている。
工作物Wは、導電性を有する金属製のワークストッパ23にその端面を押し当てることにより、主軸2の回転軸方向の位置決めをされるとともに、主軸2のチャック22により着脱自在に外周を保持されている。
そして、工作物Wの加工孔Waに対し、砥石軸スライド5上の高周波数振動ユニット4の高周波数振動発生器41に接続されたクイル42を介して支持する研削砥石3を挿入し、この研削砥石3をモータにより回転させつつその外周面を加工孔Waの内周面に押し当て揺動させながら研削加工する。この際に、高周波数振動発生器41により研削砥石3を、X軸方向に高周波数振動(周波数が20kHz以上であって、本実施例にあっては例えば40kHz程度)させながら研削(高周波数振動援用研削加工と称する)することができる。
この電解加工は、ワークストッパ23とクイル42間に電解電源6により直流電圧を印加し、すなわち工作物Wが陽極、研削砥石3(中でも導電性を有する砥石母材)が陰極となるように電圧を印加し、そしてその当接部分に電解液7(導電性クーラント)をノズルから供給することにより、研削砥石3が当接する工作物Wの加工孔Waの内周面を溶解状態の陽極溶解Wbとして軟化させ、研削砥石3による研削抵抗を低下させ、これにより内面研削加工を高精度・高能率化することができる。すなわち、研削砥石の回転をより低速化することが可能となり、またこれまで以上に小径の工作物や、アスペクト比の高い工作物の内周面の加工が可能となる。そして、ホーニング仕上げを省略することも可能となる。
この電解加工は、工作物Wの加工孔Waの内周面を電解作用で溶解させることから、研削加工などと比較して高い面粗度が得られるものであり、これに加えて研削砥石3による研削加工を同時に行うことにより、高い真直度(すなわちテーパ−量の小さい高い円筒度)も得られるものである。
高周波数振動のない図3(A)では、電解液7の水分や研削油と、削れた砥粒31分を含んでいるスラッジ8が、砥石3(砥石母材)の表面と工作物Wとの間に固体層を形成して、すなわち目詰まり状態となって、研削効率を低下させている状態を示している。
これに対し、高周波数振動を与えた図3(B)では、スラッジ8が集積・堆積する間もなく電解液7中で微細化されて流動することから、固化して目詰まり状態となることなく好適な研削加工を継続することができるものである。
すなわち、従来の高周波数振動のない研削加工では、ひも状の長い切屑が多く発生していて、これが研削点から排出されづらいため研削砥石の表面に付着しやすかったのに対し、高周波数振動を伴う研削加工にあっては、切屑は小さなフレーク状となり研削点から排出されやすいため研削砥石の表面に付着しづらくなり、好適な研削加工を維持できるものである。さらに、高周波数振動による洗浄効果も発揮され、切屑や溶解したスラッジが砥石表面に付着することを防ぐことができる。
このような構成からなる本発明の高周波数振動・電解ハイブリッド内面研削盤1による第1の研削方法について、以下に詳述する。
まず、図2に示すごとく、回転する研削砥石3を高周波数振動発生器41により図2の左右の矢印方向に高周波数振動させながら、工作物Wの加工孔Waの内周面に挿入し当接させて研削する。これと同時に、電解電源6を用いて工作物Wが陽極、研削砥石3が陰極となるように電圧を印加する。
この高周波数振動援用研削加工と、電解加工とが組み合わされた高周波数振動・電解加工を同時に行うことで、研削砥石による研削抵抗が低下し高精度・高能率で研削加工を行うことができ、これによりこれまで以上にアスペクト比が高い加工孔の内周面の加工が可能となり、加工能率を向上させることができる。
また、これまで以上に微細な砥粒の研削砥石を用いても加工能率を低下させることなく、工作物を高精度な表面粗さに仕上げることができる。
次に、本発明の第2の高周波数振動・電解ハイブリッド内面研削方法にあっては、高周波数振動援用研削加工と電解加工を、同時に行うのみならず、選択的に順次行うこととする。
すなわち、始めに工作物の内周面に高周波数振動を用いた研削加工を行い、次に電解加工を行ったり、逆に始めに電解加工を行い、次に高周波数振動を用いた研削加工を行ったりするものである。
始めに電解加工を行ってワーク表面を溶解、軟質化させて、それから高周波数振動を用いた研削加工を行う場合であっても、電解加工と高周波数振動援用研削加工の相乗効果が得られ、これにより研削抵抗が低下し高精度・高能率の研削加工が実現できるものである。
また、本発明の第3の高周波数振動・電解ハイブリッド内面研削方法としては、高周波数振動援用研削加工と電解加工を、選択的に順次複数回組み合わせて行うものであり、例えば、高周波数振動援用研削加工→電解加工→高周波数振動援用研削加工としたり、電解加工→高周波数振動援用研削加工→電解加工としたりする。
さらに、この高周波数振動援用研削加工と電解加工の選択的な順次加工と、前述した高周波数振動援用研削加工と電解加工の同時加工とを組み合わせることにより、多くの組み合わせの加工工程が設定できるものである。
これらの高周波数振動援用研削加工と電解加工とを組み合わせは、所望する工作物の内周面に施す加工精度などに応じて適宜設定することとするものである。
2…主軸
21…主軸スライド
22…チャック
23…ワークストッパ
3…研削砥石
31…砥粒
4…高周波数振動ユニット
41…高周波数振動発生器
42…クイル
5…砥石軸スライド
6…電解電源
7…電解液
8…スラッジ
9…変位計
10…力センサ
W…工作物
Wa…加工孔
Wb…陽極溶解
Claims (4)
- 導電性を有する工作物の加工孔の内周面を研削砥石により研削する内面研削盤において、
砥石軸方向に高周波数振動する高周波数振動発生器とモータを備えた高周波数振動ユニットに接続された研削砥石と、
工作物が陽極、研削砥石が陰極となるように電圧を印加しつつ前記工作物と研削砥石の間に電解液を供給して電解加工するための電解電源装置とを備え、
前記研削砥石を高周波数振動させながら工作物の加工孔の内周面を研削する高周波数振動援用研削加工と、工作物と研削砥石間に電圧を印加して加工孔の内周面を溶解させながら研削する電解研削加工とを順次又は同時に選択的に行うことを特徴とする高周波数振動・電解ハイブリッド内面研削盤。 - 砥石軸方向に高周波数振動する高周波数振動発生器とモータを備えた高周波数振動ユニットに接続された研削砥石と、工作物が陽極、研削砥石が陰極となるように電圧を印加して電解加工するための電解電源装置とを備えた高周波数振動・電解ハイブリッド内面研削盤を用いて工作物の加工孔の内周面を研削する内面研削方法において、
前記高周波数振動発生器と前記電解電源装置を同時に駆動して工作物を研削することを特徴とする高周波数振動・電解ハイブリッド内面研削方法。 - 砥石軸方向に高周波数振動する高周波数振動発生器とモータを備えた高周波数振動ユニットに接続された研削砥石と、工作物が陽極、研削砥石が陰極となるように電圧を印加して電解加工するための電解電源装置とを備えた高周波数振動・電解ハイブリッド内面研削盤を用いて工作物の加工孔の内周面を研削する内面研削方法において、
前記高周波数振動発生器と前記電解電源装置を順次選択的に駆動して工作物を研削することを特徴とする高周波数振動・電解ハイブリッド内面研削方法。 - 砥石軸方向に高周波数振動する高周波数振動発生器とモータを備えた高周波数振動ユニットに接続された研削砥石と、工作物が陽極、研削砥石が陰極となるように電圧を印加して電解加工するための電解電源装置とを備えた高周波数振動・電解ハイブリッド内面研削盤を用いて工作物の加工孔の内周面を研削する内面研削方法において、
前記高周波数振動発生器と前記電解電源装置を同時駆動及び順次駆動を組み合わせて工作物を研削することを特徴とする高周波数振動・電解ハイブリッド内面研削方法。
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